説明

低い凝固点を有するヒドロゲル

本発明は低い凝固点を有するヒドロゲルに関する。前記ヒドロゲルは、少なくとも1種の吸水性ポリマー、少なくとも1種の非水性溶剤および水を含有する。本発明は更に前記ヒドロゲルの製造方法および冷却部品へのヒドロゲルの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低い凝固点を有するヒドロゲル、その製造方法および冷却剤へのヒドロゲルの使用に関する。
【0002】
本発明の他の構成は請求の範囲、発明の詳細な説明および実施例から理解できる。これ以前に確認され、これ以後になおより詳しく記載される本発明の対象は示された特定の組合せだけでなく、本発明の範囲を離れることなく他の組合せに利用できることが理解される。
【0003】
吸水性ポリマーは特に(共)重合した親水性モノマーのポリマー、適当なグラフト基体上の1種以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、セルロースまたは澱粉の架橋エーテル、架橋カルボキシメチルセルロース、部分架橋ポリアルキレンオキシド、または水性流体中で膨潤可能な天然生成物、例えばグアル誘導体である。これらのポリマーはおむつ、タンポン、生理用ナプキン、および他の衛生製品を製造するために水溶液を吸収できる生成物として、保水剤として園芸に、水性流体の増粘剤として使用される。
【0004】
WOA03/002623号は5〜60モル%中和された酸官能性モノマーをベースとする後架橋吸水性ポリマーを記載する。
【0005】
更にWO98/10032号は増粘剤および吸湿性物質および/または短鎖脂肪族一価アルコールを含有する防氷組成物を記載する。増粘剤は傾斜した平面、例えばフロントガラスを流れる活性成分(グリコール、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコール)を停止させ、水−氷層を形成する。
【0006】
吸水性ポリマーの他の可能な適用は冷却剤組成物、例えば冷却部品へのその使用である。この場合に冷却剤が低い温度で成形できる場合が有利である。これは冷却部品が収容される中空空間の形状に適合するための冷却部品の形状を最適にすることを可能にする。同時に冷却剤は覆いが損傷した場合に漏出してはならない。
【0007】
架橋吸水性ポリマーおよび水をベースとするヒドロゲルはすでに−2℃〜−3℃で凍結し、その柔軟性を喪失する。水の凝固点を下げる物質の添加によりヒドロゲルの凝固点を下げることができる。しかし、添加剤が分離する傾向があり、すなわち吸水性ポリマーを水溶液と混合する際にすでに添加剤が溶液から分離するかまたはヒドロゲルを冷却して保存する際にヒドロゲルから分離することが欠点である。
【0008】
本発明の課題は、前記欠点を有しない、架橋吸水性ポリマーをベースとする冷却剤組成物を提供することである。
【0009】
前記課題は、
a)少なくとも1種の重合された、酸基を有するエチレン性不飽和モノマーおよび少なくとも1種の重合された架橋剤を含有する少なくとも1種の吸水性ポリマー、その際前記酸基は10〜50モル%中和され、対イオンとしてナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオンを有する、
b)少なくとも1種の非水性溶剤、および
c)水
を含有する新規ヒドロゲルにより解決され、その際非水性溶剤は23℃で水と制限されずに混合することができ、−20℃未満の融点を有し、前記溶剤の50質量%水溶液中の食塩の溶解度が23℃で少なくとも10g/100gであり、前記ヒドロゲルがヒドロゲルに対して少なくとも5質量%の溶剤を含有する。
【0010】
少なくとも1種の重合された、酸基を有するエチレン性不飽和モノマーの酸基は有利に15〜45モル%、特に有利に20〜40モル%中和されている。
【0011】
中和された酸基は対イオンとしてナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオンを有利に少なくとも50モル%、特に少なくとも75モル%、きわめて有利に100モル%有する。対イオンとしてナトリウムイオンが特に有利である。
【0012】
非水性溶剤の融点は有利に−30℃未満、特に−40℃未満、きわめて有利に−50℃未満である。
【0013】
23℃での溶剤の50質量%水溶液中の食塩の溶解度はそれぞれ使用される50質量%水溶液100gに対して有利に少なくとも11g、特に有利に少なくとも12gである。
【0014】
水と非水性溶剤の分離が生じない(塩析しない)場合にのみ、溶解度を決定できる。その他の場合は非水性溶剤の少ない液相が生成し、この液相は当然ながらより多くの食塩を溶解できる。従ってこの値は検査した溶剤の50質量%水溶液中の溶解度に相当しない。
