説明

併用薬剤

本発明は、それぞれを単剤で用いるよりも有意に優れた敗血症予防および/または治療効果を奏する、式(I)で示される少なくとも1種のヒドロキサム酸誘導体(各記号は明細書中に記載のとおり)またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と少なくとも1種の抗菌薬とを含む併用薬剤、該薬剤を用いて敗血症を予防および/または治療する方法、および、敗血症を予防および/または治療するための、式(I)で示される少なくとも1種のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と少なくとも1種の抗菌薬との組み合わせての使用を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、抗菌薬とヒドロキサム酸誘導体とを含む併用薬剤に関する。さらに詳細には、本発明は、敗血症の予防および/または治療のために有用な上記の併用薬剤、上記併用薬剤を用いて敗血症を予防および/または治療する方法、ならびに、敗血症を予防および/または治療するための抗菌薬とヒドロキサム酸誘導体の組み合わせての使用に関する。
【背景技術】
敗血症(sepsis)は、呼吸器系、尿生殖器系、胃腸管、中枢神経系、骨、皮膚などの感染巣から細菌が血液中に進入し、悪寒、発熱、心拍数増加、血圧低下などの臨床症状を呈する全身性疾患であり、体温低下を伴うショック症状や、血圧低下、錯乱等の精神症状、血液凝固異常をきたして死に至る場合がある疾患である。
近年、敗血症患者を明確に定義づけるためにSIRS(Systemic Inflammatory Response Syndrome;全身性炎症反応症候群)の概念が導入された。この定義からも明らかなように敗血症とは感染に対する全身性炎症反応を示す病態ということができる。
現在の敗血症の治療は、敗血症の原因となっている感染菌を除去する抗菌薬による薬物療法が基本となっている。この感染菌除去の薬物療法を基本としつつ、他の薬物療法(心血管作動薬、DIC治療薬など)、人工臓器補助による処置(呼吸管理、血漿交換/ドレナージ、エンドトキシン除去カラムなど)、輸液(補液など)や栄養管理などが併用されるが、これらの処置を伴う敗血症治療は必ずしも確立されたものではなく、各処置を組み合わせて病態の改善を図る対症療法でしかない。これらの処置に基づく敗血症の治療で達成される治療効果は既に限界に達しており、敗血症による死亡率は1980年代から殆ど変動していない。
敗血症の薬物療法に使用されている抗菌薬としては、種々の起炎菌に対し広く抗菌活性を有する広域抗菌スペクトルを持つ抗菌薬を使用することが知られている。例えば、そのような抗菌薬としては、ペニシリン系、セフェム系、ペネム系、モノバクタム系、およびその他β−ラクタム系、ならびに、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系などの抗生物質が知られている。しかしながら、敗血症は非常に緊急性を要する疾患であるので、起炎菌が検出・同定される以前から医師の経験的な判断に基づき抗菌薬の投与が実施される。従って、この抗菌薬の投与は、場合によっては菌交代現象を導き、特定の感染菌の増殖を助長し、病態の遷延化を招くことも多く、課題も少なくない。
また、敗血症は初期には症状として体温上昇を伴う場合が多いが、重篤な状態に達すると一変して体温低下の傾向を示すため、体温低下は敗血症の重症度を判定する1つの指標ともなっている。このため、この体温低下を抑制することは敗血症の悪化の抑制あるいは延命に繋がると考えられるが、現在、敗血症における体温低下を効果的に抑制することができる薬剤は報告されていない。
WO99/61412およびWO02/06214には、式(I):

[式中、Xは水素または水酸基の保護基を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アルケニル、または−(CH−A〔lは1〜4のいずれかの整数であり、Aは、(a)N原子によって結合し、(b)該結合N原子に隣接しない位置にさらなるヘテロ原子として、N、OおよびSから選ばれる少なくとも1種の原子を含有していてもよく、(c)該結合N原子に隣接する一方または両方のC原子に関し、オキソによって置換され、および(d)ベンゾ縮合するか、または1以上の他のC原子に関し、低級アルキルもしくはオキソによって置換されているか、および/または別のN原子に関し、低級アルキルもしくはフェニルによって置換されていてもよい5または6員N−ヘテロ環を表す〕を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたはアリールを示し、Rは水素、アルキルまたは式

で表される基を示し〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、nおよびqは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示し、R17は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕、Yはアルキルアミノまたは式

で表される基を示す〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、R18は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示し、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕。
但し、
が式(A)

(式中、Qはベンゼン環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13はグアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたは

から選ばれる基を示す(式中、nは1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示す))で表される基以外の基の場合、
Yは式(B)

(式中、Qはベンゼン環を示し、R18

(式中、sは1〜5のいずれかの整数を示し、uは1または2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示すか、またはQはフラン環を示し、R18はアリールアルキルオキシアルキルまたは

(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示す)で表される基を示す。
前記のアリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルは置換基を有していてもよい。]で示されるヒドロキサム酸誘導体(本明細書中、以下、「式(I)のヒドロキサム酸誘導体」ともいう)が記載されており、該ヒドロキサム酸誘導体が腫瘍壊死因子(TNF−α)の産生阻害剤として有用なことが記載されている。しかしながら、敗血症の処置において、該ヒドロキサム酸誘導体と抗菌薬とを併用することにより、それぞれを単剤で用いるよりも優れた敗血症の予防および/または治療効果が得られることは開示されていない。
【発明の開示】
本発明は、上述のような抗菌薬を用いる敗血症治療が直面している問題を鑑み、より高い治療効果が安全に得られる敗血症予防および/または治療用医薬を提供することを課題とした。
本発明者らは、種々の検討を行った結果、式(I)のヒドロキサム酸誘導体と抗菌薬とを併用することによって、これらを単剤で用いるよりも効果的に敗血症を予防および/または治療することができることを見出した。
本発明者らはまた、式(I)のヒドロキサム酸誘導体が、敗血症モデルにおいて体温低下を効果的に抑制することを新たに見出したが、該体温低下の抑制は、敗血症が重篤化した際の体温低下に伴うショック症状を緩和し、病勢の遷延を抑制して、延命作用を奏することから、式(I)のヒドロキサム酸誘導体と抗菌薬との併用効果が1つの原因であると推定される。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 少なくとも1種の式(I):

