説明

作業機のエンジン給気構造

【課題】 地面から離れた位置で給気を行いながら、その為の給気構造を容易に組み付けることが可能に構成し得る作業機のエンジン給気構造を提供する。
【解決手段】 キャビンの天井部42を挟んで上面側にプレエアクリーナ20を、下面側にエアクリーナに接続されるエア配管26を配置する。天井部42に接続用配管27をブロー成形によって一体的に取付け、接続用配管27の天井部42より突出する上端部にプレエアクリーナ20を装着し、接続用配管27の前記天井部42より突出する下端部にエア配管26を装着してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンへのエア供給経路にエアクリーナを備えている作業機のエンジン給気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機の一例であるコンバインでは、エンジンが運転操縦部の運転席下方に設置され、エアクリーナもエンジン近傍に配置されている。エアクリーナの給気口は、エンジン、ラジエータ、及び、エアクリーナを配置して運転座席の下方にエンジン室を構成し、このエンジン室の周囲に防塵網構造を配置して、その防塵網構造の一箇所にエアクリーナへの給気口を形成していた(特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−89068号公報(段落〔0011〕,図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1で示された従来構造では、エアクリーナへ空気を導入する給気口が運転座席の下方に位置するところから、給気口が地面から高くない位置にある。これによって、防塵網を通して給気を行う形態を採っていても、塵埃等が混入する虞があり、エアクリーナへの給気の導入構造に改善を施す必要があった。そこで、エアクリーナに加えてプレエアクリーナを備え、プレエアクリーナを高い位置に備えることが考えられている。
【0004】
本発明の目的は、地面から離れた位置で給気を行いながら、その為の給気構造を容易に組み付けることが可能に構成し得る作業機のエンジン給気構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔構成〕
請求項1にかかる発明の特徴構成は、キャビンの天井部を挟んで上面側にプレエアクリーナを、下面側にエアクリーナに接続されるエア配管を配置し、前記天井部に接続用配管を取付け、前記接続用配管の前記天井部より突出する上端部に前記プレエアクリーナを装着し、前記接続用配管の前記天井部より突出する下端部に前記エア配管を装着してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0006】
〔作用〕
作業機においてキャビンを備えた場合、キャビン天井部の上面側にプレエアクリーナを配置することとしたので、このプレエアクリーナから取り入れた空気をエアクリーナに供給することができる。したがって、運転操縦部の下方の空気に比べて、キャビン天井部の清浄な空気をエアクリーナに供給することができる。
しかも、キャビン天井部の上方側に配置したプレエアクリーナと、プレエアクリーナからエアクリーナに至るエア配管とを接続するのに、キャビンの天井部に設けた接続用配管を介して接続する構成を採ったので、プレエアクリーナ及びエア配管を天井部に支持するに、接続用配管をプレエアクリーナ及びエア配管を支持する為のブラケットに兼用することができる。
【0007】
〔効果〕
プレエアクリーナ及びエア配管を接続用配管に接続するだけで接続が行え、キャビン天井部に取り付けることとなるので、清浄な空気を取り入れる構成を取り付け容易な構造のものにできた。
【0008】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記接続用配管が前記天井部と一体でブロー成形してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0009】
〔作用効果〕
接続用配管が天井部をブロー成形する際に一体で形成できるので、接続用配管を天井部に取り付けるためのブラケット等が必要でなく、かつ、接続用配管を天井部に取り付ける製作工程を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
コンバインの構成について説明する。図1に示すように、コンバインは、左右のクローラ装置1を備えた走行機体2の前端に、分草杆32、引起装置33、刈取装置34、及び、刈取穀稈を後方に搬送する縦搬送装置31を備えた刈取前処理装置3を横向き軸芯X周りで昇降自在に取り付け、刈取前処理装置3の後方走行機体上に脱穀装置5、脱穀装置5の横側方に穀粒貯留タンク6、穀粒貯留タンク6から機外に穀粒を搬出する穀粒搬出装置7、穀粒貯留タンク6の前方側で刈取前処理装置3の横側方に運転操縦部4を配置し、運転操縦部4にキャビン40を設けて、構成してある。
【0011】
キャビン40の構成について説明する。図1及び図4に示すように、キャビン40は、キャビン載置用の運転フレーム台44と、その運転フレーム台44から4隅に立設されたフレーム部45と、そのフレーム部45で支持される天井部42とを備えている。キャビン40の一側面には、乗降用ドアAが設けてある。
【0012】
乗降用ドアAについて説明する。図1及び図5に示すように、乗降用ドアAは、ドアフレーム8を4辺に配置し、このドアフレーム8の後端側の後ドアフレーム部8Bに取付けた上下一対のヒンジ9を介してキャビン40の側壁に揺動開閉自在に取付けてある。
【0013】
図5に示すように、ドアフレーム8の四辺に沿った状態で、窓枠フレーム10が配置してあり、この窓枠フレーム10の四辺が夫々ドアフレーム8の四辺に取付固定される。つまり、窓枠フレーム10は、ドアフレーム8のキャビン外側に向かう面に接着剤13で接着固定される板状の取付部10Bと、その取付部10Bから内向きに延出された装着部10Aとからなる。
【0014】
装着部10Aは、内向きに開口する凹入部を形成し、凹入部に固定窓ガラス11をトリム12とともに嵌め込み固定してある。
