体重増加の抑制及び/又は体重減少に使用するための魚類タンパク質の加水分解産物
本発明は、体重減少を誘導し、体重増加を制限及び/又は抑制するのに用いるための魚類タンパク質の加水分解産物に関する。また、本発明は、太り過ぎ及び/又は太り過ぎに関連した健康障害を予防及び/又は治療するためのかかる加水分解産物に関する。本発明による前記魚類タンパク質の加水分解産物は、以下の魚類、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類を含むグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源の酵素的加水分解によって得られ、前記酵素的加水分解は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって実行される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体重減少をもたらす、すなわち体重増加を制限及び/又は抑制するのに使用するための魚類タンパク質の加水分解産物に関する。また本発明は、太り過ぎ(excessive weight)及び/又は太り過ぎに関連した健康障害を予防及び/又は治療するためのかかる加水分解産物に関する。
【背景技術】
【0002】
魚類タンパク質の加水分解産物は、化学的又は酵素的に得られる場合がある。最初に、前記タンパク質の加水分解は、厳密なpH条件下で強酸又は強塩基を用いて実施される。これらの加水分解の条件は、得られた前記加水分解産物の質を著しく損なう。2番目に、前記加水分解産物は、内因性の酵素又は外因性の酵素を用いるタンパク質の加水分解によって得られる。これらの加水分解の条件は、加水分解の程度を制御可能にする、特に異種性の酵素を用いる加水分解に関する良質の加水分解産物を生じる。
【0003】
多くの研究が、酵素的に得られた漁獲産物及び副産物(co−products and products of fishing)由来の加水分解産物は有用な栄養的及び機能的性質を有することを実証した(非特許文献1ないし5)。なぜなら、前記酵素的加水分解反応は、天然のタンパク質と比較して新たな生物学的性質を有する場合がある、異なる分子量のペプチドを得ることを可能にするためである。例えば、研究は、魚類、甲殻類及び軟体類のタンパク質の加水分解産物が、抗凝血性の性質(非特許文献6)、がん細胞株の抗増殖性の性質(非特許文献7)、腸上皮組織を修復する性質(非特許文献8)、抗酸化の性質(非特許文献9ないし17)、免疫変調性の性質(非特許文献18ないし21)、及び、特定の細胞株の増殖を促進する性質(非特許文献22及び23)を有することを明らかにした。
【0004】
したがって、従来、多くの医薬品、化粧品又は食品の業界が、魚類又はその他の海産物のタンパク質の加水分解産物の機能的性質に興味を持っている。
【0005】
太り過ぎは、今日、不変的な関心事である。なぜなら、太り過ぎは、個人に不快感を生じさせるだけでなく、より重度の健康問題を生じさせるためである。
【0006】
例えば、肥満は、循環器疾病、代謝障害、高血圧、又は、がんのような多くの健康問題のリスク因子である。
【0007】
太り過ぎの発端は大いに異なる。例えば、この現象は、行動つまり貧しい食習慣か、女性の更年期のようなホルモンかが原因である場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Quagliaら、1987
【非特許文献2】Shahidiら、1995
【非特許文献3】Liceaga−Gesualdoら、1999
【非特許文献4】Kristinsson及びRasco、2000
【非特許文献5】Liasetら、2003
【非特許文献6】Rajapakseら、2005
【非特許文献7】Picotら、2006
【非特許文献8】Fitzgeraldら、2005
【非特許文献9】Chuangら、2000
【非特許文献10】Suetsunaら、2000
【非特許文献11】Kimら、2001
【非特許文献12】Suetsuna、2002
【非特許文献13】Wuら、2003
【非特許文献14】Junら、2004
【非特許文献15】Suetsunaら、2004
【非特許文献16】Jeら、2008
【非特許文献17】Raghavanら、2008
【非特許文献18】Bogwaldら、1996
【非特許文献19】Gildbergら、1996
【非特許文献20】Kotzamanisら、2007
【非特許文献21】Tangら、2008
【非特許文献22】Ravallec−Pleら、2000
【非特許文献23】Guerardら、2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
さまざまな解決策が、現在、太り過ぎのこれらの問題を処置するために提案される。従来、太り過ぎの治療又は予防は食事によって達成される場合がある。しかし、かかる食事はかなり多くの対象を追跡調査することが困難であり、不適切な場合には、人体の機能に必須な栄養の欠乏を生じる場合があることが知られている。したがって、1つの代替案は、体重増加及び/又は体重減少を制限するためのメカニズムを干渉可能な有効成分を使用することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の研究の開始時にマウスで測定された子宮のグラム重量(100gあたりに言及されない)を示すグラフ。
【図2】第1の研究の3カ月にわたって各グループのマウスについて記録された全体重増加をグラムで示すグラフ。
【図3】記録された肥満指標、つまり除脂肪体重に対する前記体脂肪量の割合を示すグラフ。
【図4】第2の研究の開始時に測定された体重100gあたりのマウスの子宮のグラム重量を示すグラフ。
【図5】第2の研究の3カ月の各グループのマウスの子宮について記録された全体重増加をグラムで示すグラフ。
【図6】第2の研究の3カ月後の各グループのマウスについての体重100gあたりの全皮下脂肪組織の割合を示すグラフ。
【図7】グループ及び研究期間に応じて、グラムで示された平均食物サイズの測定結果を示すグラフ。
【図8】第2の研究時に、グループ及び研究期間に応じて、体重100gあたりのグラムで示された食物サイズの測定結果を示すグラフ。
【図9】第2の研究時に、グループ及び研究期間に応じて、摂取された食事回数を示すグラフ。
【図10】第2の研究時に、グループ及び研究期間に応じて、体重100gあたりで言及された任意単位で示されたマウスの平均活性を示すグラフ。
【図11】第3の研究中の各グループの動物の経時的なグラム体重増加を示す折れ線グラフ。
【図12】第3の研究中のグループNLのマウスのMRIによって1週間に1回測定された皮下組織及び内臓組織と、体脂肪量との平均グラム重量を示すグラフ。
【図13】第3の研究中のグループHLのマウスのMRIによって14週間にわたり1週間に1回測定された皮下組織及び内臓組織と、体脂肪量との平均グラム重量を示すグラフ。
【図14】第3の研究中のグループNLのマウスのMRIによって該研究終了時に測定された皮下組織及び内臓組織と、体脂肪量との平均グラム重量を示すグラフ。
【図15】第3の研究中のグループHLのマウスのMRIによって該研究終了時に測定された皮下組織及び内臓組織と、体脂肪量との平均グラム重量を示すグラフ。
【図16】第3の研究中のグループHL及びNLのマウスのMRIによって該研究終了時に記録された肥満指標、つまり屠殺体重量に対する体脂肪量の割合を示すグラフ。
【図17】実施例5の各グループのラットについて記録された全体重増加をグラムで示すグラフ。
【図18】実施例5の各グループのラットについて記録された全食物摂取量を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、研究が、消費者の体重減少を誘導する、すなわち体重増加を制限又は抑制する性質を有する特定の魚類からなるタンパク質供給源の酵素的加水分解から得られた加水分解産物を同定した出願人の会社によって実行された。
【0012】
また本発明は、体重減少をもたらす、すなわち体重増加を制限又は抑制するための魚類タンパク質の加水分解産物の非治療上の使用に関し、該魚類タンパク質の加水分解産物は、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源を酵素的加水分解することによって得られ、該酵素的加水分解は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって実行される。
【0013】
本発明の1つの実施態様によれば、体重減少を誘導すること、及び、体重増加を制限又は抑制することは、体重の減少、特に、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の軽減、身体組成の改善、脂質代謝の調節、及び、より具体的には、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制も含む。
【0014】
本発明による前記加水分解産物は、痩身食、すなわち体重増加を予防するための食事で用いられる場合がある。
【0015】
本発明の1つの特徴によれば、かかる加水分解産物は、食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を全く引き起こさない。
【0016】
本発明の1つの実施態様によれば、前記魚類タンパク質の加水分解産物は、以下の分子プロファイル分布、300Da未満の分子量の分子が33%から39%まで、300Daから1000Daまでの分子量の分子が34%から37%まで、1000Daから3000Daまでの分子量の分子が21%から24%まで、3000Daから5000Daまでの分子量の分子が3%から4%まで、及び、5000Daから10000Daまでの分子量の分子が1%から2%までと、原材料の百分率として1%未満の脂質含有量と、原材料の百分率として4%未満の糖質含有量と、原材料の百分率として80%よりも多いタンパク質含有量と、原材料の百分率として5%から10%までの無機質含有量とを有する。
【0017】
また、前記魚類タンパク質の加水分解産物は、アミノ酸の総質量に関しての質量あたりの百分率として、グルタミン酸 16.9%、アスパラギン酸 11.7%、リジン 10%、ロイシン 8.2%、アルギニン 6.3%、アラニン 6.8%、バリン 4.8%、イソロイシン 4.4%、グリシン 5%、スレオニン 4.5%、セリン 4.4%、チロシン 3.2%、フェニルアラニン 3.9%、メチオニン 2.6%、プロリン 3.4%、ヒスチジン 2%、システイン 1%、トリプトファン 0.8%のアミノ酸組成を有することが好ましい。
【0018】
かかる加水分解産物と、該加水分解産物の製造方法とは、出願人の会社によって出願された特許出願第08 00753号に記載され、第FR 2 927 336号で開示された。
【0019】
魚類タンパク質供給源は前記魚類の切り身から得られたすり身(pulp)を含むことが好ましい。
【0020】
また、前記魚類タンパク質の加水分解産物は、魚類からすり身を回収するために水の存在下で、前記魚類、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源をすりつぶすステップと、反応混合物を得るために、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素の添加後、1時間ないし5時間50°Cから75°Cまでの温度で前記タンパク質供給源を酵素的加水分解するステップと、前記反応混合物の温度を70°Cを下回らないレベルに8分間ないし20分間上昇させた後、前記酵素を不活性化することによって前記酵素的加水分解を停止するステップと、前記反応混合物の残余から得られた前記タンパク質の加水分解産物を分離するステップとを含む製造方法によって得られることが好ましい。
【0021】
前記酵素的加水分解するステップは、55°Cの加水分解温度において、酵素/タンパク質供給源の割合が0.01%から2%までで実施されることが好ましく、0.75%と同等で実施されることが好ましい。
【0022】
バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素は、酵素委員会によって確立され、1992年に国際生化学分子生物学連合によって開示されたEC分類のクラスEC 3.4.24.28に属するメタロエンドペプチダーゼ、すなわちバシロリシン(bacillolysine)であることが好ましい。
【0023】
本発明の別の局面によれば、本発明は、太り過ぎ及び/又は太り過ぎに関連した疾病の治療及び/又は予防での加水分解産物の使用のために、魚類、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源を酵素的加水分解することによって得られた魚類タンパク質の加水分解産物にも関し、前記酵素的加水分解はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって実行される。
