説明

体幹機能調整器具

【課題】 主として低コスト且つ簡素な構造でありながら体幹機能を効果的に調整することが可能な体幹機能調整器具を提供する。
【解決手段】 上半身m1を載せる上半身載せ台1と、上半身載せ台1を支持する基台2と、上半身載せ台1と基台2との間に設けられ、上半身載せ台1を基台2に対して回転可能に支持する支軸3と、臀部m21を載せる臀部載置部4a及び当該臀部載置部4aよりも高い位置で脚部m22を載せる脚部載置部4bを有する下半身載せ台4とを備え、上半身載せ台1に上半身m1を載せ、下半身載せ台4の臀部載置部4aに臀部m21を載せるとともに脚部載置部4bに脚部m22を載せた状態で、上半身載せ台1を下半身載せ台4に対して左右に揺動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下半身を静止・載置した状態で下半身に対して上半身を左右に揺らすことで、体幹機能を調整する体幹機能調整器具に関する。
【背景技術】
【0002】
身体を左右に揺らすことで、姿勢を矯正したり、腰痛を治療したり、腰椎・骨盤を矯正したりする各種装置が提案されている。
【0003】
例えば、頭部、腰部及び脚部の載置部に3分割したベッド上に、立位での正しい姿勢の形状を有する頸部用枕、腰部用枕及び脚部用枕を設け、少なくとも脚部を固定ベルトによって固定した状態で、腰部載置部を駆動装置によって左右へ揺動して背骨のゆがみ等の姿勢を矯正する姿勢矯正装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、腰痛のある患者を設けるためのベットと、ベットに連結、又は一体的に設けられ、患者の足部分を載せた状態で上下動する足載置部と、患者の腰部等に取り付けられる装着体とから構成された腰痛治療・矯正装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
更に、仰向けに伏した人体の腰椎と大腿骨を直角状態におき、膝部を頭部方向に機械的にゆっくりと往復運動することにより大腿骨が付着する骨盤を旋回せしめ、これによって仙骨及び腰椎との間を繰り返して引き離すように作動せしめることにより椎間を開拡するようにした腰椎・骨盤の矯正装置がある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平6−54870号公報
【特許文献2】特開2001−161764号公報
【特許文献3】特開2002−301122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載の装置では、腰部載置部を駆動装置によって左右へ揺動させるために、モータ、クランク軸(又はラックとピニオン)等が必要であり、装置が大掛かりになり、コスト高になる。
【0007】
上記特許文献2記載の装置は、装着体を患者の腰部又は臀部に取り付け、足載置部に足を載せた状態で足載置部を上方へ移動させるとともに、装着体により臀部をベットより持ち上げた状態で、足載置部の揺動手段により、装着体を横方向に揺動するものであるため、足載置部の上下動機構としてパンタグラフ、油圧等のシリンダだけでなく、揺動手段としてモータ等の駆動機構が必要であり、これも装置が大掛かりになり、コスト高になる。
【0008】
上記特許文献3記載の装置では、パット材を頭部方向に往復運動させるために動力部の他に、クランク軸、作動杆、或いは回転軸、プーリ、ワイヤ、シーブが必要であり、やはり装置が大掛かりになり、コスト高になる。
【0009】
この発明は、そのような問題に着目してなされたもので、主として低コスト且つ簡素な構造でありながら体幹機能を効果的に調整することが可能な体幹機能調整器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の体幹機能調整器具は、上半身を載せる上半身載せ台と、この上半身載せ台を支持する基台と、上半身載せ台と基台との間に設けられ、上半身載せ台を基台に対して回転可能に支持する支軸と、少なくとも臀部を載せる臀部載置部を有する下半身載せ台とを備え、上半身載せ台に上半身を載せ、下半身載せ台の臀部載置部に臀部を載せた状態で、上半身載せ台を下半身載せ台に対して左右に揺動させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
この体幹機能調整器具では、上半身載せ台に上半身を載せ、下半身載せ台の臀部載置部に臀部を載せた状態で、例えばユーザ自身が上半身載せ台を下半身載せ台に対して左右に揺動させることで、体幹機能を調整することができる。
【0012】
この体幹機能調整器具において、下半身載せ台は、臀部載置部よりも高い位置で脚部を載せる脚部載置部を有することが好ましい。この場合、下半身載せ台は臀部載置部及び脚部載置部で構成されるので、体幹機能を調整するときは、上半身載せ台に上半身を載せ、下半身載せ台の臀部載置部に臀部を載せるとともに脚部載置部に脚部を載せる。これにより、体幹機能調整時に、下半身載せ台の脚部載置部に載せた脚部が臀部載置部に載せた臀部よりも高く位置するので、より楽な体勢となる。
【0013】
また、支軸は、上半身載せ台の臀部側の端部から20〜50cmの位置で上半身載せ台を支持することが好ましい。20〜50cmと或る程度の幅を持たせてあるのは、例えば男性の平均身長を170cmとみなして、これよりも小柄な人や大柄な人でも、臀部載置部に臀部を載せた状態で支軸が下部胸椎辺りに位置するようにするためである。これは、上半身載せ台を左右に揺動させたときに、特に上半身載せ台の臀部側の端部から支軸位置までの部分の振れを十分に確保することで、脊柱が平面視左右対称のS字状カーブを描くように動くようになるからである。すなわち、脊柱の頸部から支軸位置までの部分と支軸位置から骨盤(仙骨)までの部分とが互いに左右反対方向に湾曲するようになる。これにより、体幹機能の調整作用がより効果的になるだけでなく、上半身載せ台の安定性も良くなる。
