説明

低相対湿度下で還元糖と処理することによる筋肉タンパク質の水溶化方法及び水溶性糖付加筋肉タンパク質

【課題】生理的食塩水濃度よりも低い、低イオン強度下での肉類・タンパク質を水溶化すること。
【解決手段】種々の肉類を細切りして、筋肉タンパク質を抽出し、或いはそのまま、還元性糖類と混合し、脱水し、相対湿度35%以下で30〜70℃の範囲内に保持することにより、混合物中の水分含量を0.25〜6%に維持することで、肉類又は筋肉タンパク質を低イオン強度でも水溶性とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、水産加工業、食肉加工業等の食品加工分野、更には、健康食品、更には繊維、素材産業の分野に関わる。
【背景技術】
【0002】
魚肉・畜肉は、練り製品、ソーセージ等種々の加工食品として利用されている。これは、魚肉・畜肉中のタンパク質が有するゲル形成能、乳化能、保水能などの機能特性を利用するものである。魚肉から抽出されたタンパク質成分は、未だ食品に十分利用されていない。また、主として骨に含まれるタンパク質であるゼラチンは、古くより、煮こごりやゼリーとして利用されていたが、ゼラチンのアミノ酸組成が極めて特異なものであることから、嗜好品としての意義は多いが、その用途は限られたものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
筋肉タンパク質は、上記のゲル形成能、乳化能、保水能等の機能特性を持つが、筋肉タンパク質は変質しやすく、機能特性の保持が困難であるという問題があった。更に、魚肉には、多量の加工残査が生じるが、この有効利用も望まれていた。また、他方、咀嚼機能が衰えた高齢者や病人に、栄養価の高い蛋白質を摂取しやすいように、液状の高タンパク含有食品の開発も望まれてきた。
【0004】
ところが、従来、魚肉を可溶化する技術としては、タンパク質分解酵素や酸を用いた加水分解法があるが、不十分な低分子化では苦みペプチドを生成するという欠点があった。また、加水分解により、タンパク質分子の有するさまざまな加工特性は分子の断裂によって失われてしまう問題があった。
【0005】
本発明者等は、既に筋肉タンパク質にメイラード反応により糖を付加することで、機能特性を保持しつつ、タンパク質の機能を安定できないか試みたところ、糖付加した筋原線維タンパク質画分が低塩濃度でも可溶化することを既に見いだし報告している(Journal of Agricultural and Food chemistry 1997, Vol.45,No.9, pp.3419-3422, 及びJournal of Agricultural and Food Chemistry Vo.48, No.1, pp.17-21)。
【0006】
なお、メイラード反応は、還元糖とアミノ酸のαアミノ基又はεアミノ基との反応で、シッフ塩基の形成に始まり、転移反応を経て、比較的無色なアマリド化合物を生成するまでの初期反応と、更に複雑な重合反応を起し、褐色の高分子(メライノジン)を生成する中期・終期反応に分類することができる。初期反応は、比較的穏和な条件下で生じ、温度が高くかつ時間が長くなるにつれ、中期、終期反応と進行するもので、初期反応は反応系の水分含量に依存し、相対湿度が65〜70%で最大となる。中期・終期反応は酸素や金属などの触媒が共存すると促進されるといわれている(化学総説 No.43 食糧と化学 社団法人日本化学会編、学会出版センター 昭和59年2月28日発行 第107〜109頁)。筋肉タンパク質について言うと、魚肉タンパク質中の反応性リジン残基と糖の還元末端との間のでメイラード反応により、タンパク質に糖が付加される。筋肉タンパク質の主成分であるミオシン分子には、ロッドと呼ばれる分子構造の存在が存在し、ロッド部位は水に不溶である。とくに、低イオン強度下でフィラメントを形成して凝集するので、ミオシン分子は水に不溶である。ところが糖がロッド部分に結合すると、このフィラメント形成能が失われ、さらに当該部位の親水性が増大するので、ミオシン分子は水溶化し、結果として筋肉全体が生理的条件でも溶解することとなる。
