説明

体液採取促進手段

試料採取部位の皮膚表面に形成された切開口から体液試料を得るための構造体が、皮膚表面を突刺すための形状をした第1端部、およびその第1端部と連通する内部ルーメンとを有する少なくとも1つの皮膚突刺し部材と、少なくとも1つの皮膚突刺し部材と組み合わされた少なくとも1つのアクチュエータと、試料採取部位で体液を流出させるように構成された少なくとも1つの促進装置とを含み、内部ルーメンを通して体液を移送する間、少なくとも1つの皮膚突刺し部材を位置づけて切開口を塞いだ状態になるように、少なくとも1つのアクチュエータが構成される。これに関連する方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、促進手段の助成を得て体液を採取装置、構造体および方法に関するものである。或る実施形態において、本発明は、監視および体液採取を一体化した方法、監視装置および、指やその他の部位での体液採取と分析を可能にする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の説明において、或る構造体および/または方法を参照する。しかしながら以下の参照例は、それらの構造体および/または方法が従来技術であると認めているものと解釈してはならない。出願人はそのような構造体および/または方法を従来技術とは認めないことを立証する権利を明確に保有するものである。
【0003】
米国糖尿病協会(American Diabetes Association)によれば、糖尿病は米国内での死亡率5番目の病気で年間213000人を超える死亡者を数え、2002年の糖尿病の全経済費用は1320億ドルを超えると見積もられた。十大健康管理費用の中の1つが糖尿病応用その合併症に費やされている。発展I型小児糖尿病の危険は他の全ての小児慢性病よりも高い。1987年以来、糖尿病に起因する死亡数は45%上昇しており、これに対して心臓病、喫煙、癌に起因する死亡数は減少している。
【0004】
糖尿病の管理で極めて重要なことは、頻繁な血中ブドウ糖の監視である。現在のところ、患者自身による自己監視のための多数のシステムがある。血液試料のブドウ糖濃度分析のためのシステムのような大半の体液分析システムは、個別の突刺し装置、移送装置および定量装置のような多数の個別の要素を含む。それらのシステムは嵩が大きく、しばしば使用者を困惑させ、面倒なものにしている。それらのシステムは重要となる使用者の操作を必要とする。
【0005】
血中ブドウ糖の自己監視の分野における技術開発は、この試験実施のために十分量の血液を採取する技術的負担を使用者に負わせた。歴史的に見て、糖尿病患者はその試験実施のための血液を採取するために指先の切開(lance)を教えられた。皮肉にも、指は痛みに最も敏感な肉体部分であるばかりでなく、最も出血しやすい皮膚の部分でもある。初期形式の消費者向け自己監視製品は一般に数マイクロリットルもの多くの血液を必要としており、また指先は、血液必要量の採取に最も適した切開するのに都合のよい部分である。
【0006】
さらに近年、幾つかの自己監視システムは使用者に対して、掌、前腕または大腿のような他の部位で試験する選択肢を与えている。それらの部位は一般に切開による痛みに対してかなり鈍感であることは知られているが、それらの代替部位の採択は少なくとも4つの理由、すなわち、(1)現時点では代替部位での試験に関してFDAに承認されているのは僅かな計量製品にすぎない、(2)多くの試験実施者は装置を代替部位にて使用できることを知らない、(3)多くの試験実施者は試験遂行のために代替部位で十分量の血液を採取することが比較的困難なことを見出している、(4)計量装置の幾つかに関する医療文献にて公表されているデータは、特にブドウ糖のレベルが低下しているときおよび/または被験者が低血糖症である場合に、指に比べて代替部位で測定したブドウ糖レベルの間に明確な差異があることを示している、の4つの理由で制限されていた。この結果、代替部位で測定したブドウ糖レベルだけに基づいて行うならば、糖尿病患者による遅れたまたは不適正な処置の危険が増大すると医療社会で認識されている。したがって、指の切開部位が最も頻繁に使用される試験部位とされたままである。
【0007】
切開装置および槍状刀自体も過去数十年にわたり幾分進化されてきた。幾つかの切開機構は、(1)より真直な経路に沿って槍状刀を皮膚に突刺すように出し入れして、これにより痛みの刺激を生じる皮膚神経の刺激を軽減するか、または(2)使用者は痛みレベルと十分な量の血液の絞り出しとがバランスされるように切開装置に深さ制御を与えることで、痛みを比較的小さいものとしている。さらに、槍状刀の製造業者は各種槍状刀の寸法、長さ、および先端斜面パターンを提供しており、幾つかの会社は自社の槍状刀が他社の槍状刀よりも痛みが小さいことを主張している。
【0008】
明白なことは、指を切開する場合にはほとんど全ての試験者がその切開装置を下に置き、指先付近に圧力を加えて計量装置内の試験ストリップに十分な血液量を採取するようにしなければならないということである。従来の計量システムの多くの使用説明書は、使用者がこの「搾乳」処置を行うことを指示している。何故なら、それをしなければ多くの場合に必要量を自発的に採取することができないからである。出願人は、市販されて入手可能な試料採取システムおよび計量システムの使用におけるこの現象を観察した。最近の研究では、訓練を積んだ専門家が制御された状態の下に市販の入手可能な装置で最大深さの設定において16人のボランティアの糖尿病被験者の指先を切開するとき、その切開した部位のたったの15%しか正確なブドウ糖レベル測定のために必要十分な血液量を自発的に採取できなかった。
【0009】
過去において代替部位での試験方法の自動化へ向けた試みが行われた。特に、2000年代初期にメディセンスやしろにより提案されたソフタクト(Sof−Tact)(登録商標)システムは使用者の手を煩わす(介在させる)ことなく代替部位で試験を自動的に行う能力を有するが、それぞれの切開および試験の後毎にストリップを手で装置に装填されていた。この計量装置はもはや市販されていない。
【0010】
ソフタクト装置に似た装置が米国特許出願公報2004/0138588A1に記載されている。この装置はブドウ糖試験を実施するために必要な全ての機能を1つの装置に一体化させることを試みている。しかしながらこの装置は、やはり個々の試験実施に先立って使用者が槍状刀および試験ストリップを装填することを要求しており、十分な試料が切開口から絞り出されることを保証する促進手段(すなわち、切開で傷ついた部位を刺激し、または、血液の絞り出しを促進するための機構)について記載されていない。
【0011】
