説明

伸縮脚ロック装置

【課題】梯子などにおいて安定した操作性を維持できる伸縮脚装置を提供する。
【解決手段】一対の支柱1,1間に踏桟2を横架してなる梯子状脚体10における各支柱1下端部に嵌挿した伸縮脚3を所要脚長に固定するための伸縮脚ロック装置において、伸縮脚3に設けたラック7に係合する係合歯8を一端部に有し且つ他端部側下面に操作レバー係合面9を有するロックレバー5の中間部を、支柱1に固定された固定枠11に枢着すると共に、係合歯8がラック7に係合するロック方向にロックレバー5を回転付勢するバネ12を設け、ロックレバー5の他端部側には操作レバー6の一端部を枢着し、操作レバー6は、他端部が下向きとなる下向き姿勢から所定角度上方へ回転させて、ロックレバー5の操作レバー係合面9と係合した状態で操作レバー6を更に上方へ回転させることにより、ロックレバー5をロック解除方向に回転させてロック解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一連式又は2連式以上の梯子などの下端部に設けられる伸縮脚を所要脚長に固定するための伸縮脚ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の梯子の伸縮脚ロック装置として、特許公報等の公知文献を具体的に挙げることはできないが、従来の梯子は、一対の支柱間に踏桟を適当間隔置きに横架してなるもので、各支柱の下端部に嵌挿される伸縮脚のロック装置は、伸縮脚に設けたラックに係合する係合歯を一端部に形成し、他端部に操作部を形成したロックレバーを、その係合歯が伸縮脚の先端側を向くように配置して、このロックレバーの中間部を、支柱に固定されたブラケットに枢着すると共に、係合歯がラックに係合する方向にロックレバーを回転付勢するバネを設けた構成よりなる。
【0003】
この伸縮脚ロック装置の使用において、伸縮脚を伸張させる時は、ロックレバーをそのままの状態で伸縮脚を下方へ引っ張るようにすればよく、また伸縮脚を収縮させる時は、ロックレバーの他端部を持ち上げて、その一端部の係合歯がラックから離脱する方向に回転させればよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような伸縮脚ロック装置では、ロックレバーは、その一端部の係合歯がバネの付勢力で伸縮脚側のラックに係合する方向に回転付勢されて伸縮脚をロック状態に保持しているから、バネの付勢力が大きい程、ロックレバーの係合歯がラックに強力に係合して、より安全で確実なロック状態を維持できるが、バネ力が大きくなると、それだけロック解除時のロックレバー他端部の持ち上げ操作が困難となるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑み、ロック解除時の操作レバーの持ち上げ操作が容易でありながら、ロックレバー側にバネ力の大きなバネを採用することができて、より安全で確実なロック状態を維持できる伸縮脚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、一対の支柱1,1間に踏桟2を適当間隔置きに横架してなる梯子状脚体10における各支柱1下端部に嵌挿した伸縮脚3を所要脚長に固定するための伸縮脚ロック装置において、
伸縮脚3に設けたラック7又は連続孔に係合する係合歯8を一端部に有し且つ他端部側下面に操作レバー係合面9を有するロックレバー5の中間部を、支柱1に固定された固定枠11に枢着すると共に、前記係合歯8がラック7又は連続孔に係合するロック方向にロックレバー5を回転付勢するバネ12を設け、ロックレバー5の他端部側には操作レバー6の一端部を枢着し、操作レバー6は、その他端部が下向きとなる下向き姿勢から所定角度上方へ回転させて、ロックレバー5の操作レバー係合面9と係合した状態で操作レバー6を更に上方へ回転させることにより、ロックレバー5をロック解除方向に回転させてロック解除するようにしてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、一対の支柱1,1間に踏桟2を適当間隔置きに横架してなる梯子状脚体10における各支柱1下端部に嵌挿した伸縮脚3を所要脚長に固定するための伸縮脚ロック装置において、
