説明

低ループ・ワイヤ・ボンディングのシステムと方法

低ループ・ワイヤ・ボンディングのための方法が提供される。この方法は、第一ワイヤ(120)の一端に配置された第一ボンディング・ボール(122)と、一つまたはそれ以上のリード線(114)を有するリードフレーム(110)へ結合されたダイ(20)のボンド・パッド(22)の間に第一ボンドを形成することを含む。この方法はまた、前記ワイヤの一部分と前記リードフレーム(114)の間に第二ボンド(124)を形成することを含む。前記第一ボンドと前記第二ボンドの間のワイヤの前記長さは、第一ループ高さ(190)を有する前記ワイヤ内のループを形成する。この方法はさらに、前記第一ボンディング・ボール(122)の上に第二ボンディング・ボール(164)を配置することを含み、前記ループの一部分は前記第一および第二のボンディング・ボール(122、162)の間で圧縮される。この圧縮されたループは、第一ループ高さ(190)よりも低い第二ループ高さ(195)を有する。この方法はまた、前記第二ボンディング・ボール(162)、前記ワイヤ(120)、および前記第一ボンディング・ボール(122)の間に第三ボンドを形成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体の分野に関係し、特に、低ループ・ワイヤ・ボンディングのシステムと方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
集積回路製造における典型的なワイヤ・ボンディング加工は、ダイのパッドに結合される端部に、ボンディング・ボールを有する通常の導線を使用する。ボールがパッドへボンドされた後に、ワイヤの他端がリードフレームの1つのリード線へボンドされて、ワイヤの「ループ」を形成する。このワイヤ・ループの高さは半導体パッケージの高さへ直接に影響する。薄型パッケージやスタック・パッケージなどにより、半導体パッケージングが一層コンパクトになるにつれて、パッケージング・サイズの極小化と信頼性の確保が、半導体設計のますます重要な考慮点になってきた。従って、ループ高さの極小化は、半導体パッケージングのサイズを小さくするのに重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの実施例において、低ループ・ワイヤ・ボンディングのための方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この方法は、第一ワイヤの一端に配置された第一ボンディング・ボールと、1つまたはそれ以上のリード線を有するリードフレームへ結合されたダイのボンド・パッドとの間に、第一ボンドを形成することを含む。この方法はまた、ワイヤの一部分とリードフレームのリードとの間に第二ボンドを形成することを含む。第一ボンドと第二ボンドの間のワイヤの長さは、第一ループ高さを有するワイヤのループを形成する。この方法は更に、第一ボンディング・ボールの上に第二ボンディング・ボールを配置することを含み、ループの一部分は第一および第二のボンディング・ボールの間で圧縮される。圧縮されたループは、第一ループ高さよりも低い第二ループ高さを有する。この方法はまた、第二ボンディング・ボール、ワイヤ、および第一ボンディング・ボールの間に、第三ボンドを形成することを含む。
【0005】
本発明のもう一つの実施例において、半導体デバイスはリードフレームに結合されたダイを含み、このダイは1つまたはそれ以上のリード線を有する。リードフレームは、1つまたはそれ以上のリード線を含む。このシステムは更に、一端に配置されたボンディング・ボールを有する第一ワイヤを含み、ボンディング・ボールは第一ボンドにおいてダイのボンド・パッドへボンドされ、第二ボンドにおいてワイヤの一部分がリードフレームのリード線へボンドされる。第一ボンドと第二ボンドの間のワイヤの長さは、第一ループ高さを有するワイヤのループを形成する。このシステムはまた、第二ボンディング・ボール、ワイヤ、および第一ボンディング・ボールの間に形成される第三ボンドを含み、この第二ボンディング・ボールは第一ボンディング・ボールの上に配置される。ループの一部分は、第一および第二のボンディング・ボールの間で圧縮される。圧縮されたループは、第一ループ高さよりも低い第二ループ高さを有する。
【0006】
