説明

低pH親和性を有するコルチコステロイド化合物及びビタミンD含有化合物を含む安定な薬理活性組成物

少なくとも1のビタミンD含有化合物、少なくとも1のコルチコステロイド化合物、及びトリグリセリド、ソルビタン、ソルビタン脂肪エステル、セテアリルグルコシド、PEG-nステアリン酸ソルビタン、アクリルアミド/ナトリウムアクリロジメチルタウレートコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1の溶媒成分を含む医薬組成物を提供する。このような組成物を製造する方法、及びこのような組成物を用いた乾癬の治療法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物を含む組成物に関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2006年8月29日に出願された米国特許出願第60/841,64の利益を主張する。当該出願はその全てを本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
ビタミンDは脂溶性ビタミンである。ビタミンDは食品に見られるが、紫外線に晒された後に体内でも作ることができる。ビタミンDは幾つかの化学形態が知られており、その各々が異なる活性を有する。いくつかの形態は体内では比較的不活性であり、そしてビタミンとして機能する限定された能力しか持たない。肝臓及び腎臓は、ビタミンDをその活性ホルモン形態へと変換することを助ける。ビタミンDの主要な生物学的機能は、カルシウム及びリンの通常の血液レベルを維持することである。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、健常な骨の形成及び維持を手助けする。1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の構造は以下の:
【化1】

に示される。
【0004】
ジプロピオン酸ベタメタゾン(9-フルオロ-11β,17,21トリヒドロキシ-16β-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン17,21-ジプロピオナートは、典型的なコルチコステロイドである。当該物質は、抗炎症性、止痒性、欠陥収縮性及び免疫抑制性質を有するが、原因となる病気を治療することはない。局所ステロイドの抗炎症活性のメカニズムは、一般的に不明である。放射性標識された軟膏についての臨床研究により、通常の皮膚に12時間適用された場合に、基準製品DOVOBETから、浸透性のベンゾメタソンの吸収は、用量の1%未満であるということが示される。当該製品は白色〜ほぼ白色の粉末である。ジプロピオン酸ベタメタゾンの構造は以下の:
【化2】

に示される。
【0005】
コルチコステロイドなどの局所ステロイド化合物と、ビタミンD含有化合物若しくはビタミンD含有アナログ、例えばカルシポトリエン(カルシポトリオール)は、乾癬又は他の炎症性疾患を治療するために使用される。局所コルチコステロイドとカルシポトリエンは、乾癬の治療のために別々に使用されてきた。別々に適用する必要性を避けるために、同じ治療においてカルシポトリエンなどのビタミンD-含有アナログとコルチコステロイドとを混合することは明らかに有用であろう。
【0006】
しかしながら、現在市販されているコルチコステロイドとカルシポトリエン製剤との間の不適合性が報告されているため、2つの製品を同時に適用することは明らかに推奨されない。これらの二つのクラスの成分は、互いに大きく異なる特異的最適安定pH値を有することが多い。例えば、ビタミンDのクラスのほかのメンバーと同様にビタミンD-含有アナログであるカルシポトリエンは、約8より高いpHで最も安定であると報告されている。他方、他のコルチコステロイドと同様にベタメタゾンは、約4〜約6の範囲のpHで最も安定であると報告されている。最大安定pH値が異なる結果として、ステロイド化合物及びビタミンD-含有アナログを含む安定な局所製剤を剤形することは課題となりうる。さらに、例えばクリーム又は軟膏などの局所製剤の製造において従来使用された賦形剤は、酸性又はアルカリ性であることが多く、二つの活性成分の組み合わせを潜在的に不安定なものとする。
【0007】
ビタミンD含有アナログの多型は、安定性に影響を与えると報告されていた。米国特許第5,763,426号は、カルシポトリオール水和物が「驚くほど安定である」と主張する。
【0008】
米国特許第6,753,013号は、ビタミンD含有アナログとコルチコステロイドの組み合わせを含む皮膚用の医薬組成物であって、溶媒成分(一般的にエーテル又はアルコール)をWO化合物と混合して、異なるpH安定性プロファイルにかかわらず共存させた医薬組成物を記載した。しかしながら、013特許のすべての実施例及び具体的に開示された実施態様は、使用されるカルシポトリオールがより「安定である(と報告されている)」水和形態であるということを開示する。
【0009】
