説明

位置特定システム

本発明は、特に患者1の体内で介入器具2を位置特定するのに使用されることができる位置特定システムに関する。前記位置特定システムは、電磁信号をプローブ経路20及び基準経路に沿ってそれぞれ伝搬する成分に分離する電磁波源10を有する。前記プローブ経路20は、位置特定されるべき点において前記信号を放射する信号出口22と、前記放射された信号を獲得する少なくとも1つの検出器23とを有する。相関器は、プローブ経路20及び基準経路30に沿ってそれぞれ伝搬した信号成分間の相関を決定するのに使用される。前記基準経路の長さを知ると、プローブ経路20における信号出口22と検出器23との間の未知の距離は、相関情報に基づいて推定されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関心点、特に介入器具を位置特定する位置特定システム及び方法に関する。更に、このような位置特定システムを有する医療システム並びに前記方法に関連するコンピュータプログラム及び記録担体に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、多くの診断及び治療処置は、コスト及び患者に対するリスクを低下するように最小侵襲介入により行われる。このような介入の典型的な例は、患者の血管系におけるカテーテルのナビゲーションである。US7152608B2は、これに関して、外部磁場生成器と、患者の体内に挿入されるカテーテルに付着されたセンサプローブとを有する位置特定システムを記載している。外部に生成された地場の強度を感知することにより、前記センサは、自身の空間的位置を推論し、したがって体内のカテーテルを位置特定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この背景に基づいて、本発明の目的は、介入器具を位置特定する代替手段を提供することであり、これらの手段が、毎日の臨床的使用において費用効果が高く、及び/又は測定結果に関してロバストであることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の位置特定システム、請求項7に記載の医療システム、請求項8に記載の方法、請求項9に記載のコンピュータプログラム、及び請求項10に記載の記録担体により達成される。好適な実施例は、従属請求項において開示される。
【0005】
本発明による位置特定システムは、患者の体を通るナビゲーション中に、関心点、例えば、カテーテル、内視鏡又は針のような手術器具の先端の位置特定に役立つ。前記位置特定システムは、以下の構成要素を有する。
a)電磁信号を生成し、これを少なくとも1つのプローブ経路に沿って及び基準経路に沿って並行して伝搬する成分に分離する電磁波源。前記電磁波源は、好ましくは、典型的には約1kHzないし100GHzの範囲の周波数を持つ電磁信号を提供するマイクロ波源である。
b)前述の少なくとも1つのプローブ経路であって、このプローブ経路は、以下のものを有する。
−前記プローブ経路に沿って伝搬する電磁信号成分を空間的関心点において放射する信号出口。前記信号出口は、例えば、追跡されるべきカテーテルの先端に配置される導波管の終点でありうる。前記電磁信号は、典型的には、前記信号出口から多くの方向に、好ましくは全ての方向に等方的に放射される。
−前記信号出口において放射された前述の電磁信号成分を獲得する検出器。前記信号成分の"獲得"は、この文脈において、前記信号の形式(及び情報)が維持されるように前記信号成分のエネルギの少なくとも一部の収集を含むべきである。前記電磁波は、典型的には、前記信号出口から多くの方向に広がるので、前記検出器は、実際に、通常は、前記放射されたエネルギの小部分のみを獲得する。
c)前記プローブ経路に沿って伝搬された電磁信号成分と前記基準経路に沿って伝搬された電磁信号成分との間の相関を決定する相関器。オプションとして、このような相関は、前記プローブ及び前記基準経路からの前記信号成分の干渉に対応し、すなわち前記相関器は、光学干渉計により実現されることができる。
d)前記プローブ経路及び前記基準経路の信号成分間の前述の決定された相関から前記信号出口−したがって前記関心点−の空間的位置を推定する評価ユニット。この文脈において、前記信号出口の"位置の推定"は、広い意味で、前記信号出口の可能な所在の制限を意味するべきである。前記信号出口と検出器との間の距離を決定することにより、前記信号出口の所在は、例えば、前記検出器の周りの球上に(どこでも)位置するように制限されることができる。好ましくは、前記信号出口は、自由度又は不確定性を残さずに、すなわち空間内の特定の点において位置特定される。前記評価ユニットは、例えば、専用の電子ハードウェア及び/又は適切なソフトウェアを持つデジタルデータ処理ユニットにより実現されることができる。
