説明

低硬度な軟質ポリウレタン発泡体

【課題】
硬度の低い軟質ポリウレタン発泡体の製造上の問題を解決し、クッション材等として好適な硬度の低い軟質ポリウレタン発泡体を見出すこと。
【解決手段】
硬度の低い軟質ポリウレタン発泡体を製造するにあたりポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、及び添加剤を含むポリウレタン製造原料に加えて、オキシシラン化合物を使用し、かつイソシアネートインデックスを100から120とする本発明は、前記の製造上の問題を解消でき、加えてクッション材等の用途に好適な硬度の低い軟質ポリウレタン発泡体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタン発泡体に関する。さらに詳しくは、本発明は、従来と同じ密度でありながら、より低い硬度の軟質ポリウレタン発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のシート用クッション材(座部及び背もたれ部)、椅子用クッション材等においては、各用途に応じた種々の硬さを有するものが要求されている。例えば、自動車のシート用クッション材で座部と背もたれ部の硬さが異なるように製造される場合がある。そのような場合、硬さ以外の物性をできるだけ変化させることなく、硬さのみが異なるクッション材が好ましい。
そこで、従来、軟質ポリウレタン発泡体の硬度を調節する手法としては、ポリオールに対するポリイソシアネートの添加量、すなわちイソシアネートインデックスを変量し、硬度を調節する手法(例えば、特許文献1を参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−211958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前者のイソシアネートインデックスを調整する手法では、軟質ポリウレタン発泡体の硬度を変量できるが、発泡体全体の架橋密度も変化し、発泡体の引張強度、伸び、圧縮残留歪等の物性が変化し、硬度のみを変量させることは難しい。特に、イソシアネートインデックスを低くし、硬度の低い軟質スラブ発泡体を量産製造する場合、発泡体の製造過程で、表面もしくは内部で割れが発生し、物性、特に歪特性に劣る。そこで、量産時には、再度、原料配合処方の調整が必要になり、作業が煩雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発明者は、上記の課題を鑑みて鋭意検討した結果、硬度の低い軟質ポリウレタン発泡材の製造上の問題を解決し、加えてクッション材等の用途に好適な硬度の低い軟質ポリウレタン発泡体、及びその軟質ポリウレタン発泡体の製造法を見出して、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(15)に係る発明に関するものである。
(1)ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、及び添加剤を含むポリウレタン原料から形成された軟質ポリウレタン発泡体であって、
前記ポリウレタン原料のイソシアネートインデックスが100〜120であり、加えて、前記ポリウレタン原料として式I、式II、式III、式IV、式V及び式VIで表されるオキシシラン化合物からなる群から選ばれるオキシシラン化合物を使用した軟質ポリウレタン発泡体。
【化1】

(式中、Rが、アルキル基又はフェニル基であり、R、R及びRのそれぞれが、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化2】


(式中、Rが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フェニル基、置換されたフェニル基(前記置換されたフェニル基の置換基がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、又は水酸基である。)、ナフチル基、フェノキシ基、水酸基、3−グリシドキシプロピル基、3−アミノプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、Rが、水素原子、アルキル基、又はフェニル基を、Rがアルキル基又はフェニル基であり、Rが、アルキル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化3】

(式中、Rが、アルキル基、フェニル基、3−グリシドキシプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、R10、R11及びR12のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化4】

(式中、R13、R14、R15及びR16のそれぞれが、アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化5】

(式中、R17、R18、R19、R20、R21、及びR22のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるジシロキサン化合物;
【化6】