【0014】
支軸が上半身載せ台の臀部側の端部から20〜50cmの位置で上半身載せ台を支持する具体的構成としては、上半身載せ台が臀部側の長さを可変とする出入可能な延長部を有することである。ユーザには小柄な人や大柄な人など様々な体格の人がいるが、自分の体格に応じて延長部を出入することで、上半身載せ台の臀部側の長さ(上半身載せ台の支軸が位置する部分から臀部側の端部までの長さ)を実質的に増減できる。これにより、ユーザの体格によらず、臀部載置部に臀部を載せた状態で支軸を下部胸椎辺りに位置させることができるので、各ユーザに対して体幹機能の調整効果を十分に発揮させることが可能となる。
【0015】
更に、上半身載せ台は、当該上半身載せ台に上半身を載せ、下半身載せ台の臀部載置部に臀部を載せた状態で、長手方向の中心線に対して左右にそれぞれ角度30°の範囲(全体で60°の範囲)で回転可能(揺動可能)であることが好ましい。上半身載せ台がその程度の角度範囲で揺動可能であれば、体幹機能の調整効果を十分に確保した上で、大柄な人から小柄な人まで自分に適した範囲で十分に上半身を左右に振らすことができるだけでなく、上半身を振らし過ぎないよう安全面にも行き届いたものとなる。
【0016】
この他、下半身載せ台の臀部載置部は、当該臀部載置部に載せた臀部の仙骨の左右付近を押圧するよう、一対の凸部を有することが望ましい。この場合、臀部載置部に臀部を載せると、臀部が一対の凸部で押圧されるとともに、臀部が一対の凸部間に落ち込むような格好になるので、臀部が臀部載置部に確実に保持されるようになり、上半身載せ台を左右に揺動させても臀部が安定する。
【0017】
また、下半身載せ台が脚部載置部を有する場合、当該脚部載置部に載せた脚部を保持するよう、一対の長め凹部を有することが望ましい。この場合、脚部載置部に脚部を載せると、脚部(ふくらはぎ)が長め凹部に嵌まり込むので、脚部が脚部載置部に確実に保持されるようになり、上半身載せ台を左右に揺動させても脚部が安定する。
【0018】
それら以外にも、上半身載せ台は、当該上半身載せ台に上半身を載せた状態で両腕を万歳するようにして両手で掴むためのハンドルを頭部側端部に有することが好適である。この場合、上半身載せ台を左右に揺動させるときに、両腕を万歳するようにして両手でハンドルを掴むことで、上半身載せ台を揺動し易くなる。
【0019】
また、上半身載せ台は、その長手方向の両側部に体幹止め枠を有することが好適である。この場合、上半身載せ台に上半身を載せて上半身載せ台を左右に揺動させたときに、万一、上半身が上半身載せ台からずれ落ちるのを防ぐことができる。
【0020】
一方、上半身載せ台を人力で左右に揺動させるのに代えて、上半身載せ台を自動で揺動させるようにしても構わない。この場合には、上半身載せ台が、駆動手段と、この駆動手段の動力を上半身載せ台に伝達するとともに上半身載せ台の揺動に変換する伝動手段とを有する構成、又は基台が、駆動手段と、この駆動手段の動力を上半身載せ台に伝達するとともに上半身載せ台の揺動に変換する伝動手段とを有する構成がある。
【0021】
なお、本発明において、体幹とは頸部と四肢を除いた部分(胴体)を意味する。また、体幹機能を調整するとは、主に脊柱の調整、臓器への運動刺激によるメタボリックシンドロームの予防と改善(東洋医学では腎虚の予防と改善)、胸郭の筋、呼吸筋、脊柱起立筋、側腹筋群、横突棘筋群等の緊張緩和と筋力強化による脊柱の安定、脊柱圧迫骨折の予防と改善、脊柱側弯症の予防と改善、その他、肩こり、腰痛等の予防と改善(全ての症例ではない)、尿失禁の予防と改善(コア・マッスル、骨盤底筋群による)、等を含意するものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、上半身載せ台を人力で揺動させる場合は、駆動手段(モータ等)やこれに連係する伝動手段等の動力源を用いずに低コスト且つ簡素な構造でありながら体幹機能を効果的に調整することができる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、体幹機能調整時に、より楽な体勢となる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、上半身載せ台を左右に揺動させると、脊柱が平面視左右対称のS字状カーブを描くように動くので、体幹機能の調整作用がより効果的になるだけでなく、上半身載せ台の安定性も良くなる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、ユーザの体格に関係なく臀部載置部に臀部を載せた状態で支軸を下部胸椎辺りに位置させることができるので、各ユーザに対して体幹機能の調整効果を十分に発揮させることが可能となる。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、体幹機能の調整効果を十分に確保した上で、大柄な人から小柄な人まで自分に適した範囲で十分に上半身を左右に振らすことができるだけでなく、上半身を振らし過ぎないよう安全面にも行き届いたものとなる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、臀部が臀部載置部に確実に保持されるようになり、上半身載せ台を左右に揺動させても臀部が安定する。
【0028】
請求項7記載の発明によれば、脚部が脚部載置部に確実に保持されるようになり、上半身載せ台を左右に揺動させても脚部が安定する。
【0029】
請求項8記載の発明によれば、上半身載せ台を左右に揺動させるときに、万歳するように両手でハンドルを掴むことで、上半身載せ台を揺動し易くなる。
【0030】
請求項9記載の発明によれば、上半身載せ台に上半身を載せて上半身載せ台を左右に揺動させたときに、万一、上半身が上半身載せ台からずれ落ちるのを防ぐことができる。
