説明

作業管理システム及び作業管理方法

【課題】特定の資格やスキルを必要とする作業が不適格な作業者によって実行されることを確実に抑止できる作業管理システム及び作業管理方法を提供する。
【解決手段】個々の作業者を識別する作業者識別手段と、作業者が着手しようとしている作業内容を識別する作業内容識別手段と、作業者に作業内容の詳細を指示する作業詳細指示画面を表示する表示手段とを備えた作業指示用端末と、作業内容の実行に必要不可欠な情報を含む詳細指示画面の表示データを送信する作業管理サーバとを備え、作業管理サーバは、各作業内容を実行する作業者に必要とされる資格やスキルと、作業者が保有している資格やスキルとの両者を照合することによって、当該作業内容の実行可否を判定し、実行不可と判定した場合は該当する作業詳細指示画面を作業指示用端末に送信しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場における作業品質を確保するための作業管理システム及び作業管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の資格や所定レベル以上のスキルを要する作業を含んで製品が製造される工場においては、当該作業の作業品質が最終製品の品質に大きく影響することから、各作業員が有する資格やスキルに応じて作業を割り当てることで、作業品質を確保している。
【0003】
ところが、実際には、何らかの理由で作業を割り当てられた作業員がその作業を実行できずに、代替者が作業を行うこともある。そのような場合においても、必要な資格やスキルをもたない作業者が作業に着手しないようにするための従来技術として、例えば、特許文献1や特許文献2には、作業者が作業に着手するときに、事前にその作業者が保有している資格やスキルをチェックして、不適格な作業者には作業を中止するよう警告を発する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−78275号公報
【特許文献2】特開2008−59116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら従来技術では、作業の実行に必要な情報がマニュアルや作業指示書など別ルートで提供されていたため、代替者が作業中止の警告を見逃したり、意図的に警告を無視したりした場合などに、強制的に作業を中止させることができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、特定の資格やスキルを必要とする作業が不適格な作業者によって実行されることを確実に抑止できる作業管理システム及び作業管理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の作業管理システムは、作業者が所持する媒体の情報または作業者の生体情報を読み取ることにより個々の作業者を識別する作業者識別手段と、作業内容に対応付けられた媒体の情報を読み取ることにより前記作業者が着手しようとしている作業内容を識別する作業内容識別手段と、前記作業者に作業内容の詳細を指示する作業詳細指示画面を表示する表示手段とを備えた作業指示用端末と、前記作業者識別手段と前記作業内容識別手段との識別の結果に基づいて、前記作業者に作業の実行を指示する作業指示用端末に前記作業内容の実行に必要な情報を含む前記作業詳細指示画面の表示データを送信する作業管理サーバとを備えた作業管理システムであって、前記作業内容を実行する前記作業者に必要とされる資格やスキルを記憶する必要資格記憶手段と、前記作業者が保有している資格やスキルを記憶する保有資格記憶手段とを備え、前記作業管理サーバは、前記作業内容識別手段によって識別される前記作業内容に必要とされる資格やスキルを前記必要資格記憶手段から取得するとともに、前記作業者識別手段によって識別される前記作業者が保有している資格やスキルを前記保有資格記憶手段から取得して、その両者を照合することによって当該作業内容の実行可否を判定し、実行可と判定した場合に該当する前記作業詳細指示画面を前記作業指示用端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定の資格やスキルを必要とする作業が不適格な作業者によって実行されることを確実に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第一実施形態に係る作業管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】無線タグ付き作業指示伝票(タグ付き伝票)の例である。
【図3】必要資格DBに登録されるレコードとテーブルの構成例である。
【図4】保有資格DBに登録されるテーブルの構成例である。
【図5】作業詳細指示画面の表示例である。
【図6】警告画面の部分表示例である。
【図7】作業指示用端末の動作の概略を示したフローチャートである。
【図8】作業管理サーバの動作の概略を示したフローチャートである。
【図9】第二実施形態に係る作業管理システムの全体構成例を示すブロック図である。
【図10】入退室と在席とに係る不整合チェックの内容を示したテーブルである。
【図11】搬入出と作業とに係る不整合チェックの内容を示したテーブルである。
【図12】入退室監視テーブルの構成例である。
【図13】在席監視テーブルの構成例である。
【図14】搬入出監視テーブルの構成例である。
【図15】作業監視テーブルの構成例である。
【図16】履歴監視サーバの動作の概略を示したフローチャートである。
【図17】不整合チェックサブルーチンの処理フローチャートである。
【図18】警告タイマチェックサブルーチンの処理フローチャートである。
【図19】個人ID不正警告画面の部分表示例である。
【図20】部品不足警告画面の部分表示例である。
【図21】管理者向け警告メッセージの出力例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好適な形態につき、適宜図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る作業管理システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、作業管理システムSは、生産管理サーバ1と、作業管理サーバ2と、人事DB(Database)サーバ3と、作業指示用端末4とが、LAN(Local Area Network)5によって相互に接続されて構成されている。生産管理サーバ1、作業管理サーバ2、及び人事DBサーバ3は、それぞれのコンピュータが所定のプログラムを実行することによって、その機能が具現化される。
【0012】
生産現場の各作業ステーションに1台ずつ設置される作業指示用端末4は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、制御部41と、無線タグリーダ42と、キーボードやマウスなどの入力部43と、液晶ディスプレイなどの表示部44とを備える。
【0013】
制御部41は、不図示のハードディスクなどに格納されているプログラムを、不図示のCPUがメモリにロードして実行することによって、装置全体を制御するとともに作業指示用端末4としての各種機能を具現化するものであり、ID取得部411と表示制御部412との機能を備える。
【0014】
