位置姿勢検出システム及びその検出方法並びに位置姿勢検出装置
【課題】交流磁場を利用して連続的に測定ができ、かつ周波数の設定の自由度が大きく、しかも構成が簡単な位置姿勢検出システムを提供すること。
【解決手段】Xg軸コイル電源群1aとXg軸コイル群1bとからなるXg軸方向磁場発生部1は、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する。Yg軸コイル電源群2aとYg軸コイル群2bとからなるYg軸方向磁場発生部2は、Xg軸方向磁場発生部1とは異なる指向性で、かつXg軸方向磁場発生部1が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する。磁場検出部11は、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサ10a,10b,10cを有する。演算部4は、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2と磁場検出部11の方向関係を特定することで磁場検出部11の位置情報と姿勢情報を算出する。
【解決手段】Xg軸コイル電源群1aとXg軸コイル群1bとからなるXg軸方向磁場発生部1は、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する。Yg軸コイル電源群2aとYg軸コイル群2bとからなるYg軸方向磁場発生部2は、Xg軸方向磁場発生部1とは異なる指向性で、かつXg軸方向磁場発生部1が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する。磁場検出部11は、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサ10a,10b,10cを有する。演算部4は、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2と磁場検出部11の方向関係を特定することで磁場検出部11の位置情報と姿勢情報を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置姿勢検出システム及びその検出方法並びに位置姿勢検出装置に関し、より詳細には、交流磁場を利用して連続的に測定ができ、かつ周波数の設定の自由度が大きく、しかも構成が簡単な位置姿勢検出システム及びその検出方法並びに位置姿勢検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報端末の位置と姿勢を検出する位置姿勢検出システムのニーズが高まってきている。例えば、モーションキャプチャにおけるヘッドマウントディスプレイのような可動体の位置・姿勢を検出するための位置姿勢検出システムや、医療機器の分野において、挿入型の内視鏡やカプセル内視鏡のように目視できない場所にある情報端末の位置・姿勢を計測する位置姿勢検出システムなどが挙げられる。
【0003】
これら情報端末の位置と姿勢を検出する方法として、交流磁場を利用する方法がある。そのとき、交流磁場の発生する向きと測定に利用される磁気センサの向きが問題となる。例えば、磁気センサに磁場が入射してくると出力信号が増大する方向(以下、磁気センサの正方向という)が、交流磁場の正方向と同方向である場合に測定する交流信号と、磁気センサの正方向が交流磁場の正方向と反対の向きである場合に測定する交流信号は、見かけ上は区別ができない。
【0004】
図12(a),(b)は、磁気センサの正方向が正弦波状の交流磁場の入射方向に対して同方向の場合(図12a))と反対方向の場合(図12(b))に測定された出力信号の様子を示す図である。図12(a),(b)共に、出力信号は正弦波となり、半波長分ずれた状態であるだけで、信号を適当な瞬間から連続的に取得している場合には交流磁場がどちらの方向から入射してきたか区別できない。従って、信号強度(振幅)だけを検出しても磁気センサの向きを判断し、振幅について正負の符号を持たせることはできない(符号とは、図12(a)のように磁気センサの正方向が交流磁場の入射方向と同じであれば正の符号(+)、図12(b)のように磁気センサの正方向が交流磁場の入射方向と反対であれば負の符号(−)と定義する)。すなわち、振幅の符号を手がかりに、磁気センサの向きを判断できない。
【0005】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1では、発生コイルから正弦波Aと正弦波Bを重ね合わせた磁場を発生させ、受信コイルで磁場を計測し、正弦波Aと正弦波Bを周波数帯域ごとに分離し、それぞれの振幅を比較することで発生コイルが磁場を出力した方向と受信コイルの向きとを判断していた。
【0006】
また、カプセル内視鏡の開発では、例えば、非特許文献1のように、発生コイルでの交流磁場を発生に同期させて、受信コイルで磁場を検出し、FFT(Fast fourier Transform;高速フーリエ変換)演算を施すことによって各周波数の信号強度(振幅)を検出し、また、信号検出時からFFT演算を施すまでのデータから位相を算出し、同じ時間を基準とすると磁気センサの向きと磁場の向きが同方向と反対方向の場合で位相がπずれていることから、検出した交流磁場の振幅の符号を決定していた。
【0007】
また、特願2007−30803号においては、同期信号を必要としないように、コイルから位相関係が既知の複数の磁場を重ね合わせて発生させて、磁気センサが測定した信号をFFT演算することで、測定された複数の交流磁場の位相を求め、位相関係に応じて検出した交流磁場の振幅の符号を決定していた。
【0008】
【特許文献1】特開2006−214979号公報
【非特許文献1】生体医工学 41−4,239/249(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された方法では、正弦波Aが正出力を行っている場合に同期して正弦波Bを発生させる間欠駆動という複雑な構成が必要である。また、受信コイルごとにそれぞれの周波数を分離するための帯域の決まったフィルタが必要であり、さらに正弦波Aと正弦波Bに利用する周波数が10倍以上異なっている必要もあり、周波数の設定の自由度が低いという問題があった。また、システム構成として、発生コイルが動く構成となっており、磁場を発生させるための電源を情報端末へ搭載せねばならず、最近の情報端末に必須な小型化と省電力を図りにくいという問題があった。
【0010】
また、上述した非特許文献1に記載された方法では、同じ時間からの位相を検出するために、交流磁場(あるいは電流)の発生と同期して信号を測定しなければならず、そのためのトリガ(同期信号)又は参照信号を、発生する磁場毎に常に必要とし、構成が容易でなく、連続的な測定を行うことが難しいという問題があった。
【0011】
また、特願2007−30803号に記載されたシステムだけでは、情報端末の方向の検出はできても、位置の検出まではできなかった。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、交流磁場を利用して連続的に測定ができ、かつ周波数の設定の自由度が大きく、しかも構成が簡単な位置姿勢検出システム及びその検出方法並びに位置姿勢検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、位置姿勢検出システムであって、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部と、該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部と、前記第1及び第2の磁場発生部から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部と、該磁場検出部により検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1の磁場発生部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記第2の磁場発生部は、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記演算部は、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1の磁場発生部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記第2の磁場発生部は、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記演算部は、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値かを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値かを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1及び第2の磁場発生部は、それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルからなり、前記演算部は、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0020】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項9に記載の発明は、位置姿勢検出方法であって、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部による第1の磁場発生ステップと、該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部による第2の磁場発生ステップと、前記第1及び第2の磁場発生部から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部による磁場検出ステップと、該磁場検出ステップにより検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算ステップとを有することを特徴とする。
【0022】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする。
【0023】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記演算ステップは、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0024】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記演算ステップは、前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生ステップにおいて前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップとを有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項13に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記演算ステップは、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0026】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、前記演算ステップは、前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生ステップにおいて前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップとを有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項15に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記演算ステップは、それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0028】
また、請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明において、前記演算ステップは、前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップとを有することを特徴とする。
【0029】
また、請求項17に記載の発明は、位置姿勢検出装置であって、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部と、該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部とから発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部と、該磁場検出部により検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算部とを備えたことを特徴とする。
【0030】
また、請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の発明において、前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする。
【0031】
また、請求項19に記載の発明は、請求項17又は18に記載の発明において、前記演算部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0032】
また、請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0033】
また、請求項21に記載の発明は、請求項17又は18に記載の発明において、前記演算部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0034】
また、請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0035】
また、請求項23に記載の発明は、請求項17又は18に記載の発明において、前記演算部は、それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0036】
また、請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、異なる複数の周波数を持ち特定の方向に強い磁場を発生する指向性を有する磁場発生部を複数構成することで、情報端末に搭載された複数の磁気センサを有する磁場検出部によって検出された信号から、演算部において磁場検出部と複数の磁場発生部との方向関係を算出し、情報端末の位置と姿勢を検出することが可能となった。
【0038】
また、交流磁場を利用して連続的に測定ができ、かつ、周波数の設定の自由度が大きく、しかも、構成が簡単な位置姿勢検出システムを提供することができる。また、同様に、その位置姿勢検出方法及び位置姿勢検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の位置姿勢検出システムの実施例1を示す全体構成図で、図中符号1はXg軸方向磁場発生部、1aはXg軸コイル電源群、1bはXg軸コイル群、2はYg軸方向磁場発生部、2aはYg軸コイル電源群、2bはYg軸コイル群、3は磁場検出部11を有する情報端末、4は演算部、5はデータ表示部を示している。なお、符号10は方位角センサを示している。
【0040】
右手系のXgYgZg座標系が定義された空間があり、Xg軸方向磁場発生部1は、Xg軸方向へ、Yg軸方向磁場発生部2は、Yg軸方向へ磁場を発生する。Xg軸方向磁場発生部1は、Xg軸コイル電源群1aとXg軸コイル群1bとから構成されている。同様にYg軸方向磁場発生部2は、Yg軸コイル電源群2aとYg軸コイル群2bとから構成されている。
