位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法
本発明は、アルコールおよび特定pH下で生理活性ポリペプチドを非ペプチド性重合体で処理して、位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体を高収率で調製する方法に関するものであって、前記方法は、生体内の活性が高く、血中半減期が著しく増加された多様なペプチド薬物の持続型剤形の開発において好ましく用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法に関するのもで、より詳しくは、生理活性ポリペプチドを非ペプチド性重合体と結合させ、上記結合体を高収率で調製する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペプチドは、安定性が低いため変性しやすく、体内のタンパク質加水分解酵素により分解され、比較的に小さいので腎臓を通して排泄される。よって、活性型のペプチド薬物の特定血中濃度を維持するためには、患者にペプチド薬物を頻繁に投与する必要がある。ところが、ペプチド薬物は通常注射剤として投与されるため、そのような頻繁に投与することは患者に厳しい負担を強いることになる。このような問題点を解決するために、ペプチド薬物の生体膜透過度を増加させ、口腔又は鼻腔による吸入によってペプチド薬物を伝達する方法、タンパク質加水分解酵素による分解を抑制することによってペプチドを安定化させるために、上記酵素に敏感な特定アミノ酸序列(例えば、ジペプチジルペプチダーゼによる力価損失を防ぐためのGLP−1アミノ酸序列)を変更する方法や、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」または「ペグ」と称する。)のように溶解度の高い非ペプチド性重合体をペプチド表面に化学的に付加させる方法などが開発された。
【0003】
非ペプチド性重合体として用いられているPEGは、標的ペプチドの特定部位又は多重部位に非特異的に結合して上記ペプチドの分子量を増加させ、腎臓からの消失を抑制し加水分解を防止するのに効果があって、特別な副作用も起こさない。例えば特許文献1は、うっ血性心不全症(Congestive heart failure)の治療剤として用いられるB型ナトリウム排泄増加ペプチド(B‐type natriuretic peptide、 BNP)にPEGを結合させ生理活性を持続させることに対して開示しており、特許文献2は、エキセンディン-4(Exendin−4)のリジン残基にPEGを結合させ生体内の持続時間を延長させる方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第06/076471号
【特許文献2】米国特許第6,924,264号明細書
【特許文献3】韓国特願第2008−69234号明細書
【特許文献4】韓国公開特許第2009−008151号公報
【特許文献5】韓国登録特許第775343号公報
【特許文献6】韓国登録特許第725314号公報
【特許文献7】韓国登録特許第725315号公報
【特許文献8】韓国登録特許第824505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのような方法は、PEGの分子量を増加させペプチド薬物の生体内の持続時間を延長することはできるものの、分子量増加によってペプチド薬物の力価が著しく落ちてくる。さらには、PEGの非特異的結合が生理活性ポリペプチドの活性ドメインを遮って上記ポリペプチドの活性を著しく落とすこともある。
【0006】
よって、非ペプチド性重合体が、活性に影響を及ぼさない位置特異的な方式で生理活性ポリペプチドにリンクされた、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との結合体を調製する改良方法を開発する必要がある。
【0007】
本願発明者らは、pH及び反応溶液中のアルコール含量の調節によって、非ペプチド性重合体が位置特異的にリンクされた生理活性ポリペプチド結合体を高収率で調製できることから本発明を完成した。
【0008】
従って、本発明の目的は、非ペプチド性重合体が生理活性ポリペプチドに位置特異的に結合された生理活性ポリペプチド結合体を高収率で調製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、特定量のアルコールを含み、非ペプチド性重合体が生理活性ポリペプチドのターゲットとする部位に結合するための、特定のpHを持つ反応溶液下において、生理活性ポリペプチドを非ペプチド性重合体と反応させるステップ1、および上記ステップ1の反応混合物からアルコールを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体を分離及び精製するステップ2からなる、位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、生理活性ポリペプチドの特定位置に非ペプチド性重合体が結合された生理活性ポリペプチド結合体が高収率で収得できるので、生体内の活性が比較的高く維持され、血中半減期が著しく増加された多様なペプチド薬物の持続型剤型の開発において有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、SOURCE Sカラムを用いたDA−エキセンディン−4−PEGの位置異性体(Positional isomer)の精製プロファイルである。
【図2】図2は、SOURCE Sカラムを用いたCA−エキセンディン−4−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図3】図3は、様々なpHにおいて、CA−エキセンディン−4(Exendin−4)をペグ化して得られるLys27−ペグ化された異性体を示すグラフである。
【図4】図4は、様々なpHおよび45%のエタノール(EtOH)溶液において、CA−エキセンディン−4をペグ化して得られるLys27−ペグ化された異性体を示すグラフである。
【図5】図5は、pH7.5および様々な含量(%)のエタノール溶液において、CA−エキセンディン−4をペグ化して得られるLys27−ペグ化された異性体を示すグラフである。
【図6】図6は、pH7.5および様々な含量(%)のイソプロパノール溶液において、CA−エキセンディン−4をペグ化して得られるLys27−ペグ化された異性体を示すグラフである。
【図7】図7は、CA−エキセンディン−4(Lys27)−PEG−免疫グロブリンFcのSDS−PAGE分析結果である。
【図8】図8は、CA−エキセンディン−4(Lys12およびLys27)−PEG異性体のSDS−PAGE分析結果である。
【図9】図9は、ペプチドマッピングによるCA−エキセンディン−4のLys12−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図10】図10は、ペプチドマッピングによるCA−エキセンディン−4のLys27−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図11】図11は、SOURCE Sカラムを用いたオキシントモジュリン(Oxyntomodulin)−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図12】図12は、SOURCE Sカラムを用いたCA−オキシントモジュリン−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図13】図13は、ペプチドマッピングによるオキシントモジュリンのLys30−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図14】図14は、SOURCE Qカラムを用いたCA−オキシントモジュリン−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体の精製プロファイルである。
【図15】図15は、CA−オキシントモジュリン−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE分析結果である。
【図16】図16は、SOURCE Sカラムを用いたオキシントモジュリン類似体−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図17】図17は、ペプチドマッピングによるオキシントモジュリン類似体のLys27−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図18】図18は、SOURCE Sカラムを用いたCA−オキシントモジュリン類似体−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図19】図19は、ペプチドマッピングによるCA−オキシントモジュリン類似体のLys27−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図20】図20は、SOURCE Qカラムを用いたCA−オキシントモジュリン類似体−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体の精製プロファイルである。
【図21】図21は、CA−オキシントモジュリン類似体−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE分析結果である。
【図22】図22は、SOURCE Sカラムを用いたGLP−1−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図23】図23は、ペプチドマッピングによるGLP−1のLys34−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図24】図24は、SOURCE Sカラムを用いたCA−GLP−1−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図25】図25は、ペプチドマッピングによるCA−GLP−1のLys34−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図26】図26は、SOURCE Pheカラムを用いたCA−GLP−1−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体の精製プロファイルである。
【図27】図27は、CA−GLP−1−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE分析結果である。
【図28】図28は、SOURCE Sカラムを用いたGLP−2−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図29】図29は、ペプチドマッピングによるGLP−2のLys30−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図30】図30は、SOURCE Sカラムを用いたCA−GLP−2−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図31】図31は、SOURCE Pheカラムを用いたCA−GLP−2−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体の精製プロファイルである。
【図32】図32は、イミダゾ−アセチルGLP−2−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE分析結果である。
【図33】図33は、SOURCE Sカラムを用いたヒトインスリンPEG(B1F)の位置異性体の精製プロファイルである。
【図34】図34は、SOURCE Sカラムを用いたヒトインスリンPEG(A1G)の位置異性体の精製プロファイルである。
【図35】図35は、SOURCE Sカラムを用いたヒトインスリンPEG(B29K)の位置異性体の精製プロファイルである。
【図36】図36は、ペプチドマッピングによるヒトインスリンのA1G−ペグ化された異性体、B1F−ペグ化された異性体、及びB29K−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、特定量のアルコールを含み、非ペプチド性重合体が生理活性ポリペプチドの目的とする部位に結合するためのpHを持つ反応溶液下において、生理活性ポリペプチドを非ペプチド性重合体と反応させるステップ1および上記ステップ1の反応混合物からアルコールを用いたイオン交換クロマトグラフィーによって位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体を分離及び精製するステップ2を含む、位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法を提供する。
【0014】
本発明による生理活性ポリペプチド結合体は、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体の一末端が互いに共有結合で繋がっている物質のことを意味する。また、本発明は、特定条件下でポリペプチドと重合体とを繋ぎ、重合体がポリペプチドの目標とする位置に結合されたポリペプチド結合体を分離することを特徴とする。
【0015】
本願において用いられている「生理活性ポリペプチド又はペプチド」とは、生体内で生理活性を示すことのできるペプチドを指すことであって、例えば、インスリン分泌ペプチド、血液因子、消化促進ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、腸管ホルモン、サイトカイン、酵素、成長因子、神経ペプチド(Neuropeptide)、脳下垂体ホルモン、視床下部ホルモン、抗肥満ペプチド、抗ウィルスペプチド及び生理活性を持つ非天然型ペプチド誘導体よりなる群から選ばれることもできるが、これに限ることではない。より具体的には、上記生理活性ポリペプチド又はペプチドは、赤血球生成促進因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、アミリン、グルカゴン、インスリン、ソマソスタチン、PYY(Peptide YY)、NPY(Neuropeptide Y)、GLP(Glucagon like peptide)−1、GLP−2、エキセンディン−4、オキシントモジュリン、グレリン(Ghrelin)、アンジオテンシン、ブラジキニン、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン(Corticotropin)、エレドイシン(Eledoisin)、ガストリン、レプチン、オキシトシン(Oxytocin)、バソプレシン(Vasopressin)、黄体形成ホルモン、黄体刺激ホルモン、濾胞刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン、シクレチン(Secretin)、成長ホルモン放出ホルモン(Sermorelin)、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン放出ペプチド、コロニー刺激因子(G−CSF)類、インタフェロン(IFN)類、インターロイキン(Interleukin)類、プロラクチン放出ペプチド、オレキシン(Orexin)、甲状腺放出ペプチド、コレシストキニン(Cholecystokinin)、ガストリン抑制ペプチド、カルモジュリン、ガストリン放出ペプチド、モチリン(Motilin)、血管作用性小腸ペプチド(Vasoactive Intestinal Peptide;VIP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(Atrial NatriureticPeptide;ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(Brain NatriureticPeptide;BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(C-Type NatriureticPeptide;CNP)、ニューロキニン(Neurokinin)A、ニューロメジン(Neuromedin)、レニン(Renin)、エンドセリン(Endothelin)、サラホトキシンペプチド(Sarafotoxin Peptide)、カルソモルフィンペプチド(Carsomorphin Peptide)、デモルフィン(Dermorphin)、ダイノルフィン (Dynorphin)、エンドルフィン(Endorphin)、エンケパリン(Enkepalin)、T細胞因子、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子収容体、ウロキナーゼ収容体、腫瘍抑制因子、コラゲナーゼ抑制剤、チモポエチン(Thymopoietin)、血清胸腺因子(Thymulin;Serum thymic factor(FTS))、チモペンチン(Thymopentin)、胸腺ホルモン(Thymosin)、胸腺液性因子(Thymic Humoral Factor)アドレノメデュリン(Adrenomedullin;AM)、アラタ体抑制ホルモン(Allatostatin)、アミロイドβ-プロテイン断片(Amyloid Beta‐Protein Fragment)、抗菌性ペプチド、抗酸化剤ペプチド、ボンベシン(Bombesin)、オステオカルシン(Osteocalcin)、CARTペプチド、E−セレクチン(selectin)、ICAM−1、VCAM−1、ロイコカイン(Leukokine)、クリングル(Kringle)−5、ラミニン(Laminin)、インヒビン(Inhibin)、ガラニン(Galanin)、フィブロネクチン(Fibronectin)、パンクレアスタチン(Pancreastatin)及びフューゼオン(Fuzeon)よりなる群から選ばれる。さらに、上記生理活性ポリペプチドは、その前駆物質(precursor)、誘導体(derivative)、断片(fragment)または、変異体(variant)を含む。
【0016】
本発明において用いられる望ましい生理活性ポリペプチドは、エキセンディン、インスリン、GLP−1、GLP−2、オキシントモジュリン、グレリン、アンジオテンシン、ブラジキニン、カルシトニン、またはこれらの誘導体である。上記誘導体は、例えば、アミノ酸残基の任意のグループの化学的置換(例えば、α‐メチル化またはα−ヒドロキシル化)、除去(例えば、脱アミノ化(deamination)又は炭素欠失(carbon deletion))または、修飾(例えば、N−メチル化)によって調製することができ、特に、エキセンディン誘導体は、韓国特願第2008−69234号(特許文献3)の明細書に詳細に記述されている。
【0017】
一方、本発明において用いられている用語「非ペプチド性重合体」とは、ペプチド結合を除いた共有結合により互いに繋がっている2個以上の反復単位を含む生体適合性重合体のことを指す。
【0018】
本発明に使用可能な非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸;polylactic acid)及びPLGA(ポリ乳酸・グリコール酸;polylactic-glycolicacid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択されることができ、望ましくはポリエチレングリコール(PEG)である。既に当該分野に知られているこれらの誘導体、または当該分野の技術水準で容易に調製可能な誘導体もまた本発明の範囲に含まれる。本発明において使用可能な非ペプチド性重合体は、生理活性ポリペプチドの分子量を増加させ腎臓からの結合体の消失を防ぐ働きをする。任意の非ペプチド性重合体が、生体内のたんぱく質分解酵素に抵抗性を持つ限り、制限なく用いることができる。上記非ペプチド性重合体の分子量は、0.5kDa乃至100kDa,好ましくは0.5kDa乃至20kDaの範囲で、生理活性ポリペプチド:非ペプチド性重合体のモル比は、1:1乃至1:50の範囲で適宜に選択することができる。
【0019】
また、本発明において用いられる非ペプチド性重合体は、一末端または両末端に反応基を持つことができる。両末端に反応基を持つ非ペプチド性重合体の場合、持続型製剤としての機能を果たせるようにするための生理活性担体及びタンパク質薬物に結合することもできる。
