説明

低減した色を有する浸漬された非対称反射体

フィルム構成体(610)は、第2軸に沿って偏光された垂直入射光よりも、第1軸に沿って偏光された垂直入射光をより多く反射するマイクロ層の群を含む。マイクロ層は、所与の入射条件において、より広い反射帯域にわたって中程度の反射率を有するマイクロ層の群を提供する、第1軸及び第2軸に垂直な厚さ軸に沿った層厚さ分布を有する光学繰り返し単位(ORU)に配置される。ORUはその厚さが平均厚さよりも小さいより薄いORU、及びその厚さが平均厚さよりも大きいより厚いORUを含む。マイクロ層の群は、空気よりも大きな屈折率を有する媒体中に光学的に浸漬され、それによって超臨界光がマイクロ層を伝搬することができる。マイクロ層は、平均して、より薄いORUがより厚いORUよりも構成体の出力表面に近いように配向される。「超臨界」光とは、平坦で平滑な空気/フィルム境界面を使用した空気からの照明によって達成され得るものよりも大きく傾斜した角度でフィルムを伝搬する光を意味する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年1月27日出願の米国仮特許出願第61/298,830号、表題「Immersed Asymmetric Reflector with Reduced Color」(代理人整理番号第66125US002号)、及び2009年10月24日出願の米国特許出願第61/254,692号、表題「Immersed Reflective Polarizer with Angular Confinement in Selected Planes of Incidence」(代理人整理番号第65900US002号)の利益を主張し、これらの開示は、本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般的に、その反射及び透過特性が、フィルム内のマイクロ層の間の境界面から反射する光の強め合う干渉及び弱め合う干渉により大部分が決定される光学フィルムに関連し、このようなフィルムと他の構成要素(例えば、ディスプレイシステム又は他の照明システムの使用に好適な構成要素)の組み合わせに対する特定の用途を有する。本発明はまた、それに関連する物品、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
その面内屈折率が、面内遮蔽軸に沿って隣接するマイクロ層の間の実質的な屈折率不整合を提供し、面内通過軸に沿って隣接するマイクロ層の間の実質的な屈折率整合を提供するように選択され、遮蔽軸に沿って偏光された垂直入射に関して高い反射率を確実にする一方で、通過軸に沿って偏光された垂直入射光に関しては低い屈折率及び高い反射率を維持するために、十分な数の層を有する、複数のマイクロ層から構成される反射性偏光子が、しばらくの間既知である。例えば、米国特許第3,610,729号(Rogers)、同第4,446,305号(Rogersら)及び同第5,486,949号(Schrenkら)を参照されたい。
【0004】
より最近では、3M Companyの研究者が、このようなフィルムのフィルムと垂直な方向、すなわちz軸に沿った層間の屈折率特性の有意性を指摘し、これらの特性が斜角の入射角で、フィルムの反射率及び透過率においていかに重要な役割を有するかを示した。例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)を参照されたい。Jonzaらはとりわけ、隣接するマイクロ層間の屈折率におけるz軸の不整合(より簡潔にz屈折率不整合すなわちΔnz)が、ブリュースター角(境界面におけるp偏光の反射率がゼロになる角度)が非常に大きいか、又は存在しない多層積層体の構成を可能にするためにどのように調整され得るかを教示する。これはひいては、その境界面におけるp偏光に関する反射率が、入射角の増加に伴って緩慢に減少するか、又は入射角と独立しているか、又は入射角が垂直方向から遠ざかるにつれて増加する、多層ミラー及び偏光子の構成を可能にする。その結果、ミラーの場合のあらゆる入射方向及び偏光子の場合の選択された方向において、s偏光及びp偏光の両方に関し、広帯域幅にわたり高反射率を有する多層フィルムが達成され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
メーカーは、費用を低減させ、性能を改善するために、光学フィルム及び他の光学構成要素の機能性をますますない部品へと継続的に統合しているため、以前はフィルムの両主表面に空気間隙を含む独立型フィルムとして製品内に配置されていた多層光学フィルムが、今では、多層光学フィルムの外側表面に空気間隙がもはや存在しないように他のフィルム又は光学構成要素へと結合ないしは別の方法で接合され得る。多層光学フィルムに接合される光学構成要素の性質により、このようなフィルム構成体の多層光学フィルムは、光がフィルムを「超臨界」角(すなわち、空気の臨界角よりも傾斜した角度)にて伝搬することができるように、空気よりも高い屈折率の材料内に「光学的に浸漬され」得る。
【0006】
多層光学フィルムがこのような方法で光学的に浸漬される、一定の多層光学フィルム構成体の予期せぬ特性が発見された。多層光学フィルムが反射広帯域部分反射体(例えば、可視波長領域にわたり、光が名目上均一に、部分的に透過及び部分的に反射する)として設計される際、及び多層光学フィルムが、第1軸に沿って偏光された垂直入射光が、第1軸と垂直な第2軸に沿って偏光された垂直入射光よりも多く反射する(又は少なく透過する)ように非対称な垂直入射反射率又は透過率を有する場合、観察者に対する又はフィルム構成体の入力表面若しくは出力表面に対する多層光学フィルムの配向又は「偏側性」が、システムの色及び/又は空間的色均一性に顕著かつ認識可能な効果を有し得ることが見出された。例えば、多層光学フィルムを構成するマイクロ層が、その光学的厚さが層厚さプロファイルに従って構成される光学繰り返し単位(ORU)に構成され、より薄いORUが一般的にフィルムの第1表面により近くに位置され、より厚いORUが一般的にフィルムの第2表面により近く配向される場合、多層光学フィルム(フィルム構成体の文脈における)が、第1表面をフィルム構成体(又は観察者)の出力表面に向けるか、又は第2表面をこのような外側表面に向けるかによって、システムの見た目の色及び/又は空間的な色均一性が大きく異なり得る。この興味深く、予期せぬ特性は、例えば意図される用途において、感知されにくい色のむらを提供するように調整される多層光学フィルム構成体を作製するために利用され得る。したがって、低減した色が所望される場合、多層光学フィルムは、より薄いORUがより厚いORUよりも、フィルム構成体の出力表面により近くなるように配向され得る。
【0007】
したがって、とりわけ、第2軸に沿って偏光された垂直入射光よりも、第1軸に沿って偏光された垂直入射光をより多く反射する、マイクロ層の群を含むフィルム構成体が開示される。マイクロ層は、所与の入射条件においてより広い反射帯域にわたり、中程度の反射率を有するマイクロ層の群を提供する、第1軸及び第2軸に垂直な厚さ軸に沿った厚さ分布を有する光学繰り返し単位(ORU)に構成される。ORUは、その厚さが平均厚さよりも小さいより薄いORUと、その厚さが平均厚さよりも大きいより厚いORUとを含む。マイクロ層の群は、空気よりも大きい屈折率を有する媒体中に光学的に浸漬され、それによって超臨界光がマイクロ層を伝搬することができる。マイクロ層は、平均してより薄いORUがより厚いORUよりも構成体の出力表面に近くなるように配向される。この配向は、「薄い面が外側」と称される。
【0008】
また、入力表面及び出力表面を有するフィルム構成体が開示される。構成体は、強め合う又は弱め合う干渉によって光を選択的に反射するように光学繰り返し単位(ORU)に構成された複数のマイクロ層を含み、マイクロ層は、第1軸に沿って偏光された垂直入射光において、第2軸に沿って偏光された垂直入射光におけるよりも大きな反射率を有し、第1軸及び第2軸はフィルム平面を画定する。マイクロ層は、空気よりも大きな屈折率を有する媒体中に光学的に浸漬され、それによって超臨界光がマイクロ層を伝搬することができる。ORUは、フィルム平面と垂直な厚さ軸に沿った層厚さ分布を有し、層厚さ分布は平均厚さを有し、所与の入射条件において、より広い反射帯域にわたり中程度の反射率を有する複数のマイクロ層を提供するために有効である。厚さ分布のために、ORUは、その厚さが平均厚さよりも小さいより薄いORU、及びその厚さが平均厚さよりも大きいより厚いORUを含む。マイクロ層は好ましくは、平均して、より薄いORUがより厚いORUよりも出力表面に近くなるように配向される。
【0009】
より広い帯域にわたってマイクロ層により提供される中程度の反射率は、この帯域にわたって部分的な反射及び部分的な透過を可能にする。多層光学フィルムが部分を成すシステム設計により、このような中程度の反射率は様々な所望の入射条件において生じるように設計され得る。1つの場合において、例えば、入射条件はフィルムの第2軸に沿って偏光された垂直入射光に関するものであってもよく、この場合、広帯域部分反射率及び透過率は通過状態の光と関連する。別の場合において、例えば、入射条件は第1軸に沿って偏光された垂直入射光に関するものであり得、この場合、広帯域部分反射率及び透過率は「遮蔽状態」の光と関連する。他の場合において、入射条件は、選択された入射平面内の斜めに入射した光に関するものであり得る。例えば、s又はp偏光は、特定のs及びp偏光(非偏光)又はその平均であり得る。選択される入射平面は、第1軸及び厚さ軸を含む平面又は第2軸及び厚さ軸を含む平面又はこれらの平面に対して中間的な位置で回転させた平面であり得る。例えば、入射平面は、厚さ軸を含み、第1軸に対して10°、又は20°、又は45°回転された平面であり得る。このような平面における入射角は、所望により、例えば、屈折率1.494の媒体中で49°で、又はこのような媒体中における38°の角度で、又は他の媒体おける他の角度で更に指定され得る。
【0010】
マイクロ層は、単一の光学パケットに構成されてもよく、より薄いORUは、主に光学パケットの第1の側に配向され、より厚いORUは主に光学パケットの第2の側に配向され、第1の側はフィルム構成体の出力表面に面する。あるいは、マイクロ層は少なくとも2つの別個の光学パケットに構成されて得る。
【0011】
複数のマイクロ層は、第1材料を含む第1セットのマイクロ層と、第1材料と異なる第2材料を含む第2セットのマイクロ層とを含み得る。ORUはそれぞれ、第1セットのマイクロ層からの第1マイクロ層と、第2セットのマイクロ層からの第2マイクロ層とを含むか、又はこれから本質的になり得る。いくつかの場合において、第1材料は二軸的に複屈折性であり得、他の場合においては第1材料は一軸的に複屈折性であり得る。いずれの場合においても、第2材料は実質的に等方性であり得、又はこれは複屈折性であり得る。
【0012】
フィルム構成体は、空気に曝露された相対する第1主表面及び第2主表面を有してもよく、入力表面は第1主表面であるか又はこれを含んでよく、出力表面は第2主表面であるか又はこれを含んでよい。
【0013】
複数のマイクロ層は低吸収率材料を含んでもよく、その結果、複数のマイクロ層の%透過率+ %反射率が約100%である。中程度の反射率は次に、例えば、所望により、400〜700nmの可視波長にわたり、少なくとも10%であるが90%未満、又は少なくとも20%であるが80%未満の所与の入射条件における平均反射率を含む。
【0014】
フィルム構成体は、空気間隙を含まずに複数のマイクロ層に接続された第1光学素子を更に含み得る。このような第1光学素子は、任意の数の異なる形状を有し得る微細構造化表面を含み得る。微細構造化表面は、反復パターン、ランダムパターン、又はこれらの組み合わせを有し得る。微細構造化表面は、隣接する小平面若しくは他の構造との間に識別可能な縁部若しくは境界を有するように小平面を有してもよく、又はこれはこのような縁部若しくは境界なしにうねっていてもよい。微細構造化表面は、形成、キャスト、コーティング、成形型を含む微細複製技術により作製されてもよく、又はビーズ若しくは他の粒子を元々は平滑な層に導入するなどの他の任意の好適な技術によって作製されてもよい。いくつかの場合において、微細構造化表面は複数の線形プリズムを含み、各プリズムはプリズム軸と平行に延びる。プリズム軸は例えば、フィルム構成体の第2軸と実質的に平行であってもよいが、所望によりプリズム軸の他の構成もまた使用され得る。3面プリズム又は4面プリズムを含むがこれに限定されない他の種類のプリズムがまた使用され得る。いくつかの場合において、微細構造化表面はレンズ状構成の規則的又は不規則的配列を含んでもよい。
【0015】
可視波長にわたり、第1軸に沿って偏光された垂直入射光の反射率はR1であり得、可視波長にわたり、第2軸に沿って偏光された垂直入射光の反射率はR2であり得、R1は少なくとも50%であり得、R2は少なくとも10%であり得るが、これらの値は限定として解釈されるべきではない。いくつかの場合において、R1は50%以下であり得、R2は10%以下であり得る。
【0016】
フィルム構成体は、光学システムの部分として含まれてもよく、システムはまた、入力表面を通じてフィルム構成体内に光を導入するために配置される光源を含む。システムはまた、フィルム構成体の出力表面の近位に配置されたディスプレイパネルを含み得る。フィルム構成体は、空気間隙を含まずに複数のマイクロ層に接続された第1光学素子を含み得る。第1光学素子は、例えば、光導体であるか又はこれを含んでもよく、入力表面は光導体の側部表面であり得る。
【0017】
光学システムは、光学的に厚い層を含んでもよく、入力表面は光学的に厚い層の主表面であり得る。いくつかの場合において、主表面は微細構造化された表面を含む。いくつかの場合において、光学的に厚い層は内部に配置された光拡散素子を含んでもよい。
【0018】
関連する方法、システム、及び物品も述べられる。
【0019】
本願のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。しかし、決して、上記要約は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ディスプレイシステムの概略的側面図。
【図2】本明細書において開示される積層体及び/又はフィルムの追加によって修正された図1のシステムの概略的側面図。
【図3a】所与の光学媒体中にフィルムを浸漬する概念を表し、そこに他の層が適用される、単純化された層状フィルムの一連の概略的側面図。
【図3b】所与の光学媒体中にフィルムを浸漬する概念を表し、そこに他の層が適用される、単純化された層状フィルムの一連の概略的側面図。
【図3c】所与の光学媒体中にフィルムを浸漬する概念を表し、そこに他の層が適用される、単純化された層状フィルムの一連の概略的側面図。
【図4】層が空気以外の媒体に浸漬される際の円錐の広がりを例示している、所与の層内の光伝搬の角度範囲又は円錐の斜視図。
【図5】多層光学フィルムの代表的な光学繰り返し単位(ORU)の概略的斜視図。
【図6】マイクロ層のパケット及び複数のORUを示している、多層光学フィルムの一部の概略的斜視図。
【図7】非対称反射性フィルムであり得る、多層光学フィルムの概略的斜視図。
【図8】反射性偏光フィルムなどの非対称反射性フィルムであり得る、多層光学フィルムの別の概略的斜視図。
【図9a】多層光学フィルムの設計で使用され得る、代表的な層厚さプロファイルを表すグラフ。
【図9b】多層光学フィルムの設計で使用され得る、代表的な層厚さプロファイルを表すグラフ。
【図10a】光学的に浸漬された多層光学フィルムを含むフィルム構成体の概略的断面図。
【図10b】光学的に浸漬された多層光学フィルムを含む、より単純なフィルム構成体の概略的断面図。
【図10c】光学的に浸漬された多層光学フィルムを含む、別の単純なフィルム構成体の概略的断面図。
【図11a】代表的な浸漬された多層光学フィルムの、透過率対波長(すなわち、分光透過率)のモデル化されたグラフ。屈折率1.494の媒体で測定した入射角θ=49°におけるx−z平面(φ=0)の超臨界入射光の透過率が算出され、グラフは、フィルムの厚い面が外側の向き、及び薄い面が外側の向きの両方について適用可能。
【図11b】入射平面はz軸を中心に10°回転され(φ=10)多層光学フィルムは厚い面が外側に向けられている、図11aと同様の分光透過率のモデル化されたグラフ。
【図11c】多層光学フィルムは薄い面が外側に向けられている、図11bと同様の分光透過率のモデル化されたグラフ。
【図12a】吸収性偏光子が、多層光学フィルムの出力表面と光学的に接触するように配置されている、図11bと同様の分光透過率のモデル化されたグラフ。
【図12b】吸収性偏光子が、多層光学フィルムの出力表面と光学的に接触するように配置されている、図11cと同様の分光透過率のモデル化されたグラフ。
【図13】光の方向が逆転しており、それによって吸収性偏光子は多層光学フィルムの入力表面と光学的に接触している、図12bと同様の分光透過率のモデル化されたグラフ。
【図14a】多層光学フィルムのマイクロ層が2つの別個の積層体又はパケット内に分配され、厚さプロファイルは依然として厚い面が外側である、図11bと同様の分光透過率のモデル化されたグラフ。
【図14b】多層光学フィルムのマイクロ層が2つの別個の積層体又はパケット内に分配され、厚さプロファイルは依然として厚い面が外側である、図11cと同様の分光透過率のモデル化されたグラフ。
【図15a】図14a〜bの2パケット多層光学フィルムのモデル化されたグラフ。フィルムはもはや屈折率1.494の媒体中に光学的に浸漬されておらず(すなわち、ここでは空気に浸漬されているものと考えられる)、フィルムは吸収性偏光子の前部に配置されるものと想定され、入射平面はφ=20°の方位角であり、図15aは厚い面が外側に向けられた多層光学フィルムを有し、図15bは厚い面が外側に向けられた多層光学フィルムを有する。
【図15b】図14a〜bの2パケット多層光学フィルムのモデル化されたグラフ。フィルムはもはや屈折率1.494の媒体中に光学的に浸漬されておらず(すなわち、ここでは空気に浸漬されているものと考えられる)、フィルムは吸収性偏光子の前部に配置されるものと想定され、入射平面はφ=20°の方位角であり、図15aは厚い面が外側に向けられた多層光学フィルムを有し、図15bは厚い面が外側に向けられた多層光学フィルムを有する。
【図16】多層光学フィルムの薄い面が外側に向けられた一実施形態及び多層光学フィルムの厚い面が外側に向けられた別の実施形態で作製された、フィルム構成体の概略側面図又は断面図。
【図17a】厚い面が外側のものに対応する、図16の実施形態の水平軸に沿った位置の関数として測定した色を示す図。
【図17b】薄い面が外側のものに対応する、図16の実施形態の水平軸に沿った位置の関数として測定した色を示す図。
【図18a】厚い面が外側のものに対応する、図16の実施形態の垂直軸に沿った位置の関数として測定した色を示す図。
【図18b】薄い面が外側のものに対応する、図16の実施形態の垂直軸に沿った位置の関数として測定した色を示す図。
【図19a】屈折率1.494の媒体中に浸漬される多層光学フィルムの分光透過率のモデル化されたグラフ。多層光学フィルムは1面内軸に沿って整合した層間屈折率を有し、多層光学フィルムの厚い面が外側に向けられている。
【図19b】図19aと同様の屈折率1.494の媒体中に浸漬された多層光学フィルムの分光透過率のモデル化されたグラフ。等方性マイクロ層の屈折率は、層間屈折率が厚さすなわちz−軸に沿って整合するように低減され、積層体のマイクロ層の数は551から221に低減された。
【図19c】図19bの実施形態と同様の分光透過率のモデル化されたグラフ。分光透過率は異なる入射平面について計算され、すなわち、入射平面は角度φ=10°ではなくφ=45°で配置される。
【図20a】551のマイクロ層を有する、浸漬された多層光学フィルムの分光透過率のモデル化されたグラフ。各ORUの1マイクロ層は一軸的に複屈折性であり、各ORUの他のマイクロ層は等方性であり、y及びz軸に沿った層間屈折率差は、正であるがx軸に沿った層間屈折率差よりも遥かに小さく、多層光学フィルムの厚い面が外側に向けられている。
【図20b】等方性マイクロ層の屈折率は、y及びz軸に沿った層間屈折率差がゼロになるように変更されている、図20bと同様のモデル化されたグラフ。
【図20c】等方性マイクロ層の屈折率は、y及びz軸に沿った層間屈折率差が負になるように変更されている、図20a及び20bと同様のモデル化されたグラフ。
