説明

低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の選別方法及び選別装置、並びに該製品の製造方法

【課題】低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器の選別方法及び選別装置、並びに該製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器の製造方法の提供。
【解決手段】低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の選別方法であって、製品がポリエチレンから本質的に成り、該製品の表面にフッ化処理層を有し、該方法が、既知のガソリン透過量群と既知の赤外線吸光度群とを用いて吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を求める工程;
を有し、該方法は、さらに選別対象である前記製品の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定工程;及び該測定工程における1180cm−1での赤外線吸光度を、検量線により推定ガソリン透過量を推定する工程;を有し、推定ガソリン透過量が一定量以下である場合に該製品を低ガソリン透過性ポリエチレン製製品として選別する工程;を有する方法により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器の選別方法及び選別装置、並びに該製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン容器の重量を軽減させること及び設計の自由度を高めることを目的として、プラスチック製、特にポリエチレン製のガソリン容器を用いることが近年、開発・研究され、商品化が進んでいる。
また、ポリエチレン製燃料タンクに優れたガスバリヤ性(低いガソリン透過量)をもたらすために、該タンクの表面をフッ化処理することが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フッ化処理を施すことにより、ガスバリヤ性(低いガソリン透過量)を有するタンクを製造することができるが、その性能、即ちガスバリヤ性を測定するには、カリフォルニア大気資源局が策定した試験手順「Small Off-Road Engine and Equipment Evaporative Emissions Test
Procedure(2004/7/26付)」によると、数ヶ月を要するのが現状である。
したがって、施したフッ化処理が十分であるか否かが解明されるまで、即ち製品が十分な特性を有し、出荷可能か否かがわかるまでに、長期間を要する、という問題がある。かかる問題は、製品開発又は製品の仕掛かりから出荷までに長期間を要することとなる。よって、ポリエチレン製製品、特にポリエチレン製ガソリン容器の、フッ化処理が十分であるか否かを短時間で且つ正確に測定する方法が求められている。
【0004】
そこで、本発明の目的は、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品を、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器を、短時間で且つ正確に選別する方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的以外に、又は上記目的に加えて、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器を、短時間で且つ正確に選別する装置を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記目的以外に、又は上記目的に加えて、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器の製造方法であって、該製品又は該容器が低ガソリン透過性であることを検査することを含めた製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的以外に、又は上記目的に加えて、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器を選別する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ポリエチレン製製品にフッ化処理を施し、該フッ化処理により低ガソリン透過性がもたらされることを、該フッ化処理層の1回反射ATRの赤外線吸収、特に1180cm−1での赤外線吸光度により、短時間で且つ正確に、求めることができることを見出した。
具体的には、1180cm−1での赤外線吸光度とガソリン透過性との検量線を予め得ることにより、該検量線からガソリン透過性の値を推測できることを見出した。
より具体的には、本発明者らは、以下の発明を見出した。
【0006】
<1> 低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の選別方法であって、
該製品がポリエチレンから本質的に成り、該製品の表面にフッ化処理層を有し、
該方法が、
a)ポリエチレン製製品と略同等のポリエチレン製比較試料群を準備する工程;
b)該比較試料群の各々に様々なフッ化処理を施して異なるフッ化処理層を有するフッ化処理済み比較試料群を準備する工程;
c)フッ化処理済み比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求める工程;
