説明

位相調整回路

【課題】大きな位相ずれにも対応可能な位相調整回路を提供する。
【解決手段】基準となるクロック信号CLKeに同期して与えられる画像データDATAeとデータイネーブル信号DEeは、このクロック信号CLKeで動作するFF31,33,38,40で2クロック分遅延され、画像データDTeと共通のデータイネーブル信号DEとして出力される。位相調整の対象となるクロック信号CLKoに同期して与えられる連続する2つの画像データDATAoは、それぞれFF34,35によって2クロック周期の間保持される。FF34,35の保持データは、セレクタ37によっていずれか一方が選択出力され、基準となるクロック信号CLKeのタイミングでFF39に保持されて画像データDToとして出力される。これにより、位相のずれがクロック周期よりも小さければ、2系統の画像データは同位相になるように位相調整ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶モニタ等において、2つの経路から並行して転送される画像データの位相が等しくなるように調整する位相調整回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は、従来の位相調整回路の構成図である。
この位相調整回路は、クロック信号CLKeに同期して転送されて来る偶数番目の画像データDATAeと、クロック信号CLKoに同期して転送されて来る奇数番目の画像データDATAoの位相を調整して、共通のクロック信号CLKに同期した画像データDTe,DToを生成するものである。
【0003】
画像データDATAeは、クロック信号CLKeの立ち上がりのタイミングでフリップフロップ(以下、「FF」という)1に保持され、このFF1に保持されたデータが画像データDTeとして出力されるようになっている。
【0004】
一方、画像データDATAoは、インバータ2で反転されたクロック信号CLKeによって、即ち、クロック信号CLKeの立ち下がりのタイミングでFF3に保持されるようになっている。FF3に保持されたデータは、更に、クロック信号CLKeの立ち上がりのタイミングでFF4に保持され、このFF4に保持されたデータが画像データDToとして出力されるようになっている。また、クロック信号CLKeが、画像データDTe,DToに共通のクロック信号CLKとして出力されるようになっている。
【0005】
このような位相調整回路を使用することにより、グラフィックコントローラから異なる転送経路を通して2画素の画像データを並行して転送することできるので、データ量の多い高精細液晶モニタ等に対する画像データの転送が可能になる。
【0006】
【特許文献1】特開2002−311913号公報
【0007】
なお、上記特許文献1には、図2と同様の位相調整回路を有する液晶表示装置が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記位相調整回路で位相を合わせることができる位相ずれの範囲は、クロック信号CLKのデューティ比が50%で周期をTとした場合、−T/2〜+T/2である。また、数100Mbps以上の高速信号伝送を行うために振幅を数100mVに低減した差動信号を使用するLVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式では、クロック信号のレベル“H”の区間とレベル“L”の区間の比が4:3となっているので、位相ずれの許容範囲は−3T/7〜+4T/7となる。
【0009】
グラフィックコントローラから表示装置側に転送される2系統の画像データに許容範囲外の位相ずれが生じると位相補正ができずに誤動作が発生する。このため、表示装置側への入力条件が厳しくなっている。特に、現在主流となりつつあるフルハイビジョン規格では、クロック周期が10ns程度となっているため、位相ずれを−4.2〜+5.7nsの範囲に抑える必要があり、回路基板の設計が困難になってコスト増の原因ともなっている。
【0010】
本発明は、大きな位相ずれにも対応可能な位相調整回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1クロック信号に同期して有効データであることを示す第1イネーブル信号と共にバースト的に入力される第1データ信号と、前記第1クロック信号と同じ周波数の第2クロック信号に同期して有効データであることを示す第2イネーブル信号と共にバースト的に入力される第2データ信号の位相が等しくなるように調整する位相調整回路を、次のような手段で構成している。
【0012】
