説明

体液を採集する構造およびその製造方法

穿刺によって得られた体液を集めるための収集領域(12)を有する試料採取部材(10)を備えた、体液を採集する構造において、収集領域は、毛管として長く延びた、試料採取部材(10)にある横開口部(28、30)を介して両側が開いている長手スリット(12)によって構成されていることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿刺によって得られた体液を集めるための収集領域を有する、好ましくは身体部位へ穿刺するための穿刺機構を備えた試料採取部材と、収集領域を介して体液を供給可能な、好ましくは体液中の分析物に対する検査区画を備える試料受入部材とを備えている、血液などの体液を採集する構造ないし装置に関する。さらに本発明は、このような試料採取部材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人が以前に出願した特許出願公開PCT/EP2005/002357号明細書には、分析目的のために体液を集める構造が記載されており、特に血中グルコース濃度判定のための構造が記載されている。同文献からは、体液を採集するための収集ゾーンを備えた穿刺部材が明らかであり、収集ゾーンは側方開口部によって形成されていてよい。それによって液体の移送は、穿刺方向に対して垂直方向に、流体接触している試料採集部材に向かって行うことができるので、むだ容積の多いマクロ的な穿刺を通じての毛管輸送を回避することができる。
【発明の開示】
【0003】
以上を前提とする本発明の課題は、従来技術で知られているシステムをさらに発展させて、試料採集が改良されるように、冒頭に述べた種類の構造を最適化することであり、また、本発明の目的は製造を簡素化することにもある。
【0004】
この課題を解決するために、独立請求項に記載された構成要件の組み合わせが提案される。本発明の有利な実施形態および発展例は、従属請求項から明らかである。
【0005】
本発明は、両側が開いた毛管スリットによって、できるだけ高い信頼度の毛管試料採集を実現するという思想を出発点としている。それに応じて本発明では、毛管として長く延びた、試料採取部材にある横開口部を介して両側が開いている長手スリットによって収集領域が構成されており、長手スリットは試料採取部材が収集位置にあるときは試料受入部材から分断されており、それによって体液が転移されず、試料採取部材が移送位置にあるときには試料受入部材と流体接触ないし流体接続されることが提案される。このようにして、統一的な容積での両側からの迅速な試料採集を保証することができ、毛管作用に基づき、外部の能動的な作用は何も必要とされない。スリットは、穿刺部材として構成された試料採取部材の長手方向ないし穿刺方向に延びているのが格別に好ましい。管状の毛管または半開きの毛管に比べると、開いたスリット構成によって、組織成分による閉塞の危険もいっそう低減される。しかも、両側の開口部によって以後の試料取扱を大幅に改善することができ、むだ容積がほとんどない移送を実現することが可能である。分析の観点からさらに進んだ一体化のために、収集領域を介して体液を供給可能な、好ましくは体液中の分析物に対する検査区画を備える試料受入部材が設けられている。それにより、定義された時点での分析を可能にするために、それまで分断されていた受入部材への迅速な、かつ損失のほとんどない液体移送を具体化することができる。
【0006】
本発明の1つの好ましい実施形態では、長手スリットの長さは、試料採取部材が収集位置にあるときに長手スリットが身体部位の部分的に内部かつ部分的に外部にあるように設定されている。このようにして、液体採集のときにスリットの換気機能を実現することができ、追加の収集容積を利用することができる。このような観点から長手スリットは、体液を収集するときに身体部位の皮膚に突入する遠位の採集区域と、皮膚の外部にある近位の換気区域とを有していると好ましい。
【0007】
長手スリットは、0.5〜4mmの長さ、好ましくは1〜2mmの長さと、500μmよりも短い幅、好ましくは100μmよりも短い幅を有しているのが好ましい。さらに長手スリットが、穿刺機構を形成している試料採取部材の遠位の先端部に対して好ましくは約50〜200μmの間隔をおいて配置されていると好ましい。
【0008】
穿刺時に感じられる痛みを減らし、それと同時に十分な採集容積を得るために、試料採取部材は長手スリットの領域に、断面が先細になった遠位のシャフト区域と、断面が拡張する近位のシャフト区域とを有していてよい。
【0009】
この方面でのいっそうの改良は、長手スリットが、試料採取部材が収集位置にあるときには試料受入部材から空間的および/または流体的に分断されており、試料採取部材が移送位置にあるときには体液を移送するために横開口部を介して試料受入部材と接続されることによって実現される。
【0010】
