説明

低ナトリウム塩生成物を調製する方法、それによって得ることができる生成物、およびその使用

本発明は、塩化ナトリウム(NaCl)および少なくとも1種の添加物を含む塩生成物を調製する方法に関し、塩生成物は、50μm〜10mmの粒径を有し、この方法は、a)場合によって、塩化ナトリウム含有材料を、最終塩生成物の大きさの1,000分の1から3分の1の間である粒径に破砕するステップ、b)場合によって、少なくとも1種の添加物出発材料を、ステップa.)の結果生じる塩化ナトリウム含有材料粒子の粒径の0.5から2倍の間である粒径に破砕するステップ、c)続いて、最終塩生成物の大きさの1,000分の1から3分の1の間である粒径の塩化ナトリウム含有材料粒子と、塩化ナトリウム含有材料粒子の粒径の0.5から2.0倍の間である粒径の添加物粒子とを混合するステップ、d)続いて、40〜400MPaの圧力を使用して、ステップc.)の結果生じる粒子混合物を圧縮するステップ、e.続いて、圧縮された塩生成物を破砕して、50μm〜10mmの所望の粒径の粒子を作るステップを含み、前記ステップは、実質的に乾燥した状態下で実施される。さらに、本発明は、方法によって得ることができる低ナトリウム塩生成物およびヒトまたは動物が摂取するためのその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低ナトリウム塩生成物を調製する方法、その方法によって得ることができる生成物、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
他にも理由はあるがとりわけ、塩化ナトリウムは、その特別な味およびその味を増強する特性のために、食物に使用される。過剰なナトリウム摂取は、いくつかの健康問題に関連していると考えられるので、ヒトのナトリウム摂取を減少させる必要がある。したがって、いくつかの塩生成物では塩化ナトリウムの一部が、塩化カリウムなどのその他の鉱物塩で置き換えられている。しかし、塩化カリウムは、塩化ナトリウムより強い金気および苦味という特徴を有し、そのため食用にあまり好まれない。別法として、時として部分的に塩化ナトリウムに基づく生成物によって、実際のナトリウム摂取を低下させることができ、この生成物は、強い塩の味を生成することで、同様の味および味を増強する効果のために摂取する生成物の必要量を確実に減少させる。これは、例えばWO 2004/075663に開示されている。
【0003】
ヨウ素もしくはフッ化物などの機能性添加物および/または栄養素を塩生成物に添加することは、一般的な実践である。また、さらなる添加物、いわゆる隠蔽剤をかかる塩化ナトリウム代替材料を含む低ナトリウム塩生成物に添加することによって、塩化カリウムなどの塩化ナトリウム代替材料の不快な味を隠蔽することが知られている。最後に、塩化ナトリウムの味の効果を増強するために、塩化ナトリウム系塩生成物に味増強剤を添加することが知られている。
【0004】
塩化ナトリウムベースの生成物に添加される添加物は、特に有機添加物に関する場合、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの原料より小さい粒径を有し得る。例えば、イースト系添加物は、100ミクロンより著しく小さい粒径を有するが、工業的に入手可能な塩化ナトリウムおよび塩化カリウムは、一般的に数百ミクロンの粒径を有する。これらの2つの材料を混合する場合、輸送および貯蔵に際して、偏析が起こり得る。凝集は、かかる偏析を回避する方法である。しかし、所望の粒径に圧縮および破砕した後で、より小さい粒子は、結局、粒子の外表面上に来て、添加物の喪失を引き起こす。
【0005】
さらに、多くの添加物は、塩化ナトリウム、および塩化カリウムなどの塩化ナトリウム代替材料とは別の特性を有するので、処理の観点から、最終生成物の外表面の大部分に添加物が位置するのを避けたほうがよい。例えば、いくつかの添加物は、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムより吸湿性が高く、その結果として、添加物の粒子が捕捉され塩生成物全体に均一に混合されている場合より、外表面に位置する場合のほうが、塩生成物は吸湿性がより高い挙動を示すようになる。
【0006】
低ナトリウム塩生成物を調製する方法は、WO 2003/068006から知られている。この文書は、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、塩化カルシウム、または塩化マグネシウムなどのその他の鉱物塩ならびに場合によってさらなる添加物の顆粒化された塩生成物を開示している。塩生成物を調製する方法は、200ミクロン未満の大きさの塩微粒子を任意選択の成分と混合するステップ、水5〜15重量%を加えるステップ、次に例えば押出しまたは圧縮によって塊を顆粒化するステップを含む。この方法は、生成物を乾燥および150〜2,000ミクロンの粒径に破壊する任意選択のステップによって、完了してよい。