この装置は米国特許出願公報2005/0010134A1に記載されており、米国特許6793633B2は目標とする切開部分の周りに圧力を加えるためにばね、またはモーター被駆動機構を使用している。記載によれば、使用者は新しい槍状刀および試験ストリップ組立体を試験毎に挿入しなければならない。
【0012】
上述で引用したもののような従来構造体の他の欠点は、それらが複雑で、分析のために切開口から離れた箇所へ血液または体液を移送するために効率の悪い機構をしばしば伴うことである。例えば、多くの従来の構造体および機構は、皮膚表面に傷をつける中実の槍状刀を使用している。皮膚に突刺した後槍状刀は引抜かれ、血液または体液を移送するためにチューブのような別の部材が位置決めされる。これに代えて、吸収性の試験ストリップが手動または自動的な方法で所定位置に移動され、そのストリップが切開部位から血液または体液の試料を吸収するようにされる。これらの構造体および機構は過度に複雑であり、血液または体液試料の移送がチューブまたは試験ストリップの正確に位置に依存することは明白である。試料採取方法の自動化を探求するとき、この正確な位置決めはむしろ、狭い公差のもとで作動しなければならない複雑な機構構造体と制御とを必要とする。そのような複雑なシステムおよび構造体は高価となるか信頼性を無くすか、またはその両方となる。
【0013】
従来の試料採取装置および方法は、切開部位から十分量の血液を堅実に絞り出すために搾乳のように過度に使用者の手を煩わせるものであるか、または過度に複雑および/または信頼性に欠けるものである。
【0014】
さらに、多くの糖尿病患者が指から採取した血液で自身の血糖レベルを試験している一方で、別の部位での試験は、掌、前腕などで切開を行うときに大した痛みがないという利点を与える。したがって、指および代替部位の何れかで試料採取および/または試験を実施するように構成された自動化および完全に一体化された計量装置を有することが有利となるのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明によれば、従来システムおよび装置に関連する上述した欠点の1つ以上に対処した体液採取および監視装置および方法が提供される。本発明によれば、使用者の介在が重要とされることなく、指や他の部位での体液採取を可能にする改良された体液採取および監視装置および方法も提供される。
【0016】
本明細書で使用される用語「指」は指や足指を意味する。「指の体液」は、指や足指につけた切開口からの体液の絞り出しを意味し、指先の背側または掌側の切開部位を包含する。
【0017】
本明細書で使用される用語「代替部位」は、指以外の肉体部分、例えば掌、前腕または大腿を意味する。「代替部位での体液採取」は、指や足指以外の肉体表面の切開部位からの体液の絞り出しを意味し、掌、前腕および大腿の切開部位を包含する。
【0018】
本明細書で使用される用語「体液」は、血液、消化液およびその混合液の全てを包含する。
【0019】
本明細書で使用される用語「一体化された装置」または「一体化された計量装置」は、体液の試料採取、体液の移送、分析物質の定量、および体液試料に含まれる分析物質量の表示を実行するために必要な全ての構成要素を含む装置または計量装置を意味する。
【0020】
本明細書で使用される用語「塞がれた開口」は、形成した切開口から体液を抽出する前に針または皮膚突刺し部材が後退しないことを意味する。したがって、例えば、皮膚またはその直下の開口または切開部分は少なくとも部分的に皮膚突刺し部材または針によって塞がれた状態になされており、それらの部材は体液の抽出において皮膚表面またはその直下の切開口の入口部分に位置づけられる。本発明の、この特徴は、この分野における従来の知識に逆行するものと考える。例えば、米国特許第6063039号を参照されたい。
【課題を解決するための手段】
【0021】
一観点によれば、本発明は、試料採取部位における皮膚表面に形成した切開口から体液採取構造体に関するものであり、この構造体は、皮膚表面に突刺すための第1端部構造を有する少なくとも1つの皮膚貫通部材と、第1端部と連通した内部ルーメンと、少なくとも1つの皮膚貫通付部材と作動的に組合わされた少なくとも1つのアクチュエータと、試料採取部位で体液の抜取りを向上させるように構成された少なくとも1つ促進手段とを含み、この少なくとも1つのアクチュエータは、内部ルーメンを通して体液が移送される間、切開口を塞いだ状態となるように少なくとも1つの皮膚突刺し部材を位置づけるように構成される。
【0022】
別の観点によれば、本発明は試料採取部位の皮膚表面に形成された切開口から体液採取方法に関するものであり、この方法は試験シーケンスを自動または手動で開始すること、試料採取部位に促進手段を取付けること、皮膚表面を通して皮膚貫通部材を挿入して切開口を形成するように、皮膚貫通部材を作動させること、少なくとも1つの皮膚貫通部材が切開口を塞いだ状態にすること、および皮膚貫通部材の内部ルーメンを通して体液を移送することを含み、促進手段は以下の時点、すなわち皮膚貫通部材を作動させる前、皮膚貫通部材を作動させる間、または皮膚貫通部材を作動させた後の1つ以上において試料採取部位に取付けられる。
【0023】
以下の好ましい実施例の説明は、添付図面と関連させて読むことができ、添付図面では同じ符号は同じ部材を示している。
【実施例1】
【0024】
本発明の第1の特徴によれば、指または代替部位から信頼性を有して体液を絞り出す構造体と技術が提供される。例えば、本発明によれば、分析物質(例えばブドウ糖、ビリルビン、アルコール、管理された物質、トキシン、ホルモン、プロテインなど)の量を同定するため、分析遂行に十分な量の体液を堅実且つ信頼性を有して絞り出す構造体と方法が提供される。
【0025】
上述形式の構造体10の一実施例が図1〜図4に示されている。そこに示されるように、構造体10はハウジング12を含む。ハウジング12は何れかの適当な形状および構造を有することができ、図示形状および構造に限定されるものではない。ハウジング12は何れかの適当材料で構成することができる。例えば、ハウジング12はポリマー材または金属材料で構成できる。
【0026】
構造体10は試料採取部位にて血液または体液の流出を増大させることで試料獲得処理を助成する促進手段を含む。幾つかの促進手段の少なくとも1つが使用され、または本発明の構造体に含まれる。可能とされる促進手段は、切開速度、熱、圧力、真空度、振動、および局部薬品(血管拡張剤を含み、切開部位で獲得できる血液または体液を増大させる)を含む。これらの促進手段は切開の前、最中、後、またはそれら3つのうちの幾つかまたは全ての組合わせにおいて適用され、含まれる分析物質(例えばブドウ糖)の濃度を決定するために十分量の体液の絞り出しを容易にする。
