説明

伸縮性のあるウェブ材からウェブ部を製造するための方法、および、包装容器の製造方法

【課題】伸縮性のあるウェブ材からウェブ部を製造するための方法を提供する。
【解決手段】本発明のウェブ材(1、11)には、形成されるべきウェブ部(2、12)の長さ(L)の間隔をおいて、切り離し線(3a、3b;13)が設けられており、上記切り離し線は、上記ウェブ材の強度を低減させながらも、上記ウェブ材からウェブ部を完全には分離させず、上記ウェブ部は、切り離すことにより上記ウェブ材から上記切り離し線に沿って分離される。上記ウェブ材(1、11)は、伸張された合成樹脂の小さな帯からなる布地を備えており、上記切り離し線(3a、3b;13)はレーザービーム処理によって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性のあるウェブ材からウェブ部を製造するための工程に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明において、ウェブ材には、形成されるべきウェブ部の長さの間隔をおいて、切り離し線が設けられている。この切り離し線は、ウェブ材の強度を低減させながらも、ウェブ材からウェブ部を完全には分離させず、ウェブ部は、切り離すことによって切り離し線に沿ってウェブ材から分離される。
【0003】
さらに、本発明は、本発明に従って製造されるウェブ部を用いた包装容器の製造工程にも関連する。本発明の重要な特徴は、サイドガセット容器の製造、特に、サイドガセット袋の製造に関する。
【0004】
紙を原料とするサイドガセット包装の製造は、以前から知られている。実際には、当該包装は、下記の工程に従って製造される。すなわち、
・紙製の平らなウェブに対し、後出の管状部の長さの間隔をおいて、直線または段付きのミシン目の線を設ける。
・平らなウェブを管状に形成し、長手方向に貼り合わせる。
・続いて、ミシン目の線に沿って裂くことにより、管状部を分離する。
・切り離された管状部の端部を底部へと形成し、貼り合わせる。
【0005】
「ピンチ底包装」は、例えば米国特許第4008850号明細書に記載されており、当該文献において、合成樹脂被覆された紙をウェブ材に使用すること、および、合成樹脂被覆面の貼り合わせについて記載されている。
【0006】
欧州特許第664208号明細書には、個々の紙の層が互い違いに配置された管状部を備える多層紙袋を製造するための装置が記載されている。様々な形状の紙袋の製造を可能にするため、使用される「管製作機」は、個々の紙の層における横方向ミシン目間の距離を変更することができ、上記距離は、管状部の長さを決める。横方向に延びる横方向接着テープ間の距離についても適宜調節可能である。袋の製造のために管状部が切り離される多層管を、等間隔に横方向ミシン目が設けられている紙ウェブから製造するための周知の装置は、機械の骨組み内に支持されるとともに回転軸に固定されている穴あけ用の刃を備えている。上記穴あけ用の刃は、横方向ミシン目を紙のウェブに形成する。穴あけ用の刃から上記軸までの半径距離は、形状の調整のために変更可能である。さらに、横方向接着帯を備え、接着用途の装置と協働する横方向接着シリンダが、機械の骨組み内に支持されている。案内ロールによって紙のウェブの端部を折り返して管を形成する前に、長手方向の接着ロールを用いて、紙のウェブの重なり合っている上記端部に接着コートが施される。穴あけ用の刃を任意に取り付け可能な、穴あけ用の刃のための4つの支持部は、等しい角距離をおいて回転軸上に配置されている。上記穴あけ刃は、刃から軸までの半径距離を調節するための手段を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4008850号明細書
【特許文献2】欧州特許第664208号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開4122273号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
