低損失チューナブル無線周波数フィルタ
【課題】チューナブルRFフィルタを提供する。
【解決手段】フィルタは入出力を有する信号伝送経路と、単一の伝送経路に沿って入出力間に配列した複数の共振素子と、共振素子を結合する複数の非共振素子とを具えている。共振素子はそれぞれの共振素子周波数に対応する複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、停止帯域間に少なくとも1の副帯域とを形成するように互いに結合する。非共振素子は、副帯域のうちの1つに通過帯域を形成すべく、停止帯域内に少なくとも1の反射ゼロを選択的に導入するように少なくとも1の可変非共振素子を具えている。可変非共振素子は、副帯域内又は選択した副帯域内へ通過帯域を選択的に移動すべく停止帯域に沿って反射ゼロを転置するように構成することができる。
【解決手段】フィルタは入出力を有する信号伝送経路と、単一の伝送経路に沿って入出力間に配列した複数の共振素子と、共振素子を結合する複数の非共振素子とを具えている。共振素子はそれぞれの共振素子周波数に対応する複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、停止帯域間に少なくとも1の副帯域とを形成するように互いに結合する。非共振素子は、副帯域のうちの1つに通過帯域を形成すべく、停止帯域内に少なくとも1の反射ゼロを選択的に導入するように少なくとも1の可変非共振素子を具えている。可変非共振素子は、副帯域内又は選択した副帯域内へ通過帯域を選択的に移動すべく停止帯域に沿って反射ゼロを転置するように構成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してマイクロ波回路、特にマイクロ波帯域フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気フィルタは電気信号処理において長く用いられてきた。特に、このような電気フィルタを用いて、所望の信号周波数を通過させる一方で、その他の所望されない信号周波数をブロック又は減衰することにより、入力信号から所望の電気信号周波数を選択している。フィルタは、低域フィルタ、高域フィルタ、帯域フィルタ、帯域消去フィルタを含むいくつかの一般的なカテゴリに分類され、フィルタを選択的に通過する周波数の類型を示すことができる。更に、フィルタはバタワース、チェビシェフ、逆チェビシェフ、楕円のような類型に分類され、理想的な周波数特性に関連する、フィルタが提供する帯域形状(bandshape)の周波数応答(周波数カットオフ特性)の類型を示す。
【0003】
用いるフィルタの類型は、多くの場合その用途に依存する。通信アプリケーションにおいて、帯域フィルタは、1又はそれ以上の所定の帯域を除いて全てのRF信号をノイズ除去し、ブロックするために、携帯電話の基地局やその他の遠距離通信装置で従来用いられている。例えば、このようなフィルタは、基地局又は遠距離通信装置における受信機のコンポーネントを害するノイズや他の不必要な信号を除去するために、受信機のフロントエンドに通常用いられている。シャープに定義された帯域フィルタを受信機のアンテナ入力に対して直接的に配置することは、所望の信号周波数に近い周波数の強い干渉信号から生じる様々な悪影響を除去するであろう。受信機のアンテナ入力に対するフィルタの配置のためには、挿入損は雑音指数を低下させないように非常に低くしなければならない。ほとんどのフィルタ技術においては、低い挿入損を達成することによって、フィルタのしゅん度又は選択度において相応の妥協が必要となる。
【0004】
商業上の遠距離通信アプリケーションにおいて、固定化した周波数スペクトルを可能な限り最大の周波数帯域数で分割できるようにするために、狭帯域フィルタを用いて可能な限り最小の通過帯域でフィルタをかけることがしばしば所望され、それによって、固定化したスペクトル内に適合させることができる実際のユーザ数が増加する。無線通信の劇的な増加とともに、このようなフィルタリングは、ますます対立する周波数スペクトルにおいて高度な選択度(小さい周波数の違いによって分けられた信号間を区別する能力)と感度(弱い信号を受信する能力)の双方を提供すべきである。800乃至900MHzのアナログ携帯電話通信用範囲と、1,800乃至2,200MHzの個人通信サービス(PCS)用範囲の周波数が、特に最も重要である。
【0005】
軍の(例えば、レーダ)通信、電子情報(ELINT)の双方、及び様々な通信アプリケーションのような、携帯電話を含む商業上の分野における、高質因子Q(すなわち、エネルギを貯める能力の測定値、従って電力消費又は損失と反比例する)で低い挿入損の、マイクロ波とRFのアプリケーションの広範囲でチューナブルフィルタに対するニーズが、特に本発明の関心事である。多くのアプリケーションにおいては、受信フィルタは所望の周波数を選択するか、干渉信号周波数を割り出すかのいずれかのためにチューニング可能でなければならない。従って、受信機において、受信アンテナと第1の非線形素子(一般的には、低ノイズ増幅器又はミキサ)の間に線形でチューナブル帯域フィルタを導入することは、挿入損が非常に低くなるならば、RFマイクロ波システムの広範囲に実質上の利点を提供する。
【0006】
例えば、商業上のアプリケーションにおいて、PCSによって用いられる1,800乃至2,200MHzの周波数範囲は、数個のより狭い周波数帯域(A−F帯域)、つまり所定領域の遠距離通信オペレータが用いることができるサブセットのみに分割することができる。従って、基地局とハンドヘルド装置を再設定して、選択したこれらの周波数帯域のサブセットを用いて操作できるので有益である。別の例としては、レーダシステムにおいて、「味方の」近くの情報源、又は妨害機のいずれかからの高振幅の干渉信号は、受信機の感度を落とし、偽の標的指示を与えるように高振幅のクラッタ信号レベルで相互変調することができる。従って、高密度信号の環境においては、レーダ警告システムは、完全に使用不可能となり、その場合、周波数ホッピングが有効になる。
【0007】
マイクロ波フィルタは、一般的に2回路のビルディングブロック:複数の共振器で、一の周波数f0で非常に効率的にエネルギを貯蓄することができるものと;連結器であって、多数の段又は極を形成するために共振器間の電磁気エネルギを連結するものと;を用いて構築される。例えば、4極フィルタは4つの共振器を含むことができる。所定の連結器の電気量がそのリアクタンス(すなわち、インダクタンス及び/又はキャパシタンス)によって決定される。連結器の相対的電気量は、フィルタの形状を決定し、連結器のトポロジはフィルタが帯域機能、又は帯域停止機能を実行するかどうかを決定する。共振周波数f0は、それぞれの共振器のインダクタンス及びキャパシタンスによって大きく決定される。従来のフィルタ設計について、フィルタがアクティブになる周波数は、フィルタを構築する共振器の共振周波数によって決定される。各共振器は、フィルタが上述した理由によってシャープかつ、高選択度にすることができるように、非常に低い内部抵抗値を有していなければならない。この低い抵抗値に対する要求は、所定技術用の共振器のサイズとコストを動かしがちである。
【0008】
一般的に、従来のフィルタのサイズとコストが、実現に必要な共振器の数とともに線形的に増加するので、固定化周波数のフィルタは、ある形状に達するのに必要な共振器の数を最小化するように設計される。半導体デバイスの場合において、フォトリソグラフィ的に定義されたフィルタ構造(高温超伝導体(HTS)、マイクロ電気機械システム(MEMS)、薄膜バルクアコースティック共振器(FBAR)フィルタにおけるような)は、従来のくし型又は誘電型フィルタよりも、この種の大きさ及びコストスケーリングに対する感度が低くなっている。
【0009】
チューナブルフィルタを設計するのに用いるアプローチは、固定化周波数のフィルタに関する上述と同一のアプローチに従う。よって、このアプローチは、非常に効率的で有用的で簡単な回路;すなわち、所定のフィルタ応答を実行するのに必要な最も簡単な回路を導く。従来技術のチューニング手法において、フィルタの全ての共振周波数はフィルタの周波数に合うように調整される。例えば、デバイスの操作周波数の帯域を50MHzずつ増やすことが所望される場合、狭帯域フィルタの全ての共振周波数は、50MHっずつ増やさなくてはならない。一方、この先行技術の手法が一般的に周波数帯域を調整するのに成功しているので、必然に抵抗を共振器の中に導入することとなり、これによってフィルタの挿入損が不利に増大する。
【0010】
HTSフィルタは、共振周波数を変化させるために、フィルタ内の各共振器上のHTSプレートを機械的に動かすことによって、共振器内へ有意な抵抗を導入することなく、チューニングすることができるが、このような手法は本質的にゆっくりであり(およそ数秒)、相対的に大きな3次元のチューニング構造を必要とする。挿入損はいわゆるスイッチフィルタ設計で減ずることができるが、これらの設計は、スイッチ時間に実質的な損失量を挿入したままであり、更なる共振器を要求する。例えば、2つのフィルタと、フィルタ間を選択する一対の単極双投(SP2T)スイッチを提供し、これによりチューニング範囲の要求を効果的に減じるが、2つのファクタによる共振器数を増加することによって、挿入損を減ずることができる。損失は更により多くのスイッチとフィルタを導入することによって減ずることができるが、各々の追加したフィルタは元のフィルタと同一数の共振器を必要とする。
【0011】
従って、少ない挿入損を有し、素早くチューニングすることができる帯域フィルタを提供する必要は残されたままである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第1の態様により、無線周波数(RF)フィルタを提供する。RFフィルタは、入出力を有する信号伝送経路と、信号伝送経路に沿って入出力間に配列した複数の共振素子と、共振素子を互いに結合する複数の非共振素子と、を具える。共振素子は、それぞれの共振素子の周波数に対応した複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、伝送ゼロ間に少なくとも1の副帯域とを形成するように互いに結合される。非共振素子は、副帯域のうちの1つにおいて少なくとも1の通過帯域を生成するために、停止帯域内で少なくとも1の反射ゼロを配置するサセプタンス値を有している。
【0013】
非共振素子はある様態で固定することができるので、特定の都合の良い様態において、非共振素子は、副帯域のうちの1つにおいて少なくとも1の通過帯域を生成するように、停止帯域内で少なくとも1の反射ゼロを選択的に導入するための少なくとも1の可変非共振素子を具えている。可変非共振素子は、例えば調整可能なサセプタンスを有し、1又はそれ以上の可変コンデンサ、低損失スイッチ、可変容量ダイオード、及びスイッチコンデンサを含むことができる。ある様態においては、共振素子は、所望の周波数で共振するいくつかの構造形態を取ることができるが、各々の共振素子は薄膜集中素子構造(例えば、高温超伝導体(HTS)のような)を具えている。
【0014】
1の様態において、可変非共振素子は、1の副帯域内で通過帯域を選択的に動かすために、停止帯域に沿って反射ゼロを転置して構成される。複数の副帯域が、伝送ゼロ間にある場合、可変非共振素子は、副帯域から選択したものの内から通過帯域を生成するために、停止帯域に沿った反射ゼロの転置用にすることができる。代替的に、又は更に、可変非共振素子は、別の副帯域のものの内から別の通過帯域を生成するために、停止帯域内の少なくとも別の反射ゼロの転置用にすることができる。ある様態において、通過帯域は選択した副帯域内に実質的に異なる帯域幅を有している。本発明は、それらの最も主要な態様内に限定されるべきではないが、可変非共振素子を調製することで選択した副帯域内の通過帯域を導入する能力により、共振素子の周波数を調整する必要を除去するか、少なくとも最小化し、従ってフィルタによってこうむる挿入損を減ずる。
【0015】
別の様態において、RFフィルタは、少なくとも共振素子のうちの1つの周波数変更用に形成した少なくとも1のチューニング素子を更に具える。例えば、チューニング素子は、反射ゼロと関連した停止帯域に沿って、共振素子の各々の伝送ゼロを転置するために、共振素子の周波数変更用に構成することができる。別の例として、RFフィルタは、停止帯域と周波数範囲に沿った通過帯域とを同時に転置するために、共振素子の周波数変更用に構成された複数のチューニング素子を具えている。選択的な様態において、RFフィルタは可変非共振素子を調整する電気信号の生成用に形成したコントローラを具える。
【0016】
本発明の第2の態様により、別のRFフィルタを提供する。RFフィルタは、入出力を有する信号伝送経路と、信号伝送経路に沿って配置される複数のノードと、ノードからそれぞれに延びる複数の共振分岐と、ノードからそれぞれに延びる複数の非共振分岐と、を具える。RFフィルタは、共振分岐とそれぞれに結合された複数の共振素子と、複数の非共振素子であって、いくつかが非共振分岐とそれぞれ結合する非共振素子と、共振素子の共振周波数に対応する複数の伝送ゼロと、通過帯域を生成するために、伝送ゼロ間に形成した少なくとも1の反射ゼロと、を更に具える。
【0017】
ある様態において、非共振素子は伝送ゼロに対し反射ゼロを選択的に転置するために少なくとも1の可変非共振素子を具えている。別の様態においては、複数の伝送ゼロは2以上の伝送ゼロを具えている。他の様態においては、共振素子は、所望の周波数で共振するいくつかの構造形態を取ることができるが、各々の共振素子は薄膜集中素子構造(例えば、高温超伝導体(HTS)のような)を具えている。
【0018】
本発明の第3の態様により、チューニング範囲を定義する停止帯域を有するRFフィルタのチューニング方法を提供する。その方法は第1の周波数構成から第2の周波数構成まで、RFフィルタを変更するステップを具える。第1の周波数構成の場合は、RFフィルタがチューニング範囲内に第1の通過帯域特性のセットを有し、第2の周波数構成の場合は、RFフィルタが停止帯域のチューニング範囲内に第2の異なる通過帯域特性のセットを有する。限定されない例として、第1及び第2の通過帯域特性は、異なる搬送周波数、異なる帯域幅、及び/又は異なる独立した通過帯域の数を有している。ある方法では、RFフィルタは、停止帯域内の少なくとも1の反射ゼロを転置することによって、第1の周波数構成から第2の周波数構成へと変更される。この場合、停止帯域は複数の伝送ゼロを有し、少なくとも1の基準ゼロは、伝送ゼロが周波数で転置される以上に、周波数で転置される。この場合、RFフィルタを第1の周波数構成から第2の周波数構成まで変更する際に、RFフィルタの挿入損は最小化される。
【0019】
本発明のその他の、及び更なる態様は、下記の好ましい実施例の詳細な説明を読むことで明らかになり、限定せずに発明を示すことを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0020】
図1を引用し、本発明により構成されるチューナブル無線周波数(RF)フィルタ10をここに説明する。示された様態において、RFフィルタ10は所望の周波数範囲内で、例えば800乃至900MHz又は1,800乃至2,220MHzでチューナブル帯域を有する帯域フィルタである。典型的なシナリオでは、RFフィルタ10は、所望の周波数範囲の外側のエネルギを拒絶する広帯域フィルタの前の受信機(図示せず)の前端内に配置される。RFフィルタ10は一般的に入力14と出力16を有する信号伝送経路12と、信号伝送経路12に沿って配置される複数のノード17と、ノード17からそれぞれに延びる複数の共振分岐19と、ノード17からそれぞれに延びる複数の非共振分岐21と、を具える。RFフィルタ10は、入力14と出力16の間に複数の共振素子18(この場合は4個)と、特に共振分岐21と接地との間を結合する場合に、共振素子18の周波数調整用の複数のチューニング素子20、共振素子18を相互に結合し、そのうちの4つが非共振分岐21と接地間を結合する複数の非共振素子22とを更に具える。RFフィルタ10は、周波数範囲内の選択した狭帯域に対するRFフィルタ10のチューニング用に形成した電子制御器24を更に具える。
【0021】
信号伝送経路12は、非共振素子22が直接的又は間接的に結合する物理的な伝送線路を具えることができるが、別の様態においては、物理的な伝送線路は用いられない。示した様態において、共振素子18は、インダクタやコンデンサのような、集中素子の電気素子と、特に、プレーナスパイラル構造、ジグザグ蛇行構造、単コイル構造、及び二重コイル構造のような、薄膜集中素子とを含んでいる。このような構造は、低損失基板上にコンデンサとインダクタを形成するためにパターン化した薄膜エピタキシャル高温超伝導体(HTS)を含むことができる。高温超伝導体集中素子フィルタについて述べた更なる詳細は、米国特許第5,616,539号に述べられている。