【0027】
切開速度は皮膚突刺し部材が駆動される速さを表す。0〜22m/秒の速度範囲が可能である。痛みと血液採取の両方が速度の増大とともに増大する。痛みと血液とのバランスをとる試みが約3〜20m/秒、3〜10m/秒、または10〜12m/秒の好ましい範囲をもたらした。
【0028】
圧力は、他の可能な促進手段である。多くの可能な技術によって受承部材(フットプリント)の接触圧力を変化させることができる。そのような1つの技術は、受承部材の開口の寸法を変化させることである。他の形態の圧力促進手段は、試料を獲得すべき指または他の肉体部分を円周方向に取囲んで絞る圧力付与部材の形態とされることができる。この形態の促進手段の1つの図示例は、「体液監視および試料採取装置および方法」と題する米国特許出願11/510784に記載された形式の圧力付与カフス状部材であり、その記載内容を本明細書の記載として援用する。前記圧力促進手段は単独で、または真空圧力のような他の促進手段と組合わせて使用できる。
【0029】
熱は他の選択的な促進手段である。切開部位の皮膚温度を高めることになる熱の増大は、血液採取量を増大させる。熱の可能な実行はIR灯、または皮膚を暖める抵抗部材を含む。
【0030】
他の促進手段は真空圧である。或る実施例によれば、軽度の真空(例えば3〜8inHg(=101〜271HPa))が切開の前、最中、および/または、後に切開部位に加えられる。切開部位に真空圧を付与する幾つかの実施例が考えられる。実施例は真空圧を付与するためにモーター被駆動ポンプを使用する。代替実施例は真空圧の付与に個別のパッケージされた真空室を使用するか、真空圧の付与に硬質注射器状機構の使用を含む。他のシステムはモーター被駆動ポンプおよび注射器を使用する。
【0031】
本発明の原理によれば、1つ以上の前記促進手段を、互いに組合わせて、同時または順次、使用可能である。
【0032】
構造体10の或る特別な実施例においては促進装置14が含まれ、これは体液試料を絞り出すべき部分(すなわち、試料採取部位28)に近い位置に位置づけられた、皮膚表面Sに圧力を加えるための多数または組合わされた部材を含む。促進装置14は、体液試料を絞り出すべき皮膚部分が血液および/または体液を流出させるようになす。この影響は、切開口30から体液を絞り出し易くする。図示実施例によれば、促進装置14は図示ポンプ16および関係する制御装置18のような部材または部材の組合わせを含む。
【0033】
構造体10はさらに、ハウジング12に取付けられた受承部材20を含む。図示実施例によれば、指Dが試料採取部位にて受承部材20上に置かれる。しかしながら、受承部材は代替部位の皮膚表面に対しても適用できることを理解すべきである。受承部材20は中央開口を有し、選択的に環状をした形状とされる。しかしながら、受承部材はこの形状および構造に限定されるものではない。多くの形状または構造で体液を絞り出すべき部位の周囲に受承部材を形成する機能を満たすことができる。受承部材は何れかの適当な直径または長寸法21をした過去を有することができる。図示例によれば、このむ直径または長寸法は少なくとも約3〜8mmである。或る実施例によれば、受承部材20は指Dおよび受承部材20の間のシール形成を容易にする。例えば、この目的に関して適当とされる材料は、比較的柔軟なシリコーン・ゴムのようなエラストマー材を含む。
【0034】
構造体10はさらに、少なくとも1つの皮膚突刺し部材22を含む。少なくとも1つの皮膚突刺し部材22は何れの適当な形状をとることができる。例えば、その少なくとも1つの無皮膚突刺し部材は中実槍状刀または中空針を含むことができる。従来構造体は、皮膚表面へ血液試料を抜出すため、およびその試料を反応室へ移送するためにしばしば別個の機構を必要とする。本発明の装置は、中空針の形態の皮膚突刺し部材を使用し、試料を獲得して移送するという両方に使用でき、これにより構造体10を格段に簡単化し、その効率を改良する。
【0035】
選択可能な一実施例によれば、皮膚突刺し部材22(単数または複数)は、いわゆる「マイクロ針」の形態とされることができる。名前が暗示するように、マイクロ針は比較的小さな外径を特徴とする。例えば、本明細書でその用語が使用されるように、マイクロ針は40〜200μm程度の外径を有する皮膚突刺し部材を包含する。内径は変化され、例えば、25〜160μm程度の内径を有する。針はまた「ゲージ」を引用することでこの分野で特徴づけることができる。例を挙げれば、また、前記説明と矛盾なく、26〜36ゲージのマイクロ針は本発明に明らかに含まれる。特に、寸法が小さいことから、皮膚に突刺されて残る切開口の寸法は比較的小さく、したがって針の突刺しによる痛みは最小限となり、素早い治癒が可能になる。しかしながら、本発明はそのようなマイクロ針の使用に限定されるものではない。したがって、例えば、1つの可能な代替実施例によれば、皮膚突刺し部材(単数または複数)は約20〜25ゲージの中空針を含み、または約0.178mm(約0.007インチ)の内径および約0.508mm(約0.020インチ)の外径を有する中空針を含む。
【0036】
この少なくとも1つの皮膚突刺し部材22は、金属、プラスチック、ガラスなどの何れかの適当材料で形成することができる。選択的に、少なくとも1つの皮膚突刺し部材はハブ24に取付けることができる。さらに他の代替実施例においては、ハブ24は当業者に周知のように目標分析物質との反応で色が変化する試薬を含む検定パッド34を含むことができる。例えば図2に示されるように、皮膚突刺し部材22およびハブ24は室25内に配置される。室25はポンプ16と連通し、真空圧が室25に付与できるようになされる。構造体10は複数の皮膚突刺し部材22を含むことができる。或る実施例によれば、複数の皮膚突刺し部材22は交換可能なカートリッジの形態で備えられる。少なくとも1つの皮膚突刺し部材22および/またはハブ24は作動部材26に取付けられる。作動部材26は何れかの適当な形状とすることができる。例えば、作動部材26は機械的、電気的、または空気圧式部材を含むことができる。図示実施例によれば、作動部材26は機械的ばねの形態、さらに詳しくは捩りばねの形態とされる。
【0037】
本発明の或る実施例によれば、促進装置14は自動または半自動で作動する。例えば、使用者は受承部材20を指Dまたは1つの代替部位の皮膚表面上に位置させる。使用者が体液採取の用意ができたとき、ボタンBが押される。これにより、装置のプログラムされた作動シーケンスを開始できる。このシーケンスには促進装置14の作動が含まれ、これにより予め定めた時間につき指Dまたは代替試料採取部位(図3)の領域付近の面積範囲の皮膚に対して真空圧が加えられる。皮膚突刺し部材22はその後皮膚に突刺されることができる(図4)。所定の時間で促進装置14は消勢される。この作動態様は「半自動」として特徴づけられることができ、作動シーケンスは使用者がボタンBを押すことで手動で開始されねばならない。
