説明

低密度、低ビルダー、高水溶性の噴霧乾燥された洗剤粉末を製造するための噴霧乾燥方法

本発明は、426g/L以下の嵩密度を有する噴霧乾燥洗剤粉末の製造のための噴霧乾燥方法に関し、噴霧乾燥洗剤粉末は、アニオン性洗剤界面活性剤及び0重量%〜10重量%のゼオライトビルダーと、及び0重量%〜10重量%のリン酸塩ビルダーを含んでなり、この方法は、(a)30重量%〜60重量%の水と、及び40重量%〜70重量%の非水性物質を含んでなる噴霧乾燥に適した水性スラリーを製造し、非水性物質は、無機成分及び有機成分を含んでなり、有機成分に対する無機成分の重量比は、0.3:1〜5:1の範囲内であり、(b)スラリーを噴霧乾燥タワーに噴霧する、各工程を含んでなるものであり、噴霧乾燥タワーへ導入する際、スラリーの温度は65℃〜140℃の範囲内であり、かつ噴霧乾燥タワーの排気温度は、70℃〜120℃の範囲内である、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度、低ビルダー、高水溶性の噴霧乾燥粉末を製造するための噴霧乾燥方法に関する。噴霧乾燥された粉末は、固体洗濯洗剤組成物としての使用又は固体洗濯洗剤組成物への混入に適している。噴霧乾燥方法は、大量の水を含んでなる水性スラリーを噴霧乾燥する工程を含んでなる。噴霧乾燥方法の条件は、蒸気の膨張を促進し、代わって非常に低い嵩密度を有してなる噴霧乾燥洗剤粉末の形成をもたらす。噴霧乾燥洗剤粉末は、水との接触に際し、20℃以下等の冷水の温度でも、優れた溶解度を示す。
【背景技術】
【0002】
近年において、固体洗濯洗剤製品の製造業者は、優れたクリーニング性能及び水中への優れた溶解性能を示す、高水溶性の洗濯洗剤組成物の配合に努力を集中させてきた。これらの努力の幾つかの例が、共にヘンケルKGaA(Henkel KGaA)による、独国特許第19912679号及び国際公開特許WO03/038028号、共にDalli−Werke Wasche und Korperflege GmbH&Co.KGによる、欧州特許第1416039号及び同第1416040号、並びに全てがプロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)による、国際公開特許WO05/083046号、同WO05/083048号、同WO05/083049号、同WO06/020788号、同WO06/020789号、同WO06/088665号、同WO06/088666号、欧州特許第1690921号及び同第1690922号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許第19912679号
【特許文献2】国際公開特許WO03/038028号
【特許文献3】欧州特許第1416039号
【特許文献4】欧州特許第1416040号
【特許文献5】国際公開特許WO05/083046号
【特許文献6】国際公開特許WO05/083048号
【特許文献7】国際公開特許WO05/083049号
【特許文献8】国際公開特許WO06/020788号
【特許文献9】国際公開特許WO06/020789号
【特許文献10】国際公開特許WO06/088665号
【特許文献11】国際公開特許WO06/088666号
【特許文献12】欧州特許第1690921号
【特許文献13】欧州特許第1690922号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらは典型的に、組成物の大部分、即ちゼオライト及び/又はリン酸塩ビルダー、並びに好ましくは少なくともある量の硫酸塩を取り除くことを試みる。これは代わりに、洗濯プロセスの間に、より低い用量の組成物を必要とすることを意味する。しかしながら、多くの消費者は、洗濯プロセスの間に、少量の洗剤を投与することを望まない。したがって、これらの低ビルダー洗濯洗剤組成物の嵩密度を著しく減少するための必要性が残る。これにより、消費者が、洗濯プロセスの間に、過去に、より従来の高ビルダー洗浄洗剤に使用したのと同じ量で、これらの低ビルダー洗浄洗剤を投与することを可能にする。低ビルダー洗濯洗剤粉末の使用は、水中の改善された溶解度のために、より低い洗浄温度の使用を可能にし、これにより洗濯プロセスの環境的及び経済的コストを改善する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、請求項1に従う噴霧乾燥方法を提供することにより、上記問題を克服した。
【発明を実施するための形態】
【0006】