本発明のもう一つの実施例において、低ループ・ワイヤ・ボンディングのための方法が提供される。この方法は、ボンディング・ヘッド内に金線を配置することを含む。金線は、このワイヤの一端に配置される第一ボンディング・ボールを含む。第一ボンディング・ボールは、ボンディング・ヘッドの一端から延伸する。この方法はまた、リードフレームに対してボンディング・ヘッドを位置決めして、第一ボンドが形成されるボンド・パッドに対して第一ボンディング・ボールを位置決めすることと、第一ボンディング・ボールとボンド・パッドの間に第一ボンドを形成することを含む。この方法はまた、リードフレームに対してボンディング・ヘッドを位置決めして、第二ボンドが形成されるリードフレームのリード線に対してワイヤの一部分を位置決めすることを含む。この方法は更に、ワイヤのこの部分とリード線の間に、第二ボンドを形成することを含む。第一ボンドと第二ボンドの間のワイヤの長さは、第一ループ高さを有するワイヤのループを形成する。この方法はまた、第二ボンド近辺のワイヤを切断して、切断されたワイヤの先端に第二ボンディング・ボールを形成することを含む。この方法はまた、第一ボンディング・ボールの上に第二ボンディング・ボールを配置することを含む。ループの一部分は、第一および第二のボンディング・ボールの間で圧縮される。圧縮されたループは、第一ループ高さよりも低い第二ループ高さを有し、第二ループ高さは、約52μmよりも低い。この方法はまた、第二ボンディング・ボール、ワイヤ、および第一ボンディング・ボールの間に、第三ボンドを形成することを含む。第一、第二、および第三のボンドは、熱圧着またはサーモソニック・ボンディング(thermosonic bonding)からなるグループから選択される接着方法を使用して形成される。
【0007】
本発明の一つまたはそれ以上の実施例の技術的長所には、ワイヤ・ボンド・ループ高さの削減が含まれ、これは半導体パッケージの全体的なサイズの削減を可能にする。本発明の一つまたはそれ以上の実施例の他の技術的長所は、ループ・ワイヤの引っ張り強さの増大による半導体アセンブリの信頼性を増大する能力である。
【0008】
いくつかの実施例は、これらの技術的長所の全て、いくつかを供給し、または供給しない。いくつかの実施例は、一つまたはそれ以上の他の技術的長所を供給し、それらの一つまたはそれ以上は、本書に含まれる図面、説明、特許請求の範囲から、当業者に容易に明らかになるであろう。
【実施例】
【0009】
本発明の実施例とその利点は、図面の図1ないし図4を参照することにより最も良く理解されるが、諸図の同一または対応する部分について、同一番号が使用されている。
【0010】
半導体製造工程は2つの主要工程に分けられる:(1)ウエハ製造、および(2)ウエハ・テスト、組立、およびパッケージングである。ウエハ製造の工程は、ブランクのシリコン・ウエハの中と上に材料の層を逐次的に構築して、集積回路などの半導体デバイスを形成する一連のステップである。たとえばこれらのステップは、とりわけ酸化、フォトリソグラフィ、沈積、メタライゼイション、および機械的化学的平坦化を含む。これらの製造ステップは当業者に公知なので、更には詳述しない。
【0011】
図1Aと図1Bは、ウエハ製造から典型的に結果する製品を図示する。この製品は、ブランクの半導体ウエハ12の中と上に形成されるダイ20のグリッドを含む製造済みウエハ10である。各ダイ0は、製造ステージの間に形成された個別の半導体デバイス(たとえば集積回路)を含む。製造済みウエハ20は、それらの複雑さとサイズにより、いずれかの数のダイ20を収容する。各ダイ20は、ダイ20のエッジを並べる多数のボンド・パッドまたはボンディング・パッド22を含む。ボンド・パッド22は、電気信号が回路へ供給されるように集積回路の種々の部分へ結合された導電エリアである。ボンド・パッド22は、金属などいずれか適当な導電物質から制作され、いずれか適当なサイズと形状を有し、また、いずれか適当なパターンで第20の上に形成される。ダイ20は、スクライブ・チャネル(scribe channels)30(代わりにスクライブ・ライン(scribe line)またはソー・ライン(saw line)と呼ばれる)により、製造済みウエハ10上で分離されている。スクライブ・チャネル30は、各ダイ20の周辺の間のエリア(回路その他の構造がその上に製造されていないブランクのウエハ12の部分)を含む。
【0012】
