説明

体細胞計測検査キット

【課題】本発明は、体細胞を含む溶液から発色や蛍光で体細胞を容易に検出するキットであり、従来から知られている方法と比較して正確性および簡易性を高め、計測を妨害する夾雑物に影響されずに迅速に計測することができる体細胞検査キットを提供することを目的とする。
【解決手段】表面処理のし易い材質の基材1に体細胞を含む溶液が付着しやすい撥水板3と付着しないような親水板2で構成され、既存のカバーガラス102と撥水板3の間にサンプル溶液を固定することができ、発光した細胞の位置が特定でき、また、溶液中から細胞を分離することなく計測を妨害する夾雑物に影響されずに容易に細胞を検出することができる体細胞検査キットを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿中や血液や生乳中の体細胞を測定するための体細胞検出キットに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、尿中や血液や生乳中には上皮細胞や表皮細胞と白血球などの体細胞が含まれている。乳牛などが乳房炎を発症した場合に原因となる細菌を駆逐するための免疫機構が働き、乳中へ白血球が増加し、体細胞数が増加することが知られている。体細胞数を計測することで、細菌に感染した乳牛の乳房炎を早期に発見することが可能となり、さらに、乳牛を育てる生産者側の経営を高めさらには安全な生乳を流通させることができる。
【0003】
尿中の上皮細胞が多く検出されると腎臓および尿路系において炎症性病変が疑われる場合があり、早期発見のため容易に体細胞を検出する器具が必要であった。
【0004】
一方、尿中や血液や生乳中には体細胞の他に、脂肪、たんぱく質、カルシウムなど多様な成分が含まれている。生乳中は乳房炎を発症した場合には、細菌も含まれる。これらの成分は体細胞測定にとって障害となり得るものである。特に、脂肪球は含有量も多く、大きさが体細胞と近似していることから測定上大きな障害となる。これらの成分と体細胞との弁別が体細胞測定にとって重要な技術課題となっている。
【0005】
体細胞の測定方法として、蛍光顕微鏡を用いた方法など、既にいくつかの方法が知られている。例えば、クエン酸などの金属錯体形成剤からなる緩衝溶液と、蛍光色素(エチジウムブロマイド)を含む染色液を用いて体細胞を蛍光染色し、検出する技術を開示する。緩衝溶液には金属錯体形成剤が不可欠である。また、イオン性界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤を含有しても良いと記載されているが、その効果については開示されておらず、添加量も染色液1リットルあたり1mlと少量である。金属錯体形成剤は乳中のカルシウムイオンに作用し、カルシウムイオンが染色過程を妨害することを妨げる働きがあるものと考えられている。この作用によって体細胞からの信号強度が強まるものと記載されている。さらに、この方法では、染色を実施する際に63±1.5℃といった高温で処理する必要があり、測定装置が高価で複雑になる。(特許文献1参照)また、エチジウムブロマイドを添加した被験乳を75℃といった高温で処理することにより染色する方法を開示している(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、プロピジウムアイオダイドなどのDNA特異的蛍光染料と核膜の浸透を目的とした0.1%の表面活性剤と細胞膜の溶解を目的とした低張媒質を生乳に加え、染色する方法を開示する。しかしながらこの方法では大気温度中で20分間をかけて染色する必要がある(特許文献3参照)。
【0007】
また、特開2003―310299には体細胞以外の蛋白質や脂肪球を分解するため、pH緩衝剤、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤で処理し、蛍光色素を含む試薬で染色して乳中の体細胞を計測する方法を記載しているが、体細胞が溶解する恐れがある(特許文献4参照)。
【0008】
また、従来方法として一般的にしている方法として図7に示すが、スライドガラス101に生乳の溶液を乾燥固定後に、染色試薬を乾燥固定した上方より滴下し反応させ、カバーガラス102を乗せ、顕微鏡で確認している。
【特許文献1】特公平7−95035号公報
【特許文献2】特公平4−7833号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第397583号明細書
【特許文献4】特開2003−310299公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の体細胞計測キットでは、試料検体から計測に影響するカルシウムや脂肪酸、タンパク質等の夾雑物を分離・溶解してから計測するため、フィルタろ過や夾雑物の分解手段が必要で結果として計測するまでの時間が長いという課題があり、計測を妨害する夾雑物に影響されずに迅速に計測することが要求されている。
【0010】
また、蛍光標識をつけるため、染色処理時に加温処理するという課題があり、加温処理を無くし、エネルギーを過剰に使わなくすることが要求されている。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、夾雑の妨害を低減し影響されずに迅速に計測することができ、また、常温で容易に染色することで過剰なエネルギー消費を低減させることのできる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0012】
また、体細胞を検出する際に発光体の画像取得の場合は発光体のピントが合いにくく、オートフォーカス機能等を加える必要があるという課題があり、発光体のピントの合いやすいことが要求されている。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、平滑なキット表面に試料検体を薄く引き延ばす構造により、ピント調整を容易にできる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0014】
また、蛍光体を検出する上で、材質・成分によっては目的の体細胞の蛍光発光と同様な蛍光を発する材料が埋め込まれており、基材の蛍光発光する成分を取り除くという課題があり、特殊な材料を利用しないことが要求されている。