【0024】
本発明の1つの実施態様によれば、前記太り過ぎの治療及び/又は予防は、体重減少の誘導、体重増加の制限及び/又は抑制、特に、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の治療、脂質代謝の調節、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制を含む。
【0025】
本発明の1つの実施態様によれば、太り過ぎは、肥満、全身の代謝障害、又は、更年期の徴候の摂食障害(weight disorders)に関係する。
【0026】
魚類タンパク質の加水分解産物は体重に影響するため、該魚類タンパク質の加水分解産物は太り過ぎに関連するいずれかの疾病の治療及び/又は予防でも用いられると予想される。これは、例えば、循環器疾病、高血圧、高コレステロール血症又はアテローム性動脈硬化症の病気となるであろう。
【0027】
本発明のこれらの実施態様では、前記魚類タンパク質の加水分解産物は以前に定義されたものである。特に、本発明のこの局面によれば、前記加水分解産物は、食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を引き起こさない。
【0028】
したがって、以前に定義されたような前記魚類タンパク質の加水分解産物は、太り過ぎ及び/又は前述した太り過ぎに関連した疾病の治療及び/又は予防を目的とする栄養補助食品か、医薬又は栄養補助の組成物かを製造するために用いられる場合がある。
【0029】
また、本発明による前記魚類タンパク質の加水分解産物は、美容上の痩身、すなわち細くなる方法のいずれかで用いられる場合がある。
【0030】
したがって、本発明は、以前に定義されたような魚類タンパク質の加水分解産物を経口投与するステップを含むことを特徴とする、体重減少の誘導か、体重増加の制限又は抑制かについての非治療上の処置のためのプロセス、すなわち方法にも関する。
【0031】
最後に、本発明は、以前に定義されたような魚類タンパク質の加水分解産物を経口投与するステップを含むことを特徴とする、体重減少の誘導か、体重増加の制限又は抑制かについての治療上の処置及び/又は予防の方法に関する。
【0032】
前述の本発明の特徴その他は以下の実施例の実施態様の記載を読むことでより明白に明らかになるであろうし、前記実施例は例示することを目的とし、限定することを目的としないであろう。
【実施例1】
【0033】
実施例1 プタスダラから得られたタンパク質加水分解産物
プタスダラ(ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou))は北大西洋ニューファンドランドで釣られる。魚類は切り身に切り取られ、その後、そのすり身を得るためにすりつぶされる。この魚類のすり身は、加水分解産物を製造するためのタンパク質供給源の構成要素となる。前記すり身は使用するまで−20°Cで保管される。
【0034】
予め解凍されたプタスダラのすり身3キロは、質量比1で水と混合される。温度は55°Cに上昇され、その後、ABエンザイム社(フェルドバーグ通り78、D−64293、ドイツ国ダルムシュタット郡)によるコロラーゼNという名前で販売されるバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素が、タンパク質供給源に対する酵素の割合0.75%で反応物に添加される。
【0035】
加水分解反応が2時間実施され、その後、前記酵素は反応物の温度を85°Cに上昇させることによって不活性化される。この温度は15分間維持される。
【0036】
その後、得られたプタスダラのタンパク質加水分解産物(以下、「H1」という。)が固形物質を除去するために篩(2mm/2mmのメッシュ)上で濾過され、その後、容器に回収される。その後、前記容器に回収された画分は、4000rpmから7000rpmまでの速度で30分間±5分間遠心分離される。残渣の除去後、上清は回収され、凍結乾燥され、乾燥した冷暗所で保存される。前記上清は微粒子化される場合もある。
【実施例2】
【0037】
本発明による別種の魚類から得られたタンパク質加水分解産物
サバ(H2)(スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus))、アジ(H3)(トラクルス属の複数種(Trachurus spp.))、コソダラ(H4)(コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris))、ビブ(H5)(トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki))、イワシ(H6)(サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus))、ニシン(H7)(クルペア・ハレングス(Clupea harengus))、パンガ(panga)(H8)(シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類)、シロイトダラ(H10)(ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens))、タイセイヨウマダラ(H9)(ガドゥス・モルア(Gadus morhua))、及び、モンツキダラ(H11)(メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus))のタンパク質加水分解産物は実施例1の方法に従って調製された。
【実施例3】
【0038】
実施例1及び2によって得られた前記タンパク質加水分解物の物理的及び化学的な解析
H1ないしH11の各タンパク質加水分解産物を構成しているペプチドの分子量を決定することが、立体排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)によって実施される。
【0039】
凍結乾燥後の粉末形状の前記タンパク質加水分解産物は20mg/mLで超純水に懸濁され、その後、0.45μmの膜上で濾過され、ファルマシア社によって販売されたスパーデックスペプチドHR10/30カラムに付随するゲルを通して濾過することによって解析される。前記カラムの基質は、アガロースとデキストランとを架橋した多孔性ゲル(直径13−15μm)全量24mLから構成される。画分ドメインは100Daから7000Daまでである。前記カラムは、ダイオネクス社によって販売された、ポンプを装備したHPLC製品(ダイオネクスP680モジュール)に取り付けられる。測定は、多波長紫外線検出器(ダイオネクスUVD 170Uモジュール)によって実施される。前記タンパク質加水分解産物H1は、アセトニトリル、水及びTFAを含む移動相によって溶出される。前記溶出は、0.5mL/分の割合で約1時間続く。
【0040】
分子量分布は、以下の既知の分子量マーカー、シトクロムC(12400Da)、アプロチニン(6511Da)、ガストリンI(2126Da)、P物質の断片1−7(1348Da)、グリシン(75Da)及びロイペプチン(463Da)のカラムの通過後、得られた検量線のパラメーターから算出される。データはクロメレオンソフトウェア(ダイオネクス)によって採取される。前記分子量の百分率は、ソフトウェア(ポリマーラボラトリーズからのGPCシーラス)によって算出される。取得波長は214nmである。dW/logMによる前記分子量分布は、前記ソフトウェアによって提供される。曲線下面積の百分率は分子の百分率に対応する。サイズクラスあたりの前記分子量分布は表1で提供される。
【0041】
サイズクラスあたりの前記分子量分布は以下の表1で提供される。曲線下面積の前記百分率はペプチド分子の前記百分率に対応する。
【0042】
前記加水分解産物全ては、同一の分子量分布プロファイルを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
前記タンパク質加水分解産物H1のアミノ酸組成は表2で提供され、欧州指令98/64/CEと、基準NF EN ISO 13904−2005年10月との指示に従って得られる。
【0045】
【表2】
【0046】
タンパク質含有量は原材料の百分率(ケルダール法によって採取された−NF V18−120−1997年3月)において80%より高い。
【0047】
脂質含有量は、(欧州指令98/64/CEに従う)原材料の百分率として1%未満である。
【0048】
前記タンパク質加水分解産物H1の熱量は約350Kcal/100gである。
【0049】
糖質含有量は、(前記タンパク質及び糖質の含有量と、熱量とから導き出された)4%未満である。
【実施例4】
【0050】
実施例4 プタスダラのタンパク質の加水分解産物H1の生物活性
タンパク質の加水分解産物H1は、哺乳類の体重におけるその活性に関して試験された。
【0051】
以下の研究期間中、卵巣摘出したマウスのモデルが、エストロゲンの欠乏を生じさせ、閉経後の現象を模倣するために用いられた。
【0052】
研究1
魚類タンパク質の加水分解産物H1を質量あたり14%含有する食事が、カゼインを質量あたり14%含有する参照標準食事と比較された。
【0053】
ハーラン飼育センターから供給されたC3Hマウス36匹が、逆転明暗周期(午前6時から午後6時までが夜)で22°Cに温度を自動制御された部屋内のケージの中に入れられた。動物は、環境と、粉末の形状の食事とに2週間慣らされた。各動物は、3ヶ月の研究期間中、水と、食事(マウス1匹あたりに1日5グラム)とを自由に受け取った。
【0054】
12週間目に、前記マウスは、卵巣摘出か、卵巣を摘出しない外科的手術かが施された。術後、前記動物は、該動物が受けるべき食事に応じて12匹の3つのグループに分けられた。
【0055】
グループ1
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、前記対照食事を受ける。
【0056】
グループ2
前記マウスは前記卵巣を摘出されることなく手術され、前記対照食事、すなわち、14%のカゼインを摂取する。
【0057】
グループ3
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、14%のH1を含む食事(前記対照食事と同一の組成であるが、ミルク・プロテインは実施例1で得られた魚類タンパク質の加水分解産物に取り替えられる。)を受ける。
【0058】
提供された全ての食事は14%のタンパク質を含み、以下の表3に示されるような類似の熱量組成を有する。
【0059】
【表3】
【0060】
食事ダイエットの3ヶ月後に、前記マウスは(体重10グラムあたり、1mg/mLのキシラジン及び10mg/mLのケタミン溶液を0.1mL注入することによって)麻酔された後、屠殺された。身体組成は、さまざまな脂肪組織(卵巣周囲脂肪組織、腸間膜脂肪組織、腎周囲脂肪組織、皮下脂肪組織、褐色脂肪組織)を採取し、計量することによって、確定された。さまざまな臓器(腎臓、肝臓、子宮、脾臓、腸)の重量も評価された。
【0061】
モデルの妥当性評価
前記卵巣の摘出が正確に施されたことを確認するために、屠殺時に、前記子宮の重量が正確に測定された。このような場合に、前記子宮は萎縮しているように見えなければならない。反対の場合には、前記マウスは研究から除外された。この結果は図1に示され、前記マウスの測定された子宮のグラム重量(100gあたりに言及されない)が報告される。結果は、卵巣摘出を施されなかったグループ2のマウスが、他の全てのグループのマウスの子宮と比較して、有意に大きい子宮を有することを示している。図1では、値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0062】
したがって、前記卵巣摘出の効果の検証において、問題は検出されなかった。
【0063】
経時的な体重増加
図2は、3ヶ月の研究期間中に、各グループのマウスについて記録された全体重増加をグラムで示す。値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。前記卵巣摘出か、卵巣を摘出しない手術かが施される前に、全てのグループは、同程度の平均体重であった。食事ダイエットの1ヵ月後に、グループ間で違いが見られ、この違いは経時的に顕著になった。したがって、図2に示されるように、3ヶ月の食事ダイエット後に、参照グループ1で観察された全体重増加は、グループ2及び3で報告された全体重増加と比較して統計的に大きい(極めて有意な結果p<0.001であった。)。グループ1のマウスはグループ2の前記参照マウスと比較して体重の増加が統計的に大きかったので、「卵巣の摘出」効果が観察された。3ヶ月の食事ダイエット後に、グループ3のマウスはグループ1のマウスに比べて統計的に痩せていたので、この効果はグループ3のマウスでは発見されない。グループ3が受けた前記食事が前記卵巣の摘出により引き起こされる体重増加を制限するのに有効であることが、この観察により確認された。
