説明

作動ボルトにより並進駆動されるクランプジョーに作動ボルトの回転運動を直接伝達するカップリング

【課題】本発明は、少なくとも一つのクランプジョーを具備するカップリングに関する。
【解決手段】クランプジョーは第一エレメントに取り付けることができ、第二エレメントを第一エレメントに対して把持することによりクランプジョーを第二エレメントに接続できるようになっており、第二エレメントの把持又は解放は軸に追従した並進運動によりもたらされ、クランプジョーが、ナットに形成されたねじ山部分を有している穴を備えていて、穴において、軸を形成している作動ボルトが係合されそしてクランプジョーを軸に沿った並進運動を可能にしているカップリングにおいて;作動ボルトとクランプジョーとに係合可能なトルク制限手段が、クランプジョーの穴を用いて、作動ボルトの回転運動をクランプジョーに直接伝達することを可能にしていて、その結果、クランプジョーが軸周囲で回転駆動することを可能にしていることを特徴とする;カップリング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカップリング、特に積荷用アーム用のカップリングに関する。
【0002】
公知なように、カップリングがクランプモジュールと、容器に設置された相補手段とを備えている機械式アセンブリであって、クランプモジュールは、積荷用連接アームと、荷おろし製品、特に流体製品、例えば石油製品(液化天然ガス等)との間における機械的接続及び気密性を保証するためにクランプ力を作用するようになっている。
【0003】
より詳しくは本発明は、カップリングが、数個のクランプモジュール、一般に三つ以上のモジュールを備えた油圧カップリングであって、液体製品、特に非常に低温(−196℃まで)の液体製品を輸送できる場合のものを意図しているものである。
【背景技術】
【0004】
公知の装置において、各クランプモジュールが把持用のクランプジョーと、クランプジョー用の作動装置とを備えていて、クランプジョーはアームをマニホールドのような相補手段に接続するようになっており、作動装置はモータにより駆動されるボルト/ナット式装置を備えている。
【0005】
第一装置は出願人において公知なものであり市場で入手できるものであって、ボルト/ナット式装置を使用していて、そのボルト/ナット式装置はジャッキの作用を再現するように作られたものであって、ボルトが油圧モータによりチェーンを介して回転駆動されるようになっている。
【0006】
装置は三本の連接棒のアセンブリを作動していて、三本の連接棒はお互いに接続されており、そのうちの二本はそれらの端部の一方を固定点に接続されている。
【0007】
この構造形状は、カップリングを開閉するための、フランジに作用するクランプ力と、モジュール全体を傾けることとを低減可能にしている。
【0008】
同様の原理により、連接棒なしの改善が行なわれ、設置スペースの低減と軽量化が行なわれた。この改善は特許文献1に開示されている。
【0009】
公知である別の装置において、カップリングが直径の大きな圧縮ばねを使用していて、ばねの端部の一方がクランプジョーに接続され、そして他方は回転作動されるようになっているリングに接続されている。
【0010】
このリングの傾斜はばねの傾斜と一致していて、ばねは、荷積用アームの相補手段のフランジを把持するクランプジョーに多少の圧力を作用するようになっている。
【0011】
ばねは圧縮状態において最大クランプトルクを作用するようになっている。
【0012】
リングを作動するために油圧ジャッキを使用することは、機構が反転することを意味し、かつ油圧装置の事故の場合、フランジの著しいゆるみをもたらすことを意味している。
【0013】
別の公知のカップリングは油圧ジャッキにより回転駆動されるカムを使用している。
【0014】
このカムは、カップリングを閉じるためにクランプジョーに荷重を作用し、そして油圧事故の場合に並列な反可逆装置と協働するようになっている。
【0015】
別の、カップリングが、カップリングの外周囲に設置された歯付き回転ワッシャを備えたカムの原理を継続している。ワッシャが油圧ジャッキの圧力により回動し、そしてフランジを保持するための歯によりクランプジョーのアセンブリを押し付ける。
【0016】
他の公知の装置において、カップリングが、クランプジョーを回転するために、油圧ジャッキより信頼性のあるボルト/ナット式装置を使用していて、ナットがクランプジョーに傾けて接続されている。
【0017】
ボルトの回転が、ナットを並進運動駆動していて、ナットはクランプジョーに傾斜して取り付けられていることにより、クランプジョーをナットの並進軸に直交する軸周囲で回転させ、ボルトの回転方向に従ってフランジを把持あるいは解放するようになっている。
【0018】
緊急操作における開操作時において装置の応答性を高めるために、緊急放出装置が並行して備えられている。
