説明

住宅内機器の制御装置、及び建物

【課題】 各器機への制御が一操作で実現され、セキュリティと省エネが実現された住宅内機器の制御装置、及び建物を提供すること。
【解決手段】 各センサ5、6、7、8と警戒モード時にセンサが異常を検知すると指定先に電話、メールなどの通報機能で指定先に連絡を行うセキュリティシステムであって、監視カメラ2、電気製品3、空気調和装置4などの住宅内の機器からなる住宅内機器と、セキュリティシステムのモードが切り替えられたことを認識し各機器を制御するコントロール装置1と、各機器2、3、4とコントロール装置1を結ぶネットワーク部9と、セキュリティシステムのモード切替装置とからなり、住宅内の在不在情報から各機器を一括制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅内に設置されるセキュリティシステムであって、異なる警戒状態(各状態を「モード」という)を切換装置により警戒モードや在宅モードを切り替えることにより住宅内の各器機を制御する、住宅内機器の制御装置、及びこの住宅内機器の制御装置を備えた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅のセキュリティシステムとしては、セキュリティシステムのモード切替装置にて、住宅内に開閉センサ、人体検知センサ、クレセントセンサを有効にしたり、無効にしたりする制御方法は、よく用いられている。
例えば、空調運転を行う空調手段と、タイマ開始時刻に前記空調手段による空調運転を開始しタイマ終了時刻に空調運転を終了するタイマ運転を行うタイマ運転制御手段とを備える空気調和装置であって、空気調和装置が設置された室内の人の存在を感知する人体検知センサと、前記タイマ運転中に前記人体検知センサにより人の不存在を判定したときに、前記空調運転を禁止する制御手段を設け、また、前記制御手段は、空調運転を禁止してからタイマ終了時刻までの間に、前記人体検知センサにより人の存在を判定したときに、空調運転の禁止を解除するようにして、人が不在であるときのエネルギー消費を低減できる空気調和装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ホームセキュリティシステムなどにおいて、玄関などのドアのロック状態を認識するドアロック認識装置と留守番電話を連動させ、電話側では、そのドアのロック状態に応じて留守番モードに自動的に変更できるよう、モード切換えを制御する留守番電話機の留守番モード自動切換方式も知られており、ユーザーが留守番電話モードにすることを忘れて外出しても、ドアのドアロック操作と連動して留守番電話の留守番モードに自動的に切り替えることにより、外出中の電話を聞き逃すことが防止されるものとなっている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−36990号公報
【特許文献2】特開平6−133024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1における空気調和装置の場合、その部屋に人はいないが、室内環境を維持したい場合は、タイマ予約する必要がある。また、空気調和装置を設置した部屋に人体検知センサを設置しなければならず、さらに、人体検知センサの検知範囲を確保するために、部屋に複数個設置したり、設置場所での検出範囲の入念な確認作業、センサの検出範囲を妨げないよう、家具等の設置場所が制限されるなどの問題があった。
【0005】
また、上記特許文献2のドアロック操作と連動して留守番電話の留守番モードに自動的に切り替えるものにあっては、切換の対象が留守番電話のみであり、住宅内の他の機器のモード切替や制御方法に関与するものではなかった。
【0006】
この発明は、上記の問題を解消しようとするものであり、ホームセキュリティシステムの在宅モード、警戒モード等の切換装置に住宅内の在不在状況を把握し、切換装置の操作と住宅内の機器を連動させることで、住宅内の在不在状況に即するように住宅内機器を制御する住宅内機器の制御装置、及びそのような装置を備えた建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明の住宅内機器の制御装置は、警戒モード時にセンサが異常を検知すると指定先に電話、メールなどの通報機能で指定先に連絡を行うセキュリティシステムであって、監視カメラ、電気製品、空気調和装置などの住宅内の機