説明

位置センサを有するペースメーカー

【課題】位置の検知能力を有するペースメーカーを提供すること。
【解決手段】位置の検知能力を有するペースメーカーは、血行動態変化の内蔵のモニタリングを可能にする。磁気コイルなどのミニチュアの位置センサは、それぞれの埋め込まれたペーシングリードに固定されている。ペースメーカーハウジングは、磁場送信機を含むジェネレータユニットを含んでいる。ジェネレータユニットによって伝えられた磁場は、位置センサに位置信号を発生させ、この位置信号は、ペーシングリードを通してペースメーカーの制御装置に戻される。これらの信号に基づいて、制御装置は、位置センサの相対的な位置、およびしたがって、心臓中のリードの運動を感知する。他の位置センサの技術もまた、開示されている。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
本発明は、イントラボディトラッキングシステム(intrabody tracking systems)に関する。特に、本発明は、位置の検知能力を有するペースメーカーに関する。
〔関連技術の説明〕
【0002】
従来のペースメーカーシステムは、心臓の刺激体と、心臓の刺激体上のヘッダー構造体に近位で接続される細長い可撓性リードを含んでいる。リードは、心臓刺激または感知を必要する、心臓内の1つ以上の部位に遠位で埋め込みされる。埋め込み時に、ペースメーカーリードの遠位端は、胸の切開部を介して挿入され、電気刺激を必要とする部位へと操作される。次に、リードの遠位端は、ねじ付きの先端部、または心筋層に係合する歯(tines)などのような、様々な装置を使用して、心内膜に据えつけられる。次に、リードの近位端はヘッダーに接続され、そして、切開部は、閉ざされる。
【0003】
心臓がそのようなシステムによって調整されるとき、一般に、血流力学的効率は、正常洞調律にある心臓に対して減少する。マルチチャンバペーシングの目的の1つは、心臓の異なったチャンバの収縮の相対的なタイミングを制御することによる、血流力学の改良である。いくつかの場合、処理医師は、最適の血流力学的効果を達成するようにペースメーカーにプログラムする。しかしながら、調整された心臓の血液動態は、時間がたつにつれて、様々な要素のため変化しうる。
【0004】
Sweeneyへの米国特許第6757563号明細書は、刺激が心臓からの所望の応答を喚起したかどうかを決定して、心臓から観測された応答に基づいて刺激のエネルギーを調整するための超音波自動捕捉能力を提供する心調律マネージメントシステムを提案する。自動捕捉決定回路は、心腔の運動が刺激に対応する収縮を示しているかどうかを決定し、信頼できる捕捉を確実にするために必要であるエネルギーだけを提供するように刺激エネルギーを調整する。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明の開示された実施形態による、位置の検知能力を有するペースメーカーは、血行動態変化の内蔵のモニタリングを可能にする。変換器およびセンサの配列は、リードおよびハウジングの中に組み込まれている。
【0006】
1つの実施形態では、磁気コイルなどのミニチュアの位置センサは、それぞれのペーシングリードに固定され、リードは、心臓に埋め込まれる。ペースメーカーハウジング自体は、ジェネレータユニットを含み、このユニットは、磁場変換器であってもよい。ジェネレータユニットによって伝えられた磁場は、位置センサに位置信号を発生させて、その位置信号はペーシングリードを通してペースメーカーの制御装置に戻される。これらの信号に基づいて、制御装置は、ジェネレータユニットに対する位置センサの位置を、およびしたがって、心臓中のリードの運動を感知する。
【0007】
例えば、リードとジェネレータユニットとの間のインピーダンス測定値などの、リードの位置の情報を得るために他の感知技術も使用できる。
【0008】
制御装置は、以前に格納された基準データと運動データを比較する。代換的に、制御装置は、外部の遠隔測定ユニットに運動データを送ることができ、このユニットは、比較を実行する。運動のパターンが基準に対して顕著に変化していた場合、心臓の血行動態が変化したというサインであるかもしれない。この場合、制御装置または遠隔測定ユニットは、ペースメーカーまたは他の療法の調整が必要かもしれないということを示すために警告を発する。
【0009】
本発明の実施形態は、心臓ペースメーカー装置を提供する。この心臓ペースメーカー装置は、生体中に埋め込みできるハウジング、およびハウジングから延びる少なくとも1つの刺激リードを含んでいる。リードは、生体の心臓と係合するように構成された遠位セグメント、および、リードの遠位セグメントの位置座標を決定するための位置検出ユニットを有し、位置検出ユニットは、生体内に閉じ込められるように構成されている。