【図21】その1面内軸(x軸)に沿った層間屈折率差が、他方の面内軸(y軸)に沿った層間屈折率差に比較的近くなるように調節され、それによって多層光学フィルムが、反射性偏光子よりもミラー状に近い挙動を示し、多層光学フィルムの厚い面が外側に向けられている、浸漬された多層光学フィルムのモデル化されたグラフ。
【図22】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図22a】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図23】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図23a】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図23b】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図24】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図24a】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図25】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図26】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図26a】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、様々な代表的なフィルム構成体の概略的断面図。
【図27】多層光学フィルムが光学的に浸漬された、別の代表的フィルム構成体の概略的断面図。
【図28】照明器具が、多層光学フィルムが光学的に浸漬されたフィルム構成体を含む構成の概略側面図。
【0021】
図中、同様の参照数字は同様の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ディスプレイ、バックライト、照明器具などに使用するために好適なほとんどの光学フィルムは、入射光の角度と共に変化する光学的透過及び反射特性を有する。例えば、所望の反射又は透過特性を提供するために、複数のマイクロ層境界面から反射するいくらかの光が強め合う又は弱め合う干渉を経験するように、十分に薄い複数のマイクロ層を含む多層光学フィルムは、特定の媒体(典型的には空気)の特定の範囲の入射角及び/又は出射角に向けて特に設計されている。同様に、プリズム状輝度向上フィルムなどの表面構造化フィルムもまた、空気中における特定の範囲の入射及び/又は出射角に向けて特に設計されている。このような光学フィルムの、空気中における所与の入射角、伝搬角度及び出射角は、屈折に関するスネルの法則などの既知の式又は回折格子に関するものなど他の式によって決定される。
【0023】
液晶ディスプレイ(LCD)用途に使用される多くの光学フィルムは、空気中での使用のために設計され、すなわち、光が空気中から一定の範囲の入射角にわたってフィルムの第1主表面に衝突し、光がフィルムの第2主表面から空中へと、一定の出射角範囲にわたって現れ、入射角又は出射角の一方又は両方が、空中において0°〜90°の範囲に及ぶ。このようなフィルムは、空気中に「光学的に浸漬された」と称され得る。これは、裸眼でいずれかの空気層を観察することが困難である場合でも、妥当し得る。例えば、1つの光学フィルムが別の光学フィルム上に配置される場合、裸眼では、2つのフィルムがその全主表面にわたって実質的に接触しているように見え得る。しかしながら、多くの場合、このようなフィルムは有限数の点において互いに接触しているにすぎず、フィルムの主表面の間に光学的に厚い空気の間隙(すなわち、その厚さが関心の光の波長よりも実質的に大きいもの)が実質的に維持される。
【0024】
LCDディスプレイ及び他の製品の費用の低減、及び/又は低減した製品厚さなどの設計の向上に向けた市場の動向は、不必要な構成要素を特定及び排除し、個別の構成要素を1つ以上のパッケージ化されたセットに統合しようという要望に繋がり得る。光学フィルムの場合、このような要望は、光学フィルムを1つ以上の他のフィルム又はシステム構成要素に固定するか、又は取り付け、積層構成(積層体の要素間に空気間隙が存在しない)を形成する試みへと繋がり得る。
【0025】
図1は、参照を容易にするために、デカルトx−y−z座標系の文脈において、ディスプレイアセンブリ112及びバックライト114を含む典型的なディスプレイシステム110の概略側面図を示す。システム110がLCDである場合、ディスプレイアセンブリ112は、前方吸収性偏光子と後方吸収性偏光子との間に狭持された液晶(LC)ディスプレイパネルを含んでもよく、LCディスプレイパネルは更にガラスパネルプレートを含み、その間に電極構造の配列及びカラーフィルターグリッドを備えて液晶物質が配置され、個別にアドレス指定可能な画像要素(画素)を形成する。制御装置116は、接続部116aを介してディスプレイアセンブリ112に連結し、観察者118により感知され得る好適な画像を生成するように、電極構造を適切に駆動する。バックライト114は、「エッジ照明」タイプであってもよく、この場合、1つ以上のLED、冷陰極蛍光灯(CCFL)、又は他の好適な光源120a、120bがバックライトの1つ以上の縁部又は境界に沿って、その可視領域の外に位置付けられる。あるいは、バックライトは、「直接照明」タイプであってもよく、この場合、1つ以上のこのような光源120c、120d、120eが、可視領域内においてディフューザープレート又は他の好適な要素の後ろに位置付けられ得る。いずれにせよ、バックライト114は、ディスプレイアセンブリ112の可視領域に対応する大きな出力領域114aにわたって光を提供する。バックライトによって提供される光は典型的には白色であり、すなわちこれは、光が少なくとも観察者に対して少なくとも名目的に白色に見えるように、赤色、緑色及び青色のスペクトル成分を適切なバランスで(又はスペクトル成分の他の好適な混合で)含んでいる。
【0026】
ディスプレイシステム110はまた、ディスプレイアセンブリ112とバックライト114との間又はシステムのいずれか別の場所に、1つ以上の光学フィルム又は他の構成要素を含む。ディスプレイシステムの種類により、このような構成要素は例えば、1つ以上の偏光子(例えば、吸収性偏光子及び/又は反射性偏光子を含む)、ディフューザー(例えば、ディフューザープレート、ゲインディフューザー、体積式ディフューザー及び/又は表面ディフューザーを含む)及び/又はプリズム状輝度向上フィルム(例えば、3M Company(St.Paul,Minnesota,USA)により提供される広範なVikuiti(商標)BEF製品のいずれかを含む)を含み得る。このようなフィルムは多くの場合、「使用不可能な光」(すなわち、これがディスプレイアセンブリ112内の後方吸収性偏光子によって吸収される偏光であるため、又はこれが不適切な角度で伝搬しているためといういずれかの理由により、所望のシステム出力に寄与しない光)をディスプレイアセンブリから反射し、その後、例えば、拡散、鏡面性又は半鏡面性反射体により、この反射した光のいくらかを光路変更して「使用可能な光」(システム出力に寄与し得る光)としてディスプレイアセンブリの方に戻すことにより、ディスプレイシステムの効率及び/又は輝度を向上させるために使用される。このような光の反射及び光路変更は、ディスプレイシステム内での少なくとも一定程度の光再使用を提供し、この再使用は、矢印122a、122bによって一般的に示される。
【0027】
通常、ディスプレイアセンブリ112とバックライト114との間に位置する、又はいずれか他の場所に配置されるフィルム及び構成要素は、空気間隙を含まない上記の積層構成に使用するための候補である。このような積層構成は、図2のディスプレイシステム210に一般的に示される。積層構成を除き、システム210は、上記のその様々な置換を含めて、図1のシステム110と実質的に同一であり得、同様の要素を指し示すために同様の番号が、簡略化のために、更なる記載を提供することなく、使用される。しかしながら、図2のディスプレイシステムは、図示されるように、1つ以上の積層体212a、212b、212cを提供するために、1つ以上の光学フィルムを他のフィルム又は構成要素に空気間隙を含めることなく接合する。図において、積層体212aがディスプレイアセンブリ112(又はその構成要素)に、間隙を含まずに取り付けられ、積層体212cがバックライト114(又はその構成要素)に、間隙を含まずに取り付けられる。いくつかの場合において、1つ以上の光学フィルムを他のフィルム又は構成要素へと、その間に空気間隙を含めることなく取り付けるが、ディスプレイアセンブリ及びバックライトの両方から空気間隙を介して離間し得る積層体212bが提供され得る。
【0028】
積層体に含まれる光学フィルムの種類により、空気境界面又は空気間隙の排除は、光学フィルムの動作に支障をきたす場合もあり、きたさない場合もある。接合される各フィルム又は構成要素が、入射プロセスにおいて、又は光が1つの主表面に入った後及びこれがフィルムの他の主表面から出る前に、光を実質的に散乱させるかないしは別の方法により光路変更しない場合、フィルムは積層前、すなわち空気間隙の排除の前と同様に機能し続け得る。しかしながら、光が非平坦な表面を通じて、又はフィルムと平行でない表面を通じてフィルムに入ると、フィルムは適切に機能しないことがある。この一例は、Vikuiti(商標)DBEF多層反射性偏光フィルム上にコーティングされたBEFプリズムである。BEFプリズム状フィルム及びDBEFフィルムの両方は空気中での使用に向けて設計されているが、例えば光学接着剤で両方のフィルムの平坦な表面を光学的に連結することによって、空気間隙が排除される場合、機能性の喪失は生じない。別の例は、吸収性偏光フィルムに積層されたVikuiti(商標)DBEFフィルムである。これらの実施例に両方において、空気間隙の排除は、影響されるフィルムを通じて伝搬する光の角度分布に実質的に影響しない。換言すると、積層構成中の各光学フィルムは、その主表面が空気と接触し得ないものの、空気に光学的に浸漬されていると言うことができる。これは、図3a〜cと関連して以下で更に説明される。
【0029】
他の場合においては、大きく傾斜した光を生じる少なくとも1つのフィルム又は構成要素が積層体内に提供され、このような大きく傾斜した光に関連する空気間隙の排除は、「超臨界」光に関心の光学フィルムを伝搬させ、システム性能を低下させるような方法で積層体を出させるような効果を有する。「超臨界」光とは、平坦で平滑な空気/フィルム境界面を使用した空気からの照明によって達成され得るものよりも大きく傾斜した角度でフィルムを伝搬する光を意味する。したがって、フィルムが空気に光学的に浸漬されている場合、空気からフィルムの主表面に衝突する光の最大入射角は、90°である。このようなすれすれの入射角は、フィルムの屈折率の関数である臨界角θで、フィルム内に屈折する。臨界角は、典型的には、光がフィルム内を伝搬する最大斜角である。超臨界光が光学フィルムを伝搬し、最終的に積層構成から出ることを可能にする積層構成においては、光は空気よりも高い屈折率の媒体中に光学的に浸漬していると言うことができる。これは、図3cと関連して以下で更に説明される。本出願の文脈において、「光学的に浸漬された」ものとして記載されるフィルム又は構成要素は、他に指定がない限り、屈折率が空気のものよりも高い媒体中に光学的に浸漬されているものと想定される。
【0030】
例えば、およそ1.5の屈折率を有する従来的な光学接着剤を使用して、BEFプリズム状フィルムをバックライトのディフューザープレート、又はLCDパネルに積層する際にこのような状況が生じ得る。双方の場合において、BEFフィルムにおける入射角及び出射角は、空気の屈折率と顕著に異なる積層接着剤の屈折率によって大きく影響される。この状況は、ディフューザーが従来的な光学接着剤により反射性偏光子の一方の面に積層され、次にその他方の面がLCDパネルに積層される際にも生じ得る。この場合、光学接着剤は、ディフューザー内に生成された大きく傾斜した光を、超臨界光として反射性偏光子内へと伝搬し、この光はLCDパネル内に更に伝搬され得る。反射性偏光子又はLCDパネルのいずれも、典型的にはこのような大きく傾斜した光に適合するように設計されていないため、これは偏光子による性能の低下及びLCDパネル内における大量の内部散乱した光を生じることがあり、これはひいては、遥かに低いディスプレイコントラスト及び輝度を生じ得る。例えば、多層積層体反射性偏光子の既に広い広反射帯域を実質的に拡げることにより(例えば、多層の数を増加させること及び多層を特徴付ける厚さ勾配の上限を拡張することにより)より広範囲の入射角を扱うように、反射性偏光フィルムが再設計されたとしても、このような再設計フィルムは、より広範囲の角度を通じた通過軸偏光を透過させ続け、上述の問題は未解決のままとなる。
【0031】
積層構成内の超臨界光伝搬に関連する問題を最小化するために、いくつかの場合においては、光学的設計の観点から、空気間隙と可能な限り類似した材料層(例えば、光学的に厚い光経路に関して光に対して高度に透過性であり、かつその屈折率がおよそ1.0である材料層)を使用することが望ましく、かつ実行可能であり得る。換言すると、透過性光学構成要素を表面同士の様式で物理的に取り付ける一方で、依然として空気と類似するものへの入射及び出射角を制限する手段が必要とされる場合がある。良好な機械的一体性及び低いヘーズを有する超低屈折率(「ULI」)フィルムが最近開発されている。このようなフィルムは、空気間隙と類似させるように、ほとんどあらゆる光学フィルム上にコーティングすることができ、その後コーティングされたフィルムとシステム内の別の構成要素を接合するために、いずれかの従来的な光学接着剤が適用され得る。好適な超低屈折率材料が、例えば、以下の米国特許出願に記載され、それらは本明細書において参照によりその全体が組み込まれる:2009年4月15日に出願され、シリアル番号第61/169466号を有する「Optical Film」(代理人整理番号第65062US002号)、2009年4月15日に出願され、シリアル番号第61/169521号を有する「Optical Construction and Display System Incorporating Same」(代理人整理番号第65354US002号)、2009年4月15日に出願され、シリアル番号第61/169532号を有する「Retroreflecting Optical Construction」(代理人整理番号第65355US002号)、2009年4月15日に出願され、シリアル番号第61/169549号を有する「Optical Film for Preventing Optical Coupling」(代理人整理番号第65356US002号)、2009年4月15日に出願され、シリアル番号第61/169555号を有する「Backlight and Display System Incorporating Same」(代理人整理番号第65357US002号)、2009年4月15日に出願され、シリアル番号第61/169427号を有する「Process and Apparatus for Coating with Reduced Defects」(代理人整理番号第65185US002号)、2009年4月15日に出願され、シリアル番号第61/169429号を有する「Process and Apparatus for A Nanovoided Article」(代理人整理番号第65046US002号)、及び2009年10月22日に出願され、シリアル番号第61/254,243号を有する「Optical Construction and Method of Making the Same」(代理人整理番号第65619US002号)。超低屈折率材料はまた、ゲルタイプのヒュームドシリカを使用して作製され得る。超低屈折率材料は、例えば、1.1〜1.3又は1.15〜1.25の可視波長にわたり屈折率を有し得る。多くの場合においてULI材料は多孔質であり得、いくつかの場合においては、隣接する層(例えば、接着剤層)からの液体材料が、ULI層の孔の中に完全に移行しないように、ULI材料の層の外側表面を封止するように技術が使用され得る。このような技術は、上記の出願の1つ以上に開示されている。
【0032】
超低屈折材料はまた、屈折率の勾配を呈し得る。例えば、材料は、結合剤及び複数の粒子を含む勾配フィルム又は層の形態であってもよく、結合剤の複数の粒子に対する重量比は約1:2以上である。勾配光学フィルムは、局部体積率を有する複数の相互接続した空隙を更に含んでもよく、複数の相互接続した空隙の局部体積率は、フィルムの厚さ方向に沿って変化し、このような厚さ方向に沿って変化するフィルム内の局部屈折率を提供する。両方とも2009年10月24日に出願され、本明細書において参照として組み込まれる、米国特許出願第61/254,673号「GRADIENT LOW INDEX ARTICLE AND METHOD」(代理人整理番号第65716US002号)及び米国特許出願第61/254,674号「PROCESS FOR GRADIENT NANOVOIDED ARTICLE」(代理人整理番号第65766US002号)を参照する。
【0033】
このような超低屈折率材料は、角反応性光学フィルムを含む積層体内で使用され得、これによってこのようなフィルムは他のフィルム又は構成要素に機械的及び光学的に連結される一方で、超臨界光伝搬の有害な効果を最小限にし得る。しかしながら、積層構成内の1つ以上のこのような超低屈折率材料層を使用するときであっても、超臨界光伝搬の効果は依然としてシステム性能において重要役割を担うことがあり、多層光学フィルム及び/又は他の角度反応性光学フィルムの設計態様が適切に処理されない限り、実際にシステム性能を実質的に低下させることがある。
【0034】
超臨界光伝搬を支持する積層体内で使用される多層反射性偏光フィルムの具体的な設計検討を説明する前に、図3a〜cを参照し、フィルムを空気以外の媒体中に光学的に浸漬する概念を例示する。
【0035】
図3a〜cは、そこに他の層が適用される、単純化された層状フィルムの一連の概略的側面図であり、光学媒体中にフィルムを浸漬する概念を表している。図3aにおいて、基本フィルム構成体310は、両面が屈折率nの媒体(これは空気(n=1.0)と想定される)に曝露された層状フィルム312から本質的に構成される。説明を容易にするため、これらの図3a〜cに示されるn及び他の屈折率は、等方性であるものと想定される。更に、フィルム312は2つの層のみを有するものとして例示される:屈折率nが約1.5以上であるポリマーなどの従来的な低屈折率光学材料の第1層、及び屈折率nがやはり1.5以上である異なるポリマーなどの従来的なより高い屈折率の光学材料の第2層(ただし、nはnよりも実質的に高い)。フィルム312は、第1主表面312a、第1層と第2層を分離する表面又は境界面312b、並びに第2主表面312cを有する。表面312aは、空気の厚い層314に曝露され、表面312cは、別の空気の厚い層316に曝露される。
【0036】
更に図3aを参照し、光が下から、すなわち空気の層314からフィルム312に入射する。入射光は、フィルム312の厚さ寸法に垂直であり得る、示されたz軸におよそ沿って伝搬するが、入射光はz軸と平行に向けられる光線、z軸に対して中程度の斜角で向けられる光線、及びすれすれの入射で表面312aに接するような、z軸に実質的に垂直な非常に大きな斜角で向けられる光線を含む、可能な限り最も広い光線伝搬方向を含む。この可能な限り最も広い入射角は、5方向の矢印記号305によって表される。いくつかの場合において、記号305と関連する光分布は、準ランベルトであってもよく、一方で他の場合においてはこれは非常に異なる分布を有し得る。いかなる場合においても、記号305の光分布は、可能な経路の半球(すなわち、2π立体角)わたるあらゆる方向に伝搬する一定量の光を含む。ここで、空気層314からフィルム312を通じ、反対側の空気層316まで進む、この入射光を追跡する。このようにして、様々な境界面における屈折に注視し、簡略化のために反射は無視する。
【0037】
表面312a、312b、312cは全て、平坦及び平滑であり、かつz軸と垂直であるものと想定される。したがって、空気層314からの入射光が主表面312aに衝突する際、これは、スネルの法則、すなわち、n sinθ=n sinθに従い、フィルム312の第1層内へと屈折する。入射光は入射角がθ=0〜θ≒90°の範囲に及ぶ光線を含むため、屈折光は、屈折角又は伝搬角がθ=0〜θ=θc1に及ぶ屈折光線を含み、式中θc1は、第1層の材料における臨界角、すなわちθc1=arcsin(1/n)であり、sin(90)=1であるため、n=1である。第1層における全ての屈折光線の集合は、半角がθc1である円錐によって表される。