無線タグリーダ42は、所定の読取り領域内に挿入された個人ID(Identification)カード6や無線タグ付き作業指示伝票(以下、「タグ付き伝票」とも略記。)7(図2参照)の識別情報を読み取り、それらをID取得部411に引き渡す。ID取得部411は、無線タグリーダ42から引き渡されたそれらの識別情報を作業管理サーバ2に送信する。表示制御部412は、作業管理サーバ2から受信した表示データを表示部44に画面表示させる。
【0015】
生産管理サーバ1は、生産計画に基づいて毎日の作業計画を作業前までに作成し、作成した作業計画を実施するために必要なタグ付き伝票7を不図示の伝票プリンタから発行する。また、生産管理サーバ1が備える必要資格記憶手段としての必要資格DBには、それぞれの作業を実行する作業者に要求される資格(スキルレベルの認定を含む。)の情報が登録されている。
【0016】
人事DBサーバ3は、在籍するすべての従業員の人事情報を管理する。人事DBサーバ3が備える保有資格記憶手段としての保有資格DBには、在籍するすべての従業員について、個人別に保有している資格が登録されている。
【0017】
作業管理サーバ2は、図形や画像や文字情報などによって各種作業の詳細を指示する画面が多数登録された作業詳細指示DBを備えており、作業指示用端末4にて検出された個人IDカード6とタグ付き伝票7との識別情報に基づいて、作業詳細指示DBから必要な画面の情報を取得し送信することによって、作業指示用端末4の表示部44に作業詳細指示画面81(図5参照)を表示させ、作業の進行を制御する。
【0018】
作業管理サーバ2が備える作業可否判定部21は、作業指示用端末4にて検出されたタグ付き伝票7に対応して着手しようとしている作業に要求される資格を生産管理サーバ1から取得するとともに、作業指示用端末4にて検出された個人IDカード6に対応する作業者が保有している資格を人事DBサーバ3から取得して、両者を照合することによって、当該作業者による作業の可否を判定し、「作業不可」と判定した場合には、作業指示用端末4の表示部44に、作業詳細指示画面81ではなく、作業禁止である旨を示す警告画面82(図6参照)を表示させる。それによって、必要な資格を有さない作業者による作業の着手を禁止する。
【0019】
また、作業管理サーバ2が備える作業詳細送信部22は、作業可否判定部21によって「作業可」と判定された場合に、当該作業を進行させるために必要な作業詳細指示画面81の表示データを作業詳細指示DBから取得し、作業の進行に応じて順次作業指示用端末4に送信する。
【0020】
以下、作業管理システムSの動作をより詳しく説明する。
図2は、無線タグ付き作業指示伝票(タグ付き伝票)7の例を示したものである。図2に示すように、タグ付き伝票7の作業指示データ印字欄71には、作業指示ID、作業ステーションID、着手予定日時、完了予定日時、作業予定者名などのデータが印字されている。しかし、これらのデータからはどのような作業を行うのかが不明なため、作業に着手することは不可能である。
【0021】
また、作業指示データ印字欄71の下部には、それぞれのタグ付き伝票7を識別するための識別情報(タグID)が記録された無線タグ(作業指示タグ)72が搭載されている。この無線タグ72は、読取り専用型、追記可能型、書換え可能型のいずれでもよい。
【0022】
図3は、生産管理サーバ1が備える必要資格DBに登録されるレコードとテーブルの構成例である。図3に示すように、必要資格DBには、作業指示IDインデクスレコード11と、作業リストテーブル12と、必要資格登録テーブル13とが登録される。
【0023】
図3(a)に示す作業指示IDインデクスレコード11は、作業指示ID、タグID、要求レベル、標準作業時間、ステップ数、リンク情報などの各欄からなり、タグ付き伝票7と1対1に対応付けられて複数登録される。
【0024】
作業指示IDには、この作業指示を識別するための識別情報(例えば、「Wxxxx123」)が格納される。タグIDには、この作業指示に対応して発行されたタグ付き伝票7の無線タグ(作業指示タグ)72の識別情報(例えば、「Txxxxxx)が格納される。要求レベルには、この作業指示によって実行される作業に要求される作業レベル(例えば、「レベル2」)が格納される。ここでは、作業レベルは「レベル1」から「レベル3」までの3段階があり、「レベル1」が最も作業品質が低く、「レベル3」が最も作業品質が高いものとするが、もっと細かく設定してもよい。標準作業時間には、この作業指示によって実行される作業に要する標準的な作業時間(例えば、「35分」)が格納される。ステップ数には、この作業指示によって実行される作業を構成するステップの数(例えば、「5」)が格納される。リンク情報には、それらのステップの詳細情報が格納される作業リストテーブル12へのリンクデータ(アドレスポインタ)が格納される。
【0025】
図3(b)に示す作業リストテーブル12には、ステップNo.、作業区分ID、作業詳細指示IDからなるレコードが、作業を構成する各ステップに1対1に対応して登録される。
【0026】
ステップNo.には、各ステップの一連番号が格納される。作業区分IDには、対応するステップで実行される作業に必要な資格を区分けする識別情報(例えば、「C31」)が格納される。図3(b)の例では、ステップNo.1,4,5の3つのステップが、いずれも「C31」で同一の作業区分に区分けされている。作業詳細指示IDには、作業詳細指示DBから作業詳細指示画面81の表示データを取得するための識別情報(例えば、「Ixxxxxa」)が格納される。この作業リストテーブル12のデータは、作業管理サーバ2に送信され、作業の進行の制御に使用される。
【0027】
図3(c)に示す必要資格登録テーブル13には、作業区分ID、必要資格、レベル1、レベル2、レベル3の各欄からなるレコードが、前記の作業区分IDのそれぞれに1対1に対応して登録される。
【0028】
作業区分IDには、作業に必要な資格を区分けする識別情報(例えば、「C31」)が格納される。必要資格には、その作業区分の作業に要求される資格が格納される。レベル1〜レベル3には、その作業区分の作業に対する要求レベルに対応する必要な資格の保有期間が格納される。図3(c)の例では、作業区分IDが「C31」の作業には「Q3A」なる資格が必要であり、作業指示IDインデクスレコード11内の要求レベルの値に応じて、その保有期間はそれぞれ「制限なし」、「6月以上」、「1年以上」であることが必要であり、同様に、作業区分IDが「C33」の作業については、「Q3C」なる資格の保有期間が、要求レベルの値に応じてそれぞれ「6月以上」、「2年以上」、「5年以上」必要となっている。
【0029】
生産管理サーバ1は、作業管理サーバ2によって指定されたタグIDに対応する作業指示IDインデクスレコード11を検索し、そのリンク情報から該当する作業リストテーブル12を読み出して各ステップの作業区分IDを取得したのち、必要資格登録テーブル13を参照して、必要な資格と、作業指示IDインデクスレコード11内の要求レベルの値に応じた必要な保有期間とを取得する。例えば、図3(a)と図3(b)とに対応する作業であれば、要求レベルの値が「レベル2」であるので、必要資格及び保有期間として、「Q3A」:6月以上、「Q3B」:1年以上、「Q3C」:2年以上、の3つが取得される。
【0030】