噴霧乾燥方法。噴霧乾燥方法は、水性スラリーの製造と、水性スラリーの噴霧乾燥タワーへ噴霧することを含んでなる。
【0007】
典型的に、水性スラリーは、60℃〜80℃の範囲内の温度で製造される。典型的に、液体成分には、水を含む水性スラリーを構成するキレートと、高分子カルボン酸塩と、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸等の、熱溶解の形状の成分が挙げられ、60℃〜80℃の範囲内の温度で予熱される。
【0008】
好ましくは、本質的に全ての線状性界面活性剤は、存在する場合、本質的にポリマーの何れかが水と接触する前に、水と接触される。好ましくは、本質的に全てのポリマーは、存在する場合、本質的に無機物質の何れかが接触する前に水と接触される。これは、噴霧乾燥のための、水性スラリーの最適な位相化学を確実にする際に特に好ましい。
【0009】
典型的に、水性スラリーを噴霧乾燥タワーへ導入する際の温度が、50℃〜140℃の範囲内であり、好ましくは、60℃以上、又は70℃以上、並びに好ましくは120以下℃、99℃以下、95℃以下、90℃以下、85℃以下、又は更には80℃以下の範囲内である。
【0010】
典型的に、噴霧乾燥タワーの排気温度は、50℃〜200℃、好ましくは60℃以上、70℃以上、又は更には80℃以上、並びに好ましくは140℃以下、120℃以下、99℃以下、95℃以下、90℃以下、又は更には85℃以下の範囲内である。
【0011】
典型的に、噴霧乾燥タワー内の気流速度は、1m−1〜40m−1、好ましくは5m−1以上、10m−1以上、15m−1以上、又は更には20m−1以上、並びに好ましくは35m−1以下、又更には30m−1以下の範囲内である。
【0012】
典型的に、噴霧乾燥タワーの最大断面積は、2m〜70m、好ましくは10m以上、20m以上、30m以上、又は40m以上、並びに好ましくは60m以下の範囲内である。
【0013】
典型的に、(i)噴霧乾燥タワー内の気流速度と、(ii)噴霧乾燥タワーの最大断面積の比率は、0.15ms−1〜4ms−1、好ましくは0.2sm−1以上、又は0.3ms−1以上、又は更には0.4ms−1以上、並びに好ましくは3ms−1以下、2ms−1以下、1ms−1以下、又は更には0.75ms−1以下の範囲内である。これは、噴霧乾燥タワー内の水性スラリーの停留時間を制御することで、適切な乾燥時間を確実にするために特に好ましい。これは、より低い気温で噴霧乾燥するのが望ましい場合に更により好ましい。
【0014】
典型的に、水性スラリーは、2mm〜5mm、好ましくは3mm以上、又は3.5mm以上、並びに好ましくは4mm以下の範囲内の開口を有する、少なくとも1つのノズル、好ましくは複数のノズルを通じて噴霧乾燥タワーの中に噴霧されてなる。
【0015】
典型的に、スラリーは、4.0×10Nm−2〜9.0×10Nm−2、好ましくは5.0×10Nm−2以上、並びに好ましくは7.0×10Nm−2以下、又は更には6.0×10Nm−2以下の範囲内の圧力で噴霧乾燥タワーの中に噴霧されてなる。これらの圧力、特にこれらの低圧は、蒸気の膨張を促進し、代わって非常に低い嵩密度を有してなる噴霧乾燥洗剤粉末の形成をもたらす。
【0016】
典型的に、(i)水性スラリーが、噴霧乾燥タワーの中に噴霧されてなる速度(gs−1単位)と、(ii)噴霧乾燥タワーの最大面積(m単位)の比率は、3gm−2−1〜3,000gm−2−1、好ましくは20gm−2−1以上、40gm−2−1以上、又は更には60gm−2−1以上、並びに好ましくは2,000gm−2−1以下、1,000gm−2−1以下、500gm−2−1以下、250gm−2−1以下、又は更には150gm−2−1以下の範囲内である。これは、噴霧乾燥タワー内の水性スラリーの停留時間を制御することで、適切な乾燥時間を確実にするために特に好ましい。これは、より低い気温で噴霧乾燥する場合に更により好ましい。
【0017】
噴霧乾燥洗剤粉末。噴霧乾燥洗剤粉末は、426g/L以下、好ましくは100g/L以上、並びに好ましくは400g/L以下、300g/L以下、又は更には200g/L以下の嵩密度を有してなる。噴霧乾燥粉末の嵩密度の決定のための方法は、以下に更に詳しく記載される。
【0018】
典型的に、噴霧乾燥洗剤粉末は、アニオン性洗浄界面活性剤と、0重量%〜10重量%のゼオライトビルダーと、及び0重量%〜10重量%のリン酸塩ビルダーと、好ましくは0重量%〜10重量%のケイ酸塩を含んでなる。典型的に、噴霧乾燥洗剤粉末は、高分子カルボン酸塩及び炭酸塩を含んでなる。アニオン性洗浄界面活性剤と、ゼオライトビルダーと、リン酸塩ビルダーと、ケイ酸塩と、高分子カルボン酸塩と、及び炭酸塩は、以下に更に詳しく記載される。