器からなる住宅内機器と、セキュリティシステムのモードが切り替えられたことを認識し各機器を制御するコントロール装置と、各機器とコントロール装置を結ぶネットワーク部と、セキュリティシステムのモード切替装置とからなり、住宅内の在不在情報から各機器を一括制御することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明の住宅内機器の制御装置は、請求項1記載の発明の住宅内機器の制御装置において、ネットワーク部では、複数の機器間で情報のやり取り、給電を行う、情報・給電分岐装置により、情報と電気エネルギの制御を一操作にできることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明の建物は、請求項1又は請求項2記載の住宅内機器の制御装置が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明の住宅機器の制御装置及び建物によると、セキュリティシステムをモード切替装置により「警戒モード」にすると、住人がいないと判断し、セキュリティシステムを警戒状態にさせ、監視カメラの電源をONにしたり、電気製品に関しては、省エネモードで運転させたり、電源をOFF、さらには電源供給を止める。「在宅モード」にすると、住人が帰ってきたと判断しセキュリティシステムの警戒状態を解除し、監視カメラの電源をOFFにしたり、電気製品に関しては、省エネモードを解除し、通常モードで運転させ、電源供給を再開する。また、各センサは給電と情報通信が可能な接続手段で接続されており、警戒させない場合は、電源をOFFにして省エネモード可能となる。また、各機器への制御が一操作で実現し、建物のセキュリティだけでなく、省エネも実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、この発明の住宅内機器の制御装置が設けられた建物の模式図、図2は、住宅内機器の制御装置の実施例のシステム系統図である。
【0013】
本実施の形態の建物Aは、例えば、工場生産された複数の建物ユニットが施工現場に搬送され、布基礎の上に据えつけられて構築されている。
この建物Aの一階の部屋にホームコントローラ1が設置され、玄関口には監視用カメラ2が設置され、1、2階の各部屋には、照明等の電気製品3、3や、空気調和装置4、4やテレビ等の電気製品4、4が設置され、人体検知センサ7、8が設けられている。また、玄関口にはドアの開閉を検知する開閉センサ5が設けられ、窓部には窓の開閉を検知するクレセントセンサ6が設けられている。
【0014】
ホームコントローラ1は、コントローラ部を含むセキュリティシステムのモード切替装置であって、セキュリティシステムのセンサ等の設定やドアホン親機の機能、外部への連絡機能を備えている。
コントローラ部は各器機の制御方法を記憶しており、その制御方法は住人が設定可能になっている。このモードの切換えはモード切替用リモコン10にて行ってもよい。
【0015】
セキュリティシステムのモード切替装置であるホームコントローラ1においては、アナログ・IP・テレビ電話などの電話機能、天気予報、個々の機器の電気使用量、総電力使用量、太陽光発電の発電量、売電量、建物の室内や室外の温湿度などを表示する表示機能、インターネットのブラウザ、インターネットメール機能などの機能を付加してもよい。
【0016】
図2に示すように、ネットワーク部9は、ホームコントローラ1と各機器の監視用カメラ2、電気製品3、空気調和装置4や セキュリティ用センサである開閉センサ5、クレセントセンサ6、1階の人体検知センサ7と2階の人体検知センサ8を結ぶものであって、ホームコントローラ1の制御命令を各機器などに伝達する。その伝達方法としては、予め制御方法に即した信号を記憶させておき、信号を発信する機器を用いる方法、JEM−A端子(日本電機工業会規格)などのホームオートメーション端子(HA端子)を有する機器をON/OFF制御する方法、ネットワーク化された機器のコントローラから各電気製品にモード変更の信号を送る方法などがあり、各機器のネットワーク化に関しては、有線では、電話線、電灯線、メタル線、光ファイバーなどが用いられ、無線では、赤外線、特定小電力無線、ブルートゥースなどが用いられる。
セキュリティ用センサの開閉センサ8は、給電可能なイーサネット(登録商標)[POE(Power Of Ethenet)]からなる。
