説明

作業用仕切弁

【課題】作業用仕切弁が設置される箇所の流体管路に沿う方向(分岐管等の接続管の管路に直交する方向)の長さを短くした省スペース型であって取り付け箇所の補強構造を簡素にした作業用仕切弁を提供すること。
【解決手段】弁体10は、密封性を有する可撓シート状体30と、該可撓シート状体30を接触支持する支持部材31とから形成され、支持部材31は弁体10の移動方向と直交する方向に複数の支持要素に分割され、複数の支持要素は相互に回動自在にリンク結合され、ガイド手段24は、管軸に対して直交方向に延びる直交部Xと、管軸に沿う方向に延びる並行部Yと、直交部X及び並行部Yを滑らかに接続する円弧部Zとから形成されており、弁操作手段は、弁体10をガイド手段24に沿って出入可能な動力伝達手段60を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、管内流体の流れを維持したままその任意の箇所に遮断弁装置を設置する不断水弁工事、あるいは、分岐管等の接続管の端部に形成された連結フランジに蓋体や仕切弁の弁ケース等の流体機器を取り付ける場合に用いられる作業用仕切弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業用仕切弁は、仕切弁体が分岐管等の接続管の管内の流路を遮断できる大きさの単一の剛板から形成され、この仕切弁体を流路に直交方向に開閉移動するために、分岐管等の直交方向に仕切弁体の大きさ以上の大きさを有する筐体を分岐管等の一方の側に突出して設け、該筐体内に設けられた直線状の螺子棒を操作する操作ハンドルを筐体の外部に設け、該操作ハンドルを操作して仕切弁体を開閉する構造となっている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2547470号公報(第3頁、第2図)
【特許文献2】特許第4353560号公報(第2頁、第6図)
【特許文献3】特開2011−38584号公報(第8頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1ないし3に記載の発明にあっては、仕切弁体が単一の剛板から形成されているため、作業用仕切弁が設置される箇所には仕切弁体の大きさ以上の大きさを有する筐体、及び、筐体から突出して設けられた操作ハンドルを収容するスペースに加えて、操作ハンドルを操作するための操作スペースを分岐管等の接続管の管路に直交する方向、すなわち、流体管路に沿う方向に確保する必要があった。また、重量物である鋼板製の仕切弁体及びこの仕切弁体用の収容カバーが、接続管から流体管方向に延設されており、基部側である接続管に対し大きい曲げモーメントが負荷されるため、接続管の取り付け箇所に、この曲げモーメントに耐え得る大掛かりなリブ等の補強構造を要していた。ところが、流体管が地中の埋設管であるような場合、掘削幅(水平方向の幅)をできる限り短くしたいという要望がある一方、分岐管に沿う方向(垂直方向)にはカッターあるいは遮断弁挿入工具を装着することからスペースが確保されているというのが現状である。このため、従来の作業用仕切弁ではこのような要望に応えられないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、作業用仕切弁が設置される箇所の流体管路に沿う方向(分岐管等の接続管の管路に直交する方向)の長さを短くした省スペース型であって取り付け箇所の補強構造を簡素にした作業用仕切弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の作業用仕切弁は、
管軸に対して直交方向に移動自在な弁体と、該弁体を閉位置と開位置とにわたってガイドするガイド手段と、前記弁体を移動操作する弁操作手段とを備えた作業用仕切弁であって、
前記弁体は、密封性を有する可撓シート状体と、該可撓シート状体を接触支持する支持部材とから形成され、該支持部材は前記弁体の移動方向と直交する方向に複数の支持要素に分割され、該複数の支持要素は相互に回動自在にリンク結合され、
前記ガイド手段は、管軸に対して直交方向に延びる直交部と、管軸に沿う方向に延びる並行部と、前記直交部及び並行部を滑らかに接続する円弧部とから形成されており、
前記弁操作手段は、前記弁体を前記ガイド手段に沿って出入可能な動力伝達手段を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、該弁体を開状態に引き出す場合、分岐管等の軸に沿った方向に引き出すことができ、作業用仕切弁が設置される箇所の流体管路に沿う方向(分岐管等の接続管の管路に直交する方向)のスペースを省き、且つ作業用仕切弁の曲げモーメントを小さく抑えることができるため、作業用仕切弁の取り付け箇所におけるリブ等の補強構造を簡素にすることができる。