【0038】
1つの代替例によれば、作動態様は完全自動にすることができる。例えば、使用者は指Dの先端領域を受承部材20の上に置くか、その受承部材を代替部位の上に置く。構造体10は、受承部材が適正に位置決めされて試料採取手順を開始する用意が整ったことを検出して確認する1つ以上のセンサー27を備えることができる。この状態が検出されたならば、装置は自動的に促進装置14を作動させ、促進装置14は試料採取部位28(図3)の皮膚に所定時間にわたって働く。その後、少なくとも1つの皮膚突刺し部材22が皮膚に突刺される(図4)。引続く所定の時間において、促進装置14は消勢される。促進装置は皮膚突刺し部材が皮膚に突刺される前、最中または後に消勢可能である。
【0039】
構造体10は装置の少なくとも一部を形成し、体液の試料採取のみの機能を果たす。例えば、構造体10は、使用者の皮膚表面上に溜まる血液の滴の形態で皮膚から体液を絞り出すために使用できる。この血液の滴はその後他の別の装置へ移送され、この装置はその後移送および/または試料の目標分析物質に関する分析を行う。これに代えて、構造体10は皮膚から体液試料を絞り出した後、その試料を別の装置でさらに分析するためにアクセスできる位置へ移送する。例えば、試料体液は構造体10に含まれている試薬含有パッド34へ移送される。この試料はその後試薬と反応して検出可能なスポットまたは信号を発生する。試薬パッドはその後光化学、電気化学、または当業者に公知の他の適当な技術を使用して別の計量装置によって分析されることができる。試薬パッドは前記分析が行われる間、構造体10内に保持されることができる。代替実施例によれば、検定パッド34は構造体10の一部を形成している検出装置36で分析されることができる。これに代えて、試薬パッドは構造体10から取外され、電気化学または光化学式の計量装置のような別個の装置に挿入できる。
【0040】
例えば、図4に示されるように、本発明の、この選択可能な特徴によれば、皮膚を突刺す形状をした第1端部22eと内部ルーメン22lとを有する針の形態をした皮膚突刺し部材22が皮膚に突刺されて、体液32、好ましくは血液の試料を採取するための切開口30を形成する。針は直ぐに引抜かれず、それに代えて皮膚表面に形成された切開口30を塞いだ状態になされる。その後血液または体液32が抜出され、針の内部ルーメン22lを通して流されて、最終的にはさらに分析されるように構造体10内の部分へ移送される。血液または体液32は内部ルーメンを通して毛細管作用、真空圧またはその両方の組合わせのような何れかの適当な機構により抜出される。針22は本明細書に記載された何れかの機構を経て所望の箇所に留まることができる。皮膚突刺し部材22は最終的に引抜かれる(例えば図2を参照)。適当量の試料が前記構造体/機構により、特に真空圧促進手段を使用したときに抜出せることが驚きをもって観察された。この構造体および技術は、皮膚突刺し部材22が切開口の形成および試料移送に使用できるので有利である。開口を閉ざさない位置に移送部材または検定パッドを再位置決めするための複雑な機構および構造体は回避できる。塞がれた状態の開口試料採取の別の利点は、必要とされる試料量の減少を実現すること、および適当量の試料を獲得できる信頼性を向上させることである。針が切開口を塞いだ状態となるように位置されるとき、針端部は体液供給源に接近されており、したがって小さな試料の滴は針の内部ルーメンにいっそう到達しやすくなり、針が皮膚に係止されているときに確実に移送される。対照的に、従来構造体および技術におけるように針が皮膚表面から引抜かれてしまう場合、血液または体液の粒滴が針およびルーメンの端部に触れるにはかなり大きい/高い粒滴とならなければならず、このために十分な量の試料を獲得することはできないという危険性が生じることになる。
【0041】
図5に示されるように、各個の皮膚突刺し部材22は自身の作動部材または捩りばね26を備えている。捩りばね部材26は使用者に対して予めセット位置(pre−cocked position)に準備される。皮膚突刺し部材すなわち針22の加速路は使用者の皮膚Sに衝突する角度から180度の近くで始まる。1つの有利な特徴によれば、捩りばね部材の枢動点は皮膚表面Sの上に位置する平面にできるだけ接近させて備えられ、これにより皮膚突刺し部材22ができるだけ90度に近い角度で皮膚に当たることを保証できるようにされる。捩りばね部材26は皮膚突刺し部材すなわち針22のガイドとして機能し、皮膚突刺し部材すなわち針22の先端22eが切開口30を塞いでその内部ルーメン22lへ血液32を抜出せるように位置づけることができる。これに関して、捩りばね部材26は、その中立状態Roが、皮膚突刺し作用により形成された切開口30を塞ぐべく針を位置づけるように設計されている。
【0042】
本発明の、この選択可能な特徴による別の利点は、捩りばね部材26が皮膚突刺し部材22の突刺し深さを制限するための積極的な止め部材を必要としないことである。硬質止め部材のないことは或る有益な効果をもたらすことが認められた。すなわち、硬質止め部材を含む装置は、その止め部材が当たったときに衝撃を与え、その結果として振動および/または揺れの作用を生じることが認められた。この動きは、見ることのできる傷および/または試料採取に伴って感知される痛みを大きしてしまうと理由づけられる。この実施例によれば、皮膚突刺し部材22の突刺し深さは多くの要因により決定され、その要因には鋭さ、作用力、および選んだ試料採取部位における突刺しに対する皮膚の抵抗が含まれる。臨床研究によれば、積極的な止め部材のないことが痛みを増大するとは認められていない。
【0043】
上述した何れの構造体とも関連させて使用できる例示的な体液採取方法または技術が以下に説明されるが、それに限定する必要はない。
【0044】