【0022】
示した様態において、共振素子18はサセプタンスBRによって表し、非共振素子22は、共振素子18と並列に結合するサセプタンスBNと共振素子18の間に結合するアドミタンスインバータJと、によって表す。選択した非共振素子22は変化させることができるが、残りの非共振素子22は固定化したままである。
【0023】
下記に詳細に述べるように、非共振素子22を変化させ、必要であれば共振素子18の周波数を、周波数範囲の相対位置内の通過帯域に合わせて、及び/又は、動かして微調整しながら実質的に全周波数範囲にわたり、通過帯域をチューニングすることができる。この方法において、フィルタ10の挿入損は有意に減少するが、これはフィルタ10をチューニングする第1の手段として用いられるのが共振素子18よりむしろ非共振素子22だからである。すなわち、非共振素子22の調整は、有意に低感度の共振素子18の調整をするよりも、フィルタ10の損失の原因とはほとんどならないので、フィルタ10は、共振素子をフィルタ10のチューニング用の主要手段として利用する従来技術のフィルタよりも、ほとんど損失を有していない。更に、共振素子18の周波数は、あるにしてもほとんど調整されないので、フィルタ10のチューニング速度は向上する。
【0024】
RFフィルタ10は、選択した広停止帯域領域に狭帯域を導入することにより、上述を遂行している。すなわち、RFフィルタ10は結局は帯域フィルタとして用いられるが、通過帯域を生成するためではなく、むしろ、共振素子18のそれぞれの周波数に対応する伝送ゼロ(この場合、4つ)を有する広停止帯域応答を生成するために、共振素子18は実際のところ、非共振素子22によって互いに結合されている。その時、電気制御器24は、所望の周波数範囲内で狭通過帯域を動かすべく、停止帯域に沿って反射ゼロを導入し転置するために非共振素子22を調整する。電気制御器24はまた、フィルタ応答を最適化するために周波数範囲に沿って伝送ゼロを動かして、チューニング素子20を介して共振素子18の周波数を調整することができる。示した様態において、電気制御器24は、周波数範囲内の所望の通過帯域位置に効果を及ぼすのに必要な、非共振素子22の値を保存するメモリ(図示せず)を含んでいる。
【0025】
本技術は、次の式によりモデリングした様々な例示的なフィルタに関して、ここに説明する:
ここで、S11はフィルタの入力反射係数であり、S21はフォワード伝送係数、sは正規化周波数、F及びPは、一般化した複合周波数sのN次多項式(Nは共振素子の数)であり、εは等リップルの反射減衰量を定義する定数である。係数S11とS21の各々は、分子がN次であるので、N個の零点を有することができる。係数S11とS21の両方がN個の零点全てを有する場合、フィルタ応答は完全楕円形と見なす。フィルタのモデリングについての更に詳細な議論は、「“Microstrip Filters for RF/Microwave Application,”Jia−Shen G.Hong and M.J. Lancaster,Wiley−Interscience 2001」に述べられている。正規化周波数であるs=jwは、式:
によって、実周波数にマッピングすることができ、fは実周波数、fcは中心周波数であり、BWはフィルタの帯域である。正規化周波数の実周波数への変換についての更に詳細な議論は、「“Microwave Filters,Impedance−Matching Networks,and Coupling Structures,”G.Matthaei,L.Young and E.M.T.Jones,McGraw−Hill(1964)」に述べられている。
【0026】
図2は例示的な広帯域停止フィルタ応答を示し、8個の共振素子を用いてモデル化した。従って、停止帯域32を形成するために、それぞれの共振素子周波数で、8の対応する伝送ゼロ30(6つのみ示す)と(図2の右側図において最も良く示されるように)、この停止帯域32の外側にある(図2の左側図において最も良く示されるように)8つの反射ゼロ34(6つのみ示す)を生成する。この特定の例において、伝送ゼロ30は、正規化周波数範囲において、−1.05、−0.75、−0.45、−0.15、0.15、0.45、0.75、1.05に配置し、従って、−1.05と1.05の間の正規化周波数範囲を有する停止帯域を生成する。図2の右側図に示したように、フィルタ応答は、それぞれ、−0.90、−0.60、−0.30、0.0、0.30、0.60、0.90に配置した、伝送ゼロ30間の領域36に7個の「バウンスバック」を含んでいる。従って、一般的に帯域停止フィルタはN個の伝送ゼロと、N個までの反射ゼロと、N−1個のバウンスバック領域36とを含んでいる。
【0027】
重要なことに、通過帯域は、少なくとも1つの反射ゼロ34を停止帯域32に転置することにより(すなわち、非共振素子の値を調整することにより)、図2に示した領域36のバウンスバックのうちのいずれか1つ(これ以降は、「副帯域」という)から形成される。例えば図3は、中心副帯域36(4)内に(すなわち、0で)通過帯域38を生成するように図2の停止帯域に導入した例示的なフィルタ応答を示している。反射ゼロ34は、停止帯域32に沿って(すなわち、非共振素子の値を調節することによって)転置することができ、これにより選択した副帯域36の中へ通過帯域38を生成することができる。すなわち、反射ゼロ34を、停止帯域32に沿って転置して、副帯域36間の通過領域38を「ホップ」することができる。
【0028】
例えば、図4(a)乃至4(g)は、全7個の副帯域36の中心に通過帯域38を選択的に生成するために、4つの反射ゼロ34を停止帯域32内へ転置した例示的なフィルタ応答を示している。すなわち、図4(a)乃至(g)を逐次的に経て、通過帯域は第1の副帯域36(1)から(図4(a))、第2の副帯域36(2)へ(図4(b))、第3の副帯域36(3)へ(図4(c))、第4の副帯域36(4)へ(図4(d))、第5の副帯域36(5)へ(図4(e))、第6の副帯域36(6)へ(図4(f))、そして次いで最終的に第7の副帯域36(7)へ(図4(g))、とホップする。従って、示した様態において、通過帯域38の中心は、−0.90、−0.60、−0.30、0.0、0.30、0.60、0.90の間をホップする。図4(a)乃至4(g)の順序は、通過帯域38が隣接した副帯域36の間をホップすることを暗示しているが、通過帯域38は隣接しない副帯域36の間を、例えば、第2の副帯域36(2)から第5の副帯域36(5)まで、ホップすることができることに留意すべきである。
【0029】
通過帯域38は、副帯域36の間をホップして、所望の周波数範囲を不連続にカバーすることができるが、伝送ゼロ30を公称位置から一斉に同時移動して、停止帯域32全体、及びこのような通過帯域38を正規化周波数範囲内へ転置することができる。従って、通過帯域38を副帯域36の中心(すなわち、−0.90、−0.60、−0.30、0.0、0.30、0.60、0.90)から移動して、所望の周波数範囲の連続体をカバーすることができる。従って、全ての伝送ゼロ30を公称位置から+/−0.15で転置することができる(すなわち共振素子が、+/−0.15の周波数範囲で同時にチューニングされた)場合、図4(a)乃至(g)に示した各通過帯域38は、−1.05乃至1.05の正規化周波数範囲の15%をカバーするであろう。
【0030】
例として、−0.20で通過帯域38を中心に置くことが所望される場合、通過帯域38を、(図4(c)中で−0.30に中心配置した)第3の副帯域36(3)に配置することができ、伝送ゼロ30を公称位置から0.10転置して、−0.30から−0.20まで通過帯域38を移動させることができる。0.85で通過帯域38の中心に配置することが所望される場合、通過帯域38を、(図4(g)中で0.90に中心配置した)7番目の副帯域36(7)に配置することができ、伝送ゼロ30を公称位置から−0.05転置して、0.90から0.85まで通過帯域38を移動させることができる。
【0031】
副帯域36内で中心配置されるように、通過帯域38を、図4(a)乃至4(g)で示した場合、反射ゼロ34を停止帯域32内へ(すなわち、非共振素子の値を調整することにより)転置して、選択した副帯域36内へ通過帯域38を選択的に移動させることができる。この場面において、通過帯域は副帯域36の間をホップすると同時に、各々の副帯域内を移動することができ、これによって、通過帯域38が所望の周波数範囲の連続体をカバーするように、伝送ゼロ30を調整する必要があった総量を減ずることができる。例えば、中心の副帯域36(4)に関して、図5(a)乃至5(d)は、全ての伝送ゼロ30を公称位置から(すなわち、0.05だけ共振素子18の周波数を増やすことにより)0.05転置し、反射ゼロ34を公称位置から0.05だけ(すなわち、非共振素子22を調整することにより)、に増加的に転置する例示的なフィルタ応答を示している。
【0032】
特に、図5(a)乃至5(d)を逐次的に経て、伝送ゼロ30は公称位置から0.05転置し、これにより通過帯域38を0(図5(a))から0.05(図5(b))まで移動させる。次いで、伝送ゼロ30を適所に固定化した後で、副帯域の中心(図5(b)における0.05)から、副帯域36(4)の中心を右側に向けて0.05の位置(図5(c)における0.1)まで、次いで、副帯域36(4)の中心を右側に向けて0.10の位置(図5(d)における0.15)まで、通過帯域を移動させるために反射ゼロ34を公称位置から0.05増加的に転置する。
【0033】
このモダリティは、帯域フィルタの除去傾斜の対称性を破壊するので、この場合、必要とされる伝送ゼロ30の転置と、それにより、反射ゼロ34を副帯域36内に転置しない場合と同一のチューニング範囲を得るために、15%から5%まで共振素子のチューニング範囲と、を減じている。結果として、フィルタの損失は更に減少する。
【0034】
特に、伝送ゼロ30は理論的には副帯域36全体に転置することができるが、そのような場合、各帯域38は共振素子をチューニングするに及ばすとも停止帯域12の約15%をカバーすることができ、実際には、反射ゼロ34が伝送ゼロ30に接近すると、フィルタ損失は有意に増加する。同様にして、通過帯域38を有意な損失なく周波数範囲全体に移動させるためには、反射ゼロ34に沿って伝送ゼロ30を転置する事が好ましい。
【0035】
例えば、図6では、通過帯域38を公称周波数の−1.05乃至1.05(対角の点線で表わすように)の範囲内のいずれかに配置することを可能にするために、伝送ゼロ30を公称位置(水平な点線で示した)に対して+/−0.05の範囲において転置している。通過帯域38の周波数が、−1.05から1.05まで移動する場合、反射ゼロ34は、ある副帯域36から次のものへとホップし、ホップ間の全0.3の範囲について、反射ゼロ34を+/−0.10の範囲内で副帯域36に沿って転置し、伝送ゼロ30を+/−0.05の範囲内で転置する。
【0036】
特に、チューニング範囲の開始時では、伝送ゼロ30を公称位置(すなわち、−1.05、−0.75、−0.45、−0.15、0.15、0.45、0.75、1.05)に対して−0.05で初期配置し、第1の副帯域36(1)の中心を−0.95に配置する。この場合、反射ゼロ34は、通過帯域38を−1.05に配置するために、第1の副帯域36(1)の公称位置に対して−0.10で初期配置する。伝送ゼロ30が固定化されると同時に、反射ゼロ34を第1の副帯域36(1)内の公称位置へ転置し、−1.05から−0.95まで通過帯域を移動させることができる。反射ゼロ34が固定化されると同時に、伝送ゼロ30は公称位置に対して0.05で転置することができ、第1の副帯域36(1)の中心を−0.85まで移動し、これにより−0.95から−0.85まで通過帯域を移動する。伝送ゼロ30が再び固定化されると同時に、反射ゼロ34を、−0.85から−0.75まで通過範囲を移動させるために、公称位置に対して0.10で転置することができる。
【0037】
通過帯域が−0.75に到達するとすぐに、反射ゼロ34は第1の副帯域36(1)から第2の副帯域36(2)までホップし、伝送ゼロ30は、公称位置に対して−0.05で再び転置し、第2の副帯域36(2)の中心を−0.65へ移動させ、この場合においては、反射ゼロ34は通過帯域38を−0.75で維持するために、公称位置に対して−0.10で初期配置される。その際、通過帯域38を−0.75から−0.45まで移動させるために、第1の副帯域36(1)に関する上述と同一方法で互いに協調して、伝送ゼロ30と反射ゼロ34を移動させる。通過帯域38が−0.45に到達するとすぐに、反射ゼロ34は第2の副帯域36(2)から第3の副帯域36(3)までポップする等々して、通過帯域38は1.05に到達するに至る。
【0038】
RFフィルタ10は、所望の周波数範囲の連続体内で、狭い通過帯域をチューニングすることができるように上述してきた(すなわち、RFフィルタ10は、連続的な手段で再形成できる)が、RFフィルタ10は不連続な手段で再形成することができ、結果通過帯域38は不連続に選択した周波数帯域の領域で、中心配置される。例えば、PCSアプリケーションにおいて、RFフィルタ10を再形成して、6つのA−F周波数帯域のいずれかの中で、選択したこれらの周波数帯域のうちの1つに狭い通過帯域を配置することによって、操作できる。
【0039】
図7(a)−7(f)は、RFフィルタの6つの異なる再形成状態に対応する例示的なフィルタ応答を示す。この場合、モデル化したフィルタは、それぞれの伝送ゼロ30の間に配置した8つの副帯域36を有する停止帯域32を生成する9つの伝送ゼロ30(7つだけ示した)と、選択した6つの中間の副帯域36のうちの1つで、通過帯域38を生成するために、停止帯域32の中へ転置することができる7つの反射ゼロ34を有している。従って、RFフィルタを再形成して、PCS通信プロトコルのA帯域(図7(a))、D帯域(図7(b))、B帯域(図7(c))、E帯域(図7(d))、F帯域(図7(e))、又はC帯域(図7(f))内で操作することできる。示したように、通過帯域38の幅は、隣接した伝送ゼロ30の分離によって指図されるように、副帯域36で異なっている。特に、A、B及びC帯域幅は、D、E及びF帯域幅より約2.5大きい。
【0040】
特に、再形成可能な実装において、通過帯域38は所望の周波数範囲の連続体内に移動する必要はなく、むしろ、所望の周波数範囲をカバーするのに十分に広く設計するので、伝送ゼロ30は、通過帯域38の範囲を拡張するためには転置されない。むしろ図8に示すように、伝送ゼロ30は、通過帯域38用の場所を空けるように公称位置から独立して転置するか、さもなくば、拒絶能力を改善する。例えば、第2及び第3の伝送ゼロ30(2)、30(3)は、A帯域で反射ゼロ34用の場所を空けるために、互いに離れて移動し;第4及び第5の伝送ゼロ30(4)、30(5)は、B帯域で反射ゼロ用のに場所を空けるために、互いに離れて移動し、第7及び第8の伝送ゼロ30(7)、30(8)は、C帯域で反射ゼロ34用の場所を空けるために、互いに離れて移動し;第3及び第4の伝送ゼロ30(3)、30(4)は、D帯域で反射ゼロ34用の場所を空けるために、互いに離れて移動し、第5及び第6の伝送ゼロ30(5)、30(6)は、E帯域で反射ゼロ34用の場所を空けるために、互いに離れて移動し;第6及び第7の伝送ゼロ30(6)、30(7)は、F帯域で反射ゼロ34のために場所を空けるために、互いに離れて移動する。
【0041】
先行技術は、単一の通過帯域38(すなわち、一回につき1の通過帯域)を停止帯域32内に導入するように記載されているが、多数の通過帯域を停止帯域32内へ導入することができる。例えば、図9(a)乃至9(f)は、選択した副帯域36の対の中心に2つの通過帯域38(1)、38(2)を選択的に生成するために、2セットの4つの反射ゼロ34を停止帯域32内に転置する例示的なフィルタ応答を示している。すなわち、図9(a)乃至(f)を逐次的に経て、通過帯域38(1)、38(2)は、第2及び第3の副帯域36(2)、36(3)へ(図9(a))、第3及び第5の副帯域36(3)、36(5)へ(図9(b))、第3及び第4の副帯域36(3)、36(4)へ(図9(c))、第2及び第4の副帯域36(2)、36(4)へ(図9(d))、第2及び第6の副帯域36(2)、36(6)へ(図9(e))、第2及び第5の副帯域36(2)、36(5)へ(図9(f))、導入される。
【0042】