【0038】
屈折光線はほぼz軸に沿って前進し、表面又は境界面312bに達し、光が屈折率がnである第2層に入る際に第2屈折率が生じる。第2屈折率はやはりスネルの法則に従い、伝搬方向又はθの範囲にわたって第2層内に屈折光を生じ、θは、θ=0〜θ=θc2の範囲に及ぶ。θc2は、第2層の材料の臨界角であり、すなわちθc2=arcsin(1/n)である。第2層における全ての屈折光線の集合は、半角がθc2である円錐によって表される。屈折率nは、屈折率nよりも高いものと想定されたため、角θc2は、θc1よりも小さいものとして示される。
【0039】
第2層内の屈折光は、これが主表面312cに達するまで更に前進する。ここで、光が第2層から空気層316内に通過する際に別の屈折率が生じる。やはりスネルの法則に従い、第2層内の光の伝搬角度θの範囲は、0〜実質的に90°の範囲に及ぶ空気層316に関する伝搬角度範囲(やはり記号305によって指示される)へと、屈折により変化する。したがって、フィルム312を横断する過程において、空気から半球状で入射する光がフィルムの異なる材料層内での円錐形の分布に変換され、その後他方の空気層内で半球状で伝搬する光へと再び戻る。材料層内の円錐形の分布の半角は、各材料の臨界角に等しい。
【0040】
ここで図3bを参照し、別のフィルム構成体320の概略側面図が確認される。フィルム構成体320は図3aの二層フィルム312を含むが、屈折率n’を有する超低屈折材料の一層がフィルム312の各側でこれに追加され、構成体320を生成する。屈折率n’は、空気よりも大きいが、低屈折率nよりも実質的に小さい。屈折率n’の第1層322がフィルム312の表面312aに適用され、屈折率n’材料の第2層324がフィルム312の表面312cに適用される。層322、324と組み合わせた元のフィルム312はここで空気に曝露された平坦で平滑な主表面322a、324aを有する新しいフィルムを形成し、表面322a、324aは表面312a〜cと平行である。
【0041】
更に図3bを参照し、光が下から、すなわち空気の層314から構成体320に入射する。図3aにおけるように、入射光はほぼz軸に沿って伝搬するが、光線は可能な限り最も広い範囲の入射角に及び、やはり5方向の矢印記号305によって表される。空気層314から異なる層の構成体320を通じ、反対側の空気層316まで進む、この入射光を追跡する。
【0042】
空気層314からの入射光が主表面322aに衝突する際、これはスネルの法則、すなわちn sinθ=n’sinθ’に従い、超低屈折率材の層322内へと屈折する。入射光は、入射角がθ=0〜θ≒90°の範囲に及ぶ光線を含むため、屈折光は、その屈折角又は伝搬角度がθ’=0〜θ’=θc0に及ぶ屈折光線を含み、ここでθc0は超低屈折率材料の臨界角であり、すなわちθc0=arcsin(1/n’)である。層322における全ての屈折光線の集合は、半角がθc0である円錐によって表される。
【0043】
この屈折光はその後、構成体320の残部を通じて前進する。このようにして、各別個の層内の伝搬方向の範囲を表す角度の円錐がスネルの法則によって決定される。単純な方法により、図3bに示されるように、光が層322から層324に進むに伴い、伝搬方向の円錐の半角はθc0、θc1、θc2、θc0へと変化することが容易に推定できる。層324から層316へと屈折する光はやはり、可能な限り最も広い範囲の伝搬角度305へと屈折する。
【0044】
図3a及び図3bを比較し、フィルム312への層322、324の追加が、フィルム312内の伝搬方向の範囲を変更しないことが見出される。フィルム312の各2つの層に関し、伝搬円錐の半角は同じままである。この結果は、層322、324に使用される屈折率にかかわらず同じであることに留意する。フィルム312と空気との間の層322、324の存在にかかわらず、なおもフィルム312は依然として空気に光学的に浸漬されるものとして特徴付けられる。
【0045】
ここで図3cを参照し、構成体330と実質的に同じであるフィルム構成体330が見出されるが、ただし層322、324は層332、334と置換されている。層332、334は、層322、324と同じ超低屈折率を有する。しかしながら、図3bの平坦で平滑な主表面322a、324aは粗面化主表面332a、334aと置換され、これらは著しい拡散効果を提供する。結果として、空気層314から主表面332a上に衝突する半球状に分配される入射光線は、図3bの場合におけるように半角θc0の円錐に閉じ込められるのではなく、層332内の全ての伝搬角度(記号305参照)で屈折及び拡散される。境界面312aにおいて、スネルの法則により層332内のこの拡張した範囲の伝搬角度は、その半角θc1’が図3bの対応する半角θc1よりも実質的に大きい、フィルム312内の第1層の伝搬方向の円錐を生成する。特に、θc1’=arcsin(n’/n)である。この光がフィルム312の第2層内に通過する際、これは表面312bで屈折し、やはり図3bの対応する円錐に対して拡張した、第2層内の伝搬方向の円錐を生成する。半角θc2’は、θc2’=arcsin(n’/n)に従って計算される。この光は表面312cで、超低屈折率層334内へと、あらゆる角度において、スネルの法則により屈折し、この光はひいては、粗面化主表面334aのために、空気層316へとあらゆる角度において屈折及び拡散する。
【0046】
図3cと図3a及び図3bを比較し、光は、構成体320、310と比較して、構成体330のフィルム312の層内では大きな斜角で伝搬し得ることが見出される。光は超低屈折率層332からあらゆる角度においてフィルム312上に衝突することができるため、及びこのようないずれかの角度でフィルム312に入る光は、層334、316を介してフィルムを出ることができるため、図3cのフィルム312は屈折率n’の超低屈折率材料に光学的に浸漬されていると言うことができる。
【0047】
図4は、所与の層内の光伝達の角度範囲又は円錐の斜視図であり、層が空気以外の媒体に光学的に浸漬される際の円錐の広がりを例示している。したがって、円錐410の半角は、層材料に関する臨界角θである。これは、層が空気中に浸漬される際の、可能な光伝搬方向の範囲である。層が空気より高い屈折率の媒体中に光学的に浸漬される場合、光伝搬方向の範囲は、半角θ’のより広い円錐412へと拡張した。これら2つの円錐又は立体角の間の差は、図4の差角θgapによって表される。伝搬方向がこの間隔内に存在する光は、層又はそれが一部を成すフィルムが扱うように設計されていない場合がある光を表す。
【0048】
ここで、開示される積層フィルム構成内で使用され得る多層光学フィルムに注目すると、多層光学フィルムは超低屈折率材料又はその屈折率が空気のものよりも高い他の任意の材料に光学的に浸漬されているものとみなすことができる。一般的に、多層光学フィルム能力の広範な説明から始め、その後フィルムをスペクトルのより広い区域にわたって機能させる層厚さプロファイル、感知される色に実質的な影響を有する層厚さプロファイルの向きを説明する。
【0049】
図5は、多層光学フィルム500の2層のみを表すが、フィルム500は典型的には1つ以上の連続的なパケット又は積層体内に配置される数十又は数百のこのような層を含む。フィルム500は個別のマイクロ層502、504を含み、ここで「マイクロ層」とは、多層光学フィルムに所望の反射又は透過特性を付与するために強め合う又は弱め合う干渉を経験するこのような層の間の複数の境界面で光が反射するために十分に薄い層を指す。マイクロ層502、504は共に、多層積層体の1つの光学繰り返し単位(ORU)を表し、ORUは、積層体の厚さを通じた反復パターン内で繰り返す、層の最小のセットである。別のORU設計が以下で更に記載される。隣接するミイクロ層の境界面で一部の光が反射されるように、これらのミイクロ層は異なる屈折率特性を有する。光を紫外線、可視又は近赤外線波長で反射するように設計された光学フィルムに関しては、各マイクロ層は、一般に約1μm未満の光学的厚さ(すなわち屈折率を乗じた物理的な厚さ)を有する。しかし、フィルムの外側表面での表面薄層又はマイクロ層のパケットを分離するフィルム内に配置される保護境界層などのより厚い層も含むことができる。
【0050】
主要なx、y及びz軸に沿った偏光に関するマイクロ層(例えば、図5の層502、又は以下の図6の「A」層)の1つの屈折率を、それぞれn1x、n1y及びn1zと称することができる。相互に垂直なx軸、y軸、及びz軸は、例えば、材料の誘電テンソルの主方向に対応してもよい。典型的に及び説明の目的のために、異なる材料の主方向は一致するが、これは一般的に妥当する必要はない。同じ軸に沿った隣接するマイクロ層(例えば、図5の層504又は図6の「B」層)の屈折率をそれぞれ、n2x、n2y、n2zと称する。これらの層間の屈折率の差をx方向に沿ってΔnx(=n1x−n2x)、y方向に沿ってΔny(=n1y−n2y)及びz方向に沿ってΔnz(=n1z−n2z)と称する。フィルム(又は所与のフィルムの積層体の)のマイクロ層の数及びこれらの厚さ分布と組み合わせたこれらの屈折率差の性質は、フィルムの(又は所与のフィルムの積層体の)反射特性及び透過特性を制御する。例えば、隣接するマイクロ層が、ある面内方向に沿って、大きな屈折率の不整合(Δnxが大)を有し、それに直交する面内方向に沿って、小さな屈折率の不整合(Δny≒0)を有する場合、フィルム又はパケットは、垂直入射光について反射性偏光子として作用することができる。この点において、本出願の目的のため、反射性偏光子は、波長がパケットの反射帯域内にある場合に1つの面内軸(「遮蔽軸」と称される)に沿って偏光された垂直入射光を強力に反射し、垂直な面内軸(「通過軸」と称される)に沿って偏光されるこのような光を強力に透過する光学体とみなされ得る。「強力に反射する」及び「強力に透過する」は、意図される用途又は使用分野により異なる意味を有する場合があり、多くの場合、反射性偏光子は遮蔽軸において少なくとも50、60、70、80又は90%の反射率及び通過軸において少なくとも50、60、70、80又は90%の透過率を有する。しかしながらこれらの値は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0051】
必要に応じて、z軸方向に偏光された光の隣接マイクロ層間の屈折率差(Δnz)をまた調整して、斜めに入射した光のp偏光成分に望ましい反射率特性を達成することができる。説明を容易にするために、多層光学フィルム上の任意の対象点において、x軸は、面内Δnの規模が最大となるように、フィルムの平面内で向けられているとみなすことができる。したがって、Δnの大きさは、Δnの大きさと同等以下(上回らない)であり得る。更に、差Δn、Δn、Δnの計算おいて、どの材料層から始めるべきかという選定は、Δnが負数ではないことを求めることにより決定される。換言すれば、境界面を形成する2層の間の屈折率差は、Δn=n1j−n2jであり、式中、j=x、y又はzであり、層指定1、2は、n1x≧n2x、すなわちΔn≧0であるようにして選択される。
【0052】
斜めの入射角のp偏光のほぼ軸上の反射率を維持するために、マイクロ層間のz屈折率不整合Δnを最大面内屈折率差Δnより実質的に小さく、Δn≦0.5Δnとなるように制御することができる。あるいは、Δn≦0.25Δnである。ゼロ又はほぼゼロの大きさのz屈折率の不整合が、p偏光に対する反射率が入射角の関数として一定又はほぼ一定である境界面をマイクロ層の間にもたらす。更に、z屈折率の不整合Δnは、面内屈折率の差Δnと比較して反対の極性を有するように、すなわち、Δn<0であるように、制御することができる。この条件は、s偏光の場合と同様に、p偏光に対する反射率が、入射角の増加と共に増加する境界面をもたらす。
【0053】
図6の概略側面図において、多層フィルム610のより多くの内部層が、多数のORUが見えるように示される。フィルムは局部的なx−y−zデカルト座標との関連において図示され、フィルムはx及びy軸と平行に延び、z軸はフィルム及びその構成層と垂直でありフィルムの厚さ軸と平行である。フィルム610は完全に平坦である必要はなく、湾曲していても、あるいは平面からかけ離れるように付形されていてもよく、これらの場合においても、任意に、フィルムの小さな部分又は領域が、図示のように局所的なデカルト座標系と関連付けられ得る。
【0054】
図6において、マイクロ層は「A」又は「B」と記されており、「A」層はある材料から構成され、「B」層はそれとは異なる材料から構成されており、これらの層は、交互に並ぶ構成で積み重ねられて、図示のように光学的反復単位又は単位セルORU 1、ORU 2、...ORU 6を形成している。典型的に、完全に高分子材料から構成される多層光学フィルムは、高反射率が所望される場合、6光学繰り返し単位よりも遥かに多くを含む。多層光学フィルム610は、実質的により厚い層612を有するものとして示されるが、これは外側表面薄層又はPLBを表す場合があり、これは、図に示されるマイクロ層の積層体をマイクロ層の別の積層体又はパケット(図示されない)から分離する。所望により、例えば、2つ以上の厚い接着剤層で又は圧力、熱又は他の方法の使用により2つ以上の別個の多層光学フィルムが一緒に積層され、積層体又は複合フィルムを形成し得る。
【0055】
いくつかの場合において、マイクロ層は1/4波積層体に対応する厚さ及び屈折率値を有し得る。すなわち、それぞれ同じ光学的厚さの2つの隣接するマイクロ層を有する光学繰り返し単位に構成されており(f比=50%であり、f比は構成層「A」の光学的厚さ対完全なORUの光学的厚さの比である)、このようなORUは、その波長λが光学繰り返し単位の全体的な光学的厚さの2倍である建設的干渉光により反射するために有効であり、本体の「光学的厚さ」とは、その物理的厚さにその屈折率を掛けたものである。他の場合において、光学繰り返し単位のマイクロ層の光学的厚さは互いに異なり、f比は50%超又は50%未満であり得る。本出願の目的のために、そのf比が任意の好適な値である多層光学フィルムを想到し、f比が50%であるフィルムに限定しない。したがって、図6の実施形態において、「A」層は、「B」層よりも一般的に薄いものとして表される。それぞれ表される光学繰り返し単位(ORU 1、ORU 2など)は構成層「A」及び「B」の光学的厚さの合計と等しい光学的厚さ(OT、OTなど)を有し、各光学繰り返し単位は、その波長λがその全体的な光学的厚さの2倍である光を反射する。
【0056】
代表的な実施形態において、ORUの光学的厚さは、z軸又はフィルムの厚さ方向に沿った厚さ勾配に従って異なっていてもよく、それにより、光学的反復単位の光学的厚さは、積層体の一方の側(例えば上部)から積層体の他方の側(例えば下部)へと進むにつれて、増加するか、減少するか、又は他の何らかの関数関係に従う。このような厚さ勾配はより広い反射帯域を提供し、実質的にスペクトルの平坦な透過性及び関心のより広い波長帯域にわたり、かつまた関心の全ての角度にわたる光の反射を提供するために使用され得る。米国特許第6,157,490号(Wheatleyら)「Optical Film With Sharpened Bandedge」に記載されているように、高反射と高透過の間の波長遷移における帯域端を急峻にするように調整された厚さ勾配を使用することもできる。高分子多層光学フィルムに関し、反射帯域は、急峻な帯域端、加えて反射特性が適用される波長範囲にわたって本質的に一定である「フラットトップ」反射帯域を有するように設計され得る。50%ではないf比を有する2つのマイクロ層光学繰り返し単位を有する多層光学フィルム、又は光学繰り返し単位が3つ以上のマイクロ層を含むフィルムなどの他の層配列も想到される。これらの代替的な光学繰り返し単位設計が構成されて、一定の高次の反射を低減するか又は誘起することができ、これは所望の反射帯域が近赤外波長に存在するかこの付近まで延びる場合に有用であり得る。米国特許第5,103,337号(Schrenkら)「Infrared Reflective Optical Interference Film」、同第5,360,659号(Arendsら)「Two Component Infrared Reflecting Film」、同第6,207,260号(Wheatleyら)「Multicomponent Optical Body」、及び同第7,019,905(Weber)号「Multi−layer Reflector With Suppression of High Order Reflections」を参照。
【0057】
本出願の目的のため、材料が関心の波長領域(例えば、スペクトルのUV、可視及び/又は赤外部分の選択される波長又は帯域)にわたって異方性の誘電テンソルを有する場合、材料は「複屈折性」とみなされる。換言すると、材料は、材料の主軸屈折率(例えば、n1x、n1y、n1z)が全て同じではない場合、「複屈折性」とみなされる。更に、主要屈折率の内の2つが同じでない場合(例えば、n1x≠n1y≠n1z≠n1x)材料は「二軸的に複屈折性」であるということができる。対照的に、その主要屈折率の2つのみが同じである場合(例えば、n1x≠n1y=n1z又はn1x=n1y≠n1z)、材料は、「一軸的に複屈折性」である、ということができる。
【0058】
適切な数の層を有する高反射性を達成するために、隣接するマイクロ層が、例えば、x軸に沿った偏光に関して、少なくとも0.05の屈折率差(Δnx)を呈し得る。2つの垂直な偏光に対して高反射率が所望される場合、隣接するマイクロ層はまた、例えば、y軸に沿った偏光に関して、少なくとも0.05の屈折率差(Δny)を呈し得る。いくつかの場合において、隣接するマイクロ層は、2つの主要な面内軸(Δnx及びΔny)に沿って、同様の大きさの、屈折率不整合を有してもよく、この場合、フィルム又はパケットは、軸上ミラー又は部分ミラーとして挙動し得る。このような実施形態の変形例において、隣接するマイクロ層は、z軸に沿って、屈折率の整合及び不整合を呈してもよく(Δnz≒0又はΔnzが大)、その不整合は、面内屈折率の不整合と同じ極性又は符号であっても、逆の極性又は符号であってもよい。このようなΔnzの調整は、斜めの入射光線のp偏光成分の反射率が入射角の増加に伴って増加するか、減少するか又は同じままであるかということにおいて、重要な役割を担う。
【0059】
開示される多層光学フィルムの少なくとも1つのパケット内のマイクロ層の少なくともいくつかが複屈折性(一軸的複屈折性又は二軸的複屈折性のいずれか)である。いくつかの場合において、各ORUは、1つのそのような複屈折性マイクロ層と、等方性であるか又はもう一方のマイクロ層に比べて低い程度の複屈折性を有する第2マイクロ層とを含み得る。この点において「等方性」とは、その複屈折が非常に小さく意図される用途において材料を実質的に等方性とするような材料を包含するものと理解される。第2マイクロ層が複屈折性である場合、その複屈折性は第1マイクロ層と同じ符合である(例えば、正の複屈折性)又は異なる符合(例えば、負の複屈折性)であり得る。換言すると、第1マイクロ層は正の応力−光学係数を有し、第2マイクロ層は、正、負又はゼロの応力−光学係数を有し得る。
【0060】
代表的な多層光学フィルムは、高分子材料から構成され、共押出、キャスト、及び配向プロセスを使用して作製され得る。米国特許第5,882,774号(Jonzaら)の「Optical Film」、同第6,179,949号(Merrillら)の「Optical Film and Process for Manufacture Thereof」及び同6,783,349号(Neavinら)「Apparatus for Making Multilayer Optical Films」を参照。多層光学フィルムは、上述の参照文献のいずれかに記載されるポリマーの共押出により形成され得る。様々な層のポリマーが、同様の流動学的特性、例えば融解粘度を有するように選択され得、それによりこれらのポリマーは、著しい流れの乱れを伴うことなく共押出しされることができる。押出条件は、各ポリマーを供給流及び溶解流として、連続的かつ安定した様式で、適切に供給、溶解、混合及びポンプ注入するように選択される。各溶解流を形成及び維持するために使用される温度は、温度範囲の最低における、凍結、結晶化又は不当に大きな圧力の低下を避け、範囲の最高における材料の分解を避けるような範囲内で選択され得る。
