説明

作業機

【課題】 本発明は、簡潔な構成で一部の作業部のみを着脱可能にし作業部の着脱作業の容易化を図ると共に、作業部として除草部を装着した場合、補助作業装置である整地装置が作業の邪魔にならない構成として良好な除草作業が行えるようにした作業機を得ることを課題とする。
【解決手段】 走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して縦リンク43を昇降可能に設け、該縦リンク43に前後方向の連結軸44を介して着脱用基部フレーム150を左右ローリング可能に設け、該着脱用基部フレーム150に上下動機構を介して整地ロータ27を上下動可能に支持させて設け、着脱用基部フレーム150に着脱される着脱ヒッチ151を介して除草部152を装着し、該除草部152を装着した状態で除草部152の下端よりも整地ロータ27が高位で地面に対して浮上する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば水田等の除草を行う除草部を備えた作業機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
作業機の一例として、走行車体の後側に昇降リンク装置を介して縦リンクを昇降可能に設け、該縦リンクに前後方向の連結軸を介して除草部を左右ローリング可能に設けた水田除草機が知られている。この水田除草機の除草部は、田植え後の水田において除草作業を行うものであり、植付条間の除草作業を行う条間除草装置と、植付条における株間の除草作業を行う株間除草装置を備え、走行車体側からの動力により駆動し、左右に各々設けたバランススプリングの基端をバランス調節レバーに連結し、該バランス調節レバーを左右に操作することにより左右のバランススプリングの付勢力のバランスを調節し、条間除草装置及び株間除草装置の左右ローリング姿勢を適正な姿勢で安定させる構成となっている。
【0003】
この水田除草機は、除草部に代えて苗植付部を連結することにより苗移植機すなわち乗用田植機となる構成であり、除草部に代えて異なる種類の作業部を連結して異なる作業が行える構成となっている(特許文献1参照。)。
【0004】
近年、作業の省力化のため、例えば苗植付作業と同時に整地作業、施肥作業及び薬剤散布作業を行う等、複数の作業を同時に行えるように複数の作業装置を装着できる構成が市場で要求されている。また、例えば直播作業(播種作業)、苗植付作業、苗植付後の薬剤散布作業及び除草作業等の異なる形態の作業に対応できるよう、走行車体の後側に設けた昇降リンク装置に異なる種類の作業部を着脱できるようにし汎用性を高めた多目的作業機の需要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−204708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多目的作業機で異なる作業部を装着できる構成とした場合、例えば直播作業のための播種部と苗植付作業のための苗植付部を装着できるようにした場合、何れの作業においても整地作業や施肥作業を同時に行う形態があり、整地装置や施肥装置等の補助作業装置を走行車体側に残したままで播種部又は苗植付部の一部の作業部のみを着脱可能に構成すれば、多目的作業機の構成が簡潔になると共に、作業部の着脱作業も容易となる。しかしながら、例えば苗植付後の薬剤散布作業のための薬剤散布部や苗植付後の除草作業のための除草部等、苗植付後の作業を行う異種の作業部を装着して作業する場合、前記走行車体側に残した整地装置や施肥装置等の補助作業装置が不要な場合があり、この不要な補助作業装置が作業の邪魔になるおそれもある。
【0007】
そこで、本発明は、簡潔な構成で一部の作業部のみを着脱可能にし作業部の着脱作業の容易化を図ると共に、作業部として除草部を装着した場合、補助作業装置である整地装置が作業の邪魔にならない構成として良好な除草作業が行えるようにした作業機を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(43)を昇降可能に設け、該縦リンク(43)に前後方向の連結軸(44)を介して着脱用基部フレーム(150)を左右ローリング可能に設け、該着脱用基部フレーム(150)に上下動機構を介して整地装置(27)を上下動可能に支持させて設け、着脱用基部フレーム(150)に着脱される着脱ヒッチ(151)を介して除草部(152)を装着し、該除草部(152)を装着した状態で除草部(152)の下端よりも整地装置(27)が高位で地面に対して浮上する構成とした作業機とした。
【0009】
従って、この作業機は、走行車体(2)により機体を走行させながら、除草部(152)を昇降リンク装置(3)により適宜の高さに昇降すると共に連結軸(44)により適宜の左右傾斜姿勢に左右ローリングし、除草作業を行う。除草部(152)を装着した状態で整地装置(27)は地面に対して浮上しているので、除草部(152)を装着した状態で地面を整地することがない。また、除草部(152)に代えて異なる作業部を装着した場合には、整地装置(27)により整地作業を行うことも可能である。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、除草部(152)を装着した状態で整地装置(27)の駆動を牽制する駆動牽制装置を設けた請求項1に記載の作業機とした。