図10及び11にある、基本的なチューナブルフィルタ50は、可変非共振素子の値と広い停止帯域内の結果としての狭い通過領域の動作との間の相関を説明する目的で述べられている。図10に示すように、RFフィルタ50は一般的に、入力54と出力56を有する単一の伝送経路52と、入力54と出力56との間にある複数の共振素子58(この場合は2個)と、共振素子58を互いに結合する複数の非共振素子とを具えている。チューニング素子(図示せず)を用いて、共振素子58の周波数を調整し、電気制御器(図示せず)を用いて、周波数範囲内の選択した狭帯域にRFフィルタ50をチューニングすることができる。図1に示したフィルタ10のように、フィルタ50の共振素子58は、サセプタンスBRによって表し、非共振素子62は、共振素子58と並列に結合したサセプタンスBNと、共振素子58の間に結合したアドミタンスインバータJと、によって表す。非共振素子22のうちから選択したものを可変にすることができるが(この場合は、サセプタンスBN)、非共振素子22のうちの残りのものを固定化したままにした(この場合は、アドミタンスインバータJ)。
【0043】
フィルタ50をモデル化し、図11に示す例示的なフィルタ応答を生成した。2つの共振素子58の周波数、つまり2個の伝送ゼロ70を0.95GHzと1.05GHzと設定し、これにより0.95GHzと1.05GHzの間に正規化周波数範囲を有する停止帯域(図示せず)を生成した。この場合、2個の共振素子58のみが存在するので、単一の副帯域76は1.00GHzで伝送ゼロ70の間に中心配置する。従って、反射ゼロ(図示せず)は、単一の副帯域76内へ通過帯域78(5個の通過領域78の位置を示した)を移動させるためにのみ、停止帯域に沿って導入し、転置する。
【0044】
更に図11と12に示すように、可変の非共振素子66(図12にBN(L)及びBN(S)として設計した)を調整して、結合値を変えることによって、1.00GHzの公称周波数あたりで通過帯域78を移動させることができる。特に、通過帯域78は、ロード側の非共振素子BN(L)の結合値のパーセンテージが増加し、ソース側の非共振素子BN(S)の結合値のパーセンテージが減少すると、周波数が減少し(左に移動)、ロード側の非共振素子BN(L)の結合値のパーセンテージが減少し、ソース側の非共振素子BN(S)の結合値のパーセンテージが増加すると、周波数が増加する(右に移動)。
【0045】
図13(a)乃至13(c)では、図1のフィルタ10の非共振素子22を実際の素子に置き換えることができ、結果としてフィルタ10をモデル化し実装することができる。図13(a)に示すように、回路はまず非共振素子22のみを用いてフィルタ10を再形成するために必要な構成素子を減じた。この場合、チューニング素子20は、フィルタ10の再形成についてシミュレート(モデリング)する必要なく、従って図13(a)における回路表現から除去した。図13(b)に示したように、図13(a)の回路表現のブロック素子を実際の回路素子に置き換えた。BNで表した非共振素子22は、コンデンサで転置し、Jで表した非共振素子22は、容量性のπ回路網で転置し、BRで表した共振素子20は、並列のコンデンサ−コイルの組合せで転置した。図13(b)を更に図13(c)の回路表現に減じ、非共振素子は可変にしてフィルタ10の再形成をもたらすことができる。
【0046】
図13(c)のフィルタ10は、実際の回路素子の値を用いて、エミュレートした。図13(c)の回路は、素子の値が多項式の係数に関連する場合を除いて、上述した多項式によりモデル化する。上述したように、フィルタ10は4つの共振素子22を有しており、ゆえに、周波数応答において、その間に形成した3つの副帯域を伴う4つの伝送ゼロを有する。従って、図13(c)の回路表現における非共振素子22のコンデンサ値は、図14に示した3セットの値のうちの1つで調整して、3つの状態量から選択した1つにフィルタ10を配置するために3つの副帯域の間の通過帯域をホップすることができる。図13(c)の回路表現における各コンデンサは、図13(d)の回路表現によってモデル化した。特に各コンデンサCは、可変コンデンサCdと並列の固定コンデンサC0と、可変コンデンサCdと直列の抵抗R(スイッチを表す)とを有する回路として表現した。
【0047】
図15(a)乃至15(c)では、図13(c)に示した基本アーキテクチャを用いて、フィルタ10を非共振素子22の選択したものを調整することにより、3つの状態量のうちの1つの間で再形成することができる。示したように、フィルタ10の全ての周波数応答は、4つの共振素子18の周波数に対応する4つの伝送ゼロ30と、伝送ゼロ30の間に形成される3つの副帯域36を有する。従って、通過帯域38を、3つの副帯域36の各々で生成して:通過帯域38を第1の副帯域36(1)に生成した左の状態量;通過帯域38を第2の副帯域36(2)に生成した中央の状態量;通過帯域38を第3の副帯域36(3)に生成した右の状態量;の3つの異なる状態量全てを可能にできる。
【0048】
示すように、各々の非共振素子22は、3つのコンデンサC1乃至C3を並列に有し、外側の2つのコンデンサC1とC2は、スイッチS1とS2の抵抗性損失を誘導する抵抗R1とR2と直列のそれぞれのスイッチコンデンサを有している。従って、コンデンサC1とC2は、スイッチS2とS3を閉じることによって回路内に含み、スイッチS1とS2を個別に開けることによって回路から除外することができる。従って、コンデンサC1乃至C3が同等の値を有すると仮定すると、非共振素子22は:C1(スイッチS1、S2ともに閉じていない)、C2+C3(スイッチS1、S2のうちの1つを閉じる)、C1+C2+C3(スイッチS1、S2の両方を閉じる)、の3つの値から選択した1つを有することができる。スイッチS1とS2は、例えば、低損失GaAsスイッチのような、いずれかの適した損失スイッチにすることができる。代替的に、可変コンデンサ、GaAsバラクタ、スイッチコンデンサのようなキャパシタンス値を調整することができる可変素子を用いることができる。
【0049】
非共振素子22が図15(a)に示したスイッチ状態で指図される値を有する際には、第1の副帯域36(1)(左の状態量)で;非共振素子22が図15(b)に示したスイッチ状態で指図される値を有する際には、第2の副帯域36(2)(中央の状態量)で;非共振素子22が図15(c)に示したスイッチ状態で指図される値を有する際には、第3の副帯域36(3)(右の状態量)で、通過帯域38を配置できるように決定されている。フィルタ10は、米国特許公報第2006/0202775号において開示したパラメータ抽出と分析技術とを用いてチューニングできる。図示の目的で、閉状態のスイッチに隣接した白熱電球を点灯で(中を彩色して)示し、開状態のスイッチに隣接した白熱電球は、消灯で(中を彩色せずに)示した。フィルタ10は、副帯域36の間の通過帯域38をホップする能力だけを有するように、図15(a)乃至15(c)については記載しているが、選択した副帯域36内への通過帯域38の移動を可能にするために、より多くのスイッチコンデンサによって、回路の分解能を増大させることができる。また、通過帯域38は、副帯域36の中心に位置するので、共振素子18へ結合したチューニング素子は示されていない。
【0050】
図17により、挿入損を最小化するために770MHz乃至890MHzの周波数範囲に沿ってチューニングした、図13(c)に示したエミュレートしたフィルタを示している。このシナリオにおいて、フィルタ10は非共振素子22を、副帯域36の中心の間に通過帯域38をホップするために調整し(図16(a)−(c)に示したように)、副帯域36内へ通過帯域38を移動させるために(すなわち、副帯域36の中心の間の周波数範囲をカバーするために)、共振素子18の周波数を変えることによって、チューニングした。示したように、通過帯域38は890MHzの第3の副帯域36(3)(図15(c)に図示した)の中心から、850MHzの第3の副帯域36(3)の左側へ移動し、フィルタ10の挿入損は約−0.2dBから約−1.5dBまで増加する。850MHzに達するとすぐに、通過帯域38は、第3の副帯域36(3)から第2の副帯域36(2)の中心までホップし(図15(b)に示した)、これにより挿入損が約−1.5dBから約−0.25dBまで減少する。帯域38は次いで、850MHzの第2の副帯域36(2)の中心から、810MHzの第2の副帯域36(2)の左側へと移動し、フィルタ10の挿入損は約−0.25dBから約−1.5dBまで増加する。810MHzに達するとすぐに、通過帯域38は、第2の副帯域36(2)から第1の副帯域36(1)の中心までホップし(図15(a)に示した)、これにより挿入損が約−1.5dBから約−0.7dBまで減少する。帯域38は次いで、810MHzの第1の副帯域36(1)の中心から、770MHzの第1の副帯域36(1)の左側へと移動し、フィルタ10の挿入損は約−0.7dBから約−1.9dBまで増加する。このように、周波数範囲770MHz乃至890MHzの全範囲が、フィルタ10で、周波数範囲に沿って通過帯域38に移動させる一方で、挿入損を最小化するために副帯域36の間をホッピングすることによって、カバーすることができる。
【0051】
図15に示したモデル化したパラメータを用いて、共振素子18だけとは対照的に、非共振素子22をフィルタをチューニングするのに用いた場合、挿入損が周波数範囲の全域で有意に減ずることを示した。例えば、図18に示したように、周波数範囲770MHz乃至890MHzにわたりフィルタ10をチューニングするために、共振素子18の周波数に沿って、非共振素子22を調整する場合のフィルタ10の最悪なケースの挿入損は、同じ周波数範囲にわたりフィルタ10をチューニングするのに、共振素子の周波数のみを調整した場合のフィルタ10の挿入損より約8dB低い。
【0052】
図15に示したパラメータに従ってモデル化で、フィルタ10が先行技術のスイッチフィルタチューニング技術より有意に少ない挿入損を有していることも示してきた。例えば、図19に示すように、周波数範囲770MHz乃至890MHzにわたりフィルタ10をチューニングするために、共振素子の周波数に沿って、可変非共振素子を調整する場合のフィルタ10の最悪なケースの挿入損は、同じ周波数範囲にわたり(追加スイッチからの小さな挿入損を仮定し、スイッチング間の全チューニング範囲の半分をカバーするように、共振素子の周波数を調整する)チューニングしたスイッチフィルタの挿入損より有意に低い。
【0053】
特に、帯域フィルタの挿入損は、共振素子数の増加に伴って増加するというのが、従来の考えであったが、ここに述べた設計技術を利用したフィルタにおいて、用いた共振素子の数とともに挿入損が増加しないことを示している。例えば、図20に示すように、ここに述べた技術を用いた2個の共振器、4個の共振器、6個の共振器のフィルタ設計と、標準のフィルタ設計との周波数応答を、750GHzから950GHzまでの周波数範囲に沿ってプロットした。そこに示したように、共振素子の数ではなく、再接近した共振素子のQが、挿入損を抑制している。
【0054】
本発明の特定の様態を図示して述べてきたが、上述のことが、本発明をこれらの様態に限定することを意図するものではないことを理解すべきである。様々な変更と改良が本発明の精神及び範囲から離れることなくなされることは当該技術分野の当業者にとって明らかである。例えば、本発明は、単一入出力を有するフィルタ以上に良いアプリケーションを有し、本発明の特定の態様を用いて、低損失選択性回路を用いることができる送受切替器、マルチプレクサ、チャネライザ、反応性スイッチ等を形成することができる。従って、本発明は、特許請求の範囲に定義した本発明の精神及び範囲内にある代替物、改良物及び同一物をカバーすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図は、本発明の好ましい実施例の設計と効用を示し、類似した要素は共通の引用数字によって参照する。上に列挙した又は他の本発明の利点及び目的がどのように取得できるのかをより良く認識させるために、簡単に上述した発明のより特定した記載を、その特定の実施例を引用することにより与え、添付図に示している。これらの図が、典型的な本発明の実施例のみを示し、従って範囲限定とみなされるべきではないと解して、本発明を、下記の添付図の使用を介して、更に限定して詳細に記述して説明する。
【図1】図1は、本発明のある様態によって構成されたチューナブル無線周波数(RF)フィルタのブロック図である。
【図2】図2は、8個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図である。
【図3】図3は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(a)】図4(a)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(b)】図4(b)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(c)】図4(c)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(d)】図4(d)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(e)】図4(e)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(f)】図4(f)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(g)】図4(g)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図5(a)】図5(a)は、図2の周波数応答のプロット図であり、停止帯域は、周波数内を偏移し、通過帯域は偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置に導入されている。
【図5(b)】図5(b)は、図2の周波数応答のプロット図であり、停止帯域は、周波数内を偏移し、通過帯域は偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置に導入されている。
【図5(c)】図5(c)は、図2の周波数応答のプロット図であり、停止帯域は、周波数内を偏移し、通過帯域は偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置に導入されている。
【図5(d)】図5(d)は、図2の周波数応答のプロット図であり、停止帯域は、周波数内を偏移し、通過帯域は偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置に導入されている。
【図6】図6は、図4(a)−4(g)の選択した停止帯域の副帯域内で導入される通過帯域の範囲を拡大するために、図2の周波数応答の伝送ゼロの同時偏移を示すプロット図である。
【図7(a)】図7(a)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(b)】図7(b)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(c)】図7(c)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(d)】図7(d)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(e)】図7(e)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(f)】図7(f)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図8】図8は、選択した停止帯域の副帯域内へ通過帯域の導入を提供するために、図7(a)−7(f)の周波数応答の伝送ゼロの独立した偏移を示した図である。
【図9(a)】図9(a)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(b)】図9(b)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(c)】図9(c)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(d)】図9(d)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(e)】図9(e)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(f)】図9(f)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図10】図10は、本発明の別の態様により構成された、チューナブルRFフィルタのブロック図である。