(式中、nが1〜100であり、R23及びR25がアルキル基であり、R24がアルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、R26、R27、及びR28のそれぞれがアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
(2)前記式Iで表されるオキシシラン化合物が、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、ジヒドロキシジメトキシシラン、ジヒドロキシジエトキシシラン、ジヒドロキシジ−n−プロピルオキシシラン、トリヒドロキシメトキシシラン、トリヒドロキシエトキシシラン、トリヒドロキシ−n−プロピルオキシシラン、又はジフェノキシジエトキシシランである、(1)に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
(3)前記式IIで表されるオキシシラン化合物が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキシシラン、4−シアノフェニルトリエトキシシラン、4−アミノフェニルトリエトキシシラン、4−ニトロフェニルトリエトキシシラン、4−メチルフェニルトリエトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロピルオキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2―アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシトリメトキシシラン、ヒドロキシトリエトキシシラン、ヒドロキシトリ−n−プロピルオキシシラン、メチルヒドロキシジメトキシシラン、フェニルヒドロキシジメトキシシラン、メチル(フェノキシ)ジエトキシシラン、フェニル(フェノキシ)ジエトキシシラン、トリフェノキシエトキシシラン、メチル(ジフェノキシ)エトキシシラン、又はフェニル(ジフェノキシ)エトキシシランである、(1)に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
(4)前記式IIIで表されるオキシシラン化合物が、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチル(フェノキシ)エトキシシラン、ジフェニル(フェノキシ)エトキシシラン、又はメチル(フェニル)(フェノキシ)エトキシシランである、(1)に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
(5)前記式IVで表されるオキシシラン化合物が、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル−n−プロピルオキシシラン、ジメチル(エチル)エトキシシラン、ジメチル(シクロヘキシル)エトキシシラン、ジメチル(フェニル)エトキシシラン、又はメチル(ジフェニル)エトキシシランである、(1)に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
(6)前記式Vで表されるオキシシラン化合物が、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサn−プロピルジシロキサン、又はヘキサフェニルジシロキサンである、(1)に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
(7)前記式VIで表されるオキシシラン化合物が、東亞合成株式会社製のUS−6110又はUS−6120である、(1)に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
(8)JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜143Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜4.2%である、軟質ポリウレタン発泡体。
(9)JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜130Nであり、かつJIS K 7222:1999に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.2%である、軟質ポリウレタン発泡体。
(10)JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜110Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.1%である、軟質ポリウレタン発泡体。
(11)ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、及び添加剤を含むポリウレタン原料による軟質ポリウレタン発泡体の製造法であって、
前記ポリウレタン原料のイソシアネートインデックスが100〜120であり、加えて、前記ポリウレタン原料として、さらに式I、式II、式III、式IV、式V及び式VIで表されるオキシシラン化合物からなる群から選ばれるオキシシラン化合物を使用する、軟質ポリウレタン発泡体の製造法。
【化7】

(式中、Rが、アルキル基又はフェニル基であり、R、R及びRのそれぞれが、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化8】

(式中、Rが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フェニル基、置換されたフェニル基(前記置換されたフェニル基の置換基がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、又は水酸基である。)、ナフチル基、フェノキシ基、水酸基、3−グリシドキシプロピル基、3−アミノプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、Rが、水素原子、アルキル基、又はフェニル基を、Rがアルキル基又はフェニル基であり、Rが、アルキル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化9】

(式中、Rが、アルキル基、フェニル基、3−グリシドキシプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、R10、R11及びR12のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化10】

(式中、R13、R14、R15及びR16のそれぞれが、アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化11】

(式中、R17、R18、R19、R20、R21、及びR22のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化12】


