説明

低VOC塗料のためのオルトエステル−保護ポリオール

本発明は、オルトエステル基がポリ(メタ)アクリレートのヒドロキシル基をブロック化しており、加水分解を通して前記オルトエステル基を除去し、イソシアネート化合物との反応を通して架橋を促進することが可能である塗料組成物に関する。本発明は前述した塗料組成物を硬化させる方法にも関する。本発明は基材を被覆する方法であって、前述した塗料組成物を含むクリアコートをベースコート上にわたって被覆する方法にも関する。本発明はオルトエステル化合物との反応を通してポリ(メタ)アクリレート化合物のヒドロキシル基をブロック化させる方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、合衆国法典第35編第119条(35U.S.C§119)の下、米国仮特許出願第60/555,162号明細書(2004年3月22日出願)の優先権を請求するものであり、該出願は完全に記載されるかのように本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、架橋のためにポリイソシアネートを用いる低揮発性有機化合物含有率塗料の製造において有用なポリ(メタ)アクリレート中のヒドロキシル基の保護に関する。
【背景技術】
【0003】
塗り換え塗料の秘訣は、最高レベルの外観で可能な限り迅速に塗り換られた車両を顧客に引き渡す能力である。顧客は、車両のない不便を最少にするために可能な限り迅速に良好な外観の補修された車両を有することを望む。補修工場は、車両の補修に際して資本投資の利用を最大化するとともに全体的な労働およびコストを最少化することを望む。従って、全体的な補修プロセスの生産性および良好な外観が決定的に重要である。
【0004】
更に、低揮発性有機化合物(VOC)、すなわち環境に優しい塗料系を開発する圧力が世界中に存在する。これらの問題を解決するための1つのカギは塗料中で用いられる溶媒の激減または排除を経ることである。これらの新規低VOC塗料は、丈夫でユーザーフレンドリーな系でありつつ、生産性、外観および膜特性を含む主要な顧客特性を満たす必要がある。
【0005】
現在、自動車塗り換え市場は、架橋三次元薄膜に周囲条件で硬化できる2成分塗料から大部分構成される。これらの塗料は主として溶媒系であり、ヒドロキシル/イソシアネート硬化を用いる。この系の1つの成分はヒドロキシ官能性化学種を含み、他の成分はイソシアネートを含む。これらの成分は車両上に吹き付ける直前に混合される。これらの2パート塗料は長い時間枠にわたる吹き付けを見込むのに十分に低い粘度のままである必要があり、そして、吹き付け後に生産性および物理的特性を最大化するために車両上で三次元網目に迅速に硬化する必要がある。
【0006】
自動車車体の窪みなどの損傷を補修する際に、損傷部分の元の塗料および損傷部分周りの元の塗料は、機械的手段によって典型的にはサンダー仕上げされるか、グラインダー掛けされる。時によっては、元の塗料は、下にある裸金属を露出させるために自動車車体全体の一部からまたは自動車車体全体から剥ぎ取られる。損傷を補修後に、補修された表面は、オペレータの健康および爆発の危険の観点から安全な方法で有機溶媒を被着されたばかりのペイント塗料から除去するために大気に放出させる、典型的には携帯式または恒久式の低コストペイント用密閉容器内で好ましくは低VOC塗料組成物で被覆される。典型的には、被着されたばかりのペイントの乾燥および硬化はこれらの密閉容器内で行われる。更に、前述した乾燥および硬化の工程は湿潤ペイントが空気中の塵芥または他の汚染物を集めないようにするために密閉容器内で行われる。
【0007】
これらのペイント密閉容器が典型的な小規模自動車車体ペイント補修工場の大部分の床スペースを占めるにつれて、これらの工場は可能な限り速くこれらのペイントを乾燥させ硬化させることを望む。より高価な密閉容器は、被着されたばかりのペイントを加速的速度で硬化させるために密閉容器内部に配置された従来の熱ランプなどの熱源をしばしば設置する。従って、工場床スペースのより費用効果に優れた利用を提供するとともに溶媒系塗料組成物の湿潤塗料から生じる火災の危険を最少化するために、傑出した性能特性、特に耐衝撃性、耐擦傷性、耐久性および外観をそれでも提供しつつ、周囲条件下で硬化する迅速硬化性塗料配合物が必要とされ続けている。
【0008】
塗り換え塗料の生産性の重要な態様は物理的乾燥に関する能力である。高生産性塗料は、後続のコートの塗布を見込むために触ってみて非常に迅速に乾燥することができる必要がある。損傷された車両上のより小さいスポットを補修するために用いられるクリア(スポット補修クリア)は、損傷を受けなかったペイント部分を保護するために必要とされるテーピングの量を最少化するために可能な限り低いオーバースプレーを有する必要がある。高いガラス転移温度(「Tg」)およびより高い重量平均分子量(「Mw」)のアクリルは、物理的乾燥に対するそれらの能力のゆえに製品のこれらのタイプにおいて非常によく機能する。
【0009】
従って、より低いVOC生産的システムを開発するために、ポットライフに悪影響を及ぼさずに物理的乾燥のための生産的システムの成分として用いることが可能である高Tgで比較的高Mwのアクリルを製造することが決定的に重要である。
【0010】
国際公開第02/10298号パンフレットには、加水分解性シリル基を有するブロック化用ポリオールが開示されている。特開2001−163922号公報には、ポリオルトエステル、アルファグリコールまたはベータグリコールのいずれか、およびエチレン系不飽和基を含むオリゴマーと少なくとも2個のヒドロキシル基を有する樹脂との反応が記載されている。国際公開第02/057339号パンフレットには、スピロオルトカーボネート基の使用を通してヒドロキシル基を保護することが記載されている。2001年10月2日にVan den Bergらに発行された米国特許第6,297,329号明細書には、少なくとも1個のビシクロオルトエステル基またはスピロオルトエステル基を含む第1の化合物および少なくとも2個のヒドロキシル反応性基を含む第2の化合物を含む塗料組成物が開示されている。2000年4月4日にNouraらに発行された米国特許第6,045,870号明細書には、シリル化を通したカルボキシル基の保護が開示されている。
【0011】
ヒドロキシルが保護された新規ポリマーの使用を通して物理的乾燥および長いポットライフを改善することが望ましい。本明細書で開示された塗料は無水条件下で安定であるが、初期ヒドロキシル基を解除する大気水分の吸収を経由して塗布後に活性になる、すなわちブロック化を解除されることになる。一旦ヒドロキシル基が解除されると、ヒドロキシル基はイソシアネート架橋剤と迅速に反応して三次元網目を発生させ、非常に迅速な膜形成が起きる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は塗料組成物であって、オルトエステル基がポリ(メタ)アクリレートのヒドロキシル基をブロック化している塗料組成物に関する。ポリイソシアネート化合物との反応を通して架橋を促進するために、オルトエステル基を加水分解を通して除去することが可能である。本発明は前述した塗料組成物を硬化させる方法にも関する。本発明は基材を被覆する方法であって、前述した塗料組成物を含むクリアコートをベースコート上にわたって被覆する方法にも関する。本発明はオルトエステル化合物との反応を通してポリ(メタ)アクリレート化合物のヒドロキシル基をブロック化させる方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
出願人は、本開示おいて引用されたすべての参考文献の内容全体を特に援用している。出願人は、共有され同時に出願された特許出願第____号明細書、発明の名称「Ketal−Protected Polyols for Low VOC Coatings」も引用して援用する。
【0014】
数値の範囲が本明細書において挙げられている場合、特に指定がない限り、その範囲は、範囲の終点ならびに範囲内のすべての整数および少数部を含むことを意図している。本発明の範囲は、範囲を定義する時に挙げられた特定の値に限定されることを意図していない。
【0015】
本開示の文脈において、多くの用語を用いるものとする。
【0016】
「(メタ)アクリレート」という用語はアクリレートとメタクリレートの両方を表す。
【0017】
ポリマーの「多分散性」という用語はMw対数平均分子量(「Mn」)の比である。
【0018】