[式中、Xは水素または水酸基の保護基を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アルケニル、または−(CH−A〔lは1〜4のいずれかの整数であり、Aは、(a)N原子によって結合し、(b)該結合N原子に隣接しない位置にさらなるヘテロ原子として、N、OおよびSから選ばれる少なくとも1種の原子を含有していてもよく、(c)該結合N原子に隣接する一方または両方のC原子に関し、オキソによって置換され、および(d)ベンゾ縮合するか、または1以上の他のC原子に関し、低級アルキルもしくはオキソによって置換されているか、および/または別のN原子に関し、低級アルキルもしくはフェニルによって置換されていてもよい5または6員N−ヘテロ環を表す〕を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたはアリールを示し、Rは水素、アルキルまたは式

で表される基を示し〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、nおよびqは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示し、R17は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕、Yはアルキルアミノまたは式

で表される基を示す〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、R18は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示し、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕。
但し、
が式(A)

(式中、Qはベンゼン環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13はグアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたは

から選ばれる基を示す(式中、nは1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示す))で表される基以外の基の場合、
Yは式(B)

(式中、Qはベンゼン環を示し、R18

(式中、sは1〜5のいずれかの整数を示し、uは1または2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示すか、またはQはフラン環を示し、R18はアリールアルキルオキシアルキルまたは

(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示す)で表される基を示す。
前記のアリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルは置換基を有していてもよい。]で示されるヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と
少なくとも1種の抗菌薬と
を含む併用薬剤。
〔2〕 抗菌薬がカルバペネム系の抗菌薬である、〔1〕に記載の併用薬剤。
〔3〕 抗菌薬が、(5R,6S)−3−[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチルスルファニル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物を含む薬剤である、〔1〕または〔2〕に記載の併用薬剤。
〔4〕 抗菌薬が、(5R,6S)−3−[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチルスルファニル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物、および(+)−(Z)−7−〔〔(R)−2−アミノ−2−カルボキシエチル〕チオ〕−2−〔(S)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシアミド〕−2−ヘプタン酸ナトリウムまたはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物を含む薬剤である、〔1〕に記載の併用薬剤。
〔5〕 式(I)で示されるヒドロキサム酸誘導体が、5−メチル−3(R)−{1(S)−メチルカルバモイル−2−[4−(3−スルホプロポキシ)フェニル]エチルカルバモイル}−2(R)−フタルイミドメチルヘキサノヒドロキサム酸である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の併用薬剤。
〔6〕 式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが一製剤中に含有されている、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の併用薬剤。
〔7〕 式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが各々別個の製剤中に含有されている、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の併用薬剤。
〔8〕 注射剤の形態である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の併用薬剤。
〔9〕 抗菌薬と式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物とが、単位時間あたり、投与対象の体重1kgあたり1:0.006〜0.2の重量比で持続注入されるものである、〔8〕に記載の併用薬剤。
〔10〕 敗血症の予防および/または治療用である、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の併用薬剤。
〔11〕 体温低下を抑制する、〔10〕に記載の併用薬剤。
〔12〕 少なくとも1種の式(I):

[式中の各記号は上で定義したとおり。]で示されるヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物の有効量と、少なくとも1種の抗菌薬の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする、敗血症を予防および/または治療する方法。
〔13〕 抗菌薬がカルバペネム系の抗菌薬である、〔12〕に記載の方法。
〔14〕 抗菌薬が、(5R,6S)−3−[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチルスルファニル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物を含む薬剤である、〔12〕または〔13〕に記載の方法。
〔15〕 抗菌薬が、(5R,6S)−3−[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチルスルファニル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物、および(+)−(Z)−7−〔〔(R)−2−アミノ−2−カルボキシエチル〕チオ〕−2−〔(S)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシアミド〕−2−ヘプタン酸ナトリウムまたはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物を含む薬剤である、〔12〕に記載の方法。
〔16〕 式(I)で示されるヒドロキサム酸誘導体が、5−メチル−3(R)−{1(S)−メチルカルバモイル−2−[4−(3−スルホプロポキシ)フェニル]エチルカルバモイル}−2(R)−フタルイミドメチルヘキサノヒドロキサム酸である、〔12〕〜〔15〕のいずれかに記載の方法。
〔17〕 式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが一つの製剤に製剤化されている、〔12〕〜〔16〕のいずれかに記載の方法。
〔18〕 式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが各々別個の製剤に製剤化されている、〔12〕〜〔16〕のいずれかに記載の方法。
〔19〕 式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが少なくとも1つの注射剤に製剤化されている、〔12〕〜〔18〕のいずれかに記載の方法。
〔20〕 抗菌薬と式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物とが、単位時間あたり、投与対象の体重1kgあたり1:0.006〜0.2の重量比で持続注入される、〔19〕に記載の方法。
〔21〕 体温低下を抑制する、〔12〕に記載の方法。
〔22〕 敗血症予防および/または治療剤を製造するための、少なくとも1種の抗菌薬と少なくとも1種の式(I):