ウエハ10を製造した後に、ウエハ10は機能的にテストされ、その間に各ダイ20は、テストの結果により受け入れられるかまたは拒絶されるかをマークされる。ウエハ・テストは、当技術分野に公知であるので、さらには詳述しない。テスト段階から到着するウエハ10は、典型的にインクの点によりマークされた拒絶ダイのマークを有するか、またはそのダイが拒絶された原因であるダイの中の欠陥の位置のマップが添付されている。組み立て段階の最初のステップは、プレシジョン・ソー(precision saw)を使用してダイ20をスクライブ・チャネル30へカットすることである(代わりにダイをスクライブすることにより、分離できる)。拒絶とマークされたダイ20は除外され、それからテスト段階を通過したダイ20はパッケージングのためのフレーム(典型的に、リードフレームと呼ばれる)へ各々添付されるが、図2に関して一層詳細に説明する。パッケージング段階において、ダイ20の一つまたはそれ以上のボンド・パッド22が金線など細い金属線を介してパッケージ・リードフレーム上の対応するリード線へ結合されるが、これは図3Aないし図3Iに関して、さらに詳細に説明される。
【0013】
図2は、リードフレーム・アセンブリ100の例を図示する。リードフレーム100は、リードフレーム110、リードフレーム110へ取り付けられたダイ20、およびダイ20をリードフレーム110へ電気的に結合するワイヤ120を含む。リードフレーム110のようなリードフレームは、金属などの適当な導電物質から作られる。ある実施例において、リードフレーム110は、ダイ・アタッチメント・エリア112を含む。パッケージング中に、ダイ20は金シリコン共晶層(gold‐silicon eutectic layer)、エポキシ接着剤、またはダイ20をダイ・アタッチメント・エリア112へ取り付けるいずれかの適当な方法を用いて、ダイ・アタッチメント・エリア112へ取り付けられる。ダイ20がダイ・アタッチメント・エリア112へ取り付けられると、自動ワイヤ・ボンディング・ツールが使用されて、ワイヤ120をボンド・パッド22およびリード114へ取り付け、これによりダイ20がリード114へ電気的に結合されるが、これは図3Aないし図3Iに関して一層詳細に説明される。ある実施例においては、ワイヤ120はアルミニウムまたは金などのいずれか適当な導電物質から作られ、人間の髪の毛の直径よりも小さな直径を有する。たとえばワイヤ120は約25マイクロメータ(μm)の直径を有する。ダイ20とリードフレーム110の間に、適当な電気的接続がなされた後に、リードフレーム・アセンブリ110の一部分は、プラスチックまたはエポキシのブロック内にカプセル化される。このカプセル化処理は公知であるので、さらには詳述しない。
【0014】
技術の進歩が半導体パッケージ・サイズの減少を要求するので、ワイヤ120により使用される空間の大きさが重要な要素になった。本発明の教示によれば、半導体パッケージ・サイズを減少させることができて、同時に半導体の信頼性を維持または改良できる低ループ・ワイヤ・ボンディングのためのシステムと方法が供給される。
【0015】
図3Aないし図3Iは、低ループ・ワイヤ・ボンディングのための例示的なシステムの例示的な断面図を示す。図3Aないし図3Cは、ダイ20のボンド・パッド22へ接着されるワイヤ120を図示する。図3Aにおいて、ワイヤ120はワイヤ120の端部に配置されたボンディング・ボール122を含む。ある実施例においては、ボンディング・ボール122の形成は瞬間的な電気的スパークまたは小さな水素の炎を使用して、ワイヤ120の先端を溶かしてボンディング・ボール122を形成する。ボンディング・ボール122のようなボンディング・ボールの通常の形成と使用は、当業者に公知である。ワイヤ120は、自動ワイヤ・ボンディング・ツールのボンディング・ヘッド140により配置されて、グリップされる。ボンディング・ヘッド140はいずれか適当なサイズと形状であって良く、またいずれか適当な物質から形成される。ある実施例において、ボンディング・ヘッド140はセラミック物質から形成される。ボンディング・ヘッド140は、「毛細血管」としても知られるワイヤ・パッセージ142を含み、これは適当なワイヤ120を受け入れるために構成される。ワイヤ・パッセージ142は、いずれか適当なプロフィールを有し、いずれか適当な方法でボンディング・ヘッド140の中に形成される。図3Aは単一のボンディング・ヘッド140を図示するが、いずれか適当な数のボンディング・ヘッド140を利用することができ、これにより、一つまたはそれ以上のワイヤ120が、ダイ20のボンド・パッド22へ同時的に接着される。
