説明

体脂肪測定装置

【課題】測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能で、かつ安価に製造することができる体脂肪測定装置を提供する。
【解決手段】体脂肪測定装置は、被験者の胴部幅を検出するための胴部幅検出部が設けられた胴部幅計測ユニット100Aを備える。胴部幅計測ユニット100Aは、被験者の胴部301を取り囲むように配置が可能な枠形状を有するものであり、胴部301を取り囲むように配置された状態において胴部301に対する相対的な位置が変化しない基部101と、胴部301を取り囲むように配置された状態において胴部301に対する相対的な位置が変化可能となるように基部101に移動可能に取付けられた可動部102とを含む。胴部幅検出部は、可動部102に設けられた非接触式の測距センサSA1,SA2を少なくとも有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体インピーダンスを測定することによって被験者の体脂肪量を算出することが可能に構成された体脂肪測定装置に関し、より特定的には、容易に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能に構成された体脂肪測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被験者の健康状態を知る一つの指標として、体脂肪量が注目されている。特に、内臓脂肪量は、内臓脂肪型肥満であるか否かの判断を行なうための指標として注目されている。この内臓脂肪型肥満は、糖尿病、高血圧症、高脂血症といった動脈硬化を引き起こし易い生活習慣病を誘発すると言われており、これら疾病の予防の観点から上記指標の活用が期待されている。ここで、内臓脂肪とは、腹筋および背筋の内側において内臓の周囲に蓄積した脂肪のことであり、胴部の表層に位置する皮下脂肪と区別されるものである。なお、内臓脂肪量を示す指標としては、臍位置に対応する部分の胴部断面において内臓脂肪が占める面積(以下、内臓脂肪断面積と称する)を採用することが一般的である。
【0003】
通常、内臓脂肪量の測定には、X線CT(Computed Tomography)あるいはMRI(Magnetic Resonance Imaging)等を用いた画像解析法が利用されている。この画像解析法においては、X線CTあるいはMRI等を用いることで取得した胴部の断層画像から内臓脂肪断面積が幾何学的に算出される。しかしながら、このような測定方法を用いるためには、X線CTやMRI等、医療施設に設置される如くの大型の設備を使用することが必要であり、そのため当該測定方法を用いて日常的に内臓脂肪量を測定することは非常に困難である。また、X線CTを利用した場合には、被曝の問題もあり、好ましい測定方法とは必ずしも言えない。
【0004】
これに代わる測定方法として、生体インピーダンス法を応用することが検討されている。生体インピーダンス法は、家庭用の体脂肪測定装置において広く利用されている体脂肪量の測定方法であり、四肢に電極を接触配置させ、これら電極を用いて生体インピーダンスを測定することにより、測定された生体インピーダンスから体脂肪量を算出するものである。上記家庭用の体脂肪測定装置は、全身または四肢、胴部といった身体の部位別の体脂肪の蓄積度合いを正確に測定できるものである。
【0005】
しかしながら、生体インピーダンス法を利用した従来の体脂肪測定装置は、上述したように全身または四肢あるいは胴部といった身体の部位別の体脂肪の蓄積度合いを測定するためのものであり、内臓脂肪の蓄積度合いや皮下脂肪の蓄積度合いを個別に抽出して正確に測定できるものではない。これは、上述したように、従来の体脂肪測定装置にあっては、四肢のみに電極が取付けられる構成であるため、内臓脂肪と皮下脂肪とを区別して個別に精度よく測定が行なえないためである。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、直接胴部に電極を接触させ、当該電極を用いて生体インピーダンスを測定し、これに基づいて内臓脂肪量や皮下脂肪量を個別に精度よく算出することが検討されている。
【0007】
たとえば、特開2002−369806号公報(特許文献1)には、ベルト部材の内周面上に電極を設け、当該ベルト部材を被験者の胴部に巻き付けて固定することにより、電極が胴部に対して接触配置されるように構成された体脂肪測定装置が開示されている。
【0008】
また、特開2005−288023号公報(特許文献2)や特開2008−23232号公報(特許文献3)、特開2008−237571号公報(特許文献4)には、被験者の腹部に装着する装着ユニットの表面に電極を設け、当該装着ユニットを腹部に押し当てることで電極が腹部に対して接触配置されるように構成された体脂肪測定装置が開示されている。
【0009】
さらに、特開2007−14664号公報(特許文献5)には、被験者の腹部に装着する装着ユニットと被験者が乗るための台ユニットとに装置を分離して構成し、上記装着ユニットの表面に腹部用電極を設けるとともに、当該装着ユニットに把手部を設けてこれに手用電極を設け、さらに上記台ユニットに足用電極を設け、上記装着ユニットの把手を手で把持することで手用電極が掌に接触配置され、当該把手を把持した手で装着ユニットを被験者の腹部に押し当てることで腹部用電極が腹部に対して接触配置され、さらに上記台ユニットに被験者が乗ることで足用電極が足の裏に接触配置されるように構成された体脂肪測定装置が開示されている。
【0010】
また、具体的な装置構成についての言及はないものの、特開2008−228890号公報(特許文献6)には、被験者の腹部に電極を接触配置させることなく胴部の背部(すなわち背中)に電極を接触配置させるとともに、手および足に電極を接触配置させて生体インピーダンスを測定し、当該測定した生体インピーダンスに基づいて内臓脂肪量および皮下脂肪量を算出することにより、高精度にこれら内臓脂肪量および皮下脂肪量が測定できることが記載されている。これは、腹部側に蓄積する皮下脂肪の厚みが、背部側に蓄積する皮下脂肪の厚みに比べて相対的に薄いため、腹部に電極を接触配置させた場合には、印加した電流が除脂肪部分を流れるために誤差が生じ易くなってしまうことがその要因の一つとして挙げられる。
【0011】
一方、上述した生体インピーダンス法を応用して高精度に内臓脂肪量や皮下脂肪量を測定可能にするためには、胴部周囲長や胴部横幅および胴部縦幅といった被験者の体格を実測してこれを体脂肪量算出のための演算処理に使用することが要求される。
【0012】
たとえば、上記特許文献2に開示の体脂肪測定装置にあっては、被験者の腹部に装着する装着ユニットに被験者の胴部の両側部(すなわち両脇腹)に接触させる一対のアーム部を移動可能に設け、当該アーム部を両脇腹に接触させることで胴部横幅を実測し、当該実測結果を体脂肪量算出のための演算処理に使用することとしている。
【0013】
また、上記特許文献3に開示の体脂肪測定装置にあっては、被験者の腹部に装着する装着ユニットに被験者の背中に接触させるアーム部を移動可能に設け、当該アーム部を背中に接触させることで胴部縦幅を実測し、当該実測結果を体脂肪量算出のための演算処理に使用することとしている。
【0014】
さらに、上記特許文献4に開示の体脂肪測定装置あっては、被験者の胴部の両側部の外側に距離をもって配置される胴部横幅計測用ユニットを、被験者の腹部に装着する装着ユニットとは別体にて構成し、当該胴部横幅計測用ユニットに非接触式の測距センサを多数設けて胴部横幅を実測し、当該実測結果を体脂肪量算出のための演算処理に使用することとしている。
【0015】
また、被験者の胴部に電極を接触配置するものではないものの、特開2009−22482号公報(特許文献7)には、被験者が乗るための台ユニットに足用電極を設け、被験者が台ユニットに乗った状態において被験者の胴部の両側部の外側に距離をもって配置される胴部横幅計測用ユニットを、上記台ユニットから鉛直上方に向けて立設した支柱部を用いて支持させ、当該胴部横幅計測用ユニットに非接触式の測距センサを多数設けて胴部横幅を実測し、当該実測結果を体脂肪量算出のための演算処理に使用することとした体脂肪測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−369806号公報
【特許文献2】特開2005−288023号公報
【特許文献3】特開2008−23232号公報
【特許文献4】特開2008−237571号公報
【特許文献5】特開2007−14664号公報
【特許文献6】特開2008−228890号公報
【特許文献7】特開2009−22482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ここで、上述したように、生体インピーダンス法を応用して高精度に内臓脂肪量等を算出するためには、胴部横幅および胴部縦幅を高精度に実測することが必要になる。
【0018】
しかしながら、上述した特許文献2および3に開示された体脂肪測定装置の如く、移動可能に設けられたアーム部を胴部に接触させて胴部横幅および胴部縦幅を実測するように構成した場合には、胴部の前後方向および左右方向の2方向に沿ってアーム部を個別に移動させるように被験者等にその操作を強いることとなってしまい、必ずしも使い勝手のよい体脂肪測定装置とすることができない問題が生じてしまう。特に、補助者等の協力を得なくとも被験者自らが1人で測定できるように体脂肪測定装置を構成することを想定した場合には、上述した操作は非常に煩雑なものとなってしまい、簡単かつ簡便に内臓脂肪量等を測定することの大きな妨げとなってしまう。
【0019】
一方で、上述した特許文献4および7に開示された体脂肪測定装置の如く、多数の非接触式の測距センサを用いて胴部横幅および胴部縦幅を実測するように構成した場合には、上述した如くの煩雑な操作が不要となって使い勝手のよいものとすることができる反面、非接触式の測距センサを多数用いることによる部品点数の増加に伴って製造コストが大幅に増大してしまう問題が生じてしまう。
【0020】
したがって、本発明は、上述した問題点を解消すべくなされたものであり、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能で、かつ安価に製造することができる体脂肪測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に基づく体脂肪測定装置は、複数の電極と、生体インピーダンス測定部と、胴部幅検出部と、胴部幅計測ユニットと、体脂肪量算出部とを備えている。上記複数の電極は、被験者の身体表面の所定部位に接触させるためのものである。上記生体インピーダンス測定部は、上記複数の電極を用いて被験者の身体の生体インピーダンスを測定する部位である。上記胴部幅検出部は、被験者の胴部幅を検出するための部位である。上記胴部幅計測ユニットは、被験者の胴部を取り囲むように配置が可能な枠形状を有するものであり、上記胴部幅検出部が設けられている。上記体脂肪量算出部は、上記生体インピーダンス測定部にて測定された生体インピーダンスおよび上記胴部幅検出部にて検出された胴部幅に基づいて体脂肪量を算出する部位である。上記胴部幅計測ユニットは、当該胴部幅計測ユニットが被験者の胴部を取り囲むように配置された状態において被験者の胴部に対する相対的な位置が変化しない基部と、当該胴部幅計測ユニットが被験者の胴部を取り囲むように配置された状態において被験者の胴部に対する相対的な位置が変化可能となるように上記基部に移動可能に取付けられた可動部とを含んでいる。上記胴部幅検出部は、上記可動部に設けられた非接触式の測距センサを少なくとも含んでいる。
【0022】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置にあっては、上記可動部が、上記胴部幅計測ユニットが被験者の胴部を取り囲むように配置された状態において胴部横幅方向および胴部縦幅方向のうちの少なくとも一方に沿って移動可能となるように構成されていることが好ましく、その場合に、上記胴部幅検出部が、上記可動部を移動させる間に上記測距センサにて検出された測距情報に基づいて被験者の胴部横幅および胴部縦幅のうちの少なくとも一方を検出することが好ましい。
【0023】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置にあっては、上記胴部幅検出部が、上記可動部の移動量を検出する移動量検出センサをさらに含んでいてもよい。その場合には、上記可動部が、上記胴部幅計測ユニットが被験者の胴部を取り囲むように配置された状態において胴部横幅方向および胴部縦幅方向のうちの一方に沿って移動可能となるように構成されていることが好ましく、上記胴部幅検出部が、上記可動部を移動させる間に上記測距センサにて検出された測距情報に基づいて被験者の胴部横幅および胴部縦幅のうちの一方を検出するとともに、上記移動量検出センサにて検出された移動量情報に基づいて被験者の胴部横幅および胴部縦幅のうちの他方を検出することが好ましい。さらに、その場合には、上記胴部幅検出部が、上記移動量検出センサにて検出された移動量情報に加えて上記可動部を移動させる間に上記測距センサにて検出された測距情報に基づいて被験者の胴部横幅および胴部縦幅のうちの他方を検出することとしてもよい。
【0024】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置は、上記可動部の移動方向に沿って上記可動部を一方側に向けて付勢する付勢部材をさらに備えていることが好ましい
