位置決めピン装置
【課題】2つのピン孔の直径が異なる場合にも確実に位置決め可能な位置決めピンを提供する。
【解決手段】位置決めピン装置1は、ベース部材M1の第1ピン孔H1に対し、ベース部材M1に対して可動の可動部材M2の第2ピン孔H2を同軸心に位置決めするため、ベース部材M1に固定する為のフランジ部7の両側部分に形成されて第1,第2ピン孔H1,H2に夫々挿入される第1,第2ピン部9,10とを備えたピン本体部2、フランジ部7をベース部材M1に固定する複数の取り付けボルト3の締結力により第1ピン部9を外径拡大側又は外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定する第1拡径機構5、第2ピン部10のテーパ孔11に内嵌状に装着されたテーパスリーブ21に螺合されて頭部25aが第2ピン部10に受け止められたボルト部材25を有し、第2ピン部10を径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔H2に密着状に固定する第2拡径機構6を備える。
【解決手段】位置決めピン装置1は、ベース部材M1の第1ピン孔H1に対し、ベース部材M1に対して可動の可動部材M2の第2ピン孔H2を同軸心に位置決めするため、ベース部材M1に固定する為のフランジ部7の両側部分に形成されて第1,第2ピン孔H1,H2に夫々挿入される第1,第2ピン部9,10とを備えたピン本体部2、フランジ部7をベース部材M1に固定する複数の取り付けボルト3の締結力により第1ピン部9を外径拡大側又は外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定する第1拡径機構5、第2ピン部10のテーパ孔11に内嵌状に装着されたテーパスリーブ21に螺合されて頭部25aが第2ピン部10に受け止められたボルト部材25を有し、第2ピン部10を径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔H2に密着状に固定する第2拡径機構6を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決めピン装置に関し、特にフランジ部とその下側と上側に形成された第1,第2ピン部とを有するピン本体部材と、第1ピン部をベース部材の第1ピン孔に固定する第1拡径機構と、第2ピン部を可動部材の第2ピン孔に密着状に固定する第2拡径機構とを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の機械装置の複数の構成部材のうち、2つの構成部材を精密に位置決めして連結する場合、2つの構成部材に夫々形成したピン孔を直列状に接続し、それらピン孔に円柱状のピンを嵌入する技術が広く採用されている。直列状のピン孔を複数組設け、複数のピンで位置決めする場合も多い。尚、上記のピンは、機械装置の構成部材に限らず、種々の部材、部品を位置決めするのに採用されている。
【0003】
従来の一般的なピンは円柱状の中実のピンである。この中実のピンはピン孔に強制的に嵌入されるが、ピンとピン孔の周面間の微小隙間をゼロにすることが望ましいが、その隙間を零にしようとすると、ピンをピン孔に嵌入不能になる。そのため、ピンとピン孔の周面間には数μmの微小隙間が存在し、位置決め精度低下の原因になる。
しかも、直列状の2つのピン孔の直径が完全に同径ではないと、小さい直径のピン孔に適した直径のピンを採用することになる。この場合、大きい直径のピン孔の周面とピン間の微小隙間が大きくなり、位置決め精度が低下する。
【0004】
そこで、複合的な構造の位置決めピンであって、筒状のピン本体を外径拡大側へ弾性変形可能に構成し、ピン本体の内部にその外径を拡大可能な拡径機構を組み込んだ位置決めピンが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1の位置決め固定プラグ(位置決めピン)においては、内部にテーパ孔を有し外径拡大側へ弾性変形可能なブッシュと、このブッシュに挿入された円錐台と、この円錐台に上方から螺合されブッシュの上端で係止されたボルト部材とを有する。
2つの部材を位置決めする場合、直列状に連通させた2つのピン孔に固定プラグを挿入して、ボルト部材を締めつけ駆動することにより円錐台をテーパ孔の小径側へ引き込み駆動し、円錐台によりブッシュを外径拡大方向に弾性変形させ、2つのピン孔を同軸心に整列させて2つの部材を位置決めする。
【0006】
他方、図16に示すような位置決めピンが実用化され販売されている。
この位置決めピン100は、第1の拡径機構103と、第2の拡径機構104を備えている。第1の拡径機構103は、円筒状のピン本体101の第1ピン部101aに設けられ、ピン本体101内の下側テーパ面101cに当接させた鋼球105と、鋼球105を押圧するボルト部材106を有する。第2の拡径機構104は、ピン本体101の第2ピン部101bに設けられ、ピン本体101内の上側テーパ面101dに当接したネジ部材107を有する。
【0007】
2つの部材を位置決めする場合、最初に第1の拡径機構103において、ボルト部材106を締めつけ駆動して鋼球105を下方に押圧することで、下側テーパ面101cを介して第1ピン部101aを外径拡大方向へ弾性変形させ、ピン孔H1に密着させる。
次に、第2の拡径機構104において、ネジ部材107を締めつけ駆動することで、上側テーパ面101dを介して第2ピン部101bを外径拡大方向へ弾性変形させ、ピン孔H2に密着させる。こうして、2つの部材M1,M2を位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−194015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の位置決め固定プラグにおいては、1組の拡径機構でもってブッシュ全体を外径拡大側へ弾性変形させるので、ピン孔の直径が等しくない場合には、小さい直径のピン孔に密着した状態に拡径するため、大きい直径のピン孔への密着度が弱くなり、位置決め精度を高めるには限界がある。
【0010】
図16の位置決めピンにおいては、2組の拡径機構でもって第1,第2ピン部を外径拡大側へ弾性変形可能であるので、僅かにピン孔の直径が異なる場合でも、第1,第2ピン部を対応するピン孔に対して密着した状態に拡径可能である。しかし、ピン本体(第1,第2ピン部)の外径が同じ直径であるので、ピン孔の直径が大きく異なる場合には、上記プラグ同様に、大きい直径のピン孔へは密着することできず、この位置決めピンを採用することができない、つまり、使用上の制約がある。
【0011】
また、図16に示す位置決めピンにおいては、ピン本体の下側に第1の拡径機構を設け、ピン本体の上側に第2の拡径機構を設ける構造であるため、第1の拡径機構のボルト部材を第2拡径機構のネジ部材の下側に配置する、つまり、ピン本体の内部に配置しなければならない。このため、位置決めピンの構造が複雑化してしまい、操作性が悪化してしまうという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、2つのピン孔の直径が異なる場合にも確実に位置決め可能な位置決めピン装置を提供すること、容易な操作でもって位置決め可能な簡単な構造の位置決めピン装置を提供すること、などである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の位置決めピン装置は、ベース部材に形成した第1ピン孔に対し、ベース部材に対して可動の可動部材に形成した第2ピン孔を同軸心に位置決めする位置決めピン装置において、前記ベース部材に固定する為の取り付け用のフランジ部と、このフランジ部の両側部分に形成されて第1,第2ピン孔に夫々挿入して固定される第1,第2ピン部とを備えたピン本体部材と、前記フランジ部をベース部材に当接状に固定する為の複数の取り付けボルトと、前記複数の取り付けボルトによりフランジ部を固定する際の締結力により第1ピン部を外径拡大側又は外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔に固定する第1拡径機構と、前記第2ピン部に形成したテーパ孔と、このテーパ孔に内嵌状に装着されたテーパスリーブと、このテーパスリーブに螺合されて頭部が第2ピン部に受け止められたボルト部材とを有し、第2ピン部を外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔に密着状に固定する第2拡径機構と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項2の位置決めピン装置は、請求項1の発明において、前記第1拡径機構は、前記第1ピン部内に形成されフランジ部の方へ向かって小径化する第1テーパ孔と、前記第1テーパ孔に密着状に内嵌されて第1ピン部に保持され且つ外径縮小側へ弾性変形可能な第1テーパスリーブとを有することを特徴としている。
【0015】
請求項3の位置決めピン装置は、請求項1の発明において、前記第1拡径機構は、前記第1ピン部の外面に形成されフランジ部の方へ向かって大径化するテーパ面と、前記テーパ面に密着状に外嵌されて第1ピン部に保持され且つ外径拡大側へ弾性変形可能な第3テーパスリーブとを有することを特徴としている。
【0016】
請求項4の位置決めピン装置は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記第2拡径機構のテーパ孔は、前記第2ピン部内に形成されフランジ部の方へ向かって大径化する第2テーパ孔であって、前記テーパスリーブは、この第2テーパ孔に内嵌状に装着された第2テーパスリーブであって、前記ボルト部材は、この第2テーパスリーブに螺合されたネジ軸部と前記第2ピン部で受け止められた頭部とを有することを特徴としている。
【0017】
