説明

作業用リフトにおける昇降体の昇降装置

【課題】リフトシリンダを省略して重量の低減を図り、構造を単純化した作業用リフトの昇降体の昇降装置を提供する。
【解決手段】台盤1上にマスト2を立設してリフト主体を構成した作業用リフトに係り、昇降体に、カバー枠12で取り囲んだ装置室13を設ける。該装置室13の上部にチェーン装置14の駆動ブロック18を吊設し、該駆動ブロック18に備えた駆動輪17に上部がかみ合う無端状の操作チェーン19を前記装置室13から外部に導出する。前記駆動輪17に連動して回動するロードシーブ16を前記駆動ブロック18に設け、該ロードシーブ16に中間部をかみ合わせたロードチェーン20の一端側の自由端を前記装置室13の空隙内に配し、前記駆動ブロック18より下方で前記装置室13内に回動自在に収納した案内輪21にかみ合わせ、前記装置室13の上方に導出させた他の一端側を、前記マスト2の上方に止着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動用車輪で受支させた台盤上にマストを立設してリフト主体を構成し、該リフト主体の前記マストに組付けた、フォーク等を備えた昇降体を、前記支柱に沿って昇降させる、作業用リフトにおける昇降体の昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固定マストと、該固定マストに昇降自在に組付けた移動マストと、移動マストに昇降自在に組付け、しかも、フォークを備えた昇降体と、前記移動マストを前記固定マストに対して昇降させるリフトシリンダと、移動マストの上部に回動可能に設けた案内車および該案内車にかみ合わせて一端を前記固定マストに、他端を前記昇降体に止着したチェーンとで構成し、リフトシリンダによって前記移動マストを固定マストに沿って昇降させて前記案内車位置上下に移動させ、その結果、移動マストに沿って昇降体が縦動するようにした構造のものが一般である。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61−26315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来構造のものは、リフトシリンダを用いて固定マストに対し移動マストを昇降させ、該昇降に伴ってチェーン装置を用いて移動マストに沿わせて昇降体を昇降させる構成を採るので、構造が複雑で、重量も嵩む。
【0005】
本発明は、昇降操作の動力源として用いていたリフトシリンダを省略して重量を低減し、必然的に構造を単純化した昇降装置を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
移動用車輪で受支させた台盤上にマストを立設してリフト主体を構成し、該リフト主体の前記マストにフォーク等の載荷部を備えた昇降体を縦動自在に組付けた作業用リフトにおいて、前記昇降体に、カバー枠で取り囲んだ装置室を設け、該装置室の上部にチェーン装置の駆動ブロックを吊設し、該駆動ブロックに備えた駆動輪に上部がかみ合う無端状の操作チェーンを前記装置室から外部に導出すると共に、前記駆動輪に連動して回動するロードシーブを前記駆動ブロックに設け、該ロードシーブに中間部をかみ合わせたロードチェーンの一端側の自由端を前記装置室の空隙内に配し、前記駆動ブロックより下方にして前記装置室内に回動自在に収納した案内輪にかみ合わせて前記装置室の上方に導出させた他の一端側を、前記マストの上方に止着した、構成とするのである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作チェーンを操作することによりロードチェーンの移動を自在に行って昇降体の縦動を行うことができるものであるから、構造が簡単で、操作が簡便な作業用リフトを提供できる。また、昇降体に作業ステージを設けることにより所謂梯子代りの昇降具或いは作業台として用いることのできる作業用リフトを提供でき、実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】側面図。
【図2】平面図。
【図3】正面図。
【図4】一部拡大断面図。
【図5】図4の右側面図。
【図6】チェーン装置の一部拡大図。
【図7】昇降体を昇降させた状態の側面図。
【図8】分解側面図。
【図9】作業ステージを備えた昇降体を昇降させた状態の側面図。
【実施例】
【0009】
図面は、本発明に係る作業用リフトにおける昇降体の昇降装置の一実施例を示し、実施例の作業用リフトAは、台盤1上にマスト2を(分離自在に)立設して構成したリフト主体Aaと該リフト主体Aaのマスト2に昇降主体3aにおいて縦動自在に組付けた昇降体3とで成り、昇降体3は、昇降主体3aにフォーク3bと作業ステージ3cを選択的にして着脱自在に組付けて構成し、昇降主体3aにフォーク3bを組付けて昇降体3とするときは、作業用リフトAを物品搬送用の簡易リフトとして用い、また、昇降主体3aに作業ステージ3cを組付けて昇降体3とするときは、塗装作業や電気工事時に用いる作業台として用いるようにしたものである。
【0010】
台盤1は、主体部1aより前方に向けて互いに並行させて突設した一対の前側杆部1b,1bの先端側自由端と、同じく互いに並行させて後方に向けてわずかに突設した後側杆部1c,1cの後端側自由端のそれぞれに配した、前後の車輪4,4´によって受支された枠体で成り、主体部1aに備えたベース板1Aの中央部には支筒5を立設すると共に、前記車輪4,4´を利用した移動操作用のハンドル枠6を、前記主体部1aと前記後側杆部1cにわたすようにして立設して構成したものである。