さらにPCT公開02/45235は、いくつかのビタミンDアナログが、エステル中の不純物として見られるかなり少量の遊離脂肪酸の存在下で分解される傾向があるということを示し、エステルが一般的にビタミンDと適合しないということを示し、そしてその結果、このようなビタミンDアナログを含む組成物中に含めるために好ましい界面活性剤は、エーテルであるということを示唆する。
【0010】
さらに、EP公開0679154号は、無水形態と比較して高い安定性を有することが述べられたカルシポトリオールの水和結晶形態を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ビタミンD含有アナログの水和状態にかかわらず安定である、ビタミンD含有アナログ及びコルチコステロイド化合物を含む医薬組成物を提供する必要性が、当該技術分野に存在する。
【0012】
本明細書に使用される場合、「安定」という語句は、密閉容器中に指定温度で指定時間インキュベートしたときに、元の量の+/-10重量%、好ましくは6重量%の範囲内で残存する活性化合物を指す。
【0013】
本明細書に使用される場合、「硬化剤」という語句は、組成物に加えられた場合に組成物に剛性を与える化合物を指す。
【0014】
本明細書に使用される場合、「無水」という語句は、当該技術分野において理解されているように、水和水を伴わない任意の化合物を意味する。
【0015】
本明細書に使用される場合、「中鎖トリグリセリド」という語句は、例えばカプリル酸(オクタン酸、C8162)及びカプリン酸(デカノン酸、C10202)などの飽和脂肪酸を指し、これはココヤシ(Cocos nucifera L.)の内胚乳の硬い乾燥画分又はギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis Jacq)の乾燥内胚乳から得ることができ、そして最低95%の8及び10個の炭素原子を有する飽和脂肪酸を有する。
【0016】
本発明は、溶媒中にビタミンD含有化合物アナログ及びコルチコステロイド化合物を含む安定な組成物を示し、当該組成物は局所適用に適している。
【0017】
好ましくは、ビタミンD含有化合物は、カルシポトリエン、及びより好ましくはカルシポトリエン無水物を含む。好ましくは、ビタミンD含有化合物は、少なくとも約50重量%のカルシポトリエン無水物を含み、そして好ましい濃度のカルシポトリエン無水物、つまり最終生成物中に0.1〜0.001(重量)%のカルシポトリエン無水物をもたらす。
【0018】
好ましくは、コルチコステロイド化合物はベタメタゾン、そしてより好ましくはジプロピオン酸ベタメタゾンを最終生成物の0.1〜0.01(重量)%の濃度で含む。好ましくは、組成物は、カルシポトリエン無水物とジプロピオン酸ベタメタゾンの両方を含む。
【0019】
さらに、溶媒成分は、中鎖(好ましくは6〜12個の炭素原子の)脂肪酸グリセリンエステル、トリグリセリド又はポリソルベートのうちの少なくとも1を含む。好ましくは、当該組成物は、抗酸化剤、硬化剤(オイルマトリクス形成薬剤)、又は保存剤、例えばトコフェロール、BHT、若しくはBHAのうちの少なくとも1を含む。
【0020】
好ましくは、組成物は以下の安定性プロファイル:
(a)組成物を40℃で1ヶ月、好ましくは3ヶ月貯蔵した場合に、定量アッセイにより計測された際に組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物の量が安定である(元の量の+/-10%、好ましくは6%);及び/又は
(b)組成物を55℃で3日間貯蔵した場合に、定量アッセイにより計測された際に組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物の量が安定である(上で定義したとおりである)
のうちの少なくとも1を有する。
上の両方の場合において、安定性は密閉容器中で指定時間、指定温度でインキュベートした後に計測され;安定性は指定成分の任意の定量アッセイにより測定され、そして好ましくは、当該技術分野において知られているHPLC方法により測定される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施態様は、ビタミンD含有化合物、例えばカルシポトリエンが無水化合物である場合でさえ、ビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物が分解せずに共存する溶媒成分を含む組成物を提供する。
【0022】
1の実施態様では、本発明は、乾癬又はほかの炎症性疾患の治療用の2ステップ又はマルチステップのレジメンの不都合を避ける医薬組成物を提供する。かかる組成物は、患者のコンプライアンスを増加させ、そして乾癬患者のクオリティオブライフを実質的に改善する。さらに、カルシポトリオールの無水形態を使用できる安定組成物は、活性成分の選択において処方者に対しさらなる選択を提供するであろう。
【0023】