【0031】
請求項10,11記載の発明によれば、上半身載せ台を自動で揺動させるので、例えばユーザ自身が上半身載せ台を揺動させることができないような状態であっても、上半身載せ台の揺動により体幹機能を効果的に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、実施の形態により、この発明を更に詳細に説明する。
【0033】
一実施形態に係る体幹機能調整器具(ユーザが仰臥した状態)の側面図を図1に、その器具の平面図(上面図)を図2に、図2の線A−Aにおける一部省略拡大断面図を図3に、図2の線B−Bにおける一部省略拡大断面図を図4の(a)に、図2の線C−Cにおける一部省略拡大断面図を図5に示す。
【0034】
この体幹機能調整器具は、ユーザMの上半身m1を載せる上半身載せ台1と、この上半身載せ台1を支持する基台2と、上半身載せ台1と基台2との間に設けられ、上半身載せ台1を基台2に対して回転可能に支持する支軸3と、臀部m21を載せる臀部載置部4a及び当該臀部載置部4aよりも高い位置で脚部m22を載せる脚部載置部4bを有する下半身載せ台4とを備え、上半身載せ台1に上半身m1を載せ、下半身載せ台4の臀部載置部4aに臀部m21を載せるとともに脚部載置部4bに脚部m22を載せた状態で、上半身載せ台1を下半身載せ台4に対して左右に揺動させるようにしたものである。また、上半身載せ台1は、頭部側端部に長手方向(矢印イ方向)に出入可能なハンドル10と、その長手方向の両側部に体幹止め枠11とを有する。
【0035】
なお、図1において、ユーザMの脊柱b1、骨盤b2、大腿骨b3を示してある。
【0036】
上半身載せ台1は、図1から明らかなようにその長手方向(前後方向)においては、ユーザMの脊柱b1の湾曲(頸椎湾曲、胸椎湾曲、腰椎湾曲)に応じて背部にフィットするような曲面を呈し、上半身m1を無理なく載せることができるようになっている。勿論、上半身載せ台1の上半身m1に接する面は長手方向に平坦面であっても良いが、人間工学的には脊柱b1の湾曲に応じた曲面であるのが好ましい。或いは、上半身m1の重みに応じて自然に窪むようなクッション材を使用してもよい。
【0037】
下半身載せ台4は、ユーザMの臀部m21を臀部載置部4aに載せ、脚部m22を脚部載置部4bに載せたときに、大腿とふくらはぎが略直角になるような2段形状を呈する。この下半身載せ台4は、下半身m2を支えるように適度な硬さとフィット性及びクッション性を有する材質(自然繊維、合成繊維、合成樹脂等)からなるものであれば、どのようなものであっても構わない。図1より明らかなように、臀部載置部4aは脚部載置部4bに向かって約10°の角度で下降傾斜面を呈しているので、下半身m2(臀部m21と脚部m22)を下半身載せ台4に無理なく密着させて載せることができる。
【0038】
また、図面には示していないが、下半身載せ台4の臀部載置部4aは、臀部の座骨を保持する形態であってもよい。例えば、図1において、脚部載置部4bの垂直面に対して臀部載置部4aの下降傾斜面を延長してくぼみを設け、くぼみに座骨を入れるようにして臀部載置部4aに臀部を載せたり、臀部載置部4aを正面視上向きのコ字形状とし、座骨を臀部載置部4aで挟持するようにして臀部載置部4aに臀部を載せたりする。これにより、臀部が臀部載置部4aによりしっかりと保持されることになる。
【0039】
他方、下半身載せ台4は、そのままでも自由に動かせるのは勿論であるが、機構的に図1の矢印ニ方向(前後方向)に移動可能であってもよい。この移動構造としては、例えば図4の(b)に一部省略拡大断面図で示すように、2本のレール80(1本のみ示す)が下半身載せ台4の下に間隔を置いて敷かれ、下半身載せ台4の底部に軸81により回転可能に支持された複数個のローラ82がレール80上を回転することで、下半身載せ台4が矢印ニ方向に移動することができる。なお、図面には示していないが、ローラ82の移動を止めるには、レール80上でローラ82の前後にローラ止めを置いたり、ローラ82をネジで固定したりするなどすればよい。
【0040】
下半身載せ台4が移動可能であることにより、ユーザMが上半身m1を上半身載せ台1に載せ、下半身m2を下半身載せ台4に載せるときに、体格に応じて下半身載せ台4の位置を調節することができる。或いは、同じユーザMであっても、上半身載せ台1に載せる上半身m1の位置を前後にずらし、それに応じて臀部m21が臀部載置部4aに載るように、下半身載せ台4の位置を調節してもよい。
【0041】
この体幹機能調整器具では、支軸3の中心から上半身載せ台1の臀部側端部までの長さL(図2参照)は約30cmに設定されている。すなわち、支軸3は、上半身載せ台1の臀部側の端部から約30cmの位置で上半身載せ台1を回転可能に支持する。
【0042】
こうすることで図6に示すように、上半身載せ台1を左右に揺動させたときに、特に上半身載せ台1の臀部側端部から支軸3の位置までの部分(長さLに相当する部分)の左右の振れを十分に確保することができ、脊柱b1が平面視左右対称のS字状カーブを描くように動くようになる。すなわち、脊柱b1の頸部から支軸3の位置までの部分と支軸3の位置から骨盤b2(仙骨b4)までの部分とが互いに左右反対方向に(図6の符号b1−1、b1−2を付した脊柱b1を表す線のように)湾曲するようになる。これにより、体幹機能の調整作用がより効果的になるだけでなく、上半身載せ台1の安定性も良くなる。
【0043】
この場合、前記したように、例えば上半身載せ台1に載せる上半身m1の位置を後にずらし(つまり上半身m1を浅く載せ)、臀部m21が臀部載置部4aに載るように、下半身載せ台4を後方に移動させれば、実質的に支軸3が背部の上側に位置することになるので、体幹の上位部分の機能を調整することができる。すなわち、上半身載せ台1に載せる上半身m1の位置を変えることで、体幹の下位部分から上位部分までの幅広い部位の機能を調整することが可能となる。