即ち、この位相調整回路は、第1データ信号を第1クロック信号のタイミングで保持して出力する第1保持手段と、第1イネーブル信号を第1クロック信号のタイミングで保持して出力する第2保持手段と、第2保持手段に第1イネーブル信号が保持されているときに、第1クロック信号の周波数を1/2に分周して選択信号として出力する第1分周手段と、第2イネーブル信号が与えられているときに、第2クロック信号の周波数を1/2に分周して相補的な第1制御信号及び第2制御信号を交互に出力する第2分周手段と、第1制御信号が出力されているときに、第2データ信号を第2クロック信号のタイミングで保持して出力する第3保持手段と、第2制御信号が出力されているときに、第2データ信号を第2クロック信号のタイミングで保持して出力する第4保持手段と、第2保持手段に第1イネーブル信号が保持されているときに、第3保持手段から出力される信号と第4保持手段から出力される信号の内の一方を選択信号に従って選択して出力する選択手段と、第1保持手段及び選択手段から出力される信号を第1クロック信号のタイミングで保持して位相調整後の第1及び第2データ信号として出力する第5保持手段と、第2保持手段から出力される信号を第1クロック信号のタイミングで保持して位相調整後の共通のイネーブル信号として出力する第6保持手段を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、基準となる第1クロック信号に同期して与えられる第1データ信号と第1イネーブル信号を、この第1クロック信号で保持して出力する第1及び第2保持手段と、位相調整の対象となる第2クロック信号に同期して与えられる連続する2つの第2データ信号を、それぞれ2クロック周期の間保持して出力する第3及び第4保持手段と、これらの第3及び第4保持手段の出力信号を選択して出力する選択手段と、この選択手段と第1及び第2保持手段の出力信号を、基準となる第1クロック信号のタイミングで保持して出力する第5及び第6保持手段を有している。これにより、第1及び第2クロック信号の位相のずれがクロック信号の周期よりも小さければ、確実に同位相になるように位相を調整することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、次の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。但し、図面は、もっぱら解説のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1を示す表示制御回路の構成図である。
この表示制御回路は、グラフィックコントローラ10から並行して出力される2系統の画像データに基づいて、液晶表示器(以下、「LCD」という)80に対する表示出力を行うもので、偶数番目と奇数番目の画像データに対応してそれぞれ設けられた直列/並列変換部(以下、「S/P変換部」という)20e,20o、位相調整部30、信号処理部50、ソースドライバ60及びゲートドライバ70で構成されている。
【0016】
グラフィックコントローラ10は、例えばLVDS方式の5対のデータ信号線とクロック信号線対を介して偶数番目の画像データSD0e〜SD4eとクロック信号CKeをS/P変換部20eに出力すると共に、別の5対のデータ信号線とクロック信号線対を介して奇数番目の画像データSD0o〜SD4oとクロック信号CKoをS/P変換部20oに出力するものである。
【0017】
S/P変換部20eは、グラフィックコントローラ10から与えられるクロック信号CKeに従って画像データSD0e〜SD4eを並列の画像データDATAeに変換すると共に、この画像データSD0e〜SD4eからデータイネーブル信号DEeを抽出して、クロック信号CLKeに同期して出力するものである。
【0018】
同様に、S/P変換部20oは、グラフィックコントローラ10から与えられるクロック信号CKoに従って画像データSD0o〜SD4oを並列の画像データDATAoに変換すると共に、この画像データSD0o〜SD4oからデータイネーブル信号DEoを抽出して、クロック信号CLKoに同期して出力するものである。
【0019】
位相調整部30は、S/P変換部20eからクロック信号CLKeに同期して転送されて来る偶数番目の画像データDATAe及びデータイネーブル信号DEeと、S/P変換部20oからクロック信号CLKoに同期して転送されて来る奇数番目の画像データDATAo及びデータイネーブル信号DEoの位相を調整して、共通のクロック信号CLKに同期した画像データDTe,DToとデータイネーブル信号DEを生成するものである。
【0020】