【0007】
この方法は、微粒子形態の塩生成物を得るために、水を加えるステップおよびその後で水を取り除くステップを含んでいるので、不利である。さらに、示された方法は一般に、摩耗に脆弱な粒子を生成し得る。
【0008】
US 2009/0104330は、食物中の塩化ナトリウを減少させるためのナトリウムを減少させた塩味組成物を開示している。組成物は、塩化ナトリウム、食物酸および食物酸の塩の少なくとも1つ、アミノ酸およびアミノ酸の塩の少なくとも1つを含み、さらに塩化カリウム、イースト抽出物、甘味料、および風味物を含むことができる。組成物は、低減した金気/苦味を有し、塩の特徴を増強し、塩味の強度を増加させるとされている。より大きいまたはより小さい粒子が望まれる場合の組成物を調製する多くの技術が掲載されているが、この組成物は、成分をそのままブレンドすることによって調製されることがわかる。US 2009/0104330における塩化ナトリウムベースの生成物に添加された食物酸、アミノ酸、イースト抽出物、甘味料、および風味添加物は実際に一般的に、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムより著しく小さい粒径を有するので、US 2009/0104330において調製される組成物は、上記説明の通り、例えば輸送および貯蔵に際して容易に偏析して、意図したものとは異なる組成物を有する生成物になり、ひいては組成物の機能性に影響を与えることが予想される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、効率がより高く、上記に示された欠点を有さない均一な低ナトリウム塩生成物が結果として得られる、改良された方法を発見することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、より(エネルギー)効率がより高く、添加物が塩化ナトリウムおよび場合によって塩化ナトリウム代替材料と均一に混合され、個々の粒中に含まれる、改良された味を有する低ナトリウム塩生成物を結果として得る、改良された方法を今や発見した。
【0011】
本発明は、塩化ナトリウム(NaCl)および少なくとも1種の添加物を含む(低ナトリウム)塩生成物を調製する方法を提供し、塩生成物は50μm〜10mmの粒径を有し、この方法は、
a.場合によって、塩化ナトリウム含有材料を、最終塩生成物の大きさの1,000分の1から3分の1の間である粒径に破砕するステップ、
b.場合によって、少なくとも1種の添加物出発材料を、ステップa.)の塩化ナトリウム含有材料粒子の粒径の0.5から2倍の間である粒径に破砕するステップ、
c.続いて、最終塩生成物の大きさの1,000分の1から3分の1の間である粒径の塩化ナトリウム含有材料粒子と、塩化ナトリウム含有材料粒子の粒径の0.5から2.0倍の間である粒径の添加物粒子とを混合するステップ、
d.続いて、40〜400MPaの圧力を使用して、ステップc.)の結果生じる粒子混合物を圧縮するステップ、
e.続いて、圧縮された塩生成物を破砕して、50μm〜10mmの所望の粒径の粒子を作るステップ、
を含み、
上記ステップは実質的に乾燥した状態で実施される。
【0012】
さらに本発明は、本発明の方法によって得ることができる低ナトリウム塩生成物ならびにヒトおよび動物が摂取するためのその使用を提供する。
【0013】
GB 1 058 826が、塩化ナトリウムおよびその他のナトリウム塩の混合物を連続して圧縮および破砕することによって得ることができるアルカリ性の完全にナトリウムベースの塩生成物を開示していることに、注目すべきである。得られた塩生成物は、肉の塩漬けに使用できるアルカリ性の塩生成物である。GB 1 058 826は、食用に適切な添加物を含む塩生成物にも、ナトリウム含有量を低下させた塩生成物にも関していない。さらに、この文書において開示された塩生成物は、有機であるか、または味を増強する機能性を有するいずれの添加物も含まない。
【0014】
