説明

伝送試験装置、伝送試験方法及び伝送試験プログラム

【課題】伝送路にエラーを継続的に発生させること。
【解決手段】伝送路における伝送試験を行う伝送試験装置100は、判定部133と、キラーパターン転送部132とを有する。判定部133は、伝送路において試験データに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったか否かを判定する。キラーパターン転送部132は、判定部133により異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定された場合、試験データを変更して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送試験装置、伝送試験方法及び伝送試験プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SerDes(Serializer Deserializer)回路は、論理回路からパラレルに入力した信号をシリアル化して伝送路に出力し、また、伝送路からシリアルに入力した信号をパラレル化して論理回路に出力する。
【0003】
このような、SerDes回路では、データが正常に入出力されているか否かを検査する伝送試験が実施される。例えば、SerDes回路は、キラーパターンと呼ばれるデータ配列を、所定時間継続して伝送路に出力し、出力したデータに生じたビットエラーの比率(以下、BER(Bit Error Rate)値と記す)を測定する。そして、SerDes回路は、測定したBER値が閾値であるBER基準値を超えている場合には、伝送路に異常があると判定する。
【0004】
また、SerDes回路は、キラーパターンのうち特定のキラーパターンを安定なデータパターンに変換するスクランブル変換機構を備えている。このため、SerDes回路は、特定のキラーパターンを伝送路に出力した場合、このスクランブル変換機構によりBER値を低下させる。図10を用いて、スクランブル変換におけるBER値の推移を説明する。
【0005】
図10は、スクランブル変換におけるBER値の推移の一例を示す図である。図10において、横軸は、キラーパターンの累積転送量を示し、縦軸は、BER値を示す。図10では、キラーパターンAを所定時間継続して伝送路に出力した場合を例に説明する。
【0006】
図10に示す例では、SerDes回路では、キラーパターンAの累積転送量が10aとなる時点までは、キラーパターンAのBER値であるBER1が、BER基準値を超えていると判定する。このような場合、SerDes回路は、キラーパターンAをスクランブル変換することで、安定したデータパターンに変換する。この結果、伝送路に出力されたデータのBER値は、累積転送量に応じて低下する。
【0007】
このため、SerDes回路は、特定のキラーパターン以外の、スクランブル変換機構により安定したパターンには変換されないキラーパターンを伝送路に所定時間継続して出力し、所定時間におけるBER値を測定する。そして、測定したBER値が基準値よりも高い場合、SerDes回路は、不良品であると判定される。
【0008】
また、受信側の特定の回路にとってワーストケースとなる試験データを出力する伝送試験や、複数の試験データから目的に応じた試験データを選択して出力する伝送試験に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−312092号公報
【特許文献2】特開2007−174135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術では、伝送路にエラーを継続的に発生させることができない。
【0011】
従来のSerDes回路内部では、スクランブル変換機構が既存のキラーパターン全てを安定したパターンに変換する。このため、キラーパターンを流し続けても、SerDes回路は、キラーパターンを安定したパターンに変換してしまう。このため、SerDes回路は、キラーパターンを所定時間継続して伝送路に出力することができない。この結果、所定時間における正常品のBER値と不良品のBER値とに差がなくなるので、伝送試験として不良品の判断が出来ないという問題がある。
【0012】
1つの側面では、伝送路にエラーを継続的に発生させることができる伝送試験装置、伝送試験方法及び伝送試験プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の案では、伝送路における伝送試験を行う伝送試験装置である。伝送試験装置は、伝送路において、試験データに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったか否かを判定する。そして、伝送試験装置は、異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定された場合、試験データを変更して送信する。
【発明の効果】
【0014】
伝送路にエラーを継続的に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施例1に係る伝送試験装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、データパターン保持テーブルが記憶する情報の一例を示す図である。
【図3】図3は、キラーパターン保持テーブルが記憶する情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、実施例1に係る伝送試験装置によるキラーパターンの継続試験処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施例1に係る伝送試験装置によるキラーパターンの変更処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、スクランブル変換におけるBER値の推移とキラーパターン変更処理との関係の一例を示す図である。
【図7】図7は、実施例2に係る伝送試験装置によるキラーパターン抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施例3に係る伝送試験装置による処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、伝送試験プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【図10】図10は、スクランブル変換におけるBER値の推移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本願の開示する伝送試験装置、伝送試験方法及び伝送試験プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0017】