[式中の各記号は上で定義したとおり。]で示されるヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物の使用。
〔23〕 〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の併用薬剤、および該併用薬剤を敗血症の処置に使用しうるかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。
【図面の簡単な説明】
図1は、CLPモデルにおける本発明の併用薬剤の生存率改善効果を示すグラフである。
図2は、CLPモデルにおける本発明の併用薬剤の体温低下抑制効果を示すグラフである。
発明の詳細な説明
式(I)のヒドロキサム酸誘導体と抗菌薬とを含む併用薬剤(以下、単に「本発明の併用薬剤」ともいう)は、敗血症の予防および/または治療に有用である。具体的には、本発明の併用薬剤を用いることにより敗血症に罹患している対象の死亡率を低下させることができる。さらに詳細には、重篤な状態に陥った敗血症罹患対象における体温低下を効果的に抑制することができる。
本明細書中で使用されている記号について以下に説明する。
、R、R、R14、R15、R19およびR20におけるアルキルとは、炭素数1〜10で直鎖状でも分枝鎖状でもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル等が挙げられ、好ましくは低級アルキルが挙げられる。
、R、R14、R15、R19およびR20におけるアリールアルキルとは、そのアルキル部は、好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよく、そのアリール部は、好ましくはフェニル、ナフチル、またはオルト融合した二環式の基で8〜10個の環原子を有し少なくとも一つの環が芳香環であるもの(例えばインデニル等)等が挙げられる。具体的には、ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2−(1−ナフチル)エチル、2−(2−ナフチル)エチル、3−(1−ナフチル)プロピル、3−(2−ナフチル)プロピル等が挙げられる。
におけるヘテロアリールチオアルキルとは、そのアルキル部は、好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよく、そのヘテロアリール部は、好ましくは炭素原子および1〜4個のヘテロ原子(酸素、硫黄または窒素)を有する5〜6員環基、またはそれから誘導される8〜10個の環原子を有するオルト融合した二環式ヘテロアリール、特にベンゼン環と縮合したベンゾ誘導体、もしくはプロペニレン、トリメチレンもしくはテトラメチレン基をそれに融合して導かれるもの、ならびにその安定なN−オキシド等が挙げられる。ヘテロアリール部としては、例えば、ピロリル、ピロリニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,5−オキサチアジニル、1,2,6−オキサチアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアナフテニル、イソチアナフテニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ベンゾオキサジニル等が挙げられる。
におけるヘテロアリールチオアルキルとしては、具体的には、2−ピロリルチオメチル、2−ピリジルチオメチル、3−ピリジルチオメチル、4−ピリジルチオメチル、2−チエニルチオメチル等が挙げられる。
におけるアリールチオアルキルとは、そのアルキル部は、好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよく、そのアリール部は上記アリールアルキルのアリール部と同様である。具体的には、フェニルチオメチル、1−ナフチルチオメチル、2−ナフチルチオメチル等が挙げられる。
におけるアルキルチオアルキルとは、そのアルキルチオ部のアルキル部は上記アルキルと同様であり、残りのアルキル部は好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよい。具体的には、メチルチオメチル、エチルチオメチル、n−プロピルチオメチル、イソプロピルチオメチル、n−ブチルチオメチル、イソブチルチオメチル、sec−ブチルチオメチル、tert−ブチルチオメチル等が挙げられる。
におけるアリールアルキルチオアルキルとは、そのアリールアルキル部は上記アリールアルキルと同様である。残りのアルキル部は好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよい。具体的には、ベンジルチオメチル、フェネチルチオメチル等が挙げられる。
におけるフタルイミドアルキルのアルキル部は、好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよい。具体的には、フタルイミドメチル、2−フタルイミドエチル等が挙げられる。
におけるアルケニルとは、好ましくは炭素数2〜6で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテニル、5−ヘキセニル等が挙げられる。
、R14、R15、R19、R20およびR21におけるアリールとは、上記アリールアルキルのアリール部と同様であり、好ましくはフェニルである。
における−(CH−AのAとしては、N原子で結合しているN−ヘテロ環であり、例えば、次のような基が挙げられる。