さらに、JP 2006−169264が、酸および糖成分および電解質、例えば塩化カリウム、を含む透析塩(dialysis salt)生成物を調製する方法を開示していることに、注目すべきであり、この透析塩生成物は、塩化ナトリウムおよび電解質コーティング層を含む第1の組成物と、同一のまたは別の糖成分を含むコーティング層で覆われた糖成分および酸を含む核の粒子を含む第2の組成物とを混合することによって調製される。JP2006−169264は、透析塩を調製するこの方法をその他の少数の方法と比較しており、これらのその他の方法の1つは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、およびグルコースを含む混合物を平均粒子直径50μmに微粉化し、続いてローラー圧縮機によって混合物を顆粒化して、平均粒子直径500μmを有する顆粒を生成することを含む比較例2に開示されており、かかる方法は、安定的な内容物を有する水性透析塩生成物を生成するにはあまり好ましくないと結論付けている。この文書は、圧縮ステップに続く破砕ステップを開示していない。さらに、この文書は、例えば、少量の乾燥した塩粒子の均一性ではなく、むしろ大量の塩の水溶液の均一性が問題である透析塩の調製に関しており、実際に、この文書は、破砕ステップおよび圧縮ステップが実質的に乾燥した状態下で起こる本発明による方法を遠ざけるように教示する(teaches away)。
本発明によって得ることができる生成物は実際に、塩化ナトリウム含有粒子中への添加物のより均一な混合という特徴を有し、さらに、良好な分離および摩耗耐性を有する。実際に、添加物が塩生成物中に(少なくとも1部が)捕捉されるので、添加物が塩生成物に与えうるいずれの望ましくない副作用も減少する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の粒のSEM−EDX写真である。
【図2】本発明の粒の断面図のSEM−EDX写真である。
【図3】現状技術の粒のSEM−EDX写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願において、低ナトリウム塩生成物とは、塩化ナトリウムの一部が、本明細書において塩化ナトリウム代替材料とも呼ばれるその他の鉱物塩、例えば塩化カリウムなどによって置き換えられ(本実施形態において、塩化ナトリウムを含む材料および(1つまたは複数の)塩化ナトリウム代替材料は、「塩化ナトリウム含有材料」と呼ばれる)、少なくとも1種の添加物(味増強剤、隠蔽剤、栄養素、またはいずれかの他の添加物など)を含む生成物と、いわゆる味増強剤として機能する添加物を添加することによって強い塩の味を生成して、より少ない量の塩化ナトリウムによって、同一の味の効果が確実に経験される塩化ナトリウムに基づく生成物との両方、および上記2つの生成物の組合せを含むと定義される。
【0017】
特定の粒径を有すると明記された材料は、同一の粒径を有する粒子のみから構成されることはほとんどないことが、理解されるべきである。本明細書における(塩)生成物または他のいずれかの材料が、ある粒径を有すると明記されているこの点に関して、粒径とは、ISO13320:2009による生成物の平均粒径またはd50と解釈すべきであることが、当業者によって一般的に受け入れられている。
【0018】
本発明の方法を使用して、塩生成物に添加することができる添加物は、本発明の方法を使用して塩生成物へ添加することにより、塩生成物および中間体塩化ナトリウム含有材料が実質的に乾燥した形態を構成しないようにはならない、ヒトまたは動物が摂取するのに適切な任意の材料または食物等級もしくは飼料等級の添加物であり得る。添加物は塩化ナトリウムではなく、また塩化ナトリウム代替材料と同一の材料でもない。ヒトまたは動物が摂取するのに適切な材料は、実施形態において、関連当局によって、ヒトの食品および動物の飼料製品に添加されることが許可される材料である。好ましくは、添加物は有機添加物である。
【0019】
本出願における実質的に乾燥したとは、(全)固体に対して、3重量%より少ない、好ましくは1重量%より少ない遊離水含量を有することを意味する。遊離水とは、100℃で(粒子から)蒸発することができる任意の水を意味する。
【0020】
1つの実施形態における(有機)添加物は、味および/もしくは風味を抑制し、増強し、影響を与え、もしくは変化させる材料、または塩生成物もしくは本発明の塩生成物を使用できる食品の粘結性、自由な流動性、色、食感、微生物安定性、におい、もしくは栄養価に影響を与える材料の群から選択される。有機とは、添加物が炭化水素系物質またはその誘導体であることを意味し、好ましくは天然供給源由来であることを意味する。
【0021】
さらにより好ましい実施形態において、添加物は、味/風味増強剤、味/風味隠蔽剤(例えば、塩化ナトリウム代替材料の不快な(苦いもしくは金気の)味を隠蔽する)、凝固防止剤、または流動添加剤である。最も好ましい実施形態において、添加物は、味/風味増強剤または味/風味隠蔽剤である。味増強剤および味隠蔽剤の2つの群は、しばしば重なるので、本文書において、その2つの群はまとめて、単に「味増強剤」と呼ばれる。
【0022】
味増強剤は、当業者にとって既知の材料から選択できる。味増強剤として適切である材料の例は、例えばWO 2004/075663に見つけることができる。
【0023】