請求項5の位置決めピン装置は、請求項4の発明において、前記第2拡径機構は、前記第2テーパスリーブの回転を規制する回転規制ピンを備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項6の位置決めピン装置は、請求項4の発明において、前記ボルト部材の頭部の外面の外周部を受け止め可能なストップリングを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の位置決めピン装置によれば、ピン本体部材のフランジ部の両側部分に形成され且つ2つのピン孔に対応する第1,第2ピン部を、第1,第2拡径機構を介して、2つのピン孔に固定して、第1,第2ピン孔を同軸心に整列させることができる。しかも、2つのピン孔の直径が異なる場合であっても、第1,第2ピン部の外径をそれら2つのピン孔に対応するように異なる直径に設定しておけばよい。
【0020】
フランジ部を固定するための複数の取り付けボルトの締結力を利用して、第1拡径機構を介して第1ピン部を外径拡大側又は外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔に固定できる。それ故、ピン本体部材の内部に、第1ピン部を第1ピン孔に内嵌状に固定するための駆動手段(ボルト部材など)を別途設ける必要がなくなり、位置決めピン装置の構造を簡単化することができる。しかも、取り付けボルトの締め付け操作により、フランジ部を固定するのと並行的に第1ピン部を固定できるため、位置決めピン装置のベース部材への取り付けが簡単になる。
更に、複数の取り付けボルトによりフランジ部をベース部材に強固に固定するため、第1ピン部の軸心方向の長さを短くし、小型化することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、複数の取り付けボルトを締め付けると、第1テーパスリーブは、第1テーパ孔の小径側へ相対的に移動して外径縮小側へ弾性変形して第1テーパ孔に密着状に内嵌し、ピン本体部材の第1ピン部は、第1テーパスリーブにより外径拡大側へ弾性変形して、第1ピン孔に内嵌状に固定される。
【0022】
請求項3の発明によれば、複数の取り付けボルトを締め付けると、第1ピン部は外径縮小側へ弾性変形し、第3テーパスリーブはテーパ面の大径側へ相対的に移動して外径拡大側へ弾性変形して、第1ピン孔に密着状に内嵌する。
【0023】
請求項4の発明によれば、ボルト部材を締め付けると、第2テーパスリーブは、第2テーパ孔の小径側へ移動して密着状に内嵌し、ピン本体部材の第2ピン部は、外径拡大側へ弾性変形して、第2ピン孔に密着状に固定する。ボルト部材を弛めると、第2テーパスリーブは、上記とは反対方向へ移動して、ピン本体部材の第2ピン部は、外径縮小側へ弾性変形する。
【0024】
請求項5の発明によれば、ボルト部材を回転操作するとき、回転規制ピンにより、第2テーパスリーブの回転を規制できる。
【0025】
請求項6の発明によれば、ボルト部材を回転操作するとき、ストップリングにより、ボルト部材の移動を規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1に係る位置決めピン装置とベース部材の斜視図である。
【図2】位置決めピン装置とベース部材の平面図である。
【図3】位置決めピン装置の側面図である。
【図4】ベース部材の第1ピン孔に第1ピン部を挿入した状態の位置決めピン装置とベース部材の断面図である。
【図5】位置決めピン装置の第1ピン部を第1ピン孔に固定し、位置決めピン装置の第2ピン部を可動部材の第2ピン孔に挿入した状態の断面図である。
【図6】ボルト部材を締めつけて位置決めピン装置の第2ピン部を第2ピン孔に密着状に係合させた状態の断面図(図2のVI−VI線断面図)である。
【図7】図6と同じ状態の断面図(図2のVII−VII線断面図)である。
【図8】実施例2に係る位置決めピン装置の側面図である。
【図9】位置決めピン装置の第1ピン部をベース部材の第1ピン孔に挿入した状態の断面図である。
【図10】位置決めピン装置の第1ピン部を第1ピン孔に固定し、位置決めピン装置の第2ピン部を可動部材の第2ピン孔に挿入した状態の断面図である。
【図11】ボルト部材を締め付けて位置決めピン装置の第2ピン部を第2ピン孔に密着状に係合させた状態の断面図である。
【図12】図11と同じ状態の断面図である。
【図13】実施例3に係る位置決めピン装置とベース部材の平面図である。
【図14】位置決めピン装置の平面図である。
【図15】位置決めピン装置の側面図である。
【図16】先行技術に係る位置決めピンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0028】
先ず、本発明の位置決めピン装置1の全体構成について説明する。
図1〜図7に示すように、位置決めピン装置1は、2つの部材M1,M2のうち一方の部材M1に形成した第1ピン孔H1に対し、一方の部材M1に対して可動の他方の部材M2に形成した第2ピン孔H2を同軸心に位置決めするためのものである。第2ピン孔H2の下側には、フランジ部7を収容するフランジ収容穴H2aが形成され、このフランジ収容穴H2aに、ピン本体部材2のフランジ部7が隙間をあけて収容される(図5〜図7参照)。
【0029】
2つの部材M1,M2とは、機械装置を構成する構成部材であってもよいが、本実施例では、部材M1は機械装置側のベース部材であり、部材M2はベース部材に上方から載置して位置決め固定される可動部材である。
【0030】
位置決めピン装置1は、鋼製のピン本体部材2、このピン本体部材2のフランジ部7をベース部材M1に当接状に固定する為の複数の取り付けボルト3、ピン本体部材2の第1ピン部9を外径拡大側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定する第1拡径機構5、ピン本体部材2の第2ピン部10を外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔H2に密着状に固定する第2拡径機構6などを備えている。
【0031】
次に、ピン本体部材2について説明する。
図1〜図7に示すように、ピン本体部材2は、この中段部の下半部に形成されてベース部材M1に固定する為の取り付け用のフランジ部7と、このフランジ部7の両側部分に形成されて第1,第2ピン孔H1,H2に夫々挿入して固定される第1,第2ピン部9,10とを備えている。
【0032】
フランジ部7は、第1,第2ピン部9,10の直径の約3倍の直径の円形板に形成され、このフランジ部7内の中心部分には縦向きの円筒孔8が形成されている。フランジ部7には、3つのボルト頭部収容孔7aと、これらボルト頭部収容孔7aに連なるボルト貫通孔7bとがその周方向等間隔に形成されている。フランジ部7は、3本の取り付けボルト3を介してベース部材M1に強固に固定される。各取り付けボルト3の頭部3aがボルト頭部収容孔7aに収容され、そのネジ軸部7bがボルト貫通孔3bに隙間をあけて挿通されベース部材M1のボルト孔M1aに螺合される。
【0033】
第1ピン部9は、ピン本体部材2の全長の約1/4の長さの筒状に形成されている。第1ピン部9の内部には、フランジ部7の方へ向かって小径化する第1テーパ孔11が形成され、この第1テーパ孔11は円筒孔8の下端に連なっている。第1ピン部9は、ほぼ全長に亙る下端開放状の複数のスリット12を有し、これらのスリット12を介して外径拡大側へ弾性変形可能に構成されている。
【0034】
第1ピン部9の下端部には面取りしたテーパ面9aが形成されている。第1ピン部9は、第1ピン孔H1にその周面との間に微小隙間をあけて挿入可能に構成され、第1ピン部9の外径は、第1ピン孔H1の内径より僅かに小さい。
【0035】
第2ピン部10は、ピン本体部材2の全長の約1/2の長さ、第1ピン部9と略同じ直径の筒状に形成されている。但し、第2ピン部10の直径(外径)は、第1ピン部9の直径より大きくても良く、又は小さくても良い。第2ピン部10は、その内部に形成されフランジ部7の方へ向かって大径化する第2テーパ孔14、上下方向向きの複数のスリット15,16、第2テーパ孔14の上端に連なる環状底面17aを有する収容孔17を有している。第2テーパ孔14は円筒孔8の上端部に連なっている。つまり、第1,第2テーパ孔11,14は、円筒孔8を介して直列状に形成されている。
【0036】
第2ピン部10の上端部分には、上方ほど小径化するテーパ面10aが形成されている。第2ピン部10の外径は第2ピン孔H2の内径より僅かに小さく形成され、第2ピン部10は、第2ピン孔H2にその周面との間に微小隙間をあけて挿入可能に構成されている。収容孔17の上端部には、ボルト部材25の頭部25aの外面の外周部を受け止め可能なストップリング18が装着されている。
【0037】
図3に示すように、複数のスリット15,16の長さは、第2ピン部10の全長の約60〜65%である。第2ピン部10には、上端開放状の4本の上側スリット15が周方向等間隔に形成され、これら4本の上側スリット15の間に位置するように、4本の下側スリット16が周方向等間隔に形成されている。これらスリット15,16を介して、第2ピン部10は外径拡大側へ弾性変形可能に構成されている。
【0038】
次に、第1拡径機構5について説明する。
図4〜図7に示すように、第1拡径機構5は、複数の取り付けボルト3によりフランジ部7をベース部材M1に固定する際の締結力により第1ピン部9を外径拡大側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に密着状に固定するためのものである。第1拡径機構5は、第1ピン部9内に形成された第1テーパ孔11と、第1テーパ孔11に密着状に内嵌されて第1ピン部9に保持され且つ外径縮小側へ弾性変形可能な第1テーパスリーブ21とを有する。
【0039】