【0019】
前述の公知の装置は、特許文献2−5に開示されている。
【0020】
公知であり、かつ出願人が売買できるカップリングとして商標名「QuikonZ」がある。
【0021】
この装置は、同一軸の周囲における回転運動と、それに沿った並進運動との二つの運動を組合わせて行なうクランプジョーを有している。
【0022】
クランプジョー全体はL字形状であって、L字の水平部はフランジを把持するようになっている部分であり、L字の垂直部分(長い部分)は回転運動と並進運動とを組合わせた同一軸に一致している。
【0023】
この長い部分が、カップリングモジュールのフレームの穴に導入されている。
【0024】
穴におけるクランプジョーの回転のガイドはそれらの間に取り付けられたボールにより行なわれていて、そのボールは、クランプジョーの長い部分に機械加工されたヘリカル状通路内部をスライドし、そしてカップリングモジュールのフレームと一体になっている穴に設置された特別なハウジングの中に保持されている。
【0025】
クランプジョーの操作は、クランプジョーに一体となっているナット装置と、クランプジョーに協働し適切な手段(例えば油圧モータ)により回転駆動されるボルトとを用いて行なわれる。
【0026】
ボルト及びナットは前述の回転及び並進の軸に設置されている。
【0027】
ボルト及びナットは、この目的のために作られた長手穴を有しているクランプジョーの長い部分の中心に設置されている。
【0028】
前述のヘリカル状通路は、好ましい形状であって、ボルト/ナット装置の回転によりもたらされたクランプジョーの並進運動を並進運動と組合わせた回転運動に変換することを可能にしていて、これらの二つの運動はそれぞれ前述の同一軸の周囲及びそれに沿って行なわれる。
【0029】
従って、クランプジョーの閉操作中に、クランプジョーの回転は当初から観察されるものであって、接続する二つのエレメントを迅速に接続していて、続いて前記エレメントを一体に把持することに対応する並進運動が行なわれる。
【0030】
しかしながらボールは、例えばクランプジョーと外部エレメントとの間の衝撃によりもたらされる高圧力に耐えるようになっていない。
【0031】
従って、ボールは永久変形又は機械的損傷を受け、そして機械加工したヘリカル状通路も損傷されるかも知れない。
【0032】
ボール及びヘリカル状通路は厳しい条件(例えば機構における汚染物、腐蝕要因等)下での開閉による他の機械的圧力により損傷されるかも知れない。
【0033】
さらに、そのようなヘリカル状通路を備えたクランプジョーは製作費が高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2834327号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0285813号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第4222591号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第3661408号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第1395928号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明の目的は、改善されさらなる利点をもたらすカップリングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
より詳しくは、本発明の目的は、少なくとも一つのクランプジョーを具備するカップリングにより達成されていて;前記クランプジョーは第一エレメントに取り付けることができ、第二エレメントを前記第一エレメントに対して把持することにより前記第一エレメントを前記第二エレメントに接続できるようになっており、前記第二エレメントの把持又は解放は軸に追従した並進運動によりもたらされ、一方、前記第二エレメントの係合又は係合解除は前記クランプジョーの前記軸周囲における回転運動にもとずくものであり、前記クランプジョーが、ナットを形成するねじ山部分を有している穴を備えていて、前記穴において、前記軸を形成している作動ボルトが係合されそして前記クランプジョーが前記軸に沿った並進運動することを可能にしているカップリングにおいて;前記作動ボルトと前記クランプジョーとに係合可能なトルク制限手段が、前記クランプジョーの前記穴を用いて、前記作動ボルトの回転運動を前記クランプジョーに直接伝達することを可能にしていて、その結果、前記クランプジョーが前記軸周囲で回転駆動することを可能にしていることを特徴とする;カップリング。
【発明の効果】
【0037】
すなわち、クランプジョーの運動は同一軸に関する並進と回転とに分解することができ、カップリングの開操作段階及び閉操作段階におけるボルト/ナット装置の作動直後に、これらの二つの運動が組合わされることである。
