体内導入型医療装置、医療システムおよび身体情報通信方法
【課題】無線通信に要する消費電力を抑制する。
【解決手段】患者の体外に配置されるレピータから送られてくる無線信号を受信する受信RF処理部33と、レピータに無線信号を送信する送信RF処理部39と、受信RF処理部33により受信された無線信号のRSSI値を算出するRSSI算出部35と、RSSI算出部35により算出されたRSSI値が所定の閾値を超えているか否かを判定し、そのRSSI値が所定の閾値を超えていると判定した場合に、送信RF処理部39からレピータへの無線信号の送信を許可し、RSSI値が所定の閾値を超えていないと判定した場合に、送信RF処理部39からレピータへの無線信号の送信を停止させる制御部37とを備えるICDを提供する。
【解決手段】患者の体外に配置されるレピータから送られてくる無線信号を受信する受信RF処理部33と、レピータに無線信号を送信する送信RF処理部39と、受信RF処理部33により受信された無線信号のRSSI値を算出するRSSI算出部35と、RSSI算出部35により算出されたRSSI値が所定の閾値を超えているか否かを判定し、そのRSSI値が所定の閾値を超えていると判定した場合に、送信RF処理部39からレピータへの無線信号の送信を許可し、RSSI値が所定の閾値を超えていないと判定した場合に、送信RF処理部39からレピータへの無線信号の送信を停止させる制御部37とを備えるICDを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内導入型医療装置、医療システムおよび身体情報通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICD(植込み型除細動装置)のように、患者の体内に挿入して身体の情報を外部に送信する体内導入型の医療装置においては、無線通信手段を備えることが必須であるが、長期に渡るモニタリングを想定すると無線通信手段を低消費電力で行うことが要求される。ここで、無線通信手段による送信電力を制御する通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の通信システムは、基地局装置から送信される通信信号を受信した移動局装置が、受信した通信信号の受信電力の情報に基づいて、移動局装置から基地局装置に通信信号を送信する際の送信電力を決定することにより、移動局装置による送信電力を制御することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−13490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の通信システムによる送信電力の制御では、通信信号の受信電力のレベルが低い状況、すなわち、基地局装置から移動局装置に通信信号を送信する際に多大な電力が必要となっている状況においては、移動局装置から基地局装置に通信信号を送信する場合も多大な電力を消費するという問題がある。また、通信信号の受信電力のレベルが低すぎる状況においては、移動局装置から基地局装置に送信する通信信号の送信電力を制御しても、基地局装置が通信信号を受信することができないこともあるという問題もある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、無線通信に要する消費電力を抑制することができる体内導入型医療装置、医療システムおよび身体情報通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、生体の体内に導入され、該生体の体外に配置される体外装置との間で通信信号を送受信する体内導入型医療装置であって、前記体外装置から送られてくる通信信号を受信する受信部と、前記体外装置に通信信号を送信する送信部と、前記受信部により受信された通信信号の受信強度を算出する受信強度算出部と、該受信強度算出部により算出された受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定部と、該受信強度判定部により、前記受信強度が前記所定の閾値を超えていると判定された場合に前記送信部から前記体外装置への通信信号の送信を許可し、前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に前記送信部から前記体外装置への通信信号の送信を停止させる制御部とを備える体内導入型医療装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、受信部が受信した体外装置からの通信信号の受信強度が算出部により算出され、制御部により、その受信強度に応じて、送信部から体外装置に通信信号を送信するか否かが制御される。ここで、受信部により受信される通信信号の受信強度が低いということは、通信信号を送信するのに必要な電力が大きいということになり、一方、受信部により受信される通信信号の受信強度が高いということは、通信信号を送信するのに必要な電力が小さいということになる。
【0009】
したがって、受信強度判定部により通信信号の受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定し、制御部により、通信信号の受信強度が所定の閾値を超えている場合、すなわち、通信信号を送信するのに必要な電力が小さい場合に送信部から体外装置への通信信号の送信を許可し、通信信号の受信強度が所定の閾値を超えていない場合、すなわち、通信信号を送信するのに必要な電力が大きい場合に送信部から体外装置への通信信号の送信を停止させることで、消費電力が大きい期間の通信信号の送信を回避し、無線通信に要する消費電力の抑制を図ることができる。
【0010】
上記発明においては、前記受信強度判定部により前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて前記生体の姿勢の変化量を検出する検出部と、該検出部により検出された前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定部とを備え、前記制御部が、前記姿勢判定部により前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、該生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、前記受信部による通信信号の受信を停止させることとしてもよい。
【0011】
生体の姿勢の変化量が小さい場合、例えば、生体が就寝している場合は、生体自身が通信信号の送信の障害となり、受信部による通信信号の受信強度が低くなる傾向がある。そのため、このような生体の姿勢の変化量が小さい期間においては、体外装置から送られてくる通信信号を受信部により受信したとしても、制御部により、送信部による通信信号の送信が停止される可能性が高く、受信部により通信信号を受信するための電力も無駄になることが多い。
【0012】
本発明によれば、受信強度が所定の閾値よりも小さい場合に、検出部により生体の姿勢の変化量を検出し、判定部によりその変化量が所定の閾値を超えているか否かが判定される。そして、生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、制御部により、生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで受信部による通信信号の受信を停止させることで、無駄な電力消費を削減し、無線通信に要する消費電力をより効果的に抑制することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記検出部が、前記生体の加速度を検出し、検出した加速度の変化量を前記生体の姿勢の変化量に換算するもよいし、前記生体の心拍レートを検出し、検出した心拍レートを前記生体の姿勢の変化量に換算することとしてもよい。
【0014】
本発明は、上記いずれかの体内導入型医療装置と、前記体外装置とを備える医療システムを提供する。
本発明によれば、体内導入型医療装置から体外装置に送信する通信信号の消費電力を低減し、無線通信に要する消費電力を抑制して生体の診察を行うことができる。
【0015】
また、本発明は、生体の体外に配置された体外装置から送信された通信信号を、生体の体内に導入された体内装置が受信する受信工程と、該受信工程により前記体内装置によって受信された通信信号の受信強度を算出する受信強度算出工程と、該受信強度算出工程により算出された受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定工程と、該受信強度判定工程により判定された前記受信強度が所定の閾値を越えている場合に、前記体内装置から前記体外装置に通信信号を送信する通信工程とを含む身体情報通信方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、受信強度判定工程により、体内装置が受信した通信信号の受信強度が所定の閾値を超えていると判定された場合、すなわち、通信信号を送信するのに必要な電力が小さい場合に、通信工程により体内装置から体外装置に通信信号を送信することで、消費電力が大きい期間の通信信号の送信を回避し、消費電力を抑制して身体情報の無線通信を行うことができる。
【0017】