【0010】
装置の態様によると、位置検出ユニットは、リードに関連している第1の要素と、ハウジング中の第2の要素を含んでいる。位置検出ユニットは、第2の要素に対して第1の要素の位置を決定するように作動する。
【0011】
装置の1つの態様によると、位置検出ユニットは、遠位セグメント中の位置センサ、位置センサにより受信されるフィールド信号を発生させるように構成されたジェネレータユニット、およびフィールド信号に応じて位置センサによって発生された位置信号を受信するように作動するプロセッサを含んでいる。
【0012】
また、装置のもう一つの態様によると、位置検出ユニットは、位置信号に応じてジェネレータユニットに対する遠位セグメントの位置座標を計算するための変換ユニットを含んでいる。
【0013】
また、装置の更なる態様によると、位置検出ユニットは、位置信号から導出された遠隔測定データを、生体の外に配置されている位置プロセッサに送信するための遠隔測定ユニットをさらに含んでいる。
【0014】
装置の追加態様によると、位置検出ユニットは、遠位セグメント中の磁場ジェネレータ、磁場ジェネレータからのフィールド信号を受信するように適合された遠位セグメント外側の位置センサ、および、フィールド信号に応答して位置センサによって発生する位置信号を受信するように作動するプロセッサ、を含んでいる。
【0015】
装置のさらに別の態様によると、磁場ジェネレータは、1つだけのジェネレータコイルを有する。
【0016】
装置の追加態様によると、位置センサは、1つだけの受信コイルを含んでいる。
【0017】
装置のさらに別の態様によると、位置検出ユニットは、位置信号に応答して位置センサに対する遠位セグメントの位置座標を計算するための変換ユニットを含んでいる。
【0018】
また、装置のさらに別の態様によると、位置検出ユニットは、位置信号から導出された遠隔測定データを、生体の外側に配置される位置プロセッサに送信するための遠隔測定ユニットを含んでいる。
【0019】
また、装置のさらに別の態様によると、位置検出ユニットは、位置信号から導出された遠隔測定データを、生体の外側に配置される位置プロセッサに送信するための遠隔測定ユニットを含んでいる。
【0020】
装置の更なる態様によると、位置検出ユニットは、遠位セグメント中の信号電極と、リードを介して信号電極に駆動信号を提供する駆動回路構成要素と、複数の導体素子と、導体素子に連結されて、駆動信号に応じて信号電極と導体素子との間のそれぞれのインピーダンスを決定するように作動するプロセッサと、を含んでいる。
【0021】
また、装置のもう一つの態様によると、位置検出ユニットは、インピーダンスに応じてそれぞれの導体素子に対する遠位セグメントの位置座標を計算するための変換ユニットを含んでいる。
【0022】
また、装置の1つの態様によると、位置検出ユニットは、インピーダンスから導出された遠隔測定データを、生体の外に配置される位置プロセッサに送信するための遠隔測定ユニットを含み、位置プロセッサは、インピーダンスに応じて導体素子に対する遠位セグメントの位置座標を計算するように作動する。
【0023】
本発明の別の実施形態は、上で説明した装置の機能を行うための方法を提供する。
【0024】
〔図面の簡潔な説明〕
本発明のより良い理解のため、例示として本発明の詳細な説明の参照がなされる。発明の詳細な説明は、以下の図面に関連して読まれるべきものであり、ここで、同一参照番号が同様の要素に与えられている。
【0025】
〔発明の詳細な説明〕
以下の説明では、多数の特定の詳細は、本発明の綿密な理解を提供するために説明される。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしで実施できることは、当業者には明らかになるであろう。他の例では、周知の回路、制御論理、および、従来のアルゴリズムと処理のためのコンピュータプログラム命令の詳細は、本発明を不必要に不明瞭にしないために、詳細に示していない。
【0026】
<実施形態1>
ここで図面に戻って、初めに図1を参照すると、同図は、本発明の開示された実施形態による生体に埋め込まれたペースメーカーシステム10の絵図である。ペースメーカーハウジング12は、皮下に埋め込まれている。ペースメーカーハウジング12は、心臓14を刺激するための任意の適当な従来の回路構成要素(図示せず)を含んでいる。リード16は、ペースメーカーハウジング12から心臓14の右心室腔18に延びており、そこで埋め込みされる。1つのリードが図2に代表的に示されているが、心臓14内の異なった位置または異なったチャンバに置かれた、1つ以上のリードが存在していてもよい。