【0016】
ある実施例において、ボンディング・ヘッド140は、ボンディング・ヘッド140を位置決めするためのロボット・アームのようなコンピュータ制御の装置を使用して、ダイ20の上に位置決めされ、またこうしてボンディング・パッド22上にワイヤ120およびボンディング・ボール122を位置決めする。代わりの実施例において、ダイ20は、コンピュータ制御の装置を使用してボンディング・ヘッド140の下に位置決めされる。図3Aに示すように、ボンディング・ヘッド140は、矢印150に示すように、ボンディング・パッド22に向かって移動する。ある実施例において、ボンディング・ボール122に熱が加えられて、ボール122を柔らかくする。図3Bにおいて、ボンディング・ヘッド140は、ボンド・パッド22へ向かって下降済みであって、これにより加熱されたボンディング・ボール122をボンド・パッド22に対して押し付け、ボンディング・ボール122をボンド・パッド22に対して少なくとも部分的に平らになるようにして、ワイヤ120とパッド22の間に接着を形成する。このタイプの接着は、「熱圧縮」接着と呼ばれる。代わりの実施例において、超短波エネルギーのパルスがボール122へ加えられる。この追加のエネルギーは、ボンディング・ボール122を柔らかくするのに必要な熱を供給するのに充分であり、これにより、ボンディング・ボール122はパッド22へ押し付けられて接着する。このタイプの接着は、「サーモソニック(thermosonic)」接着と呼ばれる。熱圧縮接着法およびサーモソニック接着法を上記に議論したが、ボンディング・パッド22と、ボンディング・ボール122を接着するためのいずれか他の適当な方法を実施できる。
【0017】
図3Cにおいて、ボンディング・ヘッド140は、矢印152で示すようにワイヤ120へのそのグリップをゆるめてダイ20から離れて上昇する。図3Dにループ高さ190で示すように、ボンディング・ヘッド140が予備的な「ループ高さ」へ上昇すると、ボンディング・ヘッド140はリード114の上に位置決めされる(またはリード114がボンディング・ヘッド140の下に位置決めされる)。一般に、従来のワイヤ・ボンディング処理は、ワイヤ・ボンド上の機械的緊張を減少させて、「ネック(neck)」損傷のような機械的緊張により起こるワイヤへの損傷を防止するために、一定の最低ループ高さを維持することが必要である。そうしたワイヤ損傷は、接着の完全性を減少させると共に、接着の電気的性能に影響する。たとえば従来のループ・ボンディングを使用した場合、本発明に関して実行された実験は、従来のループ・ボンディングについて典型的な平均ループ高さ190は、約65μmであることが示された。従来のループ・ボンディングのための典型的なループ高さ190の範囲は、約59μmないし72μmであった。図3Gないし図3Iに示すように、本発明の諸実施例は従来の技法よりも一層低いループ高さを可能にすると共に、ワイヤへの損傷の影響を減少させる。
【0018】
図3Dは、矢印155により示すように、リード線114の上に位置決めされるために横方向に動いているボンディング・ヘッド140を図示する。代わりの実施例において、リードフレーム・アセンブリ100が横方向に移動して、これにより、矢印154で示すように、リード線114がボンディング・ヘッド140の下に位置決めされる。ある実施例においては、従来のワイヤ・ループ・ボンディング処理の一つの結果は、従来のループ・ボンディング中にパッド22とのボンディング接合において、ワイヤ120に加わる機械的緊張が、ボンディング・ボール122の近辺のワイヤ120を損傷させる。従来のループ・ボンディングにより引き起こされるこの損傷は、しばしば「ネック・ダメージ(neck‐damage)」と呼ばれるが、それは、ワイヤ120とボンディング・ボール122の間で、接合の近くすなわち「首(neck)」に、起るからである。そうした損傷はワイヤ120とパッド22の間の接着の引っ張り強さを限定し、これは接着の性能に否定的な影響を及ぼす。たとえば本発明に関して行われた実験は、従来のループ・ボンディングが約1.6グラム重量ないし約6.3グラム重量の範囲以内のワイヤ引っ張り強さを結果することを示した。従って、従来のループ・ボンディング技法を使用した場合、ワイヤ120に加えられたわずか1.6グラム重量の引っ張りによって、ワイヤ120はダイ20から引き離されることを実験が示した。ネック・ダメージを相殺しワイヤ120の引っ張り強さを増大させる方法が、図3Gないし図3Iに関して下記に議論される。