従って、この作業機は、請求項1に係る発明の作用に加えて、駆動牽制装置により、除草部(152)を装着した状態で整地装置(27)が駆動しないので、除草部(152)を装着した状態で既に植え付けた苗や作物に駆動する整地装置(27)が触れることがない。
【発明の効果】
【0011】
よって、請求項1に係る発明によると、除草部(152)を装着した状態で整地装置(27)が地面を整地することがなく、誤って整地作業を行うことにより既に植え付けた苗や作物を損傷させるようなことを防止できる。
【0012】
また、請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、除草部(152)を装着した状態で既に植え付けた苗や作物に駆動する整地装置(27)が触れることがなく、既に植え付けた苗や作物を損傷させるようなことを更に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】播種部を装着した作業機(直播機)の側面図
【図2】整地ロータとその周辺の構成を示す平面図
【図3】整地ロータとその周辺の構成を示す正面図
【図4】センターフロートとその周辺の構成を示す側面図
【図5】除草部を装着した作業機(除草機)の側面図
【図6】除草部を判り易く示す展開平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
水田で作業する作業機の一例として、先ずは、作業部として播種部を装着した直播機1について説明する。この直播機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して播種部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。尚、播種部4は、昇降リンク装置3で昇降する縦リンク43に、前後方向の連結軸44を介して着脱用基部フレーム150を左右ローリング可能に設けており、該着脱用基部フレーム150に着脱ヒッチ151を介して着脱可能に設けられている。従って、対地作業部として前記播種部4に代えて苗植付部や除草部152を装着することもでき、苗植付部を装着すれば苗移植機(田植機)となり、除草部152を装着すれば除草機となる。
【0015】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。尚、11a,11aは、左右後輪11,11の機体内側に装着された補助車輪である。
【0016】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及び油圧式無断変速装置(HST)23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転勤カは、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。尚、植付クラッチケース25からの動力が作業伝動軸26を介して播種部4に伝動される。植付クラッチケース25内にはギヤ変速の株間変速部を設けており、株間変速部を経由して伝動され、該株間変速部により走行速度に対する播種部4の作動速度を変更して点播する播種間隔すなわち苗の株間を変更する構成となっている。座席31の右側には前記株間変速部を変速操作するための株間変速レバー90を設けている。
【0017】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており、座席31に着座して機体を操縦する操縦者が前輪10及び後輪11を見通せることができて操縦が容易な構成となっていると共に、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0018】
また、走行車体2の前部左右両側には、対地作業部として苗植付部を装着した場合の補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0019】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、先端側には縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗連結軸44が挿入連結され、該連結軸44回りに着脱用基部フレーム150が左右ローリングして播種部4が左右ローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアームの先端部の間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、播種部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。また、縦リンク43と着脱用基部フレーム150の間にローリング油圧シリンダ153が設けられており、該ローリング油圧シリンダ153を油圧で伸縮させることにより、着脱用基部フレーム150が左右にローリング作動し、播種部4が所望の左右傾斜姿勢(左右水平姿勢)となるよう左右にローリングする。尚、ローリング油圧シリンダ153は、走行車体2に設けた左右傾斜角センサ154の検出に基づいてローリング用油圧バルブを切り替えることにより作動する。
【0020】