【0044】
また、上半身載せ台1は、当該上半身載せ台1に上半身m1を載せ、下半身載せ台4の臀部載置部4aに臀部m21を載せるとともに脚部載置部4bに脚部m22を載せた状態(図1の状態)で、図7に示すように、上半身載せ台1の長手方向の中心線Pに対して左右にそれぞれ角度θ1、θ2の範囲だけ回転可能である。この角度θ1、θ2は、ここではそれぞれ30°であり、従って上半身載せ台1は全体で60°の角度範囲内を揺動可能である。
【0045】
上半身載せ台1が角度θ1、θ2(=30°)の範囲で左右に揺動可能であれば、体幹機能の調整効果を十分に確保した上で、大柄な人から小柄な人まで自分に適した範囲で十分に上半身m1を左右に振らすことができるだけでなく、上半身m1を振らし過ぎないよう安全面にも行き届いたものとなる。
【0046】
具体的に上半身載せ台1の揺動可能角度範囲を制限する機構は、例えば図8(支軸3の拡大断面図)に示すような構造である。図8では、支軸3は内部の軸50と円筒状のホルダ51とからなり、上半身載せ台1に固定された軸50が基台2に取り付けられたホルダ51内に挿入されることで、軸50すなわち上半身載せ台1が基台2に回転可能に支持されることになる。或いは、軸50が基台2に固定され、ホルダ51が上半身載せ台1に取り付けられてもよい。
【0047】
軸50の外周面には筋状の凸部50aが設けられ、ホルダ51の内周面には角度60°(θ1+θ2)の間隔を置いて2つの筋状の凸部51a,51bが設けられ、凸部50aが凸部51a,51b間に位置する。これにより、軸50(すなわち上半身載せ台1)は、凸部50aが凸部51a,51bに当たるまでの角度60°の範囲で揺動可能となる。
【0048】
図3の(a)に示すように、上半身載せ台1は、左右方向には平坦面を呈している。従って、上半身載せ台1に上半身m1を載せ、下半身載せ台4に下半身m2を載せて、上半身載せ台1を左右に揺動させるときに、脊柱b1が平面視左右対称のS字状カーブを描くように動くのに伴って、上半身m1がスムーズに変位する。
【0049】
なお、図3の(b)に示す例では、上半身載せ台1は、当該上半身載せ台1に載せた上半身m1の脊柱b1を保持するよう、長手方向の中心線P(図7参照)に沿って延びる2条の凸部20,21と、この2条の凸部20,21間に設けられた1条の凹部22とを有する。この上半身載せ台1に上半身m1を載せると、脊柱b1の外側の背部分が2条の凸部20,21で押圧され、脊柱b1が1条の凹部22に嵌まり込むような格好になるので、上半身m1が上半身載せ台1に確実に保持されるようになる。
【0050】
図4の(a)に示すように、下半身載せ台4の臀部載置部4aは、当該臀部載置部4aに載せた臀部m21の仙骨b4(図2参照)の左右付近を押圧するよう、一対の凸部30,31を有する。この臀部載置部4aに臀部m21を載せると、臀部m21が一対の凸部30,31で押圧されるとともに、臀部m21が一対の凸部30,31間に落ち込むような格好になるので、臀部m21が臀部載置部4aに確実に保持されるようになり、上半身載せ台1を左右に揺動させても臀部m21が安定する。
【0051】
図5に示すように、下半身載せ台4の脚部載置部4bは、当該脚部載置部4bに載せた脚部m22を保持するよう、一対の長め凹部40,41を有する。この脚部載置部4bに脚部m22を載せると、脚部(ふくらはぎ)m22が長め凹部40,41に嵌まり込むので、脚部m22が脚部載置部4bに確実に保持されるようになり、上半身載せ台1を左右に揺動させても脚部m22が安定する。
【0052】
また、上半身載せ台1の頭部側端部に設けられたハンドル10は、ユーザMが上半身m1を上半身載せ台1に載せた状態で、両腕を万歳するようにして両手で掴むためのものである。但し、両手でハンドル10を掴む位置は、ユーザMの背中が浮き上がらないように腕が顔よりも前側に来る位置である。このハンドル10は、ユーザMの体格に応じて上半身載せ台1に対して長手方向に出入可能である。上半身載せ台1に上半身m1を載せて上半身載せ台1を左右に揺動させるときに、両手でハンドル10を掴むことで、上半身載せ台1を揺動し易くなる。
【0053】
更に、上半身載せ台1は、その長手方向の両側部に体幹止め枠11を有する。この上半身載せ台1に上半身m1を載せて上半身載せ台1を左右に揺動させたときに、万一、上半身m1が上半身載せ台1からずれ落ちるのを防ぐことができる。
【0054】
このように構成した体幹機能調整器具によると、前記の通りユーザMが上半身m1を上半身載せ台1に載せ、臀部m21を下半身載せ台4の臀部載置部4aに載せるとともに脚部m22を脚部載置部4bに載せた状態で、ユーザM自身が上半身載せ台1を下半身載せ台4に対して左右に揺動させることで、体幹機能を調整することができる。
【0055】
ここでは、下半身載せ台4が臀部載置部4aに加えて脚部載置部4bを有するため、体幹機能調整時に、脚部載置部4bに載せた脚部m22が臀部載置部4aに載せた臀部m21よりも高く位置するので、より楽な体勢となる。
【0056】
体幹機能調整については、図6を参照して説明した通り、脊柱b1の頸部から支軸3の位置までの部分と支軸3の位置から骨盤b2(仙骨b4)までの部分とが互いに左右反対方向に(図6の符号b1−1、b1−2を付した脊柱b1を表す線のように)湾曲するので、上半身載せ台1を左右に揺動させる運動を繰り返すことで、腰椎の矯正、腰痛の治療、骨盤の矯正を施すことができる。また、腰痛の治療に際しては、ユーザ自身が意識的に上半身載せ台1を左右に揺動させるので、外傷後の拘縮や骨化性筋炎を起こさないようにするための運動にもなる。その上、上半身載せ台1を左右に揺動させることで、脊椎の圧迫骨折や側弯症の予防運動にもなる。
【0057】