この位相調整部30は、画像データDATAeをクロック信号CLKeの立ち上がりのタイミングで保持して出力する第1保持手段(例えば、FF31)、このクロック信号CLKeを1/2に分周する第1分周手段(例えば、FF32)、及びデータイネーブル信号DEeをクロック信号CLKeの立ち上がりのタイミングで保持して出力する第2保持手段(例えば、FF33)を有している。FF33から出力される信号S33は、FF32の反転リセット端子/Rに与えられている。
【0021】
また、位相調整部30は、画像データDATAoをクロック信号CLKoの立ち上がりのタイミングで保持して出力する第3保持手段(例えば、FF34)、第4保持手段(例えば、FF35)、及びこのクロック信号CLKoを1/2に分周する第2分周手段(例えば、FF36)を有している。FF36の反転リセット端子/Rには、データイネーブル信号DEoが与えられ、このFF36の出力端子Qから出力される信号は第1制御信号としてFF34のイネーブル端子Eに、反転出力端子/Qから出力される相補的な信号は第2制御信号としてFF35のイネーブル端子Eにそれぞれ与えられている。
【0022】
FF34,35から出力される信号S34,S35は、選択手段(例えば、セレクタ:SEL)37の入力端子I1,I0にそれぞれ与えられている。また、セレクタ37の選択端子SにはFF32から出力される信号S32が選択信号として与えられ、イネーブル端子EにはFF33の信号S33が動作許可信号として与えられている。セレクタ37は、イネーブル端子Eの信号S33が“H”のときに、選択端子Sの信号S32に従って入力端子I1(信号S32が“H”のとき)または入力端子I0(信号S32が“L”のとき)の信号を選択して出力端子Oから出力するものである。なお、信号S33が“L”のときは、セレクタ37の出力端子Oから“0”データ(例えば、オール“L”)が出力されるようになっている。
【0023】
FF31から出力される信号S31及びセレクタ37の出力信号は、それぞれ第5保持手段(例えば、FF38,39)に与えられ、それぞれクロック信号CLKeの立ち上がりのタイミングで保持されて、データ信号DTe,DToとして信号処理部50に与えられるようになっている。また、FF33の信号S33は第6保持手段(例えば、FF40)に与えられ、クロック信号CLKeの立ち上がりのタイミングで保持されて、共通のデータイネーブル信号DEとして信号処理部50に与えられている。また、クロック信号CLKeは、そのままクロック信号CLKとして信号処理部50に与えられている。
【0024】
信号処理部50は、クロック信号CLKに同期して与えられるデータイネーブル信号DEとデータ信号DTe,DToに従ってガンマ補正等の処理を行い、LCD80に表示する表示信号と走査信号を生成して、それぞれソースドライバ60とゲートドライバ70に与えるものである。また、ソースドライバ60とゲートドライバ70は、表示信号と走査信号をそれぞれLCD80の表示電極と走査電極に応じた電圧に変換して、このLCD80を駆動するものである。
【0025】
次に図1の動作を説明する。
図3は、S/P変換部の機能の一例を示す説明図である。S/P変換部20e,20oの機能は、同一であるので、偶数/奇数のサフィックス(e/o)を省略して説明する。
【0026】
グラフィックコントローラ10から、“H”の区間と“L”の区間の比が4:3のクロック信号CKに同期して、5つの画像データSD0〜SD4が同時に与えられる。各画像データSD0〜SD4は、クロック信号CKが“H”の区間で4ビット、“L”の区間で3ビットの直列データで構成されており、クロック信号CKの“H”の区間における3ビット目から、次の“H”の区間における2ビット目までの7ビットが1つの画素データを構成している。画素データは同時に5ビットずつ与えられるので、1画素は35ビット構成となる。
【0027】
1画素を構成する35ビットの内訳は、図3に例示するように、10ビットの緑信号成分R0〜R9、10ビットの赤信号成分R0〜R9、10ビットの青信号成分B0〜B9、データイネーブル信号DE、垂直同期信号VSYN、水平同期信号HSYN、及び2ビットの未定義ビットRSVとなっている。
【0028】
S/P変換部20は、クロック信号CKから生成される画素のタイミングに基づいて画像データSD0〜SD4を保持して並列データに変換すると共に、画素のRGB信号成分からなる画像データDATAと、データイネーブル信号DE、垂直同期信号VSYN、水平同期信号HSYN等を分離して、クロック信号CLKに同期して出力するようになっている。
【0029】
図4は、S/P変換部から出力される画像信号の形式の一例を示す説明図である。