【0015】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、特殊な基材に加工しなくとも蛍光体を検出できる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0016】
また、蛍光体を検出する上で、蛍光体の発光を捉える上で拡大する必要があり、拡大にあたっては、レンズの許容する深度によってピント位置が変わるため、基材の形状や凹凸によってピントが合わないという課題があり、ピントの合いやすい基材の形状にすることが要求されている。
【0017】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、平滑な表面にすることでレンズ深度の許容に入る形状の体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0018】
また、細胞を染色し蛍光を用いる場合、励起光照射量が一定の場合、蛍光発光したものを検出する際、照射量のみの発光量しか蛍光しない為、蛍光強度が弱く蛍光が検出できないことや、励起光の照射量の増加や撮像する露光時間を時間を増加させるという課題があり、励起光の照射量の増加や露光時間の増加させないことが要求されている。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、重金属をサンプル板の基材表面に処理することで、細胞を透過した励起光を反射し再度、細胞内の結合した蛍光基を発光させ、蛍光発光量を増加させる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0020】
また、生乳や尿や血液の細胞の大きさは、一般的に20μm程度であり、細胞の隠れ無い程度の平滑性が必要とされているが、蛍光発光の場合、細胞表面や細胞内での発光により、目的の右記細胞の大きさ以上に蛍光発光の大きくなるため、過剰な加工精度が求められているという課題があり、過剰な加工精度を下げることが要求されている。
【0021】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、サンプル板の表面凹凸を精度の限界値を設定し、加工しやすい体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0022】
また、重金属に表面皮膜を作製する際に電解法や含浸法など液槽内で基材表面へ添着を促進させる方法が一般的であるが、反応後の基材表面へ夾雑物が混入するの防ぐため、反応容器、反応液などをフィルタや膜などで清浄化や反応容器周辺の環境を汚染物の除去するという課題があり、清浄化を容易にできる重金属の表面皮膜が要求されている。
【0023】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、蒸着時は、真空性を保ち汚染物の流入を極力防止し、さらには重金属そのものがイオン化し添着するため、サンプル板表面に夾雑物が付かない加工でき、さらにはサンプル表面に均一重金属が付着し、平滑性が保たれるサンプル板の形状の体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0024】
また、重金属によっては、表面酸化皮膜を作製し、表面の平滑形状を壊し、サインプ板の耐久性能を低下させるという課題があり、耐久性の高い重金属の選定及び加工することが要求されている。
【0025】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、励起光反射の低下や形状変化が起こらない耐久性の高くできる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0026】
また、励起光の光量によって、受光した光量中に励起光の波長の光が混在し、蛍光体の発光の差異を読み取れなくなり正確に計測できないという課題があり、励起光波長の光量を低下させ蛍光の輝度と差異をつけることが要求されている。
【0027】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、励起光波長を吸収して蛍光体との輝度を明確に精度良く計測できる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0028】
また、夾雑物が個々の蛍光体を持っている場合、受光した光量中に夾雑物の蛍光波長の光が混在し、蛍光体の発光の差異を読み取れなくなり正確に計測できないというのするという課題があり、夾雑物の蛍光を低下させ蛍光の輝度と差異をつけることが要求されている。
【0029】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、励起光波長を吸収して蛍光体との輝度を明確に精度良く計測できる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0030】
また、励起光を照射する際にサンプル液が加熱され、サンプル溶液を乾燥し、計測中に細胞が移動するという課題があり、細胞を固定することが要求されている。
【0031】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、サンプルの乾燥を防止し、細胞の移動を防ぎ、正確にサンプル中の細胞を計測できる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0032】
また、シート作成にあたり剥離剤やシート作成時の溶液の夾雑物等でシート内部や表面に蛍光物質が残存し、誤判定を齎すという課題があり、反射光以外の蛍光発光を生じないシートを用い、計測することが要求されている。
【0033】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、励起光を反射し細胞の蛍光波長以外の蛍光を発生しないシートを用い計測する体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0034】
また、サンプル溶液中にも計測に誤判定を及ぼす夾雑物が含まれる場合があり、細胞だけを蛍光することができないという課題があり、蛍光する夾雑物をマスキングすることが要求されている。