【0027】
従来の心臓の刺激体リードは、通常、ペースメーカーハウジング12などの心臓刺激体のヘッダーと結合するように構成されるコネクタに近位で接続される、細長いフレキシブルな管状の、そして、電気的絶縁性のスリーブからなる。遠位には、管状チップ電極が存在している。追加的または代換的に、スリーブの長さに沿った様々な位置においてスリーブに1個以上のリング電極を固定できる。スリーブの近位端は、コネクタとスリーブとの様々な部分に様々な生物学的に適合している接着剤を適用することによって、コネクタに接続される。チップ電極は、通常、直径が増加されているセクションを有して、リードスリーブの遠位端が隣接している環状ショルダーを形成する、管状の構造体からなる。通常、管状の構造体の外表面は、リードスリーブの遠位端の内表面と同様に滑らかである。例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれるSpehrに発行された米国特許第5,851,227号明細書で開示され、Fischer Sr.他に発行された米国特許第6,167,314号明細書で開示されたリードといった、当技術分野で知られるようなそのような多くのリードは、リード16としての使用に適している。
【0028】
ここで、図3が参照され、同図は、本発明の開示された実施形態によって構成されそして作動する、ペースメーカーシステム10の実施形態をさらに詳細に示している模式図である。リード16の遠位端20は、右心室腔22の尖部近くの心臓14中に配置される。遠位端20は、ペーシングチップ電極24とペースリング電極26を運ぶ。これらの電極は、従来型である。遠位端20に配置されているのは、ミニチュアの位置センサ28である。1つの実施形態では、位置センサ28で発生する信号が位置プロセッサ30に伝えられ、位置プロセッサ30は、ペースメーカーハウジング12中に配置される。また、ペースメーカーハウジング12内に含まれているのは、ジェネレータユニット32であり、このジェネレータユニット32は、磁場ジェネレータ34を使用することで複数の電磁場を発生させ、磁場ジェネレータ34は、コイルとして通常実現される。
【0029】
フィールドジェネレータ34としての使用に適したフィールドジェネレータの構成と操作は、全体的に米国特許第5,729,129号明細書中に記述され、この特許の内容は参照により本明細書に援用される。ジェネレータユニット32中のフィールドジェネレータ34の配置は、それらの大きさおよび形状と同様に、米国特許第5,729,129号明細書で記載されていた実施形態と必然的に異なっていることが理解されるだろう。その上、ペースメーカーシステム10による感知範囲の容積は、示されている例示的な適用から著しく減少するので、フィールドジェネレータ34に出力するために使用される駆動回路構成要素の所要電力を減らすことができる。約10〜30mWのパワーレベルが適当である。ペースメーカーシステム10の作動の典型的なモードでは、フィールドジェネレータ34は、断続的に起動されることを必要とするだけであり、これにより、ペースメーカーハウジング12中のフィールドジェネレータ34のための電力貯蔵を実用的にする。典型的なリチウム型バッテリーは、10%のデューティサイクルを仮定した通常のサービスで、1週間以上持続すると予想される。
【0030】
1つの実施形態では、位置センサ28は、電磁位置センサであり、この電磁位置センサは、ジェネレータユニット32から電磁場信号を受信する。電磁場は、リード16の遠位端20の位置を追跡するための基準系を規定するために発生される。このようにして、感知された電磁場に基づいて、位置センサ28は、位置信号をプロセッサ30に送信して、座標情報の形で位置の情報(X、Y、Z、ピッチ、ヨー)の少なくとも5つの次元を供給できる。代換的に、位置の6つの次元および方位情報(X、Y、Z、ピッチ、ヨー、ロール)さえ提供できる。上で述べたように、位置信号がリード16を通して伝達される。
【0031】
述べられているように、6段階未満の位置情報を感知するセンサも使用できる。例えば、5段階の位置情報(3つの位置座標、ピッチ、ヨー)を感知するセンサは、米国特許第5,913,820号で記載されている。その開示内容は参照により本明細書中に組み込まれる。代換的に、各々が6段階未満の位置情報を提供する複数の位置センサを使用できる。例えば、各々が3段階の位置情報を提供する、3個以上の位置センサは、リード16のすべてのポイントの位置を規定するために使用できる。
【0032】