上記本発明に基づく体脂肪測定装置は、上記生体インピーダンス測定部、上記胴部幅検出部および上記体脂肪算出部の動作を制御する制御部をさらに備えていることが好ましく、その場合に、上記制御部が、上記胴部幅検出部にて胴部幅が検出された後に上記生体インピーダンス測定部を駆動して生体インピーダンスの測定を開始するように制御することが好ましい。
【0025】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置にあっては、上記複数の電極が、被験者の胴部の表面に接触させるための胴部用電極を含んでいることが好ましい。その場合には、上記胴部用電極が、被験者が寝転んだ姿勢において被験者の胴部の下に配置されるとともに、上記胴部幅計測ユニットが、被験者が寝転んだ姿勢において被験者の胴部を取り囲むように配置されることとしてもよいし、上記胴部用電極が、上記胴部幅計測ユニットの上記基部に設けられることとしてもよい。
【0026】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置にあっては、上記複数の電極が、被験者の胴部の背中側の部分である背部の表面に接触させるための背部用電極であることが好ましい。
【0027】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置にあっては、上記体脂肪量算出部が、被験者の内臓脂肪量を算出する内臓脂肪量算出部および被験者の皮下脂肪量を算出する皮下脂肪量算出部の少なくともいずれかを含んでいることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能で、かつ安価に製造することができる体脂肪測定装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の測定原理を説明するための概念図である。
【図2】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の機能ブロックの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の構成および測定姿勢を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置に具備される測距センサおよび移動量検出センサの出力を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の制御部の処理を示すフロー図である。
【図9】第1変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図10】第1変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図11】第1変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図12】第1変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図13】第1変形例に係る体脂肪測定装置に具備される測距センサおよび移動量検出センサの出力を示す図である。
【図14】第2変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図15】第3変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図16】第3変形例に係る体脂肪測定装置に具備される測距センサの出力を示す図である。
【図17】第4変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図18】第4変形例に係る体脂肪測定装置に具備される測距センサおよび移動量検出センサの出力を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置の構成および測定姿勢を示す概略斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図21】本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図22】本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下においては、仰臥位にて測定を行なうように構成された体脂肪測定装置に本発明を適用した場合を実施の形態1およびその変形例として例示し、立位にて測定を行なうように構成された体脂肪測定装置に本発明を適用した場合を実施の形態2として例示する。なお、以下に示す各実施の形態およびその変形例においては、同一または対応する部分に図中同一の符号を付し、その説明は個々には繰り返さない。
【0031】
まず、本発明の各実施の形態およびその変形例について説明するに先立ち、身体の部位を表わす用語の定義を行なう。「胴部」は、身体の頭部、頸部および四肢を除く部位であり、いわゆる体幹に相当する。「背部」は、上記胴部のうちの背中側に位置する部分を意味し、上記胴部のうちの腹部側の部分および胸部側の部分を除く部分に相当する。「背部表面」は、上記背部の体表面全体を意味しており、被験者を背中側から観察した場合に視認可能な部分の胴部表面の全体を言う。また、「体軸」は、胴部の延在方向に沿って位置する軸、すなわち被験者の胴部の横断面に対して略垂直な方向に延びる軸を言う。「胴部横幅」は、体軸と直交する胴部の横断面における左右の端部間の寸法であり、「胴部縦幅」は、体軸と直交する胴部の横断面における前後の端部間の寸法である。また、「胴部幅」は、上述した「胴部横幅」および「胴部縦幅」のいずれか一方または両方を意味している。なお、上述した「胴部横幅」および「胴部縦幅」を決定する際の上記横断面は、好適には臍位置に対応する部分の胴部の横断面とされる。
【0032】
(実施の形態1)
図1(A)および図1(B)は、本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の測定原理を説明するための概念図である。ここで、図1(A)は、胴部全体の生体インピーダンスを得る場合の電極配置を示した図であり、図1(B)は、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスを得る場合の電極配置を示した図である。まず、これら図1(A)および図1(B)を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の測定原理について説明する。なお、図1(A)および図1(B)においては、被験者をいずれも背中側から見た様子を示している。
【0033】
図1(A)に示すように、胴部全体の生体インピーダンスを得るためには、被験者の左手の表面および右手の表面にそれぞれ電極EIaA1,EIaA2が取付けられる。また、被験者の左足の表面および右足の表面にもそれぞれ電極EIbA1,EIbA2が取付けられる。そして、被験者の背部表面には、体軸方向に沿って並ぶように配置された一対の電極が、胴部の横幅方向に沿って4組取付けられる。すなわち、被験者の背部表面には、図示するように、電極EVaA1,EVbA1,EVaA2,EVbA2,EVaA3,EVbA3,EVaA4,EVbA4の合計8個の電極が取付けられる。
【0034】
この状態において、両手および両足のそれぞれに取付けられた電極EIaA1,EIaA2,EIbA1,EIbA2を用いて、胴部を通る定電流IAが被験者に印加される。そして、この定電流IAが印加された状態において、背部表面に取付けられた一対の電極EVaA1,EVbA1を用いて電位差VA1が検出され、背部表面に取付けられた一対の電極EVaA2,EVbA2を用いて電位差VA2が検出され、背部表面に取付けられた一対の電極EVaA3,EVbA3を用いて電位差VA3が検出され、背部表面に取付けられた一対の電極EVaA4,EVbA4を用いて電位差VA4が検出される。
【0035】
このようにして検出された電位差VA1,VA2,VA3,VA4から、胴部全体の生体インピーダンスZtが算出される。なお、その際、検出された上記4つの電位差VA1,VA2,VA3,VA4の平均値を算出することで生体インピーダンスZtを求めることとすれば、胴部の内部における脂肪分布のばらつきの影響が低減できることになる。
【0036】
ここで、上記状態においては、胴部から離れた位置にある両手および両足間において定電流IAが流されているため、印加された定電流IAは、その殆どが電気抵抗の低い部分、すなわち脂肪以外の部分を通ることになる。そのため、このような定電流IAを用いて測定された電位差VA1,VA2,VA3,VA4から算出される上記生体インピーダンスZtは、胴部内部における除脂肪(内臓、筋肉および骨格)の量の影響を受けるところが大きくなる。したがって、上記生体インピーダンスZtに基づいて臍位置に対応する部分の胴部断面において除脂肪が占める面積(以下、除脂肪断面積と称する)Saが推定できることになる。
【0037】
一方、図1(B)に示すように、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスを得るためには、被験者の背部表面に、体軸方向に沿って並ぶように配置された一対の電極が、胴部の横幅方向に沿って4組取付けられる。すなわち、被験者の背部表面には、図示するように、電極EIaB1,EIbB1,EVaB1,EVbB1,EVaB2,EVbB2,EIaB2,EIbB2の合計8個の電極が取付けられる。
【0038】
この状態において、一対の電極EIaB1,EIbB1を用いて、背部を局所的に通る定電流IB1が被験者に印加され、一対の電極EIaB2,EIbB2を用いて、背部を局所的に通る定電流IB2が被験者に印加される。そして、この定電流IB1,IB2が印加された状態において、背部表面に取付けられた一対の電極EVaB1,EVbB1を用いて電位差VB1が検出され、背部表面に取付けられた一対の電極EVaB2,EVbB2を用いて電位差VB2が検出される。ここで、被験者に印加される2つの定電流IB1,IB2の電流値は、同じ値とされる。
【0039】
このようにして検出された電位差VB1,VB2から、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsが算出される。なお、その際、検出された上記2つの電位差VB1,VB2の平均値を算出することで生体インピーダンスZsを求めることとすれば、胴部の背部の表層部分における脂肪分布のばらつき等の影響が低減できることになる。なお、電流が印加されていた電極を電位差を検出するための電極とし、かつ電位差を検出していた電極を電流を印加するための電極とするように回路を切り替えることにより、4箇所で電位差を測定することも可能になる。このようにすることにより、皮下脂肪のばらつき等の影響をより一層低減させることができる。
【0040】
ここで、上記状態においては、胴部の背部において局所的に定電流IB1,IB2が印加されているため、印加された定電流IB1,IB2は、いずれもその殆どが背部の表層部分を通ることになる。そのため、このような定電流IB1,IB2を用いて測定された電位差VB1,VB2から算出される上記生体インピーダンスZsは、皮下脂肪量の影響を受けるところが大きくなる。したがって、上記生体インピーダンスZsに基づいて胴部の臍位置を含む断面における皮下脂肪断面積(以下、皮下脂肪断面積と称する)Sbが推定できることになる。
【0041】
次に、このようにして得られた上記生体インピーダンスZtおよびZsを用いて内臓脂肪量を算出する演算処理の一例について説明する。
【0042】
臍位置に対応する部分の胴部断面の全体の面積(以下、胴部断面積と称する)をStとすれば、内臓脂肪断面積Sxは、胴部断面積Stと、上述した除脂肪断面積Saおよび皮下脂肪断面積Sbとを用いて、以下の式(1)より算出することができる。
【0043】
Sx=St−Sa−Sb ・・・式(1)
【0044】
ここで、胴部断面積Stは、胴部周囲長(いわゆるウエスト長)や、胴部の横幅および縦幅を用いて算出することが可能である。たとえば、胴部の横幅および縦幅から胴部断面積Stを算出する場合には、胴部の横幅を2×a、胴部の縦幅を2×bとすれば、胴部の断面形状はおおよそ楕円形であるため、胴部断面積Stは、以下の式(2)で近似できる。
【0045】
St=π×a×b ・・・式(2)
【0046】
ただし、上記式(2)で近似される胴部断面積Stは、誤差が多く含まれている可能性が高いため、誤差を低減するための係数αをこれに乗ずることによって、より正確な胴部断面積Stを求めることが好ましい。この係数αとしては、たとえば多数のX線CTによる画像サンプルに基づいて、当該画像サンプルから得られる胴部断面積St′と、上記aおよびbとの関係から、St′=α×π×a×bを充足するαの最適値を求めることで得られる。
【0047】
したがって、上記式(2)は、係数αを用いることで、以下の式(3)によってより誤差を低減した状態で近似できることになる。
【0048】
St=α×π×a×b ・・・式(3)
【0049】
なお、上記補正のために乗ずる係数αに関しては、被験者の性別、年齢、身長、体重等の情報(以下、これらを総称して被験者情報と称する)に応じて適宜最適化することが好ましい。すなわち、当該被験者情報に応じて上記係数αの値を変更することにより、より高精度に胴部断面積Stが近似できることになる。
【0050】
また、上記のとおり、除脂肪断面積Saは、胴部全体の生体インピーダンスZtに基づいて算出することができる。ただし、この胴部全体の生体インピーダンスZtのみでは、除脂肪断面積Saを正確に算出することはできない。すなわち、除脂肪断面積Saは、胴部の大きさに比例する傾向があり、除脂肪断面積Saを算出するためには、生体インピーダンスZtから得られる値をさらに換算することが必要である。したがって、除脂肪断面積Saは、たとえば以下の式(4)で表わされることになる。