実施例1では、BER値が既知であるキラーパターンを用いて通信先装置との間の伝送路における伝送試験を実行する伝送試験装置を例に説明する。以下では、図1から図6を用いて、伝送試験装置の構成、伝送試験装置による処理の流れ、効果などについて説明する。
【0018】
[実施例1に係る伝送試験装置の構成]
図1は、実施例1に係る伝送試験装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、伝送試験装置100は、入力部101と、出力部102と、記憶部110と、SerDes(Serializer Deserializer)回路120と、制御部130とを有する。また、伝送試験装置100は、バス150によって通信先の情報処理装置200と接続される。
【0019】
入力部101は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルなどであり、各種の設定条件の入力を受付け、受付けた各種の設定条件を後述の入出力制御部131へ出力する。出力部102は、入出力制御部131により出力された各種情報を出力する出力デバイスであり、例えば、ディスプレイなどの画像表示装置、プリンタなどの画像形成装置である。
【0020】
記憶部110は、例えば、半導体メモリ素子などの記憶装置であり、データパターン保持テーブル111とキラーパターン保持テーブル112と監視条件設定テーブル113と前回BER値保持部114とを有する。
【0021】
データパターン保持テーブル111は、伝送試験装置100が伝送試験に用いるデータパターンを記憶する。なお、実施例1に係るデータパターン保持テーブル111は、伝送試験装置100と情報処理装置200との間の伝送路上で高周波や低周波を生み出すCJPATパターン、GPATパターンなどのキラーパターンを記憶する。また、実施例1に係るデータパターン保持テーブル111は、ビットパターンに着目したオール5、オールA、オールゼロ、オールF、ランダムなどのキラーパターンを記憶する。
【0022】
図2を用いて、データパターン保持テーブル111が記憶する情報の一例を説明する。図2は、データパターン保持テーブルが記憶する情報の一例を示す図である。図2に示すように、例えば、データパターン保持テーブル111は、「データID」と「データ配列」とを対応付けて記憶する。
【0023】
データパターン保持テーブル111が記憶する「データID」は、データを一意に識別する識別子を示す。例えば、「データID」には、「0001」、「0002」などが格納される。
【0024】
また、データパターン保持テーブル111が記憶する「データ配列」は、データIDに対応するデータパターンの配列を示す。例えば、「データ配列」には、「0xf4f4f4f4 0xf4f4f4f4 0xebebebeb 0xebebebeb 0xfcfcfcfc 0xfcfcfcfc」のデータパターンを2つ含む配列データが格納される。
【0025】
図2に示す例では、「データID」が「0001」の「データ配列」において、「0xf4f4f4f4 0xf4f4f4f4 0xebebebeb 0xebebebeb 0xfcfcfcfc 0xfcfcfcfc」が1度繰り返すことを示す。
【0026】
キラーパターン保持テーブル112は、データパターン保持テーブル111が記憶するデータパターンについて、「BER値」と「データID」と「データサイズ」とを対応付けた情報を記憶する。なお、実施例1に係るキラーパターン保持テーブル112は、データパターン保持テーブル111が記憶するデータパターンの全てについて、「BER値」と「データID」と「データサイズ」とを対応付けた情報を記憶するものとして説明する。
【0027】
図3を用いて、キラーパターン保持テーブル112が記憶する情報の一例を説明する。図3は、キラーパターン保持テーブルが記憶する情報の一例を示す図である。図3に示すように、例えば、キラーパターン保持テーブル112は、「BER値」と「データID」と「データサイズ」とを対応付けて記憶する。また、キラーパターン保持テーブル112は、「BER値」の降順にデータを記憶する。
【0028】
ここで、キラーパターン保持テーブル112が記憶する「データID」は、データを一意に識別する識別子を示す。なお、キラーパターン保持テーブル112におけるデータIDは、データパターン保持テーブル111におけるデータIDと同様であり、同一のデータIDを有するデータは同一のデータである。なお、キラーパターン保持テーブル112が記憶する「データID」は後述するキラーパターン格納部134により格納される。
【0029】
「BER値」は、データIDに対応するデータが伝送路上に出力された場合、データに生じるビットエラーの比率を示す。例えば、「BER値」には、「1.4433E−08」や「6.1187E−09」などが格納される。なお、キラーパターン保持テーブル112が記憶する「BER値」は、入力部101を介して利用者から受付けた値が入出力制御部131により格納される。なお、例えば、「E−08」は、「e-8(eは、自然対数の底)」を示す。
【0030】
「データサイズ」は、データパターン保持テーブル111が記憶するデータサイズを示す。例えば、「データサイズ」には、「96」や「120」などが格納される。なお、キラーパターン保持テーブル112が記憶する「データサイズ」は後述するキラーパターン格納部134により格納される。
【0031】
図3に示す例では、キラーパターン保持テーブル112は、「BER値」が「1.4433E−08」であるデータのデータIDが「0001」であり、データサイズが「96」であることを示す。
【0032】
監視条件設定テーブル113は、伝送試験装置100により出力されたデータのBER値を監視する監視条件を記憶する。監視条件設定テーブル113には、入力部101を介して利用者から受付けた値が入出力制御部131により格納される。なお、監視条件設定テーブル113は、例えば、ファイルから監視条件を読み出して設定されるようにしてもよい。
【0033】
例えば、監視条件設定テーブル113は、BER値を監視する監視条件として「BER監視間隔時間」と、「内部監視用転送量」と、「終了条件」と、「BER基準値」とを対応付けた情報を記憶する。
【0034】
監視条件設定テーブル113が記憶する「BER監視間隔時間」は、データ転送中にBER値をチェックする間隔を示し、例えば「5(秒)」が格納される。
【0035】
「内部監視用転送量」は、BER値をチェックする際にBER値が有効であると判断できる転送量を示す。例えばBERの基準値が10の12乗バイトの転送中に1回のCRC(cyclic redundancy check)エラーが発生する場合、転送量が10の10乗バイトでエラーが発生していなくても良好であるとは判断はできない。この場合、最低でも10の12乗バイトの転送は必要となり、「内部監視用転送量」には、「10の12乗バイト」が格納される。
