説明

位置決めシート

【課題】 極めて広い範囲に亘る固体類や液体類を対象に、それらを所望の少量に分けて位置決めが可能な位置決めシートを提案することにある。
【解決手段】 位置決めシート22は、本体シート27と、上記本体シートの面内において互いに間隔をあけて設けられていて所望の被填物を入れるための複数の貫通孔24と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体、粒子など流動可能な固体類、あるいは、粘稠な液体類などの被填物を所望の少量ずつに分けて分配して位置決めするのに好適な位置決めシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉状や粒状の薬剤、食品、あるいはその他の物品の一定量ずつを個別に包装する作業は、多数の包装袋を用意し、それら各包装袋に個別に一定量の固体を入れて封入してもよいが、その場合は、固体類を個別に計量し、包装袋に投入し、次いで封入する必要があるので、極めて非能率であった。上記した個別の計量に換えて、上記物品を適当なシート上で層状に成形し、次いでシートごと細片に切断し、シート部分を除去しつつ包装袋に投入する方法も考えられるが、この方法は、シート上で層状に成形し易く且つシートごと細片に切断できてその後の取り扱いが容易な1部の物品に限られる問題があり、また、低粘度の液体類には不向きである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術における問題に鑑みて、極めて広い範囲に亘る固体類や液体類を対象に、それらを所望の少量に分けて位置決めが可能な位置決めシートを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明にかかる位置決めシートは、本体シートと、上記本体シートの面内において互いに間隔をあけて設けられていて所望の被填物を入れるための複数の貫通孔と、を含むものである。
本発明にかかる上記位置決めシートは、上記において、上記複数の貫通孔が、互いの位置関係と間隔が規則的なものとなっていることができる。上記本体シートの一方の面に重ね合わされて上記貫通孔の一方の開口を塞ぐように設けられた裏打ちシートをも含むことができる。また、上記貫通孔の開口は塞がないようにして本体シートの両面または一方の面に粘着剤層とその保護シートが重ねあわされていることもできる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の位置決めシートは、本体シートの面内において互いに間隔をあけて設けられている複数の貫通孔を有するので、各貫通孔に所望の被填物を入れることにより、前記の課題を解決することができる。その際に、位置決めシートの厚みと上記の各貫通孔の開口面積を調整することにより、個々の被填物を所望の分配量とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の位置決めシートについて詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。なお、以下において、図上での同一部分については、互いに同一符号を付している。
図1は、本発明の実施形態1にかかる位置決めシート22を示している。実施形態1にかかるこの位置決めシート22は、本体シート27および本体シート27の面内において互いに間隔をあけて設けられている複数の貫通孔24から構成されている。
図2は、本発明の実施形態2にかかる位置決めシート22Aを示している。実施形態2にかかるこの位置決めシート22は、シート本体27の一方の面に重ね合わされて貫通孔24Aの一方の(図2では下側の)開口を塞ぐようにして設けられた裏打ちシート10を有する点で、実施形態1の位置決めシート22と異なる。裏打ちシート10は、シート本体27に対し、粘着剤、接着剤あるいは溶着などで固定されている。
【0007】
本発明の位置決めシートにおける貫通孔は、上で見たように、無底の貫通孔24と有底の貫通孔24Aのいずれであっても良い。無底の貫通孔24を有する位置決めシート22の使用に当っては、被填物を入れる際に、後記の使用形態において説明するように、別途用意した裏打ちシートによって貫通孔24の一方の開口を封鎖することになる。
本体シート27は、可撓性あるいは非可撓性の材料により形成されてよく、隣接する貫通孔24(24A)の互いの位置関係や間隔、孔開口面積およびシート厚みなどは、位置決めシート22の使用目的に応じて適宜決定してよい。上記シート厚みは例えば0.5mm〜20mm、孔開口面積は例えば0.2cm〜50cm、貫通孔間の間隔は例えば0.5mm〜100mmである。貫通孔24の内容積は、位置決めシート22により分配され得る被填物量を決めることになり、当該被填物量は、上記孔開口面積と上記シート厚みとを調整することにより設定することができる。