【0041】
Xg軸コイル群1bは、YgZg平面に平行な面上で、Xg軸方向に磁場を発生するよう等間隔に並べられた複数のコイルの集まりであり、Yg軸方向にl個並べられた列が、Zg軸方向にn列並べられている。Yg軸コイル群2bは、XgZg平面に平行な面上で、Yg軸方向に磁場を発生するよう等間隔に並べられた複数のコイルの集まりであり、Xg軸方向にm個並べられた列が、Zg軸方向にn列並べられている。なお、l、m、nは1以上の整数である。
【0042】
Xg軸コイル群1bのZg軸方向に並べられたn列の各列と、Yg軸コイル群2bのZg軸方向に並べられたn列の各列は、XgYg平面に対して並行な同一平面上にある。また、Xg軸コイル群1bとYg軸コイル群2bはともに、一方のコイル群が磁場を発生する空間に重ならないように配置されている。また、各コイルは、その磁場発生面の中心軸上において最も強い磁場を発生する。例えば、スパイラルコイルを利用するものとする。したがって、Xg軸コイル群1bはXg軸の方向に、Yg軸コイル群2bはYg軸の方向に強い磁場を発生する。
【0043】
本発明の位置姿勢検出システムは、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2と磁場検出部11を有する情報端末3と演算部4とデータ表示部5とから構成されている。
【0044】
Xg軸コイル電源群1aとXg軸コイル群1bとからなるXg軸方向磁場発生部(第1の磁場発生部)1は、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生するものである。また、Yg軸コイル電源群2aとYg軸コイル群2bとからなるYg軸方向磁場発生部(第2の磁場発生部)2は、Xg軸方向磁場発生部1とは異なる指向性で、かつXg軸方向磁場発生部1が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生するものである。
【0045】
また、情報端末3内の磁場検出部11は、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサ10a,10b,10cを有するものである。また、演算部4は、検出された磁場から、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2と磁場検出部11の方向関係を特定することで磁場検出部11の位置情報と姿勢情報を算出するものである。
【0046】
図2は、あるZg座標(Zg=Zkとする平面)におけるXg軸コイル群1b、Yg軸コイル群2bの配置と情報端末3の配置の説明図である。
【0047】
Xg軸コイル群1bは、コイルX1からコイルXlまでl個のコイルがYg軸に平行に等間隔にXg軸の方向に磁場を発生するよう並んでいる。同様に、Yg軸コイル群2bもコイルY1からコイルYmまでのm個がXg軸に平行に等間隔にYg軸の方向に磁場を発生するように並んでいる。
【0048】
このような配置により、各軸コイル群の各コイルの中心軸同士の交差する点でZg=ZkにおけるXgYg座標を形成している。そして、これらのコイルと同じ配置を持った平面がZg軸方向にn面形成されることで、l×m×n個の座標を持つXgYgZg座標空間が形成されている。
【0049】
図2において、情報端末3は、コイルXiとコイルYjの中心軸上の交差点に配置されている。この場合、位置座標は(Xi,Yj,Zk)である。以下の本実施例の説明については、Zg=Zkの平面に情報端末3があるとして説明を行う。
【0050】
Xg軸コイル電源群1aは、それらのコイルの一つ一つに異なる2つの周波数をもつ交流電流を供給できる複数の電源の集まりである。Yg軸コイル電源群2aも同様である。各電源からの交流電流(又は電圧)は、第1と第2の周波数の角周波数が、ある偶奇が異なる正の整数M、Nを用いて、それぞれMω、Nωと表されるものとする(最小の整数比として周波数比がM:Nである)。例えばM=1、N=2である。
【0051】
そして、これら2つの周波数は、電源毎にすべて異なっている。そして、各コイルに上述のように異なる2つの周波数の交流電流を各電源から供給することで磁場を発生でき、各コイルから発生した磁場は、各電源から供給された交流電流の周波数成分を持ち、その周波数成分はそれぞれ異なっている。
【0052】
そして、Xg軸コイル群1bの各コイルから発生する磁場の大きさは、コイルから測定する位置までの距離が同じであればすべて等しい。Yg軸コイル群2bの各コイルから発生する磁場についても同様である。各コイルからの磁場の各周波数成分の位相関係は既知であり、例えば、第1と第2の周波数成分の位相Θ,Φは次のように表されるものとする。
Θ=Mωt+Ωθ ・・・(1)
Φ=Nωt+Ωφ ・・・(2)
(第1の周波数成分、第2の周波数成分ともに時間t=0においてそれぞれΩθ、Ωφであるとする)。
【0053】
情報端末3は、磁場検出部(方位角センサ10とデータ送信部16;後述する図4参照)11を有し、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2からの磁場を検出できる空間内に配置されている。
【0054】
情報端末3の内部には、上記の各コイルから発生された磁場を検出する磁場検出部11が搭載されており、この方位角センサ10には、互いに直交した面を向いた3軸の磁気センサであるx軸磁気センサ10aとy軸磁気センサ10bとz軸磁気センサ10cが搭載されている。
【0055】
この磁気センサ10a〜10cは、ホール素子,MR素子,GMR素子,MI素子などの半導体型の磁気センサである。また、データ送信部16は、方位角センサ10内の3軸の磁気センサ10a〜10cが検出した磁場をデジタル信号へと変換した磁気データを、情報端末3の外部の演算部4内のデータ受信部17へと送信することができる。なお、図1では、情報端末3のデータ送信部16から磁気データを無線で演算部4へと送信する様子が描かれている(鉤型の点線矢印が無線で送信される磁気データを表している)。
【0056】
用途によっては、必ずしも無線である必要はなく、情報端末3と演算部4を有線で接続し、データの送受信を行っても良い。また、演算部4も情報端末3の外部に描かれているが、演算部4を情報端末3の内部に搭載して、演算部4のデータを情報端末3の外部のデータ表示部5とやり取りしても良い。この際、用途に応じて無線でも有線でも構わない。なお、情報端末3とは、利用者が何らかの情報を得ることのできる部分や部位を意味し、例えば、携帯電話,PDA(Personal Digital Assistant;パーソナルデジタルアシスタント),カプセル内視鏡,内視鏡,ゲーム機など多様なものを意味している。また、演算部4は、例えば、携帯電話、PDA、ゲーム機向け、あるいはカプセル内視鏡、内視鏡向けの計測器またはPC(Personal Computer;パーソナルコンピューター)内のCPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)、DSP(Digital Signal Processor;デジタルシグナルプロセッサ)、マイクロコンピューターなどに、メモリやハードディスクのような記憶装置や、外部との通信機能などを利用して構成する。また、データ表示部5は、演算部4からの出力信号を利用者へ表示する機能を有する部分で、例えば、上述した携帯電話、PDA、ゲーム機、計測器、PC用のディスプレイを利用して構成する。
【0057】
図3は、情報端末3の座標系についての説明図である。情報端末3の長手方向をx軸、短手方向をy軸とし、x軸とy軸に垂直なz軸で、右手系の座標系xyz座標系(端末座標系と呼ぶ)を定義する。また、情報端末3に搭載された方位角センサ10が有する互いに直交な3軸の磁気センサ10a〜10cの方向は、それぞれxyz座標系を構成する各軸の方向と一致しているものとする。すなわち、x軸,y軸,z軸の磁気センサ10a〜10cがあり、それぞれの出力の増大方向(正方向)がxyz座標系の各軸の正方向の向きである。
【0058】
図4は、本発明の位置姿勢検出システムにおける実施例1の位置姿勢検出装置の具体的な構成ブロック図である。この位置姿勢検出装置は、磁場検出部11と演算部4とから構成され、この演算部4は、データ受信部17とフーリエ変換部18と磁場ベクトル算出部19と位置姿勢算出部20を備えている。磁場検出部11は、上述したように方位角センサ10とデータ送信部16とから構成されている。
【0059】
この方位角センサ10は、x軸磁気センサ10aとy軸磁気センサ10bとz軸磁気センサ10cとの3軸の磁気センサと、この3軸の磁気センサを選択して選択された軸の磁気センサからの出力信号を取得するマルチプレクサ部12と、このマルチプレクサ部12を介して磁気センサを駆動する磁気センサ駆動部13と、マルチプレクサ部12からの出力信号を増幅する信号増幅部14と、この信号増幅部14からの増幅信号をA/D変換しデータ送信部16へ出力するA/D変換部15とから構成されている。データ送信部16は、A/D変換部15で変換された信号を演算部4に送信する。
【0060】
このような構成により、磁気センサ駆動部13は、マルチプレクサ部12を介して磁気センサ10a〜10cを駆動する。マルチプレクサ部12は、測定する軸の磁気センサを選択する。選択された軸の磁気センサの信号は、信号増幅部14において適切な大きさに増幅され、A/D変換部15においてアナログ信号からデジタル信号へと変換される。デジタル化された信号は、データ送信部16から磁気データとして演算部4へと送信される。
【0061】
演算部4において、データ受信部17は、磁場検出部11のデータ送信部16からの磁気データを受信し、フーリエ変換部18へと送る。フーリエ変換部18は、データ受信部17から所望量(例えば、128Hzのサンプリング周波数で測定を行う場合、1Hzの周波数分解能が必要であれば128個のデータ量となる)の3軸の磁気センサからの磁気データを取得した後に、それらに対しFFT演算を実行し、各コイルから発生する交流磁場の各周波数成分(それぞれ角周波数成分が、MωとNω)における、各軸の磁気センサが測定した信号強度(振幅)と位相を算出し、磁場ベクトル算出部19へと送る。
【0062】
磁場ベクトル算出部19は、フーリエ変換部18からの各軸の磁気センサが測定した各周波数成分における振幅と位相から、特願2007−30803号に記載の方法によって、各コイルからの磁場ベクトルを算出する。ここで、磁場ベクトル算出部19において磁場ベクトルを算出する過程について簡単に説明を行う。ここではコイルXiからの磁場ベクトルmxiの算出だけについて説明する。
【0063】
上述した(式1)、(式2)のように、コイルXiからの発生磁場Bxiは、位相がΘ,Φと表せるような第1と第2の周波数成分、MωとNωをもっているとする。x軸の磁気センサから測定された所望量の磁気データがFFT演算され、それらの周波数成分における振幅と位相を、A_x(Mω)、θ_x(Mω)、φ_x(Nω)(ここで、振幅は第1の周波数成分だけでよい)とすると、振幅の符号(x軸センサの正方向とBxiの正方向との関係を表す)が以下のようにして決定できる。
【0064】
まず、振幅の符号を判定するための数値η_x(符号判定値)が次式で定義される。
η_x=M×φ_x(Nω)−N×θ_x(Mω)(但し、0≦η_x<2π)・・・(式3)
磁気センサの正方向と、発生磁場の正方向が一致している場合、
θ_x(Mω)=Mωt+Ωθ−2πp・・・(式4)
φ_x(Nω)=Nωt+Ωφ−2πq・・・(式5)
(但し、p、qは0≦θ_x(Mω),φ_x(Nω)<2πにするための整数)となり、(式3)から
η_x=(MΩθ−NΩφ)+2π(Np−Mq)−2πν・・・(式6)
となる(但し、νは0≦η_x<2πにするための整数)。
【0065】
一方、磁気センサの正方向と、発生磁場の正方向が一致していない場合、
θ_x(Mω)=Mωt+Ωθ+π−2πp’ ・・・(式7)
φ_x(Nω)=Nωt+Ωφ+π−2πq’ ・・・(式8)
(但し、p’、q’は0≦θ_x(Mω),φ_x(Nω)<2πにするための整数)となるので、
η_x=(MΩθ−NΩφ)+π(M−N)+2π(Np’−Mq’)−2πν’・・・(式9)
となる(但し、ν’は0≦η_x<2πにするための整数)。(式6)と(式9)の振幅符号判定値は、π(M−N)分異なっている。このことから、磁気センサの正方向と発生磁場の正方向の関係が判断できる。
【0066】
ここで、MΩθ−NΩφ=π/2とし、M、Nが互いに偶奇の異なる正の整数であれば、x軸の磁気センサが測定したBxiの振幅A_x(Mω)は、正負の符号がついた振幅、
A_x’(Mω)=A_x(Mω)×Sign(Sin(η_x))・・・(式10)
として算出される(但し、Sign(k)はkの符号を表し、−1又は+1となる)。なお、η_xによって適切な符号が算出できるようにSign関数を決めておけば、MΩθ−NΩφ=π/2でなくても良い。
【0067】
同様な方法で、磁場Bxiを、y軸、z軸の磁気センサが検出する符号付き振幅を求め、それらをA_y’(Mω)、A_z’(Mω)とすると、3軸の磁気センサを有する方位角センサ10が測定した位置におけるBxiの大きさと向きを表す磁場ベクトルmxiとして求めることができる。すなわち、
mxi=(A_x’(Mω),A_y’(Mω),A_z’(Mω))T・・・(式11)
(ATはAの転置を表す)。同様に、その他の各コイルからの磁場についても磁場ベクトルを算出することができる。
【0068】
コイルX1〜コイルXlらの磁場ベクトルをmx1、mx2、…mxlコイルY1〜コイルYmらの磁場ベクトルをmy1、my2、…mymする。そして、これらの磁場ベクトルは位置姿勢算出部20へと出力される。これらの磁場ベクトルは端末座標系でのベクトルとして表現したものとなっている。
【0069】
位置姿勢算出部20では、以下のようにして磁場ベクトル算出部19からの磁場ベクトルから位置と姿勢を表す位置データ(位置情報)と姿勢データ(姿勢情報)を算出する。
【0070】
情報端末3がXg軸座標Xiにある場合、測定されるXg軸コイル群1bからの磁場ベクトルでは、mxi-1、mxiとmxi+1がその他のコイルからの磁場ベクトルの大きさよりも大きく、mxiが最大の大きさを持つ。|mxi|(|x|はxの絶対値を表す)が最大のとき、
Ri-1,i=|mxi-1|/|mxi|・・・(式12)
Ri+1,i=|mxi+1|/|mxi|・・・(式13)
として、
Ri-1,i=Ri+1,i・・・(式14)
ならば、コイルXiの中心軸上であるXg座標Xiと判定できる。また、Ri-1,i<Ri+1,iであれば、コイルXiからコイルXi+1の間である。Ri-1,i>Ri+1,iであれば、コイルXi-1からコイルXiの間である。或いは、(式14)の関係からずれている場合、ある閾値Rthを決めて、
1−Rth<Ri-1,i/Ri+1,i<1+Rth・・・(式15)
の関係に収まっている場合に、Xg座標をXiと判断しても良い。つまり、各コイル群から大きさが最大となる磁場ベクトルmxiを検出し、その大きさと一つ隣のコイルからの磁場の大きさとの比を利用して、Xg軸コイル群1bに対しての情報端末3の位置座標を検出できる。また、その最大の大きさの磁場ベクトルmxiを発生しているコイルXiは、Xg軸コイル群1bのうち情報端末3から最短の距離の方向にあるものである。同様な方法で、Yg軸コイル群2bに対して大きさが最大となる磁場ベクトルmyjを検出し、Yg座標Yjを検出できる。なお、Zg軸座標については、Xg軸コイル群1bからの磁場ベクトルで位置座標を決定する際に、どの列のコイルであることがわかるので、Zg座標Zk検出はできている。このようにして、情報端末3の位置データ(Xi,Yj,Zk)を算出できる。すなわち、大きさが最大の磁場ベクトルを特定することで、現在の情報端末3の位置から各磁場発生部の最短距離のコイルを特定し、対応するコイルと情報端末3の方向関係を特定することで、位置情報を算出したことになる。