【0035】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、自家蛍光である夾雑物の発光を抑えることができる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0036】
また、サンプル溶液中にも計測に誤判定を及ぼす夾雑物が含まれる場合があり、細胞だけを蛍光することができなく、細胞と反応した蛍光試薬の蛍光を低下させるという課題があり、細胞と反応した蛍光試薬の蛍光を低下することを抑えることが要求されている。
【0037】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、細胞と反応した蛍光試薬の蛍光発光の低下を防止し、蛍光した細胞のみを計測することのできる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【0038】
また、サンプルをサンプル板とシートに固定し、計測を終了後、サンプルを廃棄する際に、サンプルが表面張力にてシートとサンプル板を接合するため、シートを剥がすことが困難であり、サンプルを回収する手段が要望されていた。
【0039】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、シートとサンプル板に挟まれるサンプルの表面張力による接合力に対し、容易にサンプル板とシートを剥がすことが可能でサンプルの廃棄作業を容易にできる体細胞計測検査キットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、生乳や尿・血液等のエマルジョン粒子が含まれる溶液と溶液中の細胞を発色する溶液を同一位置に滴下し混合させ、混合し溶液中の細胞と溶液が移動しないように固定する手段を設けたものとしたものである。
【0041】
この手段により発光した細胞の位置が特定でき、また、溶液中から細胞を分離することなく容易に細胞を検出することができる体細胞計測検査キットが得られる。
【0042】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、サンプル板の表面を平滑に処理し、細胞が平面に整列するものとしたものである。
【0043】
これにより計測時の発光体のピント調整を容易にすることができ、また、容易にサンプル板表面の細胞検出においてピント調整なしにXY移動を容易することができる体細胞計測検査キットが得られる。
【0044】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、励起光を照射した際にサンプル板の自家蛍光を防止したものである。
【0045】
これにより、精度良く蛍光体を検出することができ、また、特殊な基材を加工することなく容易に入手しやすく簡単に作製できる体細胞計測検査キットが得られる。
【0046】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、特定波長の励起光を照射した際にサンプル板の自家蛍光を防止したものである。
【0047】
これにより、さらに精度良く蛍光体を検出することができ、また、特別な基材を加工することなく容易に入手しやすくさらに簡単に作製できる体細胞計測検査キットが得られる。
【0048】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、様々な基材表面でも簡単に精度良く蛍光体を検出することができ、また、特殊な基材を加工することなく容易に入手しやすく簡単に作製できるものである。
【0049】
これにより基材を樹脂や膜等の構成の形状でも容易に作製でき、また、サンプル板の材質にこだわらないで容易に入手しやすく簡単にサンプル板ができる体細胞計測検査キットが得られる。
【0050】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、表面凹凸の精度を限定したものである。
【0051】
これによりサンプル板の加工精度に幅を持たせ、容易に作製することができる体細胞計測検査キットが得られる。
【0052】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、サンプル表面を重金属で処理したものである。
【0053】
これにより重金属の表面での凝集反応で平滑化が保つことができ、また、金属による励起光の反射、蛍光物質の低減することで、精度良くさいぼうを検出することできる体細胞計測検査キットが得られる。
【0054】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、金属酸化皮膜を発生しない金を用いるものである。
【0055】
これにより、サンプル板加工後も半永久表面に残ることができ、また、長時間保管できる体細胞計測検査キットが得られる。
【0056】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、サンプル板の表面が励起光の特定の波長を吸収するようにしたものである。
【0057】
これによりサンプル板の自家蛍光を抑制し、励起光以外の光量を低下させることができ 、また、さらに、サンプル板表面上の蛍光体の判別を容易にすることができる体細胞計 測検査キットが得られる。
【0058】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、蛍光試薬の自家蛍光や蛍光に与える励起光以外の光量を低下させるようにしたものである。
【0059】
さらに、サンプル板表面上の蛍光判別を容易にすることができる体細胞計測検査キットが得られる。
【0060】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、サンプル板と体細胞の含まれる溶液をシートによって密閉する構成としたものである。
【0061】
これにより溶液の乾燥を防止することができ、また、励起光による熱の影響による溶液中細胞の移動を防止できる体細胞計測検査キットが得られる。
【0062】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、試薬自体の自家蛍光およびシート作成時の剥離剤等の自家蛍光を吸収するもの処理を施したものである。
