説明

伸縮ポール

【課題】 電源を必要とする昇降器材を載せた伸縮ポールにおいて、電源供給用のコードを途中までにして昇降をさせなくてもよいようにする。
【解決手段】 起立させた固定シリンダの中に昇降シリンダを昇降可能に収納するとともに、昇降シリンダの上端にサーボモータで回転と俯仰を行う昇降器材を搭載した伸縮ポールにおいて、昇降シリンダにバッテリーを搭載するとともに、バッテリーに昇降器材を載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ、カメラ、ライト等(以下、昇降器材)を昇降させる伸縮ポールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の昇降器材は高い所で使用するものが多く、使用するときには伸縮ポールで高い位置に持ち上げている。一方、使用しないときには安全のために下降させておく。このため、本出願人は、下記特許文献1及び2に示す多段油圧シリンダによるものを提案している。この場合、上記した昇降器材では、(水平)回転と俯仰をして全方位に向く必要があるものが多く、昇降器材をこの傍に取り付けた電動モータで駆動している。また、昇降器材自体も電源を必要とするものが多い。
【0003】
このような構成によると、昇降器材と地上とに亘って電力を供給する導線(コード)が必要になることから、電源から延び出るコードをシリンダに巻き付けたり或いは直接垂らしたりしている。しかし、シリンダは伸縮するため、コードがシリンダに噛み込んだり、場合によっては切断したりすることもある。また、コードの存在はデザイン上も好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−117103号公報
【特許文献2】特開平07−237893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、昇降器材の電源をバッテリーで代替することで煩わしいコードを廃する、所謂、コードレスにするとともに、昇降器材を使用しないときにバッテリーに自動的に充電できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、起立させた固定シリンダの中に昇降シリンダを昇降可能に収納するとともに、昇降シリンダの上端に電動モータで回転と俯仰を行う昇降器材を搭載した伸縮ポールにおいて、昇降シリンダにバッテリーを搭載するとともに、バッテリーに昇降器材を載置したことを特徴とする伸縮ポールを提供するとともに、これにおいて、請求項2に記載した、昇降シリンダが油圧力による多段で構成される手段を提供する。
【0007】
また、本発明は、以上の伸縮ポールにおいて、請求項3に記載した、昇降シリンダにピンを下方に向けて突出するとともに、固定シリンダに昇降シリンダが下降するとピンを収受する受けスリーブを設けた手段、請求項4に記載した、固定シリンダに充電器に接続された第1プラグを取り付けるとともに、昇降シリンダに下降したときに第1プラグに接触する第2プラグを取り付けた手段、請求項5に記載した、第1プラグをボックスに収容するとともに、ボックスに第2プラグの下降による接触で第1プラグの上方を開放する蓋を取り付けた手段、請求項6に記載した、充電器が太陽電池による手段を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によると、昇降器材の電源はバッテリーによるものであるから、地上との間でコードを延ばす必要がなく、所謂、コードレストとなる。請求項2の手段によると、伸縮代を大きくとれるし、請求項3の手段によると、昇降器材が下降したときの姿勢の安定に寄与する。請求項4の手段によると、昇降器材を使用しないとき、つまり、伸縮ポールを下降させたときにバッテリーを自動的に充電できる。請求項5の手段によると、昇降器材が上昇したときに雨等が第2プラグにかかるのを防ぐことができる。請求項6の手段によると、省エネになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】伸縮ポールの縮短図における一部断面側面図である。
【図2】伸縮ポールの伸長時における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は伸縮ポールの縮短図における一部断面側面図、図2は伸長時の側面図であるが、この伸縮ポールは多段の油圧シリンダからなるもので、本例では、起立させた固定シリンダ1と、固定シリンダ1の中に収容される中間シリンダ2と、中間シリンダ2の中に収容される昇降シリンダ3の3段構成になっている。これら各シリンダ1〜3は油圧シリンダであり、それぞれが内筒1a〜3aと外筒1b〜3bの二重シリンダになっており、上方のシリンダはそれぞれ下方のシリンダの内筒と外筒との間に摺動可能に収容されている。
【0011】
この構成によると、各シリンダ1〜3の内筒1a〜3aの内部は連続した閉空間4となるから、固定シリンダ1を受けるベース5等に閉空間4に連通する圧油ポート6を設けておき、ここから圧油を給排することで各シリンダ1〜3は昇降する。すなわち、圧油ポート6から圧油を供給すると、容積の関係で昇降シリンダ3、中間シリンダ2の順で上昇し、排出すると、自重によってこの逆の順で下降する。なお、伸縮代を大きくとるために中間シリンダ2は2段以上で構成されることもあり、その場合でも、構造や作動は変わらない。さらに、多段の油圧シリンダは一例であって、空圧によるものでもよいし、スクリュー等の機械式のものであってもよく、要は、固定するベースとこれに対して昇降する昇降要素があるものであればよい。
【0012】
本発明では、昇降シリンダ3の上端にバッテリー7を収容したバッテリーケース8を搭載し、バッテリーケース8から上方に向けて固定軸9を突出させるとともに、この固定軸9に水平回転用の第1電動モータ10を取り付け、第1電動モータ10に鉛直回転用の第2電動モータ11を取り付けたものである。固定軸9は各シリンダ1〜3がキー等で回り止めを施されている関係で回転しないから、第1電動モータ10は自身が水平面内で回転し、第2電動モータ11は第1電動モータ10の位相位置で鉛直面内で回転する。