(式中、nが1〜100であり、R23及びR25がアルキル基であり、R24がアルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、R26、R27、及びR28のそれぞれがアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
(12)請求項1の軟質ポリウレタン発泡体を含むクッション材。
(13)JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜143Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜4.2%である軟質ポリウレタン発泡体を含むクッション材。
(14)密度がJIS K 7222:1999に準拠して測定された21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜130Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.2%である軟質ポリウレタン発泡体を含むクッション材。
(15)JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜110Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.1%である軟質ポリウレタン発泡体を含むクッション材。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造法により、硬度の低い軟質ポリウレタン発泡体の製造において、イソシアネートインデックスを下げる製造法に伴う問題点を解消でき、かつクッション材等として好適な物性を備えた軟質ポリウレタン発泡体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明に係る軟質ポリウレタン発泡体の製造法について説明する。
本発明に係る軟質ポリウレタン発泡体の製造は、前記のポリオールとイソシアネートとのウレタン化反応を行なう場合には、ワンショット法又はプレポリマー法が採用される。ワンショット法は、ポリオールとイソシアネートとを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオールとイソシアネートとを事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するプレポリマーを得、それにポリエーテルポリオール又はイソシアネートを反応させる方法である。ワンショット法はプレポリマー法に比べて製造工程が一工程で済み、製造条件の制約も少ないことから好ましく、製造コストを削減することができる。
【0009】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体としては、軟質スラブポリウレタン発泡体が好ましい。軟質スラブポリウレタン発泡体は上記ワンショット法により混合攪拌された反応原料(反応混合液)をベルトコンベア上に吐出し、該ベルトコンベアが移動する間に反応原料が常温、大気圧下で自然発泡し、硬化することで得られる。その後、乾燥炉内で硬化(キュア)し、所定形状に裁断される。その他、モールド成形法、現場施工スプレー成形法等によっても本発明の軟質ポリウレタン発泡体を得ることができる。
【0010】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造に使用される、ポリオールは、高分子ポリオールと鎖延長剤からなる。高分子ポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、又は疎水性ポリオール等を挙げることができる。ここでポリエーテルポリオールとしては、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等を出発物質としてアルキレンオキシドを付加重合してなるものが好ましく、特にグリセリンにエチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドを付加重合させたものが好適である。またポリエステルポリオールとしては、例えばジカルボン酸とジオールやトリオール等との縮合により得られる縮合系ポリエステルポリオール、ジオールやトリオールをベースとしてラクトンの開環重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの末端をラクトンでエステル変性したエステル変性ポリオール等のポリオールが好ましく用いられる。さらにポリカーボネートポリオールとしては、ブタンジオールやヘキサンジオール等の低分子ポリオールと、プロピレンカーボネートやジエチルカーボネート等の低分子カーボネートとのエステル交換反応よって得られるもの等が挙げられる。また、疎水性ポリオールとしては、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール等が用いられる。これらの高分子ポリオール成分は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
前述した高分子ポリオールは、疎水性のものが好ましい。これは得られるフォームの吸水性が小さくなるため、導電性の環境変化が小さくなるためである。より好ましいポリオールは、実質的平均官能基数は2〜4、数平均分子量は1,000〜10,000(特に好ましくは2,000〜5,000)のオキシエチレン基含有量が50質量%以下のポリ(オキシプロピレン)ポリオール又はポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールである。なお、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールは、例えばブロック共重合タイプやランダム共重合タイプ、又はポリ(オキシプロピレン)ポリオールの末端にエチレンオキサイドを付加させたものを含む。実質的平均官能基数が小さすぎる場合や数平均分子量が大きすぎる場合は、フォームの硬度が低すぎるものとなりやすい。実質的平均官能基数が大きすぎる場合や数平均分子量が小さすぎる場合は、フォームの硬度が高すぎるものとなりやすい。
【0012】