この場合、排出部と向かい合う長手スリットの横開口部が、移送位置のとき、試料受入部材へ体液を能動的に移送するためのアクチュエータに接続されるのも好ましい。
【0011】
アクチュエータは、空気圧式および/または機械式の押し除け手段を介して、長手スリットの中にある体液へ作用するのが好ましく、機械式のアクチュエータは、長手スリットに向かって変形可能なダイヤフラムによって構成されていてよい。アクチュエータが、試料受入部材と反対を向いているほうの長手スリットの横開口部に接続可能な圧縮空気通路を有しているのも好都合である。
【0012】
できるだけ完全な液体移送のために、試料受入部材は体液に対して長手スリットと少なくとも同等の大きさの毛管引力、またはこれよりも大きい毛管引力を有していると好ましい。
【0013】
さらに別の好ましい実施形態は、試料採取部材が試料受入部材に対して相対的に可動なように案内部で支承されていることを意図している。この場合、安全上・衛生上の理由から、試料受入部材が、試料採取部材を収容するケースを形成していると好ましい。
【0014】
複数の試料採取部材が第1のマガジンに備蓄されるとともに複数の試料受入部材が第2のマガジンに備蓄されており、これらのマガジンは別個のユニットとして、試料採取部材と試料受入部材を一対に組み合わせるために相互に連結可能であることによって、利用者にとっていっそうの利用メリットを実現することができる。
【0015】
1つの好ましい具体化方法の要諦は、複数の試料採取部材が1つのマガジンに、好ましくはドラム型マガジンに、軸方向へ出没可能なように配置されており、これに付属する試料受入部材は好ましくは貫通室の中で、出没方向で見てマガジンの前に配置されていることにある。
【0016】
好ましくは使い捨て用品として構成された少なくとも1つの本発明による収集構造を収容するための携帯型の血液分析器も、本発明の対象である。
【0017】
本発明は、毛管として長く延びた、横開口部を介して両側が開いている長手スリットを、穿刺によって得られた体液を集めるための収集領域として有している、好ましくは身体部位へ穿刺するための穿刺機構を備えた試料採取部材と、収集領域を介して体液を供給可能な、好ましくは体液中の分析物に対する検査区画を備える試料受入部材とを備えている、血液などの体液を分析するシステムも含んでおり、試料採取部材から試料受入部材へと体液を移送するためのアクチュエータが設けられている。両側のスリット開口部の利点を格別に省スペースに活用するために、アクチュエータが長手スリットの中の体液に対して横開口部から作用し、これと反対を向いているほうの試料採取部材の側で体液中の分析物の測定が行われ、試料採取部材は移送位置にあるとき、アクチュエータと反対を向いているほうの横開口部を介して試料受入部材と流体接続されると好都合である。好ましくは液体処理のための使い捨て部材を備えるこのような器具には、体液を供給可能な検査区画に、分析物を検出するための好ましくは光学式の測定ユニットが設けられている。
【0018】
方法に関わる側面では、冒頭に述べた課題は、試料採取部材に両側が開いた長手スリットが体液の収集領域としてレーザ切断によって形成されることにより解決される。
【0019】
この場合、長手スリットの境界面がレーザ切断のときに親水化されると好都合である。
【0020】
いっそうの改良例は、レーザ切断のときのレーザエネルギーおよび/またはレーザビームの進行速度が位置依存的に制御されて、異なる材料厚みをよりいっそう考慮できるようになっていることを意図している。
【0021】
レーザ切断中の加工時間は2sよりも短いのが好ましく、約1sであるのが好ましい。
【0022】
毛管作用を向上させるためにも、長手スリットの境界エッジは100°よりも小さいエッジ角で構成されるのが好ましく、約90°のエッジ角で構成されるのが好ましい。
【0023】
さらに別の有利な方法の態様は、試料採取部材に鋭い穿刺機構が研削によって製作され、それにより、穿刺機構は少なくとも1つの平面研削部によって区切られることを意図している。この場合、線材または平坦なベルトが出発材料として加工されるのも好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、図面に模式的に示されている実施例を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
【0025】
図面に示されている構造1は、穿刺個所で身体部位14から得られる体液を収集するための長手スリット12として構成された収集領域を備える少なくとも1つの試料採取部材10と、長手スリットと流体接続させることが可能な血糖検査のための試料受入部材16とを含んでいる。
【0026】
