説明

作業車の油圧装置

【課題】本発明は、操作レバーが不測に動いても油圧装置のバルブの作動を確実に阻止できる作業車の油圧装置を提供することを目的とする。
【解決手段】操作レバーを2方向に操作して2個のバルブ23,24を各別に操作するように構成した作業車の油圧装置において、2個のバルブ23,24を各別に操作するバルブ操作リンク38,39を一対の枠板40,41に設けた支軸に揺動自在に支持し、ロックピン55を枠板40,41に設けて、2個のバルブ操作リンク38,39にピン孔51a,52aを形成し、2個のバルブ23,24が中立位置にあるときに、ロックピン55をロック操作具57によるロック操作によりピン孔51a,52aに挿通してバルブ操作リンク38,39を固定してバルブ23,24をロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2個の油圧機器に対する2個のバルブを単一の操作レバーに連係し、前記操作レバーを第1方向と前記第1方向と交差する第2方向に操作可能に構成し、前記操作レバーを第1及び第2方向に操作して前記バルブを各別に操作するように構成した作業車の油圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、単一の操作レバーを二方向に操作して2個のバルブを第1方向と第2方向で各別に操作する技術が示されている。そして、この特許文献1には、2個のバルブと操作レバーの間の連係機構中にそれぞれ各別にバルブに連結したバルブ操作リンクを介装し、2つのバルブ操作リンクを前後方向で挟む状態に設けた平面視コ字状の枠板に2個のボス部を片持ち状に支持し、一方のボス部に操作レバーを前後方向に操作する左右横向きの支軸を支承するとともに、他方のボス部にロックピンを左右横方向に摺動自在に嵌挿し、操作レバーが中立位置にあるときに、ロックピンを操作して操作レバーと一体に形成したボス部に挿通することで操作レバーをロックし、これによって、前記2個のバルブを中立位置で固定するように構成した技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245609号公報(図7〜図11参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものでは、単一のロックピンを操作レバーと一体形成したボス部に挿通することによって、ロックピンと交差する方向とロックピンのボス部への差し込み方向に対して操作レバーをロックするものであるから、ロックピンを摺動自在に支持するボス部とロックピンとの間の隙間、及び操作レバーと一体に設けられたボス部とロックピンとの間の隙間が大きいと、操作レバーをロックした状態において、操作レバーが不測に操作されたときにロック用のボス部がロックピンの軸心方向に摺動しやすくなり、一方のバルブ操作リンクが操作されてバルブが動いてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、操作レバーが不測に動いても油圧装置のバルブの作動を確実に阻止できる作業車の油圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔第1発明の構成〕
第1発明は、2個の油圧機器に対する2個のバルブを単一の操作レバーに連係し、前記操作レバーを第1方向と前記第1方向と交差する第2方向に操作可能に構成し、前記操作レバーを第1及び第2方向に操作して前記バルブを各別に操作するように構成した作業車の油圧装置において、
前記2個のバルブと前記操作レバーの間の連係機構中にそれぞれ各別にバルブに連結したバルブ操作リンクを介装し、前記バルブ操作リンクを挟む状態で設けた一対の枠板に、前記操作レバーを前記第1又は第2方向に操作する支軸を支承するボス部を両側から保持し、
前記2個のバルブを各別に操作するそれぞれの前記バルブ操作リンクを前記一対の枠板に設けた支軸に揺動自在に支持し、ロックピンを前記枠板に設けて、前記2個のバルブ操作リンクにピン孔を形成し、前記2個のバルブが中立位置にあるときに、前記ロックピンをロック操作具によるロック操作により前記ピン孔に挿通して前記バルブ操作リンクを固定して前記バルブをロックすることを特徴とする。
〔第1発明の作用〕