[式中、RおよびRは、それぞれ水素または一体となって別の結合を表し二重結合を形成し、R10は水素、低級アルキルまたはフェニルを表し、X’は−CO−、−CH−、−CH(低級アルキル)−、−C(低級アルキル)−、−NH−、−N(低級アルキル)−または−O−を表し、およびY’は−O−、−NH−または−N(低級アルキル)−を表す。]
低級アルキルとは、炭素数1〜6のアルキルであり、直鎖状でも分枝鎖状でもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル等が挙げられる。
当該N−ヘテロ環としては具体的には、例えば、2−オキソ−1−ピロリジニル、1−オキソイソインドリン−2−イル、2−オキソインドリン−1−イル、2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル、1,2−ジメチル−3,5−ジオキソ−1,2,4−トリアゾリジン−4−イル、2,5−ジオキソ−3−メチル−1−イミダゾリジニル、2,5−ジオキソ−3,4,4−トリメチル−1−イミダゾリジニル、3,5−ジオキソ−2−メチル−1,2,4−オキサジアゾリジン−4−イル、3−メチル−2,4,5−トリオキソ−1−イミダゾリジニル、2,5−ジオキソ−3−フェニル−1−イミダゾリジニルおよび2,6−ジオキソピペリジノ等が挙げられる。好ましくは、式(ii)、(iii)、(vii)および(viii)の環、例えば1−オキソイソインドリン−2−イル、2−オキソインドリン−1−イル、1,2−ジメチル−3,5−ジオキソ−1,2,4−トリアゾリジン−4−イル、2,5−ジオキソ−3−メチル−1−イミダゾリジニルまたは2,5−ジオキソ−3,4,4−トリメチル−1−イミダゾリジニルであり、より好ましくは、式(ii)および(iii)の環、例えば1,2−ジメチル−3,5−ジオキソ−1,2,4−トリアゾリジン−4−イル、2,5−ジオキソ−3−メチル−1−イミダゾリジニルまたは2,5−ジオキソ−3,4,4−トリメチル−1−イミダゾリジニルである。
、R14、R15、R19およびR20におけるヘテロアリールアルキルとは、そのアルキル部は好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよく、そのヘテロアリール部は上記ヘテロアリールチオアルキルのヘテロアリール部と同様である。例えば、2−ピロリルメチル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、2−チエニルメチル、2−(2−ピリジル)エチル、2−(3−ピリジル)エチル、2−(4−ピリジル)エチル、3−(2−ピロリル)プロピル等が挙げられる。
におけるシクロアルキルとは、好ましくは炭素数3〜7で、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
におけるシクロアルキルアルキルとは、そのアルキル部は、好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよく、そのシクロアルキル部は、上記シクロアルキルと同様である。具体的には、シクロプロピルメチル、2−シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル等が挙げられる。
およびQにおける芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、またはオルト融合した二環式の炭化水素環で8〜10個の環原子を有し少なくとも一つの環が芳香環であるもの(例えばインデン等)等が挙げられる。好ましくはベンゼン環である。
およびQにおける芳香族ヘテロ環としては、炭素原子および1〜4個のヘテロ原子(酸素、硫黄または窒素)を有する5〜6員環、またはそれから誘導される8〜10個の環原子を有するオルト融合した二環式芳香族ヘテロ環、特にベンゼン環と縮合したベンゾ誘導体が挙げられる。芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,5−オキサチアジン、1,2,6−オキサチアジン、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、チアナフテン、イソチアナフテン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、イソインドール、インドール、インダゾール、イソキノリン、キノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサジン等が挙げられる。好ましくは、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ピリジンである。
16およびR21におけるヘテロアリールとは、上記ヘテロアリールチオアルキルのヘテロアリール部と同様であり、好ましくはピリジルである。
上記のアリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルは、例えば、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル(但し、アリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキルのアルキル部に置換することはない)、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、オキソ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシル、−COORa〔Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す〕で表される基、カルバモイル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキル等から選ばれる1個以上の置換基により置換されていてもよい。
ここで、低級アルキル、アリールアルキルおよびアリールは上記と同様である。アルコキシとは、好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよく、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。アルキルチオとは、そのアルキル部が好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよく、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ等が挙げられる。アシルオキシとは、好ましくは炭素数2〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよいアルカノイルオキシであり、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ等が挙げられる。アリールアルキルオキシアルキルとは、そのアリールアルキル部は上記アリールアルキルと同様であり、残りのアルキル部は好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよい。例えば、ベンジルオキシメチル、フェネチルオキシメチル等が挙げられる。低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノにおける低級アルキル部は炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよい。低級アルキルアミノとしては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ等が挙げられる。ジ低級アルキルアミノとしては、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ−sec−ブチルアミノ、ジ−tert−ブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、エチルメチルアミノ、メチルプロピルアミノ、ブチルメチルアミノ、エチルプロピルアミノ、エチルブチルアミノ等が挙げられる。
13およびR18におけるハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アシルオキシ、アリールアルキル、−COORa(Raは上記と同様)およびアリールアルキルオキシアルキルは上記と同様である。
14およびR15が隣接する窒素原子と一緒になって形成する置換されていてもよいヘテロサイクル、ならびにR19およびR20が隣接する窒素原子と一緒になって形成する置換されていてもよいヘテロサイクルとは、炭素原子および少なくとも1個の窒素原子を有し、環内にさらなるヘテロ原子として、窒素、酸素および硫黄から選ばれる少なくとも1種の原子を含有していてもよく、環を構成する炭素原子に関し、オキソによって置換されていてもよい4〜7員環基であり、さらにはこれらヘテロサイクルを構成する隣接する2つの炭素原子を利用してベンゼン環等の芳香環が縮環してもよい。例えばアゼチジノ、1−ピロリジニル、ピペリジノ、1−ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、オキソチオモルホリノ、ジオキソチオモルホリノ、2−オキソ−1−キナゾリニル等が挙げられる。
なお、当該ヘテロサイクルが1−ピペラジニルの如く、環内にさらなるヘテロ原子として窒素原子を含有する場合、当該窒素原子上には低級アルキル(上記と同様)、アリールアルキル(上記と同様)、ヘテロアリールアルキル(上記と同様)、アリール(上記と同様)、ヘテロアリール(上記と同様)、−COORa(Raは上記と同様)で表される基またはアシルが置換していてもよい。ここで、アシルとは−CORaで表され、Raは上記と同様である。
置換されていてもよいヘテロサイクルの好適な例としては、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノおよび4位の窒素原子が低級アルキルで置換されていてもよい1−ピペラジニルが挙げられる。
Xにおける水酸基の保護基とは、例えば、アリールアルキル(上記と同様)、アリール(上記と同様)、ヘテロアリール(上記と同様)、シリル(例えば、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル等)、2−テトラヒドロピラニル、p−メトキシベンジル、tert−ブチル等が挙げられる。当該アリールアルキル、アリールおよびヘテロアリールは前記で例示したような1個以上の置換基を有していてもよい。水酸基の保護基としては、シリル、2−テトラヒドロピラニル、ベンジル等が好ましい。
Yにおけるアルキルアミノとは、そのアルキル部は好ましくは炭素数1〜6で直鎖状でも分枝鎖状でもよい。具体的には、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、n−ヘキシルアミノ等が挙げられる。
本発明において、Xの好ましい例として水素を挙げることができる。Rの好ましい例としてはフタルイミドアルキル、より好ましい例としてフタルイミドメチルを挙げることができる。Rの好ましい例としては低級アルキル、より好ましい例としては炭素数1〜4のアルキル、さらにより好ましい例としてイソブチルを挙げることができる。Rの好ましい例としては式