【0007】
従来は、魚肉タンパク質の糖付加は、次のような工程で行っていた。すなわち、魚肉の背部普通筋を細切し、50mM NaClにて3回洗浄した後、ホモジナイズし、ろ過後、5000g−15分の遠心分離を数回行って魚類筋原線維タンパク質画分(Mf)を沈殿させ、50mM NaClに均質に懸濁し回収した。ミオシンは、このようにして得たMfを硫安分画法によって精製して得る。
【0008】
得られたMf及びミオシンを、グルコース又はリボースで修飾する際には、0.1〜0.6 Mグルコース又はリボースを含む50mM NaClにMf又はミオシンを懸濁し、凍結乾燥し、凍結乾燥物を、恒温恒湿度乾燥機によって30〜50℃、相対湿度65%下に保持してタンパク質を糖修飾するものである。また、アルギン酸オリゴ糖により修飾する場合は、50mMNaCl−0.3〜0.6 Mソルビトール溶液にMf又はミオシンを懸濁し、オリゴ糖を混合し、凍結乾燥させ、タンパク質―糖混合物を30〜40℃、相対湿度65%下で、保持して修飾する。
【0009】
しかしながら、筋肉タンパク質の主成分であるミオシンは、これまで研究がおこなわれてきた乳タンパク質、血漿タンパク質、植物タンパク質などよりも巨大分子で複雑な構造をしており、熱的に不安定である。そのため、相対湿度65〜70%に保持すると、メイラード反応が進行して糠が結合しても周囲に存在する水分子の熱運動の影響を受けて変性してしまい、水溶化の度合が低いことがわかった。実際、このようにして修飾されたタンパク質は、0.1MのNaClでは、水溶化の程度は、最大55〜64%にすぎず、工業的に利用するためには、歩留まりが高いとは言えないものであった。特に、食品工業などで利用するためには、通常食品に含まれる塩分は、生理的食塩水濃度よりも低く、さらに低イオン強度下での水溶化が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本件発明者等は、従来、至適であると考えられていた30〜50℃、相対湿度65%の高温高湿下で種々の糖を利用するなど条件を変えて、魚肉タンパク質のメイラード反応の研究を続けてきた。ところが、たまたま、実験装置の動作不良から、メイラード反応処理を低相対湿度下でおこしてしまったところ、意外にも、低イオン強度下の水溶性が増加していた。そこで、0.6Mソルビトールを含むサケ筋肉の懸濁液を作成し、これに筋原線維タンパク質量と等量のアルギン酸オリゴ糖を溶解したあと脱水して、水分を8.4%とした。これをさまざまな湿度雰囲気(相対湿度5〜80%)に保持して50℃で8時間保持してタンパク質と糖を反応させた。その結果、相対湿度が35%以下では試料の水分がさらに低下して(3%以下)安定するが、相対湿度が40%を越えると逆に反応過程で環境水分が吸収されることなった。たとえば、相対湿度50%と65%の場合には、8時間後の試料水分はそれぞれ11.1%と20.7%に達した。その後、このタンパク質を0.1MNaC1に溶解して溶解度を測定したところ、反応時の相対湿度と溶解度の改変効果の間には有為な関係があることが認められた。すなわち、図1及び図2に示されるとおり、相対湿度が35%以下で、反応過程における魚肉タンパク質試料の水分が6%以下という条件で反応させたときに、高い溶解度が付与できることを見いだしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本件発明により、低イオン強度下においても、魚肉、畜肉を始め、種々の筋肉タンパク質を低イオン強度下でも、水溶化することに成功した。本発明の水溶性タンパク質は、魚肉、畜肉をタンパク質、種々の食品に容易に添加混合でき、食品加工用途を広げ、さらには、咀嚼機能が低下した病老人のために、タンパク質補給にも有用であり、更には、このように一旦水溶化のした後乾燥させることにより、紡糸化、シート化等種々の成型品を製造することも可能である。このような成型品は、タンパク質から構成されていることから、廃棄後も微生物により容易に分解されることから、環境保全にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本件発明は、相対湿度を抑えた条件下で、筋肉タンパク質に糖を付加することにより、低イオン強度下でも、十分な可溶性を持った水溶性のタンパク質を製造するものである。本件発明は、種々の肉類を細切りして、筋肉タンパク質を抽出し、或いはそのまま、還元性糖類と混合し、脱水し、相対湿度35%以下で30〜70℃の範囲内に保持することにより、混合物中の水分含量を0.25〜6%に維持することで、肉類又は筋肉タンパク質を低イオン強度でも、水溶性とするものである。