【0015】
吸水性ポリマーはヒドロゲルに対して0.01〜5質量%、特に0.05〜4質量%、特に有利に0.1〜3質量%の量で使用する。
【0016】
本発明によるヒドロゲルは有利にヒドロゲルに対して少なくとも10質量%、有利に10〜85質量%、特に30〜65質量%、特に有利に40〜55質量%の非水性溶剤を含有する。
【0017】
有利な非水性溶剤はメタノール、2−メトキシエタノール、ジメチルホルムアミド、および1,2−プロピレングリコールである。溶剤は単独でまたは混合物として使用することができ、例えばメタノール、1,2−プロピレングリコールまたはメタノール/1,2−プロピレングリコールである。
【0018】
本発明によるヒドロゲルは更にヒドロゲルに対して有利に少なくとも10質量%、有利に10〜85質量%、特に30〜65質量%、特に有利に40〜55質量%の水を含有する。
【0019】
その際成分a)〜c)の合計は最大100質量%である。
【0020】
本発明によるヒドロゲルは成分a)〜c)の混合により得られ、その際場合により他の成分を添加できる。混合の順序は任意であり、有利に成分b)およびc)を予め混合する。
【0021】
本発明のもう1つの対象は−10℃未満、有利に−20℃未満、特に有利に−30℃未満の凝固点を有するヒドロゲルである。
【0022】
本発明によるヒドロゲルは冷却部品に冷却剤として適している。
【0023】
本発明のもう1つの対象は、
i)−10℃未満の凝固点を有する少なくとも1種のヒドロゲル、および
ii)少なくとも1種の柔軟な外部被覆
を有する冷却部品である。
【0024】
使用されるヒドロゲルの凝固点は有利に−20℃未満、特に有利に−30℃未満である。
【0025】
外部被覆のための適当な材料は例えばポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニルである。
【0026】
本発明の方法に使用される吸水性ポリマーは限定されない。吸水性ポリマーの製造は例えばModern Superabsorbent Polymer Technology、F.L.BuchholzおよびA.T.Graham、Wiley−VCH、1998の論文またはUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、35巻、73〜93頁に記載されている。
【0027】
吸水性ポリマーを製造するために、酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを、架橋剤の存在で反応させ、ベースポリマーを生成する。反応は、有利に、例えばWOA01/38402号に記載されるニーダー中で、または例えば欧州特許第0955086号に記載されるベルト反応器上で実施する。引き続きベースポリマーを更に表面後架橋することができる。
【0028】
本発明の方法に使用される吸水性ポリマーは特に架橋(共)重合された親水性モノマー、ポリアスパラギン酸、適当なグラフト基体上の1種以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、架橋セルロースエーテルまたは澱粉エーテルからなるポリマーである。有利に架橋されるポリマーは、アクリル酸またはそのエステルから誘導されるかまたは水溶性ポリマーマトリックス上のアクリル酸またはアクリル酸エステルのグラフト重合により得られる構造単位を有するポリマーである。これらのヒドロゲルは当業者に知られており、例えば米国特許第4286082号、ドイツ特許第2706135号、米国特許第4340706号、ドイツ特許第3713601号、ドイツ特許第2840010号、ドイツ特許第4344548号、ドイツ特許第4020780号、ドイツ特許第4015085号、ドイツ特許第3917846号、ドイツ特許第3807289号、ドイツ特許第3533337号、ドイツ特許第3503458号、ドイツ特許第4244548号、ドイツ特許第4219607号、ドイツ特許第4021847号、ドイツ特許第3831261号、ドイツ特許第3511086号、ドイツ特許第3118172号、ドイツ特許第3028043号、ドイツ特許第4418881号、欧州特許第801483号、欧州特許第455985号、欧州特許第467073号、欧州特許第312952号、欧州特許第205874号、欧州特許第499774号、ドイツ特許第2612846号、ドイツ特許第4020780号、欧州特許第205674号、米国特許第5145906号、欧州特許第530438号、欧州特許第670073号、米国特許第4057521号、米国特許第4062817号、米国特許第4525527号、米国特許第4295987号、米国特許第5011892号、米国特許第4076663号、または米国特許第4931497号に記載されている。