別の実施態様では、本発明は少なくとも1のビタミンD含有化合物、少なくとも1のコルチコステロイド化合物、及びトリグリセリド、ソルビタン、ソルビタン脂肪エステル、セテアリル・グルコシド、PEG-nステアリン酸ソルビタン、アクリルアミド/ナトリウム アクロリロイルジメチル タウレート コポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1の溶媒を含む局所適用用の医薬組成物を提供する。
【0024】
1の実施態様では、本発明は、少なくとも1のビタミンD含有化合物、少なくとも1のコルチコステロイド化合物、及びトリグリセリド、好ましくはMiglyol(登録商標)810、Miglyol(登録商標)812、Myritol(登録商標)318(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドの混合物)、ソルビタン、及びソルビタン脂肪エステル、例えばモノステアリン酸ソルビタン、セテアリル グルコシド、PEG-nステアリン酸ソルビタン、アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチル タウレート コポリマー、及びその混合物からなる群から選ばれる少なくとも1の溶媒成分を含む局所適用用の医薬組成物を包含する。本明細書に使用される場合、「中鎖トリグリセリド」という語句は、カプリル酸(オクタン酸、C8162)及びカプリン酸(デカン酸、C10202)などの飽和脂肪酸のトリグリセリドの混合物を指し、これらはココヤシ(Cocos nucifera L.)の内胚乳の硬い乾燥画分又はギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis Jacq)の乾燥内胚乳から得ることができ、そして8及び10個の炭素原子を有する最低95%飽和脂肪酸を有する。
【0025】
本明細書に使用される場合、「ビタミンD含有化合物」という語句は、ビタミンD、そのプロドラッグ、天然又は合成アナログ、ならびに無水物、水和物、溶媒和物、又は非晶形を含む。好ましいビタミンD含有化合物は、カルシポトリエン(カルシポトリオール)、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、又は1(S),3(R)ジヒドロキシ-20(R)-[((3(2-ヒドロキシ-2-プロピル)-フェニル)-メトキシ)メチル]-9,10-セコ-プレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエンを含む。好ましくは、ビタミンD含有化合物は、カルシポトリエンであり、そしてより好ましくはカルシポトリエン無水物である。また好ましくは、ビタミンD含有化合物は、少なくとも約50重量%カルシポトリエン無水物を含む。
【0026】
好ましくは、かかる組成物中のビタミンD-含有化合物は、カルシポトリエン無水物である。本明細書に使用される場合、「無水物」という語句は、水和水を持たないということを意味する。より好ましくは、かかる組成物中のビタミンD含有化合物は、当該技術分野において知られている任意の定量アッセイにより計測された場合に少なくとも約50重量%(より好ましくは少なくとも約70重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約90重量%)のカルシポトリエン無水物を含む。好ましいアッセイは、HPLCの使用及び標準溶液に対する比較である。
【0027】
より好ましくは、ビタミンD含有化合物は、少なくとも約50重量%のカルシポトリエン無水物を含む。好ましくは、コルチコステロイド化合物は、ベタメタゾン、そしてより好ましくはジプロピオン酸ベタメタゾンを含む。好ましくは、当該溶媒成分は、少なくとも1の中鎖トリグリセリド又はポリソルベートを含む。好ましくは、本方法はさらに、少なくとも1の抗酸化剤、硬化剤、又は保存料を混合することを含む。
【0028】
好ましいコルチコステロイド化合物は、ベタメタゾン(9-フルオロ-11,17,21-トリヒドロキシ-16-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)及びそのエステル、例えば21-酢酸エステル、17-アダマントエート、17-安息香酸エステル、17-吉草酸エステル、及び17,21ジプロピオン酸エステル;アルクロメタゾン及びそのエステル、例えばジプロピオン酸エステル;クロベタゾール及びそのエステル、例えばプロピオン酸エステル;クロベタゾン及びそのエステル、例えば17-酪酸エステル;デスオキシメタゾン;ジフルコルトロン及びそのエステル、ジフロラゾン及びそのエステル、例えば二酢酸エステル;フルオシノニド;フルメタゾン及びそのエステル、例えばピバル酸エステル;フルオシノロン並びにそのエーテル及びエステル、例えばアセトニド;フルチカゾン及びそのエステル、例えばプロピオン酸エステル;フルプレドニデン及びそのエステル、例えば酢酸エステル;ハルシノニド;ヒドロコルチゾン及びそのエステル、例えば17-酪酸エステル;モメタゾン及びそのエステル、例えばフロ酸エステル;並びにトリアムシノロン及びそのエーテル及びエステル、例えばアセトニドを含む。ベタメタゾン又はそのエステル、例えば吉草酸エステル又はジプロピオン酸エステルが好ましい。