【0013】
本件発明で使用できる筋肉タンパク質としては、魚肉、畜肉、貝類、イカ類などあらゆる生物の筋肉タンパク質が挙げられる。更に、本件発明でいう肉類とは、筋肉タンパク質を含有する肉類で、軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉から選ばれた肉のことを意味する。これら肉類を細切り処理することにより、筋肉タンパク質を抽出精製する必要なく、そのまま水溶性にすることもできる。細切りとは、上記肉を種々の手段で切断することを意味し、例えば、ホモジナイズ処理及び挽肉処理などが含まれ、好適には5ミリ、更に好適には3ミリ以下の網目を通過する程度にまで細切り、あるいはミンチとすることが望ましい。
【0014】
本件発明で使用できる還元性糖類としては、単糖(グルコース、リボースなど)、平均重合度20以下のオリゴ糖類で還元末端を有しているもの、例えば、アルギン酸オリゴ糖、キトサンオリゴ糖などの還元性オリゴ糖が挙げられる。本件発明におけるタンパク質変性防止剤としては、グルコースやソルビトール等が挙げられる。これらソルビトール等タンパク質変性防止剤は、添加する還元性糖がアルギン酸オリゴ糖等のタンパク質変性効果が小さいときに特に有効である。
【0015】
本件発明におけるタンパク質と糖の混合比は、望ましくは、筋肉タンパク質:糖類=1:0.1〜1:10の範囲であり、更に、軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉と糖との混合比も含有される筋肉タンパク質と糖の比率が同様の範囲が望ましい。
【0016】
筋肉タンパク質又は細切りした軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉から選ばれた肉類は、糖と混合後、脱水処理に付される。脱水処理は、種々の手段により行うことができ、例えば、相対湿度10%の低湿度下での加熱処理や、凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧乾燥等の処理あるいはこれらの組み合わせ処理により行うことができる。又、脱水処理により、メイラード反応に好適な0.25〜6%の水分含量とすることもできるが、脱水処理終了時点での水分含量が6%を上回るものであったとしても、相対湿度35%以下で、30〜70℃に保持することにより、水分含量を0.25〜6%の範囲にすることもできる。
【0017】
なお、本件発明の水溶性筋肉タンパク質は、その優れた乳化性から、食品添加用乳化剤として使用できるだけではなく、水溶性であることから、他の食品への添加・混合が非常に容易となり、従来の畜肉食品中(あるいは農産食品中)に魚肉を均質に混合して、加工食品とすることも可能となる。更に、例えば、機能性のある医療向けプロテインサプライとして、ア)流動食(嚥下機能低下患者用、ベビーフード)、イ)高蛋白のスポーツ飲料、ウ)高い乳化能を利用したビタミンA,D,Eなどの脂溶性ビタミンや高度不飽和脂肪酸をこれら食品に添加できる。
【0018】
本件発明の方法で製造された、低イオン強度下で水溶性である糖付加筋肉タンパク質は、従来の高湿度下で糖付加されたものとは、タンパク質が変性しておらず、しかも筋肉タンパク質の主成分であるミオシン分子の凝集程度が少なく、結果的に加熱凝集しにくいという性質を有する点(図3)で、構造的に相違する、新規なものである。更に本件発明の方法を実施例により、詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