この他、上半身載せ台1を左右へ小さく(左右へ各々角度15°程度)揺動させることで、腰部を含む背部の深層筋をほぐすことができ、大きく(左右へ各々角度30°程度)揺動させることで、腰部を含む背部の筋肉を動かすことができる。また、上半身m1が左右に振れるので、胸郭及び呼吸筋を軟らかくすることができ、深呼吸を促進することが可能となる。
【0058】
更に、上半身載せ台1を揺動させる運動を繰り返すことで、自立神経系及び内分泌系を含む臓器機能の促通による肥満やメタボリックシンドロームの予防を図ることができる。しかも、上半身載せ台1に載せる上半身m1の位置を変えることで、体幹の下位部分から上位部分までの幅広い部位の機能を調整することが可能となる。すなわち、後頭下の筋、背部深層の筋、胸郭の筋、腹部の筋、体側の筋、呼吸筋及び骨盤の筋の緊張緩和と筋力強化を図ることができる。
【0059】
更にまた、例えばユーザの頭部に重りを装着する、上半身載せ台1に重りを載せるなどして上半身載せ台1を重くしたり、或いは支軸3(軸50)の回転に対する抵抗を摩擦などにより強くしたりすることで、上半身載せ台1を揺動させるのに要する力を大きくし、ユーザの体力に応じた揺動運動を行うことができる。
【0060】
或いは、上半身載せ台1を左右へ揺動させる角度が大きくなるに従い、上半身載せ台1を元の中央位置に戻そうとする復帰力が作用するように、例えば支軸3に弾性部材(スプリング、ゴム等)を設け、ユーザが上半身載せ台1を左又は右に揺動させた位置から反対側に揺動させるのを弾性部材により手助けするようにしてもよい。
【0061】
なお、上記体幹機能調整器具は一例であり、種々の変更が可能である。例えば、通常の椅子のように軸3の適当な位置をネジにより固定する機構を採用し、ユーザの体格に応じて上半身載せ台1の高さを調節できるようにしてもよいし、これに応じて下半身載せ台4の臀部載置部4a及び脚部載置部4bの高さもそれぞれ独立して調節できるようにしてもよい。
【0062】
次に、別実施形態に係る体幹機能調整器具の側面図を図9に、その器具を用いて体幹機能を調整するとき(ユーザが仰臥した状態)の側面図を図10に示す。
【0063】
この体幹機能調整器具では、上半身載せ台61は座椅子型であり、座部61aと背もたれ部61bからなる。背もたれ部61bは通常の座椅子の角度調節機構等により、角度90°の範囲で矢印ロ方向に無段階又は複数段階に角度調節が可能である。また、背もたれ部61bは頭部側端部にハンドル70を有する。このハンドル70は、矢印ハ方向に回転可能であるが、背もたれ部61bの外側にも回転可能であってよい。座部61aは基台62に対して支軸63により回転可能に支持されている。下半身載せ台64は、ここでは臀部載置部としての機能だけを有する単純なブロック形状を呈するものである。その他の構造や機能は前記器具と同様でもよい。
【0064】
この体幹機能調整器具は、体幹機能調整に使用しないときは、通常の回転式座椅子として使用することができる。その際、下半身載せ台64は足載せ台(オットマン)として用いることができる。
【0065】
体幹機能調整に使用するときは、図10に示すように、上半身載せ台61の背もたれ部61bを倒して座部61aと水平にし、この上半身載せ台61に上半身m1を載せるとともに、下半身載せ台64に臀部m21を載せる。また、ハンドル70は背もたれ部61bの内側に引き上げておく。この状態で、上半身載せ台61を下半身載せ台64に対して左右に揺動させることで、上記の通り体幹機能を調整することができる。
【0066】
この体幹機能調整器具は、前記器具に比べて上半身載せ台61と下半身載せ台64がより単純な構造であるため、一層低コストとなる。しかも、体幹機能調整に使用しないときは座椅子として使用できるため便利である。
【0067】
上記実施形態の体幹機能調整器具は、いずれもユーザ(又はユーザ以外の介添人等)が上半身載せ台1,61を人力で揺動させるものであるが、上半身載せ台を自動で揺動させる場合の機構例を幾つか説明する。
【0068】
まず、図11(要部拡大断面図)及び図12(図11の矢視Dから見た要部概略平面図)に示す自動揺動機構は、上半身載せ台1が、駆動手段としてのモータ100と、このモータ100の動力を上半身載せ台1に伝達するとともに上半身載せ台1の揺動に変換する伝動手段とを有する一例である。
【0069】
上半身載せ台1のハウジング110の内部には別の支持板111が張設され、この支持板111の支軸3に対応する位置にモータ100が取り付けられている。モータ100の回転軸101は、支持板111を貫通して支持板111の下側に突出するとともに、支軸3の中心上に位置する。この回転軸101にはクランク120が取り付けられ、クランク120の端部の連結ピン121にリンク130の一端部が回転可能に連結されている。リンク130の他端部側には、当該リンク130の往復直線運動のストロークに相当する長さのスリット131が形成され、このスリット131に、支持板111に突設された回転可能な作用ピン115がスライド移動可能に嵌合されている。
【0070】
なお、この例では、クランク120、リンク130、作用ピン115等により伝動手段が構成される。
【0071】
図12より明らかなように、連結ピン121(クランク120)が上半身載せ台1の長手方向の中心線P(図7参照)上に位置するときに、リンク130も中心線P上に位置するように設定されている。また、上半身載せ台1が中心線Pに対して左右にそれぞれ角度30°の範囲内で揺動するように、クランク120及びリンク130の長さ、作用ピン115の位置等が適切に設定されている。更に、クランク120の回転速度に関連する上半身載せ台1の揺動速度は、体幹機能調整に無理の無いように設定されている。或いは、リモートコントローラにより揺動速度を多段階又は無段階に調節可能にしてもよい。
【0072】