【0036】
「終了条件」は、処理の終了条件を示す値であり、全転送量を示す。例えば、「終了条件」には、「10の14乗バイト」が格納される。また、「終了条件」として試験時間を設定し、設定時間経過を契機に終了するようにしてもよい。
【0037】
「BER基準値」は、転送中に算出したBERの値でデータパターンが有効か有効でないかを判断する閾値を示す。例えば、「BER基準値」には、10の12乗バイト転送中に1回のCRCエラーが発生する割合を示す「10の−12乗」が格納される。なお、ここで言う、データパターンが有効であるとは、BER値が高いことを示し、データパターンが有効でないとは、BER値が低いことを示す。
【0038】
前回BER値保持部114は、前回測定したBER値を格納する。なお、前回BER値保持部114が記憶する前回BER値は、判定部133により格納される。なお、前回BER値保持部114には、初期設定値として「0」が格納される。
【0039】
SerDes回路120は、スクランブル変換部121とデータ転送部122とBERレジスタ123とデータ転送量レジスタ124とを有し、伝送試験装置100と情報処理装置200とのデータのやり取りを制御する。SerDes回路120は、例えばイーサネット(登録商標)、PCI−Express(登録商標)やInfiniBand(登録商標)などである。
【0040】
スクランブル変換部121は、BER値が所定の基準値よりも高い場合、データのスクランブル変換を実行する。
【0041】
データ転送部122は、制御部130からパラレルに入力されたデータをシリアル化してバス150に出力し、また、バス150からシリアルに入力されたデータをパラレル化して制御部130に出力する。
【0042】
BERレジスタ123は、データ転送部122により出力されたデータに対するBER値を保持する。例えば、BERレジスタ123は、BER値として「3.3862E−10」を保持する。
【0043】
データ転送量レジスタ124は、データ転送部122により転送されたデータ量を示す。例えば、データ転送量レジスタ124は、データ量として「10の10乗バイト」を保持する。
【0044】
図1に戻り、制御部130は、入出力制御部131とキラーパターン転送部132と判定部133とキラーパターン格納部134とデータ変更部135とを有する。また、制御部130は、制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有する。例えば、制御部130は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの電子回路、又は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0045】
入出力制御部131は、入力部101を介して利用者から受付けた各種の設定値を記憶部110に設定する。また、入出力制御部131は、制御部130において生成された試験結果や各種のデータなどを出力部102に出力する。
【0046】
キラーパターン転送部132は、データパターン保持テーブル111からデータパターンを取得して、取得したデータパターンをSerDes回路120に出力する。例えば、キラーパターン転送部132は、キラーパターン保持テーブル112が記憶するデータパターンを降順で一つ読み出し、読み出したデータパターンの「データID」と一致するデータをデータパターン保持テーブル111から取得する。そして、キラーパターン転送部132は、取得したデータをSerDes回路120に出力する。
【0047】
また、キラーパターン転送部132は、データ変更部135により決定されたデータをキラーパターン保持テーブル112から読み出す。そして、キラーパターン転送部132は、読み出したデータパターンの「データID」と一致するデータをデータパターン保持テーブル111から取得して、取得したデータパターンをSerDes回路120に出力する。
【0048】
判定部133は、監視条件設定テーブル113に設定されたBER監視間隔時間を経過した場合、BERレジスタ123に保持されるBER値を取得して、取得したBER値に基づいて、データが伝送試験に有効であるか否かを判定する。例えば、判定部133は、取得したBER値が設定されたBER基準値を超えたか否かを判定する。
【0049】
判定部133は、取得したBER値がBER基準値を超えたと判定した場合、伝送試験の終了条件を満たすか否かを判定する。例えば、判定部133は、伝送試験の終了条件として全転送量または時間が設定値を超えたか否かを判定する。ここで、判定部133は、全転送量または時間が終了条件を超えたと判定した場合、伝送試験を終了する。一方、判定部133は、全転送量または時間が終了条件を超えていないと判定した場合、設定されたBER監視間隔時間を経過するまで待機してから再度データが伝送試験に有効であるか否かを判定する。
【0050】
判定部133は、取得したBER値がBER基準値を超えていないと判定した場合、データを変更するか否かを判定する。判定部133は、前回BER値保持部114から前回BER値を読み出して、取得したBER値と前回BER値とを比較し、値が低下したか否かを判定する。判定部133は、取得したBER値と前回BER値とを比較し、値が低下したと判定した場合、データ変更部135に転送データの変更処理を実行させる。
【0051】
判定部133は、取得したBER値が前回BER値よりも低下していないと判定した場合、取得したBER値で前回BER値保持部114に格納される前回BER値を更新する。そして、判定部133は、データ転送量レジスタ124からデータ転送量を読み出して、内部監視用転送量を超えたか否かを判定する。判定部133は、内部監視用転送量を超えたと判定した場合、継続試験の終了条件を満たすか否かを判定する。また、判定部133は、内部監視用転送量を超えていないと判定した場合、データ変更部135に転送データの変更処理を実行させる。
【0052】
判定部133は、データ変更部135に転送データの変更処理を実行させるように通知した後、継続試験の終了条件を満たすか否かを判定する。
【0053】
キラーパターン格納部134は、データパターン保持テーブル111が記憶するデータパターンのうち指定されたデータパターンをキラーパターン保持テーブル112に格納する。なお、実施例1に係るキラーパターン格納部134は、例えば電源起動時に、データパターン保持テーブル111が記憶する全てのデータパターンに対して「データID」と「データサイズ」とを対応付けてキラーパターン保持テーブル112に格納するものとする。また、キラーパターン格納部134は、「BER値」が入力された場合、キラーパターン保持テーブル112を「BER値」が降順になるように並び替える。