紙は容易に切断することができるので、紙袋上にミシン目線を設けるのはさほど困難ではない。しかし、対照的に、合成繊維布またはその複合材からサイドガセット包装を製造するとき、上記ミシン目線を設置することは非常に困難である。なぜなら、小さな帯が互いの表面上に重なり合っている合成繊維布の場合、切断が難しいからである。これまでのところ、例えば、融通の利かない、磨耗し易い高価な穴あけ機が必要となる。伸張された合成樹脂の小さな帯からなる布地は、たとえ、合成樹脂の小さな帯、布地または他の物質からなる布地との複合材の被覆を含む少なくとも一つの付加材層に連結されている場合であっても、上記の問題の影響を受ける。多くの場合、布地およびそれらの複合材は、管状のウェブとして製造される。そのような管状のウェブ上に、直接、オフセットのミシン目を設置し得るような手段もまた求められている。
【0009】
本発明は、伸張された合成樹脂の小さな帯からなる伸縮性のあるウェブ材からウェブ部を製造するための上述の方法をさらに発展させることによって、すなわち、レーザービーム処理を用いて切り離し線を生成することによって、従来技術における上記問題点を解決する。ウェブ材の厚さは、布地中における、少なくとも部分的に互いの表面上に乗っている小さな帯の配置によって変化するにもかかわらず、レーザービームを用いることにより、合成樹脂の小さな帯の布地を切断すること、穴あけすること、または既定の深さまで抉ることができる。さらなる利点は、レーザーは、メンテナンスが少なくてすみ、ほとんど磨耗しないことにある。好ましくは、PP、PE、またはPETからなる単層または多層の合成樹脂の小さな帯から布地が製造される。多くの場合、上記合成樹脂の小さな帯は、その強度を高めるために、織られる前に伸張される。
【0010】
従来技術とは対照的に、本発明に係る方法により、切り離し線をミシン目線として、または、弱化線として、または、切り離し線と弱化線との組み合せとして設計することができ、処理されるウェブ材からの取り外しを正確に調整することができる。
【0011】
独国特許出願公開4122273号明細書は、連続的に運動しているウェブまたは平らな材料からなる帯のレーザー切断について開示している。したがって、レーザーにより、ウェブまたは平らな材料内に連続した、または、ミシン目状の横方向の(部分的な)切り込みが施される。弱化線の配置については記載されていない。切り離すことによりウェブ材からウェブ部を分離することについても記載されていない。さらに、上記文献には、ウェブまたは平らな材料に関する材質についても記載されていない。図面からは、ウェブ材が単層であることがわかるだけである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の方法は、伸縮性のあるウェブ材(1、11)からウェブ部(2、12)を製造するための方法であって、上記ウェブ材には、形成されるべき上記ウェブ部の長さ(L)の間隔をおいて、切り離し線(3a、3b;13)が設けられており、上記切り離し線は、上記ウェブ材の強度を低減させながらも、上記ウェブ部を上記ウェブ材から完全には分離させず、上記ウェブ部は、切り離すことにより上記切り離し線に沿って上記ウェブ材から分離される、方法において、上記ウェブ材(1、11)は、伸張された合成樹脂の小さな帯からなる織られた布地であり、上記切り離し線(3a、3b;13)は、レーザービーム処理によって形成され、レーザービーム(6)は、スキャナユニット(5)によって、予め定められた上記切り離し線(3a、3b;13)の輪郭に沿って導かれ、上記レーザービーム(6)のレーザーエネルギーは、上記ウェブ材(1、11)への所望する浸入深さに応じて変更され、上記ウェブ材が、平らなウェブ材(11)であり、上記平らなウェブ材(11)が、伸張された合成樹脂の小さな帯の織られた布地(9)と、フィルム(10)とからなる複合材であり、レーザービーム(6)が、上記複合材の上記フィルム側に当たり、上記織られた布地(9)の大部分を切断するが、残るフィルム(10)に対しては、数箇所にのみ、好適には上記ウェブの方向に沿って並んだ位置に穴あけすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の方法は、伸縮性のあるウェブ材(1、11)からウェブ部(2、12)を製造するための方法であって、上記ウェブ材には、形成されるべき上記ウェブ部