【0051】
Sa=β×a×(1/Zt) ・・・式(4)
【0052】
ここで、上記aは、上述のとおり胴部の横幅の半分の値であり、胴部の大きさに関係する値である。この胴部の大きさに関係する値としては、上記aに限られず、たとえば胴部の横幅および縦幅が反映されるようにa×bを使用してもよいし、胴部断面積Stを使用してもよいし、胴部周囲長を使用してもよい。
【0053】
一方、上記βは、胴部全体の生体インピーダンスZtを除脂肪断面積Saに換算するための係数であり、上記係数αを求めた場合と同様に、たとえば多数のX線CTによる画像サンプルに基づいて最適値を求めることができる。すなわち、多数のX線CTによる画像サンプルから得られる除脂肪断面積Sa′と、当該X線CTの撮影対象となった被験者の胴部全体の生体インピーダンスZtと、上記aとの関係から、Sa′=β×a×(1/Zt)を充足するβの最適値を求めることで得られる。
【0054】
なお、上述した係数βは、上記係数αの場合と同様に、被験者情報に応じて適宜最適化されることが好ましい。すなわち、当該被験者情報に応じて上記係数βの値を変更することにより、より高精度に除脂肪断面積Saを近似できることになる。
【0055】
さらに、上記のとおり、皮下脂肪断面積Sbは、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsに基づいて算出することができる。ただし、この胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsのみでは、皮下脂肪断面積Sbを正確に算出することはできない。すなわち、皮下脂肪断面積Sbは、胴部の大きさに比例する傾向があり、皮下脂肪断面積Sbを算出するためには、生体インピーダンスZsから得られる値をさらに換算することが必要である。したがって、皮下脂肪断面積Sbは、たとえば以下の式(5)で表わされることになる。
【0056】
Sb=γ×a×Zs ・・・式(5)
【0057】
ここで、上記aは、上述のとおり胴部の横幅の半分の値であり、胴部の大きさに関係する値である。この胴部の大きさに関係する値としては、上記aに限られず、たとえば胴部の横幅および縦幅が反映されるようにa×bを使用してもよいし、胴部断面積Stを使用してもよいし、胴部周囲長を使用してもよい。
【0058】
一方、上記γは、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsを皮下脂肪断面積Sbに換算するための係数であり、上記係数αまたは係数βを求めた場合と同様に、たとえば多数のX線CTによる画像サンプルに基づいて最適値を求めることができる。すなわち、多数のX線CTによる画像サンプルから得られる皮下脂肪断面積Sb′と、当該X線CTの撮影対象となった被験者の胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsと、上記aとの関係から、Sb′=γ×a×Zsを充足するγの最適値を求めることで得られる。
【0059】
なお、上述した係数γは、上記係数αおよび係数βの場合と同様に、被験者情報に応じて適宜最適化されることが好ましい。すなわち、当該被験者情報に応じて上記係数γの値を変更することにより、より高精度に皮下脂肪断面積Sbを近似できることになる。
【0060】
以上のように、本実施の形態における体脂肪測定装置においては、胴部断面積Stと、胴部全体の生体インピーダンスZtに基づいて算出される除脂肪断面積Saと、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsに基づいて算出される皮下脂肪断面積Sbとから、上記式(1)に基づいて内臓脂肪断面積Sxが算出され、より詳細には、上記式(1)に上記式(3)ないし式(5)を代入した以下の式(6)に基づいて内臓脂肪断面積Sxが算出されることになる。
【0061】
Sx=α×π×a×b−β×a×(1/Zt)−γ×a×Zs ・・・式(6)
【0062】
図2は、本実施の形態における体脂肪測定装置の機能ブロックの構成を示すブロック図である。次に、この図2を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の機能ブロックの構成について説明する。
【0063】
図2に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aは、制御部10と、定電流生成部21と、端子切替部22と、電位差検出部23と、胴部横幅検出部24Aと、胴部縦幅検出部24Bと、被験者情報入力部25と、表示部26と、操作部27と、電源部28と、メモリ部29と、被験者の身体に装着される複数の電極HR,HL,BU1〜BU4,BL1〜BL4,FR,FLとを有している。制御部10は、演算処理部11を含んでおり、当該演算処理部11は、生体インピーダンス測定部12と、体形情報測定部13と、体組成情報取得部14とを含んでいる。
【0064】
制御部10は、たとえばCPU(Central Processor Unit)によって構成され、体脂肪測定装置1Aの全体を制御するための部位である。具体的には、制御部10は、上述した各機能ブロックに対して指令を出力したり、上述した各機能ブロックから各種情報の入力を受け付けたり、受け付けた各種情報に基づいて各種演算処理を行なったりする。このうちの各種演算処理については、上述した制御部10に設けられた演算処理部11によって行なわれる。
【0065】
上述した複数の電極は、被験者の上肢の表面に接触配置される上肢用電極としての手用電極HR,HLと、被験者の背部表面に接触配置される背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4と、被験者の下肢の表面に接触配置される下肢用電極としての足用電極FR,FLとを含んでいる。このうち、手用電極HR,HLは、被験者の手首に接触配置され、足用電極FR,FLは、被験者の足首に接触配置される。また、背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4は、図1(A)および図1(B)に示したように、被験者の背部表面に整列した状態で接触配置される。なお、これら手用電極HR,HL、背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4、および足用電極FR,FLは、いずれも上述した端子切替部22に電気的に接続されている。
【0066】
端子切替部22は、たとえばリレー回路によって構成され、制御部10から入力される指令に基づき、上述した複数の電極のうちから選択された特定の電極と定電流生成部21とを電気的に接続するとともに、上述した複数の電極のうちから選択された特定の電極と電位差検出部23とを電気的に接続する。これにより、端子切替部22によって定電流生成部21に電気的に接続された電極が定電流印加電極として機能することになり、また端子切替部22によって電位差検出部23に電気的に接続された電極が電位差検出電極として機能することになる。すなわち、端子切替部22が制御部10から入力される指令に基づいて動作することにより、上述した複数の電極HR,HL,BU1〜BU4,BL1〜BL4,FR,FLが、図1(A)に示した各電極EIaA1,EIaA2,EIbA1,EIbA2,EVaA1,EVbA1,EVaA2,EVbA2,EVaA3,EVbA3,EVaA4,EVbA4、および図1(B)に示した電極EIaB1,EIbB1,EVaB1,EVbB1,EVaB2,EVbB2,EIaB2,EIbB2のうちのいずれかとしてそれぞれ機能することになる。
【0067】
定電流生成部21は、制御部10から入力される指令に基づいて定電流を生成し、生成した定電流を端子切替部22を介して上述の定電流印加電極に供給する。定電流生成部21において生成される定電流としては、体組成情報を測定するために好適に使用される高周波電流(たとえば、50kHz,500μA)が選択される。これにより、定電流印加電極を介して定電流が被験者に印加されることになる。
【0068】
電位差検出部23は、端子切替部22によって電位差検出部23に電気的に接続された電極(すなわち電位差検出電極)間における電位差を検出し、検出した電位差を制御部10に対して出力する。これにより、上述した定電流が被験者に印加された状態における電位差検出電極間の電位差が検出されることになる。
【0069】
胴部横幅検出部24Aは、被験者の胴部の横幅を非接触で測定するための検出部位であり、たとえば光電センサ等の測距センサにて構成される。また、胴部縦幅検出部24Bは、被験者の胴部の縦幅を測定するための検出部位であり、たとえば各種エンコーダ等を利用した移動量検出センサまたは光電センサ等の非接触式の測距センサにて構成される。ただし、本実施の形態においては、胴部縦幅検出部24Bとして、各種エンコーダ等を利用した移動量検出センサを使用している。これら胴部横幅検出部24Aおよび胴部縦幅検出部24Bは、検出値に応じた信号を体形情報測定部13に対して出力する。なお、上述した測距センサとしては、光電センサの他にも、超音波や電磁波(レーザ光、可視光等を含む各種波長帯の光、電波、磁気、電界等)を利用する各種の非接触式測距センサを利用することができる。
【0070】
被験者情報入力部25は、演算処理部11で行なわれる演算処理に利用される被験者に関する情報を得るための部位であり、たとえば被験者が押下可能なキー等によって構成される。ここで、被験者情報には、上述したように被験者の性別、年齢、身長、体重等の情報のうちの少なくとも1つが含まれる。被験者情報入力部25は、被験者情報の入力を受け付け、受け付けた被験者情報を制御部10に対して出力する。なお、被験者情報入力部25は、本発明に照らした場合には必ずしも必須の構成ではなく、演算処理部11で行なう演算処理において当該被験者情報を利用することが必要であるか否かに応じてその有無が決定されるものである。
【0071】
演算処理部11は、上述したように生体インピーダンス測定部12と、体形情報測定部13と、体組成情報取得部14とを含んでいる。また、体組成情報取得部14は、内臓脂肪量算出部14aと、皮下脂肪量算出部14bとを含んでいる。生体インピーダンス測定部12は、電位差検出部23から入力された信号に基づいて生体インピーダンスを算出し、これを体組成情報取得部14に出力する。体形情報測定部13は、胴部横幅検出部24Aおよび胴部縦幅検出部24Bから入力された信号に基づいて被験者の胴部の横幅および縦幅を算出し、これを体組成情報取得部14に出力する。体組成情報取得部14は、生体インピーダンス測定部12から入力された生体インピーダンスと、体形情報測定部13から入力された胴部の横幅および縦幅と、場合によってはさらにこれに加えて被験者情報入力部25から入力された被験者情報とに基づいて体組成情報を算出して取得する。より詳細には、内臓脂肪量算出部14aにおいて内臓脂肪量が算出され、皮下脂肪量算出部14bにおいて皮下脂肪量が算出される。
【0072】
表示部26は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)等によって構成され、上述の体組成情報取得部14において算出された体組成情報を表示する。より具体的には、内臓脂肪量算出部14aにおいて算出された内臓脂肪量および皮下脂肪量算出部14bにおいて算出された皮下脂肪量が、制御部10から出力される信号に基づいて当該表示部26にて表示される。ここで、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aにおいては、内臓脂肪量がたとえば内臓脂肪断面積で表示され、皮下脂肪量がたとえば皮下脂肪断面積で表示される。
【0073】
操作部27は、体脂肪測定装置1Aに対して被験者が命令を入力するための部位であり、たとえば被験者が押下可能なボタン等によって構成される。なお、操作部27には、たとえば電源ボタンや測定ボタン等の各種操作ボタンを含んでいる。
【0074】
電源部28は、制御部10に電力を供給するための部位であり、バッテリ等の内部電源や商用電源等の外部電源等が利用される。
【0075】
メモリ部29は、たとえばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等によって構成され、体脂肪測定装置1Aに関する各種のデータやプログラム等を記憶するための部位である。メモリ部29は、たとえば上述した被験者情報や算出された体組成情報、後述する体組成情報の測定処理を実行するための体組成情報測定プログラム等を記憶している。
【0076】
図3は、本実施の形態における体脂肪測定装置の構成および測定姿勢を示す概略斜視図である。図4は、本実施の形態における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。図5および図6は、本実施の形態における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。また、図7は、本実施の形態における体脂肪測定装置に具備される測距センサおよび移動量検出センサの出力を示す図である。次に、これら図3ないし図7を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の構成、測定姿勢、胴部幅計測ユニットの構成、これを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法等について説明する。
【0077】
まず、図3および図4を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の構成および胴部幅計測ユニットの構成について説明する。
【0078】
