低いループ高さのボールボンディング方法およびその装置
本発明によれば、バンプが、ボールボンドをそこに形成することによって、ダイボンドパッドの上面に形成される。そして、ワイヤを切断することなく、キャピラリーは、ボールボンドの上面にワイヤを折り曲げるための調整された一連の運動をなす。そして、ワイヤは、ワイヤを切断することなく、ボールボンドバンプの上面にステッチボンディングされる。そして、ループを形成しかつ第2のボンドサイト(例えば、リードフレーム)の上方へキャピラリーを動かすための調整されたさらなる一連のxy運動が、これに続く。そして、ワイヤは、第2のボンドサイトにステッチボンディングされ、テイルが切断され、ワイヤループ配線が完成する。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[001]本発明は、半導体デバイス上におけるワイヤボンディングに関する。
【発明の背景】
【0002】
[002]ボールボンディングは、半導体ダイ上のボンドパッドを、ダイが取り付けられるリードフレームまたはその他の基板上の接点と相互接続するための一般的な技術である。ダイが樹脂封止された後に、ダイ上の回路をパッケージから延びるリードフレームのピンに電気的に接続するために、典型的には、電気的な配線ワイヤが、ダイの上面のボンドパッドから、リードフレーム上のリードフィンガーまで延びる。ダイのボンドパッドとリードフィンガーとの間のワイヤボンドは、一般的には、ボールボンディングマシンを用いて形成される。図1A〜図1Iは、従来技術によるボールボンディングにおけるステップを示す。従来のルーピング技術(本明細書では、順方向ルーピングと呼ばれる)は、金ワイヤの一端をダイ上のボンドパッドにボールボンディングし、ワイヤの他端をリードフレームにステッチボンディングすることを含む。より詳細には、ボールボンディングマシンを用いて、ワイヤ17は、一組のクランプ18に挿入され、そして、キャピラリー11の中心内腔に挿入される。プロセスの開始時点において、ワイヤ「テイル」23は、図1Aに示すように、キャピラリー11の先端から突き出ている。ワイヤ17の端部におけるテイル23は、電気的フレームオフ(EFO)と呼ばれるEFOワンド24からの電気スパーク16によって加熱される。スパークは、ワイヤの端部を溶かし、そして、その端部は、図1Bに示すように、それが溶けると、ボール19となる。クランプ18は、電流がクランプを介して戻るための経路を提供するために、EFO中には閉じられ、そして、ボール自身がキャピラリーの先端に着座するのを可能にするために開かれる。そして、キャピラリー11は、図1Cに示すように、ダイ15のボンドパッド13の上方における位置まで動かされる。
【0003】
[003]そして、キャピラリー11は、キャピラリーの初期加速中に、クランプ18が開いたままの状態で下方へ動かされ、そして、キャピラリーの減速中に、クランプ18が閉じられ、そのために、キャピラリーの下方への運動中には、ボールは着座したままである。そして、クランプは、ボールがボンドパッド13に接触する直前に開く。ボール19は、図1Dに示すように、クランプ18が開いたままの状態で、ダイ15上のボンドパッド13に接触した状態となる。熱および/または超音波エネルギーが、ダイに加えられ、ボールを、ボンドパッド13にボンディングされた状態にする。このボンディングは、典型的には、ボールボンドまたは第1のボンドと呼ばれる。そして、クランプ18が開いた状態で、キャピラリー11は、図1Eに示すように、引き上げられ、ボールボンドの上面に取り付けられたままのワイヤが、わずかな長さだけ繰り出される。次に、クランプ18が開いた状態で、キャピラリー11は、予め定められたルーピング運動によって動かされ、ワイヤ(これは、ボールボンドに接続されたままである)は、キャピラリー11から一般的にはリードフィンガー21の近傍かつ上方における位置まで引きずられる。キャピラリー11が、リードフィンガー21の上方に配置されると、図1Fに示すように、クランプ18は閉じられる。そして、図1Gに示すように、キャピラリー11が引き下げられ、ワイヤをキャピラリーとリードフィンガー21の表面との間に挟む。この場合にも、ワイヤの挟まれた部分をリードフィンガー21にボンディングするために、熱および/または超音波エネルギーが加えられてもよい。このボンディングは、ステッチボンドまたは第2のボンドと呼ばれる。ここで、図1Hに示すように、クランプ18が、再び、開かれ、そして、キャピラリー11が、ワイヤがステッチボンドに取り付けられたままの状態で引き上げられ、それによって、余分のワイヤ「テイル」23が、キャピラリーから繰り出される。そして、クランプ18が、閉じられ、ステッチボンドロケーションに存在する最も弱い点においてワイヤテイル23を切断するために、キャピラリー11がさらに引き上げられる。完成した接続22は、ワイヤループと呼ばれ、図1Iに示される。
【0004】
[004]この時点において、キャピラリーは、ダイ上の次のボンドパッドのためのワイヤルーピングプロセスを開始するために、ダイ15の次のボンドパッドの近傍に動かされる。先行するワイヤループの形成を終了した後にキャピラリーの先端から突き出たままのワイヤテイル23は、上述したように、EFOによって溶かされ、次のボールボンディング処理を開始するために、次のボールを形成する。上述した従来の順方向ボールボンディング技術は、迅速で、信頼性が高く、かつ、安価である。しかしながら、それは、制限を有する。とりわけ、最小ループ高さは、通常、150ミクロンよりも高い。ループ高さは、ボンディング表面、例えば、ボンドパッドの上面の上方におけるワイヤの最大の高さとして定義される。より低いループ高さを実現することを試みることは、ワイヤループにネックダメージを発生させることがある。ネックは、ボールボンドに直接に隣接するワイヤループの部分である。ループ高さを150ミクロン以下に減少させることは、ネックの強度を減少させあるいはネックを切断する恐れがある。
【0005】
[005]より小さい集積回路パッケージングが、益々、要求されている。集積チップパッケージングの寸法を減少させることの意義のある特徴の1つは、それの厚さまたは高さを減少させることである。より薄いパッケージは、一般的に、当分野では、低プロフィールパッケージと呼ばれる。パッケージの高さを減少させるという要求は、ワイヤループの最も高い点の高さを減少させるという要求に対応し、それは、多くの場合、集積回路パッケージの高さに関する制約要因である。
【0006】
[006]集積回路パッケージングおよびその他の目的に使用されるループの高さを減少させるために、逆方向ルーピングとして既知であるワイヤルーピング技術が開発された。逆方向ルーピングの背後にある前提は、ワイヤループの最も高い点はボールボンドに隣接するので、ルーピングプロセスを逆方向にすることは望ましいことであり、そのために、リードフレームの表面はダイの表面よりも低いので、リードフレーム(または、その他の基板)上に第1のボールボンドを形成し、そして、ダイのボンドパッド上に第2のステッチボンドを形成するということである。したがって、ワイヤループの最も高い点は、より低いボンディング表面の近くに存在し、それによって、全体の高さを減少させる。
【0007】
[007]しかしながら、ルーピングプロセスの方向をただ単に逆にすることは、ステッチボンドはキャピラリーがボンディング表面に接触した状態になることを必要とするので、不可能である。ダイ上のボンドパッドは、通常、極めて小さく、そのために、キャピラリーを接触させずに、したがって、ダイ上の周囲の回路を損傷させずに、ダイのボンドパッド上にステッチボンドを形成することは困難である。さらに、ワイヤループは、ステッチボンドに近いそれらの最も低い点へたるむ傾向がある。したがって、ステッチボンドサイトが、ボールボンドサイトよりも高ければ、ワイヤは、ダイのエッジまたは上面に接触する可能性がある。これは、電気的な短絡またはワイヤの切断をもたらすことがある。
【0008】
[008]そのために、図2A〜図2Cに示されるような逆方向ルーピング技術が開発され、この技術においては、第1のステップは、ボールボンドを形成するための本質的に標準的な技術に基づいてボールボンド25をダイ29上のボンドパッド27の上面に形成することである。しかしながら、従来の順方向ルーピング技術によってボールボンドを形成した後の場合と同じようにワイヤ17を繰り出す代わりに、キャピラリー11は引き上げられ、クランプ18は閉じられ、そして、キャピラリーは、さらに引き上げられ、ワイヤをボールボンドから切り離し、図2Aに示すように、ボンドパッド27上にボールボンド(バンプ)25だけを残す。そして、全部のワイヤルーピングプロセスが、逆方向に、すなわち、基板からボンドパッドまで実行される。すなわち、その後に、第2のボールボンド37が、リードフレーム39上に形成され、そして、キャピラリー11が、一連の運動によって動かされ、第1のボールボンド25の上方に配置され、図2Bに示すように、所望のワイヤループ形状を生成する。そして、ステッチボンド43が、第1のボールボンド(または、バンプ)25の上面に形成される。完成したワイヤループが、図2Cに示される。
【0009】
[009]この逆方向ルーピングプロセスは、低プロフィールパッケージングのための低いループ高さを提供することができる。しかしながら、それは、順方向ルーピングよりも極めて時間のかかるプロセスである。なぜなら、それは、1つのループごとに2つのボールボンドを形成しなければならないからである。さらに、ダイは、より大きな衝撃を受けなければならない。なぜなら、キャピラリーは、1つのワイヤループごとに2回、ダイ上にボンドを形成しなければならないからである(すなわち、1回目は、第1のボールボンドを生成するために、そして、2回目は、ボールボンドの上面にステッチボンドを生成するために)。逆方向ルーピングのもう1つの制約は、それが、しばしば、ダイ上のボンドパッドのピッチがどれほど微細であるかということに関する制約要因であることである。より詳細には、ダイボンドパッドの上面のバンプ25は、ステッチボンドを支持できるほど十分に大きいものでなければならない。さらに、ステッチボンドが、それの上面に形成されるとき、バンプの直径は、横方向に増加する。
【0010】
[010]したがって、本発明の目的は、改善されたワイヤループ形成方法およびその装置を提供することである。
【0011】
[011]本発明の別の目的は、極めて低いループ高さを備えるワイヤループ配線を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
[012]本発明によれば、ボールボンドをダイボンドパッド上に形成することによって、バンプがそのボンドパッド上に形成される。そして、ワイヤを切断せずに、かつ、クランプを開いた状態で、キャピラリーが、調整された一連のxyz運動をなし、ボールボンドの上面においてワイヤを折り曲げる。そして、ワイヤは、テイルを切断することなく、バンプの上面にステッチボンディングされる。調整されたさらなる一連のxyz運動がこれに続き、キャピラリーを第2のボンドサイト(例えば、リードフレームまたはその他の基板)へ動かし、基板上において第2のステッチボンドを実行し、そして、テイルを切断し、プロセスを完了する。
【0013】
[013]上述したワイヤ折り曲げ部を形成するための本発明の特定の一実施形態によれば、ボールボンドが形成され、そして、キャピラリーが、指定された高さ(本明細書では、分離高さと呼ばれる)だけz方向に引き上げられる。そして、キャピラリーは、一般的には第2のボンドロケーションから遠ざかるような方向に指定された距離(本明細書では、折り曲げオフセット距離と呼ばれる)だけ水平方向に(xy平面において)動かされる。キャピラリーは、再度、さらに別の距離(本明細書では、折り曲げ係数と呼ばれる)だけz方向に引き上げられてもよく、あるいは、引き上げられなくてもよい。上述したステッチボンドをバンプの上面に形成するために、xy平面における別の運動がこれに続き、一般的には、キャピラリーをバンプの上面に逆戻りさせる。そして、調整された別のxyz運動がこれに続き、キャピラリーを第2のボンドサイトの(例えば、リードフレーム上の)ロケーションへ動かし、そこで、第2のステッチボンドが形成される。