【0019】
典型的に、噴霧乾燥洗剤粉末は、固体洗濯洗剤組成物としての使用又はその混入に適している。噴霧乾燥粉末は、乾燥添加された過炭酸ナトリウムと、アニオン性洗浄界面活性剤疑集体と、酵素又は他の噴霧乾燥粉末等の、固体洗濯洗剤組成物を形成するために、他の洗剤成分と混ぜることが可能である。
【0020】
典型的に、噴霧乾燥洗剤粉末は高分子構成成分と及び非高分子構成成分を含んでなる。高分子構成成分及び非高分子構成成分は、以下に更に詳しく記載される。一般に、更に好ましくは、噴霧乾燥洗剤粉末は、無機成分及び有機成分を含んでなる。無機成分及び有機成分は、以下に更に詳しく記載される。
【0021】
水性スラリー。水性スラリーは、噴霧乾燥に適している。水性スラリーは、30重量%〜60重量%の水と、好ましくは35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、又は更には50重量%以上の水、並びに好ましくは55重量%以下の水を含んでなる。水性スラリーは、40重量%〜70重量%の非水性物質、好ましくは45重量%以上、並びに好ましくは65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、又は更には50重量%以下の非水性物質を含んでなる。非水性物質とは、水以外のあらゆる物質を意味する。非水性物質は、以下に更に詳しく記載される。
【0022】
水性スラリーは、1,000s−1のせん断速度及び70℃の温度で測定されるとき、0.2Pas〜2.0Pasの粘度を有する。
【0023】
非水性物質。非水性物質とは、水以外のあらゆる物質である。非水性物質は、無機成分及び有機成分を典型的に含んでなる。無機成分及び有機成分は、以下に更に詳しく記載される。典型的に、非水性物質は、0.1:1〜10:1、好ましくは0.2:1以上、更には0.3:1以上、並びに好ましくは5:1以下、3:1以下、1.5:1以下、1.2:1以下、1.0:1以下、0.8:1以下、又は更には0.5:1以下の重量比の無機成分及び有機成分を含んでなる。
【0024】
非水性物質は、高分子構成成分及び非高分子構成成分を一般に含んでなる。
【0025】
典型的に、非水性物質は、アニオン性洗浄界面活性剤と、高分子カルボン酸塩と、及び炭酸塩を含んでなる。アニオン性洗浄界面活性剤と、高分子カルボン酸塩と、及び炭酸塩は、以下に更に詳しく記載される。非水性物質は、0重量%〜5重量%のアルキルアルコキシル化硫酸塩アニオン性洗浄界面活性剤、好ましくは4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下のアルキルアルコキシル化硫酸塩アニオン性洗浄界面活性剤を含んでなることが好ましいであろう。
【0026】
非水性物質は、本質的にアルキルアルコキシル化硫酸塩アニオン性洗浄界面活性剤を含まないことが更に好ましい場合があるが、本質的にアルキルアルコキシル化硫酸塩アニオン性洗浄界面活性剤を含まないとは、非水性物質が、意図的に添加されたアルキルアルコキシル化硫酸塩アニオン性洗浄界面活性剤を含まないことを意味する。
【0027】
これは、非水性物質が、アルキルベンゼンスルホン酸アニオン性洗浄界面活性剤を含んでなる場合に特に好ましい。
【0028】
典型的に、非水性物質は、0重量%〜10重量%のゼオライトビルダー、好ましくは8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、又は2重量%以下のゼオライトビルダーを含んでなる。非水性物質は、本質的にゼオライトビルダーフリーであることがより好ましい。本質的にゼオライトビルダーフリーであるとは、典型的に、非水性物質が意図的に添加されたゼオライトビルダーを含まないことを意味する。
【0029】
典型的に、非水性物質は、0重量%〜10重量%のリン酸塩ビルダー、好ましくは8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、又は2重量%以下のリン酸塩ビルダーを含んでなる。非水性物質は、本質的にリン酸塩ビルダーフリーであることがより好ましい。本質的にリン酸塩ビルダーフリーであるとは、典型的に、非水性物質が意図的に添加されたリン酸塩ビルダーを含まないことを意味する。
【0030】