垂直同期信号VSYNは、1画面の表示データの区切りを示すもので、30フレーム/秒のインタレース方式の場合、周波数は60Hzである。水平同期信号HSYNは、1ラインの表示データの区切りを示すもので、有効画像データが1960画素×1080ラインのフルハイビジョン規格の場合、走査線数は1125本で、周波数は33.75kHzである。画像データDATAは、水平同期信号HSYNの間にクロック信号CLKに同期して1ラインの画素数である1920画素の1/2だけバースト的に挿入される(1ラインの画素数は1920であるが、偶数番目と奇数番目の2系統に分割しているので、1系統分は960画素となる)。
【0030】
即ち、垂直同期信号VSYN、水平同期信号HSYN、及びクロック信号CLKは、それぞれ一定周期で連続して出力されるが、画像データDATAは、垂直同期信号VSYNが“H”から“L”に立ち下がった後、A回目(この図では4回目)からB回目(この場合、544回目)までの水平同期信号HSYNの間に1ライン単位でバースト的に出力される。各ラインの画像データDATAは、水平同期信号HSYNが“H”から“L”に立ち下がった後、C回目(この図では10回目)のクロック信号CLKの立ち上がりに同期して1画素目の出力が開始され、その後、クロック信号CLKの立ち上がりに同期してD回目(この場合、969回目)のクロック信号CLKの立ち上がりまで、順次1画素単位に連続して出力される。また、データイネーブル信号DEは、有効な画像データDATAが出力されている間“H”に保持され、有効な画像データが出力されていない時は“L”となる。
【0031】
図5及び図6は、図1中の位相調整部の動作(その1及びその2)を示す信号波形図である。図5は、偶数側の画像データDATAeに対して奇数側の画像データDATAoが遅れている場合を示し、図6は、偶数側の画像データDATAeに対して奇数側の画像データDATAoが進んでいる場合を示している。
【0032】
S/P変換部20oから与えられるデータイネーブル信号DEoが“H”になると、FF36のリセット状態が解除され、クロック信号CLKoが1/2に分周され、このFF36から出力される信号に従ってFF34,35が交互に動作可能な状態になる。これにより、奇数側の画像データDATAoのデータD1,D3,D5,D7,D9,…の内のデータD1は、クロック信号CLKoの立ち上がりのタイミングでFF35に書き込まれ、データD3は、次のクロック信号CLKoのタイミングでFF34に書き込まれる。更に、次のクロック信号CLKoのタイミングで、データD5がFF35に書き込まれる。このように、FF35,34には、一旦書き込まれたデータが2クロック周期の間、そのままの状態で保持される。
【0033】
S/P変換部20eから与えられる画像データDATAeとデータイネーブル信号DEeは、クロック信号CLKeの立ち上がりのタイミングでFF31,33にそれぞれ書き込まれる。
【0034】
データイネーブル信号DEeが“H”になると、その後のクロック信号CLKeの立ち上がりのタイミングでFF33に保持され、信号S33が“H”になる。これにより、FF32のリセット状態が解除され、クロック信号CLKeが1/2に分周されて、信号S32としてセレクタ37の選択端子Sに与えられる。また、この時、セレクタ37のイネーブル端子Eには“H”の信号S33が与えられているので、FF34とFF35に保持されているデータが信号S32に従って交互に選択され、このセレクタ37から出力される。
【0035】
セレクタ37で選択されて出力された画像データと、FF31に書き込まれた画像データDATAeと、FF33に書き込まれたデータイネーブル信号DEeは、クロック信号CLKeの立ち上がりのタイミングで、それぞれFF39,38,40に保持され、データ信号DTo,DTe、及び共通のデータイネーブル信号DEとして信号処理部50に与えられる。また、クロック信号CLKeは、そのままクロック信号CLKとして信号処理部50に与えられる。
【0036】
これにより、図5に示すように、奇数側の画像データDATAoの遅れDLがクロックの周期Tより小さければ、同位相になるように位相調整を行うことができる。また、図6に示すように、奇数側の画像データDATAoの進みLEがクロックの周期Tよりも小さければ、同位相になるように位相調整を行うことができる。
【0037】
信号処理部50では、クロック信号CLKに同期して与えられるデータイネーブル信号DEと奇数及び偶数番目の画素データであるデータ信号DTo,DTeに対して、所定の画像表示用の信号処理を施し、表示信号と走査信号を生成してソースドライバ60とゲートドライバ70に与える。ソースドライバ60とゲートドライバ70は、表示信号と走査信号をそれぞれLCD80の表示電極と走査電極に応じた電圧に変換して、このLCD80を駆動する。