また、上記発明においては、前記受信強度判定工程により前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて前記生体の姿勢の変化量を検出する検出工程と、該検出工程により検出された前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定工程とを含み、該姿勢判定工程により前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、該生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、前記受信工程が前記前記体内装置による通信信号の受信を停止するもよい。
【0018】
このように構成することで、生体の姿勢の変化量が小さい場合、すなわち、生体自身が通信信号の送信の障害となり、体内装置による通信信号の受信強度が小さくなる傾向が大きい期間において、体内装置により通信信号を受信するための無駄な電力消費も防ぎ、消費電力をより効果的に抑制して身体情報の無線通信を行うことができる。
【0019】
上記発明においては、前記検出工程が、前記生体の加速度を測定し、測定した加速度の変化量を前記生体の姿勢の変化量に換算することとしてもよいし、前記生体の心拍レートを測定し、測定した心拍レートを前記生体の姿勢の変化量に換算することとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、無線通信に要する消費電力を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る医療システムを示す概略構成図である。
【図2】図1のレピータを示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るICDとレピータを示す概略構成図である。
【図4】図3のICDを示すブロック図である。
【図5】通信信号の受信強度とRSSIとの関係を示す図である。
【図6】通信信号のRSSIと送信電力との関係を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る身体情報通信方法を示すフローチャートである。
【図8】時間経過と1時間ごとに取得される通信信号のRSSIとの関係を示す図である。
【図9】第1実施形態の比較例の時間間隔とRSSI値と消費電力とを示す図である。
【図10】第1実施形態の時間間隔とRSSI値と消費電力とを示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るICDを示すブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る身体情報通信方法を示すフローチャートである。
【図13】1日における患者の状態とRSSIとの関係を示す図である。
【図14】第2実施形態の時間間隔とRSSI値と消費電力とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る体内導入型医療装置、医療システムおよび身体情報通信方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る医療システム100は、図1に示すように、患者(生体)Aの体外に配置されたレピータ(体外装置)3と、患者Aの体内に導入され、心臓Hの情報をレピータ3に送信するICD(Implantable Cardioverter Defibrillator、体内導入型医療装置)1とを備えている。
【0023】
レピータ3は、ICD1と通信ネットワーク5との間の無線通信を中継するようになっている。具体的には、レピータ3は、ICD1から患者Aの身体情報を無線経由で受取り、有線または無線による広域の通信ネットワーク5に接続して、その身体情報を医療機関またはメーカー等が用意するデータサーバ(図示略)へと送るようになっている。このレピータ3は、図2に示すように、1本の空中線18を有しており、通信信号取得部11と、送信RF(Radio Frequency)処理部13と、受信RF処理部15と、通信信号取得部17とを備えている。
【0024】
通信信号取得部11は、通信ネットワーク5から送られてくる通信信号を取得し、その通信信号を送信RF処理部13に出力するようになっている。
送信RF処理部13は、通信信号取得部11から入力された通信信号の周波数を無線周波数に変換し、無線信号を空中線18を介してICD1に送信するようになっている。
【0025】
受信RF処理部15は、ICD1から送られてくる無線信号を空中線18を介して受信し、その無線信号を通信信号に周波数変換して通信信号取得部17に出力するようになっている。
通信信号取得部17は、受信RF処理部15から入力された通信信号を取得し、その通信信号を通信ネットワーク5に送信するようになっている。
【0026】
ICD1は、図3に示すように、装置本体30と、装置本体30から延び、装置本体30と心臓Hとを電気的に接続する3本のリード23とを備えている。
3本のリード23は、それぞれ導電性の材料からなる電極25を備えており、1本は電極25がRA(右心房)に取り付けられ、他の1本は電極25がRV(右心室)に取り付けられ、さらに他の1本は電極25がLV(左心室)に取り付けられている。図3において、LAは左心房を示している。
【0027】
装置本体30は、図4に示すように、1本の空中線38を有しており、センサ部31と、受信RF処理部(受信部)33と、RSSI算出部(受信強度算出部)35と、制御部(受信強度判定部、制御部)37と、送信RF処理部(送信部)39とを備えている。
【0028】
センサ部31には、3本のリード23が電気的に接続されている。センサ部31は、各電極25からリード23を介して送られてくる心電信号を検出し、その心電信号を送信RF処理部39に出力するようになっている。
【0029】
受信RF処理部33は、レピータ3から送信されてきた無線信号を空中線38を介して受信し、その無線信号を通信信号に周波数変換してRSSI算出部35に出力するようになっている。
【0030】
RSSI算出部35は、入力された通信信号の受信強度として、RSSI(Recived Signal Strength Indication、受信電波強度)を算出するようになっている。RSSI値と受信強度(dB)の関係は、図5に示すように、受信強度が大きくなるほどRSSI値も大きくなるような一定の比例関係を有している。また、RSSI算出部35は、算出したRSSI値を制御部37に出力するようになっている。
【0031】
制御部37は、RSSI値の大きさを判定する所定の閾値を記憶することができるようになっている。また、制御部37は、RSSI算出部35から入力されるRSSI値が所定の閾値(本実施形態においては、例えば、閾値79とする。)を超えているか否かを判定するようになっている。この所定の閾値としては、例えば、運用開始時、患者Aとレピータ3の周辺環境、つまり使用環境において通信を行い、通信環境が良好時の実測したRSSI値、または想定される使用環境に対応した測定値の平均的な値のRSSI値を用いることができる。
【0032】
制御部37は、RSSI値が閾値79を超えていると判定すると、送信RF処理部39による無線信号の送信を許可し、一方、RSSI値が閾値79を超えていないと判定すると、送信RF処理部39による無線信号の送信を停止させるようになっている。また、制御部37は、RSSI値が連続して閾値79を超えずに所定の時間(本実施形態にいては、例えば、24時間。)経過した場合に、送信電力を最大に設定して送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信を許可するようになっている。
【0033】
また、制御部37は、図6に示すようなRSSI値と送信電力との関係に基づいて、送信RF処理部39から送信させる無線信号の送信電力を設定するようになっている。制御部37は、例えば、RSSI値が100から20までは、RSSI値が低くなるほど送信電力を一定の反比例関係(5mAから30mAまで)で大きくしていき、RSSI値が20以下になると送信電力を一定の値(30mA)に制御するようになっている。
【0034】
送信RF処理部39は、センサ部31から入力される心電信号の周波数を無線周波数に変換するようになっている。また、送信RF処理部39は、制御部37により無線信号の送信が許可されると、制御部37の指示に従う送信電力により、無線信号を空中線38を介してレピータ3に送信するようになっている。
【0035】
次に、本実施形態に係るICD1および医療システム100を用いた身体情報通信方法について、図7のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態に係る身体情報通信方法は、患者Aの体外に配置されたレピータ3から送信された無線信号を、患者Aの体内に導入されたICD1により受信する受信工程SA1と、RSSI算出部35により、ICD1によって受信された無線信号のRSSI(受信強度)を算出する受信強度算出工程SA2と、制御部37により、RSSI算出部35によって算出されたRSSI値が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定工程SA3と、制御部37により、RSSI値が所定の閾値を超えていると判定した場合にICD1からレピータ3に無線信号を送信する通信工程SA7とを含んでいる。