【0063】
これにより蛍光試薬と反応した部位のみを検出することができ、また、体細胞以外のものを観察されず誤判定を防止する体細胞計測検査キットが得られる。
【0064】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、溶液に含まれる夾雑物の自家蛍光を吸収する処理を施したものである。
【0065】
これによりさらに体細胞と反応した部分のみを検出することができ、また、自家蛍光の夾雑物をマスキングできる体細胞計測検査キットが得られる。
【0066】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、炭素物質は励起光でよく使用する紫外線から赤外線の波長を吸収し、さらに炭素物質を夾雑物表面に付着させるものである。
【0067】
これにより炭素物質で覆われた夾雑物は蛍光発光し難く、蛍光試薬と反応した細胞のみを検出しやすくすることができ、また、さらに自家蛍光の夾雑物を蛍光を抑制できる体細胞計測検査キットが得られる。
【0068】
また、本発明の体細胞計測検査キットは上記目的を達成するために、サンプル板とシートが剥がれやすい構成としたものである。
【0069】
これによりサンプル溶液による表面張力によるシートとサンプル板の付着を防止することができ、また、サンプル溶液を容易に廃棄することができる体細胞計測検査キットが得られる。
【発明の効果】
【0070】
本発明によれば、計測を妨害する夾雑物に影響されずに迅速に計測することができる体細胞計測検査キットを提供できる。
【0071】
また、生乳や牛乳や血液といった細胞を含む溶液において無機成分のイオンで凝集したたんぱく質の粒子や脂肪成分の固まりとがエマルジョン粒子として存在する溶液と溶液中の細胞を発色させる溶液のみを所定の位置に設置するだけで迅速に体細胞を計測することができ、作業時間や作業工数を減らすことができ、また、光学的なピント調整が容易でき、計測を妨害する物質と区別することが容易にでき、また、計測精度を向上させることができるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0072】
また、ピント調整等の手間を除くことができ、容易に計測できるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0073】
また、空気中からのゴミや作業中に入った粉塵さらには、無機成分のイオンで凝集したたんぱく質の粒子や脂肪成分の固まり等よる夾雑物などの計測を妨害する物質と区別することが容易になり、計測時の判別を容易にし、精度良く計測することができるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0074】
また、計測視野数を増加する際の手間を除き、計測視野を簡単に増加させ、さらに計測精度を向上させることができるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0075】
また、実際の視野にて見える表面の凹凸を滑らかにし、容易に計測視野を増加させることができるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0076】
また、凹凸の15μm以下と限定することで、計測時のレンズ収差と兼ね合いを容易にし、計測方法の幅を広げ、容易に計測する手段を用いることができるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0077】
また、金属蒸着により、微粒子金属で形成することで、凹凸の上限値をサンプル板の設計仕様に容易あわせることができ、平滑処理および平面性を容易に作製できるのという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0078】
また、サンプル板の表面処理を容易ででき、さらに、紫外線等の反射を防止し、サンプル板の体細胞の判別を容易にすることができるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0079】
また、夾雑物によっては、励起光の光を乱反射し、計測時、夾雑物の発光が大きく膨張し、体細胞と差が明確にならないが、乱反射を防止することで、形状認識が容易になり、計測者が判別しやすくなるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0080】
また、夾雑物によっては、乱反射する際に波長を変化させ、発光し、体細胞と差が明確にならないが、励起光以外の波長を吸収することで、励起光と反応した部分のみを判断しやすく、さらに体細胞を判定する作業を容易にするという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0081】
また、液面の反射や凹凸を防止、さらに、蛍光試薬等が作業中に作業者の手等に付着することを防止し、安全に計測することができるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0082】
また、体細胞と反応した試薬の必要な発光の波長のみを透過することで、さらに計測を容易にし、計測精度を高めるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0083】
また、吸着などにより試薬が残存により、バックグランドを高め、体細胞計測の判断難い場合があり、残存試薬の発光を防止することで、さらに誰でも簡単に計測することができるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0084】
また、炭素物質等は、墨汁等容易に購入することが可能で、簡単に使用でき安全に作業が可能であるという効果のある体細胞計測検査キットを提供できる。
【0085】
また、サンプル板とシートに空間を設けることで、サンプルによるシート付着を防止しシートを剥がれ易く、計測したサンプルを廃棄することが容易ににできるという効果のある体細胞検査キットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0086】