【0054】
データ変更部135は、判定部133によりBERレジスタ123から読み出したBER値が前回BER値と比較して低下したと判定された場合、キラーパターン転送部132によりSerDes回路120に出力されるデータの変更処理を実行する。
【0055】
データ変更部135は、判定部133により内部監視用転送量を超えたと判定された場合、もしくは、判定部133により前回BER値よりも低下したと判定した場合、データパターンの変更処理を実行する。
【0056】
例えば、データ変更部135は、キラーパターン保持テーブル112から現在のキラーパターンの次のキラーパターンをキラーパターン保持テーブル112から降順で一つ選択し、選択したキラーパターンのBER値を読み出す。そして、データ変更部135は、読み出したBER値が走行条件で指定されたBER基準値より高いか否かを判定する。
【0057】
ここで、データ変更部135は、読み出したBER値が監視条件設定テーブル113に設定されたBER基準値より高いと判定した場合、選択したキラーパターンを転送データに決定する。一方、データ変更部135は、読み出したBER値が走行条件で指定されたBER基準値より高くないと判定した場合、キラーパターン保持テーブル112の先頭のデータパターンを転送データに決定する。データ変更部135は、決定した転送データをキラーパターン転送部132に通知する。
【0058】
[実施例1に係る伝送試験装置による処理の処理手順]
次に図4及び図5を用いて、実施例1に係る伝送試験装置による処理の処理手順を説明する。ここでは、図4を用いて継続試験処理を説明し、図5を用いてキラーパターンの変更処理を説明する。
【0059】
(キラーパターンの継続試験処理)
図4は、実施例1に係る伝送試験装置によるキラーパターンの継続試験処理の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すように、入出力制御部131は、転送条件及びBER監視条件の設定を受付ける(ステップS101)。そして、キラーパターン転送部132は、データパターン保持テーブル111からデータを取得して、取得したデータをSerDes回路に転送する(ステップS102)。
【0060】
判定部133は、監視間隔時間までデータの転送を継続してから(ステップS103)、BERレジスタ123からBER値を取得する(ステップS104)。そして、判定部133は、BER基準値と取得したBER値とを比較し、取得したBER値がBER基準値を超えたか否かを判定する(ステップS105)。
【0061】
判定部133は、取得したBER値がBER基準値を超えていないと判定した場合(ステップS105、No)、前回BER値保持部114から前回BER値を読み出す(ステップS106)。そして、判定部133は、取得したBER値と前回BER値とを比較し、値が低下したか否かを判定する(ステップS107)。
【0062】
ここで、判定部133は、前回BER値よりも低下していないと判定した場合(ステップS107、No)、取得したBER値を前回BER値保持部114に格納する(ステップS108)。そして、判定部133は、データ転送量レジスタ124からデータ転送量を読み出す(ステップS109)。判定部133は、内部監視用転送量を超えたか否かを判定する(ステップS110)。
【0063】
判定部133により内部監視用転送量を超えたと判定された場合(ステップS110、Yes)、もしくは、判定部133により前回BER値よりも低下したと判定された場合(ステップS107、Yes)、データ変更部135は、以下の処理を実行する。すなわち、データ変更部135は、データパターンの変更処理を実行する(ステップS111)。
【0064】
判定部133は、取得したBER値がBER基準値を超えたと判定した場合(ステップS105、Yes)、内部監視用転送量を超えていないと判定した場合(ステップS110、No)、もしくは、ステップS111の処理が終了後、以下の処理を実行する。すなわち、判定部133は、全転送量または時間が終了条件を超えたか否かを判定する(ステップS112)。
【0065】
ここで、判定部133は、全転送量または時間が終了条件を超えていないと判定した場合(ステップS112、No)、ステップS303に移行する。一方、判定部133は、全転送量または時間が終了条件を超えたと判定した場合(ステップS112、Yes)、処理を終了する。
【0066】
(キラーパターンの変更処理)
図5は、実施例1に係る伝送試験装置によるキラーパターンの変更処理の処理手順を説明するフローチャートである。なお、この処理は、図4に示すステップS111に対応する。図5に示すように、データ変更部135は、キラーパターン保持テーブル112から現在のキラーパターンの次のキラーパターンを降順で選択し、選択したキラーパターンのBER値を読み出す(ステップS201)。
【0067】
そして、データ変更部135は、読み出したBER値が監視条件設定テーブル113に設定されたBER基準値より高いか否かを判定する(ステップS202)。ここで、データ変更部135は、読み出したBER値がBER基準値より高いと判定した場合(ステップS202、Yes)、選択したキラーパターンを転送データとする(ステップS203)。一方、データ変更部135は、読み出したBER値がBER基準値より高くないと判定した場合(ステップS202、No)、キラーパターン保持テーブル112の先頭のデータパターンを転送データとする(ステップS204)。
【0068】
ステップS203、ステップS204の処理が終了後、データ変更部135は、キラーパターンの変更処理を終了する。
【0069】
[実施例1の効果]
図6を用いて、実施例1に係る伝送試験装置による効果を説明する。図6は、スクランブル変換におけるBER推移とキラーパターン変更処理との関係の一例を示す図である。ここで、図6において、横軸は、データの転送量を示し、縦軸は、BER値を示す。
【0070】
図6に示すように、伝送試験装置100が、キラーパターンAを転送した場合、キラーパターンの累積転送量が6aとなる時点においてスクランブル変換が実行され、以降のBER値は低下する。そして、伝送試験装置100は、キラーパターンの累積転送量が6bとなる時点でBER値が基準値よりも低下したと判定し、キラーパターンAからキラーパターンBに変更する。この結果、以降のBER値は上昇する。
【0071】
また、キラーパターンの累積転送量が6cとなる時点においてスクランブル変換が実行され、以降のBER値が低下すると、伝送試験装置100は、キラーパターンの累積転送量が6dとなる時点でBER値が基準値よりも低下したと判定し、キラーパターンBからキラーパターンCに変更する。この結果、以降のBER値は上昇する。
【0072】