【0006】
提案された位置特定システムは、プローブ経路に沿って及び前記基準経路に沿ってそれぞれ伝搬される電磁信号の成分を比較し、最大相関は、前記プローブ経路及び前記基準経路が等しい(光学的)長さを持つことを示す。前記基準経路の長さを知ることは、したがって、前記プローブ経路の長さ、したがって前記プローブ経路の一部である検出器と信号出口との間の未知の距離の長さを推論することを可能にする。光学的追跡システムに関するこの方法の利点は、前記信号出口と前記検出器との間の視覚的接触なしで機能することである。磁気追跡システムに関する利点は、前記方法が、外部磁場若しくは電場による又は例えば磁性材料の存在による妨害を感知しないことである。
【0007】
本発明の好適な実施例において、前記位置特定システムは、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのプローブ経路を有し、前記プローブ経路は、前記信号出口を共有するが、空間的に異なる位置に配置された個別の検出器を持つ。したがって、異なるプローブ経路は、前記電磁波源から前記信号出口まで延在する同一の第1のセクションと、前記信号出口から各プローブ経路に対する1つの特定の検出器まで、及び更に前記検出器から前記相関器まで延在する個別の第2のセクションとを持つ。換言すると、単一のストランドのプローブ経路は、前記信号出口において複数の枝に分離する。既に説明されたように、プローブ経路における電磁信号成分と基準経路における電磁信号成分との間の相関は、前記信号出口の可能な所在に関して1つの自由度を取り除くのに使用されることができる。(既知の相対的又は絶対的空間位置を持つ)2つの検出器を使用して、前記信号出口の位置は、したがって、空間内の一次元の線に限定されることができ、これは、時々ユーザにとって十分でありうる。3つの検出器を使用することは、原理的に、3つ全ての自由度を取り除き、したがって空間内の明確な点において前記信号出口を位置特定することを可能にする。3より多い検出器は、好ましくは、エラー補正処置に対する及び3つの検出器のデータにおける可能な曖昧さを解消する追加のデータを提供することにより位置特定の精度を増加するのに使用されることができる。
【0008】
前記少なくとも1つのプローブ経路において使用される前記検出器は、好ましくは、全ての空間的方向において感知でき、したがって、入射電磁場の各3次元分極ベクトル(polarization vector)を完全に測定することができる。これは、例えば、各々が1つの空間的方向における分極を感知できる3つの相互に直交する双極子のシステムにより達成されることができる。前記プローブ経路に伝搬する電磁信号成分の3次元分極ベクトルの完全な測定は、前記検出器の向きに関係なく信号エネルギが失われないことを保証する。更に、これは、前記信号出口が前記対応する検出器に対して位置する空間的方向を推論することを可能にし、したがって、前記信号出口の位置特定に対して利用されることができる追加の情報を提供する。
【0009】
前記位置特定システムの全体的な精度は、前記プローブ経路における電磁信号成分と前記基準経路における電磁信号成分との間の相関が決定されることができる精密度、特に前記相関の最大値(すなわちプローブ経路及び基準経路の等しい長さ)が検出されることができる精密度に決定的に依存する。これに関連して、前記電磁波源が、低コヒーレンス波源、又は換言すると広い帯域幅の電磁信号を生成する波源であることが好ましい。典型例において、放射される電磁信号の帯域幅は、10kHzないし10GHzの範囲を取る。
【0010】
前記放射される電磁信号の低コヒーレンスは、強い相関が生じるプローブ経路長及び基準経路長の正確な同等性の周りに相応に小さなウィンドウのみが存在することを意味する。したがって、これらの長さの同等性は、高い精度で検出されることができる。更に、広い帯域幅は、前記電磁信号が、高い確率で常に前記信号出口と前記検出器との間の材料により減衰されない又は最小限にしか減衰されない周波数を有するという利点を持つ。
【0011】