【0007】
本発明の作業用仕切弁は、
前記弁体の閉状態において該弁体を弁座方向に押圧するためのシール補助部材が、前記ガイド手段の直交部の底面に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、弁体の閉状態において該弁体を弁座に対して密接させることができ、十分なシール機能を達成することができる。
【0008】
本発明の作業用仕切弁は、
前記支持部材に、前記可撓シート状体を支持する側と反対の側への回動を規制する規制部材が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、支持部材に設けられた規制部材同士が係合し合うため、弁体は可撓シート状体の側の一方向にしか折れ曲がることができず、規制部材の側から加わる流体圧力によっては折れ曲がらず、弁体が一体的に弁座に押し付けられるため、十分なシール機能を果たすことができる。
【0009】
本発明の作業用仕切弁は、
前記ガイド手段の直交部の両側にガイドレールが設けられるとともに、前記支持部材の両側に前記ガイドレール上を移動する移動部材が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、弁体の開閉操作に伴う弁体の移動を確実なものとすることができる。
【0010】
本発明の作業用仕切弁は、
前記弁体を閉方向に向けて補助的に付勢する付勢補助手段が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、弁体を主として駆動する力が管軸に沿う方向に作用するため弁体を閉位置に押し込む力が不足する場合でも、弁体を確実に閉位置まで移動させることができる。
【0011】
本発明の作業用仕切弁は、
前記可撓シート状体が板状のゴム部材から構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、密封性を有する可撓シート状体を安価に形成することができ、また、弁体を該弁体の移動方向と直交する方向に撓み折曲げ可能とするとともに、弁体と弁座との密着性を良好なものとすることができる。
【0012】
本発明の作業用仕切弁は、
前記動力伝達手段がワイヤーから構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、弁体を駆動するガイド手段に沿って出入可能な動力伝達手段を安価かつ確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における作業用仕切弁の開状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の一部断面を示す平面図である。
【図3】作業用仕切弁の閉状態を示す縦断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図4のC−C断面図である。
【図7】作業用仕切弁を不断水弁設置工事に使用する状態を示す断面図である。
【図8】図7において遮断弁を設置した状態を示す図である。
【図9】実施例2における作業用仕切弁の開状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る作業用仕切弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例1に係る作業用仕切弁を、図1から図8を参照して説明する。図1及び3において紙面の下方が流体管の側であり、該流体管は省略されている。尚、本実施例では流体管内の流体は上水であるが、流体管の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水や下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0016】
図1において、作業用仕切弁1は、弁体10及び弁ケース20を備え、この弁ケース20の下部には、図示しない流体管の分岐管の連結フランジの上面に対して載置状態で当接する円環状の環状当り部21が形成されている。
【0017】