鎖延長剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、テトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの鎖延長剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明では、1,4−ブタンジオールが好ましい。これは、1,4−ブタンジオールは、1級の水酸基を有するため反応性が良好であり、また常温液状であるため作業性に優れて、適度な分子量を有するため機械的強度に優れたフォームが得られるためである。
【0013】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造に使用される、前記の触媒としては、トリエチルアミン、テトラメチルグアニジンN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、70% ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル及び30%ジプロピレングリコール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、N,N’,N’−トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、並びに1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のアミン触媒、及びスタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート等の錫触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒を挙げることができる。なお、使用に際しては、前記のアミン触媒及び前記の金属触媒は単独又は併用することができる。前記のアミン触媒及び前記の金属触媒の一般的な使用量は、前記のポリオール100重量部に対して0.01〜2.0重量部である。
【0014】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造に使用される、前記の発泡剤としては、水、又はペンタンなどの炭化水素を、単独または組み合わせて使用できる。水の場合は、原料組成物の反応時に炭酸ガスを発生し、その炭酸ガスによって発泡がなされる。発泡剤の量は適宜とされるが、水の場合、前記のポリオール100重量部に対して0.5〜7.0重量部程度が好適である。
【0015】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造に使用される、整泡剤としては、シリコーン系整泡剤、又はフッ素系整泡剤等が挙げられる。中でもシリコーン系整泡剤が好ましく、さらに好ましくはポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマーを主成分とするシリコーン系整泡剤である。ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー単独であっても、これに他の併用成分を含んだ混合物、例えばポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー、ポリアルキルメチルシロキサンおよびポリオキシアルキレン化合物を含む整泡剤混合物であってもよい。前記の整泡剤は、2種類以上併用してもよく、また前記以外の整泡剤を併用してもよい。
整泡剤の使用量は、ポリオールの100重量部、0.01〜5重量部が好ましく、0.2〜2.5重量部さらに0.5〜1.5重量部がより好ましい。
【0016】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造に使用される、前記の添加剤としては、紫外線吸収剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤、及び着色剤等を挙げることができる。紫外線吸収剤としては、公知のものが使用される。例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、又はベンゾオキサジノン系化合物が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸などを挙げることができる。難燃剤は、有機リン酸化合物等からなるものを挙げることができる。
【0017】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造に使用される、前記のイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する脂肪族系または芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを使用することができる。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又はジシクロヘキサメタンジイソシアネート等を挙げることができ、芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、又はポリメリックポリイソシアネート(クルードMDI)等を挙げることができる。なお、その他プレポリマーも使用することができる。
【0018】
「イソシアネートインデックス」は、イソシアネート基の数をイソシアネート反応性基の数で割り100倍した比率をいう。
本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造法の場合、イソシアネートインデックスは100〜120である。したがって、本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造法における前記のポリオール及びイソシアネート化合物の使用量は、前記のイソシアネートインデックスを満たす量であれば、いずれでもよい。
【0019】
本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造に使用される、オキシシラン化合物としては、式I、式II、式III、式IV、式V及び式VIで表されるオキシシラン化合物が挙げることができる。
【化13】