なお、図2において、コントローラとネットワークとはリモコンと線で結び付けられていないが、無線でもよいので図示省略している。
【0017】
この実施例においては、ホームコントローラ1におけるモードは、具体的には、「警戒」、「ちょっと警戒」、「在宅警戒」、「在宅」の4モードに設定されるものとなっている。
そして、このモードと宅内の状況との関係は、住人の在不在情報に基づいて定められるものとなっており、警戒モードは、宅内に住人が不在の場合、ちょっと警戒モードは、不在であるがゴミ出しなどの短時間で帰宅するような場合、在宅警戒モードは、在宅であるが昼間は留守番であるとか、夜間睡眠中などの場合、在宅モードは、在宅の場合となっている。
このモードの切換方法としては、セキュリティ用センサ5、6、7、8の反応がない場合、宅内在不在情報は不在と判断し、セキュリティモードの警戒と不在に切り替えることは可能となっている。
【0018】
前記モードと警戒させるセンサとの関係については、例えば、在宅警戒モードの場合、昼間の留守番の場合には、警戒させるセンサとしては開閉センサとクレセントセンサ6とし、夜間の睡眠中の場合には、警戒させるセンサとしては開閉センサとクレセントセンサ6の他に、睡眠部屋以外の部屋の人体検知センサ(例えば、寝室が2階であるときには1階の人体検知センサ7)とする。
【0019】
次に、セキュリティのモード切替え時の各機器の動作と実施の形態の作用について、具体的に説明する。
【0020】
(1)在宅モードから警戒モードへの切換え
セキュリティシステムにおいては、POEのハブの電源を入れ、各センサ5、6、7、8を警戒モードに設定する。この際、セキュリティシステムはシステムの反応確認を行う。反応があると、モードが切り替わったことを通報機能により、指定先に連絡する。連絡を受け取った者は宅内が留守になったことを認識できる。
監視用カメラ2においては、電源をONする信号を赤外線通信などで送る。POEで接続されていれば、給電装置であるハブの電源を入れる。また、常時監視できるように電源をONしてもよい。
機器の制御については、電気製品3、空気調和装置4にあらかじめ登録しておいた信号(電源を切る、省エネモードで運転する)などを送る。
また、施錠を行ったかどうかを促すメッセージを表示器に表示し、それを見て施錠の確認を行う。
【0021】
(2)警戒モードから在宅モードへの切換え
セキュリティシステムにおいては、POEのハブの電源を切り、各センサ5、6、7、8の警戒モードを解除し、反応があっても指定先に連絡しない。モードを切替えたことをセキュリティシステムの通報機能により、指定先に連絡を行う。連絡を受け取った者は、家に誰かが帰ってきたことを認識できる。
監視用カメラ2においては、電源をOFFする信号を送る。POEで接続されていれば、POEの電源を切る。また、常時監視できるように電源をONしておいてもよい。
機器の制御については、省エネモードを通常モードに変更する信号を電気製品3、空気調和装置4に送る。
【0022】
(3)警戒モードから在宅警戒モード(昼間)への切換え
セキュリティシステムにおいては、在宅警戒モード(昼間)にて登録された各センサ5、6をそのまま警戒させておき、他のセンサ7、8は警戒モードから警戒を解除する。POEにおいて、在宅警戒用と在宅警戒しない用でハブを分割している場合は、在宅警戒しない用のハブの通報機能により、指定先に連絡を行う。連絡を受け取った者は、家に誰かが帰ってきて、セキュリティモードを在宅警戒モードにしたことを認識できる。
監視用カメラ2においては、各モードでの監視用カメラ2の使用の有無を設定しておき状況を変更する必要があれば、信号を送り、使用状況を変更する。POEで接続されていれば、POEハブの電源をあらかじめ設定した条件により、ON/OFFする。
機器の制御については、動作なし。
【0023】
(4)在宅モードから在宅警戒モード(昼間)への切換え
セキュリティシステムにおいては、在宅警戒モード(昼間)にて登録された各センサ5、6を警戒モードにする。また、POEにおいて、在宅警戒用と在宅警戒しない用でハブを分割している場合は、在宅警戒センサの接続されたPOEハブの電源をONする。
モードを在宅から在宅警戒に切り替えたことをセキュリティシステムの通報機能により、指定先に連絡を行う。例えば、母親が出かけたことを認知し、子供が留守番をしていることが想像できる。
監視用カメラ2と機器の制御については、上記(3)と同様。
【0024】
(5)在宅警戒モード(夜間)から在宅モードへの切換え