図1は、いわゆる「スポットモニタリング」のために、すなわち、被験者による所与の時点での血糖濃度の自己判定のために、このような測定構造1を利用するための携帯型の血糖測定器具18を示している。この目的のために器具18は、試料採取部材ないし穿刺部材10のための穿刺開口部22の上で指を位置決めするために、内方に向かってテーパ状になった載せ台20を有している。個々の器具コンポーネントは完全自動式の測定手順で作動し、それにより、器具に挿入されている好ましくは使い捨ての構造1との組み合わせで、利用者は高いコストのかかる取扱を必要とすることなく、最終的に表示器24で目下の血中グルコース濃度についての測定値を知ることができる。一般に、このようなシステムによってその他の身体部位の測定、たとえばあまり痛みを感じない腕領域や腹部領域での測定も行うことができ、試料採取の体液としては、皮膚に由来する毛細血管血液のほか、組織液またはこれらの混合物も考慮の対象となる。
【0027】
図2を見ると明らかなように、長手スリット12はシャフト状の穿刺部材10の長手方向に延びており、たとえば100〜200μmの幅で、1〜2mmの長さにわたって延びている。穿刺機構を構成する先端部26との間隔は、ほぼスリット幅に相当していてよい。このようにして、身体部位14(図4)へ穿刺するとアクセス可能な体液が毛管作用に基づいて自動的に流れ込む毛管採集部が構成される。
【0028】
液体採集は、長手スリット12の互いに向かい合う横開口部28、30を介して両側で行われる。このとき穿刺方向におけるスリット長さは、遠位のスリット区域32が身体部位14の皮膚に突入し、近位のスリット区域34が皮膚の外部に位置するように設定されている。痛みを減らすために、身体に刺し込まれる遠位のシャフト区域36は「薄く」、すなわち断面が先細になるように製作されていてよく、それに対して身体の外部にとどまる近位のシャフト区域38は、十分に多い液体量を集められるようにするために、拡張した断面ないし比較的大きい厚みを有している。たとえば液体量は、スリット容積に応じて10〜20ナノリットルであってよく、身体内にある長手スリット12の部分容積はたとえば20%の容積割合を含んでいる。
【0029】
このような穿刺部材10を製造するときは、まず、出発材料としての線材が定義された向きで研削プロセスにより加工され、別様に折曲された研削面40、42が生成される。次いでこの面構造に、好ましくは同じ加工ステーションで回転の向きを維持したまま、適当に位置決めされたレーザを用いて長手スリット12が穿設される。1つの重要な生産ディテールは、レーザビームのレーザエネルギーおよび/または移動速度が切削位置に依存して制御されることにある。それによって先の尖った開口部を形成することができ、または、異なる材料厚みを補正することができる。
【0030】
スリットを貫通させるのにレーザビームのわずかな運動しか必要なく、加工時間は大量生産のために十分に短く抑えることができ、たとえば1秒前後に抑えることができる。同様に、機械的な公差を少なく抑えることができ、たとえば10μm前後に抑えることができ、ほぼ90°の壁部の急傾斜を実現することが可能である。さらに、特に保護ガスないし特殊ガスのもとでの適当なレーザ処理によって、コーティングのために活性化および/または親水化された表面をつくることができ、このような表面は、場合により、物理的または液体化学的な後処理によってさらに改良することができる。
【0031】
このようにして製作されたランセット10を、正しい向きでプラスチックホルダへ挿入することができる。このプラスチックホルダはたとえばローラから送り出すことができ、クリップ留め、熱変形などによってランセットとの結合を正しい位置で行うことができる。器具18の中のランセットを捉えて動かせるようにするために、プラスチックホルダは連結片を有していてよい。
【0032】
図3は、試料採取部材(穿刺部材10)と試料受入部材16とで構成されるユニットを示している。試料採取は穿刺部材19の往復運動による穿刺運動によって行われ、このとき近位のシャフト部分44に適当な駆動装置が嵌合により連結される。穿刺プロセスのあいだ器具に固定されたまま保たれる試料受入部材16は、ケースとして構成された、穿刺部材10のためのスライド案内部の一部であり、長手スリット12に集められた体液48を収容するための検査区画46を有している。つまり、直線案内部として作用するケースは長方形の平たい構成で穿刺部材を取り囲んでおり、その長辺が長手スリット12の横開口部28、30のほうを向いている。こうして好ましい液体移送に加えて、穿刺部材10の保護と衛生的な処理とが保証される。
【0033】
このように、穿刺部材10は試料を取得するときに「シャトル」として供給機能を果たすのに対して、本来の分析物の検出は、身体部位14と接触することがない試料受入部材16で行われる。試料受入部材は、区分された複数のコンパートメント50を含むマガジンのコンポーネントとして設けられていてもよく、このようなマガジンは使い捨て用品として器具18へ挿入され、使用済みの穿刺部材とともに再び処分することができる。検査区画ないし試薬支持体46におけるグルコースの検証は、透明なカバー窓52を通り抜ける反射を通じて測光法で行うことができ、それにより、コンパートメント50の中の血液48は器具の部品から衛生的に離れた状態に保たれる。これ以外の検証技術も考えられ、たとえば蛍光による検証や電気化学式の検出も考えられる。