弁ケース20の上部には、環状当り部21に同芯状態で連通して弁内流路を形成する円筒状の上側連結筒部22が一体形成され、この上側連結筒部22の開口端には、図示しない穿孔機や流路遮断装置等を取り付けるための連結フランジ23が一体形成されているとともに、弁ケース20の開閉移動経路に臨む内側壁には、弁体10の開閉移動をガイドするガイド手段24が設けられている。
【0018】
ガイド手段24は、弁ケース20の一方の側(図1〜4においては図示右側)が弁体10の出入のため開口されており、他方の側は、図2及び図4に示すように、環状当り部21及び上側連結筒部22の弁内流路を形成する円筒状の内径より大きく形成され、弁体10の周縁をガイドし、収容できるように凹部25を形成している。そして、ガイド手段24は、図1及び図3に示すように、作業用仕切弁1が装着される弁ケース20の上側連結筒部22の軸Lに対して直交方向に延びる直交部Xと、軸に沿う方向に延びる並行部Yと、直交部X及び並行部Yを滑らかに接続する円弧部Zとから形成されている。本実施例では、直交部Xは弁ケース20に形成され、並行部Y及び円弧部Zは縦断面形状が略J字状のガイド部材26により形成されている。そして、弁ケース20のフランジ28とガイド部材26のフランジ29とがボルト等で固定されることにより直交部Xと並行部Yとが円弧部Zを介して滑らかに連通されるようになっている。
【0019】
弁体10は、例えば、図3に示すように、密封性を有する比較的柔軟な可撓シート状体30と、該可撓シート状体30を一側から接触支持する支持部材31とから形成され、該支持部材31は、図4に示すように、弁体10の移動方向と直交する方向に複数の支持要素32に分割され、これ等複数の支持要素32は、図6に示すように、ピン33を介して相互に回動自在にリンク結合されている。このリンク結合は、図4に示すように、支持部材31の両側において行われ、それぞれのリンク結合は、隣接する支持要素32の一方に切欠き34を形成し、該切欠き34に遊嵌する突出部35を他方の支持要素32に形成し、これらを嵌合させた状態でピン33により両部材を回動自在に結合することで行われる。このため、弁体10は、移動方向と直交する方向に自在に折れ曲がることができる。
【0020】
尚、本実施例では、支持部材31は7個に分割されているが、この分割数は、弁体10の大きさ及びガイド手段24の円弧部Zの曲率半径等を考慮して適宜の所定数に決められるものである。
【0021】
本発明においては、ガイド手段24が、上側連結筒部22の軸Lに対して直交方向に延びる直交部Xと、軸に沿う方向に延びる並行部Yと、直交部X及び並行部Yを滑らかに接続する円弧部Zとから形成され、かつ、弁体10が、移動方向と直交する方向に自在に折れ曲がることができるので、作業用仕切弁1が設置される箇所の流体管路に沿う方向(分岐管等の接続管の管路に直交する方向)のスペースを省くことができる。
【0022】
また、可撓シート状体30は、板状のゴム部材から構成されていることで、密封性を有する可撓シート状体30を安価に形成することができ、また、弁体10を弁体10の移動方向と直交する方向に撓み折曲げ可能とするとともに、弁体10と弁座との密着性を良好なものとすることができる。尚、本実施例の可撓シート状体30は、板状のゴム部材から形成されるが、可撓シート状体は、ゴム部材に限定されるものではなく、密封性及び可撓性を備えた材料であればよい。更に尚、本実施例の支持部材31は、板状の金属あるいは合成樹脂などから形成される。
【0023】
図4及び図5に示すように、支持部材31の幅方向の両側の端面には、移動部材36が回動自在に装着され、ガイド手段24の凹部25の両側に設けられたガイドレール37の上面を移動するようになっている。このため、弁体10の開閉操作に伴う弁体の移動を確実なものとすることができる。尚、上記した移動部材として、車輪等の転動部材を採用することで、弁体の移動を小さな力でスムースに行うことができる。
【0024】
また、支持部材31の可撓シート状体30を支持する側と反対の側には1対の車輪支持部材38が設けられ、該1対の車輪支持部材38の間に車輪39が装着されている。1対の車輪支持部材38は、支持部材31の幅方向の両側に設けられ、車輪39を各側で枢支している。また、支持部材31の支持要素32ごとの下面に規制部材55が下方に延設されており、各規制部材55は平面視で略コ字形状をなし、隣接する規制部材55と近接して設けられ、規制部材55,55同士が係合し合うため、弁体10は、可撓シート状体30の側には折り曲げ可能であるが、規制部材55側には規制部材55同士が干渉して折り曲げ不可能となっている。このため、規制部材55の側から加わる流体圧力によっては折れ曲がらず、弁体が一体的に弁座に押し付けられるため、十分なシール機能を果たすことができる。更に、車輪支持部材38に支持された車輪39により、弁体の出し入れの際、弁体の挙動が安定し、弁体の開閉操作を容易に行うことができる。