位置特定およびマッピングシステムの簡単な記述によって、本発明の理解は、容易になるであろう。このシステムの要素は、ジェネレータユニット32に組み込まれ、そして、位置センサ28の位置を追跡するために使用される。位置センサ28からの既知のオフセットを有するリード16のチップの位置は、このシステムの要素から容易に導出できる。適当な位置およびマッピングサブシステムは、米国特許第5,840,025号明細書、同第5,391,199号明細書、および同第6,690,963号明細書で開示され、これら開示内容は、参照により本明細書中に組み込まれる。位置センサ28は、典型的には、ジェネレータユニット32で発生する磁場を感知する交流(AC)磁場受信機である。これらの送信機は、固定基準系を規定するために交流の磁場を発生させる。位置センサ28として使用されるのに適当なセンサは、上述した米国特許第5,391,199号明細書にさらに記載されている。そして、位置センサ28の位置座標は、位置座標を決定することによって、確かめられる。位置センサ28は、例えば1個以上のコイル36などの、1個以上のアンテナを備えることができる。
【0033】
フィールドジェネレータ34は、プロセッサ30によって制御された駆動回路(図示せず)によって駆動される。位置センサ28から受信された信号は、遠位端20の位置のしるしを提供するために、駆動信号の表示と共に、プロセッサ30によって増幅されて、処理される。駆動されると、フィールドジェネレータ34は、位置センサ28によって感知される多様な区別可能の交流磁場を発生させる。これらの磁場は、それぞれの磁場の信号の周波数、位相、または、周波数および位相の両方に関して区別可能である。異なった磁場の時分割多重化もまた、可能である。
【0034】
位置センサ28は、単一のフィールドジェネレータ34と共に、単一のコイルからなることができる。しかしより一般的には、位置センサ28は、中空のコアまたはある材料のコアのいずれかに巻回された2以上または3個ものセンサコイルを有する。ペースメーカーハウジング12は、2または3個のフィールドジェネレータ34を収容することができる。複数のコイル36が使用されている場合、望ましくは、これらのコイルは、互いに直交した軸を有し、その1つは、便利にリード16の縦軸に整列される。これらのコイル36は、相互接続されるか、または、位置センサ28の直径を減少させるためにリード16の縦軸に沿って密接に離隔されることができる。
【0035】
本発明の大部分の態様において、基準座標系に対する遠位端20の位置は、定量的に測定される。基準座標系は、ジェネレータユニット32中に提供される。この固定基準系は、位置センサ28による受信のために少なくとも2つの区別可能な交流磁場を発生させる重ならないフィールドジェネレータ34によって提供される。望ましくは、区別可能な磁場から生じる磁場束を測定するために、位置センサ28中の少なくとも2つの非平行なコイル36であるべきである。6つの位置と座標(X、Y、Z方向、ならびにピッチ、ヨー、およびロール方位)を決定するためには、ジェネレータユニット32中における少なくとも2つのコイル36と3個の送信機が望ましい。3個のコイルが、位置の測定の精度と信頼性を改良するために、典型的に使用されるであろう。より少ない位置座標が必要である他の用途では、単一のコイルだけが位置センサ28中に必要でありうる。
【0036】
1個のコイルだけを有する単一軸の測位システムの特定の特徴および機能は、共に譲渡された米国特許第6,484,118号明細書で記載され、この特許の内容は参照により本明細書中に組み込まれる。1つの実施形態では、コイル36は、1〜1.2mmの全体のコイル径を与えるために、0.5mmの内径を有し、16マイクロメータ直径の800巻数(turns)を有している。それぞれのコイルの有効な捕捉領域は、典型的には約400mmである。これらの寸法が、かなりの範囲にわたって変化してもよいということが理解されるであろう。特に、コイル36のサイズは、(感度のいくらかの損失を伴う)0.3mmと同じくらい小さくてもよく、2mmを超えることができる。コイル36のワイヤサイズは、10〜31マイクロメータにわたって変化でき、そして、巻数は、最大の許容できるサイズとワイヤ直径によって、300〜2600の間にわたることができる。有効な捕捉領域は、総合的なサイズ要件と一致するように、実現可能な大きさで作られるべきである。通常のセンサコイル形状は筒状であるが、他の形も使用できる。例えば、バレル形のコイルは、同じ直径の円筒コイルよりも多くの巻数を有することができる。
【0037】