【発明の詳細な説明】
【0014】
[022]図3は、本発明に基づいて形成された折り曲げられた順方向ワイヤループ45の側面絵画図である。図3は、それの上面にボンドパッド53を含む集積回路ダイ51、およびボンドパッド53とリードフレーム55との間のワイヤループ配線を備えるリードフレーム基板55を示す。ワイヤループ45は、本発明の技術に基づいて形成され、5つの基本的な構成要素を備えると考えることができる。図3を参照すると、それらは、(1)バンプ56、(2)バンプの上面に存在するワイヤ折り曲げ部57、(3)バンプの上面に存在するステッチボンド58、(4)第1のボンドサイトと第2のボンドサイトとを相互接続するワイヤループ59、および(5)第2のステッチボンド60である。
【0015】
[023]上述した5つの基本的な構成要素は、ボールボンディングマシンを用いて形成されてもよい。
【0016】
[024]図5A〜図5Oは、本発明の特定の一実施形態に基づいて折り曲げられた順方向ワイヤループを形成するための例示的なプロセスの様々なステージにおけるボールボンディングマシンのキャピラリーの位置およびワイヤの状態を示す。本明細書において使用される用語において、垂直方向はz方向と呼ばれ、水平方向はxy方向と呼ばれる。本出願における図面は、当然ながら、2次元であり、そのために、すべてのxy運動は、紙面の平面内に存在するように示され、したがって、単純に、1次元の運動として、すなわち、xy運動ではなく、x運動またはy運動であると考えてもよい。しかしながら、現実の世界において、与えられたダイ上のワイヤループは、すべてがお互いに平行であるとは限らないので、ボールボンディングマシンのキャピラリーの運動を制御する機械コードにおいては、すべての横方向の運動は、xy運動として定義されなければならない。したがって、本明細書においては、同じ用語が、使用される。さらに、垂直という用語および水平という用語は、ダイの上面が水平に配置されるという仮定に基づいた単なる例示的なものであり、その仮定は、典型的なものではあるが、常に当然な仮定であるとは限らない。
【0017】
[025]図5Aに示すように、折り曲げられた順方向ループを形成するプロセスは、先行するルーピングプロセスの終了時点におけるキャピラリー11から開始し、ワイヤテイル23が、キャピラリーから延び、かつ、クランプ18は閉じられている。キャピラリーは、ダイ63のボンドパッド61および関連するリードフィンガー65の近傍に配置され、それらのボンドパッド61とリードフィンガー65との間に、次のワイヤループ配線が、形成されることになる。
【0018】
[026]ワイヤは、電気的フレームオフ67によって溶かされ、ワイヤの端部が溶かされる。溶けるとき、それは、その性質上、図5Bに示すように、ボール72を形成する。図5Cに示すように、キャピラリーが引き下げられ、ボンドパッド61に向かって動かされる。そして、キャピラリーは引き下げられ、ボール72をボンドパッド61に接触させる。熱および/または超音波エネルギーが加えられ、ボールをボンドパッドにボンディングする。図5Dは、この時点におけるプロセスを示し、これは、本質的には、折り曲げられた順方向のワイヤループの第1の部分、すなわち、バンプ56を形成することの終了時点である。
【0019】
[027]次に、バンプ56の上面から延びるワイヤを所定の長さだけ繰り出すために、キャピラリー11が、クランプ18が開いた状態で上昇する。この上昇の距離は、本明細書では、分離高さと呼ばれ、図4において、符号75で示される。図5Eは、このステップの後のキャピラリーの位置を示す。そして、キャピラリー11は、xy平面において、第2のボンドサイト65への方向とは一般的に反対の第1の方向に移動する(図5A〜図5Cにおいて、左へ)。好ましくは、折り曲げオフセットの方向は、第2のボンドサイト65へのxy方向とは正反対である。このxy運動の距離は、本明細書では、折り曲げオフセットと呼ばれ、図4において、符号76で示される。折り曲げオフセット運動の後のキャピラリーの位置が、図5Fに示される。
【0020】
[028]本発明の実施形態の中には、折り曲げオフセット運動の終了時点において、キャピラリー11が、再度、わずかな距離(本明細書では、折り曲げ係数と呼ばれる)だけ引き上げられ(正のz方向へ)、ワイヤをさらに繰り出すものもある。折り曲げ係数は、図4において、符号77で示される。しかしながら、本発明の用途によっては、ゼロの折り曲げ係数が、適切であるものもある。図5Gは、プロセスのこの時点におけるキャピラリーおよびワイヤの位置を示す。折り曲げオフセットおよび折り曲げ係数は、ワイヤ折り曲げ部におけるワイヤの量を制御する。
【0021】
[029]そして、キャピラリー11は、バンプ56に向かって逆方向に動かされ、バンプ56自身の上面にワイヤを折り返し、バンプの上面にワイヤ折り曲げ部を形成することを開始する。図5Hは、キャピラリーが折り曲げ部を形成するために移動しているときのキャピラリー11の位置およびワイヤの状態を示す。この最後に述べた運動は、図4において符号78で示されるように、本明細書では、折り曲げ戻し運動と呼ばれる。好ましくは、折り曲げ戻し運動は、折り曲げオフセット運動のxy方向とは正反対のxy方向である。折り曲げ係数77がゼロである実施形態においては、折り曲げ戻し運動は、好ましくは、完全に水平な運動(すなわち、xy運動)である。折り曲げ係数77が、ゼロでなければ、折り曲げ戻し運動78は、ボールボンディング中にキャピラリーが存在していたときと同じ高さにまでキャピラリーを戻すために、負のz成分を含んでもよい。いずれの場合にも、折り曲げ戻し運動の終了時点において、キャピラリーを分離高さにまで戻す。しかしながら、これは、必要条件ではない。実際には、本発明の少なくともいくつかの好ましい実施形態においては、以下でさらに説明するように、キャピラリーは、分離高さよりも低い高さに戻る。実際には、折り曲げ戻し運動78は、折り曲げ係数77がたとえゼロであっても、正の(上方への)または負の(下方への)z成分を含んでもよい。重要な特徴は、ワイヤ折り曲げ部が、バンプ56の上面に形成され、好ましくは、第2のボンドサイト65から遠ざかる方向へまっすぐに延びることである。分離高さと折り曲げ戻し運動78の終了時点におけるキャピラリーの位置との差は、本明細書では、バンプ高さと呼ばれる。それは、正の値であってもよく、あるいは、負の値であってもよい。しかしながら、上述したように、本発明の実施形態によっては、分離高さに到達することとワイヤ折り曲げ部の完成および/または折り曲げ係数との間にキャピラリーのz運動が存在しないものもあり、折り曲げ戻し運動のz成分は、正確に等しくかつ反対方向であり、そのために、バンプ高さは、ゼロとなる。
【0022】
[030]さらに、折り曲げ戻し運動78の水平成分は、折り曲げオフセット運動と同じ距離でなくてもよい。特定の用途によっては、折り曲げオフセット運動の前のキャピラリーの元々のxy座標よりも短い位置(図4において経路78aによって示されるように)、その元々のxy座標と正確に同じの位置(図4において経路78bによって示されるように)、あるいは、その元々のxy座標よりも長い位置(図4において経路78cによって示されるように)においてステッチボンドを実行するために、ある特定の位置に戻ることが望ましい。
【0023】
[031]バンプが形成されたときのキャピラリーのxy位置とこの時点におけるキャピラリーのxy座標との水平方向における差は、折り曲げ戻しオフセットと呼ばれる。換言すれば、折り曲げ戻しオフセットは、折り曲げオフセット運動と折り曲げ戻し運動の水平方向成分とのxy次元における差である。折り曲げ戻し運動78のxy成分が、折り曲げオフセット運動76よりも小さければ、折り曲げ戻しオフセットは、正の値として表現される。折り曲げ戻し運動78の水平方向成分が、折り曲げオフセット運動76よりも長ければ、折り曲げ戻しオフセットは、負の値として表現される。折り曲げオフセット運動76と折り曲げ戻し運動78とが、同じxy(すなわち、水平方向)の量を有するならば、折り曲げ戻しオフセットはゼロである。
【0024】
[032]折り曲げ戻し運動の終了時点において、キャピラリーは、図5Iに示すように、バンプ56の上面に接触しており、かつ、キャピラリー11の先端とバンプとの間にワイヤを挟んでいる。この時点において、ワイヤは、挟まれてはいるが、切断されてはいない。また、この時点において、折り曲げられた順方向ワイヤループ全体の上述した5つの部分の中の2番目(すなわち、折り曲げ部57)が完成する。プロセスの開始時点から、ワイヤは、切断されておらず、したがって、折り曲げ部57は、バンプ56と接続している。
【0025】
[033]そして、ワイヤは、バンプ56の上面にステッチボンディングされる。ワイヤの押しつけられた部分をバンプ56の上面にボンディングするのを助けるために、熱および/または超音波エネルギーが加えられてもよい。この時点において、ループ全体の上述した5つの部分の中の3番目(すなわち、第1のステッチボンド58)が、完成する。図5Jは、この時点におけるプロセスを示し、これは、本質的には、図5Iに示される位置と同じである。なぜなら、キャピラリーは、典型的には、ステッチボンディング中に移動しないからである。
【0026】
[034]ここで、キャピラリーは、所望のワイヤループ形状(ループ全体の第4の部分)を形成しかつキャピラリーを第2のボンドサイト65の上方に配置するために、一連の調整されたxyz運動によって、第2のボンドサイトに近づくように動かされる。図5Kおよび図5Lは、第2のボンドサイト65までの例示的な軌跡に沿った2つの点におけるキャピラリー11の位置を示す。
【0027】
[035]調整されたxyz運動は、第2のボンドサイトに近づくような直線のxy運動からなる比較的に単純なものであってもよい。しかしながら、典型的には、最も好ましい形状になるようにワイヤループを形成するのを助けるz方向への運動が存在する。プロセスの開始時点から、ワイヤは、まだ、切断されていないので、ワイヤループ59は、第1のボンドサイトにおいて、バンプ56、折り曲げ部57、およびステッチボンド58と接続している。
【0028】
[036]次に、キャピラリーが引き下げられ、第2のボンド表面65とキャピラリー11の先端との間にワイヤを挟み、そして、ワイヤが、第2のボンドサイトにステッチボンディングされる。ボンディングを助けるために、熱および/または超音波エネルギーが、加えられてもよい。この時点において、ワイヤは、図5Mに示すように、挟まれてはいるが、完全には切断されていない。そして、キャピラリー11が、クランプ18が依然として開いた状態で、かつ、ワイヤが依然として第2のステッチボンド60に取り付けられた状態で引き上げられ、それによって、ワイヤテイル69が、キャピラリー11から繰り出される。図5Nは、プロセスのこの時点におけるキャピラリーの位置を示す。そして、図5Oに示すように、第2のステッチボンド60においてワイヤを切断するために、クランプ18が閉じられ、キャピラリー11がさらに引き上げられる。ここで、折り曲げられた順方向ワイヤループ全体の中の第5の部分、すなわち、第2のステッチボンド60が完成し、折り曲げ順方向ルーピングプロセス全体が完了する。
【0029】
[037]バンプ56の主たる目的は、キャピラリーがボンドパッドに直接に接触するのを防止することであり、かつ、ワイヤが第1のボンドサイトから引き出される高さ(z方向)を高くすることである。より詳細には、ワイヤは、バンプの上面からワイヤループが開始することによって提供されるダイ表面の上方の余分な高さがもしなければ、ワイヤループ59が第1のボンドサイトと第2のボンドサイトとの中間に存在するダイ表面にあるいは接触する可能性のある低い位置において第1のボンドサイトから引き出される。