の長さ(L)の間隔をおいて、切り離し線(3a、3b;13)が設けられており、上記切り離し線は、上記ウェブ材の強度を低減させながらも、上記ウェブ部を上記ウェブ材から完全には分離させず、上記ウェブ部は、切り離すことにより上記切り離し線に沿って上記ウェブ材から分離される、方法において、上記ウェブ材(1、11)は、伸張された合成樹脂の小さな帯からなる織られた布地であり、上記切り離し線(3a、3b;13)は、レーザービーム処理によって形成され、レーザービーム(6)は、スキャナユニット(5)によって、予め定められた上記切り離し線(3a、3b;13)の輪郭に沿って導かれ、上記レーザービーム(6)のレーザーエネルギーは、上記ウェブ材(1、11)への所望する浸入深さに応じて変更され、上記ウェブ材が、管状のウェブ材(1)であり、上記管状のウェブ(1)が、伸張された合成樹脂の小さな帯の織られた布地(9)と、フィルム(10)とからなる複合材であり、レーザービーム(6)が、上記複合材の上記フィルム側に当たり、上記ウェブを、いくつかの部分において完全に切断することを特徴とする。
【0014】
また、両側の外面の上記ウェブ材(1)が、レーザービーム処理に供されていてもよい。
【0015】
また、上記ウェブがいくつかの部分において切断された際に残存したリブ部が、弱化されていてもよい。
【0016】
また、上記ウェブ材(1、11)が長手方向(A)に移動しているときに、上記レーザービーム(6)は、上記ウェブ材の上記長手方向の移動を相殺するように、予め定められた上記切り離し線(3a、3b;13)の輪郭に沿って導かれており、上記レーザーエネルギーは、レーザー光源と上記ウェブ材上の照射点との間の各距離に合わせて適宜調節されてもよい。
【0017】
また、レーザー光源(4)の出力が、上記ウェブ材に対する上記レーザービーム(6)の相対速度に応じて変更されるか、または、所望の浸入深さを実現するために、上記レーザービーム(6)の相対速度が上記ウェブ材に対して調節されてもよい。
【0018】
また、上記伸張された合成樹脂の小さな帯からなる織られた布地が、少なくとも1つの付加材層に連結されていてもよい。
【0019】
また、上記付加材層が、上記織られた布地に結合された合成樹脂層、特に、OPPフィルムであってもよい。
【0020】
また、上記付加材層が、上記織られた布地の、上記合成樹脂の小さな帯に被覆された合成樹脂の被覆であってもよい。
【0021】
また、上記ウェブ材(1、11)が、任意に被覆される、合成樹脂の小さな帯からなる織られた布地、ならびに、合成樹脂フィルム、金属フィルム、金属化合成樹脂フィルム、不織布、固定接着層、および/または、紙から選択される少なくとも1つのさらなる複合材成分からなる複合材であってもよい。
【0022】
また、上記切り離し線(3a、3b;13)が、ミシン目線(3a―1)、弱化線(3a―2)、または、上記ミシン目線と上記弱化線との組み合せ(3a―3)として設計されてもよい。
【0023】
また、上記切り離し線(3a、3b;13)が段付き線であってもよい。
【0024】
また、上記切り離し線(3a、3b;13)の輪郭の上記ウェブの方向に沿って延びる部分が、完全に切断されていてもよい。
【0025】
また、本発明の包装容器の製造方法は、上記方法に従い、伸縮性のあるウェブ材(1、11)からウェブ部を製造する工程と、上記ウェブ材から上記ウェブ部(2、12)を切り離す工程と、上記ウェブ部における少なくとも1つの端部を、少なくとも1回、上記ウェブ部本体に折り重ねる工程と、接着または溶接により、折り重ねられた上記端部を上記ウェブ部本体に固定する工程とを備えていてもよい。
【0026】
また、平らなウェブ材(11)を用いる場合、上記ウェブ部(12)が切り離される前に、長手方向の縁が重ね合わされ、続いて、特に接着または溶接によって、当該縁が互いに結合されるように、上記ウェブ部は、長手方向へ沿って管状に形成されてもよい。
【0027】
また、上記ウェブ部が上記ウェブ材から切り離される前に、少なくとも1つの長手方向の折り畳み部(8)が上記ウェブ部内に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に従って配置された切り離し線が設けられた管状のウェブ材を示す斜視図である。
