体液からのタンパク質を吸収するための装置
体液からの、特に歯肉溝滲出液または涙液からの物質、特にタンパク質、例えば酵素を吸収するための平面状装置であって、受容要素(10)、支持要素(20)を含み、・受容要素(10)が親水性であり、0.22μm〜5μm、特に0.5μm〜3μmの細孔径を有し、プラスチック材またはプラスチック材の混合物よりなり、特に、不活性プラスチック材または不活性プラスチック材の混合物よりなり、・支持要素(20)が疎水性であり、受容要素(10)の表面の1つを少なくとも部分的に覆い、・該装置が更に、受容要素(10)の対表面に位置する識別要素(40)を含むことを特徴とする、平面状装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液からのタンパク質を吸収するための装置、およびその装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯肉溝滲出液(GCF)、唾液、涙液または創傷の滲出物は、歯科医院において又はベッドの傍で又は警察による取り締まり中に、非侵襲的に、したがって外科的介入を伴わずに回収されうる媒体である。診断において、それらは重要な役割を果たしうる。なぜなら、それらは、とりわけ、ヒトタンパク質、および微生物由来のタンパク質、医薬およびそれらの代謝産物、中毒性物質(違法薬物)およびそれらの代謝産物、またはフリーラジカルを含有しうるからである。
【0003】
一般に、非侵襲的に得られた流体中の物質の濃度は、哺乳動物の血清中に存在するそのような物質のレベルの類似像となりうる。さらに、局所的に存在する物質、例えば炎症マーカーは、サンプル採取部位における局所的病理学的変化、例えば歯周組織の炎症を示しうる。しかし、これらは、より低い濃度、部分的には実質的に、より低い濃度で存在することが公知であり(Uitto,Periodontology 2000,Vol.31,2003)、したがって、分析のためには高感度法が必要とされている(例えばイムノアッセイ、例えばELISA法)。
【0004】
例えば、診断用または分析用測定(アッセイ)においては、そのような物質の濃度は、以下のものに関して結論づけることを可能にする:
・歯周組織(例えば、歯周炎、インプラント周囲炎、歯根う蝕)の現在および将来の疾患;
・現在および将来の全身疾患(例えば、ウイルス性疾患);
・現在の及び予想される全身疾患(例えば、糖尿病、アレルギー);
・現在の急性疾患(感染);
・免疫状態(ワクチン接種);
・将来の疾患のリスク(フリーラジカル、免疫状態)。
【0005】
したがって、例えば、歯肉溝滲出液は、歯科分析法、特に、歯肉炎および歯周炎疾患のモニターにより検査される。歯肉炎および歯周炎は歯バイオフィルムからの持続的な攻撃により引き起こされる。しかし、歯周炎が実際に生じるかどうかは宿主生物の防御反応により決定される。宿主内因性コラゲナーゼは歯周炎および歯槽骨破壊の開始および進行をもたらす。
【0006】
歯周病原性破壊過程のための最も重要なコラゲナーゼはマトリックスメタロプロテイナーゼ−8(MMP−8)またはコラゲナーゼ2である。
【0007】
マトリックスメタロプロテイナーゼは以下の3つの異なる形態で存在する:
1.不活性前駆体またはプロ形態(多形核顆粒球における貯蔵形態)、
2.活性化または活性形態、
3.抑制形態または複合形態。
【0008】
組織内で遊離した活性形態(aMMP−8)は最終的に組織破壊をもたらす。高いaMMP−8レベルは活性炎症を示し、したがって、治療を要する急性状態を示す。
【0009】
aMMP−8は、歯周組織がいつ破壊されたのかを認識するための客観的診断マーカーである。
【0010】
先行技術においては、タンパク質は受容要素としての単純な水吸収膜により体液から集められる。一般に、吸取紙片(吸取紙ストリップ)が使用される。吸取紙片によりサンプルを採取する場合には、多数の問題が生じうる。
【0011】
例えば、GCFを採集する場合には、該サンプルは唾液または周皮との接触により汚染または希釈されうる。さらに、望ましくない成分、例えば上皮細胞、粘膜細胞、細菌、PMN細胞(多形核好中球)、細胞成分または固体が採取され又は付着し、後の分析測定を妨げうる。
【0012】
膜の形状およびサイズは、しばしば、標準化されたものではなく、したがって、サンプル採取の量における変動を招きうる。適用中に、取り扱い上の問題(例えば、液体中への深すぎる浸漬、不十分および不完全な充填、適用位置の誤り)は適用誤差を招きうる。さらに、含有されるサンプルおよび目的アナライトの溶出は、しばしば、不完全であり、長時間を要し、標準化不可能である。
【0013】
US 2004/057876は、好ましくは唾液を吸収する装置を開示しているが、不純物を伴わないGCFは吸収され得ない。さらに、この装置は平面状ではなく、識別要素を含まない。
【0014】
EP−A−0 420 021は、歯ポケットには適用できず従ってGCFを吸収しない親水性積層多孔性膜を開示している。これらの膜は識別要素を含まないため、使用の方向が定められない。また、該膜は、円形化(角を取って丸くされた)末端を含んでおらず、このため、歯ポケット内に損傷が生じうる。
【0015】
WO 93/04193は親水性PVDF膜およびプラスチック支持体を開示しているが、不純物を伴わずにGCFを吸収しうる、少なくとも識別要素または円形化末端を含む装置は開示していない。
【0016】
US−A−5 656 448は、膜およびプラスチックシートを含むイムノアッセイ浸漬棒を開示しており、ここで、該棒は、円形化末端も識別要素も含まない。さらに、この浸漬棒は、不純物を伴わないGCFを吸収することができない。
【0017】
先行技術の吸取紙片の膜におけるサンプルの輸送は、限られた度合で可能であるに過ぎず、サンプルは、例えば、GCFを検査するための世界的な研究においては、サンプル採取場所で更に加工され凍結される必要がある(Uitto,Periodontology 2000,Vol.31,2003)。
【0018】
また、この結果として、そのようなサンプルの分析は数個の大学に限定され、例えば診断媒体としてのGCFの遍在的利用は行われていないか、または可能となっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/057876号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 420 021号明細書
【特許文献3】国際公開第93/04193号
【特許文献4】米国特許第5 656 448号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Uitto,Periodontology 2000,Vol.31,2003
【発明の概要】
【0021】
したがって、本発明の目的は、物質、特にタンパク質の貯蔵を可能にし更には先行技術の受容要素の前記欠点を克服する、物質、特にタンパク質の改善された吸収のための装置を提供することである。
【0022】
本明細書中で用いる「吸収」は、受容要素による物質の取り込みを意味する。これは、受容要素の表面における析出(吸着)ではなく、受容要素の体積内への取り込みである。
【0023】
さらに、「弾性率」(ヤング率)は、材料の剛性を示す材料特性である。弾性率のSI単位はパスカル(N/m2)である。後記に示す弾性率値は室温(20℃)のものである。
【0024】
本明細書中で用いる「識別要素」なる語は、該装置の導入または使用の方向を定めると意図される要素を特徴づけるものである。さらに、本発明の装置は、特に、例えば図1および2の装置のように、それが2つの主要対抗表面を含む及び/又はそれが二次元特性を有する場合、平面状である。
【0025】
さらに、「親水性」は、材料が水または水溶液を取り込む(吸収する)能力を意味する。「疎水性」はその反意語であり、可能な場合には、水または水溶液を吸収しない、材料の傾向を示す。
【0026】
さらに、化学的に「不活性」は、他の材料との化学反応を受けない又は実質的に受けない物質に関するものである。
【0027】
「プラスチック材」は、合成的に製造された有機重合体よりなる材料を意味する。「プラスチック材の混合物」は少なくとも2つのプラスチック材よりなる。
【0028】
「貯蔵」は、酵素、特にaMMP−8が、3ヶ月以上または少なくとも1日以上、特に1〜31日間貯蔵されることを意味する。該貯蔵期間中、該酵素は「安定」である。このことは、該酵素の活性が貯蔵期間にわたって有意に減少しないことを意味する。
【0029】
本発明は、例えば、体液からの、特に歯肉溝滲出液(GCF)または涙液からの物質、特にタンパク質、例えば酵素を吸収するための平面状装置5であって、受容要素10および支持要素20を含み、
・受容要素10が親水性であり、0.22μm〜5μm、特に0.5μm〜3μmの細孔径を有し、プラスチック材またはプラスチック材の混合物よりなり、特に、不活性プラスチック材または不活性プラスチック材の混合物よりなり、
・支持要素20が疎水性であり、受容要素10の表面の1つを少なくとも部分的または完全に覆い、
・該装置が更に、受容要素10の対表面に位置する識別要素40を含む、平面状装置5に関する。
【0030】
識別要素40は該装置の使用の方向を示すと意図される。なぜなら、それが、例えば歯ポケット内に鉗子で配置されうることは該装置の利点の1つだからである。該装置は、誤った適用が回避されうるよう識別要素40が前面を向くように、該ポケット内に配置されるべきである。したがって、GCFが吸収された場合、唾液または周皮との接触によるサンプルの汚染が回避される。
【0031】
さらに、該細孔径は全細胞および大きな細胞成分ならびに微生物の吸収を妨げる。
【0032】
本発明の装置5の1つの実施形態においては、受容要素10は、0.6μm〜2.5μm、特に0.75μm〜1.75μm、または0.9μm〜1.35μmの細孔径を有する。
【0033】
装置5のもう1つの実施形態においては、識別要素40は該装置の円形化末端30の反対側に位置する。したがって、該装置を歯ポケット内に配置した後、該識別要素は明らかに視認可能である。使用の方向を示すために、該識別要素は、特異的な色、蛍光または標識表面などにより特徴づけられうる。しかし、毒性もしくは有害物質または他の種類の不純物を生成しないあらゆる可能な表示方法が識別要素として用いられうる。
【0034】
もう1つの実施形態においては、受容要素10は膜である。もう1つの実施形態においては、そのような膜10はプラスチック材またはプラスチック材の混合物、特に、不活性プラスチック材または不活性プラスチック材の混合物よりなる。
【0035】
本発明の装置5の更にもう1つの実施形態においては、プラスチック材はフルオロ炭化水素重合体、特にポリビニリデンフルオリド(PVDF)である。
【0036】