このように、伝送試験装置100は、BER値が基準値を下回ったか否かを判定し、基準値を下回った場合にキラーパターンを変更することで、スクランブル変換が実行されるSerDes回路においても、継続して伝送試験を行うことができる。この結果、不良品を正確に検出することができ、不良品の流出を防止することができる。
【0073】
また、従来の技術では、ある決められた時間で定期的にキラーパターンを変更すると、キラーパターンから安定したパターンに移行した直後から次のキラーパターンに切り替えるまでの時間が試験として無駄になった。一方、本願の開示する伝送試験装置100は、取得したBER値に基づいて動的にキラーパターンを変更することができるので、次のキラーパターンに切り替えるまでの時間を短縮できる。
【0074】
また、伝送試験装置100は、取得したBER値が基準値を下回った場合、前回BER値を読み出して取得したBER値と比較し、取得したBER値が前回BER値よりも低下したか否かを判定する。そして、伝送試験装置100は、取得したBER値が前回BER値よりも低下していないと判定した場合、内部監視用転送量を超えるまでキラーパターンを転送する。これにより、キラーパターンを変更した直後にBER値が基準値よりも低い場合であっても、直ぐにキラーパターンの変更処理を行わず、BER値が基準値を超えるまでキラーパターンを転送し続けることができる。図6に示す例では、点6eで前回BER値を測定していた場合、点6fにおけるBER値が基準値よりも低くても、キラーパターンを変更せず、BER値が上昇するまでキラーパターンを転送し続けることができる。
【0075】
なお、伝送試験装置100は、取得したBER値が基準値を超えていた場合であっても、取得した基準値を前回BER値として記憶するようにしてもよい。そして、取得したBER値が基準値を超えていた場合であっても、前回BER値よりも低下したと判定した場合、キラーパターンの変更処理を実行するようにしてもよい。この結果、BER値を常に基準値よりも高い状態に保って伝送試験を行うことができる。
【0076】
また、実施例1では、伝送試験装置100から情報処理装置200に転送するデータにより伝送試験を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、送信側のSerDes回路と受信側のSerDes回路とを接続してループバックさせることによって、自装置内で検査をすることもできる。この結果、例えば、送信側のSerDes回路でエラーは少ないが、受信側のSerDes回路でエラーが多い場合などを検出することができる。
【実施例2】
【0077】
実施例1では、予め登録されたキラーパターンを用いて、継続試験処理を実行する場合について説明した。また、実施例1では、BER値を測定して基準値と比較することで、キラーパターンを変更するか否かを判定した。このBER値を測定して基準値と比較する処理は、既存のキラーパターンに加えて、新たに、キラーパターンとして利用できるデータを探索することにも応用できる。
【0078】
そこで、実施例2では、複数のデータパターンの中から、キラーパターンとなりえるデータを抽出する場合を説明する。以下では、図1及び図7を用いて、伝送試験装置の構成、伝送試験装置による処理の流れ、効果などについて説明する。
【0079】
[実施例2に係る伝送試験装置の構成]
以下では、実施例1に係る伝送試験装置と同様の機能については説明を省略し、実施例1に係る伝送試験装置と異なる機能についてのみ説明する。なお、同一名称の構成部については、同一符号を付与して説明する。
【0080】
実施例2に係るデータパターン保持テーブル111は、伝送試験装置100が用いるデータパターンの「データID」と「データ配列」とを対応付けて記憶する。例えば、実施例2に係るデータパターン保持テーブル111は、任意の配列を含んだデータを記憶するものとする。なお、実施例2に係るデータパターン保持テーブル111が記憶するデータパターンは、既知のキラーパターンを含んでいても良い。
【0081】
キラーパターン保持テーブル112は、データパターンのうちキラーパターンとして抽出されたデータパターンについて、BER値とデータパターンが格納されている先頭アドレスとデータサイズとを対応付けて記憶する。なお、実施例2に係るキラーパターン保持テーブル112は、電源起動時にはデータを記憶しておらず、複数のデータパターンの中から、キラーパターンとなりえるデータが抽出された場合に、キラーパターン格納部134により生成されるものとする。
【0082】
実施例2に係るキラーパターン転送部132は、データパターン保持テーブル111からデータパターンを一つ読み出し、読み出したデータパターンをSerDes回路120に出力する。
【0083】
実施例2に係る判定部133は、監視間隔時間までデータの転送を継続してから、BERレジスタ123からBER値を取得する。そして、判定部133は、BER基準値と取得したBER値とを比較し、取得したBER値がBER基準値を超えたか否かを判定する。
【0084】
判定部133は、取得したBER値がBER基準値を超えたと判定した場合、取得したBER値を前回BER値保持部114に格納するとともに、キラーパターン格納部134にデータをキラーパターン保持テーブル112に格納するように通知する。そして、判定部133は、データ転送量レジスタ124からデータ転送量を読み出して、内部監視用転送量を超えたか否かを判定する。
【0085】
実施例2に係るキラーパターン格納部134は、転送したデータパターンのBER値が基準値を超えたと判定部133により判定された場合、取得したBER値をデータIDと、データサイズとに対応付けてキラーパターン保持テーブル112に格納する。
【0086】
実施例2に係るデータ変更部135は、判定部133により、内部監視用転送量を超えたと判定された場合、もしくは、判定部133により、前回BER値よりも低下したと判定した場合、データパターンを変更する。そして、データ変更部135は、前回BER値保持部114が記憶する情報をクリアする。
【0087】
[実施例2に係る伝送試験装置による処理の処理手順]
次に図7を用いて、実施例2に係る伝送試験装置によるキラーパターン抽出処理の処理手順を説明する。図7は、実施例2に係る伝送試験装置によるキラーパターン抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0088】
図7に示すように、入出力制御部131は、転送条件及びBER監視条件の設定を受付ける(ステップS301)。そして、キラーパターン転送部132は、データパターン保持テーブル111からデータを取得して、取得したデータをSerDes回路に転送する(ステップS302)。
【0089】
判定部133は、監視間隔時間までデータの転送を継続してから(ステップS303)、BERレジスタ123からBER値を取得する(ステップS304)。そして、判定部133は、BER基準値と取得したBER値とを比較し、取得したBER値がBER基準値を超えたか否かを判定する(ステップS305)。