「低VOC塗料組成物」という用語は、塗料組成物リットル当たり溶媒0.1キログラム(1.0ポンド/ガロン)〜0.72キログラム(6.0ポンド/ガロン)、好ましくは0.3キログラム(2.6ポンド/ガロン)〜0.6キログラム(5.0ポンド/ガロン)、より好ましくは0.34キログラム(2.8ポンド/ガロン)〜0.53キログラム(4.4ポンド/ガロン)の範囲を含む塗料組成物を意味する。すべてのVOCはASTM D−3960に示された手順に基づいて決定される。
【0019】
一実施形態において、本発明はオルトエステル基を加水分解することによってブロック化された少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートおよび少なくとも1種のイソシアネート化合物を含む塗料組成物に関する。
【0020】
もう1つの実施形態において、本発明はポリ(メタ)アクリレートのヒドロキシル基をブロック化する方法であって、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートと少なくとも1種のオルトエステル化合物を熱で反応させることを含む方法に関する。
【0021】
「ブロック化された」とは、加水分解性オルトエステル基を形成するためにポリ(メタ)アクリレートの少なくとも2個のヒドロキシル基と少なくとも1種のオルトエステル化合物との間の反応を通して加水分解性エステルを形成することを意味する。一実施形態において、ヒドロキシル基の約30%〜100%はオルトエステル化合物によってブロック化される。好ましい実施形態において、オルトエステル化合物は実質的にすべてのヒドロキシル基をブロック化する。「実質的にすべてのヒドロキシル基」とは、ビニルエーテル化合物が少なくとも70%のヒドロキシル基をブロック化することを意味する。
【0022】
好ましい実施形態において、塗料組成物は、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレート化合物を最初に取り、少なくとも1種のオルトエステル化合物との酸触媒反応を通してヒドロキシル基を保護することにより配合される。エステル化反応は、ヒドロキシル基がオルトエステル基によってブロック化されたポリ(メタ)アクリレート化合物をもたらす。塗料組成物中で用いるために必要とされる時、ブロック化ポリ(メタ)アクリレート化合物は、ポリイソシアネート化合物の添加の前または添加と同時のいずれかに任意に酸触媒の存在下でオルトエステル基を水で加水分解することによりブロック化を解除される。ポリ(メタ)アクリレート化合物のブロック化されていないヒドロキシル基は、当業者に知られているあらゆる方法によって塗料組成物を製造するためにポリイソシアネート化合物と自由に反応することが可能である。
【0023】
塗料組成物において用いられるポリ(メタ)アクリレートの非限定的な例には、1〜20個の炭素原子の直鎖または分岐のモノアルコールのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合させたモノマーである。好ましいエステルは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレートおよびラウリルメタクリレートなどのアルキル基中で1〜12個の炭素を有するアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートである。イソボルニルメタクリレートモノマーおよびイソボルニルアクリレートモノマーを用いることが可能である。トリメチルシクロヘキシルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートおよび2−エチルヘキシルメタクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレートを用いることが可能である。ベンジルアクリレートおよびベンジルメタクリレートなどのアリールアクリレートおよびアリールメタクリレートも用いることが可能である。
【0024】
アルキル基が1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートを含むヒドロキシ官能基を含むエチレン系不飽和モノマーを用いることが可能である。好適なモノマーには、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシイソプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ジヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシイソプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ジヒドロキシプロピルメタクリレートおよびジヒドロキシブチルメタクリレートなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。ヒドロキシ官能基は、モノマー前駆体、例えば、ポリマー中のグリシジルメタクリレート単位のエポキシ基からも得てよい。こうしたエポキシ基は、水または少量の酸とのポスト重合において、ヒドロキシ基に転化してもよい。
【0025】
用いることができる好適な他のオレフィン系不飽和コモノマーには、アクリルアミドおよびメタクリルアミドならびにアルコキシメチル(メタ)アクリルアミドモノマー例えばメタクリルアミド、N−イソブトキシメチルメタクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミドなどの誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸およびその半エステルならびにジエステル、スチレン、アルファメチルスチレンおよびビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物、ならびにポリエチレングリコールモノアクリレートおよびポリエチレングリコールモノメタクリレートが挙げられる。
【0026】
無水イタコン酸または無水マレイン酸、その半エステル、アクリロニトリル、アリルメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、メチルアクリルアミドグリコレートメチルエーテル、エチレンウレアエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、トリアルコキシシリルエチルメタクリレート、モノエポキシエステルまたはモノエポキシエーテルとアルファ−ベータ不飽和酸の反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと炭素原子数22以下の一官能性酸の反応生成物などの他の官能性モノマーを用いることが可能である。
【0027】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートのMnは約200〜約50,000の範囲内である。より好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートのMnは約300〜約20,000の範囲内である。なおより好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートのMnは約500〜約6,000の範囲内である。本明細書で言及したすべての分子量は、ポリスチレン標準を用いるゲル透過クロマトグラフィ(「GPC」)によって決定される。
【0028】
ポリ(メタ)アクリレートは、ポリ(メタ)アクリレート化合物当たり好ましくは2〜200の範囲内、より好ましくは2〜50の範囲内、最も好ましくは2〜20の範囲内のヒドロキシル基を含む。
【0029】
好ましい実施形態において、ポリ(メタ)アクリレートは、約1.5〜約10.0の範囲内の多分散性を有する。より好ましい実施形態において、ポリ(メタ)アクリレートは約1.5〜約5.0の範囲内の多分散性を有する。なおより好ましい実施形態において、ポリ(メタ)アクリレートは約1.5〜約3.0の範囲内の多分散性を有する。
【0030】