【0064】
加水分解産物H1に基づく前記食事は、カゼインからなる前記食事と比較して、体重の増加を制限する。
【0065】
肥満指標
3ヶ月の研究期間終了時に、各グループに対して、屠殺体の体重すなわち除脂肪体重、及び脂肪量が測定された。これら2種類のパラメーターにより、図3に示される肥満指標(除脂肪体重に対する体脂肪量の割合)を算出することが可能となる。前記肥満指標はグループ1及び2については同じであるのに対し、グループ3の肥満指標は、統計的に、より小さい。
【0066】
加水分解産物H1に基づく前記食事は、体脂肪量の減少と、除脂肪体重の増加とを引き起こし、肥満指標を有意に改善する。
【0067】
研究2
魚類タンパク質の加水分解産物H1を質量あたり7.5%又は12.5%含有する食事が、カゼインを質量あたり14.6%含有する参照標準食事と比較された。
【0068】
ハーラン飼育センターから供給されたC3Hマウス48匹が、逆転明暗周期(午前6時から午後6時までが夜)で22°Cに温度を自動制御された部屋内のケージの中に入れられた。動物は、環境と、粉末の形状の食事とに2週間慣らされた。各動物は、3ヶ月の研究期間中、水と、食事(マウス1匹あたりに1日5グラム)とを自由に受け取った。
【0069】
8週間目に、前記マウスは、卵巣摘出か、卵巣を摘出しない外科的手術かが施された。術後、前記動物は、該動物が受けるべき食事に応じて12匹の4つのグループに分けられた。
【0070】
グループ1
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、前記対照食事を受ける。
【0071】
グループ2
前記マウスは前記卵巣を摘出されることなく手術され、前記対照食事、すなわち14.6%のカゼインを摂取する。
【0072】
グループ3
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、7.5%のH1を含む食事(前記対照食事と同一の組成であるが、前記ミルク・プロテインは実施例1で得られた魚類タンパク質の加水分解産物に取り替えられる。)を受ける。
【0073】
グループ4
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、12.5%のH1を含む食事(前記対照食事と同一の組成であるが、前記ミルク・プロテインは実施例1で得られた魚類タンパク質の加水分解産物に取り替えられる。)を受ける。
【0074】
提供された前記食事の熱量組成は、以下の表4に示される。
【0075】
【表4】
【0076】
食事ダイエットの3ヶ月後に、前記マウスは(体重10グラムあたり、1mg/mLのキシラジン及び10mg/mLのケタミン溶液を0.1mL注入することによって)麻酔された後、屠殺された。身体組成は、さまざまな脂肪組織(卵巣周囲脂肪組織、腸間膜脂肪組織、腎周囲脂肪組織、皮下脂肪組織、褐色脂肪組織)を採取し、計量することによって、確定された。さまざまな臓器(腎臓、肝臓、子宮、脾臓、腸)の重量も評価された。
【0077】
モデルの妥当性評価
研究1と同様に、前記卵巣の摘出が正確に施されたこと(萎縮した子宮)を確認するために、屠殺時に、前記子宮の重量が正確に測定された。図4に示されるこれらの結果(体重100グラムあたりの子宮のグラム重量)は、卵巣摘出を施されなかったグループ2のマウスが、他の全てのグループのマウスの子宮と比較して、有意に大きい子宮を有することを示す。図4では、値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0078】
前記モデルの妥当性の検証において、問題は検出されなかった。
【0079】
経時的な体重増加
図5は、3ヶ月の研究期間中に、各グループのマウスについて記録された全体重増加をグラムで示す。期間I、II及びIIIは、それぞれ、食事ダイエットの1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後に実施された測定に対応する。値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。前記卵巣摘出(グループ1、3及び4)か、卵巣を摘出しない手術(グループ2)かが施される前に、全てのグループは、同程度の平均体重であった。食事ダイエットの3ヵ月後に、グループ間で有意差が見られた。したがって、卵巣摘出したマウスである参照グループ1で観察される前記全体重増加は、グループ2、3及び4で報告された前記全体重増加と比較して統計的に大きい。また、最高量の魚類タンパク質の加水分解産物が摂取されたグループ4で観察された前記全体重増加は、グループ3で観察された前記全体重増加と比較して、有意に小さい。参照グループ2及び4で記録された前記全体重増加では、有意差は見られない。グループ3及び4により摂取された魚類タンパク質の加水分解産物が前記卵巣の摘出により引き起こされる経時的な体重増加を制限することが、これらの観察により証明された。
【0080】
したがって、12.5%及び7.5%の濃度の加水分解産物H1に基づく前記食事は、前記卵巣の摘出により引き起こされる体重増加を大幅に減少させ、この減少は食事ダイエットの2ヵ月後に生じる。
【0081】
体重100gに対する脂肪組織の割合
図6は、3ヶ月の研究期間終了時の、各グループのマウスの体重100gに対する皮下脂肪組織の割合を示す。グループ4のマウスと、前記魚類タンパク質の加水分解産物を摂取しなかったグループ1の卵巣摘出したマウスとの間に、有意な差が観察された。後者のマウスは、グループ4のマウスで測定された皮下脂肪組織の割合と比較して、皮下脂肪組織の割合が大きかった。
【0082】
よって、加水分解産物H1に基づく前記食事は、脂肪組織の減少に陽性効果を有する。
【0083】
食物摂取量の測定
体重減少を生じさせるという体重において観察される魚類タンパク質の加水分解産物の効果が、食事に対する嫌悪感の結果又は食物摂取量を最小限にするであろう前記加水分解産物の満腹効果の結果ではないことを検証するためにマウスによる食物摂取量に関する研究が実施された。
【0084】
この研究を実施するために、グループ1の5匹のマウス、グループ2の6匹のマウス及びグループ4の5匹のマウスが、丸5日間、代謝ケージに個別に入れられた。この代謝ケージは、時間の関数として、摂取された食物の量及びマウスの活性を記録することを可能にする。最初の3日は、この環境へのマウスの順応日である。最後の残り2日間に、前記食物摂取量及び前記活性が測定された。前記食事は、5日間、半流動状で給餌された。
【0085】
マウスにより摂取される食物サイズ
図7は、グループ及び研究期間(P1:全期間、P2:昼、P3:夜)に応じて、グラムで表示される平均食物サイズの測定結果を示す。
【0086】
図8は、グループ及び研究期間(P1:全期間、P2:昼、P3:夜)に応じて、体重100gあたりのグラムで表示される平均食物サイズの測定結果を示す。
【0087】
グループ及び研究期間に応じて摂取された食事回数
図9は、グループ及び研究期間(P1:全期間、P2:昼、P3:夜)に応じて摂取された食事回数を示す。値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0088】
図7及び8から明らかなように、食物サイズに関して種々のグループ間で、有意差は観察されない。他方で、図9は、全期間(P1)及び夜の期間(P3)にマウスが摂取する食事回数について、グループ4と、グループ1又は2との間での有意な差を示す。前記魚類タンパク質の加水分解産物を含む食事を受けたグループ4のマウスは、前記魚類タンパク質の加水分解産物を含まない食事を受けたマウスと比較して、より多く摂食した。
【0089】
本研究は、前記魚類タンパク質の加水分解産物が満腹効果を有さず、食事に対する嫌悪感も引き起こさないことを示す。
【0090】
したがって、H1を含む前記食事を受ける前記グループは、他の参照グループと同一の食物サイズを有するが、食事回数は有意により多い。よって、H1を受ける前記グループは、カゼインを受ける2ヶ月の食事ダイエット後の前記参照グループと比較して、有意により多くの食物を摂取するが、有意により痩せている。
【0091】
動物の活性の測定
図10は、グループ及び研究期間(P1、P2、P3)に応じる体重100gあたりのマウスの平均活性(任意単位)を示す。
【0092】
(卵巣摘出された)グループ1と、より大きな活性を示す(卵巣摘出されない)グループ2との間の有意差によって示されるように、卵巣の摘出は全活性での有意な減少を引き起こす。
【0093】
マウスの卵巣の摘出は、エネルギー消費の有意な減少を引き起こす。
【0094】
結論
よって、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼによって得られる前記魚類タンパク質の加水分解産物H1は、食物の摂取を制限しなかったが、体重の増加を制限した。また、この加水分解産物の摂取は、マウスの身体活動の増加を伴わない。したがって、マウスの体重への前記加水分解産物の影響は、1又は2以上の生理現象に起因する。
【0095】
研究3
雄のC3Hマウス72匹が選択され、以下のグループに分けられた。
タンパク質が寄与する総エネルギーに対する百分率として0%(NLと称されるグループ)か、50%(NL50%と称されるグループ)か、80%(NL80%と称されるグループ)かの魚類タンパク質の加水分解産物H1を含む正常脂質(NL)の食事を受ける3つのグループ。
タンパク質が寄与する総エネルギーに対する百分率として0%(NLと称されるグループ)か、50%(HL50%と称されるグループ)か、80%(HL80%と称されるグループ)かの魚類タンパク質の加水分解産物H1を含む高脂質(HL)の食事を受ける3つのグループ。
【0096】
各グループのマウスは、毎週、体重が計量され、該体重が記録された。14週の食事ダイエットの終了時に、身体組成への前記加水分解産物H1の影響を分析するために、マウスは屠殺された。
【0097】
図11は、各グループの動物の経時的な体重増加を示す。値は、平均±標準偏差のグラムの形で記載される。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0098】
高脂質食事及び正常脂質食事の両方の場合で、前記加水分解産物を摂取しなかったマウス(NLグループ及びHLグループ)と比較して、前記加水分解産物H1を給餌されたマウスは体重がより軽いことが観察される。本発明による前記加水分解産物は、体重を有意に減少させ、すなわち体重増加を制限した。
【0099】
マウスの身体組成は、実験期間中及び実験の終了時に分析された。グループごとの皮下組織、内臓組織、体脂肪量及び屠殺体の平均グラム重量が決定され、その後、記録された。
【0100】
マウスの身体組成は、1週間に1回、代謝ケージを通過後、直ちに、磁気共鳴画像(MRI)によって決定された。前記マウスはマスクを用いて、(麻酔で眠らせるために3%、睡眠状態を継続させるために1%に減少させた)イソフルランで麻酔された。マウスの直腸温は、電子的に測定され(SA インストルメンツ)、加熱マットレスシステムで37.0±0.5°Cに保持された。前記装置を用いて、動物を3次元で表示する96枚の画像が撮影された。これらの画像は正確にわずか2cm強しかなく、全身の画像を撮影するためには、動物を移動させる必要があった。MIPAV(登録商標)ソフトウェアが使用され、該ソフトウェアは全身の画像を再現し、データを処理するために、写真を結合することを可能にする。前記写真に白色で表示される脂肪組織は区切られ、該脂肪組織と、皮下組織と、内臓組織とが分離される。この処理は、前記全ての画像1枚ずつについて、実施される。
【0101】
図12及び13は、MRI研究中、1週間に1回決定されたNL及びHLグループそれぞれのマウスのさまざまな脂肪組織のグラム重量を示す。同様に、図14及び15は、マウスが屠殺されたときに採取されたさまざまな脂肪組織のグラム重量を示す。値は平均±標準誤差(SEM)の形で得られる。統計学的差異:*はpが0.05未満であり、**はpが0.0001より大きく、かつ、0.01未満であり、***はpが0.0001未満である。
【0102】
加水分解産物H1が補強された食事の摂取は、該加水分解産物H1を摂取しなかった前記参照と比較して、マウスの体脂肪量の有意な減少を引き起こす。この有意差は、皮下脂肪組織の減少に関係する(図12、13、14、15)。
【0103】
MRIで得られた前記画像の分析は、H1加水分解産物補強食事を給餌されたマウスで、体脂肪量の重量の有意な減少が観察されることを示す(図12、13)。HLグループでは、80%HL食事を給餌された動物でのみ、有意な減少が観察された。この有意差は、皮下脂肪組織の重量の減少のみに起因する。H1加水分解産物での食事の補強は、マウスの内臓の脂肪組織に影響を及ぼさない。
