説明

使い捨てのパンツ型おむつ

【課題】尿を速やかに吸収することが可能であり簡易な構造を有する使い捨てのパンツ型おむつの提供。
【解決手段】使い捨てのパンツ型おむつ1が股下域6の内面シート32の内側に股下域6を横断するシート片51を有する。シート片51は、上縁部における横方向Bの中央部52が股下域6の最下部6aよりも前方において股下域6の横方向Bの中央部に接合し、シート片51の両側縁部53のそれぞれが股下域6の最下部6aよりも後方において股下域6の両側縁部それぞれに接合して、股下域6はシート片51の中央部52と接合する部分がおむつ1の内側に向かって突出可能に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は使い捨てのパンツ型おむつに関し、より詳しくは尿を速やかに吸収することが可能な前記おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨てのパンツ型おむつは周知である。また、そのようなおむつであって、股下域の前方部分が肌に密着可能に形成されたものは公知である。例えば、特開2002−11044号公報(特許文献1)に開示のおむつは、トップシートとスキンコンタクトシートとの間に便を受容可能な空隙を有し、スキンコンタクトシートには、便を導き入れるための開口部が形成されている。トップシートとバックシートとの間には第1の吸収体が介在しており、スキンコンタクトシートは前身頃に第2の吸収体を含んでいる。スキンコンタクトシートはまた、おむつの前後方向へ伸長された状態にある弾性部材を含んでいる。
【特許文献1】特開2002−11044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示のおむつは、スキンコンタクトシートが含む弾性部材の作用を利用してスキンコンタクトシートを尿道口周辺の肌に密着させると、第2の吸収体が尿を吸収する。また、便がスキンコンタクトシートに形成された開口部を通ってスキンコンタクトシートとトップシートとの間の空隙に進入すると、第1の吸収体が便に含まれた水分を吸収する。本発明者が知見したところによれば、このような構造のおむつでは、尿を吸収するための吸収体と、便の水分を吸収するための吸収体という個別の吸収体を使用するから、吸収体を1個だけ使用するおむつと比べると、おむつの構造が複雑になるという問題を生じる。また、それが原因となって、おむつの製造コストが嵩むという問題も生じかねない。
【0004】
そこで、この発明は、前記問題を解消するために、尿を速やかに吸収することが可能であって簡易な構造を有する使い捨てのパンツ型おむつの提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、互いに直交する前後方向と横方向と上下方向とを有し、股下域と前記股下域の前方に位置する前胴周り域と前記股下域の後方に位置する後胴周り域とによってパンツ型に形成され、前記股下域と前記前胴周り域と前記後胴周り域とのうちの少なくとも前記股下域には透液性内面シートと不透液性外面シートとこれら両シート間に介在する体液吸収性の芯材とによって体液吸収部が形成されている使い捨てのパンツ型おむつである。
【0006】
かかるおむつにおいて、この発明が特徴とするところは、次のとおりである。前記股下域には、前記内面シートの内側において前記股下域を横断するシート片が設けられる。前記シート片は、前記横方向へ互いに並行して延びる上縁部と下縁部と、前記上下方向へ互いに並行して延びる両側縁部とを有し、前記上縁部の前記横方向の中央部が前記股下域の最下部よりも前方において前記股下域の前記横方向の中央部に接合するとともに、前記両側縁部のそれぞれが前記股下域の前記最下部よりも後方において前記股下域の両側縁部それぞれに接合しており、前記上縁部に接合する前記股下域の前記中央部が前記おむつの着用状態において前記おむつの内側に向かって突出可能に形成されている。
【0007】
この発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記股下域の前記両側縁部が、前記体液吸収部の両側縁部、前記体液吸収部の前記両側縁部それぞれから前記横方向へ延出する防漏フラップ、前記体液吸収部の前記両側縁部分それぞれにおいて前記体液吸収部に対して起立可能に形成された防漏カフのいずれかである。
【0008】
この発明の好ましい実施形態の他の一つにおいて、前記シート片が前記横方向において弾性的に伸長可能なものである。