本発明の請求項1記載の発明は、エマルジョン粒子が含まれる溶液中から細胞を計測する方法において、計測範囲を限定するサンプル板上にエマルジョン粒子が含まれる溶液と前記溶液中の細胞を発色する溶液を所定の同一位置に設置し、溶液中の細胞を固定する手段を設けた体細胞計測検査キットとしたものであり、細胞のみ固定し、夾雑物を流動することで、計測したい細胞のみを、計測を妨害する夾雑物に影響されずに、迅速に計測することができる。
【0087】
また、前記計測範囲を限定するサンプル板の表面が平滑に処理されていることを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、計測領域のピント調整の計測作業を減らすことができるという作用を有する。
【0088】
また、前記計測範囲を限定するサンプル板の表面が特定の波長で発色しないように処理されていることを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、サンプル板の材質によっては、蛍光発光物を含む例えば一般的な剥離剤を混合した材料を用いた場合があり、加工しやすいが、反面特定波長を発色することがある。発色に伴い、計測時の体細胞との誤判定を引き起こし、結果として計測する精度を低下させることがあり、発色しないような処理をすることで誤判定を防止するという作用を有する。
【0089】
また、前記計測範囲を限定するサンプル板の表面が特定の波長で発色しないように処理かつ平滑に処理されていることを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、計測領域を広め、誤判定を防止することで計測精度を高めるという作用を有する。
【0090】
また、計測範囲を限定するサンプル板の表面が重金属で処理されていることを特徴とする請求項1、2、3または、4記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、重金属の場合特定の波長は明確となり、検出する波長以外であれば簡単にカットし計測できるため、容易に体細胞を判定する構成ができるという作用を有する。
【0091】
また、前記平滑な処理として、凹凸が15μm以下であることを特徴とする請求項2または4記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、市販の拡大レンズの収差範囲であり、体細胞の大きさより小さいものには、ピントが合わない構成となり、体細胞との判断をしやすくするという作用を有する。
【0092】
また、前記重金属で蒸着して処理されていることを特徴とする請求項5記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、金属の粒子の大きさが小さくさらに凹凸を防止し、計測しやすくするという作用を有する。
【0093】
また、前記重金属として金を表面に処理されていることを特徴とする請求項7記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、金属の粒子の大きさが小さくさらに凹凸を防止し、乱反射などの光を吸収し、特定の波長のみを計測しやすくすることで、さらに測定精度を上げることができるという作用を有する。
【0094】
また、前記計測範囲を限定するサンプル板の表面が励起光の波長を吸収することを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、蛍光発光する部分のみを計測しやすくするという作用を有する。
【0095】
また、前記計測範囲を限定するサンプル板の表面に細胞と反応して染色および発光および蛍光した試薬の光の波長以外を吸収することを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、計測する部分に限定することで、作製部分を減らし、容易に作製できるという作用を有する。
【0096】
また、溶液中の細胞を固定する手段とて、サンプル板と溶液を挟み込むシートを用いること特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、サンプルの乾燥を防止し、安定してサンプルを評価することができるという作用を有する。
【0097】
また、前記シートは試薬の反応光波長以外を吸収することを特徴とする請求項11記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、波長カットフィルタでの厚みによるピントぶれを防止し、精度良く計測できるという作用を有する。
【0098】
また、細胞を発色する溶液に自家発色を抑える処理をすることを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、サンプル板等に付着した自家蛍光発光物の防止し、安定して計測することができるという作用を有する。
【0099】
また、自家発色を抑える手段として、炭素物質が主成分の溶液を混合することを特徴とする請求項13記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、容易に手に入り、炭素の吸収波長での評価ができるという作用を有する。
【0100】
また、前記サンプル板と溶液を挟み込むシートの間に凹凸を少なくても1箇所を用いること特徴とする請求項13記載の体細胞計測検査キットとしたものであり、サンプルの廃棄の際に容易にサンプルを回収するという作用を有する。
【0101】
(実施の形態1)
図1に示すように、表面処理のし易い材質の基材1と、エマルジョン粒子が含まれる溶液と溶液中の細胞を発色する溶液を混合したサンプル溶液を基材1の中央の所定の位置に固定化する手段としてサンプル溶液が基材1の表面に付着しやすいような基材1の中央を撥水板3と、サンプル溶液が付着しないような撥水板3以外の部分を親水板2で構成されている。
【0102】
サンプル溶液は、撥水板3表面に適量滴下され、親水板2の境界部分まで流れる。その上に既存のカバーガラス102を静置することで、カバーガラス102表面と撥水板3との間に均一にサンプル溶液は固定できる。
【0103】
これにより、加熱や乾燥や液溜まりによるカルシウムや脂肪酸やタンパク質の凝集や不均一な分離を防止し、計測を妨害する夾雑物に影響されずに、体細胞を迅速に容易に検出することが可能になる。固定化したサンプル溶液中の体細胞は、顕微鏡等の拡大鏡により、観察し計測することができる。