塗料組成物のポリイソシアネート化合物は少なくとも2個のイソシアネート基を有する1種以上の架橋剤を含む。従来の芳香族、脂肪族、脂環式イソシアネート、三官能性イソシアネート、およびポリオールとジイソシアネートのイソシアネート官能性付加体のいずれも用いることが可能である。典型的に有用なジイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ビスシクロヘキシルジイソシアネート、テトラメチレンキシレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、2,3−ジメチルエチレンジイソシアネート、1−メチルトリメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンチレンジイソシアネート、1,4−シクロへキシレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび4,4’−ジイソシアナトジフェニルエーテルである。
【0031】
典型的な三官能性イソシアネートには、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3,5−ベンゼントリイソシアネートおよび2,4,6−トルエントリイソシアネートが挙げられる。Desmodur(登録商標)N3300Aという商品名でBayer Corp.,Pittsburgh,PAによって供給されているヘキサメチレンジイソシアネートのトリマーなどのジイソシアネートのトリマーも用いることが可能である。Bayer Corp.製の好適な他のポリイソシアネートには、Desmodur(登録商標)N3390A BA/SNポリイソシアネートおよびZ4470BAポリイソシアネートが挙げられる。
【0032】
塗料組成物中で用いられる架橋剤の相対量は、約0.5〜約5の範囲内、好ましくは約0.7〜約0.3の範囲内、より好ましくは約0.85〜約2の範囲内のNCO/(OH+NH)のモル当量比を提供するように調節される。
【0033】
塗料組成物は、クリア組成物または顔料入り組成物として用いるために好適である。塗料組成物は、モノコート、ベースコートまたはプライマとして用いることが可能である。
【0034】
塗料組成物は、溶媒、触媒、顔料、充填剤および従来の添加剤などの追加の成分を含むことが可能である。
【0035】
好適な溶媒の幾つかには、石油ナフサまたはキシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸イソブチルまたは酢酸ヘキシルなどのエステルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステルが挙げられる。添加される有機溶媒の量は組成物の所望の固形物レベルおよび所望のVOC量に応じて異なる。必要ならば、有機溶媒は塗料組成物の両方の成分に添加してもよい。
【0036】
塗料組成物は、好ましくは硬化プロセスを加速するための触媒作用量の触媒を含む。架橋性成分固形物および架橋用成分固形物の全重量を基準にして一般には約0.001〜約5重量%の範囲内、好ましくは約0.002%〜約3重量%の範囲内、より好ましくは約0.005%〜約1.5重量%の範囲内の触媒が用いられる。ジブチル錫ジラウレートおよびジブチル錫ジアセテートを含む錫化合物など、およびトリエチレンジアミンなどの第三アミンなどの多様な触媒を用いることが可能である。これらの触媒は、単独でまたは酢酸などのカルボン酸と組み合わせて用いることが可能である。Fastcat(登録商標)4202ジブチル錫ジラウレート(Elf−Atochem North America,Inc.,Philadelphia,PA)という商品名で販売されている市販触媒の1つは特に好適である。
【0037】
保護基を加水分解すると、架橋のために利用できるヒドロキシル基を有する元のポリ(メタ)アクリレートの回復につながる。加水分解は、任意に酸触媒の存在下で水中で行うことが可能である。好適な酸には、例えば、酢酸など、リンおよびリン酸ならびにリン酸エステル、塩酸、過塩素酸、臭化水素酸、硫酸およびその半エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸のようなスルホン酸、ならびに例えばPOCl3、SOCl2およびPCl5などの加水分解すると酸を発生する化合物が挙げられる。
【0038】
加水分解反応は架橋剤の添加の前または架橋剤の添加と同時に行うことが可能である。好ましくは、ブロック化ポリ(メタ)アクリレートは、架橋剤の添加と同時にブロック化から解除され、従って、ヒドロキシル基は回復する。組成物中に存在するオルトエステル基に水が接触するにつれて、オルトエステル基は加水分解し始め、最後に組成物の架橋につながることが理解されるべきである。水は様々な方法で導入してもよい。例えば、特に塗料の場合、水は空気からの吸収によって非架橋塗料または架橋(架橋が行われている間に)塗料に導入してもよい。吸収は(湿り)空気に露出されるまで安定である非架橋塗料組成物を製造するために非常に便利である。あるいは、水は架橋が行われる直前に(塗料のための)混合ヘッドまたはスプレー混合ヘッド中で混合してもよい。
【0039】
塗料組成物は1種以上の着色用顔料または特殊効果創出顔料を含むことが可能である。無機着色用顔料または有機着色用顔料の例には、二酸化チタン、微粉化二酸化チタン、酸化鉄顔料、カーボンブラック、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料およびピロロピロール顔料が挙げられる。特殊効果創出顔料の例には、アルミニウムフレーク、銅ブロンズフレークおよび他の金属フレーク、例えば、金属酸化物被覆金属顔料、例えば、二酸化チタン被覆アルミニウムまたは混合酸化物被覆アルミニウムなどの干渉顔料、例えば、二酸化チタン被覆マイカなどの被覆マイカおよびグラファイト特殊効果顔料が挙げられる。
【0040】
充填剤の例には、二酸化珪素、珪酸アルミニウム、硫酸バリウムおよびタルカムが挙げられる。
【0041】
塗料組成物は、湿潤剤、均染剤および流動調整剤、例えば、BYK(登録商標)320および325(高分子量ポリアクリレート、BYK−Chemie USA Inc.,Wallingford,Conn.)、BYK(登録商標)347(ポリエーテル変性シロキサン)およびBYK(登録商標)306(ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン)、ヒュームドシリカなどのレオロジー調整剤、消泡剤、界面活性剤および組成物を安定化するのを助ける乳化剤などの従来の添加剤も含んでよい。シルセスキオキサンおよび他のシリケート系微粒子などの耐擦傷性を改善する傾向がある他の添加剤を添加することが可能である。こうした追加の添加剤は、もちろん、塗料組成物の意図した用途に応じて異なる。硬化した塗料の透明性に悪影響を及ぼすいかなる添加剤も組成物を透明塗料として用いる時に含めない。前述した添加剤は塗料組成物の意図した用途に応じて一方の成分または両方の成分に添加してもよい。
【0042】
塗料の耐候性を改善するために、結合剤および架橋成分固形物の全重量を基準にして約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約2.5重量%、より好ましくは約1〜約2重量%の紫外線安定剤遮蔽剤、急冷剤および酸化防止剤を組成物に添加することが可能である。典型的な紫外線遮蔽剤および紫外線安定剤には、
ヒドロキシドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンおよびスルホン酸基を含むヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン、
【0043】
ジフェニロールプロパンのジベンゾエートおよびジフェニロールプロパンの第三ブチルベンゾエートなどのベンゾエート、
【0044】
トリアジンの3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル誘導体およびジアルキル−4−ヒドロキシフェニルトリアジンおよびヒドロキシフェニル−1,3,5−トリアジンの硫黄含有誘導体などのトリアジン、
【0045】
2−フェニル−4−(2,2’−ジヒドロキシベンゾイル)−トリアゾールなどのトリアゾールおよびヒドロキシ−フェニルトリアゾールなどの置換ベンゾトリアゾール、
【0046】
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルセバケート)およびジ[4(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)]セバケートなどのヒンダードアミンならびに上のいずれかの混合物が挙げられる。
【0047】
好ましくは、加水分解性オルトエステル基はオルトホルメート基である。なおより好ましくは、加水分解性オルトエステル基は以下の化学構造を有する。
【0048】
【化1】