【0020】
上記非ペプチド性重合体の一末端または両末端の反応基は、反応性アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基、およびスクシンイミド(succinimide)よりなる群から選ばれることが好ましい。上記スクシニミドの例としては、スクシンイミジルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル、またはスクシンイミジルカーボネートが含まれる。特に、上記非ペプチド性重合体が一末端に反応性アルデヒド基または反応性スクシンイミド基を持つ場合、非特異的反応を最小化し、両末端にて生理活性ポリペプチドおよび生理活性担体と結合するのに効果的である。上記アルデヒド反応基は、低いpHにてアミノ末端に選択的に反応し、高いpH、例えばpH9.0の条件ではリジン残基に結合してアミン結合を形成することができる。さらに、スクシンイミド反応基は、pH7.0〜pH9.0においてアミノ末端、またはリジン残基と安定したアミド結合を形成することができる。
【0021】
また、上記非ペプチド性重合体の両末端反応基は、互い同様または違ってもよい。両末端に反応性ヒドロキシル基を持つポリエチレングリコールを非ペプチド性重合体として用いる場合、公知の化学反応によって上記ヒドロキシル基を多様な反応基に活性化できるか、また修飾した反応基を持つ購買可能なポリエチレングリコールを用いることもできる。
【0022】
本発明のステップ1は、適切な反応溶液下で非ペプチド性重合体を生理活性ポリペプチドに位置特異的に結合させ生理活性ポリペプチド結合体を調製することである。
【0023】
本願に用いられている用語「位置特異的」または「位置特異的に」とは、非ペプチド性重合体を生理活性ポリペプチドの特定ターゲットアミノ酸に、望ましくは、リジン残基またはN末端のアミンに結合させることを意味する。上記位置特異的結合は、生理的に重要であるアミノ酸残基に非ペプチド性重合体が結合した意図しない結合体の形成を防止することをも指す。例えば、非ペプチド性重合体がエキセンディン−4のN末端に結合する場合、エキセンディン−4のイン・ビトロ(in vitro)活性が落ちる反面、非ペプチド性重合体がリジン残基に結合する場合、イン・ビトロ活性が維持された。特に12番目のリジン残基よりも27番目のリジン残基に非ペプチド性重合体が結合する場合、より高いイン・ビトロ活性が観察された(実施例10および表2参照)。
【0024】
本発明者らは、ステップ1で反応溶液内アルコールの存在および反応溶液のpHが、非ペプチド性重合体と生理活性ポリペプチドとの位置特異的結合の重要な因子であることを見つけた。従って、本発明のステップ1では、特定量のアルコールを含み、かつ、特定のpHをもつ反応溶液を用いて非ペプチド性重合体を生理活性ポリペプチドの特定位置に結合させる。
【0025】
本発明の具体例において、上記ポリペプチド結合体の特定位置の異性体比は、反応溶液のpHによって異なるか、同一のpHでアルコールの濃度(%)によって異なることもある。
【0026】
つまり、本発明の上記ステップ1は、上記ポリペプチドの活性に影響を与えることもなく、目標とする(または、ターゲット)部位に非ペプチド性重合体が結合できるようにするための特定pHにおいて行われる。上記pH範囲は、生理活性ポリペプチドの種類によって異なり得る。例えば、インスリン分泌ペプチド(例えば、エキセンディン−4)の場合、上記重合体が、12番目リジン残基に結合した異性体は、低いpHの反応溶液から高い比率で観察される反面、上記重合体が、インスリン分泌活性に影響しない27番目リジン残基に結合した異性体は、高いpHの反応溶液から高い比率で観察された(実施例3および図3を参照)。従って、上記非ペプチド性重合体を27番目リジン残基に、選択的に結合させるために、pH7.5乃至pH9.0においてステップ1を行うことが好ましい。
【0027】
また、本発明の上記ステップ1は、非ペプチド性重合体が上記ポリペプチドの活性に影響しない部位に結合できるようにするために、アルコールを含んでいる反応溶液下で行われる。上記アルコールの例としては、第1級、第2級および第3級アルコール、好ましくは、1乃至10の炭素数をもつアルコール、より好ましくは、エタノールまたはイソプロパノールを含む。インスリン分泌ペプチド(例えば、エキセンディン−4)の場合、インスリン分泌活性に影響を与えない27番目リジン残基に非ペプチド性重合体を結合させるために、反応溶液中のアルコールが、反応溶液全体積を基準にして0.1ボリューム%乃至100ボリューム%、好ましくは、25ボリューム%乃至90ボリューム%、より好ましくは、35ボリューム%乃至60ボリューム%範囲の量で存在してもよい。
【0028】
本発明の一具体例において、生理活性ポリペプチドがエキセンディン−4またはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がLys27に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。本発明の別の具体例において、生理活性ポリペプチドがカルシトニンの場合、非ペプチド性重合体がN末端に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、4.0乃至6.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがオキシントモジュリン、またはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がLys27またはLys30に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがヒトインスリンまたはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がB鎖のPhe1(1番目のフェニルアラニン)N末端に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、4.0乃至6.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがヒトインスリンまたはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がA鎖のGly1(1番目のグリシン)N末端に結合するか、B鎖のLys29(29番目のリジン残基)に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがGLP−1またはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がLys34に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがGLP−2またはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がLys30に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。
【0029】
従って、本発明の好ましい位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体は、PEGがLys27に結合されたエキセンディン−4結合体、PEGがN末端に結合されたカルシトニン結合体、PEGがLys27またはLys30に結合されたオキシントモジュリン結合体またはこれの類似体、PEGがB鎖のPhe1のN末端に結合するか、A鎖のGly1のN末端に結合するか、B鎖のLys29に結合されたヒトインスリン結合体またはこれの類似体、またはPEGがLys34またはLys30に結合されたGLP−1またはGLP−2である。
【0030】
望ましい一態様として、非ペプチド性重合体および生理活性ポリペプチド間の位置特異的結合をより促すためにペプチド誘導体(または類似体)が用いられてもよい。上記誘導体は望まない結合を防ぐために、他の非ターゲットアミノ酸部位中一部が除去されるか保護されたペプチドである。例えば、インスリン分泌ペプチドの一種であるエキセンディンの場合、N末端アミノ酸であるヒスチジンのαアミン基を除去したり、上記N末端アミン基をヒドロキシル基に置換したり、ヒスチジンのN末端αアミン基を2つのメチル基に変更させたり、N末端ヒスチジンのα炭素および上記α炭素に結合しているアミン基を除去してイミダゾアセチル(imidazoacetyl)基だけを残す方法などを用いて調製された、化学式1のデス−アミノ−ヒスチジル(DA)−エキセンディン−4(Des-amino-histidyl(DA)-exendin-4)、化学式2のβ−ヒドロキシ−イミダゾプロピオニル(HY)−エキセンディン−4(Beta-hydroxy-imidazopropionyl(HY)-exendin-4)、化学式3のイミダゾアセチル(CA)−エキセンディン−4(Imidazoacetyl(CA)-exendin-4)、および化学式4のジメチル−ヒスチジル(DM)−エキセンディン−4(Dimethyl-histidyl(DM)-exendin-4)などと、様々なエキセンディン誘導体が用いられることもできるが、これに制限されることではない。このようなエキセンディン誘導体および調製方法は、大韓民国特許公開第2009−008151号(特許文献3)に開示されており、これは参考文献として本発明の範囲に含まれる。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】
上記と同様にして、1番目のアミノ酸がヒスチジンであるオキシントモジュリン、GLP−1およびGLP−2もまた化学式1乃至4から選ばれる任意の構造を持つ誘導体として用いられてもよい。
【0036】
特定の一具体例において、本発明者等は、反応溶液のpHおよびアルコールの含量(%)が、非ペプチド性重合体の位置特異的な結合態様に及ぶ影響を調査して、重合体が12番目リジン残基/27番目リジン残基に結合されたインスリン分泌ペプチドの比率が特にpHおよびエタノールまたはイソプロパノールの量によって異なることを確認した。特に、pH7.5において35%乃至55%、好ましくは約45%のエタノールまたはイソプロパノールを用いる場合、非ペプチド性重合体が27番目リジン残基に結合された、より好ましい異性体が多量に得られた。
【0037】
上記ステップ1において、特定のpHおよびアルコールの含量で調節して、目的とする非ペプチド性重合体−生理活性ポリペプチド結合体の比率を高めた後、ステップ2においては、アルコールおよびイオン交換クロマトグラフィーを用いて、上記目的とする結合体を分離および精製することができる。
【0038】
ステップ2で用いられたアルコールは精製溶液に存在しており、その特定例としてはステップ1においての定義と同様である。しかし、ステップ1で上記アルコールは、上記ポリペプチドの2次又は3次構造を変化させ、反応性および位置選択性を増加させるべく使用されている反面、ステップ2のアルコールは、イオン交換カラムと上記結合体との間の相互作用を減らして、位置特異的生理活性ポリペプチド結合体の分離および精製を容易にするべく用いられる。上記分離および精製は、当該技術分野の熟練者に知られている様々な方法、好ましくは、イオン交換クロマトグラフィー、より好ましくは、高圧イオン交換クロマトグラフィーを利用して行うことができる。
【0039】
一方、位置異性体の分離および精製を容易にするために、特定のpHにおいてイオン交換クロマトグラフィーを行うことができる。上記pHは、ステップ1では上記結合体の位置選択性を増加させるために適宜調整される反面、ステップ2において本段階では、アルコールが含まれた精製溶液上において安定してイオン交換カラムに上記結合体を付着および脱着させるために再調整する。ステップ2で用いられる適切なpHは約2.0乃至約6.0の範囲でよい。
【0040】
さらに、本発明の生理活性ポリペプチド結合体は、加えて生理活性担体と結合してもよい。この場合、上記非ペプチド性重合体は、生理活性担体と結合するために両末端を持つ非ペプチド性重合体でなければならない。つまり、生理活性ポリペプチドと共有結合していない非ペプチド性重合体の末端に生理活性担体を共有結合として繋いで、非ペプチド性重合体の両末端が生理活性ポリペプチドおよび生理活性担体と結合された結合体を調製することができる。
【0041】
前述のように、ステップ2で調製された生理活性ポリペプチド結合体は、さらに生理活性担体と結合することもでき、最終的に生成されたポリペプチド−重合体−担体結合体は、ポリペプチド−重合体結合体とは全く異なる活性、つまり、生理活性ポリペプチドの薬理効果の優れた持続性の延長、治療を望む病巣のような特定部位へのターゲティング、または細胞壊死の誘導等のような卓越な生理活性を示す。
【0042】
本発明で用いられる用語「生理活性担体」とは、非ペプチド性重合体に生理活性ポリペプチドとともに結合され、上記ポリペプチドの薬理効果のような生理活性を持続させたり、特定部位へのターゲティングだったり、または細胞壊死を誘導させることのできる、天然のポリペプチドとは別の付加的な活性を示す生理活性物質のことを意味する。
【0043】
本発明で用いられる生理活性担体は、前述の活性を制限なく持つ物質、例えば、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、トランスフェリン、アプタマー、トキシン、ジェラチン、コラーゲン、デキストラン、多糖類、脂肪酸、フィブリノゲン等を含む。好ましくは、上記生理活性担体は、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、およびトランスフェリンから生理活性担体を選ぶことができ、より好ましくは、免疫グロブリンFc領域である。
【0044】
本発明の免疫グロブリンFc領域は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域、重鎖不変領域1(CH1)と軽鎖不変領域(CL1)を除く、重鎖不変領域2(CH2)および重鎖不変領域3(CH3)のことを指す。その重鎖不変領域にヒンジ(hinge)領域をさらに含むこともできる。また、天然型の免疫グロブリンFcと実質的に同等または向上された生理的機能を持つ限り、重鎖および軽鎖可変領域を除いて、本発明の免疫グロブリンFc領域は、一部また全部の重鎖不変領域1(CH1)および/または軽鎖不変領域(CL1)を含む拡張された形態でもよく、リン酸化、硫酸化、アクリル化、糖化、メチル化、ファルネシル化、アセチル化、およびアミド化等によって修飾される免疫グロブリンFc領域を含むことができる。上記免疫グロブリンFcの範囲、その調製方法および免疫グロブリンFcを非ペプチド性重合体−生理活性ポリペプチド結合体に共有結合させる方法は、韓国登録特許第775343号公報(特許文献4)、第725314号公報(特許文献5)、第725315号(特許文献6)および第824505号公報(特許文献7)に開示されており、これらは参考文献であって、本発明の範囲に含まれる。
【0045】
本発明の方法によると、生理活性ポリペプチドの特定アミノ酸に位置特異的に非ペプチド性重合体を結合させることにとって、付加的結合体の生成を最小化しながら優れた生理活性を持つ、目的とする結合体を高収率で生成することができる。
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明の権利範囲はこれらの実施例により限定するものではない。
【0047】
(実施例1)
ペグ化されたDA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の調製および分離
<1−1>ペグ化されたDA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の調製
ペプチド内のLysをPEGと共有結合させてペグ化されたペプチド結合体を調製するべく、3mg/mL濃度のデス−アミノ−ヒスチジル−エキセンディン−4(DA−エキセンディン−4、AP社、米国)および3.4KプロピオンALD(2)PEG(2つのプロピオンアルデヒド基を持つPEG、IDB社、韓国)を1:30のモル比に、4℃において12時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのHEPES緩衝液(pH7.5)を使用し、これに還元剤であるNaCNBH3を20mM添加した。
【0048】
<1−2>位置異性体の分離
上記ステップ<1−1>の反応液をSOURCE Q イオン交換クロマトグラフィー(XK16mL、GEヘルスケア社、韓国)を利用して下記の条件下にて一時的にモノペグ化された(Mono-pegylated)ペプチドを精製し、これをSOURCE Sイオン交換クロマトグラフィー(XK16mL、GEヘルスケア社、韓国)を利用して下記の条件下にて位置異性体を分離した。この過程で精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした。ペプチドマッピング方法によって溶出されたピークからペグ化した位置を確認した。
【0049】
カラム:SOURCE Q
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris、pH8.5)およびB(A+0.5MのNaCl);Aの濃度勾配0→40%、80分
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMクエン酸、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+45%のエタノール+0.5MのKCl);Aの濃度勾配0→100%、45分
位置異性体の精製プロファイル分析から、Lys12−ペグ化されたDA−エキセンディン−4のピークが最前に出て、その後方にLys27−ペグ化されたピークが溶出されたことが分かった(図1)。
【0050】
(実施例2)
ペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の調製および分離
実施例1において、DA−エキセンディン−4の代わりにイミダゾ−アセチル−エキセンディン−4(CA−エキセンディン−4、バッヘム(Bachem)社、米国)を用いることを除いては、実施例1の過程を繰り返してペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体を収得した。位置異性体の精製プロファイル分析から、Lys12−ペグ化されたCA−エキセンディン−4のピークが最前に出て、その後方にLys27−ペグ化されたピークが溶出されたことが分かった(図2)。
【0051】
(実施例3)
反応溶液のpHによるペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の比率変化
pHによる特定位置にペグ化されたポリペプチドの比率変化を調べるために、CA−エキセンディン−4と3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:30のモル比に、CA−エキセンディン−4の濃度を3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させペグ化した。この時、反応溶液として各々100mMのクエン酸(pH3.0)、100mMのNaOAc(pH4.5)、100mMのNa−P(pH7.5)、100mMのNa−P(pH8.5)、100mMのHEPES(pH8.0)、および100mMのNa−Borate(pH9.2)の緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。各反応液を実施例1と同様の方法で精製した後、Lys27−ペグ化された結合体の比率を分析した。図3から分かるように、pHが高くなるほどLys27−ペグ化された結合体の比率が増加することが表れて、最適のpHは7.0乃至10.0である。
【0052】
(実施例4)
エタノールを含んだ反応溶液のpHによるペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の比率変化