受承部材が指または代替部位において位置決めした試料採取部位の上に置かれる。この受承部材は内側に開口を有し、これが試料採取部位を定める。この後、手順が開始される。手順は手操作により、例えばボタンを押すか他の開始機構によって開始することができる。これに代えて、例えば、受承部材が皮膚表面の試料採取部位上に的確に位置決めされたことを判定するセンサーを使用することで、自動的に開始させることができる。促進手段がその後に試料採取部位に適用される。促進手段は切開速度、熱、圧力、真空圧、振動、局所用薬品、またはそれらの組合せの1つ以上を含む。それらの促進手段は互いに同時または順次に適用できる。一実施例によれば、真空圧の形式の促進手段が真空圧を発生できるポンプのような適当な機構により試料採取部位に真空圧が付与される。促進手段は設定した時間にわたって適用され、その後取外されて終了される。例えば、促進手段は皮膚に対する突刺しの前、最中または後に取外すことができる。次に、少なくとも1つの皮膚突刺し部材が皮膚表面内へ付勢すなわち挿入作動される。この皮膚突刺し部材は、中実槍状刀または中空針(例えばマイクロ針)のような何れの適当な形態をとることができる。一実施例によれば、少なくとも1つの皮膚突刺し部材は皮膚表面に挿し込まれる形状の第1端部および内部ルーメンを有する中空針を含む。この少なくとも1つの皮膚突刺し部材は機械的ばねのような何れかの適当な機構によって作動することができる。1つの任意の実施例によれば、この作動機構は捩りばねを含む。この1つの皮膚突刺し部材は切開口を塞いだ状態にするために、切開付近の皮膚表面またはその下側に留まるようになされる。皮膚突刺し部材は何れの適当な機構によってもその部分に留まるようにすることができる。一実施例によれば、アクチュエータは、少なくとも1つの皮膚突刺し部材の第1端部を皮膚表面に突刺した後に切開口内を塞いだ状態にするために使用できる係止部分を有する捩りばねの形態で備えられる。少なくとも1つの皮膚突刺し部材が切開口内に留められる時間にわたり、体液は適当な機構により切開部位から移送される。一実施例によれば、体液、または血液は、中空皮膚突刺し部材の内部ルーメンを経て毛細管現象、真空圧または両者の組合せによって移送される。本発明の1つの任意の実施例によれば、取得する試料容積を推定し、その判断した試料容積を目標試料容積と比べる機構を備えることができる。この分析で獲得した情報は、目標試料容積が採取されたならば促進手段が自動的に取外されるように、促進手段を制御するために使用できる。採取試料容積を分析するために何れの適当な機構も使用することができる。例えば、体液は化学試薬を含浸された検定パッドへ移送される。体液に曝すことで内部に含まれる目標分析物質は化学反応を生じて検定パッドの色変化を生じる。この色変化は適当な検出部材によって検出できる。1つのそのような検出部材は、検定パッドの色度光学分析を使用する。さらに詳しくは、そのような検出部材アレーを検定パッドの長手方向の長さに沿って備えることができる。検定パッドの長さに沿って備えられる試料の存在を検出する検出部材の個数は、採取された試料容積に関連する。例えば、検定パッドの長さに沿って試料容積が長く移動するほど、採取された試料容積は多い。目標試料容積が採取されたと判断されたならば、促進手段を終了させることができる。これは、ポンプと信号を伝達し合う制御装置を使用することで達成できる。この制御装置は上述したように試料容積の分析で導き出された信号に基づいて作動する。促進手段の適用を積極的に制御するために容積を監視することの幾つかの利点は、過剰な血液または体液の絞り出しの減少、これによる採取量の減少、長い時間促進手段を適用することによる皮膚の損傷(挫傷など)の防止、および電力消費量の減少を含む。
【0045】
本発明のさらに別の選択可能な特徴によれば、上述した構造体および方法は一体化した装置または一体化した計量装置の少なくとも一部分を形成できる。既に述べたように、本明細書で使用する用語の「一体化された装置」または「一体化された計量装置」は、体液の試料採取、体液の移送、分析物質の定量、および体液試料に含まれる分析物質量の表示を遂行するために必要な全ての構成要素を含む装置または計量装置を意味する。したがって、本発明の原理によれば、一体化された装置または計量装置は本明細書に既に記載した特徴の1つ以上、または、何れかの組合せを含むことができる。本発明のさらに別の特徴によれば、一体化された計量装置または装置は、本明細書に特に記載したそれらの部材に加えて、構成部材および/または特徴を含むことができる。
【0046】
例示の一体化された計量装置は図6〜図10に詳細に示されている。図示したように、一体化された計量装置100はハウジング112と促進装置114(例えば図10)を一般に含む。促進装置114は何れかの適当な形態をしており、既に説明した代替促進装置の何れかを含むことができる。一体化された計量装置100は既に説明した形式の受承部材120を更に含む。扉123をハウジング112に備えることができる。扉123はヒンジ125を介してハウジング112に連結されている。以下にさらに詳細に説明するように、扉123は複数の皮膚突刺し部材122を含むカートリッジ131を現すために開くことができる。図示実施例において、一体化された計量装置100は、試料体液中の分析物質の存在および/またはその濃度に関する分析結果を知らせるためのディスプレイ127を更に含む。一体化された計量装置100は、その各種機能およびインターフェースを係合させるために使用者が押すことのできる1つ以上のボタン129を更に含む。
【0047】
図7は例示の一体化された計量装置100の内部構成要素をさらに詳細に示すために扉123が開かれた状態の一体化された計量装置100の図面である。そこに示されているように、ハウジング112はカートリッジ131を内蔵する。図示実施例においては、カートリッジ131は円形であり、さらに説明するように複数の皮膚突刺し部材を含む。したがって、試料採取では皮膚突刺し部材22は受承部材120と整合したハウジングの開口を通して挿入されて、使用者の皮膚を突刺す。試験が終了したならば、カートリッジ131は回転されて未使用の皮膚突刺し部材がハウジングの開口および受承部材120の対応する開口に整合するようになされ、これにより次の試料採取の実施に備えられる。本発明は図面で示される特定形状を有する図示した円形カートリッジに限定されないことを理解すべきである。逆に、多数の代替のカートリッジ形状が可能であり、例えば、スライド可能な直線形または多角形(図示せず)が可能である。図7にはまた、扉123の後部に配置された光源の存在が示されている。この光源139発光ダイオードのような何れかの適当な形態とすることができる。代替光源も使用できることを理解すべきである。光源139の機能は以下にさらに詳細に説明される。
【0048】