1つの実施形態において、上記の隠蔽および味改良剤は、コハク酸およびクエン酸などの酸;グルタメートなどのアミノ酸およびその誘導体;イースト;イースト抽出物;イースト抽出物などの供給源からのタンパク質加水分解物;ペプチド;植物タンパク質加水分解物;脂肪加水分解物;リボヌクレオチド;フラボノイド;ジカルボン酸を有するアミノ酸のアミド;トレハロース;グルコネートならびにその他の香味料および風味改良物質、またはそれらの組合せの群から選択できる。その他の例としては、乳酸、リンゴ酸などの有機酸;有機酸の塩;リボヌクレオチドの塩;メイラード反応からの生成物、ならびに醤油、魚醤、アンチョビ、およびチーズなどの発酵食品が挙げられる。
【0024】
香味料は当業者にとって既知であり、例えばS.Arctander、Perfume and Flavor Chemicals(Aroma Chemicals)、第1巻および第2巻、1969に見つけることができる。用語、香味料は、香辛料オレオレジンならびにオールスパイス、バジル、唐辛子、シナモン、丁子、クミン、ディル、ニンニク、ハナハッカ、ナツメグ、パプリカ、黒胡椒、ローズマリー、およびターメリックのいずれかに由来する油;アニス油、カラウェー油、丁子油、ユーカリ油、ウイキョウ油、ニンニク油、生姜油、ペパーミント油、タマネギ油、胡椒油、ローズマリー油、およびスペアミント油を含むエッセンシャルオイル;オレンジ油、レモン油、橙皮油、およびタンジェリン油などの柑橘油;ニンニク、セイヨウネギ、アサツキ、およびタマネギを含むネギ属の風味物;アルニカの花の抽出物、カモミールの花の抽出物、ホップ抽出物、およびマリーゴールド抽出物を含む植物抽出物;ブラックベリー、チコリの根、カカオ、コーヒー、コーラ、甘草の根、ローズヒップ、サルサパリラの根、ササフラスの樹皮、タマリンド、甘草、およびバニラ抽出物を含む植物風味抽出物;植物タンパク質加水分解物(HVP)、肉タンパク質加水分解物、乳タンパク質加水分解物を含むタンパク質加水分解物;その全体が参照により本明細書に組み込まれるS.Heath、Source Book of Flavors、Avi Publishing Co.、Westport、Conn.、149〜277ページ、1981に開示されているものを含む、天然および人工の両方の化合された風味物;ならびに還元糖と、アミノ酸を含むタンパク質由来の成分との間のメイラード型反応で調製された加工(反応)風味物を含む。
【0025】
代表的な個々の香味料としては、ベンズアルデヒド、ジアセチル(2,2−ブタンジオン)、バニリン、エチルバニリン、およびシトラル(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)が挙げられる。
【0026】
本発明の方法の塩生成物は、好ましくは自由流動粒子からなる。
【0027】
1つの実施形態において、本発明の低ナトリウム塩生成物は、ヒトまたは動物が摂取するため、好ましくはヒトが摂取するための生成物である。
【0028】
好ましい実施形態において、本発明の低ナトリウム塩生成物は、JP2006−169264の比較例2に開示されている、NaClを3,000gr、KClを73.3g、MgCl.6HOを49.9g、CaCl.2HOを90.3g、酢酸ナトリウムを221.6gr、および粒子直径500μmを有するグルコースを491.2gr、組み合わせて作られた透析塩ではない。さらにより好ましくは、本発明のナトリウム塩生成物は、透析塩では全くない。
【0029】
好ましい実施形態において、塩化ナトリウム含有材料はさらに、塩化ナトリウム代替材料を含む。塩化ナトリウム代替材料は、1つの実施形態において、塩化ナトリウムを含まない鉱物材料であり、好ましくは、塩化ナトリウム代替材料は、ナトリウムを含まない。
【0030】
さらにより好ましい実施形態において、塩化ナトリウム代替材料は、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化コリン、塩化アンモニウム、硫酸マグネシウムの群から選択され、生成物の味および/または味を増強する特性を改良するか、または塩化ナトリウム代替材料の不快な味を隠蔽するために、少なくとも1種の(有機)添加物を添加する。
【0031】
より好ましい実施形態において、さらに、塩化ナトリウム代替材料は、塩化カリウムであり、最も好ましくは、塩生成物は、Na:Kの重量比80:20〜20:80、最も好ましくは、75:25 〜30:70を有する。
【0032】
好ましい実施形態において、ステップc.)における塩化ナトリウム含有材料の粒径は、最終塩生成物の大きさの500分の1から4分の1の間であり、さらにより好ましくは、塩化ナトリウム含有材料の粒径は、最終塩生成物の大きさの100分の1から5分の1の間である。
【0033】