典型的に、非水性物質は、0重量%〜10重量%のケイ酸塩ビルダー、好ましくは8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、又は2重量%以下のケイ酸塩ビルダーを含んでなる。非水性物質は、本質的にケイ酸塩ビルダーフリーであることがより好ましい。本質的にケイ酸塩フリーであるとは、典型的に、非水性物質が、意図的に添加されたケイ酸塩を含まないことを意味する。
【0031】
無機成分:本発明のために、無機成分は、炭化水素部分を含まない任意の物質として定義される。無機成分の例としては、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0032】
有機成分:本発明のために、有機成分は、炭化水素部分を含んでなる任意の物質として定義される。本発明のために、炭化水素部分は、水素原子と共有結合した炭素原子を含んでなり、即ち、以下の一般式を有する。
【化1】

【0033】
有機成分の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸及びクエン酸が挙げられる。
【0034】
高分子構成成分。本発明のために、高分子構成成分は、少なくとも4つのモノマー単位を含んでなり、1.7E−21g(1,000ダルトン)以上の分子量を有する任意の物質として定義される。
【0035】
非高分子構成成分。本発明のために、非高分子構成成分は、4つ未満のモノマー単位を含んでなり、及び/又は1.7E−21g(1,000ダルトン)未満の分子量を有する任意の物質として定義される。
【0036】
アニオン性洗浄界面活性剤:噴霧乾燥粉末は、一般に、1重量%〜70重量%のアニオン性洗浄界面活性剤、好ましくは2重量%以上、5重量%以上、7重量%以上、又は更には10重量%以上、並びに好ましくは60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、又は更には30重量%以下のアニオン性洗浄界面活性剤を含んでなる。好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、1〜10、好ましくは3〜7のエトキシル化の平均程度を有する、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換エトキシル化C12−18アルコール硫酸等の、アルコキシル化アルコール硫酸アニオン性洗浄界面活性剤である。他の好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換C8−18アルキルベンゼンスルホン酸、好ましくは直鎖非置換C10−13アルキルベンゼンスルホン酸等の、アルキルベンゼンスルホン酸アニオン性洗浄界面活性剤である。別の好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸、アルキルカルボン酸、又はこれらの任意の混合物である。
【0037】
高分子カルボン酸塩。噴霧乾燥粉末は、好ましくは高分子カルボン酸塩を含んでなる。噴霧乾燥粉末は、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、又は更には少なくとも5重量%の高分子カルボン酸塩を含んでなることが好ましい。高分子カルボン酸塩は、洗浄溶液中で遊離のカルシウムイオンを封鎖することができる。高分子カルボン酸塩は、汚れ分散剤としても作用することができ、改善された粒子状染み除去洗浄効果をもたらすことができる。好ましい高分子カルボン酸塩には、好ましくは1.7E−21g〜3.32E−20g(1,000ダルトン〜20,000ダルトン)の重量平均分子量を有するポリアクリレート類;好ましくはマレイン酸モノマー類対アクリル酸モノマー類のモル比が1:1〜1:10であり、1.7E−20g〜3.32E−19g(10,000ダルトン〜200,000ダルトン)の重量平均分子量を有する、又は好ましくはマレイン酸モノマー類対アクリル酸モノマー類のモル比が0.3:1〜3:1で、1.7E−20〜8.3E−20g(1,000ダルトン〜50,000ダルトン)の重量平均分子量を有する、マレイン酸及びアクリル酸のコポリマー類が挙げられる。
【0038】
