説明

体液中の分析物を検出する方法およびそのような方法を実施するための創傷被覆材

本発明は、体液(2)中の分析物を検出する方法であって、分析物の代謝または分解により生じる少なくとも1の代謝産物と接触させて検出器(6)を配置することを含んでなる方法に関する。検出器(6)を代謝産物と接触させることは、光学的に検出可能なシグナルを発生する。検出方法は、ガスの形態でのみ代謝産物を検出することを含んでなり、前記ガスの形態の代謝産物は、前記代謝産物の少なくとも一部の蒸発に由来する。検出はまた、体液(2)と検出器(6)との間の接触なしに行われる。検出方法を実施するための創傷被覆材(1)がまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液中の分析物を検出する方法およびそのような方法を実施するための創傷被覆材(dressing)に関する。
【背景技術】
【0002】
体液中の分析物の存在を定性的に検出するために、多くの仕事がなされてきた。
【0003】
この数年で、吸光光度分析法の技術が、医療分野で用いられ、特に創傷の進展を決定する必要および創傷浸出物中で発育する病原菌を説明する必要を満たしてきた。
【0004】
細菌の分類に起源をもつ病原菌試験は溶液中での染色試験のおかげで細菌を同定し、区別することを可能にする、広く用いられる方法である。この方法は、体液サンプルを取得し、その後、インビトロでそれを病原菌試験にかける必要がある。この試験は、細菌の膜および壁の特性に基づく。
【0005】
他の比色試験の指示薬が細菌そのものではなく細菌の増殖中に生産される1以上の産物を検出するために用いられている。従って、“Spot Indol Test: Evaluation of Four Reagents” (Journal of Clinical Microbiology, 30 1982, 589-592), J.M. Millerらの論文では、コバック試薬を含む溶液を含浸させた紙が開示されている。これらの細菌は、その増殖中にインドールを生産するが、インドールは、トリプトファナーゼによるトリプトファンの加水分解の副産物である。コバック試薬を含む化合物ジメチル−アミノ−4−ベンズアルデヒドは、インドールと反応して赤色の化合物を形成する。
【0006】
近年、様々なタイプの指示薬に基づく創傷被覆材が提案されてきた。創傷に用いられる創傷被覆材は、例えば、創傷治癒に適したある湿度を維持し、創傷および創傷の周辺部を清潔に保ち、または、創傷の治癒段階に応じて用いる創傷被覆材のタイプを変えるために、定期的な間隔で交換しければならない。
【0007】
治癒工程では、創傷の進展の追跡調査が医療従事者の日常業務の大部分であるが、なぜなら、これにより、特に創傷の治癒状態を知ること、および創傷被覆材を交換しなければならないときに関する指標を得ることを可能とするからである。関心のある創傷は、例えば、床ずれ、糖尿病の創傷、潰瘍により形成される創傷、火傷、外科的手技若しくは移植、皮膚腫瘍または遺伝病である。創傷は、通常は、視覚的および嗅覚的な手がかりの存在を大まかに探すことによりチェックされる。創傷内で重要な細菌の負荷がある場合には、多くの感染に特徴的な炎症の兆候および体の炎症防御反応:豊富で、濃く、不快な、および病原菌の存在により着色した浸出物、自発的痛みを伴う病変周囲の紅はん並びに、浮腫が表われる。
【0008】
米国特許出願公開第2002/091347号明細書は、創傷被覆材の水分含量に従って交換するときを示すことができる創傷被覆材を開示する。この創傷被覆材は、外部コーティング、防水層、比色指示薬および創傷被覆材の裏張りを連続して含む。創傷被覆材の裏張りは、創傷に接触することを意図した層の形態を有し、水で飽和されるまでは防水であり、その後、水に対して透過性になる。水は、その後、創傷被覆材を通過して流れ、水と接触すると色を変化させる着色された指示薬に到達する。
【0009】
他の創傷被覆材も提案されており、その目的は、感染に特徴的な温度の上昇を検出することである。これらの仕事は、皮膚または創傷の領域への創傷被覆材の適用が、その領域における温度の増加を伴うという原理に基づく。創傷被覆材が存在することによる前記領域の周辺の圧力の増加と組み合わさった閉鎖空間における代謝産物の蓄積は、温度上昇の原因である血液の流入を引き起こす。米国特許第5181905号明細書は、例えば、液晶を含む温度検出バンドからなる温度指示薬を含む創傷被覆材を開示する。
【0010】
この取り組みは、温度のこの上昇の原因に関して、特に、前記領域に存在する代謝産物の性質に関して、および、結果として創傷被覆材を交換するかどうかの必要性に関してとてもよく識別するものではないという欠点を有する。
【0011】
米国特許第7364918号明細書は、ポリジアセチレンの会合体を含む比色センサーおよびレシーバー並びに分析物を検出するこのセンサーの使用方法を提案する。レシーバーは、分析物と特異的に相互作用するように選ばれる。このレシーバーは、重合の前または後にコンジュゲートされたエンインのポリマーネットワークに取り込まれる。このように作られたコンジュゲートされたポリマーの構造は、分析物とレシーバーとの相互作用に応じてそのコンフォメーションを変化させることができる。従って、コンジュゲートされたポリマーの骨格の構造に引き起こされる変乱は、色の変化を伴う。比色センサーは、例えば、生物学的液体中のグラム陰性およびグラム陽性細菌の存在を示すことができる。著者はまた、感染の存在を検出するためにこの比色センサーと創傷被覆材とを組み合わせることを提案しており、例えば、これを創傷と直接または間接に接触する層の形態で創傷被覆材中に組み込むことより行われるが、この文書によれば、センサーは浸出物と常に接触している。にもかかわらず、ポリマーの単純なコンフォメーション変化に基づくセンサーは、重大な数の疑陽性の結果を伴い得る。
【0012】