【0011】
マスト2は、台盤1と同様に軽量なアルミニウムを素材とした方形筒体で成り、台盤ベース板1A上に立設した前記支筒5に外嵌して台盤1に取外し自在に組付け、ベース板1A上、すなわち、台盤1上に垂直状に立設して用いるもので、このマスト2には、前記の通り、前記昇降主体3aを外嵌して摺(縦)動自在に組付ける。
【0012】
昇降体3を構成する昇降主体3aは、前記マスト2に縦動自在に外嵌した筒状主体7の前部片7aに、引掛け杆8と受支杆9を、引掛け杆8を上側にして上下に並設し、後部片7bにはカバー枠12を組付けて装置室13を設け、この装置室13内に装置したチェーン装置14の操作により前記マスト2に、沿って、適宜の高さ位置まで自在に昇降するようにしたものである。
【0013】
チェーン装置14は、ロードシーブ16と該ロードシーブ16を回動させる駆動輪17を備えた駆動ブロック18と、該駆動ブロック18の前記駆動輪17にかみ合わせた操作チェーン19と、駆動ブロック18の前記ロードシーブ16にかみ合わせロードチェーン20とかみ合う案内輪21とで構成する。
【0014】
このチェーン装置14の前記駆動ブロック18は、筒状主体7の前記後部片7bに後方に向けて突設した上支持部片15に仲介片22を介して揺動自在に支持させ、該駆動ブロック18の前記駆動輪17にかみ合わせた無端状の前記操作チェーン19の下部側を連通口23を通じて装置室13外部に導出させてある。そして、前記上支持部片15と同様に後方に向けて突設した下支持部片15´に、前記案内輪21を回動自在に枢支させ、この案内輪21に駆動ブロック18のロードシーブ16にかみ合わせて一端側の自由端を前記装置室13の空隙内に納めた前記ロードチェーン20をかみ合わせて、他の一端側を前記装置室13外部に導出させ、該ロードチェーン20の他の一端を前記マスト2の後部片2bの上端部に止着材24を介して止着してある。
【0015】
実施例の載荷材としてのフォーク3bは、立上り部の下部に配した掛止杆3b´を昇降主体3aの受支杆9上に載置し、立上り部の上端部を受支杆9より上方に配した引掛け杆8の裏(後)側に配して組付け、水平部上に物品を積載するようにして用いるもので、前記のチェーン装置14によって昇降主体3aに伴って上下に移動し、最も下方に配したときは、前記台盤1の前側杆部1b,1b杆の間隙25内に係合し、物品の積載操作が支障なく行われるようにしてある。
【0016】
また、前記作業ステージ3cは、床台3c´と該床台3c´を取り囲んだ仕切り枠3c´´とで構成し、実施例の場合は、前記フォーク3bと同形なものの上に載置して図示省略した固定手段で着脱自在にフォーク3bに取付け、高所作業での足場として用いるようにしたものである。
【0017】
そして、作業用リフトAは、ハンドル枠6を手先で保持して移動させるようにすると、前後の車輪4,4´が転動して自在に移動させることができ、所望位置における地上にて操作チェーン19を時計廻り方向に牽引すると、該操作チェーン19の時計廻り方向に従って駆動輪17は回動し、その回動に従ってロードシーブ16は回動してロードシーブ16にかみ合わせたロードチェーン20に沿って相対的に移動することになり、ロードチェーン20はロードシーブ16に巻き取られるようにして装置室13にからみ取られ、この結果、昇降体3はマスト2に沿って上昇し、フォーク3b上に物品が載置されていれば、該物品は低所から高所へと移動することになる。
【0018】
そして、操作チェーン19を反時計廻り方向に牽引させると、昇降体3は高所から低所位置へと移動する。
【0019】
なお、昇降体3に作業ステージ3cを装置して該作業ステージ3c上で、操作チェーン19を操作すると、作業ステージ3cは人を乗せた状態で昇降し、高さ位置を変えられるから、使用勝手の良好な作業台として用いることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 台盤
2 マスト
3 昇降体
4,4´ 車輪
12 カバー枠
13 装置室
14 チェーン装置
16 ロードシーブ
17 駆動輪
18 駆動ブロック
19 操作チェーン
20 ロードチェーン
21 案内輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動用車輪で受支させた台盤上にマストを立設してリフト主体を構成し、該リフト主体の前記マストにフォーク等の載荷部を備えた昇降体を縦動自在に組付けた作業用リフトにおいて、前記昇降体に、カバー枠で取り囲んだ装置室を設け、該装置室の上部にチェーン装置の駆動ブロックを吊設し、該駆動ブロックに備えた駆動輪に上部がかみ合う無端状の操作チェーンを前記装置室から外部に導出すると共に、前記駆動輪に連動して回動するロードシーブを前記駆動ブロックに設け、該ロードシーブに中間部をかみ合わせたロードチェーンの一端側の自由端を前記装置室の空隙内に配し、前記駆動ブロックより下方にして前記装置室内に回動自在に収納した案内輪にかみ合わせて前記装置室の上方に導出させた他の一端側を、前記マストの上方に止着した、作業用リフトにおける昇降体の昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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