【0104】
マウスの前記食事への加水分解産物H1の混入は、体重増加を制限した。この体重増加の制限は体脂肪量に関係し、該体脂肪量は、前記加水分解産物を給餌されなかったグループと比較して前記加水分解産物を給餌されたグループで、統計的に減少する。
【0105】
また、屠殺時の解剖により採取された前記身体組成から、体脂肪量の重量の有意な減少が観察された。H1加水分解産物を含まない前記食事が給餌されたマウスと比較して、前記50%H1加水分解産物食事を摂取したマウスで、この有意な減少が観察されるが、前記80%食事を給餌されたマウスでは前記体脂肪量の重量の減少がより顕著であった。H1加水分解産物補強食事が給餌されたマウスの2つのグループ(NL、HL)の皮下脂肪組織に関しても、重量の有意な減少が発見された。
【0106】
前記50%HL食事を摂取した動物で、該摂取は、全体脂肪量の重量の有意な減少を全く引き起こさず、単に減少の傾向が観察されるだけであった。しかし、皮下脂肪組織の重量は、前記対照HL食事と比較して、有意に減少した部分であった。他方で、前記80%HL食事が給餌されたマウスでは、全体脂肪量の重量の大幅な減少が観察された。また、この食事が給餌されたマウスの皮下脂肪組織及び内臓脂肪組織も、有意に減少した。
【0107】
また、加水分解産物H1の前記摂取が、皮下脂肪組織及び副睾丸脂肪組織の脂肪細胞の大きさを減じることが観察された。この効果は、内臓脂肪組織では観察されなかった。
【0108】
また、肥満指標(動物の屠殺体の体重と体脂肪量の割合)が算出された(図16)。この肥満指標は、対照食事の摂取後と比較して、HL食事の摂取後に有意に増加する。
【0109】
前記対照食事HLすなわちH1加水分解産物を含まない食事と比較して、80%HL食事を摂取したマウスで前記肥満指標は有意に減少し、前記対照食事NLすなわちH1加水分解産物を含まない食事と比較して、80%NL食事を摂取したマウスで前記肥満指標は有意に減少する。タンパク質エネルギー寄与により、H1の前記50%食事が給餌された動物で、前記肥満指標は減少する傾向にある。
【0110】
研究期間中、HL投与計画を受けた動物の肝臓は、前記対照マウスの肝臓と比較して、より大きいことも観察された。前記食事へのH1加水分解産物の添加は、NL対照食事の摂取か、HL食事の摂取かに関わらず、肝臓の重量の有意な減少を引き起こす。
【実施例5】
【0111】
バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来の酵素か、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)及びバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来の酵素混合物かによって得られた魚類タンパク質の加水分解産物の生物活性
体重増加の活性を有する機能性ペプチドの採取物を濃縮するために、出願人の会社は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来の酵素以外の酵素を用いる酵素消化によって得られた前記ペプチドのかかる活性についてテストすることによって研究を続けた。
【0112】
344±4gの雄のウィスターラット32匹が、TMP、魚類タンパク質、ペプチドA、ペプチドPと称された8匹の4つのグループに分けられた。各食事のエネルギー寄与は、タンパク質55%、脂質30%及び糖質15%によって達成された。それらは格子状のケージで個別に飼育され、昼夜周期の温度制御室(22±1°C)に置かれ、ラットは夜に食事することが知られている。
【0113】
ラットは、トータル・ミルク・プロテイン14%(TMP)、糖質56%及び脂質30%を含む脂質の正常なタンパク質P14食に1週間以上馴化した。ラットは自由に摂食した。1週間の馴化後、所要の体重に到達すると、ラットはそれらの実験食を21日間毎日給餌された。さまざまなグループは、それらの名前に対応する食事を受け取った。
TMP:トータル・ミルク・プロテイン
魚類タンパク質:赤身魚及び白身魚に由来する天然海洋資源のタンパク質
ペプチドA:アルカラーゼ(登録商標)(バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来の酵素)を用いるプタスダラの酵素加水分解の方法によって得られたペプチド
ペプチドP:プロタメックス(登録商標)(バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)及びバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来の酵素)を用いるプタスダラの酵素加水分解の方法によって得られたペプチド
計量と、グラム粉末消費量の評価とが、毎日実施された。
【0114】
体重の変化
図17は、テストした食事を自由に食べたラットの21日間の体重の全増加を示す(値は平均±標準偏差に相当する、n=8)。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0115】
実験条件への1週間の馴化後、それらがP14の参照食(348±5g)を給餌されるとき、前記グループの体重は異ならない。前記実験の終了時、全体重増加は、ペプチドのグループ(ペプチドA及びペプチドP)と、TMP及び魚類タンパク質のグループとの間で、有意差を全く示さない。
【0116】
食物摂取量
馴化期間に、各グループは参照食と同一の食物摂取量だった(337±4kJ)。その後、前記ラットはそれらの実験食を給餌されるとき、食物摂取量の減少がそれらの馴化期間と比較して4つのグループについて観察されたが、この減少はさまざまなペプチドと、参照グループとの間で有意ではない(図18)。プロタメックス(登録商標)及びアルカラーゼ(登録商標)の酵素を用いて得られたプタスダラのタンパク質の加水分解産物を受け取るグループは、それ以上食物を摂取しなかった。
【0117】
体重増加に関して、ペプチドA及びペプチドPのグループと、参照グループ(TMP、魚類タンパク質)との間に違いが全くないので、ペプチドA及びPは体重に全く影響しないと結論付けられた。結果として、研究作業はそれらの2種類の加水分解産物で継続されなかった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、体重減少をもたらす、すなわち体重増加を制限及び/又は抑制するのに使用するための魚類タンパク質の加水分解産物に関する。また本発明は、太り過ぎ(excessive weight)及び/又は太り過ぎに関連した健康障害を予防及び/又は治療するためのかかる加水分解産物に関する。
【背景技術】
【0002】
魚類タンパク質の加水分解産物は、化学的又は酵素的に得られる場合がある。最初に、前記タンパク質の加水分解は、厳密なpH条件下で強酸又は強塩基を用いて実施される。これらの加水分解の条件は、得られた前記加水分解産物の質を著しく損なう。2番目に、前記加水分解産物は、内因性の酵素又は外因性の酵素を用いるタンパク質の加水分解によって得られる。これらの加水分解の条件は、加水分解の程度を制御可能にする、特に異種性の酵素を用いる加水分解に関する良質の加水分解産物を生じる。
【0003】
多くの研究が、酵素的に得られた漁獲産物及び副産物(co−products and products of fishing)由来の加水分解産物は有用な栄養的及び機能的性質を有することを実証した(非特許文献1ないし5)。なぜなら、前記酵素的加水分解反応は、天然のタンパク質と比較して新たな生物学的性質を有する場合がある、異なる分子量のペプチドを得ることを可能にするためである。例えば、研究は、魚類、甲殻類及び軟体類のタンパク質の加水分解産物が、抗凝血性の性質(非特許文献6)、がん細胞株の抗増殖性の性質(非特許文献7)、腸上皮組織を修復する性質(非特許文献8)、抗酸化の性質(非特許文献9ないし17)、免疫変調性の性質(非特許文献18ないし21)、及び、特定の細胞株の増殖を促進する性質(非特許文献22及び23)を有することを明らかにした。
【0004】
したがって、従来、多くの医薬品、化粧品又は食品の業界が、魚類又はその他の海産物のタンパク質の加水分解産物の機能的性質に興味を持っている。
【0005】
太り過ぎは、今日、不変的な関心事である。なぜなら、太り過ぎは、個人に不快感を生じさせるだけでなく、より重度の健康問題を生じさせるためである。
【0006】
例えば、肥満は、循環器疾病、代謝障害、高血圧、又は、がんのような多くの健康問題のリスク因子である。
【0007】
太り過ぎの発端は大いに異なる。例えば、この現象は、行動つまり貧しい食習慣か、女性の更年期のようなホルモンかが原因である場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Quagliaら、1987
【非特許文献2】Shahidiら、1995
【非特許文献3】Liceaga−Gesualdoら、1999
【非特許文献4】Kristinsson及びRasco、2000
【非特許文献5】Liasetら、2003
【非特許文献6】Rajapakseら、2005
【非特許文献7】Picotら、2006
【非特許文献8】Fitzgeraldら、2005
【非特許文献9】Chuangら、2000
【非特許文献10】Suetsunaら、2000
【非特許文献11】Kimら、2001
【非特許文献12】Suetsuna、2002
【非特許文献13】Wuら、2003
【非特許文献14】Junら、2004
【非特許文献15】Suetsunaら、2004
【非特許文献16】Jeら、2008
【非特許文献17】Raghavanら、2008
【非特許文献18】Bogwaldら、1996
【非特許文献19】Gildbergら、1996
【非特許文献20】Kotzamanisら、2007
【非特許文献21】Tangら、2008
【非特許文献22】Ravallec−Pleら、2000
【非特許文献23】Guerardら、2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
さまざまな解決策が、現在、太り過ぎのこれらの問題を処置するために提案される。従来、太り過ぎの治療又は予防は食事によって達成される場合がある。しかし、かかる食事はかなり多くの対象を追跡調査することが困難であり、不適切な場合には、人体の機能に必須な栄養の欠乏を生じる場合があることが知られている。したがって、1つの代替案は、体重増加及び/又は体重減少を制限するためのメカニズムを干渉可能な有効成分を使用することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の研究の開始時にマウスで測定された子宮のグラム重量(100gあたりに言及されない)を示すグラフ。
【図2】第1の研究の3カ月にわたって各グループのマウスについて記録された全体重増加をグラムで示すグラフ。
【図3】記録された肥満指標、つまり除脂肪体重に対する前記体脂肪量の割合を示すグラフ。
【図4】第2の研究の開始時に測定された体重100gあたりのマウスの子宮のグラム重量を示すグラフ。
【図5】第2の研究の3カ月の各グループのマウスの子宮について記録された全体重増加をグラムで示すグラフ。
【図6】第2の研究の3カ月後の各グループのマウスについての体重100gあたりの全皮下脂肪組織の割合を示すグラフ。
【図7】グループ及び研究期間に応じて、グラムで示された平均食物サイズの測定結果を示すグラフ。
【図8】第2の研究時に、グループ及び研究期間に応じて、体重100gあたりのグラムで示された食物サイズの測定結果を示すグラフ。
【図9】第2の研究時に、グループ及び研究期間に応じて、摂取された食事回数を示すグラフ。
【図10】第2の研究時に、グループ及び研究期間に応じて、体重100gあたりで言及された任意単位で示されたマウスの平均活性を示すグラフ。
【図11】第3の研究中の各グループの動物の経時的なグラム体重増加を示す折れ線グラフ。
【図12】第3の研究中のグループNLのマウスのMRIによって1週間に1回測定された皮下組織及び内臓組織と、体脂肪量との平均グラム重量を示すグラフ。
【図13】第3の研究中のグループHLのマウスのMRIによって14週間にわたり1週間に1回測定された皮下組織及び内臓組織と、体脂肪量との平均グラム重量を示すグラフ。
【図14】第3の研究中のグループNLのマウスのMRIによって該研究終了時に測定された皮下組織及び内臓組織と、体脂肪量との平均グラム重量を示すグラフ。
【図15】第3の研究中のグループHLのマウスのMRIによって該研究終了時に測定された皮下組織及び内臓組織と、体脂肪量との平均グラム重量を示すグラフ。
【図16】第3の研究中のグループHL及びNLのマウスのMRIによって該研究終了時に記録された肥満指標、つまり屠殺体重量に対する体脂肪量の割合を示すグラフ。
【図17】実施例5の各グループのラットについて記録された全体重増加をグラムで示すグラフ。