【図11】図11は、図10のフィルタのモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置へ導入されている。
【図12】図12は、図11の通過帯域における周波数偏移に対する図10のチューナブルRFフィルタに用いた非共振素子の結合値の変化を示すプロット図である。
【図13(a)】図13(a)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路表現を示している。
【図13(b)】図13(b)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路表現を示している。
【図13(c)】図13(c)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路表現を示している。
【図13(d)】図13(d)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路表現を示している。
【図14】3つのフィルタ状態量について、図14のRFフィルタをモデリングに用いた素子の値を示す表である。
【図15(a)】図15(a)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路実装であり、様々なフィルタ状態量と対応する周波数応答を詳しく示している。
【図15(b)】図15(b)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路実装であり、様々なフィルタ状態量と対応する周波数応答を詳しく示している。
【図15(c)】図15(c)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路実装であり、様々なフィルタ状態量と対応する周波数応答を詳しく示している。
【図16(a)】図16(a)は、3つの状態量における図14のRFフィルタの周波数応答のプロット図である。
【図16(b)】図16(b)は、3つの状態量における図14のRFフィルタの周波数応答のプロット図である。
【図16(c)】図16(c)は、3つの状態量における図14のRFフィルタの周波数応答のプロット図である。
【図17】図17は、フィルタの挿入損に対する図14のRFフィルタのチューニングを示すプロット図である。
【図18】図18は、同一の周波数範囲に同調させた場合のスイッチフィルタの挿入損に対して図14のフィルタの挿入損を比較するプロット図である。
【図19】図19は、同一の周波数範囲に同調させた場合のスイッチフィルタの挿入損に対して図1のフィルタの挿入損を比較するプロット図である。
【図20】図20は、本発明により構成される2個の共振器、4個の共振器、6個の共振器間の周波数応答と、標準的な帯域フィルタの周波数応答とを比較したプロット図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してマイクロ波回路、特にマイクロ波帯域フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気フィルタは電気信号処理において長く用いられてきた。特に、このような電気フィルタを用いて、所望の信号周波数を通過させる一方で、その他の所望されない信号周波数をブロック又は減衰することにより、入力信号から所望の電気信号周波数を選択している。フィルタは、低域フィルタ、高域フィルタ、帯域フィルタ、帯域消去フィルタを含むいくつかの一般的なカテゴリに分類され、フィルタを選択的に通過する周波数の類型を示すことができる。更に、フィルタはバタワース、チェビシェフ、逆チェビシェフ、楕円のような類型に分類され、理想的な周波数特性に関連する、フィルタが提供する帯域形状(bandshape)の周波数応答(周波数カットオフ特性)の類型を示す。
【0003】
用いるフィルタの類型は、多くの場合その用途に依存する。通信アプリケーションにおいて、帯域フィルタは、1又はそれ以上の所定の帯域を除いて全てのRF信号をノイズ除去し、ブロックするために、携帯電話の基地局やその他の遠距離通信装置で従来用いられている。例えば、このようなフィルタは、基地局又は遠距離通信装置における受信機のコンポーネントを害するノイズや他の不必要な信号を除去するために、受信機のフロントエンドに通常用いられている。シャープに定義された帯域フィルタを受信機のアンテナ入力に対して直接的に配置することは、所望の信号周波数に近い周波数の強い干渉信号から生じる様々な悪影響を除去するであろう。受信機のアンテナ入力に対するフィルタの配置のためには、挿入損は雑音指数を低下させないように非常に低くしなければならない。ほとんどのフィルタ技術においては、低い挿入損を達成することによって、フィルタのしゅん度又は選択度において相応の妥協が必要となる。
【0004】
商業上の遠距離通信アプリケーションにおいて、固定化した周波数スペクトルを可能な限り最大の周波数帯域数で分割できるようにするために、狭帯域フィルタを用いて可能な限り最小の通過帯域でフィルタをかけることがしばしば所望され、それによって、固定化したスペクトル内に適合させることができる実際のユーザ数が増加する。無線通信の劇的な増加とともに、このようなフィルタリングは、ますます対立する周波数スペクトルにおいて高度な選択度(小さい周波数の違いによって分けられた信号間を区別する能力)と感度(弱い信号を受信する能力)の双方を提供すべきである。800乃至900MHzのアナログ携帯電話通信用範囲と、1,800乃至2,200MHzの個人通信サービス(PCS)用範囲の周波数が、特に最も重要である。
【0005】
軍の(例えば、レーダ)通信、電子情報(ELINT)の双方、及び様々な通信アプリケーションのような、携帯電話を含む商業上の分野における、高質因子Q(すなわち、エネルギを貯める能力の測定値、従って電力消費又は損失と反比例する)で低い挿入損の、マイクロ波とRFのアプリケーションの広範囲でチューナブルフィルタに対するニーズが、特に本発明の関心事である。多くのアプリケーションにおいては、受信フィルタは所望の周波数を選択するか、干渉信号周波数を割り出すかのいずれかのためにチューニング可能でなければならない。従って、受信機において、受信アンテナと第1の非線形素子(一般的には、低ノイズ増幅器又はミキサ)の間に線形でチューナブル帯域フィルタを導入することは、挿入損が非常に低くなるならば、RFマイクロ波システムの広範囲に実質上の利点を提供する。
【0006】
例えば、商業上のアプリケーションにおいて、PCSによって用いられる1,800乃至2,200MHzの周波数範囲は、数個のより狭い周波数帯域(A−F帯域)、つまり所定領域の遠距離通信オペレータが用いることができるサブセットのみに分割することができる。従って、基地局とハンドヘルド装置を再設定して、選択したこれらの周波数帯域のサブセットを用いて操作できるので有益である。別の例としては、レーダシステムにおいて、「味方の」近くの情報源、又は妨害機のいずれかからの高振幅の干渉信号は、受信機の感度を落とし、偽の標的指示を与えるように高振幅のクラッタ信号レベルで相互変調することができる。従って、高密度信号の環境においては、レーダ警告システムは、完全に使用不可能となり、その場合、周波数ホッピングが有効になる。
【0007】
マイクロ波フィルタは、一般的に2回路のビルディングブロック:複数の共振器で、一の周波数f0で非常に効率的にエネルギを貯蓄することができるものと;連結器であって、多数の段又は極を形成するために共振器間の電磁気エネルギを連結するものと;を用いて構築される。例えば、4極フィルタは4つの共振器を含むことができる。所定の連結器の電気量がそのリアクタンス(すなわち、インダクタンス及び/又はキャパシタンス)によって決定される。連結器の相対的電気量は、フィルタの形状を決定し、連結器のトポロジはフィルタが帯域機能、又は帯域停止機能を実行するかどうかを決定する。共振周波数f0は、それぞれの共振器のインダクタンス及びキャパシタンスによって大きく決定される。従来のフィルタ設計について、フィルタがアクティブになる周波数は、フィルタを構築する共振器の共振周波数によって決定される。各共振器は、フィルタが上述した理由によってシャープかつ、高選択度にすることができるように、非常に低い内部抵抗値を有していなければならない。この低い抵抗値に対する要求は、所定技術用の共振器のサイズとコストを動かしがちである。
【0008】
一般的に、従来のフィルタのサイズとコストが、実現に必要な共振器の数とともに線形的に増加するので、固定化周波数のフィルタは、ある形状に達するのに必要な共振器の数を最小化するように設計される。半導体デバイスの場合において、フォトリソグラフィ的に定義されたフィルタ構造(高温超伝導体(HTS)、マイクロ電気機械システム(MEMS)、薄膜バルクアコースティック共振器(FBAR)フィルタにおけるような)は、従来のくし型又は誘電型フィルタよりも、この種の大きさ及びコストスケーリングに対する感度が低くなっている。
【0009】
チューナブルフィルタを設計するのに用いるアプローチは、固定化周波数のフィルタに関する上述と同一のアプローチに従う。よって、このアプローチは、非常に効率的で有用的で簡単な回路;すなわち、所定のフィルタ応答を実行するのに必要な最も簡単な回路を導く。従来技術のチューニング手法において、フィルタの全ての共振周波数はフィルタの周波数に合うように調整される。例えば、デバイスの操作周波数の帯域を50MHzずつ増やすことが所望される場合、狭帯域フィルタの全ての共振周波数は、50MHっずつ増やさなくてはならない。一方、この先行技術の手法が一般的に周波数帯域を調整するのに成功しているので、必然に抵抗を共振器の中に導入することとなり、これによってフィルタの挿入損が不利に増大する。
【0010】
HTSフィルタは、共振周波数を変化させるために、フィルタ内の各共振器上のHTSプレートを機械的に動かすことによって、共振器内へ有意な抵抗を導入することなく、チューニングすることができるが、このような手法は本質的にゆっくりであり(およそ数秒)、相対的に大きな3次元のチューニング構造を必要とする。挿入損はいわゆるスイッチフィルタ設計で減ずることができるが、これらの設計は、スイッチ時間に実質的な損失量を挿入したままであり、更なる共振器を要求する。例えば、2つのフィルタと、フィルタ間を選択する一対の単極双投(SP2T)スイッチを提供し、これによりチューニング範囲の要求を効果的に減じるが、2つのファクタによる共振器数を増加することによって、挿入損を減ずることができる。損失は更により多くのスイッチとフィルタを導入することによって減ずることができるが、各々の追加したフィルタは元のフィルタと同一数の共振器を必要とする。
【0011】
従って、少ない挿入損を有し、素早くチューニングすることができる帯域フィルタを提供する必要は残されたままである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第1の態様により、無線周波数(RF)フィルタを提供する。RFフィルタは、入出力を有する信号伝送経路と、信号伝送経路に沿って入出力間に配列した複数の共振素子と、共振素子を互いに結合する複数の非共振素子と、を具える。共振素子は、それぞれの共振素子の周波数に対応した複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、伝送ゼロ間に少なくとも1の副帯域とを形成するように互いに結合される。非共振素子は、副帯域のうちの1つにおいて少なくとも1の通過帯域を生成するために、停止帯域内で少なくとも1の反射ゼロを配置するサセプタンス値を有している。
【0013】
非共振素子はある様態で固定することができるので、特定の都合の良い様態において、非共振素子は、副帯域のうちの1つにおいて少なくとも1の通過帯域を生成するように、停止帯域内で少なくとも1の反射ゼロを選択的に導入するための少なくとも1の可変非共振素子を具えている。可変非共振素子は、例えば調整可能なサセプタンスを有し、1又はそれ以上の可変コンデンサ、低損失スイッチ、可変容量ダイオード、及びスイッチコンデンサを含むことができる。ある様態においては、共振素子は、所望の周波数で共振するいくつかの構造形態を取ることができるが、各々の共振素子は薄膜集中素子構造(例えば、高温超伝導体(HTS)のような)を具えている。
【0014】
1の様態において、可変非共振素子は、1の副帯域内で通過帯域を選択的に動かすために、停止帯域に沿って反射ゼロを転置して構成される。複数の副帯域が、伝送ゼロ間にある場合、可変非共振素子は、副帯域から選択したものの内から通過帯域を生成するために、停止帯域に沿った反射ゼロの転置用にすることができる。代替的に、又は更に、可変非共振素子は、別の副帯域のものの内から別の通過帯域を生成するために、停止帯域内の少なくとも別の反射ゼロの転置用にすることができる。ある様態において、通過帯域は選択した副帯域内に実質的に異なる帯域幅を有している。本発明は、それらの最も主要な態様内に限定されるべきではないが、可変非共振素子を調製することで選択した副帯域内の通過帯域を導入する能力により、共振素子の周波数を調整する必要を除去するか、少なくとも最小化し、従ってフィルタによってこうむる挿入損を減ずる。
【0015】
別の様態において、RFフィルタは、少なくとも共振素子のうちの1つの周波数変更用に形成した少なくとも1のチューニング素子を更に具える。例えば、チューニング素子は、反射ゼロと関連した停止帯域に沿って、共振素子の各々の伝送ゼロを転置するために、共振素子の周波数変更用に構成することができる。別の例として、RFフィルタは、停止帯域と周波数範囲に沿った通過帯域とを同時に転置するために、共振素子の周波数変更用に構成された複数のチューニング素子を具えている。選択的な様態において、RFフィルタは可変非共振素子を調整する電気信号の生成用に形成したコントローラを具える。
【0016】
本発明の第2の態様により、別のRFフィルタを提供する。RFフィルタは、入出力を有する信号伝送経路と、信号伝送経路に沿って配置される複数のノードと、ノードからそれぞれに延びる複数の共振分岐と、ノードからそれぞれに延びる複数の非共振分岐と、を具える。RFフィルタは、共振分岐とそれぞれに結合された複数の共振素子と、複数の非共振素子であって、いくつかが非共振分岐とそれぞれ結合する非共振素子と、共振素子の共振周波数に対応する複数の伝送ゼロと、通過帯域を生成するために、伝送ゼロ間に形成した少なくとも1の反射ゼロと、を更に具える。
【0017】
ある様態において、非共振素子は伝送ゼロに対し反射ゼロを選択的に転置するために少なくとも1の可変非共振素子を具えている。別の様態においては、複数の伝送ゼロは2以上の伝送ゼロを具えている。他の様態においては、共振素子は、所望の周波数で共振するいくつかの構造形態を取ることができるが、各々の共振素子は薄膜集中素子構造(例えば、高温超伝導体(HTS)のような)を具えている。
【0018】
本発明の第3の態様により、チューニング範囲を定義する停止帯域を有するRFフィルタのチューニング方法を提供する。その方法は第1の周波数構成から第2の周波数構成まで、RFフィルタを変更するステップを具える。第1の周波数構成の場合は、RFフィルタがチューニング範囲内に第1の通過帯域特性のセットを有し、第2の周波数構成の場合は、RFフィルタが停止帯域のチューニング範囲内に第2の異なる通過帯域特性のセットを有する。限定されない例として、第1及び第2の通過帯域特性は、異なる搬送周波数、異なる帯域幅、及び/又は異なる独立した通過帯域の数を有している。ある方法では、RFフィルタは、停止帯域内の少なくとも1の反射ゼロを転置することによって、第1の周波数構成から第2の周波数構成へと変更される。この場合、停止帯域は複数の伝送ゼロを有し、少なくとも1の基準ゼロは、伝送ゼロが周波数で転置される以上に、周波数で転置される。この場合、RFフィルタを第1の周波数構成から第2の周波数構成まで変更する際に、RFフィルタの挿入損は最小化される。
【0019】
本発明のその他の、及び更なる態様は、下記の好ましい実施例の詳細な説明を読むことで明らかになり、限定せずに発明を示すことを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0020】