図4は、人事DBサーバ3が備える保有資格DBに登録されるテーブルの構成例である。図4に示すように、個人別保有資格テーブル31には、個人ID、保有資格、取得日の各欄からなるレコードが、在籍するすべての従業員が保有する個々の資格に1対1に対応して登録される。
【0031】
個人IDには、個人IDカード6にも格納される従業員の識別情報(例えば、「Exxxx36」)が格納され、保有資格には、その従業員が保有している資格(例えば、「Q3A」)が格納され、取得日には、その資格の取得年月日(例えば、「20x1.09.30」)が格納される。これらのレコードは個人IDの昇順にソートされ、同じ従業員が複数の資格を保有している場合は、対応する複数のレコードが登録され、1つも資格を保有していない従業員については、保有資格と取得日とがいずれも「−」であるレコードが登録される。この個人別保有資格テーブル31のデータは、できるだけ最新の状況が反映されるように、定期的にメンテナンスが行われるものとする。
【0032】
人事DBサーバ3は、作業管理サーバ2によって指定された個人IDをキーとしてこの個人別保有資格テーブル31を検索し、当該従業員が保有している資格及びその取得日を取得する。例えば、図4のようなデータであれば、個人IDが「Exxxx36」の従業員の保有資格及びその取得日として、「Q3A」:20x1年9月30日、「Q3B」:20x3年4月30日、「Q3C」:20x6年7月21日、の3つが取得され、個人IDが「Exxxx37」の従業員の保有資格として「−」、つまり、資格を保有していないことが取得される。
【0033】
図5は、作業を進行するときに作業指示用端末4の表示部44に表示される作業詳細指示画面81の表示例である。図5に示すように、作業詳細指示画面81は、実行すべき作業についてのデータを表示する作業データ表示部811と、図形、画像、文字などによって作業の詳細内容を指示する作業内容表示部812とから構成される。
【0034】
作業データ表示部811には、作業指示ID(例えば、「Wxxxx123」)、作業ステーションID(例えば、「STxx34」)、作業予定者名(例えば、「○○課○○○○」)、要求レベル(例えば、「レベル2」)などのデータが表示される。また、作業内容表示部812の上部の進行状況表示欄813には、現在作業中のステップが全ステップのうちの何番目かを示す情報(例えば、「3/5」)、この作業の開始時刻(例えば、「09:28」)、作業を開始してからの経過時間(例えば、「12分50秒」)が表示される。
【0035】
作業者は、このような画面による指示にしたがって各ステップの作業を実行し、ステップの作業が完了した時点でキーボードなどから「完了」操作を行うと、作業内容表示部812には次のステップの詳細内容が表示され、この手順を繰り返すことによって作業が進行していく。
【0036】
図6は、作業者が要求される資格を保有していないときに作業指示用端末4の表示部44に表示される警告画面82の部分表示例である。図6に示すように、警告画面82では、前記の作業詳細指示画面81の作業内容表示部812の部分が警告表示部821となっており、そこには、必要な資格がない旨を示すメッセージなどが表示される。図6の例には、この作業を実行するためには、資格「Q3A」を6月以上、資格「Q3B」を1年以上、資格「Q3C」を2年以上保有していることが必要であることが示されている。
【0037】
図7は、作業指示用端末4の動作の概略を示したフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って作業指示用端末4の動作の概略を説明する。
【0038】
まず始めに、ステップS701にて、ID取得部411(図1参照)は、無線タグリーダ42が個人IDカード6を検出しているか否かを判定し、検出していれば(ステップS701で「Yes」)、ステップS702にて、無線タグリーダ42が読み取った個人IDを含む個人ID検出情報を作業管理サーバ2に送信し、検出していなければ(ステップS701で「No」)、ステップS703にて、個人ID未検出情報を作業管理サーバ2に送信する。
【0039】
次に、ステップS704にて、ID取得部411は、無線タグリーダ42が作業指示タグ72(図2参照)を検出しているか否かを判定し、検出していれば(ステップS704で「Yes」)、ステップS705にて、無線タグリーダ42が読み取ったタグIDを含む作業指示タグ検出情報を作業管理サーバ2に送信し、検出していなければ(ステップS704で「No」)、ステップS706にて、作業指示タグ未検出情報を作業管理サーバ2に送信する。
【0040】
次に、ステップS707にて、表示制御部412(図1参照)は、作業管理サーバ2から表示データを受信したか否かを判定し、受信していれば(ステップS707で「Yes」)、ステップS708にて、受信した表示データを表示部44の画面に表示させ、受信していなければ(ステップS707で「No」)、ステップS709に処理を進める。
【0041】
次に、ステップS709にて、制御部41(図1参照)は、入力部43からの入力データを検出したか否かを判定し、検出していれば(ステップS709で「Yes」)、ステップS710にて、入力部43から入力された入力データを作業管理サーバ2に送信したのちにステップS701に処理を戻し、検出していなければ(ステップS709で「No」)、ステップS701に処理を戻して、前記の処理を繰り返す。
【0042】
図8は、作業管理サーバ2の動作のうち、ある1台の作業指示用端末4に関する動作の概略を示したフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って作業管理サーバ2の動作の概略を説明する。
【0043】
まず始めに、ステップS801にて、作業管理サーバ2は、例えば、個人IDカード6とタグ付き伝票7とを読取り領域内に挿入するよう作業者に促す不図示の初期画面の表示データを作業指示用端末4に送信する。それにより、作業指示用端末4の表示部44には、その初期画面が表示される。
【0044】
次に、ステップS802にて、作業管理サーバ2は、作業指示用端末4から作業指示タグ未検出情報が送信されていて作業指示IDを取得済みでなければ、作業指示用端末4から作業指示タグ検出情報が送信されるのを待ち(ステップS802で「No」)、作業指示用端末4から作業指示タグ検出情報が送信され、それによって通知されるタグIDに基づいて生産管理サーバ1から作業指示IDを取得済みであれば(ステップS802で「Yes」)、ステップS803に処理を進める。
【0045】
ステップS803では、生産管理サーバ1から作業指示IDを取得したときに同時に送信される作業指示IDインデクスレコード11(図3(a)参照)のデータから作業指示概略画面(図5の作業データ表示部811だけからなる不図示の画面)の表示データを生成し、作業指示用端末4に送信する。それにより、作業指示用端末4の表示部44には、その作業指示概略画面が表示される。
【0046】
次に、ステップS804にて、作業管理サーバ2は、作業指示用端末4から個人ID未検出情報が送信されていて作業者の個人IDを取得済みでなければ、作業指示用端末4から個人ID検出情報が送信されるのを待ち(ステップS804で「No」)、作業指示用端末4から個人ID検出情報が送信され、それによって通知される個人IDを取得済みであれば(ステップS804で「Yes」)、ステップS805に処理を進める。
【0047】