【0071】
また、磁場ベクトル同士の内積を利用しても良い。各コイルの中心軸上の磁場ベクトル同士では内積は0である。すなわち、Xg軸コイル群1b、Yg軸コイル群2bからの磁場ベクトルのいずれかをそれぞれmx、myとすると、
mx・my=0・・・(式16)
となる磁場ベクトルの組み合わせmxi、myjを検出し、位置データを算出するのでも良い。すなわち、磁場同士の角度が所定値(90度)であるような磁場を発生する各磁場発生部のコイルを、磁場ベクトル同士の所望の内積(式16)から特定し、対応するコイルと情報端末3の方向関係を特定することで、位置情報を算出したことになる。
【0072】
そして、情報端末3の姿勢データは次のように算出できる。
検出された端末座標系の磁場ベクトルmxi、myjから絶対座標系を表す正規直交基底ベクトルex、ey、ezが次のように表現できる。
ex=mxi/|mxi|・・・(式17)
ey=myj/|myj|・・・(式18)
ez=mxi×my/|mxi×myj|・・・(式19)
【0073】
ここで、×はベクトル同士の外積演算を表す演算子である。そして、X=(exeyez)で3行3列行列を表現すると、任意の絶対座標系の任意のベクトルrgは、次のような変換で端末座標系のベクトルrとして表現されることになる。
Xrg=r・・・(式20)
【0074】
すなわち、端末座標系のベクトルrから、
rg=X-1r=XTr・・・(式21)
として、絶対座標系でのベクトルrgへと変換することができる。
【0075】
情報端末3の長手方向(端末座標系のx軸方向)はrx=(1,0,0)Tと表されるが、このベクトルをXTによって絶対座標系で表したベクトルrxg=(Rx,Ry,Rz)Tへと変換されるとすると、この長手方向が、Xg軸となす角ψ、XgYg平面となす角αを以下の式で算出することができる。
ψ=tan-1(Ry/Rx)・・・(式22)
α=tan-1(Rz/(Rx2+Ry2)1/2)・・・(式23)
【0076】
これらは、情報端末3の長手方向の姿勢を表している姿勢データである。同様に短手方向や端末座標系のz軸方向の姿勢も表現できる。
【0077】
図5は、本発明の位置姿勢検出システムの実施例1の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。まず、Xg軸、Yg軸の方向を向いた各軸コイル群1a,2aの各コイルから、異なる2つの周波数をもつ磁場を発生する(ステップS1)。次に、各コイルから発生中の磁場を、3軸の磁気センサを有する方位角センサ10で測定し、デジタル信号として各軸の磁気データを取得する(ステップS2)。
【0078】
次に、FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得したかどうか判断する(ステップS3)。FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得していれば次のステップS4へ進み、FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得していなければステップS2へ戻る。
【0079】
次に、取得された所望量の各軸の磁気データに対しFFT演算を行い、各磁場の周波数成分における各軸の振幅と位相を算出する(ステップS4)。そして、各磁場の周波数成分における各軸の振幅と位相から、各磁場の大きさと向きを表す、位置姿勢検出に必要な各コイルからの磁場ベクトルを算出する(ステップS5)。
【0080】
次に、算出した各コイルからの磁場ベクトルから、コイル群ごとに大きさが最大の磁場ベクトルを算出する(ステップS6)。そして、検出された大きさが最大の磁場ベクトルとその1つ隣のコイルからの磁場ベクトルの大きさを比較して情報端末3の位置データを算出する(ステップS7)。そして、大きさが最大の磁場ベクトルから情報端末3の姿勢データを算出する(ステップS8)。
【0081】
図6は、図5に示した本発明の位置姿勢検出システムの実施例1の動作を説明するためのフローチャートにおいて、ステップS6〜ステップS8を、内積を利用したものと置き換えた場合の手順をフローチャートに示す図である。
【0082】
すなわち、図5のステップS5の後、算出した各コイルからの磁場ベクトルから、内積が算出されていない2つの磁場ベクトルの組を各軸コイル群から選ぶ(ステップS6a)。そして、選んだ磁場ベクトルの組から算出した内積が所望の内積(実施例ではXg軸とYg軸は直交しているので0)と一致するかどうか判断する(ステップS7a)。
【0083】
一致してない場合には、ステップS6aへ戻る。一致していた場合にはステップS8aへ進む。そして、所望の内積と一致した磁場ベクトルの組み合わせから現在の情報端末3の位置データを算出する(ステップS8a)。そして、その磁場ベクトルの組み合わせから情報端末3の姿勢データを算出する(ステップS9a)
【0084】
以上のようにして、大きさが最大となる磁場ベクトルを検出し、発生している各磁場発生部のコイルを、または内積によって磁場同士がなす角度が所定値(90度)となる磁場を発生する各磁場発生部のコイルを特定し、各コイルと磁場検出部11(方位角センサ10)の方向関係を特定することで、位置データと姿勢データを算出することができた。算出されたデータはデータ表示部5へと送られ、情報端末3の位置と姿勢を利用者に表示する。
【0085】
なお、2つの磁場発生部がなす角が必ずしも90度でなくても、同様な手順によって本発明を利用することができる。
また、実施例1は、2次元平面の位置姿勢検出にも適用できる。その場合、2軸の磁気センサを有する方位角センサでも良い。
【0086】
[実施例2]
図7は、本発明の位置姿勢検出システムの実施例2を示す全体構成図である。この位置姿勢検出システムは、磁場発生部30aと磁場発生部30bと磁場検出部11を有する情報端末3と演算部4とデータ表示部5とから構成されている。
【0087】
磁場発生部(第1の磁場発生部)30aは、コイル用電源31aとコイル磁場発生方向変更部32aとコイル33aから構成され、また同様に、磁場発生部(第2の磁場発生部)30bは、コイル用電源31bとコイル磁場発生方向変更部32bとコイル33bから構成されている。磁場発生部30aは、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生するものである。また、磁場発生部30bは、磁場発生部30aとは異なる指向性で、かつ磁場発生部30aが発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生するものである。また、各磁場発生部は磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルからなっている。
【0088】
図8は、本発明の位置姿勢検出システムにおける実施例2の位置姿勢検出装置の具体的な構成ブロック図である。この位置姿勢検出装置は、磁場検出部11と演算部4と磁場発生部30a,30bとから構成されている。磁場発生部30a,30bについては、図7に示した通りである。
【0089】
磁場検出部11は、方位角センサ10とデータ送信部16とから構成されている。演算部4は、データ受信部17とフーリエ変換部18と磁場ベクトル算出部19と位置姿勢算出部20とを備えている。 図9は、各コイル(コイル33a,33b)からの磁場BA、BBの向きと、情報端末3の配置を示した図である。右手系の座標系XgYgZg座標系(絶対座標系と呼び、Xg軸、Yg軸、Zg軸はそれぞれ互いに直交している)が定義され、コイル33aは位置座標(0,0,0)に、コイル33bは位置座標(Xb,Yb,0)に配置されている。この図9において各コイルからの磁場BA、BBは、情報端末3が存在する方向位置座標(Xp,Yp,Zp)を向いている。また、情報端末3には実施例1と同様に端末座標系が定義され、情報端末3は任意の姿勢にある。
【0090】
コイル33aは、コイル磁場発生方向変更部32aの出力から磁場の発生する方向を変更できる。例えば、機械的な可動部を備え、コイルの姿勢を変更して磁場の発生方向を変更する。そして変更した方向に、コイル用電源31aから供給された電流によって磁場を発生できる。同様に、コイル33bもコイル磁場発生方向変更部32bの出力から磁場の発生する方向を変更できる。そして変更した方向にコイル用電源31bから供給された電流によって磁場を発生できる。また、コイル33a,33bは、その磁場発生面の中心軸上において最も強い指向性を有する磁場を発生する。例えば、スパイラルコイルなどである。
【0091】
コイル用電源31a,31bは、それぞれコイル33a,33bに、周波数が異なる2つの交流電流(又は電圧)を重ね合わせて供給する。コイル用電源31aからの交流電流(又は電圧)は、第1と第2の周波数の角周波数が、偶奇が異なる正の整数MA、NAを用いて、それぞれMAωA、NAωAである(最小の整数比として周波数比がMA:NAである)。同様に、コイル用電源31bからはMBωB、NBωBの角周波数を持つ交流電流(又は電圧)をコイル33bに供給する。これらの各角周波数はそれぞれ互いに異なるものであるとする。
【0092】
そして、各コイルに各電源からの電流を供給することで磁場を発生でき、コイル33aからの磁場BA、コイル33bからの磁場BBは、それぞれ、MAωAとNAωA、MBωBとNBωBの組み合わせの角周波数を持つ。
【0093】
これらBA、BBの各周波数成分の位相関係は、例えば、BAの第1と第2の周波数成分の位相ΘA,ΦAは次のように表されるものとする。
ΘA=MAωAt+ΩθA ・・・(24)
ΦA=NAωAt+ΩφA ・・・(25)
(第1の周波数成分、第2の周波数成分ともに時間t=0においてそれぞれΩθA、ΩφAであるとする)。BBについても同様な形式で表現できるものとする。
【0094】
コイル磁場発生方向変更部32aは、演算部4の位置姿勢算出部20の出力から、コイル33aが磁場を発生する方向を変更する。コイル磁場発生方向変更部32bは、演算部4の位置姿勢算出部20の出力から、コイル33bが磁場を発生する方向を変更する。
【0095】
データ表示部5は、演算部4の出力から情報端末3の位置と姿勢を利用者に表示する。磁場検出部11の構成及び動作は実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0096】
演算部4において、データ受信部17は、磁場検出部11のデータ送信部16からの磁気データを受信し、フーリエ変換部18へと送る。フーリエ変換部18は、データ受信部17からの所望量(例えば、128Hzのサンプリング周波数で測定を行う場合、1Hzの周波数分解能が必要であれば128個のデータ量となる)の3軸の磁気センサからの磁気データを取得した後に、それらに対しFFT演算を実行し、各コイルから発生する交流磁場、BA、BBの各周波数成分(それぞれ角周波数成分が、MAωAとNAωA、MBωBとNBωB)における、各軸の磁気センサが測定した信号強度(振幅)と位相を算出し、磁場ベクトル算出部19へと送る。
【0097】
磁場ベクトル算出部19は、フーリエ変換部18からの各軸の磁気センサが測定した各周波数成分における振幅と位相から、特願2007−30803号(又は実施例1)に記載の方法によって、角周波数がMAωA、MBωBの周波数成分の磁場ベクトル、それぞれma、mbを算出する。これらは、方位角センサ10が測定した位置における、BA、BBの角周波数がMAωA、MBωBの成分の磁場の大きさと向きを端末座標系でのベクトルとして表現したものとなっている。
【0098】
そして、位置姿勢算出部20は、磁場ベクトル算出部19で算出された磁場ベクトルma、mbから、(絶対座標系の)情報端末3の姿勢データ(位置情報)と位置データ(姿勢情報)を算出し、データ表示部5へと送る。
【0099】
ここで、位置姿勢算出部20が、情報端末3の姿勢データと位置データを算出する手順の一例について説明する。まず、情報端末3の位置データを求める。
最初の各コイル(コイル33a,33b)の磁場発生方向において、磁場ベクトル算出部19で算出された端末座標系の磁場ベクトルma、mbをまず保持し、次に各コイルの磁場発生方向を変更した後、もう一度測定を行い磁場ベクトルma’、mb’を算出する。この操作を繰り返し、いくつかの磁場発生方向に対するいくつかの磁場ベクトルが得られると、その中で絶対値(ベクトルの大きさ)が極大を示す磁場ベクトルmamax、mbmaxが存在する。すると、その極大値を示す磁場ベクトルの方向が、各コイルと情報端末3の最短距離となる方向であり、各コイルから発生する磁場の方向が情報端末3のある方向に一致する。すなわち、各磁場発生部のコイル(コイル33a,33b)と磁場検出部11(方位角センサ10)の方向関係が特定されたことになる。
【0100】
極大値を示す磁場BAmax、BBmaxをXgYg平面へ射影したベクトルがXg軸となす角をαi,XgYg軸となす角を−βi(iは磁場を発生するコイル33a,33bをA,Bとして区別する添え字)とすると、
BAmax=BA(cosαAcosβA,sinαAcosβA,−sinβA)・・・(式26)
BBmax=BB(cosαBcosβB,sinαBcosβB,−sinβB)・・・(式27)
と表現できる。
【0101】
これらのベクトルがなすコイル33a,33b、情報端末3を結ぶ三角形をXgZg平面、YgZg平面に射影すると、それぞれの面でなす三角形の各角度が算出でき、各コイルの位置座標がわかっていることから、情報端末3の位置を割り出すことができる。
【0102】
図10は、各コイルからの磁場BAmax、BBmaxをXgZg平面へ射影した場合になす三角形の説明図である。XgZg平面では、コイル33a,33b、情報端末3の位置がA’点(0,0)、B’点(XB,0)、P’点(Xp,Zp)へと射影されて三角形をなしている。BAmax、BBmaxをXgYg面へ射影したベクトルBA’、BB’は、線分A’P、B’P上にある。Zg軸方向から、BA’、BB’へ時計回りに見た角度をそれぞれσA’とσB’とすると、三角形の内角∠P’A’B’と∠P’B’A’が(式26)、(式27)のx成分とz成分から求められるので、
σA’=∠P’A’B’−3π/2・・・(式28)
σB’=π/2−∠P’B’A’・・・(式29)
となって、以下のようにP’点のXp,Zpを算出できる。
Xp=(−ZA+ZB+XAtanσA’−XBtanσB’)/(tanσA’−tanσB’) ・・・(式30)
Zp=(−XA+XB+ZAcotσA’−ZBcotσB’)/(cotσA’−cotσB’) ・・・(式31)
【0103】
ここで、XAとZAはA’点のXg、Zg座標値で0、ZBはB’点のZg座標で0である。同様にYpもYZ平面への射影された三角形から同様の手順で算出できる。これで情報端末3の位置を表す位置データ(Xp,Yp,Zp)を算出できた。
【0104】
次に、情報端末3の姿勢データを求める。
MA=BAmax/|BAmax|・・・(式32)
MB=BBmax/|BBmax|・・・(式33)
とすると、これらは磁場の発生方向を示すベクトルであり、1次独立な正規直交基底を形成する。その正規直交基底で表現されるMAMB座標系から地上座標系への変換行列Hが求められて、MAMB座標系のベクトルrHは、任意の絶対座標系のベクトルrgへと変換される。
HrH=rg・・・(式34)
【0105】
そして、端末座標系で測定された磁場ベクトルmamax、mbmaxも、同様に正規直交基底を形成でき、MAMB座標系から端末座標系への変換行列Lが求められて、ベクトルrHは、端末座標系のベクトルrpへと変換される。
LrH=rp・・・(式35)
【0106】
行列Lは逆行列を持ち、
HL-1rp=rg・・・(式36)
として、端末座標系から地上座標系へと変換できる。したがって、情報端末3の姿勢データを実施例1と同様に算出することができる。
【0107】