図1を引用し、本発明により構成されるチューナブル無線周波数(RF)フィルタ10をここに説明する。示された様態において、RFフィルタ10は所望の周波数範囲内で、例えば800乃至900MHz又は1,800乃至2,220MHzでチューナブル帯域を有する帯域フィルタである。典型的なシナリオでは、RFフィルタ10は、所望の周波数範囲の外側のエネルギを拒絶する広帯域フィルタの前の受信機(図示せず)の前端内に配置される。RFフィルタ10は一般的に入力14と出力16を有する信号伝送経路12と、信号伝送経路12に沿って配置される複数のノード17と、ノード17からそれぞれに延びる複数の共振分岐19と、ノード17からそれぞれに延びる複数の非共振分岐21と、を具える。RFフィルタ10は、入力14と出力16の間に複数の共振素子18(この場合は4個)と、特に共振分岐21と接地との間を結合する場合に、共振素子18の周波数調整用の複数のチューニング素子20、共振素子18を相互に結合し、そのうちの4つが非共振分岐21と接地間を結合する複数の非共振素子22とを更に具える。RFフィルタ10は、周波数範囲内の選択した狭帯域に対するRFフィルタ10のチューニング用に形成した電子制御器24を更に具える。
【0021】
信号伝送経路12は、非共振素子22が直接的又は間接的に結合する物理的な伝送線路を具えることができるが、別の様態においては、物理的な伝送線路は用いられない。示した様態において、共振素子18は、インダクタやコンデンサのような、集中素子の電気素子と、特に、プレーナスパイラル構造、ジグザグ蛇行構造、単コイル構造、及び二重コイル構造のような、薄膜集中素子とを含んでいる。このような構造は、低損失基板上にコンデンサとインダクタを形成するためにパターン化した薄膜エピタキシャル高温超伝導体(HTS)を含むことができる。高温超伝導体集中素子フィルタについて述べた更なる詳細は、米国特許第5,616,539号に述べられている。
【0022】
示した様態において、共振素子18はサセプタンスBRによって表し、非共振素子22は、共振素子18と並列に結合するサセプタンスBNと共振素子18の間に結合するアドミタンスインバータJと、によって表す。選択した非共振素子22は変化させることができるが、残りの非共振素子22は固定化したままである。
【0023】
下記に詳細に述べるように、非共振素子22を変化させ、必要であれば共振素子18の周波数を、周波数範囲の相対位置内の通過帯域に合わせて、及び/又は、動かして微調整しながら実質的に全周波数範囲にわたり、通過帯域をチューニングすることができる。この方法において、フィルタ10の挿入損は有意に減少するが、これはフィルタ10をチューニングする第1の手段として用いられるのが共振素子18よりむしろ非共振素子22だからである。すなわち、非共振素子22の調整は、有意に低感度の共振素子18の調整をするよりも、フィルタ10の損失の原因とはほとんどならないので、フィルタ10は、共振素子をフィルタ10のチューニング用の主要手段として利用する従来技術のフィルタよりも、ほとんど損失を有していない。更に、共振素子18の周波数は、あるにしてもほとんど調整されないので、フィルタ10のチューニング速度は向上する。
【0024】
RFフィルタ10は、選択した広停止帯域領域に狭帯域を導入することにより、上述を遂行している。すなわち、RFフィルタ10は結局は帯域フィルタとして用いられるが、通過帯域を生成するためではなく、むしろ、共振素子18のそれぞれの周波数に対応する伝送ゼロ(この場合、4つ)を有する広停止帯域応答を生成するために、共振素子18は実際のところ、非共振素子22によって互いに結合されている。その時、電気制御器24は、所望の周波数範囲内で狭通過帯域を動かすべく、停止帯域に沿って反射ゼロを導入し転置するために非共振素子22を調整する。電気制御器24はまた、フィルタ応答を最適化するために周波数範囲に沿って伝送ゼロを動かして、チューニング素子20を介して共振素子18の周波数を調整することができる。示した様態において、電気制御器24は、周波数範囲内の所望の通過帯域位置に効果を及ぼすのに必要な、非共振素子22の値を保存するメモリ(図示せず)を含んでいる。
【0025】
本技術は、次の式によりモデリングした様々な例示的なフィルタに関して、ここに説明する:
ここで、S11はフィルタの入力反射係数であり、S21はフォワード伝送係数、sは正規化周波数、F及びPは、一般化した複合周波数sのN次多項式(Nは共振素子の数)であり、εは等リップルの反射減衰量を定義する定数である。係数S11とS21の各々は、分子がN次であるので、N個の零点を有することができる。係数S11とS21の両方がN個の零点全てを有する場合、フィルタ応答は完全楕円形と見なす。フィルタのモデリングについての更に詳細な議論は、「“Microstrip Filters for RF/Microwave Application,”Jia−Shen G.Hong and M.J. Lancaster,Wiley−Interscience 2001」に述べられている。正規化周波数であるs=jwは、式:
によって、実周波数にマッピングすることができ、fは実周波数、fcは中心周波数であり、BWはフィルタの帯域である。正規化周波数の実周波数への変換についての更に詳細な議論は、「“Microwave Filters,Impedance−Matching Networks,and Coupling Structures,”G.Matthaei,L.Young and E.M.T.Jones,McGraw−Hill(1964)」に述べられている。
【0026】
図2は例示的な広帯域停止フィルタ応答を示し、8個の共振素子を用いてモデル化した。従って、停止帯域32を形成するために、それぞれの共振素子周波数で、8の対応する伝送ゼロ30(6つのみ示す)と(図2の右側図において最も良く示されるように)、この停止帯域32の外側にある(図2の左側図において最も良く示されるように)8つの反射ゼロ34(6つのみ示す)を生成する。この特定の例において、伝送ゼロ30は、正規化周波数範囲において、−1.05、−0.75、−0.45、−0.15、0.15、0.45、0.75、1.05に配置し、従って、−1.05と1.05の間の正規化周波数範囲を有する停止帯域を生成する。図2の右側図に示したように、フィルタ応答は、それぞれ、−0.90、−0.60、−0.30、0.0、0.30、0.60、0.90に配置した、伝送ゼロ30間の領域36に7個の「バウンスバック」を含んでいる。従って、一般的に帯域停止フィルタはN個の伝送ゼロと、N個までの反射ゼロと、N−1個のバウンスバック領域36とを含んでいる。
【0027】
重要なことに、通過帯域は、少なくとも1つの反射ゼロ34を停止帯域32に転置することにより(すなわち、非共振素子の値を調整することにより)、図2に示した領域36のバウンスバックのうちのいずれか1つ(これ以降は、「副帯域」という)から形成される。例えば図3は、中心副帯域36(4)内に(すなわち、0で)通過帯域38を生成するように図2の停止帯域に導入した例示的なフィルタ応答を示している。反射ゼロ34は、停止帯域32に沿って(すなわち、非共振素子の値を調節することによって)転置することができ、これにより選択した副帯域36の中へ通過帯域38を生成することができる。すなわち、反射ゼロ34を、停止帯域32に沿って転置して、副帯域36間の通過領域38を「ホップ」することができる。
【0028】
例えば、図4(a)乃至4(g)は、全7個の副帯域36の中心に通過帯域38を選択的に生成するために、4つの反射ゼロ34を停止帯域32内へ転置した例示的なフィルタ応答を示している。すなわち、図4(a)乃至(g)を逐次的に経て、通過帯域は第1の副帯域36(1)から(図4(a))、第2の副帯域36(2)へ(図4(b))、第3の副帯域36(3)へ(図4(c))、第4の副帯域36(4)へ(図4(d))、第5の副帯域36(5)へ(図4(e))、第6の副帯域36(6)へ(図4(f))、そして次いで最終的に第7の副帯域36(7)へ(図4(g))、とホップする。従って、示した様態において、通過帯域38の中心は、−0.90、−0.60、−0.30、0.0、0.30、0.60、0.90の間をホップする。図4(a)乃至4(g)の順序は、通過帯域38が隣接した副帯域36の間をホップすることを暗示しているが、通過帯域38は隣接しない副帯域36の間を、例えば、第2の副帯域36(2)から第5の副帯域36(5)まで、ホップすることができることに留意すべきである。
【0029】
通過帯域38は、副帯域36の間をホップして、所望の周波数範囲を不連続にカバーすることができるが、伝送ゼロ30を公称位置から一斉に同時移動して、停止帯域32全体、及びこのような通過帯域38を正規化周波数範囲内へ転置することができる。従って、通過帯域38を副帯域36の中心(すなわち、−0.90、−0.60、−0.30、0.0、0.30、0.60、0.90)から移動して、所望の周波数範囲の連続体をカバーすることができる。従って、全ての伝送ゼロ30を公称位置から+/−0.15で転置することができる(すなわち共振素子が、+/−0.15の周波数範囲で同時にチューニングされた)場合、図4(a)乃至(g)に示した各通過帯域38は、−1.05乃至1.05の正規化周波数範囲の15%をカバーするであろう。
【0030】
例として、−0.20で通過帯域38を中心に置くことが所望される場合、通過帯域38を、(図4(c)中で−0.30に中心配置した)第3の副帯域36(3)に配置することができ、伝送ゼロ30を公称位置から0.10転置して、−0.30から−0.20まで通過帯域38を移動させることができる。0.85で通過帯域38の中心に配置することが所望される場合、通過帯域38を、(図4(g)中で0.90に中心配置した)7番目の副帯域36(7)に配置することができ、伝送ゼロ30を公称位置から−0.05転置して、0.90から0.85まで通過帯域38を移動させることができる。
【0031】
副帯域36内で中心配置されるように、通過帯域38を、図4(a)乃至4(g)で示した場合、反射ゼロ34を停止帯域32内へ(すなわち、非共振素子の値を調整することにより)転置して、選択した副帯域36内へ通過帯域38を選択的に移動させることができる。この場面において、通過帯域は副帯域36の間をホップすると同時に、各々の副帯域内を移動することができ、これによって、通過帯域38が所望の周波数範囲の連続体をカバーするように、伝送ゼロ30を調整する必要があった総量を減ずることができる。例えば、中心の副帯域36(4)に関して、図5(a)乃至5(d)は、全ての伝送ゼロ30を公称位置から(すなわち、0.05だけ共振素子18の周波数を増やすことにより)0.05転置し、反射ゼロ34を公称位置から0.05だけ(すなわち、非共振素子22を調整することにより)、に増加的に転置する例示的なフィルタ応答を示している。
【0032】
特に、図5(a)乃至5(d)を逐次的に経て、伝送ゼロ30は公称位置から0.05転置し、これにより通過帯域38を0(図5(a))から0.05(図5(b))まで移動させる。次いで、伝送ゼロ30を適所に固定化した後で、副帯域の中心(図5(b)における0.05)から、副帯域36(4)の中心を右側に向けて0.05の位置(図5(c)における0.1)まで、次いで、副帯域36(4)の中心を右側に向けて0.10の位置(図5(d)における0.15)まで、通過帯域を移動させるために反射ゼロ34を公称位置から0.05増加的に転置する。
【0033】
このモダリティは、帯域フィルタの除去傾斜の対称性を破壊するので、この場合、必要とされる伝送ゼロ30の転置と、それにより、反射ゼロ34を副帯域36内に転置しない場合と同一のチューニング範囲を得るために、15%から5%まで共振素子のチューニング範囲と、を減じている。結果として、フィルタの損失は更に減少する。
【0034】
特に、伝送ゼロ30は理論的には副帯域36全体に転置することができるが、そのような場合、各帯域38は共振素子をチューニングするに及ばすとも停止帯域12の約15%をカバーすることができ、実際には、反射ゼロ34が伝送ゼロ30に接近すると、フィルタ損失は有意に増加する。同様にして、通過帯域38を有意な損失なく周波数範囲全体に移動させるためには、反射ゼロ34に沿って伝送ゼロ30を転置する事が好ましい。
【0035】
例えば、図6では、通過帯域38を公称周波数の−1.05乃至1.05(対角の点線で表わすように)の範囲内のいずれかに配置することを可能にするために、伝送ゼロ30を公称位置(水平な点線で示した)に対して+/−0.05の範囲において転置している。通過帯域38の周波数が、−1.05から1.05まで移動する場合、反射ゼロ34は、ある副帯域36から次のものへとホップし、ホップ間の全0.3の範囲について、反射ゼロ34を+/−0.10の範囲内で副帯域36に沿って転置し、伝送ゼロ30を+/−0.05の範囲内で転置する。
【0036】
特に、チューニング範囲の開始時では、伝送ゼロ30を公称位置(すなわち、−1.05、−0.75、−0.45、−0.15、0.15、0.45、0.75、1.05)に対して−0.05で初期配置し、第1の副帯域36(1)の中心を−0.95に配置する。この場合、反射ゼロ34は、通過帯域38を−1.05に配置するために、第1の副帯域36(1)の公称位置に対して−0.10で初期配置する。伝送ゼロ30が固定化されると同時に、反射ゼロ34を第1の副帯域36(1)内の公称位置へ転置し、−1.05から−0.95まで通過帯域を移動させることができる。反射ゼロ34が固定化されると同時に、伝送ゼロ30は公称位置に対して0.05で転置することができ、第1の副帯域36(1)の中心を−0.85まで移動し、これにより−0.95から−0.85まで通過帯域を移動する。伝送ゼロ30が再び固定化されると同時に、反射ゼロ34を、−0.85から−0.75まで通過範囲を移動させるために、公称位置に対して0.10で転置することができる。
【0037】
通過帯域が−0.75に到達するとすぐに、反射ゼロ34は第1の副帯域36(1)から第2の副帯域36(2)までホップし、伝送ゼロ30は、公称位置に対して−0.05で再び転置し、第2の副帯域36(2)の中心を−0.65へ移動させ、この場合においては、反射ゼロ34は通過帯域38を−0.75で維持するために、公称位置に対して−0.10で初期配置される。その際、通過帯域38を−0.75から−0.45まで移動させるために、第1の副帯域36(1)に関する上述と同一方法で互いに協調して、伝送ゼロ30と反射ゼロ34を移動させる。通過帯域38が−0.45に到達するとすぐに、反射ゼロ34は第2の副帯域36(2)から第3の副帯域36(3)までポップする等々して、通過帯域38は1.05に到達するに至る。
【0038】
RFフィルタ10は、所望の周波数範囲の連続体内で、狭い通過帯域をチューニングすることができるように上述してきた(すなわち、RFフィルタ10は、連続的な手段で再形成できる)が、RFフィルタ10は不連続な手段で再形成することができ、結果通過帯域38は不連続に選択した周波数帯域の領域で、中心配置される。例えば、PCSアプリケーションにおいて、RFフィルタ10を再形成して、6つのA−F周波数帯域のいずれかの中で、選択したこれらの周波数帯域のうちの1つに狭い通過帯域を配置することによって、操作できる。
【0039】
図7(a)−7(f)は、RFフィルタの6つの異なる再形成状態に対応する例示的なフィルタ応答を示す。この場合、モデル化したフィルタは、それぞれの伝送ゼロ30の間に配置した8つの副帯域36を有する停止帯域32を生成する9つの伝送ゼロ30(7つだけ示した)と、選択した6つの中間の副帯域36のうちの1つで、通過帯域38を生成するために、停止帯域32の中へ転置することができる7つの反射ゼロ34を有している。従って、RFフィルタを再形成して、PCS通信プロトコルのA帯域(図7(a))、D帯域(図7(b))、B帯域(図7(c))、E帯域(図7(d))、F帯域(図7(e))、又はC帯域(図7(f))内で操作することできる。示したように、通過帯域38の幅は、隣接した伝送ゼロ30の分離によって指図されるように、副帯域36で異なっている。特に、A、B及びC帯域幅は、D、E及びF帯域幅より約2.5大きい。
【0040】
特に、再形成可能な実装において、通過帯域38は所望の周波数範囲の連続体内に移動する必要はなく、むしろ、所望の周波数範囲をカバーするのに十分に広く設計するので、伝送ゼロ30は、通過帯域38の範囲を拡張するためには転置されない。むしろ図8に示すように、伝送ゼロ30は、通過帯域38用の場所を空けるように公称位置から独立して転置するか、さもなくば、拒絶能力を改善する。例えば、第2及び第3の伝送ゼロ30(2)、30(3)は、A帯域で反射ゼロ34用の場所を空けるために、互いに離れて移動し;第4及び第5の伝送ゼロ30(4)、30(5)は、B帯域で反射ゼロ用のに場所を空けるために、互いに離れて移動し、第7及び第8の伝送ゼロ30(7)、30(8)は、C帯域で反射ゼロ34用の場所を空けるために、互いに離れて移動し;第3及び第4の伝送ゼロ30(3)、30(4)は、D帯域で反射ゼロ34用の場所を空けるために、互いに離れて移動し、第5及び第6の伝送ゼロ30(5)、30(6)は、E帯域で反射ゼロ34用の場所を空けるために、互いに離れて移動し;第6及び第7の伝送ゼロ30(6)、30(7)は、F帯域で反射ゼロ34のために場所を空けるために、互いに離れて移動する。