で表される基(式中、R13

を示す)を挙げることができる。Rの式中、Qの好ましい例としては、芳香族炭化水素環、より好ましい例としてフェニルを挙げることができる。Rの式中、mの好ましい例として1を挙げることができ、nの好ましい例として3を挙げることができる。Rの式中、R16の好ましい例としてスルホを挙げることができる。Yの好ましい例としてはアルキルアミノを挙げることができ、より好ましい例としては炭素数1〜4のアルキルアミノを挙げることができ、さらにより好ましい例としてはメチルアミノを挙げることができる。
式(I)で表されるヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩は、不斉炭素を有する場合があるので、光学活性体およびラセミ体として存在することができ、当該ラセミ体は自体公知の手法により各光学活性体に分離することができる。また、ヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩がさらに付加的な不斉炭素を有している場合には、その化合物はジアステレオマー混合物として、もしくは単一のジアステレオマーとして存在することができ、これらもまた自体公知の手法により各々分離することができる。
また、ヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩は、多形(polymorphism)を示すことができ、また、1より多くの互変異性体として存在することができ、さらに、溶媒和物(例えば、水和物等)として存在することができる。
従って、本発明は、上記のようないかなる立体異性体、光学異性体、多形体、互変異性体、溶媒和物、およびそれらの任意の混合物等を包含するものである。光学活性体、ラセミ体およびジアステレオマーも本発明の範囲に包含される。
ヒドロキサム酸誘導体の薬理学的に許容される塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等との塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム、マグネシウム等との塩)、アルミニウム塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩(例えば、トリエチルアミン、モルホリン、ピペリジン、トリエタノールアミン等との塩)等が挙げられる。
また、その他の薬理学的に許容される塩としては、例えば、無機酸付加塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等との塩)、有機酸付加塩(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、マンデル酸、リンゴ酸等との塩)、アミノ酸との塩(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン、アルギニン等との塩)等が挙げられる。さらに、結晶化のためにシュウ酸を用いて塩とすることもできる。
式(I)のヒドロキサム酸誘導体のうちでも、5−メチル−3(R)−{1(S)−メチルカルバモイル−2−[4−(3−スルホプロポキシ)フェニル]エチルカルバモイル}−2(R)−フタルイミドメチルヘキサノヒドロキサム酸およびその薬理学的に許容される塩が好ましい。
本発明で使用する式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩はWO99/61412やWO02/06214に記載の方法に従い調製することができる。
また、式(I)のヒドロキサム酸誘導体は薬理学的に許容される酸付加塩でもよく、その酸とは塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、マンデル酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸等の有機酸が挙げられる。また、カルボキシル基を有する化合物である場合には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の金属との塩、リジン等のアミノ酸との塩とすることもできる。さらに、それらの1水和物、2水和物、1/2水和物、1/3水和物、1/4水和物、2/3水和物、3/2水和物、6/5水和物等も本発明に含まれる。
式(I)のヒドロキサム酸誘導体に光学異性体、そのラセミ体またはシス−トランス異性体が存在する場合には、本発明においてこれらすべてを使用することができ、これらの異性体は常法により単離するか、各異性体原料を用いることによって製造することができる。
本発明で使用する抗菌薬としては、式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩と併用することによって、抗菌薬単剤で用いるよりも有意に優れた敗血症予防および/または治療効果を示すものであればその作用機序は特に限定されず、抗菌薬単剤で用いるよりも有意に優れた敗血症予防および/または治療効果が示される限り任意の抗菌薬を使用することができる。当該分野で抗菌薬として従来から使用されているものに加え、開発中のもの、ならびに今後開発されるものも含め臨床上使用し得るものであれば本発明に用いることができる。このような抗菌薬の例としては、従来から敗血症の予防および/または治療に用いられているペニシリン系、セフェム系、ペネム系、モノバクタム系、およびその他β−ラクタム系、ならびに、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系などの抗生物質が挙げられる。そのうちでも本発明においては、カルバペネム系の抗生物質が好ましく、とりわけ、(5R,6S)−3−[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチルスルファニル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸・一水和物(イミペネム)および(+)−(Z)−7−〔〔(R)−2−アミノ−2−カルボキシエチル〕チオ〕−2−〔(S)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシアミド〕−2−ヘプタン酸ナトリウム(シラスタチン)を含む抗菌薬が特に好ましい。
式(I)のヒドロキサム酸誘導体と抗菌薬とを含む併用薬剤は、本発明の薬物が併用できる形態であればその投与方法は特に限定されない。各有効成分を別々にあるいは同時に、そのままもしくは薬理学的に許容される担体(賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤、矯臭剤、乳化剤、希釈剤、溶解補助剤等)などと混合し、例えば、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、点眼剤、眼軟膏等の製剤として経口的または非経口的に投与することができる。例えば本発明の薬物両方を含む単一の組成物として投与することも可能であるし、各薬物を別個に投与し得る製剤(キット剤)として、各々異なる投与方法により投与されてもよい。