材料の再利用があるいくつかの実施形態において、ステップc.)において必要とされる最終塩生成物の粒径の1,000分の1から3分の1の間の範囲を幾分はずれる粒径を有する粒子によって、本発明の方法を出発することが可能であることは、注目に値する。材料がいくつかの方法のステップを通じて平均で1回または複数回再利用されるように方法が実施されるかかる実施形態において、成分は数回の圧縮および破砕ステップを受け、それによって、成分は最終塩生成物中で方法から引き出される前に、その粒径が小さくなる。その結果として、方法はまた、最終塩生成物の大きさの粒径の3分の1から2分の1の間の粒径を有する粒子で、実施することができ、これは、全ての成分の平均で1回または複数回の再利用によって、ステップc.)における成分の平均粒径が、事実上、ステップc.)の、したがって本発明の方法の範囲内にあるからである。
【0034】
さらに別の好ましい実施形態におけるステップc.)の塩化ナトリウム含有材料および添加物の粒径は、好ましくは10から100μmの間である。最終の(低ナトリウム)塩生成物は、好ましくは100から1,000μmの間の粒径を有する。
【0035】
ステップc.)における好ましい実施形態において、添加物粒子は、塩化ナトリウム含有材料粒子の粒径の0.8から1.2倍の間である粒径を有する。
【0036】
ステップa.)、b.)、およびe.)において明記されている破砕のステップは、粒子の大きさが減少するいずれかの方法を含むことを意味し、破壊、破砕、または粉砕などの方法を含むことが意図される。
【0037】
1つの組み合わせたステップにおいて成分の2つ以上とともに、または別々の破砕ステップによって、成分を破砕することができることは注目すべきである。塩化ナトリウム代替材料は、本方法で使用される場合、塩化ナトリウムと一緒にまたは別々に破砕することができる。
【0038】
方法の効率性のために、できるだけ多くの成分を1つの破砕ステップにおいて破砕することが好ましく、合理的に実行可能である場合、全ての成分を単一回の破砕ステップにおいて破砕することがさらにより好ましい。このさらにより好ましい実施形態において、組み合わされた破砕の間に、成分は(しばしば元から)混合されているので、本発明の方法のステップa.)およびb.)は、1つのステップに組み合わせることができ、事実上、本発明の方法のステップc.)によって同時に実行される。
【0039】
ステップd.)における粒子混合物を圧縮するために使用される圧力は、錠剤の単軸圧縮で適用される圧力である(結果として、ある一定の密度の圧縮された粒子混合物を生成する)。しかし、圧縮は、ローラー圧縮機などのその他の圧縮機によって、適切に行われてよい。かかる場合において、使用される圧力は、結果として単軸圧縮と同一の密度の圧縮物になり得る圧力である。
【0040】
ステップd.)において明記された圧縮のステップは、外力を適用することによって、例えば、40〜400の、好ましくは40〜200MPaの圧力、より好ましくは50〜120MPaの、最も好ましくは75〜100MPaの圧力下で、粒子を錠剤にするかまたは凝集させることによって、粒子を凝集させるいずれかの方法を含むことを意味する。
【0041】
塩化ナトリウム含有材料は、海塩、岩塩、精製(真空)塩、または合成塩起源などのいくつかの多様な起源であり得る。
【0042】
1つの実施形態における本発明の方法は、材料を篩にかけて、所望の組成物の粒子を単離するか、または細か過ぎるおよび粗過ぎる粒子から所望の(1つまたは複数の)粒径範囲の粒子を分離する、後続のステップを含むことができる。かかる実施形態において、例えば、ステップe.)の後で、材料を篩にかけて、(1つまたは複数の)塩生成物から細か過ぎるおよび/または粗過ぎる粒子を取り除き、場合によってこれらの細か過ぎるおよび/または粗過ぎる粒子は、この方法のステップc.)およびe.)にそれぞれ再利用される。
【0043】
さらに、本方法のさらなる実施形態において、副生成物として形成され、しばしばちり粒子(dust particles)と呼ばれ得るいずれの極端に細かい粒子も、フィルターに収集され、この方法の、好ましくはそのステップc.)またはd.)に戻して再利用される。
【0044】
1つの実施形態において、(1つまたは複数の)さらなる添加物を、塩生成物に添加することができる。好ましい実施形態において、(1つまたは複数の)かかるさらなる添加物は、ビタミン、酸、イースト、アミノ酸、例えばフッ化物、ヨウ化物、ヨウ素酸塩、鉱物、亜硝酸塩、硝酸塩、香味料、芳香料、サッカライド、(天然)風味物、香辛料、もしくはハーブなどの機能性添加物または栄養素の群から選択できる。
【0045】