【0041】
先行技術は、単一の通過帯域38(すなわち、一回につき1の通過帯域)を停止帯域32内に導入するように記載されているが、多数の通過帯域を停止帯域32内へ導入することができる。例えば、図9(a)乃至9(f)は、選択した副帯域36の対の中心に2つの通過帯域38(1)、38(2)を選択的に生成するために、2セットの4つの反射ゼロ34を停止帯域32内に転置する例示的なフィルタ応答を示している。すなわち、図9(a)乃至(f)を逐次的に経て、通過帯域38(1)、38(2)は、第2及び第3の副帯域36(2)、36(3)へ(図9(a))、第3及び第5の副帯域36(3)、36(5)へ(図9(b))、第3及び第4の副帯域36(3)、36(4)へ(図9(c))、第2及び第4の副帯域36(2)、36(4)へ(図9(d))、第2及び第6の副帯域36(2)、36(6)へ(図9(e))、第2及び第5の副帯域36(2)、36(5)へ(図9(f))、導入される。
【0042】
図10及び11にある、基本的なチューナブルフィルタ50は、可変非共振素子の値と広い停止帯域内の結果としての狭い通過領域の動作との間の相関を説明する目的で述べられている。図10に示すように、RFフィルタ50は一般的に、入力54と出力56を有する単一の伝送経路52と、入力54と出力56との間にある複数の共振素子58(この場合は2個)と、共振素子58を互いに結合する複数の非共振素子とを具えている。チューニング素子(図示せず)を用いて、共振素子58の周波数を調整し、電気制御器(図示せず)を用いて、周波数範囲内の選択した狭帯域にRFフィルタ50をチューニングすることができる。図1に示したフィルタ10のように、フィルタ50の共振素子58は、サセプタンスBRによって表し、非共振素子62は、共振素子58と並列に結合したサセプタンスBNと、共振素子58の間に結合したアドミタンスインバータJと、によって表す。非共振素子22のうちから選択したものを可変にすることができるが(この場合は、サセプタンスBN)、非共振素子22のうちの残りのものを固定化したままにした(この場合は、アドミタンスインバータJ)。
【0043】
フィルタ50をモデル化し、図11に示す例示的なフィルタ応答を生成した。2つの共振素子58の周波数、つまり2個の伝送ゼロ70を0.95GHzと1.05GHzと設定し、これにより0.95GHzと1.05GHzの間に正規化周波数範囲を有する停止帯域(図示せず)を生成した。この場合、2個の共振素子58のみが存在するので、単一の副帯域76は1.00GHzで伝送ゼロ70の間に中心配置する。従って、反射ゼロ(図示せず)は、単一の副帯域76内へ通過帯域78(5個の通過領域78の位置を示した)を移動させるためにのみ、停止帯域に沿って導入し、転置する。
【0044】
更に図11と12に示すように、可変の非共振素子66(図12にBN(L)及びBN(S)として設計した)を調整して、結合値を変えることによって、1.00GHzの公称周波数あたりで通過帯域78を移動させることができる。特に、通過帯域78は、ロード側の非共振素子BN(L)の結合値のパーセンテージが増加し、ソース側の非共振素子BN(S)の結合値のパーセンテージが減少すると、周波数が減少し(左に移動)、ロード側の非共振素子BN(L)の結合値のパーセンテージが減少し、ソース側の非共振素子BN(S)の結合値のパーセンテージが増加すると、周波数が増加する(右に移動)。
【0045】
図13(a)乃至13(c)では、図1のフィルタ10の非共振素子22を実際の素子に置き換えることができ、結果としてフィルタ10をモデル化し実装することができる。図13(a)に示すように、回路はまず非共振素子22のみを用いてフィルタ10を再形成するために必要な構成素子を減じた。この場合、チューニング素子20は、フィルタ10の再形成についてシミュレート(モデリング)する必要なく、従って図13(a)における回路表現から除去した。図13(b)に示したように、図13(a)の回路表現のブロック素子を実際の回路素子に置き換えた。BNで表した非共振素子22は、コンデンサで転置し、Jで表した非共振素子22は、容量性のπ回路網で転置し、BRで表した共振素子20は、並列のコンデンサ−コイルの組合せで転置した。図13(b)を更に図13(c)の回路表現に減じ、非共振素子は可変にしてフィルタ10の再形成をもたらすことができる。
【0046】
図13(c)のフィルタ10は、実際の回路素子の値を用いて、エミュレートした。図13(c)の回路は、素子の値が多項式の係数に関連する場合を除いて、上述した多項式によりモデル化する。上述したように、フィルタ10は4つの共振素子22を有しており、ゆえに、周波数応答において、その間に形成した3つの副帯域を伴う4つの伝送ゼロを有する。従って、図13(c)の回路表現における非共振素子22のコンデンサ値は、図14に示した3セットの値のうちの1つで調整して、3つの状態量から選択した1つにフィルタ10を配置するために3つの副帯域の間の通過帯域をホップすることができる。図13(c)の回路表現における各コンデンサは、図13(d)の回路表現によってモデル化した。特に各コンデンサCは、可変コンデンサCdと並列の固定コンデンサC0と、可変コンデンサCdと直列の抵抗R(スイッチを表す)とを有する回路として表現した。
【0047】
図15(a)乃至15(c)では、図13(c)に示した基本アーキテクチャを用いて、フィルタ10を非共振素子22の選択したものを調整することにより、3つの状態量のうちの1つの間で再形成することができる。示したように、フィルタ10の全ての周波数応答は、4つの共振素子18の周波数に対応する4つの伝送ゼロ30と、伝送ゼロ30の間に形成される3つの副帯域36を有する。従って、通過帯域38を、3つの副帯域36の各々で生成して:通過帯域38を第1の副帯域36(1)に生成した左の状態量;通過帯域38を第2の副帯域36(2)に生成した中央の状態量;通過帯域38を第3の副帯域36(3)に生成した右の状態量;の3つの異なる状態量全てを可能にできる。
【0048】
示すように、各々の非共振素子22は、3つのコンデンサC1乃至C3を並列に有し、外側の2つのコンデンサC1とC2は、スイッチS1とS2の抵抗性損失を誘導する抵抗R1とR2と直列のそれぞれのスイッチコンデンサを有している。従って、コンデンサC1とC2は、スイッチS2とS3を閉じることによって回路内に含み、スイッチS1とS2を個別に開けることによって回路から除外することができる。従って、コンデンサC1乃至C3が同等の値を有すると仮定すると、非共振素子22は:C1(スイッチS1、S2ともに閉じていない)、C2+C3(スイッチS1、S2のうちの1つを閉じる)、C1+C2+C3(スイッチS1、S2の両方を閉じる)、の3つの値から選択した1つを有することができる。スイッチS1とS2は、例えば、低損失GaAsスイッチのような、いずれかの適した損失スイッチにすることができる。代替的に、可変コンデンサ、GaAsバラクタ、スイッチコンデンサのようなキャパシタンス値を調整することができる可変素子を用いることができる。
【0049】
非共振素子22が図15(a)に示したスイッチ状態で指図される値を有する際には、第1の副帯域36(1)(左の状態量)で;非共振素子22が図15(b)に示したスイッチ状態で指図される値を有する際には、第2の副帯域36(2)(中央の状態量)で;非共振素子22が図15(c)に示したスイッチ状態で指図される値を有する際には、第3の副帯域36(3)(右の状態量)で、通過帯域38を配置できるように決定されている。フィルタ10は、米国特許公報第2006/0202775号において開示したパラメータ抽出と分析技術とを用いてチューニングできる。図示の目的で、閉状態のスイッチに隣接した白熱電球を点灯で(中を彩色して)示し、開状態のスイッチに隣接した白熱電球は、消灯で(中を彩色せずに)示した。フィルタ10は、副帯域36の間の通過帯域38をホップする能力だけを有するように、図15(a)乃至15(c)については記載しているが、選択した副帯域36内への通過帯域38の移動を可能にするために、より多くのスイッチコンデンサによって、回路の分解能を増大させることができる。また、通過帯域38は、副帯域36の中心に位置するので、共振素子18へ結合したチューニング素子は示されていない。
【0050】
図17により、挿入損を最小化するために770MHz乃至890MHzの周波数範囲に沿ってチューニングした、図13(c)に示したエミュレートしたフィルタを示している。このシナリオにおいて、フィルタ10は非共振素子22を、副帯域36の中心の間に通過帯域38をホップするために調整し(図16(a)−(c)に示したように)、副帯域36内へ通過帯域38を移動させるために(すなわち、副帯域36の中心の間の周波数範囲をカバーするために)、共振素子18の周波数を変えることによって、チューニングした。示したように、通過帯域38は890MHzの第3の副帯域36(3)(図15(c)に図示した)の中心から、850MHzの第3の副帯域36(3)の左側へ移動し、フィルタ10の挿入損は約−0.2dBから約−1.5dBまで増加する。850MHzに達するとすぐに、通過帯域38は、第3の副帯域36(3)から第2の副帯域36(2)の中心までホップし(図15(b)に示した)、これにより挿入損が約−1.5dBから約−0.25dBまで減少する。帯域38は次いで、850MHzの第2の副帯域36(2)の中心から、810MHzの第2の副帯域36(2)の左側へと移動し、フィルタ10の挿入損は約−0.25dBから約−1.5dBまで増加する。810MHzに達するとすぐに、通過帯域38は、第2の副帯域36(2)から第1の副帯域36(1)の中心までホップし(図15(a)に示した)、これにより挿入損が約−1.5dBから約−0.7dBまで減少する。帯域38は次いで、810MHzの第1の副帯域36(1)の中心から、770MHzの第1の副帯域36(1)の左側へと移動し、フィルタ10の挿入損は約−0.7dBから約−1.9dBまで増加する。このように、周波数範囲770MHz乃至890MHzの全範囲が、フィルタ10で、周波数範囲に沿って通過帯域38に移動させる一方で、挿入損を最小化するために副帯域36の間をホッピングすることによって、カバーすることができる。
【0051】
図15に示したモデル化したパラメータを用いて、共振素子18だけとは対照的に、非共振素子22をフィルタをチューニングするのに用いた場合、挿入損が周波数範囲の全域で有意に減ずることを示した。例えば、図18に示したように、周波数範囲770MHz乃至890MHzにわたりフィルタ10をチューニングするために、共振素子18の周波数に沿って、非共振素子22を調整する場合のフィルタ10の最悪なケースの挿入損は、同じ周波数範囲にわたりフィルタ10をチューニングするのに、共振素子の周波数のみを調整した場合のフィルタ10の挿入損より約8dB低い。
【0052】
図15に示したパラメータに従ってモデル化で、フィルタ10が先行技術のスイッチフィルタチューニング技術より有意に少ない挿入損を有していることも示してきた。例えば、図19に示すように、周波数範囲770MHz乃至890MHzにわたりフィルタ10をチューニングするために、共振素子の周波数に沿って、可変非共振素子を調整する場合のフィルタ10の最悪なケースの挿入損は、同じ周波数範囲にわたり(追加スイッチからの小さな挿入損を仮定し、スイッチング間の全チューニング範囲の半分をカバーするように、共振素子の周波数を調整する)チューニングしたスイッチフィルタの挿入損より有意に低い。
【0053】
特に、帯域フィルタの挿入損は、共振素子数の増加に伴って増加するというのが、従来の考えであったが、ここに述べた設計技術を利用したフィルタにおいて、用いた共振素子の数とともに挿入損が増加しないことを示している。例えば、図20に示すように、ここに述べた技術を用いた2個の共振器、4個の共振器、6個の共振器のフィルタ設計と、標準のフィルタ設計との周波数応答を、750GHzから950GHzまでの周波数範囲に沿ってプロットした。そこに示したように、共振素子の数ではなく、再接近した共振素子のQが、挿入損を抑制している。
【0054】
本発明の特定の様態を図示して述べてきたが、上述のことが、本発明をこれらの様態に限定することを意図するものではないことを理解すべきである。様々な変更と改良が本発明の精神及び範囲から離れることなくなされることは当該技術分野の当業者にとって明らかである。例えば、本発明は、単一入出力を有するフィルタ以上に良いアプリケーションを有し、本発明の特定の態様を用いて、低損失選択性回路を用いることができる送受切替器、マルチプレクサ、チャネライザ、反応性スイッチ等を形成することができる。従って、本発明は、特許請求の範囲に定義した本発明の精神及び範囲内にある代替物、改良物及び同一物をカバーすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図は、本発明の好ましい実施例の設計と効用を示し、類似した要素は共通の引用数字によって参照する。上に列挙した又は他の本発明の利点及び目的がどのように取得できるのかをより良く認識させるために、簡単に上述した発明のより特定した記載を、その特定の実施例を引用することにより与え、添付図に示している。これらの図が、典型的な本発明の実施例のみを示し、従って範囲限定とみなされるべきではないと解して、本発明を、下記の添付図の使用を介して、更に限定して詳細に記述して説明する。
【図1】図1は、本発明のある様態によって構成されたチューナブル無線周波数(RF)フィルタのブロック図である。
【図2】図2は、8個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図である。
【図3】図3は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(a)】図4(a)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(b)】図4(b)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(c)】図4(c)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(d)】図4(d)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(e)】図4(e)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(f)】図4(f)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図4(g)】図4(g)は、図2の周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、選択した停止帯域の副帯域内に導入されている。
【図5(a)】図5(a)は、図2の周波数応答のプロット図であり、停止帯域は、周波数内を偏移し、通過帯域は偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置に導入されている。
【図5(b)】図5(b)は、図2の周波数応答のプロット図であり、停止帯域は、周波数内を偏移し、通過帯域は偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置に導入されている。
【図5(c)】図5(c)は、図2の周波数応答のプロット図であり、停止帯域は、周波数内を偏移し、通過帯域は偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置に導入されている。
【図5(d)】図5(d)は、図2の周波数応答のプロット図であり、停止帯域は、周波数内を偏移し、通過帯域は偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置に導入されている。
【図6】図6は、図4(a)−4(g)の選択した停止帯域の副帯域内で導入される通過帯域の範囲を拡大するために、図2の周波数応答の伝送ゼロの同時偏移を示すプロット図である。
【図7(a)】図7(a)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(b)】図7(b)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(c)】図7(c)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(d)】図7(d)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(e)】図7(e)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図7(f)】図7(f)は、9個の共振素子を用いる典型的な広停止帯域のモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーするように、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図8】図8は、選択した停止帯域の副帯域内へ通過帯域の導入を提供するために、図7(a)−7(f)の周波数応答の伝送ゼロの独立した偏移を示した図である。