【0038】
従って、クランプジョーの閉運動は、ボルト/ナット装置による並進運動に分解され、その並進運動は、このボルトによるクランプジョーを駆動することによりボルトの軸周囲の回転運動に即刻組合わされ、第二エレメントの迅速な把持を可能にしていて、一方、並進運動は、閉運動を完了し、そしてクランプジョーによる第一エレメントに対する第二エレメントの把持を完了するまで続行される。
【0039】
クランプジョーの開運動は同一の原理を反対にして使用していて:それはボルト/ナット装置による並進により開始され、その並進運動は、クランプジョーと第二エレメントとの間に作用するクランプ力が解除されるとすぐに、第二エレメントの係合解除のための回転運動と組合わされたものになっていて、一方並進運動はその移動の終点においてクランプジョーの開運動を完了するまで続行される。
【0040】
従って、この装置は使用時において迅速な応答性を可能なものにしている。というのはクランプジョーの回転は短時間で行なわれクランプジョーのアクセサリに対する解放又は係合解除を可能にしているからである。
【0041】
さらに、装置は公知のものに比較して、より簡単でより信頼性のあるものとなっている。
【0042】
本装置の特徴は以下のとうりである。
1)前記トルク制限手段が、長手方向端部各々においてプッシャを取り付けられた少なくとも一つのばねを有している。
2)前記トルク制限手段が、前記作動ボルト又はその一部分に係合されたクランプナットに接触して前記穴の内表面をおおっている、又はその逆の、摩損材料のコーティング形状となっている。
3)前記トルク制限手段が、摩擦の大きな材料、例えばゴムのエレメント形状であって、前記エレメントは、前記作動ボルト又は作動ボルトに係合されたクランプナットと、前記クランプジョーの前記穴との間に設置されている。
4)前記トルク制限手段が、歯を備えていて、前記歯は、前記作動ボルトに係合されたクランプナットの外周囲に又は前記作動ボルト外周囲に対称に配置され、そして前記クランプジョーの前記穴に機械加工された溝に咬み合うようになっている、又はその逆になっている。
5)前記トルク制限手段が、ボール形状であって、前記ボールは前記作動ボルトに係合されたクランプナットに、又は前記作動ボルト自体に収容され、そして、少なくとも一つのばねにより前記クランプジョーの前記穴の内表面又は溝に接触されている、又はその逆になっている。
6)前記トルク制限手段が、前記作動ボルトと、前記クランプジョーの前記穴のナットを形成している部分の前記ねじ山との間の自然摩擦の結果である。
7)ころがり軸受、特に針状ころ軸受が前記作動ボルトに取り付けられていて、前記クランプジョーの並進トラベルの終点の停止板を構成している。
8)前記クランプジョーが、前記第一エレメントに固定されるようになっているフレームにより並進方向にガイドされている。
9)前記作動ボルトがモータ、好ましくは油圧モータにより、特に歯付きホイールを使用して駆動されている。
10)前記モータが前記作動ボルトに特定されているモータである。
11)前記クランプジョー全体がL字形であって、前記ねじ山付き穴が前記L字形の長い方のブランチに設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、負荷アームに取り付けられたカップリングの断面図であって、そのカップリングは本発明によるクランプアセンブリと相補的手段とを備えていて、連結状態のものではない。
【図2】図2は、カップリングの正面図であって、クランプジョーの二つの極端な状態を図示している。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態によるばねを備えたトルク制限器の断面図であり、縮少スケールで図示してある。
【図4】図4は、摩擦材料を含んでいるトルクリミッタの縦断面図である。
【図5】図5は、摩擦材料を含んでいるトルクリミッタの横断面図(図4の矢視V−Vから見た)である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
添付図面を参照した例を用いて、本発明のさらなる特徴及び利点を詳述する。
図1及び2における実施形態において、カップリング1(ここでは油圧タイプ)がクランプジョー11を有している。クランプモジュール10を含んでいて、クランプジョー11は、積荷用アーム2の端部を相補的手段(ここではフランジを備えたマニホールド)に接続するようになっていて、積荷用アーム2の端部には(ここではボルト結合により)カップリング1が取り付けられるようになっており、このクランプジョー11のために、特別な作動装置が、ここでは歯付きホイール14により回転駆動されるタイプのボルト12/ナット13装置を備えていて、その歯付きホイール14はモータ1(ここでは油圧タイプ)軸に一体となっている第二歯付きホイール(図示せず)により駆動されており、そのモータは図示されていないが、相補手段10のフレーム15に取り付けられている。クランプジョー11と作動ボルト12との側部(図2におけるクランプジョー11の右)に取り付けられている。