【0061】
概要として、製作方法は、(a)最終的なフィルムに使用される第1ポリマー及び第2ポリマーと対応する樹脂の少なくとも第1流れ及び第2流れを提供する工程と、(b)(i)第1流路及び第2流路を含む勾配プレートであって、第1流路が流路に沿って第1位置から第2位置まで変化する断面積を有する勾配プレート、(ii)第1流路と流体連通する第1の複数の導管及び第2流路と流体連通する第2の複数の導管を有するフィーダーチューブプレートであって、各導管はその各独自のスロットダイに供給し、各導管は第1端部及び第2端部を有し、導管の第1端部は流路と流体連通し、導管の第2端部はスロットダイと流体連通するフィーダーチューブプレート、並びに(iii)任意により、上記導管の近位に位置する軸方向棒状ヒーターを含むものなどの、好適なフィードブロックを使用して、第1流れ及び第2流れを複数の層内に分割する工程と、(c)複合的な流れを押出ダイに通過させて、各層が隣接する層の主表面とほぼ平行である多層ウェブを形成する工程と、(d)多層ウェブを場合によりキャストホイール又はキャストドラムと称される冷却ロール上にキャストしてキャスト多層フィルムを形成する工程とを含み得る。このキャストフィルムは最終的なフィルムと同じ数の層を有してもよいが、キャストフィルムの層は典型的にはこれらの最終的なフィルムのものよりも遥かに厚い。更に、キャストフィルムの層は典型的には等方性である。
【0062】
いくつかの場合において、製造器具は、最終的なフィルム内の層の数を倍増させるために、1つ以上の層倍増器を利用してもよい。他の実施形態において、フィルムは、いずれの層倍増器も使用せずに製造することができる。層倍増器は、多数の光学層の生成を大幅に単純化するが、各パケットごとに同一でない各合成層パケットに歪みを与えることがある。この理由のため、供給ブロック内で生成された層の層厚さプロファイルの調整は、各パケットごとに同じではなく、すなわち、スペクトル分断のない均一で滑らかなスペクトルを生成するために全てのパケットを同時に最適化できるとは限らない。したがって、低い透過及び反射色のために最適化されたプロファイルは、倍増器を使用して製造される多重パケットフィルムを使用して作製するのが困難であり得る。供給ブロック内で直接生成された単一パケット内の層の数が、十分な反射率を提供しない場合は、2つ以上のそのようなフィルムが貼り付けられ、反射率を高めることができる。低色フィルムのための平滑なスペクトル反射率及び透過率を提供するための、層厚さ制御の更なる説明は、PCT国際公開特許WO 2008/144656号(Weberら)に提供される。
【0063】
多層ウェブがチルロール上で冷却された後、これは延伸又は伸張されて、最終的な又はほぼ最終的な多層光学フィルムを生成し得る。延伸又は伸張は2つの目標:これが層をこれらの所望の最終的な厚さまで薄化すること及びこれが層の少なくともいくらかが複屈折性となるように層を配向させること、を達成する。配向又は伸張は、クロスウェブ方向に沿って(例えば、幅出機により)、ダウンウェブ方向に沿って(例えば、長さ配向装置)又はこれらの任意の組み合わせにより、同時的又は順次的に達成され得る。一方向にのみに沿って伸張される場合、伸張は「非拘束」(フィルムは伸張方向と垂直な面内方向で寸法的に弛緩させられる)又は「拘束」(フィルムは拘束され、したがって伸張方向と垂直な面内方向において寸法的に弛緩させられない)であり得る。両方の面内方向に沿って伸張された場合、伸張は対称(すなわち、垂直な面内方向に沿って等しい)か又は非対称であり得る。あるいは、フィルムはバッチプロセスにおいて伸張されてもよい。いずれにせよ、順次的又は同時的な延伸変形、圧力又は歪み平衡、熱硬化及び他の処理作業がまたフィルムに適用され得る。
【0064】
多層光学フィルム及びフィルム構成体は、これらの光学的、機械的又は化学的特性のために選択された追加的な層及びコーティングを含むことができる。例えば、UV吸収層はフィルムの主要外側表面の一方又は両方に追加されて、フィルムをUV光により生じる長期にわたる劣化から保護し得る。追加の層及びコーティングは、引っ掻き抵抗性層、引き裂き抵抗性層、及び硬化剤も含むことができる。例えば、米国特許第6,368,699号(Gilbertら)を参照されたい。
【0065】
所与の多層フィルム内のマイクロ層の全ての光学的厚さが、同じであるように設計された場合、フィルムは狭帯域の波長にわたってのみ高い反射率を提供する。帯域が可視スペクトルのどこかに位置する場合、このようなフィルムは非常に濃い色として顕れ、色は角度の関数として変化する。ディスプレイ及び照明用途の文脈において、顕著な色を呈するフィルムは一般的に避けられるが、いくつかの場合においてはシステム内のどこかで色の不均衡を補正するために、所与の光学フィルムに僅かに色を導入することが有益であり得る。多層フィルムは、マイクロ層(又はより正確には光学繰り返し単位(ORU)であり、これは多くの実施形態(全てではない)において隣接するマイクロ層の対に対応する)を、様々な光学的厚さを有するように調整することによって、広帯域の反射率及び透過率を、例えば可視スペクトル全体にわたって備えることができる。典型的には、マイクロ層は、フィルムのz軸すなわち厚さ方向に沿って、フィルム又はパケットの一方の側面における最も薄いORUからもう一方の側面における最も厚いORUにかけて配置されており、最も薄いORUが反射帯域における最も短い波長を反射し、最も厚いORUが最も長い波長を反射する。急峻な帯域端部を提供するために厚さ勾配を調整することを含む、多層光学フィルムの厚さ勾配の記載は、米国特許第6,157,490号(Wheatleyら)に見出すことができ、以下で更に記載される。
【0066】
多層光学フィルムの製造に使用される材料は、少なくとも可視及び近可視波長にわたり、かつフィルム内の典型的な光学経路距離において非常に低い吸収率を有する典型的なポリマー材料である。所与の光線における、多層フィルムの%反射率R及び%透過率Tは、典型的には実質的に補完的であり、すなわち、R+T≒100%であり、通常は約1%の正確性の範囲内である。したがって、他に指定されない限り、高い反射率を有するものとされる、本明細書において開示される多層光学フィルムは低い透過率を有し、逆もまた同様であり、低い反射率を有するものとされる開示される多層光学フィルムは、高い透過率を有するものと想定され得、逆ももた同様であり、反射率又は透過率の記録される値はまた、関係R+T≒100%を使用してそれぞれ透過率又は反射率に関しても報告するものと想定され得る。
【0067】
反射及び透過特性は、コンピューターによりモデル化された光学フィルム又はその特性が実験室内で測定される実際のフィルムのいずれを扱うにしても、容易に測定することができる。複屈折性多層フィルムの反射スペクトル及びその特性の全て、例えば、任意の角度及び任意の帯域端における反射率が、Berremen及びSchefferの「Phys.Rev.Lett.」(25,577(1970))の4×4積層体コードを使用して算出され得る。この方法の記載は、Azzam及びBasharaにより著され、Elsevier Science(Holland)により出版される書籍「Ellipsometry and Polarized Light」に提供される。
【0068】
大きく傾斜した角度、例えば、空中における90°若しくはほぼ90°又は更に超臨界角において、多層光学フィルムの反射率又は透過率は、既知の屈折率のガラスプリズムをフィルムの両面に連結し、スネルの法則により容易に決定される適切な角度における反射率を測定することにより、直接測定され得る。約1.5〜1.7の屈折率を有するガラスプリズムが、これらの測定のためには好適である。
【0069】
多くの場合において、特に非ゼロ角度において、フィルムの反射率の代わりに透過率を正確に測定することがより容易である。関心のフィルムにおいて光の吸収率が比較的小さいため(垂直入射光に関して一般的に1%未満)、透過率値Tを単純に測定し、R=1−Tを想定することができる。吸収率が約数%超である場合、これは垂直入射での、R及びTの別個の測定によって測定することができる。次いで、より高い角度での吸収率は容易に推定することができ、反射率はR=1−A−Tとして算出することができ、R、A及びTは典型的にはパーセントで表現され、1=100%である。
【0070】
本明細書において開示される多層光学フィルムは、垂直入射光に関して、偏光の関数として非対称の反射率及び透過率を呈する。したがって、垂直入射光に関して最も高い反射率又は最も低い透過率と関連する面内軸(x軸)を「遮蔽」軸と称し、垂直入射光に関して最も低い反射率又は最も高い透過率に関連する他方の面内軸(y軸)を「通過」軸と称することができる。反射性偏光子型多層光学フィルムについて妥当するように、垂直入射遮蔽軸反射率と垂直入射通過軸反射率との間の差が大きい場合にこれらの用語を使用することができる。しかしまた、本出願の目的のために、ほぼ対照的なミラー様多層光学フィルムについて妥当するように垂直入射遮蔽軸の反射と垂直入射通過軸の反射との間の差が小さい場合にも用語「通過軸」及び「遮蔽軸」を使用することができる。
【0071】
本明細書において開示される多層光学フィルムはまた、1つ以上の特定の入射条件に関してより広い帯域にわたり、中程度の反射率、すなわち、部分的な反射率及び部分的な透過率を呈する。例えば、多くのディスプレイ及び照明用途における可視波長領域などの、より広い帯域にわたり、マイクロ層によって提供される部分的反射率及び部分的透過率は、反射又は透過特性が波長の関数として十分に均一又は平滑でない場合に、フィルムをシステムに望ましくない色が導入されることによる影響を受けやすくする。多層光学フィルムが部分を成すシステム設計により、様々な所望の入射条件において中程度の反射率/透過率が生じるように設計され得る。1つの場合において、例えば、入射条件はフィルムの通過軸に沿って偏光された垂直入射光に関するものであり得、この場合、広帯域部分反射率及び透過率は通過状態の光と関連する。別の場合において、例えば、入射条件はフィルムの遮蔽軸に沿って偏光された垂直入射光に関するものであり得、この場合、広帯域部分反射率及び透過率は遮蔽状態の光と関連する。他の場合において、入射条件は、選択された入射平面内の斜めに入射した光に関するものであり得る。例えば、s又はp偏光は、特定のs及びp偏光(非偏光)又はその平均であり得る。選択される入射平面は、通過軸及びz軸を含む平面又は通過軸及びz軸を含む平面又はこれらの平面に対して中間的な位置で回転させた平面であり得る。例えば、入射平面は、z軸を含み、例えば、10°、又は20°、又は45°の方位角φに回転させた平面であってもよい。このような平面内の入射光の極角θは更に特定されてもよく、例えば、屈折率1.494の媒体中でθ=49°、又はこのような媒体でθ=38°、又は他の角度及び他の媒体が所望により特定され得る。
【0072】
図7及び図8は、読者に「s偏光」及び「p偏光」の概念に関連する幾何形状を思い出させ、これらの偏光状態が特定の光線の入射平面に関連して画定され、多層光学フィルムの面内軸(x及びy軸)に対するいかなる固定的な関係をも一般的に有さないことを明確にするために提供される。
【0073】
したがって、図7は、多層光学フィルム710又は他の光学的本体に、特定の方向で入射し、ここから出る光線を示す。光線の方向は、特定の光学媒体、例えば、フィルム710の表面と接触する媒体(この媒体が空気、又は超低屈折率(ULI)材料、又は空気のものよりも高い屈折率を有する別の媒体のいずれか)内で特定される。光線の方向はまた、2つの角度:フィルム710の厚さ軸、すなわちz軸から測定される極角θ、及び特定の面内軸、典型的にはフィルム710のx軸から測定される方位角φにより特定される。光線の入射面は、z軸及び光線の伝搬方向を含む平面である。この平面は、x−z平面に対して角度φで配置される。S偏光は、その電界が入射平面に対して垂直に振動する光線の成分である。p偏光は、その電界が入射平面内で振動する成分である。
【0074】
光線の伝搬方向により、いくつかの場合において光のs偏光成分がフィルムのx軸により近く位置合わせされてもよく(かつp偏光成分は、y軸、より一般的にはy−z平面と位置合わせされ得る)、一方で他の場合においてはs偏光成分はフィルムのy軸とより近く位置合わせされてもよい(p偏光成分はx軸又はより一般的にはx−y平面と位置合わせされ得る)。これは図8により明確に示される。この図において、光線810は、従来的な偏光フィルム802上に、入射角θで入射し(又はここから出る)、これによって入射平面812を形成する。標準的な吸収性偏光子又は反射性偏光子であり得る偏光子802は、y軸と平行な通過軸804及びx軸と平行である遮蔽軸806を含む。光線810の入射平面812は、遮蔽軸806と平行であり、0°の方位角φで配置されている。光線810は、入射面812中にあるp偏光成分、及び入射面812と直交するs偏光成分を有する。光線810のp偏光は偏光子802の遮蔽軸806と平行なベクトル成分を有し、したがって、偏光子により実質的に遮蔽される(例えば、吸収又は反射される)一方で、光線810のs偏光は偏光子802の通過軸804と平行であり、少なくとも部分的に透過する。
【0075】
更に図8は、偏光子802の通過軸804と平行なベクトル成分を有する入射面822の平面内で偏光子802に入射する光線820を例示する。光線820の入射面822は、通過軸804と平行であり、90°の方位角φで配置される。光線820のp偏光は、偏光子802の通過軸804と平行であり、一方で、光線820のs偏光は、偏光子802の遮蔽軸806と平行である。結果として、偏光子802が、遮蔽軸における偏光の全ての角度の入射光において100%の、透過軸における偏光の全ての角度の入射光において0%の反射率を有する「理想的」反射性偏光子である場合、偏光子は光線810のs偏光及び光線820のp偏光を透過し、一方で光線810のp偏光及び光線820のs偏光を反射する。換言すれば、このような偏光子802はp偏光とs偏光の組み合わせを透過する。p偏光とs偏光の透過量と反射量は、偏光子の特性に依存する。
【0076】
光の広帯域反射率及び透過率のために調製された厚さ勾配を有する、光学的に浸漬された非対称の多層光学フィルムとの関連で、いくつかの光線は、多層光学フィルムの向き又は「偏側性」によって、他のものよりも望ましくない色効果と、より強く関連する場合があることが見出された。特に、極角θが臨界角であり、方位角φがx軸に近い(しかし一致しない)、例えば、
【0077】
【数1】

【0078】
である光線は、多層光学フィルムが「厚い面が外側」の向きで配向されるときに、本明細書において記載される浸漬されたフィルム構成体において望ましくない色効果と強く関連する傾向にある。
【0079】
ここで、開示される多層光学フィルムの「偏側性」について、フィルムの層厚さ勾配の観点から考察する。図9a及び図9bは、広波長領域にわたり(例えば、可視波長領域にわたり)、一定の入射角範囲にわたって、反射帯域を提供するために、多層光学フィルムの設計に使用され得る、代表的な層厚さプロファイルを表すグラフである。このような「広帯域」挙動は、光学繰り返し単位による層の低屈折材料及び高屈折材料を組み合わせた層の対の、固有の帯域幅よりも実質的に大きなあらゆる帯域幅を指す。図9a及び9bにおいて、フィルム中の約550のマイクロ層の各1つは、垂直軸に沿って「層番号」を割り当てられ、第1層番号1はフィルムの第1主表面、又はその付近に配置され(例えば、場合により光学的に厚い保護境界層及び/又は表面薄層によって分離される)、最後の層番号550(図9a)又は551(図9b)は、第1主表面と反対のフィルムの第2主表面又はその付近に配置される。グラフの垂直軸は、各マイクロ層の物理的厚さを表す。
【0080】
代表的な実施形態において、図9a及び図9bにより表されるマイクロ層は、2つの異なる材料から構成される2つのマイクロ層の群から本質的に構成され得、図6において先に示された「A」及び「B」層と同様の交互の、介在する方法で配置される。したがって、各図において、層番号1、3、5、...549(及び図9bの場合の551)は、第1光透過性材料「A」から構成され得、かつ層番号2、4、6、...550は、異なる第2光透過性材料「B」から構成され得る。このような場合、マイクロ層は、およそ275の光学繰り返し単位(ORU)に構成されるものと考えることができ、各ORUは2つの隣接するマイクロ層から本質的になる。例えば、番号1(材料A)及び2(材料B)は、第1 ORUを画定してもよく、層番号3(材料A)及び4(材料B)は、第2 ORUなどを画定し得る。
【0081】
ORUの光学的厚さは、材料の屈折率が既知であれば、図9a及び図9bのグラフのグラフから確認することができる。大まかな計算目的のために、A及びB材料の屈折率が約1.7であるものと想定すると(このおおよその計算目的のためにA及びB材料の屈折率の差は無視する)、2つの図のORUは第1主表面又はその付近における約200nm(=(65nm+65nm)1.7)から第2主表面又はその付近における約600nm(=(175nm+175nm)1.7)に及ぶ光学的厚さを有することが見出される。ORUのピーク反射率は典型的には、ORUの光学的厚さの2倍に等しい波長λにおいて生じるということを思い出し、ORU光学的厚さのこの範囲は、約400〜1200nmに連続的に延びる、垂直入射反射帯域に対応する(フィルムの少なくとも1つの面内軸に沿った、「A」材料と「B」材料との間における適切な屈折率差を想定する)。任意の所与のORUの2つのマイクロ層の物理的厚さは僅かにのみ異なり、このようなマイクロ層の屈折率は典型的には想定される名目値の1.7に対して小さな程度で異なるため、図9a及び図9bにより表されるf比は50%に近い場合がある。
【0082】
図9aに表される複数のマイクロ層と図9bに表されるものとの間の最も顕著な差は、前者の場合においてはマイクロ層はマイクロ層の2つの別個の積層体又はパケットに分割され、後者の場合においてはマイクロ層は単一の積層体又はパケットへとグループ化されるものと想定される。この点において積層体又はパケットとは、マイクロ層間に光学的厚さ層を含まないマイクロ層のセット又はグループを指し、光学的厚さ層とは典型的にはその光学的厚さが約λ/2より大きく、λは隣接するマイクロ層(又は対応する光学繰り返し単位)の大部分がそれに調整される波長である図9aに関する層厚さプロファイルはしたがって、それぞれ単調である2つの部分910a、910bに分割され、一方で図9bに関する層厚さプロファイルは単一の連続的で単調な曲線912である。図9aにおいて、光学的厚さ層が、曲線910aによって表されるマイクロ層パケットと、曲線910bによって表されるパケットとの間に存在するものと想定される。以下で説明されるモデル化の目的のために、この光学的に厚い層の光学的厚さに、15マイクロメートルの値が想定された。
【0083】
図9a及び図9bの層プロファイルの間の差にかかわらず、両方のプロファイルが、垂直入射における約400〜1200nmの連続的なスペクトルを反射するために使用され得る。更に両方のプロファイルの「偏側性」は、「薄い面」に隣接する層番号1、及び「厚い面」に隣接する層番号550又は551によって特徴付けることができる。この点において、層厚さプロファイルにおける光学繰り返し単位の平均光学的厚さが計算され得る。図9a及び図9bそれぞれにおいて、この平均は、A及びBマイクロ層の名目屈折率が約1.7であると想定して、およそ400nm(=(120nm+120nm)1.7)である。光学的厚さがこの平均よりも小さいORUは、平均して、光学的厚さがこの平均よりも大きいORUよりも、層番号が1又はその付近である第1主表面に近い。多層光学フィルムの第1主表面はしたがって、「薄い面」と称され得る。対照的に、光学的厚さが平均よりも大きいORUは、平均よりも光学的厚さが小さいORUよりも、層番号が550又は551であるかその付近の第2主表面に近い。第2主表面は、したがって、「厚い面」と称され得る。多層光学フィルムが部分を成すフィルム構成体の入力及び出力表面の文脈において、光学的に浸漬された多層光学フィルムの偏側性が、観察者によって感知される色に顕著な変化を生じ得ることを、観察結果が示し、モデル化が確認している。1つのパケット(図9b)又は2つのパケット(図9a)のいずれが使用されるかにかかわらず、薄い面が外側である配向は、厚い面が外側である配向よりも実質的に低い色を達成する。
【0084】
図9a及び図9bは、限定的な方法で構成されるべきではない。例えば、本発明は、任意の数のマイクロ層パケットを有し得る、浸漬された多層光学フィルムに適用され得、1つのパケット(図9b)又は2つのパケット(図9a)の設計に限定されない。