固体製剤とする場合は、添加剤、たとえば、ショ糖、乳糖、セルロース糖、D−マンニトール、マルチトール、デキストラン、デンプン類、寒天、アルギネート類、キチン類、キトサン類、ペクチン類、トランガム類、アラビアゴム類、ゼラチン類、コラーゲン類、カゼイン、アルブミン、リン酸カルシウム、ソルビトール、グリシン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセリン、ポリエチレングリコール、炭酸水素ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が用いられる。さらに、錠剤は必要に応じて通常の剤皮を施した錠剤、たとえば糖衣錠、腸溶性コーティング錠、フィルムコーティング錠あるいは二層錠、多層錠とすることができる。
半固体製剤とする場合は、動植物性油脂(オリーブ油、トウモロコシ油、ヒマシ油等)、鉱物性油脂(ワセリン、白色ワセリン、固形パラフィン等)、ロウ類(ホホバ油、カルナバロウ、ミツロウ等)、部分合成もしくは全合成グリセリン脂肪酸エステル(ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等)等が用いられる。
液体製剤とする場合は、添加剤、たとえば塩化ナトリウム、グルコース、ソルビトール、グリセリン、オリーブ油、プロピレングリコール、エチルアルコール等が挙げられる。特に注射剤とする場合は、無菌の水溶液、たとえば生理食塩水、等張液、油性液、たとえばゴマ油、大豆油が用いられる。また、必要により適当な懸濁化剤、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、非イオン性界面活性剤、溶解補助剤、たとえば安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等を併用してもよい。さらに、点眼剤とする場合は水性液剤または水溶液が用いられ、特に、無菌の注射用水溶液が用いられる。この点眼用液剤には緩衝剤(刺激軽減のためホウ酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤等が好ましい)、等張化剤、溶解補助剤、保存剤、粘稠剤、キレート剤、pH調整剤(pHは通常約6〜8.5に調整することが好ましい)、芳香剤のような各種添加剤を適宜添加してもよい。
本発明の併用薬剤の一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、副作用が問題とならない範囲であれば、特に限定されないが、通常、i.v.投与で哺乳動物体重1kgあたり約0.01〜約2000mg、好ましくは約0.1〜約500mgであり、更に好ましくは約0.3〜約300mgである。
本発明の併用薬剤におけるそれぞれの有効成分の量は、副作用が問題とならない範囲であり、かつ併用投与の効果に悪影響を与えるような量でなければよく、特に限定されない。本発明の併用薬剤における各有効成分当たりの一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なりうるが、例えば、哺乳動物体重1kgあたり、式(I)のヒドロキサム酸誘導体約0.01〜約1000mgおよび抗菌薬約1〜約1000mgが好ましく、式(I)のヒドロキサム酸誘導体約0.1〜約100mgおよび抗菌薬約2〜約500mgがさらに好ましく、式(I)のヒドロキサム酸誘導体約0.3〜約30mgおよび抗菌薬約5〜約200mgがなおさらに好ましい。
本発明の併用薬剤の投与においては、各有効成分が同時に体内に存在する態様であれば、各有効成分を同時に投与してもよいし、1成分を先に投与した後に他の成分を投与してもよい。従って、製剤化にあたっても、各有効成分を一製剤中に含有させてもよいし、それぞれ別個の製剤中に含有させてもよい。
本発明の併用薬剤は、各有効成分を含有する単一の注射剤またはそれぞれを別々に含む別個の注射剤に製剤化するのが特に好ましい。また、単位時間あたり、投与対象の体重1kgあたりで、抗菌薬1に対し、式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物を0.006〜0.2、特に0.006〜0.02の重量比で持続注入するのが好ましい。
また本発明の併用薬剤は、各有効成分をそれぞれ少なくとも1種含有していればよく、本発明の併用薬剤の投与により達成しようとする効果に悪影響を与えない限り、2種以上の式(I)のヒドロキサム酸誘導体、2種以上の抗菌薬をそれぞれ含んでいてもよい。
本発明の併用薬剤の投与対象としては、ヒトをはじめサル、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、ウマ、ウシ等種々の哺乳動物が挙げられ、これらの対象において優れた敗血症予防および/または治療効果を示す。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は本実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の実施例においてイミペネム/シラスタチン(IPM/CS)は市販されているチェナム(登録商標;萬有製薬株式会社)を用いた。5−メチル−3(R)−{1(S)−メチルカルバモイル−2−[4−(3−スルホプロポキシ)フェニル]エチルカルバモイル}−2(R)−フタルイミドメチルヘキサノヒドロキサム酸(以下、化合物Aと略す)はWO99/61412やWO02/06214に記載の方法に準じて合成した。
【実施例1】
試験方法
敗血症のモデルであるCLP(Cecal Ligation and Puncture)モデルに対し、本発明の併用薬剤による生存率改善効果を示すべく、表1に示すように、IPM/CSを単剤として、IPM/CSと化合物Aとを含む併用薬剤として投薬した。試験方法を以下に示す。
CLPモデルラットはWichtermanら(J.Surg.Res.,29,189−201,1980)の方法に準じて作製した。
一晩絶食させたCLPモデルラットをエーテル麻酔下で開腹した。盲腸根部を3−0号絹糸で結紮し、18G注射針にて2ヶ所を穿孔し、盲腸内容物を一部ミルキングした後に閉腹した。このラットを試験動物とし、ボールマンケージに固定した。薬液または生理食塩水を5mLの注射器(三方活栓装着)に入れ、SYRINGE INFUSION PUMP 22(HARVARD社製)またはCOMPACT INFUSION PUMP MODEL 975(HARVARD社製)を用い、23G翼付静注針でラット尾静脈に2.5mL/kg/hrの速度で24時間持続投与した。薬液または生理食塩水は、随時(約8時間毎)、注射器に追加補充した。各群の生存率を、手術直後から24時間まで1時間毎に観察し比較した。各実験群の投与量、投与経路、投与時間、例数を表1に示す。併用効果は、両薬剤の混液(それぞれの薬物を表中の用量に調製した混液を用いた)を持続投与し、単剤との比較により判断した。