この自動揺動機構では、モータ100が作動すると、クランク120が回転するのに伴い、連結ピン121がクランク120の回転中心周りを公転し、この連結ピン121の公転動作でリンク130は往復角運動をすると同時に往復直線運動をする。このリンク130の運動により作用ピン115が左右に押される結果、上半身載せ台1は支軸3を中心として左右に揺動することになる。
【0073】
図13(要部拡大断面図)及び図14(図13の矢視Eから見た要部概略平面図)に示す自動揺動機構は、上半身載せ台1が、モータ100と、このモータ100の動力を上半身載せ台1に伝達するとともに上半身載せ台1の揺動に変換する伝動手段とを有する別例である。但し、上記と同じ要素には同一符号を付してある。
【0074】
上半身載せ台1のハウジング110の内部の支持板111において、支軸3よりもユーザの頭部側の位置にモータ100が取り付けられている。モータ100の回転軸101は、支持板111を貫通して支持板111の下側に突出し、この回転軸101にクランク120が取り付けられている。クランク120の端部の連結ピン121には、リンク140の一端部が回転可能に連結され、リンク140の他端部にはスライダ141が固定されている。但し、スライダ141はリンク140と一体でもよい。スライダ141は、扁平状のシリンダ150の内部を摺動可能である。シリンダ150は、ハウジング110を貫通して内部に幾分突出した支軸3の端部に、例えば溶接やネジ止めにより固定され、支軸3と一体に動くようになっている。このシリンダ150の長さは、リンク140の往復直線運動のストロークに相当する。
【0075】
なお、この例では、クランク120、リンク140、シリンダ150等により伝動手段が構成される。
【0076】
この例でも、クランク120が上半身載せ台1の長手方向の中心線P上に位置するときに、リンク140も中心線P上に位置するように設定されている。また、上半身載せ台1が中心線Pに対して左右にそれぞれ角度30°の範囲内で揺動するように、クランク120及びリンク140の長さ、モータ100の回転軸101と支軸3との間隔等が適切に設定されている。勿論、クランク120の回転速度に関連する上半身載せ台1の揺動速度は、体幹機能調整に無理の無いように設定されている。或いは、リモートコントローラにより揺動速度を多段階又は無段階に調節可能にしてもよい。
【0077】
この自動揺動機構では、モータ100が作動すると、クランク120が回転するのに伴い、連結ピン121がクランク120の回転中心周りを公転し、この連結ピン121の公転動作でリンク140は往復角運動をすると同時に往復直線運動をする。勿論、リンク140の運動と併行して、モータ100、クランク120等も支軸3に対して揺動運動する。このリンク140の運動により、リンク140のスライダ141がシリンダ150内を摺動するとともに、シリンダ150と支軸3が一体に左右に揺動する結果、上半身載せ台1は支軸3を中心として左右に揺動することになる。
【0078】
図15(要部拡大断面図)に示す自動揺動機構は、基台1が、モータ(駆動手段)100と、このモータ100の動力を上半身載せ台1に伝達するとともに上半身載せ台1の揺動に変換する伝動手段とを有する一例である。
【0079】
基台2のベース板200において、支軸3に対応する付近にモータ100が取り付けられ、モータ100の回転軸101には大歯車160が固定されている。この大歯車160に歯合するように、上半身載せ台1から基台2内に延びる支軸3の端部には小歯車161が固定されている。ここでは、上半身載せ台1に設けられたスカート117に対し、基台2のハウジング201の筒部202が当接し、筒部202の内側に設けられた軸受170により支軸3が安定して回転するよう支持される。
【0080】
なお、この例では、大歯車160、小歯車161等により伝動手段が構成される。
【0081】
この例においては、そのままではモータ100の作動により支軸3、すなわち上半身載せ台1が角度無制限に回転するため、上半身載せ台1が中心線Pに対して左右にそれぞれ角度30°の範囲内で揺動するように、例えばモータ100の回転軸101の回転が正逆に周期的に切り替わるようにした回路(図示せず)が組み込まれている。或いは、支軸3が左右にそれぞれ角度30°の位置で止まるようにストッパを設け、支軸3がストッパに当たったことをトリガに(例えばリミットスイッチにより)回転軸101が反対方向に回転するようにしてもよい。
【0082】
また、大歯車160と小歯車161の各歯数は、モータ100のトルクも加味し、モータ100の動力で、ユーザMが上半身m1を載せた上半身載せ台1の支軸3を十分に回転させることができるように設定されている。更に、上半身載せ台1の揺動速度は体幹機能調整に無理の無いように設定されている。或いは、リモートコントローラにより揺動速度を多段階又は無段階に調節可能にしてもよい。
【0083】
この自動揺動機構では、モータ100が作動すると、大歯車160及び小歯車161を介して支軸3が角度60°の範囲内で回転する結果、上半身載せ台1は支軸3を中心として左右に揺動することになる。
【0084】
図16(要部拡大断面図)に示す自動揺動機構は、図15の変形例である。但し、上記と同じ要素には同一符号を付してある。
【0085】
この例では、上半身載せ台1からの支軸3が基台2のベース板200まで延び、ベース板200に設けられた軸受175により支軸3が安定して回転するよう支持される。ベース板200に取り付けられたモータ100の回転軸101に小歯車165が固定され、ベース板200に設けられた軸受176により回転可能に支持された回転軸180の先端に大歯車166が固定され、更に支軸3の途中に小歯車167が固定されている。小歯車165と大歯車166、大歯車166と小歯車167は歯合する。
【0086】
なお、この例では、小歯車165、大歯車166、小歯車167、回転軸180等により伝動手段が構成される。