【0019】
図3Eは、矢印156で示すように、リード線144へ向かって下降するボンディング・ヘッド140を示す。図3Eに示すボンディング・ヘッド140のリード線111への下降は、図3Dに示すリード線114に対するボンディング・ヘッド140の横方向の位置決めから区別される動きとして、図3Eに図示されているが、ある実施例においては、これらの位置決め動作が同時的に起り得る。熱圧着またはサーモソニック・ボンディングなどの適当なボンディング技法を使用することにより、ワイヤ120がリード線114へ接着される。ワイヤ120がリード線114の表面へ接触するようになると、ボンディング・ヘッド140が、リード線114に対してワイヤ120を変形し、これが楔形接着124を生成して、これはワイヤ120へ段階的な推移を有する。
【0020】
図3Fは、ボンド124からのワイヤ120の分離を図示する。ボンド124からワイヤ120を分離するために、電気的スパークまたは小さな水素の炎が使用される。この同じ電気的スパークまたは炎は、他のパッド22への接着のためにワイヤ120を準備するために、ワイヤ・パッセージ142内に配置されたワイヤ120の先端において、新しいボンディング・ボール122を同時的に形成するために使用される。
【0021】
図3Gないし図3Iは、ボンディング・ボール120へスタッド・バンプ(stud bump)を接着する処理を図示する。図3Gにおいて、通常のループ接着後のリードフレーム・アセンブリ100の全体の高さまたは厚さを、パッケージ高さ192として図示する。ワイヤ160が、自動ワイヤ・ボンディング・ツールのボンディング・ヘッド170により配置されて、グリップされる。ある実施例においては、ボンディング・ヘッド170はセラミック物質から形成される。ボンディング・ヘッド170は、いずれか適当なサイズと形状で良く、またいずれか適当な物質から形成される。ボンディング・ヘッド170は、構造と機能において、図3Aないし図3Fのボンディング・ヘッド140に実質的に類似している。さらに、ある実施例においては、同一の自動ワイヤ・ボンディング・ツールを、ボンディング・ヘッド140および同170として、両方に使用できる。代わりの実施例において、別々の自動ワイヤ・ボンディング・ツールを、ボンディング・ヘッド140および同170の各々に使用できる。図3Gは、単一のボンディング・ヘッド170を図示するが、いずれか適当な数のボンディング・ヘッドを使用して、それにより、一つまたはそれ以上のボンディング・ボール162をダイ20の上に同時的に位置決めできる。
【0022】
ボンディング・ヘッド170は、「毛細血管」としても知られるワイヤ・パッセージ172を含み、これは、適当なワイヤ160を受け入れるように構成される。ワイヤ160は、ワイヤ160の端部に配置されるボンディング・ボール162を含む。ワイヤ160とボンディング・ボール162は、構造において、実質的にワイヤ120およびボンディング・ボール122に類似している。ある実施例において、ワイヤ160は、図3Aないし図3Fに図示された最初のボンディング処理に使用されたワイヤ(ワイヤ120)と、同一である。ボンディング・ボール162を形成する方法は、ボンディング・ボール122を形成する方法と、同一であるかまたは、実質的に類似している。
【0023】
ある実施例において、ボンディング・ヘッド170は、ロボット・アームなどのボンディング・ヘッドを位置決めするためのコンピュータ制御の装置を使用してダイ20の上に位置決めされ、またこうしてワイヤ160およびボンディング・ボール162は、ワイヤ120が接続されているボンディング・パッド22の上に、位置決めされる。ある実施例において、ボンディング・ヘッド170は、ボンディング・パッド22へワイヤ120を取り付けるために使用されるボンディング・ヘッド140と、同一であるかまたは実質的に類似している。
【0024】