プロセッサ30は、位置センサ28から読まれた読み取りデータを位置データおよび任意的には方位データに変換する。以下で説明するように、セッションにおける位置センサ28からの一連の読み込みは、運動データを構成するように使用され、これらのデータは、格納される。プロセッサ30は、以前に得られて格納された対応するデータと、読み取りおよび運動データとを比較してもよい。代換的に、プロセッサ30は、位置センサ28から外部の遠隔測定ユニット(図示せず)に生データを送信することができ、遠隔測定ユニットは、変換ユニットとして機能して、変換と比較を実行する。代換的に、位置センサ28は、生データを位置データおよび任意的に方位データに変換でき、そして、更なる処理のために外部の遠隔測定ユニットに送信される。運動のパターンが基準に対して著しく変化したなら、それは、心血行動態が変化したというサインでありうる。この場合、プロセッサ30または遠隔測定ユニットは、ペースメーカーまたは他の療法の調整が必要でありうるということを示すために警報を発生できる。
【0038】
〔操作〕
ここで、図2を参照すると、同図は、本発明の開示された実施形態によるペースメーカーシステムを使用する心臓の機能の評価のための方法のフローチャートである。初期のステップ38では、例えば、ペースメーカーシステム10といった、ペースメーカーシステムは、図1に全体的に示されているように、生体中に埋め込まれる。
【0039】
次に、ステップ40では、フィールドジェネレータ34が作動され、基準の読み取り値は、位置センサ28から取得され、そして、位置データおよび任意的には方位データに変換される。ステップ40の詳細は、以下に明らかにされる。
【0040】
ステップ42は、ステップ40の実行の後で実行される。フィールドジェネレータ34は、再び作動して、新しいセットの読み取り値は、位置センサ28から取得され、ステップ40と同じ方法で変換される。ステップ42は、周期的な患者監視プロトコルの一部として実行されてもよい。代換的に、ステップ42は、例えば、投薬管理、投薬変更、または運動負荷テストなどの、何らかの診断または治療の操作に従って、実行できる。実際、プロセッサ30がデータを外部装置に送信する実施形態では、ステップ42は、ステップ40の場所(site)から離れた場所、例えば、患者の家で実行されてもよい。
【0041】
コントロールは、ここで、決定ステップ44に進み、そこでは、ステップ40の位置データと任意の方位データがステップ42で得られた対応するデータと有意に異なっているかどうか、決定する。決定ステップ44の決定が肯定的であるなら、コントロールは、最終ステップ46に進む。患者の心臓の機能が変化してきたと結論づけられる。
【0042】
決定ステップ44の決定が否定的であるなら、コントロールは、最終ステップ48に進む。患者の心臓機能が今まで変わっていないと結論づけられる。
【0043】
ここで図4が参照され、同図は、本発明の開示された実施形態によって、基準位置に対する物体の位置および/または方位を決定する方法を示すフローチャートである。図4を参照して説明した方法は、ステップ40、42(図2)で実行される。処理ステップは、説明の明快さのために、図4における特定の線形のシーケンスで示されている。しかしながら、それらの多くは、平行に、非同期、または異なった順序で実行できるということは、明白であるだろう。
【0044】
初期のステップ50では、例えば、フィールドジェネレータ34(図3)などのフィールドジェネレータは、作動する。
【0045】
次に、ステップ52において、心臓周期の予め定められた地点で、位置センサ28(図3)中で開発された信号は、プロセッサ30中にゲート制御される。代換的に、プロセッサ30は、信号を連続的に受信することができ、そして、さらなる処理のために、心臓周期における予定された間隔、または予定された時にのみ、これらの信号を受け入れることができる。
【0046】
次に、ステップ54では、初期のステップ50で受信された信号は、上で説明したように、位置データと任意的には方位データに変換される。変換されたデータは、格納される。追加的にまたは代換的に、受信された信号に埋め込まれた生データは、その後の変換のために格納されてもよい。
【0047】
コントロールは、ここで、決定ステップ56に進み、そこでは、心臓周期のすべての予め定められた間隔、または代換的に、すべての予め定められた時点が評価されてきたかを決定する。決定ステップ56の決定が否定的であるなら、コントロールは、遅延ステップ58に進み、そこでは、時間内のまたは心臓周期における次の予め定められた時点は、待機される。そして、コントロールは、ステップ52に戻る。
【0048】
決定ステップ56の決定が肯定的であるなら、コントロールは、最終ステップ60に進む。ここで、ステップ52、54で得られた周期的なデータは、運動画像またはグラフに構築される(assembled)ことができ、この運動画像またはグラフは、別のこのような画像またはグラフとの比較に適している。ここで、電力を保存するためにフィールドジェネレータを非活性化できる。これらの処理が、終了する。