【0029】
溶媒成分は、好ましくは少なくとも1のトリグリセリド、ソルビタン、ソルビタン脂肪エステル、セテアリル グルコシド、PEG-nステアリン酸ソルビタン、又はアクリルアミド/ナトリウム アクリロイルジメチル タウレートコポリマーを含む。好ましくは、溶媒成分は、少なくとも1の中鎖(好ましくは6〜12炭素原子)脂肪酸グリセリンエステル、トリグリセリド又はポリソルベートを含む。
【0030】
好ましくは、本発明の組成物は、さらに少なくとも1の抗酸化剤、硬化剤(オイルマトリックス形成剤)、又は保存料、例えばトコフェロール、BHT、又はBHAを含む。
【0031】
好ましい実施態様では、組成物は、カルシポトリエン無水物、ジプロピオン酸ベタメタゾン、パラフィン、中鎖トリグリセリド、及びトコフェロールを含む。
【0032】
別の好ましい実施態様では、組成物はカルシポトリエン無水物、ジプロピオン酸ベタメタゾン、パラフィン、ポリソルベート、及びトコフェロールを含む。好ましい実施態様では、組成物が40℃で1ヶ月間貯蔵された場合に、組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物のアッセイは安定(上で定義される)であり、そして組成物が55℃で3日間貯蔵された場合に、組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物のアッセイは安定(上で定義される)である。同一又は異なる好ましい実施態様では、組成物が40℃で1ヶ月間、好ましくは3ヶ月間貯蔵された場合に、組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物のアッセイは、ほぼ同じであり、そして組成物を55℃で3日間貯蔵した場合に、組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物のアッセイは安定(上で定義される)である。
【0033】
好ましい実施態様では、本発明の組成物は、以下の安定性プロファイル:
(a)定量アッセイにより計測される組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物の量は、当該組成物が40℃で1ヶ月間、好ましくは3ヶ月間貯蔵される場合、ほぼ同じであり(元の量の+/-10%、好ましくは6%の範囲内)、及び/又は
(b)定量的アッセイにより計測される際に組成物中におけるビタミンD-含有化合物及びコルチコステロイド化合物の量は、組成物が55℃で3日間貯蔵された場合にほぼ同じ(上で定義される)である、
のうちの少なくとも1を有する。
【0034】
別の実施態様では、少なくとも1のビタミンD含有化合物、少なくとも1のコルチコステロイド化合物、及びトリグリセリド、ソルビタン、ソルビタン脂肪エステル、セテアリルグルコシド、PEG-nステアリン酸ソルビタン、アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー、及びその混合物を混合して組成物を形成することを含む、局所適用用の医薬組成物の製造方法を提供する。
【0035】
本発明の組成物は、当業者に周知の方法に従って調製されてもよい。好ましい実施態様では、本方法は、ビタミンD-含有化合物を少なくとも1の溶媒成分に溶解し、そしてコルチコステロイド化合物と混合することを含む。
【0036】
好ましい実施態様では、本方法は、ビタミンD-含有化合物、溶媒成分、及びパラフィンの混合物を調製し;コルチコステロイド化合物及びミネラルオイル(又は、パラフィンマトリクスを組成物に均一に分散するのを助け、及び/又は所望の標的に対して均一層(even layer)として次の組成物を適用する能力に寄与する同様の物質)の混合物を調製し;そして混合物を混合して組成物を形成することを含む。
【0037】
好ましくは、本方法は、カルシポトリエン、少なくとも1の中鎖トリグリセリド又はポリソルベート、及び溶融パラフィンの混合物を調製し;ジプロピオン酸ベタメタゾン、トコフェロール及びパラフィンの混合物を調製し;そしてこれらの混合物を混合して組成物を形成することを含む。
【0038】
好ましくは、当該方法は、組成物が40℃で1ヶ月、好ましくは3ヶ月貯蔵された場合に、組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物のアッセイが安定(上で定義される)であり、そして組成物が55℃で3日間貯蔵された場合に、組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物のアッセイが安定(上で定義される)である、組成物を提供する。組成物が40℃で1ヶ月、好ましくは3ヶ月貯蔵された場合に、組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物のアッセイは、ほぼ同じであり、そして組成物が55℃で3日間貯蔵された場合に、組成物中のビタミンD含有化合物及びコルチコステロイド化合物のアッセイは安定(上で定義される)である。