【0049】
式中、R1およびR2は独立して炭素原子数1〜6のアルキル置換基または炭素原子数5〜7の環式置換基であり、R3は、H、炭素原子数1〜6のアルキル置換基、または芳香族置換基である。
【0050】
もう1つの実施形態において、本発明は塗料組成物を硬化させる方法であって、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートを少なくとも1種のオルトエステル化合物と熱で反応させる工程と、前記少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートのブロック化を解除するために前記熱反応工程の生成物を加水分解する工程と、前記少なくとも2個のヒドロキシル基を含むブロック化されていないポリ(メタ)アクリレートと少なくとも1種のポリイソシアネート化合物を反応させる工程とを含む方法に関する。
【0051】
好ましくは、オルトエステル化合物は以下の化学構造を有する。


【0052】
【化2】

【0053】
式中、R1およびR2は独立して炭素原子数1〜6のアルキル置換基または炭素原子数5〜7の環式置換基であり、R3は、H、炭素原子数1〜6のアルキル置換基、または芳香族置換基であり、R4は炭素原子数1〜6のアルキル置換基である。好ましいオルトエステル化合物には、トリエチルオルトホルメート、トリメチルオルトホルメート、トリエチルオルトプロピオネート、トリメチルオルトプロピオネートおよび2−エトキシ−1,3−ジオキサランが挙げられる。好ましい実施形態において、オルトエステル化合物はトリエチルオルトホルメートである。
【0054】
ブロック化反応は熱性であり、それは触媒を必要とせずに熱によって行われることを意味する。しかし、必要ならば、触媒を用いてもよい。ポリ(メタ)アクリレート化合物のヒドロキシル基をブロック化するために、ポリ(メタ)アクリレートは過剰のオルトエステル化合物と合わせて加熱される。熱反応は、好ましくは約70℃〜約200℃の温度範囲で行われ、なおより好ましくは約110℃〜約150℃の温度範囲で行われる。ヒドロキシル基は、例えば以下の反応によってブロック化される。
【0055】
【化3】

式中、R1およびR2は独立して炭素原子数1〜6のアルキル置換基または炭素原子数5〜7の環式置換基であり、R3は、H、炭素原子数1〜6のアルキル置換基、または芳香族置換基であり、R4は炭素原子数1〜6のアルキル置換基である。「ポリオール」はポリ(メタ)アクリレート主鎖を表す。
【0056】
ポリ(メタ)アクリレート化合物のヒドロキシル基をブロック化すると、塗料組成物の粘度を下げることが可能であり、従って、より高い固形物、より低いVOCの塗料組成物の調製を見込んでいる。必要ならば、ブロック化ポリ(メタ)アクリレート化合物の粘度は、例えば酢酸エチルを用いて調節することが可能である。
【0057】
別の実施形態において、本発明の塗料はスピロオルトカーボネート化合物とアミドアセタール化合物の少なくとも1方を含むことが可能である。スピロオルトカーボネート化合物は同時係属共有特許出願第60/261,450号明細書に記載され、アミドアセタール化合物は同時係属共有特許出願第60/509,885号明細書に記載されている。
【0058】
好ましくは、スピロオルトカーボネート化合物は以下の化学構造を有する。
【0059】
【化4】

【0060】
式中、R5およびR6は独立して少なくとも2個の橋架け炭素原子を有するヒドロカルビレン橋架け基または置換ヒドロカルビレン橋架け基である。酸素原子間の各橋において2または3個の原子が独立して存在することが好ましい。ヒドロカルビレンとは、炭素原子に対して2個の自由原子価を有し、両方の自由原子価が同じ炭素原子に対して同じでない炭素と水素のみを含む基を意味する。置換ヒドロカルビレンとは、関わる化合物の所望の反応または関わる化合物の形成を妨げない官能基によって1個以上の水素原子が置換されていることを意味する。好適な官能基には、ハロ、アルコキシ、ヒドロキシルなどを含むエーテルが挙げられる。
【0061】
5およびR6のために好ましい基はそれぞれ独立して式−CR78−CR910−(CR1112n−(式中、nは0または1であり、また、R7〜R12の各々は独立して水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであるが、但し、互いにビシナルまたはジェミナルなR7〜R12のいずれか2つが合一して環を形成することを条件とする)を有する。1つの好ましい形態において、R5およびR6は同じである。R7〜R12のために独立して好ましい基は水素、アルキル、特に炭素原子数1〜10のアルキル、より好ましくはメチルまたはエチル、およびヒドロキシアルキル、特にヒドロキシメチルである。特定の好ましい化合物のための置換パターンを表1に示している。
【0062】
表1