【0049】
<実施形態2>
ここで、図5が参照され、同図は、本発明の代換的な実施形態によって構成されそして作動するペースメーカーシステム10の実施形態を示している模式図である。この実施形態では、外部位置プロセッサ62が提供され、この外部位置プロセッサ62は、ペースメーカーハウジング12中にインストールされた遠隔測定ユニット64からの遠隔測定法によってプロセッサ30からデータを受け取る。遠隔測定ユニット64に対して適当なユニットは、例えば、Doron他への、米国特許第6,239,724号明細書から知られており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。位置プロセッサ62は、遠隔測定ユニット64で発生する信号に対する適当な受信機を含んでいる(図示せず)。位置プロセッサ62は、プロセッサ30で制御された適当な間隔で、位置センサ28から読み取られた生データを受信することができる。代換的に、プロセッサ30は、位置センサ28に対する位置データおよび任意的には方位座標を送信することができ、その場合、位置プロセッサ62は、受信データを精選して、位置センサ28およびそれゆえリード16のチップの運動を示す、表または図解のプレゼンテーションの準備をすることができる。
【0050】
<実施形態3>
ここで、図6を参照すると、同図は、本発明の代換的な実施形態によって構成され、そして作動するペースメーカーシステム10の実施形態を示している模式図である。この実施形態では、受信機ユニット66は、ここでコイル36を含み、磁場に対する受信機として作用し、この磁場は、小型送信機68中で発生する。送信機68は、フィールドジェネレータ34を含んでいて、リード16を通して出力される。受信機ユニット66で受信された信号は、実施形態1または実施形態2に関して上記で説明したような任意のモードにおけるプロセッサ30中で処理される。
【0051】
<実施形態4>
ここで、図7を参照すると、同図は、本発明の代換的な実施形態によって構成されそして作動する、ペースメーカーシステム10の実施形態を示している模式図である。この実施形態では、位置センサ28(図1)は省略され、1つ以上の信号電極70で置換されている。電極70と基準導体素子72との間の相互作用が示されている。導体素子72は、生体内に埋め込まれ、ケーブル76によって制御プロセッサ74に連結される。プロセッサ74は、プロセッサ30(図3)と同様に作動するが、ここでは、リード16を通して電極70に駆動信号を供給するための駆動回路構成要素を含んでいる。それぞれの電極70は、導体素子72のすべてと連絡する。プロセッサ30は、それぞれの電極70とすべての導体素子72との間の電流を駆動して、それぞれの電極70とこれらの導体素子72との間のインピーダンスを測定するために電流を使用する。測定インピーダンスに基づいて、プロセッサ30は、導体素子72に対する遠位端20の位置を決定する。代換的に、より多いかまたはより少ない数の電極70を使用できる。例えば、プロセッサ30は、電極70の1つと複数の導体素子72との間の電流を多重送信するように設定できる。別の例として、3個を超える導体素子72が、精度を高めるために使用できる。
【0052】
ここで、図8が参照され、同図は、本発明の代換的な実施形態によるペースメーカーシステム10(図7)の要素を示しているブロック図である。プロセッサ74は、駆動電流と測定インピーダンスのための制御回路構成要素78を備える。制御回路構成要素78は、3個の回路80、82、84のそれぞれを制御およびモニターし、これら回路80、82、84のそれぞれは、電極70と導体素子72の1つからなる閉ループを通して電流を駆動する。特に、3個の回路80、82、84は、異なった体組織86、88、90を通してそれぞれの電流を駆動する。回路80、82、84を異なった周波数で作動するように設定することによって、駆動回路で発生するそれぞれの電流は、区別できる。
【0053】
それぞれの回路80、82、84は、体組織86、88、90を通したそれぞれのループにおける電気インピーダンスを測定する。これらのインピーダンス読み取り値は、プロセッサ74によって処理され、プロセッサ74は、導体素子72に対する遠位端20の位置座標について計算するために読み取り値を使用する。これらの位置座標に基づいて、プロセッサ74または外部の処理装置は、上で説明したように、運動情報を発生させる。位置座標を得るのにインピーダンス測定を使用するための方法のさらなる詳細は、Wittkampfへの米国特許第5,697,377号明細書および同第5,983,126号明細書、および、2005年8月26日に出願され、共に譲渡され同時係属中である米国特許出願第11/213,040号明細書に開示され、これら開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0054】