好ましい実施形態において、本発明の方法におけるさらなる添加物を、方法のステップc.)またはe.)において得られた塩混合物上に、より好ましくはステップe.)の生成物上に、場合によってステップe.)の生成物を篩にかけた後で、噴霧する。この実施形態は、実質的に乾燥した形態で単離することが困難または不可能であるか、または液体(もしくは溶解された)形態ではるかにより簡単に処理されるもしくは分布する塩生成物に、さらなる添加物を添加したい場合に、特に有用である。さらなる添加物を添加するこの追加のステップに続いて、必要な場合、乾燥するステップを行ってもよい。
【0046】
さらなる別の好ましい実施形態において、本発明の方法におけるさらなる添加物を、ステップc.)またはe.)において得られた塩混合物中へ、より好ましくはステップe.)の生成物中へ、場合によってステップe.)の生成物を篩にかけた後で、混合する。このさらなる添加物は、液体の存在下で添加することができ、液体は、添加物を塩生成物に付着させ得る。さらなる添加物を添加するこの追加のステップに続いて、必要な場合、乾燥するステップが来てもよい。
【実施例1】
【0047】
市販されている(精製品質の)NaCl、KCl、およびコハク酸を乳鉢内で破砕し、90μmスクリーンで篩にかけた。篩を通過するフラクションから、NaCl(59μmのd50を有する)550g、KCl(36μmのd50を有する)479.5g、およびコハク酸(58μmのd50を有する)9.9gを取り出し、DSM Food Specialties BV売渡のイースト抽出物Maxarite(商標)Delite(58μmのd50を有する)60.5gと完全に混合した。この混合物から、(100MPaの圧力に相当する)1.0t/cmの圧力を使用して、Herzog錠剤機で50gの錠剤(直径40mm、高さほぼ20mm)を作った。結果として生じた錠剤を直径方向に破壊し、6mm、3mm、最終的には1mmのスクリーンを使用して、Frewitt篩ミル(sieving mill)で粉砕した。Frewitt篩ミルから結果として生じる生成物を、710、500、280、および90μmのスクリーンを使用して、篩にかけフラクションにした。280〜710μmのフラクション(すなわち、組み合わされた2つのフラクション)をさらに分析し、396μmのd50を有することが実証された。
【実施例2】
【0048】
この実施例の配合物は、NaClを70重量%、KClを26重量%、およびイースト抽出物Maxarite(商標)Deliteを4重量%含む。NaClおよびKClを、5,700rpmで運転したAlpine160UPZピンミルで粉砕した。粉砕したNaCl(d50=69μm)およびKCl(d50=58μm)を、粉砕されていないMaxarite(商標)Delite(d50=58μm)と一緒に、1.5kgバッチで、2リットルのNautamixerに入れ、少なくとも10分間、19rpmで混合した。混合した粉末を、箱の中に収集し、その箱からHerzog錠剤機に、50gづつに分けて手作業で入れた。かけた圧力は、(50〜100MPaの圧力に相当する)0.5t/cm〜1.0t/cmの範囲であった。錠剤の大部分は、1.0t/cmの圧力で圧縮された。ほとんどの錠剤の寸法は、直径40mmおよび高さほぼ20mmであった。結果として生じた錠剤を直径方向に破壊した。
【0049】
予備的な破壊の後で、錠剤のさらなる粗砕を3つのステップ、
1.直径200mm、ロール間の距離8.0mm、ロール速度295rpm(両ロールとも)を有する、Merz歯付き(ピラミッド型)ローラークラッシャー(toothed (pyramids) roller crusher)、
2.直径200mm、ロール間の距離3.0mm、ロール速度195および300rpmを有する、Merzスムーズローラークラッシャー(これはクラッシャーが摩擦によって運転されることを意味する)、
3.直径200mm、ロール間の距離1.0mm、ロール速度195および300rpmを有する、Merzスムーズローラークラッシャーで行った。
【0050】
最終破砕ステップの後のサイズを上回ったフラクションは、大きく見えた。したがって、生成物を、今度はロール間の距離0.8mmで運転して、Merzスムーズローラークラッシャーでもう1回破砕した。破砕された生成物を、200μmおよび710μmスクリーンを設置したMogensen Piccoloで篩にかけた。
【0051】
200〜710μmのフラクションをさらに分析し、455μmのd50を有することが実証された。
【0052】