【0013】
第2電動モータ11の出力軸12にはアーチ形をしたターンテーブル13が取り付けられており、ターンテーブル13の上には昇降器材(本例ではカメラ)14が設置されている。したがって、カメラ14は水平回転と俯仰ができることになり、全方位を撮影することができる。なお、各電動モータ10、11の電力はバッテリー7を電源としてそのケース8に付設される制御盤15から配電され、回転角度等は地上からの指令によって設定される。なお、バッテリー7、第1及び第2電動モータ10、11並びに昇降器材14は制御盤15とそれぞれ固定的に配線されている。
【0014】
ところで、カメラ14が作動すると、バッテリー7が消耗し、充電する必要がある。この充電はカメラ14が下降したときに適宜行ってもよいのであるが、本発明では、昇降シリンダ3が下降したときには、バッテリー7が自動的に充電されるようにしている。具体的には、固定シリンダ1の上部にブラケット16を取り付け、これに充電器(後述するように太陽電池等がある)17から接続される二本の第1プラグ18(18aはこれを上方に付勢するバネ)を取り付けるとともに、制御盤15の中にバッテリー7に連結して昇降シリンダ3が下降したときに第1プラグ18と接触可能な同じく二本の第2プラグ19を設けておく。
【0015】
なお、第1プラグ18はボックス20に収容しておき、ボックス20の上面にはヒンジ21を中心に回動して開閉する蓋22を取り付けておく。この他、バッテリーケース8の下面には下方に向くピン23を取り付けるとともに、ブラケット15には昇降シリンダ3が下降したときにピン23を収受する受けスリーブ24も設けておく。
【0016】
次に、以上の構成からなる伸縮ポールの動きについて説明する。カメラ14を作動させるときには、昇降シリンダ3を上昇させるが、このとき、カメラ14の水平動きや俯仰動きは第1及び第2電動モータ10、11を駆動して行う。そして、これらの駆動は昇降シリンダ3に搭載したバッテリー7を電源とする。カメラ14の作動を止めるときには、昇降シリンダ3を下降させるが、昇降シリンダ3が正規の位置まで下降すると、ピン23は受けスリーブ24に入り込み、位置決めされるとともに、揺れ等が防止される。ピン23の挿入を確実にするために、その先端は先細のテーパにしておくのが適する。
【0017】
同時に、第1及び第2プラグ18、19が接触し、充電器17の電力がバッテリー7に充電される(ピン23と受けスリーブ24の構成はこれを確実なものとする)。このとき、制御盤15は第2プラグ19のボックス20を覆うまで下降するが、このとき、制御盤15の内面には下降するほど内方に出っ張るカム25が取り付けてある。また、ボックス20の蓋22にはヒンジ21より外方に張り出す尾部22aが形成されおり、カメラ14が下降するときにはカム25が尾部22aに当たってこれを押し下げ、蓋22がボックス20の上方を開放するようになっている(両プラグ18、19を接触させるため)。
【0018】
これにより、カメラ14が上昇したときに雨等が第2プラグ19にかかるのを防止できる。この点で、蓋22はバネ等(図示省略)で閉塞側に付勢しておき、カム25が離れると自動的に蓋をするようにしておく。以上により、バッテリー7に充電するためのコードはブラケット15まで延ばしておけばよいことになり、巻き付いたりする事故がなくなるとともに、外観上も優れたものになる。なお、充電器17については太陽電池17を使用すれば省エネになるが、十分に機能しいことも考慮して家庭用電源からコンセント26で取り込む併用型にしておくのが好ましい。
【符号の説明】
【0019】
1 固定シリンダ
1a 〃 の内筒
1b 〃 の外筒
2 中間シリンダ
2a 〃 の内筒
2b 〃 の外筒
3 昇降シリンダ
3a 〃 の内筒
3b 〃 の外筒
4 閉空間
5 ベース
6 圧油ポート
7 バッテリー
8 バッテリーケース
9 固定軸
10 第1電動モータ
11 第2電動モータ
12 〃 の出力軸
13 ターンテーブル。
14 昇降器材
15 制御盤
16 ブラケット
17 充電器
18 第1プラグ
18a 〃 の付勢バネ
19 第2プラグ
20 ボックス
21 ヒンジ
22 蓋
22a 蓋の尾部
23 ピン
24 受けスリーブ
25 カム
26 コンセント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立させた固定シリンダの中に昇降シリンダを昇降可能に収納するとともに、昇降シリンダの上端に電動モータで回転と俯仰を行う昇降器材を搭載した伸縮ポールにおいて、昇降シリンダにバッテリーを搭載するとともに、バッテリーに昇降器材を載置したことを特徴とする伸縮ポール。
【請求項2】
昇降シリンダが油圧力による多段で構成される請求項1の伸縮ポール。
【請求項3】
昇降シリンダにピンを下方に向けて突出するとともに、固定シリンダに昇降シリンダが下降するとピンを収受する受けスリーブを設けた請求項1又は2の伸縮ポール。
【請求項4】
固定シリンダに充電器に接続された第1プラグを取り付けるとともに、昇降シリンダに下降したときに第1プラグに接触する第2プラグを取り付けた請求項1〜3いずれかの伸縮ポール。
【請求項5】
第1プラグをボックスに収容するとともに、ボックスに第2プラグの下降による接触で第1プラグの上方を開放する蓋を取り付けた請求項4の伸縮ポール。
【請求項6】
充電器が太陽電池によるものである請求項1〜5いずれかの伸縮ポール。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−107226(P2011−107226A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259447(P2009−259447)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(394005720)ユアサ工機株式会社 (5)
【Fターム(参考)】