第1発明によれば、バルブ操作リンクを挟んで設けた一対の枠板に、操作レバーの支軸を支承するボス部を両側から保持し、枠板自体が強固に形成されるとともにボス部も枠板に強固に保持され、操作レバーが2方向に操作されてもボス部がぶれることがなく、支軸を確実に支持でき、操作レバーの所定の第1方向と第2方向に対する操作がずれることなく、軽快なレバー操作を行うことができる。
【0007】
2個のバルブが中立位置にあるときに、一つのロックピンを2個のバルブ操作リンクに形成した複数のピン孔に挿通することで2個のバルブ操作リンクを同時に固定してバルブをロックする。すなわち、2個のバルブを操作する各別に設けた2個のバルブ操作リンクに形成した孔に1つのロックピンを挿通することでバルブに連結された2個のバルブ操作リンクを直接ロックするものであるから、操作レバー側に遊びがあっても2個のバルブを確実に中立位置でロックすることができる。
【0008】
バルブ操作リンク、操作レバーの支軸を支承するボス部及びロックピン等が一対の枠板に支持されるので、これらを一つのユニット(アッシ)として生産及び作業車への取り付けを行うことができる。
〔第1発明の効果〕
操作レバーを第1方向に操作することによって作動するバルブ、及び操作レバーを第2方向に操作することによって作動するバルブのいずれも中立状態で確実にロックすることができるので、操作レバーが不測に動かされてもバルブの作動を確実に阻止することができる。
【0009】
一対の枠体(バルブ操作リンク、ボス部及びロックピン等)を一つのユニット(アッシ)とすることができて、生産性の向上を図ることができる。
〔第2発明の構成〕
第2発明は、第1発明の構成において、前記ロックピンは、前記バルブをロック解除した状態では前記一対の枠板のうちの一方の枠板に支持され、前記バルブをロックすべくバルブ操作リンクを固定した状態では前記一対の枠板の両方に支持されるように構成してある。
〔第2発明の作用効果〕
第2発明によれば、バルブをロックすべくバルブ操作リンクを固定した状態では、ロックピンは両方の枠板に両持ち支持されるので、バルブ操作リンクが片持ち状態のピンでロックされる場合よりもより確実に固定維持でき、より確実にバルブを中立位置でロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】主たる実施の形態を示すフロントローダを装着したトラクタの部分側面図である。
【図2】主たる実施の形態を示す切換バルブの操作部の側面図である。
【図3】主たる実施の形態を示す切換バルブの操作部の背面図である。
【図4】主たる実施の形態を示す切換バルブの操作部の平面図である。
【図5】主たる実施の形態を示す操作レバーの支持部の横断平面図である。
【図6】主たる実施の形態を示す切換バルブの操作部の一部横断平面図である。
【図7】主たる実施の形態を示すバルブ操作リンクのロック構造の一部縦断側面図である。
【図8】主たる実施の形態を示す切換バルブの操作部の斜視図である。
【図9】主たる実施の形態を示すバルブ操作リンクの分解斜視図である。
【図10】第2の実施の形態を示す切換バルブの操作部の側面図である。
【図11】第2の実施の形態を示す切換バルブの操作部の背面図である。
【図12】第2の実施の形態を示す切換バルブの操作部の平面図である。
【図13】第2の実施の形態を示す切換バルブの操作部の一部縦断平面図である。
【図14】第2の実施の形態を示すバルブ操作リンクのロック構造の一部縦断側面図である。
【図15】第2の実施の形態を示す切換バルブの操作部の斜視図である。
【図16】第2の実施の形態を示すバルブ操作リンクの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1にフロントローダRを装着したトラクタの部分側面図が示されている。このトラクタは、前輪1および後輪2を備えた四輪駆動型の走行機体3に運転座席4、前輪操向用のステアリングハンドル5、運転ステップ6等を備えて構成されている。
【0012】
前記走行機体3は、エンジン(図示せず)を配置した機体前部と機体後部のミッションケース9とを板金中空構造の中間ハウジング10で連結して構成されている。エンジンがボンネット11で覆われるとともに、エンジンに連結された前フレーム12に、左右の前輪1を操向自在に装着支持した前車軸ケース13がローリング可能に支持され、ミッションケース9の後部左右に後輪2が軸支されている。
【0013】