【0030】
[038]折り曲げ部57をバンプの上面に形成することの主たる目的は、ワイヤが、第1のボンドサイトから一般的には水平方向に引き出され、第2のボンドサイトに向けて延ばされ、それによって、低いループ高さをもたらすことである。折り曲げ部は、一般的には、形状が楕円形であり、その楕円形の長軸は、xy平面に存在し、ワイヤは、折り曲げ部の端部を水平方向に引き出され、そして、一般的には、第2のボンドサイトに向けて直接に延ばされる。このような方向を有する配置は、従来の順方向ワイヤループにおいてワイヤが第1のボンドサイトから引き出されるときに一般的にはまっすぐに上方向へ配置されるワイヤと対照されるべきである。このように、本発明のルーピング技術は、極めて低いループ高さを提供する。なぜなら、ワイヤは、ボールボンドサイトから引き出され、垂直に上方向にではなく水平方向に延ばされるからである。
【0031】
[039]さらに、ダイに与える衝撃は、従来の逆方向ボールボンディングと比較すれば減少する。なぜなら、それは、逆方向ルーピングの場合のように、通常の第2のボンドをバンプの上面において実行しないからである。逆方向ボンディングの場合における図7Bに類似する通常のステッチボンドと比較すれば、図7Aに示すように、ワイヤは、ほんのわずかに押しつけられ、ループおよびボールの上面のステッチボンドを形成する。
【0032】
[040]さらに、本発明によれば、逆方向ボールボンディングと比較して、より微細なピッチを実現することができる。なぜなら、バンプは、逆方向ワイヤルーピング技術の場合と同じほどには、押しつけられず、そして、横方向に押しつぶされないからである。
【0033】
[041]ワイヤボンディングマシンは、本明細書で説明されたプロセスをマシンに実行させることのできる制御回路を備える運動制御システムによって制御される。一般的には、回路は、プログラムされた汎用コンピュータのようなディジタル処理装置、ディジタル信号プロセッサー、ステートマシン、組み合わせ論理回路、マイクロプロセッサー、特定用途向け集積回路、または、その他の何らかの既知であるディジタル処理手段を備える。回路が、コンピュータを備える場合、本発明は、限定はされないが、その大部分が、本明細書で説明されたプロセスを実行するようにワイヤボンディングマシンを制御するためにコンピュータをプログラムするソフトウェア内に存在してもよい。
【0034】
[042]図4を参照して説明された様々な運動成分を最適化することによって、低いループ高さを備えかつネックダメージのない所望の形状を達成することができる。一例として、図6は、図7に示される折り曲げ部を形成しその後に図8Aおよび図8Bに示されるループプロフィールを形成するのに使用された例示的なパラメータを示す。最初の3つの運動(分離高さ75、折り曲げオフセット76、および折り曲げ係数77)は、折り曲げ部におけるワイヤの量および折り曲げ部の形状を集合的に決定する。これらの運動が、大きすぎる場合、所望の折り曲げ部よりも大きな折り曲げ部が形成される可能性がある。これらの運動が、小さすぎる場合、折り曲げ部は、まったく形成されない可能性があり、ワイヤのネック領域が損傷を受ける可能性がある。
【0035】
[043]本発明者らは、実験によって、ワイヤ直径よりもわずかに大きい分離高さおよび折り曲げオフセット(例えば、ワイヤ直径の約1.01倍〜約1.55倍)は優れた結果を達成できることを見出している。さらに、折り曲げ係数は、正の値であるべきである。図7の例においては、1ミルのワイヤ直径の場合、分離高さ75は、1.5ミルであり、折り曲げオフセット76は、1.3ミルであり、そして、折り曲げ係数77は1ミルである。これらの設定値は、適切な量のワイヤを繰り出し、折り曲げ戻し運動78が開始する前に、垂直線から約30°だけワイヤを曲げる。
【0036】
[044]折り曲げ戻し運動78は、バンプの最終的な形状を決定する。本発明者らが使用した特定のマシンにおいては、折り曲げ戻し運動78は、2つのパラメータが指定された。より詳細には、(1)上述した折り曲げ戻しオフセットパラメータ(これは、折り曲げオフセットとともに、折り曲げ戻し運動の水平方向成分を決定する)、および(2)バンプ高さ(これは、折り曲げ係数とともに、戻し運動の垂直方向成分を決定する)である。
【0037】
[045]バンプを過度に平坦化することなく、折り曲げ部を支持するための十分な変形を備える良好な折り曲げ部を形成するために、バンプは、通常、負の値であるべきである(バンプ高さは、分離高さからの垂直方向距離である)。この例においては、バンプ高さは、−1.25ミルであり、分離高さは、1.5ミルである。したがって、キャピラリーの最終的な位置は、約0.25ミルだけバンプ56の上方にある。これは、過不足のないワイヤの平坦化を提供し、バンプを大きく平坦化することなく、折り曲げ部を形成する。この例における折り曲げ戻しオフセットは、0.5ミルであり、これは、折り曲げ戻し運動78の後のキャピラリーの最終的な位置がバンプの中心から0.5ミルだけ水平方向に(第2のボンド60から遠ざかるように)ずらされることを意味する。これらの設定値は、ステッチボンド58のサイトがバンプ56の上面の中心に配置されることを保証する。
【0038】
[046]これらのパラメータを用いたボンディングから得られたワイヤループが、図8に示される。複数の実験サンプルのすべてにおいて、これらのパラメータを用いた平均ループ高さは、2.3ミルであった。最大ループ高さは、2.5ミルであった。
【0039】
[047]本発明のいくつかの特定の実施形態を説明したが、当業者は、様々な変形、変更、および改良を容易に考え出すことができる。本明細書から明らかなそのような変形、変更、および改良は、ここには明示的に述べられてはいないが、本明細書の一部と解釈されるべきであり、本発明の精神および範囲に含められる。したがって、これまでの説明は、ただ単に例にすぎず、また、本発明を限定するものではない。本発明は、特許請求の範囲に定義されるものによってのみ、かつ、それらに同等なものによってのみ、限定される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1B】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1C】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1D】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1E】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1F】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1G】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1H】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1I】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図2A】逆方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図2B】逆方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図2C】逆方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図3】本発明による折り曲げられたワイヤループ配線の正面絵画図である。
【図4】本発明による折り曲げられたバンプを形成する際に含まれる一連のxyz運動の様々な成分を示す正面絵画図である。
【図5A】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5B】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5C】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5D】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5E】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5F】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5G】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5H】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5I】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5J】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5K】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5L】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5M】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5N】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5O】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図6】本発明の特に好ましい例示的な実施形態による折り曲げられたバンプを形成する際に含まれる一連のxyz運動の様々な成分を示す正面絵画図である。
【図7】図6に示される例示的なパラメータを用いて形成されたバンプおよび折り曲げ部の側面図である。
【図8A】図7Aに示されるバンプを形成した後に生成された完成ループの走査電子顕微鏡写真である。
【図8B】図7Aに示されるバンプを形成した後に生成された完成ループの走査電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0041】
11…キャピラリー、13…ボンドパッド、15…ダイ、17…ワイヤ、18…クランプ、21…リードフィンガー、23…テイル。
【発明の分野】
【0001】
[001]本発明は、半導体デバイス上におけるワイヤボンディングに関する。
【発明の背景】
【0002】
[002]ボールボンディングは、半導体ダイ上のボンドパッドを、ダイが取り付けられるリードフレームまたはその他の基板上の接点と相互接続するための一般的な技術である。ダイが樹脂封止された後に、ダイ上の回路をパッケージから延びるリードフレームのピンに電気的に接続するために、典型的には、電気的な配線ワイヤが、ダイの上面のボンドパッドから、リードフレーム上のリードフィンガーまで延びる。ダイのボンドパッドとリードフィンガーとの間のワイヤボンドは、一般的には、ボールボンディングマシンを用いて形成される。図1A〜図1Iは、従来技術によるボールボンディングにおけるステップを示す。従来のルーピング技術(本明細書では、順方向ルーピングと呼ばれる)は、金ワイヤの一端をダイ上のボンドパッドにボールボンディングし、ワイヤの他端をリードフレームにステッチボンディングすることを含む。より詳細には、ボールボンディングマシンを用いて、ワイヤ17は、一組のクランプ18に挿入され、そして、キャピラリー11の中心内腔に挿入される。プロセスの開始時点において、ワイヤ「テイル」23は、図1Aに示すように、キャピラリー11の先端から突き出ている。ワイヤ17の端部におけるテイル23は、電気的フレームオフ(EFO)と呼ばれるEFOワンド24からの電気スパーク16によって加熱される。スパークは、ワイヤの端部を溶かし、そして、その端部は、図1Bに示すように、それが溶けると、ボール19となる。クランプ18は、電流がクランプを介して戻るための経路を提供するために、EFO中には閉じられ、そして、ボール自身がキャピラリーの先端に着座するのを可能にするために開かれる。そして、キャピラリー11は、図1Cに示すように、ダイ15のボンドパッド13の上方における位置まで動かされる。
