説明

作業車両の制御装置

【課題】 ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置3と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置4とを車両1の前後・左右4箇所に備えた作業車両の制御装置で、車両1の傾斜角が所定以上傾斜し且つローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持した時に報知手段22で報知し、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持したときに報知しないようにする。
【解決手段】 本発明に係る作業車両の制御装置は、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段20と、車両1の傾斜角を検出する傾斜角検出手段21と、報知信号を受け報知する報知手段22とを配置し、制御手段50は、選択手段20からの選択信号がローラ付ジャッキ装置4を選択しかつ傾斜角検出手段21からの傾斜角信号が所定の傾斜角以上を検出する場合に報知信号を前記報知手段22に出力するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備えた作業車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の作業車両として、図11および図12に図示する高所作業車を例に説明する。高所作業車は、ジャッキ30の下端部に接地板5を取付けた接地板付ジャッキ装置3と、ジャッキ40の下端部にローラ6を取付けたローラ付ジャッキ装置4とを車両1の前後・左右4箇所に備えている。
【0003】
ジャッキ30は、ジャッキ外筒31とジャッキ内筒32と図示しないがジャッキ駆動手段33で構成している。ジャッキ外筒31は車両1の前後・左右4箇所配置し、ジャッキ内筒32は下端に接地板5を取付けジャッキ外筒31内から下方に出没可能に配置している。ジャッキ駆動手段33は、両筒間に配置した油圧シリンダ33aと当該油圧シリンダ33aを駆動制御する制御弁33bを備え、制御弁33bを制御してジャッキ外筒31内からジャッキ内筒32を下方に出没駆動可能にし、車両1を接地板付ジャッキ装置3で支持させるようにしている。
【0004】
ジャッキ40は、ジャッキ外筒41とジャッキ内筒42と図示しないがジャッキ駆動手段43で構成している。ジャッキ外筒41はジャッキ外筒31に近接した車両1の前後・左右4箇所配置し、ジャッキ内筒42は下端にローラ6を取付けジャッキ外筒41内から下方に出没可能に配置している。ジャッキ駆動手段43は両筒間に配置した油圧シリンダ43aと当該油圧シリンダ43aを駆動制御する制御弁43bを備え、制御弁43bを制御してジャッキ外筒41内からジャッキ内筒42を下方に出没駆動可能にし、車両1をローラ付ジャッキ装置4で支持させるようにしている。
【0005】
そして車両1上には、旋回台12を旋回駆動可能に配置し、旋回台12に起伏駆動可能に伸縮ブーム13を配置するとともに、伸縮ブーム13の先端部に作業台14を首振り駆動可能に配置している。
【0006】
このように構成された高所作業車は、車両1を所定位置に停車させ、接地板付ジャッキ装置3で車両1をその位置で地面Gに支持させ旋回台12および伸縮ブーム13を適宜伸縮・起伏させて目的の高所位置に作業台14を移動させて作業する所謂定位置での高所作業を行う場合(図11の状態)と、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持させ車両1の車輪11で走行駆動して作業台14を高所位置に位置させたまま車両1を移動させながら作業する所謂走行移動での高所作業を行う場合(図12の状態)がある。
【0007】
ところで、車両に傾斜角を検出する傾斜角検出器を配置し、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持させて所謂走行移動での高所作業を行う場合に、地面の状態により車両1が所定以上に傾斜したことを前記傾斜角検出器により検出し、警報ならびに旋回台12および伸縮ブーム13の駆動を停止あるいは走行駆動を停止させ、車両1が逸走する(地面上を車輪11のタイヤが滑ってしまう)のを防止し安全を確保する技術が公知である。(例えば引用文献1参照)
【特許文献1】特開平8−295499号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが上記公知技術は、ローラ付ジャッキ装置4を備えているものの上記した接地板付ジャッキ装置3を備えていないが、上記公知技術を接地板付ジャッキ装置3とローラ付ジャッキ装置4を備えた高所作業車に適用しようとすると次のような不都合が生じる。
すなわち、車両1を接地板付ジャッキ装置3で支持する場合に、やもう得ず車両1を水平に設置できないで作業しなければならない場合がある。(例えば、地面の状態によってジャッキ40のストロークが足らず、接地板5と地面間に補足板で補足しても水平設定が出来ない場合などである。)このような場合に、上記公知技術を採用していると車両1が所定以上傾斜しているので警報が鳴り、作業台14を移動するための操作を禁止することから、警報がうるさい、旋回台12および伸縮ブーム13の駆動ができず作業台14を移動させることができず作業できない、と言った問題が生じる。
【0009】
本発明は、このような問題を解決した作業車の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明に係る請求項1記載の作業車両の制御装置は、ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段とを配置し、前記制御手段は、当該傾斜角検出手段と前記選択手段からの信号を受け選択手段からの選択信号がローラ付ジャッキ装置を選択しかつ傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に第1報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る請求項2記載の作業車両の制御装置は、ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段とを配置し、前記制御手段は、傾斜角検出手段と前記選択手段からの信号を受け傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に前記第1報知信号を前記報知手段に出力するとともに、前記選択手段からの選択信号が接地板付ジャッキ装置を選択している場合に前記第1報知信号の出力を規制するように構成したことを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