【0085】
例えば、図9a及び図9bのものに代わるマイクロ層パケット設計において、疑似連続的な単一パケットがまた、マイクロ層の各パケットの間に1つ以上の光学的に厚い層を有する2つ以上のパケットから作製され得る。しかしながら、連続的な1/4波勾配積層体の中間における1つ以上の光学的厚さ層の存在は、顕著なスペクトルの振動を生じ、これはまた顕著な色を生成する場合がある。このような構成体から作製され得る任意の良好な低色設計はしかしながら、依然として、本明細書において記載されるものと同じ順序(すなわち、薄い面が外側をむく配向であり、平均して、プロファイルの最も薄い1/4波層がシステムの出口側に面する)で層を配置することにより利益を得る。任意の光学的に厚い層が好ましくは低複屈折を有する材料から作製される。上記のように、個別のマイクロ層がそれぞれ、正確に1/4波を有する必要はない。むしろ、光学繰り返し単位のマイクロ層の光学的厚さの合計がλ/2であるべきであり、λ/2 ORUはひいては、広帯域反射体を提供するために好適な層厚さプロファイルにより連続的な勾配を有し得る。加えて、いくつかの場合において、ORUはλ/2より遥かに厚く(例えば、3λ/4、λ又は更に高い)様々なf比を有する場合があり、適切なf比を備える、第2、第3又は更に高次の高調波反射帯域を使用して均一な遷移を提供し、より低色の均一な繊維スペクトルを提供する。他の場合においても、より薄いORUは平均して、望ましくは低色のための構成体の出力表面に面する。
【0086】
ここで図10aを参照し、光学的に浸漬された多層光学フィルムを含むフィルム構成体の概略的断面又は側面図が見出される。フィルム構成体は、光導体上の積層体の構成体1010である。このシステムにおいて、3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能なVikuiti(商標)BEF−型プリズム状フィルムに使用されるものなどのプリズム構成体1012が、本明細書において開示される、多層反射性偏光フィルム1014に適用される。プリズムは空気に曝露され、偏光フィルム1014を通過した光を、ディスプレイパネル又は観察者の方に向けて、一般的に上方に透過させる。このような光は光源1030a、1030bに由来し、これらは中実の光導体1024の縁部においてエッジ照明構成で示される。光導体1024は、従来的な抽出装置1026のパターンを備える。光導体1024の底部から逃れる光は、白色背面反射体1028により反射される。感圧接着剤層1022は、光導体1024を、勾配屈折率ULI層1020、高ヘーズULI層1018(これはまた体積式ディフューザーであり得る)及び低ヘーズULI層1016を含む、上記の他の構成要素に接着させる。
【0087】
構成体1010はしたがって、反射性偏光フィルム1014をバックライト内へと、空隙間隙を排除し、フィルム基材及び他の独立型構成要素、例えば、反射性前偏光子、光導体、ディフューザー、位相差板、マイクロレンズシート又はプリズム状シートの数を低減するような方法で導入する。これにより、反射性偏光フィルム1014は、空気よりも高い屈折率の媒体、特に光学的に厚い超低屈折(ULI)層に光学的に浸漬される。ULI層は、超臨界光がフィルム1014内を伝搬することを可能にするが、このような超臨界光の角度範囲を制限する。制限された範囲は、フィルム1014が更に高い屈折率の媒体に光学的に浸漬される実施形態に比べ、多層反射体の角度帯域幅要件を低減する。しかしながら、伝搬角度の範囲は、多層光学フィルム1014が光学的に浸漬されない場合に生じるものよりも依然として広い。図10aの構成体は、本明細書において記載される偏側性効果に関連する望ましくない色が観察された実施形態を実質的に表す。図10aの実施形態に関する更なる情報及び他の情報のために、2009年10月24日に出願された米国特許出願第61/254,691号「Immersed Reflective Polarizer with High Off−Axis Reflectivity」(代理人整理番号第65809US002)を参照した。
【0088】
ディフューザー1016又は光導体1024のいずれかが、空気から注入され得るよりも大きな角度において、偏光フィルム1014に光を注入することができる。ここでは両方が使用されるが、一方若しくは他方、又は微細構造化表面フィルムを単独で使用して超臨界光をフィルムに注入することができる。一般的に、多層光学フィルムに光学的に連結される任意の光路偏光層が、光注入層(例えば、層1024)又は光抽出層(例えば、1012)として使用され得る。図10aにおいて、これらの構成要素はそれぞれ、光導体及びプリズム配列である。反射性偏光子に入り得る光の角度範囲は、ULI層1016の屈折率により、スネルの法則によって制限される。好適な抽出層1012がフィルムの出口表面に光学的に連結されていれば、ULI層を透過するこれらの光線のいずれかが偏光フィルム1014から空中に出ることができる。このような構成体は、上記の光学的に浸漬された光学フィルムの例である。
【0089】
光学的に浸漬されたフィルムは典型的には、フィルムの入射面及び出口面にそれぞれ光学的に連結された光注入及び光抽出層を有する。このような方法において光線は、空中において平滑な平面配向性表面を通じてフィルムに生じ得るよりも、大きな角度でフィルムに入りかつ伝搬することができ、このような光は、上記のように超臨界光と称される。抽出層は、注入層に関して記載される任意の構成要素であり得る。フィルム及び光源を液体、又は液体を後に硬化又は乾燥させて固体にしたものに浸漬することは、同じ結果を有し得る。偏光子に顕著な色の生成を生じ得る特定の光線は、図10bに例示される光線1049aなどの、大きな(超臨界)入射角から入るものである。図10bは、反射性偏光フィルムであり得る、光学的に浸漬された多層光学フィルム1044を含む、より単純な又はより一般化されたフィルム構成体1040の概略断面図又は側面図である。構成体1040は、フィルム1044の出力表面1044bに取り付けられた光抽出層1042、フィルム1044の入力表面1044aに取り付けられたULI層1046、及びULI層1046に取り付けられた光注入層1048を含む。
【0090】
光線1049aは、多層光学フィルム1044から出て空中に入る透過に関して臨界角に近いか又はこれを上回る。しかしながら、図10bに表される光抽出層1042(他の構成を代わりに使用することもできるが)は、光線が、観察者によって容易に観察することができる角度においてフィルムを出ることを可能にする(光線1049b参照)。読者は、光線の経路が可逆的である、すなわち、光はプリズム状表面(1042参照)に注入され、光導体(1048参照)により抽出され得ることを理解する。典型的には、最終用途は偏光出力を使用するが、システムは原則として逆転され得る。したがって、最も一般的な用語で述べると、多層光学フィルムの最も薄い層(すなわち、「薄い面」)が、より高度な偏光を透過するシステムの側に最も近くあるべきことが所望され得る。
【0091】
光抽出層1042が、多くのVikuiti(商標)BEF型フィルムのものなどの、プリズムの線形配列を含み、各プリズムがフィルム平面と平行なプリズム軸に沿って延びる場合、プリズム配列は、プリズム軸がフィルム1044の通過軸と実質的に平行であるように多層光学フィルム1044に対して配置され得るが、プリズム軸と通過軸との間の他の相対的な配置角度もまた使用され得る。
【0092】
光学的モデル化
浸漬された多層光学フィルムの光学的モデル化は、観察される現象をよりよく理解し、どの設計パラメーターが観察される現象に対して顕著な影響を有するかに関するより良い認識を得るために利用された。浸漬された多層光学フィルムは、標準的な多層境界面積層体コードでモデル化され得る。単純化のために、フィルム積層体は、光が平行平面境界において、空気より高い所与の屈折率の半無限媒体に光が注入され、ここから抽出されるものとして、モデル化される。この点において図10cを参照し、これは、光学的に浸漬された多層光学フィルム1054を含む、単純なフィルム構成体1050の概略的な断面図又は側面図を示す。構成体は、半無限層1058、1052を含み、それぞれここから光がフィルム1054に入り、出る。層1058とフィルム1054との間の任意の層1056は、フィルム1054に注入され得る超臨界光の傾斜度を制限するために提供され得る。例えば、層1056は、その屈折率が半無限層1058のものよりも低い、ULI材料の光学的に厚い層であり得る。以下のモデル化された結果に関し、他に指定されない限り、多層光学フィルムの両側上の半無限媒体は、1.494の屈折率を有するものとして想定され、これは633nmにおけるポリメチルメタクリレート(PMMA)の屈折率に対応する。いくつかの場合において、吸収性偏光子はまた、以下で更に説明されるように、モデル化されたフィルム構成体に含まれるものと想定され、このような吸収性偏光子はまた、フィルム1054と平行な平面に浸漬される。
【0093】
プリズムなどの抽出機構がフィルム表面に連結されない限り、観察者が測定するような顕著な色を生成する光線は空中に透過され得ない。図10bのプリズムなどの非平坦な表面の使用による、偏光の抽出のモデル化は追加的な分析を必要とする。使用され得る多くの種類の抽出機構が存在するために、これはここでは行われない。代わりに、薄い光学層の層の構成の効果に関して色を向上する又は低減することができる、基本的な光学的効果を例示することのみが意図される。実験的観察は明確かつ明白であり、色の成因の理解を助けるために、モデル化が行われた。
【0094】
異なるマイクロ層に使用される材料に関する以下の屈折率値は、作製された後に浸漬され、開示されるフィルム構成体において使用され得る、非対称な多層光学フィルムの代表例である。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
これらの屈折率セットのそれぞれは、好適な数の層、及び好適な層厚さプロファイルを有する多層光学フィルムで利用される場合、その反射率が一方の偏光(z軸に沿って偏光される)の垂直入射光に関して、垂直な偏光(y軸に沿って偏光される)の垂直入射光に関するその反射率よりも実質的に高い、反射性偏光型多層光学フィルムを提供することができる。これらの屈折率のセットが負の値のΔnzを有するということは、通過平面(通過軸及びz軸を含む平面)に入射するp偏光に関するこれらの反射率が、増加する入射角と共に増加する場合があり、Δnyのゼロでない値はまた、通過平面に入射するs偏光に関する反射率がまた入射角の増加と共に増加することを意味する。このようなフィルムに関する更なる情報は、2009年10月24日に出願された、上記で参照した米国特許出願第61/254,691(代理人整理番号第65809US002号)及び米国特許出願第61/XXX,XXX号「Immersed Reflective Polarizer with Angular Confinement in Selected Planes of Incidence」(代理人整理番号第65900US002号)に見出され得る。
【0099】
特に他に指定されない限り、モデル化された実施例は上記の屈折率セット3の屈折率を使用し、これらは、以下に記載される実際の実施形態に使用される実際の多層光学フィルムに非常に典型的であるものと考えられた。
【0100】
図9bのものと同様の1パケット層プロファイル及び図9aのものと同様の2パケット層プロファイルは、それぞれ約550の合計マイクロ層を有し、図10cの浸漬された実施形態について計算され、半無限層1052、1058は、1.494の屈折率を有するものと想定され、層1056は省略された。マイクロ層は、屈折率セット3で説明されたように、材料Aと材料Bの交互の構成であるものと想定された。
【0101】
図11aは、このような浸漬された多層光学フィルムに関する透過率対波長(すなわち、スペクトル透過率)の生じるモデル化されたグラフであり、多層光学フィルムは、図9bのものと同様の551マイクロ層(275.5 ORU)1パケット設計を使用する。垂直軸に示される透過率値は、100を掛けてパーセント透過率値に変換されてもよく、パーセント反射率は通常、100% −パーセント透過率であるものと想定され得る。透過率は、半無限層1058内の伝搬方向が極角θ=49°及び方位角φ=0°を有する光に関して計算される。方位角φ=0°は、光がx−z平面に入射することを示す。屈折率1.494の媒体の極角θ=49°は、光が超臨界角で伝搬していることを示す。この角度は、屈折率1.2のULI層の70°の極角、及び空中の90°より大きい角に対応し、すなわちこれはフィルム出射表面と平行な空気との境界面における全内部反射を経験する。p偏光(曲線1110)、s偏光(曲線1112)、並びにs偏光及びp偏光の平均(曲線1114)について透過率が計算され、これは非偏光の透過率の典型である。透過率の計算は、最も厚いORU(例えば、図9bの層番号550参照)が半無限出射層1052に最も近い、多層光学フィルムの厚い面が外側の配向、及び最も薄いORU(図9bの層番号1参照)が半無限出射層1052に最も近い薄い面が外側の配向の両方に関して行われた。このモデル化された実施例において、曲線1110、1112、1114は全て、多層光学フィルムの偏側性−配向に反応しなかった。すなわち、計算される透過率曲線は、フィルムの厚い面が外側であっても、薄い面が外側であっても本質的に同じであった。これは、単純化された図1113を有する図に示される。
【0102】
曲線1114は、スペクトルの可視部分にわたるばらつきで見た際に、無色ではないが、この実施形態の色への最大の寄与因子は、単に層厚さプロファイルの形状であり、これは、スペクトルをより均一にするように修正され得る。
【0103】
全く同じ(修正されていない)浸漬された多層光学フィルムは、その後、僅かに異なる入射面におけるその透過率について評価された。特に、方位角φは、10°に変更され、一方で極角θは、49°のままに維持された。浸漬されたフィルムの透過率はその後、1つの場合においては厚い面が外側になるように配向された多層光学フィルム(図11b)について、他の場合においてはフィルムの薄い面が外側で(図11c)で、前と同じ方法において計算された。したがって、図11bにおいて、曲線1120は、p偏光の透過率を表し、曲線1122はs偏光の透過率を表し、曲線1124は曲線1120及び1122の平均を表す。同様に、図11cにおいて、曲線1130は、p偏光の透過率を表し、曲線1132はs偏光の透過率を表し、曲線1134は曲線1130及び1132の平均を表す。単純化された図1123、1133は、各図の浸漬された多層光学フィルムの向きを示すものとして機能する。
【0104】
図11a、11b、11cの比較は、多層光学フィルムの偏側性は、x−z平面に入射する光の透過率に影響を及ぼさないものの、入射平面における僅かな変化(同じ超臨界極角を維持する一方で)により、フィルムの偏側性が透過特性に大きな影響を及ぼし得ることを示す。したがって、多層光学フィルムの主軸(x又はy軸)を含まない平面に入射する光(例えば、φ=10°)においては、図11のものとは大きく異なるスペクトルがs偏光及びp偏光に関して計算される。厚い面が外側である配向における、光のp及びs偏光成分に関する、曲線1120、1122における大きな振動に留意する。光が最初にマクロ層積層体のより厚いORU上に最初に入射するようにフィルムの配向を薄い面が外側になるように逆転させ、光線の方向を全く同じにすると(φ=10、θ=49)、図11cは、図11bの平均透過率1124と実質的に同じ平均透過率1134を提供するが、個別のs及びp偏光成分の曲線1130、1132はここでは、図11bの対応する曲線に対して、非常に僅かな波長による変動を呈する。
【0105】
図11b及び11cの結果は、光が最も薄いORUを最後に通過するように、フィルム積層体を配置することの望ましさを理解するための重要な手掛かりを提供する。s及びp偏光に関する、スペクトルの組み合わせがこれら2つのプロットにおいて同じであっても(曲線1124と曲線1134を比較されたい)、続く光学層がs偏光又はp偏光いずれかをより少なく透過する光路に追加される場合、図11bの個別に色を有する偏光成分の微妙なバランスは乱れ、全(s及びpの組み合わせ)スペクトルはより不均一になることが容易に見出される。
【0106】
このような効果は、吸収性偏光子を浸漬された多層光学フィルムの出射表面に単純に取り付ける(すなわち、図10cの層1052と1054との間への吸収性偏光子の挿入)ことによって実証され得る。このような配置はその後、多層光学フィルムの設計特性を図11a〜cと同じにし、同じ入射光線方向を使用して、モデル化された。吸収性偏光子の透過軸は、多層光学フィルムの透過軸(y軸)と平行であるものとして想定された。フィルム構成体はここでは、図12a、12bの単純化された図1213、1223に示されるように、吸収性偏光子に取り付けられた、同じ550層単一パケット多層光学フィルムである。図12aは、多層光学フィルムは厚い面が外側に配向される実施形態における計算された透過率を示し、曲線1210はp偏光のものであり、曲線1212はs偏光のものであり、曲線1214は曲線1210、1212の平均である。図12bは、フィルムの薄い面が外側である、計算された透過率を示し、曲線1220はp偏光のものであり、曲線1222はs偏光のものであり、曲線1224は曲線1220、1222の平均である。全透過率スペクトルの形状(吸収性偏光子の出力において測定される際)は、フィルム積層体の薄いORUと厚いORUの順序によって大きく異なる。
【0107】
図12aの高度に変調したスペクトル(曲線1214)は、ほとんどの照明システムにおいて強い色を生成し得る。このスペクトルは、光が最も薄い層に最初に、最も厚い層に最後に入射するシステムのものであり、多層光学フィルムを出るs偏光及びp偏光成分の微妙なバランスが、追加的な光学フィルムによって修正される。この場合、追加的なフィルムは、浸漬された吸収性偏光子であった。上記のように、プリズム状抽出層などの他の光学装置は、多層光学フィルムの出射面上に配置され得る。実験的な観察から、これらのプリズム状構成体は、図12a及び12bのものと同様のスペクトルを生成するように見える(すなわち、比較的均一であるか、又は多層光学フィルム内の層の配置により、波長と関連して高度に変調する)。
【0108】
薄い層が別の偏光子に面する、図12bの全システムは、光学部品の基本的原理によって逆転されてもよく、かつこの逆転した場合において光は薄い層に最初に入るにもかかわらず、依然として同じ、比較的平滑な全透過率スペクトルを有する(s偏光+p偏光、曲線1224を参照)。逆転した場合については、図13の単純な図1313に例示される。したがって、図13は、図12bの構成体に関するスペクトル透過率のモデル化されたグラフであるが、光の方向は、ここでは吸収性偏光子がここで多層光学フィルムの入力表面(図12bの出力表面を考察する)とみなされる表面と光学的に接触するように、逆転されている。入射光線の方向特性(φ=10、θ=49)は、多層光学フィルムの設計特徴などと共に、他の点では不変である。曲線1310は、p偏光の計算された透過率であり、曲線1312はs偏光のものであり、曲線1314は曲線1310、1312の平均である。
【0109】
図13と図12bを比較すると、平均透過率1314は平均透過率1224に対して不変であるが、s及びp偏光に関する個別の透過率スペクトル1312、1310は、先に図11bに見出されたように、やはり波長の関数として高度に変調している。光がs及びp偏光の光に関して透過率スペクトルの微妙なバランスを阻害することなく、図13の構成体から抽出され得ない限り、又は構成体がこの形態の浸漬されたシステム内において使用され得ない限り、この逆転した配置は依然として顕著な色を生じことがあり、望ましくない場合がある。
【0110】
つまり、上記の光学的モデル化は、s偏光及びp偏光に関する個別の透過率スペクトルが、光が薄い層に最初に入る場合(厚い面が外側の構成)に実質的に変調され、これらの透過率スペクトルは、積層体が逆転されて光が厚い層に最初に入る場合(厚い面が外側の配向)に、波長に対して実質的に少ない変調を呈することを実証している。
【0111】
光学的モデル化は次に、図9aの2パケット構成に関連して先に記載されたように、多層光学フィルムのマイクロ層がその間に光学的に厚い層を有する多数の別個のマイクロ層パケットに分離された実施形態へと延長された。下記の結果は、これらの場合においても、望ましくない色を低減させる観点から、より薄い光学繰り返し単位が平均して、より厚い光学繰り返し単位よりも多層光学フィルムの出力表面により近くなるように多層光学フィルムを配置することが好ましいことを実証している。