【0090】
ここで、判定部133は、取得したBER値がBER基準値を超えたと判定した場合(ステップS305、Yes)、以下の処理を実行する。すなわち、判定部133は、取得したBER値を前回BER値保持部114に格納するとともに、キラーパターン格納部134にデータをキラーパターン保持テーブル112に格納する(ステップS306)。
【0091】
一方、判定部133は、取得したBER値がBER基準値を超えていないと判定した場合(ステップS305、No)、前回BER値保持部114から前回BER値を読み出す(ステップS307)。そして、判定部133は、取得したBER値と前回BER値とを比較し、値が低下したか否かを判定する(ステップS308)。
【0092】
ここで、判定部133は、前回BER値よりも低下していないと判定した場合(ステップS308、No)、取得したBER値を前回BER値保持部114に格納する(ステップS309)。
【0093】
判定部133は、ステップS309の処理が終了後、データ転送量レジスタ124からデータ転送量を読み出す(ステップS310)。そして、判定部133は、ステップS306の処理が終了後、またはステップS310の処理が終了後、内部監視用転送量を超えたか否かを判定する(ステップS311)。
【0094】
判定部133は、内部監視用転送量を超えていないと判定した場合(ステップS311、No)、全転送量または時間が終了条件を超えたか否かを判定する(ステップS312)。ここで、判定部133は、全転送量または時間が終了条件を超えていないと判定した場合(ステップS312、No)、ステップS303に移行する。一方、判定部133は、全転送量または時間が終了条件を超えたと判定した場合(ステップS312、Yes)、処理を終了する。
【0095】
判定部133により、内部監視用転送量を超えたと判定された場合(ステップS311、Yes)、もしくは、判定部133により、前回BER値よりも低下したと判定した場合(ステップS308、Yes)、データ変更部135は、以下の処理を実行する。すなわち、データ変更部135は、データパターンを変更し(ステップS313)、前回BER値保持部114が記憶する情報をクリアする(ステップS314)。そして、ステップS314の処理が終了後、判定部133は、ステップS312の処理を実行する。
【0096】
[実施例2の効果]
上述してきたように、本実施例2では、BER値が基準値よりも高くなるキラーパターンを抽出することができる。さらに、登録したデータパターンのなかから新規のキラーパターンを検索することができる。
【実施例3】
【0097】
実施例1では、予め登録されたキラーパターンを用いて、継続試験処理を実行する場合について説明した。また、実施例2では、キラーパターンを抽出する処理を実行する場合について説明した。このように、継続試験処理とキラーパターンの抽出処理とを独立した処理として説明してきたが、これらの各処理は、一連の処理として実行されて良いものである。
【0098】
そこで、実施例3では、キラーパターンの抽出処理を実行した後、引き続き継続試験処理を実行する場合を説明する。以下では、図1及び図8を用いて、伝送試験装置の構成、伝送試験装置による処理の流れ、効果などについて説明する。
【0099】
[実施例3に係る伝送試験装置の構成]
実施例3に係る伝送試験装置の構成は、実施例1及び実施例2に係る伝送試験装置の構成と同様である。すなわち、キラーパターンを抽出する処理を実行する場合、実施例2に係る伝送試験装置と同様の動作を実行し、継続試験処理を実行する場合、実施例1に係る伝送試験装置と同様の動作を実行する。なお、実施例3に係る伝送試験装置の構成について詳細な説明は省略する。
【0100】
[実施例3に係る伝送試験装置による抽出及び継続試験処理]
図8は、実施例3に係る伝送試験装置による処理の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、キラーパターン転送部132は、データをSerDes回路に転送する(ステップS401)。ここで、キラーパターン転送部132は、任意の配列を含んだデータを記憶するデータパターン保持テーブル111からデータパターンを一つ読み出し、読み出したデータパターンをSerDes回路120に出力する。そして、判定部133は、BER値を取得する(ステップS402)。
【0101】
続いて、判定部133は、取得したBER値に基づいてキラーパターンの抽出処理を実行する(ステップS403)。なお、この処理では、図7に示したステップS305〜311、313、314の各処理が実行され、キラーパターン保持テーブル112が生成される。
【0102】
そして、判定部133は、全転送量を転送したか否かを判定する(ステップS404)。ここで、判定部133により全転送量を転送していないと判定された場合(ステップS404、No)、キラーパターン転送部132は、データをSerDes回路に転送する(ステップS401)。
【0103】
一方、判定部133は、全転送量を転送したと判定した場合(ステップS404、Yes)、データをSerDes回路に転送する(ステップS405)。ここで、キラーパターン転送部132は、キラーパターン保持テーブル112が記憶するデータパターンを降順で一つ読み出し、読み出したデータパターンの「データID」と一致するデータをデータパターン保持テーブル111から取得する。そして、キラーパターン転送部132は、取得したデータをSerDes回路120に出力する。
【0104】
ステップS405が終了後、判定部133は、BER値を取得する(ステップS406)。そして、判定部133は、取得したBER値に基づいてキラーパターンの継続試験処理を実行する(ステップS407)。なお、この処理では、図4に示したステップS105〜111の各処理が実行される。
【0105】
判定部133は、ステップS407の処理が終了後、全転送量を転送したか否かを判定する(ステップS408)。ここで、判定部133は、全転送量を転送したと判定した場合(ステップS408、Yes)、処理を終了する。一方、判定部133は、全転送量を転送していないと判定した場合(ステップS408、No)、ステップS406に移行する。
【0106】
このように、実施例3に係る伝送試験装置では、キラーパターンの抽出処理を実行した後、引き続き継続試験処理を実行することができる。
【実施例4】
【0107】
ところで、本発明は、上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、実施例4では、本発明に含まれる他の実施例について説明する。
【0108】
(システム構成等)