以上のようにして、位置データと姿勢データを算出することができた。算出されたデータはデータ表示部5へと送られ、情報端末3の位置を利用者に表示する。
【0108】
図11は、本発明の位置姿勢検出システムの実施例2の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。すなわち、各コイルの初期の磁場発生方向を決定する(ステップS1)。各コイルから異なる2つの周波数をもつ磁場を発生する(ステップS2)。次に、各コイルから発生中の磁場を、3軸の磁気センサを有する方位角センサ10で測定し、デジタル信号として各軸の磁気データを取得する(ステップS3)。
【0109】
次に、FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得したかどうか判断する(ステップS4)。FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得していれば次のステップS5へ進み、FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得していなければステップS3へ戻る。
【0110】
次に、取得された所望量の各軸の磁気データに対しFFT演算を行い、各磁場の周波数成分における各軸の振幅と位相を算出する(ステップS5)。そして、各磁場の周波数成分における各軸の振幅と位相から、各磁場の大きさと向きを表す、磁場ベクトルを算出する(ステップS6)。そして、各コイルの初期設定の磁場発生方向から現在の設定の方向の間に、各コイルからの磁場ベクトルの大きさが極大となる方向がすべてのコイルに存在するかどうか判断する(ステップS7)。
【0111】
すべてのコイルに極大方向が存在していなければ、極大方向が存在していないコイルに対し次の磁場発生方向へ変更し(ステップS8)、(ステップS3)へ戻る。すべてのコイルに極大方向が存在している場合はステップS9へ進む。そして、各磁場ベクトルの大きさが極大となった各コイルの磁場発生方向から情報端末3の位置データを算出する(ステップS9)。各磁場ベクトルと各コイルの磁場発生方向から情報端末3の姿勢データを算出する(ステップS10)。
【0112】
以上のような手順によって、2つの磁場発生部30a,30bからの磁場発生方向が指向性を有することで、各磁場発生部(30a,30b)のコイルの方向を特定し、各コイルと磁場検出部11(方位角センサ10)の方向関係を特定することで、情報端末3が存在する位置と情報端末3の姿勢を求めることができた。また、実施例2は、2次元平面の位置姿勢検出にも適用できる。その場合、2軸の磁気センサを有する方位角センサでも良い。本発明において、指向性を有する磁場とは、特定の方向に強度が大きい磁場のことを言う。
【0113】
以上、本発明よって、異なる複数の周波数を持ち指向性を有する磁場発生部を複数構成することで、情報端末に搭載された複数の磁気センサを有する磁場検出部によって検出された信号から、演算部において磁場検出部と複数の磁場発生部との方向関係を算出し、情報端末の位置と姿勢を検出することが可能となった。
【0114】
また、検出したい磁場が特定の周波数であることがわかっているので、その他の周波数成分には影響されず、その他の周波数の交流磁場やノイズ磁場がある磁場環境でも識別が可能である。さらに、発生させる磁場は、最小の整数で表される周波数比が偶数対奇数であって、位相が既知である周波数成分を含むだけなので、磁場発生の構成が簡単であり、測定した信号を周波数帯域毎に分離するフィルタを利用する必要がないので、周波数選択の自由度が高い。また、システムを構成後に自由に周波数を選択できる。
【0115】
また、磁場検出部で測定軸ごとに周波数帯域を分離するフィルタが必要でないことは、回路規模も小さく済み、小型かつ安価な磁気センサとして実現可能である。また、磁場の発生と測定を同期して行わなくてよいので、構成が容易で、一度磁場を発生すると、任意のタイミングで測定を開始でき、その後連続的な測定が可能である。
【0116】
本発明は、以上の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の位置姿勢検出システムの実施例1を示す全体構成図である。
【図2】あるZg座標(Zg=Zkとする平面)におけるXg軸コイル群、Yg軸コイル群の配置と情報端末の配置の説明図である。
【図3】情報端末の座標系についての説明図である。
【図4】本発明の位置姿勢検出システムにおける実施例1の位置姿勢検出装置の具体的な構成ブロック図である。
【図5】本発明の位置姿勢検出システムの実施例1の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図6】図5に示した本発明の位置姿勢検出システムの実施例1の動作を説明するためのフローチャートにおいて、ステップS6〜ステップS8を、内積を利用したものと置き換えた場合の手順をフローチャートに示す図である。
【図7】本発明の位置姿勢検出システムの実施例2を示す全体構成図である。
【図8】本発明の位置姿勢検出システムにおける実施例2の位置姿勢検出装置の具体的な構成ブロック図である。
【図9】各コイルからの磁場BA、BBの向きと、情報端末の配置を示した図である。
【図10】各コイルからの磁場BAmax、BBmaxをXgZg平面へ射影した場合になす三角形の説明図である。
【図11】本発明の位置姿勢検出システムの実施例2の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図12】磁気センサの正方向が正弦波状の交流磁場の入射方向に対して同方向の場合(a)と反対方向の場合(b)に測定された出力信号の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0118】
1 Xg軸方向磁場発生部
1a Xg軸コイル電源群
1b Xg軸コイル群
2 Yg軸方向磁場発生部
2a Yg軸コイル電源群
2b Yg軸コイル群
3 情報端末
4 演算部
5 データ表示部
10 方位角センサ
10a x軸磁気センサ
10b y軸磁気センサ
10c z軸磁気センサ
11 磁場検出部
12 マルチプレクサ部
13 磁気センサ駆動部
14 信号増幅部
15 A/D変換部
16 データ送信部
17 データ受信部
18 フーリエ変換部
19 磁場ベクトル算出部
20 位置姿勢算出部
30a,30b 磁場発生部
31a,31b コイル用電源
32a,32b コイル磁場発生方向変更部
33a,33b コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置姿勢検出システム及びその検出方法並びに位置姿勢検出装置に関し、より詳細には、交流磁場を利用して連続的に測定ができ、かつ周波数の設定の自由度が大きく、しかも構成が簡単な位置姿勢検出システム及びその検出方法並びに位置姿勢検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報端末の位置と姿勢を検出する位置姿勢検出システムのニーズが高まってきている。例えば、モーションキャプチャにおけるヘッドマウントディスプレイのような可動体の位置・姿勢を検出するための位置姿勢検出システムや、医療機器の分野において、挿入型の内視鏡やカプセル内視鏡のように目視できない場所にある情報端末の位置・姿勢を計測する位置姿勢検出システムなどが挙げられる。
【0003】
これら情報端末の位置と姿勢を検出する方法として、交流磁場を利用する方法がある。そのとき、交流磁場の発生する向きと測定に利用される磁気センサの向きが問題となる。例えば、磁気センサに磁場が入射してくると出力信号が増大する方向(以下、磁気センサの正方向という)が、交流磁場の正方向と同方向である場合に測定する交流信号と、磁気センサの正方向が交流磁場の正方向と反対の向きである場合に測定する交流信号は、見かけ上は区別ができない。
【0004】
図12(a),(b)は、磁気センサの正方向が正弦波状の交流磁場の入射方向に対して同方向の場合(図12a))と反対方向の場合(図12(b))に測定された出力信号の様子を示す図である。図12(a),(b)共に、出力信号は正弦波となり、半波長分ずれた状態であるだけで、信号を適当な瞬間から連続的に取得している場合には交流磁場がどちらの方向から入射してきたか区別できない。従って、信号強度(振幅)だけを検出しても磁気センサの向きを判断し、振幅について正負の符号を持たせることはできない(符号とは、図12(a)のように磁気センサの正方向が交流磁場の入射方向と同じであれば正の符号(+)、図12(b)のように磁気センサの正方向が交流磁場の入射方向と反対であれば負の符号(−)と定義する)。すなわち、振幅の符号を手がかりに、磁気センサの向きを判断できない。
【0005】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1では、発生コイルから正弦波Aと正弦波Bを重ね合わせた磁場を発生させ、受信コイルで磁場を計測し、正弦波Aと正弦波Bを周波数帯域ごとに分離し、それぞれの振幅を比較することで発生コイルが磁場を出力した方向と受信コイルの向きとを判断していた。
【0006】
また、カプセル内視鏡の開発では、例えば、非特許文献1のように、発生コイルでの交流磁場を発生に同期させて、受信コイルで磁場を検出し、FFT(Fast fourier Transform;高速フーリエ変換)演算を施すことによって各周波数の信号強度(振幅)を検出し、また、信号検出時からFFT演算を施すまでのデータから位相を算出し、同じ時間を基準とすると磁気センサの向きと磁場の向きが同方向と反対方向の場合で位相がπずれていることから、検出した交流磁場の振幅の符号を決定していた。
【0007】
また、特願2007−30803号においては、同期信号を必要としないように、コイルから位相関係が既知の複数の磁場を重ね合わせて発生させて、磁気センサが測定した信号をFFT演算することで、測定された複数の交流磁場の位相を求め、位相関係に応じて検出した交流磁場の振幅の符号を決定していた。
【0008】
【特許文献1】特開2006−214979号公報
【非特許文献1】生体医工学 41−4,239/249(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された方法では、正弦波Aが正出力を行っている場合に同期して正弦波Bを発生させる間欠駆動という複雑な構成が必要である。また、受信コイルごとにそれぞれの周波数を分離するための帯域の決まったフィルタが必要であり、さらに正弦波Aと正弦波Bに利用する周波数が10倍以上異なっている必要もあり、周波数の設定の自由度が低いという問題があった。また、システム構成として、発生コイルが動く構成となっており、磁場を発生させるための電源を情報端末へ搭載せねばならず、最近の情報端末に必須な小型化と省電力を図りにくいという問題があった。
【0010】
また、上述した非特許文献1に記載された方法では、同じ時間からの位相を検出するために、交流磁場(あるいは電流)の発生と同期して信号を測定しなければならず、そのためのトリガ(同期信号)又は参照信号を、発生する磁場毎に常に必要とし、構成が容易でなく、連続的な測定を行うことが難しいという問題があった。
【0011】
また、特願2007−30803号に記載されたシステムだけでは、情報端末の方向の検出はできても、位置の検出まではできなかった。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、交流磁場を利用して連続的に測定ができ、かつ周波数の設定の自由度が大きく、しかも構成が簡単な位置姿勢検出システム及びその検出方法並びに位置姿勢検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、位置姿勢検出システムであって、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部と、該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部と、前記第1及び第2の磁場発生部から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部と、該磁場検出部により検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1の磁場発生部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記第2の磁場発生部は、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記演算部は、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1の磁場発生部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記第2の磁場発生部は、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記演算部は、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値かを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値かを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1及び第2の磁場発生部は、それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルからなり、前記演算部は、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0020】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項9に記載の発明は、位置姿勢検出方法であって、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部による第1の磁場発生ステップと、該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部による第2の磁場発生ステップと、前記第1及び第2の磁場発生部から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部による磁場検出ステップと、該磁場検出ステップにより検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算ステップとを有することを特徴とする。
【0022】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする。
【0023】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記演算ステップは、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0024】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記演算ステップは、前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生ステップにおいて前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップとを有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項13に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記演算ステップは、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0026】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、前記演算ステップは、前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生ステップにおいて前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップとを有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項15に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記演算ステップは、それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0028】