エンジンの動力は、ミッションケース9の前端に直結された静油圧式の無段変速装置(HST)14に軸伝達されて正逆に無段変速され、その正転または逆転の変速動力がミッションケース9内で複数段にギヤ変速されて左右の後輪2に伝達されるとともに、後輪伝動系から分岐された前輪駆動用動力が機体前方に軸伝達されて前車軸ケース13に伝達されるようになっている。
【0014】
無段変速装置14に入力されたエンジン動力の一部は、変速されることなくそのままミッションケース9内のPTO伝動系に伝達され、ミッションケース9の後部に装備されたリヤPTO軸(図示せず)と、ミッションケース9の下部に装備されたミッドPTO軸16から、走行速度に関係なく定速で回転するライブPTO動力として取り出されるようになっている。
【0015】
運転ステップ6の右側には、中立復帰付勢された変速ペダル17が配備されて、無段変速装置14の図示されていない変速操作軸にリンク連係されている。運転ステップ6の右側前方に左右一対のサイドブレーキペダル18が配備されている。
【0016】
走行機体3の前部にはフロントローダRが着脱可能に連結されている。フロントローダRを駆動する油圧装置は以下のように装備されている。
【0017】
運転座席4の右横側には切換バルブ25が固定配備されているとともに、この切換バルブ25を切換え操作する操作レバー26が一旦前方に向けてから上方に延出されている。図1〜図4に示すように、切換バルブ25には、3位置切換え式の2個のスプールバルブ23,24が前後に並列装備されて、後述のように操作レバー26に連係され、操作レバー26の十字操作によって2組の油圧回路への圧油給排を行うことができるよう構成されている。
【0018】
運転ステップ6の右側前方箇所には自閉型の配管接続ポート28aを備えた4個の配管接続部材28が縦一列状に装着されるとともに、各配管接続部材28と前記切換バルブ25とが4本の金属配管29で連通接続されている。
【0019】
フロントローダRは、走行機体3の前部左右に連結固定した支持フレーム31にブーム32を上下揺動可能に枢支連結するとともに、ブーム32の先端にバケット33をダンプ揺動可能に枢支連結して構成されており、復動型シリンダで構成されたブームシリンダ34とバケットシリンダ35とが、4個の配管連結部材28にそれぞれ耐圧油圧ホース36で連通接続される。
【0020】
図2〜図9に、前記切換バルブ25の操作構造が示されている。切換バルブ25のバルブボディ25aの上方には基板37を介してバルブ操作リンク38,39を挟んで一定の間隔を隔てた前後両側に枠板としての支持ブラケット40,41が立設されている。一方(後側)の支持ブラケット40の上端には他方(前側)の支持ブラケット41に向かう折り曲げ片40aが形成されており、この折り曲げ片40aの端部と他方の支持ブラケット41とに亘って左右横向きボス部42が左右横向きの支軸30の軸心xに沿った長手方向に支持される状態で固定されている。
【0021】
平面形状がコの字形の第1操作金具43が横向き軸心x周りに回動可能に軸支装着されるとともに、第1操作金具43に前後向き支点y周りに回動可能に第2操作金具44が枢支され、この第2操作金具44の上面に前記操作レバー26の基端部26aが固定されている。
【0022】
前記前後一対の支持ブラケット40,41に前後向き支軸45を支持するボス部46をそれぞれ形成し、前後向き支軸45にバルブ操作リンク38,39の基端のボス部38a,39aが軸心a周りに上下揺動可能に枢支され、このバルブ操作リンク38,39の各遊端部が前記スプールバルブ23,24にそれぞれピン47で連結されている。
【0023】
図3に示すように、スプールバルブ23,24側の作用点(ピン47の位置)と、前後向き支軸45の軸心a(支点)と、連係金具48b,49b(力点)とが、背面視で直線L上に一直線上に配備され、かつ、前後向き支軸45の軸心a(支点)の直上方位置にロックピン55が位置するように配備されている。
【0024】
バルブ操作リンク38,39は、前後向き支軸45を挿通するボス部38a,39aと、ボス部38a,39aを基端として他端側にスプールバルブ23に連結するピン47を挿通する長孔38b,39bを形成した平面視でUの字状のアーム部38c,39cと、ボス部38a,39aに対してアーム部38c,39cとは反対側に形成した折り曲げ片38d,39dを備えた二股状のアーム部38e,39eとで構成されている。