図3に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aは、主として、胴部幅計測ユニット100Aと、背部用電極支持ユニット120と、右手装着ユニット122Aと、左手装着ユニット122Bと、右足装着ユニット123Aと、左足装着ユニット123Bと、本体ユニット130とを備えている。これらユニット100A,120,122A,122B,123A,123B,130には、上述した各種機能ブロックが設けられている。本体ユニット130と、残る他のユニット100A,120,122A,122B,123A,123Bのそれぞれとは、接続ケーブル132によって電気的に接続されており、当該接続ケーブル132を介して上述した各種機能ブロック間の信号の授受等が行なわれる。
【0079】
本体ユニット130は、その上面に被験者情報入力部25、操作部27および表示部26等が設けられてなる箱状のユニットからなり、上述した制御部10、定電流生成部21、端子切替部22、電位差検出部23、電源部28およびメモリ部29等を含んでいる。
【0080】
背部用電極支持ユニット120は、ベッド面400上に展開した状態で載置が可能なシート状のユニットからなり、絶縁性のマット121と、このマット121の主表面上に配設された背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4とを含んでいる。背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4は、マット121上において行列状に整列して設けられており、当該マット121上に被験者300が仰臥位にて寝転んだ姿勢において被験者300の胴部301の背部表面に確実に接触するように、上記マット121の主表面から僅かに突出して設けられている。なお、背部用電極支持ユニット120に設けられた背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4は、いずれも上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた端子切替部22に接続されている。
【0081】
右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bは、いずれもクリップ状のユニットからなり、測定時においてそれぞれ被験者300の右手302Aおよび左手302Bに装着される。右手装着ユニット122Aには、手用電極HRが配設されており、左手装着ユニット122Bには、手用電極HLが配設されている。手用電極HR,HLのそれぞれは、右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bを右手302Aおよび左手302Bに装着した状態において、当該被験者300の右手表面および左手表面に接触するように、右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bに露出して設けられている。なお、右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bに設けられた手用電極HR,HLは、いずれも上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた端子切替部22に接続されている。
【0082】
右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bは、いずれもクリップ状のユニットからなり、測定時においてそれぞれ被験者300の右足303Aおよび左足303Bに装着される。右足装着ユニット123Aには、足用電極FRが配設されており、左足装着ユニット123Bには、足用電極FLが配設されている。足用電極FR,FLのそれぞれは、右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bを右足303Aおよび左足303Bに装着した状態において、当該被験者300の右足表面および左足表面に接触するように、右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bに露出して設けられている。なお、右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bに設けられた足用電極FR,FLは、いずれも上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた端子切替部22に接続されている。
【0083】
図3および図4に示すように、胴部幅計測ユニット100Aは、ベッド面400上に仰臥位にて寝転んだ姿勢にある被験者300の胴部301を取り囲むように配置が可能な枠形状を有する門型のユニットからなる。より詳細には、胴部幅計測ユニット100Aは、棒状の上部枠状部111、棒状の右側部枠状部112および棒状の左側部枠状部113を含む枠体110によって構成されており、被験者300の胴部301を取り囲むように配置された状態において被験者300の胴部301に対する相対的な位置が変化しない一対の基部101と、被験者300の胴部301を取り囲むように配置された状態において被験者300の胴部301に対する相対的な位置が変化可能となるように上記一対の基部101に移動可能に取付けられた可動部102とを有している。
【0084】
一対の基部101は、右側部枠状部112および左側部枠状部113のそれぞれ下端寄りの部分にて構成されており、一対の基部101の下端には、それぞれ脚部112a,113aが設けられている。脚部112a,113aは、胴部幅計測ユニット100Aを安定的にベッド面400上において載置させるための部位である。可動部102は、上部枠状部111の全体と、右側部枠状部112および左側部枠状部113のそれぞれ上端寄りの部分にて構成されており、上下方向(すなわち胴部縦幅方向)に沿って移動可能に基部101に取付けられている。
【0085】
一対の基部101には、付勢部材としてのバネ等からなる弾性体103(図3において不図示、図4参照)がそれぞれ外挿されており、これら弾性体103は、可動部102と脚部112a,113aとによってそれぞれ挟み込まれて保持されている。当該弾性体103は、可動部102を上方に向けて付勢するための部材であり、図4に示す初期位置から可動部102が下方に押し下げられた場合にこれを上方に向けて押し上げて上記初期位置に復帰させるためのものでもある。
【0086】
図4に示すように、胴部幅計測ユニット100Aの可動部102に相当する部分の右側部枠状部112および左側部枠状部113の内側表面(すなわち、胴部幅計測ユニット100Aが被験者300の胴部301を取り囲むように配置された状態において、被験者300の胴部301に面する側の胴部幅計測ユニット100Aの表面)には、上述した胴部横幅検出部24Aとしての測距センサSA1,SA2がそれぞれ取付けられている。測距センサSA1,SA2は、いずれも胴部幅計測ユニット100Aの内側に向けて水平方向に光を照射し、その反射光を受光することによって測距センサSA1,SA2から検出体である被験者300の胴部301までの距離を測定するものである。
【0087】
測距センサSA1,SA2は、上述した可動部102の下端寄りの位置に設けられており、可動部102が上下方向に移動した場合にこれに追従して上下方向に移動する。ここで、測距センサSA1,SA2は、可動部102が図4に示す初期位置にある状態において被験者300の胴部301の側方の位置に配置されている。なお、胴部幅計測ユニット100Aに設けられた測距センサSA1,SA2は、いずれも上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた制御部10に接続されている。
【0088】
また、胴部幅計測ユニット100Aには、上述した胴部縦幅検出部24Bとしての移動量検出センサ(図4等において不図示)が取付けられている。移動量検出センサは、上述した弾性体103の付勢力に抗して可動部102が押し下げられた場合の可動部102の初期位置からの移動量を検出するためのものである。なお、胴部幅計測ユニット100Aに設けられた移動量検出センサは、上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた制御部10に接続されている。
【0089】
次に、図3を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置を用いて内臓脂肪量等の体脂肪量を測定する場合に被験者がとるべき測定姿勢について説明する。
【0090】
図3に示すように、測定に際しては、被験者300は、ベッド面400上に展開して載置された背部用電極支持ユニット120の上に仰臥位で寝転ぶ。その際、背部用電極支持ユニット120に設けられた背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4に背部表面が接触するように寝転ぶ位置を調節する。また、被験者300は、右手302Aの手首および左手302Bの手首に右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bを装着するとともに、右足303Aの足首および左足303Bの足首に右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bを装着する。
【0091】
この状態において、胴部幅計測ユニット100Aは、臍位置を含む部分の胴部301周りに配置され、当該胴部幅計測ユニット100Aを用いて胴部横幅および胴部縦幅が測定される。そして、その後に、背部用電極支持ユニット120、右手装着ユニット122A、左手装着ユニット122B、右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bに設けられた電極HR,HL,BU1〜BU4,BL1〜BL4,FR,FLを用いて生体インピーダンスが測定されることになる。
【0092】
次に、図4ないし図7を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置に具備された胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法について説明する。
【0093】
図4ないし図6は、胴部幅を計測するために可動部102を下方(図中に示す矢印X1方向)に向けて移動させた場合の様子を段階的に示した図である。ここで、図4は、可動部102が初期位置にある状態を示しており、図5は、可動部102が押し下げられることで測距センサSA1,SA2が被験者300の胴部301の左右の端部に対峙した位置にある状態を示しており、図6は、可動部102がさらに下方に押し下げられてそれ以上移動しなくなる位置に達した状態を示している。
【0094】
また、図7は、可動部102の上下方向の位置と、測距センサSA1の出力O1、測距センサSA2の出力O2および移動量検出センサの出力O3との関係を示したグラフであり、当該図7においては、上述した図4ないし図6において示した可動部102の位置をそれぞれP4〜P6にて示している。なお、図7に関連し、測距センサSA1,SA2としては、検出した距離が大きくなるにつれてその出力が小さくなるものを使用し、移動量検出センサとしては、検出した移動量が大きくなるにつれてその出力が大きくなるものを使用している。
【0095】
胴部横幅は、可動部102が移動する間に出力される測距センサSA1,SA2の出力O1,O2から算出される。図4ないし図6に示すように、測距センサSA1,SA2が被験者300の胴部301の左右に位置した状態においては、測距センサSA1,SA2から出射された光は、それぞれ被験者300の胴部301の右側面(すなわち右脇腹部表面)および被験者300の胴部301の左側面(すなわち左脇腹部表面)に照射されることになる。そのため、図7に示すように、可動部102が移動する間に出力される測距センサSA1,SA2の出力O1,O2は、測距センサSA1,SA2から被験者300の胴部301までの水平方向の距離に応じた出力となる。
【0096】
したがって、図5に示すように、測距センサSA1,SA2の出力の最小値O1min,O2min(図7参照)に応じた距離である距離A1,A2(A1:測距センサSA1と被験者300の胴部301の右側面の端部との間の距離、A2:測距センサSA2と被験者300の胴部301の左側面の端部との間の距離)と、予め定められている距離A(測距センサSA1と測距センサSA2との間の距離)とを用いれば、被験者300の胴部横幅2×aが、以下の式(7)に基づいて算出されることになる。
【0097】
2×a=A−A1−A2 ・・・式(7)
【0098】
一方、胴部縦幅は、可動部102が移動する間に出力される移動量検出センサの出力O3から算出される。図6に示すように、可動部102は、下方に押し下げられることで被験者300の胴部301の上面に接触することになるため、当該接触した状態においてそれ以上は下方に向けて移動しなくなる。
【0099】
したがって、図6に示すように、可動部102が移動する間の移動量検出センサの出力の最大値O3max(図7参照)に応じた距離であるB1と、予め定められている距離B(可動部102が初期位置にある場合の、可動部102の上部枠状部111と背部用電極支持ユニット120のマット121の上面との間の距離)とを用いれば、被験者300の胴部縦幅2×bが、以下の式(8)に基づいて算出されることになる。
【0100】
2×b=B−B1 ・・・式(8)
【0101】