【0036】
患者Aの体内に導入されたICD1においては、センサ部31によりリード23を介して心臓Hの心電信号が検出され、送信RF処理部39によりその心電信号が無線信号に変換される。
【0037】
患者Aの体外に配置されたレピータ3においては、通信ネットワーク5から送られてくる通信信号が通信信号取得部11により取得され、その通信信号が送信RF処理部39により無線信号に変換されて空中線18を介してICD1に送信される。
【0038】
本実施形態に係る身体情報通信方法により患者Aの身体情報を通信するには、レピータ3から無線信号が送信されると、ICD1の受信RF処理部33により空中線38を介してその無線信号が受信される(ステップSA1)。レピータ3からICD1には、例えば、1時間ごとに無線信号が送信される。
【0039】
次いで、受信RF処理部33により受信された無線信号は通信信号に変換されてRSSI算出部35に入力される。そして、RSSI算出部35により、図5に示す受信強度とRSSI値との関係に基づいて、入力された通信信号の受信強度を示すRSSI値が算出される(ステップSA2)。RSSI算出部35により算出されたRSSI値は制御部37に入力される。
【0040】
次いで、制御部37により、入力されたRSSI値が閾値79を超えているか否かが判定される(ステップSA3)。RSSI値が閾値79を超えていない(80未満)と判定されると(ステップSA3「NO」)、RSSI値が閾値79を超えていない期間が連続して24時間経過していない場合はステップSA1に戻る(ステップSA4「YES」)。
【0041】
RSSI値が連続して閾値79を超えずに24時間経過すると(ステップSA4「NO」)、警報部(図示略)の作動により患者Aにブザー音で警告される(ステップSA5)。この場合、制御部37により送信電力が最大に設定され、送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信が許可される。
ここで、患者Aへの警告はブザー音だけでなく、振動や超近距離無線による警告等を用いてもよい。
【0042】
一方、ステップSA3において、制御部37により、RSSI値が閾値79を超えている(80以上)と判定されると(ステップSA3「YES」)、図6に示されるRSSI値と送信電力の関係に基づいて、RSSI値に対応する送信電力が設定される(ステップSA6)。そして、制御部37により、送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信が許可される。
【0043】
ステップSA5またはステップSA6により、送信RF処理部39による無線信号の送信が許可されると、送信RF処理部39により、制御部37からの指示に従う送信電力で、無線信号(心電信号)が空中線18を介してレピータ3に送信される(ステップSA7)。これにより、レピータ3の受信RF処理部33によって無線信号が受信されて心電信号に周波数変換され、その心電信号が通信信号取得部17を介して通信ネットワーク5に送信される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係るICD1、医療システム100および身体情報通信方法によれば、RSSI算出部35により算出されるレピータ3からの通信信号のRSSI値に応じて、制御部37によりICD1からレピータ3への心電信号の送信が制御される。ここで、RSSI算出部35により算出される通信信号のRSSI値が低いということは、心電信号を送信するのに必要な電力が大きいということになる。また、RSSI値が低い場合に、仮にICD1からレピータ3に心電信号を送信したとしても通信エラーになる可能性がある。一方、RSSI算出部35により算出される通信信号のRSSI値が高いということは、心電信号を送信するのに必要な電力が小さいということになる。
【0045】
したがって、制御部37によりRSSI値が閾値79を超えているか否かを判定し、RSSI値が閾値79を超えている場合、すなわち、心電信号を送信するのに必要な電力が小さい場合にICD1からレピータ3に心電信号を送信させ、RSSI値が閾値79を超えていない場合、すなわち、心電信号を送信するのに必要な電力が大きい場合にICD1からレピータ3への心電信号の送信を停止させることで、消費電力が大きい期間の心電信号の送信を回避し、無線通信に要する消費電力を抑制することができる。
【0046】
例えば、図8に示すように、ICD1により最初に無線信号が受信されてから9時間経過するまでRSSI値が連続して閾値を超えなかったとする。この場合において、本実施形態の比較例として、ICD1により1時間間隔で無線信号が受信される度に、そのRSSI値の大きさに対応した送信電力でICD1から無線信号(心電信号)を送信したとすると、図9に示すように、1時間目から9時間目までは通信エラーとなる。その結果、10時間目に心電信号の送信が成功するまでに合計280mAhの消費電力がかかることになる。
【0047】
これに対し、本実施形態に係るICD1、医療システム100および身体情報通信方法によれば、図8に示す場合に、最初から9時間目までのRSSI値が所定の閾値(閾値79)を超えていない期間、すなわち、心電信号を送信するのに必要な電力が大きい期間は、図10に示すように心電信号の送信を停止し、10時間目にRSSI値が所定の閾値(閾値79)を超えたとき、すなわち、心電信号を送信するのに必要な電力が小さいときにICD1から心電信号を送信させることで、10時間で40mAhの消費電力で済み、消費電力を大幅に抑制することができる。
【0048】
なお、遠隔モニタリングでは長期変動で診断を行う性質が強く、1日周期の通信が守れていれば問題ない。RSSI値が連続して閾値79を超えずに24時間経過した場合に、患者Aにブザー音で警告するとともに、制御部37により、送信電力を最大に設定して送信RF処理部39からレピータ3に無線信号(心電信号)を送信させることで、患者Aの状態の異常に対応を施すことができる。
【0049】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る体内導入型医療装置、医療システムおよび身体情報通信方法について説明する。
本実施形態に係る医療システム200は、図11に示すように、ICD101のセンサ部(検出部)31が、制御部37によりRSSI値が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて患者Aの姿勢の変化量を検出する点と、制御部37が受信RF処理部33による無線信号の受信を制御する点と、センサ部31により検出された患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定部132とを備える点で第1実施形態と異なる。
【0050】
また、本実施形態に係る身体情報通信方法は、図12のフローチャートに示されるように、受信強度判定工程SA3によりRSSI値が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、センサ部31により所定の時間間隔をあけて患者Aの姿勢の変化量を検出する検出工程SB1と、姿勢判定部132により、センサ部31によって検出された患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定工程SB2とを含む点で、第1実施形態と異なる。
以下、第1実施形態に係るICD101、医療システム100および身体情報通信方法と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
センサ部31は、心電信号を検出するとともに、例えば、リード23に微小電流を印加して心臓Hのインピーダンスを測定することができるようになっている。また、センサ部31は、インピーダンス計測により心拍出量の変化(心拍レート)を検出し、検出した心拍出量の変化量を患者Aの姿勢の変化量に換算して姿勢判定部132に出力するようになっている。
【0052】
制御部37は、姿勢判定部132により患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていると判定されると、受信RF処理部33による次の無線信号の受信も許可するようになっている。一方、姿勢判定部132により患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定されると、制御部37は、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、受信RF処理部33による無線信号の受信を停止させるようになっている。
【0053】
次に、このように構成されたICD101および医療システム200を用いた身体情報通信方法の作用について説明する。
本実施形態に係るICD101および医療システム200を用いた身体情報通信方法により患者Aの身体情報を通信する場合は、制御部37によりRSSI値が閾値79を超えていないと判定されると(ステップSA3「NO」)、センサ部31により心拍出量の変化を検出され、患者Aの姿勢の変化量に換算される(ステップSB1)。
【0054】