【図2】本発明に従って処理された管状のウェブ材の上面図である。
【図3】本発明に従って設置された切り離し線が設けられた平らなウェブ材の上面図である。
【図4】本発明に係るウェブ材内に製造される切り離し線の斜視図である。
【図5】本発明に係るウェブ材内に製造される切り離し線の斜視図である。
【図6】本発明に係るウェブ材内に製造される切り離し線の斜視図である。
【図7】合成樹脂の小さな帯の布地およびフィルムからなる複合材によって構成された平らなウェブについて、図6に示されたような抉および穴あけの組み合せの応用を示す。
【図8】合成樹脂の小さな帯の布地およびフィルムからなる複合材によって構成された管状のウェブについて、図4に示されたような抉の応用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、レーザーの切断能力を多種の材料の組み合せに調節することが可能なので、少なくとも1つの付加材層に接続された、合成樹脂の小さな帯の布地を備えるウェブ材に好適に用いることができる。
【0030】
少なくとも1つの付加材層を備える合成樹脂の小さな帯の布地の一実施形態において、付加材層は、上記布地に接続された、OPPフィルムなどの合成樹脂層である。さらなる実施形態において、付加材層は、布地の合成樹脂の小さな帯に貼付される合成樹脂材料からなる被覆である。さらなる他の実施形態において、ウェブ材は、任意の被覆され得る、合成樹脂の小さな帯の布地、ならびに、合成樹脂フィルム、金属フィルム、金属化合成樹脂フィルム、不織布、固定接着層、および/または紙から選択される少なくとも1つのさらなる複合材成分からなる複合材である。好適な材料は、PP、PE、または、PETからなる単層または多層の合成樹脂の小さな帯を含んでおり、これらの合成樹脂の小さな帯から製造された布地は、PP、PEまたは固定接着層からなる単層、あるいは、多層の被覆が施されていてもよい。また、上記複合材のそれぞれの外層が、それぞれ表面印刷または逆印刷が施されていてもよい。
【0031】
本発明の具体的な利点は、管状のウェブ材に利用できることにもある。互いの表面上に重なる管状体の2つの層に対し、異なる位置に穴あけができるようにするため、両側の外面のウェブ材がレーザービーム処理を受けるように構成されている。
【0032】
当然のことながら、本発明は平らなウェブ材に利用することもできる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、スキャナユニットによって予め定められた切り離し線に沿ってレーザービームを導く。管状のウェブ材の場合、管状のウェブの上面側および底面側にレーザー光源およびスキャナユニットが配置されていてもよい。スキャナを用いてレーザービームを偏向させることにより、ウェブ材がレーザー下において移動している状態で、ほぼあらゆる所望の切り離し線の輪郭に沿ってレーザービームを移動させることが可能となる。上記輪郭は、ソフトウエア制御方法により、極めて容易に包装の大きさに調節することができる。
【0034】
レーザービームのウェブ材に対する様々な侵入深さ、または、浸透度を実現するために、本発明の一実施形態において、レーザービームが予め定められた切り離し線に沿って導かれているときに、ウェブ材への所望の侵入深さに応じてレーザーエネルギー(厳密には、ウェブ材上の照射点におけるエネルギー密度)が変更される。
【0035】
本発明は、ウェブ材の長手方向の移動が相殺されるようにレーザービームを導くことにより、ウェブ材が連続的に動かされているときに、切り離し線を製造することを可能にする。照射点に常に所望のレーザーエネルギーを供給するために、レーザー光源とウェブ材上の照射点との間の各距離に合わせてレーザーエネルギーを適宜調節してもよい。レーザー光源とウェブ材との間の距離に合わせてレーザーの出力を調節することにより、拡張ビームの照射点におけるエネルギー密度を一定に保つことができる。
【0036】
レーザービームのウェブ材に対する侵入深さを制御するために、ウェブ材に対するレーザービームの相対速度に応じてレーザー光源の出力が調節されてもよく、または、ウェブ材に対するレーザービームの相対速度が調節されてもよい。したがって、レーザービームによってウェブ材の中に導入されるエネルギーは、切り離し線の長さの単位毎に決定される。