図3Gに矢印180で示す通り、ボンディング・ヘッド160がボンド・パッド22へ向かって移動する。ある実施例において、熱または超音波のエネルギーがボンディング・ボール162へ加えられて、ボール162を柔らかくする。図3Hにおいて、ボンディング・ヘッド170はボンディング・パッド22へ向かって下降済みであり、これにより、ボンド・ボール162をワイヤ120に対して押し付けており、ボンディング・ボール122がワイヤ120を変形させて、ループ高さ190をより低いループ高さ195へ減少させる。ボンディング・ボール162は、ワイヤ120およびボンディング・ボール122に対して少なくとも部分的に平らにされる。上記の議論に類似して、熱圧着またはサーモソニック・ボンディングのいずれも使用可能であり、ボンディング・ボール162をワイヤ120およびボール122へ接着するための、いずれか他の適当な方法もまた実施可能である。
【0025】
図3Hにおいて、ボンディング・ヘッド170は、ワイヤ160上のそのグリップをゆるめて、矢印182で示すように、ダイ20から離れて上昇する。適当なフラッシュ処理またはいずれか他の適当な技法を用いて、ボール162は残りのワイヤ160から分離されて、「スタッド・バンプ」164を形成する。
【0026】
本発明に関連して実行された実験が示した所では、本発明の実施例のループ・ボンディングの方法のための典型的な平均ループ高さは、図3Aないし図3Fに示すように約47μmであり、従来のループ・ボンディングを使用した約65μmに対して、平均ループ高さにおいて、15μm以上の減少(たとえば、約18μm)である。本発明のループ・ボンディング技法のためのループ高さ195の典型的な範囲は、約40μmないし約52μmであることが実験的に示されており、従来のループ・ボンディングを使用した約59ないし約72μmに対する。これは、従来のループ・ボンディングを使用して達成される高さ192よりも一層低い全体的なリードフレーム・アッセンブリ高さ197を結果する。図3Gないし図3Iに図示される処理は、ワイヤ・ボンドのループ高さを削減し、それにより、カプセル化に先立ってリードフレーム・アセンブリ100の全体的な高さを減少し、これは一方半導体パッケージの高さまたは厚さを削減する。このループ高さの削減は、スタッド・バンプ162がボンディング・ボールにボンドされた後に、ワイヤ120がボンドから伸びる角度が削減され、それによりループの高さが減少するために起こる。図3Gに示すように、ワイヤ120はボンドへスタッド・バンプ164を追加するのに先立って、ボンディング・ボール122から実質的に垂直に延伸している。しかしながら、図3Hないし図3Iに示すように、スタッド・バンプ164がボンディング・ボール122へボンドされた後は、ワイヤ120がボンドから垂直ではなく延伸し、これによりループ高さを減少させている。
【0027】
ある実施例において、本発明の低ループ・ボンディングの方法は、半導体パッケージの全体的な厚さを削減するだけでなく、スタッド・バンプ164をワイヤ120およびボンディング・ボール122へボンドする処理もまたワイヤ120の引っ張り強さを改良する。これは、スタッド・バンプ164の追加により生成されるボンドは、従来のボンドよりも強力になるが、その理由は、部分的には、ネック損傷を含むかも知れないワイヤ120の部分がボンディング・ボード122およびスタッド・バンプ164によりボンド内に組み込み済みであり、それによりボンドの力を増すためである。実験の示す所では、スタッド・バンプをワイヤ120およびボール122へボンドした後のワイヤ120の引っ張り強さは、図3Aないし図3Fに示した通常のループ・ボンディング処理の後のワイヤ120の引っ張り強さに比較して、増大する。たとえば、いくつかの実施例において実験の示すところでは、スタッド・バンプ164のボンディングの後にワイヤ120の引っ張り強さの範囲は約4.3グラム重量ないし約6.5グラム重量であり、平均的な引っ張り強さは約5.9グラム重量である。したがって、図3Gないし図3Iに関して説明するループ・ボンディング法を使用することにより、ワイヤ120の最初引っ張り強さは、いくつかの実施例において約1.6グラム重量から約4.3グラム重量へ増大することが実験により示された。
【0028】