る請求項3記載の作業車両の制御装置は、請求項1または請求項2において、前記制御手段は、選択手段からの選択信号が接地板付ジャッキ装置を選択しかつ傾斜角検出手段からの傾斜角信号が前記所定の第1傾斜角より大きい第2傾斜角を検出する場合に第2報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る請求項4記載の作業車両の制御装置は、ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段と、前記ローラ付ジャッキ装置により車両を支持しローラ付ジャッキ装置の接地を検出するローラ付ジャッキ接地検出手段とを配置し、前記制御手段は、傾斜角検出手段とローラ付ジャッキ接地検出手段からの信号を受けローラ付ジャッキ接地検出手段からの信号がローラ付ジャッキ装置の接地を検出しかつ傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に第1報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る請求項5記載の作業車両の制御装置は、ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段と、前記接地板付ジャッキ装置により車両を支持し接地板付ジャッキ装置の接地を検出する接地板付ジャッキ接地検出手段とを配置し、前記制御手段は、傾斜角検出手段からの信号を受け傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に第1報知信号を前記報知手段に出力するとともに、接地板付ジャッキ接地検出手段からの信号を受け接地板付ジャッキ装置の接地を検出すると前記第1報知信号の出力を規制するように構成したことを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る請求項6記載の作業車両の制御装置は、請求項4または請求項5において、前記制御手段は、傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出する場合に第2報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る請求項7記載の作業車両の制御装置は、請求項5において、前記制御手段は、接地板付ジャッキ接地検出手段からの信号を受け接地板付ジャッキ装置の接地を検出しかつ傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出する場合に第2報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る請求項8記載の作業車両の制御装置は、ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段と、前記ローラ付ジャッキ装置により車両を支持しローラ付ジャッキ装置の接地を検出するローラ付ジャッキ接地検出手段と、前記接地板付ジャッキ装置により車両を支持し接地板付ジャッキ装置の接地を検出する接地板付ジャッキ接地検出手段とを配置し、前記制御手段は、傾斜角検出手段とローラ付ジャッキ接地検出手段と接地板付ジャッキ接地検出手段からの信号を受け、傾斜角検出手段からの信号が所定の第1傾斜角以上を検出しかつローラ付ジャッキ接地検出手段からの信号がローラ付ジャッキ装置の接地を検出した場合に第1報知信号を前記報知手段に出力するとともに、傾斜角検出手段からの信号が所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出しかつ接地板付ジャッキ接地検出手段からの信号が接地板付ジャッキ装置の接地を検出した場合に前記報知手段に第2報知信号を出力するように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明の作業車両の制御装置は、以上のように構成するものであるから、選択手段でローラ付ジャッキ装置を選択してローラ付ジャッキ装置で車両を支持している時で車両が所定の第1傾斜角以上となった時には、制御手段は報知手段に第1報知信号を出力し報知させるので車両の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置で車両を支持している時には、所定の第1傾斜角以上を検出しても選択手段がローラ付ジャッキ装置を選択していないので、制御手段は報知手段に第1報知信号を出力することはない。よって接地板付ジャッキ装置で車両を支持している時に、警報がうるさい、あるいは作業用車両により作業できない、と言ったことをなくすることができる。
【0019】
請求項2に係る本発明の作業車両の制御装置は、以上のように構成するものであるから、車両が所定の第1傾斜角以上となった時に制御手段は、報知手段に第1報知信号を出力し報知させるので、選択手段でローラ付ジャッキ装置を選択してローラ付ジャッキ装置で車両を支持している時に車両の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置で車両を支持している時には、所定の第1傾斜角以上を検出しても選択手段が接地板付ジャッキ装置を選択しているので、制御手段は報知手段へ第1報知信号の出力を規制させる。よって接地板付ジャッキ装置で車両を支持している時に、警報がうるさい、あるいは作業用車両により作業できない、と言ったことをなくすることができる。
【0020】
請求項3に係る本発明の作業車両の制御装置は、以上のように構成するものであるから、
選択手段で接地板付ジャッキ装置を選択して接地板付ジャッキ装置で車両を支持している時で車両が所定の第1傾斜角より大きい第2傾斜角となった時には、制御手段は報知手段に第2報知信号を出力し報知させるので、接地板付ジャッキ装置で車両を支持している場合でも危険な作業の回避ができ安全が確保できる。
【0021】
請求項4に係る本発明の作業車両の制御装置は、以上のように構成するものであるから、ローラ付ジャッキ装置で車両を支持しローラ付ジャッキ接地検出手段が接地を検出し車両が所定の第1傾斜角以上となった時には、制御手段は報知手段に第1報知信号を出力し報知するので車両の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置で車両を支持している時には、所定の第1傾斜角以上を検出してもローラ付ジャッキ接地検出手段が接地検出をしていないので制御手段は報知手段に第1報知信号を出力しない。よって接地板付ジャッキ装置で車両を支持している時に、警報がうるさい、あるいは作業用車両により作業できない、と言ったことをなくすることができる。
【0022】