伸縮脚3に設けたラック7又は連続孔に係合する係合歯8を一端部に有し且つ他端部側下面に操作レバー係合面9を有するロックレバー5の中間部を、支柱1に固定された固定枠11に枢着すると共に、前記係合歯8がラック7又は連続孔に係合するロック方向にロックレバー5を回転付勢するバネ12を設け、ロックレバー5の他端部側には操作レバー6の一端部を枢着し、この操作レバー6を他端部が下向きとなる下向き姿勢に回転させた時に前記固定枠11に当接してロックレバー5のロック解除方向の回転を阻止するロックレバー回転阻止用当接部13を操作レバー6の一端側外周部に設け、操作レバー6は、前記下向き姿勢から所定角度上方へ回転させてロックレバー5のロック解除方向回転が可能となった状態でロックレバー5の操作レバー係合面9と係合するロックレバー係合面14を有し、このロックレバー係合面14がロックレバー5の操作レバー係合面9と係合した状態で操作レバー6を更に上方へ回転させることにより、ロックレバー5をロック解除方向に回転させてロック解除するようにしてなることを特徴とする。
【0008】
請求項3は、請求項1又は2に記載の伸縮脚装置において、操作レバー6は合成樹脂で一体成形されたもので、その一端側外周部には、操作レバー6の下向き姿勢でロックレバー5のロック解除方向の回転を阻止する位置、及び下向き姿勢から所定角度上方へ回転してロックレバー5のロック解除方向の回転を可能とする位置の各位置で固定枠11に係止して操作レバー6を位置保持するための凸片17が設けられ、この凸片17は、操作レバー6が両位置間を回転する時は固定枠11に押し付けられて弾性変形するようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の伸縮脚ロック装置によれば、ラック7又は連続孔に係合する係合歯8を一端部に有し、他端部側下面に操作レバー係合面9を有するロックレバー5の中間部を、支柱1に固定された固定枠11に枢着すると共に、係合歯8がラック7又は連続孔に係合する方向にロックレバー5を回転付勢するバネ12を設け、ロックレバー5の他端部側には操作レバー6の一端部を枢着し、操作レバー6は、下向き姿勢から所定角度上方へ回転させて、ロックレバー5の操作レバー係合面9と係合した状態で操作レバー6を更に上方へ回転させることにより、ロックレバー5をロック解除方向に回転させてロック解除するようにしたから、操作レバー6は、支点(枢軸部)から作用点(ロックレバー5の操作レバー係合面9に当接係合する操作レバー6の当接係合部)までの距離が短く、支点から力点(操作レバー6の遊端部)までの距離が長くなるため、操作レバー6の力点での小さな操作力で作用点に大きな力を作用させることができ、従ってロック解除時の操作レバー6の持ち上げ操作が容易となる一方、ロックレバー5側にバネ力の比較的大きなバネ12を採用することができて、より安全で確実なロック状態を維持するできる。
【0010】
上記のように操作レバー6の操作が容易であることから、作業者は足の甲部分でも操作レバー6を持ち上げてロック解除操作を行うことができる。また作業者は、足の甲部分での操作レバー6の操作が容易に可能であるから、両手で梯子状脚体を支えながら、又は梯子状脚体を軽く持ち上げながらでも安定した伸縮脚3の伸縮操作を行うことができる。
【0011】
また操作レバー6に万が一大きな外力が加えられて、操作レバー6が破損脱落するようなことがあっても、ロックレバー5にはロックレバー5が破損するような力は加わらず、また操作レバー6が破損脱落したとしても、ロックレバー5を直接操作することによってロック解除操作が可能となり、また操作レバー6の修理復元も容易に可能である。
【0012】