第1テーパスリーブ21には、上方程小径化するテーパ外周面21aと、全長にわたる1つのスリット21bが形成されている。第1テーパスリーブ21は、第1テーパ孔11に面接触して係合され、第1テーパスリーブ21の環状溝部21cに、第1テーパ孔11の下端部に装着されたC形リング22が係合している。第1テーパスリーブ21の下端部は、第1テーパ孔11から下方へ突出している。ピン本体部材2が下方へ駆動された場合に、第1テーパスリーブ21が第1テーパ孔11内に進入して外径縮小側へ弾性変形しながら、第1テーパスリーブ21は、第1テーパ孔11の内面に密着状に係合して、第1ピン部9を拡径させて第1ピン孔H1に密着状に固定させる。
【0040】
次に、第2拡径機構6について説明する。
図4〜図7に示すように、第2拡径機構6は、第2ピン部10を外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔H2に密着状に固定するためのものである。第2拡径機構6は、第2ピン部10内に形成された第2テーパ孔14と、この第2テーパ孔14に内嵌状に装着された第2テーパスリーブ24と、この第2テーパスリーブ24に螺合されて頭部25aが第2ピン部10の環状底面17aで受け止められたボルト部材25とを備えている。
【0041】
第2テーパスリーブ24には、下方程大径化するテーパ外周面24aと、このテーパ外周面24aの下端に連なる下部円筒面24bと、下端開放状のスリット24cとが形成されている。第2テーパスリーブ24のテーパ外周面24aが、第2テーパ孔14に面接触して係合し、下部円筒面24bが円筒孔8に微小隙間をあけて係合している。第2テーパスリーブ24は、ボルト部材25により上方へ引き上げ駆動された場合に、第2テーパ孔14の内面に密着状に係合して、第2ピン部10を外径拡大側へ弾性変形させ、第2ピン部10を第2ピン孔H2に密着状に固定させる。
【0042】
第2拡径機構6は、第2テーパスリーブ24の回転を規制する回転規制ピン27を備えている。回転規制ピン27の一端部が、第2テーパスリーブ24のスリット24cに挿入され、回転規制ピン27の他端部が、フランジ部7の貫通孔7cに固定されている。
【0043】
ボルト部材25は、第2テーパスリーブ24を軸心方向へ移動駆動するためのものである。ボルト部材25は、頭部25aと、この頭部25aから下方へ延びるネジ軸部25bとを有する。ネジ軸部25bは、第2テーパスリーブ24のネジ孔に螺合されている。頭部25aは、収容孔17内に収容され、頭部25aの上面の外周部とストップリング18との間には座金部材29aが装着され、頭部25aの下面の外周部と収容孔17の環状底面17aの間には座金部材29bが装着され、ボルト部材25は軸心方向に移動しないように収容孔17に係止されている。座金部材29a,29bは、ステンレスや真鍮などの低摩擦金属材料で構成されている。頭部25aの上端中央部には、ボルト部材25を回転させるための六角レンチを係合させるための六角孔25cが形成されている。
【0044】
次に、位置決めピン装置1の作用について説明する。
図4に示すように、位置決めピン装置1を使用する前の初期状態において、第1テーバスリーブ21は下限位置に位置し、第1テーパスリーブ21の環状溝部21c上端がC形リング22に当接し、第2テーパスリーブ24は下限位置にあり、第2テーパスリーブ24のスリット24cの上端部近傍に回転規制ピン27が位置している。この初期状態の位置決めピン装置1の第1ピン部9をベース部材M1の第1ピン孔H1に挿入すると、第1テーパスリーブ21の下端が第1ピン孔H1の底面に当接する。この状態では、フランジ部7の下端面とベース部材M1の上面との間に隙間が残っている。
【0045】
次に、位置決めピン装置1をベース部材M1に固定するために、3本の取り付けボルト3をフランジ部7のボルト頭部収容孔7aとボルト挿通孔7bとに挿入し、ベース部材M1のボルト孔M1aに締め付けると、図5に示すように、フランジ部7の下面がベース部材M1の上面に面接触し、第1ピン部9の全体が第1ピン孔H1に挿入され、第1テーパスリーブ21の外径縮小側への弾性変形を介して、第1テーパスリーブ21のテーパ外周面21aが第1テーパ孔11の内面に密着状に係合すると共に、第1ピン部9は外径拡大側へ弾性変形して第1ピン孔H1に密着状に内嵌して固定される。このとき、取り付けボルト3のネジ軸部3bとボルト貫通孔7bの周面との間には僅かな隙間があるので、第1ピン部9の軸心と第1ピン孔H1の軸心とが自動的に整列されて同軸心になる。
【0046】
次に、可動部材M2を上方からベース部材M1に被せ、可動部材M2の第2ピン孔H2に第2ピン部10を挿入し、六角レンチをボルト部材25の六角孔25cに係合して、六角レンチによりボルト部材25を締め付ける方向へ回動すると、第2テーパスリーブ24は回転規制ピン27により回転規制されているため、図6,図7に示すように、ボルト部材25が第2テーパスリーブ24を上方へ引きあげ駆動し、第2テーパスリーブ24のテーパ外周面24aが第2テーパ孔14に密着状に係合して、第2ピン部10は外径拡大側へ弾性変形して第2ピン孔H2に密着状に内嵌する。こうして、ベース部材M1の第1ピン孔H1に対して可動部材M2の第2ピン孔H2を同軸心になるように整列させて高精度に位置決めすることができる。
【0047】
第2ピン部10をピン孔H2から取り外す場合には、ボルト部材25を弛める方向に回転させると、第2テーパスリーブ24が下方に移動して、第2ピン部10が外径縮小側に弾性変形して固定が解除され、可動部材M2を上方へ取り外すことができる。
【0048】
次に、位置決めピン装置1の効果について説明する。
第1,第2拡径機構5,6を夫々独立に駆動して、ピン本体部材2のフランジ部7の両側部分に形成された第1,第2ピン部9,10を、第1,第2拡径機構5,6を介して、2つのピン孔H1,H2に係合させて固定し、ピン孔H1,H2を同軸心に整列させることができる。しかも、2つのピン孔H1,H2の直径が異なる場合であっても、第1,第2ピン部9,10の外径をそれら2つのピン孔H1,H2に対応するように異なる直径に設定しておけばよい。
【0049】
フランジ部7を固定するための複数の取り付けボルト3の締結力を利用して、第1拡径機構5を介して第1ピン部9を外径拡大側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定できる。それ故、ピン本体部材2の内部に、第1ピン部9を内嵌状に固定するための駆動手段(ボルト部材など)を別途設ける必要がなくなり、位置決めピン装置1の構造を簡単化することができる。
しかも、取り付けボルト3の締め付け操作により、フランジ部7を固定するのと並行的に第1ピン部9を固定できるため、位置決めピン装置1のベース部材M1への取り付けが簡単になる。更に、複数の取り付けボルト3により大径のフランジ部7をベース部材M1に強固に固定するため、第1ピン部9の長さを短くし、小型化することができる。
【実施例2】
【0050】
次に、実施例2の位置決めピン装置1Aについて図8〜図12に基づいて説明する。但し、実施例1と同様の構成要素に同様の符号を付して説明する。
位置決めピン装置1Aは、鋼製のピン本体部材2A、このピン本体部材2Aのフランジ部7をベース部材M1に当接状に固定する為の複数の取り付けボルト3、第1ピン部9Aを外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定する第1拡径機構5A、第2ピン部10を第2ピン孔H2に密着状に固定する第2拡径機構6などを備えている。尚、第1ピン孔H1の下部の途中部には、後述する第3テーパスリーブ33の下端部を受け止め可能な環状受部H1aが形成されている(図9〜図12参照)。
【0051】
次に、ピン本体部材2Aについて説明する。
ピン本体部材2Aの中段部の下半部には、ベース部材M1に当接状に固定する為の取り付け用のフランジ部7が形成され、ピン本体部材2Aのフランジ部7の両側部分には、第1,第2ピン孔H1,H2に夫々挿入して固定される第1,第2ピン部9A,10が形成されている。このフランジ部7と第1ピン部9A内の中心部分には円筒孔8が形成されている。尚、ピン本体部材2Aのフランジ部7と第2ピン部10及び第2拡径機構6は、前記実施例1と同様であるので、それらの詳細な説明は省略し、以下、ピン本体部材2Aの第1ピン部9Aと第1拡径機構5Aについて説明する。
【0052】
次に、第1ピン部9Aについて説明する。
第1ピン部9Aは、ピン本体部材2Aの全長の約1/4の長さの筒状に形成され、外径縮小方向へ弾性変形可能に構成されている。第1ピン部9Aの外周面にはフランジ部7の方へ向かって大径化するテーパ面31が形成されている。第1ピン部9Aの外周部下端にはC形リング32が装着されている。
【0053】
次に、第1拡径機構5Aについて説明する。
第1拡径機構5Aは、複数の取り付けボルト3によりフランジ部7をベース部材M1に固定する際の締結力により第1ピン部9Aを外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定するためのものである。第1拡径機構5Aは、第1ピン部9Aの外面に形成されたテーパ面31と、テーパ面31に密着状に外嵌されて第1ピン部9Aに保持され且つ外径拡大側へ弾性変形可能な第3テーパスリーブ33とを有する。
【0054】
第3テーパスリーブ33には上方程大径化するテーパ内周面33aが形成されている。第3テーパスリーブ33の軸心方向の長さは、第1ピン孔H1の上端から環状受部H1aまでの長さと等しい。第3テーパスリーブ33は、テーパ面31に面接触状に外嵌して係合され、C形リング32で係止されている。ピン本体部材2Aが下方へ駆動された場合に、第1ピン部9Aが外径縮小側へ弾性変形すると共に、第3テーパスリーブ33が外径拡大側へ弾性変形して第1ピン孔H1に密着状に係合する。
【0055】