本発明は、本明細書で具体的に示されそして記載された上述した内容に限定されるものではないことは、当業者によって理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書に記載したさまざまな特徴の組合せおよび組合せ要素(sub-combinations)をいずれも含むと共に、本明細書で前述した内容を読んだ当業者が想到し得る変形および変更であって、先行技術において開示されていないものも含む。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明の開示された実施形態による、生体に埋め込まれたペースメーカーシステムの絵図である。
【図2】図2は、本発明の開示された実施形態による、ペースメーカーシステムを使用する心臓機能の評価のための方法のフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の開示された実施形態によって、構成されそして作動する、図1に示すペースメーカーシステムの実施形態の詳細な模式図である。
【図4】図4は、本発明の開示された実施形態による、物体の位置および方位を決定する方法を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の代換的な実施形態によって構成されそして作動する、ペースメーカーシステムの実施形態を示している模式図である。
【図6】図6は、本発明の代換的な実施形態によって構成されそして作動する、ペースメーカーシステムの実施形態を示している詳細な模式図である。
【図7】図7は、本発明の代換的な実施形態によって構成されそして作動する、ペースメーカーシステムの実施形態を示している詳細な模式図である。
【図8】図8は、本発明の代換的な実施形態によって構成されそして作動する、ペースメーカーシステムの実施形態を示している詳細な模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓ペースメーカー装置において、
生体中に埋め込み可能なハウジングと、
前記ハウジングから延びて、前記生体の心臓に係合するように構成された遠位セグメントを有する、少なくとも1つの刺激リードと、
前記リードの前記遠位セグメントの位置座標を決定するために前記生体内に閉じ込められるように構成された位置検出ユニットと、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、前記リードに関連している第1の要素と、前記ハウジング中の第2の要素とを備え、前記位置検出ユニットは、前記第1の要素および前記第2の要素のうちの一方の位置を、前記第1の要素および前記第2の要素のうちの他方に対して決定するように作動する、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、
前記遠位セグメント中の位置センサと、
前記位置センサにより受信されるフィールド信号を発生させるように構成されたジェネレータユニットと、
前記フィールド信号に応答して前記位置センサによって発生された位置信号を受信するように作動するプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、前記位置信号に応答して前記ジェネレータユニットに対する前記遠位セグメントの位置座標を計算するための変換ユニットをさらに備える、装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、前記位置信号から導出された遠隔測定データを、前記生体の外に配置されている位置プロセッサに送信するための遠隔測定ユニットをさらに備える、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、
前記遠位セグメント中の磁場ジェネレータと、
前記磁場ジェネレータからのフィールド信号を受信するように構成された、前記遠位セグメントの外部の位置センサと、
前記フィールド信号に応答して前記位置センサで発生する位置信号を受信するように作動するプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、
前記磁場ジェネレータは、1つだけのジェネレータコイルを備える、装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置において、
前記位置センサは、1つだけの受信コイルを備える、装置。
【請求項9】