請求項5に係る本発明の作業車両の制御装置は、以上のように構成するものであるから、車両が所定の第1傾斜角以上となった時には、制御手段は報知手段に第1報知信号を出力し報知させるので、ローラ付ジャッキ装置で車両を支持している時に車両の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置で車両を支持している時には、所定の第1傾斜角以上の傾斜角を検出しても接地板付ジャッキ接地検出手段が接地検出をすると、制御手段は報知手段へ第1報知信号の出力を規制させる。よって接地板付ジャッキ装置で車両を支持している時に、警報がうるさい、あるいは作業用車両により作業できない、と言ったことをなくすることができる。
【0023】
請求項6に係る本発明の作業車両の制御装置は、以上のように構成するものであるから、前記制御手段は、所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出すると報知手段に第2報知信号を出力し報知させるので、接地板付ジャッキ装置で車両を支持している場合でも危険な作業の回避でき安全が確保できる。
【0024】
請求項7に係る本発明の作業車両の制御装置は、以上のように構成するものであるから、前記制御手段は、所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出しかつ接地板付ジャッキ接地検出手段が接地を検出すると、制御手段は報知手段に第2報知信号を出力し報知させるので、接地板付ジャッキ装置で車両を支持している場合でも危険な作業の回避ができ安全が確保できる。
【0025】
請求項8に係る本発明の作業車両の制御装置は、以上のように構成するものであるから、ローラ付ジャッキ装置で車両を支持しローラ付ジャッキ接地検出手段が接地検出している時に所定の第1傾斜角以上の傾斜角を検出すると、制御手段は報知手段に第1報知信号を出力し報知させるので、車両の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置で車両を支持し接地板付ジャッキ接地検出手段が接地検出している時に所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出すると、制御手段は報知手段に第2報知信号を出力し報知させるので、接地板付ジャッキ装置で車両を支持している場合でも危険な作業の回避ができ安全が確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明に係る作業車両の制御装置の実施形態について、図11および図12に図示した高所作業車に適用した場合を例に図1〜図10に図示し以下に説明する。したがって、図11および図12に図示し説明した符合については以下の説明についても同符合を用い説明を省略する。
【0027】
(第1実施形態)
請求項1に対応する本件発明の実施形態を図1に図示し以下に説明する。19は、各ジャッキ駆動手段33または43の各制御弁33bまたは43bを制御するための操作信号19aを出力する操作手段である。20は、操作手段19でローラ付ジャッキ装置4または接地板付ジャッキ装置3のいずれを駆動して車両1を支持させるか選択する選択手段で、選択信号20aを出力する。21は、車両1に取付けられて車両1の全周方向の傾斜角度を検出する傾斜角検出手段であって、検出した傾斜角度を傾斜角信号21aで出力する。22は、警報器を作動させる報知手段で、第1報知信号22aを受けて作動する。なお、この報知手段22は、旋回台12および伸縮ブーム13の駆動を停止あるいは車両1の走行駆動を停止させるようにして、オペレータに報知するようにしたものであってもよい。
【0028】
50は、制御手段であって次のような機能を備えている。すなわち、制御手段50は、選択手段20からの選択信号20aを受け、操作手段19からの操作信号19aを選択手段20で選択された側の制御弁33bあるいは制御弁43bに制御信号を出力する。例えば、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持させる場合には、選択手段20で接地板付ジャッキ装置3を操作する側に選択し、操作手段19からの操作信号19aを制御弁33bに出力する。そしてジャッキ30の接地板5を地面Gに設置させて車両1を接地板付ジャッキ装置3で支持させる。
【0029】
また、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持させる場合には、選択手段20でローラ付ジャッキ装置4を操作する側に選択し、操作手段19からの操作信号19aを制御弁43bに出力する。そしてローラ付ジャッキ装置4のローラ6を地面Gに設置させて車両1をローラ付ジャッキ装置4で支持させる。
【0030】
更に、制御手段50は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aを受けて、検出した傾斜角が所定の第1傾斜角(例えば3°)以上を検出しているか否かを判別する。そして前記選択手段20の選択信号20aがローラ付ジャッキ装置4を選択しかつ傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aが所定の第1傾斜角以上である場合に、第1報知信号22aを報知手段22に出力する。
【0031】
次に、制御手段50は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aが所定の第1傾斜角以上を検出していると判別しても、前記選択手段20で接地板付ジャッキ装置3を選択している場合には、第1報知信号22aを報知手段22に出力しない。
【0032】
したがって、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持して作業する所謂走行移動での高所作業を行う時で車両1が所定の第1傾斜角以上となった時には、報知手段22により報知されるので車両1の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置3で車両を支持して作業する所謂定位置での高所作業を行う時は、所定の第1傾斜角以上を検出しても選択手段20がローラ付ジャッキ装置4を選択していないので、報知手段22により報知されることはない。よって接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、警報がうるさい、と言ったことをなくすることができる。
【0033】
また報知手段22で、旋回台12および伸縮ブーム13の駆動を停止あるいは車両1の走行駆動を停止させるようにして、オペレータに報知するようにした場合には、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、上記駆動の停止により作業できない、と言ったことをなくすることができる。
【0034】
(第2実施形態)