請求項2に係る発明の伸縮脚ロック装置によれば、ロックレバー5に操作レバー6を付設しているから、操作レバー6をこれの遊端部が下向きとなる下向き姿勢に回転させることにより、操作レバー6の一端側外周のロックレバー回転阻止用当接部13を固定枠11に当接させて、ロックレバー5のロック解除方向の回転を阻止し、これによりロックレバー5を、バネ12により係合歯8をラック7又は連続孔に係合付勢するロック状態と、このロック状態が解除される方向への回転を阻止するロック状態との二重ロック状態にして、ロックレバー5を確実にロックすることができる。また、操作レバー6を下向き姿勢から所定角度上方へ回転させてロックレバー5のロック解除方向回転が可能となった横向き姿勢でロックレバー係合面14をロックレバー5の操作レバー係合面9に係合させたまま、この操作レバー6を更に上方へ回転させることによって、ロックレバー5を簡単にロック解除することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、操作レバー6は合成樹脂によって一体成形されており、その一端側外周部には、操作レバー6の下向き姿勢でロックレバー5のロック解除方向の回転を阻止する位置、及び下向き姿勢から所定角度上方へ回転して横向きの姿勢となってロックレバー5のロック解除方向への回転を可能とする位置の各位置で固定枠11に係止して操作レバー6を位置保持するための凸片17が設けられ、この凸片17は操作レバー6が両位置間を回転する時は固定枠11に押し付けられて弾性変形するようになっているから、操作レバー6が下向き姿勢に位置保持されることにより、操作レバー6がブラブラ揺れることがなく、従って万が一作業者の足が触れても、操作レバー6が回転することがなく、不意のロック解除を回避でき、また操作レバー6が横向き姿勢に位置保持されることにより、現在ロックレバー5が単ロック状態(ロックレバー5がロック解除方向へ回転可能な状態)にあることを確認することができる。また、操作レバー6の回転操作時に、凸片17が弾性圧縮変形するクリック感が出て操作感覚が得られるから、作業者はロックレバー5が二重ロック状態から単ロック状態へ、又はその逆の状態へ切り替わったことを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る伸縮脚ロック装置を備えた伸縮梯子を示し、(a-1) は収縮状態での正面図、(a-2) はその側面図、(b-1) は伸張状態での正面図、(b-2) はその側面図である。
【図2】(a) は図1の矢印Aで示す部分の拡大図で、操作レバーが下向き姿勢にあってロックレバーのロック解除方向回転が阻止された二重ロックの状態を示し、(b) は(a) の一部拡大図、(c) は(b) のX−X線断面図である。
【図3】(a) は操作レバーが下向き姿勢から上向きに所定角度回転してロックレバーのロック解除方向の回転が可能となった状態を示す、図2の(a) と同様な図、(b) は(a) の一部拡大詳細図である。
【図4】(a) は操作レバーをロックレバーと係合面どうし当接した状態で上向きに回転させて、ロックレバーをロック解除している状態を示す、図2の(a) と同様な図、(b) は(a) の状態を更に説明する説明断面図、(c) は(b) に示す部分の平面図である。
【図5】(a) はロックレバーを取付姿勢で示す正面図、(b) は平面図である。
【図6】(a) は操作レバーを下向き姿勢で示す正面図、(b) は操作レバーを(a) の矢印Bから見た平面図であり、(c) は操作レバーを(a) の矢印Cから見た半断面側面図であり、(d) は(a) の矢印Dから見た一部側面図、(e) は(c) のE−E線断面図である。
【図7】(a) はロックレバーの他端側に操作レバーの一端部を枢着した状態の正面図、(b) は平面図、(c) は左側面図である。
【図8】(a) は取付金具の正面図、(b) は側面図、(c) は平面図である。
【図9】(a) は操作レバーを枢着したロックレバーを取付金具に取り付けた状態の正面図、(b) は平面図である。
【図10】(a) は取付ブラケットの正面図、(b) はその平面図、(c) は右側面図である。