[実施例1]ホタテガイとグルコース
細切したホタテガイ貝柱100gに、その筋原線維タンパク質量(18.5%湿重量)と等しい量のグルコース(18.5g)を混合したのち、加圧と凍結乾燥によって脱水して水分含量を0.7%とした。これを50℃、相対湿度30%に12時間保持したところ、ホタテガイ筋原線維タンパク質中の60%のリジン残基がグルコースと結合した。このグルコース修飾タンパク質の0.1M NaC1に対する溶解度は89%となり、ホタテガイ貝柱の水溶性化が達成できた。なお、この一連の処理中にタンパク質の分解が全く起こっていないことをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析によって確認した。
【0020】
[実施例2]サケ筋肉とアルギン酸オリゴ糖
サケ筋肉を2mm目のふるい〈J1S-8811〉を通過するサイズまでミートチョッパーで細切した。この魚肉100gに対してそれに含まれる筋原線維タンパク質量(15%湿重量)と等量のアルギン酸オリゴ糖(15g)とソルビトール(14.1g)を混合した後、凍結乾燥によって脱水して水分含量を0.9%とした。続いて60℃で4時間保持したところ、アルギン酸オリゴ糖分子はサケ筋肉中のリジン残基と反応してタンパク質−アルギン酸オリゴ糖複合体(以下、Meat-AOと称する)となった。このMeat-AO製造時の反応相対湿度を35%以下に制御することによって、Meat-AOの0.05M−0.1M NaC1に対する溶解度は88-93%となり、サケ筋肉の水溶性化が達成できた。なお、この一連の処理中にタンパク質の分解が全く起こっていないことを、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析によって確認した。
【0021】
[実施例3]牛もも肉とグルコースあるいはアルギン酸オリゴ糖
経産牛のもも肉を屠畜後7日間4℃に保持した後、結締組織をトリミングしてから挽き肉にし(チョッパー網目サイズ:3mm目)、5倍量の生理食塩水で3回洗浄した(筋原線維タンパク質濃度は9.5%)。この洗浄肉に対してそれに含まれる筋原繊維タンパク質との重量比率でグルコースとアルギン酸オリゴ糖を1:1および1:0.1で混合した。アルギン酸オリゴ糖を添加した場合には、さらにもも肉の6%に相当する重量のソルビトール(終濃度で約0.3 M)を混合した。次いで、これらのもも肉-糖混合物を凍結乾燥によって水分含量を0.7%とした後、50℃で相対湿度5%に12時間保持し、グルコース修飾筋肉(Meat-G)あるいはアルギン酸オリゴ糖修飾筋肉(Meat-AO)を得た。通常の筋肉タンパク質は生理食塩水には溶解しないが、Meat-GとMeat-AOの0.05M NaC1に対する溶解度は79%および85%となり、牛肉の水溶性化が達成できた。なお、この一連の処理中にタンパク質の分解が全く起こっていないことを、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析によって確認した。
【0022】
[実施例4]サケ筋肉とアルギン酸オリゴ糖
実施例2と同様の方法で細切りした魚肉(サケ)を0.6Mソルビトール溶液に懸濁した(筋原線維タンパク質濃度1%)。これに筋原線維タンパク質と等量のアルギン酸オリゴ糖を加えたのち、凍結乾燥によって水分含量を8.4%まで脱水した。
(i)50℃で、5%相対湿度下で8時間反応させたところ、反応過程でのタンパク質-糖複合体の水分含量は1.6%となり、0.1M NaCl中での溶解度は93%であり、水溶化できた。
(ii)50℃で、35%相対湿度下で8時間反応させたところ、反応過程でのタンパク質-糖複合体の水分含量は5.4%となり、0.1M NaCl中での溶解度は93%であり、水溶化できた。
【0023】
[実施例5]サケ筋肉とアルギン酸オリゴ糖
実施例2と同様の方法で細切りした魚肉(サケ)を0.3Mソルビトール溶液に懸濁した(筋原線維タンパク質濃度1%)。これに筋原線維タンパク質と等量のアルギン酸オリゴ糖を加えたのち、凍結乾燥によって水分含量を4.9%まで脱水した。