請求項2に対応する本件発明の実施形態を図2に図示し以下に説明する。図2に図示する実施形態は、図1に図示して説明した実施形態とは制御手段60のみが相違しており、他の構成部分は同じであるので、制御手段60のみについて説明し他の構成部分の説明は省略する。制御手段60は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aを受けて、検出した傾斜角が所定の第1傾斜角(例えば3°)以上を検出しているか否かを判別する。そして制御手段60は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aが所定の第1傾斜角(例えば3°)以上を検出する場合には、第1報知信号22aを報知手段22に出力する。しかし制御手段60は、前記選択手段20の選択信号20aが接地板付ジャッキ装置3を選択していることを判別した場合には、第1報知信号22aの出力を規制し第1報知信号22aを報知手段22に出力しない。
【0035】
したがって、車両1が所定の第1傾斜角以上となった時に報知手段22により報知されるので、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持している時に車両1の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時には、所定の第1傾斜角以上を検出しても選択手段20が接地板付ジャッキ装置3を選択しているので報知手段22への第1報知信号22aの出力が規制される。よって接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、警報がうるさい、と言ったことをなくすることができる。
【0036】
また報知手段22で、旋回台12および伸縮ブーム13の駆動を停止あるいは車両1の走行駆動を停止させるようにして、オペレータに報知するようにした場合には、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、上記駆動の停止により作業できない、と言ったことをなくすることができる。
【0037】
(第3実施形態)
請求項3に対応する本件発明の実施形態を図3および図4に図示し以下に説明する。図3に図示する実施形態は、図1に図示して説明した実施形態とは次に説明する機能が制御手段70に追加されている点で相違している。すなわち、制御手段70は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aを受けて、検出した傾斜角が所定の第1傾斜角(例えば3°)より大の第2傾斜角を検出しているか否かを判別する。そして前記選択手段20の選択信号20aが接地板付ジャッキ装置3を選択しかつ傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aが第2傾斜角を検出する場合に、第2報知信号22bを報知手段22に出力する。報知手段22は、第2報知信号22bを受け第1報知信号22aを受けて報知させる警報音と違った警報音で報知させるようにしている。ここで警報音は、音声による警報メッセージでもよく、第1報知信号22aを受けた時と第2報知信号22bを受けた時の音声による警報メッセージの内容を変更したものであってもよい。
【0038】
また、図4に図示する実施形態は、図2に図示して説明した実施形態とは次に説明する機能が制御手段80に追加されている点で相違している。すなわち、制御手段80は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aを受けて、検出した傾斜角が所定の第1傾斜角(例えば3°)より大の第2傾斜角を検出しているか否かを判別する。そして前記選択手段20の選択信号20aが接地板付ジャッキ装置3を選択しかつ傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aが第2傾斜角を検出する場合に、第2報知信号22bを報知手段22に出力する。報知手段22は、第2報知信号22bを受け第1報知信号22aを受けて報知させる警報音と違った警報音で報知させるようにしている。ここで警報音は、音声による警報メッセージでもよく、第1報知信号22aを受けた時と第2報知信号22bを受けた時の音声による警報メッセージの内容を変更したものであってもよい。
【0039】
請求項3に対応する本件発明の実施形態は以上のように構成するものであるから、選択手段20で接地板付ジャッキ装置3を選択して接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時で車両1が所定の第1傾斜角より大きい第2傾斜角となった時には、制御手段50,60は報知手段22に第2報知信号22bを出力し報知させるので、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している場合でも危険な作業の回避ができ安全が確保できる。
(第4実施形態)
請求項4に対応する本件発明の実施形態を図5に図示し以下に説明する。図5に図示する実施形態は、図1に図示して説明した実施形態とはローラ付ジャッキ接地検出手段23を追加している点と制御手段90の機能を変更している点で相違しており、他の構成部分は同じであるので、他の構成部分の説明は省略する。なお、図1の制御手段50では前記選択手段20の選択信号20aがローラ付ジャッキ装置4を選択したことの信号を受けてローラ付ジャッキ装置4により車両1を支持させていることを判断させるようにしていたが、制御手段90ではこの機能を備えていない。
【0040】
ローラ付ジャッキ接地検出手段23は、ローラ付ジャッキ装置4のローラ6が地面Gに接地してローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持した時を検出する手段で、各ジャッキ40のジャッキ外筒41と油圧シリンダ43aを連結する連結部のガタを検出(具体的には、車体1を支持しない時に生じていた隙間が車体1を支持した時になくなることを検出)し、4箇所の各ジャッキ40にこのローラ付ジャッキ接地検出手段23を配置している。
【0041】
制御手段90は、選択手段20からの選択信号20aを受け、操作手段19からの操作信号19aを選択手段20で選択された側の制御弁33bあるいは制御弁43bに制御信号を出力する機能は上記実施形態と同じである。よって例えば、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持させる場合には、選択手段20で接地板付ジャッキ装置3を操作する側に選択し、操作手段19からの操作信号19aを制御弁33bに出力する。そしてジャッキ30の接地板5を地面Gに設置させて車両1を接地板付ジャッキ装置3で支持させる。
【0042】