【0029】
この吸水性ポリマーの製造に適した親水性モノマーは、例えば重合可能な酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸、その無水物も含み、フマル酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸およびそのアミド、ヒドロキシアルキルエステル、およびアミノ基含有またはアンモニウム基含有エステルおよびアミド、および酸基含有モノマーのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩である。更に水溶性N−ビニルアミド、例えばN−ビニルホルムアミドまたはジアリルジメチルアンモニウムクロリドが適している。有利な親水性モノマーは、一般式I:
【化1】

(式中、
は水素、メチル、エチルまたはカルボキシルであり、
は−COOR、ヒドロキシスルホニルまたはホスホニル、C〜C−アルカノールでエステル化されたホスホニル基または一般式II
【化2】

の基であり、
は水素、メチルまたはエチルであり、
は水素、C〜C−アミノアルキル、C〜C−ヒドロキシアルキル、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
はスルホニル基、ホスホニル基またはカルボキシル基またはこれらのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩である)の化合物である。
【0030】
〜C−アルカノールの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールまたはn−ブタノールである。
【0031】
特に有利な親水性モノマーはアクリル酸、メタクリル酸およびこれらのナトリウム塩およびカリウム塩である。
【0032】
オレフィン性不飽和酸またはそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩のグラフト共重合により得られる吸水性ポリマーに適したグラフト基体は天然由来であってもよく、または合成由来であってもよい。例は澱粉、セルロース、セルロース誘導体、他の多糖類、およびオリゴ糖、ポリアルキレンオキシド、特にポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドおよび親水性ポリエステルである。
【0033】
適当なポリアルキレンオキシドは、例えば式III:
【化3】

(式中、
およびRは互いに独立に水素、アルキル、アルケニルまたはアリールであり、
は水素またはメチルであり、
pは1〜500の整数である)を有する。
【0034】
およびRは有利に水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニルまたはフェニルである。
【0035】
有利な吸水性ポリマーは、特にポリアクリレート、ポリメタクリレート、および米国特許第4913497号、米国特許第5011892号、および米国特許第5041496号に記載されるグラフトポリマーである。
【0036】
吸水性ポリマーは架橋されている、すなわちポリマーはポリマーネットワークに重合導入される少なくとも2個の二重結合を有する化合物を含有する。適当な架橋剤は特にN,N′−メチレンビスアクリルアミド、およびN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、ポリオールの不飽和モノカルボン酸またはポリカルボン酸のエステル、例えばジアクリレートまたはトリアクリレート、例えばブタンジオールジアクリレートまたはメタクリレート、またはエチレンジアクリレートまたはメタクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレート、およびアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、燐酸のアリルエステルおよび例えば欧州特許第343427号に記載されるビニルホスホン酸誘導体である。ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートも本発明の方法に使用することができ、その際使用されるポリエチレングリコールは300〜1000の分子量を有する。更に2箇所以上でエトキシル化されたトリメチロールプロパンまたはトリメチロールエタンのジ(メタ)アクリレートおよび/またはトリ(メタ)アクリレートが適している。5〜30箇所でエトキシル化されたトリメチロールプロパンまたはトリメチロールエタンのトリ(メタ)アクリレートが特に適している。10〜20箇所でエトキシル化されたトリメチロールプロパンまたはトリメチロールエタンのトリ(メタ)アクリレートがきわめて適している。13〜18箇所でエトキシル化されたトリメチロールプロパンまたはトリメチロールエタンのトリアクリレートが最も適している。