(式中、Rが、アルキル基又はフェニル基であり、R、R及びRのそれぞれが、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化14】

(式中、Rが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フェニル基、置換されたフェニル基(前記置換されたフェニル基の置換基がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、又は水酸基である。)、ナフチル基、フェノキシ基、水酸基、3−グリシドキシプロピル基、3−アミノプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、Rが、水素原子、アルキル基、又はフェニル基を、Rがアルキル基又はフェニル基であり、Rが、アルキル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化15】

(式中、Rが、アルキル基、フェニル基、3−グリシドキシプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、R10、R11及びR12のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化16】

(式中、R13、R14、R15及びR16のそれぞれが、アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化17】

(式中、R17、R18、R19、R20、R21、及びR22のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化18】


(式中、nが1〜100であり、R23及びR25がアルキル基であり、R24がアルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、R26、R27、及びR28のそれぞれがアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【0020】
ここにおいて、式I〜VIで表されるオキシシラン化合物の定義に使用した用語について説明する。
低級アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ぺンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、イソへプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基又はイソデシル基等の直鎖又は分岐した炭素数1〜10個のアルキル基を意味する。
【0021】
シクロアルキル基は、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基又はシクロオクチル基の炭素数3乃至8個のシクロアルキル基を意味する。
【0022】
アルケニル基は、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−プロペン−2−イル基、又は4−ブテン−1−イル基等の炭素数1乃至4個のアルケニル基を意味する。
【0023】
ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、フッ素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0024】
次に、式I〜VIで表されるオキシシラン化合物の好ましい例を記載する。
前記の式Iで表されるオキシシラン化合物の好ましい例としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、ジヒドロキシジメトキシシラン、ジヒドロキシジエトキシシラン、ジヒドロキシジ−n−プロピルオキシシラン、トリヒドロキシメトキシシラン、トリヒドロキシエトキシシラン、トリヒドロキシ−n−プロピルオキシシラン、又はジフェノキシジエトキシシランを挙げることができる。
【0025】
前記の式IIで表されるオキシシラン化合物の好ましい例としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキシシラン、4−シアノフェニルトリエトキシシラン、4−アミノフェニルトリエトキシシラン、4−ニトロフェニルトリエトキシシラン、4−メチルフェニルトリエトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロピルオキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2―アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシトリメトキシシラン、ヒドロキシトリエトキシシラン、ヒドロキシトリ−n−プロピルオキシシラン、メチルヒドロキシジメトキシシラン、フェニルヒドロキシジメトキシシラン、メチル(フェノキシ)ジエトキシシラン、フェニル(フェノキシ)ジエトキシシラン、トリフェノキシエトキシシラン、メチル(ジフェノキシ)エトキシシラン、又はフェニル(ジフェノキシ)エトキシシランである。
【0026】
前記の式IIIで表されるオキシシラン化合物の好ましい例としては、例えばジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチル(フェノキシ)エトキシシラン、ジフェニル(フェノキシ)エトキシシラン、又はメチル(フェニル)(フェノキシ)エトキシシランである。
【0027】
前記の式IVで表されるオキシシラン化合物の好ましい例としては、例えばトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル−n−プロピルオキシシラン、ジメチル(エチル)エトキシシラン、ジメチル(シクロヘキシル)エトキシシラン、ジメチル(フェニル)エトキシシラン、又はメチル(ジフェニル)エトキシシランである。
【0028】
前記式Vで表されるオキシシラン化合物の好ましい例としては、例えばヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサn−プロピルジシロキサン、又はヘキサフェニルジシロキサンである。
【0029】
前記式VIで表されるオキシシラン化合物の好ましい例としては、例えば東亞合成株式会社製のUS−6110(分子量3200)又はUS−6120(分子量2200)である。
【0030】
式I〜式VIで表されるオキシシラン化合物は、市販品、又は公知文献、例えば特開平7−33880号公報、特開平3−234768号公報、特開平3−234768号公報及び特開2007−23021等に開示された製造法及びそれに準ずる製造法により入手できる。
【0031】
式I〜式VIで表されるオキシシラン化合物の使用量は、前記のポリオール100重量部に対して0.2〜9重量部が好適である。
【0032】