【0025】
尚、本実施例では、支持要素32ごとの下面に設けた規制部材55により、弁体10が可撓シート状体30の側に折り曲げ可能であり、規制部材55側には折り曲げ不能となっているが、例えば車輪39及び車輪支持部材38を各支持要素32に設け、これ等車輪支持部材38が、可撓シート状体の側のみの折り曲げを可能とし、互いに係合して他方の側の折り曲げを規制する規制部材であってもよい。更に尚、車輪39は、車輪支持部材38の全てに設けてもよいが、図1及び図3に示すように、全体として移動方向に少なくとも2か所設けられればよい。
【0026】
図1、図3及び図5に示すように、ガイド手段24の凹部25の上面41には弁座42が形成されており、該弁座42の周囲にはシールを確実にするためOリング43が装着されている。また、ガイド手段24の凹部25の底面44には、弁体10の閉位置において弁体10の可撓シート状体30を弁座42及びOリング43に押圧させるため、車輪の移動位置に楔状の乗り上げ斜面を備えた側面視で台形状のシール補助部材45及び先頭の車輪支持部材38の傾斜凹部39に当接する断面円形のシール補助部材46が設けられ、車輪39がシール補助部材45に乗り上げ、先頭の車輪支持部材38の傾斜凹部39がシール補助部材46に当接して上方に持ち上げられることで弁体10を弁座42及びOリング43に密接させるようになっている。このため、弁体の閉状態において該弁体を弁座に対して密接させることができ、十分なシール機能を達成することができる。
【0027】
更に、弁体10を閉方向に向けて補助的に付勢する付勢補助手段50が設けられている。付勢補助手段50は、ガイド手段24の直交部Xの延長上にあって弁体10の挿出入側、すなわち、ガイド部材26側から弁体10の規制部材55を弁体10の閉方向に向けて付勢する押棒51と該押棒51をガイドする押棒ガイド52を備えている。押棒ガイド52の孔53にはシール用のOリング54が装着され、孔53と押棒51との間をシールしている。このため、弁体を閉位置に押し込む力が不足する場合でも、弁体を確実に閉位置まで移動させることができる。
【0028】
押棒51の押し出しストロークは、図1の全開状態から図3の全閉状態の弁体10の移動ストロークと略等しいが、できるだけ作業用仕切弁が設置される箇所の流体管路に沿う方向、すなわち、直交部Xの延長方向の長さの短い小スペースでも弁体10の付勢作業が可能なように、押棒51を長さ方向に適宜分割し、ネジ結合等により延長できる構成とするのが望ましい。
【0029】
また、弁体10を開閉駆動するところのガイド手段24に沿って出入可能な動力伝達手段60が弁体10の元部側に装着されている。この動力伝達手段60は、本例においては弁体10の支持部材31の元部に連結されたワイヤー61から構成されている。このように、動力伝達手段60がワイヤー61から構成されていることで、弁体10を駆動するガイド手段24に沿って出入可能な動力伝達手段60を安価かつ確実なものとすることができる。また、ガイド部材26の入口フランジ部27には、ワイヤー61を密封状に挿通する挿通孔が形成されるとともに、ワイヤー61が不測に切断した等の場合に前記挿通孔を閉塞可能なバルブ62が装着されている。また特に図示しないが、バルブ62の上方に、ワイヤー61の出入駆動または停止を可能にするワイヤー操作部が設けられている。更に、動力伝達手段60は弁体10の幅方向に1対設けられている。すなわち、前述したワイヤー61から構成された動力伝達手段60、及び前記ワイヤー操作部は、本発明の弁体10移動操作する弁操作手段を構成している。
【0030】
弁体10が図1の開位置から、ワイヤー61の送出が開始されると、弁体10は重力及びワイヤー61の押出力で閉方向に移動し、ワイヤー61の押出力が大きければ弁体10は車輪39及び先端の車輪支持部材38がシール補助部材45及び46に乗り上げ、弁体10が弁座42及びOリング43に密接される閉位置で停止する。
【0031】
ワイヤー61の押出力が小さい場合、弁体10は閉位置の手前で停止する。この場合は、図3に示すように、押棒51を用いて弁体10を閉方向に向けて付勢し、閉位置まで押し込む。
【0032】
この際、弁体10は、可撓シート状体30の側には折り曲げ可能であるが、規制部材55側には折り曲げ不可能であるため、規制部材55の側から印加される流体圧力によっては折れ曲がらず、弁体が一体的に弁座に押し付けられるため、十分なシール機能を果たすことができる。また、弁体は、ワイヤー61または押棒51の押出力により弁体10が上下方向に屈曲することはないので、弁体の出し入れの際、弁体の挙動が安定し、弁体の開閉操作を容易に行うことができる。