このように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aは、胴部幅計測ユニット100Aに設けた2つの測距センサSA1,SA2および1つの移動量検出センサによって胴部横幅および胴部縦幅が計測可能に構成されている。より詳細には、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aにおいては、胴部縦幅方向に沿って可動部102が移動可能となるように可動部102を基部101に取付け、胴部横幅検出部24Aを可動部102の所定位置に設けた上記2つの測距センサSA1,SA2にて構成し、胴部縦幅検出部24Bを可動部102の移動量を検出する上記1つの移動量検出センサにて構成し、これにより胴部横幅および胴部縦幅の計測が可能とされている。
【0102】
図8は、本実施の形態における体脂肪測定装置の制御部の処理を示すフロー図である。次に、この図8を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の制御部において実行される一連の処理について説明する。なお、図8のフローチャートに示す処理は、予めプログラムとしてメモリ部29に格納されており、演算処理部11を含む制御部10がこのプログラムを読み出して実行することにより、内臓脂肪断面積の測定処理、皮下脂肪断面積の測定処理が制御部10によって実現される。
【0103】
図8に示すように、制御部10は、まず被験者情報の入力を受け付ける(ステップS1)。ここで受け付けた被験者情報は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
【0104】
次に、制御部10は、測定開始の指示があったか否かを判断する(ステップS2)。制御部10は、測定開始の指示があるまで待機し(ステップS2においてNO)、測定開始の指示を検知した場合に(ステップS2においてYES)、次の処理に移行する。
【0105】
次に、制御部10は、胴部の横幅および縦幅を計測する(ステップS3)。具体的には、制御部10は、胴部幅計測ユニット100Aの可動部102が下方に向けて移動するように操作されることを待って、当該操作の際に胴部横幅検出部24Aおよび胴部縦幅検出部24Bから入力された信号に基づいて体形情報測定部13において被験者300の胴部301の横幅2×aおよび縦幅2×bを取得する。取得した被験者300の胴部301の横幅2×aおよび縦幅2×bは、一時的にメモリ部29に保存される。なお、上記操作は、被験者300が自ら行なってもよいし、補助者等が行なってもよい。
【0106】
次に、制御部10は、電極の設定を行なう(ステップS4)。具体的には、制御部10は、端子切替部22に対して電極の切替えを行なうように指令を出力し、これに基づいて端子切替部22は、複数の電極HR,HL,BU1〜BU4,BL1〜BL4,FR,FLのそれぞれを、図1(A)に示した各電極の如くに設定する。
【0107】
次に、制御部10は、定電流印加電極間に定電流を印加する(ステップS5)。具体的には、制御部10は、定電流生成部21に対して定電流を生成するように指令を出力し、これに基づいて定電流生成部21は、図1(A)に示した定電流印加電極間に生成した定電流IAを印加する。
【0108】
次に、制御部10は、電位差検出電極間の電位差を検出する(ステップS6)。具体的には、制御部10は、電位差検出部23に対して電位差を検出するように指令を出力し、これに基づいて電位差検出部23は、図1(A)に示した電位差検出電極間の電位差VA1,VA2,VA3,VA4を検出し、これを生体インピーダンス測定部12に対して出力する。
【0109】
次に、制御部10は、生体インピーダンスZtを算出する(ステップS7)。具体的には、制御部10は、電位差検出部23から入力された信号に基づいて生体インピーダンス測定部12において生体インピーダンスZtを算出する。算出された生体インピーダンスZtは、メモリ部29に一時的に保存される。
【0110】
次に、制御部10は、改めて電極の設定を行なう(ステップS8)。具体的には、制御部10は、端子切替部22に対して電極の切替えを行なうように指令を出力し、これに基づいて端子切替部22は、複数の電極HR,HL,BU1〜BU4,BL1〜BL4,FR,FLのそれぞれを、図1(B)に示した各電極の如くに設定する。
【0111】
次に、制御部10は、定電流印加電極間に定電流を印加する(ステップS9)。具体的には、制御部10は、定電流生成部21に対して定電流を生成するように指令を出力し、これに基づいて定電流生成部21は、図1(B)に示した定電流印加電極間に生成した定電流IB1,IB2をそれぞれ印加する。
【0112】
次に、制御部10は、電位差検出電極間の電位差を検出する(ステップS10)。具体的には、制御部10は、電位差検出部23に対して電位差を検出するように指令を出力し、これに基づいて電位差検出部23は、図1(B)に示した電位差検出電極間の電位差VB1,VB2を検出し、これを生体インピーダンス測定部12に対して出力する。
【0113】
次に、制御部10は、生体インピーダンスZsを算出する(ステップS11)。具体的には、制御部10は、電位差検出部23から入力された信号に基づいて生体インピーダンス測定部12において生体インピーダンスZsを算出する。算出された生体インピーダンスZsは、メモリ部29に一時的に保存される。
【0114】
次に、制御部10は、内臓脂肪断面積および皮下脂肪断面積をそれぞれ算出する(ステップS12)。具体的には、制御部10は、ステップS3で検出された胴部の横幅2×aおよび縦幅2×bと、ステップS7で算出された生体インピーダンスZtと、ステップS11で算出された生体インピーダンスZsとに基づいて、内臓脂肪量算出部14aにおいて内臓脂肪量としての内臓脂肪断面積Sxを、皮下脂肪量算出部14bにおいて皮下脂肪量としての皮下脂肪断面積Sbとをそれぞれ算出する。なお、算出した内臓脂肪断面積Sxおよび皮下脂肪断面積Sbは、メモリ部29に一時的に保存される。
【0115】
そして、制御部10は、測定結果の表示を行なう(ステップS13)。具体的には、制御部10は、表示部26に対してステップS12において算出した内臓脂肪断面積Sxおよび皮下脂肪断面積Sbを表示するように指令を出力し、これに基づいて表示部26は、当該測定結果を表示する。
【0116】
以上により、体脂肪測定装置1Aは、内臓脂肪断面積の測定処理および皮下脂肪断面積の測定処理を終了する。
【0117】
以上において説明した本実施の形態における体脂肪測定装置1Aにあっては、胴部幅計測ユニット100Aに基部101と可動部102とを設け、可動部102に非接触式の測距センサSA1,SA2を設けることで胴部横幅の測定を可能にしている。このように構成することにより、多数のセンサを使用せずとも可動部102を下方に向けて押し下げるという非常に簡便な操作にて胴部横幅と胴部縦幅との測定が確実にかつ精度よく行なえることになり、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能で、かつ安価に製造することができる体脂肪測定装置とすることができる。しかも、上記構成を採用することにより、補助者等の協力を得なくとも被験者自らが1人で測定を行なうことも可能になるため、日常的に内臓脂肪量等を測定するのに適した体脂肪測定装置とすることができる。
【0118】
以上においては、測定の際に被験者がとるべき姿勢として仰臥位が採用された体脂肪測定装置において、胴部横幅検出ユニットに可動部を設け、当該可動部に非接触式の測距センサを設けることで、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能で、かつ安価に製造することができる体脂肪測定装置とした場合の一構成例を例示して説明を行なったが、その具体的な構成例は、上記に限定されるものではなく、同様の観点から種々の構成例が考えられる。以下においては、そのうちの幾つかを本実施の形態に基づいた変形例として例示して説明する。
【0119】
(第1変形例)
図9は、第1変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。図10ないし図12は、本第1変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。また、図13は、本第1変形例に係る体脂肪測定装置に具備される測距センサおよび移動量検出センサの出力を示す図である。
【0120】
図9ないし図13に示すように、本第1変形例に係る体脂肪測定装置は、胴部幅計測ユニットの構成、胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法において上述した実施の形態1における体脂肪測定装置1Aと相違している。
【0121】
具体的には、図9に示すように、本第1変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニット100Bは、上述した実施の形態1における体脂肪測定装置1Aの胴部幅計測ユニット100Aに比べ、可動部102の可動範囲が上方に向けて拡張されており、可動部102が図9に示す初期位置にある状態において、測距センサSA1,SA2が被験者300の胴部301よりも上方の位置に配置されている。
【0122】
図9ないし図12は、胴部幅を計測するために可動部102を下方(図中に示す矢印X1方向)に向けて移動させた場合の様子を段階的に示した図である。ここで、図9は、可動部102が初期位置にある状態を示しており、図10は、可動部102が押し下げられることで測距センサSA1,SA2が被験者300の胴部301の上端に対峙した位置にある状態を示している。また、図11は、可動部102が押し下げられることで測距センサSA1,SA2が被験者300の胴部301の左右の端部に対峙した位置にある状態を示しており、図12は、可動部102がさらに下方に押し下げられてそれ以上移動しなくなる位置に達した状態を示している。また、図13は、可動部102の上下方向の位置と、測距センサSA1の出力O1、測距センサSA2の出力O2および移動量検出センサの出力O3との関係を示したグラフであり、当該図13においては、上述した図9ないし図12において示した可動部102の位置をそれぞれP9〜P12にて示している。
【0123】
胴部横幅は、可動部102が移動する間に出力される測距センサSA1,SA2の出力O1,O2から算出される。なお、その具体的な計測方法は、上述した実施の形態1におけるそれと同様であるため、その説明はここでは繰り返さない。
【0124】
一方、胴部縦幅は、可動部102が移動する間に出力される測距センサSA1,SA2の出力O1,O2と、可動部102が移動する間に出力される移動量検出センサの出力O3とから算出される。図10に示すように、可動部102は、下方に押し下げられることで被験者300の胴部301の上端が位置する高さを通過することになるため、その際の測距センサSA1,SA2の出力O1,O3に図13に示すような特徴点(具体的には、出力O1,O2が極端に減少する点)が現れる。
【0125】
したがって、図10に示すように、可動部102が移動する間に現れる測距センサSA1,SA2の出力の上記特徴点(図13参照)における移動量検出センサの出力O3aに応じた距離であるB2と、予め定められている距離B(可動部102が初期位置にある場合の、測距センサSA1,SA2と背部用電極支持ユニット120のマット121の上面との間の距離、図10もあわせて参照)とを用いれば、被験者300の胴部縦幅2×bが、以下の式(9)に基づいて算出されることになる。
【0126】
2×b=B−B2 ・・・式(9)
【0127】
このように、本第1変形例に係る体脂肪測定装置においても、上述した実施の形態1における体脂肪測定装置1Aと同様に、胴部幅計測ユニット100Bに設けた2つの測距センサSA1,SA2および1つの移動量検出センサによって胴部横幅および胴部縦幅が計測可能に構成されている。より詳細には、本第1変形例に係る体脂肪測定装置においては、胴部縦幅方向に沿って可動部102が移動可能となるように可動部102を基部101に取付け、胴部横幅検出部24Aを可動部102の所定位置に設けた上記2つの測距センサSA1,SA2にて構成し、胴部縦幅検出部24Bを可動部102の所定位置に設けた上記2つの測距センサSA1,SA2および可動部102の移動量を検出する上記1つの移動量検出センサにて構成し、これにより胴部横幅および胴部縦幅の計測が可能とされている。
【0128】
そのため、上記構成を採用することにより、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られる。ここで、上述した実施の形態1における体脂肪測定装置1Aにあっては、胴部幅計測ユニット100Aの上部枠状部111が被験者300の胴部301の上面に接触することで胴部縦幅が計測されるように構成されていたが、本第1変形例に係る体脂肪測定装置において、ストッパ等によって上部枠状部111が被験者300の胴部301の上面に接触する手前で停止するように構成すれば、胴部幅計測ユニット100Bの上部枠状部111が被験者300の胴部301の上面に接触することなく胴部縦幅が計測されるようになる。したがって、このように構成することにより、胴部幅計測ユニットが胴部に接触することによる圧迫感を被験者に与えることがなくなるため、被験者への負担をより軽減することができる。
【0129】
(第2変形例)
図14は、第2変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。次に、この図14を参照して、本第2変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成、これを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法等について説明する。なお、図14においては、後述する可動部102a,102bが初期位置にある状態を実線にて示しており、当該可動部102a,102bが当該初期位置から移動した位置にある状態を破線にて示している。