以上の本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造法により製造される軟質ポリウレタン発泡体は、JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜143Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜4.2%である、軟質ポリウレタン発泡体であり、好ましくは、JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜130Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.2%である、軟質ポリウレタン発泡体であり、さらに好ましくはJIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜110Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.1%である、軟質ポリウレタン発泡体である。
【実施例】
【0033】
次に実施例及び比較例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1(ワンショット法)
以下の配合からなるポリエーテルポリオール、触媒、発泡剤、整泡剤及びオキシシラン化合物(イソシアネートインデックスは115とした。)を混合した。ついで得られた混合物とイソシアネートを500ccビーカに入れ、プロペラミキサーを用いて20℃で撹拌することにより発泡させた。また、混合後の反応混合液を箱体(500×500×500mm)に注入し、加熱反応(硬化)させることにより、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
(原料及び使用量)
ポリオール:
三洋化成工業製ポリエーテルポリオールGP3050F(OHV56) 100重量部
発泡剤:
蒸留水 4重量部
触媒:
花王株式会社製カオライザー(登録商標)No.23NP
N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール 0.1重量部
城北化学製スズ触媒MRH110
オクチル酸第1スズ 0.24重量部
整泡剤:
エボニック製シリコーン整泡剤 TEGOSTAB BF2370
ポリエーテル変性ポリシロキサン 1重量部
イソシアネート:
日本ポリウレタン工業製TDI-80 54重量部
オキシシラン化合物:
信越化学工業製フェニルトリメトキシシランKBM103 4重量部
【0034】
実施例2
オキシシラン化合物として信越化学工業製フェニルトリメトキシシランKBM103を6重量部使用した以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0035】
実施例3
オキシシラン化合物として信越化学工業製ジフェニルジメトキシシランKBM202SSを3重量部使用した以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0036】
実施例4
オキシシラン化合物として信越化学工業製アクリル系アルコキシシランUS-6110(分子量3200)を3重量部使用した以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0037】
実施例5
発泡剤として蒸留水を5.7重量部、イソシアネートとして日本ポリウレタン工業製TDI-80を65重量部使用し、イソシアネートインデックスを102とした以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0038】
実施例6(ワンショット法)
以下の配合からなるポリエステルポリオール、触媒、発泡剤、整泡剤及びオキシシラン化合物(イソシアネートインデックスは115とした。)を混合した。ついで得られた混合物とイソシアネートを500ccビーカに入れ、プロペラミキサーを用いて20℃で撹拌することにより発泡させた。また、混合後の反応混合液を箱体(500×500×500mm)に注入し、加熱反応(硬化)させることにより、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
(原料及び使用量)
ポリオール:
日本ポリウレタン工業製ポリエステルポリオールN2200 100重量部
発泡剤:
蒸留水 3.4重量部
触媒:
花王株式会社製カオライザー(登録商標)No.22
N-エチルモルホリン 1.6重量部
整泡剤:
モメンティブ製シリコーン整泡剤SE232 1重量部
イソシアネート:
日本ポリウレタン工業製TDI-80 49重量部
オキシシラン化合物:
信越化学工業製フェニルトリメトキシシランKBM103 3重量部
【0039】
比較例1
城北化学製スズ触媒MRH110を0.3重量部使用し、日本ポリウレタン工業製TDI-80を65重量部使用し、オキシシラン化合物を使用しないこと、及びイソシアネートインデックスを98としたこと以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0040】
比較例2
オキシシラン化合物を使用しないこと以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0041】
比較例3
日本ポリウレタン工業製TDI-80を46重量部使用し、城北化学製スズ触媒MRH110を0.3重量部使用し、オキシシラン化合物を使用しないこと、及びイソシアネートインデックスを98としたこと以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0042】
比較例4
日本ポリウレタン工業製TDI-80を46重量部使用し、城北化学製スズ触媒MRH110を0.3重量部使用し、オキシシラン化合物を3重量部使用したこと、及びイソシアネートインデックスを98としたこと以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0043】
比較例5
城北化学製スズ触媒MRH110を0.26重量部使用し、及びオキシシラン化合物を10重量部使用したこと以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0044】
比較例6
城北化学製スズ触媒MRH110を0.21重量部使用し、及びオキシシラン化合物を0.1重量部使用したこと以外、実施例1と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0045】
比較例7
オキシシラン化合物を使用しないこと以外、実施例6と同様に処理して、軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
【0046】
以上の実施例1〜6及び比較例1〜7のそれぞれにおいて製造された軟質ポリウレタンの物性を測定し、その結果を以下の表に纏めた。