【0033】
次に、本実施例に係る作業用仕切弁を、遮断弁を設置する不断水弁設置工事に使用した場合について、図7及び図8を参照して説明する。
【0034】
図7及び図8において、ケース体3は流体管2に取り付けられるように2分割されており、複数本のボルト・ナット4により一体的に締付け固定されており、上側ケース体には作業管部3aが連設され、作業管部3aの端部には、フランジ3bが形成されている。
【0035】
図7において、作業用仕切弁1は、その環状当り部21がケース体3のフランジ3bに当接し、ボルト5によりケース体3に固定されている。また、作業用仕切弁1の上側連結筒部22の連結フランジ23にはホールソー6aを備えた穿孔機6のフランジ6bが当接され、ボルト7により固定されている。
【0036】
流体管2の穿孔に当たっては、図7に示すように、作業用仕切弁1の弁体10を開き、その後、穿孔機6のホールソー6aにより流体管2に穿孔を行い、ホールソー6aを穿孔機6に収容して作業用仕切弁1の弁体10を閉じるものである。
【0037】
本発明の作業用仕切弁1の弁体10は、弁体10のガイド手段24が弁ケース20の上側連結筒部22の軸Lに対して直交方向に延びる直交部Xと、軸に沿う方向に延びる並行部Yと、直交部X及び並行部Yを滑らかに接続する円弧部Zとから形成され、弁体10が該弁体10の移動方向と直交する方向に折曲げることができているため、作業用仕切弁1の流体管2の軸心方向に沿う長さを従来の作業用仕切弁に比較して大幅に短くすることができる。このため、遮断弁を設置する不断水弁設置工事における作業ピットの作業領域Wを小さくすることができ、不断水弁設置工事の作業量を削減することができ、且つ作業用仕切弁1の曲げモーメントを小さく抑えることができるため、作業用仕切弁1の取り付け箇所におけるリブ等の補強構造を簡素にすることができる。
【0038】
流体管2の穿孔が終了したら、作業用仕切弁1の弁体10を閉じ、図8に示すように、連結フランジ23から穿孔機6を取り外し、代わりに弁装置8が進退自在に設けられた挿入機(図示略)を連結フランジ23に取付け、作業用仕切弁1の弁体10を開き、弁装置8を流体管2方向に送り出し、連結フランジ23から挿入機を取り外すとともにケース体3のフランジ3bから作業用仕切弁1を取り外し、フランジ3bに弁蓋8aをボルト3bにより締め付け固定する。これで遮断弁装置の設置が終了する。
【実施例2】
【0039】
次に、実施例2に係る作業用仕切弁につき、図9を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0040】
図9に示されるように、作業用仕切弁1’には、弁体10を上側連結筒部22の軸Lに対して直交方向、すなわち、水平方向に補助的に付勢する付勢補助手段50に加えて、軸Lに沿う方向に弁体10を閉方向に補助的に付勢する付勢補助手段70が装着されている。付勢補助手段70は、軸Lに沿う方向に弁体10を押し込んで閉方向に向けて付勢するもので、ガイド部材26の入口フランジ部27に設けられた孔72を通して弁体10の規制部材55を弁体10の閉方向に向けて付勢する押棒71を備え、孔72にはシール用のOリング73が装着され、孔72と押棒71との間をシールしている。
【0041】
作業用仕切弁1’が、図9の紙面の上下方向と同じく上下方向に配置される場合は、弁体10を閉方向に付勢する力としては、弁体10の自重も加わるので、弁体10を上側連結筒部22の軸Lに対して直交方向に向けて水平方向に補助的に付勢する付勢補助手段50だけでも弁体10を閉位置まで押し込むことが可能な場合が多いが、例えば、作業用仕切弁1が上下方向ではなく水平方向に配置される場合、あるいは、作業用仕切弁1’が大型の場合等においては、付勢補助手段50だけで弁体10を閉位置まで押し込むことが困難なことがある。そのような場合には、並行部Yの元部側にも弁体10を閉方向に付勢する付勢補助手段70を設ければ、弁体10を閉位置まで押し込むことが確実になる。
【0042】
尚、押棒71の押し出しストロークは弁体10の開位置から閉位置へのストロークと略等しいが、できるだけ小スペースでも弁体10の付勢作業が可能なように、押棒71を長手方向に適宜分割し、ネジ結合により延長できる構成としてもよい。
【0043】