d)フッ化処理済み比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定する工程;及び
e)ガソリン透過量群と赤外線吸光度群とを用いて吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を求める工程;
を有し、該方法は、さらに
f)選別対象である製品の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定工程;及び
g)該測定工程における1180cm−1での赤外線吸光度を、e)工程で求めた検量線により推定ガソリン透過量を推定する工程;
を有し、
h)推定ガソリン透過量が一定量以下である場合に該製品を低ガソリン透過性ポリエチレン製製品として選別する工程;を有する、上記方法。
【0007】
<2> 上記<1>のf)工程に代えて、f’)製品の代わりに、該製品と略同等条件下で得られたフッ化処理済み赤外線吸光度測定用試料を準備し、該測定用試料の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する工程;を採用してもよい。
<3> 上記<1>又は<2>の、b)工程において、フッ化処理済み比較試料群として、各々同条件下でフッ化処理が施された、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群と、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とを準備し、
c)工程において、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め、
d)工程において、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定するのがよい。
【0008】
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、製品が低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器であるのがよい。
<5> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、h)工程の一定量が2.0(g/m/日)、好ましくは1.5(g/m/日)、より好ましくは1.0(g/m/日)であるのがよい。
【0009】
<6> 低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の製造方法であって、
x)表面にフッ化処理層を有する製品であって、該フッ化処理層の下層がポリエチレンから本質的に成る製品を準備する工程;
a)該製品と略同等のポリエチレン製比較試料群を準備する工程;
b)該比較試料群の各々に様々なフッ化処理を施して異なるフッ化処理層を有するフッ化処理済み比較試料群を準備する工程;
c)フッ化処理済み比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求める工程;
d)フッ化処理済み比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定する工程;及び
e)ガソリン透過量群と赤外線吸光度群とを用いて吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を求める工程;
を有し、該方法は、さらに
f)選別対象である製品の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定工程;及び
g)該測定工程における1180cm−1での赤外線吸光度を、e)工程で求めた検量線により推定ガソリン透過量を推定する工程;
を有し、
h)推定ガソリン透過量が一定量以下である場合に該製品を低ガソリン透過性ポリエチレン製製品として選別する工程;を有する、上記方法。
【0010】
<7> 上記<6>のf)工程に代えて、f’)前記製品の代わりに、該製品と略同等条件下で得られたフッ化処理済み赤外線吸光度測定用試料を準備し、該測定用試料の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する工程;を採用してもよい。
<8> 上記<6>又は<7>の、b)工程において、フッ化処理済み比較試料群として、各々同条件下でフッ化処理が施された、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群と、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とを準備し、
c)工程において、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め、
d)工程において、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定するのがよい。
【0011】
<9> 上記<6>〜<8>のいずれかにおいて、製品が低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器であるのがよい。
<10> 上記<6>〜<9>のいずれかにおいて、h)工程の一定量が2.0(g/m/日)、好ましくは1.5(g/m/日)、より好ましくは1.0(g/m/日)であるのがよい。
【0012】
<11> 低ガソリン透過性ポリエチレン製品の選別装置であって、
選別対象が、ポリエチレンから本質的に成る製品であって該製品の表面にフッ化処理層を有する製品であり、
装置は、
A)製品の表面の赤外線吸光度を1回反射で測定する測定手段;