【図11】(a) はロックレバー、操作レバー、取付金具及び取付ブラケットを組み立てた状態の正面図、(b) は同組み立てた状態の平面図、(c) はその右側面図、(d) はその左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1は本発明の伸縮脚ロック装置を備えた二連式伸縮梯子を示し、この伸縮梯子は、下段側梯子(梯子状脚体)10と、この下段側梯子10に昇降自在に支持された上段側梯子(梯子状脚体)20と、下段側梯子10の上端部に取り付けられた滑車30と、一端部が上段側梯子20の下端部に止着され、下段側梯子10上端部の滑車30に装架されて、他端部が垂下された昇降操作ロープ40とからなるもので、昇降操作ロープ40を操作することによって上段側梯子20を下段側梯子10に沿って伸縮昇降させるようになっている。
【0016】
上下各梯子(梯子状脚体)10,20は、一対の支柱1,1間に踏桟2を適当間隔置きに横架してなるもので、下段側梯子10の各支柱1には下端部に伸縮脚3がスライド自在に嵌挿されている。この伸縮脚3は本発明に係る伸縮脚ロック装置4によって所要の脚長に固定されるようになっている。伸縮脚ロック装置4は、梯子10の最下段踏桟2よりも下方に装備されている。各支柱1の下端には、図2〜図4にも示すように滑り止め端具31が取り付けられている。
【0017】
この伸縮脚ロック装置4は、図2〜図4に示すように、伸縮脚3に設けられたラック7に係合する係合歯8を一端部に形成し且つその他端部側下面に操作レバー係合面9を形成したロックレバー5の中間部を、支柱1に固定ブラケット21を介して固定された取付金具11に枢着すると共に、前記ロックレバー5の係合歯8がラック7に係合する方向にロックレバー5を回転付勢するバネ12をロックレバー5と取付金具(固定枠)11との間に介装し、そしてロックレバー5の他端部側に操作レバー6の一端部を枢着し、この操作レバー6を図2の(a) ,(b) に示すように他端部(遊端部)が下向きとなる下向き姿勢に回転させた時に取付金具11の上枠部11bの下端面に当接してロックレバー5のロック解除方向の回転を阻止するロックレバー回転阻止用当接部13を操作レバー6の一端側外周部に設け、この操作レバー6には、前記下向き姿勢から所定角度上方へ回転させてロックレバー5のロック解除方向回転が可能となった状態でロックレバー5の操作レバー係合面9と係合するロックレバー係合面14を形成し、このロックレバー係合面14がロックレバー5の操作レバー係合面9と係合した状態で操作レバー6を更に上方へ回転させることにより、ロックレバー5をロック解除方向に回転させてロック解除するようにしたものである。
【0018】
上記伸縮脚ロック装置4の構造について更に詳細に説明すれば、ロックレバー5は、図5の(a) ,(b) に示すように略々横向きL字状に形成されたアルミ金属押出型材からなるもので、一端部には伸縮脚3のラック6に係合する係合歯8を形成し、他端部側の下面には操作レバー係合面9を形成し、そのほぼ中間部には図2及び図3に示すロックレバー枢着用リベット15(枢軸)を挿通するリベット挿通孔5aを形成し、更にこのボルト挿通孔5aと前記操作レバー係合面10との中間には操作レバー枢着用リベット16(枢軸)を挿通するリベット挿通孔5bを形成している。
【0019】
操作レバー6は、図6の(a) 〜(e) によって示されるような形状を有するもので、一端部には枢軸としてのリベット16(図2及び図3参照)を挿通するリベット挿通孔6aを形成し、中間部にはロックレバー5の操作レバー係合面9と係合するロックレバー係合面14を形成し、また一端側外周部には両側一対のロックレバー回転阻止用当接部13,13を形成すると共に、取付金具11の竪枠部11aの前面に係止して操作レバー6を前記下向き姿勢と下記横向き姿勢に位置保持する一対の凸片17,17を形成している。尚、図2の(c) に示すように、操作レバー6の両側一対のロックレバー回転阻止用当接部13,13の幅Waを、取付金具11の上枠部11b,11bの幅Wbより広く形成することで、操作レバー6の下向き姿勢時に両当接部13,13が上枠部11b,11bに当接できるようにしている。
【0020】
図7はロックレバー5に操作レバー6の一端部をリベット16(枢軸)によって枢着した状態を示したもので、(a) は所定の取付姿勢にあるロックレバー5の操作レバー係合面9に操作レバー6のロックレバー係合面14が係合した状態の正面図、(b) はその平面図であり、(c) は左側面図である。
【0021】