(i)50℃で、5%相対湿度下で8時間反応させたところ、反応過程でのタンパク質-糖複合体の水分含量は0.8%となり,0.1M NaCl中での溶解度は89%であり、水溶化できた。
(ii)50℃で、35%相対湿度下で8時間反応させたところ、反応過程でのタンパク質-糖複合体の水分含量は3.0%となり、0.1M NaCl中での溶解度は88%であり、水溶化できた。
【0024】
[比較例1]
実施例2と同様の方法で細切りした魚肉(サケ)を0.6M ソルビトール溶液に懸濁した(筋原線維タンパク質濃度1%)。これに筋原線維タンパク質と等量のアルギン酸オリゴ糖を加えたのち、凍結乾燥によって水分含量を8.4%まで脱水した。
(i)50℃で、55%相対湿度下で8時間反応させたところ、反応過程でのタンパク質-糖複合体の水分含量は11.1%となり0.1M NaCl中での溶解度は73%であった。
(ii)50℃で、65%相対湿度下で8時間反応させたところ、反応過程でのタンパク質-糖複合体の水分含量は20.7%となり、0.1M NaCl中での溶解度は61%であった。
【0025】
[比較例2]
実施例2と同様の方法で細切りした魚肉(サケ)を0.3M ソルビトール溶液に懸濁した(筋原線維タンパク質濃度1%)。これに筋原線維タンパク質と等量のアルギン酸オリゴ糖を加えたのち、凍結乾燥によって水分含量を4.9%まで脱水した。
(i)50℃で、55%相対湿度下で8時間反応させたところ、反応過程でのタンパク質-糖複合体の水分含量は9.3%となり、0.1M NaCl中での溶解度は70%であった。
(ii)50℃で、65%相対湿度で8時間反応させたところ、反応過程でのタンパク質-糖複合体の水分含量は14.7%となり,0.1M NaCl中での溶解度は55%であった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】糖修飾反応過程の水分がアルギン酸オリゴ糖修飾したサケ筋原線維タンパク質の溶解度におよぼす影響。白丸:実施例4と比較例1で示したサケ筋肉の試料をさまざまな湿度下で60℃-4時間保持した。黒丸:実施例4と比較例1で示したサケ筋肉の試料をさまざまな湿度下で50℃-8時間保持した。
【図2】糖との反応過程における相対湿度が筋肉タンパク質の水溶化におよぼす影響.実験条件は図1と同じ。
【図3】アルギン酸オリゴ糖修飾したコイ筋原線維タンパク質の熱凝集性。アルギン酸オリゴ糖修飾したタンパク質を0.16Mと0.5M NaCl(pH 6.7)に溶解した後、さまざまな温度で3時間加熱した後、その溶解度を測定した。未修飾のタンパク質は熱変性して凝集し、容易に不溶化することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉から選ばれた肉類を細切りし、還元性糖類と混合後、脱水し、30〜70℃の環境下で水分含量を0.25〜6.0%に維持することによる肉類の水溶化方法。
【請求項2】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉由来の筋肉タンパク質を還元性糖類と混合後、脱水し、30〜70℃の環境下に水分含量を0.25〜6.0%に維持することによる筋肉タンパク質の水溶化方法。
【請求項3】
脱水を水分含量が10%以下となるまで行う請求項1〜2記載の方法。
【請求項4】
還元糖類が、グルコース、リボース、など還元性単糖、又はキトサンオリゴ糖、アルギン酸オリゴ糖など還元性オリゴ糖である請求項1〜3項記載の方法。
【請求項5】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉から選ばれた肉類を細切りし、還元性糖類と混合後、脱水し、相対湿度35%以下でかつ30〜70℃の環境に保持することによる肉類の水溶化方法。
【請求項6】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉由来の筋肉タンパク質を還元性糖類と混合後、脱水し、相対湿度35%以下でかつ30〜70℃の環境に保持することによる筋肉タンパク質の水溶化方法。