【0025】
図2、図4、図5に示すように、前記第1操作金具43からは後方に向けて操作アーム43aが延出されるとともに、前記第2操作金具44からは左右横内方に向けて操作ピン44aが延出されている。操作アーム43aと一方の前記バルブ操作リンク39の折り曲げ片39dとが両端に球支点付きの連係金具48a,48bを取り付けたロッド48を介して連動連結されるとともに、操作ピン44aと他方のバルブ操作リンク38の折り曲げ片38dとが両端に球支点付きの連係金具49a,49bを取り付けたロッド49を介して連動連結されている。
【0026】
従って、操作レバー26のグリップ26bが前後左右の中立位置にあると、両スプールバルブ23,24は中立位置にあり、操作レバー26のグリップ26bを中立位置から前方あるいは後方に移動させると、第1操作金具43が横向き支点x周りに回動されて一方のスプールバルブ24が上下にスライド操作され、操作レバー26のグリップ26bを中立位置から左方あるいは右方に移動させると、第2操作金具44が前後向き支点y周りに回動されて他方のスプールバルブ23が上下にスライド操作される。
【0027】
フロントローダRを装着した場合には、一方のスプールバルブ24で切換えられる油圧回路にブームシリンダ34を配管接続するとともに、他方のスプールバルブ23で切換えられる油圧回路にバケットシリンダ35を配管接続する。この場合、操作レバー26のグリップ26bを中立位置から前方に操作するとブームシリンダ34が短縮作動してブーム32が下降され、操作レバー26のグリップ26bを中立位置から後方に操作するとブームシリンダ34が伸長作動してブーム32が上昇される。操作レバー26のグリップ26bを中立位置から右方に操作するとバケットシリンダ35が伸長作動してバケット33が下方にダンプされ、操作レバー26のグリップ26bを中立位置から左方に操作するとバケットシリンダ35が短縮作動してバケット33がすくい上げ上昇されるように配管セットする。
【0028】
バルブ操作リンク38のボス部38aとバルブ操作リンク39のアーム部39eに、それぞれ上方に向けてロック用のブラケット51,52を立設し、ブラケット51,52の上部にはそれぞれロック用のピン孔51a,52aを形成してある。前記前後の支持ブラケット40,41にボス部53,54を形成し、支持ブラケット41に取り付けた長いボス部54には、操作レバー26を中立位置に機械的に固定保持するためのロックピン55を挿通してある。ロックピン55の外端(前端)には下向きL字状の係止部55aが固定されている。支持ブラケット41の外側(前側)には、2個の係止孔56a,56bを形成した水平な受け板56を付設してある。L字状の係止部55aの下端は、自重で受け板56の上面に摺動自在に接当している。
【0029】
前記ロックピン55はクランク状のロック操作具57によって操作される。ロック操作具57の下端部には、前記ロックピン55の係止部55aに係合するアーム58を備えている。アーム58には、係止部55aと係合する長孔58aと下向きの位置決めピン58bとを備えている。
【0030】
ロック操作具57の上部には、逆U字状に折り曲げた下向きの握り部57aを備え、握り部57aを少し持上げて右又は左方向に少し揺動させて握り部57aの持ち上げを緩めると、アーム58の位置決めピン58bが受け板56の係止孔56a(又は56b)から脱して受け板56上に乗り上げる。この受け板56上に位置決めピン58bの下端が接当した状態でロック操作具57を動かして位置決めピン58bを受け板56上を摺動させると、位置決めピン58bが係合孔56b(又は56a)に嵌り込むと同時に握り部57aの下端部57bが位置決め手段59のロック位置決め部59R(又はロック解除位置決め部59U)にはまり込んでロック操作具57が位置決めされる。
【0031】
操作レバー26が中立位置に位置しているときに、操作具57の操作によりアーム58を揺動させて係止部55aを介してロックピン55をブラケット51,52のロック用のピン孔51a,52aに挿脱することで、スプールバルブ23,24がロック又はロック解除される。握り部57aをロック位置rに位置決めするロック位置決め部59Rとロック解除位置uに位置決めするロック解除位置決め部59Uとを備えた位置決め手段59を運転座席4の右側部における後輪フェンダーの上部に備えてある。