【0008】
なお、貫通孔24(24A)の開口形状は、例えば、円形や楕円形などの丸形、正方形などの方形や三角形などの非丸形、あるいは、その他の形状であってよい。また、貫通孔24(24A)間の間隔は、必ずしも一定あるいは一定に近い規則性をもって設ける必要はないが、マトリックス状や千鳥状などの規則性をもって設けられていると、可撓性が良好で、しかも、均一な位置決めのできる位置決めシート22(22A)が得られる利点がある。
図1,2において、本体シート27の一辺に凹凸がある理由は、上記原料シートに置ける貫通孔24(24A)が存在する個所を切断したためである。
【0009】
位置決めシート22(22A)の本体シート27は、後述するように、これと同一の構造を有する広幅で長尺の原料シートを別途製造しておき、当該原料シートから必要な寸法分を切り取って用いることができる。
本体シート27となる上記の可撓性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4メチルペンテンなどのポリオレフィン類、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などの熱可塑性共重合体類、ポリスチレン、ポリアミド、熱可塑性ポリエステルなどの、その他の熱可塑性樹脂類、加硫天然ゴム、加硫ブチルゴム、加硫アクリロニトリルブタジエンゴム、加硫クロロプレゴムなどの加硫ゴム類、天然有機繊維、合成繊維、鉱物繊維などからなる編物、織物、不織物、マット、フェルトなど繊維集合体類、などが例示される。上記の非可撓性材料としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の熱硬化物類、スレート、ガラス、鉄、ステンレスなどの無機材料類、などが例示される。
【0010】
本発明にかかる位置決めシートに充填する被填物としては、粉体、粒子など流動可能な固体類は勿論、低粘性の液体もあるが、これらは、本発明の位置決めシートを用いて、後記する方法で分配可能であり、液体が硬化性である場合には、それを各貫通孔に流入させ、暫時放置して粘性が増大した後に、必要に応じて位置決めシートから分離するようにしてもよい。
なお、裏打ちシート10の貫通孔24(24A)の底面に当る個所は、貫通孔24(24A)に入れられた被填物と直接接触するので、その個所に、当該被填物に対して無害な粘着剤をごく軽度に塗布しておくと、被填物の投入作業が円滑化し、また、投入された被填物の取り扱いも容易となる。このことは、後記する各使用形態についても言えることである。
【0011】
本発明にかかる位置決めシートを用いた被填物の分配方法において、分配された被填物を充填したのちの位置決めシートの取り扱いは、大別して二通りある。その一つは、分配された被填物を位置決めシートから個別に取り出して、被填物を個別に扱う方法であって、包装袋への投入がその一例である。二つ目は、被填物を位置決めシートから取り出さずに、位置決めシートと一緒に実用に供する方法である。例えば、後記する使用形態において詳述するように、被填物を保持した位置決めシートを人やペットなどが快適な環境を得るための機能性シートなどとして利用する方法である。
図3の(a)〜(c)は本発明の位置決めシートの製造工程を示し、図4は本発明の位置決めシートの第3の実施形態を示している。
【0012】
第1工程では、位置決めシート22を得るための図3(a)に示す原料シート60が用意される。当該原料シート60は、未だ貫通孔24が穿孔されておらず位置決めシート22の前駆体として機能する基材層22’、基材層22’の両面に塗布された粘着剤層26、および各粘着剤層26に重ねあわされた粘着剤保護シート50から構成されている。保護シート50としては、粘着剤層26から剥離容易な紙シートなどが用いられる。
第2工程では、図3(b)に示すように、保護シート50、粘着剤層26および基材層22’を貫通する貫通孔24が複数、互いの間に適宜の間隔をあけて、穿孔される。この穿孔により基材層22’は位置決めシート22に加工される。
【0013】
前述した実施形態1の位置決めシート22を得る場合はこの状態で終えるが、実施形態2の位置決めシート22Aを得る場合は、第3工程として、図5(b)に示された下側の粘着剤保護シート50が粘着剤層26から剥離除去され、図5(c)に示すように、それに代わって、裏打ちシート10が粘着剤層26を介して位置決めシート22に貼着されるのである。この場合、無底貫通孔24は有底貫通孔24Aとなる。