もう1つの実施形態においては、受容要素10と支持要素20とを含む装置5は従って、好ましくは1〜6GPa、特に2〜5、1〜4、1〜2、1〜3、または2〜3GPaの弾性率(ヤング率)を有するプラスチック材またはプラスチック材の混合物を含む。
【0037】
本発明のもう1つの実施形態においては、支持要素20はまた、1〜4GPa、特に2〜3、1〜2、または1〜3GPaの弾性率(ヤング率)を有するプラスチック材またはプラスチック材の混合物を含む。これは、装置5が、体液を取り込んだ際に変形せず従って例えば患者の歯肉溝または眼において困難を伴うことなく体液から取り去られうるという利点を有する。また、これは、歯肉溝からの体液のみが取り込まれ、口腔の他の流体、例えば唾液または周皮が吸収されないという利点を有する。
【0038】
図5に示すもう1つの実施形態においては、本発明の装置は、受容要素10において、そして好ましくは支持要素20においても、円形化末端30を有する。この円形化は、装置5により患者が傷つけられるのを防ぐ。
【0039】
本発明の装置5の1つの実施形態においては、受容要素10は1.2μmの細孔径を有する。それは、135℃/3082hPaまでで45分間にわたり高圧滅菌することにより滅菌されうる。
【0040】
装置5のもう1つの実施形態においては、それは、体液内の該装置の所望の浸漬深さを示す目印要素60を有する。これは装置5の取り扱いを簡単にする。
【0041】
本発明の装置のもう1つの実施形態においては、支持要素20の反対側に面する受容要素10の表面を示す着色要素40が円形化末端30の反対側に設けられている。これは装置5の正しい取り扱いを助ける。なぜなら、このようにして該装置の受容側ならびに前面および背面の両方が決定されるからである(図1〜5を参照されたい)。
【0042】
本発明のもう1つの態様は、体液からの、特に歯肉溝滲出液または涙液からの物質、特にタンパク質、例えば酵素、特にコラゲナーゼ、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ−8(MMP−8)、MMP−13、TNFα、インターロイキン1β(IL−1B)、オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin)の吸収および/または貯蔵のための、装置5の使用である。マトリックスメタロプロテイナーゼのような酵素はそれらの不活性前駆体形態(チモーゲンなど)、活性化形態または抑制形態として吸収される。さらに、抗体、細菌タンパク質またはフリーラジカルも吸収される。これらの吸収物質は分析的にアッセイされ、あるいは科学的または技術的に別の方法で、場合によっては貯蔵後に使用されうる。また、分析は装置5の上または中で直接的に行われうる。
【0043】
装置5のそのような使用の1つの実施形態においては、該酵素は1〜31日間、特に7〜31日間、または7〜21日間の貯蔵期間にわたり、4℃〜42℃、特に4℃〜37℃、または8℃〜20℃の温度で安定である。これは、吸収物質を含む本発明の装置の、室温でさえも簡便な貯蔵、そして更には簡便な出荷を可能にする。
【0044】
そのような貯蔵の後、該酵素の活性はほとんどそのまま又は実際に維持される。これは、該酵素の活性が貯蔵中に減少せず、装置5により維持されることを証明している。
【0045】
本発明のもう1つの実施形態は、タンパク質、特に酵素を安定化させるための、装置5の使用であって、該酵素、特に該酵素のエピトープの免疫反応が該貯蔵後にほぼ維持されることを特徴とする使用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は本発明の装置5の一例の断面図を示す。受容要素10は支持要素20に結合している。一方の末端において、装置5は、体液を取り込む円形化末端30を有する。反対の末端においては、支持要素20の反対側の受容要素10の表面を示す識別要素40が設けられている。さらに、受容要素10の十分な充填を示す指標要素50が示されている。目印要素60は体液中の装置5の所望の浸漬深さを示す。また、装置5は結合材80を介して基部要素70に結合している。
【図2】図2は本発明の装置5の一例の平面図を示す。本発明の受容要素10は円形化末端30および識別要素40を含む。さらに、目印要素60が示されている。
【図3】図3は、幾つかの装置5がどのようにして基部要素70上に配置されるかを示す平面図である。
【図4】図4は、結合材80を介して基部要素70に結合している本発明の装置5の1つの実施形態の寸法を伴うもう1つの断面図である。
【図5】図5は、受容要素10、円形化末端30および着色要素40を有する本発明の装置5の設計の平面図を開示する。
【図6a】図6aは、室温(RT)および37℃でインキュベートされた該吸収装置、ならびに室温(RT−K)および37℃(37℃−K)でインキュベートされた陽性対照におけるaMMP−8の濃度を開示する。
【図6b】図6bは、室温(RT)および37℃でインキュベートされた該吸収装置、ならびに室温(RT−K)および37℃(37℃−K)でインキュベートされた陽性対照におけるaMMP−8の濃度を開示する。
【図7】図7は、4℃〜42℃の温度変動を伴う5日間にわたる該吸収片における一定量のaMMP−8を示す。
【図8a】図8a:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片から回収されたaMMP−8の濃度を示す。
【図8b】図8b:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片から回収されたaMMP−8の濃度を示す。
【図9a】図9a:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてデンシトメトリーを用いて定量されたaMMP−8の濃度を示す。
【図9b】図9b:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてデンシトメトリーを用いて定量されたaMMP−8の濃度を示す。
【図10a】図10a:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてデンシトメトリーを用いて定量されたMMP−9の活性化形態の濃度を開示する。
【図10b】図10b:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてデンシトメトリーを用いて定量されたMMP−9の活性化形態の濃度を開示する。
【図11a】図11a:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてELISAを用いて定量されたミエロペルオキシダーゼ(MPO)の活性化形態の濃度を開示する。
【図11b】図11b:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてELISAを用いて定量されたミエロペルオキシダーゼ(MPO)の活性化形態の濃度を開示する。
【0047】
実施例
【実施例1】
【0048】
親水性受容要素の仕様
該膜は一体型均質フィルムとして注型されている。該膜は、135℃、30psigまでで45分間高圧滅菌することにより滅菌されうる。該膜の完全性はバブルポイント試験により測定されうる。
【0049】
【表1】
【実施例2】
【0050】
装置の仕様
基部要素70:ICIにより製造されたメリネックス(Melinex)539ポリエステルフィルム(175μm)。
結合材80:医学等級接着剤。
支持要素20:
製造番号: ARCARE7815
接着剤: AS110、アクリル医学等級接着剤
基体: 51μmポリエチレンフィルム(PET)
コーティング: シリコンPETコーティング
識別要素40: 着色フィルム。
【実施例3】
【0051】
サンプル収集および溶出の方法
鉗子でGCF収集ストリップを歯ポケット内に30秒間配置することによる標準的な方法に従い、GCFサンプルを集めた。識別要素40が前面を向き、該ストリップの2〜3mmのみが該ポケット内に留まるように、該GCFストリップは該ポケット内に配置されるべきである。30秒後、GCFを含有するストリップを1.5mlエッペンドルフチューブ内に配置する。
【0052】
溶出:溶出バッファー(15mM Na2HPO4*12 H2O,7mM NaH2PO4*H2O,550nM NaCl,0,05% 5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン(BND),0,2% ウシ血清アルブミン(BSA)および0,3% Tween 20(Polysorbat 20)またはTetronic 1307(BASF SE,エチレンオキシド/プロピレンオキシドのブロック共重合体)を含有する)を、該ストリップを含有するエッペンドルフチューブ内に、ピペットを使用して注ぎ、室温で5分間インキュベートした。該チューブを手動で少なくとも5回反転させた後、該ストリップを鉗子でゆっくりと取り出した。該サンプル(溶出後)は直ちに分析されるか、または−20℃で貯蔵されるべきである。
【0053】
該サンプルをMMP−8感受性ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)において定量的に分析した。溶出液をPrescherら及びMunjalら(Prescherら,Ann N Y Acad Sci,2007,1098,493−95;Munjalら,Ann N Y Acad Sci,2007,1098,490−92)の方法に従い更に分析した。
【実施例4】
【0054】
aMMP−8の定量的検出のためのELISA
方法:ELISAを製造業者の指示(dentoELISA,dentognostics GmbH,Jena,Germany)に従い行った。該ELISAは、aMMP−8に対する2つの特異的モノクローナル(mab)抗体(K8708およびK8706)(Medix Biochemica,Finland)(Hanemaaijerら 1997)を使用するサンドイッチイムノアッセイ系に基づくものであった。簡潔に説明すると、自動ELISAコーティングプラットフォーム(Seramun,Germany)を使用して、96ウェル平底プレート(Nunc)を1μg/mlの濃度のmab K8708でコートした。希釈バッファー中で1:50で希釈することにより、臨床サンプルを調製した。全ての標準物および対照は、該ELISAの説明マニュアルに従い調製した。100μlの標準物、対照および希釈臨床サンプルを2通りの適当なウェル内に分注した。該プレートをフォイルで覆い、37℃で1時間インキュベートした。自動洗浄器を使用して、該プレートを洗浄バッファーで5回洗浄した。ポリ−ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合した検出抗体(K8706)を0.25μg/mlの濃度で全ウェルに加えた。該プレートをフォイルで覆い、37℃で1時間インキュベートした。自動洗浄器を使用して、該プレートを洗浄バッファーで5回洗浄した。TMB基質(Seramun,Germany)を全ウェルに加え、該プレートを室温で15分間インキュベートした。反応を4% H2SO4により停止させ、吸光度をELISAリーダー(Tecan)において450/620nmで読み取った。各プレートにおいて、aMMP−8抗原(Invent,Germany)での検量線を常に含めた。