B)吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を保存する検量線保存手段;及び
C)測定手段による1180cm−1での赤外線吸光度を、前記B)検量線保存手段に保存される検量線により推定ガソリン透過量を推定し、該推定ガソリン透過量が一定量以下である場合に該製品を低ガソリン透過性製品として選別する選別手段;を有し、
前記B)検量線保存手段は、
a)ポリエチレン製製品と略同等のポリエチレン製比較試料群を準備し;
b)該比較試料群の各々に様々なフッ化処理を施して異なるフッ化処理層を有するフッ化処理済み比較試料群を準備し;
c)フッ化処理済み比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め;
d)フッ化処理済み比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定し;
e)ガソリン透過量群と赤外線吸光度群とを用いて吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を求めて保存する、
上記装置。
【0013】
<12> 上記<11>のA)手段に代えて、A’)製品の代わりに、該製品と略同等条件下で得られたフッ化処理済み赤外線吸光度測定用試料を準備し、該測定用試料の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定手段;を採用してもよい。
<13> 上記<11>又は<12>の、b)工程において、フッ化処理済み比較試料群として、各々同条件下でフッ化処理が施された、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群と、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とを準備し、
c)工程において、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め、
d)工程において、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定するのがよい。
【0014】
<14> 上記<11>〜<13>のいずれかにおいて、製品が低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器であるのがよい。
<15> 上記<11>〜<14>のいずれかにおいて、C)手段の一定量が2.0(g/m/日)、好ましくは1.5(g/m/日)、より好ましくは1.0(g/m/日)であるのがよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品を、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器を、短時間で且つ正確に選別する方法を提供することができる。
また、本発明により、上記効果以外に、又は上記効果に加えて、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器を、短時間で且つ正確に選別する装置を提供することができる。
さらに、本発明により、上記効果以外に、又は上記効果に加えて、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器の製造方法であって、該製品又は該容器が低ガソリン透過性であることを検査することを含めた製造方法を提供することができる。
また、本発明により、上記効果以外に、又は上記効果に加えて、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器を選別する装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器の選別方法及び選別装置、並びに該製品、特に低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器の製造方法に関する。以下、選別方法、該選別方法を行う選別装置、該選別方法を含む製造方法について、順に説明する。
【0017】
<低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の選別方法>
本発明の選別方法は、大きく分けて2種の選別方法がある。
いずれの選別方法であっても選別対象は、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に該製品がガソリン容器である。
また、2種の選別方法の双方共に、検量線を用いる手法である。
検量線は、フッ化処理済み比較試料群を用いて、該比較試料群の1180cm−1での赤外線吸光度群と、ガソリン透過量群とを予め測定する。これらの赤外線吸光度群と、ガソリン透過量群とから、吸光度−ガソリン透過量検量線を求める。
【0018】
なお、比較試料群として、イ)1180cm−1での赤外線吸光度を測定するための赤外線吸光度測定用比較試料群と、ロ)ガソリン透過量を測定するためのガソリン透過量測定用比較試料群とを、準備してもよい。この場合、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群とロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とが、それぞれ同様の条件下で作成されていることなどの相関性を有していることを条件として、2種、即ちイ)赤外線吸光度測定用比較試料群とロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とを用いることもできる。