播種部4は、6条分の播種を同時に行う構成で、種子ホッパ91、繰出装置92、播種管93、起風翼車94を備え、種子ホッパ91内の種子を繰出装置92が所定量ずつ繰り出し、繰り出された種子を起風翼車94からの圧力風で加勢して播種管93で圃場の播種位置に供給して播種する構成となっている。尚、前記播種位置の前方には、播種用の溝を作る作溝器95をフロート55,56に取り付けて設けている。また、前記播種位置の後方には、播種された種子に覆土する覆土板96をフロート55,56に取り付けて設けている。この覆土板96は、機体平面視での前後の傾斜角度を変更できる構成となっており、この角度変更で覆土の度合を調節できる。前記繰出装置92は、外周に多数の繰出溝を形成した繰出ロ−ルを備え、該繰出ロ−ルの回転により種子を繰り出す構成となっている。尚、起風翼車94は、電動モータを駆動源としている。繰出装置92は、作業伝動軸26の動力により駆動する。従って、走行速度に比例して繰出装置92を駆動でき、走行速度に拘らず所望の播種間隔及び播種密度で播種できる。尚、株間変速レバー90を操作して作業伝動軸26の回転速度を変えれば、繰出装置92の駆動回転数を変更することができる。
【0021】
播種部4の下部には、中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走する。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するようにフロート支点軸97回りに回動自在に取り付けられており、播種作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が該フロート55と一体の取付部材98から検出アーム99及び検出リンク100を介して迎角制御センサ101により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて播種部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。尚、フロート55,56,56のフロート支点軸97は、共通の播種深さ調節軸102から後側に延びる各々のフロート支持アーム103に支持されている。播種深さ調節軸102を回動させることにより、フロート55,56,56の機体に対する上下位置を変更して、播種深さを変更する構成となっている。
【0022】
前記検出アーム99は、取付部材98に支点軸104回りに上下回動自在に連結されているが、後端部の複数の調節用孔105の一つに取付部材98に設けた固定ピン106が入って回動しないように取付部材98に固定されている。前記固定ピン106と一体の調節ノブ107により、作業者が固定ピン106を入れる調節用孔105を変更して、取付部材98に対する検出アーム99の固定位置を変えることができる。従って、検出アーム99、固定ピン106及び調節ノブ107により、センターフロート55の前後傾斜角に対する迎角制御センサ101の検出値を変更調節する調節装置108が構成されている。この調節装置の操作具となる調節ノブ107は、支点軸104より後側で且つ検出アーム99及び取付部材98の後端の位置更には播種深さ調節軸102より後側に設けられているので、播種部4の着脱ヒッチや整地ロータ27が邪魔にならず、作業者は播種部4の後側から手を入れて容易に操作できる。逆に、播種部4を着脱するとき、着脱ヒッチの操作において前記調節装置が邪魔にならずに容易に行える。従来は、調節ノブが播種深さ調節軸及び検出リンクより前側に配置されていたので、作業者は播種部の前側から調節ノブを操作しなければならず、播種部の着脱ヒッチや整地ロータが邪魔になって操作が困難であった。また、播種部の着脱作業で調節装置を変形させるおそれがあった。
【0023】
施肥装置5は、播種部4の播種条に対応して6条分の施肥を同時に行う構成であり、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド62a…まで導き、施肥ガイド62a…の前側に設けた作溝体62b…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。電動モータで駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62…に吹き込まれ、施肥ホース62…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0024】
播種部4の前側には、圃場の乱れた泥土面を整地して均す整地装置である整地ロータ27(左右サイドフロート56,56の各々の前方に配置された左右整地ロータ27a,27a,センターフロート55の前方に配置された中央整地ロータ27b)が取り付けられている。着脱用基部フレーム150と一体で左右に延びる第一支持フレーム65に基部を固着した左右アーム65c,65cの先端に回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した左右支持アーム67,67と該支持アーム67,67に各々回動自在に取り付けられた左右整地ロータ支持フレーム68,68が設けられている。該左右ロータ支持フレーム68,68の下端には左右整地ロータ27a,27aの駆動軸70a,70aが回転自在に支持されて取り付けられている。また、第一支持フレーム65の左右両端部から下側に延びる左右各々の縦フレーム109と、該左右の縦フレーム109を繋ぐ左右方向の横フレーム110とを備え、これらの第一支持フレーム65、左右の縦フレーム109及び横フレーム110は一体で支持枠を構成している。この支持枠は、機体正面視で左右の後輪11の間に配置されている。従って、支持枠が後輪11と干渉しないようになり、いいかえれば機体側面視で縦フレーム109等の支持枠を後輪11側(前側)に近づけることができて機体の前後長を短くでき、機体の前後重量バランスが良くなって作業性が向上する。