炭酸塩。噴霧乾燥粉末は、典型的には炭酸塩を含んでなり、典型的には、1重量%〜50重量%、5重量%〜25重量%、又は10重量%〜20重量%の炭酸塩を含んでなる。好ましい炭酸塩は、炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウムである。きわめて好ましい炭酸塩は、炭酸ナトリウムである。好ましくは、噴霧乾燥粉末は、10重量%〜40重量%の炭酸ナトリウムを含んでなってもよい。しかしながら、噴霧乾燥粉末が2重量%〜8重量%の重炭酸ナトリウムを含んでなることも好ましいであろう。この濃度の重炭酸ナトリウムは、良好なアルカリ性を付与すると同時に、界面活性剤−炭酸塩系で生じ得る界面活性剤のゲル化の危険性を最小限に抑える。噴霧乾燥粉末が、炭酸ナトリウム及びゼオライトビルダーを含んでなる場合、好ましくは炭酸ナトリウムのゼオライトビルダーに対する重量比は、少なくとも15:1である。
【0039】
炭酸塩又は少なくともその一部は、典型的には粒状形態であり、典型的には200〜500マイクロメートルの範囲内の重量平均粒径を有する。しかしながら、炭酸塩又は少なくともその一部は、微粉化された粒状形態であり、典型的には4〜40マイクロメートルの範囲内の重量平均粒径を有するのが好ましい場合があり、このことは、炭酸塩又は少なくともその一部が、アルキルベンゼンスルホン酸などの洗浄界面活性剤との、あるいはアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤との、共同微粒子混合体の形態である場合に特に好ましい。
【0040】
高濃度の炭酸塩は、洗浄溶液のpHを高めることによって噴霧乾燥粉末の洗浄性能を向上させる。この高められたアルカリ性は、漂白剤が存在する場合はその性能を向上させ、汚れを加水分解し易くし、それによって汚れを生地から取り除き易くし、更には洗浄すべき汚れのイオン化速度と電離度を増大させる(注意:イオン化された汚れはより可溶性となり、洗濯プロセスの洗浄段階で生地から取り除き易い)。更に、高い炭酸塩濃度は、噴霧乾燥粉末の流動性を向上させる。
【0041】
ゼオライトビルダー:一般に、噴霧乾燥洗剤粉末は、0重量%〜10重量%のゼオライトビルダー、好ましくは8重量%以下、又は6重量%以下、又は5重量%以下、又は4重量%以下、又は2重量%以下のゼオライトビルダーを含んでなる。噴霧乾燥洗剤粉末は、本質的にゼオライトビルダーフリーであることがより好ましい。本質的にゼオライトビルダーフリーであることは、典型的に、噴霧乾燥洗剤粉末が意図的に添加されたゼオライトビルダーを含まないことを意味する。これは、非水溶性残留物(例えば、布地表面上に堆積することがある)の量を最小限に抑えるために、噴霧乾燥洗剤粉末の水溶性が非常に高いことが望ましい場合、また透明な洗浄液を有することが非常に望ましい場合にも特に好ましい。ゼオライトビルダーとしては、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトP、及びゼオライトMAPが挙げられる。
【0042】
リン酸塩ビルダー:一般に、噴霧乾燥洗剤粉末は、0重量%〜10重量%のリン酸塩ビルダー、好ましくは8重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、又は2重量%以下のリン酸塩ビルダーを含んでなる。噴霧乾燥洗剤粉末は、本質的にリン酸塩ビルダーフリーであることがより好ましい。本質的にリン酸塩ビルダーフリーであることは、典型的に、噴霧乾燥洗剤粉末が意図的に添加されたリン酸塩ビルダーを含んでなることを意味する。これは噴霧乾燥洗剤粉末が、非常に良好な環境特性を有することが望ましい場合に特に好ましい。リン酸塩ビルダーとしては、トリポリリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0043】
ケイ酸塩:噴霧乾燥洗剤粉末は、好ましくは、0重量%〜10重量%のケイ酸塩、好ましくは8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、又は2重量%以下のケイ酸塩を含んでなる。噴霧乾燥洗剤粉末は、本質的にケイ酸塩フリーであることがより好ましい。本質的にケイ酸塩フリーであることは、典型的に、噴霧乾燥洗剤粉末が意図的に添加されたケイ酸塩を含まないことを意味する。これは、噴霧乾燥洗剤粉末が、非常に良好な分配及び溶解特性を有することを確実にするためと、噴霧乾燥洗剤粉末が、水への溶解に際し、透明な洗浄溶液を提供することを確実にするために特に好ましい。ケイ酸塩としては、非水溶性ケイ酸塩が挙げられる。ケイ酸塩としては、非晶質ケイ酸塩及び結晶性層状ケイ酸塩(例えば、SKS−6)が挙げられる。典型的なケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウムである。
【0044】