【0087】
この例においても、上半身載せ台1が中心線Pに対して左右にそれぞれ角度30°の範囲内で揺動するように、例えばモータ100の回転軸101の回転が正逆に周期的に切り替わるようにした回路(図示せず)が組み込まれている。或いは、支軸3が左右にそれぞれ角度30°の位置で止まるようにストッパを設け、支軸3がストッパに当たったことをトリガに(例えばリミットスイッチにより)回転軸101が反対方向に回転するようにしてもよい。
【0088】
また、小歯車165、大歯車166、小歯車167の各歯数は、モータ100のトルクも加味し、モータ100の動力で、ユーザMが上半身m1を載せた上半身載せ台1の支軸3を十分に回転させることができるように設定されている。更に、上半身載せ台1の揺動速度は体幹機能調整に無理の無いように設定されている。或いは、リモートコントローラにより揺動速度を多段階又は無段階に調節可能にしてもよい。
【0089】
この自動揺動機構では、モータ100が作動すると、小歯車165、大歯車166、小歯車167を介して支軸3が角度60°の範囲内で回転する結果、上半身載せ台1は支軸3を中心として左右に揺動することになる。
【0090】
上記のような自動揺動機構を備える体幹機能調整器具であれば、例えばユーザ自身が上半身載せ台1を揺動させることができないような状態であっても、上半身載せ台1の揺動により体幹機能を効果的に調整することができる。
【0091】
図15や図16に示す自動揺動機構の場合、上半身載せ台1の揺動可能角度範囲を60°の範囲内で任意に調整することが可能である。その具体的機構は、例えば図17(支軸3の拡大断面図)に示すような構造である。図17では、上半身載せ台1の長手方向の中心線Pに対応する軸50の位置に投光素子90が取り付けられ、この投光素子90からの光を受光する3対の受光素子91L,91R、92L,92R、93L,93Rがホルダ51の内周面に取り付けられている。一対の受光素子91L,91Rは、角度θ1、θ2(=30°)の位置にあり、一対の受光素子92L,92Rは、角度θ3、θ4(=20°)の位置にあり、一対の受光素子93L,93Rは、角度θ5、θ6(=10°)の位置にある。
【0092】
これら3対の受光素子のうち、どの受光素子を有効とするかは、ユーザが指定した揺動角度によって決まるようになっている。すなわち、例えばリモートコントローラに設けたスイッチで切り替えることができるようにしておく。スイッチにより揺動角度をθ3、θ4(=20°)に設定した場合は、受光素子92L,92Rのみが有効となり、投光素子90からの光が受光素子92L又は92Rで受光されると、これをトリガとしてモータ100の回転軸101が反対方向に回転し、上半身載せ台1が反対方向に動く。
【0093】
なお、投光素子90の代わりに光反射板を用い、受光素子の代わりに投・受光素子を用い、投・受光素子からの光を光反射板で反射し、反射光を投・受光素子で受光するようにし、受光をトリガとしても構わない。また、図17では、上半身載せ台1の揺動可能角度範囲を3段階に調整可能としたが、4段階以上や無段階であってもよい。
【0094】
一方、下半身載せ台が臀部側の長さを可変とする出入可能な延長部を有する体幹機能調整器具の一例を図18に示す。この体幹機能調整器具は、上半身載せ台310、下半身載せ台4(図1と同様のもの)、基台320、支軸330で構成される。上半身載せ台310は、ハンドル350付きの上部311、中部312、及び支軸330を介して基台320により支持された下部313からなり、上部311及び中部312はそれぞれ独立して多段階又は無段階に傾斜可能になっている。上部311及び中部312が傾斜可能であることにより、例えば猫背のユーザであっても上半身を上半身載せ台310に楽に載せることができる。
【0095】
また、上半身載せ台310は、臀部側の長さを可変とする出入可能な延長部340を有する。この延長部340は、上半身載せ台310に設けられたアーム341により支持され、使用しないときは上半身載せ台310(下部313)の下側に収納し、使用するときは下部313の端部側に引っ張り出し、下部313と同レベルまで上げて固定する。これにより、特に体格の大きいユーザの場合、延長部340を使用することで、下半身載せ台310の臀部側の長さ(下半身載せ台310の支軸330が位置する部分から臀部側の端部までの長さ)を実質的に増すことができるので、臀部載置部4aに臀部を載せた状態で支軸330を下部胸椎辺りに位置させることができ、体幹機能の調整効果を十分に発揮させることが可能となる。
【0096】
図18に示す延長部340は長さが一定のものであるが、別例として上半身載せ台310(下部313)に対して机の引出しのようにスライド出入可能なものであってもよい。すなわち、例えば延長部340の引出し位置を調整するネジを下部313の側部に設け、延長部340を使用しないときは下部313に押し込んでおき、使用するときはネジを緩め延長部340を必要な長さだけ引き出して所望の位置でネジを締めて固定する。この場合、延長部340自体の長さを調整できるので、図18の例よりもユーザの体格に対する自由度が増す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】一実施形態に係る体幹機能調整器具(ユーザが仰臥した状態)の側面図である。
【図2】同体幹機能調整器具の平面図(上面図)である。
【図3】図2の線A−Aにおける一例の一部省略拡大断面図(a)、及び別例の一部省略拡大断面図(b)である。
【図4】図2の線B−Bにおける一部省略拡大断面図(a)、及び下半身載せ台の底部を示す一部省略拡大断面図(b)である。
【図5】図2の線C−Cにおける一部省略拡大断面図である。
【図6】同体幹機能調整器具において、上半身載せ台を左右に揺動させたときにユーザの上半身の脊柱が湾曲する状態を示す平面図(上面図)である。