ステップS805では、作業管理サーバ2の作業可否判定部21(図1参照)は、取得した作業指示IDを指定してその作業に必要な資格及びその保有期間を生産管理サーバ1から取得する。このとき、生産管理サーバ1は、指定された作業指示ID(例えば、「Wxxxx123」)に該当する作業指示IDインデクスレコード11(図3(a))から要求レベル(例えば、「レベル2」)を取得し、同レコードのリンク情報によってリンクされた作業リストテーブル12(図3(b))から作業を構成する全ステップの作業区分ID(例えば、「C31」「C32」「C33」)を取得し、必要資格登録テーブル13(図3(c))から該当する作業区分IDと要求レベルの値に対応する必要資格及び保有期間(例えば、「Q3A」:6月以上、「Q3B」:1年以上、「Q3C」:2年以上)を取得して、作業管理サーバ2に送信する。
【0048】
次に、ステップS806にて、作業可否判定部21は、取得した個人IDを指定してその作業者が保有している資格及びその取得日を人事DBサーバ3から取得する。このとき、人事DBサーバ3は、個人別保有資格テーブル31(図4)から、指定された個人ID(例えば、「Exxxx36」)に該当するレコードをすべて検索して、該当する保有資格及びその取得日(例えば、「Q3A」:20x1.09.30、「Q3B」:20x3.04.30、「Q3C」:20x6.07.21)を取得し、作業管理サーバ2に送信する。
【0049】
次に、ステップS807にて、作業可否判定部21は、取得したすべての必要資格及び保有期間と、取得した保有資格及び取得日とを照合することによって、当該作業者は資格についての要求を満たすか否かを判定し、要求を満たすときは(ステップS807で「Yes」)、ステップS812に処理を進め、要求を満たさないときは(ステップS807で「No」)、ステップS808に処理を進める。
【0050】
ステップS808では、作業可否判定部21は、前記の警告画面82(図6)の表示データを生成して作業指示用端末4に送信し、次に、ステップS809にて、作業指示用端末4から送信される選択入力の判定を行う。選択入力が「作業認可」のときは(ステップS809で「作業認可」)、ステップS810にて、上長等の第三者による承認を要求し、承認OKであれば(ステップS811で「Yes」)、ステップS812に処理を進める。また、承認OKでなければ(ステップS811で「No」)、ステップS801に処理を戻す。また、選択入力が「作業中止」のときも(ステップS809で「作業中止」)、同様にステップS801に処理を戻す(当該作業を中止する)。
【0051】
ステップS812にて、作業詳細送信部22(図1参照)は、生産管理サーバ1から当該作業を構成する全ステップの作業詳細指示IDのリスト(作業リストテーブル12(図3(b)の作業詳細指示ID欄のデータからなるリスト)を取得する。続くステップS813及びステップ814にて、作業詳細送信部22は、取得した作業詳細指示IDリストの先頭から順番に、該当するステップの作業内容表示部812(図5)の画面データを作業詳細指示DBから取得して表示データを生成し、作業指示用端末4に順次送信することによって作業を進行させ(ステップS814で「No」)、作業が完了したら(ステップS814で「Yes」)、ステップS801に処理を戻して、次の作業について同様の動作を繰り返す。
【0052】
なお、一連の作業が完了したのち、次の作業に着手する前には、読取り領域内に挿入されたタグ付き伝票7が読取り領域から除去されたことを確認する必要があるが、図8のフローチャートでは簡略化のためその部分は省略している。また、作業の途中で作業者が交代したり、作業が中断されたりする場合についても同様に省略している。
【0053】
以上説明したように、第一実施形態の作業管理システムSによれば、作業者が作業に着手しようとしたときに、その作業者が保有している資格がチェックされ、資格が不適格な場合には作業の詳細内容の指示が行われない。それにより、特定の資格を必要とする作業が、資格をもたない不適格な作業者によって実行されることを、確実に抑止できる。
【0054】
<第二実施形態>
図9は、第二実施形態に係る作業管理システムの全体構成例を示すブロック図である。図9に示すように、作業管理システムS1は、生産管理サーバ1と、作業管理サーバ2と、人事DBサーバ3と、入退室管理サーバ91と、履歴監視サーバ92と、作業指示用端末4と、ドア開閉制御装置93と、ゲートリーダ94とが、LAN5によって相互に接続可能に構成されている。
【0055】
生産管理サーバ1と、作業管理サーバ2と、人事DBサーバ3と、作業指示用端末4とは、前記の第一実施形態(図1)と同様に、作業に必要な資格と作業者が保有している資格とを照合することにより、不適格な作業者によって作業が実行されることを抑止しつつ、作業の進行を制御する。
【0056】
筐体製造、ユニット製造、組立ての各々の作業を行う3つの作業エリアWA1,WA2,WA3には、それぞれ2つの作業ステーションSTが設置され、各作業ステーションSTには、それぞれ1台ずつ作業指示用端末4が設置されている。また、各作業エリアWA1,WA2,WA3には、部品などの搬入を行うための搬入口95と完成品を搬出するための搬出口96とが設けられ、それらすべての扉の開閉の制御を行うドア開閉制御装置93と、ゲートから搬入または搬出される物品に貼付されている無線タグを読み取るゲートリーダ94とが、各搬入口95と搬出口96とに設置されている。
【0057】
ドア開閉制御装置93は、各人が所持している個人IDカード6から読み取った個人IDを入退室管理サーバ91に送信し、入退室管理サーバ91の指示にしたがって扉の開閉を制御する。また、ゲートリーダ94は、ゲートを通過した物品から検出したすべての無線タグのタグIDを読み取り、それらを作業管理サーバ2に送信する。
【0058】
入退室管理サーバ91は、各作業エリアWA1,WA2,WA3への入室許可条件が登録された入室許可DBを保有しており、搬入口95に設置されたドア開閉制御装置93から受信した個人IDについて該当作業エリアWA1,WA2,WA3への入室の可否を判定し、当該ドア開閉制御装置93に扉の開閉を指示する。また、入退室管理サーバ91は、搬出口96に設置されたドア開閉制御装置93から受信した個人IDについては入室履歴を確認して、当該ドア開閉制御装置93に扉の開閉を指示する。
【0059】
履歴監視手段としての履歴監視サーバ92は、入退室監視テーブル921、在席監視テーブル922、搬入出監視テーブル923、及び作業監視テーブル924を記憶部に記憶し、履歴不整合検出部925と警告タイマ監視部926との機能を備える。
【0060】
履歴監視サーバ92には、入退室管理サーバ91から入退室に関するイベントである入室検知及び退室検知イベントが送信され、作業管理サーバ2からそれぞれ在席と搬入出と作業とに関するイベントである着席検知及び離席検知イベントと搬入検知及び搬出検知イベントと作業開始及び作業完了イベントとが送信される。履歴不整合検出部925は、それらのイベント間の不整合を検出する。また、警告タイマ監視部926は、受信したイベントとの対となってのちに受信されるべき次のイベントを受信するまでの時間を監視する。この履歴監視サーバ92の動作の詳細は後記する。
【0061】