次いで、姿勢判定部132により、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定されると(ステップSB2「NO」)、制御部37により、受信RF処理部33による無線信号の受信が停止される。そして、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていない期間が連続して24時間経過していない場合はステップSB1に戻る(ステップSA4「YES」)。そして、制御部37により、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、受信RF処理部33による無線信号の受信を停止させられる。
【0055】
患者Aの姿勢の変化量が連続して所定の閾値を超えずに24時間経過すると(ステップSA4「NO」)、警報部(図示略)の作動により患者Aにブザー音で警告され(ステップSA5)、制御部37により、送信電力が最大に設定されて送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信が許可される。
【0056】
一方、ステップSB2において、姿勢判定部132により、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていると判定されると(ステップSB2「YES」)、制御部37により、受信RF処理部33による無線信号の受信が許可され、ステップSA1に戻る。そして、RSSI算出部35により、次の無線信号が受信され(ステップSA1)、そのRSSI値が算出され(ステップSA2)、制御部37により、算出されたRSSI値が閾値79を超えていると判定されると(ステップSA3「YES」)、ステップSA6を介して、RSSI値に対応する送信電力で送信RF処理部39により心電信号が送信される(ステップSA7)。
【0057】
以上説明してように、本実施形態に係る本実施形態に係るICD101、医療システム200および身体情報通信方法によれば、RSSI値が所定の閾値を越えていない場合に、センサ部31により患者Aの姿勢の変化量が検出され、姿勢判定部132によりその変化量が所定の閾値を超えているか否かが判定される。
【0058】
ここで、患者Aの姿勢の変化量が小さい場合、例えば、図13に示されるように、患者Aが就寝しているような場合は、患者A自身が無線信号の送信の障害となり、RSSI値が低く、無線信号を送信するのに必要な電力が大きくなる傾向がある。そのため、このような期間においては、レピータ3から送信されてくる無線信号を受信RF処理部33により受信したとしても、送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信が停止される可能性が高く、受信RF処理部33により無線信号を受信するための電力も無駄になることが多い。
【0059】
そこで、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、制御部37により、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで受信RF処理部33による無線信号の受信を停止させることで、無駄な電力消費を削減し、無線通信に要する消費電力をより効果的に抑制することができる。
【0060】
例えば、図14に示す場合に、2時間目から9時間目までの患者Aの姿勢に閾値を超える変化がない期間、すなわち、RSSI値が低くなる可能性が高い期間は、受信RF処理部33による無線信号の受信を停止し、10時間目の患者Aの姿勢に閾値を超える変化があったときに受信RF処理部33による無線信号の受信を許可することで、受信RF処理部33による無駄な通信信号の受信も回避することができる。そして、RSSI値が所定の閾値を越えたとき、すなわち、無線信号を送信するのに必要な電力が小さいときにICD1から無線信号(心電信号)の送信させることで、例えば、10時間で13mAhの消費電力で済み、消費電力をより効果的に抑制することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の一実施形態および変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
【0062】
また、上記実施形態においては、制御部37が、RSSI算出部35により算出されたRSSI値が所定の閾値を超えているか否かを判定することとしたが、制御部37がその判定を行うのではなく、RSSI算出部35により算出されたRSSI値が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定部を別個に設けることとしてもよい。また、上記実施形態においては、通信信号取得部11が、通信ネットワーク5から送られてくる通信信号を取得しているが、これに限らず、通信信号取得部11が、レピータ3内部に保存された情報を取得し、通信信号として送信RF処理部13に出力することとしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、制御部37が所定の閾値を記憶することとしたが、これに代えて、例えば、装置本体30が、所定の閾値を記憶するメモリ(図示略)を備え、制御部37が、メモリから所定の閾値を読み出して、RSSI値の大きさの判定を行うこととしてもよい。
また、上記実施形態においては、体内導入型医療装置としてICD1,101を例示して説明したが、生体の体内に導入されて対外装置3に身体情報を通信するものであればよく、例えば、体内導入型医療装置として、カプセル内視鏡、ペースメーカ、人工臓器等が挙げられる。
【符号の説明】
【0064】
1,101 ICD(体内導入型医療装置)
3 レピータ(体外装置)
31 センサ部(検出部)
33 受信RF処理部(受信部)
35 RSSI算出部(受信強度算出部)
37 制御部(制御部、受信強度判定部)
39 送信RF処理部(送信部)
100,200 医療システム
132 姿勢判定部
SA1 受信工程
SA2 受信強度算出工程
SA3 受信強度判定工程
SA7 通信工程
SB1 検出工程
SB2 姿勢判定工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内導入型医療装置、医療システムおよび身体情報通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICD(植込み型除細動装置)のように、患者の体内に挿入して身体の情報を外部に送信する体内導入型の医療装置においては、無線通信手段を備えることが必須であるが、長期に渡るモニタリングを想定すると無線通信手段を低消費電力で行うことが要求される。ここで、無線通信手段による送信電力を制御する通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の通信システムは、基地局装置から送信される通信信号を受信した移動局装置が、受信した通信信号の受信電力の情報に基づいて、移動局装置から基地局装置に通信信号を送信する際の送信電力を決定することにより、移動局装置による送信電力を制御することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−13490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の通信システムによる送信電力の制御では、通信信号の受信電力のレベルが低い状況、すなわち、基地局装置から移動局装置に通信信号を送信する際に多大な電力が必要となっている状況においては、移動局装置から基地局装置に通信信号を送信する場合も多大な電力を消費するという問題がある。また、通信信号の受信電力のレベルが低すぎる状況においては、移動局装置から基地局装置に送信する通信信号の送信電力を制御しても、基地局装置が通信信号を受信することができないこともあるという問題もある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、無線通信に要する消費電力を抑制することができる体内導入型医療装置、医療システムおよび身体情報通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、生体の体内に導入され、該生体の体外に配置される体外装置との間で通信信号を送受信する体内導入型医療装置であって、前記体外装置から送られてくる通信信号を受信する受信部と、前記体外装置に通信信号を送信する送信部と、前記受信部により受信された通信信号の受信強度を算出する受信強度算出部と、該受信強度算出部により算出された受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定部と、該受信強度判定部により、前記受信強度が前記所定の閾値を超えていると判定された場合に前記送信部から前記体外装置への通信信号の送信を許可し、前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に前記送信部から前記体外装置への通信信号の送信を停止させる制御部とを備える体内導入型医療装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、受信部が受信した体外装置からの通信信号の受信強度が算出部により算出され、制御部により、その受信強度に応じて、送信部から体外装置に通信信号を送信するか否かが制御される。ここで、受信部により受信される通信信号の受信強度が低いということは、通信信号を送信するのに必要な電力が大きいということになり、一方、受信部により受信される通信信号の受信強度が高いということは、通信信号を送信するのに必要な電力が小さいということになる。