【0034】
図4には、試料移送の主要な工程が再度詳しく図示されている。初期位置(4a)では、穿刺部材10は、穿刺フィルムによって前面側で封止されていてよいマガジン室50の中で保護されている。身体部位14(たとえば指先)への穿刺運動は、痛みの関係上、できるだけ迅速かつ最適化された運動で行われ、場合により、最大の穿刺深さから若干引き戻された収集位置を設定することができる。図(4b)に相当する収集プロセスのために、遠位のスリット区域32は皮膚の内部に突入し、それに対して近位のスリット区画34は皮膚の外部で換気機能を果たすのが好ましい。それにより、穿刺通路で得られた血液が短い収集時間のあいだに収集スリット12の両側へ流れ込み、スリット容積全体を効率的に充填することができる。収集位置にあるとき、スリット12は試料受入部材16から空間的に分断されており、それにより、これらの間に流体接続が成立せず、検証試薬が体内へ入り込むことがないようになっている。このことは、検証プロセスを的確に開始して、測定の進行そのものを評価することも可能にする。この目的のために、図4c)に示すように、スリット12の上側の横開口部28が検査区画46の下に達するまで、穿刺部材10が再び引き込まれる。検査区画は、採集された血液を自動的に移送するために、たとえば不織布構造によって、スリット12よりも高い毛管引力を有していてよい。しかしながら、図4d)に示すように、収集された液体に対する押し除け手段としてのダイヤフラム54が下側のスリット開口部30で押し込まれることによって、液体移送がサポートされるのが好ましい。すなわち流体移送は、スリット長さ全体にわたって、穿刺部材10の穿刺方向に対して横向きの短い経路で行われる。
【0035】
図5〜図7に示す実施形態もこのような原理を具体化するものであり、この場合、特別なマガジンとアクチュエータが設けられている。図5では穿刺部材10がランセットドラム56に収納されており、ランセットドラムの後側端面には駆動連結のための連結片44が屹立しているのに対して、前側の(遠位の)端面は穿刺フィルム58によって封止される。別個の検査テープドラム60には、差込スリットを介して検査テープ46を装備できるようになっており、その後、この検査テープはフィルム62と端面キャップ64によって周囲に対して、特に水分の浸入に対して遮蔽される。端面キャップ64は、外套側の噴射開口部70を介する空気圧式のアクチュエータのための空気通路68を同時に形成するドラム中空軸66に着座している。別個のマガジン収納によってさまざまな要請に配慮することができる。身体と接触することになる穿刺部材10を、ランセットドラム56の中でエネルギーの高い放射により滅菌することができるという利点があり、それに対して、放射に対して敏感な検査薬品はこれとは無関係に、検査テープドラム60の中で外部要因に対して防護された状態に保たれ、穿刺プロセスのときにも身体と接触しない。
【0036】
図6を見ると明らかなように、マガジン56、60は組立状態ではドラム軸66の上で軸方向に連結されており、それにより、そのつど1つの穿刺部材10と1つの検査テープ46が互いに対応するようになっている。器具18内部のマガジン収容部72が、空気通路68への圧縮空気作用を可能にするとともに、そのつど駆動タペット74と連結される穿刺部材10を、指用テーパ部20(図6a)に対して軸方向に揃えて穿刺駆動することを可能にする。穿刺送りがなされると、操作された穿刺部材10がその手前に配置された、付属の検査テープ46のチャンバ76を突き抜け、テーパ開口部22を通過して、約10mmの距離を進んだところで最大の送り位置(図6bの線78)に達する。そしてスリット12を介しての血液採集が、上に説明したように行われる。次いで穿刺部材10が復帰運動をすると、スリット10がその貫通方向で検査テープ46と一直線上に並ぶ、図6cに示す移送位置へ到達する。
【0037】
図7の拡大部分図を見るともっともよくわかるように、移送位置では、集められた液体を検査テープ46へ的確に転移させることが可能である。この目的のために、空気通路68を介して矢印80、82の方向へエアブラストが生起され、このエアブラストが、そのほうを向いている横開口部28でスリット12に作用し、その結果、血液はこれと向かい合う横開口部30を介して検査テープ46へと押し除けられ、そこで測定される。そして図示しない光学器具を介して、反射率計によるグルコース検証を行うことができる。引き続いて、汚染された穿刺部材10がドラムマガジン56の収容室84の中へ完全に引き戻され、ドラムの回転によって次の機能ペア10、46の準備が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】血糖測定のためのハンディ器具を示す斜視図である。