【0055】
結果(各サンプルのaMMP−8値)を以下のとおりに算出した。
【0056】
1.各標準対照および試験臨床サンプルの平均吸光度を算出した。
【0057】
2.標準物の平均吸光度をY軸として、その対応対数濃度(X軸)に対して、回帰曲線をプロットした。
【0058】
3.この標準曲線からの単純な内挿および希釈度(1:50)の掛け算により、対応するaMMP−8濃度を決定するために、各臨床サンプルの平均吸光度を用いた。
【0059】
4.最高の標準物より大きな平均吸光度を有するサンプルを、より高い希釈度で再び試験した。
【実施例5】
【0060】
GCFストリップにおけるaMMP−8抗原のストレスインキュベーション安定性
方法:aMMP−8抗原を陰性臨床サンプル中で希釈することにより、2つの「スパイク(spike)サンプル」を調製した。該スパイク化サンプルを高濃度(40μg/ml)および中濃度(10μg/ml)として分類した。1μlの各スパイク化サンプルをストリップ(n=36)上でピペッティングし、該ストリップを1.5ml エッペンドルフチューブ内に配置した。該エッペンドルフチューブを37℃(n=18)およびRT(n=18)でインキュベートした。aMMP−18抗原を吸収した後のストリップは吸収ストリップとして知られる。また、溶出パッファー(puffer)を含有するエッペンドルフチューブ内で1μlの各スパイク化サンプルを直接的にピペッティングし、それらを陽性対照として37℃(n=18)およびRT(n=18)でインキュベートした。溶出パッファー(puffer)を含有するエッペンドルフチューブ内で1μlの陰性臨床サンプル(スパイク化無し)を直接的にピペッティングし、それらを陰性対照として37℃(n=18)およびRT(n=18)でインキュベートした。
【0061】
溶出時間:
それぞれの2つのストリップに関して、第0、1、4、7、15、21および31日に、溶出を行った。対照チューブも同様にして分離した。溶出サンプルおよび対照チューブを−20℃で貯蔵し、後の時点で一緒に試験した。溶出サンプルは、前記のとおりのELISAにおいて試験した。
【0062】
結果:該吸収ストリップにおけるaMMP−8濃度(高濃度または中濃度)は37℃で31日間のインキュベーションの後でさえも安定であった(図6aおよび6b)。図6aおよび6bは、室温(RT)および37℃でインキュベートされた吸収ストリップならびに室温(RT−K)および37℃(37℃−K)でインキュベートされた陽性対照におけるaMMP−8の濃度を示す。該陽性対照サンプルにおける濃度の若干の減少が認められたが、該吸収ストリップにおける濃度は安定なままであった。陰性対照サンプルにおいてはaMMP−8は検出されなかった。これは、aMMP−8が該吸収ストリップにおいて高度に安定であり、保存または貯蔵または輸送のための媒体として使用されうることを示している。
【実施例6】
【0063】
GCFストリップにおけるaMMP−8抗原の輸送安定性
方法:aMMP−8抗原を陰性臨床サンプル中で希釈することにより、1つの「スパイクサンプル」を調製した。該スパイク化サンプルを中濃度(10μg/ml)として分類した。aMMP−8抗原をストリップに吸収させるための2つの方法を用いた。
【0064】
吸収方法I:1μlのスパイク化サンプルをストリップ(n=18)上でピペッティングし、ついで1.5ml エッペンドルフチューブ内に配置した。
【0065】
吸収方法II:「歯ポケットモデル」と称される、歯ポケットと同様の人工モデルを作製した。1μlのスパイク化サンプルを「歯ポケットモデル」のポケット内でピペッティングし、実際の状態で用いられるのと同様にして個々のストリップを「歯ポケットモデル」のポケット内に配置した。該ストリップ(n=18)に該スパイク化サンプルを30秒間吸収させ、ついで該ストリップを1.5ml エッペンドルフチューブ内に配置した。
【0066】
また、1μlのスパイク化サンプルを、陽性対照としての溶出パッファー(puffer)を含有するエッペンドルフチューブ(n=18)内で直接的にピペッティングした。1μlの陰性臨床サンプル(スパイク化無し)を、陰性対照としての溶出パッファーを含有するエッペンドルフチューブ(n=18)内で直接的にピペッティングした。
【0067】
該吸収ストリップおよび対照の全てを、輸送中に生じると予想される温度変動にふさわしい以下の条件に付した。
【0068】
・両方の方法の2つのストリップを参照体として直ちに溶出した(第0日)。2つの対照も第0日参照体として分離した。
【0069】
・残りの全てのチューブおよび対照を室温(RT)で1時間、4℃で4時間、42℃で16時間インキュベートした。
【0070】
・8つのストリップからの溶出を中間参照体(第1日)として行った。8つの対照チューブも第1日参照体として分離した。
【0071】
・残りの全てのチューブおよび対照をRTで2時間、4℃で2日間およびRTで2時間インキュベートした。
【0072】
・残りの全てのストリップに関して、溶出を行った。これは輸送終了の最終参照体(第5日)とみなされた。残りの全ての対照チューブも分離した。
【0073】
該溶出サンプルおよび対照チューブを−20℃で貯蔵し、一緒に試験した。該溶出サンプルを、前記のとおりのELISAにおいて試験した。
【0074】
結果:該サンプルの輸送中に生じうる温度変動において、該吸収ストリップにおけるaMMP−8の濃度は安定なままであった(図7)。図7は、4℃から42℃までの温度変動を伴う5日間にわたる該吸収ストリップにおける一定量のaMMP−8を示している。それらの2つの吸収方法における相違は観察されなかった。陽性対照(PK)において、同じ期間において同様の結果が見出されたが、本発明者らは、これまでの実験から、室温および37℃で31日間維持された陽性対照においてaMMP−8の濃度の若干の減少が見られたことを観察している。該陰性対照サンプルにおいてはaMMP−8は検出されなかった。
【実施例7】
【0075】
患者から採集された吸収GCFストリップ(臨床サンプル)におけるaMMP−8の安定性
方法:
1.GCF採集:健常、歯肉炎および歯周炎罹患歯から標準的な方法(採集ストリップ)(Munjalら,2007;Mantylaら,2003)でGCFを集めた。各歯(同一部位)から、それぞれ30分間隔で4回、4つのサンプルを集めた。被験者は、サンプル採取前の1時間およびサンプル採集中は飲食しないよう通知された。
【0076】
2.溶出:該ストリップを直ちに溶出するか、あるいはエッペンドルフチューブ内に4℃または室温(RT)で維持し、第0、4、7および14日に溶出した。ある後の時点で溶出した各ストリップは第0日における参照体(即時溶出)を有していた。該サンプル(溶出後)を異なるアリコートに分け、−20℃で貯蔵した。
【0077】
3.aMMP−8回収アッセイ:GCFサンプルにおけるaMMP−8の濃度を、前記のとおりのELISAで決定した。
【0078】
4.アイソフォームプロファイルおよびコラゲナーゼ活性:MMP−8および−13の分子量形態を、修飾ECLウエスタンブロッティングキットにより、その製造業者(GE Healthcare,Amersham,UK)により推奨されているプロトコールに従い検出した。簡潔に説明すると、14μlのGCFサンプルを、いずれの還元試薬をも含有しない5μlの修飾Laemmiサンプルバッファーと混合し、5分間加熱し、ついで11% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲルでのタンパク質分離を行った。電気泳動後、該タンパク質をニトロセルロース膜(Protran,Whatman GmbH,Dassel,Germany)上にエレクトロトランスファーした。非特異的結合をTBSTバッファー(22mM NaClおよび0.05% Triton−Xを含有する10mM Tris−HCl,pH7.5)中の5% 乳粉末(Valio Ltd.,Helsinki,Finland)で1時間ブロッキングした。ついで該膜を、TBST中で3回、15分間洗浄し、それをTBST中で一晩放置し、ついで翌朝、膜を一次ポリクローナル抗MMP−8(1:500)(Hanemaaijerら 1997,J Biol Chem 272:31504−9;Sorsaら 1994,Ann NY Acad Sci 732:112−31)およびモノクローナル抗MMP−13([1μl/ml],Calbiochem,A Brand of EMD Biosciences,Inc.La JoIIa,CA,An Affiliate of Merck KGaA,Darmstadt,Germany,Cat #IM44L)と共に5時間インキュベートした。二次抗体として、MMP−8に対するホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgGおよびMMP−13に対する抗マウスIgG(GE Healthcare)を1時間使用した。該二次抗体の前および後に、膜をTBST中で4回、15分間洗浄した。増強化学発光(ECL)系(GE Healthcare)を用いて、該タンパク質を可視化した。MMP−8および−13の種々の分子量形態の強度を、Quantity One,Basic−programを使用するBio−Rad Model GS−700イメージングデンシトメーター(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA,USA)を使用して走査し分析した。結果を光学濃度/mm2(ODu)として表した。
【0079】