【図9(a)】図9(a)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(b)】図9(b)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(c)】図9(c)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(d)】図9(d)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(e)】図9(e)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図9(f)】図9(f)は、図2のモデル化周波数応答のプロット図であり、多数の通過帯域が、選択した停止帯域の副帯域内へ導入されている。
【図10】図10は、本発明の別の態様により構成された、チューナブルRFフィルタのブロック図である。
【図11】図11は、図10のフィルタのモデル化周波数応答のプロット図であり、通過帯域は、偏移した停止帯域の副帯域の様々な位置へ導入されている。
【図12】図12は、図11の通過帯域における周波数偏移に対する図10のチューナブルRFフィルタに用いた非共振素子の結合値の変化を示すプロット図である。
【図13(a)】図13(a)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路表現を示している。
【図13(b)】図13(b)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路表現を示している。
【図13(c)】図13(c)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路表現を示している。
【図13(d)】図13(d)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路表現を示している。
【図14】3つのフィルタ状態量について、図14のRFフィルタをモデリングに用いた素子の値を示す表である。
【図15(a)】図15(a)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路実装であり、様々なフィルタ状態量と対応する周波数応答を詳しく示している。
【図15(b)】図15(b)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路実装であり、様々なフィルタ状態量と対応する周波数応答を詳しく示している。
【図15(c)】図15(c)は、図1のチューナブルRFフィルタの回路実装であり、様々なフィルタ状態量と対応する周波数応答を詳しく示している。
【図16(a)】図16(a)は、3つの状態量における図14のRFフィルタの周波数応答のプロット図である。
【図16(b)】図16(b)は、3つの状態量における図14のRFフィルタの周波数応答のプロット図である。
【図16(c)】図16(c)は、3つの状態量における図14のRFフィルタの周波数応答のプロット図である。
【図17】図17は、フィルタの挿入損に対する図14のRFフィルタのチューニングを示すプロット図である。
【図18】図18は、同一の周波数範囲に同調させた場合のスイッチフィルタの挿入損に対して図14のフィルタの挿入損を比較するプロット図である。
【図19】図19は、同一の周波数範囲に同調させた場合のスイッチフィルタの挿入損に対して図1のフィルタの挿入損を比較するプロット図である。
【図20】図20は、本発明により構成される2個の共振器、4個の共振器、6個の共振器間の周波数応答と、標準的な帯域フィルタの周波数応答とを比較したプロット図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力と出力を有する信号伝送経路と;
前記信号伝送経路に沿って前記入力と前記出力の間に配列した複数の共振素子と;
前記共振素子のそれぞれの周波数に対応する複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、当該伝送ゼロ間の少なくとも1の副帯域とを形成するように、前記共振素子を互いに結合する複数の非共振素子であって、少なくとも1の副帯域のうちの1つに通過帯域を生成するために、前記停止帯域内に少なくとも1の反射ゼロを選択的に導入するための少なくとも1の可変非共振素子を具える非共振素子と;
を具えることを特徴とする無線周波数(RF)フィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の副帯域が複数の副帯域を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項3】
請求項2に記載のRFフィルタにおいて、前記可変非共振素子が、選択した副帯域内に前記通過帯域を生成すべく前記停止帯域に沿って前記少なくとも1の反射ゼロを転置するためにあることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項4】
請求項3に記載のRFフィルタにおいて、前記通過帯域が、前記選択される副帯域内で実質的に異なる帯域幅を有することを特徴とするRFフィルタ。
【請求項5】
請求項2に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の可変非共振素子が、別の副帯域内に別の通過帯域を生成すべく前記停止帯域内で少なくとも別の反射ゼロを転置するためにあることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項6】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の可変非共振素子が、前記1の副帯域内に前記通過帯域を選択的に移動させるべく、前記停止帯域に沿って少なくとも1の反射ゼロを転置するためにあることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項7】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の反射ゼロが、複数の反射ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項8】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の非共振素子が、複数の可変非共振素子を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項9】
請求項1に記載のRFフィルタが、少なくとも前記共振素子のうちの1つの周波数を変更するよう構成された少なくとも1のチューニング素子を更に具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項10】
請求項9に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1のチューニング素子が、前記少なくとも1の反射ゼロに対して、前記停止帯域に沿って各周波数の前記少なくとも1の共振素子に対応する前記伝送ゼロを転置するように、前記少なくとも1の共振素子の前記周波数を変更するよう構成されたことを特徴とするRFフィルタ。
【請求項11】
請求項9に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1のチューニング素子が、ある周波数範囲に沿って、前記通過帯域で前記停止帯域を同時に転置するように前記共振素子の前記周波数を変更するよう構成された複数のチューニング素子を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項12】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の可変非共振素子が調整可能なサセプタンスを有することを特徴とするRFフィルタ。
【請求項13】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の可変非共振素子が、可変コンデンサ、低損失スイッチ、可変容量ダイオード、スイッチコンデンサのうちの少なくとも1つを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項14】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記共振素子の各々が、薄膜集中素子構造を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項15】
請求項14に記載のRFフィルタにおいて、前記薄膜集中素子構造が、高温超伝導体(HTS)を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項16】
請求項1に記載のRFフィルタが、前記少なくとも1の可変非共振素子を調整する電気信号を生成するよう構成された制御器を更に具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項17】
入力と出力を有する信号伝送経路と;
前記信号伝送経路に沿って前記入力と前記出力の間に配列した複数の共振素子と;
前記共振素子のそれぞれの周波数に対応する複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、当該伝送ゼロ間に複数の副帯域とを形成するように、前記共振素子を互いに結合する複数の非共振素子と;
選択した前記副帯域内に通過帯域を生成すべく、前記停止帯域に沿って、少なくとも1の反射ゼロを導入するために、少なくとも前記非共振素子のうちの1つを変えるよう構成された電気制御器と;
を具えることを特徴とする無線周波数(RF)フィルタ。
【請求項18】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記通過帯域が、前記選択した副帯域内で実質的に異なる帯域幅を有することを特徴とするRFフィルタ。
【請求項19】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記電気制御器が、別の前記副帯域内へ別の通過帯域を生成する前記停止帯域に沿って、前記少なくとも1の反射ゼロを転置する前記少なくとも1の非共振素子を変えるよう構成されることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項20】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記電気制御器が、各々の選択した副帯域内へ別の通過帯域を選択的に移動させるために、前記停止帯域に沿って前記少なくとも1の反射ゼロを転置すべく、前記少なくとも1の非共振素子を変えるよう構成されることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項21】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の反射ゼロが、複数の反射ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項22】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の非共振素子が、少なくとも2の非共振素子を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項23】
請求項17に記載のRFフィルタが、前記少なくとも1の反射ゼロに対して前記それぞれの伝送ゼロを独立して転置すべく前記共振素子の前記周波数を変更するよう構成される複数のチューニング素子を更に具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項24】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記1の非共振素子が、前記少なくとも1の非共振素子のサセプタンスを調整するために形成されることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項25】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の非共振素子が、可変コンデンサ、低損失スイッチ、可変容量ダイオード、スイッチコンデンサのうちの少なくとも1つを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項26】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記共振素子の各々が、薄膜集中素子構造を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項27】
請求項17に記載のRFフィルタが、前記少なくとも1の可変非共振素子を調整する電気信号を生成するよう構成された制御器を更に具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項28】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記薄膜集中素子構造が、高温超伝導体(HTS)を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項29】
入力と出力を有する信号伝送経路と;
前記信号伝送経路に沿って前記入力と前記出力の間に配列した複数の共振素子と;
前記共振素子のそれぞれの周波数に対応する複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、当該伝送ゼロ間の少なくとも1の副帯域とを形成するように、前記共振素子を互いに結合する複数の非共振素子であって、少なくとも前記1の副帯域のうちの1つに通過帯域を生成するために、前記停止帯域内に少なくとも1の反射ゼロを配置するサセプタンス値を有する非共振素子と;
を具えることを特徴とする無線周波数(RF)フィルタ。
【請求項30】
請求項29に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の副帯域が、複数の副帯域を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項31】
請求項29に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の反射ゼロが、複数の反射ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項32】
請求項29に記載のRFフィルタにおいて、前記共振素子の各々が、薄膜集中素子構造を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項33】
請求項32に記載のRFフィルタにおいて、前記薄膜集中素子構造が、高温超伝導体(HTS)を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項34】
入力と出力を有する信号伝送経路と;
前記信号伝送経路に沿って配置される複数のノードと;
前記ノードからそれぞれ延びる複数の共振分岐と;
前記ノードからそれぞれ延びる複数の非共振分岐と;
前記共振分岐にそれぞれ結合された複数の共振素子と;
いくつかが前記非共振分岐へそれぞれ結合された複数の非共振素子と;
前記非共振分岐の共振周波数に対応する複数の伝送ゼロと;
通過帯域を生成するために前記伝送ゼロの間に形成された少なくとも1の反射ゼロと;
を具えることを特徴とする無線周波数(RF)フィルタ。
【請求項35】
請求項34に記載のRFフィルタにおいて、前記非共振素子が前記伝送ゼロに対し前記少なくとも1の反射ゼロを選択的に転置するための少なくとも1の可変非共振素子を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項36】
請求項34に記載のRFフィルタにおいて、複数の伝送ゼロが、2以上の伝送ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項37】