【図2】血液採集のための長手スリットを備える穿刺部材を示す斜視図である。
【図3】穿刺部材と検査部材とを備える一体型の測定構造をさまざまなプロセス工程で示す斜視図である。
【図4】図3に対応する測定手順を示す軸方向断面図である。
【図5】血糖測定器具のマガジンを示す分解図である。
【図6】図5のマガジンを使用する場合の測定手順を示す縦断面図である。
【図7】図6cの部分拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液などの体液を採集する構造において、穿刺によって得られた体液を集めるための収集領域(12)を有する、好ましくは身体部位(14)へ穿刺するための穿刺機構を備えた試料採取部材(10)を備えており、前記収集領域は、毛管として長く延びた、前記試料採取部材(10)にある横開口部(28、30)を介して両側が開いている長手スリット(12)によって構成されており、さらに、前記収集領域(12)を介して体液を供給可能な、好ましくは体液中の分析物に対する検査区画(46)を備える試料受入部材(16)を備えており、前記長手スリット(12)は、前記試料採取部材(10)が収集位置にあるときは前記試料受入部材(16)から分断されており、前記試料採取部材(10)が移送位置にあるときには前記試料受入部材(16)と流体接触する構造。
【請求項2】
前記長手スリット(12)の全長は、前記試料採取部材(10)が収集位置にあるときに、前記長手スリット(12)が身体部位(14)の部分的に内部と外部にあるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の構造。
【請求項3】
前記長手スリット(12)は体液を集めるときに身体部位(14)の皮膚に突入する遠位の採集区域(32)と皮膚の外部にある近位の換気区域(34)とを有していることを特徴とする請求項1または2記載の構造。
【請求項4】
前記長手スリット(12)は0.5〜4mmの長さ、好ましくは1〜2mmの長さと、500μmよりも短い幅、好ましくは100μmよりも短い幅を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造。
【請求項5】
前記長手スリット(12)は穿刺機構を形成している前記試料採取部材(10)の遠位の先端部(26)に対して好ましくは約50〜200μmの間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造。
【請求項6】
前記試料採取部材(10)は前記長手スリット(12)の領域に、断面が先細になった遠位のシャフト区域(40)と、断面が拡張する近位のシャフト区域(42)とを有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造。
【請求項7】
前記横開口部(28、30)は前記長手スリット(12)の排出部として前記試料受入部材(16)と流体接触させることが可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造。
【請求項8】
前記長手スリット(12)の前記横開口部(28、30)は、移送位置のとき、前記試料受入部材(16)へ体液を移送するためのアクチュエータ(54;68)に接続されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の構造。
【請求項9】
前記アクチュエータ(54;68)は空気圧式および/または機械式の押し除け手段を介して前記長手スリット(12)の中にある体液に作用することを特徴とする請求項8記載の構造。
【請求項10】
前記アクチュエータは前記長手スリット(12)に向かって変形可能なダイヤフラム(54)によって構成されていることを特徴とする請求項8または9記載の構造。
【請求項11】
前記アクチュエータは前記長手スリットの前記横開口部(28、30)に接続可能な圧縮空気通路(68)を有していることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の構造。
【請求項12】
前記試料受入部材(16)は体液に対して前記長手スリット(12)よりも強い毛管引力を有していることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の構造。
【請求項13】
前記試料採取部材(10)は前記試料受入部材(16)に対して相対的に可動なように案内部に支承されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の構造。
【請求項14】
前記試料受入部材(16)は前記試料採取部材(10)を収容するケースを形成していることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の構造。
【請求項15】