【図18】実施例5の各グループのラットについて記録された全食物摂取量を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、研究が、消費者の体重減少を誘導する、すなわち体重増加を制限又は抑制する性質を有する特定の魚類からなるタンパク質供給源の酵素的加水分解から得られた加水分解産物を同定した出願人の会社によって実行された。
【0012】
また本発明は、体重減少をもたらす、すなわち体重増加を制限又は抑制するための魚類タンパク質の加水分解産物の非治療上の使用に関し、該魚類タンパク質の加水分解産物は、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源を酵素的加水分解することによって得られ、該酵素的加水分解は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって実行される。
【0013】
本発明の1つの実施態様によれば、体重減少を誘導すること、及び、体重増加を制限又は抑制することは、体重の減少、特に、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の軽減、身体組成の改善、脂質代謝の調節、及び、より具体的には、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制も含む。
【0014】
本発明による前記加水分解産物は、痩身食、すなわち体重増加を予防するための食事で用いられる場合がある。
【0015】
本発明の1つの特徴によれば、かかる加水分解産物は、食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を全く引き起こさない。
【0016】
本発明の1つの実施態様によれば、前記魚類タンパク質の加水分解産物は、以下の分子プロファイル分布、300Da未満の分子量の分子が33%から39%まで、300Daから1000Daまでの分子量の分子が34%から37%まで、1000Daから3000Daまでの分子量の分子が21%から24%まで、3000Daから5000Daまでの分子量の分子が3%から4%まで、及び、5000Daから10000Daまでの分子量の分子が1%から2%までと、原材料の百分率として1%未満の脂質含有量と、原材料の百分率として4%未満の糖質含有量と、原材料の百分率として80%よりも多いタンパク質含有量と、原材料の百分率として5%から10%までの無機質含有量とを有する。
【0017】
また、前記魚類タンパク質の加水分解産物は、アミノ酸の総質量に関しての質量あたりの百分率として、グルタミン酸 16.9%、アスパラギン酸 11.7%、リジン 10%、ロイシン 8.2%、アルギニン 6.3%、アラニン 6.8%、バリン 4.8%、イソロイシン 4.4%、グリシン 5%、スレオニン 4.5%、セリン 4.4%、チロシン 3.2%、フェニルアラニン 3.9%、メチオニン 2.6%、プロリン 3.4%、ヒスチジン 2%、システイン 1%、トリプトファン 0.8%のアミノ酸組成を有することが好ましい。
【0018】
かかる加水分解産物と、該加水分解産物の製造方法とは、出願人の会社によって出願された特許出願第08 00753号に記載され、第FR 2 927 336号で開示された。
【0019】
魚類タンパク質供給源は前記魚類の切り身から得られたすり身(pulp)を含むことが好ましい。
【0020】
また、前記魚類タンパク質の加水分解産物は、魚類からすり身を回収するために水の存在下で、前記魚類、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源をすりつぶすステップと、反応混合物を得るために、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素の添加後、1時間ないし5時間50°Cから75°Cまでの温度で前記タンパク質供給源を酵素的加水分解するステップと、前記反応混合物の温度を70°Cを下回らないレベルに8分間ないし20分間上昇させた後、前記酵素を不活性化することによって前記酵素的加水分解を停止するステップと、前記反応混合物の残余から得られた前記タンパク質の加水分解産物を分離するステップとを含む製造方法によって得られることが好ましい。
【0021】
前記酵素的加水分解するステップは、55°Cの加水分解温度において、酵素/タンパク質供給源の割合が0.01%から2%までで実施されることが好ましく、0.75%と同等で実施されることが好ましい。
【0022】
バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素は、酵素委員会によって確立され、1992年に国際生化学分子生物学連合によって開示されたEC分類のクラスEC 3.4.24.28に属するメタロエンドペプチダーゼ、すなわちバシロリシン(bacillolysine)であることが好ましい。
【0023】
本発明の別の局面によれば、本発明は、太り過ぎ及び/又は太り過ぎに関連した疾病の治療及び/又は予防での加水分解産物の使用のために、魚類、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源を酵素的加水分解することによって得られた魚類タンパク質の加水分解産物にも関し、前記酵素的加水分解はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって実行される。
【0024】
本発明の1つの実施態様によれば、前記太り過ぎの治療及び/又は予防は、体重減少の誘導、体重増加の制限及び/又は抑制、特に、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の治療、脂質代謝の調節、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制を含む。
【0025】
本発明の1つの実施態様によれば、太り過ぎは、肥満、全身の代謝障害、又は、更年期の徴候の摂食障害(weight disorders)に関係する。
【0026】
魚類タンパク質の加水分解産物は体重に影響するため、該魚類タンパク質の加水分解産物は太り過ぎに関連するいずれかの疾病の治療及び/又は予防でも用いられると予想される。これは、例えば、循環器疾病、高血圧、高コレステロール血症又はアテローム性動脈硬化症の病気となるであろう。
【0027】
本発明のこれらの実施態様では、前記魚類タンパク質の加水分解産物は以前に定義されたものである。特に、本発明のこの局面によれば、前記加水分解産物は、食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を引き起こさない。
【0028】
したがって、以前に定義されたような前記魚類タンパク質の加水分解産物は、太り過ぎ及び/又は前述した太り過ぎに関連した疾病の治療及び/又は予防を目的とする栄養補助食品か、医薬又は栄養補助の組成物かを製造するために用いられる場合がある。
【0029】
また、本発明による前記魚類タンパク質の加水分解産物は、美容上の痩身、すなわち細くなる方法のいずれかで用いられる場合がある。
【0030】
したがって、本発明は、以前に定義されたような魚類タンパク質の加水分解産物を経口投与するステップを含むことを特徴とする、体重減少の誘導か、体重増加の制限又は抑制かについての非治療上の処置のためのプロセス、すなわち方法にも関する。
【0031】
最後に、本発明は、以前に定義されたような魚類タンパク質の加水分解産物を経口投与するステップを含むことを特徴とする、体重減少の誘導か、体重増加の制限又は抑制かについての治療上の処置及び/又は予防の方法に関する。
【0032】
前述の本発明の特徴その他は以下の実施例の実施態様の記載を読むことでより明白に明らかになるであろうし、前記実施例は例示することを目的とし、限定することを目的としないであろう。
【実施例1】
【0033】
実施例1 プタスダラから得られたタンパク質加水分解産物
プタスダラ(ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou))は北大西洋ニューファンドランドで釣られる。魚類は切り身に切り取られ、その後、そのすり身を得るためにすりつぶされる。この魚類のすり身は、加水分解産物を製造するためのタンパク質供給源の構成要素となる。前記すり身は使用するまで−20°Cで保管される。
【0034】
予め解凍されたプタスダラのすり身3キロは、質量比1で水と混合される。温度は55°Cに上昇され、その後、ABエンザイム社(フェルドバーグ通り78、D−64293、ドイツ国ダルムシュタット郡)によるコロラーゼNという名前で販売されるバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素が、タンパク質供給源に対する酵素の割合0.75%で反応物に添加される。
【0035】
加水分解反応が2時間実施され、その後、前記酵素は反応物の温度を85°Cに上昇させることによって不活性化される。この温度は15分間維持される。
【0036】
その後、得られたプタスダラのタンパク質加水分解産物(以下、「H1」という。)が固形物質を除去するために篩(2mm/2mmのメッシュ)上で濾過され、その後、容器に回収される。その後、前記容器に回収された画分は、4000rpmから7000rpmまでの速度で30分間±5分間遠心分離される。残渣の除去後、上清は回収され、凍結乾燥され、乾燥した冷暗所で保存される。前記上清は微粒子化される場合もある。
【実施例2】
【0037】
本発明による別種の魚類から得られたタンパク質加水分解産物
サバ(H2)(スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus))、アジ(H3)(トラクルス属の複数種(Trachurus spp.))、コソダラ(H4)(コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris))、ビブ(H5)(トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki))、イワシ(H6)(サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus))、ニシン(H7)(クルペア・ハレングス(Clupea harengus))、パンガ(panga)(H8)(シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類)、シロイトダラ(H10)(ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens))、タイセイヨウマダラ(H9)(ガドゥス・モルア(Gadus morhua))、及び、モンツキダラ(H11)(メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus))のタンパク質加水分解産物は実施例1の方法に従って調製された。
【実施例3】
【0038】
実施例1及び2によって得られた前記タンパク質加水分解物の物理的及び化学的な解析
H1ないしH11の各タンパク質加水分解産物を構成しているペプチドの分子量を決定することが、立体排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)によって実施される。
【0039】
凍結乾燥後の粉末形状の前記タンパク質加水分解産物は20mg/mLで超純水に懸濁され、その後、0.45μmの膜上で濾過され、ファルマシア社によって販売されたスパーデックスペプチドHR10/30カラムに付随するゲルを通して濾過することによって解析される。前記カラムの基質は、アガロースとデキストランとを架橋した多孔性ゲル(直径13−15μm)全量24mLから構成される。画分ドメインは100Daから7000Daまでである。前記カラムは、ダイオネクス社によって販売された、ポンプを装備したHPLC製品(ダイオネクスP680モジュール)に取り付けられる。測定は、多波長紫外線検出器(ダイオネクスUVD 170Uモジュール)によって実施される。前記タンパク質加水分解産物H1は、アセトニトリル、水及びTFAを含む移動相によって溶出される。前記溶出は、0.5mL/分の割合で約1時間続く。
【0040】
分子量分布は、以下の既知の分子量マーカー、シトクロムC(12400Da)、アプロチニン(6511Da)、ガストリンI(2126Da)、P物質の断片1−7(1348Da)、グリシン(75Da)及びロイペプチン(463Da)のカラムの通過後、得られた検量線のパラメーターから算出される。データはクロメレオンソフトウェア(ダイオネクス)によって採取される。前記分子量の百分率は、ソフトウェア(ポリマーラボラトリーズからのGPCシーラス)によって算出される。取得波長は214nmである。dW/logMによる前記分子量分布は、前記ソフトウェアによって提供される。曲線下面積の百分率は分子の百分率に対応する。サイズクラスあたりの前記分子量分布は表1で提供される。