また、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持させる場合には、選択手段20でローラジャッキ装置4を操作する側に選択し、操作手段19からの操作信号19aを制御弁43bに出力する。そしてローラ付ジャッキ装置4のローラ6を地面Gに設置させて車両1をローラ付ジャッキ装置4で支持させる。
【0043】
前記制御手段90は、4箇所の各ジャッキ40に配置したローラ付ジャッキ接地検出手段23のすべてがローラ6の接地を検出した時にローラ付ジャッキ装置4の接地を検出したと判断する。したがって、傾斜角検出手段21とローラ付ジャッキ接地検出手段23からの信号を受けローラ付ジャッキ装置4の接地を検出したと判断しかつ傾斜角検出手段21からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に第1報知信号22aを前記報知手段22に出力するように機能する。
【0044】
したがって、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持している時で車両1が所定の第1傾斜角以上となった時には、報知手段22により報知されるので車両1の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時には、所定の第1傾斜角以上を検出してもローラ付ジャッキ接地検出手段23が接地検出をしていないので報知手段22により報知されることはない。よって接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、警報がうるさい、と言ったことをなくすることができる。
【0045】
また報知手段22で、旋回台12および伸縮ブーム13の駆動を停止あるいは車両1の走行駆動を停止させるようにして、オペレータに報知するようにした場合には、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、上記駆動の停止により作業できない、と言ったことをなくすることができる。
(第5実施形態)
請求項5に対応する本件発明の実施形態を図6に図示し以下に説明する。図6に図示する実施形態は、図1に図示して説明した実施形態とは接地板付ジャッキ接地検出手段24を追加している点と制御手段100の機能を変更している点で相違しており、他の構成部分は同じであるので、他の構成部分の説明は省略する。なお、図1の制御手段50では前記選択手段20の選択信号20aがローラ付ジャッキ装置4を選択したことの信号を受けてローラ付ジャッキ装置4により車両1を支持させていることを判断させるようにしていたが、制御手段100ではこの機能を備えていない。
【0046】
接地板付ジャッキ接地検出手段24は、ジャッキ装置3の接地板5が地面Gに接地して接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持した時を検出する手段で、各ジャッキ30のジャッキ外筒31と油圧シリンダ33aを連結する連結部のガタを検出(具体的には、車体1を支持しない時に生じていた隙間が車体1を支持した時になくなることを検出)し、4箇所の各ジャッキ40にこの接地板付ジャッキ接地検出手段24を配置している。
【0047】
制御手段100は、選択手段20からの選択信号20aを受け、操作手段19からの操作信号19aを選択手段20で選択された側の制御弁33bあるいは制御弁43bに制御信号を出力する機能は上記実施形態と同じである。よって例えば、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持させる場合には、選択手段20で接地板付ジャッキ装置3を操作する側に選択し、操作手段19からの操作信号19aを制御弁33bに出力する。そしてジャッキ30の接地板5を地面Gに設置させて車両1を接地板付ジャッキ装置3で支持させる。
【0048】
また、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持させる場合には、選択手段20でローラ付ジャッキ装置4を操作する側に選択し、操作手段19からの操作信号19aを制御弁43bに出力する。そしてローラ付ジャッキ装置4のローラ6を地面Gに設置させて車両1をローラ付ジャッキ装置4で支持させる。
【0049】
前記制御手段100は、4箇所の各ジャッキ30に配置した接地板付ジャッキ接地検出手段24のすべてが接地板5の接地を検出した時に接地板付ジャッキ装置3の接地を検出したと判断する。前記制御手段80は、傾斜角検出手段21からの信号を受け傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に第1報知信号22aを前記報知手段22に出力するとともに、接地板付ジャッキ接地検出手段24からの信号を受けると前記第1報知信号22aの出力を規制するように機能する。
【0050】
したがって、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持している時で車両1が所定の第1傾斜角以上となった時には、制御手段100は報知手段22に第1報知信号22bを出力し報知するので車両1の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時には、所定の第1傾斜角以上を検出しても接地板付ジャッキ接地検出手段24が接地検出をすると、制御手段100は報知手段22へ第1報知信号22aの出力を規制させる。よって接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、警報がうるさい、と言ったことをなくすることができる。
【0051】
また報知手段22で、旋回台12および伸縮ブーム13の駆動を停止あるいは車両1の走行駆動を停止させるようにして、オペレータに報知するようにした場合でも、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、上記駆動の停止により作業できない、と言ったことをなくすることができる。
(第6実施形態)
請求項6に対応する本件発明の実施形態を図7または図8に図示し以下に説明する。図7に図示する実施形態は、図5に図示して説明した実施形態とは次に説明する機能が制御手段110に追加されている点で相違している。すなわち、制御手段110は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aを受けて、検出した傾斜角が所定の第1傾斜角(例えば3°)より大の第2傾斜角を検出しているか否かを判別し、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aが第2傾斜角を検出する場合に、第2報知信号22bを報知手段22に出力する。報知手段22は、第2報知信号22bを受け第1報知信号22aを受けて報知させる警報音と違った警報音で報知させるようにしている。ここで警報音は、音声による警報メッセージでもよく、第1報知信号22aを受けた時と第2報知信号22bを受けた時の音声による警報メッセージの内容を変更したものであってもよい。