他の洗剤成分:噴霧乾燥粉末と、水性スラリーの非水性成分は、典型的に洗剤成分を含んでなる。好適な洗剤成分は、アニオン性洗浄性界面活性剤、非イオン性洗浄性界面活性剤、カチオン性洗浄性界面活性剤、双極性イオンの洗浄性界面活性剤、両性洗浄性界面活性剤等の洗浄性界面活性剤;好ましい非イオン性洗浄性界面活性剤は、1〜20、好ましくは3〜10のアルコキシル化の平均値を有するC8−18アルコキシアルキルアルコール、最も好ましくは3〜10のアルコキシル化の平均値を有するC12−18アルキルエトキシルアルコールであり、好ましいカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ−C6−18アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級塩化アンモニウムであり、より好ましくは、モノ−C8−10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級塩化アンモニウム、モノ−C10−12アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級塩化アンモニウム及びモノ−C10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級塩化アンモニウムであり;過炭酸塩及び/又は過ホウ酸塩等の過酸素の源は、好ましくは過炭酸ナトリウムであり、過酸素の源は、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、又は、これらの混合塩を含む混合物等のコーティング物質により、好ましくは少なくとも部分的にコーティングされ、好ましくは完全にコーティングされ;テトラアセチルエチレンジアミン等の漂白活性化剤、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸等のオキシベンゼンスルホン酸漂白活性剤、カプロラクタム漂白活性剤、N−ノナノイル−N−メチルアセトアミド等のイミド漂白活性剤、N,N−フタロイル−アミノペルオキシカプロン酸、ノニルアミドペルオキシアジピン酸又はジベンゾイルペルオキシド等の予備形成過酸類;炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム、及び/又は重炭酸ナトリウム、好ましくは炭酸ナトリウム;高分子カルボン酸塩、好ましくは、マレイン酸及びアクリル酸のコポリマー及びこれらの塩;アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、及びマンナナーゼ等の酵素;シリコーン系石鹸泡抑制剤等の石鹸泡抑制剤システム;蛍光増白剤;光漂白剤;硫酸塩、好ましくは硫酸ナトリウム等の充填塩;粘土、シリコーン及び/又は四級アンモニウム化合物等の生地柔軟剤;ポリエチレン酸化物等の凝集体;ポリビニルピロリドン、ポリ4−ビニルピリジンN−オキシド、及び/又はビニルピロリドン及びビニルイミダゾールのコポリマー等の染料防止剤;疎水変性セルロース及びイミダゾールとエピクロロヒドリンの縮合により生成されるオリゴマー等の布地保全成分;アルコキシル化ポリアミン及びエトキシル化エチレンイミンポリマー等の汚れ分散剤及び汚れ再着防止剤;カルボキシメチルセルロース及びポリエステル等の再着防止成物;香料;スルファミン酸又はこれらの塩;クエン酸又はこれらの塩;並びに、オレンジ染料、ブルー染料、グリーン染料、パープル染料、ピンク染料、又はこれらの混合物等の染料、を含む。
【0045】
好ましくは、組成物は、1重量%未満の塩素漂白剤及び1重量%未満の臭素漂白剤を含んでなる。好ましくは、組成物は、本質的に臭素漂白剤及び塩素漂白剤フリーである。典型的に、「本質的にフリーである」とは、「意図的に添加されたものを含まない」ことを意味する。
【0046】
噴霧乾燥粉末の嵩密度の決定方法。嵩密度は、典型的に以下の方法により確定されている。
【0047】
概要:500mLのメスシリンダに粉末を充填し、試料の重量を測定し、粉末の嵩密度をg/Lで算出する。
【0048】
装置:
1.はかり。はかりは、0.5gの検出感度を有する。
2.メスシリンダ。メスシリンダは、500mLの容量を有する。シリンダは、20℃、500gの水を使用し、500mL目盛りで検量されるものとする。シリンダは、500mLの目盛りで切断し、滑らかに研削する。
3.じょうご。じょうごは、円筒形の円錐であり、上開口部の直径が110mm、底開口部の直径が40mmであり、水平に対して76.4°の傾斜を有する。