【0112】
第1のモデル化された2積層体実施形態において、多層光学フィルムは2つのマイクロ層パケットを有するように設計され、それぞれが交互のA、B構成において275のマイクロ層を含み、その屈折率は上記の屈折率セット3に示されている。2つのパケットは、保護境界層(PBL)と類似であり、等方性層と同じ屈折率を有する、光学的に厚い層(15マイクロメートル厚さ)によって分離された。モデルはまた、50マイクロメートル厚さの表面薄層が複数のマイクロ層の各側に存在することを想定し、表面薄層はまた等方性層と同じ屈折率を有した。(通常、表面薄層及びPBL層などの多層光学フィルムの光学的に厚い層は、高度に複屈折性ではなく、等方性であるか、最小限に複屈折性であることが好ましい。)フィルム内のマイクロ層の合計数はしたがって550であった。マイクロ層の厚さ勾配は、図9aに示されるものと同様であるようにモデル化され、すなわち275層パケットがより薄いマイクロ層からより厚いマイクロ層へと、及びより薄いORUからより厚いORUへと単調な勾配を有した。
【0113】
図10cに示されるように光学的に浸漬される場合、この2積層体多層光学フィルムの透過率は、上記と同じ方法で計算されたが、この場合においてはフィルム構成体は、半無限光注入層1058と多層光学フィルムの入射側との間に光学的に厚いULI層1056を含むものと想定された。半無限層1052、1058はやはり、1.494の屈折率を有するものとして想定された。ULI層1056は、1.2の屈折率及び100マイクロメートルの物理的厚さを有するものとして想定された。入射光線の方向はやはり、屈折率1.494の材料におけるφ=10°、θ=49°によって特徴付けられた。
【0114】
図14aは、単純な図1413によって示される、厚い面が外側の配向の、浸漬された多層光学フィルムの、生じる計算された透過率スペクトルを示す。図において、曲線1410は、p偏光の計算された透過率であり、曲線1412はs偏光のものであり、曲線1414は曲線1410、1412の平均である。図14bは、単純な図1423によって示される、薄い面が外側の配向の、浸漬された多層光学フィルムの計算された透過率スペクトルを示す。図において、曲線1420は、p偏光の計算された透過率であり、曲線1422はs偏光のものであり、曲線1424は曲線1420、1422の平均である。
【0115】
図14a、14bの比較は、s偏光及びp偏光の透過率スペクトルが、薄い面が外側の配向(14b)のより小さい変調と比較して、厚い面が外側の配向(図14a)の波長の関数として高度に変調されることを示す。これは、1パケット多層光学フィルムにおけるモデル化の結果と定性的に同じであるが、図14aのs及びp偏光透過率の変調(厚い面が外側の2パケットフィルムに関する曲線1410、1412)と、図11bのs及びp偏光透過率スペクトルの変調(厚い面が外側の1パケットフィルムに関する曲線1120、1122)との間に違いが見出される。
【0116】
浸漬された2パケット多層光学フィルムのs及びp偏光透過率スペクトルは、フィルムが、入射光が各パケットのより厚いORUに、より薄いORUよりも前に入るように配向される場合(すなわち、厚い面が外側)に、より均一である。上記のように、2パケット多層光学フィルムを含むフィルム構成体は、多層光学フィルムの入力表面において屈折率1.20の光学的に厚いULI層を有するように想定された。2パケットフィルムの両方の配向において、ULI層は不変のままであり、すなわちこれは常に多層光学フィルムの入射面上に配置された。この理由により、図14aの全透過率スペクトル(曲線1414)は、図14bの全透過率スペクトル(曲線1424)から僅かに異なる。
【0117】
実験室において作製され、かつ観察された実際の多層光学フィルムにおいて、フィルムが光学的に浸漬されないかった場合には(例えば、フィルムが偏光テーブル上に配置された後に透過率を観察された場合)、厚い面が外側の配向と薄い面が外側の配向との間における認識可能な差はほとんどなかった。この挙動のモデル化を試みるにあたり、図14a〜bに関連して記載される2パケット多層光学フィルムは、浸漬されていない空気環境においてモデル化され、結果が図15a、15bに示される。
【0118】
図15a及び15bはしたがって、図14a〜14bの2パケット多層光学フィルムの全スペクトル透過率のモデル化されたグラフであるが、ここでフィルムは屈折率1.494の媒体にもはや光学的に浸漬されていない。これに対して図15a、15bは、多層光学フィルムが空気に浸漬されることを想定し、フィルムは、その通過軸が多層光学フィルムの通過軸(y軸)と平行である平面平行の、非拡散的な吸収性偏光子の出力面上に配置される。光は、吸収性偏光子の下の空気から、入射面に入射し、その方位角はφ=20°である。空中で測定される極角θは、0°(垂直入射)〜70°に及び、したがって超臨界角ではなかった。多層光学フィルムは、単純化された図1513において示されるように、図15aにおいて厚い面が外側になるように配向され、すなわち、フィルムの厚い面が吸収性偏光子に面した。図15bにおいて、フィルムは単純化された図1523に示されるように、厚い面が外側になるように配向され、すなわち、フィルムの薄い面が吸収性偏光子に面した。透過率は、0°(図15aの曲線1510、図15bの曲線1520)、50°(図15aの曲線1512、図15bの曲線1522)、60°(図15aの曲線1514、図15bの曲線1524)、及び70°(15aの曲線1516、図15bの曲線1526)の、空中で測定される極角θに関して計算された。
【0119】
図15a、15bの比較は、吸収性偏光子の存在下においても、波長の関数として透過率曲線の変調は穏やかであり、厚い面が外側の配向における変調の度合いと、薄い面が外側の配向における変調の度合いとの間にはほとんど差が見出され得ない。これは、多層光学フィルムが光学的に浸漬されるフィルム構成体とは大きく異なる。
【0120】
作製された多層光学フィルム構成体
実験室環境で作製され、観察された多層光学フィルム構成体についてここで記載する。これらの構成体は多層光学フィルム及び他の光学フィルムの、ディスプレイバックライトでの使用に好適な中実な光導体への積層を含んだ。代表的な生じるフィルム構成体1610の概略側面図が図16に示される。構成体1610は、構成体1610の入力表面1610a、1610bに配置された光源1642a及び1642bと、かつ構成体1610の後ろに配置された白い背面反射体1640と組み合わされて、ディスプレイ用途におけるバックライトとして使用するために好適な、拡張した領域の白色光源を構成した。光は、構成体1610の出力表面1610cにおけるバックライトから、ディスプレイパネル及び/又は観察者(図示されない)の方に出る。
【0121】
光導体上の積層体構成1610において、BEFプリズム状フィルムに使用されるものなどのプリズム状構成体1612は、多層光学フィルム1614に適用され、これは作製された実施形態においては、反射性偏光子フィルムであった。プリズムは空気に曝露され、偏光フィルム1614を通過した光を、ディスプレイパネル又は観察者の方に向けて、一般的に上方に透過させる。このような光は光源1642a、1642bに由来し、これらは中実の光導体1636の縁部においてエッジ照明構成体で示される。光導体1636は、従来的な抽出装置1638のパターンを備える。光導体1636の底部から逃れる光は、白色背面反射体1640により反射される。感圧接着剤層1634、1628、1622及び1616は、光導体1636を、それぞれPETフィルム1618、1630に適用された低ヘーズULI層1620、1632を含む、積層体中の他の構成要素に接着させ、体積式ディフューザー1626は、PETフィルム1624に適用される。
【0122】
光注入のエッジ照明形状、及び体積式ディフューザー層1626、及びULI層1620、及びプリズム構造1612の結果として、構成体1610内の多層光学フィルム1614は、層1620、1632のULI媒体中に効果的に光学的に浸漬され、超臨界光はフィルム1614を通じて伝搬し、出力表面1610cを出る。2フィルム構成体1610が作製された。第1構成体において、第1多層光学フィルムは厚い面が外側になるように配向された。第2構成体において、第1多層光学フィルムと非常に類似した第2多層光学フィルムが、薄い面が外側になるように配向された。多層光学フィルムの異なる配向の他に、第1及び第2構成体は、実質的に同様の設計を有した。
【0123】
構成体の様々な構成要素が、ここでより詳細に記載される。
【0124】
多層光学フィルム1614
同様の設計の2多層光学フィルムが、各フィルム構成体に1つずつ使用された。多層光学フィルムは、本明細書においてMOF1及びMOF2と称される。これらのフィルムは偏光フィルムであり、それぞれ、図9aに示されるパケットと同様の2つのパケットに分配された550の合計マイクロ層を有し、パケット間の光学的に厚い保護境界層及び各多層光学フィルムの最も外側の部分を形成する光学的に厚い表面薄層を有した。より薄いマイクロ層/より薄いORU(例えば、図9aの層番号1参照)に最も近いフィルムの最も外側の表面はフィルムの薄い面と称され、より厚いマイクロ層/より厚いORU(図9aの層番号550参照)に最も近いフィルムの最も外側の表面はフィルムの厚い面と称される。
【0125】
フィードブロック方法を使用して(米国特許第6,783,349号(Neavinら))、交互の低屈折率ポリマー層及び高屈折率ポリマー層を有する反射性偏光子MOF1、MOF2はそれぞれ、交互の低屈折率ポリマー材料及び高屈折率ポリマー材料の275の層の2つの同様のパケットを共押出しし、その後層の2つのパケットを接合することによって作製された。各275層パケットに関し、高屈折率層が90/10 coPENで作製された(90%エチレンナフタレート繰り返し単位及び10%エチレンテレフタレート繰り返し単位を含有するコポリエステル)。低屈折率層は、55重量%のPETG(Eastman Chemicalsから入手可能)と45重量%の90/10 coPENの混合物を押出成形機内でブレンドすることによって作製された。低屈折率材料のいくらかが、共押出プロセス中に保護境界層を形成するために、溶融トレーンから逸らされた。PETGポリマーの表面薄層が、押出成形ダイの直前に、フィルムの両側で溶融流に適用された。
【0126】
各場合において、キャストウェブは、連続的な操作の、標準的なフィルム作製幅出し機内に配置された。キャストウェブは、幅出し機内で予備加熱された。フィルムはその後、好適な温度(MOF1は154℃、MOF2は132℃)において、60%/秒の初期速度で約4.5秒、その後、約15%/秒の速度で約18秒間にわたり、延伸された。x方向における合計全体伸張比率は約5.5:1であった。MOF1及びMOF2のそれぞれにおいて、フィルムはその後、幅の約1%を牽引しながら、227℃で約18秒間にわたり、熱固定された。多くの場合において、熱固定は、より強く配向(すなわち、初期においてより複屈折性である)されたマイクロ層の複屈折性を増加させる一方で、より弱い配向の(初期においてより複屈折性が弱い)マイクロ層の複屈折を排除するために使用され得る。
【0127】
各パケット層内の低屈折率材料及び高屈折率材料の相対的な押出成形速度は、最終的なフィルムの隣接する材料層がそれぞれおよそ同じ光学的厚さを有するように調節された。掲載される材料及び配向状態は、約nx1=1.82、ny1=1.62、nz1=1.505、及びnx2=ny2=nz2=1.595の屈折率のセットを生じるように意図され、低屈折率層及び高屈折率層の両方が、最も薄いORUに関して約425nmから反射するように微調整された遮蔽軸(x軸)に関して四分の一波長の光学的厚さを有し、各パケットの最も厚いORUにおける約1150nm光までベキ法則プロファイルにより単調に厚さが増加する押出成形キャスティングホイール速度は、生じる反射帯域がこの波長領域に及ぶように調節された。ベキ法則プロファイルの形状は、生じるスペクトルが各パケットのスペクトルのほとんどにわたって比較的平坦であるように選択された。スペクトル形状は、米国特許第6,783,349号(Neavinら)に概要を記載される軸方向ロッド技術を使用して微調整された。最終的な配向フィルムにおいて、表面保護層はそれぞれ、約11マイクロメートル厚さであった。各MOF1及びMOF2に関する合計の最終的なフィルム厚さは、約90マイクロメートルであった。MOF1及びMOF2はしたがって、両方とも、x軸に沿った遮蔽軸及びy軸に沿った通過軸を有する、広帯域反射性偏光子フィルムであった。
【0128】
プリズム構造1612が多層光学フィルム上にコーティングされた。
【0129】
樹脂の硬化性層は、多層光学フィルム1614上にコーティングされ、好適な成形型を使用してプリズムを形成するように成形され、硬化された。樹脂の組成は、CN120として販売される(Sartomer(Exton,PA)から入手可能)75%(w/w)エポキシアクリレート、SR−339として販売される(Sartomer(Exton,PA)から入手可能)な25%(w/w)2−フェノキシエチルアクリルレート、及びDarocur(登録商標)TPOとして販売される0.5%(pph)2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィネオキシド、及びDarocur(登録商標)1173として販売される0.5%(pph)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(双方ともCiba Specialty Chemicals Inc.(Switzerland)から入手可能)である。この樹脂は、未硬化状態において1.55超の屈折率を有する。3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能なVikuiti(商標)BEF IIIのプリズム状構造化表面と実質的に類似したこの樹脂を使用して、プリズム成形型が線形プリズム状構造を生成した。そのため、プリズムは90°の狭角、50マイクロメートルのピッチ及び7マイクロメートルの先端半径を含んだ。また、各プリズムの高さは、プリズムの長さ又は軸に沿って変動した。プリズムは、各プリズムの長さ又は軸がフィルム1614の通過軸と平行であるようにして、多層反射性偏光子フィルム1614に対して配置された。
【0130】
感圧接着剤層1634、1628、1622及び1616
Soken Chemicals(Tokyo,Japan)から入手可能な0.1%ビスアミド架橋剤がSK Dyne 2003K湿潤接着剤に追加され、混合物が、従来的なスロットダイを使用して2ミル(0.051mm)ポリエステルシリコーン剥離ライナー(CP Films(St.Louis,MO)から入手可能なT50)上にコーティングされ、溶媒が乾燥させられ、1ミル(0.025mm)厚さの接着剤コーティングが残った。第2剥離ライナーが乾燥させた接着剤の表面上に積層された:差別剥離を有する2ミル(0.051mm)ポリエステルシリコーン剥離ライナー(やはりCP Filmsから入手可能なT10)。
【0131】
PETフィルム1618、1630、1624上の低ヘーズULI層1620、1632及び体積式ディフューザー1626
体積式ディフューザーコーティング溶液(A)が調整された。最初に982gのメタノール、301.3gのフォトマー6010(Cytec Industries(Woodland Park,NJ)、133.9gのSR833S、及び154gのSR9003(Sartomer(Exton,PA))が均一な溶液になるまで、超音波下で一緒に混合された。その後、720gのKSR−3A(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd(Tokyo,Japan)から入手可能な3.0μmポリスチレンビーズ)が、高速撹拌の下で追加された。乳液状の溶液が一晩撹拌され、その後982gの1−メトキシ−2−プロパノール及び15.1gのDarocur(登録商標)4265(Ciba Specialty Chemicals(High Point,NC))が、高速撹拌の下で上記の溶液に追加され、均一な体積式撹拌溶液が形成された。
【0132】
コーティング溶液(B)調整した。凝縮器と温度計を備えた2リットル三口フラスコ内で、960グラムのIPA−ST−UP有機シリカ細長粒子、19.2グラムの脱イオン水、及び350グラムの1−メトキシ−2−プロパノールを高速攪拌で混合した。細長粒子は、約9nm〜約15nmの範囲の直径、及び約40nm〜約100nmの範囲の長さを有するものであった。粒子が15.2重量% IPA内に分散され、22.8グラムのSilquest A−174シランがフラスコに追加された。結果として得られた混合物を30分間にわたって攪拌した。この混合物を16時間、81℃に保った。次に、溶液は室温まで冷却させられ、溶液中の約950グラムの溶媒が、40℃の水槽において回転蒸発器を使用して除去され、1−メトキシ−2−プロパノール中に分散された41.7重量%のA−174により修飾された細長シリカを有する、透明な、A−174により修飾された細長シリカ溶液を生じた。表面修飾されたナノ粒子を生成するために、上記のプロセスが4回繰り返された。次に、1500kgの透明なA−174により修飾された細長シリカ溶液、610.5グラムのSR 444、12.0gのTEGO Rad 2250、3.13gのIrgacure 819、7.8グラムのIrgacure 184、及び1900グラムのイソプロピルが一緒に混合及び撹拌され、31重量%固体を有する均一なコーティング溶液(B)を生じた。
【0133】
コーティング手順(C)が開発された。最初に、コーティング溶液が特定の速度でスロット型コーティングダイにポンプ移送された。スロットコーティングダイは、12.5インチ(31.75cm)幅のコーティングを、特定の速度で移動する基材上へと均一に分配した。次に、紫外線の通過を可能にする石英窓を含む紫外線LED硬化チャンバに、コーティングされた基材を通すことによって、塗料を重合させた。水冷却したUV−LEDバンクは、832 UV−LEDの矩形の配列、16ダウンウェブ×52クロスウェブ(およそ22.8cm×45.7cmの面積を被覆する)を含んだ。LED(LedEngin,Inc.(Santa Clara,CA,95054)から入手可能、Part # LZ1−00UA05)は、395nmの公称波長で動作した。UV−LED配列は、2つのTDK−Lambda電源(TDK−Lambda(San Diego,CA)から入手可能、PN:00507229)を使用して駆動された。紫外線LEDを、基板から約2.54cmの距離を置いて硬化チャンバの石英窓の上に配置した。UV−LED硬化チャンバには、硬化チャンバ内で所望の酸素濃度を達成するために、窒素と空気の混合物の流れが、特定の流量で供給された。酸素濃度は、UV−LED暴露位置のすぐ上流の移動する基材のコーティングされる表面のおよそ0.635cm上の位置で感知された。窒素/空気混合物は、UV−LED暴露位置のすぐ下流の基材の幅にわたって均一に供給された。
【0134】
コーティング手順(C)に従い、コーティング溶液(B)が「Melinex 617」下塗りした50μm PETフィルム(DuPont Teijin Filmsから入手可能)上にコーティングされ、UV−LEDは13アンペア、47cc/分の流量、及び30フィート/分(0.152/秒)のウェブ速度で動作した。UV−LEDチャンバ内の合計酸素濃度を2350ppmに制御するために、追加的な酸素流が供給された。硬化したコーティング内の溶媒は、コーティングした基材を66℃の乾燥炉に移送することによって除去された。次に、乾燥させたコーティングは、窒素下で、100% UV出力で動作するHバルブ(Fusion UV Systems(Gaithersburg MD)から入手可能)を備えて構成された、Fusion System Model I300Pを使用して後硬化された。これは、PETフィルム上に超低ヘーズ屈折率コーティングを生成した。生じた超低ヘーズ低屈折率コーティングは、Haze−Gard Plus(BYK−Gardner USA(Columbia,MD))を使用して測定した際に93.7%透過率及び2.3%ヘーズを有する。屈折率は、Metricon Corp.(Pennington,New Jersey)から入手可能なMetricon 2010屈折率測定器具を使用して、測定した際にコーティング側からは1.25、PET側からは1.196であった(TMモード)。