また、請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明において、前記演算ステップは、前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップとを有することを特徴とする。
【0029】
また、請求項17に記載の発明は、位置姿勢検出装置であって、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部と、該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部とから発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部と、該磁場検出部により検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算部とを備えたことを特徴とする。
【0030】
また、請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の発明において、前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする。
【0031】
また、請求項19に記載の発明は、請求項17又は18に記載の発明において、前記演算部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0032】
また、請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0033】
また、請求項21に記載の発明は、請求項17又は18に記載の発明において、前記演算部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0034】
また、請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【0035】
また、請求項23に記載の発明は、請求項17又は18に記載の発明において、前記演算部は、それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする。
【0036】
また、請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の発明において、前記演算部は、前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、異なる複数の周波数を持ち特定の方向に強い磁場を発生する指向性を有する磁場発生部を複数構成することで、情報端末に搭載された複数の磁気センサを有する磁場検出部によって検出された信号から、演算部において磁場検出部と複数の磁場発生部との方向関係を算出し、情報端末の位置と姿勢を検出することが可能となった。
【0038】
また、交流磁場を利用して連続的に測定ができ、かつ、周波数の設定の自由度が大きく、しかも、構成が簡単な位置姿勢検出システムを提供することができる。また、同様に、その位置姿勢検出方法及び位置姿勢検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の位置姿勢検出システムの実施例1を示す全体構成図で、図中符号1はXg軸方向磁場発生部、1aはXg軸コイル電源群、1bはXg軸コイル群、2はYg軸方向磁場発生部、2aはYg軸コイル電源群、2bはYg軸コイル群、3は磁場検出部11を有する情報端末、4は演算部、5はデータ表示部を示している。なお、符号10は方位角センサを示している。
【0040】
右手系のXgYgZg座標系が定義された空間があり、Xg軸方向磁場発生部1は、Xg軸方向へ、Yg軸方向磁場発生部2は、Yg軸方向へ磁場を発生する。Xg軸方向磁場発生部1は、Xg軸コイル電源群1aとXg軸コイル群1bとから構成されている。同様にYg軸方向磁場発生部2は、Yg軸コイル電源群2aとYg軸コイル群2bとから構成されている。
【0041】
Xg軸コイル群1bは、YgZg平面に平行な面上で、Xg軸方向に磁場を発生するよう等間隔に並べられた複数のコイルの集まりであり、Yg軸方向にl個並べられた列が、Zg軸方向にn列並べられている。Yg軸コイル群2bは、XgZg平面に平行な面上で、Yg軸方向に磁場を発生するよう等間隔に並べられた複数のコイルの集まりであり、Xg軸方向にm個並べられた列が、Zg軸方向にn列並べられている。なお、l、m、nは1以上の整数である。
【0042】
Xg軸コイル群1bのZg軸方向に並べられたn列の各列と、Yg軸コイル群2bのZg軸方向に並べられたn列の各列は、XgYg平面に対して並行な同一平面上にある。また、Xg軸コイル群1bとYg軸コイル群2bはともに、一方のコイル群が磁場を発生する空間に重ならないように配置されている。また、各コイルは、その磁場発生面の中心軸上において最も強い磁場を発生する。例えば、スパイラルコイルを利用するものとする。したがって、Xg軸コイル群1bはXg軸の方向に、Yg軸コイル群2bはYg軸の方向に強い磁場を発生する。
【0043】
本発明の位置姿勢検出システムは、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2と磁場検出部11を有する情報端末3と演算部4とデータ表示部5とから構成されている。
【0044】
Xg軸コイル電源群1aとXg軸コイル群1bとからなるXg軸方向磁場発生部(第1の磁場発生部)1は、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生するものである。また、Yg軸コイル電源群2aとYg軸コイル群2bとからなるYg軸方向磁場発生部(第2の磁場発生部)2は、Xg軸方向磁場発生部1とは異なる指向性で、かつXg軸方向磁場発生部1が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生するものである。
【0045】
また、情報端末3内の磁場検出部11は、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサ10a,10b,10cを有するものである。また、演算部4は、検出された磁場から、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2と磁場検出部11の方向関係を特定することで磁場検出部11の位置情報と姿勢情報を算出するものである。
【0046】
図2は、あるZg座標(Zg=Zkとする平面)におけるXg軸コイル群1b、Yg軸コイル群2bの配置と情報端末3の配置の説明図である。
【0047】
Xg軸コイル群1bは、コイルX1からコイルXlまでl個のコイルがYg軸に平行に等間隔にXg軸の方向に磁場を発生するよう並んでいる。同様に、Yg軸コイル群2bもコイルY1からコイルYmまでのm個がXg軸に平行に等間隔にYg軸の方向に磁場を発生するように並んでいる。
【0048】
このような配置により、各軸コイル群の各コイルの中心軸同士の交差する点でZg=ZkにおけるXgYg座標を形成している。そして、これらのコイルと同じ配置を持った平面がZg軸方向にn面形成されることで、l×m×n個の座標を持つXgYgZg座標空間が形成されている。
【0049】
図2において、情報端末3は、コイルXiとコイルYjの中心軸上の交差点に配置されている。この場合、位置座標は(Xi,Yj,Zk)である。以下の本実施例の説明については、Zg=Zkの平面に情報端末3があるとして説明を行う。
【0050】
Xg軸コイル電源群1aは、それらのコイルの一つ一つに異なる2つの周波数をもつ交流電流を供給できる複数の電源の集まりである。Yg軸コイル電源群2aも同様である。各電源からの交流電流(又は電圧)は、第1と第2の周波数の角周波数が、ある偶奇が異なる正の整数M、Nを用いて、それぞれMω、Nωと表されるものとする(最小の整数比として周波数比がM:Nである)。例えばM=1、N=2である。
【0051】
そして、これら2つの周波数は、電源毎にすべて異なっている。そして、各コイルに上述のように異なる2つの周波数の交流電流を各電源から供給することで磁場を発生でき、各コイルから発生した磁場は、各電源から供給された交流電流の周波数成分を持ち、その周波数成分はそれぞれ異なっている。
【0052】
そして、Xg軸コイル群1bの各コイルから発生する磁場の大きさは、コイルから測定する位置までの距離が同じであればすべて等しい。Yg軸コイル群2bの各コイルから発生する磁場についても同様である。各コイルからの磁場の各周波数成分の位相関係は既知であり、例えば、第1と第2の周波数成分の位相Θ,Φは次のように表されるものとする。
Θ=Mωt+Ωθ ・・・(1)
Φ=Nωt+Ωφ ・・・(2)
(第1の周波数成分、第2の周波数成分ともに時間t=0においてそれぞれΩθ、Ωφであるとする)。
【0053】
情報端末3は、磁場検出部(方位角センサ10とデータ送信部16;後述する図4参照)11を有し、Xg軸方向磁場発生部1とYg軸方向磁場発生部2からの磁場を検出できる空間内に配置されている。
【0054】
情報端末3の内部には、上記の各コイルから発生された磁場を検出する磁場検出部11が搭載されており、この方位角センサ10には、互いに直交した面を向いた3軸の磁気センサであるx軸磁気センサ10aとy軸磁気センサ10bとz軸磁気センサ10cが搭載されている。
【0055】
この磁気センサ10a〜10cは、ホール素子,MR素子,GMR素子,MI素子などの半導体型の磁気センサである。また、データ送信部16は、方位角センサ10内の3軸の磁気センサ10a〜10cが検出した磁場をデジタル信号へと変換した磁気データを、情報端末3の外部の演算部4内のデータ受信部17へと送信することができる。なお、図1では、情報端末3のデータ送信部16から磁気データを無線で演算部4へと送信する様子が描かれている(鉤型の点線矢印が無線で送信される磁気データを表している)。
【0056】
用途によっては、必ずしも無線である必要はなく、情報端末3と演算部4を有線で接続し、データの送受信を行っても良い。また、演算部4も情報端末3の外部に描かれているが、演算部4を情報端末3の内部に搭載して、演算部4のデータを情報端末3の外部のデータ表示部5とやり取りしても良い。この際、用途に応じて無線でも有線でも構わない。なお、情報端末3とは、利用者が何らかの情報を得ることのできる部分や部位を意味し、例えば、携帯電話,PDA(Personal Digital Assistant;パーソナルデジタルアシスタント),カプセル内視鏡,内視鏡,ゲーム機など多様なものを意味している。また、演算部4は、例えば、携帯電話、PDA、ゲーム機向け、あるいはカプセル内視鏡、内視鏡向けの計測器またはPC(Personal Computer;パーソナルコンピューター)内のCPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)、DSP(Digital Signal Processor;デジタルシグナルプロセッサ)、マイクロコンピューターなどに、メモリやハードディスクのような記憶装置や、外部との通信機能などを利用して構成する。また、データ表示部5は、演算部4からの出力信号を利用者へ表示する機能を有する部分で、例えば、上述した携帯電話、PDA、ゲーム機、計測器、PC用のディスプレイを利用して構成する。
【0057】
図3は、情報端末3の座標系についての説明図である。情報端末3の長手方向をx軸、短手方向をy軸とし、x軸とy軸に垂直なz軸で、右手系の座標系xyz座標系(端末座標系と呼ぶ)を定義する。また、情報端末3に搭載された方位角センサ10が有する互いに直交な3軸の磁気センサ10a〜10cの方向は、それぞれxyz座標系を構成する各軸の方向と一致しているものとする。すなわち、x軸,y軸,z軸の磁気センサ10a〜10cがあり、それぞれの出力の増大方向(正方向)がxyz座標系の各軸の正方向の向きである。
【0058】
図4は、本発明の位置姿勢検出システムにおける実施例1の位置姿勢検出装置の具体的な構成ブロック図である。この位置姿勢検出装置は、磁場検出部11と演算部4とから構成され、この演算部4は、データ受信部17とフーリエ変換部18と磁場ベクトル算出部19と位置姿勢算出部20を備えている。磁場検出部11は、上述したように方位角センサ10とデータ送信部16とから構成されている。
【0059】
この方位角センサ10は、x軸磁気センサ10aとy軸磁気センサ10bとz軸磁気センサ10cとの3軸の磁気センサと、この3軸の磁気センサを選択して選択された軸の磁気センサからの出力信号を取得するマルチプレクサ部12と、このマルチプレクサ部12を介して磁気センサを駆動する磁気センサ駆動部13と、マルチプレクサ部12からの出力信号を増幅する信号増幅部14と、この信号増幅部14からの増幅信号をA/D変換しデータ送信部16へ出力するA/D変換部15とから構成されている。データ送信部16は、A/D変換部15で変換された信号を演算部4に送信する。
【0060】
このような構成により、磁気センサ駆動部13は、マルチプレクサ部12を介して磁気センサ10a〜10cを駆動する。マルチプレクサ部12は、測定する軸の磁気センサを選択する。選択された軸の磁気センサの信号は、信号増幅部14において適切な大きさに増幅され、A/D変換部15においてアナログ信号からデジタル信号へと変換される。デジタル化された信号は、データ送信部16から磁気データとして演算部4へと送信される。
【0061】
演算部4において、データ受信部17は、磁場検出部11のデータ送信部16からの磁気データを受信し、フーリエ変換部18へと送る。フーリエ変換部18は、データ受信部17から所望量(例えば、128Hzのサンプリング周波数で測定を行う場合、1Hzの周波数分解能が必要であれば128個のデータ量となる)の3軸の磁気センサからの磁気データを取得した後に、それらに対しFFT演算を実行し、各コイルから発生する交流磁場の各周波数成分(それぞれ角周波数成分が、MωとNω)における、各軸の磁気センサが測定した信号強度(振幅)と位相を算出し、磁場ベクトル算出部19へと送る。
【0062】
磁場ベクトル算出部19は、フーリエ変換部18からの各軸の磁気センサが測定した各周波数成分における振幅と位相から、特願2007−30803号に記載の方法によって、各コイルからの磁場ベクトルを算出する。ここで、磁場ベクトル算出部19において磁場ベクトルを算出する過程について簡単に説明を行う。ここではコイルXiからの磁場ベクトルmxiの算出だけについて説明する。
【0063】
上述した(式1)、(式2)のように、コイルXiからの発生磁場Bxiは、位相がΘ,Φと表せるような第1と第2の周波数成分、MωとNωをもっているとする。x軸の磁気センサから測定された所望量の磁気データがFFT演算され、それらの周波数成分における振幅と位相を、A_x(Mω)、θ_x(Mω)、φ_x(Nω)(ここで、振幅は第1の周波数成分だけでよい)とすると、振幅の符号(x軸センサの正方向とBxiの正方向との関係を表す)が以下のようにして決定できる。
【0064】
まず、振幅の符号を判定するための数値η_x(符号判定値)が次式で定義される。
η_x=M×φ_x(Nω)−N×θ_x(Mω)(但し、0≦η_x<2π)・・・(式3)