本実施例において説明した各処理のうち自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文章中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0109】
また、図示した記憶部が格納する情報は一例に過ぎず、必ずしも図示のごとく情報が格納される必要はない。例えば、キラーパターン保持テーブル112は、BER値として平均値をさらに対応付けて記憶してもよい。また、監視条件設定テーブル113は、データIDごとに監視条件を対応付けて記憶してもよい。
【0110】
また、各種の負荷や使用状況などに応じて、各実施例において説明した各処理の各ステップでの処理の順番を変更してもよい。例えば、図7に示すステップS313とステップS314との順番を入れ替えても良い。
【0111】
また、図示した各構成部は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のごとく構成されていることを要しない。例えば、伝送試験装置100では、キラーパターン転送部132とデータ変更部135とが統合されてもよい。また、本願の開示する伝送試験装置は、SerDes回路120と制御部130との構成を有していれば、他の形態においても実現可能である。例えば、伝送試験装置は、サーバやパーソナルコンピュータなどの情報処理装置であってもよい。
【0112】
さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0113】
(プログラム)
ところで、上記実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、上記実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータシステムの一例を説明する。
【0114】
図9は、伝送試験プログラムプログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。図9に示すように、コンピュータ300は、利用者からデータや各種設定などを受け付ける入力装置310と、コンピュータの状況などを通知する出力装置320とを有する。また、コンピュータ300は、他の装置とデータを送受信するネットワークインターフェース330と媒体読取装置340とHDD(Hard Disk Drive)350とRAM(Random Access Memory)360とCPU370とバス380とを有する。そして、各装置310〜370それぞれは、バス380に接続される。
【0115】
ここで、図9に示すように、HDD350には、図1に示した、キラーパターン転送部132と判定部133とキラーパターン格納部134とデータ変更部135と同様の機能を発揮する伝送試験プログラム351が予め記憶されている。また、媒体読取装置340は、伝送試験プログラム351を実現するための各種データを記憶する。そして、CPU370は、伝送試験プログラム351をHDD350から読み出して、伝送試験プロセス371として実行する。すなわち、伝送試験プロセス371は、図1に示した、キラーパターン転送部132と判定部133とキラーパターン格納部134とデータ変更部135と同様の動作を実行する。
【0116】
ところで、上記した伝送試験プログラム351は、必ずしもHDD350に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に記憶させておくようにしてもよい。また、コンピュータ300の外に備えられるHDDなどの「固定用の物理媒体」に記憶させておいてもよい。さらに、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを介してコンピュータ300に接続される「他のコンピュータシステム」に記憶させておいてもよい。そして、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0117】
すなわち、このプログラムは、上記した「可搬用の物理媒体」、「固定用の物理媒体」、「通信媒体」などの記録媒体に、コンピュータ読み取り可能に記憶されるものである。そして、コンピュータ300は、このような記録媒体からプログラムを読み出して実行することで上記した実施例と同様の機能を実現する。なお、この他の実施例でいうプログラムは、コンピュータ300によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータシステムまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0118】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0119】
(付記1)伝送路における伝送試験を行う伝送試験装置において、
伝送路において試験データに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定された場合、試験データを変更して送信する送信部と
を有することを特徴とする伝送試験装置。
【0120】
(付記2)前記判定部は、前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定した場合、取得した異常発生率が、前回取得した異常発生率を記憶する前記異常発生率記憶部に記憶される前回取得した異常発生率よりも下回ったか否かを判定し、
前記送信部は、前記判定部により前記取得した異常発生率が前回取得した異常発生率よりも下回っていないと判定された場合、データが所定の転送量送信された後に、試験データを変更して送信する
ことを特徴とする付記1に記載の伝送試験装置。
【0121】
(付記3)伝送路における伝送試験を行う伝送試験装置において、
伝送路においてデータに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を超えたか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記異常発生率が所定の基準値を超えたと判定された場合、前記データを試験データとして選定する選定部と
を有することを特徴とする伝送試験装置。
【0122】
(付記4)選定された前記試験データを送信する送信部を更に有し、
前記判定部は、前記試験データの異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定した場合、試験データを変更して前記送信部に送信させる
ことを特徴とする付記3に記載の伝送試験装置。
【0123】
(付記5)伝送路における伝送試験を行う伝送試験装置が、
伝送路において試験データに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったか否かを判定し、