光学組立体135、光源139、および交換式カートリッジ131のさらに詳細が図8〜図9に示されている。そこに図示するように、交換式カートリッジ131は複数の体液の採取・分析部位132を定める複数の構成要素を一般に含む。各々の試料採取分析部位132には皮膚突刺し部材122が含まれている。各皮膚突刺し部材122は何れの適当な形状をとることもできる。図示実施例によれば、各皮膚突刺し部材122は中空針の形態をしている。本発明の原理と矛盾しない代替皮膚突刺し部材(例えば中実槍状刀など)も使用できることを理解すべきであり、各皮膚突刺し部材は針ハブ124に取付けることができる。さらに各針ハブ124は作動部材126に取付けられる。多くの異なる作動部材が本発明の原理により使用できることを理解すべきである。作動部材は機械式、電気式、空気圧式などとすることができる。図示実施例によれば、作動部材126は捩りばね形状であり、また、既に本明細書で説明した構成と特徴を有することができる。起動時には、捩りばねが、針ハブ124と、取着された皮膚突刺し部材122を、受承部材120の上に置かれた使用者の皮膚に向けて駆動する。或る実施例によれば、試料採取分析部位132の各々は、皮膚から絞り出された体液試料に含まれる目標分析物質と接触したときに検出できる信号を発生する信号伝達機構を更に含む。適当な機構の個数は想定できる。これらの機構は測光分析または電気化学分析のような技術に基づく機構とされ得る。図示実施例によれば、各針ハブ124は試薬パッド129を含み、これは一般に化学試薬を含む吸収性材料を含み、それらの試薬は目標分析物質と反応して化学反応を生じ、これが検出できる信号をもたらす。試薬パッド129は皮膚突刺し部材122の内部ルーメンと流体連通されている。上述したように、この信号は光学的、電気化学的、または他の適当な手段によって検出できる。一実施例によれば、試薬パッド129は目標分析物質と反応してスポットを生じ、そのスポットは当業者に公知の方法で光学組立体135により光学的に検出される。前記反応で生じたスポットは、図示カートリッジ131の内側領域に沿って形成された窓143を通して光学組立体135により光学的に観察できる。これに関して、光源139から発した光は試薬パッド129に入射し、その表面で反射される。試薬パッド129の表面上に反応スポットが形成されることにより、反応スポットから反射する光量は、そのような反応スポットの形成されていない試薬パッド129の別の部分から反射する光とは異なる。この反射光は光学組立体に取込まれ、まずレンズ137(図7)を通り、最終的に光学的検出部材142(図9)に入射する。
【0049】
光学的検出部材142は、一般に1つ以上の検出部材を含む。1つの代替構造によれば、検出部材142は配列された複数の検出部材を含む。この配列は、適当な形状であってよく、また、1つの限定する意図のない例によれば、直線状配列、または、或る領域に亘る配列であってよい。検出部材は、適当な構成にすることができる。例えば、検出部材142は、光ダイオード、CCD、または検出部材を基にしたCMOSを含む。検出部材142に伝達された信号は、可撓性リボン141のような適当な電気コネクターを経てハウジング112(例えば図10を参照)内に含まれる適当な電子機器に送られる。この電子機器および信号解読の詳細は当業者には馴染みが深い。現在特許請求している発明の実施を可能にするために必要ではないが、構造、機能および光学組立体135の配置、およびそれらに含まれる構成要素に関する詳細は、ヘマトクリット法/容積修正およびフィードバック制御法による分析物質検出装置および方法と題する米国特許出願第11/239122号に含まれる開示から寄せ集めることができ、その記載内容を本明細書の記載として援用する。
【0050】
一体化された計量装置100の付加構成要素が図10に示されている。図10に示されているのは、後部パネルが取外されて前記付加構成要素を現した一体化された計量装置100の図面である。例えば、図10に示されるように、一体化された計量装置100は複数のローラー147を更に含み、これらのローラーはカートリッジ131およびモーター駆動装置149と協働してカートリッジ131をハブ133の回りに回転できるようにさせ、また分析部位132を受承部材120に割り出す。一体化された計量装置100はまた圧力ポンプ151を含む促進装置114を含んでおり、或る実施例によれば、この圧力ポンプは受承部材120上に位置された皮膚表面に少なくとも負圧または真空圧を発生させることのできるポンプを含む。一体化された計量装置100は、図示実施例の回路基板153に具現されているような適当な電子機器を更に含む。この回路基板は、ポンプ151を含む望ましい方法で一体化された計量装置100の各種機能を制御することのできる通常の電子構成要素を含むことが好ましい。回路基板153およびそこに配置された電子構成要素の特徴は当業者に公知である。一体化された計量装置100は、図示はバッテリーのような適当な電源155を更に含む。
【0051】
図6〜図10から明白なように、一体化された計量装置100は手持ち操作できるように構成されている。しかしながら、本発明は手持ち装置に限定されない。例えば、本発明は着用できる一体化された計量装置にも関する。そのような着用できる装置の一例が図11に示されている。図示した着用できる一体化された計量装置200は、一般に機能部分202と身体に対する取付け部分204とを含む。機能部分は図示形式の構造体10を含むことができる。この機能部分は上述した手持ち式の一体化された計量装置の1つ以上の特徴および部材を有することができる。
【0052】
本発明のさらに別の特徴によれば、指からの体液採取・分析、ならびに代替部位からの体液採取・分析の両方を可能にし、使用者の選択によって遂行できる改良された装置および技術が提供される。以下の説明において、本明細書に記載される一体化された計量装置はこれまで説明してきた実施例にない特徴および/または作動態様の何れかを有することを理解すべきである。例えば、本発明の構造体を組入れた一体化された計量装置は、使用者の選択により指ならびに代替部位での使用を容易にできる特徴を含む。そのような特徴は、体液監視および試料採取の装置および方法と題する米国特許出願第11/510784号に記載されており、その記載内容を本明細書の記載として援用する。
【0053】
上述した促進装置または一体化された計量装置の何れかと関連させて使用できるがそれに限定する意図のない例示した体液採取・分析方法または技術が以下に説明される。
【0054】