エタノールおよびpHによる特定位置にペグ化されたポリペプチドの比率変化を調べるために、CA−エキセンディン−4と3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:30のモル比に、CA−エキセンディン−4の濃度を3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させペグ化した。この時、反応溶液として各々100mMのクエン酸(pH3.0)/45%EtOH、100mMのNaOAc(pH4.5)/45%EtOH、100mMのNa−P(pH7.5)/45%EtOH、100mMのHEPES(pH8.0)/45%EtOH、および100mMのNa−P(pH8.5)/45%EtOHの緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加し反応させた。各反応液を実施例1と同様の方法で精製した後、Lys27−ペグ化された結合体の比率を分析した。図4から分かるように、45%エタノールが含まれた反応液においてpHが高くなるほどLys27−ペグ化された結合体の比率が増加していて、最適のpHは7.0乃至9.0と確認された。
【0053】
(実施例5)
反応溶液内のエタノール濃度によるペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の比率変化
反応溶液内のエタノール濃度による特定位置にペグ化されたポリペプチドの比率変化を調べるために、CA−エキセンディン−4と3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:30のモル比に、CA−エキセンディン−4の濃度を3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させペグ化した。この時、反応溶液として各々100mMのHEPES(pH7.5)/0%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/25%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/35%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/45%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/55%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/75%EtOH、および100mMのHEPES(pH7.5)/90%EtOHの緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加し反応させた。各反応液を実施例1と同様の方法で精製した後、Lys27−ペグ化された結合体の比率を分析した。図5から分かるように、Lys27−ペグ化された結合体の比率は、エタノール含量が約50%に達するまでは増加する半面、50%以上では減少していて、最適のエタノール含量は35%乃至60%と確認された。
【0054】
(実施例6)
反応溶液内のイソプロパノール濃度によるペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の比率変化
反応溶液としてエタノールの代わりにイソプロパノールを用いることによって特定位置にペグ化されたポリペプチドの比率変化を調べるために、CA−エキセンディン−4と3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:30のモル比に、CA−エキセンディン−4の濃度を3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させペグ化した。この時、反応溶液は各々100mMのHEPES(pH7.5)/0%イソプロパノール、100mMのHEPES(pH7.5)/30%イソプロパノール、100mMのHEPES(pH7.5)/45%イソプロパノール、および100mMのHEPES(pH7.5)/60%イソプロパノールの緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。各反応液を実施例1と同様の方法で精製した後、Lys27−ペグ化された結合体の比率を分析した。図6から分かるように、Lys27−ペグ化された結合体の比率は、イソプロパノール含量が約50%に達するまでは増加する半面、50%以上では減少していて、最適のイソプロパノール含量は35%乃至60%と確認された。
【0055】
(実施例7)
CA−エキセンディン−4(Lys27)−PEG−免疫グロブリンFc結合体の調製
CA−エキセンディン−4(Lys27)−PEG結合体とヒト免疫グロブリンFc断片(ハンミ薬品社、韓国)を1:8のモル比に、ペプチド濃度を20mg/mLにして、4℃にて16時間反応させてから、上記結合体を断片と結合させた。この時、反応溶液として100mMのK−P(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。上記の結合反応後、下記の条件下でSOURCE PheカラムおよびSOURCE Qカラムを利用して2段階で精製した。
【0056】
カラム:SOURCE Phe(XK16mL、GEヘルスケア社)
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris、pH7.5)およびB(A+1.5MのNaCl);Aの濃度勾配 0→40%、80分
カラム:SOURCE Q(XK16mL、GEヘルスケア社)
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris、pH7.5)およびB(A+1MのNaCl);Aの濃度勾配0→40%、80分
上記調製された結合体をSDS−PAGEで分析した。図7から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0057】
(実施例8)
CA−エキセンディン−4(Lys27)−PEG結合体のペグ化位置確認
CA−エキセンディン−4にPEGが結合された位置を確認するために、それぞれのCA−エキセンディン−4−PEG結合体を、たんぱく分解酵素のリジン−Cで切断した後、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した。
【0058】
具体的に、それぞれのCA−エキセンディン−4−PEG異性体をSDS−PAGEで分析した後(図8)、精製されたCA−エキセンディン−4−PEG結合体およびCA−エキセンディン−4をトリエチルアミン−塩酸緩衝液(10mmol/L;pH7.5)に溶解してから10μLの酵素(0.1mg/mL)を加え37℃にて4時間反応させた。反応終了後、反応混合物を逆相クロマトグラフィー(HPLC(Agilent)、jupiter‐C18(Phenomenex))により分析した。上記分析結果を図9および図10に示す。図9から分かるように、Lys12−ペグ化したCA−エキセンディン−4異性体は♯1と♯2が同時に消えることによって、確認することができ、図10から分かるように、Lys27−ペグ化したCA−エキセンディン−4異性体は♯2と♯3が同時に消えることによって、確認することができた。
【0059】
(実施例9)
N末端ペグ化時のイソプロパノール濃度によるペグ化収率の確認
メトキシポリエチレングリコール5KのALD(NOF社、日本)をサケカルシトニン(バッヘム社、米国)のN末端にペグ化させるために、サケカルシトニンとPEGを1:1のモル比に、サケカルシトニンの濃度を1mg/mLにして、4℃にて1時間反応させペグ化した。この時反応溶液として各々100mMのNaAc(pH5.2)/0%イソプロパノール、100mMのNaAc(pH5.2)/45%イソプロパノール緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。各反応液からSOURCE Sカラム(XK16mL、GEヘルスケア社)を用いて下記の条件下でモノ−ペグ化されたペプチドを精製した。その結果を下記表1に示す。
【0060】
カラム:SOURCE S
流速 :2.5mL/分
溶出液:A(20mMアセテートpH7.5)およびB(A+1MのNaCl);Aの濃度勾配0→40%、60分
【0061】
【表1】
【0062】
上記表1から分かるように、ペグ化されたカルシトニンの収率は、イソプロパノール添加により増加した。
【0063】
(実施例10)
ペグ化およびペグ化位置によるエキセンディン−4のイン・ビトロ活性の測定
ペグ化およびペグ化位置によるエキセンディン−4持続型製剤の効力を測定するために、イン・ビトロ活性を測定する方法を利用した。GLP−1のイン・ビトロ活性測定は、GLP−1収容体をクローニングさせたCHO細胞株にGLP−1を処理した後、細胞内のcAMPの増加可否を測定する方法である。
【0064】
具体的には、GLP−1がクローニングされた細胞株であるCHO/GLP−1RにGLP−1、エキセンディン−4および下記の表2に記載の試験物質を濃度別に処理した。cAMPの発生具合を測定して、EC50値を互いに比較した。対照群としては、市販されているByetta(バイエッタ、イーライリリー(Eli Lilly)社)を用いた。試験物質の処理によるイン・ビトロ力価(%)を下記表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
上記表2から分かるように、Lys27にPEGが修飾された場合、Lys12にPEGが修飾された場合に比べ、相対的にペプチドの生理活性が少なく影響されることが表れている。
【0067】
(実施例11)
ペグ化されたオキシントモジュリン(Lys30)結合体の調製および分離
<11−1>ペグ化されたオキシントモジュリン結合体(Lys30)の調製
ペグ化されたオキシントモジュリン結合体を調製するために、オキシントモジュリン(Anygen社、韓国)および3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:15のモル比に、オキシントモジュリンの濃度を3mg/mLにして、4℃にて4.5時間反応させてペグ化した。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0068】
<11−2>位置異性体の分離
上記反応液から SOURCE 15S(XK16mL、
アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用してLys30−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図11)。
【0069】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配0→40%、222分
(実施例12)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン(Lys30)結合体の調製および分離
前記実施例11において、オキシントモジュリンの代わりにイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン(Anygen社,韓国)を用いることと、反応溶液として45%のイソプロパノールを含むpH7.5の100mM濃度のHEPES緩衝液を用いることとを除いては、実施例11の過程を繰り返してペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン(Lys30)結合体を調製した。
【0070】
SOURCE Sカラムを利用して分離した異性体の結果を図12に示し、Asp−Nタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング結果を図13に示す。図13から分かるようにPEGがLys30に修飾され、♯4:Asp(22)−(37)部分が消えた。
【0071】
(実施例13)
イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン(Lys30)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体調製
イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン−PEG(Lys30)結合体と免疫グロブリンFc(ハンミ薬品社、韓国)を1:10のモル比に、全体のたんぱく質の濃度を20mg/mLにして、4℃にて16時間反応させた。この時、反応溶液として100mMのリン酸カリウム(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。反応終了後、反応液をSOURCE 15Qカラムを用いて下記の条件下で精製した。
【0072】
カラム:SOURCE Q
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris−HCl、pH7.5)およびB(A+1MのNaCl);Aの濃度勾配0→20%、100分
Lys30−ペグ化されたCA−オキシントモジュリンを免疫グロブリンFcと結合させた後、SOURCE Qで精製して得られたクロマトグラムを図14に示し、CA−オキシントモジュリン(Lys30)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE結果を図15に示す。図15から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0073】
(実施例14)
ペグ化されたオキシントモジュリン類似体(Lys27)結合体の調製および分離
<14−1>ペグ化されたオキシントモジュリン類似体(Lys27)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをオキシントモジュリン類似体([20Asp、24Ala、28Ser]−オキシントモジュリン−[Deletion30−37])のリジン残基にペグ化させるために、PEGおよびオキシントモジュリン類似体(Anygen社、韓国)を1:15のモル比に、オキシントモジュリン類似体の濃度を3mg/mLにして、4℃にて3.5時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0074】
<14−2>位置異性体の分離
上記反応液から SOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用してLys27−ペグ化された位置異性体を精製した。精製および分離条件は実施例11と同様である。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図16)。精製したモノ−ペグ化されたオキシントモジュリン類似体のリジン選択性をLys−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図17)。図17から分かるようにPEGがLys27に修飾され♯2部分が消えた。
【0075】
(実施例15)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体(Lys27)結合体の調製および分離
<15−1>ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体(Lys27)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体([20Asp、24Ala、28Ser]−オキシントモジュリン−[Deletion30−37])のリジン残基にペグ化させるために、上記イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体(Anygen社、韓国)およびPEGを1:10のモル比に、イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体の濃度を3mg/mLにして、4℃にて2.5時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのHEPES(pH7.5)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0076】
<15−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用してLys27−ペグ化された位置異性体を精製した。精製および分離条件は実施例11と同様である。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図18)。精製したモノ−ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体のリジン選択性をLys−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図19)。図19から分かるように、PEGがLys27に修飾され♯2部分が消えた。
【0077】
(実施例16)
ペグ化された類似体イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体(Lys27)および免疫グロブリンFcの結合体調製および分離
上記実施例15で調製した、Lys27−ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体−PEGおよび免疫グロブリンFcを1:10のモル比に、全体のたんぱく質の濃度を20mg/mLにして、4℃にて16時間反応させた。この時、反応溶液として100mMのリン酸カリウム(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。反応終了後、反応液をSOURCE 15Qカラムを用いて下記の条件下で精製した。
【0078】
カラム:SOURCE Q
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris−HCl、pH7.5)およびB(A+1MのNaCl);Aの濃度勾配0→20%、100分
Lys27−ペグ化されたCA−オキシントモジュリン類似体を免疫グロブリンFcと結合させた後、SOURCE Qで精製して得られたクロマトグラムを図20に示し、CA−オキシントモジュリン類似体(Lys27)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE結果を図21に示す。図21から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0079】
(実施例17)
ペグ化されたGLP−1(Lys34)結合体の調製および分離
<17−1>ペグ化されたGLP−1(Lys34)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをGLP−1(Anygen社,韓国)のリジン残基にペグ化させるために、GLP−1およびPEGを1:15のモル比に、GLP−1の濃度を3mg/mLにして、4℃にて3.5時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0080】
<17−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys34−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図22)。精製したモノ−ペグ化されたGLP−1のリジン選択性をLys−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図23)。
【0081】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配0→40%、150分
図23から分かるように、PEGがLys34に修飾され♯2部分が消えた。
【0082】
(実施例18)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−1(Lys34)結合体の調製および分離
<18−1>ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−1(Lys34)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをイミダゾ−アセチル−GLP−1(Anygen社,韓国)のリジン残基にペグ化させるために、イミダゾ−アセチル−GLP−1およびPEGを1:10のモル比に、イミダゾ−アセチル−GLP−1の濃度を3mg/mLにして、4℃にて4時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのHEPES緩衝液(pH7.5)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0083】