【0045】
クランプジョー11全体はL字形であって、そしてその最短のブランチ17が、マニホールドのフランジ3を積荷用アームの前方端部20のフランジに対して把持するためのつめを形成していて、このフレーム14がクランプジョー11の長い方のブランチ16を並進させてガイドするようになっている。
【0046】
クランプジョー11は、さらに肩21により二つの部分19,20に分割された穴18を提供している。
【0047】
穴18の部分19は、つめを形成しているブランチの反対側の端部において、クランプジョー11のナット13を形成する部分を通ってクランプジョー11の外部に開口していて、そのナット13はボルト12と協働するようになっている。
【0048】
クランプナット22が、さらにボルト12の前方端部に螺合されていて、そして針状ころ軸受23が、クランプナット22と、クランプジョー11のナット13を形成する部分に協働するようになっているボルト12のねじ山部分との間で、このボルト12に取り付けられている。
【0049】
本発明において、クランプナット22がトルクリミッタ25を収容する横断穴24を提供していて、そのトルクリミッタ25はばね26形状であって、そのばね26は二つの長手方向端部に、穴18の部分20の内表面に協動可能な二つのプッシャ27が取り付けられている。
【0050】
トルクリミッタ25と同一の第二トルクリミッタ28が、トルクリミッタ25に直交してクランプナット22に収容されている。
【0051】
さらに、停止バー29がフレーム14の前方端部にフレーム14周囲にカラー30により固定されて備えられている。
【0052】
クランプジョー11の前方端部はオリフィス32を備えたプラグ31により閉止されていて、そのオリフィス32には穴18用の注油器33が収容されている。
【0053】
歯付きホイールと油圧モータとによりボルト12を駆動するための装置は、その一部をフレーム14の前方端部に図示してあるが、本発明を構成するものではないので詳述しない。
【0054】
従って、クランプジョー11の閉運動は、ボルト12/ナット13装置による並進運動に分解され、その並進運動は、このボルト12によるクランプジョー11を駆動することによりボルト12の軸周囲の回転運動に即刻組合わされ、相補手段3の迅速な把持を可能にしていて、一方、並進運動は、閉運動を完了し、そしてクランプジョー11による積荷用アーム2のフランジに対する相補手段の把持を完了するまで続行される。
【0055】
クランプジョー11の開運動は同一の原理を反対して使用していて:それはボルト12/ナット13装置による並進により開始され、その並進運動は、クランプジョー11と相補手段3との間に作用するクランプ力が解除されるとすぐに、相補手段3の係合解除のための回転運動と組合わされたものになっていて、一方並進運動はその移動の終点においてクランプジョー11の開操作を完了するまで続行される。
【0056】
前述したように、好適な実施形態における本発明は、ばね式のトルクリミッタ25,28を備えている。
【0057】
より詳しくは、開操作時、調節スピンドル12が、モータにより歯付きホイール14を介して回転駆動され、クランプジョー11を並進運動させる。
【0058】
相補手段3に作用するクランプジョー11のクランプトルクが、トルクリミッタ25,28のばねにより作用される摩擦力より大きい限り、これらのばねはクランプジョー11内部を“滑っている”。
【0059】
クランプジョー11が十分な力を相補手段3に作用しないと、プッシャ27がクランプジョー11の内側に接触し、クランプジョー11をボルト12により画成された軸34周囲で回転させ;停止バー29における停止板に到達するまでの約2/3回転で結合解除する。
【0060】
クランプジョー11の並進運動は、ボルトに着座された針状ころ軸受23において停止される移動の終点に達するまで続行される。
【0061】
閉操作に関して、クランプジョー11に作用されるクランプトルクは、操作開始時点(クランプジョーが開状態)において、理論的にはゼロであって、クランプジョーの回転は迅速であって、トルクリミッタ25,28のばねは、プッシャ27によりクランプジョー11に摩擦力を作用し回転させるようになっている。
【0062】
別の実施形態において、トルクリミッタは図3に図示するようなボールとばねとを備えた装置であってもよい。
【0063】
この場合、クランプジョー111の穴118は、ボール141が係合する溝140を提供していて、そのボール141は、この目的のために備えられた作動ボルトのクランプナット122の横断穴143に収容されたばね142により押しつけられている。