図4は、低ループ・ワイヤ・ボンディングのための例示的な方法200を図示する。この方法はステップ202で始まり、ここで、ワイヤ120などのワイヤに取り付けられたボンディング・ボール122などのボンディング・ボールが、ダイ20のパッド22へ接着される。図3Aないし図3Cに関して上記に議論したように、熱圧着またはサーモソニック・ボンディングなどのいずれか適当なボンディング方法を、パッド22へボール122を接着するのに使用できる。ステップ204で、ワイヤ120がリード線114の上に位置決めされて、図3Dに示すようにループ高さ190を有するループを生成する。ステップ206で、ワイヤ120がリード線114へ接着されてボンド124を形成する。ワイヤ120は、それから電気的スパークまたは小さな水素炎を使用して、ボンド124から分離され、ワイヤ120からの端部に、もう一つのボンド・ボールを生成する。ステップ208で、ボンド・ボール162がパッド22の上に位置決めされて、ワイヤ120およびあらかじめパッド22へ接着されているボンド・ボール122へ接着される。図3Hに示すように、このステップは、ワイヤ120の元のループを圧縮して、それによりループ高さ190からループ高さ195へループ高さを削減する。最後にステップ210で、ボンド・ボール162がワイヤ160から分離されて、ワイヤ120およびボンド・ボール122へ接着されたスタッド・バンプ164を残す。上記に議論したように、ある実施例においては、それらがパッド22へ接着されたワイヤ120およびボンド・ボール122の上のスタッド・バンプ164の「スタッキング」は、(ループ高さを、削減することにより)半導体パッケージの厚さを削減するだけでなく、ワイヤ120の引っ張り強さを改良するのにも役立ち、したがって半導体デバイスの信頼性を改良する。
【0029】
例示的な方法を図示してきたが、本発明は二つまたはそれ以上のステップが実質的に同時に実現すること、または異なった順序で実現することを考慮している。さらに、本発明は追加ステップ、より少ないステップ、または異なったステップを、低ループ・ワイヤ・ボンディングのために適切である限り使用することを考慮している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】製造された半導体ウエハを図示する。
【図1B】図1Aのウエハの部分拡大図を示す。
【図2】例示的なリードフレーム・アセンブリを図示する。
【図3】AからIは、低ループ・ワイヤ・ボンディングのための例示的なシステムの断面図を示す。
【図4】低ループ・ワイヤ・ボンディングのための例示的な方法を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤの一端に配置された第一ボンディング・ボールとダイのボンド・パッドの間に第一ボンドを形成し、前記ダイが一つまたはそれ以上のリード線を有するリードフレームに結合されていることと、
前記ワイヤの一部分と前記リードフレームのリード線の間に第二ボンドを形成し、第一ボンドと第二ボンドの間のワイヤの前記長さが第一ループ高さを有する前記ワイヤ内のループを形成することと、
前記第一ボンディング・ボールの上に第二ボンディング・ボールを配置し、前記ループの一部分が前記第一ボンディング・ボールと前記第二ボンディング・ボールの間に圧縮され、前記圧縮されたループが前記第一高さよりも低い第二ループ高さを有することと、
前記第二ボンディング・ボール、前記ワイヤ、および前記第一ボンディング・ボールの間に第三ボンドを形成することを含む低ループ・ワイヤ・ボンディングの方法。
【請求項2】
ボンディング・ヘッド内に前記ワイヤを配置し、前記第一ボンディング・ボールが前記ボンディング・ヘッドの一端から延伸していることを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第二ボンドに近接した前記ワイヤを分離することと、
前記分離されたワイヤの先端に前記第二ボンディング・ボールを形成することと、
前記第三ボンドを形成した後に、前記第二ボンディング・ボールを前記ワイヤから分離することを更に含む請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二ボンドに近接した前記ワイヤを分離することと、
第二ワイヤの前記先端に前記第二ボンディング・ボールを形成することと、
前記第三ボンドを形成した後で前記第二ボンディング・ボールを前記第二ワイヤから分離することを更に含む請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記ワイヤおよび前記第一および第二のボンディング・ボールが金から形成される請求項1のいずれかの方法。