【0037】
更に架橋剤としてポリアリルエーテルを使用してアクリル酸の酸性ホモ重合により製造されるヒドロゲルも本発明の方法に使用できる。適当な架橋剤はペンタエリスリトールトリアリルおよびテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、モノエチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルおよびトリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテル、およびそのエトキシル化変態である。特に有利な架橋剤は、アクリル酸またはメタクリル酸とエステル化してジアクリレートまたはトリアクリレートを生成する2箇所以上でエトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリン、例えば先願のドイツ特許第10319462.2号に記載されるものである。3〜10箇所でエトキシル化されたグリセリンのジアクリレートおよび/またはトリアクリレートが特に有利である。1〜5箇所でエトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのジアクリレートまたはトリアクリレートが特に有利である。3〜5箇所でエトキシル化またはプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も有利である。
【0038】
本発明の方法に使用できるベースポリマーの有利な製造方法は、Modern Superabsorbent Polymer Technology、F.L.BuchholzおよびA.T.Graham、Wiley−VCH、1998、77〜84頁に記載される。例えばWO01/38402号に記載されるニーダー中で、または例えば欧州特許第955086号に記載されるベルト反応器上で製造されるベースポリマーが特に有利である。
【0039】
吸水性ポリマーは有利にポリマーのアクリル酸またはポリアクリレートである。これらの吸水性ポリマーの製造は文献から公知の方法により行うことができる。架橋コモノマーを0.01〜10モル%、有利に0.2〜1モル%の量で含有するポリマーが有利であるが、更に少なくとも1個のヒドロキシル基を有する多官能性エチレン性不飽和ラジカル架橋剤(例えばペンタエリスリトールトリアリルエーテルまたはトリメチロールプロパンジアリルエーテル)を使用するラジカル重合により得られるポリマーが特に有利である。
【0040】
吸水性ポリマーは自体公知の重合法により製造できる。いわゆるゲル重合の方法による水溶液中の重合が有利である。その際例えば1種以上の親水性モノマーの15〜50質量%水溶液および場合により適当なグラフト基体をラジカル開始剤の存在で有利に機械的に混合せずにトロムスドルフ・ノリッシュ効果(Makromol.Chem.1.169、1947)を利用して重合させる。重合反応は0〜150℃、有利に10〜100℃の温度範囲で、常圧または高圧または減圧下で行うことができる。重合は通常のように保護ガス雰囲気、有利に窒素下で行うことができる。重合を開始するために、高エネルギー電磁線または通常の化学的重合開始剤、例えば過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、クモールヒドロペルオキシド、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、および無機ペルオキソ化合物、例えば(NH、K、NaまたはHを使用できる。これらは場合により還元剤、例えば亜硫酸水素ナトリウム、および硫酸鉄(II)または還元成分として脂肪族または芳香族スルフィン酸、例えばベンゼンスルフィン酸およびトルエンスルフィン酸またはこれらの酸の誘導体を含有するレドックス系、例えばスルフィン酸、アルデヒドおよびアミノ化合物からのマンニッヒ付加物と組み合わせて使用できる。50〜130℃、有利に70〜100℃の温度範囲のポリマーゲルの2時間以上の後加熱によりポリマーの品質特性を更に改良できる。
【0041】
得られたゲルを、使用されるモノマーに対して10〜60モル%、有利に20〜55モル%、特に25〜50モル%中和し、その際通常の中和剤、有利にアルカリ金属水酸化物または酸化物、特に有利に水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムを使用することができる。