【0064】
図1−3を参照して説明したトルクリミッタの数は1−4の範囲である。
【0065】
本発明のさらに別の実施形態において、トルクリミッタは図4及び5に図示するような摩擦材料を備えた装置であってもよい。
【0066】
本実施形態において、高摩擦の材料製、例えばゴム製のスリーブ250がクランプジョー211の穴218と、作動ボルトのクランプナット222の外表面との間に設置されている。
【0067】
これらの三つのピースのはめ合いは、大きなトルクを伝達するために密接なものである。
【0068】
代りに、クランプジョーの内表面が磨耗材料でおおわれていてもよくて、磨耗材料は作動ボルトのクランプナットに直接接触し、摩擦によりクランプジョーの回転を駆動可能にしている。
【0069】
代りに、クランプナットに収容されそしてばねによりクランプジョーの内側に接触されるようになっているボール(又は逆に、クランプジョーに収容されそしてクランプジョーに収容されたばねにより溝付きクランプナットに接触されているボール)は歯におきかえられてもよくて、その歯は、クランプナットの外周囲に対称に配置され、そしてクランプジョーに機械加工された溝と咬み合い、もしフランジのクランプトルクが十分に小さければクランプジョーを回転駆動していて、従ってトルクリミッタの原理を再現したものとなっている。これらの歯及び溝は、利点のあることに、耐摩耗性の大きな材料で作られている。
【0070】
装置の構造形状において、クランプジョーにより形成されたナットに作用する作動ボルトの自然摩擦はクランプジョーを回転駆動させるのに十分なものである。
【0071】
本発明によるカップリングの油圧作用は、前述の特許文献1に開示されたカップリングに使用されたものと同一なものであって:各モジュールの油圧モータが直列に配置されることにより(低圧高流量)、クランプジョーは相補手段に対してどのようなクランプ力をも作用しないようになっており、そして、油圧モータが並列に配置されることにより(高圧低流量)、クランプジョーはクランプ力を作用する場合、力を各モジュール間に均一に分配し、クランプされたフランジのいずれの表面においても均一になっている。
【0072】
クランプモジュール各々の油圧モータを供給するために、本特許出願に記載した発明の範囲において説明した油圧ブロックは、復元ばねを備えたスライドバルブと、バルブの上流に設置された圧力制限器とを有している。この油圧ブロックは、必要とされる流量と油圧とを提供するようになっていて、前述した直列/並列配置による運転を可能なものにしている。
【0073】
当然のことであるが、本発明の範囲内において前述したタイプの数個のクランプモジュールを使用することも可能である。
【0074】
本発明による閉止装置は使用において多くのフレキシビリティを可能にしている。というのはクランプジョーの回転が短時間の間に行なわれ、積荷用アームの操作中において、操作員のためにすぐれた応答性を提供しているからである。
【0075】
さらに、この新しい装置の応答性により、操作の緊急解除が容易なものになり、緊急解除装置(EKS)のないアームに対しても利点のあるものとなっている。
【0076】
実際、開操作時において、クランプジョーはたったの一〜二秒(好適な実施形態のプッシャがクランプジョーの内表面に接触する時間)で接続されたアームを完全に自由にし、対照的に従来形の閉止装置はこのような係合解除速度を有していない。
【0077】
摩擦装置によるクランプジョーの回転駆動が妨げられているような場合、クランプナットが停止位置に到達すると、最大トルクをスピンドルに作用することによりクランプジョーを閉位置(図2における実線)に向けて強制回転が行なわれる。
【0078】
さらに、ボルト/ナット装置は油圧事故時におけるプロセスの不可逆性を可能にしていて、その場合、ジャッキが徐々に油圧動力を作用しなくなり、ボルト/ナット装置は閉位置における所定位置にあって、ほぼ一定のクランプトルクを維持している。
【0079】
一つのクランプモジュールは広範囲の直径のカップリングに使用することができ、従って、一〜二倍の範囲の合いフランジの厚さの相違に適用することができ、一方特許文献1を参照して前述した油圧原理によるものと同一のクランプ力を保持している。
【0080】
当然のことであるが、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、いずれの真実をも含むものである。
【符号の説明】
【0081】
2 第一エレメント
3 第二エレメント
11 クランプジョー
12 作動ボルト
13 ナット
18 穴
19 ねじ山部分