次に、位置決めピン装置1Aの作用について説明する。
図9に示すように、位置決めピン装置1Aを使用する前の初期状態において、第3テーパスリーブ33は下限位置に位置し、第3テーパスリーブ33の下端部がC形リング32に当接し、第2テーパスリーブ24は下限位置にあり、第2テーパスリーブ24のスリット24c上端部近傍に回転規制ピン27が位置している。この初期状態の位置決めピン装置1Aの第1ピン部9Aと第3テーパスリーブ33をベース部材M1の第1ピン孔H1に挿入すると、第3テーパスリーブ33の下端部が第1ピン孔H1の環状受部H1aに当接する。この状態では、フランジ部7の下端面とベース部材M1の上面の間に隙間が残っている。
【0056】
次に、位置決めピン装置1Aをベース部材M1に固定するために、3本の取り付けボルト3をフランジ部7のボルト頭部収容孔7aとボルト貫通孔7bに挿入し、ベース部材M1のボルト孔M1aに締めつけると、図10に示すように、第1ピン部9Aが第3テーパスリーブ33に挿入されて、テーパ面32が第3テーパスリーブ33のテーパ内周面33aに密着状に係合し、第1ピン部9Aが外径縮小側へ弾性変形すると共に、第3テーパスリーブ33は外径拡大側へ弾性変形して、第1ピン孔H1に密着状に係合する。このとき、取り付けボルト3のネジ軸部3bとボルト貫通孔7bの周面との間には僅かな隙間があるので、第1ピン部9Aが第1ピン孔H1と同軸心となるように整列されて自動的に位置決めされる。
【0057】
次に、可動部材M2を上方から被せ、第2ピン部10を可動部材M2の第2ピン孔H2に挿入し、六角レンチをボルト部材25の六角孔25cに係合して、六角レンチによりボルト部材25を締め付けると、第2テーパスリーブ24が回転規制ピン27により回転規制されているため、図11,図12に示すように、ボルト部材25が第2テーパスリーブ24を上方へ引きあげ駆動し、第2テーパスリーブ24のテーパ外周面24aが第2テーパ孔14に密着状に係合して、第2ピン部10は径拡大側へ弾性変形して第2ピン孔H2に密着状に係合する。こうして、ベース部材M1の第1ピン孔H1に対して可動部材M2の第2ピン孔H2を同軸心になるように整列させて位置決めすることができる。
【0058】
位置決めピン装置1Aの第2ピン部10を第2ピン孔H2から取り外す場合には、ボルト部材25を弛める方向に回転させると、第2テーパスリーブ24が下方に移動して、第 2ピン部10による固定が解除されて、可動部材M2を取り外すことができる。
【0059】
次に、位置決めピン装置1Aの効果について説明する。
第1,第2拡径機構5,6を夫々独立に駆動して、ピン本体部材2Aのフランジ部7の両側部分に形成された第1,第2ピン部9A,10を、2つのピン孔H1,H2に係合させて固定し、第1,第2ピン孔H1,H2を同軸心に整列させることができるため、基本的に、実施例1の位置決めピン装置1と同様の効果を奏する。
【実施例3】
【0060】
次に、実施例3の位置決めピン装置1Bについて説明する。但し、実施例1と同様の構成要素に同様の符号を付して説明する。
図13〜図15に示すように、矩形状のベース部材M1の左端近傍部分に位置決めピン装置1が設けられ、ベース部材M1の右端近傍部分に位置決めピン装置1Bが設けられ、これら位置決めピン装置1,1Bを介してベース部材M1に対してワークパレットM2を位置決めして固定するようになっている。尚、ワークパレットM2は、機械加工に供するワークを固定して、工作機械の加工領域へ供給するためのものである。
【0061】
位置決めピン装置1Bは、鋼製のピン本体部材2B、このピン本体部材2Bのフランジ部7をベース部材M1に当接状に固定する為の複数の取り付けボルト3、ピン本体部材2Bの第1ピン部9を外径拡大側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定する第1拡径機構5、ピン本体部材2Bの第2ピン部10Aを外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔H2に密着状に固定する第2拡径機構6などを備えている。
【0062】
次に、ピン本体部材2Bについて説明する。
ピン本体部材2Bの中段部には、ベース部材M1に当接状に固定する為の取り付け用のフランジ部7と、このフランジ部7の両側部分に形成され且つ第1,第2ピン孔H1,H2に夫々内嵌される第1,第2ピン部9,10Bとを備えている。尚、ピン本体部材2Bのフランジ部7と第1ピン部9及び第1,第2拡径機構5,6は、前記実施例1と同様であるので、ここではそれらの説明は省略し、以下、第2ピン部10Bについて説明する。
【0063】
次に、第2ピン部10Bについて説明する。
第2ピン部10Bは、ピン本体部材2Bの全長の約1/2、第1ピン部9と略同じ直径の筒状に形成されている。第2ピン部10Bの内部構造は、前記第2ピン部10と同様である。第2ピン部10Bの外周部には、軸心を挟んで対向する1対の大径面10bが形成されている。大径面10bの周方向の長さは第2ピン部10Bの外周の約1/10である。第2ピン部10Bの外周部には、1対の大径面10bの間に位置する1対の浅溝部35が形成されている。この浅溝部35は第2ピン部10Bの全長に亙って形成されている。第2ピン部10Bには、上端開放状の4本のスリット36が周方向等間隔に全長に亙って形成されている。こられスリット36を介して、第2ピン部10Bは外径拡大側へ弾性変形可能に構成されている。第2ピン部10Bが外径拡大側へ弾性変形した際には、1対の大径面10bが第2ピン孔H2に内嵌状に係合する。
【0064】
次に、位置決めピン装置1Bの作用について説明する。
位置決めピン装置1Bの作用のうち、位置決めピン装置1の作用と異なる点について説明する。図13,図14における位置決めピン装置1Bの配置方向は共通である。そのため、第2ピン部10Bが外径拡大方向へ弾性変形し、1対の大径面10bが第2ピン孔H2の内面に密着状に内嵌係合したとき、位置決めピン装置1Bに対してワークパレットM2は、1対の浅溝部35を介して図13の左右方向(X方向)へは僅かに移動可能であるが、1対の大径面10bを介して図13の上下方向(Y方向)へは移動不能である。
そのため、ベース部材M1側の1対の第1ピン孔H1,H1の間の距離と、ワークパレットM2側の1対の第2ピン孔H2,H2の間の距離とに誤差がある場合にも、位置決めピン装置1,1Bを介して、ベース部材M1に対してワークパレットM2を位置決めすることができる。
【0065】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
[1]前記実施例では、フランジ収容穴H2aを可動部材M2に形成したが、フランジ収容穴H2aをベース部材M1に形成してもよく、フランジ収容穴H2aをベース部材M1と可動部材M2に亙って形成してもよい。
[2]実施例3の位置決めピン装置1,1Bにおいて、フランジ部7の上面に、ワークパレットM2の高さ方向位置を決める高さ方向位置決め部を形成してもよい。
[3]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例の種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、2つの部材を位置決めするための位置決めピン装置を提供するものであり、種々の機械装置、治具や工具類に採用される種々の用途の位置決めピン装置として利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B 位置決めピン装置
2,2A,2B ピン本体部材
3 取り付けボルト
5,5A 第1拡径機構
6 第2拡径機構
7 フランジ部
9,9A 第1ピン部
10,10B 第2ピン部
11 第1テーパ孔
14 第2テーパ孔
18 ストップリング
21 第1テーパスリーブ
24 第2テーパスリーブ
25 ボルト部材
27 回転規制ピン
31 テーパ面
33 第3テーパスリーブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決めピン装置に関し、特にフランジ部とその下側と上側に形成された第1,第2ピン部とを有するピン本体部材と、第1ピン部をベース部材の第1ピン孔に固定する第1拡径機構と、第2ピン部を可動部材の第2ピン孔に密着状に固定する第2拡径機構とを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の機械装置の複数の構成部材のうち、2つの構成部材を精密に位置決めして連結する場合、2つの構成部材に夫々形成したピン孔を直列状に接続し、それらピン孔に円柱状のピンを嵌入する技術が広く採用されている。直列状のピン孔を複数組設け、複数のピンで位置決めする場合も多い。尚、上記のピンは、機械装置の構成部材に限らず、種々の部材、部品を位置決めするのに採用されている。
【0003】
従来の一般的なピンは円柱状の中実のピンである。この中実のピンはピン孔に強制的に嵌入されるが、ピンとピン孔の周面間の微小隙間をゼロにすることが望ましいが、その隙間を零にしようとすると、ピンをピン孔に嵌入不能になる。そのため、ピンとピン孔の周面間には数μmの微小隙間が存在し、位置決め精度低下の原因になる。
しかも、直列状の2つのピン孔の直径が完全に同径ではないと、小さい直径のピン孔に適した直径のピンを採用することになる。この場合、大きい直径のピン孔の周面とピン間の微小隙間が大きくなり、位置決め精度が低下する。
【0004】
そこで、複合的な構造の位置決めピンであって、筒状のピン本体を外径拡大側へ弾性変形可能に構成し、ピン本体の内部にその外径を拡大可能な拡径機構を組み込んだ位置決めピンが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1の位置決め固定プラグ(位置決めピン)においては、内部にテーパ孔を有し外径拡大側へ弾性変形可能なブッシュと、このブッシュに挿入された円錐台と、この円錐台に上方から螺合されブッシュの上端で係止されたボルト部材とを有する。