【0019】
該検量線を用いて、選別対象の製品についての1180cm−1での赤外線吸光度から推定ガソリン透過量を求め、該推定ガソリン透過量が一定以下であれば、該製品が低ガソリン透過性であるか否かを選別する。
【0020】
2種の選別方法のうち一方は、該対象である製品について、直接、該製品の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定工程を有する。
2種の選別方法のうち他方は、該対象である製品について直接、赤外線吸光度を測定する代わりに、該対象とほぼ同条件、好ましくは全くの同条件で準備した赤外線吸光度測定用試料の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定工程を有する。この方法は、選別対象が製品である場合、特に該製品がガソリン容器である場合など、1回反射ATRによる測定に適した平面を有さないときに有効に行うことができる。なお、選別対象である製品と、赤外線吸光度測定用試料とを、全くの同条件で準備するには、1)ポリエチレン製製品と赤外線吸光度測定用試料との双方を、同一条件で、ポリエチレンから準備し、且つ2)フッ化処理を行う反応容器に、双方を入れて、同一条件下でフッ化処理を施し、フッ化処理済みの製品及び赤外線吸光度測定用試料を得るのが好ましい。
【0021】
選別対象である低ガソリン透過性ポリエチレン製製品、特に該製品が低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器であるものは、該製品がポリエチレンから本質的に成り、該製品の表面にフッ化処理層を有するものである。ここで、「ポリエチレンから本質的になる」とは、フッ化処理層を除いた該製品の成分のうち、ポリエチレン成分が主成分であることを意味し、具体的には、フッ化処理層を除いた該製品の成分のうち、ポリエチレン成分が51重量以上であることを意味する。
【0022】
本発明の選別対象である製品は、ポリエチレンから本質的になるものの表面にフッ化処理層を有する。フッ化処理層は、容器の表面の内側及び/又は外側に有してもよく、内側及び外側に有するのが低ガソリン透過性を奏する点で好ましい。なお、検量線を作成する際に用いた比較試料群と、選別対象である製品及び赤外線吸光度測定用試料とは、i)内側のみ、ii)外側のみ、iii)内側と外側の双方、のうち、i)〜iii)について、同条件であることが、選別方法において、求められる。
【0023】
ポリエチレンから本質的になるものは、従来公知、又は将来公知となりうる、種々の方法で得られるものを用いることができる。例えば、ポリエチレン製ガソリン容器の場合、回転成形法、ブロー成形法、射出成形した製品を溶着する方法など、いずれの方法によるものも用いることができる。
なお、本発明に用いるポリエチレンは、特に限定されないが、低ガソリン透過性をもたらすためには、ブロー成形用ポリエチレン(190℃において21.16Nの荷重を加えて測定したメルトフローレートが1.0g/10min以下であるのが好ましい)であるのがよい。
【0024】
フッ化処理層は、従来公知、又は将来公知となりうる、種々のフッ化処理により得られる層であるのがよい。なお、種々のフッ化処理として、フッ素ガス又はフッ素ガスとその他のガスとの混合ガスによる処理(例えば、特許第3629031号を参照のこと)などを挙げることができるが、これに限定されない。
【0025】
以下、選別方法について詳細に説明する。
本発明の選別方法は、吸光度−推定ガソリン透過量検量線を求め、該検量線を用いて選別する方法である。
したがって、この方法は、イ)検量線を求める工程と、ロ)選別対象又は赤外線吸光度測定用試料の吸光度を測定する工程と、ハ)該測定値と検量線とから推定ガソリン透過量を求めて、その量から低ガソリン透過性のものを選別する工程と、を有する。
【0026】
具体的には、本発明の選別方法は、
a)ポリエチレン製製品と略同等のポリエチレン製比較試料群を準備する工程;
b)該比較試料群の各々に様々なフッ化処理を施して異なるフッ化処理層を有するフッ化処理済み比較試料群を準備する工程;
c)フッ化処理済み比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求める工程;
d)フッ化処理済み比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定する工程;及び
e)ガソリン透過量群と前記赤外線吸光度群とを用いて吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を求める工程;
を有する。
上記a)〜e)工程が、イ)検量線を求める工程;に相当する。
【0027】
工程c)における、表面の赤外線吸光度の1回反射ATR測定は、従来公知の赤外線測定方法を用いることができる。
測定に際して、フッ化処理済み比較試料群の測定値のみを用いてもよいが、フッ化処理済み比較試料群の測定値と、フッ化処理層を有しないポリエチレン製製品と同等の比較試料の測定値との差分を、測定値として採用してもよい。
また、測定箇所は、1箇所であっても複数箇所であってもよい。なお、低ガソリン透過性を確実なものとするために複数箇所を複数回測定することが好ましい。
【0028】
上記a)工程において、ポリエチレン製比較試料群として、選別対象である、ポリエチレン製製品と略同等のもの、特に同じものを準備すると、得られる検量線の精度を高める点で好ましい。