【0104】
発色する試薬については、染色および発光および蛍光する試薬を意味し、細胞を蛍光する試薬としては、4‘6−ジアミジノ―2―フェニルインドール二塩酸塩やプロピデュームイオダイド、6―カルボキシフルオレセインジアセテート等がある。それぞれ検知する手段としては4‘6−ジアミプロピュームイオダイドジノ―2―フェニルインドール二塩酸塩は、励起波長359nmの時に励起波長を吸収して461nmの蛍光波長を発し細胞の発色させる。プロピデュームイオダイドは、励起波長535nmの時、励起波長の光量を吸収して617nmの蛍光波長に変え死細胞のみを発色させる。
【0105】
また、他の蛍光試薬として、例えばYTO11〜SYTO16、SYTO20〜SYTO25、SYTO40〜SYTO45、SYTO17、SYTO59〜SYT64、SYTO80〜SYTO85、DAPI、SYBRGreen、Hoechst33342、Hoechst33258、SYTO9やSYTOXGreen、BOBO−1、YO−PRO−1、TOTO−1、POPO−3、TO−PRO3、SYTOXOrangeとがある。蛍光試薬によって、それぞれ励起光の波長を設定することで、試薬と反応した細胞を蛍光発光することができる。
【0106】
なお、基材1と撥水板3と親水板2はそれぞれの部材で構成している必要はなく、本発明がわかりやすくするため、記載した。基材1表面に撥水処理および親水処理する方法を用いても同様な効果が得られる。
【0107】
また、基材1を親水処理する方法としては、表面にアルマイト加工のような微細な孔を形成させ、親水化の処理を実施しても、同様な効果が得られる。
【0108】
また、基材1としては、アルミニウムを材質と用いたものを使用した。なお、アルミ二ウム以外でも、形状の変化しなく、加工しやすい金属を用いても、同様な効果を得ることができる。
【0109】
また、撥水処理として、フッ素処理を行ったものを使用した。また、フッ素処理を用いが、脂肪酸等が、接触角を低めるものであれば、他の処理を用いてもよい。
【0110】
また、サンプル溶液を固定する際にカバーガラス102を用いたが、サンプル溶液を撥水板3に挟み込み、光を透すことができる樹脂シートを用いてもその差異は生じない。
【0111】
また、エマルジョン粒子の溶液の性質として、上記内容については、生乳や血液などの脂質が多く含まれるサンプル溶液を想定して記載した。サンプル溶液の特性よっては、親水板2と撥水板3の位置を変更することも必要となる。
【0112】
また、混合したサンプル溶液を基材1中央の所定の位置としたが、計測する位置であれば、基材1の中央としたが、基材1表面であれば、親水処理に囲まれた撥水処理の部分であれば、どこでも良い。
【0113】
また、図には示していないが、カバーガラスを大きくし、スライドガラスのような形状を用い、基材1をスライドガラスよりも小さくした構成でも、同じ効果を得ることができる。
【0114】
(実施の形態2)
実施の形態1と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0115】
図には示していないが、撥水板3表面を平滑に処理したものとした。平滑処理としては、サンプル溶液の流れやすくし、撥水板3全体に均一にサンプル溶液が拡散することにより、カバーガラス102を上部より装着した際に、撥水板3とカバーガラス102の間に気泡の侵入や発生を防止することができ、顕微鏡観察などを容易にすることができる。さらに平滑に処理することで、ピントを一度調整しただけで、撥水板3表面を容易に観察できる。
【0116】
一例として、生乳をサンプル液とした場合、脂肪成分3.8%と含まれているため、親水処理するよりも撥水処理の方が、基材1表面を滑らかにサンプル液が流れる。脂肪成分が、表面の撥水基と反応し、滑らかに移動する。さらに平滑にすることでさらに滑らかになる。親水基の場合は、脂肪成分が反発し流れを抑制する。そのときの撥水処理としては、金属微粒子を蒸着したものを用い、親水処理は、基材1表面を多孔質に改良したものを使用した。また平滑処理については、言うまでもないが、体細胞の大きさが10〜20μmなので、15μm以下であればよいが、5μm以下が更に望ましい。
【0117】
また、5μm以下にすることで、計測を妨害する夾雑物が流動化し、体細胞のみの固定を容易にすることは言うまでない。
【0118】
(実施の形態3)
実施の形態1または2と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0119】
図には示していないが、各染色試薬の励起光に発色しないような処理を撥水板3の表面に施したものとした。カバーガラス102を透った励起光は体細胞に当たり発色するが、撥水板3表面は励起光を反射、蛍光する物質が含まれると体細胞の蛍光と区別できない。体細胞の撥水板3を発光しない処理をすることで、体細胞のみを検出精度を高めることができる。
【0120】
各染色試薬の励起光に発色しないような撥水板3の表面処理としては、黒色などの吸収体を付着されることや材質として赤外を吸収するアルミニウム等の材質を利用することが可能である。
【0121】
(実施の形態4)
実施の形態1乃至3のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0122】
図には示していないが、撥水板3表面を染色試薬の励起光に発色しないような処理と平滑処理を施したものとした。平滑処理としては、サンプル溶液の流れやすくし、撥水板3全体に均一にサンプル溶液が拡散する。カバーガラス102を透った励起光は体細胞のみが発色する。
【0123】
気泡の形成は勿論、発生を防止し、カバーガラス102と撥水板3に入った励起光の乱反射を防止することで、体細胞のみをさらに検出精度を高めることができる。さらに顕微鏡観察などを容易にすることができる。さらに平滑に処理することで、ピントを一度調整しただけで、体細胞を容易に観察できる。
【0124】
(実施の形態5)
実施の形態1乃4のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0125】
図には示していないが、撥水板3表面を染色試薬の励起光を反射する処理をしたものである。