2つの部材を位置決めする場合、直列状に連通させた2つのピン孔に固定プラグを挿入して、ボルト部材を締めつけ駆動することにより円錐台をテーパ孔の小径側へ引き込み駆動し、円錐台によりブッシュを外径拡大方向に弾性変形させ、2つのピン孔を同軸心に整列させて2つの部材を位置決めする。
【0006】
他方、図16に示すような位置決めピンが実用化され販売されている。
この位置決めピン100は、第1の拡径機構103と、第2の拡径機構104を備えている。第1の拡径機構103は、円筒状のピン本体101の第1ピン部101aに設けられ、ピン本体101内の下側テーパ面101cに当接させた鋼球105と、鋼球105を押圧するボルト部材106を有する。第2の拡径機構104は、ピン本体101の第2ピン部101bに設けられ、ピン本体101内の上側テーパ面101dに当接したネジ部材107を有する。
【0007】
2つの部材を位置決めする場合、最初に第1の拡径機構103において、ボルト部材106を締めつけ駆動して鋼球105を下方に押圧することで、下側テーパ面101cを介して第1ピン部101aを外径拡大方向へ弾性変形させ、ピン孔H1に密着させる。
次に、第2の拡径機構104において、ネジ部材107を締めつけ駆動することで、上側テーパ面101dを介して第2ピン部101bを外径拡大方向へ弾性変形させ、ピン孔H2に密着させる。こうして、2つの部材M1,M2を位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−194015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の位置決め固定プラグにおいては、1組の拡径機構でもってブッシュ全体を外径拡大側へ弾性変形させるので、ピン孔の直径が等しくない場合には、小さい直径のピン孔に密着した状態に拡径するため、大きい直径のピン孔への密着度が弱くなり、位置決め精度を高めるには限界がある。
【0010】
図16の位置決めピンにおいては、2組の拡径機構でもって第1,第2ピン部を外径拡大側へ弾性変形可能であるので、僅かにピン孔の直径が異なる場合でも、第1,第2ピン部を対応するピン孔に対して密着した状態に拡径可能である。しかし、ピン本体(第1,第2ピン部)の外径が同じ直径であるので、ピン孔の直径が大きく異なる場合には、上記プラグ同様に、大きい直径のピン孔へは密着することできず、この位置決めピンを採用することができない、つまり、使用上の制約がある。
【0011】
また、図16に示す位置決めピンにおいては、ピン本体の下側に第1の拡径機構を設け、ピン本体の上側に第2の拡径機構を設ける構造であるため、第1の拡径機構のボルト部材を第2拡径機構のネジ部材の下側に配置する、つまり、ピン本体の内部に配置しなければならない。このため、位置決めピンの構造が複雑化してしまい、操作性が悪化してしまうという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、2つのピン孔の直径が異なる場合にも確実に位置決め可能な位置決めピン装置を提供すること、容易な操作でもって位置決め可能な簡単な構造の位置決めピン装置を提供すること、などである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の位置決めピン装置は、ベース部材に形成した第1ピン孔に対し、ベース部材に対して可動の可動部材に形成した第2ピン孔を同軸心に位置決めする位置決めピン装置において、前記ベース部材に固定する為の取り付け用のフランジ部と、このフランジ部の両側部分に形成されて第1,第2ピン孔に夫々挿入して固定される第1,第2ピン部とを備えたピン本体部材と、前記フランジ部をベース部材に当接状に固定する為の複数の取り付けボルトと、前記複数の取り付けボルトによりフランジ部を固定する際の締結力により第1ピン部を外径拡大側又は外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔に固定する第1拡径機構と、前記第2ピン部に形成したテーパ孔と、このテーパ孔に内嵌状に装着されたテーパスリーブと、このテーパスリーブに螺合されて頭部が第2ピン部に受け止められたボルト部材とを有し、第2ピン部を外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔に密着状に固定する第2拡径機構と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項2の位置決めピン装置は、請求項1の発明において、前記第1拡径機構は、前記第1ピン部内に形成されフランジ部の方へ向かって小径化する第1テーパ孔と、前記第1テーパ孔に密着状に内嵌されて第1ピン部に保持され且つ外径縮小側へ弾性変形可能な第1テーパスリーブとを有することを特徴としている。
【0015】
請求項3の位置決めピン装置は、請求項1の発明において、前記第1拡径機構は、前記第1ピン部の外面に形成されフランジ部の方へ向かって大径化するテーパ面と、前記テーパ面に密着状に外嵌されて第1ピン部に保持され且つ外径拡大側へ弾性変形可能な第3テーパスリーブとを有することを特徴としている。
【0016】
請求項4の位置決めピン装置は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記第2拡径機構のテーパ孔は、前記第2ピン部内に形成されフランジ部の方へ向かって大径化する第2テーパ孔であって、前記テーパスリーブは、この第2テーパ孔に内嵌状に装着された第2テーパスリーブであって、前記ボルト部材は、この第2テーパスリーブに螺合されたネジ軸部と前記第2ピン部で受け止められた頭部とを有することを特徴としている。
【0017】
請求項5の位置決めピン装置は、請求項4の発明において、前記第2拡径機構は、前記第2テーパスリーブの回転を規制する回転規制ピンを備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項6の位置決めピン装置は、請求項4の発明において、前記ボルト部材の頭部の外面の外周部を受け止め可能なストップリングを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の位置決めピン装置によれば、ピン本体部材のフランジ部の両側部分に形成され且つ2つのピン孔に対応する第1,第2ピン部を、第1,第2拡径機構を介して、2つのピン孔に固定して、第1,第2ピン孔を同軸心に整列させることができる。しかも、2つのピン孔の直径が異なる場合であっても、第1,第2ピン部の外径をそれら2つのピン孔に対応するように異なる直径に設定しておけばよい。
【0020】
フランジ部を固定するための複数の取り付けボルトの締結力を利用して、第1拡径機構を介して第1ピン部を外径拡大側又は外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔に固定できる。それ故、ピン本体部材の内部に、第1ピン部を第1ピン孔に内嵌状に固定するための駆動手段(ボルト部材など)を別途設ける必要がなくなり、位置決めピン装置の構造を簡単化することができる。しかも、取り付けボルトの締め付け操作により、フランジ部を固定するのと並行的に第1ピン部を固定できるため、位置決めピン装置のベース部材への取り付けが簡単になる。
更に、複数の取り付けボルトによりフランジ部をベース部材に強固に固定するため、第1ピン部の軸心方向の長さを短くし、小型化することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、複数の取り付けボルトを締め付けると、第1テーパスリーブは、第1テーパ孔の小径側へ相対的に移動して外径縮小側へ弾性変形して第1テーパ孔に密着状に内嵌し、ピン本体部材の第1ピン部は、第1テーパスリーブにより外径拡大側へ弾性変形して、第1ピン孔に内嵌状に固定される。
【0022】
請求項3の発明によれば、複数の取り付けボルトを締め付けると、第1ピン部は外径縮小側へ弾性変形し、第3テーパスリーブはテーパ面の大径側へ相対的に移動して外径拡大側へ弾性変形して、第1ピン孔に密着状に内嵌する。
【0023】
請求項4の発明によれば、ボルト部材を締め付けると、第2テーパスリーブは、第2テーパ孔の小径側へ移動して密着状に内嵌し、ピン本体部材の第2ピン部は、外径拡大側へ弾性変形して、第2ピン孔に密着状に固定する。ボルト部材を弛めると、第2テーパスリーブは、上記とは反対方向へ移動して、ピン本体部材の第2ピン部は、外径縮小側へ弾性変形する。
【0024】
請求項5の発明によれば、ボルト部材を回転操作するとき、回転規制ピンにより、第2テーパスリーブの回転を規制できる。
【0025】
請求項6の発明によれば、ボルト部材を回転操作するとき、ストップリングにより、ボルト部材の移動を規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1に係る位置決めピン装置とベース部材の斜視図である。
【図2】位置決めピン装置とベース部材の平面図である。
【図3】位置決めピン装置の側面図である。
【図4】ベース部材の第1ピン孔に第1ピン部を挿入した状態の位置決めピン装置とベース部材の断面図である。
【図5】位置決めピン装置の第1ピン部を第1ピン孔に固定し、位置決めピン装置の第2ピン部を可動部材の第2ピン孔に挿入した状態の断面図である。
【図6】ボルト部材を締めつけて位置決めピン装置の第2ピン部を第2ピン孔に密着状に係合させた状態の断面図(図2のVI−VI線断面図)である。
【図7】図6と同じ状態の断面図(図2のVII−VII線断面図)である。
【図8】実施例2に係る位置決めピン装置の側面図である。