【0130】
図14に示すように、本第2変形例に係る体脂肪測定装置は、胴部幅計測ユニットの構成において上述した第1変形例に係る体脂肪測定装置と相違している。
【0131】
具体的には、本第2変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニット100Cにあっては、基部101が、上部枠状部111、右側部枠状部112および左側部枠状部113からなる枠体110の全体によって構成されており、このうちの右側部枠状部112に可動部102aが移動可能に取付けられており、左側部枠状部113に可動部102bが移動可能に取付けられている。より詳細には、可動部102a,102bのそれぞれは、右側部枠状部112および左側部枠状部113のそれぞれに上下方向に沿って延設されたガイドレールに係合しており、図示しないモータ等の駆動手段によって駆動されることにより、当該ガイドレールに沿って胴部縦幅方向(図中に示す矢印X方向)に移動する。ここで、可動部102a,102bのそれぞれの内側表面には、測距センサSA1,SA2が設けられている。
【0132】
また、胴部幅計測ユニット100Cには、図14において実線で示すの初期位置からの可動部102a,102bの移動量を検出するための移動量検出センサ(不図示)が設けられている。ここで、リンク機構等を用いることによって可動部102a,102bを同時に移動するように構成すれば、移動量検出センサを個別に複数設ける必要はなく、1つの移動量検出センサにてこれら可動部102a,102bの移動量を検出することが可能になる。
【0133】
胴部横幅は、可動部102a,102bが移動する間に出力される測距センサSA1,SA2の出力O1,O2から算出される。なお、その具体的な計測方法は、上述した実施の形態1におけるそれと同様であるため、その説明はここでは繰り返さない。
【0134】
一方、胴部縦幅は、可動部102a,102bが移動する間に出力される測距センサSA1,SA2の出力O1,O2と、可動部102a,102bが移動する間に出力される移動量検出センサの出力O3とから算出される。なお、その具体的な計測方法は、上述した第1変形例におけるそれと同様であるため、その説明はここでは繰り返さない。
【0135】
このように、本第2変形例に係る体脂肪測定装置においても、上述した第1変形例に係る体脂肪測定装置と同様に、胴部幅計測ユニット100Cに設けた2つの測距センサSA1,SA2および1つの移動量検出センサによって胴部横幅および胴部縦幅が計測可能に構成されている。より詳細には、本第2変形例に係る体脂肪測定装置においては、胴部縦幅方向に沿って可動部102が移動可能となるように可動部102を基部101に取付け、胴部横幅検出部24Aを可動部102の所定位置に設けた上記2つの測距センサSA1,SA2にて構成し、胴部縦幅検出部24Bを可動部102の所定位置に設けた上記2つの測距センサSA1,SA2および可動部102の移動量を検出する上記1つの移動量検出センサにて構成し、これにより胴部横幅および胴部縦幅の計測が可能とされている。
【0136】
そのため、上記構成を採用することにより、上述した第1変形例において説明した効果と同様の効果が得られる。ここで、上述した第1変形例に係る体脂肪測定装置にあっては、被験者または補助者が可動部を押し下げることで可動部が移動するように構成されていたが、本第2変形例に係る体脂肪測定装置においては、モータ等の駆動手段によって可動部を移動させるように構成している。したがって、このように構成することにより、測定の際の操作のさらなる容易化が図られることになり、使い勝手のよい体脂肪測定装置とすることができる。
【0137】
(第3変形例)
図15は、第3変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。また、図16は、本第3変形例に係る体脂肪測定装置に具備される測距センサの出力を示す図である。次に、これら図15および図16を参照して、本第3変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成、これを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法等について説明する。なお、図15においては、後述する可動部102a〜102cが初期位置にある状態を実線にて示しており、当該可動部102a〜102cが当該初期位置から移動した位置にある状態を破線にて示している。また、図16は、可動部102cの左右方向の位置と、後述する測距センサSBの出力O4との関係を示したグラフであり、当該図16においては、上述した図15において示した可動部102cの位置をそれぞれP15.1〜P15.3にて示している。
【0138】
図15に示すように、本第3変形例に係る体脂肪測定装置は、胴部幅計測ユニットの構成、胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法において上述した第2変形例に係る体脂肪測定装置と相違している。
【0139】
具体的には、図15に示すように、本第3変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニット100Dにあっては、基部101としての右側部枠状部112および左側部枠状部113に移動可能に取付けられた可動部102a,102bに加え、基部101としての上部枠状部111に移動可能に取付けられた可動部102cを有している。より詳細には、可動部102cは、上部枠状部111に左右方向に沿って延設されたガイドレールに係合しており、図示しないモータ等の駆動手段によって駆動されることにより、当該ガイドレールに沿って胴部横幅方向(図中に示す矢印Y方向)に移動する。ここで、可動部102cの内側表面には、測距センサSBが設けられている。なお、本第3変形例に係る体脂肪測定装置においては、胴部幅計測ユニット100Dに移動量検出センサは設けられていない。
【0140】
また、本第3変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニット100Dは、上述した第2変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニット100Cに比べ、可動部102a,102bの可動範囲が下方に向けて縮小されており、可動部102a,102bが実線で示す初期位置にある状態において、測距センサSA1,SA2が被験者300の胴部301の側方に配置されている。
【0141】
胴部横幅は、可動部102a,102bが移動する間に出力される測距センサSA1,SA2の出力O1,O2から算出される。なお、その具体的な計測方法は、上述した実施の形態1におけるそれと同様であるため、その説明はここでは繰り返さない。
【0142】
一方、胴部縦幅は、可動部102cが移動する間に出力される測距センサSBの出力O3から算出される。図15に示すように、測距センサSBが被験者300の胴部301の上方に位置した状態においては、測距センサSBから出射された光は、被験者300の胴部301の上面(すなわち腹部表面)に照射されることになる。そのため、図16に示すように、可動部102cが移動する間に測距センサSBから出力される出力O3は、測距センサSBから被験者300の胴部301までの鉛直方向の距離に応じた出力となる。
【0143】
したがって、図15に示すように、測距センサSBの出力の最小値O3min(図16参照)に応じた距離である距離B3(測距センサSBと被験者300の胴部301の上端との間の距離)と、予め定められている距離B(測距センサSBと背部用電極支持ユニット120のマット121の上面との間の距離)とを用いれば、被験者300の胴部縦幅2×bが、以下の式(10)に基づいて算出されることになる。
【0144】
2×b=B−B3 ・・・式(10)
【0145】
このように、本第3変形例に係る体脂肪測定装置は、胴部幅計測ユニット100Dに設けた3つの測距センサSA1,SA2,SBによって胴部横幅および胴部縦幅が計測可能に構成されている。より詳細には、本第3変形例に係る体脂肪測定装置においては、胴部縦幅方向に沿って可動部102a,102bが移動可能となるように可動部102a,102bを基部101に取付けるとともに、胴部横幅方向に沿って可動部102cが移動可能となるように可動部102cを基部101に取付け、胴部横幅検出部24Aを可動部102a,102bの所定位置に設けた上記2つの測距センサSA1,SA2にて構成するとともに、胴部縦幅検出部24Bを可動部102cの所定位置に設けた上記測距センサSBにて構成し、これにより胴部横幅および胴部縦幅の計測が可能とされている。
【0146】
そのため、上記構成を採用することにより、多数のセンサを使用せずとも胴部横幅と胴部縦幅との測定が確実にかつ精度よく行なえることになり、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能で、かつ安価に製造することができる体脂肪測定装置とすることができる。しかも、上記構成を採用することにより、補助者等の協力を得なくとも被験者自らが1人で測定を行なうことも可能になるため、日常的に内臓脂肪量等を測定するのに適した体脂肪測定装置とすることができる。
【0147】
加えて、上述した実施の形態1における体脂肪測定装置1Aや上述した第1および第2変形例に係る体脂肪測定装置にあっては、胴部幅を検出するために測距センサに加えて移動量検出センサが必要であったが、本第3変形例に係る体脂肪測定装置においては、移動量検出センサを用いずとも測距センサのみにて胴部横幅および胴部縦幅を高精度に測定することが可能になり、装置構成をより簡素化することができる。
【0148】
(第4変形例)
図17は、第4変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。また、図18は、本第4変形例に係る体脂肪測定装置に具備される測距センサの出力を示す図である。次に、これら図17および図18を参照して、本第4変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成、これを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法等について説明する。なお、図17においては、後述する可動部102cが初期位置にある状態を実線にて示しており、当該可動部102cが当該初期位置から移動した位置にある状態を破線にて示している。また、図18は、可動部102cの左右方向の位置と、後述する測距センサSBの出力O4および移動量検出センサの出力O5との関係を示したグラフであり、当該図18においては、上述した図17において示した可動部102cの位置をそれぞれP17.1〜P17.5にて示している。
【0149】
図17に示すように、本第4変形例に係る体脂肪測定装置は、胴部幅計測ユニットの構成、胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法において上述した第3変形例に係る体脂肪測定装置と相違している。
【0150】
具体的には、図17に示すように、本第4変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニット100Eにあっては、基部101としての右側部枠状部112および左側部枠状部113に可動部は取付けられておらず、基部101としての上部枠状部111にのみ可動部102cが移動可能に取付けられ、当該可動部102cの所定位置に測距センサSBが設けられている。代わりに、本第4変形例に係る体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニット100Eには、図17において実線で示すの初期位置からの可動部102cの移動量を検出するための移動量検出センサ(不図示)が設けられている。また、測距センサSBは、可動部102cが実線で示す初期位置にある状態において、被験者300の胴部301から左右方向に外れた位置に配置されている。
【0151】
胴部横幅は、可動部102cが移動する間に出力される測距センサSBの出力O4と、可動部102cが移動する間に出力される移動量検出センサの出力O5とから算出される。図17に示すように、可動部102cは、左右方向に沿って移動することで被験者300の胴部301の左右の端部に対応した位置を通過することになるため、その際の測距センサSBの出力O4に図18に示すような特徴点(具体的には、出力O4が極端に減少または増加する点)が現れる。
【0152】
したがって、図17に示すように、可動部102が移動する間に現れる測距センサSA1,SA2の出力の上記特徴点(図18参照)における移動量検出センサの出力O5a,O5bに応じた距離であるA3,A4(A3:可動部102cが初期位置にある場合の測距センサSBの位置と、被験者300の胴部301の左側の端部との間の距離、A4:可動部102cが初期位置にある場合の測距センサSBの位置と、被験者300の胴部301の右側の端部との間の距離)を用いれば、被験者300の胴部横幅2×aが、以下の式(11)に基づいて算出されることになる。
【0153】
2×a=A4−A3 ・・・式(11)
【0154】
一方、胴部縦幅は、可動部102cが移動する間に出力される測距センサSBの出力O4から算出される。なお、その具体的な計測方法は、上述した第3変形例におけるそれと同様であるため、その説明はここでは繰り返さない。