【0063】
好ましくは、アミドアセタール化合物は以下の化学構造を有する。
【0064】
【化5】

【0065】
式中、R13〜R21は独立して水素、C1〜C22アルキル、C1〜C20アルケニル、C1〜C20アルキニル、C1〜C20アリール、C1〜C20アルキルエステルまたはC1〜C20アラルキル基であり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキルはそれぞれハロ、アルコキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アルコキシシランおよびアミドアセタール(二官能性)ならびにカルバモイルからなる群から選択された少なくとも1個の置換基を任意に有する。
【0066】
更なる別の実施形態において、本発明の塗料は、従来のアクリルポリマー、ポリエステル、反応性オリゴマー、分散したアクリルポリマー、アルジミンまたはケチミンおよびポリアスパラギン酸エステルの少なくとも1つを含むことが可能である。
【0067】
本発明において用いるために好適な従来のアクリルポリマーは、5,000を上回る、好ましくは5,000〜20,000の範囲内、より好ましくは6,000〜20,000の範囲内、最も好ましくは8,000〜12,000の範囲内のGPC Mwを有することが可能である。アクリルポリマーのTgは0℃〜100℃の範囲内、好ましくは30℃〜80℃の範囲内で異なる。
【0068】
本発明において用いるために好適なアクリルポリマーは、1〜18個の範囲内、好ましくは1〜12個の範囲内のアルキル炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、スチレンならびにヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートなどの官能性モノマーなどの典型的なモノマーから従来通り重合させることが可能である。
【0069】
本発明において用いるために好適なポリエステルは、1,500を上回る、好ましくは1,500〜100,000の範囲内、より好ましくは2,000〜50,000の範囲内、なおより好ましくは2,000〜8,000の範囲内、最も好ましくは2,000〜5,000の範囲内のGPC Mwを有することが可能である。ポリエステルのTgは−50℃〜100℃の範囲内、好ましくは−20℃〜50℃の範囲内で異なる。
【0070】
好適なポリエステルは、脂環式ポリカルボン酸を含む好適な多酸および多価アルコールを含む好適なポリオールから従来通り重合させることが可能である。好適な脂環式ポリカルボン酸の例は、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリシクロデカンジカルボン酸、エンドエチレンヘキサヒドロフタル酸、樟脳酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸およびシクロブタンテトラカルボン酸である。脂環式ポリカルボン酸は、シス形態で用いることができるばかりでなく、トランス形態でもおよび両方の形態の混合物としても用いることが可能である。必要ならば脂環式ポリカルボン酸と合わせて用いることが可能である好適なポリカルボン酸の例は、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族および脂肪族のポリカルボン酸、テトラクロロフタル酸またはテトラブロモフタル酸などのハロゲノフタル酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、トリメリット酸およびピロメリット酸である。
【0071】
好適な多価アルコールには、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチルペンタンジオール、エチルブチルプロパンジオール、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアネート、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが挙げられる。必要ならば、例えば、ブタノール、オクタノール、ラウリルアルコール、エトキシル化フェノールまたはプロポキシル化フェノールなどの一価アルコールも多価アルコールに加えて含めてよい。本発明において用いるために好適なポリエステルの詳細は、米国特許第5,326,820号明細書において更に示されている。特に好ましい市販されている1種のポリエステルは、Enta Products Inc.,Chagrin Fall,Ohioによって供給されているSCD(登録商標)−1040ポリエステルである。
【0072】
有用な反応性オリゴマーは米国特許第6,221,494号明細書に含まれている。非脂環式(直鎖または芳香族)オリゴマーも必要ならば用いることが可能である。こうした非脂環式オリゴマーは、無水コハク酸または無水フタル酸あるいはそれらの混合物などの非脂環式無水物を用いることにより製造することが可能である。米国特許第5,286,782号明細書に記載されたカプロラクトンオリゴマーも用いることが可能である。
【0073】
有用な典型的な分散したアクリルポリマーは、ポリマー分散安定剤および有機溶媒の存在下で少なくとも1種のビニルモノマーを分散重合させることにより調製される。ポリマー分散安定剤は、分散したアクリルポリマーの分野で一般に用いられる既知の安定剤のいずれであってもよい。これらの分散したアクリルポリマーは米国特許第5,763,528号明細書に含まれている。
【0074】
好適なアルジミンは、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、ヘプトアルデヒドおよびシクロヘキシルアルデヒドなどのアルデヒドからアミンとの反応によって調製してもよい。アルジミンを形成するために用いてもよい代表的なアミンには、エチレンジアミン、エチレントリアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ビス(6−アミノヘキシル)エーテル、トリシクロデカンジアミン、N,N’−ジメチルジエチルトリアミン、シクロヘキシル−1,2,4−トリアミン、シクロヘキシル−1,2,4,5−テトラアミン、3,4,5−トリアミノピラン、3,4−ジアミノフランおよび脂環式ジアミンが挙げられる。
【0075】
好適なポリアスパラギン酸エステルは、イソホロンジアミンなどのジアミンとマレイン酸ジエチルなどのマレイン酸ジアルキルとの反応によって典型的に調製される。
【0076】
前述したポリアスパラギン酸エステルおよび選択されたアミンは、Desmophen(登録商標)アミン共反応物という商品名でBayer Corp.によって商業的に供給されている。
【0077】
好適なケチミンは、ケトンとアミンの反応によって典型的に調製される。ケチミンを形成するために用いてもよい代表的なケトンには、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ベンジルメチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノンが挙げられる。ケチミンを形成するために用いてもよい代表的なアミンには、エチレンジアミン、エチレントリアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ビス(6−アミノヘキシル)エーテル、トリシクロデカンジアミン、N,N’−ジメチルジエチルトリアミン、シクロヘキシル−1,2,4−トリアミン、シクロヘキシル−1,2,4,5−テトラアミン、3,4,5−トリアミノピラン、3,4−ジアミノフランおよび脂環式ジアミンが挙げられる。調製および他の好適なイミンは、米国特許第6,297,320号明細書に示されている。
【0078】