【図9】位置決めピン装置の第1ピン部をベース部材の第1ピン孔に挿入した状態の断面図である。
【図10】位置決めピン装置の第1ピン部を第1ピン孔に固定し、位置決めピン装置の第2ピン部を可動部材の第2ピン孔に挿入した状態の断面図である。
【図11】ボルト部材を締め付けて位置決めピン装置の第2ピン部を第2ピン孔に密着状に係合させた状態の断面図である。
【図12】図11と同じ状態の断面図である。
【図13】実施例3に係る位置決めピン装置とベース部材の平面図である。
【図14】位置決めピン装置の平面図である。
【図15】位置決めピン装置の側面図である。
【図16】先行技術に係る位置決めピンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0028】
先ず、本発明の位置決めピン装置1の全体構成について説明する。
図1〜図7に示すように、位置決めピン装置1は、2つの部材M1,M2のうち一方の部材M1に形成した第1ピン孔H1に対し、一方の部材M1に対して可動の他方の部材M2に形成した第2ピン孔H2を同軸心に位置決めするためのものである。第2ピン孔H2の下側には、フランジ部7を収容するフランジ収容穴H2aが形成され、このフランジ収容穴H2aに、ピン本体部材2のフランジ部7が隙間をあけて収容される(図5〜図7参照)。
【0029】
2つの部材M1,M2とは、機械装置を構成する構成部材であってもよいが、本実施例では、部材M1は機械装置側のベース部材であり、部材M2はベース部材に上方から載置して位置決め固定される可動部材である。
【0030】
位置決めピン装置1は、鋼製のピン本体部材2、このピン本体部材2のフランジ部7をベース部材M1に当接状に固定する為の複数の取り付けボルト3、ピン本体部材2の第1ピン部9を外径拡大側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定する第1拡径機構5、ピン本体部材2の第2ピン部10を外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔H2に密着状に固定する第2拡径機構6などを備えている。
【0031】
次に、ピン本体部材2について説明する。
図1〜図7に示すように、ピン本体部材2は、この中段部の下半部に形成されてベース部材M1に固定する為の取り付け用のフランジ部7と、このフランジ部7の両側部分に形成されて第1,第2ピン孔H1,H2に夫々挿入して固定される第1,第2ピン部9,10とを備えている。
【0032】
フランジ部7は、第1,第2ピン部9,10の直径の約3倍の直径の円形板に形成され、このフランジ部7内の中心部分には縦向きの円筒孔8が形成されている。フランジ部7には、3つのボルト頭部収容孔7aと、これらボルト頭部収容孔7aに連なるボルト貫通孔7bとがその周方向等間隔に形成されている。フランジ部7は、3本の取り付けボルト3を介してベース部材M1に強固に固定される。各取り付けボルト3の頭部3aがボルト頭部収容孔7aに収容され、そのネジ軸部7bがボルト貫通孔3bに隙間をあけて挿通されベース部材M1のボルト孔M1aに螺合される。
【0033】
第1ピン部9は、ピン本体部材2の全長の約1/4の長さの筒状に形成されている。第1ピン部9の内部には、フランジ部7の方へ向かって小径化する第1テーパ孔11が形成され、この第1テーパ孔11は円筒孔8の下端に連なっている。第1ピン部9は、ほぼ全長に亙る下端開放状の複数のスリット12を有し、これらのスリット12を介して外径拡大側へ弾性変形可能に構成されている。
【0034】
第1ピン部9の下端部には面取りしたテーパ面9aが形成されている。第1ピン部9は、第1ピン孔H1にその周面との間に微小隙間をあけて挿入可能に構成され、第1ピン部9の外径は、第1ピン孔H1の内径より僅かに小さい。
【0035】
第2ピン部10は、ピン本体部材2の全長の約1/2の長さ、第1ピン部9と略同じ直径の筒状に形成されている。但し、第2ピン部10の直径(外径)は、第1ピン部9の直径より大きくても良く、又は小さくても良い。第2ピン部10は、その内部に形成されフランジ部7の方へ向かって大径化する第2テーパ孔14、上下方向向きの複数のスリット15,16、第2テーパ孔14の上端に連なる環状底面17aを有する収容孔17を有している。第2テーパ孔14は円筒孔8の上端部に連なっている。つまり、第1,第2テーパ孔11,14は、円筒孔8を介して直列状に形成されている。
【0036】
第2ピン部10の上端部分には、上方ほど小径化するテーパ面10aが形成されている。第2ピン部10の外径は第2ピン孔H2の内径より僅かに小さく形成され、第2ピン部10は、第2ピン孔H2にその周面との間に微小隙間をあけて挿入可能に構成されている。収容孔17の上端部には、ボルト部材25の頭部25aの外面の外周部を受け止め可能なストップリング18が装着されている。
【0037】
図3に示すように、複数のスリット15,16の長さは、第2ピン部10の全長の約60〜65%である。第2ピン部10には、上端開放状の4本の上側スリット15が周方向等間隔に形成され、これら4本の上側スリット15の間に位置するように、4本の下側スリット16が周方向等間隔に形成されている。これらスリット15,16を介して、第2ピン部10は外径拡大側へ弾性変形可能に構成されている。
【0038】
次に、第1拡径機構5について説明する。
図4〜図7に示すように、第1拡径機構5は、複数の取り付けボルト3によりフランジ部7をベース部材M1に固定する際の締結力により第1ピン部9を外径拡大側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に密着状に固定するためのものである。第1拡径機構5は、第1ピン部9内に形成された第1テーパ孔11と、第1テーパ孔11に密着状に内嵌されて第1ピン部9に保持され且つ外径縮小側へ弾性変形可能な第1テーパスリーブ21とを有する。
【0039】
第1テーパスリーブ21には、上方程小径化するテーパ外周面21aと、全長にわたる1つのスリット21bが形成されている。第1テーパスリーブ21は、第1テーパ孔11に面接触して係合され、第1テーパスリーブ21の環状溝部21cに、第1テーパ孔11の下端部に装着されたC形リング22が係合している。第1テーパスリーブ21の下端部は、第1テーパ孔11から下方へ突出している。ピン本体部材2が下方へ駆動された場合に、第1テーパスリーブ21が第1テーパ孔11内に進入して外径縮小側へ弾性変形しながら、第1テーパスリーブ21は、第1テーパ孔11の内面に密着状に係合して、第1ピン部9を拡径させて第1ピン孔H1に密着状に固定させる。
【0040】
次に、第2拡径機構6について説明する。
図4〜図7に示すように、第2拡径機構6は、第2ピン部10を外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔H2に密着状に固定するためのものである。第2拡径機構6は、第2ピン部10内に形成された第2テーパ孔14と、この第2テーパ孔14に内嵌状に装着された第2テーパスリーブ24と、この第2テーパスリーブ24に螺合されて頭部25aが第2ピン部10の環状底面17aで受け止められたボルト部材25とを備えている。
【0041】
第2テーパスリーブ24には、下方程大径化するテーパ外周面24aと、このテーパ外周面24aの下端に連なる下部円筒面24bと、下端開放状のスリット24cとが形成されている。第2テーパスリーブ24のテーパ外周面24aが、第2テーパ孔14に面接触して係合し、下部円筒面24bが円筒孔8に微小隙間をあけて係合している。第2テーパスリーブ24は、ボルト部材25により上方へ引き上げ駆動された場合に、第2テーパ孔14の内面に密着状に係合して、第2ピン部10を外径拡大側へ弾性変形させ、第2ピン部10を第2ピン孔H2に密着状に固定させる。
【0042】
第2拡径機構6は、第2テーパスリーブ24の回転を規制する回転規制ピン27を備えている。回転規制ピン27の一端部が、第2テーパスリーブ24のスリット24cに挿入され、回転規制ピン27の他端部が、フランジ部7の貫通孔7cに固定されている。
【0043】
ボルト部材25は、第2テーパスリーブ24を軸心方向へ移動駆動するためのものである。ボルト部材25は、頭部25aと、この頭部25aから下方へ延びるネジ軸部25bとを有する。ネジ軸部25bは、第2テーパスリーブ24のネジ孔に螺合されている。頭部25aは、収容孔17内に収容され、頭部25aの上面の外周部とストップリング18との間には座金部材29aが装着され、頭部25aの下面の外周部と収容孔17の環状底面17aの間には座金部材29bが装着され、ボルト部材25は軸心方向に移動しないように収容孔17に係止されている。座金部材29a,29bは、ステンレスや真鍮などの低摩擦金属材料で構成されている。頭部25aの上端中央部には、ボルト部材25を回転させるための六角レンチを係合させるための六角孔25cが形成されている。
【0044】
次に、位置決めピン装置1の作用について説明する。
図4に示すように、位置決めピン装置1を使用する前の初期状態において、第1テーバスリーブ21は下限位置に位置し、第1テーパスリーブ21の環状溝部21c上端がC形リング22に当接し、第2テーパスリーブ24は下限位置にあり、第2テーパスリーブ24のスリット24cの上端部近傍に回転規制ピン27が位置している。この初期状態の位置決めピン装置1の第1ピン部9をベース部材M1の第1ピン孔H1に挿入すると、第1テーパスリーブ21の下端が第1ピン孔H1の底面に当接する。この状態では、フランジ部7の下端面とベース部材M1の上面との間に隙間が残っている。
【0045】