個体から得られた膣液、血液または尿などの体液中における分析物の存在をより大量に検出するための他の仕事もなされてきた。例えば、アンモニアまたはアミンをガスの形態で検出する検出器および方法を提案する米国特許5910477号明細書、米国特許第4548906号明細書および米国特許出願公開第2007/258860号明細書が、引用され得る。
【0013】
個体により発汗された汗由来のエタノールまたはエタノール代謝産物を検出する方法を開示する米国特許第5899856号明細書もまた、引用され得る。この方法は、特に、発汗されたエタノールを吸収するための皮膚上に配置された皮膚パッチによるエタノールの回収と、その後のエタノールの、または、皮膚パッチに含まれる代謝産物の脱離抽出とそれに続く抽出液の分析とを含んでなる。
【0014】
それにも関わらず、示唆された溶液は、リアルタイムの分析のために個体に直接適用することはできない。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、体液中の分析物の存在を検出する方法であって、信頼でき、かつ、正確な質的情報を与え、および、研究室の外で実施できる方法を提案することである。
【0016】
本発明の目的はまた、安く、そして、体液中の分析物の存在の信頼でき、正確で迅速な示唆を与えるこの方法を実施するための創傷被覆材を提案することである。
【0017】
本発明によれば、この目的は、検出方法および添付した特許請求の範囲に記載されたそのような方法を実施するための創傷被覆材により達成される。
【0018】
特に、この目的は、検出器が体液を含む個体または動物の皮膚の領域の上方に配置され、分析物の代謝または分解により生じた少なくとも1の代謝産物が、ガスの代謝産物と接触させて検出器を配置することにより、ガスの形態でのみ検出され、前記ガスは、前記代謝産物の少なくとも一部の蒸発に由来し、かつ前記接触は光学的に検出可能なシグナルを発生し、かつ、検出器が体液と検出器の間の接触なしに行われ、達成される。
【0019】
他の利点および特徴は、下記の非限定的な例示として与えられ、添付された図面に描写される本発明の特定の態様の記載からより明確に発生するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の創傷被覆材の特定の態様の模式的な断面図である。
【図2】図2は、本発明の創傷被覆材の特定の態様の模式的な断面図である。
【図3】図3は、本発明の創傷被覆材の特定の態様の模式的な断面図である。
【図4】図4は、本発明の創傷被覆材の特定の態様の模式的な断面図である。
【図5】図5は、本発明の創傷被覆材の特定の態様の模式的な断面図である。
【図6】図6は、本発明の創傷被覆材上でインドールを検出する試験装置の模式的な断面図である。
【図7】図7は、図6の試験装置のAA軸に沿った模式図である。
【発明の具体的な説明】
【0021】
ある特定の態様では、体液中の分析物を検出する方法は、体液を含む個体または動物の皮膚の領域の上方に検出器を配置すること、および、その後、分析物の代謝または分解により生じる少なくとも1の代謝産物をガスの形態でのみ検出することを含んでなる。検出は、体液を含む皮膚の領域の上方に配置された検出器をガスの代謝産物と接触させることにより行われる。検出されたガスの代謝産物は、代謝産物の少なくとも一部の蒸発に由来する。検出器とガスの代謝産物との接触は、光学的に検出可能なシグナルを発生する。検出は、体液と検出器との間の接触なしに行われる。実際、体液は、もし仮に後者が体液と接触するならば、検出器と相互作用し得る多くの分析物を含んでいる可能性が高い。それは、疑陽性結果を生じ得るであろう。従って、体液と検出器との間のいかなる接触をも防ぐことが有利であると分かり得る。さらに、接触の欠如は、検出器に含まれる物質による体液のいかなるコンタミネーションをも防ぐ。
【0022】
体液は、例えば、汗、血液、涙、膣分泌液、リンパ液、唾液、尿または個体若しくは動物の皮膚の創傷の浸出物であり得る。特に、体液は、個体または動物の皮膚の創傷からの浸出物にある。
【0023】
用語「分析物」としては、特に限定されないが、病原体および非病原体、酵素基質、抗体、抗原、タンパク質、ペプチド、細菌、ウイルス、原生動物、酵素、アミノ酸、脂質、糖、ホルモン、寄生体若しくは真菌、または体液の成分が挙げられる。尿素などの低分子を加えることもでき、用語低分子は、分子量が500g/モル未満である分子を示す。
【0024】
分析物は有利には細菌である。スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)などのスタフィロコッカスタイプのグラム陽性細菌またはシュードモナス・エルギノーサ(Psuedomonas aeruginosa)などのシュードモナスタイプのグラム陰性細菌およびエシェリキア・コリ(Escherichia coli)などのエシェリキアタイプの、いわゆる「インドール陽性」細菌が、非限定的に、および示唆として引用されている。
【0025】
ある科の細菌は、その増殖中に代謝産物を生産することができることでよく知られている。これらの代謝産物の一定数は、揮発性、すなわち、例えば、大気に接触すると蒸発する傾向を有する。従って、論文” Detection of volatile metabolites produced by bacterial growth in blood culture media by selected ion flow tube mass spectrometry (SIFT-MS)”, (Microbiol. Methods, 2006, 65, 361-365), Allardyce r.a. and al”では、ゴールデンスタフィロコッカ(golden staphilococca)の代謝中の代謝産物、特に、エタノール、アセトン、アセトアルデヒド、アンモニア、酢酸、ジメチルスルフィド、メタンチオール、硫化二水素、インドール、アミノアセトフェノン、トリメチルアミンおよびヘキサナールなどの代謝産物の生産が示されている。同様に、シュードモナス・エルギノーサ(Psuedomonas aeruginosa)がジメチルスルフィド、メタンチオールおよび硫化二水素を排出することが示されている。