図10は、入退室と在席とに係る不整合チェックの内容を示したテーブルである。図10に示すように、(入退室−在席)不整合チェックテーブル927は、縦軸を受信イベントの種類とし、横軸をチェック対象履歴とするマトリクスを構成する。縦軸と横軸との交点の値が「○」となっているものは、対応する履歴が存在していなければならないことを表し、「×」となっているものは、対応する履歴が存在してはならないことを表す。例えば、受信イベントが「退室検知」(退室しようとしている)であるときには、対応する入室履歴が存在していなければならず(「○」印)、また、作業ステーションSTに在席中であることを表す着席履歴は存在してはならない(「×」印)ことを示している。
【0062】
他方、図11は、搬入出と作業とに係る不整合チェックの内容を示したテーブルである。「○」印及び「×」印の意味は前記と同様であり、例えば、受信イベントが「搬出検知」(物品を搬出しようとしている)であるときには、対応する搬入履歴が存在していなければならず(「○」印)、当該物品がまだ作業中であることを表す作業着手履歴は存在してはならない(「×」印)ことを示している。
【0063】
このようなイベント間の不整合を検出するために、履歴監視サーバ92は、記憶部に、入退室監視テーブル921、在席監視テーブル922、搬入出監視テーブル923、及び作業監視テーブル924を記憶する。
【0064】
図12は、入退室監視テーブル921の構成例である。図12に示すように、入退室監視テーブル921には、入室時刻、作業エリアID、個人IDの各欄からなり、それぞれの作業エリアWA1,WA2,WA3に在室中のすべての従業員に1対1に対応する、入室履歴レコードが複数登録される。
【0065】
これらの各レコードは、従業員が個人IDカード6を使って作業エリアWA1,WA2,WA3に入室したときに、搬入口95のドア開閉制御装置93から送信された個人IDと作業エリアIDとを含む入室検知イベントが、入退室管理サーバ91から履歴監視サーバ92に送信され、履歴監視サーバ92がそれを受信した時刻を入室時刻として付加して登録したものである。そして、入室中の従業員が退室するときには、搬出口96のドア開閉制御装置93から送信された個人IDと作業エリアIDとを含む退室検知イベントが、入退室管理サーバ91から履歴監視サーバ92に送信され、対応する入室履歴レコードが入退室監視テーブル921から削除される。
【0066】
それにより、入退室監視テーブル921には、正規の手続きによって各作業エリアWA1,WA2,WA3に入室して在室しているすべての従業員の入室履歴が登録されていることになる。
【0067】
図13は、在席監視テーブル922の構成例である。図13に示すように、在席監視テーブル922には、着席時刻、作業ステーションID、個人IDの各欄からなり、それぞれの作業ステーションSTに在席中の(個人IDカード6を作業指示用端末4の読取り領域内に挿入している)すべての作業者に1対1に対応する着席履歴レコードが複数登録される。
【0068】
これらの各レコードは、作業者が作業指示用端末4の読取り領域内に個人IDカード6を挿入したときに、作業指示用端末4から送信された個人IDと作業ステーションIDとを含む着席検知イベントが、作業管理サーバ2から履歴監視サーバ92に送信され、履歴監視サーバ92がそれを受信した時刻を着席時刻として付加して登録したものである。そして、在席中の作業者が離席するために個人IDカード6を読取り領域内から取り出したときには、個人IDと作業ステーションIDとを含む離席検知イベントが、作業管理サーバ2から履歴監視サーバ92に送信され、対応する着席履歴レコードが在席監視テーブル922から削除される。
【0069】
それにより、在席監視テーブル922には、作業ステーションSTに在席している(個人IDカード6を作業指示用端末4の読取り領域内に挿入している)すべての作業者の着席履歴が登録されていることになる。
【0070】
図14は、搬入出監視テーブル923の構成例である。図14に示すように、搬入出監視テーブル923には、搬入時刻、作業エリアID、物品IDの各欄からなり、それぞれの作業エリアWA1,WA2,WA3に搬入され作業に未着手のすべての物品及び作業に着手された完成品に1対1に対応する搬入履歴レコードが複数登録される。
【0071】
これらの各レコードは、搬入口95から物品が搬入されたときに、対応するゲートリーダ94から送信されたタグIDによって特定される物品の物品IDと作業エリアIDとを含む搬入検知イベントが、作業管理サーバ2から履歴監視サーバ92に送信され、または、複数の部品から完成品を製作する作業に着手したときに、その完成品の物品IDと作業エリアIDとを含む仮想的な搬入検知イベントが、作業管理サーバ2から履歴監視サーバ92に送信されて、履歴監視サーバ92がそれらを受信した時刻を搬入時刻として付加して登録したものである。
【0072】
そして、複数の部品から完成品を製作する作業に着手したときには、それらの部品の物品IDと作業エリアIDとを含む仮想的な搬出検知イベントが、物品(完成品)が搬出口96から搬出されたときには、対応するゲートリーダ94から送信されたタグIDによって特定される物品(完成品)の物品IDと作業エリアIDとを含む搬出検知イベントが、それぞれ作業管理サーバ2から履歴監視サーバ92に送信され、対応する搬入履歴レコードが搬入出監視テーブル923から削除される。
【0073】
それにより、搬入出監視テーブル923には、各作業エリアWA1,WA2,WA3に存在しているすべての作業未着手の部品及び作業着手後の完成品の搬入履歴が登録されていることになる。
【0074】
図15は、作業監視テーブル924の構成例である。図15に示すように、作業監視テーブル924には、着手時刻、作業ステーションID、作業指示IDの各欄からなり、それぞれの作業ステーションSTで作業中のすべての作業に1対1に対応する作業着手履歴レコードが複数登録される。
【0075】
これらの各レコードは、作業が着手されたときに、作業指示IDと作業ステーションIDとを含む作業着手イベントが、作業管理サーバ2から履歴監視サーバ92に送信され、履歴監視サーバ92がそれを受信した時刻を着手時刻として付加して登録したものである。そして、作業が完了したときには、作業指示IDと作業ステーションIDとを含む作業完了イベントが、作業管理サーバ2から履歴監視サーバ92に送信され、対応する作業着手履歴レコードが作業監視テーブル924から削除される。
【0076】
それにより、作業監視テーブル924には、各作業ステーションSTで作業中のすべての作業の作業着手履歴が登録されていることになる。
【0077】
図16は、履歴監視サーバ92の動作の概略を示したフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って履歴監視サーバ92の動作の概略を説明する。
【0078】
まず始めに、ステップS1601にて、イベントの受信を待ち(ステップS1601で「No」)、イベントを受信したら(ステップS1601で「Yes」)、ステップS1602にて、不整合チェックサブルーチンを呼び出すことで不整合のチェックを行う。不整合チェックサブルーチンの動作の詳細については後記する。
【0079】
次に、ステップS1603では、受信したイベントの種類を判定し、それぞれの種類に対応したステップに処理を進める。
【0080】