磁気センサの正方向と、発生磁場の正方向が一致している場合、
θ_x(Mω)=Mωt+Ωθ−2πp・・・(式4)
φ_x(Nω)=Nωt+Ωφ−2πq・・・(式5)
(但し、p、qは0≦θ_x(Mω),φ_x(Nω)<2πにするための整数)となり、(式3)から
η_x=(MΩθ−NΩφ)+2π(Np−Mq)−2πν・・・(式6)
となる(但し、νは0≦η_x<2πにするための整数)。
【0065】
一方、磁気センサの正方向と、発生磁場の正方向が一致していない場合、
θ_x(Mω)=Mωt+Ωθ+π−2πp’ ・・・(式7)
φ_x(Nω)=Nωt+Ωφ+π−2πq’ ・・・(式8)
(但し、p’、q’は0≦θ_x(Mω),φ_x(Nω)<2πにするための整数)となるので、
η_x=(MΩθ−NΩφ)+π(M−N)+2π(Np’−Mq’)−2πν’・・・(式9)
となる(但し、ν’は0≦η_x<2πにするための整数)。(式6)と(式9)の振幅符号判定値は、π(M−N)分異なっている。このことから、磁気センサの正方向と発生磁場の正方向の関係が判断できる。
【0066】
ここで、MΩθ−NΩφ=π/2とし、M、Nが互いに偶奇の異なる正の整数であれば、x軸の磁気センサが測定したBxiの振幅A_x(Mω)は、正負の符号がついた振幅、
A_x’(Mω)=A_x(Mω)×Sign(Sin(η_x))・・・(式10)
として算出される(但し、Sign(k)はkの符号を表し、−1又は+1となる)。なお、η_xによって適切な符号が算出できるようにSign関数を決めておけば、MΩθ−NΩφ=π/2でなくても良い。
【0067】
同様な方法で、磁場Bxiを、y軸、z軸の磁気センサが検出する符号付き振幅を求め、それらをA_y’(Mω)、A_z’(Mω)とすると、3軸の磁気センサを有する方位角センサ10が測定した位置におけるBxiの大きさと向きを表す磁場ベクトルmxiとして求めることができる。すなわち、
mxi=(A_x’(Mω),A_y’(Mω),A_z’(Mω))T・・・(式11)
(ATはAの転置を表す)。同様に、その他の各コイルからの磁場についても磁場ベクトルを算出することができる。
【0068】
コイルX1〜コイルXlらの磁場ベクトルをmx1、mx2、…mxlコイルY1〜コイルYmらの磁場ベクトルをmy1、my2、…mymする。そして、これらの磁場ベクトルは位置姿勢算出部20へと出力される。これらの磁場ベクトルは端末座標系でのベクトルとして表現したものとなっている。
【0069】
位置姿勢算出部20では、以下のようにして磁場ベクトル算出部19からの磁場ベクトルから位置と姿勢を表す位置データ(位置情報)と姿勢データ(姿勢情報)を算出する。
【0070】
情報端末3がXg軸座標Xiにある場合、測定されるXg軸コイル群1bからの磁場ベクトルでは、mxi-1、mxiとmxi+1がその他のコイルからの磁場ベクトルの大きさよりも大きく、mxiが最大の大きさを持つ。|mxi|(|x|はxの絶対値を表す)が最大のとき、
Ri-1,i=|mxi-1|/|mxi|・・・(式12)
Ri+1,i=|mxi+1|/|mxi|・・・(式13)
として、
Ri-1,i=Ri+1,i・・・(式14)
ならば、コイルXiの中心軸上であるXg座標Xiと判定できる。また、Ri-1,i<Ri+1,iであれば、コイルXiからコイルXi+1の間である。Ri-1,i>Ri+1,iであれば、コイルXi-1からコイルXiの間である。或いは、(式14)の関係からずれている場合、ある閾値Rthを決めて、
1−Rth<Ri-1,i/Ri+1,i<1+Rth・・・(式15)
の関係に収まっている場合に、Xg座標をXiと判断しても良い。つまり、各コイル群から大きさが最大となる磁場ベクトルmxiを検出し、その大きさと一つ隣のコイルからの磁場の大きさとの比を利用して、Xg軸コイル群1bに対しての情報端末3の位置座標を検出できる。また、その最大の大きさの磁場ベクトルmxiを発生しているコイルXiは、Xg軸コイル群1bのうち情報端末3から最短の距離の方向にあるものである。同様な方法で、Yg軸コイル群2bに対して大きさが最大となる磁場ベクトルmyjを検出し、Yg座標Yjを検出できる。なお、Zg軸座標については、Xg軸コイル群1bからの磁場ベクトルで位置座標を決定する際に、どの列のコイルであることがわかるので、Zg座標Zk検出はできている。このようにして、情報端末3の位置データ(Xi,Yj,Zk)を算出できる。すなわち、大きさが最大の磁場ベクトルを特定することで、現在の情報端末3の位置から各磁場発生部の最短距離のコイルを特定し、対応するコイルと情報端末3の方向関係を特定することで、位置情報を算出したことになる。
【0071】
また、磁場ベクトル同士の内積を利用しても良い。各コイルの中心軸上の磁場ベクトル同士では内積は0である。すなわち、Xg軸コイル群1b、Yg軸コイル群2bからの磁場ベクトルのいずれかをそれぞれmx、myとすると、
mx・my=0・・・(式16)
となる磁場ベクトルの組み合わせmxi、myjを検出し、位置データを算出するのでも良い。すなわち、磁場同士の角度が所定値(90度)であるような磁場を発生する各磁場発生部のコイルを、磁場ベクトル同士の所望の内積(式16)から特定し、対応するコイルと情報端末3の方向関係を特定することで、位置情報を算出したことになる。
【0072】
そして、情報端末3の姿勢データは次のように算出できる。
検出された端末座標系の磁場ベクトルmxi、myjから絶対座標系を表す正規直交基底ベクトルex、ey、ezが次のように表現できる。
ex=mxi/|mxi|・・・(式17)
ey=myj/|myj|・・・(式18)
ez=mxi×my/|mxi×myj|・・・(式19)
【0073】
ここで、×はベクトル同士の外積演算を表す演算子である。そして、X=(exeyez)で3行3列行列を表現すると、任意の絶対座標系の任意のベクトルrgは、次のような変換で端末座標系のベクトルrとして表現されることになる。
Xrg=r・・・(式20)
【0074】
すなわち、端末座標系のベクトルrから、
rg=X-1r=XTr・・・(式21)
として、絶対座標系でのベクトルrgへと変換することができる。
【0075】
情報端末3の長手方向(端末座標系のx軸方向)はrx=(1,0,0)Tと表されるが、このベクトルをXTによって絶対座標系で表したベクトルrxg=(Rx,Ry,Rz)Tへと変換されるとすると、この長手方向が、Xg軸となす角ψ、XgYg平面となす角αを以下の式で算出することができる。
ψ=tan-1(Ry/Rx)・・・(式22)
α=tan-1(Rz/(Rx2+Ry2)1/2)・・・(式23)
【0076】
これらは、情報端末3の長手方向の姿勢を表している姿勢データである。同様に短手方向や端末座標系のz軸方向の姿勢も表現できる。
【0077】
図5は、本発明の位置姿勢検出システムの実施例1の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。まず、Xg軸、Yg軸の方向を向いた各軸コイル群1a,2aの各コイルから、異なる2つの周波数をもつ磁場を発生する(ステップS1)。次に、各コイルから発生中の磁場を、3軸の磁気センサを有する方位角センサ10で測定し、デジタル信号として各軸の磁気データを取得する(ステップS2)。
【0078】
次に、FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得したかどうか判断する(ステップS3)。FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得していれば次のステップS4へ進み、FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得していなければステップS2へ戻る。
【0079】
次に、取得された所望量の各軸の磁気データに対しFFT演算を行い、各磁場の周波数成分における各軸の振幅と位相を算出する(ステップS4)。そして、各磁場の周波数成分における各軸の振幅と位相から、各磁場の大きさと向きを表す、位置姿勢検出に必要な各コイルからの磁場ベクトルを算出する(ステップS5)。
【0080】
次に、算出した各コイルからの磁場ベクトルから、コイル群ごとに大きさが最大の磁場ベクトルを算出する(ステップS6)。そして、検出された大きさが最大の磁場ベクトルとその1つ隣のコイルからの磁場ベクトルの大きさを比較して情報端末3の位置データを算出する(ステップS7)。そして、大きさが最大の磁場ベクトルから情報端末3の姿勢データを算出する(ステップS8)。
【0081】
図6は、図5に示した本発明の位置姿勢検出システムの実施例1の動作を説明するためのフローチャートにおいて、ステップS6〜ステップS8を、内積を利用したものと置き換えた場合の手順をフローチャートに示す図である。
【0082】
すなわち、図5のステップS5の後、算出した各コイルからの磁場ベクトルから、内積が算出されていない2つの磁場ベクトルの組を各軸コイル群から選ぶ(ステップS6a)。そして、選んだ磁場ベクトルの組から算出した内積が所望の内積(実施例ではXg軸とYg軸は直交しているので0)と一致するかどうか判断する(ステップS7a)。
【0083】
一致してない場合には、ステップS6aへ戻る。一致していた場合にはステップS8aへ進む。そして、所望の内積と一致した磁場ベクトルの組み合わせから現在の情報端末3の位置データを算出する(ステップS8a)。そして、その磁場ベクトルの組み合わせから情報端末3の姿勢データを算出する(ステップS9a)
【0084】
以上のようにして、大きさが最大となる磁場ベクトルを検出し、発生している各磁場発生部のコイルを、または内積によって磁場同士がなす角度が所定値(90度)となる磁場を発生する各磁場発生部のコイルを特定し、各コイルと磁場検出部11(方位角センサ10)の方向関係を特定することで、位置データと姿勢データを算出することができた。算出されたデータはデータ表示部5へと送られ、情報端末3の位置と姿勢を利用者に表示する。
【0085】
なお、2つの磁場発生部がなす角が必ずしも90度でなくても、同様な手順によって本発明を利用することができる。
また、実施例1は、2次元平面の位置姿勢検出にも適用できる。その場合、2軸の磁気センサを有する方位角センサでも良い。
【0086】
[実施例2]
図7は、本発明の位置姿勢検出システムの実施例2を示す全体構成図である。この位置姿勢検出システムは、磁場発生部30aと磁場発生部30bと磁場検出部11を有する情報端末3と演算部4とデータ表示部5とから構成されている。
【0087】
磁場発生部(第1の磁場発生部)30aは、コイル用電源31aとコイル磁場発生方向変更部32aとコイル33aから構成され、また同様に、磁場発生部(第2の磁場発生部)30bは、コイル用電源31bとコイル磁場発生方向変更部32bとコイル33bから構成されている。磁場発生部30aは、指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生するものである。また、磁場発生部30bは、磁場発生部30aとは異なる指向性で、かつ磁場発生部30aが発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生するものである。また、各磁場発生部は磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルからなっている。
【0088】
図8は、本発明の位置姿勢検出システムにおける実施例2の位置姿勢検出装置の具体的な構成ブロック図である。この位置姿勢検出装置は、磁場検出部11と演算部4と磁場発生部30a,30bとから構成されている。磁場発生部30a,30bについては、図7に示した通りである。
【0089】
磁場検出部11は、方位角センサ10とデータ送信部16とから構成されている。演算部4は、データ受信部17とフーリエ変換部18と磁場ベクトル算出部19と位置姿勢算出部20とを備えている。 図9は、各コイル(コイル33a,33b)からの磁場BA、BBの向きと、情報端末3の配置を示した図である。右手系の座標系XgYgZg座標系(絶対座標系と呼び、Xg軸、Yg軸、Zg軸はそれぞれ互いに直交している)が定義され、コイル33aは位置座標(0,0,0)に、コイル33bは位置座標(Xb,Yb,0)に配置されている。この図9において各コイルからの磁場BA、BBは、情報端末3が存在する方向位置座標(Xp,Yp,Zp)を向いている。また、情報端末3には実施例1と同様に端末座標系が定義され、情報端末3は任意の姿勢にある。
【0090】
コイル33aは、コイル磁場発生方向変更部32aの出力から磁場の発生する方向を変更できる。例えば、機械的な可動部を備え、コイルの姿勢を変更して磁場の発生方向を変更する。そして変更した方向に、コイル用電源31aから供給された電流によって磁場を発生できる。同様に、コイル33bもコイル磁場発生方向変更部32bの出力から磁場の発生する方向を変更できる。そして変更した方向にコイル用電源31bから供給された電流によって磁場を発生できる。また、コイル33a,33bは、その磁場発生面の中心軸上において最も強い指向性を有する磁場を発生する。例えば、スパイラルコイルなどである。
【0091】
コイル用電源31a,31bは、それぞれコイル33a,33bに、周波数が異なる2つの交流電流(又は電圧)を重ね合わせて供給する。コイル用電源31aからの交流電流(又は電圧)は、第1と第2の周波数の角周波数が、偶奇が異なる正の整数MA、NAを用いて、それぞれMAωA、NAωAである(最小の整数比として周波数比がMA:NAである)。同様に、コイル用電源31bからはMBωB、NBωBの角周波数を持つ交流電流(又は電圧)をコイル33bに供給する。これらの各角周波数はそれぞれ互いに異なるものであるとする。
【0092】
そして、各コイルに各電源からの電流を供給することで磁場を発生でき、コイル33aからの磁場BA、コイル33bからの磁場BBは、それぞれ、MAωAとNAωA、MBωBとNBωBの組み合わせの角周波数を持つ。
【0093】
これらBA、BBの各周波数成分の位相関係は、例えば、BAの第1と第2の周波数成分の位相ΘA,ΦAは次のように表されるものとする。
ΘA=MAωAt+ΩθA ・・・(24)
ΦA=NAωAt+ΩφA ・・・(25)
(第1の周波数成分、第2の周波数成分ともに時間t=0においてそれぞれΩθA、ΩφAであるとする)。BBについても同様な形式で表現できるものとする。
【0094】
コイル磁場発生方向変更部32aは、演算部4の位置姿勢算出部20の出力から、コイル33aが磁場を発生する方向を変更する。コイル磁場発生方向変更部32bは、演算部4の位置姿勢算出部20の出力から、コイル33bが磁場を発生する方向を変更する。
【0095】
データ表示部5は、演算部4の出力から情報端末3の位置と姿勢を利用者に表示する。磁場検出部11の構成及び動作は実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0096】
演算部4において、データ受信部17は、磁場検出部11のデータ送信部16からの磁気データを受信し、フーリエ変換部18へと送る。フーリエ変換部18は、データ受信部17からの所望量(例えば、128Hzのサンプリング周波数で測定を行う場合、1Hzの周波数分解能が必要であれば128個のデータ量となる)の3軸の磁気センサからの磁気データを取得した後に、それらに対しFFT演算を実行し、各コイルから発生する交流磁場、BA、BBの各周波数成分(それぞれ角周波数成分が、MAωAとNAωA、MBωBとNBωB)における、各軸の磁気センサが測定した信号強度(振幅)と位相を算出し、磁場ベクトル算出部19へと送る。
【0097】
磁場ベクトル算出部19は、フーリエ変換部18からの各軸の磁気センサが測定した各周波数成分における振幅と位相から、特願2007−30803号(又は実施例1)に記載の方法によって、角周波数がMAωA、MBωBの周波数成分の磁場ベクトル、それぞれma、mbを算出する。これらは、方位角センサ10が測定した位置における、BA、BBの角周波数がMAωA、MBωBの成分の磁場の大きさと向きを端末座標系でのベクトルとして表現したものとなっている。