統計学的処理
コントロール投与群、IPM/CS単剤投与群、化合物A単剤投与群と、化合物AとIPM/CSとを含む併用薬剤投与群との比較は、カプラン−マイヤー(Kaplan−Meire)法により生存曲線を作成し、一般化ウィルコクソン(Wilcoxon)検定を行ない、危険率5%以下のものを有意差ありと判断した。
実験結果
結果を図1および表2に示す。

コントロール群では、CLP惹起後7時間目から死亡例が見られ、18時間後までに全例が死亡した。
IPM/CSおよび化合物Aの併用投与群は、0.03および0.1mg/kg/hrの用量において、IPM/CS単剤投与群に比べ有意な延命効果を示した。各群の24時間後の生存率は、コントロール群で0%、IPM/CS5mg/kg/hr単剤投与群で37.5%、化合物A0.3mg/kg/hr単剤投与群で6.3%であったのに対し、化合物A0.03mg/kg/hr併用投与群で81.3%、化合物A0.1mg/kg/hr併用投与群で75.0%であった。
以上のように、CLPモデルにおいて、化合物AとIPM/CSの併用投与は、IPM/CSおよび化合物A単剤投与時に比べ著明な延命効果を示した。
IPM/CS単剤群でも著明な生存率改善効果が認められたが、経時的に死亡例が増加することから、IPM/CS単剤での治療には限界があることが示唆された。これに対し、化合物AとIPM/CSの併用時においては、劇的な生存率改善効果が認められた。
【実施例2】
試験方法
本発明の併用薬剤による体温低下抑制効果を示すべく、実施例1の試験と並行してラットの体温変化をモニタリングした
体温(直腸温度)は、サーミスタプローブSXN−64をラットの直腸の肛門部へ約4.0cmの深さで挿入し、ハイブリッドレコーダK−382で計測した(Technol Seven Co.,Japan)。CLP処置のためのエーテル麻酔前の体温とCLP処置6時間後の体温との差を体温変化量(Δ℃)とした。
統計学的処理
IPM/CS単剤投与群との統計学的な比較は、Dunnett’s multiple comparison testにより検定し、危険率5%以下のものを有意差ありと判断した。
実験結果
結果を図2に示した。
IPM/CS単独投与群ではコントロール群と比べ顕著な体温変化は見られなかった。
IPM/CSおよび化合物Aの併用投与群では、コントロール群に比べ、0.03mg/kg/hrの用量で約2℃、0.1mg/kg/hrの用量で約3℃の体温低下抑制効果を示した。
以上のように、CLPモデルにおいて、化合物AとIPM/CSの併用投与は、IPM/CS単剤投与時に比べ著明な体温低下抑制効果を示した。
【産業上の利用可能性】
本発明の併用薬剤によれば、従来の抗菌薬のみによる薬物療法よりも効果的に敗血症を予防および/または治療することができる。さらに、本発明の併用薬剤は、敗血症が重篤化した際に認められる体温低下を効果的に抑制することができる。
本発明の具体的な態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば示された特定の態様には、本発明の教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更をなすことは可能である。従って、そのような修正および変更も、すべて後記の請求の範囲で請求される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。
本明細書において単数形で記載されているものは、文脈および本発明に明らかに矛盾しない限り、複数であってもよい。
刊行物、特許文献等を含む、本明細書に引用されたすべての参考文献は、引用により、それらが個々に具体的に参考として援用されかつその内容全体が具体的に記載されているのと同程度まで、本明細書に援用される。
本出願は、日本で出願された特願2003−358471を基礎としておりその内容は本明細書にすべて包含される。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の式(I):

[式中、Xは水素または水酸基の保護基を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アルケニル、または−(CH−A〔lは1〜4のいずれかの整数であり、Aは、(a)N原子によって結合し、(b)該結合N原子に隣接しない位置にさらなるヘテロ原子として、N、OおよびSから選ばれる少なくとも1種の原子を含有していてもよく、(c)該結合N原子に隣接する一方または両方のC原子に関し、オキソによって置換され、および(d)ベンゾ縮合するか、または1以上の他のC原子に関し、低級アルキルもしくはオキソによって置換されているか、および/または別のN原子に関し、低級アルキルもしくはフェニルによって置換されていてもよい5または6員N−ヘテロ環を表す〕を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたはアリールを示し、Rは水素、アルキルまたは式

で表される基を示し〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、nおよびqは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示し、R17は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕、Yはアルキルアミノまたは式

で表される基を示す〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、R18は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示し、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕。
但し、
が式(A)

(式中、Qはベンゼン環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13はグアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたは

から選ばれる基を示す(式中、nは1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示す))で表される基以外の基の場合、
Yは式(B)

(式中、Qはベンゼン環を示し、R18

(式中、sは1〜5のいずれかの整数を示し、uは1または2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示すか、またはQはフラン環を示し、R18はアリールアルキルオキシアルキルまたは

(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示す)で表される基を示す。
前記のアリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルは置換基を有していてもよい。]で示されるヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と
少なくとも1種の抗菌薬と
を含む併用薬剤。
【請求項2】
抗菌薬がカルバペネム系の抗菌薬である、請求項1に記載の併用薬剤。
【請求項3】
抗菌薬が、(5R,6S)−3−[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチルスルファニル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物を含む薬剤である、請求項1または2に記載の併用薬剤。
【請求項4】
抗菌薬が、(5R,6S)−3−[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチルスルファニル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物、および(+)−(Z)−7−〔〔(R)−2−アミノ−2−カルボキシエチル〕チオ〕−2−〔(S)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシアミド〕−2−ヘプタン酸ナトリウムまたはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物を含む薬剤である、請求項1に記載の併用薬剤。
【請求項5】
式(I)で示されるヒドロキサム酸誘導体が、5−メチル−3(R)−{1(S)−メチルカルバモイル−2−[4−(3−スルホプロポキシ)フェニル]エチルカルバモイル}−2(R)−フタルイミドメチルヘキサノヒドロキサム酸である、請求項1〜4のいずれかに記載の併用薬剤。
【請求項6】
式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが一製剤中に含有されている、請求項1〜5のいずれかに記載の併用薬剤。
【請求項7】
式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが各々別個の製剤中に含有されている、請求項1〜5のいずれかに記載の併用薬剤。
【請求項8】
注射剤の形態である、請求項1〜7のいずれかに記載の併用薬剤。
【請求項9】
抗菌薬と式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物とが、単位時間あたり、投与対象の体重1kgあたり1:0.006〜0.2の重量比で持続注入されるものである、請求項8に記載の併用薬剤。
【請求項10】
敗血症の予防および/または治療用である、請求項1〜9のいずれかに記載の併用薬剤。
【請求項11】
体温低下を抑制する、請求項10に記載の併用薬剤。
【請求項12】
少なくとも1種の式(I):