<18−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys34−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図24)。精製したモノ−ペグ化されたCA−GLP−1のリジン選択性をGlu−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図25)。
【0084】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配3→40%、150分
図25から分かるように、PEGがLys34に修飾され♯4部分が消えることが確認できた。
【0085】
(実施例19)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−1(Lys34)および免疫グロブリンFcの結合体調製および分離
上記実施例18で調製した、Lys34−ペグ化されたイミダゾ−アセチルGLP−1−PEGおよび免疫グロブリンFcを1:8のモル比に、全体のたんぱく質の濃度を50mg/mLにして、4℃にて17時間反応させた。この時、反応溶液として100mMのリン酸カリウム(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。反応終了後、反応液をSOURCE Pheカラムを用いて下記の条件下で精製した。
【0086】
カラム:SOURCE Phe
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris−HCl、pH7.5)およびB(A+2MのNaCl);Aの濃度勾配100→0%、100分
Lys34−ペグ化されたCA−GLP−1異性体を免疫グロブリンFcと結合させた後、SOURCE Pheで精製して得られたクロマトグラムを図26に示し、CA−GLP−1(Lys34)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE結果を図27に示す。図27から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0087】
(実施例20)
ペグ化されたGLP−2(Lys30)結合体の調製および分離
<20−1>ペグ化されたGLP−2(Lys30)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをGLP−2(Anygen社,韓国)のリジン残基にペグ化させるために、GLP−2およびPEGを1:12のモル比に、GLP−2の濃度を5mg/mLにして、4℃にて3時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0088】
<20−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys30−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図28)。リジン選択性を、トリプシンタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図29)。
【0089】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配3→40%、150分
図29から分かるように、PEGがLys30に修飾され♯2部分が消えることが確認できた。
【0090】
(実施例21)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−2(Lys30)結合体の調製および分離
<21−1>ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−2(Lys30)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをイミダゾ−アセチル−GLP−2(Anygen社,韓国)のリジン30残基にペグ化させるために、イミダゾ−アセチル−GLP−2およびPEGを1:20のモル比に、イミダゾ−アセチル−GLP−2の濃度を3mg/mLにして、4℃にて6時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのHEPES緩衝液(pH7.5)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0091】
<21−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys30−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図30)。
【0092】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配3→40%、150分
(実施例22)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−2(Lys30)および免疫グロブリンFcの結合体調製および分離
上記実施例21で調製した、Lys30−ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−2−PEGおよび免疫グロブリンFcを1:15のモル比に、全体のたんぱく質の濃度を20mg/mLにして、4℃にて16時間反応させた。この時、反応溶液として100mMのリン酸カリウム(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。反応終了後、上記反応液をSOURCE Pheカラムを用いて下記の条件下で精製した。
【0093】
カラム:SOURCE Phe
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris−HCl、pH7.5)およびB(A+2MのNaCl);Aの濃度勾配100→0%、100分
Lys30−ペグ化されたCA−GLP−2異性体を免疫グロブリンFcと結合させた後、SOURCE Pheで精製して得られたクロマトグラムを図31に示し、CA−GLP−2(Lys30)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE結果を図32に示す。図32から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0094】
(実施例23)
ペグ化されたヒトインスリン(B1Phe)結合体の調製および分離
<23−1>ペグ化されたヒトインスリン(B1Phe)結合体の調製
5KプロピオンALD(1)メトキシPEG(1つのプロピオンアルデヒド基を持つPEG、NOF社、日本)をヒトインスリン(Sigma)内B鎖の1番目アミノ酸であるフェニルアラニンのN末端にペグ化させるために、PEGおよびヒトインスリンを1:2のモル比に、ヒトインスリンの濃度を2.3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0095】
<23−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys30−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図33)。溶出されたピークのモノ−ペグ化をSDS−PAGE分析で確認し、Glu−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いてリジン選択性を確認した(図36)。
【0096】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH2.0+60%のエタノール)およびB(A+0.5MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配0→50%、80分
図36から分かるように、PEGがB1Fに修飾され♯2部分が消えた。
(実施例24)
ペグ化されたヒトインスリン(A1Gly)結合体の調製および分離
<24−1>ペグ化されたヒトインスリン(A1Gly)結合体の調製
5KメトキシPEG−スクシンイミジルブタノエート(1)(1つのSBA反応基を持つPEG、NOF社、日本)をヒトインスリン(Sigma)内A鎖の1番目アミノ酸であるグリシンのN末端にペグ化させるために、PEGおよびヒトインスリンを1:4のモル比に、ヒトインスリンの濃度を2mg/mLにして、25℃にて3時間反応させた。この時、反応溶液として35%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いた。
【0097】
<24−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して位置異性体を精製した。精製過程は実施例23と同様にして行った。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図34)。溶出されたピークのモノ−ペグ化をSDS−PAGE分析で確認し、Glu−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いてリジン選択性を確認した(図36)。
【0098】
図36から分かるように、PEGがA1Gに修飾され♯1部分が消えた。
(実施例25)
ペグ化されたヒトインスリン(B29Lys)結合体の調製および分離
<25−1>ペグ化されたヒトインスリン(B29Lys)結合体の調製
5KメトキシPEG−スクシンイミジルブタノエート(1)をヒトインスリン内B鎖の29番目アミノ酸であるリジン残基にペグ化させるために、PEGおよびヒトインスリンを1:2のモル比に、ヒトインスリンの濃度を2mg/mLにして、25℃にて1時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いた。
【0099】
<25−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して位置異性体を精製した。精製過程は実施例23と同様にして行った。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図35)。溶出されたピークのモノ−ペグ化をSDS−PAGE分析で確認し、Glu−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いてリジン選択性を確認した(図36)。
【0100】
図36から分かるように、PEGがB29Kに修飾され♯4部分が消えた。
【0101】
上記具体的な実施例とともに本発明を述べたが、添付の特許請求の範囲により定義された本発明の範囲内において、当分野の熟練者は本発明を多様に変形および変化させることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法に関するのもで、より詳しくは、生理活性ポリペプチドを非ペプチド性重合体と結合させ、上記結合体を高収率で調製する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペプチドは、安定性が低いため変性しやすく、体内のタンパク質加水分解酵素により分解され、比較的に小さいので腎臓を通して排泄される。よって、活性型のペプチド薬物の特定血中濃度を維持するためには、患者にペプチド薬物を頻繁に投与する必要がある。ところが、ペプチド薬物は通常注射剤として投与されるため、そのような頻繁に投与することは患者に厳しい負担を強いることになる。このような問題点を解決するために、ペプチド薬物の生体膜透過度を増加させ、口腔又は鼻腔による吸入によってペプチド薬物を伝達する方法、タンパク質加水分解酵素による分解を抑制することによってペプチドを安定化させるために、上記酵素に敏感な特定アミノ酸序列(例えば、ジペプチジルペプチダーゼによる力価損失を防ぐためのGLP−1アミノ酸序列)を変更する方法や、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」または「ペグ」と称する。)のように溶解度の高い非ペプチド性重合体をペプチド表面に化学的に付加させる方法などが開発された。
【0003】
非ペプチド性重合体として用いられているPEGは、標的ペプチドの特定部位又は多重部位に非特異的に結合して上記ペプチドの分子量を増加させ、腎臓からの消失を抑制し加水分解を防止するのに効果があって、特別な副作用も起こさない。例えば特許文献1は、うっ血性心不全症(Congestive heart failure)の治療剤として用いられるB型ナトリウム排泄増加ペプチド(B‐type natriuretic peptide、 BNP)にPEGを結合させ生理活性を持続させることに対して開示しており、特許文献2は、エキセンディン-4(Exendin−4)のリジン残基にPEGを結合させ生体内の持続時間を延長させる方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第06/076471号
【特許文献2】米国特許第6,924,264号明細書
【特許文献3】韓国特願第2008−69234号明細書
【特許文献4】韓国公開特許第2009−008151号公報
【特許文献5】韓国登録特許第775343号公報
【特許文献6】韓国登録特許第725314号公報
【特許文献7】韓国登録特許第725315号公報
【特許文献8】韓国登録特許第824505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのような方法は、PEGの分子量を増加させペプチド薬物の生体内の持続時間を延長することはできるものの、分子量増加によってペプチド薬物の力価が著しく落ちてくる。さらには、PEGの非特異的結合が生理活性ポリペプチドの活性ドメインを遮って上記ポリペプチドの活性を著しく落とすこともある。
【0006】
よって、非ペプチド性重合体が、活性に影響を及ぼさない位置特異的な方式で生理活性ポリペプチドにリンクされた、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との結合体を調製する改良方法を開発する必要がある。
【0007】
本願発明者らは、pH及び反応溶液中のアルコール含量の調節によって、非ペプチド性重合体が位置特異的にリンクされた生理活性ポリペプチド結合体を高収率で調製できることから本発明を完成した。
【0008】
従って、本発明の目的は、非ペプチド性重合体が生理活性ポリペプチドに位置特異的に結合された生理活性ポリペプチド結合体を高収率で調製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、特定量のアルコールを含み、非ペプチド性重合体が生理活性ポリペプチドのターゲットとする部位に結合するための、特定のpHを持つ反応溶液下において、生理活性ポリペプチドを非ペプチド性重合体と反応させるステップ1、および上記ステップ1の反応混合物からアルコールを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体を分離及び精製するステップ2からなる、位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、生理活性ポリペプチドの特定位置に非ペプチド性重合体が結合された生理活性ポリペプチド結合体が高収率で収得できるので、生体内の活性が比較的高く維持され、血中半減期が著しく増加された多様なペプチド薬物の持続型剤型の開発において有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、SOURCE Sカラムを用いたDA−エキセンディン−4−PEGの位置異性体(Positional isomer)の精製プロファイルである。
【図2】図2は、SOURCE Sカラムを用いたCA−エキセンディン−4−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図3】図3は、様々なpHにおいて、CA−エキセンディン−4(Exendin−4)をペグ化して得られるLys27−ペグ化された異性体を示すグラフである。
【図4】図4は、様々なpHおよび45%のエタノール(EtOH)溶液において、CA−エキセンディン−4をペグ化して得られるLys27−ペグ化された異性体を示すグラフである。
【図5】図5は、pH7.5および様々な含量(%)のエタノール溶液において、CA−エキセンディン−4をペグ化して得られるLys27−ペグ化された異性体を示すグラフである。
【図6】図6は、pH7.5および様々な含量(%)のイソプロパノール溶液において、CA−エキセンディン−4をペグ化して得られるLys27−ペグ化された異性体を示すグラフである。
【図7】図7は、CA−エキセンディン−4(Lys27)−PEG−免疫グロブリンFcのSDS−PAGE分析結果である。
【図8】図8は、CA−エキセンディン−4(Lys12およびLys27)−PEG異性体のSDS−PAGE分析結果である。
【図9】図9は、ペプチドマッピングによるCA−エキセンディン−4のLys12−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図10】図10は、ペプチドマッピングによるCA−エキセンディン−4のLys27−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図11】図11は、SOURCE Sカラムを用いたオキシントモジュリン(Oxyntomodulin)−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図12】図12は、SOURCE Sカラムを用いたCA−オキシントモジュリン−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図13】図13は、ペプチドマッピングによるオキシントモジュリンのLys30−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図14】図14は、SOURCE Qカラムを用いたCA−オキシントモジュリン−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体の精製プロファイルである。
【図15】図15は、CA−オキシントモジュリン−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE分析結果である。
【図16】図16は、SOURCE Sカラムを用いたオキシントモジュリン類似体−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図17】図17は、ペプチドマッピングによるオキシントモジュリン類似体のLys27−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図18】図18は、SOURCE Sカラムを用いたCA−オキシントモジュリン類似体−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図19】図19は、ペプチドマッピングによるCA−オキシントモジュリン類似体のLys27−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図20】図20は、SOURCE Qカラムを用いたCA−オキシントモジュリン類似体−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体の精製プロファイルである。
【図21】図21は、CA−オキシントモジュリン類似体−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE分析結果である。
【図22】図22は、SOURCE Sカラムを用いたGLP−1−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図23】図23は、ペプチドマッピングによるGLP−1のLys34−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図24】図24は、SOURCE Sカラムを用いたCA−GLP−1−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図25】図25は、ペプチドマッピングによるCA−GLP−1のLys34−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図26】図26は、SOURCE Pheカラムを用いたCA−GLP−1−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体の精製プロファイルである。