【0037】
さらに、本発明を用いれば、何ら問題なく、レーザービームにより段付きの切り離し線を生成し得るため、段付きのウェブ端部を必要とするあらゆる所望のウェブ部を生成することができる。
【0038】
本発明に係る、伸縮性のあるウェブ材からウェブ部を生成するための方法は、包装容器の製造方法、特に、サイドガセット包装の製造方法での使用に非常に好適であり、本方法では、レーザーによってウェブ材内に切り離し線が生成された後、ウェブ材からウェブ部が切り離される。底面および上面それぞれを製造するために、ウェブ部における少なくとも1つの端部をウェブ部本体に折り重ね、折り重ねられた端部を接着または溶接によってウェブ部本体に固定する。折り重ねは、1回または繰り返し行うことができる。
【0039】
平らなウェブ材を使用する場合、ウェブ部を切り離す前に、ウェブ部は、長手方向の縁が重ね合わされるように、長手方向に沿って管状に形成される。この縁は、続いて、長手方向の閉じ目を生成するように、特に接着または溶接によって、互いに結合される。
【0040】
サイドガセット包装、特にサイドガセット袋を生成するために、好適にはウェブ部がウェブ材から切り離される前に、ウェブ部内に少なくとも1つの長手方向の折畳みを形成する。
【0041】
図面を参照して、例示的な実施形態について、本発明を非限定的に詳述する。図面において、
図1は、本発明に従って配置された切り離し線が設けられた管状のウェブ材を示す斜視図である;
図2は、本発明に従って処理された管状のウェブ材の上面図である;
図3は、本発明に従って設置された切り離し線が設けられた平らなウェブ材の上面図である;
図4〜図6は、本発明に係るウェブ材内に製造される切り離し線の斜視図である;
図7は、合成樹脂の小さな帯の布地およびフィルムからなる複合材によって構成された平らなウェブについて、図6に示されたような抉および穴あけの組み合せの応用を示す;
図8は、合成樹脂の小さな帯の布地およびフィルムからなる複合材によって構成された管状のウェブについて、図4に示されたような抉の応用を示す。
【0042】
まず、図1を参照しながら、伸縮性のあるウェブ材1からウェブ部2を製造するための、本発明に係る方法を説明する。ロール対(図示せず)などの従来の搬送手段を用いて、伸縮性のあるウェブ材を穴あけ用ステーションまで長手方向(矢印A)に搬送する。例示の実施形態において、ウェブ材1は管状であり、上面(1a)および下面(1b)の材料ウェブが互いの表面に重なるように、平らに折り畳まれる。ウェブ材1は、好適には、織り込む前に予め適切に伸張されている、PP、PE、またはPETからなる合成樹脂の小さな帯の布地を備えている。合成樹脂の小さな帯は、単層または多層に設計され得る。布地は、少なくとも1つの付加材層に連結され得る。一つの変形例において、付加材層は、特に、PP、PE、もしくは、OPPフィルムからなる単層もしくは多層の合成樹脂層であるか、または、固定接着層を備える。さらなる変形例において、付加材層は、布地の合成樹脂の小さな帯に被覆される合成樹脂材料の単層または多層の被覆である。さらなる他の変形例において、ウェブ材は、任意の被覆され得る、合成樹脂の小さな帯の布地、ならびに、合成樹脂フィルム、金属フィルム、金属化合成樹脂フィルム、不織布、固定接着層、および/または紙から選択される少なくとも1つのさらなる複合材成分からなる複合材である。
【0043】
ウェブ材1が搬送される穴あけ用ステーションは、2つのレーザー切断装置7を備える。各レーザー切断装置7が、レーザービーム6を生成するレーザー光源4と、レーザービーム6を偏向させるスキャナ5とを備える。第一レーザー切断装置7は、管状のウェブ材1の上方に配置されており、上方のウェブ材1aの外面にそのレーザービームが照射される。第二レーザー切断装置7は、管状のウェブ材1の下方に配置されており、下方のウェブ材1bの外面にそのレーザービームが照射される。2つのレーザー切断装置7は、ウェブ材1に、形成されるべきウェブ部2の長さL(図2を参照)の間隔をおいて切り離し線3a、3bを設ける機能を有する。切り離し線3a、3bは、確かにウェブ材1の強度を低減させながらも、ウェブ材1からウェブ部2を完全に分離させない。ウェブ材1およびウェブ部2内で製造される切り離し線3a、3bは、図2の上面図に示されている。