【0009】
したがって、受信強度判定部により通信信号の受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定し、制御部により、通信信号の受信強度が所定の閾値を超えている場合、すなわち、通信信号を送信するのに必要な電力が小さい場合に送信部から体外装置への通信信号の送信を許可し、通信信号の受信強度が所定の閾値を超えていない場合、すなわち、通信信号を送信するのに必要な電力が大きい場合に送信部から体外装置への通信信号の送信を停止させることで、消費電力が大きい期間の通信信号の送信を回避し、無線通信に要する消費電力の抑制を図ることができる。
【0010】
上記発明においては、前記受信強度判定部により前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて前記生体の姿勢の変化量を検出する検出部と、該検出部により検出された前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定部とを備え、前記制御部が、前記姿勢判定部により前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、該生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、前記受信部による通信信号の受信を停止させることとしてもよい。
【0011】
生体の姿勢の変化量が小さい場合、例えば、生体が就寝している場合は、生体自身が通信信号の送信の障害となり、受信部による通信信号の受信強度が低くなる傾向がある。そのため、このような生体の姿勢の変化量が小さい期間においては、体外装置から送られてくる通信信号を受信部により受信したとしても、制御部により、送信部による通信信号の送信が停止される可能性が高く、受信部により通信信号を受信するための電力も無駄になることが多い。
【0012】
本発明によれば、受信強度が所定の閾値よりも小さい場合に、検出部により生体の姿勢の変化量を検出し、判定部によりその変化量が所定の閾値を超えているか否かが判定される。そして、生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、制御部により、生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで受信部による通信信号の受信を停止させることで、無駄な電力消費を削減し、無線通信に要する消費電力をより効果的に抑制することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記検出部が、前記生体の加速度を検出し、検出した加速度の変化量を前記生体の姿勢の変化量に換算するもよいし、前記生体の心拍レートを検出し、検出した心拍レートを前記生体の姿勢の変化量に換算することとしてもよい。
【0014】
本発明は、上記いずれかの体内導入型医療装置と、前記体外装置とを備える医療システムを提供する。
本発明によれば、体内導入型医療装置から体外装置に送信する通信信号の消費電力を低減し、無線通信に要する消費電力を抑制して生体の診察を行うことができる。
【0015】
また、本発明は、生体の体外に配置された体外装置から送信された通信信号を、生体の体内に導入された体内装置が受信する受信工程と、該受信工程により前記体内装置によって受信された通信信号の受信強度を算出する受信強度算出工程と、該受信強度算出工程により算出された受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定工程と、該受信強度判定工程により判定された前記受信強度が所定の閾値を越えている場合に、前記体内装置から前記体外装置に通信信号を送信する通信工程とを含む身体情報通信方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、受信強度判定工程により、体内装置が受信した通信信号の受信強度が所定の閾値を超えていると判定された場合、すなわち、通信信号を送信するのに必要な電力が小さい場合に、通信工程により体内装置から体外装置に通信信号を送信することで、消費電力が大きい期間の通信信号の送信を回避し、消費電力を抑制して身体情報の無線通信を行うことができる。
【0017】
また、上記発明においては、前記受信強度判定工程により前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて前記生体の姿勢の変化量を検出する検出工程と、該検出工程により検出された前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定工程とを含み、該姿勢判定工程により前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、該生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、前記受信工程が前記前記体内装置による通信信号の受信を停止するもよい。
【0018】
このように構成することで、生体の姿勢の変化量が小さい場合、すなわち、生体自身が通信信号の送信の障害となり、体内装置による通信信号の受信強度が小さくなる傾向が大きい期間において、体内装置により通信信号を受信するための無駄な電力消費も防ぎ、消費電力をより効果的に抑制して身体情報の無線通信を行うことができる。
【0019】
上記発明においては、前記検出工程が、前記生体の加速度を測定し、測定した加速度の変化量を前記生体の姿勢の変化量に換算することとしてもよいし、前記生体の心拍レートを測定し、測定した心拍レートを前記生体の姿勢の変化量に換算することとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、無線通信に要する消費電力を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る医療システムを示す概略構成図である。
【図2】図1のレピータを示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るICDとレピータを示す概略構成図である。
【図4】図3のICDを示すブロック図である。
【図5】通信信号の受信強度とRSSIとの関係を示す図である。
【図6】通信信号のRSSIと送信電力との関係を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る身体情報通信方法を示すフローチャートである。
【図8】時間経過と1時間ごとに取得される通信信号のRSSIとの関係を示す図である。
【図9】第1実施形態の比較例の時間間隔とRSSI値と消費電力とを示す図である。
【図10】第1実施形態の時間間隔とRSSI値と消費電力とを示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るICDを示すブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る身体情報通信方法を示すフローチャートである。
【図13】1日における患者の状態とRSSIとの関係を示す図である。
【図14】第2実施形態の時間間隔とRSSI値と消費電力とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る体内導入型医療装置、医療システムおよび身体情報通信方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る医療システム100は、図1に示すように、患者(生体)Aの体外に配置されたレピータ(体外装置)3と、患者Aの体内に導入され、心臓Hの情報をレピータ3に送信するICD(Implantable Cardioverter Defibrillator、体内導入型医療装置)1とを備えている。
【0023】
レピータ3は、ICD1と通信ネットワーク5との間の無線通信を中継するようになっている。具体的には、レピータ3は、ICD1から患者Aの身体情報を無線経由で受取り、有線または無線による広域の通信ネットワーク5に接続して、その身体情報を医療機関またはメーカー等が用意するデータサーバ(図示略)へと送るようになっている。このレピータ3は、図2に示すように、1本の空中線18を有しており、通信信号取得部11と、送信RF(Radio Frequency)処理部13と、受信RF処理部15と、通信信号取得部17とを備えている。
【0024】
通信信号取得部11は、通信ネットワーク5から送られてくる通信信号を取得し、その通信信号を送信RF処理部13に出力するようになっている。
送信RF処理部13は、通信信号取得部11から入力された通信信号の周波数を無線周波数に変換し、無線信号を空中線18を介してICD1に送信するようになっている。
【0025】
受信RF処理部15は、ICD1から送られてくる無線信号を空中線18を介して受信し、その無線信号を通信信号に周波数変換して通信信号取得部17に出力するようになっている。
通信信号取得部17は、受信RF処理部15から入力された通信信号を取得し、その通信信号を通信ネットワーク5に送信するようになっている。