図1および図2において、写真はこのフラクションについて示し、図2は断面図である。この写真は、SEM−EDX分析(すなわち、走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分析)を使用して撮り、Na、K、Clの元素および有機材料の分布を決定した。樹脂中に粒子を埋め込み、粒子の上部層を注意深く取り除くことによって、粒子の内表面を分析した。図1および図2に見ることができる通り、実施例2の生成物は、それぞれが、存在する個々の成分を有する粒子からなる。粒子中に破砕された出発材料を識別することが可能であり、イースト添加物が表面に優先的に存在する下記の比較例4の試料とは反対に、成分が、粒子中に均等におよび均一に分布していることが明らかである。
【0053】
比較例3
精製品質のNaCl(500g、375μmのd50を有する)、KCl(436g、296μmのd50を有する)、コハク酸(9g、464μmのd50を有する)、およびイースト抽出物Maxarite(商標)Delite(55g、58μmのd50を有する)を取り、完全に混合した。この混合物から、50gの錠剤(直径40mm、高さほぼ20mm)を、Herzog錠剤機で作った。適用された圧力は、(100MPaの圧力に相当する)1.0t/cmであった。結果として生じた錠剤を直径方向に破壊し、6mm、3mm、最終的には1mmのスクリーンを使用して、Frewitt篩ミルで粉砕した。Frewitt篩ミルから結果として生じた生成物を、710、500、280、および90μmのスクリーンを使用して、篩にかけフラクションにした。90μmより小さいフラクション、90〜280μmのフラクション(231μmのd50を有する)、280〜500μmのフラクション(381μmのd50を有する)、500〜710μmのフラクション(587μmのd50を有する)、および710μmより大きいフラクションを試験した。
【0054】
フラクションは、非常に様々な味および溶解特性を示した。使用された出発材料の量に対して、NaClの量が予想より8%多く、KClの量が予想より3%少なく低く、コハク酸の量が予想より10%少なく、Maxarite(商標)Deliteの量が予想より43%少ないことがわかったので、280〜500μmのフラクションの化学分析は、意図された組成物からの著しい逸脱を示した。さらに、圧縮のために使用された混合物は分離傾向を示し、それによって工業的な圧縮工程における適切な取り扱いを妨げた。
【0055】
比較例4
この例の配合物は、NaClを69重量%、KClを26重量%、およびイースト抽出物を5重量%含む。配合物を、市販されているNaCl(d50=375μm)およびKCl(d50=296μm)を使用して、作った。これらの成分を粉砕されていないd50=86μmを有するイースト抽出物と一緒に入れて、混合した。この混合物から、50gの錠剤(直径40mm、高さほぼ20mm)を、Herzog錠剤機で、(100MPaの圧力に相当する)1.0t/cmの圧力を使用して作った。結果として生じた錠剤を直径方向に破壊し、6mm、3mm、最終的には1mmのスクリーンを使用して、Frewitt篩ミルで粉砕した。90〜200μmおよび200〜710μmフラクションの粒子を、成分分布のために分析した。
【0056】
図3において、写真は、SEM−EDX分析、走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分析を使用して、この比較例4の200〜710μmのフラクションについて示し、Na、K、Clの元素および有機材料の分布を決定した。図3に見ることができる通り、イースト粒子は、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの粒子の外表面上に主に存在しているように見える。さらに、この比較例において作られた粒子は、大体において、出発材料として使用された主要な粒子からなることを理解することができる。換言すれば、破砕が、元々の粒子表面を通じて主に起こり、それによって元々の個々の成分、すなわちNaClおよびKClおよびイースト抽出物の粒子を遊離させた。この最後の所見から、イースト抽出物粒子が元々のKClおよびNaCl出発材料粒子の表面上にだけ位置し、この比較例4の方法が、実施例2におけるように全ての成分を含む均一な粒子を結果として生成せず、その代わりに、表面にイースト抽出物の凝集塊を有する、主に分離したNaClおよびKCl粒子を結果として生成することが、予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ナトリウム(NaCl)および少なくとも1種の添加物を含む塩生成物を調製する方法であって、塩生成物が、50μm〜10mmの粒径を有し、
c.最終塩生成物の大きさの1,000分の1から3分の1の間である粒径の塩化ナトリウム含有材料と、塩化ナトリウム含有材料粒子の粒径の0.5から2.0倍の間である粒径の添加物粒子とを混合するステップ、
d.続いて、40〜400MPaの圧力を使用して、ステップc.)の結果生じる粒子混合物を圧縮するステップ、
e.続いて、圧縮された塩生成物を破砕して、50μm〜10mmの所望の粒径の粒子を作るステップ