【0026】
加えて、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、エアロモナス・ハイドロフィリア(Aeromonas hydrophilia)およびいくつかのシトロバクター属などのいわゆる「インドール陽性」細菌はまた、その増殖中に揮発性生産物でもあるインドールを産生することで知られる。
【0027】
細菌の代謝中に生産されるこれらの揮発性代謝産物の排出は、細菌の真のフィンガープリントまたはシグナチャーを構成しうる。揮発性代謝産物とは、ガス状態に変わり易いあらゆる代謝産物であると理解される。
【0028】
体液に存在する他の分析物は、例えば、酸化により、または細菌の若しくは酵素の作用のもとで分解され、1以上の揮発性代謝産物を放出し得る。例としては、汗に存在し、アンモニアと二酸化炭素に分解され得る尿素が引用され得る。
【0029】
分析物の代謝または分解により生じる揮発性代謝産物は、有利には、揮発性の有機化合物または「VOC」である。
【0030】
従って、分析物の代謝または分解により生じるガスの代謝産物を検出することにより、この代謝産物または代謝産物の組合せが分析物に特異的であるならば、分析物の存在を検出することができる。特定の検出器を用いることにより、同じファミリーの化合物、例えば、エタノールとメタノール、または、プトレシンとカダベリン、または、HSとCHSHの代謝産物を検出することもできる。
【0031】
ある特定の態様では、好ましい検出のために、検出方法の第一の工程は、体液を含む個体または動物の皮膚の領域の上方に検出器を含んでなる閉鎖要素を適用することにより、閉鎖空間を形成することにある。検出器は、好ましくは、体液を含む個体または動物の皮膚の領域の上方に配置される。
【0032】
閉鎖空間とは、閉鎖要素と個体または動物の皮膚の領域とにより区切られた空間であると理解される。他方、この言葉は、必ずしも、閉鎖要素と体液との間に空の空間が存在することを意味するものではない。閉鎖要素は、体液と接触し得る:従って、体液は検出器には接触しない。
【0033】
閉鎖要素は、あるガス種に対して少なくとも部分的に透過性であり得る。
【0034】
分析物の代謝または分化により生じる代謝産物の少なくとも一部は、閉鎖要素を皮膚に適用した後に徐々に蒸発する。蒸発しない代謝産物の一部は、溶解した形態で体液に残存する。ガスの形態の代謝産物の濃度の、液体の形態の同一の代謝産物の濃度に対する増加は、いくつかのパラメータ、特に、代謝産物の性質、閉鎖要素の寸法および体液の量に依存する。この濃度は、液相中の一つの種の濃度の、ガス相中のこの同じ種の濃度に対する比率を表現するヘンリーの法則に依存する。
【0035】
ガスの形態の代謝産物は、検出器に接触するまで閉鎖空間内を進む。
【0036】
検出器とガスの代謝産物との間の接触は、光学的に検出可能なシグナルを発生する。光学的に検出可能とは、いかなる知覚可能なシグナルでもあると理解され、光学的手段により直接または間接に観察され、読み取られ得る。接触中は、検出器とガスの代謝産物は互いに相互作用する。この相互作用は、検出器の光学特性の変化の原因である。
【0037】
検出器は、有利には、1以上の分析される代謝産物に特異的であり、すなわち、ガスの形態で存在する分析される代謝産物と接触すると、それは1以上の光学的に検出可能なシグナルを発生する。検出器は、有利には、質的および量的分析のために接触した代謝産物の量に比例したシグナルを発生する。
【0038】
検出器は、好ましくは、色素原検出器または蛍光原検出器から選択される。ガスの代謝産物と検出器との接触により誘発された相互作用は、発光または吸光スペクトルの変化を生じる。ガスの代謝産物と検出器との間の共有結合タイプの反応は、それが時間的に安定な少なくとも一つの共有結合を生成し、経時的な情報のいかなる消失をも防ぐことができるため、特別扱いされる。同様に、ガスの代謝産物と検出器との間の共有結合タイプの相互作用は、弱い結合、例えば、ワンデルワールスタイプの結合を作る場合よりもスペクトラムのより重要な変化を生じ、そのため検出器の感度を改善する。
【0039】
色素原検出器の場合は、ガスの代謝産物と検出器との接触は、検出器の少なくとも一部の色の変化を生じる。色素原検出器は、体液中の分析物の存在または非存在を裸眼で直接読み取ることの利点を有する。
【0040】
蛍光原検出器の場合は、ガスの代謝産物と検出器との接触は、検出器の少なくとも一部の蛍光発光を生じる。この場合、蛍光を励起する手段、特にUVランプなどの相応しい光源は、蛍光の放射を検出するために必要であり得る。
【0041】
特定の態様では、検出器は、代謝産物に感受性のプローブと支持体とを含んでなる。プローブとは、標的に対する結合の親和性を有するいかなる分子または物質でもあると理解される。プローブは、特に上記のような検出器の色素原または蛍光原特性の原因である。
【0042】
プローブは、標的を構成する代謝産物と相互作用する1以上の機能を有し、プローブは、代謝産物に一度結合すると、光学的に検出可能なシグナルを発生する。プローブは、好ましくは、不可逆的かつ選択的方法で、好ましくは、共有結合により、少なくとも1の代謝産物と反応する。プローブと代謝産物との反応は、有利には、吸収性または蛍光化合物を形成する。蛍光原検出器は、一般的により高感度の利点を有する。
【0043】