【0038】
以上のように、この実施例1の表示制御回路は、異なる経路で転送されて来る偶数番目の画像データDATAeと奇数番目の画像データDATAoから、共通のクロック信号CLKに同期した画像データDTe,DTo及びデータイネーブル信号DEを生成する位相調整部30を備えている。
【0039】
更に、この位相調整部30は、基準となるクロック信号(この場合はCLKe)に同期して与えられる画像データDATAeとデータイネーブル信号DEeを、このクロック信号CLKeによって2クロック分遅延させて出力するためのFF31,33,38,40と共に、位相調整の対象となるクロック信号(この場合はCLKo)に同期して与えられる連続する2つの画像データDATAeをそれぞれ2クロック周期の間保持するためのFF34,35と、これらのFF34,35の保持データを選択出力するセレクタ37と、このセレクタ37の出力データを基準となるクロック信号CLKeのタイミングで保持して出力するFF39を有している。これにより、位相のずれがクロックの周期よりも小さければ、確実に同位相になるように位相調整ができる。従って、位相調整可能範囲が広がり、グラフィックコントローラから転送される信号の許容範囲が緩和されて回路基板の設計が容易になると共に、クロックジッタの影響がなくなって安定した動作が得られるという利点がある。
【実施例2】
【0040】
実施例1の表示制御回路では、位相調整部30が、S/P変換部20e,20oから与えられるデータイネーブル信号DEe,DEoに基づいて位相調整を行っていたが、S/P変換部20e,20oからデータイネーブル信号DEe,DEoが出力されず、垂直同期信号VSYNと水平同期信号HSYNのみが与えられる場合がある。
【0041】
この実施例2では、データイネーブル信号DEが与えられない場合に、垂直同期信号VSYNと水平同期信号HSYNからデータイネーブル信号DEを生成するためのイネーブル信号生成部を有する表示制御回路を説明する。
【0042】
図7は、本発明の実施例2を示す表示制御回路の構成図であり、図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0043】
この表示制御回路は、S/P変換部20e,20oと位相調整部30の間に、それぞれイネーブル信号生成部90e,90oを挿入したものである。イネーブル信号生成部90eは、S/P変換部20eから与えられる垂直同期信号VSYNe、水平同期信号HSYNe及びクロック信号CLKeからデータイネーブル信号DEeを生成するものである。また、イネーブル信号生成部90oは、S/P変換部20oから与えられる垂直同期信号VSYNo、水平同期信号HSYNo及びクロック信号CLKoからデータイネーブル信号DEoを生成するものである。
【0044】
イネーブル信号生成部90e,90oは、同一の回路構成となっており、イネーブル信号生成部90eとして具体例を示すように、水平同期信号HSYNeの立ち上がりのタイミングで1ずつカウントアップするカウンタ(CNT)91を有している。カウンタ91のリセット端子Rには、垂直同期信号VSYNeが与えられ、カウント値が出力される出力端子Oには比較器(CMP)92,93が接続されている。比較器92は、カウンタ91のカウント値が定数CA以上のときに“H”を出力するものである。また、比較器93は、カウンタ91のカウント値が定数CB以下のときに“H”を出力するものである。
【0045】
比較器93,94の出力信号は2入力の論理積ゲート(以下、「AND」という)94に入力されている。AND94の出力信号は、クロック信号CLKeと共に2入力のAND95に入力されている。AND95の出力信号は、カウンタ95のクロック端子に与えられるようになっている。カウンタ95は、AND95の出力信号の立ち上がりのタイミングで1ずつカウントアップするもので、このカウンタ91のリセット端子Rには、水平同期信号HSYNeが与えられている。カウンタ96の出力端子Oには比較器97,98が接続されている。比較器97は、カウンタ96のカウント値が定数CC以上のときに“H”を出力するものである。また、比較器98は、カウンタ96のカウント値が定数CD以下のときに“H”を出力するものである。
【0046】
比較器97,98の出力信号は2入力のAND99に入力されて、このAND99からデータイネーブル信号DEeが出力されるようになっている。
【0047】