もう1つの実施形態において、本発明は、基材を被覆する方法であって、前記基材にベースコートを被着させる工程と、加水分解性オルトエステル基によってブロック化された少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートおよび少なくとも1種のポリイソシアネート化合物を含むクリアコートを前記ベースコート上にわたって被着させる工程と、前記少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートの前記オルトエステル基を加水分解する工程と、少なくとも1種のポリイソシアネート化合物との反応を通して前記加水分解工程のブロック化されていないポリ(メタ)アクリレートを架橋する工程とを含む方法に関する。
【0079】
塗料組成物は2パック塗料組成物の形で供給することが可能である。一般に、架橋性成分および架橋用成分はポットミックスを形成するために典型的には塗布直前に混合される。混合は従来の混合ノズルを通して、または容器内で別個に行うことが可能である。15μm〜200μmの範囲内の厚さを一般に有するポットミックスの層は、自動車車体または電着プライマなどのプレコート層を有する自動車車体などの基材上にわたって被着される。前述した塗布工程は、基材上にわたってポットミックスを吹き付けするか、静電吹き付けするか、ロール塗布するか、浸漬するか、またはブラシ掛けすることにより従来通り実行することが可能である。塗布後の層は典型的には乾燥させて、層の溶媒含有率を減少させ、その後、周囲温度から約204℃の温度範囲で硬化される。典型的な自動車相手先ブランド供給業者(「OEM」)用途下で、組成物の乾燥させた層は、約60℃〜約160℃の範囲の高温で約10〜60分後に典型的に硬化させることが可能である。好ましくは、自動車塗り換え用途に関しては、硬化は約60℃に至るおよその周囲温度で行うことが可能であり、頑丈なトラック車体用途に関しては、硬化は約60℃〜約80℃で行うことが可能である。周囲条件下の硬化は、所望の塗料特性を有する基材上の塗料を形成するために約30分〜24時間、一般には約30分〜4時間後に起きる。実際の硬化時間が被着させた層の厚さ、硬化温度、湿度および硬化速度を加速するために被覆された基材上にわたって空気を連続的に流すのを助けるファンなどの追加のあらゆる機械的補助に応じて異なることは更に言うまでもない。実際の硬化温度が触媒とその量、硬化される層の厚さ、および用いられる架橋成分の量に応じて異なることは言うまでもない。
【0080】
塗料組成物を被着させるために好適な基材には、自動車車体、自動車下位供給業者によって製造され塗装される一切の品目およびすべての品目、フレームレール、飲料用自動車車体、公益用車体、レディミクスコンクリート引き渡し車両車体、廃棄物処理車両車体および火災・緊急車両車体、ならびにこうしたトラック車体、バス、農場・建設装置のあらゆる潜在的付属品または部品に限定されないが、それらを含む商用トラックおよびトラック車体、トラックのキャップおよびカバー、商用トレーラー、消費者トレーラー、モーターホーム、キャンパー、コンバージョンバン、バン、プレジャービークル、プレジャークラフトスノーモービル、オールテレインビークル、パーソナルウォータークラフト、オートバイ、ボートおよび航空機に限定されないが、それらを含むレクリエーションビークルが挙げられる。基材には、工業用および商業用の新規構造およびその維持、セメントフロアおよび木材フロア、商用構造および居住構造の壁、こうした事務所ビルおよび家庭用住宅、アミューズメントパークの装置、駐車場およびドライブウェーなどのコンクリート表面、アスファルト道路表面およびコンクリート道路表面、木材基材、海洋表面、橋などの屋外構造、塔、コイル被覆、鉄道車両、印刷回路板、機械類、OEMツール、図形、フィンガーボール構造、スポーツ用品およびスポーツ装置が更に挙げられる。
【実施例】
【0081】
本発明を以下の実施例で更に定義する。これらの実施例が本発明の好ましい実施形態を示している一方で、例示としてのみ提示されていることが理解されるべきである。上での議論およびこれらの実施例から、当業者は本発明の好ましい特徴を確認することが可能であり、本発明の精神および範囲を逸脱せずに本発明の種々の変更および修正を行って、種々の用途および条件に本発明を適合させることが可能である。
【0082】
略称の意味は次の通りである。「hr.」は時間を意味する。「min.」は分を意味する。「sec.」は秒を意味する。「d.」は日を意味する。「ml」はミリリットルを意味する。「cm」はセンチメートルを意味する。「mm」はミリメートルを意味する。「g」はグラムを意味する。「N」はニュートンを意味する。「HEMA」は2−ヒドロキシエチルメタクリレートを意味する。「IBOA」はイソボルニルアクリレートを意味する。「MMA」はメチルメタクリレートを意味する。「Mn」は数平均分子量を意味する。「Mw」は重量平均分子量を意味する。「cps」はセンチポイズを意味する。
【0083】
実施例1
オルトエステル組成物A
芳香族炭化水素中のHEMA/IBOAコポリマー(HEMA/IBOA=37/63;「Mn」=1,700;「Mw」=2,450)の55%溶液200mlをマグネチックスターラー、熱電対および下向きコンデンサが装着された0.5リットルのフラスコに入れた。フラスコを窒素ガスでフラッシュし、100mlの2−エトキシ−1,3−ジオキサランを添加した。フラスコを150℃の油浴に1.5時間にわたり入れた。その後、15トルの真空を油浴内に140℃で加えて、すべての揮発性成分を除去した。1時間後、フラスコを窒素で充填し、30mlの乾燥酢酸ブチルを添加して粘度を調節した。ポリマー溶液を室温に冷却し、気密容器に分散させた。混合物のIRスペクトルによると、3,100〜3,300cm-1領域でヒドロキシル基から有意な信号が示されなかった。
【0084】
実施例2
オルトエステル組成物B
芳香族炭化水素中のHEMA/MMA/IBOAコポリマー(HEMA/MMA/IBOA=21/15/63;「Mn」=1,490;「Mw」=2,330)の55%溶液1,700mlを機械的スターラー、熱電対および下向きコンデンサが装着された2リットルのフラスコに入れた。フラスコを窒素ガスでフラッシュし、350mlの2−エトキシ−1,3−ジオキサランを添加した。フラスコを150℃の油浴に1時間にわたり入れた。その後、15トルの真空を油浴内に140℃で加えて、すべての揮発性成分を除去した。1時間後、フラスコを窒素で充填し、100mlの乾燥酢酸エチルを添加して粘度を調節した。ポリマー溶液を室温に冷却し、気密容器に分散させた。混合物のIRスペクトルによると、3,100〜3,300cm-1領域でヒドロキシル基から有意な信号が示されなかった。
【0085】
実施例3
オルトエステル組成物C
芳香族炭化水素中のHEMA/IBOAコポリマー(HEMA/IBOA=37/63;「Mn」=1,700;「Mw」=2,450)の55%溶液400mlをマグネチックスターラー、熱電対および下向きコンデンサが装着された1リットルのフラスコに入れた。フラスコを窒素ガスでフラッシュし、400mlのトリエチルオルトホルメートを添加した。フラスコを150−170℃の油浴に1.5時間にわたり入れた。その後、15トルの真空を油浴内に70℃で加えて、すべての揮発性成分を除去した。1時間後、フラスコを窒素で充填し、30mlの乾燥酢酸エチルを添加して粘度を調節した。ポリマー溶液を室温に冷却し、気密容器に分散させた。混合物のIRスペクトルによると、3,100〜3,300cm-1領域でヒドロキシル基から有意な信号が示されなかった。
【0086】
実施例4
3種の塗料組成物を作った。第1の塗料Aは、非保護HEMA/MMA/IBOAもオルトエステル保護HEMA/MMA/IBOAも含んでいなかった。第2の塗料Bは、保護HEMA/MMA/IBOA(オルトエステル組成物Bの形で)を含んでいた。第3の塗料Cは、非保護HEMA/MMA/IBOAを含んでいた。塗料組成物を作るために、表2の成分を混合した。すべての3種の塗料は、同時係属共有特許出願第60/261,450号明細書の実験2に記載されたスピロオルトカーボネート成分(3,9−ジブチル−3,9−ジエチル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)を含んでいた。前記特許出願において、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールの代わりに用いられている。
【0087】
表2