受信したイベントの種類が「作業着手」であれば(ステップS1603で「作業着手」)、まず、ステップS1604にて、着手した作業に使用されるすべての部品に該当する搬入履歴レコードを、搬入出監視テーブル923から削除し、次に、ステップS1605にて、着手した作業の完成品に対応する仮想的な搬入履歴レコードを、搬入出監視テーブル923に登録し、最後に、ステップS1606にて、当該作業の作業着手履歴レコードを、作業監視テーブル924に登録したのち、ステップS1612に処理を進める。
【0081】
受信したイベントの種類が「退室検知」、「離席検知」、「搬出検知」または「作業完了」の場合の処理はいずれもほぼ同様であり、ステップS1607からステップS1610までの各ステップでは、受信したイベントに対応してそれぞれの監視テーブルに登録されている履歴レコードを削除する。例えば、ステップS1607では、受信した退室検知イベントに含まれる個人IDに該当する入室履歴レコードを、入退室監視テーブル921から削除したのち、ステップS1612に処理を進める。同様に、ステップS1608では、着席履歴レコードを、ステップS1609では、搬入履歴レコードを、ステップS1610では、作業着手履歴レコードを、それぞれ該当する監視テーブル922,923,924から削除する。
【0082】
また、受信したイベントの種類がそれ以外の場合、つまり「入室検知」、「着席検知」または「搬入検知」の場合は(ステップS1603で「その他」)、ステップS1611にて、該当する履歴レコードを生成して対応する監視テーブル921,922,923に登録したのち、ステップS1612に処理を進める。
【0083】
ステップS1612では、警告タイマチェックサブルーチンを呼び出すことで警告タイマのチェックを行ったのち、ステップS1601に処理を戻して前記の処理を繰り返す。警告タイマチェックサブルーチンの動作の詳細については後記する。
【0084】
図17は、履歴不整合検出部925(図9参照)の機能を具現化する不整合チェックサブルーチンの処理フローチャートである。この不整合チェックサブルーチンは、図16のステップS1602にて呼び出される。以下、このフローチャートに沿って不整合チェックサブルーチンの処理内容を詳細に説明する。
【0085】
不整合チェックサブルーチンでは、まず始めに、ステップS1701にて、受信したイベントの種類に対応する不整合チェックテーブル927または928(図10、図11)を参照し、当該受信イベントに対応する「×」印が付されているチェック対象履歴の履歴レコードが、該当する監視テーブル(921〜924のいずれか)に登録されているか否かを判定し、そのような履歴レコードが登録されていれば(ステップS1701で「Yes」)、まず、ステップS1702にて、検出した不整合の内容を含む不整合検出通知を当該受信イベントの送信元サーバ及び不図示の管理者用端末に送信したのち、ステップS1703にて、不図示の不整合検出履歴にその情報を追加登録する。
【0086】
次に、ステップS1704にて、同様に今度は当該受信イベントに対応する「○」印が付されているチェック対象履歴の履歴レコードが、該当する監視テーブル(921〜924のいずれか)に登録されているか否かを判定し、そのような履歴レコードが登録されていなければ(ステップS1704で「No」)、まず、ステップS1705にて、検出した不整合の内容を含む不整合検出通知を当該受信イベントの送信元サーバ及び不図示の管理者用端末に送信したのち、ステップS1706にて、前記の不整合検出履歴にその情報を追加登録する。
【0087】
次に、ステップS1707にて、前記の不整合検出履歴に登録した不整合状態が解消されたか否かを判定し、解消された場合は(ステップS1707で「Yes」)、ステップS1708にて、当該不整合状態が解消されたサーバに不整合解消通知を送信したのち、メインルーチンに処理を戻す。
【0088】
作業管理サーバ2は、以上説明した履歴不整合検出部925の機能によって不整合が検出され、履歴監視サーバ92から不整合検出通知を受信した場合は、受信した不整合の内容を示す警告画面の表示データを生成して送信することにより、該当する作業指示用端末4に警告画面を表示させる。
【0089】
例えば、図19は、入室履歴のない個人IDに対する着席検知イベントが作業管理サーバ2から履歴監視サーバ92に送信され、履歴不整合検出部925によって履歴の不整合が検出されたときに、作業指示用端末4に表示される個人ID不正警告画面83の部分表示例である。この場合、警告表示部821には、この個人IDは入室記録がないので不正である旨が表示される。その後は、追加の入室登録を行う「入室登録」と、他の作業者と交代する「個人ID変更」と、作業を中止する「作業中止」とのうちのいずれかを選択して不整合状態を解消することになる。
【0090】
また、図20は、未搬入部品がある作業に対する作業着手イベントが作業管理サーバ2から履歴監視サーバ92に送信されたときに検出された不整合について表示される、部品不足警告画面84の部分表示例である。この場合、警告表示部821には、この作業は部品不足のため着手できない旨が表示される。その後は、部品の追加登録を行う「部品追加登録」か、作業を中止する「作業中止」かのどちらかを選択して不整合状態を解消することになる。
【0091】
図18は、警告タイマ監視部926(図9参照)の機能を具現化する警告タイマチェックサブルーチンの処理フローチャートである。この警告タイマチェックサブルーチンは、図16のステップS1612にて呼び出される。以下、このフローチャートに沿って警告タイマチェックサブルーチンの処理内容を詳細に説明する。
【0092】
警告タイマチェックサブルーチンでは、まず、ステップS1801〜ステップS1806にて、不図示の監視対象イベントテーブルに記録される各受信イベントの受信時刻と現在時刻とを比較することによって、それぞれの警告タイマのチェックを行う。この監視対象イベントテーブルには、それぞれの受信イベントを受信したときに、警告タイマの監視が必要であればその受信イベントが登録され、また、監視が不要となったイベントが削除されることにより、その時点で監視が必要なイベントのみが登録されている。
【0093】
ステップS1801の着席タイマチェックでは、各作業者の入室時刻から最初に着席検知イベントが受信されるまでの時間が所定値(例えば、5分)を超えた場合、あるいは、各作業者の最後の離席時刻から次の着席検知イベントが受信されるまでの時間が、所定値(例えば、3分)を超えた場合に、着席タイマのタイムアウトを検出する。
【0094】
ステップS1802の離席タイマチェックでは、各作業者の最後の作業完了時刻から次の離席検知イベントまたは作業着手イベントが受信されるまでの時間が、所定値(例えば、2分)を超えた場合に、離席タイマのタイムアウトを検出する。
【0095】
ステップS1803の退室タイマチェックでは、各作業者の最後の離席時刻から退室検知イベントが受信されるまでの時間が、所定値(例えば、5分)を超えた場合に、退室タイマのタイムアウトを検出する。
【0096】
ステップS1804の作業着手タイマチェックでは、各作業に着手するために必要な部品の最後の搬入時刻からその作業の作業着手イベントが受信されるまでの時間が、所定値(例えば、60分)を超えた場合に、作業着手タイマのタイムアウトを検出する。
【0097】
ステップS1805の作業完了タイマチェックでは、各作業の着手時刻からその作業の作業完了イベントが受信されるまでの時間が、標準作業時間(図3(a)参照)を大幅に超えた(例えば、標準作業時間の2倍の時間が経過した)場合に、作業完了タイマのタイムアウトを検出する。