上記b)工程において、異なるフッ化処理層を有するフッ化処理済み比較試料群を準備することにより、施したフッ化処理に見合ったガソリン透過性、赤外線吸光度を得ることができる。したがって、フッ化処理済み比較試料群は、複数個、特に多数個準備し、且つそのフッ化処理の条件などについても多数種準備するのが、得られる検量線の精度を高める点で好ましい。
【0029】
なお、b)工程において、フッ化処理済み比較試料群として、各々同条件下でフッ化処理が施された、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群と、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とを準備してもよい。この場合、後述のc)工程において、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め、後述のd)工程において、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定するのがよい。このように、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群と、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とを準備するのは、一方の比較試料群が赤外線吸光度の測定に適している一方、他方の比較試料群がガソリン透過量測定に適していない場合、又はその逆の場合が存在するからである。例えば、ガソリンタンク状容器はガソリン透過量測定に適する一方、赤外線吸光度の測定に適していない。この場合、ガソリンタンク状容器と、同条件下でフッ化処理が施された、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群、具体的には平板状試料を準備するのがよい。
【0030】
上記d)工程において、フッ化処理済み比較試料群のガソリン透過量群を測定する。この工程は、従来公知のカリフォルニア大気資源局が策定した試験手順「Small Off-Road Engine and Equipment Evaporative Emissions Test
Procedure(2004/7/26付)」に準拠して得ることができる。なお、この方法によると、ガソリン透過量を得るまでに数ヶ月を要するが、上記e)工程による検量線を得るために、一旦、これらの測定を行えば、選別対象各々については、それらの時間を省略することができ、結果として短時間で且つ正確に、ガソリン透過性を推定することができる。
上記e)工程は、上記c)工程と上記d)工程とにより得られた測定値を用いて、吸光度−ガソリン透過量検量線を求める工程である。
なお、検量線は、直線に限定されず、曲線も含まれる。
【0031】
具体的には、本発明の選別方法は、さらに
f)選別対象である前記製品の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定工程;及び
g)該測定工程における1180cm−1での赤外線吸光度を、前記e)工程で求めた検量線により推定ガソリン透過量を推定する工程;
を有し、
h)前記推定ガソリン透過量が一定量以下である場合に該製品を低ガソリン透過性ポリエチレン製製品として選別する工程;
を有する。
上記f)工程が、ロ)選別対象の吸光度を測定する工程;に相当し、上記g)及びh)工程が、ハ)該測定値と検量線とから推定ガソリン透過量を求めて、その量から低ガソリン透過性のものを選別する工程;に相当する。
【0032】
上記f)工程の赤外線測定は、上述のc)工程と同様に行うことができる。
なお、f)工程に代えて、f’)製品の代わりに、該製品と略同等条件下で得られたフッ化処理済み赤外線吸光度測定用試料を準備し、該測定用試料の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する工程;を採用してもよい。
f)工程の場合、製品の表面の赤外線吸光度を直接測定する。ただし、製品の外表面が曲面からなる場合、直接測定すると誤差が大きくなり、その後の推定ガソリン透過量にも影響を及ぼす可能性がある。そこで、製品の代わりに、該製品と略同等条件下で得られたフッ化処理済み赤外線吸光度測定用試料を用いて、該測定用試料の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する工程;を採用することを行ってもよい。
【0033】
上記g)工程は、f)工程で求めた赤外線吸光度を、上述で求めた検量線に当てはめて、推定ガソリン透過量を推定する工程である。
上記h)工程は、該推定ガソリン透過量が一定量以下である場合、特に2.0(g/m/日)以下、好ましくは1.5(g/m/日)以下、より好ましくは1.0(g/m/日)以下である場合に該製品を低ガソリン透過性製品として選別する工程;である。
【0034】
<低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の製造方法>
本発明は、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品を製造する方法も提供する。
本発明の製造方法は、
x)表面にフッ化処理層を有し、該フッ化処理層の下層がポリエチレンから本質的に成る、フッ化処理層を表面に有するポリエチレン製製品を準備する工程;及び
その後に、上述の選別方法の工程;
を有する。
選別方法の工程を、製造方法の一ラインとすることにより、低ガソリン透過性の製品を、仕掛かりから製造まで、短時間で製造することができる。特に、その品質、特に低ガソリン透過性に関する品質を高めたものを、短時間で製造することができる。