1:Byk−Chemieによって供給されたポリエーテル−変性ジメチルポリシロキサン
【0088】
表3の成分を混合した。
【0089】
表3

1:Bayer Corp.によって供給されたイソホロンジイソシアネートのイソシアネートトリマー
2:Bayer Corp.によって供給されたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアネートトリマー
【0090】
表3の塗料ごとに得られた混合物を表2の塗料ごとに得られた混合物に添加し、攪拌した。これらの混合物にNacure(登録商標)XP−221を添加した。3種の塗料組成物の最終体積を表4に記載している。
【0091】
表4

1:イソプロパノール中のドデシルベンゼンスルホン酸の70%溶液、King Industries,Norwalk,Conn.
【0092】
3種の塗料組成物のGardner Holt粘度、綿不粘着時間、BK3時間および水スポット評点を試験した。
【0093】
Gardner Holt粘度はASTM試験D1545下で測定した。
【0094】
綿不粘着時間を決定するために、被覆したパネルを放置して設定時間(例えば30分)にわたり乾燥させる。綿ボールをパネルの表面上に2.5cmの高さから落とし、綿ボールを設定時間間隔(例えば、30分の間隔)にわたって表面上に残す。その後、パネルを逆にする。綿ボールが逆位上でパネルから落ちるまでこれらの工程を繰り返した(すなわち、綿不粘着時間)。
【0095】
組成物の被覆された層の乾燥時間は、ASTM試験D5895下でBK3表面乾燥時間として測定した。
【0096】
水スポット評点は、塗料組成物の硬化に際して塗料組成物がどのようにうまく早期に架橋されるかの目安である。塗料組成物上の水スポット損傷は、硬化が完全でなく、塗料組成物を湿式サンダー掛けできるか、バフ仕上げできるか、または吹付室から取り出すことができる前に塗料組成物の更なる硬化を必要とすることを表している。水スポット評点は次の通り決定する。試験塗料組成物で被覆されたパネルを平坦表面上に置き、脱イオン水を1時間間隔でピペットにより被着させた。直径約1.25cmの滴をパネル上に置き、放置して蒸発させた。パネル上のスポットの変形および変色を検査した。パネルを脱イオン水で湿らせたチーズクロスで軽く拭き取り、その後、クロスでパネルを軽く拭き取って乾燥させた。その後、パネルを1〜10の尺度で採点した。10の評点は最善−班点発生、変色の歪みの証拠なし。評点9−殆ど検出できない。評点8−わずかな環、評点7−非常にわずかな変色またはわずかな歪み。評点6−わずかな光沢損失またはわずかな変色。評点5−明らかな光沢損失または変色。評点4−わずかな蝕刻または明らかな歪み。評点3−軽い浮き、悪い蝕刻または変色。評点2−明らかな浮き。評点1−塗料組成物の溶解。
【0097】
表5は、実質的にポットライフを損なわずに塗料Aと比べてオルトエステル基(オルトエステル組成物B)の添加のゆえに塗料Bにおいて硬化改善が見られたことを示している。塗料Bに対する塗料Cは、保護材料(B)に対する非保護材料(C)の比較である。塗料Bは硬化が似ていて、より高い固形物(固形物72%に対する75%)で、より良好なポットライフを有する。
【0098】
表5

【0099】
実施例5
塗料組成物D−Hの各々に関して、部分1、2、3を合わせて混合して表6に示した塗料組成物を形成した。塗料GおよびHは同時係属共有特許出願第60/509,885号明細書の実施例4に記載されたようにアミドアセタール化合物を含んでいた。PPG,Pittsburgh,PAによって供給されたPowerCron(登録商標)プライマの層で下塗りされた別々のホスフェート化コールドロールスチールパネル上にわたってドクターブレードにより塗料組成物の各々を50μmの乾燥塗料厚さに被着させた。塗料組成物D〜Fを周囲温度条件で空気乾燥させ、パネルの第2のセットを60℃で20分にわたり焼成した。塗料組成物GおよびHを60℃で20分にわたり焼成した。
【0100】
表6

1:Byk−Chemieによって供給されたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中の20%BYK(登録商標)301流動添加剤
2:塗料組成物D−F;Elf−Atochem North Americaによって供給された酢酸エチル中の1%ジブチル錫ジラウレート
3:塗料組成物G−H;Elf−Atochem North Americaによって供給された酢酸エチル中の10%ジブチル錫ジラウレート
4:Rhodia,Inc.(Cranbury)によって供給されたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアネートトリマー
5:Bayer Corp.によって供給されたイソホロンジイソシアネートのイソシアネートトリマー
6:Bayer Corp.によって供給されたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアネートトリマー
7:King Industriesによって供給されたイソプロパノール中の芳香族スルホン酸、Nacure(登録商標)XP−221
【0101】
塗料組成物のBK3時間、BK4時間、綿不粘着時間、水スポット評点、膨潤比、ペルソ硬度、フィッシャー硬度、MEK耐溶剤性、ゲルフラクション、粘度、ゲル化する時間および重量固形物を試験した。
【0102】
綿不粘着時間、BK3時間および水スポット評点試験を実施例5に記載されたように行った。
【0103】
組成物の被覆された層の乾燥時間もASTM試験D5895下でBK4表面乾燥時間として測定した。
【0104】
自由フィルム(TPO−熱可塑性オレフィンのシートから除去されたもの)の膨潤比は、塩化メチレン中でフィルムを膨潤させることにより決定した。自由フィルムをアルミニウムフォイルの2層の間に置き、LADDパンチを用いて直径約3.5mmのディスクをフィルムから打ち抜き、フォイルをフィルムから除去した。10倍の倍率およびフィラーレンズを有する顕微鏡を用いて未膨潤フィルムの直径(「D0」)を測定した。塩化メチレンの4滴をフィルムに添加し、フィルムを放置して数秒にわたり膨潤させ、その後、ガラススライドをフィルム上にわたって置き、膨潤フィルムの直径(「Ds」)を測定した。その後、膨潤比を次の通り計算した。膨潤比=(Ds2/(D02
【0105】
BYK−Mallinckrodt,Wallingford,Conn.によって供給されたペルソ硬度テスター、モデルNo.5854(ASTM D4366)を用いることにより、塗料のフィルム硬度(ペルソ硬度)の変化を時間に対して測定した。振動数(ペルソ数と呼ぶ)を記録した。
【0106】
Fischerscope(登録商標)硬度テスターを用いてフィッシャー硬度を測定した(測定はN/mm2である)。
【0107】
摩擦機械を用いてMEK(メチルエチルケトン)浸漬布地により被覆されたパネルを摩擦する(100回)ことによりMEK耐溶剤性試験を行い、過剰のMEKは拭い取った。その後、パネルを1〜10で採点した。10の評点は塗料に対する目に見える損傷がないことを意味し、9は1〜3つの別個の掻き傷を意味し、8は4〜6つの別個の掻き傷を意味し、7は7〜10の別個の掻き傷を意味し、6は若干の点腐食または若干の色損失と合わせた10〜15の別個の掻き傷を意味し、5は若干から中程度の点腐食または中程度の色損失と合わせた15〜20の別個の掻き傷を意味し、4は掻き傷が互いに混ざり合い始めることを意味し、3は混ざり合った掻き傷の間に損傷のない領域がわずかのみを意味し、2は損傷のないペイントの目に見える兆候がないことを意味し、1は完全破断を意味する。すなわち、露出スポットを示している。摩擦の回数に評点を乗算することにより最終評点を得た。
【0108】
ゲルフラクションは、米国特許第6,211,494号明細書、欄8列56〜欄9列2において記載された手順により測定した。これらの手順は参照により本明細書に援用する。
【0109】
粘度は、10,000秒-1剪断速度でのセンチポイズでICIコーン&プレート粘度計で、および/またはZahn#2カップ粘度計を用いて秒で測定した。
【0110】
ゲル化する時間は液体塗料がゲル化するのに要する時間である。
【0111】
前もって秤量したアルミニウム皿を用いて重量固形物を測定する。
1)ExxonMobil Chemical Company(Houston,TX)製の芳香族100溶媒2〜4mlをアルミニウム皿に入れる。
2)前記溶媒を含む皿に0.2〜0.4gの実験材料を秤量して入れる。
3)多成分クリア塗料を放置して室温で60分にわたり静置する。
4)その後、サンプルを110±5℃で60分にわたりオーブンに入れる。
5)サンプルをオーブンから取り出し、放置して室温に冷却し、秤量する。
6)重量固形物を次の通り計算する。
重量固形物=オーブン加熱後Al皿中のサンプルの重量/初期実験サンプルの重量×100
試験の結果を表7に示している。

