使用者は複数の皮膚突刺し部材を収容した新品の使い捨てカートリッジおよび分析部位を一体化された計量装置にセットする。その後、一体化された計量装置はカートリッジに含まれる較正データを読取る。このデータは何れかの適当な方法で読取ることができる。例えば、計量装置に含まれる光学組立体で光学的に読取ることのできるバーコードをカートリッジ上に備えることができる。次に、一体化された計量装置は較正データを考慮して集合(aggregate)ブドウ糖測定値を計算するために適当な表またはアルゴリズムを選定する。その後、計量装置は自体が試料採取および試験の開始指示を待つ待機モードに準備される。その後、使用者は手でボタンまたは引き金を押して試料採取・分析を開始させるか、または装置が使用者の皮膚上に適正に位置決めされて試料採取および試験手順の開始の準備がなされていることを装置が確認する。これを達成するために適当なセンサーは光学式、容量式または圧力式センサーを含む。装置はその後体液の絞り出しを容易にするように作用する促進手段の作用を開始させる。これに代えて、促進手段は試料採取部位に吸引力を発生させる負圧とされる。計量装置に備えられた光学式センサーは促進手段の正圧または負圧を監視し制御するために使用できる。所望時間にわたり目標圧力を達成した後、皮膚突刺し部材(例えば中空針)が作動され、使用者の皮膚に突刺されて切開口を形成する。皮膚突刺し部材は試料採取に形成された切開口内または直接その上に係止され、切開口を塞いだ状態で且つ切開口から絞り出された体液試料を集めるために望ましい位置に係止される。一体化された計量装置は十分量の試料が絞り出されたか否かを検出する機構を更に含む。そのような適当な検出機構の詳細は、分析物質のどの検出装置および方法と題する米国特許第7052652号に詳細に記載されており、その記載内容を本明細書の記載として援用する。所望量の体液が取得されたならば、促進手段は消勢される。体液試料は、その中に含まれる分析物質との反応により検出可能な集合を発生する装置または機構と流体連通される。例えば、1つのそのような機構は化学試薬を含有する吸収パッドであり、この試薬は分析物質と反応して光学的に検出できる反応スポットを発生する。前記信号発生機構と光学的に伝達状態にある光学組立体が、分析物質との反応で信号を検出し、その信号を計量装置に含まれている支援電子機器へ伝達するために使用される。目標分析物質(例えばブドウ糖)の濃度はそれらの信号を基にして計算することができる。それらの計算時には、試料寸法、試料に含まれる他の物質のレベル(ヘマトクリット法)などの付加要因が考慮される。そのような光学的計算技術は、ヘマトクリット法/容積修正およびフィードバック制御法による分析物質検出装置および方法と題する米国特許出願第11/239122号にさらに詳細に記載されており、その記載内容を本明細書の記載として援用する。それらの計算は試料体液に含有される分析物質量を定量する。この量は、使用者が容易に読取れるような計量装置に含まれている適当なディスプレイで表示される。その後一体化された計量装置は自動的に皮膚突刺し部材を引込め、次回の試料採取・分析手順の遂行に使用される新品で未使用の皮膚突刺し部材を与えるように使い捨てカートリッジの割り出しを行う。
【0055】

原型は捩りばねアクチュエータと針とを使用して、その針を切開口の上または内に位置決めする(すなわち、切開口を塞いだ状態にする)ように設計されて構成された。真空圧促進手段も使用された。この原型を評価した結果が以下の表に要約されている。

母集団 カミノ・メディカル カミノ・メディカル
試験名 PAMF1 PAMF2
アクチュエータ ビーム 捩りばね
アクチュエータ型式 2.1 5.0(w/ドエル)
被験番号 21 19

確率 BV > 250nl 94% 93%
確率 BV > 300nl 90% 91%
確率 BV > 350nl 85% 85%

平均BV(nl) 985 1137
【0056】
この表は2つの試験を表しており、槍状刀設計、受承部材設計、および受承部材の接触圧は同じである。試験名PAMF1は片持ちビーム・アクチュエータを使用し、このアクチュエータは針が切開口の中または上に留まることを許さなかった。試験名PAMF2は捩りコイルばねアクチュエータを使用し、このアクチュエータは針を皮膚の中または上に留まるようにした。驚くことに、捩りコイルばねの性能は血液容積(BV)の確率が片持ちビームに比肩し得るものであった。捩りコイルばねが実質的に僅かながら高い平均血液容積をもたらしたことはさらなる驚きであった。
【0057】
本明細書で使用される内容物絞り出し量、成分、反応条件などは、全ての例において「約」という用語で修正されるものと理解しなければならない。前述の数値範囲およびパラメータに拘わらず、本明細書で与えられる主題の広い範囲は概算値であり、前述の数値はできるだけ正確に表されている。しかしながら、数値はそれぞれの測定技術に見られる標準偏差によって生じる必然的な或る誤差を固有に含む。特許請求の範囲に記載の要素は、用語「意味する」が明示的に使用されるのでない限り、35U.S.C.§112(6)を引き合いにするものと解釈されるものではない。
【0058】
本発明はその好ましい実施例に関して記載されたが、当業者には特に給送していないが追加、削除、変更、および置換が特許請求の範囲に定められた発明の精神および範囲から逸脱することなくなし得ることは認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明により構成された構造体の部分斜視図である。
【図2】図1の構造体の部分的に切除した側面図である。
【図3】促進手段が作動された、図1の構造体の部分的に切除した側面図である。
【図4】促進手段が作動され、本発明による体液収集機構を示す図1の構造体の部分的に切除した側面図である。
【図5】本発明により構成されたアクチュエータを含む構造体の部分的な斜視図である。
【図6】本発明の一実施例により形成された一体化装置の斜視図である。
【図7】図6の一体化装置の部分的側面図である。
【図8】図6の一体化装置の構成部材の斜視図である。
【図9】図6の一体化装置の各種構成部材の部分的な斜視図である。
【図10】図6の装置の各種追加構成部材を示す側面図である。
【図11】本発明の他の実施例により形成された一体化装置の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料採取部位の皮膚表面に形成された切開口から体液試料を得るための構造体において、
皮膚表面を突刺すための形状をした第1端部、およびその第1端部と連通する内部ルーメンとを有する少なくとも1つの皮膚突刺し部材と、
少なくとも1つの皮膚突刺し部材と作動的に組合わされた少なくとも1つのアクチュエータと、
試料採取部位で体液を流出させるように構成された少なくとも1つの促進装置とを含み、
内部ルーメンを通して体液を移送する間、切開口を塞いだ状態になるように少なくとも1つの皮膚突刺し部材を少なくとも1つのアクチュエータが位置づけるようになされている構造体。
【請求項2】
少なくとも1つの皮膚突刺し部材がマイクロ・針を含む請求項1に記載された構造体。
【請求項3】
少なくとも1つのアクチュエータがばねを含む請求項1に記載された構造体。
【請求項4】
ばねが捩りばねを含む請求項3に記載された構造体。
【請求項5】
捩りばねが少なくとも1つの皮膚突刺し部材を切開口を塞いだ状態にする中立位置を含む請求項4に記載された構造体。