なお、x)工程は、上述の<低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の選別方法>の選別対象と同様に準備することができる。
【0035】
<低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の選別装置>
本発明は、低ガソリン透過性ポリエチレン製製品を選別する装置も提供する。
本発明の選別装置は、上述の選別方法を具現化する装置である。なお、選別対象が、ポリエチレンから本質的に成る製品であって該製品の表面にフッ化処理層を有する製品である点は、上述の選別方法と同様である。
【0036】
具体的には、本発明の選別方法を具現化する装置は、
A)製品の表面の赤外線吸光度を1回反射で測定する測定手段;
B)吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を保存する検量線保存手段;及び
C)測定手段による1180cm−1での赤外線吸光度を、前記B)検量線保存手段に保存される検量線により推定ガソリン透過量を推定し、該推定ガソリン透過量が一定量以下である場合に該製品を低ガソリン透過性製品として選別する選別手段;
を有する。
【0037】
上記A)測定手段は、従来公知の赤外線測定器、特にATR赤外線測定器を用いることができる。
上記B)検量線保存手段は、
a)ポリエチレン製と略同等のポリエチレン製比較試料群を準備し;
b)該比較試料群の各々に様々なフッ化処理を施して異なるフッ化処理層を有するフッ化処理済み比較試料群を準備し;
c)フッ化処理済み比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め;
d)フッ化処理済み比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定し;
e)ガソリン透過量群と赤外線吸光度群とを用いて吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を求めて保存する。
該B)検量線保存手段を有することにより、選別対象物の個々のガソリン透過量を測定しなくとも、後述のC)選別手段で、低ガソリン透過性を示す推定ガソリン透過量を有する製品を、短時間で且つ正確に、選別することができる。
なお、吸光度−ガソリン透過量検量線の得る方法については、上述の選別方法に記載した方法を用いることができる。
また、上記B)検量線保存手段は、具体的にはコンピュータなどの装置を用いることができるが、これに限定されない。
【0038】
上記C)選別手段として、例えばコンピュータとそれに接続された選択手段などを挙げることができるが、これに限定されない。例えば、上記A)測定手段により得られた、1180cm−1での赤外線吸光度測定値を、コンピュータに取り込み、該測定値からB)検量線保存手段に保存される検量線により推定ガソリン透過量を推定し、該推定ガソリン透過量が一定量以下、特に2.0(g/m/日)以下、好ましくは1.5(g/m/日)以下、より好ましくは1.0(g/m/日)以下である場合、コンピュータに接続された選択手段が、該選別対象物を低ガソリン透過性製品として選択する一方、推定ガソリン透過量が上記範囲以上の場合、該選別対象物を低ガソリン透過性製品以外として選択するのがよい。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0039】
<赤外線測定>
赤外線測定には、日本分光社製FT/IR−4100とATR測定ユニット(ATR PRO410−S)を使用した。得られたチャートにおいて、1180cm−1のピーク高さ(Absorbance)を読み取り、それをC−F結合に起因する吸光度(以下、CF値)とした。
【0040】
<ガソリン透過試験>
試験方法は、カルフォルニア大気資源局(CARB)発行のテスト手順(TP−901)に準拠した。なお、試験燃料は、カルフォルニアフェーズ2ガソリン、試験温度は40±2℃とした。燃料タンクの密封は、タンクと同材で出来たテストピースを熱板溶着させる方法、燃料不透過材でてきたキャップを使用する方法など適切な方法を用いた。
【0041】
(実施例1)
<検量線作成>
メルトフローレート0.4g/10minのポリエチレンをブロー成形しポリエチレン製燃料タンク(公称容量500mL)Aを10個(A−1〜A−10)準備した。
また、上記と同じポリエチレンを用いて、射出成形した平板状試験試料(50mm×70mm×t2mm)Bを10個(B−1〜B−10)準備した。
燃料タンクAと試験試料Bとについて、10種の条件下で、同時にフッ化処理を施した。なお、「A−1」の「A」は燃料タンクであることを、「1」はフッ化処理条件「1」で行うことを意味する。また、「B−1」の「B」は平板状試験試料であることを、「1」は上述の「1」と同様に、フッ化処理条件「1」で行うことを意味する。
【0042】
得られたフッ化処理済み燃料タンクA−1〜A−10について、上述の<ガソリン透過試験>によりガソリン透過量を求め、フッ化処理済み試験試料B−1〜B−10について、上述の<赤外線測定>により1180cm−1での赤外線吸光度を測定した。
表1及び図1に、試験試料B−1〜B−10についての<赤外線測定>の結果(表1中、「CF値」で示す)と、A−1〜A−10についての<ガソリン透過試験>の透過量結果とを、示す。
表1及び図1、特に図1から、試験試料B−1〜B−10についての<赤外線測定>の結果と、A−1〜A−10についての<ガソリン透過試験>の透過量結果との間には相関が認められた。即ち、試験試料Bの吸光度が高ければ、燃料タンクAのガソリン透過量が低いこと(低ガソリン透過性であること)が定量的に認められた。
【0043】