【0039】
別の実施態様では、本発明は、少なくとも1のビタミンD含有化合物、少なくとも1のコルチコステロイド化合物、及びトリグリセリド、ソルビタン、ソルビタン脂肪エステル、セテアリル・グルコシド、PEG-nステアリン酸ソルビタン、アクリルアミド/ナトリウム アクロリロイルジメチル タウレート コポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1の溶媒成分、好ましくはトリグリセリド及びソルビタン、より好ましくはトリグリセリドを混合して、組成物を形成することを含む局所用医薬組成物の製造方法を提供する。
【0040】
1の実施態様では、本方法は、少なくとも1の溶媒成分中にビタミンD含有化合物を溶解し、そして当該溶液をコルチコステロイド化合物と混合することを含む。
【0041】
さらに、本方法は、好ましくは、ビタミンD含有化合物、溶媒成分、及びパラフィンの混合物を調製し;コルチコステロイド化合物及びミネラルオイル(又は、パラフィンマトリクスを組成物中に均一に分散するのを助け、及び/又は所望の標的に対して均一層(even layer)として次の組成物を適用する能力に寄与する同様の物質)の混合物をすることを含む。
【0042】
1の実施態様では、本方法は、カルシポトリエン、少なくとも1の中鎖(好ましくは6〜12炭素原子)脂肪酸グリセリンエステル、トリグリセリド又はポリソルベート、及び溶融パラフィンの混合物を調製し;ジプロピオン酸ベタメタゾン、トコフェロール及びパラフィンの混合物を調製し;そして混合物を合わせて、組成物を形成することを含む。好ましくは、カルシポトリエンは無水物である。
【0043】
好ましくは、当該方法は、本発明の特許請求された安定性プロファイルを示す組成物を生成する。
【0044】
別の実施態様では、本発明は、本発明の組成物を用いて、投与を必要とする患者に投与することを含む治療方法を包含する。
【0045】
好ましい実施態様では、本発明は、軟膏、クリーム、ローション、好ましくは頭皮ローション、塗布薬、又は他の塗布可能液体若しくは半液体製剤、好ましくは非水性又は油中水若しくは水中油エマルジョンの形態の局所医薬組成物を提供する。1の好ましい実施態様では、本発明の組成物は、単一相組成物、つまり単一の溶媒系を含む組成物、例えば軟膏である。
【0046】
上に記載される組成物に加えて、本発明の医薬組成物は、1又は複数の賦形剤をさらに含んでもよい。賦形剤又は使用する量の選択は、当該技術分野における経験と標準手法及び参考資料を考慮することに基づいて剤形科学者により容易に決定することができる。このような賦形剤の好ましい例として、微結晶ワックス及びハードパラフィンなどの硬化剤;トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール及びブチル化ヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤;及びパラベン、好ましくはブチルパラベン及びプロピルパラエンなどの保存剤を含む。
【0047】
別の実施態様では、本発明は、投与を必要とする患者に、本発明の組成物を用いて投与することを含む乾癬の治療方法を包含する。
【0048】
本明細書に開示された発明が上に記載された対象を満たすように十分計算されているということが明らかである一方、当然のことながら多くの変更及び実施態様が当業者により考案されうる。その結果、添付の特許請求の範囲が、本発明の本質及び範囲に含まれるかかる変更及び実施態様の全てを網羅することが意図される。
【実施例】
【0049】
実施例1:カルシポトリエン及びジプロピオン酸ベタメタゾン軟膏
カルシポトリエン及びジプロピオン酸ベタメタゾンを含む軟膏は以下のように調製される:
【表1】

1. 1378.93gの白色軟パラフィンを約80℃で溶融し、次に約70℃に冷却した。溶融パラフィンを窒素で飽和し、そしてこの温度に維持した。
2. 75mgのカルシポトリエン(無水物)を75gの予熱された中鎖トリグリセリド(Myritol(登録商標)318)に溶解し、窒素で飽和させた。
3. 30mgのトコフェロールを45gの液体パラフィンに溶解した。
4. 965mgのジプロピオン酸ベタメタゾンを工程3の液体に分散した。
5. カルシポトリエンを含む工程2の溶液を窒素保護の下で、拡販しながら溶融白色軟パラフィンにゆっくり加えた。
6. 工程4の分散液を、窒素保護の下、撹拌しながら工程5のカルシポトリエン含有混合物に加えた。
7. 窒素保護の下、撹拌しながら混合物を30℃以下に冷却した。
【0050】
表1に列挙された成分量を、冷却後1〜2日目、及び指定された温度で指定された時間貯蔵した後に定量的HPLCにより計測した。
【0051】
【表2】

【表3】

【0052】
実施例2-カルシポトリエン及びジプロピオン酸ベタメタゾン軟膏