【0052】
したがって、所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出すると、制御手段70は報知手段22に第2報知信号22bを出力し報知させるので、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している場合でも危険な作業の回避でき安全が確保できる。
【0053】
また、図8に図示する実施形態は、図6に図示して説明した実施形態とは次に説明する機能が制御手段120に追加されている点で相違している。すなわち、制御手段120は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aを受けて、検出した傾斜角が所定の第1傾斜角(例えば3°)より大の第2傾斜角を検出しているか否かを判別し、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aが第2傾斜角を検出する場合に、第2報知信号22bを報知手段22に出力する。報知手段22は、第2報知信号22bを受け第1報知信号22aを受けて報知させる警報音と違った警報音で報知させるようにしている。ここで警報音は、音声による警報メッセージでもよく、第1報知信号22aを受けた時と第2報知信号22bを受けた時の音声による警報メッセージの内容を変更したものであってもよい。
【0054】
したがって、所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出すると、制御手段70は報知手段22に第2報知信号22bを出力し報知させるので、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している場合でも危険な作業の回避でき安全が確保できる。
(第7実施形態)
請求項7に対応する本件発明の実施形態を図9に図示し以下に説明する。図9に図示する実施形態は、図8に図示して説明した実施形態とは次に説明する機能が制御手段130に追加されている点で相違している。すなわち、制御手段130は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aを受けて、検出した傾斜角が所定の第1傾斜角(例えば3°)より大の第2傾斜角を検出しているか否かを判別する。そして制御手段130は、前記接地板付ジャッキ接地検出手段24が接地検出し且つ傾斜角検出手段21から第2傾斜角を検出する信号を受けると、第2報知信号22bを報知手段22に出力する。報知手段22は、第2報知信号22bを受け第1報知信号22aを受けて報知させる警報音と違った警報音で報知させるようにしている。ここで警報音は、音声による警報メッセージでもよく、第1報知信号22aを受けた時と第2報知信号22bを受けた時の警報メッセージの内容を変更したものであってもよい。
【0055】
したがって、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出すると、制御手段110は報知手段22に第2報知信号22bを出力し報知させるので、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している場合でも危険な作業の回避でき安全が確保できる。
(第8実施形態)
請求項8に対応する本件発明の実施形態を図10に図示し以下に説明する。図10に図示する実施形態は、図5および図6に図示して説明した実施形態のローラ付ジャッキ接地検出手段23と接地板付ジャッキ接地検出手段24の両検出手段を備えている点と制御手段140の機能を変更している点で相違しており、他の構成部分は同じであるので、他の構成部分の説明は省略する。
【0056】
制御手段140は、選択手段20からの選択信号20aを受け、操作手段19からの操作信号19aを選択手段20で選択された側の制御弁33bあるいは制御弁43bに制御信号を出力する機能は上記実施形態と同じである。よって例えば、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持させる場合には、選択手段20で接地板付ジャッキ装置3を操作する側に選択し、操作手段19からの操作信号19aを制御弁33bに出力する。そしてジャッキ30の接地板5を地面Gに設置させて車両1を接地板付ジャッキ装置3で支持させる。
【0057】
また、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持させる場合には、選択手段20でローラジャッキ装置4を操作する側に選択し、操作手段19からの操作信号19aを制御弁43bに出力する。そしてローラ付ジャッキ装置4のローラ6を地面Gに設置させて車両1をローラ付ジャッキ装置4で支持させる。
【0058】
前記制御手段140は、4箇所の各ジャッキ40に配置したローラ付ジャッキ接地検出手段23のすべてがローラ6の接地を検出した時にローラ付ジャッキ装置4の接地を検出したと判断する。したがって、傾斜角検出手段21とローラ付ジャッキ接地検出手段23からの信号を受けローラ付ジャッキ装置4の接地を検出したと判断しかつ傾斜角検出手段21からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に第1報知信号22aを前記報知手段22に出力するように機能する。
【0059】
したがって、ローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持している時で車両1が所定の第1傾斜角以上となった時には、報知手段22により報知されるので車両1の逸走を回避でき安全が確保できる。また、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時には、所定の第1傾斜角以上を検出してもローラ付ジャッキ接地検出手段23が接地検出をしていないので報知手段22により報知されることはない。よって接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、警報がうるさい、と言ったことをなくすることができる。
【0060】
また報知手段22で、旋回台12および伸縮ブーム13の駆動を停止あるいは車両1の走行駆動を停止させるようにして、オペレータに報知するようにした場合には、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に、上記駆動の停止により作業できない、と言ったことをなくすることができる。
【0061】