請求項6に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、前記位置信号に応答して前記位置センサに対する前記遠位セグメントの位置座標を計算するための変換ユニットをさらに備える、装置。
【請求項10】
請求項6に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、前記位置信号から導出された遠隔測定データを、前記生体の外に配置されている位置プロセッサに送信するための遠隔測定ユニットをさらに備える、装置。
【請求項11】
請求項3に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、前記位置信号から導出された遠隔測定データを、前記生体の外に配置されている位置プロセッサに送信するための遠隔測定ユニットをさらに備える、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、
前記遠位セグメント中の信号電極と、
前記リードを介して前記信号電極に駆動信号を提供する駆動回路構成要素と、
複数の導体素子と、
前記導体素子に結合され、前記信号電極と前記導体素子との間のそれぞれのインピーダンスを前記駆動信号に応答して決定するように作動するプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、それぞれの前記導体素子に対して前記遠位セグメントの位置座標を前記インピーダンスに応じて計算するための変換ユニットをさらに備える、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置において、
前記位置検出ユニットは、前記インピーダンスから導出された遠隔測定データを、前記生体の外に配置される位置プロセッサに送信するための遠隔測定ユニットをさらに備え、前記位置プロセッサは、前記導体素子に対する前記遠位セグメントの位置座標を前記インピーダンスに応じて計算するように作動する、装置。
【請求項15】
心臓機能を評価する方法において、
ハウジング、および前記ハウジングから延びる少なくとも1つの刺激リードを備えるペースメーカー装置を用意するステップであって、前記リードは、生体の心臓と係合するように構成された遠位セグメントを有する、用意するステップと、
前記ハウジングを生体に埋め込み、前記生体の心臓中に前記遠位セグメントを係合するステップと、
前記生体中に位置検出ユニットを配置するステップと、
前記リードが前記心臓中に係合されている間に、前記位置検出ユニットを使用して前記リードの前記遠位セグメントの位置座標を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記位置検出ユニットの一部は、前記リード中に配置される、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、
一連の位置座標が得られるように、前記位置座標を決定する前記ステップを繰り返し実行するステップと、
前記一連の位置座標から前記リードの前記遠位セグメントの運動情報を決定するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法において、
前記位置検出ユニットは、磁場ジェネレータ、および前記磁場ジェネレータによって生成された信号に応答する位置センサを備える、方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法において、
前記位置検出ユニットは、電極、複数の導体素子、および、前記電極と前記導体素子との間のそれぞれのインピーダンスを測定するためのプロセッサを備える、方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法において、
前記位置検出ユニットは、前記リードに関連している第1の要素と前記ハウジング中の第2の要素とを備え、前記位置検出ユニットは、前記第1の要素および前記第2の要素のうちの一方の位置を、前記第1の要素および前記第2の要素のうちの他方に対して決定するように作動する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−63880(P2010−63880A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−196389(P2009−196389)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(508080229)バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド (79)
【Fターム(参考)】