【0032】
非作業時には、操作レバー26が中立位置にセットされている状態で、図4及び図6の二点鎖線で示すように、ロック操作具57の握り部57aを機体外方に操作して、握り部57aの下端部57bをロック位置決め部59Rにセットすることで、ロックピン55をスプールバルブ23,24のバルブ操作リンク38,39に取り付けたブラケット51,52に形成したロック用のピン孔51a,52aに挿通するとともに、支持ブラケット40に形成したボス部53に挿入することで、操作レバー26を中立位置に機械的に固定する。作業時には、この操作レバー26が中立位置に機械的に固定された状態から、図4及び図5の実線で示すように、ロック操作具57のロック状態からロック操作具57の握り部57aをロック位置決め部59Rからロック解除位置決め部59Uにセットすることによって、ロックピン55が操作リンク38,39のブラケット51,52のロック用のピン孔51a,52aから離脱して操作レバー26の十字操作が許容されるようになる。
【0033】
以上のように、この実施の形態における油圧装置は2個の油圧機器に対する2個のスプールバルブ23,24を単一の操作レバー26に連係し、操作レバー26を第1方向(前後方向)と第1方向と交差する第2方向(左右方向)に操作可能に構成し、操作レバー26を第1及び第2方向に操作してスプールバルブ23,24を各別に操作するように構成してある。そして、2個のスプールバルブ23,24と操作レバー26の間の連係機構中にそれぞれ各別にバルブに連結したバルブ操作リンク38,39を介装し、バルブ操作リンク38,39を挟む状態で設けた一対の枠板(支持ブラケット40,41)に、操作レバー26を第1方向(前後方向)に操作する左右横向きの支軸30を支承するボス部42を両側から保持している。2個のスプールバルブ23,24を各別に操作するそれぞれのバルブ操作リンク38,39を一対の支持ブラケット40,41に設けた支軸45に揺動自在に支持し、ロックピン55を支持ブラケット41に摺動保持自在に設けて、2個のバルブ操作リンク38,39に、これと一体に形成したブラケット51,52を介してピン孔51a,52aを形成し、2個のスプールバルブ23,24が中立位置にあるときに、ロックピン55をロック操作具57によるロック操作によりピン孔51a,52aに挿通してバルブ操作リンク38,39を固定してスプールバルブ23,24をロックするように構成してある。
【0034】
これにより、操作レバー26の支軸30を支承するボス部42を、バルブ操作リンク38,39を挟んで設けた一対の支持ブラケット40,41で両側から保持し、支持ブラケット40,41自体が強固に形成されるとともにボス部42も支持ブラケット40,41に強固に保持され、操作レバー26が2方向に操作されてもボス部42がぶれることがないので、支軸30を確実に支持でき、操作レバー26が第1方向からずれることがなく、軽快なレバー操作を行うことができる。
【0035】
2個のスプールバルブ23,24が中立位置にあるときに、一つのロックピン55を2個のバルブ操作リンク38,39に形成した複数のピン孔51a,52aに挿通することで2個のバルブ操作リンク38,39を同時に固定してスプールバルブ23,24をロックする。すなわち、2個のスプールバルブ23,24を操作する各別に設けた2個のバルブ操作リンク38,39に形成した孔51a,52aに1つのロックピン55を挿通することでスプールバルブ23,24をロックするものであるから、第1方向(前後方向)、第2方向(左右方向)のいずれの方向で操作されるバルブであってもスプールバルブ23,24を操作するバルブ操作リンク38,39がバルブ中立位置で確実にロックされているものであるから、操作レバー26側に遊びがあってもスプールバルブ23,24を確実に中立位置でロックすることができる。
【0036】
〔別実施の形態〕
(1)図10〜図16は第2の実施の形態を示す。以下に、上記した主たる実施の形態とは異なるロック手段の点について説明し、後述する以外の他の構成は主たる実施の形態と同様である。図13、図14に示すように、バルブ操作リンク38,39の二股状のアーム部38e,39eに、一列状に貫通するロック用のピン孔50を形成する。支持ブラケット41にボス部54を備えたブラケット61を取り付け、ボス部54に係止部55bを上向きL字状に折り曲げ形成したロックピン55を挿通する。後側の支持ブラケット40に、操作レバー26が中立位置にあるときに、前記複数のピン孔50と同芯上に位置するピン孔62を形成したブラケット63を取り付けてある。前記ブラケット61の上部には、支持ブラケット41よりも外側(前側)に向けて、係止孔56bを形成した水平な受け板56を付設してある。