【0098】
そして、位置姿勢算出部20は、磁場ベクトル算出部19で算出された磁場ベクトルma、mbから、(絶対座標系の)情報端末3の姿勢データ(位置情報)と位置データ(姿勢情報)を算出し、データ表示部5へと送る。
【0099】
ここで、位置姿勢算出部20が、情報端末3の姿勢データと位置データを算出する手順の一例について説明する。まず、情報端末3の位置データを求める。
最初の各コイル(コイル33a,33b)の磁場発生方向において、磁場ベクトル算出部19で算出された端末座標系の磁場ベクトルma、mbをまず保持し、次に各コイルの磁場発生方向を変更した後、もう一度測定を行い磁場ベクトルma’、mb’を算出する。この操作を繰り返し、いくつかの磁場発生方向に対するいくつかの磁場ベクトルが得られると、その中で絶対値(ベクトルの大きさ)が極大を示す磁場ベクトルmamax、mbmaxが存在する。すると、その極大値を示す磁場ベクトルの方向が、各コイルと情報端末3の最短距離となる方向であり、各コイルから発生する磁場の方向が情報端末3のある方向に一致する。すなわち、各磁場発生部のコイル(コイル33a,33b)と磁場検出部11(方位角センサ10)の方向関係が特定されたことになる。
【0100】
極大値を示す磁場BAmax、BBmaxをXgYg平面へ射影したベクトルがXg軸となす角をαi,XgYg軸となす角を−βi(iは磁場を発生するコイル33a,33bをA,Bとして区別する添え字)とすると、
BAmax=BA(cosαAcosβA,sinαAcosβA,−sinβA)・・・(式26)
BBmax=BB(cosαBcosβB,sinαBcosβB,−sinβB)・・・(式27)
と表現できる。
【0101】
これらのベクトルがなすコイル33a,33b、情報端末3を結ぶ三角形をXgZg平面、YgZg平面に射影すると、それぞれの面でなす三角形の各角度が算出でき、各コイルの位置座標がわかっていることから、情報端末3の位置を割り出すことができる。
【0102】
図10は、各コイルからの磁場BAmax、BBmaxをXgZg平面へ射影した場合になす三角形の説明図である。XgZg平面では、コイル33a,33b、情報端末3の位置がA’点(0,0)、B’点(XB,0)、P’点(Xp,Zp)へと射影されて三角形をなしている。BAmax、BBmaxをXgYg面へ射影したベクトルBA’、BB’は、線分A’P、B’P上にある。Zg軸方向から、BA’、BB’へ時計回りに見た角度をそれぞれσA’とσB’とすると、三角形の内角∠P’A’B’と∠P’B’A’が(式26)、(式27)のx成分とz成分から求められるので、
σA’=∠P’A’B’−3π/2・・・(式28)
σB’=π/2−∠P’B’A’・・・(式29)
となって、以下のようにP’点のXp,Zpを算出できる。
Xp=(−ZA+ZB+XAtanσA’−XBtanσB’)/(tanσA’−tanσB’) ・・・(式30)
Zp=(−XA+XB+ZAcotσA’−ZBcotσB’)/(cotσA’−cotσB’) ・・・(式31)
【0103】
ここで、XAとZAはA’点のXg、Zg座標値で0、ZBはB’点のZg座標で0である。同様にYpもYZ平面への射影された三角形から同様の手順で算出できる。これで情報端末3の位置を表す位置データ(Xp,Yp,Zp)を算出できた。
【0104】
次に、情報端末3の姿勢データを求める。
MA=BAmax/|BAmax|・・・(式32)
MB=BBmax/|BBmax|・・・(式33)
とすると、これらは磁場の発生方向を示すベクトルであり、1次独立な正規直交基底を形成する。その正規直交基底で表現されるMAMB座標系から地上座標系への変換行列Hが求められて、MAMB座標系のベクトルrHは、任意の絶対座標系のベクトルrgへと変換される。
HrH=rg・・・(式34)
【0105】
そして、端末座標系で測定された磁場ベクトルmamax、mbmaxも、同様に正規直交基底を形成でき、MAMB座標系から端末座標系への変換行列Lが求められて、ベクトルrHは、端末座標系のベクトルrpへと変換される。
LrH=rp・・・(式35)
【0106】
行列Lは逆行列を持ち、
HL-1rp=rg・・・(式36)
として、端末座標系から地上座標系へと変換できる。したがって、情報端末3の姿勢データを実施例1と同様に算出することができる。
【0107】
以上のようにして、位置データと姿勢データを算出することができた。算出されたデータはデータ表示部5へと送られ、情報端末3の位置を利用者に表示する。
【0108】
図11は、本発明の位置姿勢検出システムの実施例2の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。すなわち、各コイルの初期の磁場発生方向を決定する(ステップS1)。各コイルから異なる2つの周波数をもつ磁場を発生する(ステップS2)。次に、各コイルから発生中の磁場を、3軸の磁気センサを有する方位角センサ10で測定し、デジタル信号として各軸の磁気データを取得する(ステップS3)。
【0109】
次に、FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得したかどうか判断する(ステップS4)。FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得していれば次のステップS5へ進み、FFT演算に必要な所望量の磁気データを取得していなければステップS3へ戻る。
【0110】
次に、取得された所望量の各軸の磁気データに対しFFT演算を行い、各磁場の周波数成分における各軸の振幅と位相を算出する(ステップS5)。そして、各磁場の周波数成分における各軸の振幅と位相から、各磁場の大きさと向きを表す、磁場ベクトルを算出する(ステップS6)。そして、各コイルの初期設定の磁場発生方向から現在の設定の方向の間に、各コイルからの磁場ベクトルの大きさが極大となる方向がすべてのコイルに存在するかどうか判断する(ステップS7)。
【0111】
すべてのコイルに極大方向が存在していなければ、極大方向が存在していないコイルに対し次の磁場発生方向へ変更し(ステップS8)、(ステップS3)へ戻る。すべてのコイルに極大方向が存在している場合はステップS9へ進む。そして、各磁場ベクトルの大きさが極大となった各コイルの磁場発生方向から情報端末3の位置データを算出する(ステップS9)。各磁場ベクトルと各コイルの磁場発生方向から情報端末3の姿勢データを算出する(ステップS10)。
【0112】
以上のような手順によって、2つの磁場発生部30a,30bからの磁場発生方向が指向性を有することで、各磁場発生部(30a,30b)のコイルの方向を特定し、各コイルと磁場検出部11(方位角センサ10)の方向関係を特定することで、情報端末3が存在する位置と情報端末3の姿勢を求めることができた。また、実施例2は、2次元平面の位置姿勢検出にも適用できる。その場合、2軸の磁気センサを有する方位角センサでも良い。本発明において、指向性を有する磁場とは、特定の方向に強度が大きい磁場のことを言う。
【0113】
以上、本発明よって、異なる複数の周波数を持ち指向性を有する磁場発生部を複数構成することで、情報端末に搭載された複数の磁気センサを有する磁場検出部によって検出された信号から、演算部において磁場検出部と複数の磁場発生部との方向関係を算出し、情報端末の位置と姿勢を検出することが可能となった。
【0114】
また、検出したい磁場が特定の周波数であることがわかっているので、その他の周波数成分には影響されず、その他の周波数の交流磁場やノイズ磁場がある磁場環境でも識別が可能である。さらに、発生させる磁場は、最小の整数で表される周波数比が偶数対奇数であって、位相が既知である周波数成分を含むだけなので、磁場発生の構成が簡単であり、測定した信号を周波数帯域毎に分離するフィルタを利用する必要がないので、周波数選択の自由度が高い。また、システムを構成後に自由に周波数を選択できる。
【0115】
また、磁場検出部で測定軸ごとに周波数帯域を分離するフィルタが必要でないことは、回路規模も小さく済み、小型かつ安価な磁気センサとして実現可能である。また、磁場の発生と測定を同期して行わなくてよいので、構成が容易で、一度磁場を発生すると、任意のタイミングで測定を開始でき、その後連続的な測定が可能である。
【0116】
本発明は、以上の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の位置姿勢検出システムの実施例1を示す全体構成図である。
【図2】あるZg座標(Zg=Zkとする平面)におけるXg軸コイル群、Yg軸コイル群の配置と情報端末の配置の説明図である。
【図3】情報端末の座標系についての説明図である。
【図4】本発明の位置姿勢検出システムにおける実施例1の位置姿勢検出装置の具体的な構成ブロック図である。
【図5】本発明の位置姿勢検出システムの実施例1の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図6】図5に示した本発明の位置姿勢検出システムの実施例1の動作を説明するためのフローチャートにおいて、ステップS6〜ステップS8を、内積を利用したものと置き換えた場合の手順をフローチャートに示す図である。
【図7】本発明の位置姿勢検出システムの実施例2を示す全体構成図である。
【図8】本発明の位置姿勢検出システムにおける実施例2の位置姿勢検出装置の具体的な構成ブロック図である。
【図9】各コイルからの磁場BA、BBの向きと、情報端末の配置を示した図である。
【図10】各コイルからの磁場BAmax、BBmaxをXgZg平面へ射影した場合になす三角形の説明図である。
【図11】本発明の位置姿勢検出システムの実施例2の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図12】磁気センサの正方向が正弦波状の交流磁場の入射方向に対して同方向の場合(a)と反対方向の場合(b)に測定された出力信号の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0118】
1 Xg軸方向磁場発生部
1a Xg軸コイル電源群
1b Xg軸コイル群
2 Yg軸方向磁場発生部
2a Yg軸コイル電源群
2b Yg軸コイル群
3 情報端末
4 演算部
5 データ表示部
10 方位角センサ
10a x軸磁気センサ
10b y軸磁気センサ
10c z軸磁気センサ
11 磁場検出部
12 マルチプレクサ部
13 磁気センサ駆動部
14 信号増幅部
15 A/D変換部
16 データ送信部
17 データ受信部
18 フーリエ変換部
19 磁場ベクトル算出部
20 位置姿勢算出部
30a,30b 磁場発生部
31a,31b コイル用電源
32a,32b コイル磁場発生方向変更部
33a,33b コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部と、
該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部と、
前記第1及び第2の磁場発生部から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部と、
該磁場検出部により検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算部と
を備えたことを特徴とする位置姿勢検出システム。
【請求項2】
前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする請求項1に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項3】
前記第1の磁場発生部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記第2の磁場発生部は、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、
前記演算部は、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項4】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項5】
前記第1の磁場発生部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記第2の磁場発生部は、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、
前記演算部は、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値かを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項6】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値かを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項7】
前記第1及び第2の磁場発生部は、それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルからなり、
前記演算部は、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項8】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項9】
指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部による第1の磁場発生ステップと、
該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部による第2の磁場発生ステップと、
前記第1及び第2の磁場発生部から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部による磁場検出ステップと、
該磁場検出ステップにより検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算ステップと
を有することを特徴とする位置姿勢検出方法。
【請求項10】
前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする請求項9に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項11】
前記演算ステップは、
第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項9又は10に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項12】
前記演算ステップは、
前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、
該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、
該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生ステップにおいて前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップと
を有することを特徴とする請求項11に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項13】
前記演算ステップは、
第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項9又は10に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項14】