を含み、
上記ステップが、実質的に乾燥した状態下で実行される方法。
【請求項2】
a.塩化ナトリウム含有材料を、最終塩生成物の大きさの1,000分の1から3分の1の間である粒径に破砕するステップ、および
b.少なくとも1種の添加物出発材料を、ステップa.)の結果生じる塩化ナトリウム含有材料粒子の粒径の0.5から2倍の間である粒径に破砕するステップ
の1つまたは複数をさらに含み、
ステップa.)および/またはb.)が、請求項1に記載のステップc.)に先行するか、またはステップc.)と同時に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩化ナトリウム含有材料が、塩化ナトリウム代替材料をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1種の添加物が、有機添加物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の添加物が、味増強剤である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
塩化ナトリウム代替材料が、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化コリン、塩化アンモニウム、硫酸マグネシウムの群から選択され、生成物の味および/または味を増強する特性を改良するか、または塩化ナトリウム代替材料の不快な味を隠蔽するために、少なくとも1種の添加物を添加する、、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
塩化ナトリウム代替材料が、塩化カリウムであり、塩生成物が、Na:Kの重量比80:20〜20:80を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1種の添加物が、実質的に乾燥した形態で単離することができる、ヒトまたは動物が摂取するのに適切な添加物である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種の添加物が、コハク酸およびクエン酸などの酸;グルタメートなどのアミノ酸およびその誘導体;イースト、イースト抽出物;イースト抽出物などの供給源からのタンパク質加水分解物;ペプチド;植物タンパク質加水分解物;脂肪加水分解物;リボヌクレオチド;フラボノイド;ジカルボン酸を有するアミノ酸のアミド;トレハロース;グルコネートならびにその他の香味料および風味改良物質、またはそれらの組合せの群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップe.)の後で、材料を篩にかけて、塩生成物から細か過ぎるおよび/または粗過ぎる粒子を取り除き、場合によって、これらの細か過ぎるおよび/または粗過ぎる粒子が、ステップc.)およびe.)でこの方法にそれぞれ再利用される、前記請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
さらなる添加物を、生成物上へ噴霧するか、またはステップc.)もしくはe.)の塩混合物中へ混合する、前記請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記請求項1から11のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる低ナトリウム塩生成物。
【請求項13】
ヒトもしくは動物が摂取するための、またはヒトの食品もしくは動物の飼料製品への添加物としての、請求項12に記載の低ナトリウム塩生成物の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−525125(P2012−525125A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507657(P2012−507657)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053638
【国際公開番号】WO2010/124905
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(509131443)アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (26)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
【住所又は居所原語表記】Stationsstraat 77, 3811 MH Amersfoort, Netherlands
【Fターム(参考)】