25,28 制限手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのクランプジョー(11)を具備するカップリングであって;前記クランプジョー(11)は第一エレメント(2)に取り付けることができ、第二エレメント(3)を前記第一エレメント(2)に対して把持することにより前記第一エレメントを前記第二エレメント(3)に接続できるようになっており、前記第二エレメント(3)の把持又は解放は軸(34)に追従した並進運動によりもたらされ、一方、前記第二エレメントの係合又は係合解除は前記クランプジョー(11)の前記軸(34)周囲における回転運動にもとずくものであり、前記クランプジョー(11)が、ナット(13)を形成するねじ山部分(19)を有している穴(18)を備えていて、前記穴(18)において、前記軸(34)を形成している作動ボルト(12)が係合されそして前記クランプジョー(11)が前記軸(34)に沿った並進運動することを可能にしているカップリングにおいて;
前記作動ボルト(12)と前記クランプジョー(11)とに係合可能なトルク制限手段(25,28)が、前記クランプジョー(11)の前記穴(18)を用いて、前記作動ボルト(12)の回転運動を前記クランプジョー(11)に直接伝達することを可能にしていて、その結果、前記クランプジョー(11)が前記軸(34)周囲で回転駆動することを可能にしていることを特徴とする;
カップリング。
【請求項2】
前記トルク制限手段が、長手方向端部各々においてプッシャ(27)を取り付けられた少なくとも一つのばねを有していることを特徴とする、請求項1に記載のカップリング。
【請求項3】
前記トルク制限手段が、前記作動ボルト又はその一部分に係合されたクランプナットに接触して前記穴の内表面をおおっている、又はその逆の、摩損材料のコーティング形状となっていることを特徴とする、請求項1に記載のカップリング。
【請求項4】
前記トルク制限手段が、摩擦の大きな材料、例えばゴムのエレメント形状であって、前記エレメントは、前記作動ボルト又は作動ボルトに係合されたクランプナットと、前記クランプジョーの前記穴との間に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載のカップリング。
【請求項5】
前記トルク制限手段が、歯を備えていて、前記歯は、前記作動ボルトに係合されたクランプナットの外周囲に又は前記作動ボルト外周囲に対称に配置され、そして前記クランプジョーの前記穴に機械加工された溝に咬み合うようになっている、又はその逆になっていることを特徴とする、請求項1に記載のカップリング。
【請求項6】
前記トルク制限手段が、ボール形状であって、前記ボールは前記作動ボルトに係合されたクランプナットに、又は前記作動ボルト自体に収容され、そして、少なくとも一つのばねにより前記クランプジョーの前記穴の内表面又は溝に接触されている、又はその逆になっていることを特徴とする、請求項1に記載のカップリング。
【請求項7】
前記トルク制限手段が、前記作動ボルトと、前記クランプジョーの前記穴のナットを形成している部分の前記ねじ山との間の自然摩擦の結果であることを特徴とする、請求項1に記載のカップリング。
【請求項8】
ころがり軸受、特に針状ころ軸受が前記作動ボルトに取り付けられていて、前記クランプジョーの並進トラベルの終点の停止板を構成していることを特徴とする、請求項1−7のいずれか一項に記載のカップリング。
【請求項9】
前記クランプジョーが、前記第一エレメントに固定されるようになっているフレームにより並進方向にガイドされていることを特徴とする、請求項1−8のいずれか一項に記載のカップリング。
【請求項10】
前記作動ボルトがモータ、好ましくは油圧モータにより、特に歯付きホイールを使用して駆動されていることを特徴とする、請求項1−9のいずれか一項に記載のカップリング。
【請求項11】
前記モータが前記作動ボルトに特定されているモータであることを特徴とする、請求項1−10のいずれか一項に記載のカップリング。
【請求項12】
前記クランプジョー全体がL字形であって、前記ねじ山付き穴が前記L字形の長い方のブランチに設定されていることを特徴とする、請求項1−11のいずれか一項に記載のカップリング。
【請求項13】
請求項1−12のいずれか一項に記載のカップリングを具備する、流体製品用の積荷用アーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−82960(P2012−82960A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−243461(P2011−243461)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2006−546132(P2006−546132)の分割
【原出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505394208)エフエムセ テクノロジーズ ソシエテ アノニム (9)
【Fターム(参考)】