前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定された場合、試験データを変更して送信する
ことを特徴とする伝送試験方法。
【0124】
(付記6)前記伝送試験装置が、
前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定した場合、取得した異常発生率が、前回取得した異常発生率を記憶する異常発生率記憶部に記憶される前回取得した異常発生率よりも下回ったか否かを判定し、
前記取得した異常発生率が前回取得した異常発生率よりも下回っていないと判定された場合、データが所定の転送量送信された後に、試験データを変更して送信する
ことを特徴とする付記5に記載の伝送試験方法。
【0125】
(付記7)伝送路における伝送試験を行う伝送試験装置が、
伝送路においてデータに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を超えたか否かを判定し、
前記異常発生率が所定の基準値を超えたと判定された場合、前記データを試験データとして、選定する
ことを特徴とする伝送試験方法。
【0126】
(付記8)前記伝送試験装置が、更に
選定された前記試験データを送信し、
前記試験データの異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定した場合、試験データを変更して送信させる
ことを特徴とする付記7に記載の伝送試験方法。
【0127】
(付記9)コンピュータに、
伝送路において試験データに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったか否かを判定し、
前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定された場合、試験データを変更して送信する
処理を実行させることを特徴とする伝送試験プログラム。
【0128】
(付記10)前記コンピュータに、更に
前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定した場合、取得した異常発生率が、前回取得した異常発生率を記憶する異常発生率記憶部に記憶される前回取得した異常発生率よりも下回ったか否かを判定する処理を実行させ、
前記判定する処理は、前記取得した異常発生率が前回取得した異常発生率よりも下回っていないと判定された場合、データが所定の転送量送信された後に、試験データを変更して送信する
処理を実行させることを特徴とする付記9に記載の伝送試験プログラム。
【0129】
(付記11)コンピュータに、
伝送路においてデータに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を超えたか否かを判定し、
前記異常発生率が所定の基準値を超えたと判定された場合、前記データを試験データとして選定する
処理を実行させることを特徴とする伝送試験プログラム。
【0130】
(付記12)前記コンピュータに、更に
選定された前記試験データを送信する処理を実行させ、
前記判定する処理は、前記試験データの異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定した場合、試験データを変更して送信させる
ことを特徴とする付記11に記載の伝送試験プログラム。
【符号の説明】
【0131】
100 伝送試験装置
101 入力部
102 出力部
110 記憶部
111 データパターン保持テーブル
112 キラーパターン保持テーブル
113 監視条件設定テーブル
114 前回BER値保持部
120 SerDes回路
121 スクランブル変換部
122 データ転送部
123 BERレジスタ
124 データ転送量レジスタ
130 制御部
131 入出力制御部
132 キラーパターン転送部
133 判定部
134 キラーパターン格納部
135 データ変更部
150 伝送路
200 情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路における伝送試験を行う伝送試験装置において、
伝送路において試験データに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定された場合、試験データを変更して送信する送信部と
を有することを特徴とする伝送試験装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定した場合、取得した異常発生率が、前回取得した異常発生率を記憶する前記異常発生率記憶部に記憶される前回取得した異常発生率よりも下回ったか否かを判定し、
前記送信部は、前記判定部により前記取得した異常発生率が前回取得した異常発生率よりも下回っていないと判定された場合、データが所定の転送量送信された後に、試験データを変更して送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送試験装置。
【請求項3】
伝送路における伝送試験を行う伝送試験装置において、
伝送路においてデータに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を超えたか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記異常発生率が所定の基準値を超えたと判定された場合、前記データを試験データとして選定する選定部と
を有することを特徴とする伝送試験装置。
【請求項4】
選定された前記試験データを送信する送信部を更に有し、
前記判定部は、前記試験データの異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定した場合、試験データを変更して前記送信部に送信させる
ことを特徴とする請求項3に記載の伝送試験装置。
【請求項5】
伝送路における伝送試験を行う伝送試験装置が、
伝送路において試験データに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったか否かを判定し、
前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定された場合、試験データを変更して送信する
ことを特徴とする伝送試験方法。
【請求項6】
コンピュータに、
伝送路において試験データに生じた異常の割合を示す異常発生率を取得し、該異常発生率が所定の基準値を下回ったか否かを判定し、
前記異常発生率が所定の基準値を下回ったと判定された場合、試験データを変更して送信する
処理を実行させることを特徴とする伝送試験プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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