【0044】
2つのレーザー切断部7は互いに単独で動作し、各レーザービーム6のエネルギーは、他のウェブ材1bまたは1aを破損せずに、切断部7に連結された材料ウェブ1aまたは1bの中にのみ切り離し線3a、3bを設けるように調節される。レーザービーム6を用いて、ミシン目線3a−1(図4参照)、または、弱化線3a−2(図5参照)、または、ミシン目線と弱化線との組み合せ3a−3(図6参照)、のように切り離し線を成形する。
【0045】
切り離し線3a、3bを形成した後で、ウェブ材1からウェブ部2を切り離し、さらに公知の方法によって処理を行う。
【0046】
切り離し線3a、3bは最も多種の輪郭をとり得るものであり、特に、それらは複数回、段付けをされ得る。レーザービーム6は、ソフトウエアにより予め定められた切り離し線の輪郭に沿って、スキャナ5によって導かれる。これによって、上記輪郭を容易に変更することができるので、本発明に係る工程の多様性が高まる。本発明を用いれば、上記ビームが予め定められた切り離し線に沿って導かれるときに、例えば、ミシン目線および弱化線の組み合せを生成するため、または、レーザー光源4と、材料ウェブ1a、1b上のレーザービーム6の照射点との間の距離が変わってもレーザービームのエネルギーが一定であるように保つために、特に、レーザービームのエネルギーを制御および変更することができる。レーザーエネルギーを制御することにより、変化する材料特性(厚さ、混合材の配合など)を有する材料ウェブに穴あけすることも可能である。
【0047】
本発明のさらなる利点は、レーザービーム6によって切り離し線3a、3bが加工されている間、さらに、ウェブ材1を連続的に方向Aに沿って移動させることができることにある。この場合において、レーザービーム6は、ウェブ材1の長手方向の運動(A)を相殺するように、ウェブ材の移動に沿って導かれる。適宜、レーザー光源6とウェブ材1上のレーザービーム6の照射点との間の各距離に合わせてレーザーエネルギーを調節してもよい。
【0048】
長さの単位毎に導入されるエネルギー、および、その侵入深さは、レーザー光源4の出力、および、ウェブ1に対するレーザービーム6の相対速度によって決定される。
【0049】
また、管状ウェブ材1内ではなく、平らなウェブ材11内にウェブ部12を生成するために、本発明に係るレーザー切断を用いて、図3の上面図に示すように、切り離し線13を形成することもできる。平らなウェブ材11に対して必要なレーザー切断装置7は1つのみである。なお、管状のウェブ材1の場合でも、切り離し線3a、3bの輪郭によっては、1つのレーザー切断装置7のみで処理し得ることに留意されたい。
【0050】
レーザー切断により、伸縮性のあるウェブ材1、11からウェブ部2、12を生成するための本発明に係る方法を用いれば、まず、切り離し線3a、3b、13を生成することによりウェブ部2、12を生成し、続いて、ウェブ材1、11からウェブ部2、12を切り離し、さらに、ウェブ部2、12の少なくとも1つの端部を自身に、および、ウェブ部本体に、それぞれ1回以上折り重ね、接着または溶接により、折り重ねられた端部をウェブ部本体に固定することにより、包装容器を製造することができる。平らなウェブ材11が使用される場合、ウェブ部12は、切り離される前に、長手方向に沿って、長手方向の縁が重ねられた管の形に形成される。上記縁は、特に接着または溶接によって、互いに結合される。
【0051】
さらに、生成された管状材において、好適にはウェブ部2、12がウェブ材1、11から切り離される前に、ウェブ部2、12内に少なくとも1つの長手方向の折畳み部8が形成される。そして、サイドガセット包装、特にサイドガセット袋が生成される。
【0052】
図7は、図6に示された方法(弱化部とミシン目部)の利用について示しており、合成樹脂の小さな帯9の布地と、合成樹脂フィルム、特に、OPPフィルム、金属フィルム、または、金属化合成樹脂フィルムなどのフィルム10とによって構成された複合材からなる平らなウェブを示す。従って、レーザービームが、(後に包装の内側を形成する)布地側に当たり、布地9の大半を切り開く。ただし、このレーザービームは、残ったフィルム10の数箇所(好ましくはウェブ方向に沿って延びる箇所)に穴あけを行う。その結果、ウェブがミシン目線において正確に切り離される。