前記演算ステップは、
前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、
該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、
該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生ステップにおいて前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップと
を有することを特徴とする請求項13に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項15】
前記演算ステップは、
それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項9又は10に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項16】
前記演算ステップは、
前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、
該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、
該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップと
を有することを特徴とする請求項15に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項17】
指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部と、該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部とから発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部と、
該磁場検出部により検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算部と
を備えたことを特徴とする位置姿勢検出装置。
【請求項18】
前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする請求項17に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項19】
前記演算部は、
第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項17又は18に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項20】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項19に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項21】
前記演算部は、
第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項17又は18に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項22】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項21に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項23】
前記演算部は、
それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項17又は18に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項24】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項23に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項1】
指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部と、
該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部と、
前記第1及び第2の磁場発生部から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部と、
該磁場検出部により検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算部と
を備えたことを特徴とする位置姿勢検出システム。
【請求項2】
前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする請求項1に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項3】
前記第1の磁場発生部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記第2の磁場発生部は、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、
前記演算部は、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項4】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項5】
前記第1の磁場発生部は、第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、前記第2の磁場発生部は、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなり、
前記演算部は、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値かを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項6】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値かを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項7】
前記第1及び第2の磁場発生部は、それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルからなり、
前記演算部は、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項8】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の位置姿勢検出システム。
【請求項9】
指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部による第1の磁場発生ステップと、
該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部による第2の磁場発生ステップと、
前記第1及び第2の磁場発生部から発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部による磁場検出ステップと、
該磁場検出ステップにより検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算ステップと
を有することを特徴とする位置姿勢検出方法。
【請求項10】
前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする請求項9に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項11】
前記演算ステップは、
第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項9又は10に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項12】
前記演算ステップは、
前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、
該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、
該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生ステップにおいて前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップと
を有することを特徴とする請求項11に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項13】
前記演算ステップは、
第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項9又は10に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項14】
前記演算ステップは、
前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、
該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、
該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生ステップにおいて前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップと
を有することを特徴とする請求項13に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項15】
前記演算ステップは、
それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項9又は10に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項16】
前記演算ステップは、
前記磁場検出ステップによる各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換ステップと、
該フーリエ変換ステップからの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生ステップからの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生ステップから発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出ステップと、
該磁場ベクトル算出ステップからの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出ステップと
を有することを特徴とする請求項15に記載の位置姿勢検出方法。
【請求項17】
指向性を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第1の磁場発生部と、該第1の磁場発生部とは異なる指向性で、かつ前記第1の磁場発生部が発生する磁場の周波数とは異なる周波数を有する交流磁場を少なくとも1つ発生する第2の磁場発生部とから発生する磁場を検出する多軸の磁気センサを有する磁場検出部と、
該磁場検出部により検出された磁場から、前記第1及び第2の磁場発生部と前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する演算部と
を備えたことを特徴とする位置姿勢検出装置。
【請求項18】
前記交流磁場は、異なる複数の周波数成分の位相関係が既知である磁場であることを特徴とする請求項17に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項19】
前記演算部は、
第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項17又は18に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項20】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場の強度が最大であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項19に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項21】
前記演算部は、
第1の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第1の磁場発生部及び、第2の方向に指向性を有するように配置され、互いに異なる周波数の交流磁場を発生する複数の磁場発生コイルからなる前記第2の磁場発生部における、前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応する磁場発生コイルと前記磁場検出部との方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項17又は18に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項22】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記第1及び第2の磁場発生部において前記複数の磁場発生コイルのいずれから発生した磁場同士の角度が所定値であるかを特定し、対応するコイルと前記磁場検出部の方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項21に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項23】
前記演算部は、
それぞれ磁場の発生方向を独立して変更できる磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出することを特徴とする請求項17又は18に記載の位置姿勢検出装置。
【請求項24】
前記演算部は、
前記磁場検出部の各軸の出力信号に基づいて、前記各軸における前記複数の周波数成分における位相と振幅を算出するフーリエ変換部と、
該フーリエ変換部からの出力信号に基づいて、前記各軸の前記複数の周波数成分の位相関係から、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅について符号を算出するとともに、前記第1及び第2の磁場発生部からの磁場に基づく前記各軸の振幅と前記符号とから、前記第1及び第2の磁場発生部から発生された磁場に基づく向きと大きさを表す第1及び第2の磁場ベクトルを算出する磁場ベクトル算出部と、
該磁場ベクトル算出部からの出力信号に基づいて、前記各磁場発生コイルから発生する磁場の強度が最大となるように前記磁場発生コイルの向きを変更させて、前記磁場検出部と前記磁場発生コイルの方向関係を特定することで、前記磁場検出部の位置情報と姿勢情報を算出する位置姿勢算出部と
を備えたことを特徴とする請求項23に記載の位置姿勢検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−275395(P2008−275395A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117670(P2007−117670)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
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