次に、前記制御手段140は、4箇所の各ジャッキ30に配置した接地板付ジャッキ接地検出手段24のすべてが接地板5の接地を検出した時に接地板付ジャッキ装置3の接地を検出したと判断する。そして、制御手段140は、傾斜角検出手段21からの傾斜角信号21aを受けて、検出した傾斜角が所定の第1傾斜角(例えば3°)より大の第2傾斜角を検出しているか否かを判別する。したがって、傾斜角検出手段21と接地板付ジャッキ接地検出手段24からの信号を受け接地板付ジャッキ装置3の接地を検出したと判断しかつ傾斜角検出手段21からの傾斜角信号が第2傾斜角を検出した場合に第2報知信号22aを前記報知手段22に出力するように機能する。報知手段22は、第2報知信号22bを受け第1報知信号22aを受けて報知させる警報音と違った警報音で報知させるようにしている。ここで警報音は、警報メッセージでもよく、第1報知信号22aを受けた時と第2報知信号22bを受けた時の音声による警報メッセージの内容を変更したものであってもよい。
【0062】
したがって、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している時に所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出すると、制御手段70は報知手段22に第2報知信号22bを出力し報知させるので、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持している場合でも危険な作業の回避ができ安全が確保できる。
(実施形態の応用)
なお、上記実施形態でのローラジャッキ接地検出手段23および接地板付ジャッキ接地検出手段24は、ジャッキ外筒と油圧シリンダを連結する連結部のガタを検出するようにしたが、各ジャッキ装置で設置したときの各油圧シリンダの保持圧力を検出して接地検出するようにしてもよい。また、各ジャッキの支持力をロードセル等で検出し接地検出するようにしたものであってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では接地板付ジャッキ装置3とローラ付ジャッキ装置4を個別に配置した場合で説明したが、図13に図示するように接地板付ジャッキ装置3にローラ6を取付けてローラ付ジャッキ装置4の機能を持たせてもよい。すなわち、ジャッキ内筒32の先端部にローラ6を揺動可能に取付け、ローラ付ジャッキ装置4とする場合にはローラ6を接地板5より下方に突出させて固定できるようにしたものである。このような実施形態においても本発明を利用した実施形態であること勿論のことである。
【0064】
この場合、上記選択手段20は、ローラ6を接地板5より下方に突出させるか否かで手動あるいは自動的に切替えるスイッチ手段で構成すれば、実施形態1,2に対応させることができる。更に、この場合、接地板付ジャッキ装置3に備えた接地板付ジャッキ接地検出手段24は、スイッチ手段の選択により接地板付ジャッキ接地検出手段24あるいはローラ付ジャッキ接地検出手段23として利用でき、第4実施形態および第6実施形態にも対応できる。すなわち、スイッチ手段でローラ付ジャッキ接地を選択すれば接地板付ジャッキ接地検出手段24はローラ付ジャッキ接地検出手段23として機能させることができるし、スイッチ手段で接地板付ジャッキ接地を選択すれば接地板付ジャッキ接地検出手段24は、やはり接地板付ジャッキ接地検出手段24として機能させればよい。
【0065】
次に、上記各実施形態では各制御手段は、接地板付ジャッキ装置3で車両1を支持させローラ付ジャッキ装置4で車両1を支持させるために油圧シリンダを駆動制御する機能と、報知手段22で報知するための報知信号を出力させる機能を備えたものであるが、前者の機能を制御する制御手段を第1制御手段として配置し、後者の機能を制御する制御手段を第2制御手段として個別に配置したものであっても本発明を利用した実施形態であること勿論のことである。
【0066】
更に、上記各実施形態では傾斜角検出手段21は、第1の傾斜角と第2傾斜角の傾斜角を検出できるものとして説明したが、第1傾斜角検出手段と第2傾斜角検出手段の2箇の傾斜角検出手段を配置し、第1の傾斜角を第1傾斜角検出手段で検出し第2傾斜角を第2傾斜角検出手段で検出するようにしたものであっても、本発明を利用した実施形態であること勿論のことである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
上記実施形態では、本発明を高所作業車に適用した場合を説明したが、橋梁点検車、軌陸車、等の接地板付ジャッキ装置とローラ付ジャッキ装置を備えた作業車両に適用できること勿論である。すなわち、前記ローラ付ジャッキ装置3は、軌陸車では鉄輪付ジャッキ装置に該当し、鉄輪で走行移動させながら作業する車両にも本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項1に対応する実施形態(第1実施形態)である。
【図2】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項2に対応する実施形態(第2実施形態)である。
【図3】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項3に対応する実施形態(第3実施形態)である。
【図4】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項3に対応する他の実施形態(第3実施形態)である。
【図5】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項4に対応する実施形態(第4実施形態)である。
【図6】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項5に対応する実施形態(第5実施形態)である。
【図7】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項6に対応する実施形態(第6実施形態)である。
【図8】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項6に対応する他の実施形態(第6実施形態)である。
【図9】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項7に対応する実施形態(第7実施形態)である。
【図10】本発明に係る作業車両の制御装置を説明する説明図で、請求項8に対応する実施形態(第8実施形態)である。
【図11】本発明に係る作業車両を説明する説明図で、ジャッキ装置で車両を支持した状態を示している。
【図12】本発明に係る作業車両を説明する説明図で、ローラ付ジャッキ装置で車両を支持した状態を示している。