5.アイソフォームプロファイルおよびゼラチナーゼ活性:エンザイモグラフィー(enzymography)[2−メトキシ−2,4−ジフェニル−3−(2H)フラノン(MDPF,Fluka,Buchs SG,Switzerland)標識ゼラチンを基質として使用し、1mg/ml 蛍光色素を含浸させた11% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲルを使用するもの]によりゼラチン溶解活性をアッセイした。電気泳動前に、該GCFサンプル(14μl)を、いずれの還元試薬をも含有しない5μlの修飾Laemmliサンプルバッファーと共に2時間インキュベートした。予め染色された低分子量範囲のSDS−PAGE標準物(BioRad,Hercules,CA,USA)を分子量マーカーとして使用した。電気泳動後、該ゲルを、2.5% Tween 80、0.02% NaN3を含有する50mM Tris−HClバッファー(pH7.5)で30分間洗浄し、ついで、0.5mM CaCl2および1μM ZnCl2で補足された同じバファーで30分間洗浄した。最後に、該ゲルを、0.02% NaN3、0.5mM CaCl2および1μM ZnCl2を含有する50mM Tris−HClバッファー(pH7.5)中、37℃で一晩インキュベートした。ゼラチンの分解をUV光下で可視化し、ついで1% クーマシーブリリアントブルーR250で染色した。ゼラチン溶解活性は染色ゲル上の青色の背景に対して透明なバンドとして可視化された。ゼラチン溶解活性の強度を、Quantity One,Basic−programを使用するBio−Rad Model GS−700イメージングデンシトメーター(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA,USA)で評価した。結果を光学濃度/mm2(ODu)として表した。
【0080】
6.他の酵素の回収:商業的に入手可能な酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)キットを該製造業者のプロトコール(PMN elastase;Bender MedSystems GmbH,Campus Vienna Biocenter 2,Vienna,Austria and MPO;Immundiagnostik AG,Stubenwald−Allee 8a,Bensheim,Germany)に従い使用して、PMNエラスターゼおよびミエロペルオキシダーゼ(MPO)の濃度を決定した。いわゆる二次抗体をPMNエラスターゼに関してはホースラディッシュペルオキシダーゼに、そしてMPOに関してはウサギ抗MPOペルオキシダーゼ標識抗体に結合させた。全てのキットにおける基質としてテトラメチルベンジジン(TMB)を使用した。Labsystems Multiskan RC(Thermo Bioanalysis Corporation,Santa FE,USA)を使用して、吸光度を450nmにおいて測定した。PMNエラスターゼおよびMPOのレベルをng/mlとして表した。
【0081】
結果:
aMMP−8回収アッセイ:RTおよび4℃でインキュベートされた第0日および第14日における吸収ストリップから回収されたaMMP−8の濃度をそれぞれ図8aおよび8bに示す。4℃およびRTでインキュベートされ第0、4、7および14日に溶出された吸収ストリップから回収されたaMMP−8の濃度は同じ範囲内であったが、これは、実際の状態における少なくとも14日間にわたる該装置における該酵素の安定性を示している。
【0082】
コラゲナーゼのアイソフォームプロファイルおよびそれらのデンシトメトリー定量:PMN型プロ形態、繊維芽細胞型プロ形態、複合形態およびPMN型活性化形態(断片化を伴わないもの)のような種々の分子量形態のMMP−8をウエスタンブロット分析において発現させた。RTおよび4℃でインキュベートされた第0日および第14日における吸収ストリップにおける、光学濃度/mm2として表された、デンシトメトリーを用いて定量されたaMMP−8の濃度を、それぞれ図9aおよび9bに示す。同様に、複合およびプロMMP形態のような種々の重量形態のMMP−13を断片化を伴わずに発現させた。該プロ活性形態は活性化されず、該アイソフォームはいずれも、該吸収ストリップにおいてインキュベーション期間中にそれ以上は断片化されなかった。このことは、該MMP−8およびMMP−13が14日間にわたりRTおよび4℃で該吸収ストリップにおいて安定であり無傷であることを示した。
【0083】
ゼラチナーゼ活性およびそのデンシトメトリー定量:プロ形態、複合形態および活性化形態(断片化を伴わないもの)のような種々の分子量形態のMMP−9および2をウエスタンブロット分析において発現させた。RTおよび4℃でインキュベートされた第0日および第14日における吸収ストリップにおける、光学濃度/mm2として表された、デンシトメトリーを用いて定量された活性化形態のMMP−9の濃度を、それぞれ図10aおよび10bに示す。このことは、コラゲナーゼだけでなくゼラチナーゼ活性およびそれらの濃度も、14日間にわたりRTおよび4℃でインキュベートされた吸収ストリップにおいて安定なままであることを示した。
【0084】
他の酵素の回収:RTおよび4℃でインキュベートされた第0日および第14日における吸収ストリップにおいて定量されたミエロペルオキシダーゼ(MPO)の濃度をそれぞれ図11aおよび11bに示す。4℃およびRTでインキュベートされ第0、4、7および14日に溶出された吸収ストリップから回収されたMPOの濃度は同じ範囲内であったが、これは、実際の状態における少なくとも14日間にわたる該ストリップにおける該酵素の安定性を示している。同様の結果がエラスターゼの濃度で観察された。このことは、幾つかの他の酵素またはタンパク質も該吸収ストリップにおいて安定なままであることを明らかに示した。
【0085】
aMMP−8、エラスターゼおよびMPOと並んで、歯科疾患に関する幾つかの他の関連因子がGCFに存在することが公知である。これらのうちの幾つかを、12名の被験者での実験的歯肉炎(EG)研究計画[第0日に歯清掃を行い、その後の14日間は機械的歯清掃(すなわち、歯ブラッシング)を行わない]におけるサンプル採取系で定量した。該ストリップでGCFを集めることにより、生物マーカーの評価を行った。サンプルを直ちに溶出し、48時間後、溶出液を−20℃で凍結させ、ついで最新の研究方法で定性化した。評価したタンパク質はMMP−13、TNFa、インターロイキン1β、オステオプロテゲリン(OPG)であった。予想どおり、これらのパラメーターはEG条件においては有意量では存在せず、さらに時には、それらは対応ELISA検出試験の検出限界未満であった。したがって、使用した個々の試験キットから得た校正体で再評価を行った。そのようなものとして、校正体(1μl)をタンパク質ごとにストリップ(n=4)に吸収させた。該ストリップの2つを吸収直後に溶出し、2つを4℃で48時間貯蔵し、その後溶出した。全ての溶出は同じ方法で行った。すなわち、ストリップを300〜600μlの溶出バッファー中に5分間にわたり、この時間内の5×5の振とうサイクルで導入した。5分後、該ストリップを該バッファーから取り出し、ついで直ちに溶出液を−20℃で凍結させた。直ちに溶出したストリップおよび4℃で48時間貯蔵したストリップのそのような比較は評価可能であった。結果は、観察された全てのタンパク質に関して一貫して満足しうるものであった。濃度の減少率は0.3〜10.9%の範囲であり、用いた分析方法の相関係数の範囲内であった。少数の実験のため、評価したタンパク質の全てに関する該ストリップの保存能力の主張は、aMMP−8に関して見出されたデータに類似したものであるという傾向予想が得られうる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液からのタンパク質を吸収するための装置、およびその装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯肉溝滲出液(GCF)、唾液、涙液または創傷の滲出物は、歯科医院において又はベッドの傍で又は警察による取り締まり中に、非侵襲的に、したがって外科的介入を伴わずに回収されうる媒体である。診断において、それらは重要な役割を果たしうる。なぜなら、それらは、とりわけ、ヒトタンパク質、および微生物由来のタンパク質、医薬およびそれらの代謝産物、中毒性物質(違法薬物)およびそれらの代謝産物、またはフリーラジカルを含有しうるからである。
【0003】
一般に、非侵襲的に得られた流体中の物質の濃度は、哺乳動物の血清中に存在するそのような物質のレベルの類似像となりうる。さらに、局所的に存在する物質、例えば炎症マーカーは、サンプル採取部位における局所的病理学的変化、例えば歯周組織の炎症を示しうる。しかし、これらは、より低い濃度、部分的には実質的に、より低い濃度で存在することが公知であり(Uitto,Periodontology 2000,Vol.31,2003)、したがって、分析のためには高感度法が必要とされている(例えばイムノアッセイ、例えばELISA法)。
【0004】
例えば、診断用または分析用測定(アッセイ)においては、そのような物質の濃度は、以下のものに関して結論づけることを可能にする:
・歯周組織(例えば、歯周炎、インプラント周囲炎、歯根う蝕)の現在および将来の疾患;
・現在および将来の全身疾患(例えば、ウイルス性疾患);
・現在の及び予想される全身疾患(例えば、糖尿病、アレルギー);
・現在の急性疾患(感染);
・免疫状態(ワクチン接種);
・将来の疾患のリスク(フリーラジカル、免疫状態)。
【0005】
したがって、例えば、歯肉溝滲出液は、歯科分析法、特に、歯肉炎および歯周炎疾患のモニターにより検査される。歯肉炎および歯周炎は歯バイオフィルムからの持続的な攻撃により引き起こされる。しかし、歯周炎が実際に生じるかどうかは宿主生物の防御反応により決定される。宿主内因性コラゲナーゼは歯周炎および歯槽骨破壊の開始および進行をもたらす。
【0006】
歯周病原性破壊過程のための最も重要なコラゲナーゼはマトリックスメタロプロテイナーゼ−8(MMP−8)またはコラゲナーゼ2である。
【0007】
マトリックスメタロプロテイナーゼは以下の3つの異なる形態で存在する:
1.不活性前駆体またはプロ形態(多形核顆粒球における貯蔵形態)、
2.活性化または活性形態、
3.抑制形態または複合形態。
【0008】
組織内で遊離した活性形態(aMMP−8)は最終的に組織破壊をもたらす。高いaMMP−8レベルは活性炎症を示し、したがって、治療を要する急性状態を示す。
【0009】
aMMP−8は、歯周組織がいつ破壊されたのかを認識するための客観的診断マーカーである。
【0010】
先行技術においては、タンパク質は受容要素としての単純な水吸収膜により体液から集められる。一般に、吸取紙片(吸取紙ストリップ)が使用される。吸取紙片によりサンプルを採取する場合には、多数の問題が生じうる。
【0011】
例えば、GCFを採集する場合には、該サンプルは唾液または周皮との接触により汚染または希釈されうる。さらに、望ましくない成分、例えば上皮細胞、粘膜細胞、細菌、PMN細胞(多形核好中球)、細胞成分または固体が採取され又は付着し、後の分析測定を妨げうる。
【0012】
膜の形状およびサイズは、しばしば、標準化されたものではなく、したがって、サンプル採取の量における変動を招きうる。適用中に、取り扱い上の問題(例えば、液体中への深すぎる浸漬、不十分および不完全な充填、適用位置の誤り)は適用誤差を招きうる。さらに、含有されるサンプルおよび目的アナライトの溶出は、しばしば、不完全であり、長時間を要し、標準化不可能である。