【0126】
体細胞で直接照射された励起光は蛍光に変換され発色するが、さらに撥水板3で反射した励起光は再度体細胞にあたり、蛍光を増加し発色することで蛍光強度を高め、体細胞を検出しやすくすることができる。
【0127】
(実施の形態6)
実施の形態1乃至5のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0128】
図には示していないが、撥水板3の表面の平滑処理として凹凸の差が15μm以下とした。体細胞の大きさは、10〜20μmと小さく、検出する際のピント調整において、一般的なレンズの収差でも対応することが可能にすることができる。高い加工精度を要求しないため、簡単に作製することができる。
【0129】
(実施の形態7)
実施の形態1乃至6のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0130】
図には示していないが、撥水板3の表面を重金属で蒸着して処理したものである。重金属の蒸着により、表面処理の精度が保持でき、平滑に処理でき、さらには、サンプル溶液との反応による剥離や表面腐食を防止することができる。
【0131】
(実施の形態8)
実施の形態1乃至7のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0132】
図には示していないが、撥水板3の表面を金で蒸着して処理したものである。金の蒸着により、表面処理の精度が保持でき、平滑に処理でき、金粒子が表面で固定し、サンプル溶液との反応による剥離や表面腐食を防止することができる。また金には、紫外から赤外までの波長を吸収する効果があり、各試薬の励起光の吸収し、夾雑物の発光を抑制し、体細胞を区別することが容易になる。
【0133】
(実施の形態9)
実施の形態1乃至8のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0134】
図2に示すように、撥水板3表面に励起光を吸収する吸収体4を設けたものである。
【0135】
吸収体4としては、重金属や金といった金属錯体を蒸着若しくは塗沫している。体細胞評価において必要な計測部分のみを加工しさらには励起光波長と蛍光の波長の混在を抑制することができる。
【0136】
(実施の形態10)
実施の形態1乃至9のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0137】
図には示していないが、撥水板3表面に励起光および体細胞は蛍光発色する以外の波長を吸収する吸収体4を設けたものである。サンプル液中に樹脂の破片等が混入すると樹脂の自家蛍光物質が発光し、蛍光したものとの区別がし難く、蛍光以外の波長をカットすることで、夾雑物の発光を防止することができる。
【0138】
(実施の形態11)
実施の形態1乃至10のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0139】
図3には示すように、カバーガラス102の上方に保護シート5を静置する構成とする。撥水板3とカバーガラス102の間にあるサンプル液は励起光により光が熱に変化し、サンプル液が蒸発するため、保護シート5を設置することで、サンプル溶液の蒸発を防止し、サンプル液中の体細胞の移動を防止し、再度計測しても同じ計測をすることができる。
【0140】
(実施の形態12)
実施の形態1乃至11のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0141】
図には示していないが、保護シートが、蛍光以外のカットするフィルタを備えたものである。
【0142】
顕微鏡等の特殊な装置を用いずとも励起光となる波長の光を照射することで、基材1上の体細胞を簡単に計測することができる。
【0143】
(実施の形態13)
実施の形態1乃至12のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0144】
図には示していないが、発色試薬中に夾雑物の自家蛍光波長を抑制・吸収する材料を混入したものである。撥水板3での自家蛍光物質およびサンプル液中の自家蛍光物質を抑制し、体細胞の反応した試薬の蛍光を検出することができる。
【0145】
(実施の形態14)
実施の形態1乃至13のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0146】
図には示していないが、発色試薬中に夾雑物の自家蛍光波長を抑制・吸収する材料として炭素物質を混入したものである。炭素物質は体細胞への影響が少なく、体細胞を膨張させたり、分解することなく、存在し、さらに撥水板3での自家蛍光物質およびサンプル液中の自家蛍光物質を抑制し、体細胞の反応した試薬の蛍光を検出することができる。
【0147】
(実施の形態15)
実施の形態1乃至14のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0148】
図4には示すように、基材1の部分にピン穴6を設け、保護シート5およびカバーガラス102を容易に取り外すことができる構成としたものである。
【0149】
簡単に、針形状のものでカバーガラス102と保護シート5を取り外すことができ、一度計測したサンプルを洗い流せ、再度サンプル板を使用でき、様々なサンプルの体細胞を計測することが可能になる。
【実施例】
【0150】
実際の生乳を用いて、蛍光発光計測装置である微生物検査装置「バイオプローラ」(松下エコシステムズ製)を用い、サンプル板上の体細胞を計測した。サンプル板は基材1の材質にアルミニウムを用い、全体をアルマイト加工し、表面を親水処理した。そしてサンプル板の中央部分を金蒸着して作製した。計測方法としては、生乳と生乳の量に対して同等量の蛍光染色試薬(プロピデュームイオダイド)をアシストチューブに入れ、混合し、2分間放置後、混合した液から5μLをサンプル板の中央に滴下し、滴下した混合液の上にカバーガラス(18mm×18mm 0.1〜0.17mm)を乗せ、微生物検査装置にサンプル板ごと設置した。滴下量については、カバーガラスの大きさ、自重により、混合液の広がりため、今回のガラスカバーに適した量として5μLが適していることを事前に把握し、滴下した。カバーガラスの大きさ自重や厚みによっては、滴下量を変化させることも可能である。例えばカバーガラスが同素材で同厚みの場合、36mm×36mmの大きさに対しては、生乳や牛乳に試薬を混合した液量20μLを滴下するとカバーガラスの大きさあった面積に液が広がる。したがって、生乳や牛乳がカバーガラスの表面に均一に広がることが15μmの厚みとなり、10〜20μmの体細胞はサンプル板とカバーガラスの間に挟まれる。15μm以上の体細胞はカバーガラスの自重により混合液が加圧されカバーガラスとサンプル板の間に固定化され、15μm以下の体細胞は、カバーガラスの辺の部分と混合液の表面張力によりカバーガラスとサンプル板の混合液の流れを防止し、体細胞の流れを止める。したがって混合益虫の体細胞を固定化することが可能になる。