【0042】
吸水性ポリマーの中和度が高い場合は、低い温度で非水性溶剤および水を含有するヒドロゲルが分解する。吸水性ポリマーの中和度が低い場合は、その膨潤特性が低下する。
【0043】
一般に水溶液としてまたは固体として中和剤の混入により中和が達成される。このために例えば肉ひき機を使用してゲルを機械的に粉砕し、中和剤を吹き付け、ふりかけ、または煮出し、引き続き入念に混入する。このために得られたゲル材料を更に何度も均一化することができる。中和されたゲル材料を引き続きベルト乾燥機またはローラー乾燥機を使用して残留水分が有利に10質量%未満、特に5質量%未満になるまで乾燥する。乾燥したヒドロゲルをその後粉砕し、ふるい分けし、その際粉砕のために一般的なローラー粉砕機、ピン付きミルまたは振動ミルを使用できる。ふるい分けしたヒドロゲルの粒度は一般に1000μm未満、しばしば700μm未満、有利に500μm未満である。
【0044】
後架橋は一般に表面後架橋剤の溶液をヒドロゲルまたは乾燥したベースポリマー粉末に吹き付けるように実施する。吹き付けに続いてポリマー粉末を熱により乾燥し、その際架橋反応を乾燥前および乾燥後に行うことができる。
【0045】
反応混合機または混合装置および乾燥装置、例えばレーディゲ(Loedige)ミキサー、ベペクス(BEPEX)ミキサー、ナウタ(NAUTA)ミキサー、シュージ(SCHUGGI)ミキサー、ナラ(NARA)乾燥機およびプロセサール(PROCESSALL)中の架橋剤溶液の吹き付けが有利である。更に流動層乾燥機を使用できる。
【0046】
混合機自体で外被の加熱によりまたは熱空気を吹き込むことにより乾燥を行うことができる。同様に後方に接続された乾燥機、例えばホルデン(Horden)乾燥機、回転管形炉、または加熱可能なスクリューが適している。例えば乾燥法として例えば共沸蒸留を利用できる。
【0047】
有利な乾燥温度は50〜250℃、有利に50〜200℃、特に有利に50〜150℃である。反応混合機または乾燥機中のこの温度での有利な滞留時間は30分未満、特に有利に10分未満である。
【0048】
架橋剤は有利にそれ自体反応性でない溶剤、有利に低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパンジオール、エチレングリコール、特に有利にこれらの適当なアルコールの水溶液に溶解し、その際溶液のアルコール含量は10〜90質量%、特に有利に40〜60質量%である。
【0049】
その際架橋剤は使用されるポリマーに対して0.01〜1質量%の量で使用し、架橋剤溶液自体は使用されるポリマーに対して1〜20質量%、有利に5〜15質量%の量で使用する。
【0050】
本発明によるヒドロゲルは低い凝固点を有し、長く保存した場合にも分離しない。これは対イオンのイオン濃度および中和度の最適な調整により達成される。吸水性ポリマーがあまりに疎水性である場合は、水が低温で液体の緩慢に凝固する相として分離し、吸水性ポリマーがあまりに親水性である場合は、低温でジオールが液相として分離する。
【0051】
本発明のヒドロゲルのために、特に、例えば成人の失禁に使用される、市販された吸水性ポリマーを使用できる。これにより本発明のヒドロゲルのために吸水性ポリマーを廉価に使用できる。
【0052】
方法
他に記載されない場合は、測定は、周囲温度23±2℃および相対的大気湿度50±10%で行った。膨潤可能なヒドロゲル形成ポリマーを測定の前に十分に混合した。
【0053】
膨潤能力(Free Swell Capacity 自由膨潤能力)
膨潤能力をEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)が勧める試験法No440.2−02、自由膨潤能力(Free Swell Capacity)により測定した。
【0054】
遠心保留能力(Centrifuge Retention Capacity)
遠心保留能力をEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)が勧める試験法No441.2−02、遠心保留能力(Centrifuge Retention Capacity)により測定した。
【0055】
実施例
例1
デワール(Dewar)容器に、水248g、アクリル酸91g、ペンタエリスリットトリアルキルエーテル0.5gおよびキメン(Kymene)736(ポリマーのアミンとエピクロロヒドリンとの水性反応生成物)0.036gを予め入れた。窒素を沸騰させて導入しながら30分間不活性にした。その後約23℃で、35質量%過酸化水素0.01g、1質量%水性アスコルビン酸1.0gおよび10質量%水性亜硫酸水素ナトリウム9.1gの添加により反応を開始した。最後に得られたゲルを肉ひき機中で50質量%苛性ソーダ溶液73.8gを用いて中和した。その後空気循環乾燥棚中、180℃で約3時間乾燥した。引き続き粉砕し、100〜850μmにふるい分けした。