カルシポトリエン及びジプロピオン酸ベタメタゾンを含む軟膏は以下のように調製される:
【表4】

1. 1378.93gの白色軟パラフィン約80℃で溶融し、次に約70℃に冷却した。溶融したパラフィンを窒素で飽和し、そしてこの温度に維持した。
2. 75mgのカルシポトリエン(無水)を75gの予熱されたポリソルベート80に溶解し、窒素で飽和させた。
3. 30mgのトコフェロールを45gの液体パラフィンに溶解した。
4. 965mgのジプロピオン酸ベタメタゾンを、工程3の液体に分散させた。
5. 窒素反故の下で撹拌しながらカルシポトリエンを含有する工程2の溶液をゆっくり溶融白色軟パラフィンに加えた。
6. 工程4の分散液を、窒素保護の下、撹拌しながら工程5のカルシポトリエン含有混合物に加えた。
7. 窒素保護の下、撹拌しながら30℃以下に混合物を冷却した。
【0053】
表1に列挙された量の成分を、冷却後1〜2日目(時間ゼロ)及び指定温度で指定期間貯蔵した後に定量的HPLCにより計測した。
【0054】
【表5】

【0055】
上に記載された本発明の多くの変更及び改良が、本発明の本質及び範囲から逸脱することなくなされうるということが明らかである。記載される具体的な実施態様は、単に例示の目的で与えられており、そして本発明は、添付の特許請求の範囲の文言によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のビタミンD含有化合物、少なくとも1のコルチコステロイド化合物、並びにトリグリセリド、ソルビタン、ソルビタン脂肪エステル、セテアリル・グルコシド、PEG-nステアリン酸ソルビタン、アクリルアミド/ナトリウム アクリロイルジメチル タウレート コポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1の溶媒成分の混合物を含む、局所使用用の医薬組成物。
【請求項2】
前記ビタミンD含有化合物が無水物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ビタミンD含有化合物が水和形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1のビタミンD含有化合物がカルシポトリエンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1のビタミンD含有化合物がカルシポトリエン無水物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1のビタミンD含有化合物が、少なくとも約50重量%のカルシポトリエン無水物を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1のコルチコステロイド化合物がベタメタゾンを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1のコルチコステロイド化合物がジプロピオン酸ベタメタゾンを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1の溶媒組成物が、少なくとも1の中鎖トリグリセリド又はポリソルベートを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1のビタミンD含有化合物がカルシポトリエン無水物を含み、そして前記少なくとも1のコルチコステロイド成分がジプロピオン酸ベタメタゾンを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
パラフィン、中鎖トリグリセリド、及びトコフェロールをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
パラフィン、ポリソルベート、及びトコフェロールをさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
以下の:
(a) 組成物中のビタミンD含有化合物の量及びコルチコステロイド化合物の量が、当該組成物を40℃で3ヶ月間貯蔵した後に減少しないか;又は
(b) 組成物中のビタミンD含有化合物の量及びコルチコステロイド化合物の量が、当該組成物を55℃で3日間貯蔵した後に減少しない
のうちの1以上を含む安定性プロファイルを有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(a) 組成物中のビタミンD含有化合物の量及びコルチコステロイド化合物の量が、当該組成物を40℃で3ヶ月間貯蔵した後に安定であり;そして
(b) 組成物中のビタミンD含有化合物の量及びコルチコステロイド化合物の量が、当該組成物を55℃で3日間貯蔵した後に安定である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1のビタミンD含有化合物、少なくとも1のコルチコステロイド化合物、並びにトリグリセリド、ソルビタン、ソルビタン脂肪エステル、セテアリル・グルコシド、PEG-nステアリン酸ソルビタン、アクリルアミド/ナトリウム アクリロイルジメチル タウレート コポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1の溶媒成分を混合して組成物を生成することを含む、局所使用用の医薬組成物の製造方法。