図8の(a) 〜(c) は取付金具11を示したもので、この取付金具11は、角筒状の竪枠部11aと、この角筒状竪枠部11aの左右側壁上端部から前方へ突設された両側一対の上枠部11b,11bと、角筒状竪枠部11aの後側壁上端から突出した取付用突片11cとからなり、角筒状竪枠部11aの前側壁及び後側壁にはロックレバー5を貫通させる開口部18a,18bが形成されている。また、角筒状竪枠部11aの左右側壁上部にはロックレバー枢着用リベット15(枢軸)を挿通するリベット挿通孔19を設け、更に左右側壁の上下両端部には、この取付金具11を固定ブラケット21に固定するボルト25が挿通するボルト挿通孔23を設けている。
【0022】
図9は、図7に示される操作レバー6付きロックレバー5を取付金具11の角筒状竪枠部11aにロックレバー枢着用リベット15(枢軸)によって枢着すると共に、ロックレバー5の係合歯8が伸縮脚3のラック7に係合するロック方向にロックレバー5を回転付勢するためのバネ12をロックレバー5と取付金具11の角筒状竪枠部11aとの間に介装した状態を示し、(a) はその正面図、(b) は平面図である。
【0023】
図10は取付金具11を取り付ける固定ブラケット21を示すもので、(a) は前方から見た正面図、(b) は平面図、(c) は側面図である。この固定ブラケット21は、図2から分かるように、支柱1下端部に嵌合されてリベット24で固定される嵌合枠部21aと、この嵌合枠部21aの前面両側縁部の上下両端部に突設され、取付金具11を嵌合保持してボルト25及びナット26で固定するフランジ21b・・・とからなるもので、嵌合枠部21aの前側壁中央部には、ロックレバー5の一端部にある係合歯8を、支柱1及び伸縮脚3の夫々の開口部(図示省略)に突入させてラック7に係合させるための開口部27を設け、各フランジ21bにはボルト挿通孔28を設けている。また嵌合枠部21aの左右側壁には上下両端部にリベット24を挿通する孔29を設けている。
【0024】
図11は、図9で示したロックレバー5と操作レバー6と取付金具11との組立体を図10で示した取付ブラケット21に取り付けた状態を示す。即ち、図9に示される状態にある取付金具11の角筒状竪枠部11aを固定ブラケット21のフランジ21b,21b間に嵌め込んで、リベット挿通孔28,28にわたって挿通したボルト25及びナット26により固定したもので、固定ブラケット21の嵌合枠部21aを支柱1の下端部に嵌合すると共に、取付金具11の角筒状竪枠部11aの後側壁上端から突出した取付用突片11cを踏桟2内に突入させた状態で、嵌合枠部21aのリベット挿通孔29に挿通されるリベット24で固定することによって、伸縮脚ロック装置4の全ての部材の取付けが完了し、図2〜4に示すような取付状態となる。
【0025】
上記のように構成される伸縮脚ロック装置4の作用について、図2〜図4を参照しながら以下に説明する。
【0026】
図2は、操作レバー6がその他端部(遊端部)を下に向けた下向き姿勢にあって、その一端側外周に設けられたロックレバー回転阻止用当接部13が真上位置で取付金具11の上枠部11bの下面に当接する状態となって、ロックレバー5がロック解除方向の回転を阻止される二重ロック状態を示す。二重ロック状態とは、ロックレバー5が、バネ12の付勢力によって係合歯8がラック7に係合した状態にロックされていると共に、ロック解除方向への回転が阻止されるようにロックされた状態を云う。この二重ロックの状態では、伸縮脚3は、支柱1に対する伸張及び収縮方向の移動が共に阻止されるから、支柱1に確実に固定されることになる。
【0027】
即ち、ロックレバー5は、バネ12によって一端部の係合歯8が伸縮脚3のラック7と係合する方向に回転付勢されているだけであるから、ロックレバー5の他端部にこれを引き上げる方向の力を作用させたり、バネ12の付勢力に抗して伸縮脚3を伸張させると、ロックレバー5はロック解除方向に回転してロック解除することになるが、操作レバー6が下向き姿勢となる二重ロック状態においては、操作レバー6の枢着側端部にあるロックレバー回転阻止用当接部13が取付金具11の上枠部11b下面に当接して、ロックレバー5のロック解除方向の回転が阻止されるから、ロックレバー5は完全にロックされることになる。