このように、板状の取付部10Bをドアフレーム8に重ね合わせる状態で取付固定しているので、窓枠フレーム10の取付がシッカリし、固定窓ガラス11もガタツキなく取付固定することができる。
【0015】
図3及び図4に示すように、天井部42は、樹脂の成形品であり、上方に位置するアウター部42Aと運転操縦部内に面するインナー部42Bとで構成してあり、アウター部42Aとインナー部42Bとの間にエアコン装置46を備えて空調可能に構成してある。
【0016】
運転操縦部4における運転操縦席43を載置したエンジンボンネット16内に、エンジンEを配置するとともに、エンジンボンネット16の後方側には、エアクリーナ17、エアコン装置46のコンデンサ18、及び、冷却ファン19を備えている。
【0017】
図1から図4に示すように、天井部42の後端部でかつ右端位置にプレエアクリーナ20が装備され、プレエアクリーナ20から垂下されたエア配管26をエアクリーナ17に接続してある。
【0018】
図3に示すように、キャビン40の後端で左側方に、上下向き姿勢の筒軸21をその筒軸21の軸心Y周りで回動自在に支持するとともに、筒軸21を、ブラケット22を介してキャビン40のフレーム部45に取り付けている。筒軸21の上下中間位置には、筒軸21と一体で回動する中継管23を固着し、エアクリーナ17からのエアを誘導する誘導エア配管28を中継管23に連結してある。
【0019】
中継管23の上方には出力管24が筒軸21及び中継管23に対して相対回転自在に遊嵌されており、出力側エア配管25が出力管24に連結固定してある。出力側エア配管25はエンジンEに連結されている。
【0020】
以上のような構成によって、エンジンE周りにメインテナンスを行う場合には、キャビン40の全体を筒軸21の軸心Y周りで揺動開放して、作業を進めることができる。筒軸21がキャビン40と一体で回動する場合には、出力管24は出力側エア配管25を介して機体フレーム側に固定されるエンジンEに連結され
て、筒軸21と相対回転する。
したがって、エアクリーナ17からのエアは、誘導エア配管22を介して中継管23内に誘導され、中継管23と筒軸21、及び、出力管24と筒軸21の二重配管内を通過して、出力側エア配管25に入りエンジンEに供給される。
【0021】
次に、プレエアクリーナ20とそのプレエアクリーナ20から垂下されるエア配管26との接続構造について説明する。図2(a)に示すように、天井部42は、樹脂板をブロー成形した成形品であり、アウター部42Aとインナー部42Bとを接合した構成となっている。
【0022】
天井部42の後端部でかつ右端位置に、アウター部42Aとインナー部42Bと板状端部を上下に重ね合わせたフランジ部42Cを形成し、このフランジ部42Cに接続用配管27が上下貫通する状態で装着されている。製作上では、この接続用配管27も一体で、アウター部42Aとインナー部42Bとともに、ブロー成形される。
【0023】
以上のような構成になる接続用配管27において、アウター部42Aの板状端部42aから突出した上半部27aにプレエアクリーナ20の先端ボス部20aを被着する。一方、インナー部42Bの板状端部42bから突出した下半部27bにエア配管26の先端ボス部26aを被着する。
このような構成によって、プレエアクリーナ20からエアクリーナ17への配管が繋がることとなった。
【0024】
図2に示すように、プレエアクリーナ20を取り付けるべく、アウター部42Aの板状端部とインナー部42Bの板状端部とを重ね合わせて構成したフランジ部42Cは、アウター部42Aの中間部分の膨らみ部より凹入する部分となっている。したがって、接続用配管27にプレエアクリーナ20を取り付けた状態でプレエアクリーナ20の上端がアウター部42Aの膨らみ部と略同一の高さとなるように構成してある。
このような構成によって、プレエアクリーナ20が他物と接触する機会を抑制し、走行時の抵抗となることを阻止できる。
【0025】
〔他の実施例〕
(1)プレエアクリーナ20とエア配管26とを接続する接続用配管27は天井部42と一体で形成する必要はない。ブロー成形で天井部42を形成したのちに、前記フランジ部42Cに貫通孔を形成してその貫通孔に接続用配管27を差込み接着固定する方法を採ってもよい。
(2)接続用配管27としては、ABS等の樹脂を使用してもよいが、アルミニュウ等の金属も使用できる。この場合は、天井部42のブロー成形の際に、接続用配管27がインサートされることになる。
(3)プレエアクリーナ20を前記フランジ部42Cに取り付けた状態で、アウター部42Aより突出する状態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】プレエアクリーナの取り付け構造を示し、(a)は装着前の状態を示す分解縦断側面図、(b)は装着後の状態を示す縦断側面図
【図3】キャビンの後面に設けてある、プレエアクリーナからエアクリーナ、及び、エアクリーナからエンジンへの配管構造を示す背面図
【図4】キャビンの後部にエアクリーナ等を設けた状態を示す側面図
【図5】キャビンの乗降用ドアのドアフレームと固定窓ガラスとの取付構造を示す縦断側面図
【符号の説明】
【0027】
17 エアクリーナ
20 プレエアクリーナ
26 エア配管
27 接続用配管
40 キャビン
42 天井部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビンの天井部を挟んで上面側にプレエアクリーナを、下面側にエアクリーナに接続されるエア配管を配置し、前記天井部に接続用配管を取付け、前記接続用配管の前記天井部より突出する上端部に前記プレエアクリーナを装着し、前記接続用配管の前記天井部より突出する下端部に前記エア配管を装着してある作業機のエンジン給気構造。
【請求項2】
前記接続用配管が前記天井部と一体でブロー成形してある作業機のエンジン給気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−78697(P2009−78697A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249424(P2007−249424)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】