4.スパチュラ。スパチュラは、メスシリンダの直径の少なくとも1.5倍の長さを有する平坦な金属片である。
5.ビーカー。ビーカーは、600mLの容量を有する。
6.トレイ。トレイは、金属又はプラスチックの正方形であり、滑らかかつ平らであり、メスシリンダの直径の少なくとも2倍の辺長を有する。
7.リングスタンド。
8.リングクランプ。
9.金属ゲート。金属ゲートは、少なくともじょうごの底開口部の直径より大きな直径を有する滑らかな円形ディスクである。
【0049】
条件:手順は温度20℃、圧力1×10Nm−2及び相対湿度25%の条件で、室内で実施する。
【0050】
手順:
1.はかりを用いて、0.5g単位でメスシリンダの重量を計る。上方に面する開口部が水平であるように、トレイ中にメスシリンダを定置する。
2.リングクランプ上にじょうごを担持させ、次いで、じょうごの上端部が水平かつ正確に適切な位置にあるように、それをリングスタンドに固定する。底部の位置が、メスシリンダの上端中心上38mmであるように、じょうごの高さを調節する。
3.じょうごの底開口部の気密閉鎖を形成するように、金属ゲートを担持する。
4.ビーカーに24時間後の粉末試料を完全に充填し、粉末試料をじょうごの上端部上2cmの高さからじょうごの上開口部に注ぐ。
5.粉末試料をじょうご内に10秒間とどまらせ、次いでじょうごの底開口部が開口するよう迅速かつ完全に金属ゲートを除去し、メスシリンダを完全に充填し、上端を超える(overtop)ように粉末試料をメスシリンダに注ぐ。粉末試料の流動以外の、タッピング、移動、接触、振盪等のような他の外力をメスシリンダに適用しない。これは、粉末試料の任意の更なる圧密を最小限に抑えるためである。
6.粉末試料をメスシリンダ内に10秒間とどまらせ、次いでメスシリンダが正確に満ちるように、平坦なスパチュラの縁部を用いて上端を超えた部分を注意深く除去する。注意深く上端を超えた部分を除去する以外の、タッピング、移動、接触、振盪等のような他の外力をメスシリンダに適用しない。これは、粉末試料の任意の更なる圧密を最小限に抑えるためである。
7.粉末試料を少しもこぼすことなく、早急かつ注意深く、メスシリンダをはかりに移動させる。メスシリンダ及びその粉末試料内容物の重量を、0.5g単位で測定する。
8.工程7で測定したメスシリンダ及びその粉末試料内容物の重量から、工程1で測定したメスシリンダの重量を減じることにより、メスシリンダ内の粉末試料の重量を算出する。
9.他の2つの複製粉末試料について、早急に工程1〜8を繰り返す。
10.3つの粉末試料全ての平均重量を測定する。
11.工程10で算出した平均重量に2.0を乗じることにより粉末試料の嵩密度(g/L)を測定する。
【実施例】
【0051】
(実施例1)噴霧乾燥洗濯洗剤粉末及びその作製方法
【表1】

【0052】
噴霧乾燥洗濯洗剤粉末の製造
上述の組成物を有する、含水率が34.0%である水性スラリーを製造する。上記で添加される液体の形状の任意の成分は、水性スラリーが決して70℃を下回る温度にならないように、70℃に加熱される。製造の最後に、水性スラリーを80℃に加熱し、圧力(5×10Nm−2)下で、空気入口温度290℃以上向流の噴霧乾燥タワー内へ送り込む。水性スラリーは霧化され、霧化されたスラリーは乾燥されて固体混合物が生成され、次に冷却されて大きすぎる物質(>1.8mm)はふるいによって取り除かれ、自由流動性の噴霧乾燥粉末を形成する。微細物質(<0.15mm)は、噴霧乾燥タワー内の排気で水簸して、タワー後(post tower)の収容システム内に集められる。噴霧乾燥粉末は、90重量%以上の噴霧乾燥粉末が、150〜710マイクロメートルの粒径を有するように、2.0重量%の湿分含量、310g/Lの嵩密度及び粒径分布を有する。噴霧乾燥された粉末の組成を以下に示す。
【表2】

【0053】
(実施例2)噴霧乾燥洗濯洗剤粉末及びその作製方法
【表3】

【0054】
噴霧乾燥洗濯洗剤粉末の製造