なお、各物性は、以下のJIS規格に準拠して評価した。
密度(kg/m):
JIS K 7222:1999
硬さ(N):
JIS K 6400−2:2004
圧縮残留歪(%):
JIS K 6400−4:2004
引張強度(kPa):
JIS K 6400−5:2004
伸び:
JIS K 6400−5:2004
最高発熱温度(℃):
配合原料を混合攪拌した反応混合物を縦、横及び深さが各500mmの
発泡容器内に注入し、常温、大気圧下で発泡させた後、加熱炉を通過さ
せて加熱反応(硬化)させることにより軟質ポリウレタン発泡体を得た。
最高発熱温度(℃)は、上記発泡用容器の中央部に熱電対を差込んで測
定した、発泡工程及び加熱反応工程における最も高い温度である。
【0047】
以上の実施例1〜6及び比較例1〜7のそれぞれにおいて製造された軟質ポリウレタンの物性データにおいて、密度が21.8〜30.3kg/mであり、硬さが63〜143Nであり、かつ圧縮残留歪が2.7〜4.2%であるか否かを基準として以下の評価を行った。
本発明のオキシシラン化合物を使用する軟質ポリウレタン発泡体の製造法により得られた軟質ポリウレタン発泡体(以下、「本発明の軟質ポリウレタン発泡体」と略。)は、オキシシラン化合物を使用することにより密度、硬さ及び圧縮残留歪の各物性データにおいてクッション材として用途に適合した性状であることが明らかである(実施例5、実施例6、比較例1及び比較例7を参照)。また、本発明の軟質ポリウレタン発泡体は、異なるオキシシラン化合物を使用したとしても密度、硬さ及び圧縮残留歪の各データにおいて、クッション材として用途に適合した性状であることが明らかである(実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び比較例2を参照)。また、イソシアネートインデックスが100〜120とすることにより、圧縮残留歪が改善されることが明らかである(実施例1、比較例3及び比較例4を参照。)。また、本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造法におけるオキシシラン化合物の使用量は、0.2〜9重量部が好ましいことが明らかである(実施例1、実施例2、比較例5及び比較例6を参照)。以上の結果から、イソシアネートインデックスを100〜120とし、かつオキシシラン化合物を使用する本発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造法により、クッション材として好適な性状を具備する軟質ポリウレタン発泡体を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の低密度かつ低硬度の軟質ポリウレタン発泡体は、クッション材として好適な物性を備えていることから、例えば家具、寝具、自動車シート、シートバック、雑貨等の各種用途用スラブストック及び各種自動車用部品として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、及び添加剤を含むポリウレタン原料から形成された軟質ポリウレタン発泡体であって、
前記ポリウレタン原料のイソシアネートインデックスが100〜120であり、加えて、前記ポリウレタン原料として式I、式II、式III、式IV、式V及び式VIで表されるオキシシラン化合物からなる群から選ばれるオキシシラン化合物を使用した軟質ポリウレタン発泡体。
【化19】