【0013】
US 2004/057876は、好ましくは唾液を吸収する装置を開示しているが、不純物を伴わないGCFは吸収され得ない。さらに、この装置は平面状ではなく、識別要素を含まない。
【0014】
EP−A−0 420 021は、歯ポケットには適用できず従ってGCFを吸収しない親水性積層多孔性膜を開示している。これらの膜は識別要素を含まないため、使用の方向が定められない。また、該膜は、円形化(角を取って丸くされた)末端を含んでおらず、このため、歯ポケット内に損傷が生じうる。
【0015】
WO 93/04193は親水性PVDF膜およびプラスチック支持体を開示しているが、不純物を伴わずにGCFを吸収しうる、少なくとも識別要素または円形化末端を含む装置は開示していない。
【0016】
US−A−5 656 448は、膜およびプラスチックシートを含むイムノアッセイ浸漬棒を開示しており、ここで、該棒は、円形化末端も識別要素も含まない。さらに、この浸漬棒は、不純物を伴わないGCFを吸収することができない。
【0017】
先行技術の吸取紙片の膜におけるサンプルの輸送は、限られた度合で可能であるに過ぎず、サンプルは、例えば、GCFを検査するための世界的な研究においては、サンプル採取場所で更に加工され凍結される必要がある(Uitto,Periodontology 2000,Vol.31,2003)。
【0018】
また、この結果として、そのようなサンプルの分析は数個の大学に限定され、例えば診断媒体としてのGCFの遍在的利用は行われていないか、または可能となっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/057876号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 420 021号明細書
【特許文献3】国際公開第93/04193号
【特許文献4】米国特許第5 656 448号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Uitto,Periodontology 2000,Vol.31,2003
【発明の概要】
【0021】
したがって、本発明の目的は、物質、特にタンパク質の貯蔵を可能にし更には先行技術の受容要素の前記欠点を克服する、物質、特にタンパク質の改善された吸収のための装置を提供することである。
【0022】
本明細書中で用いる「吸収」は、受容要素による物質の取り込みを意味する。これは、受容要素の表面における析出(吸着)ではなく、受容要素の体積内への取り込みである。
【0023】
さらに、「弾性率」(ヤング率)は、材料の剛性を示す材料特性である。弾性率のSI単位はパスカル(N/m2)である。後記に示す弾性率値は室温(20℃)のものである。
【0024】
本明細書中で用いる「識別要素」なる語は、該装置の導入または使用の方向を定めると意図される要素を特徴づけるものである。さらに、本発明の装置は、特に、例えば図1および2の装置のように、それが2つの主要対抗表面を含む及び/又はそれが二次元特性を有する場合、平面状である。
【0025】
さらに、「親水性」は、材料が水または水溶液を取り込む(吸収する)能力を意味する。「疎水性」はその反意語であり、可能な場合には、水または水溶液を吸収しない、材料の傾向を示す。
【0026】
さらに、化学的に「不活性」は、他の材料との化学反応を受けない又は実質的に受けない物質に関するものである。
【0027】
「プラスチック材」は、合成的に製造された有機重合体よりなる材料を意味する。「プラスチック材の混合物」は少なくとも2つのプラスチック材よりなる。
【0028】
「貯蔵」は、酵素、特にaMMP−8が、3ヶ月以上または少なくとも1日以上、特に1〜31日間貯蔵されることを意味する。該貯蔵期間中、該酵素は「安定」である。このことは、該酵素の活性が貯蔵期間にわたって有意に減少しないことを意味する。
【0029】
本発明は、例えば、体液からの、特に歯肉溝滲出液(GCF)または涙液からの物質、特にタンパク質、例えば酵素を吸収するための平面状装置5であって、受容要素10および支持要素20を含み、
・受容要素10が親水性であり、0.22μm〜5μm、特に0.5μm〜3μmの細孔径を有し、プラスチック材またはプラスチック材の混合物よりなり、特に、不活性プラスチック材または不活性プラスチック材の混合物よりなり、
・支持要素20が疎水性であり、受容要素10の表面の1つを少なくとも部分的または完全に覆い、
・該装置が更に、受容要素10の対表面に位置する識別要素40を含む、平面状装置5に関する。
【0030】
識別要素40は該装置の使用の方向を示すと意図される。なぜなら、それが、例えば歯ポケット内に鉗子で配置されうることは該装置の利点の1つだからである。該装置は、誤った適用が回避されうるよう識別要素40が前面を向くように、該ポケット内に配置されるべきである。したがって、GCFが吸収された場合、唾液または周皮との接触によるサンプルの汚染が回避される。
【0031】
さらに、該細孔径は全細胞および大きな細胞成分ならびに微生物の吸収を妨げる。
【0032】
本発明の装置5の1つの実施形態においては、受容要素10は、0.6μm〜2.5μm、特に0.75μm〜1.75μm、または0.9μm〜1.35μmの細孔径を有する。
【0033】
装置5のもう1つの実施形態においては、識別要素40は該装置の円形化末端30の反対側に位置する。したがって、該装置を歯ポケット内に配置した後、該識別要素は明らかに視認可能である。使用の方向を示すために、該識別要素は、特異的な色、蛍光または標識表面などにより特徴づけられうる。しかし、毒性もしくは有害物質または他の種類の不純物を生成しないあらゆる可能な表示方法が識別要素として用いられうる。
【0034】
もう1つの実施形態においては、受容要素10は膜である。もう1つの実施形態においては、そのような膜10はプラスチック材またはプラスチック材の混合物、特に、不活性プラスチック材または不活性プラスチック材の混合物よりなる。
【0035】
本発明の装置5の更にもう1つの実施形態においては、プラスチック材はフルオロ炭化水素重合体、特にポリビニリデンフルオリド(PVDF)である。
【0036】
もう1つの実施形態においては、受容要素10と支持要素20とを含む装置5は従って、好ましくは1〜6GPa、特に2〜5、1〜4、1〜2、1〜3、または2〜3GPaの弾性率(ヤング率)を有するプラスチック材またはプラスチック材の混合物を含む。
【0037】
本発明のもう1つの実施形態においては、支持要素20はまた、1〜4GPa、特に2〜3、1〜2、または1〜3GPaの弾性率(ヤング率)を有するプラスチック材またはプラスチック材の混合物を含む。これは、装置5が、体液を取り込んだ際に変形せず従って例えば患者の歯肉溝または眼において困難を伴うことなく体液から取り去られうるという利点を有する。また、これは、歯肉溝からの体液のみが取り込まれ、口腔の他の流体、例えば唾液または周皮が吸収されないという利点を有する。
【0038】
図5に示すもう1つの実施形態においては、本発明の装置は、受容要素10において、そして好ましくは支持要素20においても、円形化末端30を有する。この円形化は、装置5により患者が傷つけられるのを防ぐ。
【0039】
本発明の装置5の1つの実施形態においては、受容要素10は1.2μmの細孔径を有する。それは、135℃/3082hPaまでで45分間にわたり高圧滅菌することにより滅菌されうる。
【0040】
装置5のもう1つの実施形態においては、それは、体液内の該装置の所望の浸漬深さを示す目印要素60を有する。これは装置5の取り扱いを簡単にする。
【0041】
本発明の装置のもう1つの実施形態においては、支持要素20の反対側に面する受容要素10の表面を示す着色要素40が円形化末端30の反対側に設けられている。これは装置5の正しい取り扱いを助ける。なぜなら、このようにして該装置の受容側ならびに前面および背面の両方が決定されるからである(図1〜5を参照されたい)。
【0042】
本発明のもう1つの態様は、体液からの、特に歯肉溝滲出液または涙液からの物質、特にタンパク質、例えば酵素、特にコラゲナーゼ、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ−8(MMP−8)、MMP−13、TNFα、インターロイキン1β(IL−1B)、オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin)の吸収および/または貯蔵のための、装置5の使用である。マトリックスメタロプロテイナーゼのような酵素はそれらの不活性前駆体形態(チモーゲンなど)、活性化形態または抑制形態として吸収される。さらに、抗体、細菌タンパク質またはフリーラジカルも吸収される。これらの吸収物質は分析的にアッセイされ、あるいは科学的または技術的に別の方法で、場合によっては貯蔵後に使用されうる。また、分析は装置5の上または中で直接的に行われうる。
【0043】
装置5のそのような使用の1つの実施形態においては、該酵素は1〜31日間、特に7〜31日間、または7〜21日間の貯蔵期間にわたり、4℃〜42℃、特に4℃〜37℃、または8℃〜20℃の温度で安定である。これは、吸収物質を含む本発明の装置の、室温でさえも簡便な貯蔵、そして更には簡便な出荷を可能にする。
【0044】
そのような貯蔵の後、該酵素の活性はほとんどそのまま又は実際に維持される。これは、該酵素の活性が貯蔵中に減少せず、装置5により維持されることを証明している。
【0045】
本発明のもう1つの実施形態は、タンパク質、特に酵素を安定化させるための、装置5の使用であって、該酵素、特に該酵素のエピトープの免疫反応が該貯蔵後にほぼ維持されることを特徴とする使用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は本発明の装置5の一例の断面図を示す。受容要素10は支持要素20に結合している。一方の末端において、装置5は、体液を取り込む円形化末端30を有する。反対の末端においては、支持要素20の反対側の受容要素10の表面を示す識別要素40が設けられている。さらに、受容要素10の十分な充填を示す指標要素50が示されている。目印要素60は体液中の装置5の所望の浸漬深さを示す。また、装置5は結合材80を介して基部要素70に結合している。
【図2】図2は本発明の装置5の一例の平面図を示す。本発明の受容要素10は円形化末端30および識別要素40を含む。さらに、目印要素60が示されている。
【図3】図3は、幾つかの装置5がどのようにして基部要素70上に配置されるかを示す平面図である。
【図4】図4は、結合材80を介して基部要素70に結合している本発明の装置5の1つの実施形態の寸法を伴うもう1つの断面図である。
【図5】図5は、受容要素10、円形化末端30および着色要素40を有する本発明の装置5の設計の平面図を開示する。