【請求項6】
少なくとも1つの皮膚突刺し部材の突刺し深さを制限する積極的な止め部材を備えていない請求項4に記載された構造体。
【請求項7】
少なくとも1つの促進装置が試料採取部位に対して真空圧、正圧、熱、振動、または局部薬剤を与えるための装置を含む請求項1に記載された構造体。
【請求項8】
促進装置が試料採取部位に真空圧を作用させるような形状に構成されたポンプを含む請求項1に記載された構造体。
【請求項9】
ポンプと作動的に関連された制御装置を更に含む請求項8に記載された構造体。
【請求項10】
ハウジングに配設された受承部材、または、使用者の皮膚上の試料採取部位に適合するように構成された付属部材を更に含む請求項1に記載された構造体。
【請求項11】
前記受承部材が開口を有し、該開口が約3〜8mmの直径または長径を有する請求項10に記載された構造体。
【請求項12】
受承部材がエラストマー製シールを含む請求項10に記載された構造体。
【請求項13】
請求項1に記載された構造体を含む一体型の体液採取・分析装置。
【請求項14】
少なくとも1つの分析物質定量部材を更に含む一体型の体液採取・分析装置。
【請求項15】
分析定量部材が検定パッドと、その検定パッドと光学的に通じた検出装置とを含む請求項14に記載された一体型の体液採取・分析装置。
【請求項16】
検出装置が少なくとも1つのCMOSを基にした検出部材を含む請求項15に記載された一体型の体液採取・分析装置。
【請求項17】
検出装置がCMOSを基にした検出部材の直線アレーまたは面積アレーを含む請求項16に記載された一体型の体液採取・分析装置。
【請求項18】
前記促進装置と協働するように組み合わされた制御装置を更に含み、また、前記分析定量部材が、前記制御装置と協働するように組み合わされ、もって前記促進装置が少なくとも一部分で前記制御装置によって前記分析定量部材から受取ったフィードバックに基づいて制御されるようになされている請求項14に記載された一体型の体液採取・分析装置。
【請求項19】
使い捨てカートリッジに配置された、複数の皮膚突刺し部材、複数のアクチュエータ、および、複数の分析定量部材を更に含み、カートリッジを交換せずに一体装置を使用して複数回の試験を実行できる請求項14に記載された一体型の体液採取・分析装置。
【請求項20】
前回の試料採取実施後に、新しい皮膚突刺し部材、アクチュエータおよび分析定量部材を使用できるようにするために、カートリッジが移動可能である請求項19に記載された一体型の体液採取・分析装置。
【請求項21】
手持ち式の作動、着用されての作動、または使用者の選択に応じた手持ち式または着用式の切替作動ができるように構成された請求項13に記載された一体型の体液採取・分析装置。
【請求項22】
装置が指先での試料採取、代替部位での試料採取、または使用者の選択に応じた指先/代替部位での切替え式試料採取ができるように構成された請求項1に記載された構造体。
【請求項23】
試料採取部位で皮膚表面に形成された切開口から体液を採取する方法において、
試験手順を自動的または手動で開始する段階と、
試料採取部位に促進手段を適用する段階と、
皮膚表面に突刺して切開口を形成するように皮膚突刺し部材を作動させる段階と、
少なくとも1つの皮膚突刺し部材によって切開口を塞いだ状態にする段階と、
皮膚突刺し部材の内部ルーメンを通して体液を移送する段階とを含み、
皮膚突刺し部材の作動前、皮膚突刺し部材の作動中、または皮膚突刺し部材の作動後のうちの1つ以上の時期に、促進手段が試料採取部位に適用されるようになされている体液採取方法。
【請求項24】
皮膚突刺し部材の作動前に試料採取部位の上に受承部材を位置決めする段階を更に含む請求項23に記載された体液採取方法。
【請求項25】
受承部材が開口を有し、その開口は約3〜8mmの直径または長径を有している請求項24に記載された体液採取方法。
【請求項26】
受承部材がエラストマー製シールを含む請求項25に記載された体液採取方法。
【請求項27】
試験手順がボタンを手で押して開始される請求項23に記載された体液採取方法。
【請求項28】
前記皮膚突刺し部材を作動させる段階が、ばねによって皮膚表面に皮膚突刺し部材を駆動させる段階を更に含む請求項23に記載された体液採取方法。
【請求項29】
前記ばねが捩りばねを含む請求項28に記載された体液採取方法。
【請求項30】
前記捩りばねが中立位置を含み、その中立位置で少なくとも1つの皮膚突刺し部材の第1端が切開口を塞ぐ請求項29に記載された体液採取方法。
【請求項31】
前記皮膚突刺し部材の突刺し深さを制限するために積極的な止め部材で制限されることなく、前記皮膚突刺し部材が起動されて皮膚表面に駆動せしめられる請求項23に記載された体液採取方法。
【請求項32】
促進手段の適用が、真空圧、正圧、熱、振動、または局部薬剤の1つ以上を試料採取部位に作用させる段階を含む請求項23に記載された体液採取方法。
【請求項33】
促進手段の適用が、ポンプによって試料採取部位に真空圧を作用させる段階を含む請求項32に記載された体液採取方法。
【請求項34】
(i)採取した体液試料の容積、および(ii)体液試料中に含まれる分析物質量の少なくとも一方を定量する段階を更に含む請求項32に記載された体液採取方法。
【請求項35】
採取した体液容積の少なくとも一部分に基づいて促進手段の適用を制御する段階を更に含む請求項32に記載された体液採取方法。
【請求項36】
使い捨てカートリッジに配置された、複数の皮膚突刺し部材および複数のアクチュエータを用意する段階、および、カートリッジを交換せずに複数回の試験手順を開始する段階を更に含む請求項23に記載された体液採取方法。
【請求項37】
前回の試験手順の実施の注入、新しい皮膚突刺し部材およびアクチュエータを使用できるようにするためにカートリッジを移動させる段階を更に含む請求項36に記載された体液採取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−509679(P2009−509679A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533691(P2008−533691)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/038163
【国際公開番号】WO2007/041355
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(507406873)インテュイティ メディカル インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】