【0025】
前記横フレーム110の左右両端には斜め後下側に延びる左右支持体111を設け、該左右支持体111の先端部に設けた回動支点軸112に左右連結部材71を上下回動自在に連結している。この左右連結部材71の他端側(前端側)に、左右整地ロータ支持フレーム68,68の下端部近くが連結されている。前記左右支持体111を斜め後下側に延びる構成とし、横フレーム110の斜め後下側位置に回動支点軸112を配置することにより、苗植付部を装着するときに邪魔にならないように横フレーム110を走行車体側(前側)の位置に配置しながら、回動支点軸112は後寄りの位置に配置して左右連結部材71の長さ(前後長)を得ることができ、整地ロータ27の上下移動の所望のストロークを得ることができる。また、左右連結部材71の長さ(前後長)が長ければ、左右連結部材71を上下に回動させることによる整地ロータ27の前後方向への移動量を抑えることができ、ひいては整地ロータの移動スペースを小さくできるので、機体の前後長を短くできる。従って、左右後輪11,11により掻き乱された泥面は左右整地ロータ27a,27aにより良好に整地され、適切な苗の移植作業が行える。
【0026】
前記第一支持フレーム65の適宜位置(左右2箇所)には、後方に開放するコの字型のプレートで構成した屈曲部113を設け、この屈曲部113の位置で該第一支持フレーム65を前側へ偏位させている。これにより、苗植付部を装着したときに苗載台を支持する左右各々の上下方向のフレームが屈曲部113内に入って第一支持フレーム65に干渉しないようにしている。従って、苗植付部を走行車体側に近づけることができて機体の前後長を短くでき、機体の前後重量バランスを向上させ、作業性を向上させることができる。
【0027】
また、フロート55,56との配置位置の関係でセンターフロート55の前方にある中央整地ロータ27bはサイドフロート56の前方にある左右整地ロータ27aより前方に配置されている。即ち、左右整地ロータ27a,27aの駆動軸70a,70aの各々の内側から機体前方に向けて左右チェーンケース73,73を配置し、該左右チェーンケース73,73間に中央整地ロータ27bの駆動軸70bを軸支して、中央整地ロータ27bを設けている。
【0028】
そして、後輪11のギアケース18内のギアから自在継手72を介して左整地ロータ27aの駆動軸70aに動力を伝達し、該左駆動軸70aから左チェーンケース73内のチェーンにて中央整地ロータ27bの駆動軸70bに伝達し、そして、駆動軸70bから右チェーンケース73内のチェーンにて右整地ロータ27aの駆動軸70aに動力を伝達する構成となっている。
【0029】
また、上記梁部材66に基部が固着されたリンク部材76の先端に上下方向の支持部材77を回動自在に連結し、該支持部材77に設けた複数の係合孔77a,77b,77cに上部を係合させたスプリング78を介して、中央整地ロータ27bの前部はその左右方向中央部が吊り下げられた構成となっている。
【0030】
次に、整地ロータ27を上下位置調節及び収納位置に操作する構成を説明する。第一支持フレーム65に機体前方に向けて枢支ピン81bを固定し、該枢支ピン81bに整地ロータ上下位置調節レバー81を機体左右方向に回動自在に枢支している。また、整地ロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲片82が固着されており、整地ロータ上下位置調節レバー81が機体左右方向に回動操作されると、回動自在に支持された梁部材66に固着された突出部66aに下方から接当して折曲片82が上下に回動する。折曲片82は前記突出部66aの下方と接当しているので、該突出部66aが整地ロータ上下位置調節レバー81の機体右方向(矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動する。該梁部材66の上向きの回動により左右支持アーム67,67と左右整地ロータ支持フレーム68,68とが上方に移動するので、左右整地ロータ27a,27aは上方に移動し、且つ、梁部材66に基部が固着されたリンク部材76と支持部材77も上方に移動しスプリング78を介して、中央整地ロータ27bの前部も上方に移動する。
【0031】
逆に、整地ロータ上下位置調節レバー81を機体左方向に回動すると、折曲片82は前記突出部66aの下方から離れるので整地ロータ27の重みで突出部66aは下向きに梁部材66を中心として回動する。該梁部材66の下向きの回動により左右支持アーム67,67と左右整地ロータ支持フレーム68,68とが下方に移動するので、左右整地ロータ27a,27aは下方に移動し、且つ、梁部材66に基部が固着されたリンク部材76と支持部材77も下方に移動しスプリング78を介して、中央整地ロータ27bの前部も下方に移動する。
【0032】
そして、整地ロータ上下位置調節レバー81は、苗植付部4の中央部(若しくは、略中央部)で操縦座席31と苗載台51との間に配置されて操縦座席31の側に向かって伸びた構成となっており、また、その操作方向は機体左右方向であるから、整地ロータ27の上下動を行う場合の操作が容易で、且つ、苗植付部を装着した場合に苗載台の前方側に機体前後方向で幅狭いスペースに配置できて機体全長を短く構成でき、更に、機体の左右バランスも良くて、適正な作業が行なえる。また、整地ロータ上下位置調節レバー81は、播種部4を苗移植作業状態の下降させた状態でも操作できるので、適切な上下高さ調節が行える。