【0053】
図8は、図4に示されたミシン目の利用を示しており、合成樹脂の小さな帯9の布地とフィルム10とからなる複合材によって構成された管状のウェブを示す。したがって、レーザービームが(後に、製造される包装の外側となる)フィルム側に当たり、部分的に、ウェブを完全に切り開く。残りのリブ部は狭くなければならず、当該リブ部は、管状部分が正確に分離できるように、図6に示すように強度を低減されて(抉られて)いてもよい。ウェブ方向に沿って延びる位置は、いかなる場合も完全に切断されねばならず、かつ、リブ部を備えてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性のあるウェブ材(1、11)からウェブ部(2、12)を製造するための方法であって、
上記ウェブ材には、形成されるべき上記ウェブ部の長さ(L)の間隔をおいて、切り離し線(3a、3b;13)が設けられており、
上記切り離し線は、上記ウェブ材の強度を低減させながらも、上記ウェブ部を上記ウェブ材から完全には分離させず、
上記ウェブ部は、切り離すことにより上記切り離し線に沿って上記ウェブ材から分離される、方法において、
上記ウェブ材(1、11)は、伸張された合成樹脂の小さな帯からなる織られた布地であり、
上記切り離し線(3a、3b;13)は、レーザービーム処理によって形成され、
レーザービーム(6)は、スキャナユニット(5)によって、予め定められた上記切り離し線(3a、3b;13)の輪郭に沿って導かれ、
上記レーザービーム(6)のレーザーエネルギーは、上記ウェブ材(1、11)への所望する浸入深さに応じて変更され、
上記ウェブ材が、平らなウェブ材(11)であり、
上記平らなウェブ材(11)が、伸張された合成樹脂の小さな帯の織られた布地(9)と、フィルム(10)とからなる複合材であり、レーザービーム(6)が、上記複合材の上記フィルム側に当たり、上記織られた布地(9)の大部分を切断するが、残るフィルム(10)に対しては、数箇所にのみ、好適には上記ウェブの方向に沿って並んだ位置に穴あけすることを特徴とする方法。
【請求項2】
伸縮性のあるウェブ材(1、11)からウェブ部(2、12)を製造するための方法であって、
上記ウェブ材には、形成されるべき上記ウェブ部の長さ(L)の間隔をおいて、切り離し線(3a、3b;13)が設けられており、
上記切り離し線は、上記ウェブ材の強度を低減させながらも、上記ウェブ部を上記ウェブ材から完全には分離させず、
上記ウェブ部は、切り離すことにより上記切り離し線に沿って上記ウェブ材から分離される、方法において、
上記ウェブ材(1、11)は、伸張された合成樹脂の小さな帯からなる織られた布地であり、
上記切り離し線(3a、3b;13)は、レーザービーム処理によって形成され、
レーザービーム(6)は、スキャナユニット(5)によって、予め定められた上記切り離し線(3a、3b;13)の輪郭に沿って導かれ、
上記レーザービーム(6)のレーザーエネルギーは、上記ウェブ材(1、11)への所望する浸入深さに応じて変更され、
上記ウェブ材が、管状のウェブ材(1)であり、
上記管状のウェブ(1)が、伸張された合成樹脂の小さな帯の織られた布地(9)と、フィルム(10)とからなる複合材であり、
レーザービーム(6)が、上記複合材の上記フィルム側に当たり、上記ウェブを、いくつかの部分において完全に切断することを特徴とする方法。
【請求項3】
両側の外面の上記ウェブ材(1)が、レーザービーム処理に供されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記ウェブがいくつかの部分において切断された際に残存したリブ部が、弱化されることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