【0003】
[003]そして、キャピラリー11は、キャピラリーの初期加速中に、クランプ18が開いたままの状態で下方へ動かされ、そして、キャピラリーの減速中に、クランプ18が閉じられ、そのために、キャピラリーの下方への運動中には、ボールは着座したままである。そして、クランプは、ボールがボンドパッド13に接触する直前に開く。ボール19は、図1Dに示すように、クランプ18が開いたままの状態で、ダイ15上のボンドパッド13に接触した状態となる。熱および/または超音波エネルギーが、ダイに加えられ、ボールを、ボンドパッド13にボンディングされた状態にする。このボンディングは、典型的には、ボールボンドまたは第1のボンドと呼ばれる。そして、クランプ18が開いた状態で、キャピラリー11は、図1Eに示すように、引き上げられ、ボールボンドの上面に取り付けられたままのワイヤが、わずかな長さだけ繰り出される。次に、クランプ18が開いた状態で、キャピラリー11は、予め定められたルーピング運動によって動かされ、ワイヤ(これは、ボールボンドに接続されたままである)は、キャピラリー11から一般的にはリードフィンガー21の近傍かつ上方における位置まで引きずられる。キャピラリー11が、リードフィンガー21の上方に配置されると、図1Fに示すように、クランプ18は閉じられる。そして、図1Gに示すように、キャピラリー11が引き下げられ、ワイヤをキャピラリーとリードフィンガー21の表面との間に挟む。この場合にも、ワイヤの挟まれた部分をリードフィンガー21にボンディングするために、熱および/または超音波エネルギーが加えられてもよい。このボンディングは、ステッチボンドまたは第2のボンドと呼ばれる。ここで、図1Hに示すように、クランプ18が、再び、開かれ、そして、キャピラリー11が、ワイヤがステッチボンドに取り付けられたままの状態で引き上げられ、それによって、余分のワイヤ「テイル」23が、キャピラリーから繰り出される。そして、クランプ18が、閉じられ、ステッチボンドロケーションに存在する最も弱い点においてワイヤテイル23を切断するために、キャピラリー11がさらに引き上げられる。完成した接続22は、ワイヤループと呼ばれ、図1Iに示される。
【0004】
[004]この時点において、キャピラリーは、ダイ上の次のボンドパッドのためのワイヤルーピングプロセスを開始するために、ダイ15の次のボンドパッドの近傍に動かされる。先行するワイヤループの形成を終了した後にキャピラリーの先端から突き出たままのワイヤテイル23は、上述したように、EFOによって溶かされ、次のボールボンディング処理を開始するために、次のボールを形成する。上述した従来の順方向ボールボンディング技術は、迅速で、信頼性が高く、かつ、安価である。しかしながら、それは、制限を有する。とりわけ、最小ループ高さは、通常、150ミクロンよりも高い。ループ高さは、ボンディング表面、例えば、ボンドパッドの上面の上方におけるワイヤの最大の高さとして定義される。より低いループ高さを実現することを試みることは、ワイヤループにネックダメージを発生させることがある。ネックは、ボールボンドに直接に隣接するワイヤループの部分である。ループ高さを150ミクロン以下に減少させることは、ネックの強度を減少させあるいはネックを切断する恐れがある。
【0005】
[005]より小さい集積回路パッケージングが、益々、要求されている。集積チップパッケージングの寸法を減少させることの意義のある特徴の1つは、それの厚さまたは高さを減少させることである。より薄いパッケージは、一般的に、当分野では、低プロフィールパッケージと呼ばれる。パッケージの高さを減少させるという要求は、ワイヤループの最も高い点の高さを減少させるという要求に対応し、それは、多くの場合、集積回路パッケージの高さに関する制約要因である。
【0006】
[006]集積回路パッケージングおよびその他の目的に使用されるループの高さを減少させるために、逆方向ルーピングとして既知であるワイヤルーピング技術が開発された。逆方向ルーピングの背後にある前提は、ワイヤループの最も高い点はボールボンドに隣接するので、ルーピングプロセスを逆方向にすることは望ましいことであり、そのために、リードフレームの表面はダイの表面よりも低いので、リードフレーム(または、その他の基板)上に第1のボールボンドを形成し、そして、ダイのボンドパッド上に第2のステッチボンドを形成するということである。したがって、ワイヤループの最も高い点は、より低いボンディング表面の近くに存在し、それによって、全体の高さを減少させる。
【0007】
[007]しかしながら、ルーピングプロセスの方向をただ単に逆にすることは、ステッチボンドはキャピラリーがボンディング表面に接触した状態になることを必要とするので、不可能である。ダイ上のボンドパッドは、通常、極めて小さく、そのために、キャピラリーを接触させずに、したがって、ダイ上の周囲の回路を損傷させずに、ダイのボンドパッド上にステッチボンドを形成することは困難である。さらに、ワイヤループは、ステッチボンドに近いそれらの最も低い点へたるむ傾向がある。したがって、ステッチボンドサイトが、ボールボンドサイトよりも高ければ、ワイヤは、ダイのエッジまたは上面に接触する可能性がある。これは、電気的な短絡またはワイヤの切断をもたらすことがある。
【0008】
[008]そのために、図2A〜図2Cに示されるような逆方向ルーピング技術が開発され、この技術においては、第1のステップは、ボールボンドを形成するための本質的に標準的な技術に基づいてボールボンド25をダイ29上のボンドパッド27の上面に形成することである。しかしながら、従来の順方向ルーピング技術によってボールボンドを形成した後の場合と同じようにワイヤ17を繰り出す代わりに、キャピラリー11は引き上げられ、クランプ18は閉じられ、そして、キャピラリーは、さらに引き上げられ、ワイヤをボールボンドから切り離し、図2Aに示すように、ボンドパッド27上にボールボンド(バンプ)25だけを残す。そして、全部のワイヤルーピングプロセスが、逆方向に、すなわち、基板からボンドパッドまで実行される。すなわち、その後に、第2のボールボンド37が、リードフレーム39上に形成され、そして、キャピラリー11が、一連の運動によって動かされ、第1のボールボンド25の上方に配置され、図2Bに示すように、所望のワイヤループ形状を生成する。そして、ステッチボンド43が、第1のボールボンド(または、バンプ)25の上面に形成される。完成したワイヤループが、図2Cに示される。
【0009】
[009]この逆方向ルーピングプロセスは、低プロフィールパッケージングのための低いループ高さを提供することができる。しかしながら、それは、順方向ルーピングよりも極めて時間のかかるプロセスである。なぜなら、それは、1つのループごとに2つのボールボンドを形成しなければならないからである。さらに、ダイは、より大きな衝撃を受けなければならない。なぜなら、キャピラリーは、1つのワイヤループごとに2回、ダイ上にボンドを形成しなければならないからである(すなわち、1回目は、第1のボールボンドを生成するために、そして、2回目は、ボールボンドの上面にステッチボンドを生成するために)。逆方向ルーピングのもう1つの制約は、それが、しばしば、ダイ上のボンドパッドのピッチがどれほど微細であるかということに関する制約要因であることである。より詳細には、ダイボンドパッドの上面のバンプ25は、ステッチボンドを支持できるほど十分に大きいものでなければならない。さらに、ステッチボンドが、それの上面に形成されるとき、バンプの直径は、横方向に増加する。
【0010】
[010]したがって、本発明の目的は、改善されたワイヤループ形成方法およびその装置を提供することである。
【0011】
[011]本発明の別の目的は、極めて低いループ高さを備えるワイヤループ配線を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
[012]本発明によれば、ボールボンドをダイボンドパッド上に形成することによって、バンプがそのボンドパッド上に形成される。そして、ワイヤを切断せずに、かつ、クランプを開いた状態で、キャピラリーが、調整された一連のxyz運動をなし、ボールボンドの上面においてワイヤを折り曲げる。そして、ワイヤは、テイルを切断することなく、バンプの上面にステッチボンディングされる。調整されたさらなる一連のxyz運動がこれに続き、キャピラリーを第2のボンドサイト(例えば、リードフレームまたはその他の基板)へ動かし、基板上において第2のステッチボンドを実行し、そして、テイルを切断し、プロセスを完了する。
【0013】
[013]上述したワイヤ折り曲げ部を形成するための本発明の特定の一実施形態によれば、ボールボンドが形成され、そして、キャピラリーが、指定された高さ(本明細書では、分離高さと呼ばれる)だけz方向に引き上げられる。そして、キャピラリーは、一般的には第2のボンドロケーションから遠ざかるような方向に指定された距離(本明細書では、折り曲げオフセット距離と呼ばれる)だけ水平方向に(xy平面において)動かされる。キャピラリーは、再度、さらに別の距離(本明細書では、折り曲げ係数と呼ばれる)だけz方向に引き上げられてもよく、あるいは、引き上げられなくてもよい。上述したステッチボンドをバンプの上面に形成するために、xy平面における別の運動がこれに続き、一般的には、キャピラリーをバンプの上面に逆戻りさせる。そして、調整された別のxyz運動がこれに続き、キャピラリーを第2のボンドサイトの(例えば、リードフレーム上の)ロケーションへ動かし、そこで、第2のステッチボンドが形成される。
【発明の詳細な説明】
【0014】
[022]図3は、本発明に基づいて形成された折り曲げられた順方向ワイヤループ45の側面絵画図である。図3は、それの上面にボンドパッド53を含む集積回路ダイ51、およびボンドパッド53とリードフレーム55との間のワイヤループ配線を備えるリードフレーム基板55を示す。ワイヤループ45は、本発明の技術に基づいて形成され、5つの基本的な構成要素を備えると考えることができる。図3を参照すると、それらは、(1)バンプ56、(2)バンプの上面に存在するワイヤ折り曲げ部57、(3)バンプの上面に存在するステッチボンド58、(4)第1のボンドサイトと第2のボンドサイトとを相互接続するワイヤループ59、および(5)第2のステッチボンド60である。
【0015】
[023]上述した5つの基本的な構成要素は、ボールボンディングマシンを用いて形成されてもよい。
【0016】
[024]図5A〜図5Oは、本発明の特定の一実施形態に基づいて折り曲げられた順方向ワイヤループを形成するための例示的なプロセスの様々なステージにおけるボールボンディングマシンのキャピラリーの位置およびワイヤの状態を示す。本明細書において使用される用語において、垂直方向はz方向と呼ばれ、水平方向はxy方向と呼ばれる。本出願における図面は、当然ながら、2次元であり、そのために、すべてのxy運動は、紙面の平面内に存在するように示され、したがって、単純に、1次元の運動として、すなわち、xy運動ではなく、x運動またはy運動であると考えてもよい。しかしながら、現実の世界において、与えられたダイ上のワイヤループは、すべてがお互いに平行であるとは限らないので、ボールボンディングマシンのキャピラリーの運動を制御する機械コードにおいては、すべての横方向の運動は、xy運動として定義されなければならない。したがって、本明細書においては、同じ用語が、使用される。さらに、垂直という用語および水平という用語は、ダイの上面が水平に配置されるという仮定に基づいた単なる例示的なものであり、その仮定は、典型的なものではあるが、常に当然な仮定であるとは限らない。