<検量線、及び赤外線吸光度測定用試料を用いての燃料タンクのガソリン透過量の推定>
燃料タンクA−11及び赤外線吸光度測定用試料C−1を、上記燃料タンクA−8及び試験試料B−8と同じ条件で、フッ化処理を行った。なお、燃料タンクA−11及び赤外線吸光度測定用試料C−1は、同じフッ化処理容器内で処理を行った。また、赤外線吸光度測定用試料C−1は、平板状試験試料Bと同様の形状を有した(50mm×70mm×t2mm)。
赤外線吸光度測定用試料C−1について、上述の<赤外線測定>により、1180cm−1での赤外線吸光度を測定したところ、試験試料B−8とほぼ同じである「92(×10−3)」を示した。
この<赤外線測定>の結果を、図1の相関曲線(即ち吸光度−ガソリン透過量検量線)に当てはめると、燃料タンクA−11の推定ガソリン透過量は、0.64(g/m/日)と推定された。
一方、燃料タンクA−11について、上記の<ガソリン透過試験>にしたがってガソリン透過量を測定したところ、該透過量は、0.63(g/m/日)であった。
【0044】
燃料タンクA−11のガソリン透過量について、推定値(0.64(g/m/日))と実測値(0.63(g/m/日))とを比較すると、両者はほぼ同じであることがわかる。
このことから、燃料タンクA−11と同一条件下で、フッ化処理を施した赤外線吸光度測定用試料C−1の<赤外線測定>の結果と、吸光度−ガソリン透過量検量線とから、燃料タンクA−11のガソリン透過量を精度良く推測できることがわかった。
【0045】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1の試験試料B−1〜B−10の赤外線吸光度と、燃料タンクA−1〜A−10のガソリン透過量から求めた相関曲線(吸光度−ガソリン透過量検量線)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の選別方法であって、
前記製品がポリエチレンから本質的に成り、該製品の表面にフッ化処理層を有し、
該方法が、
a)前記ポリエチレン製製品と略同等のポリエチレン製比較試料群を準備する工程;
b)該比較試料群の各々に様々なフッ化処理を施して異なるフッ化処理層を有するフッ化処理済み比較試料群を準備する工程;
c)フッ化処理済み比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求める工程;
d)前記フッ化処理済み比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定する工程;及び
e)前記ガソリン透過量群と前記赤外線吸光度群とを用いて吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を求める工程;
を有し、該方法は、さらに
f)選別対象である前記製品の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定工程;及び
g)該測定工程における1180cm−1での赤外線吸光度を、前記e)工程で求めた検量線により推定ガソリン透過量を推定する工程;
を有し、
h)前記推定ガソリン透過量が一定量以下である場合に該製品を低ガソリン透過性ポリエチレン製製品として選別する工程;を有する、上記方法。
【請求項2】
前記f)工程に代えて、f’)前記製品の代わりに、該製品と略同等条件下で得られたフッ化処理済み赤外線吸光度測定用試料を準備し、該測定用試料の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する工程;を採用する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記b)工程において、フッ化処理済み比較試料群として、各々同条件下でフッ化処理が施された、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群と、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とを準備し、
c)工程において、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め、
d)工程において、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記製品が低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器である請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記h)工程の一定量が2.0(g/m/日)である請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
低ガソリン透過性ポリエチレン製製品の製造方法であって、
x)表面にフッ化処理層を有する製品であって、該フッ化処理層の下層がポリエチレンから本質的に成る製品を準備する工程;
a)前記製品と略同等のポリエチレン製比較試料群を準備する工程;
b)該比較試料群の各々に様々なフッ化処理を施して異なるフッ化処理層を有するフッ化処理済み比較試料群を準備する工程;
c)フッ化処理済み比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求める工程;
d)前記フッ化処理済み比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定する工程;及び
e)前記ガソリン透過量群と前記赤外線吸光度群とを用いて吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を求める工程;
