説明

作業台

【課題】ロックピンの移動を簡単な操作でもって行えるようにする。
【解決手段】天板11の前後両縁部に、前後の脚13、15のそれぞれの上端部がいずれも天板11に対して揺動して、作業台使用時の開状態および作業台格納時の閉状態になりうるように連結されており、天板11および前後の脚13、15を開状態および作業台格納時の閉状態にロックするロック機構17が、前後の脚13、15の揺動中心に対して接近・離隔しうる揺動端部を有するロック機構作動用ロックレバー73を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、高所作業に用いられる脚立のような作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作業台としては、天板の前後両縁部に、前後の脚のそれぞれの上端部がいずれも天板に対して揺動して、作業台使用時の開状態および作業台格納時の閉状態になりうるように連結されており、天板および前後の脚を開状態および作業台格納時の閉状態にロックするロック機構が、前脚側面の揺動中心付近に垂直に固定されかつ前脚の揺動中心を中心とする円周上に間隔をおいてあけられている開状態および閉状態に対応する2つのロック孔を有するロックプレートと、両ロック孔に出没しうるように前脚の揺動中心と平行に移動自在に支持されているロックピンと、ロックピンに固定されている操作片とを備えているものが知られれている。
【0003】
両ロック孔にロックピンを出没させる際は、操作片を指でつまんでこれを天板と平行に移動させることが必要であるが、この操作はなかなかやり辛いものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、ロックピンの移動を簡単な操作でもって行うことのできる作業台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明による作業台は、天板の前後両縁部に、前後の脚のそれぞれの上端部がいずれも天板に対して揺動して、作業台使用時の開状態および作業台格納時の閉状態になりうるように連結されており、天板および前後の脚を開状態および作業台格納時の閉状態にロックするロック機構が、前後の脚の揺動中心に対して接近・離隔しうる揺動端部を有するロック機構作動用ロックレバーを備えているものである。
【0006】
この発明による作業台では、両ロック孔にロックピンを出没させる際は、ロックレバーを揺動させればよい。ロックレバーの揺動は、前後の脚の揺動中心に接近・離隔する方向であるため、簡単に行うことができ。例えば、ロックレバーが天板の裏側に隠れているような場合でも、例えば、ロックレバーを天板とともに挟み付けるようにすればよいから、ロックレバーの揺動操作はいとも簡単に行える。
【0007】
さらに、ロック機構が、前後の脚のいずれか一方の揺動中心付近に固定されかつ同揺動中心を中心とする円周上に間隔をおいてあけられている開状態および閉状態に対応する2つのロック孔を有するロックプレートと、両ロック孔に出没しうるように天板に支持されかつロックレバーによって進退させられるロックピンとを備えていることが好ましい。
【0008】
また、 ロック機構が、前脚の揺動中心付近に固定されかつ前脚の揺動中心を中心とする円周上をのびた外向き円弧状ロック面を有しているロックプレートを備えており、ロック面に、これの周方向に間隔をおいて開状態および閉状態に対応する2つの係合凹部が形成されており、ロックレバーの揺動にともない両係合凹部にロックレバーが係合離脱自在に係合されるようになされていても良い。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ロックピンの移動を簡単な操作でもって行うことのできる作業台が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0011】
図1に、使用時の開状態の作業台が示され、図2に、格納時の閉状態の作業台が示されている。
【0012】
作業台は、天板11と、天板11の前縁部を前ピン12を介して揺動自在に支持している前脚13と、天板11の後縁部を後ピン14を介して揺動自在に支持している後脚15と、前脚13上端近くおよび後脚15の長さの中程に渡されている開止ロッド16と、天板11および前後の脚を開状態および閉状態にロックするロック機構17とよりなる。
【0013】
前脚13は、互いに間隔をおいてのびた一対のポール21と、両ポール21に渡し止められている2段のステップ22とよりなる。ステップ22の数は、1段または3段以上でもよい。
【0014】
図3〜図6に、ロック機構17が示されている。ロック機構17は、天板11および前脚13の側面に渡されかつ前ピン12を貫通させるとともに、前脚13に固定されているロックプレート71と、ロックプレート71を固定するためのロックピン72と、ロックピン72を進退させるためのロックレバー73とを備えている。
【0015】
ロックプレート71には、前ピン12の軸線を中心とする円周上に周方向に間隔をおいて開状態用ロック孔81および閉状態用ロック孔82が形成されている。また、これらのロック孔81、82と一致させられるように天板11の側板にガイド孔83が形成されている。
【0016】
ロックピン72は、コ字状ガイド部材84の対向状左側壁84aおよび右側壁84bに渡されている。ガイド部材84の底壁84cは、天板11の側板にボルト74およびナット75によって固定されている。ロックピン72の、ガイド部材84の左側壁84aの裏面に接触させられた位置には環状ストッパ72aが設けられている。ストッパ72aがガイド部材84の左側壁84aの裏面に接触させられた状態で短板85にロックピン72の先端部が貫通させられている。
【0017】
ロックレバー73は、略L字状のもので、一体に連結された垂直状短板85および水平状長板86よりなる。長板86の揺動端部には摘み86aが垂下状に設けられている。ガイド部材84の右側壁84bおよびストッパ72a間には、ロックピン72にはめられた圧縮コイルばね87が介在させられている。このばね87によって、ロックピン72がガイド孔83を介して天板11の側板から突出させられかつロック孔81、82のいずれか一方に進入させられる方向に付勢させられている。