セキュリティシステムにおいては、在宅警戒モード(夜間)に登録されたセキュリティ用の各センサ5、6、7、8を警戒モードにする。また、POEにおいて、在宅警戒用と在宅警戒しない用でハブを分割している場合は、在宅警戒用センサの接続されたPOEのハブの電源をONする。
監視用カメラ2については、上記(3)と同様。
機器の制御については、電気製品3、空気調和装置4にあらかじめ登録しておいた信号(電源を切る、省エネモードで運転する)を送る。
【0025】
(6)在宅モードからちょっと警戒モードへの切換え
セキュリティシステムにおいては、ちょっと警戒モードに登録されたセンサを警戒モードにする。このモードは、玄関や窓を開けたまま外出することが想定されたものである。センサとしては、玄関など主要な部位においた人体検知センサが好ましい。また、POEにおいて、在宅警戒用と在宅警戒しない用、ちょっと警戒でハブを分割できている場合は、ちょっと警戒用の給電装置であるハブの電源をONする。
モードを切り替えたことについての指定先の連絡はなし。ただし、連絡の有無は設定可能である。
監視用カメラ2については、動作なし。
機器の制御については、電気製品3、空気調和装置4の動作なし。短時間の外出であるので、モードの変更や電源OFFは行わない。
【0026】
(7)ちょっと在宅モードから在宅モードへの切換え
セキュリティシステムにおいては、あらかじめ、ちょっと警戒モードにてセンサを解除し、反応があっても指定先に連絡しない。また、POEにおいて、在宅警戒用と在宅警戒しない用、ちょっと警戒でハブを分割できている場合は、ちょっと警戒用の給電装置であるハブの電源をOFFする。
モードを切り替えたことについての指定先の連絡はなし。ただし、連絡の有無は設定可能である。
【0027】
以上、この発明の一実施の形態を図面により説明したが、この発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあってもこの発明に含まれる。
例えば、建物の部屋は各階1部屋で図示したが、複数部屋であってよいことは勿論であり、それらの各部屋に、必要に応じて、各機器を設置したり、人体検知センサを設け、制御するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明によれば、各機器への制御が一操作で実現され、セキュリティと省エネが実現された建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の住宅内機器の制御装置が設けられた建物の模式図である。
【図2】この発明の住宅内機器の制御装置の実施例のシステム系統図である。
【符号の説明】
【0030】
A 建物
1 ホームコントローラ(セキュリティシステムのモード切替え装置)
2 監視カメラ
3 電気製品
4 空気調和装置
5 開閉センサ
6 クレセントセンサ
7、8 人体検知センサ
9 ネットワーク部
10 モード切替用リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警戒モード時にセンサが異常を検知すると指定先に電話、メールなどの通報機能で指定先に連絡を行うセキュリティシステムであって、監視カメラ、電気製品、空気調和装置などの住宅内の機器からなる住宅内機器と、セキュリティシステムのモードが切り換えられたことを認識し各機器を制御するコントロール装置と、各機器とコントロール装置を結ぶネットワーク部と、セキュリティシステムのモード切替装置とからなり、住宅内の在不在情報から各機器を一括制御することを特徴とする住宅内機器の制御装置。
【請求項2】
前記ネットワーク部では、複数の機器間で情報のやり取り、給電を行う、情報・給電分岐装置により、情報と電気エネルギの制御を一操作にできることを特徴とする請求項1記載の住宅内機器の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の住宅内機器の制御装置が設けられていることを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−155097(P2006−155097A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342995(P2004−342995)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】