【0098】
ステップS1806の搬出タイマチェックでは、各作業の完了時刻からその作業によって完成した物品の搬出検知イベントが受信されるまでの時間が、所定値(例えば、30分)を超えた場合に、搬出タイマのタイムアウトを検出する。
【0099】
次に、ステップS1807にて、前記いずれかのステップにてタイムアウトを検出したか否かを判定し、タイムアウトを検出した場合は(ステップS1807で「Yes」)、まず、ステップS1808にて、検出したタイムアウトの内容を含むタイムアウト検出通知を不図示の管理者用端末に送信し、次に、ステップS1809にて、不図示のタイムアウト検出履歴にその情報を追加登録したのち、メインルーチンに処理を戻す。タイムアウトを検出しなかった場合は(ステップS1807で「No」)、そのままメインルーチンに処理を戻す。
【0100】
履歴監視サーバ92は、以上説明した警告タイマ監視部926の機能によって警告タイマのタイムアウトを検出し、不図示の管理者用端末に各種のタイムアウト検出通知を送信する。
【0101】
図21は、履歴監視サーバ92から前記管理者用端末に送信される不整合検出通知及びタイムアウト検出通知に基づいて提示可能な、管理者向け警告メッセージの出力例である。図21に示すような警告メッセージによって、管理者は、個人IDが不正に利用されたことや、作業時間が許容値を超えていることなど、発生している異常状態に関するさまざまな情報をリアルタイムに入手することが可能となる。
【0102】
以上説明したように、第二実施形態の作業管理システムS1によれば、特定の資格を必要とする作業が、資格をもたない不適格な作業者によって実行されることを抑止できるという第一実施形態の効果に加えて、作業者や物品の動きに関する履歴の不整合を検出することにより、個人IDの不正利用や不適切な手順による作業の実行をも抑止することができる。さらに、作業や物品に関して発生している異常状態を検出して、管理者にリアルタイムに情報を提示することが可能となる。
【0103】
以上にて実施形態の説明を終えるが、本発明の実施の態様はこれに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、個々の作業者を識別する手段は、個人IDカード6に限らず、例えば、指紋や指静脈などの作業者の生体情報を読み取ることによって作業者を識別するようにしてもよい。
【0104】
なお、第一実施形態に係る作業管理システムSにおける作業管理方法は、作業者が所持する媒体の情報または作業者の生体情報を読み取ることにより個々の作業者を識別する作業者識別手段と、作業内容に対応付けられた媒体の情報を読み取ることにより前記作業者が着手しようとしている作業内容を識別する作業内容識別手段と、前記作業者に作業内容の詳細を指示する作業詳細指示画面を表示する表示手段とを備えた作業指示用端末と、前記作業者識別手段と前記作業内容識別手段との識別の結果に基づいて、前記作業者に作業の実行を指示する作業指示用端末に前記作業内容の実行に必要な情報を含む詳細指示画面の表示データを送信する作業管理サーバとを備えた作業管理システムにおける作業管理方法であって、前記作業管理サーバが、前記作業内容を実行する前記作業者に必要とされる資格やスキルを記憶する必要資格記憶手段から、前記作業内容識別手段によって識別される前記作業内容に必要とされる資格やスキルを取得する第一のステップ(図8のステップS805に相当)と、前記作業管理サーバが、前記作業者が保有している資格やスキルを記憶する保有資格記憶手段から、前記作業者識別手段によって識別される前記作業者が保有している資格やスキルを取得する第二のステップ(図8のステップS806に相当)と、前記作業管理サーバが、その両者を照合することによって当該作業内容の実行可否を判定し、実行可と判定した場合に該当する前記作業詳細指示画面を前記作業指示用端末に送信する第三のステップ(図8のステップS813に相当)とを備える。
【0105】
また、第二実施形態に係る作業管理システムS1における作業管理方法は、作業者が所持する媒体の情報または作業者の生体情報を読み取ることにより個々の作業者を識別する作業者識別手段と、作業内容に対応付けられた媒体の情報を読み取ることにより前記作業者が着手しようとしている作業内容を識別する作業内容識別手段と、前記作業者に作業内容の詳細を指示する作業詳細指示画面を表示する表示手段とを備えた作業指示用端末と、前記作業者識別手段と前記作業内容識別手段との識別の結果に基づいて、前記作業者に作業の実行を指示する作業指示用端末に前記作業内容の実行に必要な情報を含む詳細指示画面の表示データを送信する作業管理サーバと、前記作業員の作業エリアへの入室及び前記作業エリアからの退室履歴と、前記作業エリア内に設置される作業ステーションへの前記作業員の着席及び前記作業ステーションからの離席履歴と、前記作業ステーションにおける前記作業内容の着手及び完了履歴と、前記作業エリアへの前記作業内容に使用される物品の搬入及び前記作業エリアからの前記作業内容によって製造された物品の搬出履歴との少なくとも1つと、前記作業員の前記作業エリアへの入室、前記作業エリアからの退室、前記作業ステーションへの着席、前記作業ステーションからの離席、前記作業ステーションにおける前記作業内容の着手もしくは完了、前記作業エリアへの前記物品の搬入、または、前記作業エリアからの前記物品の搬出を検知したそれぞれのイベントとの不整合を検出する履歴監視手段とを備えた作業管理システムにおける作業管理方法であって、前記作業管理サーバが、自身が検知したイベントに対して前記履歴監視手段によって前記不整合が検出された場合は、前記作業詳細指示画面を前記作業指示用端末に送信しない第四のステップ(図19や図20のような警告画面を作業指示用端末4に表示させる処理に該当)
を備える。
【符号の説明】
【0106】
S,S1 作業管理システム
ST 作業ステーション
WA1,WA2,WA3 作業エリア
1 生産管理サーバ
11 作業指示IDインデクスレコード
12 作業リストテーブル
13 必要資格登録テーブル
2 作業管理サーバ
21 作業可否判定部
22 作業詳細送信部
3 人事DBサーバ
31 個人別保有資格テーブル
4 作業指示用端末
41 制御部
411 ID取得部(作業者識別手段、作業内容識別手段)
412 表示制御部
42 無線タグリーダ
43 入力部
44 表示部
5 LAN
6 個人IDカード
7 無線タグ付き作業指示伝票(タグ付き伝票)
71 作業指示データ印字欄
72 無線タグ(作業指示タグ)
81 作業詳細指示画面
82 警告画面
83 個人ID不正警告画面
84 部品不足警告画面
91 入退室管理サーバ
92 履歴監視サーバ(履歴監視手段)
921 入退室監視テーブル
922 在席監視テーブル
923 搬入出監視テーブル
924 作業監視テーブル
925 履歴不整合検出部
926 警告タイマ監視部
927 (入退室−在席)不整合チェックテーブル
928 (搬入出−作業)不整合チェックテーブル
93 ドア開閉制御装置
94 ゲートリーダ
95 搬入口
96 搬出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が所持する媒体の情報または作業者の生体情報を読み取ることにより個々の作業者を識別する作業者識別手段と、
作業内容に対応付けられた媒体の情報を読み取ることにより前記作業者が着手しようとしている作業内容を識別する作業内容識別手段と、