【0033】
また、整地ロータ27を整地作用しない収納位置まで上動させるには、整地ロータ上下位置調節レバー81を大きく右方向に(収納操作位置まで)操作すると、整地ロータ27の上動操作と同じ要領で、整地ロータ27を収納位置すなわち播種部4を下降させても接地しない位置に移動させることができる。
【0034】
本実施例では整地ロータ上下位置調節レバー81の標準位置で圃場面より40mmの高さにある整地ロータ27a,27bを図4の矢印S方向への回動で標準位置より最大15mm高くでき、図4の矢印S方向の反対方向への回動で標準位置より最大15mm低くできるように設定している。この整地ロータ上下位置調節レバー81による整地ロータ27の上下高さ調節は、フロート55,56の後部回動支点を上下動させて播種深さの変更を行なう際に、同時に行なって、適正な整地作用が行なえるようにするものである。
【0035】
特に、播種作業時に播種深さを常に一定に維持するために、播種部4を昇降制御する為のセンサとして機能するセンターフロート55は、前後長を長くして接地面積を前後方向で長くしないと適切な苗植付部4の昇降制御が行えない。そこで、センターフロート55の前方にある中央整地ロータ27bは、サイドフロート56の前方にある左右整地ロータ27aよりも機体前方に位置させた構成としているが、中央整地ロータ27bと左右整地ロータ27aとはその動力伝達機構である左右チェーンケース73,73にて一体の構成とし、整地ロータ上下位置調節レバー81で作動する一つの上下動機構で上下調節及び収納位置への移動が行なえるようになっているので、構成が簡潔で、軽量な直播機を得ることができ、軽量であることにより優れた水田での走行性能を発揮して、良好な播種作業が行なえる。
【0036】
ところが、前後長を長くして接地面積を前後方向で長くしたセンターフロート55の前方にある中央整地ロータ27bを左右後輪11,11間に配置させて機体全長を短い構成にしている為に、該中央整地ロータ27bが昇降リンク装置3の左右下リンク41,41の下方に位置することとなり、播種部4を上昇させようとした時、左右下リンク41,41に中央整地ロータ27bが衝突してしまって播種部4を上昇できない構成となってしまう問題がある。
【0037】
そこで、センターフロート55の前方にある中央整地ロータ27bは、支持部材77に設けた複数の係合孔77a,77b,77cに上部を係合させたスプリング78を介して、中央整地ロータ27bの前部が吊り下げられた構成としている。従って、播種部4を下降させて整地ロータ27で整地しながら作業を行なっている時には、中央整地ロータ27bはその重量でスプリング78が少し伸びて左右整地ロータ27aと同じ高さになり適正な整地作業が行なえ、また、播種部4を上昇させる際には、中央整地ロータ27bの上面が左右下リンク41,41に接当して、播種部4が上昇するにつれてスプリング78は大きく伸びていき中央整地ロータ27bは下方を向く姿勢に変更されて、播種部4を支障なく上昇させることができる。
【0038】
また、中央整地ロータ27bは、支持部材77に設けた複数の係合孔77a,77b,77cに上部を係合させたスプリング78を介して、中央整地ロータ27bの前部が吊り下げられた構成としているので、スプリング78の製造誤差や中央整地ロータ27bの重量誤差等にて、播種部4を下降させた時に、中央整地ロータ27bが左右整地ロータ27aと高さが異なる場合には、スプリング78の上部を係合させる係合孔77a,77b,77cを変更して、中央整地ロータ27bの上下高さを調節して、中央整地ロータ27bを左右整地ロータ27aと同じ高さにして適正な整地作業を行なうようにすることができる。
【0039】
更に、支持部材77と中央整地ロータ27bとの間にダンパーを介在させて、中央整地ロータ27bがスプリング78にて上下に震動するのを防止する構成とすれば、更に、整地性能が良くなる。また、スプリング78の上部を係合する孔を変更する構成に変えて、調節レバーを設けて、スプリング78と支持部材77との係合位置を調節する構成としても良い。
【0040】
ところで、右側のチェーンケース73の右方には、土壌の硬軟度を検出する硬軟検出装置114を設けている。この硬軟検出装置114は、圃場に接地して土壌面の高さを検出する土壌面検出具115と、土壌に突入する硬軟検出具116とを設けている。土壌面検出具115及び硬軟検出具116は、各々上下回動自在の後下がりのアーム部115a,116aと該アーム部115a,116aの後端に取り付けた回転自在のローラ部115b,116bとを備え、前記ローラ部115b,116bが接地又は土壌に突入する構成となっている。尚、硬軟検出具116のローラ部116bは、土壌内に突入し易いように中央が尖っている。この土壌面検出具115のアーム部115aと硬軟検出具116のアーム部116aとの角度の相対関係をポテンショメータで検出し、土壌の硬軟を検出する構成となっている。土壌面検出具115及び硬軟検出具116のアーム部115a,116aは、右側のチェーンケース73の右方にまで延びる中央整地ロータ27bの駆動軸70bを回動支点軸としている。また、硬軟検出具は、中央整地ロータ27bと左右一方側(右側)の後輪11との間で且つ左右一方側(右側)の整地ロータ27aより前側に配置されている。尚、前記ポテンショメータ等の硬軟検出装置の基部は、右側のチェーンケース73の側面に取付ステーを介して支持されている。従って、接地する整地ロータ並びにその関連部品から硬軟検出装置114を取り付けて支持しているので、硬軟検出装置114を土壌面の近くに配置でき、硬軟の検出精度が向上する。この硬軟検出装置114による硬軟の検出に基づいて自動的に覆土板96の傾斜角度を変更し、覆土の度合を制御する構成となっている。尚、硬軟検出具116のアーム部116aのアーム長は、土壌面検出具115のアーム部115aのアーム長より長く構成されており、硬軟の検出を安定して精度良く行えるようにしている。