請求項34に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の反射ゼロが、複数の反射ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項38】
請求項34に記載のRFフィルタにおいて、前記共振素子の各々が、薄膜集中素子構造を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項39】
請求項38に記載のRFフィルタにおいて、前記薄膜集中素子構造が、高温超伝導体(HTS)を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項1】
入力と出力を有する信号伝送経路と;
前記信号伝送経路に沿って前記入力と前記出力の間に配列した複数の共振素子と;
前記共振素子のそれぞれの周波数に対応する複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、当該伝送ゼロ間の少なくとも1の副帯域とを形成するように、前記共振素子を互いに結合する複数の非共振素子であって、少なくとも1の副帯域のうちの1つに通過帯域を生成するために、前記停止帯域内に少なくとも1の反射ゼロを選択的に導入するための少なくとも1の可変非共振素子を具える非共振素子と;
を具えることを特徴とする無線周波数(RF)フィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の副帯域が複数の副帯域を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項3】
請求項2に記載のRFフィルタにおいて、前記可変非共振素子が、選択した副帯域内に前記通過帯域を生成すべく前記停止帯域に沿って前記少なくとも1の反射ゼロを転置するためにあることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項4】
請求項3に記載のRFフィルタにおいて、前記通過帯域が、前記選択される副帯域内で実質的に異なる帯域幅を有することを特徴とするRFフィルタ。
【請求項5】
請求項2に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の可変非共振素子が、別の副帯域内に別の通過帯域を生成すべく前記停止帯域内で少なくとも別の反射ゼロを転置するためにあることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項6】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の可変非共振素子が、前記1の副帯域内に前記通過帯域を選択的に移動させるべく、前記停止帯域に沿って少なくとも1の反射ゼロを転置するためにあることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項7】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の反射ゼロが、複数の反射ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項8】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の非共振素子が、複数の可変非共振素子を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項9】
請求項1に記載のRFフィルタが、少なくとも前記共振素子のうちの1つの周波数を変更するよう構成された少なくとも1のチューニング素子を更に具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項10】
請求項9に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1のチューニング素子が、前記少なくとも1の反射ゼロに対して、前記停止帯域に沿って各周波数の前記少なくとも1の共振素子に対応する前記伝送ゼロを転置するように、前記少なくとも1の共振素子の前記周波数を変更するよう構成されたことを特徴とするRFフィルタ。
【請求項11】
請求項9に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1のチューニング素子が、ある周波数範囲に沿って、前記通過帯域で前記停止帯域を同時に転置するように前記共振素子の前記周波数を変更するよう構成された複数のチューニング素子を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項12】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の可変非共振素子が調整可能なサセプタンスを有することを特徴とするRFフィルタ。
【請求項13】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の可変非共振素子が、可変コンデンサ、低損失スイッチ、可変容量ダイオード、スイッチコンデンサのうちの少なくとも1つを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項14】
請求項1に記載のRFフィルタにおいて、前記共振素子の各々が、薄膜集中素子構造を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項15】
請求項14に記載のRFフィルタにおいて、前記薄膜集中素子構造が、高温超伝導体(HTS)を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項16】
請求項1に記載のRFフィルタが、前記少なくとも1の可変非共振素子を調整する電気信号を生成するよう構成された制御器を更に具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項17】
入力と出力を有する信号伝送経路と;
前記信号伝送経路に沿って前記入力と前記出力の間に配列した複数の共振素子と;
前記共振素子のそれぞれの周波数に対応する複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、当該伝送ゼロ間に複数の副帯域とを形成するように、前記共振素子を互いに結合する複数の非共振素子と;
選択した前記副帯域内に通過帯域を生成すべく、前記停止帯域に沿って、少なくとも1の反射ゼロを導入するために、少なくとも前記非共振素子のうちの1つを変えるよう構成された電気制御器と;
を具えることを特徴とする無線周波数(RF)フィルタ。
【請求項18】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記通過帯域が、前記選択した副帯域内で実質的に異なる帯域幅を有することを特徴とするRFフィルタ。
【請求項19】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記電気制御器が、別の前記副帯域内へ別の通過帯域を生成する前記停止帯域に沿って、前記少なくとも1の反射ゼロを転置する前記少なくとも1の非共振素子を変えるよう構成されることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項20】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記電気制御器が、各々の選択した副帯域内へ別の通過帯域を選択的に移動させるために、前記停止帯域に沿って前記少なくとも1の反射ゼロを転置すべく、前記少なくとも1の非共振素子を変えるよう構成されることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項21】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の反射ゼロが、複数の反射ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項22】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の非共振素子が、少なくとも2の非共振素子を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項23】
請求項17に記載のRFフィルタが、前記少なくとも1の反射ゼロに対して前記それぞれの伝送ゼロを独立して転置すべく前記共振素子の前記周波数を変更するよう構成される複数のチューニング素子を更に具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項24】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記1の非共振素子が、前記少なくとも1の非共振素子のサセプタンスを調整するために形成されることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項25】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の非共振素子が、可変コンデンサ、低損失スイッチ、可変容量ダイオード、スイッチコンデンサのうちの少なくとも1つを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項26】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記共振素子の各々が、薄膜集中素子構造を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項27】
請求項17に記載のRFフィルタが、前記少なくとも1の可変非共振素子を調整する電気信号を生成するよう構成された制御器を更に具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項28】
請求項17に記載のRFフィルタにおいて、前記薄膜集中素子構造が、高温超伝導体(HTS)を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項29】
入力と出力を有する信号伝送経路と;
前記信号伝送経路に沿って前記入力と前記出力の間に配列した複数の共振素子と;
前記共振素子のそれぞれの周波数に対応する複数の伝送ゼロを有する停止帯域と、当該伝送ゼロ間の少なくとも1の副帯域とを形成するように、前記共振素子を互いに結合する複数の非共振素子であって、少なくとも前記1の副帯域のうちの1つに通過帯域を生成するために、前記停止帯域内に少なくとも1の反射ゼロを配置するサセプタンス値を有する非共振素子と;
を具えることを特徴とする無線周波数(RF)フィルタ。
【請求項30】
請求項29に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の副帯域が、複数の副帯域を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項31】
請求項29に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の反射ゼロが、複数の反射ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項32】
請求項29に記載のRFフィルタにおいて、前記共振素子の各々が、薄膜集中素子構造を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項33】
請求項32に記載のRFフィルタにおいて、前記薄膜集中素子構造が、高温超伝導体(HTS)を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項34】
入力と出力を有する信号伝送経路と;
前記信号伝送経路に沿って配置される複数のノードと;
前記ノードからそれぞれ延びる複数の共振分岐と;
前記ノードからそれぞれ延びる複数の非共振分岐と;
前記共振分岐にそれぞれ結合された複数の共振素子と;
いくつかが前記非共振分岐へそれぞれ結合された複数の非共振素子と;
前記非共振分岐の共振周波数に対応する複数の伝送ゼロと;
通過帯域を生成するために前記伝送ゼロの間に形成された少なくとも1の反射ゼロと;
を具えることを特徴とする無線周波数(RF)フィルタ。
【請求項35】
請求項34に記載のRFフィルタにおいて、前記非共振素子が前記伝送ゼロに対し前記少なくとも1の反射ゼロを選択的に転置するための少なくとも1の可変非共振素子を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項36】
請求項34に記載のRFフィルタにおいて、複数の伝送ゼロが、2以上の伝送ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項37】
請求項34に記載のRFフィルタにおいて、前記少なくとも1の反射ゼロが、複数の反射ゼロを具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項38】
請求項34に記載のRFフィルタにおいて、前記共振素子の各々が、薄膜集中素子構造を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【請求項39】
請求項38に記載のRFフィルタにおいて、前記薄膜集中素子構造が、高温超伝導体(HTS)を具えることを特徴とするRFフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図4(e)】
【図4(f)】
【図4(g)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図7(e)】
【図7(f)】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図9(d)】
【図9(e)】
【図9(f)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図13(c)】
【図13(d)】
【図14】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図15(c)】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図16(c)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図4(e)】
【図4(f)】
【図4(g)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図7(e)】
【図7(f)】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図9(d)】
【図9(e)】
【図9(f)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図13(c)】
【図13(d)】
【図14】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図15(c)】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図16(c)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−31216(P2013−31216A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−214033(P2012−214033)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2008−541492(P2008−541492)の分割
【原出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(508143591)スーパーコンダクター テクノロジーズ,インク. (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2008−541492(P2008−541492)の分割
【原出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(508143591)スーパーコンダクター テクノロジーズ,インク. (7)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]