プローブは、揮発性代謝産物、または、特定の機能若しくは反応性を有する種類の代謝産物に特異的であり得る。標的と相互作用するプローブの能力は、標的を構成する代謝産物に依存する。当業者は、好適な検出器を得るために、検出する代謝産物に応じて、既知の方法により、用いる既知のプローブを決定することができ、合成の工程および/または支持体への挿入の工程および/または支持体上へのグラフトの工程を実施することができる。
【0044】
第一の例として、プローブは、ホルムアルデヒドなどの軽量のアルデヒドを空気中に存在する揮発性有機化合物(VOC)の形態で検出することで知られる化合物である、4−アミノペント−3−イン−2−オンであり得る。例として、4−アミノペント−3−イン−2−オンは、下記反応(1):
【化1】

に従ってホルムアルデヒドと反応する。得られた化合物3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロルチジンは蛍光性である。
【0045】
加えて、ジェームス試薬と呼ばれる化合物4(ジメチルアミノベンズアルデヒド)(「DMABA」という)およびコバック試薬と呼ばれる化合物4−ジメチルアミノシンナムアルデヒド(「DMACA」という)は、それぞれ下記反応(2)および(3):
【化2】

【化3】

に従って溶液中のインドールを検出することができる。標的のインドールとDMABAまたはDMACAタイプのプローブとの間の相互作用は、吸光産物であるアザフリベニウムクロライドを生じる。
【0046】
第二の例としては、プローブは、シュードモナス・エルギノーサ(Psuedomonas aeruginosa)の特異的揮発性有機化合物として知られる化合物2’−アミノアセトフェノンであり得る。2’−アミノアセトフェノンの検出は、フリードランダー反応により行われ得る。実際、化合物2’−アミノアセトフェノンは、触媒量の酢酸の存在下でシクロヘキサノンと反応し、下記反応(4):
【化4】

に従ってキノリンの誘導体を生成する。キノリンの誘導体、特に9−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロアクリジンは着色した分子である。
【0047】
この検出はまた、触媒量の酢酸の存在下でのベンズアルデヒドなどのアルデヒドへの2’−アミノアセトフェノンの縮合により行われ得る。得られた反応産物は、その後、安定化イミン、1−(2(ベンジリデンアミノ)フェニル)エタノン、すなわち、下記反応(5):
【化5】

に従って接合され、着色される。
【0048】
プローブは、いずれの既知の方法に従っても、例えば、支持体の構造に単純にトラップさせ、または吸着させることにより、支持体に取り込むことができる。プローブはまた、共有結合またはファンデルワールスタイプの結合、イオン結合、水素結合、静電気的結合若しくは供与結合などの弱い結合を実施する吸着により支持体に結合し得る。
【0049】
別法によれば、プローブは、特に揮発性代謝産物が着色している場合には、支持体そのものであり得る。支持体へのその吸着は、支持体の吸収スペクトルの変化を伴う。
【0050】
支持体は、有利には、検出結果の読み取りを容易とするため、透明または半透明である。
【0051】
支持体は、好ましくは、ガスの形態の代謝産物に対して透過性である。支持体は、有利には、支持体内で代謝産物のより良い拡散を可能とし、かつ、代謝産物とプローブとの接触を容易にするため、多孔性の支持体である。支持体の多孔性は、特に、様々なガス性代謝産物のサイズに応じた仕分けを確かなものとすることにより、検出器内のガス性の種の核酸を制御することができる。支持体の多孔性は、検出の感度において役割を果たし得るパラメータである。
【0052】
支持体は、有利には、ポリマーである。ポリマーとは、可溶性および不溶性ポリマー並びにコポリマーであると理解される。支持体は、有機ポリマーから選択され得る。例えば、支持体は、マクロ多孔性のポリスチレン樹脂などのマクロ多孔性樹脂であり得る。ポリマーは、好ましくは、既知の非毒性のおよび/または生体適合性のポリマーから選択される。
【0053】
それはまた、多孔性のオキシド、好ましくは、非金属のものであり、例えば、シリコンオキシドが挙げられる。
【0054】
特定の態様では、支持体は、ポリマー性の骨格を通してガスの形態の代謝産物の循環を可能とするため、多孔性ポリマーである。多孔性ポリマーの特定の表面は、プローブとガスの形態の代謝産物との間の相互作用の可能性を増加させるため、好ましくは、50m/g以上であり、好ましくは、500m/g以上であり、それにより検出の感度が改善される。
【0055】
プローブは、いかなる既知の方法に従って、例えば、ポリマーのポスト機能化または事前に機能化されたモノマーのコポリマー化により、共有結合により、支持体を形成するポリマーに結合し得る。
【0056】
他の特定の態様では、支持体は、ガス性化合物の強力な可溶化能を有するポリマーである。従って、支持体の役割に加えて、ポリマーは、ガス性代謝産物を吸収し、および/または保存することにも用いられ得る。従って、検出器と接触したガスの形態の代謝産物の少なくとも一部は、ポリマーに溶解し、それにより溶解された形態のプローブと反応し得る。
【0057】
ポリマーは、好ましくは、強力に水和されたポリマーなどのガスの良好な溶解能を有する既知のゲルポリマーから選択される。
【0058】
ポリマーは、例えば、アガロース、ヒドロゲル、アルギネート、ヒアルロン酸ゲル、ポリジメチルシロキサン、セルロース、ポリエチレングリコール、ポリ(ビニルアルコール)(「PVA」という)、ポリ(ポロピレンフマレート)、ポリ(アルファ−ヒドロキシエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリアンヒドライド、ポリ(フォスファゼン)、ポリ(ポロピレンフマレート)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(エチレンフマレート)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン(「PCL」という)、およびポリジオキサノン(「PDO」という)、ポリウレタン並びにカルボキシメチルセルロースから選択される。