【0026】
ICD1は、図3に示すように、装置本体30と、装置本体30から延び、装置本体30と心臓Hとを電気的に接続する3本のリード23とを備えている。
3本のリード23は、それぞれ導電性の材料からなる電極25を備えており、1本は電極25がRA(右心房)に取り付けられ、他の1本は電極25がRV(右心室)に取り付けられ、さらに他の1本は電極25がLV(左心室)に取り付けられている。図3において、LAは左心房を示している。
【0027】
装置本体30は、図4に示すように、1本の空中線38を有しており、センサ部31と、受信RF処理部(受信部)33と、RSSI算出部(受信強度算出部)35と、制御部(受信強度判定部、制御部)37と、送信RF処理部(送信部)39とを備えている。
【0028】
センサ部31には、3本のリード23が電気的に接続されている。センサ部31は、各電極25からリード23を介して送られてくる心電信号を検出し、その心電信号を送信RF処理部39に出力するようになっている。
【0029】
受信RF処理部33は、レピータ3から送信されてきた無線信号を空中線38を介して受信し、その無線信号を通信信号に周波数変換してRSSI算出部35に出力するようになっている。
【0030】
RSSI算出部35は、入力された通信信号の受信強度として、RSSI(Recived Signal Strength Indication、受信電波強度)を算出するようになっている。RSSI値と受信強度(dB)の関係は、図5に示すように、受信強度が大きくなるほどRSSI値も大きくなるような一定の比例関係を有している。また、RSSI算出部35は、算出したRSSI値を制御部37に出力するようになっている。
【0031】
制御部37は、RSSI値の大きさを判定する所定の閾値を記憶することができるようになっている。また、制御部37は、RSSI算出部35から入力されるRSSI値が所定の閾値(本実施形態においては、例えば、閾値79とする。)を超えているか否かを判定するようになっている。この所定の閾値としては、例えば、運用開始時、患者Aとレピータ3の周辺環境、つまり使用環境において通信を行い、通信環境が良好時の実測したRSSI値、または想定される使用環境に対応した測定値の平均的な値のRSSI値を用いることができる。
【0032】
制御部37は、RSSI値が閾値79を超えていると判定すると、送信RF処理部39による無線信号の送信を許可し、一方、RSSI値が閾値79を超えていないと判定すると、送信RF処理部39による無線信号の送信を停止させるようになっている。また、制御部37は、RSSI値が連続して閾値79を超えずに所定の時間(本実施形態にいては、例えば、24時間。)経過した場合に、送信電力を最大に設定して送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信を許可するようになっている。
【0033】
また、制御部37は、図6に示すようなRSSI値と送信電力との関係に基づいて、送信RF処理部39から送信させる無線信号の送信電力を設定するようになっている。制御部37は、例えば、RSSI値が100から20までは、RSSI値が低くなるほど送信電力を一定の反比例関係(5mAから30mAまで)で大きくしていき、RSSI値が20以下になると送信電力を一定の値(30mA)に制御するようになっている。
【0034】
送信RF処理部39は、センサ部31から入力される心電信号の周波数を無線周波数に変換するようになっている。また、送信RF処理部39は、制御部37により無線信号の送信が許可されると、制御部37の指示に従う送信電力により、無線信号を空中線38を介してレピータ3に送信するようになっている。
【0035】
次に、本実施形態に係るICD1および医療システム100を用いた身体情報通信方法について、図7のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態に係る身体情報通信方法は、患者Aの体外に配置されたレピータ3から送信された無線信号を、患者Aの体内に導入されたICD1により受信する受信工程SA1と、RSSI算出部35により、ICD1によって受信された無線信号のRSSI(受信強度)を算出する受信強度算出工程SA2と、制御部37により、RSSI算出部35によって算出されたRSSI値が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定工程SA3と、制御部37により、RSSI値が所定の閾値を超えていると判定した場合にICD1からレピータ3に無線信号を送信する通信工程SA7とを含んでいる。
【0036】
患者Aの体内に導入されたICD1においては、センサ部31によりリード23を介して心臓Hの心電信号が検出され、送信RF処理部39によりその心電信号が無線信号に変換される。
【0037】
患者Aの体外に配置されたレピータ3においては、通信ネットワーク5から送られてくる通信信号が通信信号取得部11により取得され、その通信信号が送信RF処理部39により無線信号に変換されて空中線18を介してICD1に送信される。
【0038】
本実施形態に係る身体情報通信方法により患者Aの身体情報を通信するには、レピータ3から無線信号が送信されると、ICD1の受信RF処理部33により空中線38を介してその無線信号が受信される(ステップSA1)。レピータ3からICD1には、例えば、1時間ごとに無線信号が送信される。
【0039】
次いで、受信RF処理部33により受信された無線信号は通信信号に変換されてRSSI算出部35に入力される。そして、RSSI算出部35により、図5に示す受信強度とRSSI値との関係に基づいて、入力された通信信号の受信強度を示すRSSI値が算出される(ステップSA2)。RSSI算出部35により算出されたRSSI値は制御部37に入力される。
【0040】
次いで、制御部37により、入力されたRSSI値が閾値79を超えているか否かが判定される(ステップSA3)。RSSI値が閾値79を超えていない(80未満)と判定されると(ステップSA3「NO」)、RSSI値が閾値79を超えていない期間が連続して24時間経過していない場合はステップSA1に戻る(ステップSA4「YES」)。
【0041】
RSSI値が連続して閾値79を超えずに24時間経過すると(ステップSA4「NO」)、警報部(図示略)の作動により患者Aにブザー音で警告される(ステップSA5)。この場合、制御部37により送信電力が最大に設定され、送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信が許可される。
ここで、患者Aへの警告はブザー音だけでなく、振動や超近距離無線による警告等を用いてもよい。
【0042】
一方、ステップSA3において、制御部37により、RSSI値が閾値79を超えている(80以上)と判定されると(ステップSA3「YES」)、図6に示されるRSSI値と送信電力の関係に基づいて、RSSI値に対応する送信電力が設定される(ステップSA6)。そして、制御部37により、送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信が許可される。
【0043】
ステップSA5またはステップSA6により、送信RF処理部39による無線信号の送信が許可されると、送信RF処理部39により、制御部37からの指示に従う送信電力で、無線信号(心電信号)が空中線18を介してレピータ3に送信される(ステップSA7)。これにより、レピータ3の受信RF処理部33によって無線信号が受信されて心電信号に周波数変換され、その心電信号が通信信号取得部17を介して通信ネットワーク5に送信される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係るICD1、医療システム100および身体情報通信方法によれば、RSSI算出部35により算出されるレピータ3からの通信信号のRSSI値に応じて、制御部37によりICD1からレピータ3への心電信号の送信が制御される。ここで、RSSI算出部35により算出される通信信号のRSSI値が低いということは、心電信号を送信するのに必要な電力が大きいということになる。また、RSSI値が低い場合に、仮にICD1からレピータ3に心電信号を送信したとしても通信エラーになる可能性がある。一方、RSSI算出部35により算出される通信信号のRSSI値が高いということは、心電信号を送信するのに必要な電力が小さいということになる。
【0045】
したがって、制御部37によりRSSI値が閾値79を超えているか否かを判定し、RSSI値が閾値79を超えている場合、すなわち、心電信号を送信するのに必要な電力が小さい場合にICD1からレピータ3に心電信号を送信させ、RSSI値が閾値79を超えていない場合、すなわち、心電信号を送信するのに必要な電力が大きい場合にICD1からレピータ3への心電信号の送信を停止させることで、消費電力が大きい期間の心電信号の送信を回避し、無線通信に要する消費電力を抑制することができる。
【0046】
例えば、図8に示すように、ICD1により最初に無線信号が受信されてから9時間経過するまでRSSI値が連続して閾値を超えなかったとする。この場合において、本実施形態の比較例として、ICD1により1時間間隔で無線信号が受信される度に、そのRSSI値の大きさに対応した送信電力でICD1から無線信号(心電信号)を送信したとすると、図9に示すように、1時間目から9時間目までは通信エラーとなる。その結果、10時間目に心電信号の送信が成功するまでに合計280mAhの消費電力がかかることになる。