【0056】
ワーリング混合機(Waring Blender)中でベースポリマーに、ベースポリマーに対して後架橋剤溶液4質量%を吹き付け、ポリマーを生成物温度120℃で60分間後架橋した。引き続き場合により存在する塊を分離するために、得られたポリマーを850μmでふるい分けした。
【0057】
後架橋溶液は以下の組成を有した。エチレングリコールジグリシジルエーテル4.8質量%、プロピレングリコール47.6質量%および水47.6質量%。
【0058】
後架橋した吸水性ポリマーAは以下の特性を有した。
FSC 47.7g/g
CRC 29.7g/g。
【0059】
例2
レーディゲ(Loedige)すき刃混合機(容積10リットル)に、水1.189gおよびアクリル酸618gを予め入れた。攪拌しながら、50質量%苛性ソーダ溶液191g、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量400g/モルを有するポリエチレングリコールのジアクリレート)1.84gおよびソルビタンモノオレエート0.46gを順次供給し、窒素を沸騰させて導入しながら30分間不活性にした。その後23℃で、3質量%過酸化水素0.4g、0.5質量%水性アスコルビン酸6.2gおよび15質量%水性ペルオキソ二硫酸ナトリウム4.1gを添加することにより反応を開始した。開始後、加熱外被の温度を反応器中の反応温度に調節して更に供給した。混合機中で攪拌し、十分に混合しながら重合させた。最後に得られたくずのゲルを引き続き空気循環乾燥棚中、180℃で約3時間乾燥した。引き続き粉砕し、100μm未満にふるい分けした。
【0060】
ワーリング混合機中でベースポリマーに、ベースポリマーに対して後架橋剤溶液5質量%を吹き付け、ポリマーを生成物温度150〜170℃で60分間後架橋した。引き続き場合により存在する塊を分離するために、得られたポリマーを100μmでふるい分けした。最終生成物を、平均分子量300g/モルを有するポリエチレングリコール、ポリマーに対して0.35質量%の添加により安定化した。
【0061】
後架橋溶液は以下の組成を有した。エチレングリコールジグリシジルエーテル2質量%、プロピレングリコール30質量%および水68質量%。
【0062】
後架橋した吸水性ポリマーBは以下の特性を有した。
FSC 28.0g/g
CRC 20.0g/g。
【0063】
例3
脱イオン水200gおよび1,2−プロパンジオール200gを予め混合した。攪拌しながら30モル%中和された架橋ポリアクリレート(ポリマーB)2gを混入した。
【0064】
ヒドロゲルの一部を大きな試験管に充填し、アセトン/ドライアイスで外部から冷却した。ヒドロゲルが−39℃で完全に凝固した。
【0065】
残りのヒドロゲルを閉鎖可能な瓶に充填し、23℃で保存した。1週間後に相分離が認められなかった。
【0066】
例4(比較例)
脱イオン水200gおよび1,2−プロパンジオール200gを予め混合した。攪拌しながら75モル%中和された架橋ポリアクリレート(ポリマーA)2gを混入した。
【0067】
ヒドロゲルの一部を大きな試験管に充填し、アセトン/ドライアイスで外部から冷却した。ヒドロゲルは−39℃で完全に凝固した。
【0068】
残りのヒドロゲルを閉鎖可能な瓶に充填し、23℃で保存した。1週間後、相分離が認められた。ヒドロゲルは沈殿した。ヒドロゲルの上方に液相(1,2−プロパンジオール)が検出された。
【0069】
例5
脱イオン水200gおよびメタノール200gを予め混合した。攪拌しながら30モル%中和された架橋ポリアクリレート(ポリマーB)2gを混入した。
【0070】
ヒドロゲルの一部を大きな試験管に充填し、アセトン/ドライアイスで外部から冷却した。ヒドロゲルの凝固点は−50℃未満であった。
【0071】
残りのヒドロゲルを閉鎖可能な瓶に充填し、23℃で保存した。1週間後、相分離が認められなかった。
【0072】
例6
脱イオン水200gおよび2−メトキシエタノール200gを予め混合した。攪拌しながら30モル%中和された架橋ポリアクリレート(ポリマーB)2gを混入した。
【0073】
ヒドロゲルの一部を大きな試験管に充填し、アセトン/ドライアイスで外部から冷却した。ヒドロゲルは−42℃で完全に凝固した。
【0074】
残りのヒドロゲルを閉鎖可能な瓶に充填し、23℃で保存した。1週間後、相分離が認められなかった。
【0075】
例7
脱イオン水200gおよびジメチルホルムアミド200gを予め混合した。攪拌しながら30モル%中和された架橋ポリアクリレート(ポリマーB)2gを混入した。