【0059】
ゲルポリマーは、有利には、アルギネート、ヒドロゲル、コレステリルアンスラキノン−2−カルボキシレートおよびポリメチルシロキサンのゲルなどのシリコーンオイルを含むゲルポリマーおよびフッ化またはシリコーン有機ゲル、1,3:2,4−ジベンジリデン−ソルビトールおよびオクタメチルシクロテトラシロキサン、または、J. Loiseau et al. (Tetrahedron, 2002, 4049-4052)の刊行物に開示されたゲルなどの過フッ化鎖および過フッ化トリブチルアミンを有する芳香族ジアミドのゲルから選択される。
【0060】
図1〜5に示される好ましい態様では、閉鎖要素は、創傷被覆材1を含んでなる。特に、閉鎖要素は、創傷被覆材1であり得る。体液2は、好ましくは、皮膚4の創傷3に由来する浸出物からなる。創傷被覆材1は、閉鎖空間5を形成するために、体液2を含む個体または動物の皮膚4の領域に適用される。閉鎖空間5は、創傷被覆材1(図1の上部)および創傷被覆材1により覆われた個体または動物の皮膚4(図1の下部)により区切られている。創傷被覆材1は皮膚4と連動している。
【0061】
図1〜5に示されるように、上記検出方法を実施可能とする創傷被覆材1は、検出器6、個体または動物の皮膚4のための被覆面7および被覆面7と検出器6との間の保護手段8をと含んでなる。検出器6は、前記のように、特に色素原または蛍光原検出器である。
【0062】
より正確には、閉鎖空間5は、創傷被覆材1の被覆面7および被覆面7により被覆されている皮膚4の表面により区切られている。検出器6は、創傷被覆材1の中または上に位置し、揮発性ガスの形態の代謝産物と検出器6との接触を容易にするために、好ましくは、体液2の上方に配置される。
【0063】
保護手段8は、代謝産物に対して不活性であり、ガスの形態の代謝産物に対して透過性であり、かつ、体液2に対して非透過性である。保護手段8の存在は、体液2と検出器6との間のいかなる接触をも防ぐことを可能とする。保護手段8は、体液2が検出器6に到達するのを防ぐ物理的な障壁を構成する。保護手段8は、有利には、ガスの形態の代謝産物に対して透過性であり、かつ、体液2に対して非透過性である1以上の材料の少なくとも1層から形成される。有利には、保護手段8は、疎水性ポリマーの層、例えば、ポリウレタンの層からなり、このポリマーは本来疎水性である。
【0064】
図1に示される第一の特定の態様では、創傷被覆材1は、第一の創傷被覆材9、第二の創傷被覆材10および第一の創傷被覆材および第二の創傷被覆材、それぞれ9および10の境界面に位置する検出器6を含んでなる。図1に示されるように、創傷被覆材1は、第二の創傷被覆材10、検出器6および第一の創傷被覆材9(図1の上部から下部へ)を連続して含んでなる隣接した層の積み重ねから形成され得る。
【0065】
第一の創傷被覆材9は、通常は浸出物と接触し、または、潜在的に接触し得る。これは、網状薄絹、ビスコースガーゼ、綿、編まれたポリアミドの生地、ポリエステルのウェフトなどの織布または不織布、ポリウレタン、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、コラーゲンなどのポリマー若しくはゲルポリマー、ガーゼ、酢酸繊維素、ビスコース、不織布のシート、例えば、1枚のガーゼで包まれた活性化炭素から選択される材料から構成され得る。第一の創傷被覆材9は、親水性であり得る、1枚の織布および/または不織布綿ガーゼであり得る。1枚の織布および/または不織布綿ガーゼは、1枚の固められたガーゼを構成する。
【0066】
第一の創傷被覆材9は、以下の1以上の機能:体液2のポンピング、抗菌機能、水和、治癒、防臭を提供し得る。
【0067】
第二の創傷被覆材10は、主に本質的には保持機能を確かなものとする。第二の創傷被覆材10としては、既知のいかなる粘着帯または通常の創傷被覆材が挙げられる。第二の創傷被覆材10は、検出器6により放出されるシグナルの直接読み取りを可能とするために、有利には、透明または半透明である。従って、体液2中の1つまたはいくつかの分析物の存在又は欠如の読み取りは、皮膚4から創傷被覆材1を取り去ることなく行い得る。
【0068】
創傷被覆材は、通常、そのような第一の創傷被覆材9とそのような第二の創傷被覆材10とからなり、第一の創傷被覆材9および第二の創傷被覆材10の材料および機能は既に記載されている。
【0069】
この第一の態様では、検出器は、第一の創傷被覆材9に付属しており、保護手段は、体液2が検出器6の方に移動するのを防ぐ第一の創傷被覆材9の一部を形成する。
【0070】
続く態様では、検出器6は、第二の創傷被覆材10に付属し得るものであり、従って、保護手段は、第一の創傷被覆材9および/または第二の創傷被覆材10中に配置されていることが分かるであろう。
【0071】
検出器6が第一の創傷被覆材9の一部である場合は、第一の創傷被覆材9は、同じ材料で作られ、検出器6は、この材料の第一の疎水性部分に配置され、保護手段は、この材料の第二の親水性部分で作られ得ることが分かるであろう。
【0072】
示されていない別法では、第二の創傷被覆材10は、創傷被覆材1が皮膚4に適用されたときに検出器6の起こりうる色の変化を裸眼で可視化することができるために、検出器6と向かい合っておよび検出器6の上方に透明の窓を備える(図1の上部)。
【0073】
創傷被覆材1は、有利には、体液2に向かい合う検出面11を備えた検出器6、体液2に向かい合う被覆面7、および検出器6を体液2から隔離する保護手段8を含んでなる。
【0074】
図1に示されるように、保護手段8は、検出面11と被覆面7との間に配置され、体液2が検出器6の方に移動することを防ぐ物理的な障壁を構成するために、好ましくは、検出器6の下方におよび検出器6と向かい合って配置される。有利には、保護手段8は、第一の創傷被覆材9の中に統合される(図1)。