【図6a】図6aは、室温(RT)および37℃でインキュベートされた該吸収装置、ならびに室温(RT−K)および37℃(37℃−K)でインキュベートされた陽性対照におけるaMMP−8の濃度を開示する。
【図6b】図6bは、室温(RT)および37℃でインキュベートされた該吸収装置、ならびに室温(RT−K)および37℃(37℃−K)でインキュベートされた陽性対照におけるaMMP−8の濃度を開示する。
【図7】図7は、4℃〜42℃の温度変動を伴う5日間にわたる該吸収片における一定量のaMMP−8を示す。
【図8a】図8a:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片から回収されたaMMP−8の濃度を示す。
【図8b】図8b:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片から回収されたaMMP−8の濃度を示す。
【図9a】図9a:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてデンシトメトリーを用いて定量されたaMMP−8の濃度を示す。
【図9b】図9b:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてデンシトメトリーを用いて定量されたaMMP−8の濃度を示す。
【図10a】図10a:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてデンシトメトリーを用いて定量されたMMP−9の活性化形態の濃度を開示する。
【図10b】図10b:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてデンシトメトリーを用いて定量されたMMP−9の活性化形態の濃度を開示する。
【図11a】図11a:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてELISAを用いて定量されたミエロペルオキシダーゼ(MPO)の活性化形態の濃度を開示する。
【図11b】図11b:RTおよび4℃でインキュベートされた、第0日および第14日に該吸収片においてELISAを用いて定量されたミエロペルオキシダーゼ(MPO)の活性化形態の濃度を開示する。
【0047】
実施例
【実施例1】
【0048】
親水性受容要素の仕様
該膜は一体型均質フィルムとして注型されている。該膜は、135℃、30psigまでで45分間高圧滅菌することにより滅菌されうる。該膜の完全性はバブルポイント試験により測定されうる。
【0049】
【表1】
【実施例2】
【0050】
装置の仕様
基部要素70:ICIにより製造されたメリネックス(Melinex)539ポリエステルフィルム(175μm)。
結合材80:医学等級接着剤。
支持要素20:
製造番号: ARCARE7815
接着剤: AS110、アクリル医学等級接着剤
基体: 51μmポリエチレンフィルム(PET)
コーティング: シリコンPETコーティング
識別要素40: 着色フィルム。
【実施例3】
【0051】
サンプル収集および溶出の方法
鉗子でGCF収集ストリップを歯ポケット内に30秒間配置することによる標準的な方法に従い、GCFサンプルを集めた。識別要素40が前面を向き、該ストリップの2〜3mmのみが該ポケット内に留まるように、該GCFストリップは該ポケット内に配置されるべきである。30秒後、GCFを含有するストリップを1.5mlエッペンドルフチューブ内に配置する。
【0052】
溶出:溶出バッファー(15mM Na2HPO4*12 H2O,7mM NaH2PO4*H2O,550nM NaCl,0,05% 5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン(BND),0,2% ウシ血清アルブミン(BSA)および0,3% Tween 20(Polysorbat 20)またはTetronic 1307(BASF SE,エチレンオキシド/プロピレンオキシドのブロック共重合体)を含有する)を、該ストリップを含有するエッペンドルフチューブ内に、ピペットを使用して注ぎ、室温で5分間インキュベートした。該チューブを手動で少なくとも5回反転させた後、該ストリップを鉗子でゆっくりと取り出した。該サンプル(溶出後)は直ちに分析されるか、または−20℃で貯蔵されるべきである。
【0053】
該サンプルをMMP−8感受性ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)において定量的に分析した。溶出液をPrescherら及びMunjalら(Prescherら,Ann N Y Acad Sci,2007,1098,493−95;Munjalら,Ann N Y Acad Sci,2007,1098,490−92)の方法に従い更に分析した。
【実施例4】
【0054】
aMMP−8の定量的検出のためのELISA
方法:ELISAを製造業者の指示(dentoELISA,dentognostics GmbH,Jena,Germany)に従い行った。該ELISAは、aMMP−8に対する2つの特異的モノクローナル(mab)抗体(K8708およびK8706)(Medix Biochemica,Finland)(Hanemaaijerら 1997)を使用するサンドイッチイムノアッセイ系に基づくものであった。簡潔に説明すると、自動ELISAコーティングプラットフォーム(Seramun,Germany)を使用して、96ウェル平底プレート(Nunc)を1μg/mlの濃度のmab K8708でコートした。希釈バッファー中で1:50で希釈することにより、臨床サンプルを調製した。全ての標準物および対照は、該ELISAの説明マニュアルに従い調製した。100μlの標準物、対照および希釈臨床サンプルを2通りの適当なウェル内に分注した。該プレートをフォイルで覆い、37℃で1時間インキュベートした。自動洗浄器を使用して、該プレートを洗浄バッファーで5回洗浄した。ポリ−ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合した検出抗体(K8706)を0.25μg/mlの濃度で全ウェルに加えた。該プレートをフォイルで覆い、37℃で1時間インキュベートした。自動洗浄器を使用して、該プレートを洗浄バッファーで5回洗浄した。TMB基質(Seramun,Germany)を全ウェルに加え、該プレートを室温で15分間インキュベートした。反応を4% H2SO4により停止させ、吸光度をELISAリーダー(Tecan)において450/620nmで読み取った。各プレートにおいて、aMMP−8抗原(Invent,Germany)での検量線を常に含めた。
【0055】
結果(各サンプルのaMMP−8値)を以下のとおりに算出した。
【0056】
1.各標準対照および試験臨床サンプルの平均吸光度を算出した。
【0057】
2.標準物の平均吸光度をY軸として、その対応対数濃度(X軸)に対して、回帰曲線をプロットした。
【0058】
3.この標準曲線からの単純な内挿および希釈度(1:50)の掛け算により、対応するaMMP−8濃度を決定するために、各臨床サンプルの平均吸光度を用いた。
【0059】
4.最高の標準物より大きな平均吸光度を有するサンプルを、より高い希釈度で再び試験した。
【実施例5】
【0060】
GCFストリップにおけるaMMP−8抗原のストレスインキュベーション安定性
方法:aMMP−8抗原を陰性臨床サンプル中で希釈することにより、2つの「スパイク(spike)サンプル」を調製した。該スパイク化サンプルを高濃度(40μg/ml)および中濃度(10μg/ml)として分類した。1μlの各スパイク化サンプルをストリップ(n=36)上でピペッティングし、該ストリップを1.5ml エッペンドルフチューブ内に配置した。該エッペンドルフチューブを37℃(n=18)およびRT(n=18)でインキュベートした。aMMP−18抗原を吸収した後のストリップは吸収ストリップとして知られる。また、溶出パッファー(puffer)を含有するエッペンドルフチューブ内で1μlの各スパイク化サンプルを直接的にピペッティングし、それらを陽性対照として37℃(n=18)およびRT(n=18)でインキュベートした。溶出パッファー(puffer)を含有するエッペンドルフチューブ内で1μlの陰性臨床サンプル(スパイク化無し)を直接的にピペッティングし、それらを陰性対照として37℃(n=18)およびRT(n=18)でインキュベートした。
【0061】
溶出時間:
それぞれの2つのストリップに関して、第0、1、4、7、15、21および31日に、溶出を行った。対照チューブも同様にして分離した。溶出サンプルおよび対照チューブを−20℃で貯蔵し、後の時点で一緒に試験した。溶出サンプルは、前記のとおりのELISAにおいて試験した。
【0062】
結果:該吸収ストリップにおけるaMMP−8濃度(高濃度または中濃度)は37℃で31日間のインキュベーションの後でさえも安定であった(図6aおよび6b)。図6aおよび6bは、室温(RT)および37℃でインキュベートされた吸収ストリップならびに室温(RT−K)および37℃(37℃−K)でインキュベートされた陽性対照におけるaMMP−8の濃度を示す。該陽性対照サンプルにおける濃度の若干の減少が認められたが、該吸収ストリップにおける濃度は安定なままであった。陰性対照サンプルにおいてはaMMP−8は検出されなかった。これは、aMMP−8が該吸収ストリップにおいて高度に安定であり、保存または貯蔵または輸送のための媒体として使用されうることを示している。
【実施例6】
【0063】
GCFストリップにおけるaMMP−8抗原の輸送安定性
方法:aMMP−8抗原を陰性臨床サンプル中で希釈することにより、1つの「スパイクサンプル」を調製した。該スパイク化サンプルを中濃度(10μg/ml)として分類した。aMMP−8抗原をストリップに吸収させるための2つの方法を用いた。
【0064】
吸収方法I:1μlのスパイク化サンプルをストリップ(n=18)上でピペッティングし、ついで1.5ml エッペンドルフチューブ内に配置した。
【0065】
吸収方法II:「歯ポケットモデル」と称される、歯ポケットと同様の人工モデルを作製した。1μlのスパイク化サンプルを「歯ポケットモデル」のポケット内でピペッティングし、実際の状態で用いられるのと同様にして個々のストリップを「歯ポケットモデル」のポケット内に配置した。該ストリップ(n=18)に該スパイク化サンプルを30秒間吸収させ、ついで該ストリップを1.5ml エッペンドルフチューブ内に配置した。
【0066】
また、1μlのスパイク化サンプルを、陽性対照としての溶出パッファー(puffer)を含有するエッペンドルフチューブ(n=18)内で直接的にピペッティングした。1μlの陰性臨床サンプル(スパイク化無し)を、陰性対照としての溶出パッファーを含有するエッペンドルフチューブ(n=18)内で直接的にピペッティングした。