【図13】本発明に係る作業車両を説明する説明図で、ジャッキ装置をローラ付ジャッキ装置と兼用できるジャッキ装置を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0069】
1 車両
3 接地板付ジャッキ装置
4 ローラ付ジャッキ装置
5 接地板
6 ローラ
20 選択手段
21 傾斜角検出手段
22 報知手段
22a 第1報知信号
22b 第2報知信号
23 ローラ付ジャッキ接地検出手段
24 接地板付ジャッキ接地検出手段
33 ジャッキ駆動手段
43 ジャッキ駆動手段
50 制御手段
60 制御手段
70 制御手段
80 制御手段
90 制御手段
100 制御手段
110 制御手段
120 制御手段
130 制御手段
140 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、
車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段とを配置し、前記制御手段は、当該傾斜角検出手段と前記選択手段からの信号を受け選択手段からの選択信号がローラ付ジャッキ装置を選択しかつ傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に第1報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項2】
ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、
車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段とを配置し、前記制御手段は、傾斜角検出手段と前記選択手段からの信号を受け傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に前記第1報知信号を前記報知手段に出力するとともに、前記選択手段からの選択信号が接地板付ジャッキ装置を選択している場合に前記第1報知信号の出力を規制するように構成したことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記制御手段は、選択手段からの選択信号が接地板付ジャッキ装置を選択しかつ傾斜角検出手段からの傾斜角信号が前記所定の第1傾斜角より大きい第2傾斜角を検出する場合に第2報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項4】
ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、
車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段と、前記ローラ付ジャッキ装置により車両を支持しローラ付ジャッキ装置の接地を検出するローラ付ジャッキ接地検出手段とを配置し、前記制御手段は、傾斜角検出手段とローラ付ジャッキ接地検出手段からの信号を受けローラ付ジャッキ接地検出手段からの信号がローラ付ジャッキ装置の接地を検出しかつ傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に第1報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項5】
ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、
車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段と、前記接地板付ジャッキ装置により車両を支持し接地板付ジャッキ装置の接地を検出する接地板付ジャッキ接地検出手段とを配置し、前記制御手段は、傾斜角検出手段からの信号を受け傾斜角信号が所定の第1傾斜角以上を検出する場合に第1報知信号を前記報知手段に出力するとともに、接地板付ジャッキ接地検出手段からの信号を受け接地板付ジャッキ装置の接地を検出すると前記第1報知信号の出力を規制するように構成したことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、前記制御手段は、傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出する場合に第2報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項7】
請求項5において、前記制御手段は、接地板付ジャッキ接地検出手段からの信号を受け接地板付ジャッキ装置の接地を検出しかつ傾斜角検出手段からの傾斜角信号が所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出する場合に第2報知信号を前記報知手段に出力するように構成したことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項8】
ジャッキの下端部に接地板を取付けた接地板付ジャッキ装置と、ジャッキの下端部にローラを取付けたローラ付ジャッキ装置とを車両の前後・左右4箇所に備え、両ジャッキ装置のいずれか一方を選択する選択手段と、各ジャッキ装置を駆動するジャッキ駆動手段と、選択手段からの選択信号を受け選択されたジャッキ装置のジャッキ駆動手段を駆動する制御手段とを設け、選択手段で選択されたジャッキ装置で車両を支持させて作業するようにした作業車両において、
車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、報知信号を受け報知する報知手段と、前記ローラ付ジャッキ装置により車両を支持しローラ付ジャッキ装置の接地を検出するローラ付ジャッキ接地検出手段と、前記接地板付ジャッキ装置により車両を支持し接地板付ジャッキ装置の接地を検出する接地板付ジャッキ接地検出手段とを配置し、前記制御手段は、傾斜角検出手段とローラ付ジャッキ接地検出手段と接地板付ジャッキ接地検出手段からの信号を受け、傾斜角検出手段からの信号が所定の第1傾斜角以上を検出しかつローラ付ジャッキ接地検出手段からの信号がローラ付ジャッキ装置の接地を検出した場合に第1報知信号を前記報知手段に出力するとともに、傾斜角検出手段からの信号が所定の第1傾斜角より大の第2傾斜角を検出しかつ接地板付ジャッキ接地検出手段からの信号が接地板付ジャッキ装置の接地を検出した場合に前記報知手段に第2報知信号を出力するように構成したことを特徴作業車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−8317(P2006−8317A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187251(P2004−187251)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】