原理的に、前記電磁波源に隣接して前記信号出口を配置し、及び/又は前記相関器に隣接して前記検出器を配置することが可能である。前記プローブ経路の好適な実施例において、しかしながら、前記電磁波源を前記信号出口に接続する導波管及び/又は前記検出器を前記相関器に接続する導波管が存在する。同様に、前記基準経路は、オプションとして導波管を有しうる。典型的には、前記基準経路は、前記電磁波源を前記相関器に接続するこの導波管内に完全に位置する。導波管の使用により、前記位置特定システムの構成要素は、作業空間内の最適な位置、例えばカテーテルの先端(信号出口)、患者の皮膚上(検出器)又は研究室内の大きな装置に便利な場所(波源、相関器、評価ユニット)に配置されることができる。前記導波管の光学的長さは既知であり、変化しないので、これらの合体は、前記プローブ経路又は基準経路の長さに関して不確定性を暗示しない。
【0012】
本発明の他の発展形において、前記位置特定システムは、前記検出器(又は複数のプローブ経路が存在する場合に複数の検出器)の空間的位置及び/又は向きを追跡する追跡装置を有する。この追跡装置は、いかなる既知の設計であってもよく、いかなる既知の測定原理を使用してもよい。これは、特に、3つ以上のカメラピクチャから立体視原理によって前記検出器の位置を決定する光学的位置決めシステムでありうる。
【0013】
本発明は、更に、介入器具、特にカテーテル、内視鏡又は針を有し、更に、上述の種類の位置特定システムを有する医療システムに関し、前記位置特定システム前記信号出口は、前記器具に付着される。前記器具がカテーテルである場合、これは、例えば、導波管を有し、前記導波管に沿って、前記プローブ経路の電磁信号成分が前記カテーテルの先端に伝搬し、前記カテーテルの先端において、前記導波管は、電磁信号が周辺の組織に放射される信号出口を持つ。前記位置特定システムの1つ又は複数の検出器は、この場合、患者の皮膚に付着されることができる装置であることができる。
【0014】
本発明は、更に、空間内で関心点を位置特定する方法に関し、前記方法は、以下のステップを有する。
a)少なくとも1つのプローブ経路に沿って及び基準経路に沿ってそれぞれ伝搬する成分に電磁信号を分離する。
b)前記少なくとも1つのプローブ経路において、
−前記関心点に配置された信号出口から前記プローブ経路の電磁信号成分を放射し、
−検出器を用いて前記放射された電磁信号成分を獲得する。
c)前記プローブ経路及び前記基準経路に沿ってそれぞれ伝搬した前記電磁信号成分間の相関を決定する。
d)前記決定された相関に基づいて前記検出器に対する前記信号出口の場所を推定する。
【0015】
前記方法は、上述の種類の位置特定システムで実行されることができるステップを一般的な形式で有する。したがって、当該方法の細部、利点及び改良に関するより多くの情報のために先行する記載が参照される。
【0016】
本発明は、更に、上述の種類の方法のステップc)及び/又はd)の実行を可能にする、すなわちプローブ経路及び基準経路に沿ってそれぞれ伝搬された電磁信号成分間の相関を決定する、及び/又は前記決定された相関に基づいて検出器に対する信号出口の場所を推定するコンピュータプログラムに関し、前記信号出口及び前記検出器は、前記プローブ経路において連続した局である。
【0017】
最後に、本発明は、前述の種類のコンピュータプログラムが記憶された記録担体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク又はコンパクトディスク(CD)を含む。
【0018】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施例を参照して説明され、明らかになる。これらの実施例は、本発明による位置特定システムを概略的に示す添付の単一の図面を用いて例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による位置特定システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
位置特定システムは、医療応用、特に患者1の血管系を通るカテーテル2のナビゲーションに関して示されるが、本発明は、この分野に限定されない。
【0021】
既存の機械的、光学的及び磁気的装置追跡技術は、著しい制限に悩まされている。機械的追跡システムは、ツールが操作されることを可能にする一連のジョイントを使用して静止基準フレーム(例えば手術台)にツールを堅く固定する。このアプローチは、剛体ツールにのみ適切であり、運動/人間工学の範囲を大幅に制限する可能性がある。介入ツールに発光又は反射マーカを付着し、前記ツールの位置を三角測量するのにカメラを使用する光学追跡システムも、剛体ツールにのみ適しており、中断されない見通し線が前記マーカと前記カメラとの間で維持されることを必要とする。磁気追跡システムは、センサコイルにおいて電流を誘導するために交流磁場を使用する。この技術は、見通し線を必要とせず、非剛体装置を追跡するのに使用されることができるが、精度は、光学追跡方法より実質的に悪く、磁場をゆがめる金属対象の近傍で動作するのにトラブルを生じる。