【0017】
[025]図5Aに示すように、折り曲げられた順方向ループを形成するプロセスは、先行するルーピングプロセスの終了時点におけるキャピラリー11から開始し、ワイヤテイル23が、キャピラリーから延び、かつ、クランプ18は閉じられている。キャピラリーは、ダイ63のボンドパッド61および関連するリードフィンガー65の近傍に配置され、それらのボンドパッド61とリードフィンガー65との間に、次のワイヤループ配線が、形成されることになる。
【0018】
[026]ワイヤは、電気的フレームオフ67によって溶かされ、ワイヤの端部が溶かされる。溶けるとき、それは、その性質上、図5Bに示すように、ボール72を形成する。図5Cに示すように、キャピラリーが引き下げられ、ボンドパッド61に向かって動かされる。そして、キャピラリーは引き下げられ、ボール72をボンドパッド61に接触させる。熱および/または超音波エネルギーが加えられ、ボールをボンドパッドにボンディングする。図5Dは、この時点におけるプロセスを示し、これは、本質的には、折り曲げられた順方向のワイヤループの第1の部分、すなわち、バンプ56を形成することの終了時点である。
【0019】
[027]次に、バンプ56の上面から延びるワイヤを所定の長さだけ繰り出すために、キャピラリー11が、クランプ18が開いた状態で上昇する。この上昇の距離は、本明細書では、分離高さと呼ばれ、図4において、符号75で示される。図5Eは、このステップの後のキャピラリーの位置を示す。そして、キャピラリー11は、xy平面において、第2のボンドサイト65への方向とは一般的に反対の第1の方向に移動する(図5A〜図5Cにおいて、左へ)。好ましくは、折り曲げオフセットの方向は、第2のボンドサイト65へのxy方向とは正反対である。このxy運動の距離は、本明細書では、折り曲げオフセットと呼ばれ、図4において、符号76で示される。折り曲げオフセット運動の後のキャピラリーの位置が、図5Fに示される。
【0020】
[028]本発明の実施形態の中には、折り曲げオフセット運動の終了時点において、キャピラリー11が、再度、わずかな距離(本明細書では、折り曲げ係数と呼ばれる)だけ引き上げられ(正のz方向へ)、ワイヤをさらに繰り出すものもある。折り曲げ係数は、図4において、符号77で示される。しかしながら、本発明の用途によっては、ゼロの折り曲げ係数が、適切であるものもある。図5Gは、プロセスのこの時点におけるキャピラリーおよびワイヤの位置を示す。折り曲げオフセットおよび折り曲げ係数は、ワイヤ折り曲げ部におけるワイヤの量を制御する。
【0021】
[029]そして、キャピラリー11は、バンプ56に向かって逆方向に動かされ、バンプ56自身の上面にワイヤを折り返し、バンプの上面にワイヤ折り曲げ部を形成することを開始する。図5Hは、キャピラリーが折り曲げ部を形成するために移動しているときのキャピラリー11の位置およびワイヤの状態を示す。この最後に述べた運動は、図4において符号78で示されるように、本明細書では、折り曲げ戻し運動と呼ばれる。好ましくは、折り曲げ戻し運動は、折り曲げオフセット運動のxy方向とは正反対のxy方向である。折り曲げ係数77がゼロである実施形態においては、折り曲げ戻し運動は、好ましくは、完全に水平な運動(すなわち、xy運動)である。折り曲げ係数77が、ゼロでなければ、折り曲げ戻し運動78は、ボールボンディング中にキャピラリーが存在していたときと同じ高さにまでキャピラリーを戻すために、負のz成分を含んでもよい。いずれの場合にも、折り曲げ戻し運動の終了時点において、キャピラリーを分離高さにまで戻す。しかしながら、これは、必要条件ではない。実際には、本発明の少なくともいくつかの好ましい実施形態においては、以下でさらに説明するように、キャピラリーは、分離高さよりも低い高さに戻る。実際には、折り曲げ戻し運動78は、折り曲げ係数77がたとえゼロであっても、正の(上方への)または負の(下方への)z成分を含んでもよい。重要な特徴は、ワイヤ折り曲げ部が、バンプ56の上面に形成され、好ましくは、第2のボンドサイト65から遠ざかる方向へまっすぐに延びることである。分離高さと折り曲げ戻し運動78の終了時点におけるキャピラリーの位置との差は、本明細書では、バンプ高さと呼ばれる。それは、正の値であってもよく、あるいは、負の値であってもよい。しかしながら、上述したように、本発明の実施形態によっては、分離高さに到達することとワイヤ折り曲げ部の完成および/または折り曲げ係数との間にキャピラリーのz運動が存在しないものもあり、折り曲げ戻し運動のz成分は、正確に等しくかつ反対方向であり、そのために、バンプ高さは、ゼロとなる。
【0022】
[030]さらに、折り曲げ戻し運動78の水平成分は、折り曲げオフセット運動と同じ距離でなくてもよい。特定の用途によっては、折り曲げオフセット運動の前のキャピラリーの元々のxy座標よりも短い位置(図4において経路78aによって示されるように)、その元々のxy座標と正確に同じの位置(図4において経路78bによって示されるように)、あるいは、その元々のxy座標よりも長い位置(図4において経路78cによって示されるように)においてステッチボンドを実行するために、ある特定の位置に戻ることが望ましい。
【0023】
[031]バンプが形成されたときのキャピラリーのxy位置とこの時点におけるキャピラリーのxy座標との水平方向における差は、折り曲げ戻しオフセットと呼ばれる。換言すれば、折り曲げ戻しオフセットは、折り曲げオフセット運動と折り曲げ戻し運動の水平方向成分とのxy次元における差である。折り曲げ戻し運動78のxy成分が、折り曲げオフセット運動76よりも小さければ、折り曲げ戻しオフセットは、正の値として表現される。折り曲げ戻し運動78の水平方向成分が、折り曲げオフセット運動76よりも長ければ、折り曲げ戻しオフセットは、負の値として表現される。折り曲げオフセット運動76と折り曲げ戻し運動78とが、同じxy(すなわち、水平方向)の量を有するならば、折り曲げ戻しオフセットはゼロである。
【0024】
[032]折り曲げ戻し運動の終了時点において、キャピラリーは、図5Iに示すように、バンプ56の上面に接触しており、かつ、キャピラリー11の先端とバンプとの間にワイヤを挟んでいる。この時点において、ワイヤは、挟まれてはいるが、切断されてはいない。また、この時点において、折り曲げられた順方向ワイヤループ全体の上述した5つの部分の中の2番目(すなわち、折り曲げ部57)が完成する。プロセスの開始時点から、ワイヤは、切断されておらず、したがって、折り曲げ部57は、バンプ56と接続している。
【0025】
[033]そして、ワイヤは、バンプ56の上面にステッチボンディングされる。ワイヤの押しつけられた部分をバンプ56の上面にボンディングするのを助けるために、熱および/または超音波エネルギーが加えられてもよい。この時点において、ループ全体の上述した5つの部分の中の3番目(すなわち、第1のステッチボンド58)が、完成する。図5Jは、この時点におけるプロセスを示し、これは、本質的には、図5Iに示される位置と同じである。なぜなら、キャピラリーは、典型的には、ステッチボンディング中に移動しないからである。
【0026】
[034]ここで、キャピラリーは、所望のワイヤループ形状(ループ全体の第4の部分)を形成しかつキャピラリーを第2のボンドサイト65の上方に配置するために、一連の調整されたxyz運動によって、第2のボンドサイトに近づくように動かされる。図5Kおよび図5Lは、第2のボンドサイト65までの例示的な軌跡に沿った2つの点におけるキャピラリー11の位置を示す。
【0027】
[035]調整されたxyz運動は、第2のボンドサイトに近づくような直線のxy運動からなる比較的に単純なものであってもよい。しかしながら、典型的には、最も好ましい形状になるようにワイヤループを形成するのを助けるz方向への運動が存在する。プロセスの開始時点から、ワイヤは、まだ、切断されていないので、ワイヤループ59は、第1のボンドサイトにおいて、バンプ56、折り曲げ部57、およびステッチボンド58と接続している。
【0028】
[036]次に、キャピラリーが引き下げられ、第2のボンド表面65とキャピラリー11の先端との間にワイヤを挟み、そして、ワイヤが、第2のボンドサイトにステッチボンディングされる。ボンディングを助けるために、熱および/または超音波エネルギーが、加えられてもよい。この時点において、ワイヤは、図5Mに示すように、挟まれてはいるが、完全には切断されていない。そして、キャピラリー11が、クランプ18が依然として開いた状態で、かつ、ワイヤが依然として第2のステッチボンド60に取り付けられた状態で引き上げられ、それによって、ワイヤテイル69が、キャピラリー11から繰り出される。図5Nは、プロセスのこの時点におけるキャピラリーの位置を示す。そして、図5Oに示すように、第2のステッチボンド60においてワイヤを切断するために、クランプ18が閉じられ、キャピラリー11がさらに引き上げられる。ここで、折り曲げられた順方向ワイヤループ全体の中の第5の部分、すなわち、第2のステッチボンド60が完成し、折り曲げ順方向ルーピングプロセス全体が完了する。
【0029】
[037]バンプ56の主たる目的は、キャピラリーがボンドパッドに直接に接触するのを防止することであり、かつ、ワイヤが第1のボンドサイトから引き出される高さ(z方向)を高くすることである。より詳細には、ワイヤは、バンプの上面からワイヤループが開始することによって提供されるダイ表面の上方の余分な高さがもしなければ、ワイヤループ59が第1のボンドサイトと第2のボンドサイトとの中間に存在するダイ表面にあるいは接触する可能性のある低い位置において第1のボンドサイトから引き出される。
【0030】
[038]折り曲げ部57をバンプの上面に形成することの主たる目的は、ワイヤが、第1のボンドサイトから一般的には水平方向に引き出され、第2のボンドサイトに向けて延ばされ、それによって、低いループ高さをもたらすことである。折り曲げ部は、一般的には、形状が楕円形であり、その楕円形の長軸は、xy平面に存在し、ワイヤは、折り曲げ部の端部を水平方向に引き出され、そして、一般的には、第2のボンドサイトに向けて直接に延ばされる。このような方向を有する配置は、従来の順方向ワイヤループにおいてワイヤが第1のボンドサイトから引き出されるときに一般的にはまっすぐに上方向へ配置されるワイヤと対照されるべきである。このように、本発明のルーピング技術は、極めて低いループ高さを提供する。なぜなら、ワイヤは、ボールボンドサイトから引き出され、垂直に上方向にではなく水平方向に延ばされるからである。
【0031】
[039]さらに、ダイに与える衝撃は、従来の逆方向ボールボンディングと比較すれば減少する。なぜなら、それは、逆方向ルーピングの場合のように、通常の第2のボンドをバンプの上面において実行しないからである。逆方向ボンディングの場合における図7Bに類似する通常のステッチボンドと比較すれば、図7Aに示すように、ワイヤは、ほんのわずかに押しつけられ、ループおよびボールの上面のステッチボンドを形成する。
【0032】
[040]さらに、本発明によれば、逆方向ボールボンディングと比較して、より微細なピッチを実現することができる。なぜなら、バンプは、逆方向ワイヤルーピング技術の場合と同じほどには、押しつけられず、そして、横方向に押しつぶされないからである。
【0033】