【0076】
ヒドロゲルの一部を大きな試験管に充填し、アセトン/ドライアイスで外部から冷却した。ヒドロゲルは−51℃で完全に凝固した。
【0077】
残りのヒドロゲルを閉鎖可能な瓶に充填し、23℃で保存した。1週間後、相分離が認められなかった。
【0078】
例8(比較例)
脱イオン水200gおよび1−プロパノール200gを予め混合した。攪拌しながら30モル%中和された架橋ポリアクリレート(ポリマーB)2gを混入した。
【0079】
ヒドロゲルの一部を大きな試験管に充填し、アセトン/ドライアイスで外部から冷却した。ヒドロゲルは−15℃で完全に凝固した。
【0080】
残りのヒドロゲルを閉鎖可能な瓶に充填し、23℃で保存した。3時間後、相分離が認められた。ヒドロゲルは沈殿した。ヒドロゲルの上方に液相(1−プロパノール)が検出された。
【0081】
例9(比較例)
脱イオン水200gおよびエタノール200gを予め混合した。攪拌しながら30モル%中和された架橋ポリアクリレート(ポリマーB)2gを混入した。混合後すぐに相分離が認められた。ヒドロゲルが沈殿した。ヒドロゲルの上方に液相(エタノール)が検出された。
【0082】
例10
種々の溶剤の50質量%水溶液中の食塩の溶解度を決定した。
【0083】
非水性溶剤10gおよび水10gを混合した。混合物を食塩5gと混合し、23℃で17時間攪拌した。引き続き濾過し、フィルター残留物をジエチルエーテルで更に洗浄し、乾燥し、計量した。戻された食塩の量を使用して溶解した割合を決定し、溶解度を計算した。
【0084】
【表1】

【0085】
1−プロパノールの50質量%水溶液中の食塩の溶解度は決定できなかった。溶解の間に1−プロパノールが塩析した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の、重合された、酸基を有するエチレン性不飽和モノマーおよび少なくとも1種の重合された架橋剤を含有する少なくとも1種の吸水性ポリマー、その際前記酸基は10〜50モル%中和され、対イオンとしてナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオンを有する、
b)少なくとも1種の非水性溶剤、および
c)水
を含有するヒドロゲルであり、その際非水性溶剤は23℃で水と制限されずに混合することができ、−20℃未満の融点を有し、前記溶剤の50質量%水溶液中の食塩の溶解度が23℃で少なくとも10g/100gであり、前記ヒドロゲルがヒドロゲルに対して少なくとも5質量%の溶剤を含有することを特徴とするヒドロゲル。
【請求項2】
酸基が対イオンとしてナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオン20〜45モル%を有する請求項1記載のヒドロゲル。
【請求項3】
対イオンがナトリウムイオンである請求項1または2記載のヒドロゲル。
【請求項4】
吸水性ポリマーが重合された架橋剤0.01〜10質量%を含有する請求項1から3までのいずれか1項記載のヒドロゲル。
【請求項5】
ヒドロゲルが吸水性ポリマー0.01〜5質量%を含有する請求項1から4までのいずれか1項記載のヒドロゲル。
【請求項6】
ヒドロゲルが溶剤10〜85質量%を含有する請求項1から5までのいずれか1項記載のヒドロゲル。
【請求項7】
溶剤がメタノール、2−メトキシエタノール、ジメチルホルムアミドおよび/またはプロピレングリコールである請求項1から6までのいずれか1項記載のヒドロゲル。
【請求項8】
ヒドロゲルが水10〜85質量%を含有する請求項1から7までのいずれか1項記載のヒドロゲル。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の少なくとも1種の吸水性ポリマー、請求項1から8までのいずれか1項記載の非水性溶剤および水を混合することを特徴とする、ヒドロゲルの製造方法。
【請求項10】
溶剤および水を予め混合する請求項9記載の方法。
【請求項11】
i)−10℃未満の凝固点を有する少なくとも1種のヒドロゲル、および
ii)少なくとも1個の柔軟な外部被覆
を有する冷却部品。

【公表番号】特表2008−524411(P2008−524411A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547294(P2007−547294)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013554
【国際公開番号】WO2006/066811
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】