【0155】
このように、本第4変形例に係る体脂肪測定装置は、胴部幅計測ユニット100Eに設けた1つの測距センサSBおよび胴部幅計測ユニット100Eに設けた1つの移動量検出センサによって胴部横幅および胴部縦幅が計測可能に構成されている。より詳細には、本第4変形例に係る体脂肪測定装置においては、胴部横幅方向に沿って可動部102cが移動可能となるように可動部102cを基部101に取付け、胴部横幅検出部24Aおよび胴部縦幅検出部24Bを、いずれも可動部102cの所定位置に設けた上記1つの測距センサSBおよび可動部102cの移動量を検出する上記1つの移動量検出センサにて構成し、これにより胴部横幅および胴部縦幅の計測が可能とされている。
【0156】
そのため、上記構成を採用することにより、多数のセンサを使用せずとも胴部横幅と胴部縦幅との測定が確実にかつ精度よく行なえることになり、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能で、かつ安価に製造することができる体脂肪測定装置とすることができる。しかも、上記構成を採用することにより、補助者等の協力を得なくとも被験者自らが1人で測定を行なうことも可能になるため、日常的に内臓脂肪量等を測定するのに適した体脂肪測定装置とすることができる。
【0157】
加えて、上述した実施の形態1における体脂肪測定装置1Aや上述した第1ないし第3変形例に係る体脂肪測定装置にあっては、胴部横幅および胴部縦幅を検出するために少なくとも合計で3つのセンサが必要であったが、本第4変形例に係る体脂肪測定装置においては、合計で2つのセンサのみにて胴部横幅および胴部縦幅を高精度に測定することが可能になり、装置構成をさらに簡素化することができる。
【0158】
(実施の形態2)
図19は、本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置の構成および測定姿勢を示す概略斜視図である。図20は、本実施の形態における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。また、図21および図22は、本実施の形態における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。これら図19ないし図22を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の構成、測定姿勢、胴部幅計測ユニットの構成、これを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法等について説明する。
【0159】
まず、図19および図20を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の構成および胴部幅計測ユニットの構成について説明する。
【0160】
図19に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Bは、主として、被験者300に手用電極HR,HLおよび背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4を装着させるための装着ユニットとしての機能をもあわせもつ胴部幅計測ユニット200と、被験者300に足用電極FR,FLを装着させるための台ユニット220とを備えている。これら胴部幅計測ユニット200および台ユニット220には、図2において示した各種機能ブロックが設けられている。胴部幅計測ユニット200と台ユニット220とは、接続ケーブル232によって電気的に接続されており、当該接続ケーブル232を介して図2において示した各種機能ブロック間の信号の授受等の一部が行なわれる。
【0161】
図19および図20に示すように、胴部幅計測ユニット200は、被験者300が内部に入ること(すなわち胴部301を挿入すること)によって立位にある被験者300の胴部301を取り囲むように配置が可能な枠形状を有するユニットからなる。より詳細には、胴部幅計測ユニット200は、棒状の後部枠状部211、棒状の右側部枠状部212、棒状の左側部枠状部213および棒状の前部枠状部214を含む枠体210によって構成されており、被験者300の胴部301を取り囲むように配置された状態において被験者300の胴部301に対する相対的な位置が変化しない基部201と、被験者300の胴部301を取り囲むように配置された状態において被験者300の胴部301に対する相対的な位置が変化可能となるように上記基部201に移動可能に取付けられた一対の可動部202a,202bとを有している。
【0162】
基部201は、枠体210の全体にて構成されている。一方、一対の可動部202a,202bのそれぞれは、右側部枠状部212および左側部枠状部213に取付けられており、右側部枠状部212および左側部枠状部213の延在方向である前後方向(すなわち胴部縦幅方向)に沿って移動可能となるように構成されている。
【0163】
可動部202a,202bが取付けられた右側部枠状部212および左側部枠状部213には、付勢部材としてのバネ等からなる弾性体203(図19において不図示、図20参照)がそれぞれ外挿されて保持されている。当該弾性体203は、可動部202a,202bを後方に向けて付勢するための部材であり、図20に示す初期位置から可動部202a,202bが前方に押し出された場合にこれを後方に向けて押し戻して上記初期位置に復帰させるためのものでもある。
【0164】
枠体210の後部枠状部211の略中央部には、内側に向けて突出するように電極支持体216が配置されている。電極支持体216は、その両端部が前方に位置するとともにその中央部が後方に位置するように曲成された湾曲板にて構成されている。電極支持体216の前面には、図2において示した背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4が行列状に整列して設けられている。背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4は、立位にある被験者300の胴部301の背部表面に当該電極支持体216が押し付けられた状態において確実にこれらが接触するように、電極支持体216の前面から僅かに突出して設けられている。
【0165】
また、電極支持体216は、枠体210の後部枠状部211にたとえばボールジョイント等を含む接続部215を介して取付けられている。これにより、電極支持体216は、後部枠状部211によって揺動可能に支持されている。なお、その揺動方向としては、電極支持体216が水平面内において左右に揺動する方向にのみ揺動可能となるように制限されていることが好ましい。このように構成すれば、後述する装着状態において、電極支持体216の前面に設けられた背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4を確実にかつ適正な押し付け力および押し付け方向にて被験者300の胴部301の背部表面に接触させることができる。
【0166】
枠体210の右側部枠状部212に取付けられた可動部202aには、図2において示した手用電極HRが設けられている。手用電極HRは、可動部202aの表面に露出して設けられており、好ましくは、手用電極HRの被験者300の右手の掌との接触面が、主として枠体210の外側を向くように配置される。
【0167】
また、枠体210の右側部枠状部212に取付けられた可動部202aには、測定ボタン27aが設けられている。当該測定ボタン27aは、好ましくは手用電極HRに隣接する位置に設けられる。これにより、測定の際に被験者300が右手302Aを移動させる必要がなくなるため、操作性に優れたものとすることができる。
【0168】
枠体210の左側部枠状部213に取付けられた可動部202bには、図2において示した手用電極HLが設けられている。手用電極HLは、可動部202bの表面に露出して設けられており、好ましくは、手用電極HLの被験者300の左手の掌との接触面が、主として枠体210の外側を向くように配置される。
【0169】
枠体210の前部枠状部214には、表示用ユニット部230が取付けられている。当該表示用ユニット部230の上面には、表示部26が設けられており、さらに当該表示部26に隣接する部分の表示用ユニット部230の上面には、被験者情報入力部25と、測定ボタン27aを除く他の操作部27とが設けられている。なお、表示用ユニット部230は、装着状態において被験者300の正面に配置されることが好ましく、そのため当該表示用ユニット部230は、上述した電極支持体216の前方に配置されている。
【0170】
図20に示すように、胴部幅計測ユニット200の右側部枠状部212および左側部枠状部213に取付けられた一対の可動部202a,202bの内側表面(すなわち、胴部幅計測ユニット200が被験者300の胴部301を取り囲むように配置された状態において、被験者300の胴部301に面する側の胴部幅計測ユニット200の表面)には、図2において示した胴部横幅検出部24Aとしての測距センサSA1,SA2がそれぞれ取付けられている。測距センサSA1,SA2は、いずれも胴部幅計測ユニット200の内側に向けて水平方向に光を照射し、その反射光を受光することによって測距センサSA1,SA2から検出体である被験者300の胴部301までの距離を測定するものである。
【0171】
測距センサSA1,SA2は、可動部202a,202bが前後方向に移動した場合にこれに追従して前後方向に移動する。ここで、測距センサSA1,SA2は、可動部202a,202bが図20に示す初期位置にある状態において被験者300の胴部301の側方の位置に配置されている。
【0172】
また、図20に示すように、表示用ユニット部230の内側表面には、図2において示した胴部縦幅検出部24Bとしての測距センサSBが取付けられている。測距センサSBは、胴部幅計測ユニット200の内側に向けて水平方向に光を照射し、その反射光を受光することによって測距センサSBから検出体である被験者300の胴部301までの距離を測定するものである。
【0173】
一方、図19に示すように、台ユニット220は、箱状の形状を有しており、被験者300が乗るための上面を有する台部221を備えている。この台部221の上面の所定位置には、図2において示した足用電極FR,FLが設けられている。足用電極FR,FLは、台部221の上面に露出して位置している。ここで、当該足用電極FR,FLの被験者の右足の足の裏および左足の足の裏に接触する接触面は、いずれも上方を向くように構成されている。
【0174】
なお、上述した図2において示した制御部10、定電流生成部21、端子切替部22、電位差検出部23、メモリ部29等は、胴部幅計測ユニット200に設けられていてもよいし、台ユニット220に設けられていてもよい。また、本実施の形態における体脂肪測定装置1Bにあっては、被験者情報入力部25、表示部26および操作部27が胴部幅計測ユニット200に設けられているが、これらを台ユニット220に設けることとしてもよい。
【0175】
次に、図19を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置を用いて内臓脂肪量等の体脂肪量を測定する場合に被験者がとるべき測定姿勢について説明する。
【0176】
図19に示すように、測定に際しては、まず、被験者300は、台ユニット220上に乗って立位姿勢をとるとともに、胴部幅計測ユニット200を持ってこれに胴部301を挿入する。その際、右足303Aの足の裏が台ユニット220に設けられた足用電極FRに接触し、かつ左足303Bの足の裏が台ユニット220に設けられた足用電極FLに接触するようにするとともに、右手302Aの掌が胴部幅計測ユニット200の可動部202aに設けられた手用電極HRに接触し、かつ左手302Bの掌が胴部幅計測ユニット200の可動部202bに設けられた手用電極HLに接触するようにする。
【0177】
その後、被験者300は、胴部幅計測ユニット200が臍位置の高さでかつ胴部幅計測ユニット200の中心位置に体軸が配置されるように胴部幅計測ユニット200の位置を調節し、さらにその後に当該胴部幅計測ユニット200を水平姿勢を維持しつつ前方に向けて押し出す。これにより、胴部幅計測ユニット200に設けられた電極支持体216が被験者300の背部に押し当てられることになり、電極支持体216に設けられた背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4が被験者300の胴部301の背部表面に押し当てられるとともに、可動部202a,202bが基部201としての右側部枠状部212および左側部枠状部213に沿って前方に向けて移動することになり、その際に胴部幅計測ユニット200を用いての胴部縦幅および胴部横幅の測定が行なわれることになる。
【0178】
その後、当該状態を維持したまま、被験者300が測定ボタン27aを右手302Aの親指で押下することにより、胴部幅計測ユニット200および台ユニット220に設けられた電極HR,HL,BU1〜BU4,BL1〜BL4,FR,FLを用いての生体インピーダンスの測定が行なわれることになる。
【0179】
次に、図20ないし図22を参照して本実施の形態における体脂肪測定装置に具備された胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法について説明する。
【0180】
図20ないし図22は、胴部幅を計測するために可動部202a,202bを前方(図中に示す矢印X2方向)に向けて移動させた場合の様子を段階的に示した図である。ここで、図20は、可動部202a,202bが初期位置にある状態を示しており、図21は、可動部202a,202bが押し出されることで測距センサSA1,SA2が被験者300の胴部301の左右の端部に対峙した位置にある状態を示しており、図22は、可動部202a,202bがさらに前方に押し出されてそれ以上移動しなくなる位置に達した状態を示している。