[041]ワイヤボンディングマシンは、本明細書で説明されたプロセスをマシンに実行させることのできる制御回路を備える運動制御システムによって制御される。一般的には、回路は、プログラムされた汎用コンピュータのようなディジタル処理装置、ディジタル信号プロセッサー、ステートマシン、組み合わせ論理回路、マイクロプロセッサー、特定用途向け集積回路、または、その他の何らかの既知であるディジタル処理手段を備える。回路が、コンピュータを備える場合、本発明は、限定はされないが、その大部分が、本明細書で説明されたプロセスを実行するようにワイヤボンディングマシンを制御するためにコンピュータをプログラムするソフトウェア内に存在してもよい。
【0034】
[042]図4を参照して説明された様々な運動成分を最適化することによって、低いループ高さを備えかつネックダメージのない所望の形状を達成することができる。一例として、図6は、図7に示される折り曲げ部を形成しその後に図8Aおよび図8Bに示されるループプロフィールを形成するのに使用された例示的なパラメータを示す。最初の3つの運動(分離高さ75、折り曲げオフセット76、および折り曲げ係数77)は、折り曲げ部におけるワイヤの量および折り曲げ部の形状を集合的に決定する。これらの運動が、大きすぎる場合、所望の折り曲げ部よりも大きな折り曲げ部が形成される可能性がある。これらの運動が、小さすぎる場合、折り曲げ部は、まったく形成されない可能性があり、ワイヤのネック領域が損傷を受ける可能性がある。
【0035】
[043]本発明者らは、実験によって、ワイヤ直径よりもわずかに大きい分離高さおよび折り曲げオフセット(例えば、ワイヤ直径の約1.01倍〜約1.55倍)は優れた結果を達成できることを見出している。さらに、折り曲げ係数は、正の値であるべきである。図7の例においては、1ミルのワイヤ直径の場合、分離高さ75は、1.5ミルであり、折り曲げオフセット76は、1.3ミルであり、そして、折り曲げ係数77は1ミルである。これらの設定値は、適切な量のワイヤを繰り出し、折り曲げ戻し運動78が開始する前に、垂直線から約30°だけワイヤを曲げる。
【0036】
[044]折り曲げ戻し運動78は、バンプの最終的な形状を決定する。本発明者らが使用した特定のマシンにおいては、折り曲げ戻し運動78は、2つのパラメータが指定された。より詳細には、(1)上述した折り曲げ戻しオフセットパラメータ(これは、折り曲げオフセットとともに、折り曲げ戻し運動の水平方向成分を決定する)、および(2)バンプ高さ(これは、折り曲げ係数とともに、戻し運動の垂直方向成分を決定する)である。
【0037】
[045]バンプを過度に平坦化することなく、折り曲げ部を支持するための十分な変形を備える良好な折り曲げ部を形成するために、バンプは、通常、負の値であるべきである(バンプ高さは、分離高さからの垂直方向距離である)。この例においては、バンプ高さは、−1.25ミルであり、分離高さは、1.5ミルである。したがって、キャピラリーの最終的な位置は、約0.25ミルだけバンプ56の上方にある。これは、過不足のないワイヤの平坦化を提供し、バンプを大きく平坦化することなく、折り曲げ部を形成する。この例における折り曲げ戻しオフセットは、0.5ミルであり、これは、折り曲げ戻し運動78の後のキャピラリーの最終的な位置がバンプの中心から0.5ミルだけ水平方向に(第2のボンド60から遠ざかるように)ずらされることを意味する。これらの設定値は、ステッチボンド58のサイトがバンプ56の上面の中心に配置されることを保証する。
【0038】
[046]これらのパラメータを用いたボンディングから得られたワイヤループが、図8に示される。複数の実験サンプルのすべてにおいて、これらのパラメータを用いた平均ループ高さは、2.3ミルであった。最大ループ高さは、2.5ミルであった。
【0039】
[047]本発明のいくつかの特定の実施形態を説明したが、当業者は、様々な変形、変更、および改良を容易に考え出すことができる。本明細書から明らかなそのような変形、変更、および改良は、ここには明示的に述べられてはいないが、本明細書の一部と解釈されるべきであり、本発明の精神および範囲に含められる。したがって、これまでの説明は、ただ単に例にすぎず、また、本発明を限定するものではない。本発明は、特許請求の範囲に定義されるものによってのみ、かつ、それらに同等なものによってのみ、限定される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1B】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1C】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1D】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1E】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1F】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1G】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1H】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図1I】従来の順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図2A】逆方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図2B】逆方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図2C】逆方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図3】本発明による折り曲げられたワイヤループ配線の正面絵画図である。
【図4】本発明による折り曲げられたバンプを形成する際に含まれる一連のxyz運動の様々な成分を示す正面絵画図である。
【図5A】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5B】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5C】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5D】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5E】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5F】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5G】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5H】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5I】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5J】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5K】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5L】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5M】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5N】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図5O】本発明による折り曲げ順方向ルーピング処理のステップを示す正面図である。
【図6】本発明の特に好ましい例示的な実施形態による折り曲げられたバンプを形成する際に含まれる一連のxyz運動の様々な成分を示す正面絵画図である。
【図7】図6に示される例示的なパラメータを用いて形成されたバンプおよび折り曲げ部の側面図である。
【図8A】図7Aに示されるバンプを形成した後に生成された完成ループの走査電子顕微鏡写真である。
【図8B】図7Aに示されるバンプを形成した後に生成された完成ループの走査電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0041】
11…キャピラリー、13…ボンドパッド、15…ダイ、17…ワイヤ、18…クランプ、21…リードフィンガー、23…テイル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のボンドサイトと第2のボンドサイトとの間のワイヤループ相互コネクタを形成する方法であって、
ワイヤを前記第1のボンドロケーションにボールボンディングし、前記第1のボンドロケーション上にバンプを形成するステップ(1)と、
ワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面に形成するステップ(2)であって、前記ワイヤの折り曲げ部が、前記ボールボンドに接続されている、形成するステップ(2)と、
前記ワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面にステッチボンディングするステップ(3)と、
前記ワイヤ折り曲げ部と前記第2のボンドサイトとの間にワイヤループを連続的に形成するステップ(4)と、
前記第2のボンドサイトにおいて、前記ワイヤをステッチボンディングし、前記ワイヤループを終端するステップ(5)と、
を備える方法。
【請求項2】
前記ワイヤの折り曲げ部が、水平方向に延びる長軸を有するほぼ楕円形である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワイヤの折り曲げ部が、第1のボンドサイトから第2のボンドサイトへの方向と実質的に反対の方向へ延びる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ワイヤループが、ボールボンドの上面から実質的に水平方向に引き出される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ワイヤループが、少なくともキャピラリーを備えるボールボンディングマシンによって形成され、
ステップ(2)が、
キャピラリーをボールボンドの上方へ垂直方向に引き上げるステップ(2.1)と、
キャピラリーを前記第2のボンドサイトから遠ざかるように水平方向に動かすステップ(2.2)と、
キャピラリーを前記第2のボンドサイトに向かって戻るような方向へ水平方向に動かすステップ(2.3)と、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(2)が、
ステップ(2.2)とステップ(2.3)との間において、キャピラリーを引き上げるステップ(2.4)、
をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(2.3)が、前記キャピラリーを下方向へ動かすことを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(2.3)が、ステップ(2.2)において移動した水平方向距離よりも小さい距離だけキャピラリーを水平方向に動かすことを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のボンドサイトが、前記第2のボンドサイトよりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のボンドサイトが、半導体ダイ上に存在し、前記第2のボンドサイトが、前記半導体ダイを保持する基板上に存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(2.1)が、前記ワイヤの直径よりもわずかに大きい距離だけキャピラリーを引き上げることを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(2.1)における前記距離が、前記ワイヤの前記直径の約1.5倍である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(2.2)が、前記ワイヤの直径よりもわずかに大きい距離だけキャピラリーを動かすことを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(2.2)における前記距離が、前記ワイヤの前記直径の約1.3倍である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(2.4)が、前記ワイヤの直径にほぼ等しい垂直方向距離だけキャピラリーを引き上げることを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(2.1)、ステップ(2.4)、およびステップ(2.2)における距離が、お互いに関連して、かつ、前記ワイヤの直径に関連して選択され、それによって、ステップ(2.2)の終了時点において、前記ワイヤが、垂直線から約30°の角度で前記バンプから延びる、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(2.3)が、ステップ(2.4)における前記移動の距離よりも大きい垂直方向距離だけ前記キャピラリーを引き下げることを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
第1のボンドサイトと第2のボンドサイトとの間のワイヤループ相互コネクタであって、
(1)前記第1のボンドロケーションにおけるボールボンドと、
(2)前記ボールボンドに接続するワイヤを備える前記ボールボンドの上面に存在するワイヤの折り曲げ部であって、前記ワイヤの折り曲げ部が、前記ボールボンドの上面にステッチボンディングされた、ワイヤ折り曲げ部と、
(3)前記ワイヤ折り曲げ部と前記第2のボンドサイトとの間に存在するワイヤループであって、前記ワイヤループが、前記ワイヤ折り曲げ部に接続するワイヤを備える、ワイヤループと、
(4)前記ワイヤループを終端する前記第2のボンドサイトにおけるステッチボンドと、
を備えるワイヤループ相互コネクタ。
【請求項19】
前記ワイヤの折り曲げ部が、水平方向に延びる長軸を有するほぼ楕円形である、請求項18に記載のワイヤループ。
【請求項20】
前記ワイヤの折り曲げ部が、第1のボンドサイトから第2のボンドサイトへの方向と実質的に反対の方向に水平方向に延びる、請求項19に記載のワイヤループ。
【請求項21】
ワイヤループが、ボールボンドの上面から実質的に水平方向に引き出される、請求項20に記載のワイヤループ。
【請求項22】
前記第1のボンドサイトが、前記第2のボンドサイトよりも高い請求項18に記載のワイヤループ。
【請求項23】
前記第1のボンドサイトが、半導体ダイ上に存在し、前記第2のボンドサイトが、前記半導体ダイを保持する基板上に存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
半導体を電気的に相互接続するためのワイヤループを形成する方法であって、
ワイヤとともにキャピラリーを有するワイヤボンディングマシンを用いて、ボールボンドを第1のボンドロケーションに形成するステップ(1)と、
前記キャピラリーを第1の高さまで引き上げ、それによって、前記ボールボンドに取り付けられたワイヤが、前記キャピラリーから繰り出されるステップ(2)と、
前記キャピラリーを第1の距離だけ第1の方向に水平方向に動かすステップ(3)と、
前記キャピラリーを前記第1の水平方向とは実質的に反対の第2の水平方向に動かすステップ(4)と、
第1のステッチボンドを前記ボールボンドの上面に形成するステップ(5)と、
前記第1のボンドサイトから所定の距離だけ離れた第2のボンドサイトまで前記キャピラリーを動かすステップ(6)と、
第2のステッチボンドを前記第2のボンドサイトに形成するステップ(7)と、
前記第2のボンドサイトに隣接する前記ワイヤを切断するステップ(8)と、
を備える方法。
【請求項25】
前記ワイヤループが、少なくともキャピラリーを備えるボールボンディングマシンによって形成され、前記第1の方向が、前記第2のボンドサイトから実質的に遠ざかるものであり、前記第2の方向が、前記第2のボンドサイトに実質的に近づくものである、請求項26に記載の方法。
【請求項26】
ワイヤボンディングマシンであって、
キャピラリーと、
前記キャピラリーの内腔を介してワイヤを供給するためのワイヤ送り出しシステムと、
前記キャピラリーの運動を制御するための運動制御システムと
を備え、
前記運動制御システムが、
(1)ボールボンドを第1のボンドロケーションに形成し、
(2)前記ボールボンドに接続するワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面に形成し、
(3)前記ワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面にステッチボンディングし、
(4)前記ワイヤ折り曲げ部と第2のボンドサイトとの間にワイヤループを連続的に形成し、
(5)ステッチボンドを前記第2のボンドサイトに形成して前記ワイヤループを終端するための、
回路を含む、ワイヤボンディングマシン。
【請求項27】
タスク(2)を実行するための前記回路が、前記ワイヤの折り曲げ部が第1のボンドサイトから第2のボンドサイトへの方向とは実質的に反対の水平方向に延びるように前記ワイヤの折り曲げ部を形成するための回路を備える、請求項26に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項28】
タスク(3)を実行するための前記回路が、ワイヤループをボールボンドの上面から実質的に水平方向に引き出す、請求項27に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項29】
タスク(2)を実行するための前記回路が、
(2.1)キャピラリーをボールボンドの上方に垂直方向に引き上げ、
(2.2)キャピラリーを前記第2のボンドサイトから遠ざかるように水平方向に動かし、
(2.3)前記第1のボンドサイトに向かって戻るような方向へ水平方向にキャピラリーを動かすための、
回路を備える、請求項27に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項30】
タスク(2.3)を実行するための前記回路が、キャピラリーをステップ(2.2)において移動した水平方向距離よりも小さい距離だけ水平方向に動かすための回路を備える、請求項29に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項31】
前記回路が、ディジタル処理装置を備える、請求項30に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項32】
前記ディジタル処理装置が、コンピュータソフトウェアを実行するコンピュータを備える、請求項30に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項33】
キャピラリーを備えるワイヤボンディングマシンを制御するためのコンピュータ可読プロダクトであって、
前記コンピュータ可読プロダクトが、
(1)ボールボンドを前記第1のボンドロケーションに形成し、
(2)前記ボールボンドに接続するワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面に形成し、
(3)前記ワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面にステッチボンディングおよびテイルボンディングし、
(4)前記ワイヤ折り曲げ部と前記第2のボンドサイトとの間にワイヤループを連続的に形成し、
(5)ステッチボンドを前記第2のボンドサイトに形成して前記ワイヤループを終端するための、
コンピュータ実行可能命令を備える、コンピュータ可読プロダクト。
【請求項34】
前記ワイヤの折り曲げ部を形成するための前記コンピュータ実行可能命令が、前記ワイヤの折り曲げ部を水平方向に延びる長軸を備えるほぼ楕円形にする、請求項33に記載のコンピュータ可読プロダクト。
【請求項35】
前記ワイヤの折り曲げ部を形成するための前記コンピュータ実行可能命令が、第1のボンドサイトから第2のボンドサイトへの方向とは実質的に反対の方向へ水平方向に前記ワイヤの折り曲げ部を延ばす、請求項34に記載のコンピュータ可読プロダクト。
【請求項36】
前記ステッチボンドを形成するための前記コンピュータ実行可能命令が、前記ワイヤループがボールボンドの上面から実質的に水平方向に引き出されるように前記ステッチボンドを形成する、請求項35に記載のコンピュータ可読プロダクト。
【請求項37】
前記ワイヤ折り曲げ部を形成するための前記コンピュータ実行可能命令が、
(2.1)キャピラリーをボールボンドの上方に垂直方向に引き上げ、
(2.2)キャピラリーを前記第2のボンドサイトから遠ざかるように水平方向に動かし、
(2.3)前記第1のボンドサイトに向かって戻るような方向へ水平方向にキャピラリーを動かすための、
コンピュータ実行可能命令を備える、請求項36に記載のコンピュータ可読プロダクト。
【請求項1】
第1のボンドサイトと第2のボンドサイトとの間のワイヤループ相互コネクタを形成する方法であって、
ワイヤを前記第1のボンドロケーションにボールボンディングし、前記第1のボンドロケーション上にバンプを形成するステップ(1)と、
ワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面に形成するステップ(2)であって、前記ワイヤの折り曲げ部が、前記ボールボンドに接続されている、形成するステップ(2)と、
前記ワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面にステッチボンディングするステップ(3)と、
前記ワイヤ折り曲げ部と前記第2のボンドサイトとの間にワイヤループを連続的に形成するステップ(4)と、
前記第2のボンドサイトにおいて、前記ワイヤをステッチボンディングし、前記ワイヤループを終端するステップ(5)と、
を備える方法。
【請求項2】
前記ワイヤの折り曲げ部が、水平方向に延びる長軸を有するほぼ楕円形である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワイヤの折り曲げ部が、第1のボンドサイトから第2のボンドサイトへの方向と実質的に反対の方向へ延びる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ワイヤループが、ボールボンドの上面から実質的に水平方向に引き出される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ワイヤループが、少なくともキャピラリーを備えるボールボンディングマシンによって形成され、
ステップ(2)が、
キャピラリーをボールボンドの上方へ垂直方向に引き上げるステップ(2.1)と、
キャピラリーを前記第2のボンドサイトから遠ざかるように水平方向に動かすステップ(2.2)と、
キャピラリーを前記第2のボンドサイトに向かって戻るような方向へ水平方向に動かすステップ(2.3)と、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(2)が、
ステップ(2.2)とステップ(2.3)との間において、キャピラリーを引き上げるステップ(2.4)、
をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(2.3)が、前記キャピラリーを下方向へ動かすことを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(2.3)が、ステップ(2.2)において移動した水平方向距離よりも小さい距離だけキャピラリーを水平方向に動かすことを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のボンドサイトが、前記第2のボンドサイトよりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のボンドサイトが、半導体ダイ上に存在し、前記第2のボンドサイトが、前記半導体ダイを保持する基板上に存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(2.1)が、前記ワイヤの直径よりもわずかに大きい距離だけキャピラリーを引き上げることを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(2.1)における前記距離が、前記ワイヤの前記直径の約1.5倍である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(2.2)が、前記ワイヤの直径よりもわずかに大きい距離だけキャピラリーを動かすことを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(2.2)における前記距離が、前記ワイヤの前記直径の約1.3倍である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(2.4)が、前記ワイヤの直径にほぼ等しい垂直方向距離だけキャピラリーを引き上げることを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(2.1)、ステップ(2.4)、およびステップ(2.2)における距離が、お互いに関連して、かつ、前記ワイヤの直径に関連して選択され、それによって、ステップ(2.2)の終了時点において、前記ワイヤが、垂直線から約30°の角度で前記バンプから延びる、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(2.3)が、ステップ(2.4)における前記移動の距離よりも大きい垂直方向距離だけ前記キャピラリーを引き下げることを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
第1のボンドサイトと第2のボンドサイトとの間のワイヤループ相互コネクタであって、
(1)前記第1のボンドロケーションにおけるボールボンドと、
(2)前記ボールボンドに接続するワイヤを備える前記ボールボンドの上面に存在するワイヤの折り曲げ部であって、前記ワイヤの折り曲げ部が、前記ボールボンドの上面にステッチボンディングされた、ワイヤ折り曲げ部と、
(3)前記ワイヤ折り曲げ部と前記第2のボンドサイトとの間に存在するワイヤループであって、前記ワイヤループが、前記ワイヤ折り曲げ部に接続するワイヤを備える、ワイヤループと、
(4)前記ワイヤループを終端する前記第2のボンドサイトにおけるステッチボンドと、
を備えるワイヤループ相互コネクタ。
【請求項19】
前記ワイヤの折り曲げ部が、水平方向に延びる長軸を有するほぼ楕円形である、請求項18に記載のワイヤループ。
【請求項20】
前記ワイヤの折り曲げ部が、第1のボンドサイトから第2のボンドサイトへの方向と実質的に反対の方向に水平方向に延びる、請求項19に記載のワイヤループ。
【請求項21】
ワイヤループが、ボールボンドの上面から実質的に水平方向に引き出される、請求項20に記載のワイヤループ。
【請求項22】
前記第1のボンドサイトが、前記第2のボンドサイトよりも高い請求項18に記載のワイヤループ。
【請求項23】
前記第1のボンドサイトが、半導体ダイ上に存在し、前記第2のボンドサイトが、前記半導体ダイを保持する基板上に存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
半導体を電気的に相互接続するためのワイヤループを形成する方法であって、
ワイヤとともにキャピラリーを有するワイヤボンディングマシンを用いて、ボールボンドを第1のボンドロケーションに形成するステップ(1)と、
前記キャピラリーを第1の高さまで引き上げ、それによって、前記ボールボンドに取り付けられたワイヤが、前記キャピラリーから繰り出されるステップ(2)と、
前記キャピラリーを第1の距離だけ第1の方向に水平方向に動かすステップ(3)と、
前記キャピラリーを前記第1の水平方向とは実質的に反対の第2の水平方向に動かすステップ(4)と、
第1のステッチボンドを前記ボールボンドの上面に形成するステップ(5)と、
前記第1のボンドサイトから所定の距離だけ離れた第2のボンドサイトまで前記キャピラリーを動かすステップ(6)と、
第2のステッチボンドを前記第2のボンドサイトに形成するステップ(7)と、
前記第2のボンドサイトに隣接する前記ワイヤを切断するステップ(8)と、
を備える方法。
【請求項25】
前記ワイヤループが、少なくともキャピラリーを備えるボールボンディングマシンによって形成され、前記第1の方向が、前記第2のボンドサイトから実質的に遠ざかるものであり、前記第2の方向が、前記第2のボンドサイトに実質的に近づくものである、請求項26に記載の方法。
【請求項26】
ワイヤボンディングマシンであって、
キャピラリーと、
前記キャピラリーの内腔を介してワイヤを供給するためのワイヤ送り出しシステムと、
前記キャピラリーの運動を制御するための運動制御システムと
を備え、
前記運動制御システムが、
(1)ボールボンドを第1のボンドロケーションに形成し、
(2)前記ボールボンドに接続するワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面に形成し、
(3)前記ワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面にステッチボンディングし、
(4)前記ワイヤ折り曲げ部と第2のボンドサイトとの間にワイヤループを連続的に形成し、
(5)ステッチボンドを前記第2のボンドサイトに形成して前記ワイヤループを終端するための、
回路を含む、ワイヤボンディングマシン。
【請求項27】
タスク(2)を実行するための前記回路が、前記ワイヤの折り曲げ部が第1のボンドサイトから第2のボンドサイトへの方向とは実質的に反対の水平方向に延びるように前記ワイヤの折り曲げ部を形成するための回路を備える、請求項26に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項28】
タスク(3)を実行するための前記回路が、ワイヤループをボールボンドの上面から実質的に水平方向に引き出す、請求項27に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項29】
タスク(2)を実行するための前記回路が、
(2.1)キャピラリーをボールボンドの上方に垂直方向に引き上げ、
(2.2)キャピラリーを前記第2のボンドサイトから遠ざかるように水平方向に動かし、
(2.3)前記第1のボンドサイトに向かって戻るような方向へ水平方向にキャピラリーを動かすための、
回路を備える、請求項27に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項30】
タスク(2.3)を実行するための前記回路が、キャピラリーをステップ(2.2)において移動した水平方向距離よりも小さい距離だけ水平方向に動かすための回路を備える、請求項29に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項31】
前記回路が、ディジタル処理装置を備える、請求項30に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項32】
前記ディジタル処理装置が、コンピュータソフトウェアを実行するコンピュータを備える、請求項30に記載のワイヤボンディングマシン。
【請求項33】
キャピラリーを備えるワイヤボンディングマシンを制御するためのコンピュータ可読プロダクトであって、
前記コンピュータ可読プロダクトが、
(1)ボールボンドを前記第1のボンドロケーションに形成し、
(2)前記ボールボンドに接続するワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面に形成し、
(3)前記ワイヤの折り曲げ部を前記ボールボンドの上面にステッチボンディングおよびテイルボンディングし、
(4)前記ワイヤ折り曲げ部と前記第2のボンドサイトとの間にワイヤループを連続的に形成し、
(5)ステッチボンドを前記第2のボンドサイトに形成して前記ワイヤループを終端するための、
コンピュータ実行可能命令を備える、コンピュータ可読プロダクト。
【請求項34】
前記ワイヤの折り曲げ部を形成するための前記コンピュータ実行可能命令が、前記ワイヤの折り曲げ部を水平方向に延びる長軸を備えるほぼ楕円形にする、請求項33に記載のコンピュータ可読プロダクト。
【請求項35】
前記ワイヤの折り曲げ部を形成するための前記コンピュータ実行可能命令が、第1のボンドサイトから第2のボンドサイトへの方向とは実質的に反対の方向へ水平方向に前記ワイヤの折り曲げ部を延ばす、請求項34に記載のコンピュータ可読プロダクト。
【請求項36】
前記ステッチボンドを形成するための前記コンピュータ実行可能命令が、前記ワイヤループがボールボンドの上面から実質的に水平方向に引き出されるように前記ステッチボンドを形成する、請求項35に記載のコンピュータ可読プロダクト。
【請求項37】
前記ワイヤ折り曲げ部を形成するための前記コンピュータ実行可能命令が、
(2.1)キャピラリーをボールボンドの上方に垂直方向に引き上げ、
(2.2)キャピラリーを前記第2のボンドサイトから遠ざかるように水平方向に動かし、
(2.3)前記第1のボンドサイトに向かって戻るような方向へ水平方向にキャピラリーを動かすための、
コンピュータ実行可能命令を備える、請求項36に記載のコンピュータ可読プロダクト。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図5M】
【図5N】
【図5O】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図5M】
【図5N】
【図5O】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2007−512714(P2007−512714A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541443(P2006−541443)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039676
【国際公開番号】WO2005/055282
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506214895)キューリック アンド ソファ インダストリーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039676
【国際公開番号】WO2005/055282
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506214895)キューリック アンド ソファ インダストリーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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