[式中、Xは水素または水酸基の保護基を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アルケニル、または−(CH−A〔lは1〜4のいずれかの整数であり、Aは、(a)N原子によって結合し、(b)該結合N原子に隣接しない位置にさらなるヘテロ原子として、N、OおよびSから選ばれる少なくとも1種の原子を含有していてもよく、(c)該結合N原子に隣接する一方または両方のC原子に関し、オキソによって置換され、および(d)ベンゾ縮合するか、または1以上の他のC原子に関し、低級アルキルもしくはオキソによって置換されているか、および/または別のN原子に関し、低級アルキルもしくはフェニルによって置換されていてもよい5または6員N−ヘテロ環を表す〕を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたはアリールを示し、Rは水素、アルキルまたは式

で表される基を示し〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、nおよびqは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示し、R17は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕、Yはアルキルアミノまたは式

で表される基を示す〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、R18は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示し、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕。
但し、
が式(A)

(式中、Qはベンゼン環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13はグアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたは

から選ばれる基を示す(式中、nは1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示す))で表される基以外の基の場合、
Yは式(B)

(式中、Qはベンゼン環を示し、R18

(式中、sは1〜5のいずれかの整数を示し、uは1または2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示すか、またはQはフラン環を示し、R18はアリールアルキルオキシアルキルまたは

(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示す)で表される基を示す。
前記のアリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルは置換基を有していてもよい。]で示されるヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物の有効量と、少なくとも1種の抗菌薬の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする、敗血症を予防および/または治療する方法。
【請求項13】
抗菌薬がカルバペネム系の抗菌薬である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
抗菌薬が、(5R,6S)−3−[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチルスルファニル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物を含む薬剤である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
抗菌薬が、(5R,6S)−3−[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチルスルファニル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物、および(+)−(Z)−7−〔〔(R)−2−アミノ−2−カルボキシエチル〕チオ〕−2−〔(S)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシアミド〕−2−ヘプタン酸ナトリウムまたはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物を含む薬剤である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
式(I)で示されるヒドロキサム酸誘導体が、5−メチル−3(R)−{1(S)−メチルカルバモイル−2−[4−(3−スルホプロポキシ)フェニル]エチルカルバモイル}−2(R)−フタルイミドメチルヘキサノヒドロキサム酸である、請求項12〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが一つの製剤に製剤化されている、請求項12〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが各々別個の製剤に製剤化されている、請求項12〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物と抗菌薬とが少なくとも1つの注射剤に製剤化されている、請求項12〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
抗菌薬と式(I)のヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物とが、単位時間あたり、投与対象の体重1kgあたり1:0.006〜0.2の重量比で持続注入される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
体温低下を抑制する、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
敗血症予防および/または治療剤を製造するための、少なくとも1種の抗菌薬と少なくとも1種の式(I):

[式中、Xは水素または水酸基の保護基を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アルケニル、または−(CH−A〔lは1〜4のいずれかの整数であり、Aは、(a)N原子によって結合し、(b)該結合N原子に隣接しない位置にさらなるヘテロ原子として、N、OおよびSから選ばれる少なくとも1種の原子を含有していてもよく、(c)該結合N原子に隣接する一方または両方のC原子に関し、オキソによって置換され、および(d)ベンゾ縮合するか、または1以上の他のC原子に関し、低級アルキルもしくはオキソによって置換されているか、および/または別のN原子に関し、低級アルキルもしくはフェニルによって置換されていてもよい5または6員N−ヘテロ環を表す〕を示し、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたはアリールを示し、Rは水素、アルキルまたは式

で表される基を示し〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、nおよびqは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示し、R17は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕、Yはアルキルアミノまたは式

で表される基を示す〔式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を示し、R18は水素、ハロゲン、水酸基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ホルミル、アシルオキシ、フェニル、アリールアルキル、カルボキシ、−COORa(Raは低級アルキル、アリールアルキルまたはアリールを示す)、カルバモイル、グアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホ、アリールアルキルオキシアルキルまたは

から選ばれる基を示す(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示し、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)〕。
但し、
が式(A)

(式中、Qはベンゼン環を示し、mは0〜3のいずれかの整数を示し、R13はグアニジノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたは

から選ばれる基を示す(式中、nは1〜5のいずれかの整数を示し、rは0〜2のいずれかの整数を示し、R14およびR15は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR14およびR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R16はヒドロキシスルホニルオキシまたはスルホを示す))で表される基以外の基の場合、
Yは式(B)

(式中、Qはベンゼン環を示し、R18

(式中、sは1〜5のいずれかの整数を示し、uは1または2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R21はアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示すか、またはQはフラン環を示し、R18はアリールアルキルオキシアルキルまたは

(式中、sおよびtは同一または異なっていてもよく、それぞれ1〜5のいずれかの整数を示し、uは0〜2のいずれかの整数を示し、R19およびR20は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリールを示し、またはR19およびR20は隣接する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、R22は水酸基、ヒドロキシスルホニルオキシ、スルホまたはカルボキシを示す)から選ばれる基を示す)で表される基を示す。
前記のアリールアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、アリールチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、フタルイミドアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルは置換基を有していてもよい。]で示されるヒドロキサム酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩もしくは水和物の使用。
【請求項23】
請求項1〜11のいずれかに記載の併用薬剤、および該併用薬剤を敗血症の処置に使用しうるかまたは使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。

【国際公開番号】WO2005/037265
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【発行日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514881(P2005−514881)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015748
【国際出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000006725)三菱ウェルファーマ株式会社 (92)
【Fターム(参考)】