【0028】
また、この二重ロック状態で、操作レバー6は図2の(a) ,(b) に示すように下向きに垂れ下がった姿勢にあるため、梯子使用時などに作業者が操作レバー6に足を引っ掛けるおそれがない。また図2の(a) ,(b) に示すように、操作レバー6が垂れ下がった下向き姿勢にある時、この操作レバー6の一端部外周に突設された左右両側一対の凸片17,17が取付金具11の竪枠部11a前面に係止して、操作レバー6を下向き姿勢に位置保持するため、操作レバー6がブラブラ揺れることがなく、従って仮に作業者の足が触れるようなことがあっても、操作レバー6が不都合に回転することがない。
【0029】
図3は、図2に示すようにロックレバー5が二重ロックされた状態から操作レバー6を上方へ所定角度(例えば約70°)回転させ、操作レバー6のロックレバー係合面14がロックレバー5の操作レバー係合面9に当接する状態にして、ロックレバー5のロック解除方向の回転が可能となった単ロック状態を示す。この単ロック状態では、操作レバー6の一端側外周にあるロックレバー回転阻止用当接部13が、二重ロック状態での真上位置から所定角度(例えば約70°)下向きに回転して、取付金具11の上枠部11b下面との当接位置から離隔した位置にあるため、ロックレバー5はロック解除方向への回転が可能となり、従って伸縮脚3は、支柱1に対し収縮方向にはロックされるが、支柱1に対し伸張方向には移動可能となる。
【0030】
上記のように二重ロックを解除する際には、操作レバー6が図3の(a) ,(b) の仮想線図示位置(二重ロック位置)から同図の実線図示位置(単ロック位置)へ回転すると同時に、操作レバー6の一端部外周に突設された左右両側一対の凸片17,17(図2の(c) 参照)も同図の仮想線図示位置から実線図示位置へ回転移動して、この実線図示位置で凸片17が取付金具11の竪枠部11a前面に係止することによって、操作レバー6を単ロック位置に保持することになるが、この凸片17は二重ロック位置から単ロック位置まで回転移動する時に竪枠部11aの前面に押し付けられて、図3の(b) に示すような圧縮代t分だけ弾性圧縮変形するようになっている。そして、この操作レバー6の回転操作時に、凸片17が弾性圧縮変形するクリック感が出て、操作感覚が得られるから、作業者はロックレバー5が二重ロック状態から単ロック状態に切り替わったことを確認することができる。
【0031】
図4は、図3に示すような単ロック状態から、操作レバー6のロックレバー係合面14がロックレバー5の操作レバー係合面9と係合した状態で操作レバー6を更に上方へ回転させて図4の(a) の実線図示及び同図(b) の仮想線図示のような横向き姿勢とすることにより、ロックレバー5をロック解除方向に回転させてロック解除する状態を示す。即ち、ロックレバー係合面14と操作レバー係合面9とが当接した状態から操作レバー6を更に上方へ例えば20°程度回転させると、ロックレバー5はバネ12の付勢力に抗してロック解除方向に回転し、係合歯8が伸縮脚3のラック7から離脱して、ロック解除状態となり、伸縮脚3は、支柱1に対して、伸縮方向及び収縮方向の何れにも移動可能となる。
【0032】
上記操作レバー6は支点と力点と作用点とを有するテコ(梃子)からなるもので、支点は操作レバー6の一端部にあって、取付金具11との枢支点である枢軸16であり、力点は操作レバー6の遊端部であり、作用点は支点である枢軸16に近い、ロックレバー5の操作レバー係合面9に当接するロックレバー係合面14であり、この操作レバー6においては、支点から作用点までの距離が短くて、支点から力点までの距離が長いため、操作レバー6の操作力の軽減が可能で、操作レバー6によるロックレバー5の解除操作時には、操作レバー6の遊端部を軽く引き上げるだけで、ロックレバー5を容易にロック解除することができる。
【0033】