【0047】
これに対し、本実施形態に係るICD1、医療システム100および身体情報通信方法によれば、図8に示す場合に、最初から9時間目までのRSSI値が所定の閾値(閾値79)を超えていない期間、すなわち、心電信号を送信するのに必要な電力が大きい期間は、図10に示すように心電信号の送信を停止し、10時間目にRSSI値が所定の閾値(閾値79)を超えたとき、すなわち、心電信号を送信するのに必要な電力が小さいときにICD1から心電信号を送信させることで、10時間で40mAhの消費電力で済み、消費電力を大幅に抑制することができる。
【0048】
なお、遠隔モニタリングでは長期変動で診断を行う性質が強く、1日周期の通信が守れていれば問題ない。RSSI値が連続して閾値79を超えずに24時間経過した場合に、患者Aにブザー音で警告するとともに、制御部37により、送信電力を最大に設定して送信RF処理部39からレピータ3に無線信号(心電信号)を送信させることで、患者Aの状態の異常に対応を施すことができる。
【0049】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る体内導入型医療装置、医療システムおよび身体情報通信方法について説明する。
本実施形態に係る医療システム200は、図11に示すように、ICD101のセンサ部(検出部)31が、制御部37によりRSSI値が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて患者Aの姿勢の変化量を検出する点と、制御部37が受信RF処理部33による無線信号の受信を制御する点と、センサ部31により検出された患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定部132とを備える点で第1実施形態と異なる。
【0050】
また、本実施形態に係る身体情報通信方法は、図12のフローチャートに示されるように、受信強度判定工程SA3によりRSSI値が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、センサ部31により所定の時間間隔をあけて患者Aの姿勢の変化量を検出する検出工程SB1と、姿勢判定部132により、センサ部31によって検出された患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定工程SB2とを含む点で、第1実施形態と異なる。
以下、第1実施形態に係るICD101、医療システム100および身体情報通信方法と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
センサ部31は、心電信号を検出するとともに、例えば、リード23に微小電流を印加して心臓Hのインピーダンスを測定することができるようになっている。また、センサ部31は、インピーダンス計測により心拍出量の変化(心拍レート)を検出し、検出した心拍出量の変化量を患者Aの姿勢の変化量に換算して姿勢判定部132に出力するようになっている。
【0052】
制御部37は、姿勢判定部132により患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていると判定されると、受信RF処理部33による次の無線信号の受信も許可するようになっている。一方、姿勢判定部132により患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定されると、制御部37は、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、受信RF処理部33による無線信号の受信を停止させるようになっている。
【0053】
次に、このように構成されたICD101および医療システム200を用いた身体情報通信方法の作用について説明する。
本実施形態に係るICD101および医療システム200を用いた身体情報通信方法により患者Aの身体情報を通信する場合は、制御部37によりRSSI値が閾値79を超えていないと判定されると(ステップSA3「NO」)、センサ部31により心拍出量の変化を検出され、患者Aの姿勢の変化量に換算される(ステップSB1)。
【0054】
次いで、姿勢判定部132により、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定されると(ステップSB2「NO」)、制御部37により、受信RF処理部33による無線信号の受信が停止される。そして、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていない期間が連続して24時間経過していない場合はステップSB1に戻る(ステップSA4「YES」)。そして、制御部37により、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、受信RF処理部33による無線信号の受信を停止させられる。
【0055】
患者Aの姿勢の変化量が連続して所定の閾値を超えずに24時間経過すると(ステップSA4「NO」)、警報部(図示略)の作動により患者Aにブザー音で警告され(ステップSA5)、制御部37により、送信電力が最大に設定されて送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信が許可される。
【0056】
一方、ステップSB2において、姿勢判定部132により、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていると判定されると(ステップSB2「YES」)、制御部37により、受信RF処理部33による無線信号の受信が許可され、ステップSA1に戻る。そして、RSSI算出部35により、次の無線信号が受信され(ステップSA1)、そのRSSI値が算出され(ステップSA2)、制御部37により、算出されたRSSI値が閾値79を超えていると判定されると(ステップSA3「YES」)、ステップSA6を介して、RSSI値に対応する送信電力で送信RF処理部39により心電信号が送信される(ステップSA7)。
【0057】
以上説明してように、本実施形態に係る本実施形態に係るICD101、医療システム200および身体情報通信方法によれば、RSSI値が所定の閾値を越えていない場合に、センサ部31により患者Aの姿勢の変化量が検出され、姿勢判定部132によりその変化量が所定の閾値を超えているか否かが判定される。
【0058】
ここで、患者Aの姿勢の変化量が小さい場合、例えば、図13に示されるように、患者Aが就寝しているような場合は、患者A自身が無線信号の送信の障害となり、RSSI値が低く、無線信号を送信するのに必要な電力が大きくなる傾向がある。そのため、このような期間においては、レピータ3から送信されてくる無線信号を受信RF処理部33により受信したとしても、送信RF処理部39による無線信号(心電信号)の送信が停止される可能性が高く、受信RF処理部33により無線信号を受信するための電力も無駄になることが多い。
【0059】
そこで、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、制御部37により、患者Aの姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで受信RF処理部33による無線信号の受信を停止させることで、無駄な電力消費を削減し、無線通信に要する消費電力をより効果的に抑制することができる。
【0060】
例えば、図14に示す場合に、2時間目から9時間目までの患者Aの姿勢に閾値を超える変化がない期間、すなわち、RSSI値が低くなる可能性が高い期間は、受信RF処理部33による無線信号の受信を停止し、10時間目の患者Aの姿勢に閾値を超える変化があったときに受信RF処理部33による無線信号の受信を許可することで、受信RF処理部33による無駄な通信信号の受信も回避することができる。そして、RSSI値が所定の閾値を越えたとき、すなわち、無線信号を送信するのに必要な電力が小さいときにICD1から無線信号(心電信号)の送信させることで、例えば、10時間で13mAhの消費電力で済み、消費電力をより効果的に抑制することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の一実施形態および変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
【0062】
また、上記実施形態においては、制御部37が、RSSI算出部35により算出されたRSSI値が所定の閾値を超えているか否かを判定することとしたが、制御部37がその判定を行うのではなく、RSSI算出部35により算出されたRSSI値が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定部を別個に設けることとしてもよい。また、上記実施形態においては、通信信号取得部11が、通信ネットワーク5から送られてくる通信信号を取得しているが、これに限らず、通信信号取得部11が、レピータ3内部に保存された情報を取得し、通信信号として送信RF処理部13に出力することとしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、制御部37が所定の閾値を記憶することとしたが、これに代えて、例えば、装置本体30が、所定の閾値を記憶するメモリ(図示略)を備え、制御部37が、メモリから所定の閾値を読み出して、RSSI値の大きさの判定を行うこととしてもよい。