【図27】図27は、CA−GLP−1−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE分析結果である。
【図28】図28は、SOURCE Sカラムを用いたGLP−2−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図29】図29は、ペプチドマッピングによるGLP−2のLys30−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【図30】図30は、SOURCE Sカラムを用いたCA−GLP−2−PEGの位置異性体の精製プロファイルである。
【図31】図31は、SOURCE Pheカラムを用いたCA−GLP−2−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体の精製プロファイルである。
【図32】図32は、イミダゾ−アセチルGLP−2−PEG及び免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE分析結果である。
【図33】図33は、SOURCE Sカラムを用いたヒトインスリンPEG(B1F)の位置異性体の精製プロファイルである。
【図34】図34は、SOURCE Sカラムを用いたヒトインスリンPEG(A1G)の位置異性体の精製プロファイルである。
【図35】図35は、SOURCE Sカラムを用いたヒトインスリンPEG(B29K)の位置異性体の精製プロファイルである。
【図36】図36は、ペプチドマッピングによるヒトインスリンのA1G−ペグ化された異性体、B1F−ペグ化された異性体、及びB29K−ペグ化された異性体の分析プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、特定量のアルコールを含み、非ペプチド性重合体が生理活性ポリペプチドの目的とする部位に結合するためのpHを持つ反応溶液下において、生理活性ポリペプチドを非ペプチド性重合体と反応させるステップ1および上記ステップ1の反応混合物からアルコールを用いたイオン交換クロマトグラフィーによって位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体を分離及び精製するステップ2を含む、位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法を提供する。
【0014】
本発明による生理活性ポリペプチド結合体は、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体の一末端が互いに共有結合で繋がっている物質のことを意味する。また、本発明は、特定条件下でポリペプチドと重合体とを繋ぎ、重合体がポリペプチドの目標とする位置に結合されたポリペプチド結合体を分離することを特徴とする。
【0015】
本願において用いられている「生理活性ポリペプチド又はペプチド」とは、生体内で生理活性を示すことのできるペプチドを指すことであって、例えば、インスリン分泌ペプチド、血液因子、消化促進ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、腸管ホルモン、サイトカイン、酵素、成長因子、神経ペプチド(Neuropeptide)、脳下垂体ホルモン、視床下部ホルモン、抗肥満ペプチド、抗ウィルスペプチド及び生理活性を持つ非天然型ペプチド誘導体よりなる群から選ばれることもできるが、これに限ることではない。より具体的には、上記生理活性ポリペプチド又はペプチドは、赤血球生成促進因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、アミリン、グルカゴン、インスリン、ソマソスタチン、PYY(Peptide YY)、NPY(Neuropeptide Y)、GLP(Glucagon like peptide)−1、GLP−2、エキセンディン−4、オキシントモジュリン、グレリン(Ghrelin)、アンジオテンシン、ブラジキニン、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン(Corticotropin)、エレドイシン(Eledoisin)、ガストリン、レプチン、オキシトシン(Oxytocin)、バソプレシン(Vasopressin)、黄体形成ホルモン、黄体刺激ホルモン、濾胞刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン、シクレチン(Secretin)、成長ホルモン放出ホルモン(Sermorelin)、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン放出ペプチド、コロニー刺激因子(G−CSF)類、インタフェロン(IFN)類、インターロイキン(Interleukin)類、プロラクチン放出ペプチド、オレキシン(Orexin)、甲状腺放出ペプチド、コレシストキニン(Cholecystokinin)、ガストリン抑制ペプチド、カルモジュリン、ガストリン放出ペプチド、モチリン(Motilin)、血管作用性小腸ペプチド(Vasoactive Intestinal Peptide;VIP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(Atrial NatriureticPeptide;ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(Brain NatriureticPeptide;BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(C-Type NatriureticPeptide;CNP)、ニューロキニン(Neurokinin)A、ニューロメジン(Neuromedin)、レニン(Renin)、エンドセリン(Endothelin)、サラホトキシンペプチド(Sarafotoxin Peptide)、カルソモルフィンペプチド(Carsomorphin Peptide)、デモルフィン(Dermorphin)、ダイノルフィン (Dynorphin)、エンドルフィン(Endorphin)、エンケパリン(Enkepalin)、T細胞因子、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子収容体、ウロキナーゼ収容体、腫瘍抑制因子、コラゲナーゼ抑制剤、チモポエチン(Thymopoietin)、血清胸腺因子(Thymulin;Serum thymic factor(FTS))、チモペンチン(Thymopentin)、胸腺ホルモン(Thymosin)、胸腺液性因子(Thymic Humoral Factor)アドレノメデュリン(Adrenomedullin;AM)、アラタ体抑制ホルモン(Allatostatin)、アミロイドβ-プロテイン断片(Amyloid Beta‐Protein Fragment)、抗菌性ペプチド、抗酸化剤ペプチド、ボンベシン(Bombesin)、オステオカルシン(Osteocalcin)、CARTペプチド、E−セレクチン(selectin)、ICAM−1、VCAM−1、ロイコカイン(Leukokine)、クリングル(Kringle)−5、ラミニン(Laminin)、インヒビン(Inhibin)、ガラニン(Galanin)、フィブロネクチン(Fibronectin)、パンクレアスタチン(Pancreastatin)及びフューゼオン(Fuzeon)よりなる群から選ばれる。さらに、上記生理活性ポリペプチドは、その前駆物質(precursor)、誘導体(derivative)、断片(fragment)または、変異体(variant)を含む。
【0016】
本発明において用いられる望ましい生理活性ポリペプチドは、エキセンディン、インスリン、GLP−1、GLP−2、オキシントモジュリン、グレリン、アンジオテンシン、ブラジキニン、カルシトニン、またはこれらの誘導体である。上記誘導体は、例えば、アミノ酸残基の任意のグループの化学的置換(例えば、α‐メチル化またはα−ヒドロキシル化)、除去(例えば、脱アミノ化(deamination)又は炭素欠失(carbon deletion))または、修飾(例えば、N−メチル化)によって調製することができ、特に、エキセンディン誘導体は、韓国特願第2008−69234号(特許文献3)の明細書に詳細に記述されている。
【0017】
一方、本発明において用いられている用語「非ペプチド性重合体」とは、ペプチド結合を除いた共有結合により互いに繋がっている2個以上の反復単位を含む生体適合性重合体のことを指す。
【0018】
本発明に使用可能な非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸;polylactic acid)及びPLGA(ポリ乳酸・グリコール酸;polylactic-glycolicacid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択されることができ、望ましくはポリエチレングリコール(PEG)である。既に当該分野に知られているこれらの誘導体、または当該分野の技術水準で容易に調製可能な誘導体もまた本発明の範囲に含まれる。本発明において使用可能な非ペプチド性重合体は、生理活性ポリペプチドの分子量を増加させ腎臓からの結合体の消失を防ぐ働きをする。任意の非ペプチド性重合体が、生体内のたんぱく質分解酵素に抵抗性を持つ限り、制限なく用いることができる。上記非ペプチド性重合体の分子量は、0.5kDa乃至100kDa,好ましくは0.5kDa乃至20kDaの範囲で、生理活性ポリペプチド:非ペプチド性重合体のモル比は、1:1乃至1:50の範囲で適宜に選択することができる。
【0019】
また、本発明において用いられる非ペプチド性重合体は、一末端または両末端に反応基を持つことができる。両末端に反応基を持つ非ペプチド性重合体の場合、持続型製剤としての機能を果たせるようにするための生理活性担体及びタンパク質薬物に結合することもできる。
【0020】
上記非ペプチド性重合体の一末端または両末端の反応基は、反応性アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基、およびスクシンイミド(succinimide)よりなる群から選ばれることが好ましい。上記スクシニミドの例としては、スクシンイミジルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル、またはスクシンイミジルカーボネートが含まれる。特に、上記非ペプチド性重合体が一末端に反応性アルデヒド基または反応性スクシンイミド基を持つ場合、非特異的反応を最小化し、両末端にて生理活性ポリペプチドおよび生理活性担体と結合するのに効果的である。上記アルデヒド反応基は、低いpHにてアミノ末端に選択的に反応し、高いpH、例えばpH9.0の条件ではリジン残基に結合してアミン結合を形成することができる。さらに、スクシンイミド反応基は、pH7.0〜pH9.0においてアミノ末端、またはリジン残基と安定したアミド結合を形成することができる。
【0021】
また、上記非ペプチド性重合体の両末端反応基は、互い同様または違ってもよい。両末端に反応性ヒドロキシル基を持つポリエチレングリコールを非ペプチド性重合体として用いる場合、公知の化学反応によって上記ヒドロキシル基を多様な反応基に活性化できるか、また修飾した反応基を持つ購買可能なポリエチレングリコールを用いることもできる。
【0022】
本発明のステップ1は、適切な反応溶液下で非ペプチド性重合体を生理活性ポリペプチドに位置特異的に結合させ生理活性ポリペプチド結合体を調製することである。
【0023】
本願に用いられている用語「位置特異的」または「位置特異的に」とは、非ペプチド性重合体を生理活性ポリペプチドの特定ターゲットアミノ酸に、望ましくは、リジン残基またはN末端のアミンに結合させることを意味する。上記位置特異的結合は、生理的に重要であるアミノ酸残基に非ペプチド性重合体が結合した意図しない結合体の形成を防止することをも指す。例えば、非ペプチド性重合体がエキセンディン−4のN末端に結合する場合、エキセンディン−4のイン・ビトロ(in vitro)活性が落ちる反面、非ペプチド性重合体がリジン残基に結合する場合、イン・ビトロ活性が維持された。特に12番目のリジン残基よりも27番目のリジン残基に非ペプチド性重合体が結合する場合、より高いイン・ビトロ活性が観察された(実施例10および表2参照)。
【0024】
本発明者らは、ステップ1で反応溶液内アルコールの存在および反応溶液のpHが、非ペプチド性重合体と生理活性ポリペプチドとの位置特異的結合の重要な因子であることを見つけた。従って、本発明のステップ1では、特定量のアルコールを含み、かつ、特定のpHをもつ反応溶液を用いて非ペプチド性重合体を生理活性ポリペプチドの特定位置に結合させる。
【0025】
本発明の具体例において、上記ポリペプチド結合体の特定位置の異性体比は、反応溶液のpHによって異なるか、同一のpHでアルコールの濃度(%)によって異なることもある。
【0026】
つまり、本発明の上記ステップ1は、上記ポリペプチドの活性に影響を与えることもなく、目標とする(または、ターゲット)部位に非ペプチド性重合体が結合できるようにするための特定pHにおいて行われる。上記pH範囲は、生理活性ポリペプチドの種類によって異なり得る。例えば、インスリン分泌ペプチド(例えば、エキセンディン−4)の場合、上記重合体が、12番目リジン残基に結合した異性体は、低いpHの反応溶液から高い比率で観察される反面、上記重合体が、インスリン分泌活性に影響しない27番目リジン残基に結合した異性体は、高いpHの反応溶液から高い比率で観察された(実施例3および図3を参照)。従って、上記非ペプチド性重合体を27番目リジン残基に、選択的に結合させるために、pH7.5乃至pH9.0においてステップ1を行うことが好ましい。
【0027】
また、本発明の上記ステップ1は、非ペプチド性重合体が上記ポリペプチドの活性に影響しない部位に結合できるようにするために、アルコールを含んでいる反応溶液下で行われる。上記アルコールの例としては、第1級、第2級および第3級アルコール、好ましくは、1乃至10の炭素数をもつアルコール、より好ましくは、エタノールまたはイソプロパノールを含む。インスリン分泌ペプチド(例えば、エキセンディン−4)の場合、インスリン分泌活性に影響を与えない27番目リジン残基に非ペプチド性重合体を結合させるために、反応溶液中のアルコールが、反応溶液全体積を基準にして0.1ボリューム%乃至100ボリューム%、好ましくは、25ボリューム%乃至90ボリューム%、より好ましくは、35ボリューム%乃至60ボリューム%範囲の量で存在してもよい。
【0028】
本発明の一具体例において、生理活性ポリペプチドがエキセンディン−4またはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がLys27に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。本発明の別の具体例において、生理活性ポリペプチドがカルシトニンの場合、非ペプチド性重合体がN末端に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、4.0乃至6.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがオキシントモジュリン、またはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がLys27またはLys30に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがヒトインスリンまたはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がB鎖のPhe1(1番目のフェニルアラニン)N末端に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、4.0乃至6.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがヒトインスリンまたはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がA鎖のGly1(1番目のグリシン)N末端に結合するか、B鎖のLys29(29番目のリジン残基)に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがGLP−1またはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がLys34に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。本発明のまた別の具体例において、生理活性ポリペプチドがGLP−2またはこれの誘導体である場合、非ペプチド性重合体がLys30に結合する比率を高めるために上記ステップ1で用いられたpHは、7.0乃至10.0であってもよい。
【0029】
従って、本発明の好ましい位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体は、PEGがLys27に結合されたエキセンディン−4結合体、PEGがN末端に結合されたカルシトニン結合体、PEGがLys27またはLys30に結合されたオキシントモジュリン結合体またはこれの類似体、PEGがB鎖のPhe1のN末端に結合するか、A鎖のGly1のN末端に結合するか、B鎖のLys29に結合されたヒトインスリン結合体またはこれの類似体、またはPEGがLys34またはLys30に結合されたGLP−1またはGLP−2である。
【0030】
望ましい一態様として、非ペプチド性重合体および生理活性ポリペプチド間の位置特異的結合をより促すためにペプチド誘導体(または類似体)が用いられてもよい。上記誘導体は望まない結合を防ぐために、他の非ターゲットアミノ酸部位中一部が除去されるか保護されたペプチドである。例えば、インスリン分泌ペプチドの一種であるエキセンディンの場合、N末端アミノ酸であるヒスチジンのαアミン基を除去したり、上記N末端アミン基をヒドロキシル基に置換したり、ヒスチジンのN末端αアミン基を2つのメチル基に変更させたり、N末端ヒスチジンのα炭素および上記α炭素に結合しているアミン基を除去してイミダゾアセチル(imidazoacetyl)基だけを残す方法などを用いて調製された、化学式1のデス−アミノ−ヒスチジル(DA)−エキセンディン−4(Des-amino-histidyl(DA)-exendin-4)、化学式2のβ−ヒドロキシ−イミダゾプロピオニル(HY)−エキセンディン−4(Beta-hydroxy-imidazopropionyl(HY)-exendin-4)、化学式3のイミダゾアセチル(CA)−エキセンディン−4(Imidazoacetyl(CA)-exendin-4)、および化学式4のジメチル−ヒスチジル(DM)−エキセンディン−4(Dimethyl-histidyl(DM)-exendin-4)などと、様々なエキセンディン誘導体が用いられることもできるが、これに制限されることではない。このようなエキセンディン誘導体および調製方法は、大韓民国特許公開第2009−008151号(特許文献3)に開示されており、これは参考文献として本発明の範囲に含まれる。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】
上記と同様にして、1番目のアミノ酸がヒスチジンであるオキシントモジュリン、GLP−1およびGLP−2もまた化学式1乃至4から選ばれる任意の構造を持つ誘導体として用いられてもよい。
【0036】
特定の一具体例において、本発明者等は、反応溶液のpHおよびアルコールの含量(%)が、非ペプチド性重合体の位置特異的な結合態様に及ぶ影響を調査して、重合体が12番目リジン残基/27番目リジン残基に結合されたインスリン分泌ペプチドの比率が特にpHおよびエタノールまたはイソプロパノールの量によって異なることを確認した。特に、pH7.5において35%乃至55%、好ましくは約45%のエタノールまたはイソプロパノールを用いる場合、非ペプチド性重合体が27番目リジン残基に結合された、より好ましい異性体が多量に得られた。