【0022】
これらの問題を考慮して、術中医療装置追跡に対する新しいアプローチが、ここで提案され、これは、既存の技術に対して大幅な臨床的に重要な改良を提供する。この提案による位置特定システムは、図に示され、以下の構成要素を有する。
−生体組織を通って成功裏に送信されることができる周波数(すなわち組織が少なくとも部分的に透明に見える周波数)を含む所定のスペクトル特性を持つ電磁信号を生成する波生成器11(例えばLED又はハロゲンランプ)を持つ低コヒーレンス(広帯域幅)電磁波源10。この電磁信号は、ビームスプリッタ12により2つの成分に分割され、前記2つの成分は、"プローブ経路20"及び"基準経路30"に沿ってそれぞれ伝搬し、前記基準経路は既知の経路長を持つ。
【0023】
前述のプローブ経路20において、前記システムは、以下のものを有する。
−波源10において開始し、患者1の体を通る心臓カテーテル2に沿って走り、カテーテル2の先端において終了する第1の広帯域幅導波管21。
−前記プローブ経路の信号成分が周囲の血液/組織に放射される、第1の導波管21の遠位端部における信号出口22。
−受信された信号、すなわち信号出口22において放射される前記プローブ経路の信号成分の分極ベクトルを検出する能力を各々持つ複数の皮膚ベース放射線検出器23。検出器23は、オプションとして、3軸直交分極感知検出器(例えば3つの直交双極子)を含む。各双極子により受信された信号の振幅及び位相測定は、この場合、送信器放射器(双極子)角度及び全ての皮膚ベース検出器の相対的角度の正確な決定に対して必要な情報を提供する。
−検出器23により獲得される信号成分を干渉計40にガイドする複数の第2の広帯域幅導波管24。
【0024】
基準経路30において、前記システムは、以下のものを有する。
−波源10において開始し、干渉計40において終了する第3の広帯域幅導波管31。
【0025】
前記位置特定システムは、更に、以下のものを有する。
−相関器として機能し、第2及び第3の導波管24及び31を介してそれぞれ入ってくる前記プローブ経路及び前記基準経路の光学信号を処理する上述の干渉計40。
−高い時間的及び空間的分解能でカテーテル2の3次元位置/向きを計算するのに干渉法測定値を使用し、オプションとして術中ディスプレイ52に示すPC51又はワークステーション。
【0026】
前記システムの本質的な構成要素は、前記相関器又は干渉計40である。干渉法は、波が破壊的に及び/又は建設的に結合することにより互いと"干渉"するような波構造を持つ信号を結合するプロセスに言及する。結果は、有用な定量的情報を潜在的に含む干渉パターンである。低コヒーレンス干渉法は、2つの信号を生成するのに白色光のような低い時間的コヒーレンスを持つ波源を使用することを含む技術であり、一方の信号は、基準信号として使用され、他方の信号は、"プローブ"として使用される(Yang, C. H., Wax, A., Dasari, R. R., Feld, M. S.: "2pi ambiguity-free optical distance measurement with subnanometer precision with a novel phase-crossing low-coherence interferometer", Optics Letters 27, 77-79 (2002)を参照)。前記2つの信号は、この場合、再結合され、結果として生じる干渉パターンは、前記プローブ信号により経験されるわずかな位相及び/又は振幅変化のため、定量的測定が実行されることを可能にする。医療領域における低コヒーレンス干渉法の1つの応用は、光学コヒーレンス断層撮影OCTと称される撮像技術である(AF. Fercher, L. Mengedoht, W. Werner: "Eye length measurement by interferometry with partially coherent light", Optics Letters 13, 186-188 (1988); D. Huang, E. A. Swanson, C. P. Lin, et al.: "Optical Coherence Tomography", Science, vol. 254, no. 5035, pp. 1178-1181, 1991; WO2003011764A2を参照)。