【0075】
図1に示されるように、被覆面7は、特に検出された体液2が創傷3からの浸出物である場合に、体液2と接触し得る。この場合、被覆面7は、好ましくは、創傷3が存在する皮膚4の領域を被覆する。
【0076】
検出器6、好ましくは、色素原または蛍光原検出器6は、上記のように体液2に含まれる分析物の代謝または分解により生じるガスの形態の少なくとも1の代謝産物と接触すると光学的に検出可能なシグナルを発生する。
【0077】
図1に示されるように、検出器6は、既知のいかなる方法、例えば、前述のように第一の創傷被覆材9、好ましくは布地のものにプローブを含むゲルポリマーを含浸させることにより、第一の創傷被覆材9に付着させた層からなる。例として,検出器6は、少なくとも、プローブとゲルポリマーとを混合し、その後、得られた混合物を創傷被覆材1の布地の第一の創傷被覆材9に付着させることにより作られ得る。第一の創傷被覆材9は、そこで固められ検出器6を形成するプローブ/ポリマー混合物で含浸する。
【0078】
創傷被覆材1はまた、マルチパラメトリックな検出、結果のより良い再現性およびより良い感度のための1以上の代謝産物に特異的な、同一のまたは異なる、いくつかの検出器6を含んでなる。
【0079】
図2に示される第二の特定の態様では、創傷被覆材1は、検出器6が検出面11を構成する第二の創傷被覆材10の面上に配置される事実を除けば、第一の特定の態様(図1)と同一である。この場合、第二の創傷被覆材10は、ガスの形態の代謝産物に対して少なくとも部分的に透過性でなくてはならない。
【0080】
図3に示される第三の特定の態様では、創傷被覆材1は、創傷被覆材1が第二の創傷被覆材10、検出器6、保護手段8および第二の創傷被覆材10を連続して含んでなる隣接する層の積み重ねからなる事実(図3の上部から下部へ)を除けば、第一の態様のそれ(図1)と同一である。検出器6は、保護手段8を構成する層上に配置されている。検出面11は、保護手段8の少なくとも一部と接触している。
【0081】
図4に示される第四の特定の態様では、創傷被覆材1は、被覆面7が有利には保護手段8から少なくとも部分的に構成されている事実を除けば、第一の態様のそれ(図1)と同一である。例として、保護手段8は、親水性ポリマー、例えば、既知のいかなる方法により親水性にされたポリウレタンの外層12、および、ポリウレタン(この材料は本来疎水性である)などの疎水性ポリマーの内層13により形成される。外層12は、個体または動物の皮膚4上の体液2と接触することが意図され、内層13は検出器6に向かい合って配置される。外層12の親水性の特性は、体液2との相互作用および創傷被覆材1の内部へのその含浸を容易にし、有利には、創傷被覆材1中で体液2を検出器6に近づけることを可能とする。内層13の疎水性の特性は、保護手段8を体液2に対して非透過性にし、体液2が検出器6の方に移動することを防ぐ。保護手段8は、例えば、内層13を構成するためのポリウレタン層からなる。ポリウレタン層13は、体液2が保護層を超えて第一の創傷被覆材9に進入するのを防ぐ物理的な障壁を形成することにより検出器6を保護するが、一方で、ガス種の拡散を可能とする。
【0082】
図5に示される第五の態様では、態様は、保護手段8が有利には第一の創傷被覆材9の裏張りの厚みにより形成される点で他の態様とは異なる。裏張りは、創傷被覆材1内での体液2の前進に対する物理的な障壁の役割を有し、検出器6を体液2から隔離する。織布ガーゼの一切れは、裏張りが古典的には織布ガーゼの連続層により形成される。第一の創傷被覆材9の裏張りの厚みは、体液2が創傷被覆材1内で検出器6への含浸の障害を構成する程度に重要でなければならない。裏張りは、検出器6の周辺で局所的に疎水性にされ得る。第一の創傷被覆材9は、有利には、1mm〜50mmの間の、好ましくは、1mm〜10mmの間の厚みを有する。
【0083】
他の例では、第一の創傷被覆材は、ポリウレタン、親水性にされたポリウレタンからなる保護手段、ポリウレタン(この材料は本来疎水性である)からなる、検出器を含む他の部分からなる。
【実施例】
【0084】
実施例1:多孔性ポリマーおよびポリマーの構造中にトラップされたプローブから形成される検出器6の作製
【0085】
300mgの4−(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド(DMABA)を10mLのメタノールに溶解させる。2mLの1M塩酸を震とうしながら溶液に添加する。
【0086】
1gのアガロースを震とうしながら80℃で20mLの水に溶解させる。溶解後、DMABAを含む溶液は、80℃でアガロース溶液に添加する。周辺温度(約25℃)に戻し、白っぽいゲルの形態の検出器6が得られる。
【0087】
実施例2:検出器6を含む創傷被覆材1の作製
刻印URGO Discretとして市販される創傷被覆材1をインドールの検出に用いる。この創傷被覆材1は、1枚の布地ガーゼを含む第一の創傷被覆材9と、接着性で透明は第二の創傷被覆材10とを含んでなる。
【0088】
実施例1に従って合成された10μLの検出器6の一滴を予め80℃に加熱し、その後、創傷被覆材1の布地の第一の創傷被覆材9上に付着させる。周辺温度に戻す間に、第一の創傷被覆材9の布地部分により吸収させた白っぽいゲルの層の形態の検出器6は隔離される。
【0089】
インドールの検出試験
図6および7に示されるように、インドール水溶液は10−1Mで調製される。1mLがウェルプレートなどの透明な容器14中に入れられる。実施例1で得られた創傷被覆材1は、検出器6を第一の創傷被覆材9の表面に含浸させて形成された層がインドール溶液に向かい合うように、その粘着部分によりウェルプレート14の蓋16の内壁15上に貼り付けられる。検出器6は、このインドール溶液とは接触していない。周辺温度での10分間の後に、検出器は、ピンクになり、ガスの形態に揮発したインドールと検出器6との反応を示す。