【0067】
該吸収ストリップおよび対照の全てを、輸送中に生じると予想される温度変動にふさわしい以下の条件に付した。
【0068】
・両方の方法の2つのストリップを参照体として直ちに溶出した(第0日)。2つの対照も第0日参照体として分離した。
【0069】
・残りの全てのチューブおよび対照を室温(RT)で1時間、4℃で4時間、42℃で16時間インキュベートした。
【0070】
・8つのストリップからの溶出を中間参照体(第1日)として行った。8つの対照チューブも第1日参照体として分離した。
【0071】
・残りの全てのチューブおよび対照をRTで2時間、4℃で2日間およびRTで2時間インキュベートした。
【0072】
・残りの全てのストリップに関して、溶出を行った。これは輸送終了の最終参照体(第5日)とみなされた。残りの全ての対照チューブも分離した。
【0073】
該溶出サンプルおよび対照チューブを−20℃で貯蔵し、一緒に試験した。該溶出サンプルを、前記のとおりのELISAにおいて試験した。
【0074】
結果:該サンプルの輸送中に生じうる温度変動において、該吸収ストリップにおけるaMMP−8の濃度は安定なままであった(図7)。図7は、4℃から42℃までの温度変動を伴う5日間にわたる該吸収ストリップにおける一定量のaMMP−8を示している。それらの2つの吸収方法における相違は観察されなかった。陽性対照(PK)において、同じ期間において同様の結果が見出されたが、本発明者らは、これまでの実験から、室温および37℃で31日間維持された陽性対照においてaMMP−8の濃度の若干の減少が見られたことを観察している。該陰性対照サンプルにおいてはaMMP−8は検出されなかった。
【実施例7】
【0075】
患者から採集された吸収GCFストリップ(臨床サンプル)におけるaMMP−8の安定性
方法:
1.GCF採集:健常、歯肉炎および歯周炎罹患歯から標準的な方法(採集ストリップ)(Munjalら,2007;Mantylaら,2003)でGCFを集めた。各歯(同一部位)から、それぞれ30分間隔で4回、4つのサンプルを集めた。被験者は、サンプル採取前の1時間およびサンプル採集中は飲食しないよう通知された。
【0076】
2.溶出:該ストリップを直ちに溶出するか、あるいはエッペンドルフチューブ内に4℃または室温(RT)で維持し、第0、4、7および14日に溶出した。ある後の時点で溶出した各ストリップは第0日における参照体(即時溶出)を有していた。該サンプル(溶出後)を異なるアリコートに分け、−20℃で貯蔵した。
【0077】
3.aMMP−8回収アッセイ:GCFサンプルにおけるaMMP−8の濃度を、前記のとおりのELISAで決定した。
【0078】
4.アイソフォームプロファイルおよびコラゲナーゼ活性:MMP−8および−13の分子量形態を、修飾ECLウエスタンブロッティングキットにより、その製造業者(GE Healthcare,Amersham,UK)により推奨されているプロトコールに従い検出した。簡潔に説明すると、14μlのGCFサンプルを、いずれの還元試薬をも含有しない5μlの修飾Laemmiサンプルバッファーと混合し、5分間加熱し、ついで11% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲルでのタンパク質分離を行った。電気泳動後、該タンパク質をニトロセルロース膜(Protran,Whatman GmbH,Dassel,Germany)上にエレクトロトランスファーした。非特異的結合をTBSTバッファー(22mM NaClおよび0.05% Triton−Xを含有する10mM Tris−HCl,pH7.5)中の5% 乳粉末(Valio Ltd.,Helsinki,Finland)で1時間ブロッキングした。ついで該膜を、TBST中で3回、15分間洗浄し、それをTBST中で一晩放置し、ついで翌朝、膜を一次ポリクローナル抗MMP−8(1:500)(Hanemaaijerら 1997,J Biol Chem 272:31504−9;Sorsaら 1994,Ann NY Acad Sci 732:112−31)およびモノクローナル抗MMP−13([1μl/ml],Calbiochem,A Brand of EMD Biosciences,Inc.La JoIIa,CA,An Affiliate of Merck KGaA,Darmstadt,Germany,Cat #IM44L)と共に5時間インキュベートした。二次抗体として、MMP−8に対するホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgGおよびMMP−13に対する抗マウスIgG(GE Healthcare)を1時間使用した。該二次抗体の前および後に、膜をTBST中で4回、15分間洗浄した。増強化学発光(ECL)系(GE Healthcare)を用いて、該タンパク質を可視化した。MMP−8および−13の種々の分子量形態の強度を、Quantity One,Basic−programを使用するBio−Rad Model GS−700イメージングデンシトメーター(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA,USA)を使用して走査し分析した。結果を光学濃度/mm2(ODu)として表した。
【0079】
5.アイソフォームプロファイルおよびゼラチナーゼ活性:エンザイモグラフィー(enzymography)[2−メトキシ−2,4−ジフェニル−3−(2H)フラノン(MDPF,Fluka,Buchs SG,Switzerland)標識ゼラチンを基質として使用し、1mg/ml 蛍光色素を含浸させた11% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲルを使用するもの]によりゼラチン溶解活性をアッセイした。電気泳動前に、該GCFサンプル(14μl)を、いずれの還元試薬をも含有しない5μlの修飾Laemmliサンプルバッファーと共に2時間インキュベートした。予め染色された低分子量範囲のSDS−PAGE標準物(BioRad,Hercules,CA,USA)を分子量マーカーとして使用した。電気泳動後、該ゲルを、2.5% Tween 80、0.02% NaN3を含有する50mM Tris−HClバッファー(pH7.5)で30分間洗浄し、ついで、0.5mM CaCl2および1μM ZnCl2で補足された同じバファーで30分間洗浄した。最後に、該ゲルを、0.02% NaN3、0.5mM CaCl2および1μM ZnCl2を含有する50mM Tris−HClバッファー(pH7.5)中、37℃で一晩インキュベートした。ゼラチンの分解をUV光下で可視化し、ついで1% クーマシーブリリアントブルーR250で染色した。ゼラチン溶解活性は染色ゲル上の青色の背景に対して透明なバンドとして可視化された。ゼラチン溶解活性の強度を、Quantity One,Basic−programを使用するBio−Rad Model GS−700イメージングデンシトメーター(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA,USA)で評価した。結果を光学濃度/mm2(ODu)として表した。
【0080】
6.他の酵素の回収:商業的に入手可能な酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)キットを該製造業者のプロトコール(PMN elastase;Bender MedSystems GmbH,Campus Vienna Biocenter 2,Vienna,Austria and MPO;Immundiagnostik AG,Stubenwald−Allee 8a,Bensheim,Germany)に従い使用して、PMNエラスターゼおよびミエロペルオキシダーゼ(MPO)の濃度を決定した。いわゆる二次抗体をPMNエラスターゼに関してはホースラディッシュペルオキシダーゼに、そしてMPOに関してはウサギ抗MPOペルオキシダーゼ標識抗体に結合させた。全てのキットにおける基質としてテトラメチルベンジジン(TMB)を使用した。Labsystems Multiskan RC(Thermo Bioanalysis Corporation,Santa FE,USA)を使用して、吸光度を450nmにおいて測定した。PMNエラスターゼおよびMPOのレベルをng/mlとして表した。
【0081】
結果:
aMMP−8回収アッセイ:RTおよび4℃でインキュベートされた第0日および第14日における吸収ストリップから回収されたaMMP−8の濃度をそれぞれ図8aおよび8bに示す。4℃およびRTでインキュベートされ第0、4、7および14日に溶出された吸収ストリップから回収されたaMMP−8の濃度は同じ範囲内であったが、これは、実際の状態における少なくとも14日間にわたる該装置における該酵素の安定性を示している。
【0082】
コラゲナーゼのアイソフォームプロファイルおよびそれらのデンシトメトリー定量:PMN型プロ形態、繊維芽細胞型プロ形態、複合形態およびPMN型活性化形態(断片化を伴わないもの)のような種々の分子量形態のMMP−8をウエスタンブロット分析において発現させた。RTおよび4℃でインキュベートされた第0日および第14日における吸収ストリップにおける、光学濃度/mm2として表された、デンシトメトリーを用いて定量されたaMMP−8の濃度を、それぞれ図9aおよび9bに示す。同様に、複合およびプロMMP形態のような種々の重量形態のMMP−13を断片化を伴わずに発現させた。該プロ活性形態は活性化されず、該アイソフォームはいずれも、該吸収ストリップにおいてインキュベーション期間中にそれ以上は断片化されなかった。このことは、該MMP−8およびMMP−13が14日間にわたりRTおよび4℃で該吸収ストリップにおいて安定であり無傷であることを示した。
【0083】
ゼラチナーゼ活性およびそのデンシトメトリー定量:プロ形態、複合形態および活性化形態(断片化を伴わないもの)のような種々の分子量形態のMMP−9および2をウエスタンブロット分析において発現させた。RTおよび4℃でインキュベートされた第0日および第14日における吸収ストリップにおける、光学濃度/mm2として表された、デンシトメトリーを用いて定量された活性化形態のMMP−9の濃度を、それぞれ図10aおよび10bに示す。このことは、コラゲナーゼだけでなくゼラチナーゼ活性およびそれらの濃度も、14日間にわたりRTおよび4℃でインキュベートされた吸収ストリップにおいて安定なままであることを示した。
【0084】