前記作業者に作業内容の詳細を指示する作業詳細指示画面を表示する表示手段と
を備えた作業指示用端末と、
前記作業者識別手段と前記作業内容識別手段との識別の結果に基づいて、前記作業者に作業の実行を指示する作業指示用端末に前記作業内容の実行に必要な情報を含む前記作業詳細指示画面の表示データを送信する作業管理サーバと
を備えた作業管理システムであって、
前記作業内容を実行する前記作業者に必要とされる資格やスキルを記憶する必要資格記憶手段と、
前記作業者が保有している資格やスキルを記憶する保有資格記憶手段と
を備え、
前記作業管理サーバは、
前記作業内容識別手段によって識別される前記作業内容に必要とされる資格やスキルを前記必要資格記憶手段から取得するとともに、
前記作業者識別手段によって識別される前記作業者が保有している資格やスキルを前記保有資格記憶手段から取得して、
その両者を照合することによって当該作業内容の実行可否を判定し、
実行可と判定した場合に該当する前記作業詳細指示画面を前記作業指示用端末に送信する
ことを特徴とする作業管理システム。
【請求項2】
前記必要資格記憶手段は、
前記作業内容を構成する各ステップが属する作業区分と、
前記作業区分毎の品質に対する要求レベルに応じて必要とされる資格やスキルと
を記憶し、
前記作業管理サーバは、
前記作業内容識別手段によって識別される前記作業内容に必要とされる資格やスキルを前記必要資格記憶手段から取得するときに、前記作業内容の品質に対する要求レベルに基づいて、前記要求レベルに対応して必要とされる資格やスキルを前記必要資格記憶手段から取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項3】
前記作業管理サーバは、
前記実行可否の判定において実行不可と判定した場合に、
前記作業指示用端末に不適格者による作業を認可する選択肢を含んだ警告画面を送信して表示させ、
前記不適格者による作業を認可する選択肢が選択された場合は、第三者による承認を要求し、承認が得られたときは、前記作業詳細指示画面を前記作業指示用端末に送信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業管理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の作業管理システムにおいて、
前記作業員の作業エリアへの入室及び前記作業エリアからの退室履歴と、
前記作業エリア内に設置される作業ステーションへの前記作業員の着席及び前記作業ステーションからの離席履歴と、
前記作業ステーションにおける前記作業内容の着手及び完了履歴と、
前記作業エリアへの前記作業内容に使用される物品の搬入及び前記作業エリアからの前記作業内容によって製造された物品の搬出履歴と
の少なくとも1つと、
前記作業員の前記作業エリアへの入室、前記作業エリアからの退室、前記作業ステーションへの着席、前記作業ステーションからの離席、前記作業ステーションにおける前記作業内容の着手もしくは完了、前記作業エリアへの前記物品の搬入、または、前記作業エリアからの前記物品の搬出
を検知したそれぞれのイベントとの不整合を検出する履歴監視手段を備え、
前記作業管理サーバは、
自身が検知したイベントに対して前記履歴監視手段によって前記不整合が検出された場合は、前記作業詳細指示画面を前記作業指示用端末に送信しない
ことを特徴とする作業管理システム。
【請求項5】
前記履歴監視手段は、
前記作業員の前記作業エリアへの入室、前記作業ステーションへの着席、前記作業ステーションからの離席、前記作業ステーションにおける前記作業内容の着手もしくは完了、または、前記作業エリアへの前記物品の搬入
を検知したそれぞれのイベントに対応する次のイベントが検知されるまでの時間が所定値を超えた場合は、その旨の通知を管理者用端末に送信する
ことを特徴とする請求項4に記載の作業管理システム。
【請求項6】
作業者が所持する媒体の情報または作業者の生体情報を読み取ることにより個々の作業者を識別する作業者識別手段と、
作業内容に対応付けられた媒体の情報を読み取ることにより前記作業者が着手しようとしている作業内容を識別する作業内容識別手段と、
前記作業者に作業内容の詳細を指示する作業詳細指示画面を表示する表示手段と
を備えた作業指示用端末と、
前記作業者識別手段と前記作業内容識別手段との識別の結果に基づいて、前記作業者に作業の実行を指示する作業指示用端末に前記作業内容の実行に必要な情報を含む詳細指示画面の表示データを送信する作業管理サーバと
を備えた作業管理システムにおける作業管理方法であって、
前記作業管理サーバが、前記作業内容を実行する前記作業者に必要とされる資格やスキルを記憶する必要資格記憶手段から、前記作業内容識別手段によって識別される前記作業内容に必要とされる資格やスキルを取得する第一のステップと、
前記作業管理サーバが、前記作業者が保有している資格やスキルを記憶する保有資格記憶手段から、前記作業者識別手段によって識別される前記作業者が保有している資格やスキルを取得する第二のステップと、
前記作業管理サーバが、その両者を照合することによって当該作業内容の実行可否を判定し、実行可と判定した場合に該当する前記作業詳細指示画面を前記作業指示用端末に送信する第三のステップと
を備えたことを特徴とする作業管理方法。
【請求項7】
作業者が所持する媒体の情報または作業者の生体情報を読み取ることにより個々の作業者を識別する作業者識別手段と、
作業内容に対応付けられた媒体の情報を読み取ることにより前記作業者が着手しようとしている作業内容を識別する作業内容識別手段と、
前記作業者に作業内容の詳細を指示する作業詳細指示画面を表示する表示手段と
を備えた作業指示用端末と、
前記作業者識別手段と前記作業内容識別手段との識別の結果に基づいて、前記作業者に作業の実行を指示する作業指示用端末に前記作業内容の実行に必要な情報を含む詳細指示画面の表示データを送信する作業管理サーバと、
前記作業員の作業エリアへの入室及び前記作業エリアからの退室履歴と、
前記作業エリア内に設置される作業ステーションへの前記作業員の着席及び前記作業ステーションからの離席履歴と、
前記作業ステーションにおける前記作業内容の着手及び完了履歴と、
前記作業エリアへの前記作業内容に使用される物品の搬入及び前記作業エリアからの前記作業内容によって製造された物品の搬出履歴と
の少なくとも1つと、
前記作業員の前記作業エリアへの入室、前記作業エリアからの退室、前記作業ステーションへの着席、前記作業ステーションからの離席、前記作業ステーションにおける前記作業内容の着手もしくは完了、前記作業エリアへの前記物品の搬入、または、前記作業エリアからの前記物品の搬出
を検知したそれぞれのイベントとの不整合を検出する履歴監視手段と
を備えた作業管理システムにおける作業管理方法であって、
前記作業管理サーバが、自身が検知したイベントに対して前記履歴監視手段によって前記不整合が検出された場合は、前記作業詳細指示画面を前記作業指示用端末に送信しない第四のステップ
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の作業管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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