図4は図3の(b),(c)状態を平面で示しており、この状態のもの、すなわち、貫通孔24(24A)の開口は塞がないようにして位置決めシート22(22A)における本体シート27の両面または一方の面に粘着剤層26とその保護シート50が重ねあわされている状態のものが、本発明にかかる位置決めシートの第3の実施形態である。
【0014】
図3の(d),(e)は本発明の位置決めシートの使用方法を示し、図5,6は、本発明の位置決めシート22(22A)を最終製品の部材として使用する一例(3層積層体20)を示している。
本発明の位置決めシートの使用に当っては、位置決めシート22(22A)における、裏打ちシート10により下側の開口が塞がれた各貫通孔24(24A)内に、図3(d)に示すように、被填物である機能性剤40が投入され、図3(e)に示すように、貫通孔24(24A)の上側の開口を塞ぐようにカバーシート30が粘着剤層26を介して位置決めシート22に重ね合わされ貼着されて、最終製品である3層積層体20となる。
【0015】
機能性剤40としては、冷却や保温などの体温調節剤、殺虫剤や害虫忌避剤、調湿剤などである。冷却剤としては、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの潮解性化合物が例示される。これら潮解性化合物は、大気中の水分や人の汗を吸収して3層積層体20を冷却するので、夏季や運動後の人に心地良い冷感を与える効果がある。
かかる構造を有する3層積層体20を家庭内のフロア上に置き、その際に機能性剤40として前記の冷感剤が用いられていると、夏季においては、3層積層体20による冷感作用によりペットが好んで当該3層積層体20上に座りに来る。
【0016】
位置決めシート22(22A)の貫通孔24(24A)に被填物として液体を入れる場合には、位置決めシート22(22A)および裏打ちシート10としては、液体不浸透性にして粘着性あるいは接着性の良好な材料、例えば、ナイロン製やポリエステル製のものを採用し、貫通孔24(24A)に必要量の液体を入れた後、開口部を上記と同様の材料からなるカバーシート30により密封する。その後、必要に応じて、位置決めシート22(22A)を貫通孔24(22A)毎に切断するとよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明にかかる位置決めシートは、粉状や粒状の薬剤、食品、あるいはその他の物品の一定量ずつを個別に高能率で包装する用途などでの利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1を説明する斜視図である。
【図2】本発明の実施形態2を説明する斜視図である。
【図3】本発明にかかる位置決めシートの製造工程とその使用方法を示す、工程毎の断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態を示す、1部破断部を含む平面図である。
【図5】本発明にかかる位置決めシートの使用例を示す、1部破断部を含む平面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0019】
10 裏打ちシート
22 位置決めシート
22A 位置決めシート
24 貫通孔(無底)
24A 貫通孔(有底)
26 粘着剤層
27 本体シート
50 保護シート
60 原料シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体シートと、上記本体シートの面内において互いに間隔をあけて設けられていて所望の被填物を入れるための複数の貫通孔と、を含む、位置決めシート。
【請求項2】
上記複数の貫通孔は、互いの位置関係と間隔が規則的なものとなっている、請求項1に記載の位置決めシート。
【請求項3】
上記本体シートの一方の面に重ね合わされて上記貫通孔の一方の開口を塞ぐように設けられた裏打ちシートをも含む、請求項1または2に記載の位置決めシート。
【請求項4】
上記貫通孔の開口は塞がないようにして本体シートの両面または一方の面に粘着剤層とその保護シートが重ねあわされている、請求項1から3までのいずれかに記載の位置決めシート。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−114855(P2008−114855A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296794(P2006−296794)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(597021369)日の丸カーボテクノ株式会社 (12)
【出願人】(000136413)株式会社フジコー (26)
【Fターム(参考)】