他の酵素の回収:RTおよび4℃でインキュベートされた第0日および第14日における吸収ストリップにおいて定量されたミエロペルオキシダーゼ(MPO)の濃度をそれぞれ図11aおよび11bに示す。4℃およびRTでインキュベートされ第0、4、7および14日に溶出された吸収ストリップから回収されたMPOの濃度は同じ範囲内であったが、これは、実際の状態における少なくとも14日間にわたる該ストリップにおける該酵素の安定性を示している。同様の結果がエラスターゼの濃度で観察された。このことは、幾つかの他の酵素またはタンパク質も該吸収ストリップにおいて安定なままであることを明らかに示した。
【0085】
aMMP−8、エラスターゼおよびMPOと並んで、歯科疾患に関する幾つかの他の関連因子がGCFに存在することが公知である。これらのうちの幾つかを、12名の被験者での実験的歯肉炎(EG)研究計画[第0日に歯清掃を行い、その後の14日間は機械的歯清掃(すなわち、歯ブラッシング)を行わない]におけるサンプル採取系で定量した。該ストリップでGCFを集めることにより、生物マーカーの評価を行った。サンプルを直ちに溶出し、48時間後、溶出液を−20℃で凍結させ、ついで最新の研究方法で定性化した。評価したタンパク質はMMP−13、TNFa、インターロイキン1β、オステオプロテゲリン(OPG)であった。予想どおり、これらのパラメーターはEG条件においては有意量では存在せず、さらに時には、それらは対応ELISA検出試験の検出限界未満であった。したがって、使用した個々の試験キットから得た校正体で再評価を行った。そのようなものとして、校正体(1μl)をタンパク質ごとにストリップ(n=4)に吸収させた。該ストリップの2つを吸収直後に溶出し、2つを4℃で48時間貯蔵し、その後溶出した。全ての溶出は同じ方法で行った。すなわち、ストリップを300〜600μlの溶出バッファー中に5分間にわたり、この時間内の5×5の振とうサイクルで導入した。5分後、該ストリップを該バッファーから取り出し、ついで直ちに溶出液を−20℃で凍結させた。直ちに溶出したストリップおよび4℃で48時間貯蔵したストリップのそのような比較は評価可能であった。結果は、観察された全てのタンパク質に関して一貫して満足しうるものであった。濃度の減少率は0.3〜10.9%の範囲であり、用いた分析方法の相関係数の範囲内であった。少数の実験のため、評価したタンパク質の全てに関する該ストリップの保存能力の主張は、aMMP−8に関して見出されたデータに類似したものであるという傾向予想が得られうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液からの、特に歯肉溝滲出液または涙液からの物質、特にタンパク質、例えば酵素を吸収するための平面状装置であって、受容要素(10)、支持要素(20)を含み、
・受容要素(10)が親水性であり、0.22μm〜5μm、特に0.5μm〜3μmの細孔径を有し、プラスチック材またはプラスチック材の混合物よりなり、特に、不活性プラスチック材または不活性プラスチック材の混合物よりなり、
・支持要素(20)が疎水性であり、受容要素(10)の表面の1つを少なくとも部分的に覆い、
該装置が更に、受容要素(10)の対表面に位置する識別要素(40)を含むことを特徴とする、平面状装置。
【請求項2】
受容要素(10)が、0.6μm〜2.5μm、特に0.75μm〜1.75μmの細孔径を有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
受容要素(10)が膜である、請求項1および/または2記載の装置。
【請求項4】
該材がフルオロ炭化水素重合体、特にポリビニリデンフルオリド(PVDF)である、請求項1〜3のいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
識別要素(40)が該装置の円形化末端(30)の反対側に位置する、請求項1〜4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
該プラスチック材またはプラスチック材の混合物が1〜6GPa、特に2〜5、または1〜4GPaの弾性率(ヤング率)を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
支持要素(20)も、1〜4GPa、特に2〜3、または1〜2GPaの弾性率(ヤング率)を有するプラスチック材またはプラスチック材の混合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
該装置が、受容要素(10)において、そして好ましくは支持要素(20)においても、円形化末端(30)を有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
該装置が、体液内の該装置の所望の浸漬深さを示す目印要素(60)を有する、請求項1〜8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
体液からの、特に歯肉溝滲出液または涙液からの溶出後の物質、特にタンパク質、例えば酵素、特にコラゲナーゼ、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ−8(MMP−8)、MMP−13、TNFα、インターロイキン1β(IL−1B)、オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin)の吸収および/または貯蔵のための、請求項1〜9のいずれか1項記載の装置の使用であって、貯蔵期間が1〜31日間、特に7〜31日間または7〜21日間である、使用。
【請求項11】
該酵素が1〜31日間、特に7〜31日間または7〜21日間の貯蔵期間にわたり、4℃〜42℃、特に4℃〜37℃または8℃〜20℃の温度で安定である、請求項10記載の装置の使用。
【請求項12】
酵素の活性が貯蔵後にほぼ維持される、タンパク質、特に酵素の貯蔵のための、請求項10または11記載の装置の使用。
【請求項13】
酵素、特に酵素のエピトープの免疫反応が貯蔵後にほぼ維持される、タンパク質、特に酵素を安定化させるための、請求項10または11記載の装置の使用。
【請求項1】
体液からの、特に歯肉溝滲出液または涙液からの物質、特にタンパク質、例えば酵素を吸収するための平面状装置であって、受容要素(10)、支持要素(20)を含み、
・受容要素(10)が親水性であり、0.22μm〜5μm、特に0.5μm〜3μmの細孔径を有し、プラスチック材またはプラスチック材の混合物よりなり、特に、不活性プラスチック材または不活性プラスチック材の混合物よりなり、
・支持要素(20)が疎水性であり、受容要素(10)の表面の1つを少なくとも部分的に覆い、
該装置が更に、受容要素(10)の対表面に位置する識別要素(40)を含むことを特徴とする、平面状装置。
【請求項2】
受容要素(10)が、0.6μm〜2.5μm、特に0.75μm〜1.75μmの細孔径を有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
受容要素(10)が膜である、請求項1および/または2記載の装置。
【請求項4】
該材がフルオロ炭化水素重合体、特にポリビニリデンフルオリド(PVDF)である、請求項1〜3のいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
識別要素(40)が該装置の円形化末端(30)の反対側に位置する、請求項1〜4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
該プラスチック材またはプラスチック材の混合物が1〜6GPa、特に2〜5、または1〜4GPaの弾性率(ヤング率)を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
支持要素(20)も、1〜4GPa、特に2〜3、または1〜2GPaの弾性率(ヤング率)を有するプラスチック材またはプラスチック材の混合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
該装置が、受容要素(10)において、そして好ましくは支持要素(20)においても、円形化末端(30)を有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
該装置が、体液内の該装置の所望の浸漬深さを示す目印要素(60)を有する、請求項1〜8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
体液からの、特に歯肉溝滲出液または涙液からの溶出後の物質、特にタンパク質、例えば酵素、特にコラゲナーゼ、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ−8(MMP−8)、MMP−13、TNFα、インターロイキン1β(IL−1B)、オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin)の吸収および/または貯蔵のための、請求項1〜9のいずれか1項記載の装置の使用であって、貯蔵期間が1〜31日間、特に7〜31日間または7〜21日間である、使用。
【請求項11】
該酵素が1〜31日間、特に7〜31日間または7〜21日間の貯蔵期間にわたり、4℃〜42℃、特に4℃〜37℃または8℃〜20℃の温度で安定である、請求項10記載の装置の使用。
【請求項12】
酵素の活性が貯蔵後にほぼ維持される、タンパク質、特に酵素の貯蔵のための、請求項10または11記載の装置の使用。
【請求項13】
酵素、特に酵素のエピトープの免疫反応が貯蔵後にほぼ維持される、タンパク質、特に酵素を安定化させるための、請求項10または11記載の装置の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【公表番号】特表2011−517488(P2011−517488A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501247(P2011−501247)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053751
【国際公開番号】WO2009/118423
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510256609)デントグノステイツクス・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053751
【国際公開番号】WO2009/118423
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510256609)デントグノステイツクス・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【Fターム(参考)】
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