【0041】
この直播機1を、湛水状態にした圃場に入れて肥料ホッパ60に肥料を充填し、種子ホッパ91には種子を充填して前進させて播種作業を開始すると、センターフロート55の圃場面の検出により昇降リンク装置3を作動させて播種部4及び整地ロータ27を昇降制御し、左右傾斜角センサ154の走行車体2の左右傾斜姿勢の検出により着脱用基部フレーム150を左右ローリングさせて播種部4及び整地ロータ27を左右ローリング制御し、整地ロータ27により圃場面を整地し、整地した圃場に施肥しながら播種作業が行われる。
【0042】
次に、播種部4に代えて除草部152を着脱用基部フレーム150に装着した除草機について説明する。走行車体2及び整地ロータ27等の着脱する播種部4以外の構成は、前述と同様である。除草部152は、その着脱ヒッチ151を介して着脱用基部フレーム150に装着され、植付条間の除草作業を行う条間除草装置155と、植付条における株間の除草作業を行う株間除草装置156を備え、作業伝動軸26からの動力により除草部伝動ケース157内の伝動を介して駆動し、田植え後の水田において除草作業を行うものである。
【0043】
条間除草装置155は、各々の植付条間及び植付条の左右外側に位置する計7個の回転除草体158を備え、回転除草体158が駆動回転して圃場の草を除去していく構成となっている。回転除草体158は、回転中心側の回転枠159と、該回転枠159の外周の適宜の位置に固着された回転除草爪160を備えている。回転除草体158の上側には除草カバー160を設け、該除草カバー160により回転除草体158が跳ね上げる草、泥又は水を飛散しないように受け止める。また、除草カバー160の前端には案内板161を設けており、該案内板161により植付苗又は作物を回転除草体158が作用しない位置へ押し寄せて案内する構成となっている。
【0044】
株間除草装置156は、条間除草装置155の前側に配置され、左右に往復移動して揺動する左右方向に長い揺動フレーム162と、該揺動フレーム162の適宜位置に取り付けられ各々の植付条間及び植付条の左右外側に位置する計7箇所に揺動除草体163を備えている。該揺動除草体163は、植付条間において植付条に近い左右両外側位置に偏って配置され、この左右両外側位置の各々で前後位置を異ならせて複数備え、後側のものほど植付条に近い位置に配置している。従って、揺動フレーム162の左右の揺動により、前側の揺動除草体163が植付苗又は作物を他方側に寄せながら、後側の揺動除草体163が株間に入って除草する。揺動除草体163は、前側から後側へ延びており、九十九折状に屈曲した形状により除草効果を高める構成となっている。
【0045】
中央の植付条間で且つ機体側面視で揺動除草体163と重複する前後位置にはセンサフロート164を設けており、前述の播種部4と同様に、該フロート164の前部の上下動が迎角制御センサ101により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて除草部152を昇降させることにより、除草部152の対地高さを常に一定に維持する。尚、センサフロート164の前端には案内体165を備えており、該案内体165により植付苗又は作物をセンサフロート164が作用しない位置へ押し寄せて案内する構成となっている。また、左右ローリングについては前述の播種部4と同様であるが、除草部152自体も若干量左右にローリング自在に構成され、除草部152を構成する支持フレーム166に基端を連結して左右に各々バランススプリング167を設けており、該左右のバランススプリング167により、条間除草装置155及び株間除草装置156の左右ローリング姿勢を適正な姿勢で安定させる構成となっている。また、除草高さ調節レバー168により、支持フレーム166に対して条間除草装置155及び株間除草装置156を上下動させて高さを変更し所望の位置に調節できる構成となっている。
【0046】
播種部4を着脱用基部フレーム150に装着した状態では、フロート55,56が接地する作業高さで昇降リンク装置3の上リンク40及び下リンク41が後下がり姿勢となるが、除草部152を着脱用基部フレーム150に装着した状態では、センサフロート164が接地する作業高さで昇降リンク装置3の上リンク40及び下リンク41が後上がり姿勢で播種部4を装着した状態よりも上側に回動した回動位置となる。従って、除草部152を装着した状態では、播種部4を装着した状態よりも整地ロータ27が高位となり、整地ロータ27が対地浮上した高さとなる。このとき、整地ロータ上下位置調節レバー81による上下動機構により整地ロータ27を最下位に位置させても、接地せずに対地浮上する。
【0047】
尚、除草部152を装着した状態で、機体側面視においてセンサフロート164の上方に左右整地ロータ27aが位置する構成となっており、除草部152と整地装置27の前後位置を重複させ、機体の前後長の短縮化を図ってコンパクトに構成している。
【0048】