【0037】
図11に示すように、スプールバルブ23,24側の作用点(ピン47の位置)と、前後向き支軸45の軸心a(支点)と、ロックピン55の軸心と、連係金具48b,49b(力点)とが、背面視で直線L上に一直線上に配備され、かつ、ロックピン55が前後向き支軸45と連係金具48b,49bとの左右中間部に位置するように配備されている。
【0038】
ロック操作具57の下端部のアーム58には、上向きL字状の係止部55aと係合する長孔58aと下向きの位置決めピン58bとが備えられている。
【0039】
ロック操作具57がロック解除位置uに位置しているときは、アーム58に形成した下向きの位置決めピン58bは受け板56の先端(前端)を越えて前側に外れた状態で、位置決めピン58bの下端は受け板56の上面よりも低い状態となる。この状態からスプールバルブ23,24をロックするときは、ロック操作具57の握り部57aを少し持上げて右方向に少し揺動させて握り部57aの持ち上げを緩めると、アーム58の位置決めピン58bが受け板56の上に乗り上げる。この受け板56上に位置決めピン58bの下端が接当した状態でロック操作具57を更に右に動かして位置決めピン58bを受け板56上を摺動させると、位置決めピン58bが係合孔56aに嵌り込むと同時に握り部57aの下端部57bがロック位置決め部59Rにはまり込んでロック操作具57が位置決めされる。ロック状態では、アーム部38e,39eに形成した全てのピン孔50及びブラケット63に形成したピン孔62にロックピン55が挿通されてバルブ操作リンク38,39が固定されて、スプールバルブ23,24がロックされる。
(2)前記実施の形態では、切換バルブ25をスプールバルブ23,24を採用しているが、ロータリ式のバルブであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、フロントローダRの他に、除雪装置、草刈装置を備えたトラクタにも適用できる。
【符号の説明】
【0041】
23,24 バルブ
26 操作レバー
30 支軸
38,39 バルブ操作リンク
40,41 枠板
42 ボス部
50 ピン孔
51a,52a ピン孔
55 ロックピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の油圧機器に対する2個のバルブを単一の操作レバーに連係し、前記操作レバーを第1方向と前記第1方向と交差する第2方向に操作可能に構成し、前記操作レバーを第1及び第2方向に操作して前記バルブを各別に操作するように構成した作業車の油圧装置において、
前記2個のバルブと前記操作レバーの間の連係機構中にそれぞれ各別にバルブに連結したバルブ操作リンクを介装し、前記バルブ操作リンクを挟む状態で設けた一対の枠板に、前記操作レバーを前記第1又は第2方向に操作する支軸を支承するボス部を両側から保持し、
前記2個のバルブを各別に操作するそれぞれの前記バルブ操作リンクを前記一対の枠板に設けた支軸に揺動自在に支持し、ロックピンを前記枠板に設けて、前記2個のバルブ操作リンクにピン孔を形成し、前記2個のバルブが中立位置にあるときに、前記ロックピンをロック操作具によるロック操作により前記ピン孔に挿通して前記バルブ操作リンクを固定して前記バルブをロックすることを特徴とする作業車の油圧装置。
【請求項2】
前記ロックピンは、前記バルブをロック解除した状態では前記一対の枠板のうちの一方の枠板に支持され、前記バルブをロックすべくバルブ操作リンクを固定した状態では前記一対の枠板の両方に支持されるように構成してある請求項1記載の作業車の油圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−80213(P2011−80213A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231791(P2009−231791)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】