【0041】
サイズクラスあたりの前記分子量分布は以下の表1で提供される。曲線下面積の前記百分率はペプチド分子の前記百分率に対応する。
【0042】
前記加水分解産物全ては、同一の分子量分布プロファイルを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
前記タンパク質加水分解産物H1のアミノ酸組成は表2で提供され、欧州指令98/64/CEと、基準NF EN ISO 13904−2005年10月との指示に従って得られる。
【0045】
【表2】
【0046】
タンパク質含有量は原材料の百分率(ケルダール法によって採取された−NF V18−120−1997年3月)において80%より高い。
【0047】
脂質含有量は、(欧州指令98/64/CEに従う)原材料の百分率として1%未満である。
【0048】
前記タンパク質加水分解産物H1の熱量は約350Kcal/100gである。
【0049】
糖質含有量は、(前記タンパク質及び糖質の含有量と、熱量とから導き出された)4%未満である。
【実施例4】
【0050】
実施例4 プタスダラのタンパク質の加水分解産物H1の生物活性
タンパク質の加水分解産物H1は、哺乳類の体重におけるその活性に関して試験された。
【0051】
以下の研究期間中、卵巣摘出したマウスのモデルが、エストロゲンの欠乏を生じさせ、閉経後の現象を模倣するために用いられた。
【0052】
研究1
魚類タンパク質の加水分解産物H1を質量あたり14%含有する食事が、カゼインを質量あたり14%含有する参照標準食事と比較された。
【0053】
ハーラン飼育センターから供給されたC3Hマウス36匹が、逆転明暗周期(午前6時から午後6時までが夜)で22°Cに温度を自動制御された部屋内のケージの中に入れられた。動物は、環境と、粉末の形状の食事とに2週間慣らされた。各動物は、3ヶ月の研究期間中、水と、食事(マウス1匹あたりに1日5グラム)とを自由に受け取った。
【0054】
12週間目に、前記マウスは、卵巣摘出か、卵巣を摘出しない外科的手術かが施された。術後、前記動物は、該動物が受けるべき食事に応じて12匹の3つのグループに分けられた。
【0055】
グループ1
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、前記対照食事を受ける。
【0056】
グループ2
前記マウスは前記卵巣を摘出されることなく手術され、前記対照食事、すなわち、14%のカゼインを摂取する。
【0057】
グループ3
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、14%のH1を含む食事(前記対照食事と同一の組成であるが、ミルク・プロテインは実施例1で得られた魚類タンパク質の加水分解産物に取り替えられる。)を受ける。
【0058】
提供された全ての食事は14%のタンパク質を含み、以下の表3に示されるような類似の熱量組成を有する。
【0059】
【表3】
【0060】
食事ダイエットの3ヶ月後に、前記マウスは(体重10グラムあたり、1mg/mLのキシラジン及び10mg/mLのケタミン溶液を0.1mL注入することによって)麻酔された後、屠殺された。身体組成は、さまざまな脂肪組織(卵巣周囲脂肪組織、腸間膜脂肪組織、腎周囲脂肪組織、皮下脂肪組織、褐色脂肪組織)を採取し、計量することによって、確定された。さまざまな臓器(腎臓、肝臓、子宮、脾臓、腸)の重量も評価された。
【0061】
モデルの妥当性評価
前記卵巣の摘出が正確に施されたことを確認するために、屠殺時に、前記子宮の重量が正確に測定された。このような場合に、前記子宮は萎縮しているように見えなければならない。反対の場合には、前記マウスは研究から除外された。この結果は図1に示され、前記マウスの測定された子宮のグラム重量(100gあたりに言及されない)が報告される。結果は、卵巣摘出を施されなかったグループ2のマウスが、他の全てのグループのマウスの子宮と比較して、有意に大きい子宮を有することを示している。図1では、値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0062】
したがって、前記卵巣摘出の効果の検証において、問題は検出されなかった。
【0063】
経時的な体重増加
図2は、3ヶ月の研究期間中に、各グループのマウスについて記録された全体重増加をグラムで示す。値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。前記卵巣摘出か、卵巣を摘出しない手術かが施される前に、全てのグループは、同程度の平均体重であった。食事ダイエットの1ヵ月後に、グループ間で違いが見られ、この違いは経時的に顕著になった。したがって、図2に示されるように、3ヶ月の食事ダイエット後に、参照グループ1で観察された全体重増加は、グループ2及び3で報告された全体重増加と比較して統計的に大きい(極めて有意な結果p<0.001であった。)。グループ1のマウスはグループ2の前記参照マウスと比較して体重の増加が統計的に大きかったので、「卵巣の摘出」効果が観察された。3ヶ月の食事ダイエット後に、グループ3のマウスはグループ1のマウスに比べて統計的に痩せていたので、この効果はグループ3のマウスでは発見されない。グループ3が受けた前記食事が前記卵巣の摘出により引き起こされる体重増加を制限するのに有効であることが、この観察により確認された。
【0064】
加水分解産物H1に基づく前記食事は、カゼインからなる前記食事と比較して、体重の増加を制限する。
【0065】
肥満指標
3ヶ月の研究期間終了時に、各グループに対して、屠殺体の体重すなわち除脂肪体重、及び脂肪量が測定された。これら2種類のパラメーターにより、図3に示される肥満指標(除脂肪体重に対する体脂肪量の割合)を算出することが可能となる。前記肥満指標はグループ1及び2については同じであるのに対し、グループ3の肥満指標は、統計的に、より小さい。
【0066】
加水分解産物H1に基づく前記食事は、体脂肪量の減少と、除脂肪体重の増加とを引き起こし、肥満指標を有意に改善する。
【0067】
研究2
魚類タンパク質の加水分解産物H1を質量あたり7.5%又は12.5%含有する食事が、カゼインを質量あたり14.6%含有する参照標準食事と比較された。
【0068】
ハーラン飼育センターから供給されたC3Hマウス48匹が、逆転明暗周期(午前6時から午後6時までが夜)で22°Cに温度を自動制御された部屋内のケージの中に入れられた。動物は、環境と、粉末の形状の食事とに2週間慣らされた。各動物は、3ヶ月の研究期間中、水と、食事(マウス1匹あたりに1日5グラム)とを自由に受け取った。
【0069】
8週間目に、前記マウスは、卵巣摘出か、卵巣を摘出しない外科的手術かが施された。術後、前記動物は、該動物が受けるべき食事に応じて12匹の4つのグループに分けられた。
【0070】
グループ1
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、前記対照食事を受ける。
【0071】
グループ2
前記マウスは前記卵巣を摘出されることなく手術され、前記対照食事、すなわち14.6%のカゼインを摂取する。
【0072】
グループ3
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、7.5%のH1を含む食事(前記対照食事と同一の組成であるが、前記ミルク・プロテインは実施例1で得られた魚類タンパク質の加水分解産物に取り替えられる。)を受ける。
【0073】
グループ4
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、12.5%のH1を含む食事(前記対照食事と同一の組成であるが、前記ミルク・プロテインは実施例1で得られた魚類タンパク質の加水分解産物に取り替えられる。)を受ける。
【0074】
提供された前記食事の熱量組成は、以下の表4に示される。
【0075】
【表4】
【0076】
食事ダイエットの3ヶ月後に、前記マウスは(体重10グラムあたり、1mg/mLのキシラジン及び10mg/mLのケタミン溶液を0.1mL注入することによって)麻酔された後、屠殺された。身体組成は、さまざまな脂肪組織(卵巣周囲脂肪組織、腸間膜脂肪組織、腎周囲脂肪組織、皮下脂肪組織、褐色脂肪組織)を採取し、計量することによって、確定された。さまざまな臓器(腎臓、肝臓、子宮、脾臓、腸)の重量も評価された。
【0077】
モデルの妥当性評価
研究1と同様に、前記卵巣の摘出が正確に施されたこと(萎縮した子宮)を確認するために、屠殺時に、前記子宮の重量が正確に測定された。図4に示されるこれらの結果(体重100グラムあたりの子宮のグラム重量)は、卵巣摘出を施されなかったグループ2のマウスが、他の全てのグループのマウスの子宮と比較して、有意に大きい子宮を有することを示す。図4では、値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0078】
前記モデルの妥当性の検証において、問題は検出されなかった。
【0079】
経時的な体重増加
図5は、3ヶ月の研究期間中に、各グループのマウスについて記録された全体重増加をグラムで示す。期間I、II及びIIIは、それぞれ、食事ダイエットの1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後に実施された測定に対応する。値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。前記卵巣摘出(グループ1、3及び4)か、卵巣を摘出しない手術(グループ2)かが施される前に、全てのグループは、同程度の平均体重であった。食事ダイエットの3ヵ月後に、グループ間で有意差が見られた。したがって、卵巣摘出したマウスである参照グループ1で観察される前記全体重増加は、グループ2、3及び4で報告された前記全体重増加と比較して統計的に大きい。また、最高量の魚類タンパク質の加水分解産物が摂取されたグループ4で観察された前記全体重増加は、グループ3で観察された前記全体重増加と比較して、有意に小さい。参照グループ2及び4で記録された前記全体重増加では、有意差は見られない。グループ3及び4により摂取された魚類タンパク質の加水分解産物が前記卵巣の摘出により引き起こされる経時的な体重増加を制限することが、これらの観察により証明された。
【0080】
したがって、12.5%及び7.5%の濃度の加水分解産物H1に基づく前記食事は、前記卵巣の摘出により引き起こされる体重増加を大幅に減少させ、この減少は食事ダイエットの2ヵ月後に生じる。
【0081】
体重100gに対する脂肪組織の割合
図6は、3ヶ月の研究期間終了時の、各グループのマウスの体重100gに対する皮下脂肪組織の割合を示す。グループ4のマウスと、前記魚類タンパク質の加水分解産物を摂取しなかったグループ1の卵巣摘出したマウスとの間に、有意な差が観察された。後者のマウスは、グループ4のマウスで測定された皮下脂肪組織の割合と比較して、皮下脂肪組織の割合が大きかった。
【0082】
よって、加水分解産物H1に基づく前記食事は、脂肪組織の減少に陽性効果を有する。
【0083】
食物摂取量の測定
体重減少を生じさせるという体重において観察される魚類タンパク質の加水分解産物の効果が、食事に対する嫌悪感の結果又は食物摂取量を最小限にするであろう前記加水分解産物の満腹効果の結果ではないことを検証するためにマウスによる食物摂取量に関する研究が実施された。
【0084】
この研究を実施するために、グループ1の5匹のマウス、グループ2の6匹のマウス及びグループ4の5匹のマウスが、丸5日間、代謝ケージに個別に入れられた。この代謝ケージは、時間の関数として、摂取された食物の量及びマウスの活性を記録することを可能にする。最初の3日は、この環境へのマウスの順応日である。最後の残り2日間に、前記食物摂取量及び前記活性が測定された。前記食事は、5日間、半流動状で給餌された。
【0085】
マウスにより摂取される食物サイズ
図7は、グループ及び研究期間(P1:全期間、P2:昼、P3:夜)に応じて、グラムで表示される平均食物サイズの測定結果を示す。
【0086】
図8は、グループ及び研究期間(P1:全期間、P2:昼、P3:夜)に応じて、体重100gあたりのグラムで表示される平均食物サイズの測定結果を示す。
【0087】
グループ及び研究期間に応じて摂取された食事回数
図9は、グループ及び研究期間(P1:全期間、P2:昼、P3:夜)に応じて摂取された食事回数を示す。値は平均±標準偏差の形で得られる。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0088】