また、この操作レバー6は、各支柱1の下端部側面に沿った位置で下向き姿勢にある時、ロックレバー5のロック解除方向の回転を阻止する二重ロック位置にあって、この下向き姿勢から所定角度上方へ例えば70°程度回転させてロックレバー5のロック解除方向回転が可能となった状態で、ロックレバー5の操作レバー係合面9に操作レバー6のロックレバー係合面14を係合させて、操作レバー6を更に上方へ20°程度回転させることにより、ロックレバー5をロック解除方向に回転させてロック解除するようになっているから、作業者が足の甲部分でも操作レバー6の遊端部を持ち上げることで、ロックレバー5を容易にロック解除することができる。
【0034】
即ち、図1に示す2連式梯子等のような大型で重量のある梯子状脚体製品の使用時は、作業者が脚体の自重を支えながら且つ伸縮脚を持ち上げるような状態での伸縮脚ロック装置の操作が要求され、必然的に梯子状脚体の下端部に設置することが必要となる伸縮脚ロック装置では、屈み込んで操作したり、あるいは梯子状脚体を若干傾斜させて非操作側の支柱だけを設置し、操作側の支柱の伸縮脚を伸縮操作が可能なように多少浮いた状態にして伸縮操作を行うようなことが求められている。従って、本発明に係る伸縮脚ロック装置4のように足の甲部分での伸縮脚3の伸縮操作が可能になれば、作業者は両手で梯子状脚体を支えながら、又は梯子状脚体を軽く持ち上げながらでも安定した操作が可能となる。特に梯子等の自立ができない梯子状脚体製品では極めて有効である。
【0035】
また、操作レバー6は、図2〜図4によって説明したように、ロックレバー5を二重ロック状態にする下向き姿勢からロックレバー5をロック解除する横向き姿勢まで、ロック レバー5の回転量と合わせて約90°回転させるようになっているが、操作レバー6が取付金具11の竪枠部11aに沿って位置する下向き姿勢では、操作レバー6の一端部のロックレバー回転阻止用当接部13が取付金具11の上枠部11b下面に当接することにより、ロックレバー5のロック解除方向の回転を阻止して、ロックレバー5を二重ロック状態とする。このような操作レバー6の下向き姿勢では、梯子使用時などに作業者が操作レバー6に足を引っ掛けて不測にロック解除するようながおそれがなく、また伸縮脚3の昇降動作に支障を来すようなことがない。
【0036】
また、この伸縮脚ロック装置4は、梯子(梯子状脚体)10の最下段踏桟2より下方に装備されているから、作業者の昇降に影響がなく、万が一作業者の足等が操作レバー6に触れた際の不意のロック解除を回避することができる。作業の安定を図るために下段側が漸次幅広となる形態の脚立等とは異なり、ほぼ全ての踏み桟が同じ幅で直線的に構成される梯子等の伸縮脚ロック装置として最下段踏み桟の下方に装備される伸縮脚ロック装置は昇降の邪魔にならず、安全昇降に効果的となる。
【0037】
また、この伸縮脚ロック装置4において、操作レバー6に万が一大きな外力が加えられて、操作レバー6が破損脱落するようなことがあっても、ロックレバー5にはこのロックレバー5が破損するような力は加わらず、そして操作レバー6が破損脱落したとしても、ロックレバー5を直接操作することによって、ロック解除操作が可能となる。また、操作レバー6の修理復元も容易に可能となる。
【0038】
また操作レバー6は、合成樹脂によって一体成形されており、その一端側外周部には、操作レバー6の下向き姿勢でロックレバー5のロック解除方向の回転を阻止する位置(図3の(b) の仮想線図示位置)、及び下向き姿勢から所定角度上方へ回転して横向き姿勢となってロックレバー5のロック解除方向への回転を可能とする位置(図3の(b) の実線図示位置)の各位置で固定枠11に係止して操作レバー6を位置保持するための凸片17が設けられ、この凸片17は操作レバー6が両位置間を回転する時は固定枠11に押し付けられて弾性変形するようになっているから、操作レバー6が下向き姿勢に位置保持されることにより、操作レバー6がブラブラ揺れることがなく、従って万が一作業者の足が触れても、操作レバー6が回転することがなく、不意のロック解除を回避することができる。また操作レバー6が上記横向き姿勢に位置保持されることにより、現在ロックレバー5が単ロック状態(ロックレバー5がロック解除方向へ回転可能な状態)にあることを確認できる。
【0039】