【0135】
コーティング溶液(A)は、100μmの大きさのフィルターを通じてポンプ移送され、「Melinex 617」下塗した50μm PETフィルム(DuPont Teijin Filmsから入手可能)上にコーティングされた。コーティング手順(C)に従い、コーティング溶液(A)が100μmの大きさのフィルターを通じてポンプ移送され、UV−LEDはオフ、流量は109cc/分、かつウェブ速度は20フィート(0.102m/s)であった。硬化したコーティング内の溶媒は、コーティングした基材を66℃の乾燥炉に移送することによって除去された。次に、乾燥させたコーティングは、窒素下で、100% UV出力で動作する、Hバルブ(Fusion UV Systems(Gaithersburg MD)から入手可能)を備えて構成された、Fusion System Model I300Pを使用して後硬化された。これは、PETフィルム上に体積式ディフューザーコーティングを生成する。生じた体積式ディフューザーコーティングは、Haze−Gard Plus(BYK−Gardner USA(Columbia,MD))を使用して測定した際に93.2%透過率、96.8%ヘーズ、及び3.7%透明度を有する。
【0136】
体積式ディフューザー及びULI層は、本明細書においてPET基材上にコーティングされ、その後、他の構成要素に積層されるものとして記載されるが、別の実施形態においては、これらの層は、別個の積層工程を伴うことなく多層光学フィルム上に直接コーティングされ得る(1つ以上の層で)。
【0137】
中実光導体1636
光導体プレートは、Coretronic Company(Hsinchu,Taiwan 300,R.O.C.)から、モデルAUT1982T32として得られた。光導体はポリ(メチルメタクリレート)で作製され、底面上に白い印刷ドットを有し、その寸法は6mm厚さであり、かつ385mm×306mmの横方向寸法であった。
【0138】
白色背面反射体1640
白色背面反射体は、AOC LCD Company(www.aocdisplay.com)から入手可能なAOC 22インチ(55.88cm)モニター(モデル#:V22)から得られた。
【0139】
光源1642a及び1642b、並びにバックライト空洞
バックライトをパネルから分離するために、22インチ(55.88cm)AOCモニターモデル#V22が分解された。バックライトは、およそ473mm×306mmの大きさであった。これは、バックライトの各473mm縁部に沿って一列の114個のLED、及び後方壁部を裏打ちする白色背面反射体を含んだ。各縁部上の93個のLEDのみが、本特許出願に記載されるフィルム構成体1610に使用された。(93個のLEDが、光導体プレート1636の各385mm縁部に沿って規則的に配置された。)各作製された構成体において、図16の積層構成における、反射性偏光子フィルム1614の通過軸もまた、385mm縁部と位置合わせされた。偏光光導体プレートはその後、多層反射性偏光子の通過軸(y軸)がLEDの列と平行になり、光導体1636の385mm縁部がバックライトの473mm縁部と平行になるように、白色背面反射体の上のバックライト内に接地される。
【0140】
多層光学フィルム構成体1610
上述の構成要素が、コーティング及び積層操作を通じて組み合わされて、実質的に図16内に示される、多層光学フィルム構成体1610(すなわち、光導体上の積層体構成体)を形成した。2つのこのような構成体が作製された:第1構成体において、多層光学フィルム1614にMOF1が使用され、MOFは厚い面が外側(フィルムのより厚いORUが出力表面1610cにより近く配置された)になるように配向され、第2構成体において、多層光学フィルム1614にMOF2が使用され、MOF2は薄い面が外側にあるように配向された(フィルムのより薄いORUが、出力表面1610cにより近く配置された)。以下で更に説明されるように、知覚される色の大きな差が2つの構成体間で観察され、第2構成体(薄い面が外側の配向)はより低い色を伴った。
【0141】
第1構成体及び第2構成体の色の均一性は、300mmレンズを備える、Radiant Imaging(Redmond,WA 98053,USA)から入手可能なPrometric Camera(モデル#PM−9913e−1)を使用して測定された。各構成体は、測定中にカメラから3メートル離して取り付けられた。測定を行う前に、線形吸収性偏光子(図16には明示的に示されない)は、その通過軸が光導体1636の長い側と平行になるようにして、バックライト構成体の上に配置された。カメラの光軸がバックライトの表面法線から70°(極角)、かつ光導体の長い面の垂直方向から22°(方位角)、すなわち、多層反射性偏光子1614の遮蔽軸(x軸)に対して22°の方位角であるように、測定が行われた。測定構成は、構成体の出力表面上の任意の所与のスポット又はサンプルに関する、x及びy色座標(CIE 1931)の形態で、色情報を提供した。測定結果が図17a、17b、18a及び18bに示される。
【0142】
図17aは、第1構成体(すなわち厚い面が外側)の垂直軸(光導体1636の385mm縁部、及び多層フィルムの通過軸(y軸)に対応する)に沿った位置の関数として、測定された色を示す。図において、曲線1710は「x」色座標(「Cx」)のものであり、曲線1712は、「y」色座標(「Cy」)のものである。図17bは、第2構成体(すなわち、薄い面が外側)の同じ垂直軸に沿った、測定した色を示す。図において、曲線1720はCxのものであり、曲線1722はCyのものである。
【0143】
図18aは、第1構成体(すなわち、厚い面が外側)の垂直軸(光導体1636の306mm縁部、多層フィルムの遮蔽軸(x軸)に対応する)に沿った位置の関数として、測定された色を示す。図において、曲線1810はCxのものであり、曲線1812はCyのものである。図18bは、第2構成体(すなわち、薄い面が外側)の同じ垂直軸に沿った、測定された色を示す。図において、曲線1820はCxのものであり、曲線1822はCyのものである。
【0144】
読者は、プリズム状構成体1612を作製するために使用される材料の分散の結果として、両方の構成体において、ある程度の色が可視であることを認識するべきである。しかしながら、この分散による色は、構成体の全出力表面にわたる、高品質のプリズム状微細構造化表面のために、ほとんど空間的なばらつきを有さない。一方で、多層光学フィルム(特に第1構成体)に関連する色は、図17a及び図18aに見られるように、顕著な空間的ばらつきを呈する。これらの図の図17b及び図18bとのそれぞれの比較は、薄い面が外側であるように配向された、浸漬された多層光学フィルムを有する実施形態が、厚い面が外側の実施形態よりも遥かに良好な色均一性を有することを実証する。第1構成体において、多層光学フィルムの空間的色不均一性が優勢である一方で、第2構成体においてプリズム材料分散による典型的な虹色が優勢である。図9bのプロファイルよりも全体的に5%厚い、及び5%薄い層プロファイルで、追加的な光学的モデル化が行われ、図12aのものなどのスペクトルの特徴が、それぞれこれらに対応してより高い波長及び低い波長へと移動した。これは、フィルム構成体を透過する光の色が厚さに依存することを確かめ、厚い面が外側の構成体において観察される色が典型的に高度に空間的に不均一である理由を説明する(このような空間的な色のばらつきは、フィルムにおける小さなキャリパーのばらつきに対応する)。
【0145】
更なる光学的モデル化
光学的に浸漬された多層反射性フィルムにより生じる、観察される色に関連し得る設計パラメーターを更に調査するため、追加的な光学的モデル化が行われた。モデル化は、観察される色の完全なy屈折率整合の効果を調査するために行われた。フィルムが屈折率1.494の媒体に光学的に浸漬され、屈折率セット3の屈折率を有する、図11bに関連する、551マイクロ層単一パケット多層光学フィルムから始める。光学的モデル化ソフトウェアを使用し、主に材料「B」の屈折率を僅かに上げることによって、y方向の層間屈折率差をゼロにするように、屈折率を変更することができる。修正された屈折率が屈折率セット4に提供される。
【0146】
【表4】

【0147】
これらの屈折率の551マイクロ層を有する、生じる光学的に浸漬された多層光学フィルムの透過率がその後、図11bと同じ方法で計算され得、再び、透過率を計算するための同じ光線方向(φ=10、θ=49)を選択し、多層光学フィルムは再び、厚い面が外側になるように配向された。生じる計算された透過率が図19aに提供され、ここで曲線1910はp偏光の透過率を表し、曲線1912はs偏光の透過率を表し、曲線1914は曲線1910及び1912の平均を表す。図19aと図11bの比較は、材料B屈折率のシフトにより、Δny=0が、p偏光及びs偏光透過率(曲線1910、1912)における光学的振動の振幅を増加させることを示す。
【0148】
次に、隣接するマイクロ層のz屈折率の整合による効果を調査する。図19aの多層光学フィルム(及び、屈折率セット4)を開始点として使用し、等方性材料の屈折率をn=1.50の値まで低下させてz屈折率を整合させると、x軸及びy軸の両方に関して非常に強い遮蔽反射体が生じ、その結果、あらゆる角度においても光はほとんど透過しない。生じた屈折率が屈折率セット5に提供される。
【0149】
【表5】

【0150】
透過率を増加させるため(及び減少させるため)、層の数を551から221に低減させる一方で、単調な厚さプロファイルを制御して同じ帯域幅を維持する。屈折率セット5を使用し、依然として屈折率1.494の媒体に浸漬され、依然として厚い面が外側になるように配向された、生じるフィルムの計算される透過率が図19b及び図19cに提供され、これらの両方がまた、吸収性偏光子(その通過軸は多層光学フィルムの通過軸と平行である)が、多層光学フィルムの出力表面に取り付けられることを想定している。図19bは、先と同じ入射光線(屈折率1.494の材料においてφ=10、θ=49)の透過率を示し、一方で図19cは屈折率1.494の材料において極角θが依然として49°であるがその方位角φがx軸に対して45°に偏光されている、光線の透過率を示す。図19bにおいて、曲線1920は、p偏光の透過率を表し、曲線1922は、s偏光の透過率を表し、曲線1924は、曲線1920及び1922の平均を表す。図19cにおいて、曲線1930は、p偏光の透過率を表し、曲線1932はs偏光の透過率を表し、曲線1934は曲線1930及び1932の平均を表す。対応する曲線(図示されない)が、図19a及び図11bとのより良好な比較を提供するために多層光学フィルムの出力面から吸収性偏光子を取り除くことによってプロットされ、これは若干高いレベルの透過率、しかしながら、波長の関数として図19b及び図19cでプロットされた曲線とおよそ同じばらつきを生じる。
【0151】
したがって、透過率のs偏光及びp偏光のスペクトル振動の振幅は、整合したz屈折率(Δnz=0)において、大きなΔnzを有する材料よりも、遥かに低いことが見出される。小さな値のΔnzは、個別のs偏光及びp偏光透過率スペクトルの振動性質を阻害することが明らかであるが、このようなフィルムのp偏光の反射性は入射角と共に増加しないことに留意すべきである。一方で、このようなフィルムのs偏光の反射率はΔnyの値が大きな場合に大きく増加する。
【0152】
次に、一軸複屈折性フィルム、すなわち、各ORUにおけるマイクロ層の1つが少なくともおよそ一軸的に複屈折性である多層光学フィルムを調査する。図19bの、221マイクロ層の、単一パケットの浸漬された多層光学フィルムを開始点として使用し、複屈折材料の屈折率を、これが一軸的に複屈折性になるように調節する。その後、等方性材料の屈折率の効果を調査する。交互のA及びBマイクロ層の生じる屈折率が、以下で屈折率セット6、7及び8に提供される。
【0153】
【表6】

【0154】
【表7】

【0155】
【表8】

【0156】
221マイクロ層の単一パケットを依然として有し、依然として屈折率1.494の媒体中に光学的に浸漬され、かつ依然として厚い面が外側であるように配向される、生じるフィルムの透過率を計算する。図19b及び19cと異なり、多層光学フィルムの出力表面と屈折率1.494の半無限媒体との間に吸収性偏光子がないものと想定される。透過率は、先と同じ入射光線方向に関して計算される(屈折率1.494の材料においてφ=10、θ=49)。図20aは、このような浸漬されたフィルムの、計算された透過率を示し、そのマイクロ層が屈折率セット6に説明される屈折率を有する。図中において、曲線2010は、p偏光の透過率を表し、曲線2012はs偏光の透過率を表し、曲線2014は曲線2010及び2012の平均を表す。図20bは、同様の浸漬されたフィルムの、計算された透過率を示すが、そのマイクロ層が屈折率セット7に説明される屈折率を有する。図中において、曲線2020は、p偏光の透過率を表し、曲線2022はs偏光の透過率を表し、曲線2024は曲線2020及び2022の平均を表す。図20cは、同様の浸漬されたフィルムの、計算された透過率を示すが、そのマイクロ層が屈折率セット8に説明される屈折率を有する。図中において、曲線2030は、p偏光の透過率を表し、曲線2032はs偏光の透過率を表し、曲線2034は曲線2030及び2032の平均を表す。
【0157】
図20a、20b及び20cを見ると、光学繰り返し単位の高度に複屈折性の層がおよそ一軸的である場合、超臨界光のs偏光及びp偏光の透過率振動は小さいことがあり、これらの振幅はz屈折率不整合、Δnzに大きく依存することが見出される。最も低い色は、Δnz=0かつ(n1y−n1z)=0で生じる。
【0158】
次に、垂直入射非対称性が比較的小さい(すなわち、その遮蔽軸反射性がその通過軸反射性よりも僅かに大きいだけ)浸漬された多層光学フィルムの色を調査する。非対称性の度合いにより、その多層光学フィルムは、いくつかの用途において、偏光子としてではなく、ミラー又は部分的ミラーとして使用可能である。図20a〜20cの、221マイクロ層の単一パケットの浸漬された多層光学フィルムを開始点として使用して、y軸に沿った層間屈折率不整合が、x軸に沿った不整合に近くなるように、材料の屈折率を調節する。交互のA及びBマイクロ層の生じる屈折率が、以下で屈折率セット9に提供される。
【0159】
【表9】

【0160】
221マイクロ層の単一パケットを依然として有し、依然として屈折率1.494の媒体中に光学的に浸漬され、かつ依然として厚い面が外側であるように配向される、生じるフィルムの透過率を計算する。吸収性偏光子は、多層光学フィルムの外側表面に存在しないものと想定される。1.494の屈折率の材料において測定した際にその方位角φが20°であり、その極角θが38°である、入射光線に関して透過率が計算された。(超臨界角ではなく、空中で大きく傾いた角度に対応する38°の極角が、49°の代わりに使用されたがこれは、49°においては、浸漬されたフィルムの透過率はΔnyの大きな値及びΔnzの大きな負の値の結果として事実上ゼロであったためである。)図21は、このような浸漬されたフィルムの、計算された透過率を示し、そのマイクロ層が屈折率セット9に説明される屈折率を有する。図中において、曲線2110は、p偏光の透過率を表し、曲線2112はs偏光の透過率を表し、曲線2114は曲線2110及び2112の平均を表す。
【0161】
上記の実験により、及びモデル化調査を考慮して行われ得るいくつかの考察は、
大きな層間z屈折率不整合は、別個のs偏光スペクトル及びp偏光スペクトルの振幅を増加させる傾向があること、
層間z屈折率不整合がゼロ又はほぼゼロになるように、等方性材料の屈折率を選択することが、振動挙動を大きく低減すること、
複屈折性マイクロ層がおよそ一軸的である場合、s偏光及びp偏光の振動は小さい場合があるが、これらの振幅はz屈折率不整合に大きく依存すること、
面内屈折率の差異Δnx及びΔnyがほぼ同等であるが、Δnzよりも規模が大きいほぼ対称な多層光学フィルム(例えば、ミラー様フィルム)は、浸漬されたシステムにおいて大きな色の潜在性を生じるものと思われないこと、
一般的に、層間z屈折率差Δnzは、浸漬されたシステムにおけるスペクトル振動及び生じる色の最大の要因であると思われること、である。
【0162】
更なる検討
本出願の教示は、以下の条件のいくつか又は全てが同時に生じる場合に生じる状況に固有の問題を解決するために、システム設計者によって使用され得る:多層光学フィルムが光学的に浸漬される、大きく傾いた光が浸漬された多層光学フィルムに入射する、及び多層光学フィルムからの光が構造化表面又は他の好適な手段によって観察者の方に抽出される。この状況が生じる、商業的に重要ないくつかの例が存在し、そのいくつかが図22〜26aに表される。全ての場合において、上方光抽出構造(例えば、プリズム)及び多層光学フィルムは所望により同じであってもよいが、大きく傾いた光が多層光学フィルムに到達する様式は異なる場合がある。
【0163】
図22において、フィルム構成体2210は、プリズム状光抽出層2212、本明細書において開示される多層光学フィルム2214、及び中実光導体2216を含む。これらの構成要素は、フィルム2214が光学的に浸漬されるように、空気間隙を含まずに直接的又は間接的に互いに接合される。光源2218は、縁部注入のために構成体の入力表面2210aの近位に配置され、これは超臨界光がフィルム2214内に伝搬することを可能にする。光は構成体2210から、層2212の小平面に対応する出力表面2210bから放出される。図22の変形例において、フィルム構成体2220(図22a)はプリズム状光抽出層2222(これは層2212と同じ又は同様であり得る)、多層光学フィルム2224(これはフィルム2214と同じ又は同様であり得る)及び中実光導体2226を含む。光源2228は光導体の縁部ではなく光導体の後ろに位置付けられ、入力表面2220aを通じて入射した光は全内部反射(TIR)により、又は反射性表面により微調整され、光導体に沿って伝搬する。超臨界光は、フィルム2224内で伝搬することができ、光は出力表面2220bから放出される。図22及び22aの実施形態において、多層光学フィルムは、システム内の望ましくない色を低減させるために、薄い面が外側になるように有利に配向され得る。
【0164】
図23において、フィルム構成体2310はプリズム状光抽出層2312、本明細書において開示される多層光学フィルム2314、中実光導体2316、光導体2316の下部であり得る又は別個の層であり得る構造化表面層2318を含む。これらの構成要素は、フィルム2314が光学的に浸漬されるように、空気間隙を含まずに直接的又は間接的に互いに接合される。光源2319は、構成体の入力表面2310aの近位に配置され、これは超臨界光がフィルム2314内に伝搬することを可能にする。光は構成体2310から、層2312の小平面に対応する出力表面2310bから放出される。入力表面2310aに対応する、層2318の構造化表面は例えば、微細複製又はビードコーティングされ得る。
【0165】
この又は他の開示される実施形態における構造化表面(あるいは、微細構造化表面とも称される)は、規則的な反復パターン、ランダムパターン、又はこれらの組み合わせを有し得る。微細構造化表面は、隣接する小平面若しくは他の構造との間に識別可能な縁部若しくは境界を有するように小平面を有してもよく、又はこれはこのような縁部若しくは境界なしにうねっていてもよい。微細構造化表面は、形成、キャスト、コーティング、成形型を含む微細複製技術により作製されてもよく、又はビーズ若しくは他の粒子を元々は平滑な層に導入するなどの他の任意の好適な技術によって作製されてもよい。いくつかの場合において、微細構造化表面は、複数の線形プリズムを含み、各プリズムはプリズム軸と平行に延びる。プリズム軸は例えば、フィルム構成体の第2軸と実質的に平行であってもよいが、所望によりプリズム軸の他の構成体もまた使用され得る。3面プリズム又は4面プリズムを含むがこれに限定されない他の種類のプリズムがまた使用され得る。いくつかの場合において、微細構造化表面はレンズ状構成の規則的又は不規則的配列を含んでもよい。好適なマイクロ層表面の更なる実施例のために、米国特許第6,752,505号(Parker)を参照する。
【0166】