【0027】
OCTが解剖学的境界(すなわち光学的プローブ信号の一部を反射する解剖学的フィーチャ)の深度を測定することを可能にする同じ原理が、最小侵襲介入手順の間に医療装置の位置を測定するのに提案された位置特定システムにより使用される。図の例に示されるように、電磁"プローブ信号"成分は、電磁導波管を使用して前記装置(ここではカテーテル2)を通ってこの端部に送られ、前記装置の先端から放射され、これは、前記患者の皮膚上の電磁検出器23により収集され、これが前記基準信号成分と結合される干渉計40に送り返され、前記基準信号成分は、既知の長さを持つ導波管31に沿ってソース10から直接的に送られる。前記干渉計における干渉パターンは、この場合、前記プローブ信号成分及び前記基準信号成分により横断された経路長の相対的な差に関する情報を提供し、前記患者の皮膚上の複数の検出器からのこのタイプの測定は、前記装置の位置が、前記電磁信号帯域幅に比例する軸方向空間分解能で計算されることができることを可能にする。
【0028】
カテーテル2のような装置の先端は、前記患者の体の内側で追跡されることができるので、上記の技術は、非剛体ツール(例えば、カテーテル、内視鏡、及び可とう性の針)に適切である。見通し線必要条件又は静止基準フレームに対する剛体付着が存在しないので、提案された技術は、ワークフローに悪影響を与えない又は運動の範囲を制限しない。加えて、前記低コヒーレンス電磁信号は、介入環境及び/又は生体組織の非線形電気性質が特徴付けられる及び補正されることを可能にする。干渉法ベースの測定(装置位置及び向き)は、非常に高い空間的分解能で実行されることができる。
【0029】
較正技術は、カテーテル2の所望の三角測量を可能にするためにPC51にとって既知でなければならない皮膚ベースの検出器23の相対的な位置及び角度傾斜を確立するために使用されることができる。前記較正技術は、術前又は術中撮像、例えば、蛍光透視法、コンピュータ断層撮影法(CT)、又は磁気共鳴撮像法(MRI)等を使用することができる。代わりに、これは、皮膚ベースの検出器23の位置を測定するのに標準的な(例えば光学)追跡装置を使用することができる。
【0030】
オプションとして、組織性質(すなわち電気的誘電率)の差を補正する技術が、追跡精度を最適化するために適用されることができる。
【0031】
PC51上で実行されるソフトウェアアプリケーションにおいて実施される以下の数学的アルゴリズムは、干渉計40の測定を解析し、体ベースのセンサ23に対する術中装置2の相対的位置及び角度傾斜を分解するのに使用されることができる。前記アルゴリズムは、正規化された相互相関の平均フーリエ変換、すなわち、
【数1】

としてコヒーレンスの定義を使用し、ここでSxy(f)は、前記信号(干渉する信号)の相互相関のパワースペクトル密度であり、cxyは、信号x及びyに対するコヒーレンス係数であり、fmax、fminは、それぞれ前記信号の最大周波数及び最小周波数である。"低コヒーレンス信号"は、式(fmax-fmin)に対して高い値を仮定する。
【0032】
検出器23に対する信号出口22の相対的位置を見つけることは、f∈[fmax-fmin]に対してパワースペクトル密度Sxy(f)を最大化する値τを見つけることと同等である。上に示されるように、このタスクは、ローカルPC上で実行するサポートソフトウェアにより担われる。
【0033】
前記測定値の軸方向空間分解能Δx/xが、
Δx/x=lc=(2ln2/π)(λ02/Δλ)=(2ln2/π)(λ02/c)(fmax-fmin)
により与えられることに注意すべきであり、ここでλ02は、入れられた電磁信号の中心波長であり、Δλは、同じものの合計波長分散である。
【0034】
前記測定値の上記の評価は、以下のモジュール、すなわち、
−相互相関データを処理することができるFFTアルゴリズム、
−各干渉計に対して決定されるスペクトルパワー密度を最大化するのに必要とされるシンプレックスアルゴリズム、
−全ての体ベースのセンサ23内の受信器(双極子)の分極の向きに対する振幅及び位相推定器、
−全ての体ベースのセンサに対する前記カテーテルの角度傾斜を決定するために上記の処理をするアルゴリズム、
を必要とする。
【0035】