次に、イネーブル信号生成部90の動作を説明する。
例えば、S/P変換部20から図4に示すような形式の画像信号が与えられる場合、定数CA,CB,CC,CDとして、それぞれ4,544,10,969を設定する。
【0048】
垂直同期信号VSYNが“H”の間、カウンタ91はリセットされているのでそのカウント値は0である。垂直同期信号VSYNが“L”になると、カウンタ91のリセット状態は解除され、水平同期信号HSYNの立ち上がりに同期して1ずつカウントアップ動作を開始する。カウンタ91のカウント値が4(定数CA)になると、比較器92の出力信号が“H”となり(比較器93の出力信号は、リセット時から“H”)、AND94の出力信号は“H”となる。これにより、AND95からクロック信号CLKが出力される。この時点では、カウンタ96のリセット端子Rに“H”の水平同期信号HSYNが与えられているので、このカウンタ96はリセット状態を保持する。
【0049】
水平同期信号HSYNが“L”に変化すると、カウンタ96のリセット状態は解除され、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して1ずつカウントアップ動作を開始する。カウンタ96のカウント値が10(定数CC)になると、比較器97の出力信号が“H”となり(比較器98の出力信号は、リセット時から“H”)、AND99から出力されるデータイネーブル信号DEは“H”となる。
【0050】
更に、カウンタ96のカウント値が970(定数CD+1)になると、比較器98の出力信号が“L”となり、AND99から出力されるデータイネーブル信号DEは“L”となる。また、カウンタ91のカウント値が545(定数CB+1)になると、比較器93の出力信号が“L”となり、AND94から出力される信号が“L”となり、カウンタ96の動作は停止する。このような動作により、有効な画像データDATAが出力されている期間に、“H”となるデータイネーブル信号DEが生成されて出力される。
【0051】
なお、イネーブル信号生成部90e,90o以外のグラフィックコントローラ10、S/P変換部20e,20o、位相調整部30、信号処理部50、ソースドライバ60及びゲートドライバ70の構成と動作は、実施例1で説明したとおりである。
【0052】
以上のように、この実施例2の表示制御回路は、垂直同期信号VSYNと水平同期信号HSYNからデータイネーブル信号DEを生成するイネーブル信号生成部90を有しているので、S/P変換部20からデータイネーブル信号DEが与えられない場合でも、実施例1と同様の利点が得られる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施例に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次のようなものがある。
(a) 1フレームのライン数や1ラインの画素数は、例示したものに限定されない。
(b) 画像データを対象として説明したが、位相調整の対象データは画像データに限定されない。即ち、同一周波数のクロック信号に同期して有効データであることを示すデータイネーブル信号と共にバースト的に入力される2系統のデータ間の位相を調整する回路に適用することができる。
(c) イネーブル信号生成部は、垂直同期信号と水平同期信号とクロック信号に基づいてデータイネーブル信号を生成しているが、同期信号は垂直同期信号と水平同期信号に限定するものではない。バーストデータの区切りを示す同期信号とクロック信号のタイミング関係から有効データの開始タイミングが規定されているものであれば、同様に適用することが可能である。
(d) 2系統の入力データの位相を調整するものについて説明したが、3系統以上の入力データの位相調整にも適用可能である。
(e) 図3に示したS/P変換部の機能は一例であり、これに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例1を示す表示制御回路の構成図である。
【図2】従来の位相調整回路の構成図である。
【図3】S/P変換部の機能の一例を示す説明図である。
【図4】S/P変換部から出力される画像信号の形式の一例を示す説明図である。
【図5】図1中の位相調整部の動作(その1)を示す信号波形図である。
【図6】図1中の位相調整部の動作(その2)を示す信号波形図である。
【図7】本発明の実施例2を示す表示制御回路の構成図である。
【符号の説明】
【0055】
10 グラフィックコントローラ
20 S/P変換部
30 位相調整部
31〜36,38〜40 FF
37 セレクタ
50 信号処理部
60 ソースドライバ