【請求項16】
前記ビタミンD含有化合物が無水物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1の抗酸化剤、硬化剤、又は保存剤を混合することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1のビタミンD含有化合物がカルシポトリエンを含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1のビタミンD含有化合物が、カルシポトリエン無水物である、請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1のビタミンD含有化合物が、少なくとも約50重量%カルシポトリエン無水物を含む、請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1のコルチコステロイド化合物が、ベタメタゾンを含む、請求項15〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1のコルチコステロイド化合物が、ジプロピオン酸ベタメタゾンを含む、請求項15〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1の溶媒成分が、中鎖トリグリセリド又はポリソルベートのうちの少なくとも1を含む、請求項15〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1のビタミンD含有化合物が、カルシポトリエン無水物を含み、そして前記少なくとも1のコルチコステロイド化合物はジプロピオン酸ベタメタゾンを含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ビタミンD含有化合物を少なくとも1の溶媒成分中に溶解し、そしてコルチコステロイド化合物と混合することを含む、請求項15〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
以下の工程:
(a) 前記少なくとも1のビタミンD含有化合物、前記少なくとも1の溶媒成分、及びパラフィンの混合物を調製し;
(b) 前記少なくとも1のコルチコステロイドとミネラルオイルの混合物を調製し;
(c) 工程(a)と(b)の混合物を混合して、組成物を生成する
をさらに含む、請求項15〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
以下の工程:
(a) カルシポトリエン、少なくとも1の中鎖トリグリセリド又はポリソルベート、及び溶融パラフィンの混合物を調製し;
(b) ジプロピオン酸ベタメタゾン、トコフェロール及びパラフィンの混合物を調製し;
(c) 工程(a)及び(b)の混合物を混合して、組成物を生成する
をさらに含む、請求項15〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
以下の安定性プロファイル:
(a) 前記組成物中のビタミンD含有化合物の量及びコルチコステロイド化合物の量が、当該組成物を40℃で3ヶ月間貯蔵した後に減少しないか;又は
(b) 前記組成物中のビタミンD含有化合物の量及びコルチコステロイド化合物の量が、当該組成物を55℃で3日間貯蔵した後に減少しない
のうちの少なくとも1を有する、請求項15〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
(a) 前記組成物中のビタミンD含有化合物の量及びコルチコステロイド化合物の量が、当該組成物を40℃で3ヶ月間貯蔵した後に減少せず;そして
(b) 前記組成物中のビタミンD含有化合物の量及びコルチコステロイド化合物の量が、当該組成物を55℃で3日間貯蔵した後に減少しない、請求項15〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
請求項15〜29のいずれか一項に記載の方法に従って調製される組成物。
【請求項31】
乾癬の治療用の医薬の製造のための請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2010−502624(P2010−502624A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526737(P2009−526737)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/019164
【国際公開番号】WO2008/027532
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】