図7及び8から明らかなように、食物サイズに関して種々のグループ間で、有意差は観察されない。他方で、図9は、全期間(P1)及び夜の期間(P3)にマウスが摂取する食事回数について、グループ4と、グループ1又は2との間での有意な差を示す。前記魚類タンパク質の加水分解産物を含む食事を受けたグループ4のマウスは、前記魚類タンパク質の加水分解産物を含まない食事を受けたマウスと比較して、より多く摂食した。
【0089】
本研究は、前記魚類タンパク質の加水分解産物が満腹効果を有さず、食事に対する嫌悪感も引き起こさないことを示す。
【0090】
したがって、H1を含む前記食事を受ける前記グループは、他の参照グループと同一の食物サイズを有するが、食事回数は有意により多い。よって、H1を受ける前記グループは、カゼインを受ける2ヶ月の食事ダイエット後の前記参照グループと比較して、有意により多くの食物を摂取するが、有意により痩せている。
【0091】
動物の活性の測定
図10は、グループ及び研究期間(P1、P2、P3)に応じる体重100gあたりのマウスの平均活性(任意単位)を示す。
【0092】
(卵巣摘出された)グループ1と、より大きな活性を示す(卵巣摘出されない)グループ2との間の有意差によって示されるように、卵巣の摘出は全活性での有意な減少を引き起こす。
【0093】
マウスの卵巣の摘出は、エネルギー消費の有意な減少を引き起こす。
【0094】
結論
よって、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼによって得られる前記魚類タンパク質の加水分解産物H1は、食物の摂取を制限しなかったが、体重の増加を制限した。また、この加水分解産物の摂取は、マウスの身体活動の増加を伴わない。したがって、マウスの体重への前記加水分解産物の影響は、1又は2以上の生理現象に起因する。
【0095】
研究3
雄のC3Hマウス72匹が選択され、以下のグループに分けられた。
タンパク質が寄与する総エネルギーに対する百分率として0%(NLと称されるグループ)か、50%(NL50%と称されるグループ)か、80%(NL80%と称されるグループ)かの魚類タンパク質の加水分解産物H1を含む正常脂質(NL)の食事を受ける3つのグループ。
タンパク質が寄与する総エネルギーに対する百分率として0%(NLと称されるグループ)か、50%(HL50%と称されるグループ)か、80%(HL80%と称されるグループ)かの魚類タンパク質の加水分解産物H1を含む高脂質(HL)の食事を受ける3つのグループ。
【0096】
各グループのマウスは、毎週、体重が計量され、該体重が記録された。14週の食事ダイエットの終了時に、身体組成への前記加水分解産物H1の影響を分析するために、マウスは屠殺された。
【0097】
図11は、各グループの動物の経時的な体重増加を示す。値は、平均±標準偏差のグラムの形で記載される。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0098】
高脂質食事及び正常脂質食事の両方の場合で、前記加水分解産物を摂取しなかったマウス(NLグループ及びHLグループ)と比較して、前記加水分解産物H1を給餌されたマウスは体重がより軽いことが観察される。本発明による前記加水分解産物は、体重を有意に減少させ、すなわち体重増加を制限した。
【0099】
マウスの身体組成は、実験期間中及び実験の終了時に分析された。グループごとの皮下組織、内臓組織、体脂肪量及び屠殺体の平均グラム重量が決定され、その後、記録された。
【0100】
マウスの身体組成は、1週間に1回、代謝ケージを通過後、直ちに、磁気共鳴画像(MRI)によって決定された。前記マウスはマスクを用いて、(麻酔で眠らせるために3%、睡眠状態を継続させるために1%に減少させた)イソフルランで麻酔された。マウスの直腸温は、電子的に測定され(SA インストルメンツ)、加熱マットレスシステムで37.0±0.5°Cに保持された。前記装置を用いて、動物を3次元で表示する96枚の画像が撮影された。これらの画像は正確にわずか2cm強しかなく、全身の画像を撮影するためには、動物を移動させる必要があった。MIPAV(登録商標)ソフトウェアが使用され、該ソフトウェアは全身の画像を再現し、データを処理するために、写真を結合することを可能にする。前記写真に白色で表示される脂肪組織は区切られ、該脂肪組織と、皮下組織と、内臓組織とが分離される。この処理は、前記全ての画像1枚ずつについて、実施される。
【0101】
図12及び13は、MRI研究中、1週間に1回決定されたNL及びHLグループそれぞれのマウスのさまざまな脂肪組織のグラム重量を示す。同様に、図14及び15は、マウスが屠殺されたときに採取されたさまざまな脂肪組織のグラム重量を示す。値は平均±標準誤差(SEM)の形で得られる。統計学的差異:*はpが0.05未満であり、**はpが0.0001より大きく、かつ、0.01未満であり、***はpが0.0001未満である。
【0102】
加水分解産物H1が補強された食事の摂取は、該加水分解産物H1を摂取しなかった前記参照と比較して、マウスの体脂肪量の有意な減少を引き起こす。この有意差は、皮下脂肪組織の減少に関係する(図12、13、14、15)。
【0103】
MRIで得られた前記画像の分析は、H1加水分解産物補強食事を給餌されたマウスで、体脂肪量の重量の有意な減少が観察されることを示す(図12、13)。HLグループでは、80%HL食事を給餌された動物でのみ、有意な減少が観察された。この有意差は、皮下脂肪組織の重量の減少のみに起因する。H1加水分解産物での食事の補強は、マウスの内臓の脂肪組織に影響を及ぼさない。
【0104】
マウスの前記食事への加水分解産物H1の混入は、体重増加を制限した。この体重増加の制限は体脂肪量に関係し、該体脂肪量は、前記加水分解産物を給餌されなかったグループと比較して前記加水分解産物を給餌されたグループで、統計的に減少する。
【0105】
また、屠殺時の解剖により採取された前記身体組成から、体脂肪量の重量の有意な減少が観察された。H1加水分解産物を含まない前記食事が給餌されたマウスと比較して、前記50%H1加水分解産物食事を摂取したマウスで、この有意な減少が観察されるが、前記80%食事を給餌されたマウスでは前記体脂肪量の重量の減少がより顕著であった。H1加水分解産物補強食事が給餌されたマウスの2つのグループ(NL、HL)の皮下脂肪組織に関しても、重量の有意な減少が発見された。
【0106】
前記50%HL食事を摂取した動物で、該摂取は、全体脂肪量の重量の有意な減少を全く引き起こさず、単に減少の傾向が観察されるだけであった。しかし、皮下脂肪組織の重量は、前記対照HL食事と比較して、有意に減少した部分であった。他方で、前記80%HL食事が給餌されたマウスでは、全体脂肪量の重量の大幅な減少が観察された。また、この食事が給餌されたマウスの皮下脂肪組織及び内臓脂肪組織も、有意に減少した。
【0107】
また、加水分解産物H1の前記摂取が、皮下脂肪組織及び副睾丸脂肪組織の脂肪細胞の大きさを減じることが観察された。この効果は、内臓脂肪組織では観察されなかった。
【0108】
また、肥満指標(動物の屠殺体の体重と体脂肪量の割合)が算出された(図16)。この肥満指標は、対照食事の摂取後と比較して、HL食事の摂取後に有意に増加する。
【0109】
前記対照食事HLすなわちH1加水分解産物を含まない食事と比較して、80%HL食事を摂取したマウスで前記肥満指標は有意に減少し、前記対照食事NLすなわちH1加水分解産物を含まない食事と比較して、80%NL食事を摂取したマウスで前記肥満指標は有意に減少する。タンパク質エネルギー寄与により、H1の前記50%食事が給餌された動物で、前記肥満指標は減少する傾向にある。
【0110】
研究期間中、HL投与計画を受けた動物の肝臓は、前記対照マウスの肝臓と比較して、より大きいことも観察された。前記食事へのH1加水分解産物の添加は、NL対照食事の摂取か、HL食事の摂取かに関わらず、肝臓の重量の有意な減少を引き起こす。
【実施例5】
【0111】
バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来の酵素か、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)及びバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来の酵素混合物かによって得られた魚類タンパク質の加水分解産物の生物活性
体重増加の活性を有する機能性ペプチドの採取物を濃縮するために、出願人の会社は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来の酵素以外の酵素を用いる酵素消化によって得られた前記ペプチドのかかる活性についてテストすることによって研究を続けた。
【0112】
344±4gの雄のウィスターラット32匹が、TMP、魚類タンパク質、ペプチドA、ペプチドPと称された8匹の4つのグループに分けられた。各食事のエネルギー寄与は、タンパク質55%、脂質30%及び糖質15%によって達成された。それらは格子状のケージで個別に飼育され、昼夜周期の温度制御室(22±1°C)に置かれ、ラットは夜に食事することが知られている。
【0113】
ラットは、トータル・ミルク・プロテイン14%(TMP)、糖質56%及び脂質30%を含む脂質の正常なタンパク質P14食に1週間以上馴化した。ラットは自由に摂食した。1週間の馴化後、所要の体重に到達すると、ラットはそれらの実験食を21日間毎日給餌された。さまざまなグループは、それらの名前に対応する食事を受け取った。
TMP:トータル・ミルク・プロテイン
魚類タンパク質:赤身魚及び白身魚に由来する天然海洋資源のタンパク質
ペプチドA:アルカラーゼ(登録商標)(バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来の酵素)を用いるプタスダラの酵素加水分解の方法によって得られたペプチド
ペプチドP:プロタメックス(登録商標)(バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)及びバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来の酵素)を用いるプタスダラの酵素加水分解の方法によって得られたペプチド
計量と、グラム粉末消費量の評価とが、毎日実施された。
【0114】
体重の変化
図17は、テストした食事を自由に食べたラットの21日間の体重の全増加を示す(値は平均±標準偏差に相当する、n=8)。同一の文字を有しないグループは統計学的に異なる(p<0.05)。
【0115】
実験条件への1週間の馴化後、それらがP14の参照食(348±5g)を給餌されるとき、前記グループの体重は異ならない。前記実験の終了時、全体重増加は、ペプチドのグループ(ペプチドA及びペプチドP)と、TMP及び魚類タンパク質のグループとの間で、有意差を全く示さない。
【0116】
食物摂取量
馴化期間に、各グループは参照食と同一の食物摂取量だった(337±4kJ)。その後、前記ラットはそれらの実験食を給餌されるとき、食物摂取量の減少がそれらの馴化期間と比較して4つのグループについて観察されたが、この減少はさまざまなペプチドと、参照グループとの間で有意ではない(図18)。プロタメックス(登録商標)及びアルカラーゼ(登録商標)の酵素を用いて得られたプタスダラのタンパク質の加水分解産物を受け取るグループは、それ以上食物を摂取しなかった。
【0117】
体重増加に関して、ペプチドA及びペプチドPのグループと、参照グループ(TMP、魚類タンパク質)との間に違いが全くないので、ペプチドA及びPは体重に全く影響しないと結論付けられた。結果として、研究作業はそれらの2種類の加水分解産物で継続されなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体重減少をもたらす、すなわち体重増加を制限又は抑制するための魚類タンパク質の加水分解産物の非治療上の使用であって、該魚類タンパク質の加水分解産物が、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源を酵素的加水分解することによって得られ、該酵素的加水分解はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって実行されることを特徴とする、使用。
【請求項2】
体重減少を誘導すること、及び、体重増加を制限又は抑制することは、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の軽減、脂質代謝の調節、及び、より具体的には、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制を含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記魚類タンパク質の加水分解産物は、以下の分子プロファイル分布、300Da未満の分子量の分子が33%から39%まで、300Daから1000Daまでの分子量の分子が34%から37%まで、1000Daから3000Daまでの分子量の分子が21%から24%まで、3000Daから5000Daまでの分子量の分子が3%から4%まで、及び、5000Daから10000Daまでの分子量の分子が1%から2%までと、