を有し、該方法は、さらに
f)選別対象である前記製品の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定工程;及び
g)該測定工程における1180cm−1での赤外線吸光度を、前記e)工程で求めた検量線により推定ガソリン透過量を推定する工程;
を有し、
h)前記推定ガソリン透過量が一定量以下である場合に該製品を低ガソリン透過性ポリエチレン製製品として選別する工程;を有する、上記方法。
【請求項7】
前記f)工程に代えて、f’)前記製品の代わりに、該製品と略同等条件下で得られたフッ化処理済み赤外線吸光度測定用試料を準備し、該測定用試料の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する工程;を採用する請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記b)工程において、フッ化処理済み比較試料群として、各々同条件下でフッ化処理が施された、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群と、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とを準備し、
c)工程において、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め、
d)工程において、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定する、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
前記製品が低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器である請求項6〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記h)工程の一定量が2.0(g/m/日)である請求項6〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
低ガソリン透過性ポリエチレン製品の選別装置であって、
選別対象が、ポリエチレンから本質的に成る製品であって該製品の表面にフッ化処理層を有する製品であり、
前記装置は、
A)前記製品の表面の赤外線吸光度を1回反射で測定する測定手段;
B)吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を保存する検量線保存手段;及び
C)前記測定手段による1180cm−1での赤外線吸光度を、前記B)検量線保存手段に保存される検量線により推定ガソリン透過量を推定し、該推定ガソリン透過量が一定量以下である場合に該製品を低ガソリン透過性製品として選別する選別手段;を有し、
前記B)検量線保存手段は、
a)前記ポリエチレン製製品と略同等のポリエチレン製比較試料群を準備し;
b)該比較試料群の各々に様々なフッ化処理を施して異なるフッ化処理層を有するフッ化処理済み比較試料群を準備し;
c)フッ化処理済み比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め;
d)前記フッ化処理済み比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定し;
e)前記ガソリン透過量群と前記赤外線吸光度群とを用いて吸光度とガソリン透過量との関係を示す吸光度−ガソリン透過量検量線を求めて保存する、
上記装置。
【請求項12】
前記A)手段に代えて、A’)前記製品の代わりに、該製品と略同等条件下で得られたフッ化処理済み赤外線吸光度測定用試料を準備し、該測定用試料の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定する測定手段;を採用する請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記b)工程において、フッ化処理済み比較試料群として、各々同条件下でフッ化処理が施された、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群と、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群とを準備し、
c)工程において、イ)赤外線吸光度測定用比較試料群の各々の表面の赤外線吸光度を1回反射ATRで測定して1180cm−1での赤外線吸光度群を求め、
d)工程において、ロ)ガソリン透過量測定用比較試料群の各々のガソリン透過量群を測定する、請求項11又は12記載の装置。
【請求項14】
前記製品が低ガソリン透過性ポリエチレン製ガソリン容器である請求項11〜13のいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記C)手段の一定量が2.0(g/m/日)である請求項11〜14のいずれか1項記載の装置。


【図1】
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【公開番号】特開2008−134178(P2008−134178A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321511(P2006−321511)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000132932)株式会社タカギセイコー (29)
【Fターム(参考)】