【請求項7】
脱水を水分含量が10%以下になるまで行う請求項5〜6項記載の方法。
【請求項8】
還元糖類が、グルコース、リボースなどの還元性単糖、または、キトサンオリゴ糖、アルギン酸オリゴ糖などの還元性オリゴ糖である請求項5〜7項記載の方法。
【請求項9】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉から選ばれる肉類を細切りし、還元性糖類と混合後、脱水し、30〜70℃の環境下に水分含量を0.25〜6%に維持することにより水溶化された肉類。
【請求項10】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉由来の筋肉タンパク質を還元性糖類と混合後、脱水し、30〜70℃の環境下で水分含量を0.25〜6%に維持することにより可溶化された筋肉タンパク質。
【請求項11】
還元糖類が、グルコース、リボースなどの還元性単糖、または、キトサンオリゴ糖、アルギン酸オリゴ糖などの還元性オリゴ糖である請求項10項記載の筋肉タンパク質。
【請求項12】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉の肉から選ばれた肉類を細切りし、還元性糖類と混合後、脱水し、相対湿度35%以下でかつ30〜70℃の環境で水分含量が0.25〜6%となるように保持することにより水溶化された肉類。
【請求項13】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉由来の筋肉タンパク質を還元性糖類と混合後、脱水し、相対湿度35%以下でかつ30〜70℃の環境に保持することにより水溶化された筋肉タンパク質。
【請求項14】
還元糖類が、グルコース、リボースなどの還元性単糖、または、キトサンオリゴ糖、アルギン酸オリゴ糖などの還元性オリゴ糖である請求項13項記載の筋肉タンパク質。
【請求項15】
脱水を相対湿度35%以下の加熱により行う請求項1〜8項記載の方法。
【請求項16】
脱水工程が相対湿度35%以下の加熱により行うものである、請求項9〜14項記載の水溶化された肉類又は筋肉タンパク質。
【請求項17】
還元性糖類とタンパク質変性防止剤を混合後に、脱水する請求項1〜8項いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法により水溶化された肉類又は筋肉タンパク質。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉由来の筋肉タンパク質を還元糖類と混合後、脱水し、30〜70℃の環境下で水分含量を0.25〜6%に維持することにより可溶化された筋肉タンパク質。
【請求項2】
軟体動物又は甲殻類の筋肉、魚肉、又は畜肉由来の筋肉タンパク質を還元糖類と混合後、脱水し、相対湿度35%以下でかつ30〜70℃の環境で、水分含量が0.25〜6%になるように保持することにより水溶化された筋肉タンパク質。
【請求項3】
還元糖類が還元性単糖又は還元性オリゴ糖である請求項1又は2項記載の筋肉タンパク質。
【請求項4】
還元糖類が、グルコース、リボース、キトサンオリゴ糖、又はアルギン酸オリゴ糖である請求項1又は2項記載の筋肉タンパク質。
【請求項5】
還元糖類とタンパク質変性防止剤を混合後に脱水することを特徴とする請求項1〜4項のいずれか1項記載の筋肉タンパク質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−136342(P2006−136342A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35547(P2006−35547)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【分割の表示】特願2001−373107(P2001−373107)の分割
【原出願日】平成13年12月6日(2001.12.6)
【出願人】(503216188)
【Fターム(参考)】