【0181】
胴部横幅は、可動部202a,202bが移動する間に出力される測距センサSA1,SA2の出力から算出される。図20ないし図22に示すように、測距センサSA1,SA2が被験者300の胴部301の左右に位置した状態においては、測距センサSA1,SA2から出射された光は、それぞれ被験者300の胴部301の右側面および左側面に照射されることになる。そのため、可動部202a,202bが移動する間に出力される測距センサSA1,Sa2の出力は、測距センサSA1,SA2から被験者300の胴部301までの水平方向の距離に応じた出力となる。
【0182】
したがって、上述した本発明の実施の形態1の場合と同様に、可動部202a,202bが移動する間の測距センサSA1,SA2の出力の最小値を検出することにより、図21に示す如く、測距センサSA1,SA2が被験者300の胴部301の左右の端部に対峙した状態における測距センサSA1,SA2と被験者300の胴部301との間の距離A1,A2が測定されることになり、当該距離A1,A2と、予め定められている距離A(測距センサSA1と測距センサSA2との間の距離)とを用いれば、被験者300の胴部横幅2×aが、上述した式(7)に基づいて算出されることになる。
【0183】
一方、胴部縦幅は、表示用ユニット部230に固定的に設けられた測距センサSBの出力から算出される。すなわち、胴部幅計測ユニット200が臍位置の高さでかつ胴部幅計測ユニット200の中心位置に体軸が配置されるように胴部幅計測ユニット200の位置を調節することにより、測距センサSBが被験者300の胴部301の前端に自ずと配置されるように測距センサSBの設置位置を設定すれば、図20に示すように、当該測距センサSBの出力に応じた距離である距離B3と、予め定められている距離B(測距センサSBと電極支持体216の中央部との間の距離)とを用いれば、被験者300の胴部縦幅2×bが、上述した式(10)に基づいて算出されることになる。
【0184】
このように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Bは、胴部幅計測ユニット200に設けた3つの測距センサSA1,SA2,SBによって胴部横幅および胴部縦幅が計測可能に構成されている。より詳細には、本実施の形態における体脂肪測定装置1Bにおいては、胴部縦幅方向に沿って可動部202a,202bが移動可能となるように可動部202a,202bを基部201に取付け、胴部横幅検出部24Aを可動部202a,202bの所定位置に設けた上記2つの測距センサSA1,SA2にて構成するとともに、胴部縦幅検出部24Bを基部201の所定位置に設けた上記測距センサSBにて構成し、これにより胴部横幅および胴部縦幅の計測が可能とされている。
【0185】
そのため、上記構成を採用することにより、多数のセンサを使用せずとも胴部横幅と胴部縦幅との測定が確実にかつ精度よく行なえることになり、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能で、かつ安価に製造することができる体脂肪測定装置とすることができる。しかも、上記構成を採用することにより、補助者等の協力を得なくとも被験者自らが1人で測定を行なうことも可能になるため、日常的に内臓脂肪量等を測定するのに適した体脂肪測定装置とすることができる。
【0186】
加えて、本実施の形態における体脂肪測定装置1Bにあっては、胴部幅計測ユニット200に設けられた可動部202a,202bを初期位置に復帰させるための弾性体203の付勢力が、可動部202a,202bを前方に押し出した状態において被験者300の胴部301の背部表面に背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4を押し付けるための力(図21および図22において示す力F)としても作用することになり、これにより適切な押圧力で安定的に背部用電極BU1〜BU4,BL1〜BL4を被験者300の胴部301の背部表面に接触させることが可能になる。したがって、上記構成を採用することにより、安定した体脂肪量の測定が可能になる。
【0187】
なお、以上において説明した本発明の実施の形態1,2およびその変形例においては、制御部10が、胴部横幅検出部24Aおよび胴部縦幅検出部24Bにて胴部横幅および胴部縦幅が検出された後に生体インピーダンス測定部12を用いた生体インピーダンスの測定を開始するように、各種機能ブロックを制御することが好ましい。このように構成することにより、胴部幅の実測を待って生体インピーダンスの測定が行なえることになるため、胴部幅の実測ミスによる体脂肪量測定のエラーの発生を未然に防止することが可能になる。
【0188】
また、上述した本発明の実施の形態1,2およびその変形例においては、胴部横幅および胴部縦幅のいずれをも実測することが可能になるように体脂肪測定装置を構成した場合を例示して説明を行なったが、他の測定手段を具備させて胴部周囲長(ウエスト長)を実測可能に構成した場合や、被験者情報として胴部周囲長を入力するように装置を構成した場合等には、胴部横幅および胴部縦幅のうちのいずれか一方のみを実測し、これと胴部周囲長とに基づいて胴部横幅および胴部縦幅のうちの残る他方を算出して、これらに基づいて体脂肪量を算出するように構成することも可能である。
【0189】
また、上述した本発明の実施の形態2においては、台ユニットを具備した構成としているため、当該台ユニットに体重測定機能を具備させることとしてもよい。すなわち、台ユニットに荷重を検出する体重測定部としてのロードセル等を設けることにより、台ユニットに乗った被験者の体重を当該体重測定部にて測定可能に構成してもよい。その場合、台ユニットに設けた体重測定部にて測定された体重情報が制御部に入力されるように構成すれば、実測した被験者の体重を被験者情報として各種の演算処理に利用することが可能になる。
【0190】
また、上述した本発明の実施の形態1,2およびその変形例においては、内臓脂肪量として内臓脂肪断面積が算出されるとともに、皮下脂肪量として皮下脂肪断面積が算出されるように演算処理部を構成した場合を例示して説明したが、内臓脂肪量が、内臓脂肪断面積以外の指標である内臓脂肪体積、内臓脂肪重量、内臓脂肪レベル等にて算出されるとともに、皮下脂肪量が、皮下脂肪断面積以外の指標である皮下脂肪体積、皮下脂肪重量、皮下脂肪レベル等にて算出されるように演算処理部を構成してもよい。
【0191】
また、上述した本発明の実施の形態1,2およびその変形例においては、内臓脂肪断面積および皮下脂肪断面積のいずれもが算出されて表示されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、これらのいずれかのみが表示されるように構成してもよいし、皮下脂肪断面積のみが算出されて表示されるように構成してもよい。さらには、内臓脂肪断面積および皮下脂肪断面積以外の各種体組成情報(たとえば体脂肪量や部位別脂肪量、除脂肪量等)を算出してこれを表示するように構成してもよい。
【0192】
さらには、上述した本発明の実施の形態1,2およびその変形例において説明した特徴的な構成は、発明の目的に照らして許容される範囲で相互にその組み合わせが当然に可能である。
【0193】
このように、今回開示した上記各実施の形態およびその変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0194】
1A,1B 体脂肪測定装置、10 制御部、11 演算処理部、12 生体インピーダンス測定部、13 体形情報測定部、14 体組成情報取得部、14a 内臓脂肪量算出部、14b 皮下脂肪量算出部、21 定電流生成部、22 端子切替部、23 電位差検出部、24A 胴部横幅検出部、24B 胴部縦幅検出部、25 被験者情報入力部、26 表示部、27 操作部、27a 測定ボタン、28 電源部、29 メモリ部、100A〜100E 胴部幅計測ユニット、101 基部、102,102a〜102c 可動部、103 弾性体、110 枠体、111 上部枠状部、112 右側部枠状部、112a 脚部、113 左側部枠状部、113a 脚部、120 背部用電極支持ユニット、121 マット、122A 右手装着ユニット、122B 左手装着ユニット、123A 右足装着ユニット、123B 左足装着ユニット、130 本体ユニット、132 接続ケーブル、200 胴部幅計測ユニット、201 基部、202a,202b 可動部、203 弾性体、210 枠体、211 後部枠状部、212 右側部枠状部、213 左側部枠状部、214 前部枠状部、215 接続部、216 電極支持体、220 台ユニット、221 台部、230 表示用ユニット部、232 接続ケーブル、300 被験者、301 胴部、302A 右手、302B 左手、303A 右足、303B 左足、400 ベッド面、HR,HL 手用電極、BU1〜BU4,BL1〜BL4 背部用電極、FR,FL 足用電極、SA1,SA2,SB 測距センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の身体表面の所定部位に接触させるための複数の電極と、
前記複数の電極を用いて被験者の身体の生体インピーダンスを測定する生体インピーダンス測定部と、
被験者の胴部幅を検出するための胴部幅検出部と、
前記胴部幅検出部が設けられ、被験者の胴部を取り囲むように配置が可能な枠形状を有する胴部幅計測ユニットと、
前記生体インピーダンス測定部にて測定された生体インピーダンスおよび前記胴部幅検出部にて検出された胴部幅に基づいて体脂肪量を算出する体脂肪量算出部とを備え、
前記胴部幅計測ユニットは、当該前記胴部幅計測ユニットが被験者の胴部を取り囲むように配置された状態において被験者の胴部に対する相対的な位置が変化しない基部と、当該前記胴部幅計測ユニットが被験者の胴部を取り囲むように配置された状態において被験者の胴部に対する相対的な位置が変化可能となるように前記基部に移動可能に取付けられた可動部とを含み、
前記胴部幅検出部は、前記可動部に設けられた非接触式の測距センサを少なくとも含んでいる、体脂肪測定装置。
【請求項2】
前記可動部は、前記胴部幅計測ユニットが被験者の胴部を取り囲むように配置された状態において胴部横幅方向および胴部縦幅方向のうちの少なくとも一方に沿って移動可能となるように構成され、
前記胴部幅検出部が、前記可動部を移動させる間に前記測距センサにて検出された測距情報に基づいて被験者の胴部横幅および胴部縦幅のうちの少なくとも一方を検出する、請求項1に記載の体脂肪測定装置。
【請求項3】
前記胴部幅検出部は、前記可動部の移動量を検出する移動量検出センサをさらに含み、
前記可動部は、前記胴部幅計測ユニットが被験者の胴部を取り囲むように配置された状態において胴部横幅方向および胴部縦幅方向のうちの一方に沿って移動可能となるように構成され、
前記胴部幅検出部が、前記可動部を移動させる間に前記測距センサにて検出された測距情報に基づいて被験者の胴部横幅および胴部縦幅のうちの一方を検出するとともに、前記移動量検出センサにて検出された移動量情報に基づいて被験者の胴部横幅および胴部縦幅のうちの他方を検出する、請求項1に記載の体脂肪測定装置。
【請求項4】
前記胴部幅検出部が、前記移動量検出センサにて検出された移動量情報に加えて前記可動部を移動させる間に前記測距センサにて検出された測距情報に基づいて被験者の胴部横幅および胴部縦幅のうちの他方を検出する、請求項3に記載の体脂肪測定装置。
【請求項5】
前記可動部の移動方向に沿って前記可動部を一方側に向けて付勢する付勢部材をさらに備えた、請求項1から4のいずれかに記載の体脂肪測定装置。
【請求項6】
前記生体インピーダンス測定部、前記胴部幅検出部および前記体脂肪算出部の動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記胴部幅検出部にて胴部幅が検出された後に前記生体インピーダンス測定部を駆動して生体インピーダンスの測定を開始するように制御する、請求項1から5のいずれかに記載の体脂肪測定装置。
【請求項7】
前記複数の電極は、被験者の胴部の表面に接触させるための胴部用電極を含み、
前記胴部用電極は、被験者が寝転んだ姿勢において被験者の胴部の下に配置され、
前記胴部幅計測ユニットは、被験者が寝転んだ姿勢において被験者の胴部を取り囲むように配置される、請求項1から6のいずれかに記載の体脂肪測定装置。
【請求項8】
前記複数の電極は、被験者の胴部の表面に接触させるための胴部用電極を含み、
前記胴部用電極は、前記胴部幅計測ユニットの前記基部に設けられている、請求項1から6のいずれかに記載の体脂肪測定装置。
【請求項9】
前記複数の電極が、被験者の胴部の背中側の部分である背部の表面に接触させるための背部用電極である、請求項7または8に記載の体脂肪測定装置。
【請求項10】
前記体脂肪量算出部は、被験者の内臓脂肪量を算出する内臓脂肪量算出部および被験者の皮下脂肪量を算出する皮下脂肪量算出部の少なくともいずれかを含んでいる、請求項1から9のいずれかに記載の体脂肪測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−40094(P2012−40094A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182359(P2010−182359)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】