【請求項6】
前記ワイヤが、約25μmの直径を有する金線である請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第二ループ高さが前記第一ループ高さよりも15μmを超えて低い請求項1または請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第二ループ高さが約40μmと約52μmの間にある請求項1または請求項6記載の方法。
【請求項9】
リードフレームへ結合されたダイであって、前記ダイが一つまたはそれ以上のボンド・パッドを有し、前記リードフレームが一つまたはそれ以上のリード線を有するものと、
一端に配置されたボンディング・ボールを有するワイヤであって、前記ボンディング・ボールが前記ダイのボンド・パッドへ第一ボンドにおいて接着され、前記ワイヤの一部分が前記リードフレームのリード線へ第二ボンドにおいて接着されているものと、
第二ボンディング・ボール、前記ワイヤ、および前記第一ボンディング・ボールの間に形成される第三ボンドであって、前記第二ボンディング・ボールが前記第一ボンディング・ボールの上に配置され、前記ループの一部分が前記第一および第二のボンディング・ボールの間に圧縮されているものを含む半導体デバイス。
【請求項10】
前記ワイヤおよび前記第一および第二のボンディング・ボールが金から形成されている請求項9記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記ワイヤが、約25μmの直径を有する金線である請求項9記載の半導体デバイス。
【請求項12】
圧縮されたループ高さが約40μmと約52μmの間である請求項9または11記載の半導体デバイス。
【請求項13】
ボンディング・ヘッド内に金線を配置し、前記金線が前記ワイヤの一端に配置された第一ボンディング・ボールを含み、前記第一ボンディング・ボールが前記ボンディング・ヘッドの一端から延伸していることと、
前記リードフレームに関して前記ボンディング・ヘッドを位置決めして、第一ボンドがそこへ形成されるボンド・パッドに関して前記第一ボンディング・ボールを位置決めすることと、
前記第一ボンディング・ボールと前記ボンド・パッドの間に前記第一ボンドを形成することと、
前記リードフレームに関してボンディング・ヘッドを位置決めして、そこへ第二ボンドが形成される前記リードフレームのリード線に関して、前記ワイヤの位置を位置決めすることと、
前記ワイヤの前記部分と前記リード線の間に前記第二ボンドを形成し、前記第一および第二のボンドの間のワイヤの前記長さが、第一ループ高さを有する前記ワイヤ内のループを形成することと、
前記第二ボンドに隣接した前記ワイヤを分離することと、
前記分離されたワイヤの前記先端に第二ボンディング・ボールを形成することと、
前記第一ボンディング・ボールの上に前記第二ボンディング・ボールを配置して、前記ループの一部分が前記第一および第二のボンディング・ボールの間に圧縮され、前記圧縮されたループが前記第一ループ高さよりも低い第二ループ高さを有し、前記第二ループ高さが59μmよりも低いことと、
前記第二ボンディング・ボール、前記ワイヤ、および前記第一ボンディング・ボールの間に第三ボンドを形成することとを含み、
前記第一、第二、第三のボンドは、熱圧着およびサーモソニック・ボンディングからなる前記グループから選択された接着方法を使用して形成される低ループ・ワイヤ・ボンディングの方法。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−535820(P2007−535820A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510832(P2007−510832)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/013871
【国際公開番号】WO2005/105357
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(501229528)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (111)
【Fターム(参考)】