【0112】
表7



【0113】
塗料Dに対して塗料EおよびFを比較すると、塗料中にヒドロキシル基を有するより従来のポリアクリレートの使用に対して保護ヒドロキシル基を有するポリマーを用いる大幅な利点を示している。塗料EおよびFは改善されたBK3時間ならびにより高い4時間室温硬度および1日室温硬度によって示されるように、塗料Dに対して大幅に改善されたゲル化する時間および早期硬化を有する。
【0114】
塗料GおよびHは、保護ヒドロキシルを有するポリマーを用いる塗料が良好な硬化およびポットライフ(>24ゲル化する時間および粘度が二倍になるのに6時間以下)を維持しつつ非常に高い固形物(83〜85%)および低いVOC(<2.1ポンド/ガロン)で製造することが可能であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)加水分解性オルトエステル基によってブロック化された少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートと、
(b)少なくとも1種のポリイソシアネート化合物と
を含む塗料組成物。
【請求項2】
前記加水分解性オルトエステル基はオルトホルメート基である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記加水分解性オルトエステル基は、
【化1】

(式中、R1およびR2は独立して炭素原子数1〜6のアルキル置換基または炭素原子数5〜7の環式置換基であり、
3は、H、炭素原子数1〜6のアルキル置換基、または芳香族置換基である)
である、請求項2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記ポリ(メタ)アクリレートのヒドロキシル基の約30〜100%は加水分解性オルトエステル基によってブロック化されている、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記ポリ(メタ)アクリレートは約200〜約50,000の数平均分子量を有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のポリイソシアネート化合物は約0.5〜約5の前記ポリ(メタ)アクリレートに対するモル当量比で存在する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項7】
顔料、充填剤、溶媒、触媒および従来の添加剤の少なくとも1種を更に含む、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項8】
オルトスピロカーボネート化合物およびアミドアセタール化合物の少なくとも1種を更に含む、請求項1に記載の塗料組成物。










【請求項9】
前記スピロオルトカーボネート化合物は、
【化2】

(式中、R5およびR6は独立して少なくとも2個の橋架け炭素原子を有するヒドロカルビレン橋架け基または置換ヒドロカルビレン橋架け基である)
である、請求項8に記載の塗料組成物。
【請求項10】
5およびR6は独立して−CR78−CR910−(CR1112n
(式中、nは0または1であり、また、
7〜R12は独立して水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであるが、但し、互いにビシナルまたはジェミナルなR7〜R12のいずれか2つが合一して環を形成することを条件とする)
である、請求項9に記載の塗料組成物。
【請求項11】
前記アミドアセタール化合物は、
【化3】

(式中、R13〜R21は独立して水素、C1〜C22アルキル、C1〜C20アルケニル、C1〜C20アルキニル、C1〜C20アリール、C1〜C20アルキルエステルまたはC1〜C20アラルキル基であり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキルはそれぞれハロ、アルコキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アルコキシシランおよびアミドアセタール(二官能性)ならびにカルバモイルからなる群から選択された少なくとも1個の置換基を任意に有する)
である、請求項8に記載の塗料組成物。
【請求項12】
アクリルポリマー、ポリエステル、反応性オリゴマー、非アクリルオリゴマー、分散したアクリルポリマー、アルジミン、ケチミンおよびポリアスパラギン酸エステルの少なくとも1種を更に含む、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項13】
前記塗料組成物は透明塗料組成物、顔料入り組成物、ベースコート組成物、モノコート組成物またはプライマである、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項14】
塗料組成物を硬化させる方法であって、
(a)少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートを少なくとも1種のオルトエステル化合物と熱で反応させる工程と、
(b)前記少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートのブロック化を解除するために工程(a)の生成物を加水分解する工程と、
(c)前記少なくとも2個のヒドロキシル基を含むブロック化されていないポリ(メタ)アクリレートと少なくとも1種のポリイソシアネート化合物を反応させる工程と
を含む方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種のオルトエステル化合物はオルトホルメート化合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種のオルトエステル化合物は、
【化4】

(式中、R1およびR2は独立して炭素原子数1〜6のアルキル置換基または炭素原子数5〜7の環式置換基であり、
3は、H、炭素原子数1〜6のアルキル置換基、または芳香族置換基であり、
4は炭素原子数1〜6のアルキル置換基である)
である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種のオルトエステル化合物はトリエチルオルトホルメートである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリ(メタ)アクリレートのヒドロキシル基の約30〜100%は加水分解性オルトエステル基によってブロック化されている、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリ(メタ)アクリレートは約200〜約50,000の数平均分子量を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
基材を被覆する方法であって、
(a)前記基材にベースコートを被着させる工程と、
(b)(i)加水分解性オルトエステル基によってブロック化された少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートおよび
(ii)少なくとも1種のポリイソシアネート化合物
を含むクリアコートを前記ベースコート上にわたって被着させる工程と、
(c)前記少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートの前記オルトエステル基を加水分解する工程と、
(d)少なくとも1種のポリイソシアネート化合物との反応を通して工程(c)のブロック化されていないポリ(メタ)アクリレートを架橋する工程と
を含む方法。
【請求項21】
加水分解性オルトエステル基はオルトホルメート基である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記加水分解性オルトエステル基は、
【化5】

(式中、R1およびR2は独立して炭素原子数1〜6のアルキル置換基または炭素原子数5〜7の環式置換基であり、R3は、H、炭素原子数1〜6のアルキル置換基、または芳香族置換基である)
である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリ(メタ)アクリレートのヒドロキシル基の約30〜100%は加水分解性オルトエステル基によってブロック化されている、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリ(メタ)アクリレートは約200〜約50,000の数平均分子量を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1種のポリイソシアネート化合物は約0.5〜5の前記ポリ(メタ)アクリレートに対するモル当量比で存在する、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記基材は自動車または自動車部品である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
ポリ(メタ)アクリレートのヒドロキシル基をブロック化する方法であって、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートを少なくとも1種のオルトエステル化合物と熱で反応させることを含む方法。
【請求項28】
前記少なくとも1種のオルトエステル化合物はオルトホルメート化合物である、請求項27に記載の方法。






【請求項29】
前記少なくとも1種のオルトエステル化合物は、
【化6】

(式中、R1およびR2は独立して炭素原子数1〜6のアルキル置換基または炭素原子数5〜7の環式置換基であり、
3は、H、炭素原子数1〜6のアルキル置換基、または芳香族置換基であり、
4は炭素原子数1〜6のアルキル置換基である)
である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種のオルトエステル化合物はトリエチルオルトホルメートである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリ(メタ)アクリレートは約200〜約50,000の数平均分子量を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】

【化7】

(式中、R1およびR2は独立して炭素原子数1〜6のアルキル置換基または炭素原子数5〜7の環式置換基であり、R3は、H、炭素原子数1〜6のアルキル置換基、または芳香族置換基である)
を含む加水分解性オルトエステル基によってブロック化された少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【請求項33】
請求項1に記載の塗料組成物で被覆された基材。

【公表番号】特表2007−530734(P2007−530734A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505016(P2007−505016)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/008887
【国際公開番号】WO2005/092934
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】