また、昇降リンク装置3の下リンク41が所定位置より上側へ回動すると、該下リンク41に連結した連動ケーブル169を介して後輪11のギアケース18内に設けた整地ロータクラッチ170を操作し、整地ロータ27の駆動を停止する構成となっている。これにより、畦際旋回時等の非作業時や除草部152を装着した除草作業時に、昇降リンク装置3を高位に回動させることにより、自動的に整地ロータ27の駆動を停止することができる。従って、これらの連動ケーブル169及び整地ロータクラッチ170等が、除草部152を装着した状態で整地ロータ27の駆動を牽制する駆動牽制装置となる。
【0049】
尚、機体の進行方向の変化で最外側の回転除草体158の左右位置が変化し易く、隣接条の苗に回転除草体158が干渉しやすいので、上述では左右最外側の回転除草体158を植付条間の回転除草体158と同じ左右幅(除草部伝動ケース157がある条間は該除草部伝動ケース157を含めて同じ左右幅)に設定しているが、左右最外側の回転除草体158のみ左右幅を狭くし、機体の操向等による進行方向の変化により隣接条の苗に回転除草体158が干渉しにくいように構成してもよい。また、機体の進行方向の変化で左右外側の回転除草体158ほど植付条の苗や作物に干渉し易くなるので、左右外側の回転除草体158ほど左右幅が狭くなる構成としてもよい。各部位の揺動除草体163の配置についても、上述の回転除草体158と同様に、左右幅を設定してもよい。
【0050】
以上により、この除草機は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して縦リンク43を昇降可能に設け、該縦リンク43に前後方向の連結軸44を介して着脱用基部フレーム150を左右ローリング可能に設け、該着脱用基部フレーム150に上下動機構を介して整地ロータ27を上下動可能に支持させて設け、着脱用基部フレーム150に着脱される着脱ヒッチ151を介して除草部152を装着し、該除草部152を装着した状態で除草部152の下端よりも整地ロータ27が高位で地面に対して浮上する構成とした。
【0051】
従って、走行車体2により機体を走行させながら、除草部152を昇降リンク装置3により適宜の高さに昇降すると共に連結軸44により適宜の左右傾斜姿勢に左右ローリングし、除草作業を行う。除草部152を装着した状態で整地ロータ27は地面に対して浮上しているので、除草部152を装着した状態で地面を整地することがない。よって、誤って整地作業を行うことにより既に植え付けた苗や作物を損傷させるようなことを防止できる。また、除草部152に代えて播種部4等の異なる作業部を装着した場合には、整地ロータ27により整地作業を行うことも可能である。
【0052】
また、除草部152を装着した状態で整地ロータ27の駆動を牽制する駆動牽制装置を設けた。
従って、駆動牽制装置により、除草部152を装着した状態で整地ロータ27が駆動しないので、除草部152を装着した状態で既に植え付けた苗や作物に駆動する整地ロータ27が触れることがない。よって、既に植え付けた苗や作物を損傷させるようなことを更に防止できる。
【0053】
また、苗丈や作物丈が高く整地ロータ27が苗や作物に触れるおそれがある場合には、整地ロータ上下位置調節レバー81を適宜操作して整地ロータ27を苗や作物に触れない高さまで上動させればよい。
【0054】
除草部152の株間除草装置156は、走行車体2の走行速度が高速であると、株間に十分に作用せず、除草効果が小さくなるおそれがある。そこで、株間が狭いときは高速走行できないように、油圧式無断変速装置23を操作して走行速度を変速する変速レバー171を設け、該変速レバー171を高速側に操作するのを規制するレバーストッパ172を設け、該レバーストッパ172を規制状態に切替できる構成とすればよい。また、レバーストッパ172を作動させる電磁ソレノイド等のアクチュエータであるレバーストッパ作動装置を設けると共に、除草部152に撮影カメラを備える画像処理装置等の株間検出装置を設け、該株間検出装置により株間が狭いと判断されるときはレバーストッパ作動装置を規制状態に作動させる制御装置を設ければよい。同様に、既に植え付けられた苗の植付条間を検出する条間検出装置を設け、該条間検出装置により何れかの条間が狭いと判断されるときはレバーストッパ作動装置を規制状態に作動させる制御装置を設ければよい。
【0055】
また、揺動除草体163が苗や作物に触れたことを該揺動除草体163自体が左右方向に押されることで検出する接触センサを設け、該接触センサの検出に基づいてレバーストッパ作動装置を作動させ、高速走行を自動的に規制するか又は走行速度を自動的に減速する制御装置を設けてもよい。これにより、機体の進行方向の急激な変化で回転除草体158や揺動除草体163が苗や作物に触れて傷めるのを防止できる。
【0056】
また、条間検出装置により何れかの条間が狭いと判断されるとき、昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブにより昇降リンク装置3の下降速度を遅くし、除草作業開始時の除草部152の下降速度を遅くし、畦際旋回直後の機体の進行方向の急激な変化で回転除草体158や揺動除草体163が苗や作物に触れるのを防止できる。
【0057】
また、条間検出装置により回転除草体158や揺動除草体163が収まらないほど何れかの植付条間が狭いことを検出すると、油圧バルブにより除草部152の下降を規制し除草部を最上昇位置へ上昇させる制御装置を設けてもよい。これにより、苗や作物を損傷するのを防止できる。尚、制御装置は、この除草部の下降規制に併せて、レバーストッパ作動装置を作動させて機体の走行を停止する構成としてもよい。