図23の第1変形例において、構成体2320(図23a)はプリズム状光抽出層2322(これは層2312と同じ又は同様であり得る)、多層光学フィルム2324(これはフィルム2314と同じ又は同様であり得る)、中実光導体2326(これは光導体2316と同じ又は同様であり得る)、及びプリズム状光注入層2328を含む。光源2319は、図23におけるように光導体の後ろに位置付けられ、入力表面2320aを通じて注入される光は、層2328により光導体内へと屈折され、超臨界光がフィルム2324内に伝搬することを可能にする。光は出力表面2320bから放出される。
【0167】
図23の別の変形例において、構成体2330(図23b)はプリズム状光抽出層2332(これは層2312と同じ又は同様であり得る)、多層光学フィルム2334(これはフィルム2314と同じ又は同様であり得る)、中実光導体2336(これは光導体2316と同じ又は同様であり得る)、及び光注入層2338(これは層2318と同じ又は同様であり得る)を含む。光導体の真後ろに配置されるのではなく、光源2339は光導体の後ろではあるが縁部に沿って配置される。入力表面2330aを通じて注入される光は、層2338により光導体内へと屈折され、超臨界光がフィルム2324内に伝搬することを可能にする。光は出力表面2330bから放出される。
【0168】
図23及び図23aは「直接照明」構成を表し、ここで光は、光の少なくとも一部を高い角度に屈折又は散乱させるフィルム又はプレートの下面から構造化表面に到達する。図23bにおいて、例えば、1つ以上のLEDであり得る光源2339は、バックライトの縁部の近くに取り付けられ、中空のバックライト設計と適合可能である。これら及び他の図における中実光導体は、ポリマープレートであるか若しくはこれを含んでもよく、又は光導体は省略されてもよく、構造化表面は多層光学フィルム上に直接コーティング又はキャスティングされてもよい。図23、23a及び23bの実施形態において、多層光学フィルムは、システム内の望ましくない色を低減させるために、薄い面が外側になるように有利に配向され得る。
【0169】
図24において、装置2410が示され、これは、複数の陥没部がその上方表面内に形成された中実光導体2416を含む。光導体2416の後ろに配置される光源は、入力表面2410aを通じて光を注入し、この光のいくらかが光導体を通過し、陥没部に到達し、TIRのために臨界角内に調整される。陥没部は所望によりTIRによって光を反射してもよく、又はこれは銀などの反射性材料でコーティングされてもよい。光導体の上に顕れる、観察者又はディスプレイへの黒い点を避けるため、陥没部を通じた低い透過率が望ましい場合がある。使用される場合、これは陥没部の形状、及び/又は反射性コーティングに作製される場合がる。
【0170】
図24aは、図24よりも完全なフィルム構成体を示す。図24aにおいて、フィルム構成体2420は、プリズム状光抽出層2422、本明細書において開示される多層光学フィルム2424、及び中実光導体2426(これは図24の光導体2416と同じ又は同様であり得る)を含む。これらの構成要素は、フィルム2424が光学的に浸漬されるように、空気間隙を含まずに直接的又は間接的に互いに接合される。光源は、構成体の入力表面2420aの近位に配置され、これは超臨界光がフィルム2424内に伝搬することを可能にする。光は構成体2420から、層2422の小平面に対応する出力表面2420bから放出される。多層光学フィルム2424は、システム内の望ましくない色を低減させるために、薄い面が外側になるように有利に配向され得る。
【0171】
図25において、フィルム構成体2510は、プリズム状光抽出層2512、本明細書において開示される多層光学フィルム2514、及び中実光導体2516を含む。これらの構成要素は、フィルム2514が光学的に浸漬されるように、空気間隙を含まずに直接的又は間接的に互いに接合される。光源2519は、構成体の入力表面2510aとして機能する光導体の下面に形成されるスロットの近位に、示されるように配置され、超臨界光がフィルム2514内に伝搬することを可能にする。光は構成体2510から、層2512の小平面に対応する出力表面2510bから放出される。この実施形態において、光導体への光注入は、光導体の縁部以外の位置で生じる。光源2519は、光導体内に光を注入するために、2つのスロット内で光導体の下に配置された側方放出LEDであってもよい。数十又は数百のこれらの注入点は、LCD TVのための動的輝度制御バックライトなどの用途において使用され得る。動的輝度制御は、顕著なコントラストの改善及び節電を提供する。
【0172】
図26において、フィルム構成体2610は、プリズム状光抽出層2612、本明細書において開示される多層光学フィルム2614、及び中実光導体2616を含む。これらの構成要素は、フィルム2614が光学的に浸漬されるように、空気間隙を含まずに直接的又は間接的に互いに接合される。光導体2616は、蛍光体及び/又は蛍光物質などの低域変換材料を備え、これは大きく傾いた光をシステム内に導入するように動作する。光源2619からの光は青色又は紫外線(UV)などの比較的短い波長であってもよく、構成体の入力表面2610を通過した後、この光は、低域変換材料によって吸収され、より長い波長で光導体内のあらゆる方向に再放出され得る。超臨界光はしたがってまた、フィルム2614内で伝達させられる。光は構成体2610から、層2612の小平面に対応する出力表面2610bから放出される。図26はまた、光導体プレート2616が低域変換材料の代わりに、又はこれに加えて内部散乱材料又は構造を含むシステムを表し得る。この点において、光導体プレート2616は、拡散光導体あるいは光を顕著に横方向案内しない、ディフューザープレート(すなわち、光導体プレートではないディフューザープレート)を表し得る。
【0173】
図26の変異形において、フィルム構成体2620(図26a)はプリズム光抽出層2622(これは層2612と同じ又は同様であり得る)、多層光学フィルム2624(これはフィルム2614と同じ又は同様であり得る)、中実光導体2626、及び光導体の縁部(又は他の任意の所望の部分)に取り付けられた低域変換構成要素2628を含む。光源2629は、構成要素2628の表面と一致する入力表面2620aの近位に位置する。光源2619と同じように、光源2629は青色又はUVなどの比較的短い波長の光を放出し得る。この光は入力表面2620aを通過し、構成要素2628内の低域変換材料によって吸収され、より長い波長であらゆる方向に再放出される。この再反射される光はその後、図26におけるように、大きく傾いた角度で光導体内を伝搬し、いくらかは超臨界角で多層光学フィルム2624内に伝搬する。光は出力表面2620bから放出される。
【0174】
本明細書において記載される一体型製品構成の重要な最終用途は、液晶ディスプレイ(LCD)パネルなどの他の光学構成要素との統合におけるものである。図27は、とりわけ、光学的に浸漬された多層光学フィルム2716、及び平坦化超低屈折率(ULI)コーティング2714を使用するこのような装置2710を示す。装置2710は、LCDパネル2712、平坦化ULIコーティング2714、プリズム状光抽出装置2715、多層光学フィルム2716、及び光導体2716の下部又は別個の層であり得る構造化表面層2718を含む。これらの構成要素は、フィルム2716が光学的に浸漬されるように、空気間隙を含まずに直接的又は間接的に互いに接合される。光源2719は、構成体の入力表面2710aの近位に配置され、これは超臨界光がフィルム2716内に伝搬することを可能にする。光は、装置2710から、LCDパネルの出力表面と対応する出力表面2710bから放出される。入力表面2710aに対応する、層2718の構造化表面は例えば、微細複製又はビードコーティングされ得る。図において、ULIコーティング2714とパネル2712との間の接着剤は示されないが、含まれ得る。
【0175】
図22〜26aと関連して記載される構成体のいくつか又は全てがまた、図27と同様の方法でLCDパネルと一体化され得る。開示される実施形態の更なる変化形態は、背面反射体(図16の要素1640参照)を、光導体プレートの後方又は後部表面(図16の要素1636参照)に取り付けることを含む。
【0176】
開示される実施形態の多くにおいて、観察者及び光源は、光管理積層体と同じ側、すなわち多層光学フィルム構成体の同じ側に配置されない。しかしながら、これはいくつかの用途において生じることがあり、その1つが図28に示される。この図は、照明器具2810が、多層光学フィルム2814が光学的に浸漬されたフィルム構成体を含む構成体の概略側面図である。このフィルム構成体は、光抽出層2812、多層光学フィルム2814、及び中実光導体2816を含む。これらの構成要素は、フィルム2614が光学的に浸漬されるように、空気間隙を含まずに直接的又は間接的に互いに接合される。光源2819aは、光導体の側部表面と対応する構成体の入力表面2810aの近位に配置される。大きく傾いた光がこのようにして光導体内に導入され、フィルム2814内で伝搬することができる。このような光は抽出層2812の小平面と対応する出力表面2810bで構成体を出る。1つの動作様式において、表面2810bから放出される光は、光源2819aに由来する。しかしながら、別の動作様式においては、周囲光源2819bからの光が表面2810bを通じて構成体に入り、多層光学フィルム2814内を伝搬し、表面2810bから出て戻るように反射され得る。この動作様式において、表面2810bは入力表面及び出力表面の両方として機能する。この動作様式は、トランスフレクティブLCDディスプレイの反射様式と同様である。照明器具用途又はトランスフレクティブLCDディスプレイのいずれにおいても、不適切に挿入された、光学的に浸漬された多層光学フィルムから生じる色の不均一性のむらは、非常に好ましくない。透過性又は反射性様式のいずれにおいても、多層光学フィルムの薄い面が、好ましくは、色を最も低くするために、観察者2820又は出力表面2810bに面する。したがって、本出願の教示は、多層光学フィルムをこのような色を最小化するような方法で設計及び配置するために、これらの用途においても使用され得る。
【0177】
特に指定されない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する、数量、特性の測定値などを表す全ての数値は、「約」という語で修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでない旨が指定されない限り、上記の明細書及び特許請求の範囲において記載された数値パラメーターは、本出願の教示を利用する当業者が得ようと求める望ましい特性に応じて変化し得る概算値である。均等論を「特許請求の範囲」の範疇に適用することを制限しようとする試みとしてではなく、各数値パラメーターは少なくとも、記録された有効数字の桁数を考慮して、又通常の四捨五入を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメーターは近似であるにもかかわらず、いかなる数値も本明細書で述べられる具体的な例で示される程度に、これらは妥当に可能な限り精確に報告される。しかしながら、いかなる数値も試験及び測定の限界に関連する誤差を含み得る。
【0178】
本発明の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに当該技術分野の当業者に明らかとであり、本発明は、ここに記載された例示的な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。例えば、1つの開示実施形態の特徴は、別に記載のない限り、他の開示実施形態全てにも適用され得ることを、読者は推定すべきである。また、本明細書において参照された全ての米国特許、公開特許出願、並びに他の特許及び非特許文書は、それらが上述の開示に矛盾しない範囲において、参照によって全てが組み込まれることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力表面及び出力表面を有するフィルム構成体であって、
強め合う又は弱め合う干渉によって光を選択的に反射するように光学繰り返し単位(ORU)に構成された複数のマイクロ層であって、前記マイクロ層は、第1軸に沿って偏光された垂直入射光において、第2軸に沿って偏光された垂直入射光におけるよりも大きな反射率を有し、前記第1及び第2軸はフィルム平面を有し、
前記マイクロ層は、空気よりも大きな屈折率を有する媒体中に光学的に浸漬され、それによって超臨界光が前記複数のマイクロ層を伝搬することができ、
前記ORUは、前記フィルム平面と垂直な厚さ軸に沿った層厚さ分布を有し、前記層厚さ分布は平均厚さを有し、所与の入射条件において、より広い反射帯域にわたって中程度の反射率を有する前記複数のマイクロ層を提供するために有効であり、前記ORUはその厚さが前記平均厚さよりも小さいより薄いORU、及びその厚さが前記平均厚さよりも大きいより厚いORUを含み、
前記マイクロ層は、平均して、前記より薄いORUが前記より厚いORUよりも前記出力表面に近いように配向される、フィルム構成体。
【請求項2】
前記マイクロ層は、単一の光学パケットに構成され、前記より薄いORUは、主に前記光学パケットの第1の側に配置され、前記より厚いORUは主に前記光学パケットの第2の側に配置され、前記第1の側は前記フィルム構成体の前記出力表面に面する、請求項1に記載の構成体。
【請求項3】
前記マイクロ層が少なくとも2つの別個の光学パケットに構成される、請求項1に記載の構成体。
【請求項4】
前記複数のマイクロ層が、第1材料を含む第1セットのマイクロ層と、前記第1材料とは異なる第2材料を含む第2セットのマイクロ層とを含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項5】
各前記ORUは、第1セットのマイクロ層からの第1マイクロ層と、前記第2セットのマイクロ層からの第2マイクロ層とを含む、請求項4に記載の構成体。
【請求項6】
前記第1材料は二軸的に複屈折性である、請求項5に記載の構成体。
【請求項7】
前記第1材料は一軸的に複屈折性である、請求項5に記載の構成体。
【請求項8】
前記第2材料は等方性である、請求項5に記載の構成体。
【請求項9】
前記構成体は、空気に曝露された相対する第1主表面及び第2主表面を含み、前記入力表面は前記第1主表面であり、前記出力表面は前記第2主表面である、請求項1に記載の構成体。
【請求項10】
前記複数のマイクロ層は低吸収性材料を含み、その結果、前記複数のマイクロ層の%透過率+%反射率は約100%であり、前記中程度の反射率は、400〜700nmの可視波長にわたり、少なくとも10%であるが90%未満の所与の入射条件における平均反射率を含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項11】
前記所与の入射条件は、前記第2軸に沿って偏光された前記垂直入射光におけるものである、請求項10に記載の構成体。
【請求項12】
空気間隙を含まずに前記複数のマイクロ層に接続された第1光学素子を更に含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項13】
前記第1光学素子が、微細構造化表面を含む、請求項12に記載の構成体。
【請求項14】
前記微細構造化表面が複数の線形プリズムを含む、請求項13に記載の構成体。
【請求項15】
可視波長にわたり、前記第1軸に沿って偏光された垂直入射光の前記反射率はR1であり、可視波長にわたり、前記第2軸に沿って偏光された垂直入射光の前記反射率はR2であり、R1は少なくとも50%であり、R2は少なくとも10%である、請求項1に記載の構成体。
【請求項16】
光学システムであって、
請求項1の構成体と、
前記入力表面を通じて光を前記構成体内に導入するために配置される光源と、を含む、光学システム。
【請求項17】
前記出力表面の近位に配置されたディスプレイパネルを更に含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記構成体は、空気間隙を含まずに複数のマイクロ層に接続された第1光学素子を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1光学素子が光導体を含み、前記入力表面が前記光導体の側部表面を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1光学素子が光学的に厚い層を含み、前記入力表面が前記光学的に厚い層の主表面を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記主表面が微細構造化表面を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記光学的に厚い層が内部に配置された光拡散素子を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
LCDパネルを更に含み、前記LCDパネルは空気間隙を含まずに前記フィルム構成体に接続される、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1光学素子はその屈折率が1.1〜1.3の範囲内である、超低屈折率(ULI)材料の層を含む、請求項12に記載の構成体。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16】
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【図17a】
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【図17b】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19a】
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【図19b】
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【図19c】
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【図20a】
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【図20b】
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【図20c】
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【図21】
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【図22】
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【図22a】
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【図23】
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【図23a】
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【図23b】
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【図24】
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【図24a】
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【図25】
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【図26】
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【図26a】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2013−508779(P2013−508779A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535399(P2012−535399)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/053670
【国際公開番号】WO2011/050233
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】