【0151】
実際には、サンプル板の体細胞の蛍光発光が確認できるように微生物検査装置内のレンズとの収差を考慮し、サンプル板の表面の体細胞にピントが合うようにサンプル板を加工した。また、蛍光発光体を検出する際の露光時間を増加させると蛍光発光体の輝度が高くなるため、予め体細胞が蛍光する下限の露光時間を設定した。勿論サンプル板表面の体細胞を測るため装置はXY軸上に駆動するため、サンプル板表面の凹凸を無くし平滑差として±50μmとしている。また、混合液を廃棄するため、カバーガラスとサンプル板の間には、ピンセットで掴めるような凸状の形状を構成している。
【0152】
図5に微生物検査装置で計測した時の撮像した画像を示す。発光点を示すものを再度、顕微鏡にて確認した結果体細胞であることがわかった。図6に、データ数を増加させ、実際の従来の体細胞計測装置と比較した結果を示す。高い相関が得られ、体細胞計測方法としては、計測を妨害する夾雑物の影響を受けずに、簡単で迅速に計測することができる検査キットを作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
平滑で特定の蛍光波長のみを検出することができる体細胞検査キットを用いて容易に、正確に計測ができ、カバーガラスの上に保護シートを取付けることにより、何回でも計測することができ顕微鏡作業での作業性を容易にし、細胞以外の蛍光微粒子の測定の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の実施の形態1の体細胞計測検査キットを示す図
【図2】本発明の実施の形態9の体細胞計測検査キットを示す図
【図3】本発明の実施の形態11の体細胞計測検査キットを示す図
【図4】本発明の実施の形態15の体細胞計測検査キットを示す図
【図5】本発明の実施例1の撮像した画像を示す図
【図6】同従来の体細胞計測装置との比較結果を示す図
【図7】従来例の体細胞計測検査キットを示す図
【符号の説明】
【0155】
1 基材
2 親水板
3 撥水板
4 吸収体
5 保護シート
6 ピン穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エマルジョン粒子が含まれる溶液中から細胞を計測する方法において、計測範囲を限定するサンプル板上にエマルジョン粒子が含まれる溶液と前記溶液中の細胞を発色する溶液を所定の同一位置に設置し、溶液中の細胞を固定する手段を設けた体細胞計測検査キット。
【請求項2】
計測範囲を限定するサンプル板の表面が平滑に処理されていることを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キット。
【請求項3】
計測範囲を限定するサンプル板の表面が特定の波長で発色しないように処理されていることを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キット。
【請求項4】
計測範囲を限定するサンプル板の表面が特定の波長で発色しないように処理かつ平滑に処理されていることを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キット。
【請求項5】
計測範囲を限定するサンプル板の表面が重金属で処理されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の体細胞計測検査キット。
【請求項6】
平滑な処理として、凹凸が15μm以下であることを特徴とする請求項2または4記載の体細胞計測検査キット。
【請求項7】
重金属で蒸着して処理されていることを特徴とする請求項5記載の体細胞計測検査キット。
【請求項8】
重金属として金を表面に処理されていることを特徴とする請求項7記載の体細胞計測検査キット。
【請求項9】
計測範囲を限定するサンプル板の表面が励起光の波長を吸収することを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キット。
【請求項10】
計測範囲を限定するサンプル板の表面に細胞と反応して染色および発光および蛍光した試薬の光の波長以外を吸収することを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キット。
【請求項11】
溶液中の細胞を固定する手段とて、サンプル板と溶液を挟み込むシートを用いること特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キット。
【請求項12】
シートは試薬の反応光波長以外を吸収することを特徴とする請求項11記載の体細胞計測検査キット。
【請求項13】
細胞を発色する溶液に自家発色を抑える処理をすることを特徴とする請求項1記載の体細胞計測検査キット。
【請求項14】
自家発色を抑える手段として、炭素物質が主成分の溶液を混合することを特徴とする請求項13記載の体細胞計測検査キット。
【請求項15】
前記サンプル板と溶液を挟み込むシートの間に凹凸を少なくとも1箇所を用いること特徴とする請求項13記載の体細胞計測検査キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−14688(P2008−14688A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184047(P2006−184047)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】