【0090】
実施例3:二つの検出器6を含む創傷被覆材1の作製
300mgの4(ジメチルアミノ)シンナムアルデヒドを、10mLのメタノールに溶解させた。2mLの1M塩酸を震とうしながら溶液に添加する。1gのアガロースを震とうしながら80℃で20mLの水に溶解させる。溶解後、DMACAを含む溶液を80℃でアガロース溶液に添加し、周辺温度に戻す前に、30μLの液滴をURGOにより市販される刻印URGO Discretの創傷被覆材1の布地の第一の創傷被覆材9上に付着させる。液滴は、その後、第一の創傷被覆材9の布地部分により吸収される。周辺温度に戻した後に、オレンジ色がかった茶色のゲル層の形態の検出器6が得られる。
【0091】
検出器6を創傷被覆材URGO Discretの同じ第一の創傷被覆材9上、しかし、異なる場所に付着させる以外は同じ手順をDMABAを用いて行う。周辺温度に戻した後に、オレンジ色がかった茶色のゲル層(検出器6 DMACA/アガロース)に隣接して白っぽいゲル(検出器6 DMABA/アガロース)の層の形態の検出器6が得られる。
【0092】
細菌の培養
LGC Standards社により市販される株エシェリキア・コリ(Escherichia coli)ATCC11775−インドール陽性(EC5という)のコロニーを震とうしながら4mLのLB培地で30℃で約15時間前培養する。寒天LBボックス上のコロニーを4mLのLB(×2つのチューブ)に懸濁し、震とうし、その後、30℃の温度で15時間静置する。
【0093】
同じ手法を、他の2つの株:LGC Standards社により市販されるハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)ATCC13337−インドール陰性(HA4という)およびLGC Standards社により市販されるシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)ATCC12633−インドール陰性(PP6という)を用いて行う。
【0094】
培地トリプトファン/寒天の調製
液体培地トリプトファン/寒天の調製は、3.2g/200mLのDEVトリプトファンブロス(FLUKA社製、31406)および3g/200mLの寒天(FLUKA社製、05039)を混合し、その後、121℃、2.2バールで混合物をオートクレーブで20分加熱することにより行う。
【0095】
培地は、液状のままオートクレーブから取り出され、すなわち、約60℃〜70℃の間の温度であり、ペトリディッシュ(FALCON 353001、ベクトンディキンソン社製、直径35×高さ10mm)内に直接注がれる。
【0096】
液体における培養
最も濃縮された、550nmのODが、
HA4:OD(1/5×)=0.16、すなわち、0.8の実際のOD;
EC5:OD(1/5×)=0.25、すなわち、1.25の実際のOD;
PP6:OD(1/5×)=0.29、すなわち、1.5の実際のOD
の前培養を伴うチューブ。
接種は、0.7のODで1/50の基準で、すなわち、1/70の接種(4mLのLBに対して60μLの前培養)で行った。培養開始時の温度は37℃であり、震とうは250rpmである。
2時間培養後、
HA4:OD(×1)=0.34、すなわち、1.35×10cfu/mL
EC5:OD(×1)=0.59、すなわち、1.40×10cfu/mL
PP6:OD(×1)=0.15、すなわち、5×10cfu/mL
が得られる。
【0097】
DEVトリプトファン/寒天のディッシュに接種するために、20μLの培養物、すなわち、ディッシュ当り1,000,000〜3,000,000cfuを白金耳を用いて塗る。
【0098】
インドールの検出試験
3枚のディッシュ14は、株EC5、HA4およびPP6を用いて調製した。実施例3に記載の創傷被覆材1は、検出器6、DMABA/アガロースおよびDMACA/アガロースが培地2に触れないように、それぞれEC5、HA4およびPP6を含むペトリディッシュ14の蓋16の内壁15に付着させ、その後、各ペトリディッシュ14を37℃の温度でインキュベートする。
【0099】
37℃の3時間の培養の後に、両方の検出器6の色の変化が得られる。EC5(インドール陽性)を含むディッシュ14中でのみ、DMACAを含む検出器6は、オレンジ色がかった茶色から緑に変化し、DMABAを含む検出器6は、白っぽい色からピンクに変化する。インドール陽性タイプの細菌の代謝により生じるインドールを検出する検出方法の効率は注目である。
【0100】
実施例4:シクロヘキサノンまたはベンズアルデヒドを含む多孔性ポリマーから形成される検出器6の作製
【0101】
2.3mLの式Si(OCを有するテトラエトキシシラン(TEOS)、0.6mLの水、3.6mLのエタノール、0.1mLの酢酸および1.2mLの分子プローブを構成するシクロヘキサノンまたはベンズアルデヒドを、丸薬機を用いて調製する。
【0102】
実施例5:実施例4による検出器6を含む創傷被覆材1の作製
ホモジェナイズ後、実施例4の溶液を実施例2のそれと同一の創傷被覆材1の第一の創傷被覆材9上に付着させる。布地のきれに溶液を吸収させた後に、創傷被覆材1を70℃で3時間加熱する。分子プローブを含む検出器6は、周辺の空気で乾燥させた後に、固形および多孔性の一層の形態で得られる。
【0103】
2’−アミノアセトフェノンの検出
2’−アミノアセトフェノンの水溶液を0.5Mで調製する。5mLを蓋付きのボトルに入れる。実施例5で得られた創傷被覆材1を、検出器6を含む第一の創傷被覆材9を2’−アミノアセトフェノンの溶液に向かい合うが、2’−アミノアセトフェノンの溶液に検出器6が接触させないように向けて蓋の内壁に貼り付ける。37℃で72分間の後に、検出器6は、分子プローブがシクロヘキサノンであれば黄色に、分子プローブがベンズアルデヒドであればオレンジ色になる。同一の手法に従って単純に比較ベースで3回の予備試験が行われた。得られた結果は、下記表の通りである。