また、上記実施形態においては、体内導入型医療装置としてICD1,101を例示して説明したが、生体の体内に導入されて対外装置3に身体情報を通信するものであればよく、例えば、体内導入型医療装置として、カプセル内視鏡、ペースメーカ、人工臓器等が挙げられる。
【符号の説明】
【0064】
1,101 ICD(体内導入型医療装置)
3 レピータ(体外装置)
31 センサ部(検出部)
33 受信RF処理部(受信部)
35 RSSI算出部(受信強度算出部)
37 制御部(制御部、受信強度判定部)
39 送信RF処理部(送信部)
100,200 医療システム
132 姿勢判定部
SA1 受信工程
SA2 受信強度算出工程
SA3 受信強度判定工程
SA7 通信工程
SB1 検出工程
SB2 姿勢判定工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の体内に導入され、該生体の体外に配置される体外装置との間で通信信号を送受信する体内導入型医療装置であって、
前記体外装置から送られてくる通信信号を受信する受信部と、
前記体外装置に通信信号を送信する送信部と、
前記受信部により受信された通信信号の受信強度を算出する受信強度算出部と、
該受信強度算出部により算出された受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定部と、
該受信強度判定部により、前記受信強度が前記所定の閾値を超えていると判定された場合に前記送信部から前記体外装置への通信信号の送信を許可し、前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に前記送信部から前記体外装置への通信信号の送信を停止させる制御部とを備える体内導入型医療装置。
【請求項2】
前記受信強度判定部により前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて前記生体の姿勢の変化量を検出する検出部と、
該検出部により検出された前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定部とを備え、
前記制御部が、前記姿勢判定部により前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、該生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、前記受信部による通信信号の受信を停止させる請求項1に記載の体内導入型医療装置。
【請求項3】
前記検出部が、前記生体の加速度を検出し、検出した加速度の変化量を前記生体の姿勢の変化量に換算する請求項2に記載の体内導入型医療装置。
【請求項4】
前記検出部が、前記生体の心拍レートを検出し、検出した心拍レートを前記生体の姿勢の変化量に換算する請求項2に記載の体内導入型医療装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の体内導入型医療装置と、
前記体外装置とを備える医療システム。
【請求項6】
生体の体外に配置された体外装置から送信された通信信号を、生体の体内に導入された体内装置が受信する受信工程と、
該受信工程により前記体内装置によって受信された通信信号の受信強度を算出する受信強度算出工程と、
該受信強度算出工程により算出された受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定工程と、
該受信強度判定工程により前記受信強度が前記所定の閾値を越えていると判定された場合に、前記体内装置から前記体外装置に通信信号を送信する通信工程とを含む身体情報通信方法。
【請求項7】
前記受信強度判定工程により前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて前記生体の姿勢の変化量を検出する検出工程と、
該検出工程により検出された前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定工程とを含み、
該姿勢判定工程により前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、該生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、前記受信工程が前記前記体内装置による通信信号の受信を停止する請求項6に記載の身体情報通信方法。
【請求項8】
前記検出工程が、前記生体の加速度を測定し、測定した加速度の変化量を前記生体の姿勢の変化量に換算する請求項7に記載の身体情報通信方法。
【請求項9】
前記検出工程が、前記生体の心拍レートを測定し、測定した心拍レートを前記生体の姿勢の変化量に換算する請求項7に記載の身体情報通信方法。
【請求項1】
生体の体内に導入され、該生体の体外に配置される体外装置との間で通信信号を送受信する体内導入型医療装置であって、
前記体外装置から送られてくる通信信号を受信する受信部と、
前記体外装置に通信信号を送信する送信部と、
前記受信部により受信された通信信号の受信強度を算出する受信強度算出部と、
該受信強度算出部により算出された受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定部と、
該受信強度判定部により、前記受信強度が前記所定の閾値を超えていると判定された場合に前記送信部から前記体外装置への通信信号の送信を許可し、前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に前記送信部から前記体外装置への通信信号の送信を停止させる制御部とを備える体内導入型医療装置。
【請求項2】
前記受信強度判定部により前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて前記生体の姿勢の変化量を検出する検出部と、
該検出部により検出された前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定部とを備え、
前記制御部が、前記姿勢判定部により前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、該生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、前記受信部による通信信号の受信を停止させる請求項1に記載の体内導入型医療装置。
【請求項3】
前記検出部が、前記生体の加速度を検出し、検出した加速度の変化量を前記生体の姿勢の変化量に換算する請求項2に記載の体内導入型医療装置。
【請求項4】
前記検出部が、前記生体の心拍レートを検出し、検出した心拍レートを前記生体の姿勢の変化量に換算する請求項2に記載の体内導入型医療装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の体内導入型医療装置と、
前記体外装置とを備える医療システム。
【請求項6】
生体の体外に配置された体外装置から送信された通信信号を、生体の体内に導入された体内装置が受信する受信工程と、
該受信工程により前記体内装置によって受信された通信信号の受信強度を算出する受信強度算出工程と、
該受信強度算出工程により算出された受信強度が所定の閾値を超えているか否かを判定する受信強度判定工程と、
該受信強度判定工程により前記受信強度が前記所定の閾値を越えていると判定された場合に、前記体内装置から前記体外装置に通信信号を送信する通信工程とを含む身体情報通信方法。
【請求項7】
前記受信強度判定工程により前記受信強度が前記所定の閾値を超えていないと判定された場合に、所定の時間間隔をあけて前記生体の姿勢の変化量を検出する検出工程と、
該検出工程により検出された前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えているか否かを判定する姿勢判定工程とを含み、
該姿勢判定工程により前記生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えていないと判定された場合に、該生体の姿勢の変化量が所定の閾値を超えるまで、前記受信工程が前記前記体内装置による通信信号の受信を停止する請求項6に記載の身体情報通信方法。
【請求項8】
前記検出工程が、前記生体の加速度を測定し、測定した加速度の変化量を前記生体の姿勢の変化量に換算する請求項7に記載の身体情報通信方法。
【請求項9】
前記検出工程が、前記生体の心拍レートを測定し、測定した心拍レートを前記生体の姿勢の変化量に換算する請求項7に記載の身体情報通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−38501(P2013−38501A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171026(P2011−171026)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]