また、作業用仕切弁1’が設置される箇所の軸Lに直交する方向のスペースが作業用仕切弁1’自体の設置スペースしかとれないような狭隘な場所においては、軸Lに対して直交方向に向けて水平方向に補助的に付勢する付勢補助手段50を取り付けることなく、軸Lに沿う方向に弁体10を補助的に付勢する付勢補助手段70だけ取り付け、弁体10を閉位置に向け付勢するようにしてもよい。尚、上記した軸Lに対して直交方向に付勢する付勢補助手段50、及び軸Lに沿う方向に付勢する付勢補助手段70をいずれも設けるようにしても構わない。
【0044】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0045】
例えば、前記実施例では、弁体10を閉方向に向けて補助的に付勢する付勢補助手段50及び70に長さ方向に適宜分割され、ネジ結合により延長できる構成の押棒を用いているが、テレスコープ的に伸縮可能な棒状部材を採用してもよく、更に、空気圧などの流体圧で弁体10を閉方向に向けて付勢するようにしてもよい。
【0046】
また、前記実施例では、弁体10を開閉駆動するところのガイド手段24に沿って出入可能な動力伝達手段60としてワイヤーを用いているが、1方向にのみ折れ曲がりが可能なように長手方向に複数の部材がリンク結合されて構成された屈折部材を採用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1、1’ 作業用仕切弁
2 流体管
3 ケース体
6 穿孔機
8 弁装置
10 弁体
20 弁ケース
21 環状当り部
22 上側連結筒部
24 ガイド手段
30 可撓シート状体
31 支持部材
32 支持要素
35 突出部
36 移動部材
37 ガイドレール
38 車輪支持部材
39 車輪
42 弁座
45,46 シール補助部材
50,70 付勢補助手段
55 規制部材
60 動力伝達手段
61 ワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸に対して直交方向に移動自在な弁体と、該弁体を閉位置と開位置とにわたってガイドするガイド手段と、前記弁体を移動操作する弁操作手段とを備えた作業用仕切弁であって、
前記弁体は、密封性を有する可撓シート状体と、該可撓シート状体を接触支持する支持部材とから形成され、該支持部材は前記弁体の移動方向と直交する方向に複数の支持要素に分割され、該複数の支持要素は相互に回動自在にリンク結合され、
前記ガイド手段は、管軸に対して直交方向に延びる直交部と、管軸に沿う方向に延びる並行部と、前記直交部及び並行部を滑らかに接続する円弧部とから形成されており、
前記弁操作手段は、前記弁体を前記ガイド手段に沿って出入可能な動力伝達手段を有していることを特徴とする作業用仕切弁。
【請求項2】
前記弁体の閉状態において該弁体を弁座方向に押圧するためのシール補助部材が、前記ガイド手段の直交部の底面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業用仕切弁。
【請求項3】
前記支持部材に、前記可撓シート状体を支持する側と反対の側への回動を規制する規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の作業用仕切弁。
【請求項4】
前記ガイド手段の直交部の両側にガイドレールが設けられるとともに、前記支持部材の両側に前記ガイドレール上を移動する移動部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の作業用仕切弁。
【請求項5】
前記弁体を閉方向に向けて補助的に付勢する付勢補助手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の作業用仕切弁。
【請求項6】
前記可撓シート状体が板状のゴム部材から構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の作業用仕切弁。
【請求項7】
前記動力伝達手段がワイヤーから構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の作業用仕切弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92220(P2013−92220A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235434(P2011−235434)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】