【0037】
上記ステップ1において、特定のpHおよびアルコールの含量で調節して、目的とする非ペプチド性重合体−生理活性ポリペプチド結合体の比率を高めた後、ステップ2においては、アルコールおよびイオン交換クロマトグラフィーを用いて、上記目的とする結合体を分離および精製することができる。
【0038】
ステップ2で用いられたアルコールは精製溶液に存在しており、その特定例としてはステップ1においての定義と同様である。しかし、ステップ1で上記アルコールは、上記ポリペプチドの2次又は3次構造を変化させ、反応性および位置選択性を増加させるべく使用されている反面、ステップ2のアルコールは、イオン交換カラムと上記結合体との間の相互作用を減らして、位置特異的生理活性ポリペプチド結合体の分離および精製を容易にするべく用いられる。上記分離および精製は、当該技術分野の熟練者に知られている様々な方法、好ましくは、イオン交換クロマトグラフィー、より好ましくは、高圧イオン交換クロマトグラフィーを利用して行うことができる。
【0039】
一方、位置異性体の分離および精製を容易にするために、特定のpHにおいてイオン交換クロマトグラフィーを行うことができる。上記pHは、ステップ1では上記結合体の位置選択性を増加させるために適宜調整される反面、ステップ2において本段階では、アルコールが含まれた精製溶液上において安定してイオン交換カラムに上記結合体を付着および脱着させるために再調整する。ステップ2で用いられる適切なpHは約2.0乃至約6.0の範囲でよい。
【0040】
さらに、本発明の生理活性ポリペプチド結合体は、加えて生理活性担体と結合してもよい。この場合、上記非ペプチド性重合体は、生理活性担体と結合するために両末端を持つ非ペプチド性重合体でなければならない。つまり、生理活性ポリペプチドと共有結合していない非ペプチド性重合体の末端に生理活性担体を共有結合として繋いで、非ペプチド性重合体の両末端が生理活性ポリペプチドおよび生理活性担体と結合された結合体を調製することができる。
【0041】
前述のように、ステップ2で調製された生理活性ポリペプチド結合体は、さらに生理活性担体と結合することもでき、最終的に生成されたポリペプチド−重合体−担体結合体は、ポリペプチド−重合体結合体とは全く異なる活性、つまり、生理活性ポリペプチドの薬理効果の優れた持続性の延長、治療を望む病巣のような特定部位へのターゲティング、または細胞壊死の誘導等のような卓越な生理活性を示す。
【0042】
本発明で用いられる用語「生理活性担体」とは、非ペプチド性重合体に生理活性ポリペプチドとともに結合され、上記ポリペプチドの薬理効果のような生理活性を持続させたり、特定部位へのターゲティングだったり、または細胞壊死を誘導させることのできる、天然のポリペプチドとは別の付加的な活性を示す生理活性物質のことを意味する。
【0043】
本発明で用いられる生理活性担体は、前述の活性を制限なく持つ物質、例えば、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、トランスフェリン、アプタマー、トキシン、ジェラチン、コラーゲン、デキストラン、多糖類、脂肪酸、フィブリノゲン等を含む。好ましくは、上記生理活性担体は、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、およびトランスフェリンから生理活性担体を選ぶことができ、より好ましくは、免疫グロブリンFc領域である。
【0044】
本発明の免疫グロブリンFc領域は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域、重鎖不変領域1(CH1)と軽鎖不変領域(CL1)を除く、重鎖不変領域2(CH2)および重鎖不変領域3(CH3)のことを指す。その重鎖不変領域にヒンジ(hinge)領域をさらに含むこともできる。また、天然型の免疫グロブリンFcと実質的に同等または向上された生理的機能を持つ限り、重鎖および軽鎖可変領域を除いて、本発明の免疫グロブリンFc領域は、一部また全部の重鎖不変領域1(CH1)および/または軽鎖不変領域(CL1)を含む拡張された形態でもよく、リン酸化、硫酸化、アクリル化、糖化、メチル化、ファルネシル化、アセチル化、およびアミド化等によって修飾される免疫グロブリンFc領域を含むことができる。上記免疫グロブリンFcの範囲、その調製方法および免疫グロブリンFcを非ペプチド性重合体−生理活性ポリペプチド結合体に共有結合させる方法は、韓国登録特許第775343号公報(特許文献4)、第725314号公報(特許文献5)、第725315号(特許文献6)および第824505号公報(特許文献7)に開示されており、これらは参考文献であって、本発明の範囲に含まれる。
【0045】
本発明の方法によると、生理活性ポリペプチドの特定アミノ酸に位置特異的に非ペプチド性重合体を結合させることにとって、付加的結合体の生成を最小化しながら優れた生理活性を持つ、目的とする結合体を高収率で生成することができる。
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明の権利範囲はこれらの実施例により限定するものではない。
【0047】
(実施例1)
ペグ化されたDA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の調製および分離
<1−1>ペグ化されたDA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の調製
ペプチド内のLysをPEGと共有結合させてペグ化されたペプチド結合体を調製するべく、3mg/mL濃度のデス−アミノ−ヒスチジル−エキセンディン−4(DA−エキセンディン−4、AP社、米国)および3.4KプロピオンALD(2)PEG(2つのプロピオンアルデヒド基を持つPEG、IDB社、韓国)を1:30のモル比に、4℃において12時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのHEPES緩衝液(pH7.5)を使用し、これに還元剤であるNaCNBH3を20mM添加した。
【0048】
<1−2>位置異性体の分離
上記ステップ<1−1>の反応液をSOURCE Q イオン交換クロマトグラフィー(XK16mL、GEヘルスケア社、韓国)を利用して下記の条件下にて一時的にモノペグ化された(Mono-pegylated)ペプチドを精製し、これをSOURCE Sイオン交換クロマトグラフィー(XK16mL、GEヘルスケア社、韓国)を利用して下記の条件下にて位置異性体を分離した。この過程で精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした。ペプチドマッピング方法によって溶出されたピークからペグ化した位置を確認した。
【0049】
カラム:SOURCE Q
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris、pH8.5)およびB(A+0.5MのNaCl);Aの濃度勾配0→40%、80分
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMクエン酸、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+45%のエタノール+0.5MのKCl);Aの濃度勾配0→100%、45分
位置異性体の精製プロファイル分析から、Lys12−ペグ化されたDA−エキセンディン−4のピークが最前に出て、その後方にLys27−ペグ化されたピークが溶出されたことが分かった(図1)。
【0050】
(実施例2)
ペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の調製および分離
実施例1において、DA−エキセンディン−4の代わりにイミダゾ−アセチル−エキセンディン−4(CA−エキセンディン−4、バッヘム(Bachem)社、米国)を用いることを除いては、実施例1の過程を繰り返してペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体を収得した。位置異性体の精製プロファイル分析から、Lys12−ペグ化されたCA−エキセンディン−4のピークが最前に出て、その後方にLys27−ペグ化されたピークが溶出されたことが分かった(図2)。
【0051】
(実施例3)
反応溶液のpHによるペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の比率変化
pHによる特定位置にペグ化されたポリペプチドの比率変化を調べるために、CA−エキセンディン−4と3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:30のモル比に、CA−エキセンディン−4の濃度を3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させペグ化した。この時、反応溶液として各々100mMのクエン酸(pH3.0)、100mMのNaOAc(pH4.5)、100mMのNa−P(pH7.5)、100mMのNa−P(pH8.5)、100mMのHEPES(pH8.0)、および100mMのNa−Borate(pH9.2)の緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。各反応液を実施例1と同様の方法で精製した後、Lys27−ペグ化された結合体の比率を分析した。図3から分かるように、pHが高くなるほどLys27−ペグ化された結合体の比率が増加することが表れて、最適のpHは7.0乃至10.0である。
【0052】
(実施例4)
エタノールを含んだ反応溶液のpHによるペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の比率変化
エタノールおよびpHによる特定位置にペグ化されたポリペプチドの比率変化を調べるために、CA−エキセンディン−4と3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:30のモル比に、CA−エキセンディン−4の濃度を3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させペグ化した。この時、反応溶液として各々100mMのクエン酸(pH3.0)/45%EtOH、100mMのNaOAc(pH4.5)/45%EtOH、100mMのNa−P(pH7.5)/45%EtOH、100mMのHEPES(pH8.0)/45%EtOH、および100mMのNa−P(pH8.5)/45%EtOHの緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加し反応させた。各反応液を実施例1と同様の方法で精製した後、Lys27−ペグ化された結合体の比率を分析した。図4から分かるように、45%エタノールが含まれた反応液においてpHが高くなるほどLys27−ペグ化された結合体の比率が増加していて、最適のpHは7.0乃至9.0と確認された。
【0053】
(実施例5)
反応溶液内のエタノール濃度によるペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の比率変化
反応溶液内のエタノール濃度による特定位置にペグ化されたポリペプチドの比率変化を調べるために、CA−エキセンディン−4と3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:30のモル比に、CA−エキセンディン−4の濃度を3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させペグ化した。この時、反応溶液として各々100mMのHEPES(pH7.5)/0%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/25%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/35%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/45%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/55%EtOH、100mMのHEPES(pH7.5)/75%EtOH、および100mMのHEPES(pH7.5)/90%EtOHの緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加し反応させた。各反応液を実施例1と同様の方法で精製した後、Lys27−ペグ化された結合体の比率を分析した。図5から分かるように、Lys27−ペグ化された結合体の比率は、エタノール含量が約50%に達するまでは増加する半面、50%以上では減少していて、最適のエタノール含量は35%乃至60%と確認された。
【0054】
(実施例6)
反応溶液内のイソプロパノール濃度によるペグ化されたCA−エキセンディン−4(Lys27)結合体の比率変化
反応溶液としてエタノールの代わりにイソプロパノールを用いることによって特定位置にペグ化されたポリペプチドの比率変化を調べるために、CA−エキセンディン−4と3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:30のモル比に、CA−エキセンディン−4の濃度を3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させペグ化した。この時、反応溶液は各々100mMのHEPES(pH7.5)/0%イソプロパノール、100mMのHEPES(pH7.5)/30%イソプロパノール、100mMのHEPES(pH7.5)/45%イソプロパノール、および100mMのHEPES(pH7.5)/60%イソプロパノールの緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。各反応液を実施例1と同様の方法で精製した後、Lys27−ペグ化された結合体の比率を分析した。図6から分かるように、Lys27−ペグ化された結合体の比率は、イソプロパノール含量が約50%に達するまでは増加する半面、50%以上では減少していて、最適のイソプロパノール含量は35%乃至60%と確認された。
【0055】
(実施例7)
CA−エキセンディン−4(Lys27)−PEG−免疫グロブリンFc結合体の調製
CA−エキセンディン−4(Lys27)−PEG結合体とヒト免疫グロブリンFc断片(ハンミ薬品社、韓国)を1:8のモル比に、ペプチド濃度を20mg/mLにして、4℃にて16時間反応させてから、上記結合体を断片と結合させた。この時、反応溶液として100mMのK−P(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。上記の結合反応後、下記の条件下でSOURCE PheカラムおよびSOURCE Qカラムを利用して2段階で精製した。
【0056】
カラム:SOURCE Phe(XK16mL、GEヘルスケア社)
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris、pH7.5)およびB(A+1.5MのNaCl);Aの濃度勾配 0→40%、80分
カラム:SOURCE Q(XK16mL、GEヘルスケア社)
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris、pH7.5)およびB(A+1MのNaCl);Aの濃度勾配0→40%、80分
上記調製された結合体をSDS−PAGEで分析した。図7から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0057】
(実施例8)
CA−エキセンディン−4(Lys27)−PEG結合体のペグ化位置確認
CA−エキセンディン−4にPEGが結合された位置を確認するために、それぞれのCA−エキセンディン−4−PEG結合体を、たんぱく分解酵素のリジン−Cで切断した後、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した。
【0058】
具体的に、それぞれのCA−エキセンディン−4−PEG異性体をSDS−PAGEで分析した後(図8)、精製されたCA−エキセンディン−4−PEG結合体およびCA−エキセンディン−4をトリエチルアミン−塩酸緩衝液(10mmol/L;pH7.5)に溶解してから10μLの酵素(0.1mg/mL)を加え37℃にて4時間反応させた。反応終了後、反応混合物を逆相クロマトグラフィー(HPLC(Agilent)、jupiter‐C18(Phenomenex))により分析した。上記分析結果を図9および図10に示す。図9から分かるように、Lys12−ペグ化したCA−エキセンディン−4異性体は♯1と♯2が同時に消えることによって、確認することができ、図10から分かるように、Lys27−ペグ化したCA−エキセンディン−4異性体は♯2と♯3が同時に消えることによって、確認することができた。
【0059】
(実施例9)
N末端ペグ化時のイソプロパノール濃度によるペグ化収率の確認
メトキシポリエチレングリコール5KのALD(NOF社、日本)をサケカルシトニン(バッヘム社、米国)のN末端にペグ化させるために、サケカルシトニンとPEGを1:1のモル比に、サケカルシトニンの濃度を1mg/mLにして、4℃にて1時間反応させペグ化した。この時反応溶液として各々100mMのNaAc(pH5.2)/0%イソプロパノール、100mMのNaAc(pH5.2)/45%イソプロパノール緩衝液を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。各反応液からSOURCE Sカラム(XK16mL、GEヘルスケア社)を用いて下記の条件下でモノ−ペグ化されたペプチドを精製した。その結果を下記表1に示す。
【0060】
カラム:SOURCE S
流速 :2.5mL/分
溶出液:A(20mMアセテートpH7.5)およびB(A+1MのNaCl);Aの濃度勾配0→40%、60分
【0061】
【表1】
【0062】
上記表1から分かるように、ペグ化されたカルシトニンの収率は、イソプロパノール添加により増加した。
【0063】
(実施例10)
ペグ化およびペグ化位置によるエキセンディン−4のイン・ビトロ活性の測定
ペグ化およびペグ化位置によるエキセンディン−4持続型製剤の効力を測定するために、イン・ビトロ活性を測定する方法を利用した。GLP−1のイン・ビトロ活性測定は、GLP−1収容体をクローニングさせたCHO細胞株にGLP−1を処理した後、細胞内のcAMPの増加可否を測定する方法である。
【0064】
具体的には、GLP−1がクローニングされた細胞株であるCHO/GLP−1RにGLP−1、エキセンディン−4および下記の表2に記載の試験物質を濃度別に処理した。cAMPの発生具合を測定して、EC50値を互いに比較した。対照群としては、市販されているByetta(バイエッタ、イーライリリー(Eli Lilly)社)を用いた。試験物質の処理によるイン・ビトロ力価(%)を下記表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
上記表2から分かるように、Lys27にPEGが修飾された場合、Lys12にPEGが修飾された場合に比べ、相対的にペプチドの生理活性が少なく影響されることが表れている。
【0067】
(実施例11)
ペグ化されたオキシントモジュリン(Lys30)結合体の調製および分離
<11−1>ペグ化されたオキシントモジュリン結合体(Lys30)の調製
ペグ化されたオキシントモジュリン結合体を調製するために、オキシントモジュリン(Anygen社、韓国)および3.4KプロピオンALD(2)PEGを1:15のモル比に、オキシントモジュリンの濃度を3mg/mLにして、4℃にて4.5時間反応させてペグ化した。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0068】
<11−2>位置異性体の分離
上記反応液から SOURCE 15S(XK16mL、
アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用してLys30−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図11)。
【0069】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配0→40%、222分