上記ウェブ材(1、11)が長手方向(A)に移動しているときに、上記レーザービーム(6)は、上記ウェブ材の上記長手方向の移動を相殺するように、予め定められた上記切り離し線(3a、3b;13)の輪郭に沿って導かれており、上記レーザーエネルギーは、レーザー光源と上記ウェブ材上の照射点との間の各距離に合わせて適宜調節されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
レーザー光源(4)の出力が、上記ウェブ材に対する上記レーザービーム(6)の相対速度に応じて変更されるか、または、所望の浸入深さを実現するために、上記レーザービーム(6)の相対速度が上記ウェブ材に対して調節されるかすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
上記伸張された合成樹脂の小さな帯からなる織られた布地が、少なくとも1つの付加材層に連結されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記付加材層が、上記織られた布地に結合された合成樹脂層、特に、OPPフィルムであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記付加材層が、上記織られた布地の、上記合成樹脂の小さな帯に被覆された合成樹脂の被覆であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
上記ウェブ材(1、11)が、任意に被覆される、合成樹脂の小さな帯からなる織られた布地、ならびに、合成樹脂フィルム、金属フィルム、金属化合成樹脂フィルム、不織布、固定接着層、および/または、紙から選択される少なくとも1つのさらなる複合材成分からなる複合材であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
上記切り離し線(3a、3b;13)が、ミシン目線(3a―1)、弱化線(3a―2)、または、上記ミシン目線と上記弱化線との組み合せ(3a―3)として設計されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
上記切り離し線(3a、3b;13)が段付き線であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
上記切り離し線(3a、3b;13)の輪郭の上記ウェブの方向に沿って延びる部分が、完全に切断されていることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法に従い、伸縮性のあるウェブ材(1、11)からウェブ部を製造する工程と、上記ウェブ材から上記ウェブ部(2、12)を切り離す工程と、上記ウェブ部における少なくとも1つの端部を、少なくとも1回、上記ウェブ部本体に折り重ねる工程と、接着または溶接により、折り重ねられた上記端部を上記ウェブ部本体に固定する工程とを備える、包装容器の製造方法。
【請求項15】
平らなウェブ材(11)を用いる場合、上記ウェブ部(12)が切り離される前に、長手方向の縁が重ね合わされ、続いて、特に接着または溶接によって、当該縁が互いに結合されるように、上記ウェブ部は、長手方向へ沿って管状に形成されることを特徴とする請求項14に記載の包装容器の製造方法。
【請求項16】
上記ウェブ部が上記ウェブ材から切り離される前に、少なくとも1つの長手方向の折り畳み部(8)が上記ウェブ部内に形成されることを特徴とする請求項14または15に記載の包装容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−75532(P2013−75532A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−18982(P2013−18982)
【出願日】平成25年2月1日(2013.2.1)
【分割の表示】特願2009−547487(P2009−547487)の分割
【原出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(599047712)スターリンガー ウント コムパニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (9)
【Fターム(参考)】