(式中、Rが、アルキル基又はフェニル基であり、R、R及びRのそれぞれが、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化20】

(式中、Rが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フェニル基、置換されたフェニル基(前記置換されたフェニル基の置換基がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、又は水酸基である。)、ナフチル基、フェノキシ基、水酸基、3−グリシドキシプロピル基、3−アミノプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、Rが、水素原子、アルキル基、又はフェニル基を、Rがアルキル基又はフェニル基であり、Rが、アルキル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化21】

(式中、Rが、アルキル基、フェニル基、3−グリシドキシプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、R10、R11及びR12のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化22】

(式中、R13、R14、R15及びR16のそれぞれが、アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化23】

(式中、R17、R18、R19、R20、R21、及びR22のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化24】


(式中、nが1〜100であり、R23及びR25がアルキル基であり、R24がアルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、R26、R27、及びR28のそれぞれがアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【請求項2】
前記式Iで表されるオキシシラン化合物が、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、ジヒドロキシジメトキシシラン、ジヒドロキシジエトキシシラン、ジヒドロキシジ−n−プロピルオキシシラン、トリヒドロキシメトキシシラン、トリヒドロキシエトキシシラン、トリヒドロキシ−n−プロピルオキシシラン、又はジフェノキシジエトキシシランである、請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項3】
前記式IIで表されるオキシシラン化合物が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキシシラン、4−シアノフェニルトリエトキシシラン、4−アミノフェニルトリエトキシシラン、4−ニトロフェニルトリエトキシシラン、4−メチルフェニルトリエトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロピルオキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2―アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシトリメトキシシラン、ヒドロキシトリエトキシシラン、ヒドロキシトリ−n−プロピルオキシシラン、メチルヒドロキシジメトキシシラン、フェニルヒドロキシジメトキシシラン、メチル(フェノキシ)ジエトキシシラン、フェニル(フェノキシ)ジエトキシシラン、トリフェノキシエトキシシラン、メチル(ジフェノキシ)エトキシシラン、又はフェニル(ジフェノキシ)エトキシシランである、請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項4】
前記式IIIで表されるオキシシラン化合物が、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチル(フェノキシ)エトキシシラン、ジフェニル(フェノキシ)エトキシシラン、又はメチル(フェニル)(フェノキシ)エトキシシランである、(1)に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項5】
前記式IVで表されるオキシシラン化合物が、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル−n−プロピルオキシシラン、ジメチル(エチル)エトキシシラン、ジメチル(シクロヘキシル)エトキシシラン、ジメチル(フェニル)エトキシシラン、又はメチル(ジフェニル)エトキシシランである、請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項6】
前記式Vで表されるオキシシラン化合物が、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサn−プロピルジシロキサン、又はヘキサフェニルジシロキサンである、請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項7】
前記式VIで表されるオキシシラン化合物が、東亞合成株式会社製のUS−6110又はUS−6120である、(1)に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項8】
JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜143Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜4.2%である、軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項9】
JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜130Nであり、かつJIS K 7222:1999に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.2%である、軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項10】
JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜110Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.1%である、軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項11】
ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、及び添加剤を含むポリウレタン原料による軟質ポリウレタン発泡体の製造法であって、
前記ポリウレタン原料のイソシアネートインデックスが100〜120であり、加えて、前記ポリウレタン原料として、さらに式I、式II、式III、式IV、式V及び式VIで表されるオキシシラン化合物からなる群から選ばれるオキシシラン化合物を使用する、軟質ポリウレタン発泡体の製造法。
【化25】

(式中、Rが、アルキル基又はフェニル基であり、R、R及びRのそれぞれが、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化26】

(式中、Rが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フェニル基、置換されたフェニル基(前記置換されたフェニル基の置換基がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、又は水酸基である。)、ナフチル基、フェノキシ基、水酸基、3−グリシドキシプロピル基、3−アミノプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、Rが、水素原子、アルキル基、又はフェニル基を、Rがアルキル基又はフェニル基であり、Rが、アルキル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化27】

(式中、Rが、アルキル基、フェニル基、3−グリシドキシプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル基であり、R10、R11及びR12のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化28】

(式中、R13、R14、R15及びR16のそれぞれが、アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化29】

(式中、R17、R18、R19、R20、R21、及びR22のそれぞれが、アルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【化30】


(式中、nが1〜100であり、R23及びR25がアルキル基であり、R24がアルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、R26、R27、及びR28のそれぞれがアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるオキシシラン化合物;
【請求項12】
請求項1の軟質ポリウレタン発泡体を含むクッション材。
【請求項13】
JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜143Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜4.2%である軟質ポリウレタン発泡体を含むクッション材。
【請求項14】
密度がJIS K 7222:1999に準拠して測定された21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜130Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.2%である軟質ポリウレタン発泡体を含むクッション材。
【請求項15】
JIS K 7222:1999に準拠して測定された密度が21.8〜30.3kg/mであり、JIS K 6400−2:2004に準拠して測定された硬さが63〜110Nであり、かつJIS K 6400−4:2004に準拠して測定された圧縮残留歪が2.7〜3.1%である軟質ポリウレタン発泡体を含むクッション材。

【公開番号】特開2011−37988(P2011−37988A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186692(P2009−186692)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】