上述の組成物を有する、含水率が42.0%である水性スラリーを製造する。上記で添加される液体の形状の任意の成分は、水性スラリーが決して70℃を下回る温度にならないように、70℃に加熱される。製造の最後に、水性スラリーを85℃に加熱し、圧力(6.5×10Nm−2)下で、空気入口温度275℃以上向流の噴霧乾燥タワー内へ送り込む。水性スラリーは霧化され、霧化されたスラリーは乾燥されて固体混合物が生成され、次に冷却されて大きすぎる物質(>1.8mm)はふるいによって取り除かれ、自由流動性の噴霧乾燥粉末を形成する。微細物質(<0.15mm)は、噴霧乾燥タワー内の排気で水簸して、タワー後(post tower)の収容システム内に集められる。噴霧乾燥粉末は、90重量%以上の噴霧乾燥粉末が、150〜710マイクロメートルの粒径を有するように、3.0重量%の湿分含量、250g/Lの嵩密度及び粒径分布を有する。噴霧乾燥された粉末の組成を以下に示す。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧乾燥洗剤粉末を製造するための噴霧乾燥方法であって、
前記噴霧乾燥洗剤粉末が426g/L以下の嵩密度を有してなり、
アニオン性洗浄界面活性剤と、0重量%〜10重量%のゼオライトビルダーと、及び0重量%〜10重量%のリン酸塩ビルダーを含んでなり、
(a)30重量%〜60重量%の水と、及び40重量%〜70重量%の非水性物質を含んでなる噴霧乾燥に適した水性スラリーを製造し、
前記非水性物質が、無機成分及び有機成分を含んでなり、前記有機成分に対する前記無機成分の重量比が、0.3:1〜5:1の範囲内であり、
(b)前記スラリーを噴霧乾燥タワーに噴霧する、各工程を含んでなるものであり、
前記噴霧タワーへ導入する際、前記スラリーの温度が、65℃〜140℃の範囲内であり、かつ、
前記噴霧乾燥タワーの排気温度が、70℃〜120℃の範囲内である、方法。
【請求項2】
前記水性スラリーが、40重量%〜50重量%の水と、及び50重量%〜60重量%の非水性物質を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記噴霧乾燥洗剤粉末が、325g/L以下の嵩密度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記噴霧乾燥タワー内の気流速度が、15m−1〜30m−1の範囲内であり、
前記噴霧乾燥タワーの最大断面積が、20m〜40mの範囲内であり、
(i)前記噴霧乾燥タワー内の気流速度(m−1単位)と、(ii)前記噴霧乾燥タワーの最大断面積(m単位)の比率が、0.2ms−1〜1.0ms−1の範囲内である、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スラリーが、3mm〜4mmの範囲内の直径を有する開口を有するノズルを通じて前記噴霧乾燥タワーの中に噴霧されてなる、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スラリーが、5.0×10Nm−2〜7.0×10Nm−2の範囲内の圧力で前記噴霧乾燥タワーの中に噴霧されてなる、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
(i)前記水性スラリーが、前記噴霧乾燥タワーの中に噴霧される速度(gs−1単位)と、(ii)前記噴霧乾燥タワーの前記最大断面積(m単位)の比率が、40〜250gm−2−1の範囲内である、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記非水性物質が、アニオン性界面活性剤と、高分子カルボン酸塩と、及び炭酸塩を含んでなり、
(a)前記アニオン性界面活性剤と前記高分子カルボン酸塩の重量比が、2:1〜3:1の範囲内であり、
(b)前記炭酸塩とアニオン性界面活性剤の重量比が、0.5:1〜2:1の範囲内であり、
(c)炭酸塩と高分子カルボン酸塩の重量比が、1.5:1〜4:1の範囲内である、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記非水性物質が、アルキルベンゼンスルホン酸アニオン性洗浄界面活性剤を含んでなる、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記非水性物質が、0重量%〜4重量%のケイ酸塩を含んでなる、請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−505972(P2010−505972A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529849(P2009−529849)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054198
【国際公開番号】WO2008/047301
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】