次に、位置決めピン装置1をベース部材M1に固定するために、3本の取り付けボルト3をフランジ部7のボルト頭部収容孔7aとボルト挿通孔7bとに挿入し、ベース部材M1のボルト孔M1aに締め付けると、図5に示すように、フランジ部7の下面がベース部材M1の上面に面接触し、第1ピン部9の全体が第1ピン孔H1に挿入され、第1テーパスリーブ21の外径縮小側への弾性変形を介して、第1テーパスリーブ21のテーパ外周面21aが第1テーパ孔11の内面に密着状に係合すると共に、第1ピン部9は外径拡大側へ弾性変形して第1ピン孔H1に密着状に内嵌して固定される。このとき、取り付けボルト3のネジ軸部3bとボルト貫通孔7bの周面との間には僅かな隙間があるので、第1ピン部9の軸心と第1ピン孔H1の軸心とが自動的に整列されて同軸心になる。
【0046】
次に、可動部材M2を上方からベース部材M1に被せ、可動部材M2の第2ピン孔H2に第2ピン部10を挿入し、六角レンチをボルト部材25の六角孔25cに係合して、六角レンチによりボルト部材25を締め付ける方向へ回動すると、第2テーパスリーブ24は回転規制ピン27により回転規制されているため、図6,図7に示すように、ボルト部材25が第2テーパスリーブ24を上方へ引きあげ駆動し、第2テーパスリーブ24のテーパ外周面24aが第2テーパ孔14に密着状に係合して、第2ピン部10は外径拡大側へ弾性変形して第2ピン孔H2に密着状に内嵌する。こうして、ベース部材M1の第1ピン孔H1に対して可動部材M2の第2ピン孔H2を同軸心になるように整列させて高精度に位置決めすることができる。
【0047】
第2ピン部10をピン孔H2から取り外す場合には、ボルト部材25を弛める方向に回転させると、第2テーパスリーブ24が下方に移動して、第2ピン部10が外径縮小側に弾性変形して固定が解除され、可動部材M2を上方へ取り外すことができる。
【0048】
次に、位置決めピン装置1の効果について説明する。
第1,第2拡径機構5,6を夫々独立に駆動して、ピン本体部材2のフランジ部7の両側部分に形成された第1,第2ピン部9,10を、第1,第2拡径機構5,6を介して、2つのピン孔H1,H2に係合させて固定し、ピン孔H1,H2を同軸心に整列させることができる。しかも、2つのピン孔H1,H2の直径が異なる場合であっても、第1,第2ピン部9,10の外径をそれら2つのピン孔H1,H2に対応するように異なる直径に設定しておけばよい。
【0049】
フランジ部7を固定するための複数の取り付けボルト3の締結力を利用して、第1拡径機構5を介して第1ピン部9を外径拡大側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定できる。それ故、ピン本体部材2の内部に、第1ピン部9を内嵌状に固定するための駆動手段(ボルト部材など)を別途設ける必要がなくなり、位置決めピン装置1の構造を簡単化することができる。
しかも、取り付けボルト3の締め付け操作により、フランジ部7を固定するのと並行的に第1ピン部9を固定できるため、位置決めピン装置1のベース部材M1への取り付けが簡単になる。更に、複数の取り付けボルト3により大径のフランジ部7をベース部材M1に強固に固定するため、第1ピン部9の長さを短くし、小型化することができる。
【実施例2】
【0050】
次に、実施例2の位置決めピン装置1Aについて図8〜図12に基づいて説明する。但し、実施例1と同様の構成要素に同様の符号を付して説明する。
位置決めピン装置1Aは、鋼製のピン本体部材2A、このピン本体部材2Aのフランジ部7をベース部材M1に当接状に固定する為の複数の取り付けボルト3、第1ピン部9Aを外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定する第1拡径機構5A、第2ピン部10を第2ピン孔H2に密着状に固定する第2拡径機構6などを備えている。尚、第1ピン孔H1の下部の途中部には、後述する第3テーパスリーブ33の下端部を受け止め可能な環状受部H1aが形成されている(図9〜図12参照)。
【0051】
次に、ピン本体部材2Aについて説明する。
ピン本体部材2Aの中段部の下半部には、ベース部材M1に当接状に固定する為の取り付け用のフランジ部7が形成され、ピン本体部材2Aのフランジ部7の両側部分には、第1,第2ピン孔H1,H2に夫々挿入して固定される第1,第2ピン部9A,10が形成されている。このフランジ部7と第1ピン部9A内の中心部分には円筒孔8が形成されている。尚、ピン本体部材2Aのフランジ部7と第2ピン部10及び第2拡径機構6は、前記実施例1と同様であるので、それらの詳細な説明は省略し、以下、ピン本体部材2Aの第1ピン部9Aと第1拡径機構5Aについて説明する。
【0052】
次に、第1ピン部9Aについて説明する。
第1ピン部9Aは、ピン本体部材2Aの全長の約1/4の長さの筒状に形成され、外径縮小方向へ弾性変形可能に構成されている。第1ピン部9Aの外周面にはフランジ部7の方へ向かって大径化するテーパ面31が形成されている。第1ピン部9Aの外周部下端にはC形リング32が装着されている。
【0053】
次に、第1拡径機構5Aについて説明する。
第1拡径機構5Aは、複数の取り付けボルト3によりフランジ部7をベース部材M1に固定する際の締結力により第1ピン部9Aを外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定するためのものである。第1拡径機構5Aは、第1ピン部9Aの外面に形成されたテーパ面31と、テーパ面31に密着状に外嵌されて第1ピン部9Aに保持され且つ外径拡大側へ弾性変形可能な第3テーパスリーブ33とを有する。
【0054】
第3テーパスリーブ33には上方程大径化するテーパ内周面33aが形成されている。第3テーパスリーブ33の軸心方向の長さは、第1ピン孔H1の上端から環状受部H1aまでの長さと等しい。第3テーパスリーブ33は、テーパ面31に面接触状に外嵌して係合され、C形リング32で係止されている。ピン本体部材2Aが下方へ駆動された場合に、第1ピン部9Aが外径縮小側へ弾性変形すると共に、第3テーパスリーブ33が外径拡大側へ弾性変形して第1ピン孔H1に密着状に係合する。
【0055】
次に、位置決めピン装置1Aの作用について説明する。
図9に示すように、位置決めピン装置1Aを使用する前の初期状態において、第3テーパスリーブ33は下限位置に位置し、第3テーパスリーブ33の下端部がC形リング32に当接し、第2テーパスリーブ24は下限位置にあり、第2テーパスリーブ24のスリット24c上端部近傍に回転規制ピン27が位置している。この初期状態の位置決めピン装置1Aの第1ピン部9Aと第3テーパスリーブ33をベース部材M1の第1ピン孔H1に挿入すると、第3テーパスリーブ33の下端部が第1ピン孔H1の環状受部H1aに当接する。この状態では、フランジ部7の下端面とベース部材M1の上面の間に隙間が残っている。
【0056】
次に、位置決めピン装置1Aをベース部材M1に固定するために、3本の取り付けボルト3をフランジ部7のボルト頭部収容孔7aとボルト貫通孔7bに挿入し、ベース部材M1のボルト孔M1aに締めつけると、図10に示すように、第1ピン部9Aが第3テーパスリーブ33に挿入されて、テーパ面32が第3テーパスリーブ33のテーパ内周面33aに密着状に係合し、第1ピン部9Aが外径縮小側へ弾性変形すると共に、第3テーパスリーブ33は外径拡大側へ弾性変形して、第1ピン孔H1に密着状に係合する。このとき、取り付けボルト3のネジ軸部3bとボルト貫通孔7bの周面との間には僅かな隙間があるので、第1ピン部9Aが第1ピン孔H1と同軸心となるように整列されて自動的に位置決めされる。
【0057】
次に、可動部材M2を上方から被せ、第2ピン部10を可動部材M2の第2ピン孔H2に挿入し、六角レンチをボルト部材25の六角孔25cに係合して、六角レンチによりボルト部材25を締め付けると、第2テーパスリーブ24が回転規制ピン27により回転規制されているため、図11,図12に示すように、ボルト部材25が第2テーパスリーブ24を上方へ引きあげ駆動し、第2テーパスリーブ24のテーパ外周面24aが第2テーパ孔14に密着状に係合して、第2ピン部10は径拡大側へ弾性変形して第2ピン孔H2に密着状に係合する。こうして、ベース部材M1の第1ピン孔H1に対して可動部材M2の第2ピン孔H2を同軸心になるように整列させて位置決めすることができる。
【0058】
位置決めピン装置1Aの第2ピン部10を第2ピン孔H2から取り外す場合には、ボルト部材25を弛める方向に回転させると、第2テーパスリーブ24が下方に移動して、第 2ピン部10による固定が解除されて、可動部材M2を取り外すことができる。
【0059】
次に、位置決めピン装置1Aの効果について説明する。
第1,第2拡径機構5,6を夫々独立に駆動して、ピン本体部材2Aのフランジ部7の両側部分に形成された第1,第2ピン部9A,10を、2つのピン孔H1,H2に係合させて固定し、第1,第2ピン孔H1,H2を同軸心に整列させることができるため、基本的に、実施例1の位置決めピン装置1と同様の効果を奏する。
【実施例3】
【0060】
次に、実施例3の位置決めピン装置1Bについて説明する。但し、実施例1と同様の構成要素に同様の符号を付して説明する。
図13〜図15に示すように、矩形状のベース部材M1の左端近傍部分に位置決めピン装置1が設けられ、ベース部材M1の右端近傍部分に位置決めピン装置1Bが設けられ、これら位置決めピン装置1,1Bを介してベース部材M1に対してワークパレットM2を位置決めして固定するようになっている。尚、ワークパレットM2は、機械加工に供するワークを固定して、工作機械の加工領域へ供給するためのものである。
【0061】
位置決めピン装置1Bは、鋼製のピン本体部材2B、このピン本体部材2Bのフランジ部7をベース部材M1に当接状に固定する為の複数の取り付けボルト3、ピン本体部材2Bの第1ピン部9を外径拡大側へ弾性変形させて第1ピン孔H1に固定する第1拡径機構5、ピン本体部材2Bの第2ピン部10Aを外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔H2に密着状に固定する第2拡径機構6などを備えている。