(実施例12)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン(Lys30)結合体の調製および分離
前記実施例11において、オキシントモジュリンの代わりにイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン(Anygen社,韓国)を用いることと、反応溶液として45%のイソプロパノールを含むpH7.5の100mM濃度のHEPES緩衝液を用いることとを除いては、実施例11の過程を繰り返してペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン(Lys30)結合体を調製した。
【0070】
SOURCE Sカラムを利用して分離した異性体の結果を図12に示し、Asp−Nタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング結果を図13に示す。図13から分かるようにPEGがLys30に修飾され、♯4:Asp(22)−(37)部分が消えた。
【0071】
(実施例13)
イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン(Lys30)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体調製
イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン−PEG(Lys30)結合体と免疫グロブリンFc(ハンミ薬品社、韓国)を1:10のモル比に、全体のたんぱく質の濃度を20mg/mLにして、4℃にて16時間反応させた。この時、反応溶液として100mMのリン酸カリウム(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。反応終了後、反応液をSOURCE 15Qカラムを用いて下記の条件下で精製した。
【0072】
カラム:SOURCE Q
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris−HCl、pH7.5)およびB(A+1MのNaCl);Aの濃度勾配0→20%、100分
Lys30−ペグ化されたCA−オキシントモジュリンを免疫グロブリンFcと結合させた後、SOURCE Qで精製して得られたクロマトグラムを図14に示し、CA−オキシントモジュリン(Lys30)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE結果を図15に示す。図15から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0073】
(実施例14)
ペグ化されたオキシントモジュリン類似体(Lys27)結合体の調製および分離
<14−1>ペグ化されたオキシントモジュリン類似体(Lys27)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをオキシントモジュリン類似体([20Asp、24Ala、28Ser]−オキシントモジュリン−[Deletion30−37])のリジン残基にペグ化させるために、PEGおよびオキシントモジュリン類似体(Anygen社、韓国)を1:15のモル比に、オキシントモジュリン類似体の濃度を3mg/mLにして、4℃にて3.5時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0074】
<14−2>位置異性体の分離
上記反応液から SOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用してLys27−ペグ化された位置異性体を精製した。精製および分離条件は実施例11と同様である。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図16)。精製したモノ−ペグ化されたオキシントモジュリン類似体のリジン選択性をLys−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図17)。図17から分かるようにPEGがLys27に修飾され♯2部分が消えた。
【0075】
(実施例15)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体(Lys27)結合体の調製および分離
<15−1>ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体(Lys27)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体([20Asp、24Ala、28Ser]−オキシントモジュリン−[Deletion30−37])のリジン残基にペグ化させるために、上記イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体(Anygen社、韓国)およびPEGを1:10のモル比に、イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体の濃度を3mg/mLにして、4℃にて2.5時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのHEPES(pH7.5)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0076】
<15−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用してLys27−ペグ化された位置異性体を精製した。精製および分離条件は実施例11と同様である。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図18)。精製したモノ−ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体のリジン選択性をLys−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図19)。図19から分かるように、PEGがLys27に修飾され♯2部分が消えた。
【0077】
(実施例16)
ペグ化された類似体イミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体(Lys27)および免疫グロブリンFcの結合体調製および分離
上記実施例15で調製した、Lys27−ペグ化されたイミダゾ−アセチル−オキシントモジュリン類似体−PEGおよび免疫グロブリンFcを1:10のモル比に、全体のたんぱく質の濃度を20mg/mLにして、4℃にて16時間反応させた。この時、反応溶液として100mMのリン酸カリウム(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。反応終了後、反応液をSOURCE 15Qカラムを用いて下記の条件下で精製した。
【0078】
カラム:SOURCE Q
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris−HCl、pH7.5)およびB(A+1MのNaCl);Aの濃度勾配0→20%、100分
Lys27−ペグ化されたCA−オキシントモジュリン類似体を免疫グロブリンFcと結合させた後、SOURCE Qで精製して得られたクロマトグラムを図20に示し、CA−オキシントモジュリン類似体(Lys27)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE結果を図21に示す。図21から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0079】
(実施例17)
ペグ化されたGLP−1(Lys34)結合体の調製および分離
<17−1>ペグ化されたGLP−1(Lys34)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをGLP−1(Anygen社,韓国)のリジン残基にペグ化させるために、GLP−1およびPEGを1:15のモル比に、GLP−1の濃度を3mg/mLにして、4℃にて3.5時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0080】
<17−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys34−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図22)。精製したモノ−ペグ化されたGLP−1のリジン選択性をLys−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図23)。
【0081】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配0→40%、150分
図23から分かるように、PEGがLys34に修飾され♯2部分が消えた。
【0082】
(実施例18)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−1(Lys34)結合体の調製および分離
<18−1>ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−1(Lys34)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをイミダゾ−アセチル−GLP−1(Anygen社,韓国)のリジン残基にペグ化させるために、イミダゾ−アセチル−GLP−1およびPEGを1:10のモル比に、イミダゾ−アセチル−GLP−1の濃度を3mg/mLにして、4℃にて4時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのHEPES緩衝液(pH7.5)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0083】
<18−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys34−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて位置異性体の分離を容易にした(図24)。精製したモノ−ペグ化されたCA−GLP−1のリジン選択性をGlu−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図25)。
【0084】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配3→40%、150分
図25から分かるように、PEGがLys34に修飾され♯4部分が消えることが確認できた。
【0085】
(実施例19)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−1(Lys34)および免疫グロブリンFcの結合体調製および分離
上記実施例18で調製した、Lys34−ペグ化されたイミダゾ−アセチルGLP−1−PEGおよび免疫グロブリンFcを1:8のモル比に、全体のたんぱく質の濃度を50mg/mLにして、4℃にて17時間反応させた。この時、反応溶液として100mMのリン酸カリウム(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。反応終了後、反応液をSOURCE Pheカラムを用いて下記の条件下で精製した。
【0086】
カラム:SOURCE Phe
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris−HCl、pH7.5)およびB(A+2MのNaCl);Aの濃度勾配100→0%、100分
Lys34−ペグ化されたCA−GLP−1異性体を免疫グロブリンFcと結合させた後、SOURCE Pheで精製して得られたクロマトグラムを図26に示し、CA−GLP−1(Lys34)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE結果を図27に示す。図27から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0087】
(実施例20)
ペグ化されたGLP−2(Lys30)結合体の調製および分離
<20−1>ペグ化されたGLP−2(Lys30)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをGLP−2(Anygen社,韓国)のリジン残基にペグ化させるために、GLP−2およびPEGを1:12のモル比に、GLP−2の濃度を5mg/mLにして、4℃にて3時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0088】
<20−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys30−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図28)。リジン選択性を、トリプシンタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いて確認した(図29)。
【0089】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配3→40%、150分
図29から分かるように、PEGがLys30に修飾され♯2部分が消えることが確認できた。
【0090】
(実施例21)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−2(Lys30)結合体の調製および分離
<21−1>ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−2(Lys30)結合体の調製
3.4KプロピオンALD(2)PEGをイミダゾ−アセチル−GLP−2(Anygen社,韓国)のリジン30残基にペグ化させるために、イミダゾ−アセチル−GLP−2およびPEGを1:20のモル比に、イミダゾ−アセチル−GLP−2の濃度を3mg/mLにして、4℃にて6時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのHEPES緩衝液(pH7.5)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0091】
<21−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys30−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図30)。
【0092】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH3.0+45%のエタノール)およびB(A+1MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配3→40%、150分
(実施例22)
ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−2(Lys30)および免疫グロブリンFcの結合体調製および分離
上記実施例21で調製した、Lys30−ペグ化されたイミダゾ−アセチル−GLP−2−PEGおよび免疫グロブリンFcを1:15のモル比に、全体のたんぱく質の濃度を20mg/mLにして、4℃にて16時間反応させた。この時、反応溶液として100mMのリン酸カリウム(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。反応終了後、上記反応液をSOURCE Pheカラムを用いて下記の条件下で精製した。
【0093】
カラム:SOURCE Phe
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのTris−HCl、pH7.5)およびB(A+2MのNaCl);Aの濃度勾配100→0%、100分
Lys30−ペグ化されたCA−GLP−2異性体を免疫グロブリンFcと結合させた後、SOURCE Pheで精製して得られたクロマトグラムを図31に示し、CA−GLP−2(Lys30)−PEGおよび免疫グロブリンFcの結合体のSDS−PAGE結果を図32に示す。図32から分かるように、非還元(NR)条件においては60Kに単一バンドが現れ、還元(R)条件においては35Kと25Kに2つのバンドが観察された。
【0094】
(実施例23)
ペグ化されたヒトインスリン(B1Phe)結合体の調製および分離
<23−1>ペグ化されたヒトインスリン(B1Phe)結合体の調製
5KプロピオンALD(1)メトキシPEG(1つのプロピオンアルデヒド基を持つPEG、NOF社、日本)をヒトインスリン(Sigma)内B鎖の1番目アミノ酸であるフェニルアラニンのN末端にペグ化させるために、PEGおよびヒトインスリンを1:2のモル比に、ヒトインスリンの濃度を2.3mg/mLにして、4℃にて12時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)を用いて、これに還元剤の20mMのNaCNBH3を添加した。
【0095】
<23−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して、下記の条件下でLys30−ペグ化された位置異性体を精製した。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図33)。溶出されたピークのモノ−ペグ化をSDS−PAGE分析で確認し、Glu−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いてリジン選択性を確認した(図36)。
【0096】
カラム:SOURCE S
流速 :2.0mL/分
溶出液:A(20mMのNa−citrate、pH2.0+60%のエタノール)およびB(A+0.5MのKCl);Aの濃度勾配0→3%、1分、Bの濃度勾配0→50%、80分
図36から分かるように、PEGがB1Fに修飾され♯2部分が消えた。
(実施例24)
ペグ化されたヒトインスリン(A1Gly)結合体の調製および分離
<24−1>ペグ化されたヒトインスリン(A1Gly)結合体の調製
5KメトキシPEG−スクシンイミジルブタノエート(1)(1つのSBA反応基を持つPEG、NOF社、日本)をヒトインスリン(Sigma)内A鎖の1番目アミノ酸であるグリシンのN末端にペグ化させるために、PEGおよびヒトインスリンを1:4のモル比に、ヒトインスリンの濃度を2mg/mLにして、25℃にて3時間反応させた。この時、反応溶液として35%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いた。
【0097】
<24−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して位置異性体を精製した。精製過程は実施例23と同様にして行った。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図34)。溶出されたピークのモノ−ペグ化をSDS−PAGE分析で確認し、Glu−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いてリジン選択性を確認した(図36)。
【0098】
図36から分かるように、PEGがA1Gに修飾され♯1部分が消えた。
(実施例25)
ペグ化されたヒトインスリン(B29Lys)結合体の調製および分離
<25−1>ペグ化されたヒトインスリン(B29Lys)結合体の調製
5KメトキシPEG−スクシンイミジルブタノエート(1)をヒトインスリン内B鎖の29番目アミノ酸であるリジン残基にペグ化させるために、PEGおよびヒトインスリンを1:2のモル比に、ヒトインスリンの濃度を2mg/mLにして、25℃にて1時間反応させた。この時、反応溶液として45%のイソプロパノールを含む100mMのNa−Borate緩衝液(pH9.0)を用いた。
【0099】
<25−2>位置異性体の分離
上記反応液からSOURCE 15S(XK16mL、アマシャムバイオサイエンス社)カラムを利用して位置異性体を精製した。精製過程は実施例23と同様にして行った。この過程で、精製溶液にエタノールを用いて異性体の分離を容易にした(図35)。溶出されたピークのモノ−ペグ化をSDS−PAGE分析で確認し、Glu−Cタンパク質加水分解酵素を利用したペプチドマッピング法を用いてリジン選択性を確認した(図36)。