また操作レバー6は、支点から作用点までの距離が短く、支点から力点までの距離が長いため、操作レバー6の小さな操作力で作用点に大きな力を作用させることができ、従って操作レバー6の回転操作が容易となる一方、ロックレバー5側にバネ力の比較的大きなバネ12を採用してより安全なロック状態を維持できる。
【0040】
以上説明した実施形態の伸縮脚ロック装置4において、ロックレバー5の係合歯8は、伸縮脚3内に設けたラック7に係合するようになっているが、ラック7に代えて伸縮脚3内に連続孔を配設し、この連続孔に係合歯8を係合させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 支柱
2 踏桟
3 伸縮脚
4 伸縮脚ロック装置
5 ロックレバー
6 操作レバー
7 ラック
8 係合歯
9 操作レバー係合面
10 梯子(梯子状脚体)
11 取付金具(固定枠)
11a 取付金具(固定枠)の竪枠部
11b 取付金具(固定枠)の上枠部
12 バネ
13 ロックレバー回転阻止用当接部
14 ロックレバー係合面
17 凸片
21 固定ブラケット(固定枠)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の支柱間に踏桟を適当間隔置きに横架してなる梯子状脚体における各支柱下端部に嵌挿した伸縮脚を所要脚長に固定するための伸縮脚ロック装置において、
伸縮脚に設けたラック又は連続孔に係合する係合歯を一端部に有し且つ他端部側下面に操作レバー係合面を有するロックレバーの中間部を、支柱に固定された固定枠に枢着すると共に、前記係合歯がラック又は連続孔に係合するロック方向にロックレバーを回転付勢するバネを設け、ロックレバーの他端部側には操作レバーの一端部を枢着し、操作レバーは、その他端部が下向きとなる下向き姿勢から所定角度上方へ回転させて、ロックレバーの操作レバー係合面と係合した状態で操作レバーを更に上方へ回転させることにより、ロックレバーをロック解除方向に回転させてロック解除するようにしてなる伸縮脚ロック装置。
【請求項2】
一対の支柱間に踏桟を適当間隔置きに横架してなる梯子状脚体における各支柱下端部に嵌挿した伸縮脚を所要脚長に固定するための伸縮脚ロック装置において、
伸縮脚に設けたラック又は連続孔に係合する係合歯を一端部に有し且つ他端部側下面に操作レバー係合面を有するロックレバーの中間部を、支柱に固定された固定枠に枢着すると共に、前記係合歯がラック又は連続孔に係合するロック方向にロックレバーを回転付勢するバネを設け、ロックレバーの他端部側には操作レバーの一端部を枢着し、この操作レバーを他端部が下向きとなる下向き姿勢に回転させた時に前記固定枠に当接してロックレバーのロック解除方向の回転を阻止するロックレバー回転阻止用当接部を操作レバーの一端側外周部に設け、操作レバーは、前記下向き姿勢から所定角度上方へ回転させてロックレバーのロック解除方向回転が可能となった状態でロックレバーの操作レバー係合面と係合するロックレバー係合面を有し、このロックレバー係合面がロックレバーの操作レバー係合面と係合した状態で操作レバーを更に上方へ回転させることにより、ロックレバーをロック解除方向に回転させてロック解除するようにしてなる伸縮脚ロック装置。
【請求項3】
操作レバーは合成樹脂で一体成形されたもので、その一端側外周部には、操作レバーの下向き姿勢でロックレバーのロック解除方向の回転を阻止する位置、及び下向き姿勢から所定角度上方へ回転してロックレバーのロック解除方向の回転を可能とする位置の各位置で固定枠に係止して操作レバーを位置保持するための凸片が設けられ、この凸片は、操作レバーが両位置間を回転する時は固定枠に押し付けられて弾性変形するようになっている請求項1又は2に記載の伸縮脚ロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−226061(P2011−226061A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93679(P2010−93679)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000101662)アルインコ株式会社 (218)
【Fターム(参考)】