複数の前記試料採取部材(10)が第1のマガジン(56)に備蓄されるとともに複数の前記試料受入部材(16;46)が第2のマガジン(60)に備蓄されており、前記マガジン(56、60)は別個のユニットとして、前記試料採取部材と前記試料受入部材を一対に組み合わせるために相互に連結可能であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の構造。
【請求項16】
複数の前記試料採取部材(10)が1つのマガジン(56)に、好ましくはドラム型マガジンに、軸方向へ出没可能なように配置されており、これに付属する試料受入部材(46)は好ましくは貫通室(76)の中で、出没方向で見て前記マガジン(56)の前に配置されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の構造。
【請求項17】
好ましくは使い捨て用品として構成された請求項1〜16のいずれか1項に記載の少なくとも1つの構造を収容するための携帯型の血液分析器。
【請求項18】
血液などの体液を分析するシステムにおいて、毛管として長く延びた、横開口部(28、30)を介して両側が開いている長手スリット(12)を、穿刺によって得られた体液を集めるための収集領域(12)として有している、好ましくは身体部位(14)へ穿刺するための穿刺機構を備えた試料採取部材(10)と、前記収集領域(12)を介して体液を供給可能な、好ましくは体液中の分析物に対する検査区画(46)を備える試料受入部材(16)とを備えており、前記試料採取部材(10)から前記試料受入部材(16)へと体液を移送するためのアクチュエータ(54;68)が設けられているシステム。
【請求項19】
前記アクチュエータ(54;68)は前記長手スリットの中の体液に対して前記横開口部(28、30)から作用し、これと反対を向いているほうの前記試料採取部材(10)の側で体液中の分析物の測定が行われることを特徴とする請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記試料採取部材(10)は移送位置のとき前記アクチュエータ(54;68)と反対を向いているほうの前記横開口部を介して前記試料受入部材(16)と流体接続されることを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項21】
体液を供給可能な検査区画(46)で分析物を検出するために好ましくは光学式の測定ユニットを有していることを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
レーザ加工によって輪郭が生成される、特に請求項1〜18のいずれか1項に記載の構造(1)のための、血液などの体液を採集する試料採取部材(10)を製造する方法において、前記試料採取部材(10)に両側が開いた長手スリット(12)が体液の収集領域(12)としてレーザ切断によって形成されることを特徴とする方法。
【請求項23】
前記長手スリット(12)の境界面はレーザ切断のときにコーティングのために活性化および/または親水化されることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記レーザ切断のときのレーザビームのレーザエネルギーおよび/または移動速度が位置依存的に制御されることを特徴とする請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
前記レーザ切断中の加工時間は2sよりも短く、好ましくは約1sであることを特徴とする請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記長手スリット(12)の境界エッジは100°よりも小さいエッジ角で形成され、好ましくは約90°のエッジ角で形成されることを特徴とする請求項22〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記試料採取部材(10)に遠位の穿刺機構(26)が研削によって生成され、それによって前記穿刺機構は少なくとも1つの平面研削部(36)によって区切られることを特徴とする請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
線材または平坦なベルトが出発材料として加工されることを特徴とする請求項22〜27のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−506810(P2009−506810A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528404(P2008−528404)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008436
【国際公開番号】WO2007/025713
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】