【0018】
図3〜図5は、開状態用ロック孔81にロックピン72が進入させられた状態を示している。この状態で、ロックレバー73の短板85がガイド部材84の左側壁84aと接触させられている。摘み86aをつまんで前側に揺動させると、ロックレバー73の短板85の前側の縁部を支点として、ロックレバー73が前側に揺動させられ、揺動する短板85によってロックピン72が引っ張られ、これにより、開状態用ロック孔81からロックピン72が抜け出し、天板11および前脚13の相対的揺動が自由となる。この状態で、図2示すように、前脚13および後脚15が重なるように作業台を折り畳み、ロックレバー73を開放すれば、閉状態用ロック孔82にロックピン72が進入し、作業台が格納状態に保持される。
【0019】
ボルト74およびナット75を緩めてこれを作業台から取外し、ロック孔81およびガイド孔83からロックピン72を抜き去ると、ロックピン72がガイド部材84とともに、作業台から取外される。
【0020】
図6を参照しながら、取外されたロックピン72およびガイド部材84等を分解する手順を説明する。ロックレバー73を引っ張ることによって、ばね87を圧縮させると、ガイド部材84の左側壁84aからロックピン72が引き抜かれる。そうすると、ガイド部材84の右側壁84bを支点として、ロックピン72は揺動自在となる。ガイド部材84の左側壁84aおよび右側壁84b間からロックピン72を引出し、後は、ロックピン72からばね87を取外せばよい。組立の際の手順は、分解する際の手順の逆である。このような分解・組立作業は、工具等を一切使用することなく行えるため、便利である。分解・組立作業は、ロックピン72およびガイド部材84等を作業台から取り外ことなく、行うようにしてもよい。
【0021】
図7〜図10に、ロック機構17の変形例が示されている。この変形例では、ロックプレート101に、前ピン12に軸線を中心とする円弧上をのびたロック面102が設けられている。このロック面102上に、これの周方向に間隔をおいて切欠状開状態用係合凹部103および閉状態用係合凹部104が形成されている。また、ロック面102と交差するように方形状ガイド孔105がロックプレート101に形成されている。また、天板11の裏面から間隔をおいたところに平板状ガイドプレート106が固定されている。ガイドプレート106の、ロックプレート101から間隔をおいたところに掛止孔107が形成されている。ガイド孔105および掛止孔107にまたがってロックレバー108が渡されている。ロックレバー108の揺動端は、開状態用係合凹部103および閉状態用係合凹部104のいずれかに選択的に進退自在である。ロックレバー108の長さの中程にはガイドピン111が貫通させられている。ガイドプレート106およびロックレバー108間に、ガイドピン111にはめられた圧縮コイルばね112が介在させられている。このばね112によって、ロックレバー108の揺動端部が天板11の裏面から離隔させられる方向に付勢させられている。
【0022】
ロックレバー108の揺動端は、開状態用係合凹部103および閉状態用係合凹部104のいずれかに選択的に進退自在である。開状態用係合凹部103および閉状態用係合凹部104のいずれかにロックレバー108が進入させられた状態で、ロックレバー108の揺動端を天板11の裏面に接近させる方向にロックレバー108を揺動させれば、進入していた係合凹部103、104からロックレバー108が抜け出して、脚立の開閉が自由となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明による作業台の使用時側面図である。
【図2】同作業台の格納時側面図である。
【図3】同作業台のロック機構を示す側面図である。
【図4】図7のIV−IV線にそう断面図である。
【図5】図7のV−V線にそう断面図である。
【図6】ロック機構の分解斜視図である。
【図7】この発明による作業台の他の実施例を示す使用時側面図である。
【図8】同作業台の他の実施例を示す格納時側面図である。
【図9】同作業台のロック機構を示す側面図である。
【図10】図9のX−X線にそう断面図である。
【符号の説明】
【0024】
11 天板
13 前脚
15 後脚
17 ロック機構
73 ロックレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の前後両縁部に、前後の脚のそれぞれの上端部がいずれも天板に対して揺動して、作業台使用時の開状態および作業台格納時の閉状態になりうるように連結されており、天板および前後の脚を開状態および作業台格納時の閉状態にロックするロック機構が、前後の脚の揺動中心に対して接近・離隔しうる揺動端部を有するロック機構作動用ロックレバーを備えている作業台。
【請求項2】
ロック機構が、前後の脚のいずれか一方の揺動中心付近に固定されかつ同揺動中心を中心とする円周上に間隔をおいてあけられている開状態および閉状態に対応する2つのロック孔を有するロックプレートと、両ロック孔に出没しうるように天板に支持されかつロックレバーによって進退させられるロックピンとを備えている請求項1に記載の作業台。
【請求項3】
ロック機構が、前脚の揺動中心付近に固定されかつ前脚の揺動中心を中心とする円周上をのびた外向き円弧状ロック面を有しているロックプレートを備えており、ロック面に、これの周方向に間隔をおいて開状態および閉状態に対応する2つの係合凹部が形成されており、ロックレバーの揺動にともない両係合凹部にロックレバーが係合離脱自在に係合されるようになされている請求項1に記載の作業台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−180064(P2009−180064A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22606(P2008−22606)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(393018130)長谷川工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】