【0100】
図36から分かるように、PEGがB29Kに修飾され♯4部分が消えた。
【0101】
上記具体的な実施例とともに本発明を述べたが、添付の特許請求の範囲により定義された本発明の範囲内において、当分野の熟練者は本発明を多様に変形および変化させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定量のアルコールを含み、非ペプチド性重合体を生理活性ポリペプチドの目標とする部位に結合させるためのpHを持つ反応溶液下において、生理活性ポリペプチドを非ペプチド性重合体と反応させるステップ1および前記ステップ1の反応混合物からアルコールを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより生理活性ポリペプチド結合体を分離及び精製するステップ2を含む、位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項2】
前記生理活性ポリペプチドが、インスリン分泌ペプチド、血液因子、消化促進ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、腸管ホルモン、サイトカイン、酵素、成長因子、ニューロペプチド(Neuropeptide)、脳下垂体ホルモン、視床下部ホルモン、抗肥満ペプチド、抗ウィルスペプチド及び生理活性を持つ非天然型ペプチド誘導体よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項3】
前記生理活性ポリペプチドが、赤血球生成促進因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、アミリン、グルカゴン、インスリン、ソマソスタチン、PYY(Peptide YY)、NPY(Neuropeptide Y)、GLP−1、GLP−2、エキセンディン−4、オキシントモジュリン、グレリン(Ghrelin)、アンジオテンシン、ブラジキニン、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン(Corticotropin)、エレドイシン(Eledoisin)、ガストリン、レプチン、オキシトシン(Oxytocin)、バソプレシン(Vasopressin)、黄体形成ホルモン、黄体刺激ホルモン、濾胞刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン、シクレチン(Secretin)、成長ホルモン放出ホルモン(Sermorelin)、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン放出ペプチド、コロニー刺激因子(G−CSF)類、インタフェロン(IFN)類、インターロイキン(Interleukin)類、プロラクチン放出ペプチド、オレキシン(Orexin)、甲状腺放出ペプチド、コレシストキニン(Cholecystokinin)、ガストリン抑制ペプチド、カルモジュリン、ガストリン放出ペプチド、モチリン(Motilin)、血管作用性小腸ペプチド(Vasoactive Intestinal Peptide;VIP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(Atrial NatriureticPeptide;ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(Brain NatriureticPeptide;BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(C-Type NatriureticPeptide;CNP)、ニューロキニン(Neurokinin)A、ニューロメジン(Neuromedin)、レニン(Renin)、エンドセリン(Endothelin)、サラホトキシンペプチド(Sarafotoxin Peptide)、カルソモルフィンペプチド(Carsomorphin Peptide)、デモルフィン(Dermorphin)、ダイノルフィン(Dynorphin)、エンドルフィン(Endorphin)、エンケパリン(Enkepalin)、T細胞因子、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子収容体、ウロキナーゼ収容体、腫瘍抑制因子、コラゲナーゼ抑制剤、チモポエチン(Thymopoietin)、血清胸腺因子(Thymulin;Serum thymic factor(FTS))、チモペンチン(Thymopentin)、胸腺ホルモン(Thymosin)、胸腺液性因子(Thymic Humoral Factor)アドレノメデュリン(Adrenomedullin;AM)、アラタ体抑制ホルモン(Allatostatin)、アミロイドβ-プロテイン断片(Amyloid Beta‐Protein Fragment)、抗菌性ペプチド、抗酸化剤ペプチド、ボンベシン(Bombesin)、オステオカルシン(Osteocalcin)、CARTペプチド、E−セレクチン(selectin)、ICAM−1、VCAM−1、ロイコカイン(Leukokine)、クリングル(Kringle)−5、ラミニン(Laminin)、インヒビン(Inhibin)、ガラニン(Galanin)、フィブロネクチン(Fibronectin)、パンクレアスタチン(Pancreastatin)及びフューゼオン(Fuzeon)からなる群から選ばれる、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項4】
前記生理活性ポリペプチドが、エキセンディン、インスリン、GLP−1、GLP−2、オキシントモジュリン、グレリン、カルシトニン、またはこれらの誘導体である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項5】
前記誘導体は、下記の化学式5乃至化学式8
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
から選択されるいずれか1つの構造を持つエキセンディン、オキシントモジュリン、GLP−1、またはGLP−2誘導体である、請求項4に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項6】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体、ポリオキシエチレ化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸;polylactic acid)、PLGA(ポリ乳酸・グリコール酸;polylactic-glycolicacid)、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項7】
前記ステップ1およびステップ2に用いられたアルコールが、1個乃至10個の炭素数を持つ第1級、第2級、または第3級アルコールである、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項8】
前記アルコールが、エタノール、またはイソプロパノールである、請求項7に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項9】
前記アルコールが、反応溶液の総量を基準に35ボリューム%乃至60ボリューム%の量で反応溶液の中に存在する、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項10】
前記生理活性ポリペプチドが、エキセンディン、またはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが7.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項11】
前記生理活性ポリペプチドが、オキシントモジュリンまたはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが7.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項12】
前記生理活性ポリペプチドが、ヒトインスリンまたはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが4.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項13】
前記生理活性ポリペプチドが、GLP−1またはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが7.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項14】
前記生理活性ポリペプチドが、GLP−2またはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが7.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項15】
前記位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体は、PEGがLys27に結合されたエキセンディン−4結合体、PEGがN末端に結合されたカルシトニン結合体、PEGがLys27またはLys30に結合されたオキシントモジュリン結合体、PEGがA鎖のGly1のN末端に結合またはB鎖のLys29に結合されたヒトインスリン結合体、PEGがLys34またはLys30に結合されたGLP−1またはGLP−2結合体またはこれらの類似体である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項1】
特定量のアルコールを含み、非ペプチド性重合体を生理活性ポリペプチドの目標とする部位に結合させるためのpHを持つ反応溶液下において、生理活性ポリペプチドを非ペプチド性重合体と反応させるステップ1および前記ステップ1の反応混合物からアルコールを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより生理活性ポリペプチド結合体を分離及び精製するステップ2を含む、位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項2】
前記生理活性ポリペプチドが、インスリン分泌ペプチド、血液因子、消化促進ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、腸管ホルモン、サイトカイン、酵素、成長因子、ニューロペプチド(Neuropeptide)、脳下垂体ホルモン、視床下部ホルモン、抗肥満ペプチド、抗ウィルスペプチド及び生理活性を持つ非天然型ペプチド誘導体よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項3】
前記生理活性ポリペプチドが、赤血球生成促進因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、アミリン、グルカゴン、インスリン、ソマソスタチン、PYY(Peptide YY)、NPY(Neuropeptide Y)、GLP−1、GLP−2、エキセンディン−4、オキシントモジュリン、グレリン(Ghrelin)、アンジオテンシン、ブラジキニン、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン(Corticotropin)、エレドイシン(Eledoisin)、ガストリン、レプチン、オキシトシン(Oxytocin)、バソプレシン(Vasopressin)、黄体形成ホルモン、黄体刺激ホルモン、濾胞刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン、シクレチン(Secretin)、成長ホルモン放出ホルモン(Sermorelin)、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン放出ペプチド、コロニー刺激因子(G−CSF)類、インタフェロン(IFN)類、インターロイキン(Interleukin)類、プロラクチン放出ペプチド、オレキシン(Orexin)、甲状腺放出ペプチド、コレシストキニン(Cholecystokinin)、ガストリン抑制ペプチド、カルモジュリン、ガストリン放出ペプチド、モチリン(Motilin)、血管作用性小腸ペプチド(Vasoactive Intestinal Peptide;VIP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(Atrial NatriureticPeptide;ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(Brain NatriureticPeptide;BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(C-Type NatriureticPeptide;CNP)、ニューロキニン(Neurokinin)A、ニューロメジン(Neuromedin)、レニン(Renin)、エンドセリン(Endothelin)、サラホトキシンペプチド(Sarafotoxin Peptide)、カルソモルフィンペプチド(Carsomorphin Peptide)、デモルフィン(Dermorphin)、ダイノルフィン(Dynorphin)、エンドルフィン(Endorphin)、エンケパリン(Enkepalin)、T細胞因子、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子収容体、ウロキナーゼ収容体、腫瘍抑制因子、コラゲナーゼ抑制剤、チモポエチン(Thymopoietin)、血清胸腺因子(Thymulin;Serum thymic factor(FTS))、チモペンチン(Thymopentin)、胸腺ホルモン(Thymosin)、胸腺液性因子(Thymic Humoral Factor)アドレノメデュリン(Adrenomedullin;AM)、アラタ体抑制ホルモン(Allatostatin)、アミロイドβ-プロテイン断片(Amyloid Beta‐Protein Fragment)、抗菌性ペプチド、抗酸化剤ペプチド、ボンベシン(Bombesin)、オステオカルシン(Osteocalcin)、CARTペプチド、E−セレクチン(selectin)、ICAM−1、VCAM−1、ロイコカイン(Leukokine)、クリングル(Kringle)−5、ラミニン(Laminin)、インヒビン(Inhibin)、ガラニン(Galanin)、フィブロネクチン(Fibronectin)、パンクレアスタチン(Pancreastatin)及びフューゼオン(Fuzeon)からなる群から選ばれる、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項4】
前記生理活性ポリペプチドが、エキセンディン、インスリン、GLP−1、GLP−2、オキシントモジュリン、グレリン、カルシトニン、またはこれらの誘導体である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項5】
前記誘導体は、下記の化学式5乃至化学式8
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
から選択されるいずれか1つの構造を持つエキセンディン、オキシントモジュリン、GLP−1、またはGLP−2誘導体である、請求項4に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項6】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体、ポリオキシエチレ化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸;polylactic acid)、PLGA(ポリ乳酸・グリコール酸;polylactic-glycolicacid)、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項7】
前記ステップ1およびステップ2に用いられたアルコールが、1個乃至10個の炭素数を持つ第1級、第2級、または第3級アルコールである、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項8】
前記アルコールが、エタノール、またはイソプロパノールである、請求項7に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項9】
前記アルコールが、反応溶液の総量を基準に35ボリューム%乃至60ボリューム%の量で反応溶液の中に存在する、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項10】
前記生理活性ポリペプチドが、エキセンディン、またはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが7.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項11】
前記生理活性ポリペプチドが、オキシントモジュリンまたはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが7.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項12】
前記生理活性ポリペプチドが、ヒトインスリンまたはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが4.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項13】
前記生理活性ポリペプチドが、GLP−1またはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが7.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項14】
前記生理活性ポリペプチドが、GLP−2またはこれの誘導体である場合、前記ステップ1で用いられたpHが7.0乃至10.0である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【請求項15】
前記位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体は、PEGがLys27に結合されたエキセンディン−4結合体、PEGがN末端に結合されたカルシトニン結合体、PEGがLys27またはLys30に結合されたオキシントモジュリン結合体、PEGがA鎖のGly1のN末端に結合またはB鎖のLys29に結合されたヒトインスリン結合体、PEGがLys34またはLys30に結合されたGLP−1またはGLP−2結合体またはこれらの類似体である、請求項1に記載の位置特異的な生理活性ポリペプチド結合体の調製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公表番号】特表2012−520873(P2012−520873A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500720(P2012−500720)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001674
【国際公開番号】WO2010/107256
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(510316693)ハンミ・サイエンス・カンパニー・リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001674
【国際公開番号】WO2010/107256
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(510316693)ハンミ・サイエンス・カンパニー・リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
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