70 ゲートドライバ
80 LCD
90 イネーブル信号生成部
91,96 カウンタ
92,93,97,98 比較器
94,95,99 AND

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クロック信号に同期して有効データであることを示す第1イネーブル信号と共にバースト的に入力される第1データ信号と、前記第1クロック信号と同じ周波数の第2クロック信号に同期して有効データであることを示す第2イネーブル信号と共にバースト的に入力される第2データ信号の位相が等しくなるように調整する位相調整回路であって、
前記第1データ信号を前記第1クロック信号のタイミングで保持して出力する第1保持手段と、
前記第1イネーブル信号を前記第1クロック信号のタイミングで保持して出力する第2保持手段と、
前記第2保持手段に前記第1イネーブル信号が保持されているときに、前記第1クロック信号の周波数を1/2に分周して選択信号として出力する第1分周手段と、
前記第2イネーブル信号が与えられているときに、前記第2クロック信号の周波数を1/2に分周して相補的な第1制御信号及び第2制御信号を交互に出力する第2分周手段と、
前記第1制御信号が出力されているときに、前記第2データ信号を前記第2クロック信号のタイミングで保持して出力する第3保持手段と、
前記第2制御信号が出力されているときに、前記第2データ信号を前記第2クロック信号のタイミングで保持して出力する第4保持手段と、
前記第2保持手段に前記第1イネーブル信号が保持されているときに、前記第3保持手段から出力される信号と前記第4保持手段から出力される信号の内の一方を前記選択信号に従って選択して出力する選択手段と、
前記第1保持手段及び前記選択手段から出力される信号を前記第1クロック信号のタイミングで保持して位相調整後の第1及び第2データ信号として出力する第5保持手段と、
前記第2保持手段から出力される信号を前記第1クロック信号のタイミングで保持して位相調整後の共通のイネーブル信号として出力する第6保持手段とを、
備えたことを特徴とする位相調整回路。
【請求項2】
バーストデータの区切りを示す第1同期信号の後、第1クロック信号に同期して所定のタイミングでバースト的に入力される第1データ信号と、バーストデータの区切りを示す第2同期信号の後、前記第1クロック信号と同じ周波数の第2クロック信号に同期して所定のタイミングでバースト的に入力される第2データ信号の位相が等しくなるように調整する位相調整回路であって、
前記第1同期信号と前記第1クロック信号と前記所定のタイミングに基づいて、前記第1データ信号が有効データであることを示す第1イネーブル信号を生成する第1のイネーブル信号生成手段と、
前記第2同期信号と前記第2クロック信号と前記所定のタイミングに基づいて、前記第2データ信号が有効データであることを示す第2イネーブル信号を生成する第2のイネーブル信号生成手段と、
前記第1データ信号を前記第1クロック信号のタイミングで保持して出力する第1保持手段と、
前記第1イネーブル信号を前記第1クロック信号のタイミングで保持して出力する第2保持手段と、
前記第2保持手段に前記第1イネーブル信号が保持されているときに、前記第1クロック信号の周波数を1/2に分周して選択信号として出力する第1分周手段と、
前記第2イネーブル信号が与えられているときに、前記第2クロック信号の周波数を1/2に分周して相補的な第1制御信号及び第2制御信号を交互に出力する第2分周手段と、
前記第1制御信号が出力されているときに、前記第2データ信号を前記第2クロック信号のタイミングで保持して出力する第3保持手段と、
前記第2制御信号が出力されているときに、前記第2データ信号を前記第2クロック信号のタイミングで保持して出力する第4保持手段と、
前記第2保持手段に前記第1イネーブル信号が保持されているときに、前記第3保持手段から出力される信号と前記第4保持手段から出力される信号の内の一方を前記選択信号に従って選択して出力する選択手段と、
前記第1保持手段及び前記選択手段から出力される信号を前記第1クロック信号のタイミングで保持して位相調整後の第1及び第2データ信号として出力する第5保持手段と、
前記第2保持手段から出力される信号を前記第1クロック信号のタイミングで保持して位相調整後の共通のイネーブル信号として出力する第6保持手段とを、
備えたことを特徴とする位相調整回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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