原材料の百分率として1%未満の脂質含有量と、
原材料の百分率として4%未満の糖質含有量と、
原材料の百分率として80%よりも多いタンパク質含有量と、
原材料の百分率として5%から10%までの無機質含有量とを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記魚類タンパク質の加水分解産物は、魚類からすり身を回収するために水の存在下で、前記魚類、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源をすりつぶすステップと、
反応混合物を得るために、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素の添加後、1時間ないし5時間50°Cから75°Cまでの温度で前記タンパク質供給源を酵素的加水分解するステップと、
前記反応混合物の温度を70°Cを下回らないレベルに8分間ないし20分間上昇させた後、前記酵素を不活性化することによって前記酵素的加水分解を停止するステップと、
前記反応混合物の残余から得られた前記タンパク質の加水分解産物を分離するステップとを含む製造方法によって得られることを特徴とする、請求項1ないし3の1つに記載の使用。
【請求項5】
前記酵素的加水分解するステップは、55°Cの加水分解温度において、酵素/タンパク質供給源の割合が0.01%から2%までで実施され、好ましくは0.75%と同等で実施されることを特徴とする、請求項1ないし4の1つに記載の使用。
【請求項6】
前記加水分解産物は、食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を全く引き起こさないことを特徴とする、請求項1ないし5の1つに記載の使用。
【請求項7】
魚類タンパク質の加水分解産物は、太り過ぎ及び/又は太り過ぎに関連した疾病の治療及び/又は予防を目的とする栄養補助食品か、医薬又は栄養補助の組成物かを製造するために用いられることを特徴とする、請求項1ないし5の1つに記載の使用。
【請求項8】
太り過ぎの治療又は予防が、体重減少の誘導、体重増加の制限及び/又は抑制、特に、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の治療、脂質代謝の調節、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制を含むことを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記太り過ぎは、肥満、全身の代謝障害、又は、更年期の徴候の摂食障害に関係することを特徴とする、請求項7又は8に記載の使用。
【請求項10】
前記加水分解産物は、食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を全く引き起こさないことを特徴とする、請求項7ないし9の1つに記載の使用。
【請求項11】
太り過ぎ及び/又は太り過ぎに関連した疾病の治療及び/又は予防での加水分解産物の使用のために、魚類、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源の酵素的加水分解によって得られ、該酵素的加水分解はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって実行されることを特徴とする、魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項12】
太り過ぎの治療及び/又は予防は、体重減少の誘導、体重増加の制限及び/又は抑制、特に、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の治療、脂質代謝の調節、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制を含むことを特徴とする、請求項11に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項13】
前記太り過ぎは、肥満、全身の代謝障害、又は、更年期の徴候の摂食障害に関係することを特徴とする、請求項11又は12に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項14】
請求項1ないし5に記載されることを特徴とする、請求項11ないし13に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項15】
食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を引き起こさないことを特徴とする、請求項11ないし13に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項16】
請求項1ないし5に記載の魚類タンパク質の加水分解産物を経口投与するステップを含むことを特徴とする、体重減少の誘導か、体重増加の制限又は抑制かのための非治療上の処置方法。
【請求項1】
体重減少をもたらす、すなわち体重増加を制限又は抑制するための魚類タンパク質の加水分解産物の非治療上の使用であって、該魚類タンパク質の加水分解産物が、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源を酵素的加水分解することによって得られ、該酵素的加水分解はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって実行されることを特徴とする、使用。
【請求項2】
体重減少を誘導すること、及び、体重増加を制限又は抑制することは、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の軽減、脂質代謝の調節、及び、より具体的には、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制を含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記魚類タンパク質の加水分解産物は、以下の分子プロファイル分布、300Da未満の分子量の分子が33%から39%まで、300Daから1000Daまでの分子量の分子が34%から37%まで、1000Daから3000Daまでの分子量の分子が21%から24%まで、3000Daから5000Daまでの分子量の分子が3%から4%まで、及び、5000Daから10000Daまでの分子量の分子が1%から2%までと、
原材料の百分率として1%未満の脂質含有量と、
原材料の百分率として4%未満の糖質含有量と、
原材料の百分率として80%よりも多いタンパク質含有量と、
原材料の百分率として5%から10%までの無機質含有量とを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記魚類タンパク質の加水分解産物は、魚類からすり身を回収するために水の存在下で、前記魚類、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源をすりつぶすステップと、
反応混合物を得るために、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素の添加後、1時間ないし5時間50°Cから75°Cまでの温度で前記タンパク質供給源を酵素的加水分解するステップと、
前記反応混合物の温度を70°Cを下回らないレベルに8分間ないし20分間上昇させた後、前記酵素を不活性化することによって前記酵素的加水分解を停止するステップと、
前記反応混合物の残余から得られた前記タンパク質の加水分解産物を分離するステップとを含む製造方法によって得られることを特徴とする、請求項1ないし3の1つに記載の使用。
【請求項5】
前記酵素的加水分解するステップは、55°Cの加水分解温度において、酵素/タンパク質供給源の割合が0.01%から2%までで実施され、好ましくは0.75%と同等で実施されることを特徴とする、請求項1ないし4の1つに記載の使用。
【請求項6】
前記加水分解産物は、食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を全く引き起こさないことを特徴とする、請求項1ないし5の1つに記載の使用。
【請求項7】
魚類タンパク質の加水分解産物は、太り過ぎ及び/又は太り過ぎに関連した疾病の治療及び/又は予防を目的とする栄養補助食品か、医薬又は栄養補助の組成物かを製造するために用いられることを特徴とする、請求項1ないし5の1つに記載の使用。
【請求項8】
太り過ぎの治療又は予防が、体重減少の誘導、体重増加の制限及び/又は抑制、特に、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の治療、脂質代謝の調節、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制を含むことを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記太り過ぎは、肥満、全身の代謝障害、又は、更年期の徴候の摂食障害に関係することを特徴とする、請求項7又は8に記載の使用。
【請求項10】
前記加水分解産物は、食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を全く引き起こさないことを特徴とする、請求項7ないし9の1つに記載の使用。
【請求項11】
太り過ぎ及び/又は太り過ぎに関連した疾病の治療及び/又は予防での加水分解産物の使用のために、魚類、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質供給源の酵素的加水分解によって得られ、該酵素的加水分解はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって実行されることを特徴とする、魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項12】
太り過ぎの治療及び/又は予防は、体重減少の誘導、体重増加の制限及び/又は抑制、特に、体脂肪量の減少、体脂肪量/除脂肪体重の割合の改善、肥満の治療、脂質代謝の調節、脂質分解の促進及び/又は脂質生成の抑制を含むことを特徴とする、請求項11に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項13】
前記太り過ぎは、肥満、全身の代謝障害、又は、更年期の徴候の摂食障害に関係することを特徴とする、請求項11又は12に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項14】
請求項1ないし5に記載されることを特徴とする、請求項11ないし13に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項15】
食物摂取を全く制限しない、すなわち満腹現象を引き起こさないことを特徴とする、請求項11ないし13に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項16】
請求項1ないし5に記載の魚類タンパク質の加水分解産物を経口投与するステップを含むことを特徴とする、体重減少の誘導か、体重増加の制限又は抑制かのための非治療上の処置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2012−530506(P2012−530506A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516768(P2012−516768)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059082
【国際公開番号】WO2010/149778
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510218216)カンパニー デ ペーシュ サン マロ サンテ (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059082
【国際公開番号】WO2010/149778
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510218216)カンパニー デ ペーシュ サン マロ サンテ (2)
【Fターム(参考)】
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