【0062】
次に、ピン本体部材2Bについて説明する。
ピン本体部材2Bの中段部には、ベース部材M1に当接状に固定する為の取り付け用のフランジ部7と、このフランジ部7の両側部分に形成され且つ第1,第2ピン孔H1,H2に夫々内嵌される第1,第2ピン部9,10Bとを備えている。尚、ピン本体部材2Bのフランジ部7と第1ピン部9及び第1,第2拡径機構5,6は、前記実施例1と同様であるので、ここではそれらの説明は省略し、以下、第2ピン部10Bについて説明する。
【0063】
次に、第2ピン部10Bについて説明する。
第2ピン部10Bは、ピン本体部材2Bの全長の約1/2、第1ピン部9と略同じ直径の筒状に形成されている。第2ピン部10Bの内部構造は、前記第2ピン部10と同様である。第2ピン部10Bの外周部には、軸心を挟んで対向する1対の大径面10bが形成されている。大径面10bの周方向の長さは第2ピン部10Bの外周の約1/10である。第2ピン部10Bの外周部には、1対の大径面10bの間に位置する1対の浅溝部35が形成されている。この浅溝部35は第2ピン部10Bの全長に亙って形成されている。第2ピン部10Bには、上端開放状の4本のスリット36が周方向等間隔に全長に亙って形成されている。こられスリット36を介して、第2ピン部10Bは外径拡大側へ弾性変形可能に構成されている。第2ピン部10Bが外径拡大側へ弾性変形した際には、1対の大径面10bが第2ピン孔H2に内嵌状に係合する。
【0064】
次に、位置決めピン装置1Bの作用について説明する。
位置決めピン装置1Bの作用のうち、位置決めピン装置1の作用と異なる点について説明する。図13,図14における位置決めピン装置1Bの配置方向は共通である。そのため、第2ピン部10Bが外径拡大方向へ弾性変形し、1対の大径面10bが第2ピン孔H2の内面に密着状に内嵌係合したとき、位置決めピン装置1Bに対してワークパレットM2は、1対の浅溝部35を介して図13の左右方向(X方向)へは僅かに移動可能であるが、1対の大径面10bを介して図13の上下方向(Y方向)へは移動不能である。
そのため、ベース部材M1側の1対の第1ピン孔H1,H1の間の距離と、ワークパレットM2側の1対の第2ピン孔H2,H2の間の距離とに誤差がある場合にも、位置決めピン装置1,1Bを介して、ベース部材M1に対してワークパレットM2を位置決めすることができる。
【0065】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
[1]前記実施例では、フランジ収容穴H2aを可動部材M2に形成したが、フランジ収容穴H2aをベース部材M1に形成してもよく、フランジ収容穴H2aをベース部材M1と可動部材M2に亙って形成してもよい。
[2]実施例3の位置決めピン装置1,1Bにおいて、フランジ部7の上面に、ワークパレットM2の高さ方向位置を決める高さ方向位置決め部を形成してもよい。
[3]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例の種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、2つの部材を位置決めするための位置決めピン装置を提供するものであり、種々の機械装置、治具や工具類に採用される種々の用途の位置決めピン装置として利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B 位置決めピン装置
2,2A,2B ピン本体部材
3 取り付けボルト
5,5A 第1拡径機構
6 第2拡径機構
7 フランジ部
9,9A 第1ピン部
10,10B 第2ピン部
11 第1テーパ孔
14 第2テーパ孔
18 ストップリング
21 第1テーパスリーブ
24 第2テーパスリーブ
25 ボルト部材
27 回転規制ピン
31 テーパ面
33 第3テーパスリーブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に形成した第1ピン孔に対し、ベース部材に対して可動の可動部材に形成した第2ピン孔を同軸心に位置決めする位置決めピン装置において、
前記ベース部材に固定する為の取り付け用のフランジ部を備え、このフランジ部の両側部分に形成されて第1,第2ピン孔に夫々挿入して固定される第1,第2ピン部を備えたピン本体部材と、
前記フランジ部をベース部材に当接状に固定する為の複数の取り付けボルトと、
前記複数の取り付けボルトによりフランジ部を固定する際の締結力により第1ピン部を外径拡大側又は外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔に固定する第1拡径機構と、
前記第2ピン部に形成したテーパ孔と、このテーパ孔に内嵌状に装着されたテーパスリーブと、このテーパスリーブに螺合されて頭部が第2ピン部に受け止められたボルト部材とを有し、第2ピン部を外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔に密着状に固定する第2拡径機構と、
を備えたことを特徴とする位置決めピン装置。
【請求項2】
前記第1拡径機構は、前記第1ピン部内に形成されフランジ部の方へ向かって小径化する第1テーパ孔と、前記第1テーパ孔に密着状に内嵌されて第1ピン部に保持され且つ外径縮小側へ弾性変形可能な第1テーパスリーブとを有することを特徴とする請求項1に記載の位置決めピン装置。
【請求項3】
前記第1拡径機構は、前記第1ピン部の外面に形成されフランジ部の方へ向かって大径化するテーパ面と、前記テーパ面に密着状に外嵌されて第1ピン部に保持され且つ外径拡大側へ弾性変形可能な第3テーパスリーブとを有することを特徴とする請求項1に記載の位置決めピン装置。
【請求項4】
前記第2拡径機構のテーパ孔は、前記第2ピン部内に形成されフランジ部の方へ向かって大径化する第2テーパ孔であって、前記テーパスリーブは、この第2テーパ孔に内嵌状に装着された第2テーパスリーブであって、前記ボルト部材は、この第2テーパスリーブに螺合されたネジ軸部と前記第2ピン部で受け止められた頭部とを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の位置決めピン装置。
【請求項5】
前記第2拡径機構は、前記第2テーパスリーブの回転を規制する回転規制ピンを備えたことを特徴とする請求項4に記載の位置決めピン装置。
【請求項6】
前記ボルト部材の頭部の外面の外周部を受け止め可能なストップリングを設けたことを特徴とする請求項4に記載の位置決めピン装置。
【請求項1】
ベース部材に形成した第1ピン孔に対し、ベース部材に対して可動の可動部材に形成した第2ピン孔を同軸心に位置決めする位置決めピン装置において、
前記ベース部材に固定する為の取り付け用のフランジ部を備え、このフランジ部の両側部分に形成されて第1,第2ピン孔に夫々挿入して固定される第1,第2ピン部を備えたピン本体部材と、
前記フランジ部をベース部材に当接状に固定する為の複数の取り付けボルトと、
前記複数の取り付けボルトによりフランジ部を固定する際の締結力により第1ピン部を外径拡大側又は外径縮小側へ弾性変形させて第1ピン孔に固定する第1拡径機構と、
前記第2ピン部に形成したテーパ孔と、このテーパ孔に内嵌状に装着されたテーパスリーブと、このテーパスリーブに螺合されて頭部が第2ピン部に受け止められたボルト部材とを有し、第2ピン部を外径拡大側へ弾性変形させて第2ピン孔に密着状に固定する第2拡径機構と、
を備えたことを特徴とする位置決めピン装置。
【請求項2】
前記第1拡径機構は、前記第1ピン部内に形成されフランジ部の方へ向かって小径化する第1テーパ孔と、前記第1テーパ孔に密着状に内嵌されて第1ピン部に保持され且つ外径縮小側へ弾性変形可能な第1テーパスリーブとを有することを特徴とする請求項1に記載の位置決めピン装置。
【請求項3】
前記第1拡径機構は、前記第1ピン部の外面に形成されフランジ部の方へ向かって大径化するテーパ面と、前記テーパ面に密着状に外嵌されて第1ピン部に保持され且つ外径拡大側へ弾性変形可能な第3テーパスリーブとを有することを特徴とする請求項1に記載の位置決めピン装置。
【請求項4】
前記第2拡径機構のテーパ孔は、前記第2ピン部内に形成されフランジ部の方へ向かって大径化する第2テーパ孔であって、前記テーパスリーブは、この第2テーパ孔に内嵌状に装着された第2テーパスリーブであって、前記ボルト部材は、この第2テーパスリーブに螺合されたネジ軸部と前記第2ピン部で受け止められた頭部とを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の位置決めピン装置。
【請求項5】
前記第2拡径機構は、前記第2テーパスリーブの回転を規制する回転規制ピンを備えたことを特徴とする請求項4に記載の位置決めピン装置。
【請求項6】
前記ボルト部材の頭部の外面の外周部を受け止め可能なストップリングを設けたことを特徴とする請求項4に記載の位置決めピン装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−163379(P2011−163379A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23937(P2010−23937)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(596037194)パスカルエンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(596037194)パスカルエンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
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