【0058】
また、画像処理装置等により一株ごとの苗の位置を検出する苗検出センサを設けると共に、揺動フレーム162の左右揺動量を変更する揺動量変更装置を揺動フレーム162への伝動経路上に設け、苗検出センサの検出に基づいて株間の位置で揺動除草体163が大きいストロークで揺動するように揺動量変更装置を制御する制御装置を設けてもよい。これにより、揺動除草体163で苗や作物を損傷させずに効率良く株間の除草が行える。尚、揺動量変更装置は、揺動フレーム162への伝動比を変更する変速装置の変速操作シフタを電動モータ等のアクチュエータで操作する構成とすればよい。
【0059】
更に、除草作業の作業性向上を図るべく、ハンドル34の切れ角を検出するハンドル切れ角センサを設け、ハンドル34を所定角度以上操作したことをハンドル切れ角センサで検出すると昇降リンク装置3により除草部152を自動的に上昇させると共に除草部152の駆動を停止し、ハンドル34を中立位置に戻したことをハンドル切れ角センサで検出すると昇降リンク装置3により除草部152を自動的に下降させると共に除草部152の駆動を開始する旋回制御を行う制御装置を設ければよい。尚、この制御装置は、油圧バルブ及び除草部152の駆動クラッチへ出力指令する。これにより、畦際旋回時に除草部152の昇降操作が不要となり、操作性が向上する。このとき、旋回終了直後に機体を条合わせしているときに除草部152が下降すると、回転除草体158や揺動除草体163が苗や作物に触れるおそれがあるので、ハンドル切れ角センサによりハンドル34が中立位置であることを所定時間以上検出したときに除草部152を下降させる構成とすれば、機体が完全に直進状態に落ち着いた状態で除草部152を下降させることができ、回転除草体158や揺動除草体163が苗や作物に触れるのを防止できる。尚、ハンドル切れ角センサによりハンドル34が中立位置であることを検出した後、所定時間が経過すると除草部152を下降させる構成として、機体が完全に直進状態に落ち着いた状態であることを判断してもよい。また、機体が完全に直進状態に落ち着いた状態であることを判断してから、除草部152の駆動クラッチを伝動状態にして除草部152を駆動する制御装置を設ければよい。
【0060】
尚、除草部152を装着したときには、播種部4や苗植付部等の他の作業部を装着したときよりも、上記旋回制御における除草部152の上昇及び駆動停止を行うハンドル34の設定切れ角を小さく設定している。これにより、旋回開始時に素早く除草部152を上昇させることができ、除草部152により苗や作物を損傷させるのを防止できる。また、除草部152を装着したときには、播種部4や苗植付部等の他の作業部を装着したときよりも、旋回制御における除草部152の上昇速度を速く設定することもできる。尚、除草部152を装着したか否かの判断は、オペレータが操作する作業機種別設定スイッチや、着脱ヒッチ部に格別に設けた作業機識別センサや、除草機152側の電装の配線を走行車体2側の配線と接続する接続コネクタ等の識別装置で行える。
【0061】
尚、除草作業する場合は整地ロータ27は使用しないので、整地ロータ27の駆動軸70aに除草装置を装着できる構成とし、整地ロータ27に代えて除草装置を装着する構成とすることもできる。具体例として、前記駆動軸70aに回転除草体を装着し、該駆動軸70a回りに回転除草体が回転駆動する構成とすることができる。このとき、駆動軸70aの回転速度を除草用の速度にするため、除草用のカウンタ伝動ケースを装着する構成としてもよい。整地ロータ27は、サイドクラッチを介して伝動される後輪ギヤケース18からの動力で駆動するため、過負荷がかかるとサイドクラッチが安全クラッチとなって自動的に非伝動状態となり、駆動を停止することができるが、この安全クラッチを除草装置においても利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1:直播機(作業機)、2:走行車体、3:昇降リンク装置、4:播種部、27:整地ロータ、43:縦リンク、44:連結軸、150:着脱用基部フレーム、151:着脱ヒッチ、152:除草部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(43)を昇降可能に設け、該縦リンク(43)に前後方向の連結軸(44)を介して着脱用基部フレーム(150)を左右ローリング可能に設け、該着脱用基部フレーム(150)に上下動機構を介して整地装置(27)を上下動可能に支持させて設け、着脱用基部フレーム(150)に着脱される着脱ヒッチ(151)を介して除草部(152)を装着し、該除草部(152)を装着した状態で除草部(152)の下端よりも整地装置(27)が高位で地面に対して浮上する構成とした作業機。
【請求項2】
除草部(152)を装着した状態で整地装置(27)の駆動を牽制する駆動牽制装置を設けた請求項1に記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−172300(P2010−172300A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20296(P2009−20296)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】