前記提案された追跡技術は、最小侵襲介入手順、例えばカテーテルベースの心臓血管手術及び針ベースの生検/アブレーション手術を可能にする及び改良するのに決定的に重要である機能性を提供する。術中装置追跡により提供される主な能力は、医療画像データの術中視覚化を増強し、最適化する能力である。最も適切な画像スライス/体積は、介入装置の現在の位置に基づいて自動的に選択されることができ、前記画像データは、リアルタイムで関心の解剖学的構造に対する前記介入ツールの位置を明確に示すグラフィックで増強されることができる。能動装置追跡は、術中画像取得が最適化されることをも可能にする(例えば、スキャン面及び画像取得パラメータは、現在の装置位置/運動に基づいて更新されることができる)。更に、内部装置の位置及び運動を追跡することは、生理学的運動(例えば心臓及び呼吸運動)が特徴付けられ、補償されることを可能にする。
【0036】
最後に、本出願において、用語"有する"が、他の要素又はステップを除外せず、"1つの"("a"又は"an")が複数を除外せず、単一のプロセッサ又は他のユニットが、複数の手段の機能を満たしてもよいと指摘される。本発明は、あらゆる新規の特徴的フィーチャ及び特徴的フィーチャのあらゆる組み合わせにある。更に、請求項内の参照符号は、前記請求項の範囲を限定するように解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置特定システムにおいて、
a)電磁信号を少なくとも1つのプローブ経路に沿って伝搬する成分及び基準経路に沿って伝搬する成分に分離する電磁波源と、
b)前記少なくとも1つのプローブ経路であって、
−関心点において前記プローブ経路の電磁信号成分を放射する信号出口、及び
−前記放射された電磁信号成分を獲得する検出器、
を持つ前記少なくとも1つのプローブ経路と、
c)前記プローブ経路に沿って伝搬した電磁信号成分と前記基準経路に沿って伝搬した電磁信号成分との間の相関を決定する相関器と、
c)前記決定された相関に基づいて前記検出器に対する前記信号出口の場所を推定する評価ユニットと、
を有する位置特定システム。
【請求項2】
前記信号出口を共有するが、異なる位置に配置された個別の検出器を持つ少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのプローブ経路を有することを特徴とする、
請求項1に記載の位置特定システム。
【請求項3】
前記検出器が、全ての空間的方向において感知することができることを特徴とする、
請求項1に記載の位置特定システム。
【請求項4】
前記電磁波源が、低コヒーレンス波源であることを特徴とする、
請求項1に記載の位置特定システム。
【請求項5】
前記電磁波源を前記信号出口に、前記検出器を前記相関器に、及び/又は前記電磁波源を前記相関器に接続する少なくとも1つの導波管を有することを特徴とする、
請求項1に記載の位置特定システム。
【請求項6】
前記検出器の空間的位置及び/又は向きを追跡する追跡装置を有することを特徴とする、
請求項1に記載の位置特定システム。
【請求項7】
介入器具、特にカテーテル、内視鏡、又は針と、
前記器具に付着された信号出口を持つ請求項1に記載の位置特定システムと、
を有する医療システム。
【請求項8】
関心点を位置特定する方法において、
a)電磁信号を少なくとも1つのプローブ経路に沿って伝搬する成分及び基準経路に沿って伝搬する成分に分離するステップと、
b)前記少なくとも1つのプローブ経路において、
−前記関心点に配置された信号出口から前記プローブ経路の電磁信号成分を放射するステップと、
−検出器を用いて前記放射された電磁信号成分を獲得するステップと、
c)前記プローブ経路に沿って伝搬した電磁信号成分と前記基準経路に沿って伝搬した電磁信号成分との間の相関を決定するステップと、
d)前記決定された相関に基づいて前記検出器に対する前記信号出口の場所を推定するステップと、
を有する方法。
【請求項9】
請求項3に記載の方法のステップc)及び/又はd)を実行することを可能にするコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のコンピュータプログラムが記憶される記録担体。

【図1】
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【公表番号】特表2010−525361(P2010−525361A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504939(P2010−504939)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051541
【国際公開番号】WO2008/132657
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】