【0104】
【表1】

ボトル2および4は2’−アミノアセトフェノンの存在を実際に検出するが予備試験は着色無しのままであった点に注意する。
【0105】
本発明は、単に例示のためである、実施例および特定の態様に限定されない。変化が特許請求された保護の枠組みの範囲内で可能であり、特に創傷被覆材1は、いくつかの層、特に親水性ポリマーまたは布地の層を含んでなり得、特に機械的な耐性を確保し、および/または、代謝産物の検出の条件を改善する。加えて、体液が汗の場合は、閉鎖要素は、創傷被覆材とは異なり得る。
【0106】
本発明の検出方法の終局は、体液中の1以上の分析物の存在または非存在を示すことである。検出方法は、分析される様々な分析物の感受性の識別力のある検出の利点を有する。方法は、高感度かつ疑陽性結果のリスクの低い、分析物の定性的かつ有利には定量的な分析を、特にシグナルを観察し、またはしないことにより可能とする。
【0107】
検出方法は、実施が簡単で、迅速で、かつ体液のいかなるコンタミネーションも防ぐ。実際、方法の実施を可能とする創傷被覆材は、体液と接触しない検出器を含み、結果として体液の組成を変化させない。特に、創傷に適用する創傷被覆材は、治癒を妨害せず、毒性または体液の着色の変化のいかなるリスクも防ぐ。加えて、検出方法により検出されるシグナルは、関連する中間結果を提供し得、創傷被覆材の交換の必要性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液(2)中の分析物の検出方法であって、
検出器(6)が、体液(2)を含む個体または動物の皮膚(4)の領域の上方に配置され、検出器(6)をガスの代謝産物に接触させて配置することにより、分析物の代謝または分解により生じた少なくとも1つの代謝産物がガスの形態でのみ検出され、前記ガスの代謝産物が前記代謝産物の少なくとも一部の蒸発に由来し、前記接触が光学的に検出可能なシグナルを発生し、検出が体液(2)と検出器(6)間の接触なしに行われる、方法。
【請求項2】
検出器(6)が色素原検出器および蛍光原検出器から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
閉鎖空間(5)が、体液(2)を含む個体または動物の皮膚(4)の領域上に、検出器(6)を含んでなる閉鎖要素を適用することにより形成された、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
閉鎖要素が創傷被覆材(1)を含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
体液(2)が、個体または動物の皮膚(4)の創傷(3)からの浸出物からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
検出器(6)が、代謝産物に感受性のプローブおよび支持体を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
プローブが、支持体に取り込まれている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
プローブが、支持体に共有結合で結合している、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
支持体が、ガスの形態の代謝産物に対して透過性である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
支持体が、透明であるか半透明である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
支持体がポリマーである、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ポリマーが多孔性であり、かつ、50m/g以上の特定の表面を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリマーが、アルギネート、ハイドロゲル、シリコーンオイルを含むゲルポリマーおよびフッ化ゲルポリマーから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法を実施するための創傷被覆材であって、
−ガスの形態の少なくとも1つの代謝産物と接触させると光学的に検出可能なシグナルを発生する色素原または蛍光原検出器(6)、
−個体または動物の皮膚(4)の被覆面(7)、および
−被覆面(7)と検出器(6)との間の保護手段(8)であって、前記手段(8)は代謝産物に対して不活性であり、ガスの形態の代謝産物に対して透過性であり、かつ体液(2)に対して非透過性である、保護手段(8)
を含んでなる、創傷被覆材。
【請求項15】
保護手段(8)が疎水性ポリマーを含んでなる、請求項14に記載の創傷被覆材。
【請求項16】
検出器(6)が代謝産物に感受性のプローブと支持体とを含んでなり、かつ、プローブが支持体に取り込まれている、請求項14または15に記載の創傷被覆材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−516203(P2013−516203A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546483(P2012−546483)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000882
【国際公開番号】WO2011/080427
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】