【図7】同体幹機能調整器具において、上半身載せ台を左右に揺動させるときの角度範囲を示す平面図(上面図)である。
【図8】同体幹機能調整器具において、上半身載せ台の揺動可能角度範囲を制限する機構(支軸)の構造を示す拡大断面図である。
【図9】別実施形態に係る体幹機能調整器具の側面図である。
【図10】同体幹機能調整器具を用いて体幹機能を調整するとき(ユーザが仰臥した状態)の側面図である。
【図11】更に別実施形態に係る体幹機能調整器具において、上半身載せ台を自動で揺動させる機構の一例を示す要部拡大断面図である。
【図12】図11の自動揺動機構を矢視Dから見た要部概略平面図である。
【図13】更に別実施形態に係る体幹機能調整器具において、上半身載せ台を自動で揺動させる機構の別例を示す要部拡大断面図である。
【図14】図13の自動揺動機構を矢視Eから見た要部概略平面図である。
【図15】更に別実施形態に係る体幹機能調整器具において、上半身載せ台を自動で揺動させる機構の更に別例を示す要部拡大断面図である。
【図16】更に別実施形態に係る体幹機能調整器具において、上半身載せ台を自動で揺動させる機構の更に別例を示す要部拡大断面図である。
【図17】図15又は図16に示す体幹機能調整器具の自動揺動機構において、上半身載せ台の揺動可能角度範囲を制限する機構(支軸)の構造を示す拡大断面図である。
【図18】更に別実施形態に係る体幹機能調整器具の側面図である。
【符号の説明】
【0098】
1,61,310 上半身載せ台
2,62,320 基台
3,63,330 支軸
4,64 下半身載せ台
4a 臀部載置部
4b 脚部載置部
10,70,350 ハンドル
11 体幹止め枠
20,21 凸部
22 凹部
30,31 凸部
40,41 長め凹部
61a 座部
61b 背もたれ部
100 モータ(駆動手段)
120 クランク
130,140 リンク
150 シリンダ
160,161 歯車
165〜167 歯車
340 延長部
M ユーザ
m1 上半身
m2 下半身
m21 臀部
m22 脚部
b1 脊柱
b2 骨盤
b3 大腿骨
b4 仙骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上半身を載せる上半身載せ台と、この上半身載せ台を支持する基台と、上半身載せ台と基台との間に設けられ、上半身載せ台を基台に対して回転可能に支持する支軸と、少なくとも臀部を載せる臀部載置部を有する下半身載せ台とを備え、上半身載せ台に上半身を載せ、下半身載せ台の臀部載置部に臀部を載せた状態で、上半身載せ台を下半身載せ台に対して左右に揺動させるようにしたことを特徴とする体幹機能調整器具。
【請求項2】
前記下半身載せ台は、前記臀部載置部よりも高い位置で脚部を載せる脚部載置部を有することを特徴とする請求項1記載の体幹機能調整器具。
【請求項3】
前記支軸は、前記上半身載せ台の臀部側の端部から20〜50cmの位置で上半身載せ台を支持することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の体幹機能調整器具。
【請求項4】
前記上半身載せ台は、臀部側の長さを可変とする出入可能な延長部を有することを特徴とする請求項3記載の体幹機能調整器具。
【請求項5】
前記上半身載せ台は、当該上半身載せ台に上半身を載せ、前記下半身載せ台の臀部載置部に臀部を載せた状態で、長手方向の中心線に対して左右にそれぞれ角度30°の範囲で回転可能であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の体幹機能調整器具。
【請求項6】
前記下半身載せ台の臀部載置部は、当該臀部載置部に載せた臀部の仙骨の左右付近を押圧するよう、一対の凸部を有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5記載の体幹機能調整器具。
【請求項7】
前記下半身載せ台の脚部載置部は、当該脚部載置部に載せた脚部を保持するよう、一対の長め凹部を有することを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6記載の体幹機能調整器具。
【請求項8】
前記上半身載せ台は、当該上半身載せ台に上半身を載せた状態で両腕を万歳するようにして両手で掴むためのハンドルを頭部側端部に有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7記載の体幹機能調整器具。
【請求項9】
前記上半身載せ台は、その長手方向の両側部に体幹止め枠を有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7又は請求項8記載の体幹機能調整器具。
【請求項10】
前記上半身載せ台は、駆動手段と、この駆動手段の動力を当該上半身載せ台に伝達するとともに当該上半身載せ台の揺動に変換する伝動手段とを有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9記載の体幹機能調整器具。
【請求項11】
前記基台は、駆動手段と、この駆動手段の動力を前記上半身載せ台に伝達するとともに前記上半身載せ台の揺動に変換する伝動手段とを有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9記載の体幹機能調整器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−268866(P2009−268866A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145239(P2008−145239)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(507077019)
【Fターム(参考)】