【0009】
この発明の好ましい実施形態の他の一つにおいて、前記シート片は、前記上縁部と前記下縁部との間の寸法が少なくとも50mmであって、前記股下域の前記最下部よりも後方の部分との間に便を受容可能なポケットを形成している。
【0010】
この発明の好ましい実施形態のさらに他の一つにおいて、前記シート片の前記下縁部が前記内面シートに接合している。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るパンツ型おむつは、股下域を横断するシート片がその上縁部の中央部において股下域の前方における中央部に接合する一方、シート片の両側縁部のそれぞれが股下域の後方において股下域の両側縁部それぞれに接合して、股下域の前方における中央部がおむつ着用状態においておむつの内側に突出可能であるから、このおむつを着用すると、その突出している中央部が尿道口周辺の肌に接触して、尿道口から流れ出る尿や尿道口から肌を伝って流れる尿を股下域に形成された体液吸収部において速やかに吸収する。
【0012】
股下域の前方における中央部をこのように作用させるシート片の両側縁部それぞれが接合する股下域の両側縁部それぞれとしては、股下域における体液吸収部の両側縁部、体液吸収部の両側縁部から延出する防漏フラップ、体液吸収部の両側縁部において起立可能に形成された防漏カフのいずれかを選ぶことができる。しかし、比較的剛性の高い芯材を含む体液吸収部の両側縁部を選ぶならば、股下域における前方の中央部を突出させることが容易になる。また、防漏カフを選ぶならば、シート片と股下域の後方の部分との間に形成されるポケットの容積を大きくすることができる。
【0013】
シート片が横方向において弾性的に伸長可能である形態のおむつでは、おむつを着用したときに着用者の脚がシート片に接触すると、シート片が速やかに変形するので、シート片の存在によっておむつの着用感が悪くなるということがない。
【0014】
シート片の上縁部と下縁部との間の寸法が少なくとも50mmであって、シート片と股下域の後方の部分との間に便を収容可能なポケットが形成されている形態のおむつでは、便によって尿道口の周辺を汚すことがない。
【0015】
シート片の下縁部がおむつの内面シートに接合している形態のおむつでは、ポケットに受容された便が股下域の前方へ移動することを確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
添付の図面を参照して、この発明に係る使い捨てパンツ型おむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0017】
図1は、着用状態にある使い捨てのパンツ型おむつ1の斜視図であって、おむつ1の前後方向と横方向と上下方向とが互いに直交する双頭矢印A,B,Cで示されている。おむつ1は、股下域6と、前胴周り域7と、後胴周り域8とを有し、前後胴周り域7,8は、それぞれの側縁部11,12が合掌状に重なり合い、部位13において互いに接合して、胴周り開口14を形成している。前後胴周り域7,8はまた、股下域6と協働して一対の脚周り開口16を形成している。
【0018】
図2は、図1のおむつ1の部分破断図である。前後胴周り域7,8のそれぞれは、不織布で形成された内面シート21と外面シート22とを接着または溶着により接合することにより形成されていて、両シート21,22の間には、複数条の胴周り弾性部材23と複数条の第1脚周り弾性部材24とがあって、これら弾性部材23,24が両シート21,22の少なくとも一方に伸長状態で接合している。
【0019】
股下域6は、図1においてほぼU字形を呈するように湾曲しているパネル状部材10の一部分によって形成されている。パネル状部材10は、不織布で形成された透液性内面シート32とプラスチックフィルムで形成された不透液性外面シート33とが体液吸収性の芯材31を実質的にサンドウィッチ状に被覆している体液吸収部41を含むものであって、外面シート33はその肌触りを向上させるために不織布34で覆われている。ここで、芯材31を内面シート32と外面シート33とで実質的にサンドウィッチ状に被覆するとは、図示の如く芯材31の縁部から内面シート32と外面シート33とを延出させることによって芯材31を被覆する態様の他に、芯材31の内面の全体と芯材31の外面の少なくとも一部分とを内面シート32で被覆しておいてから、芯材31の外面を外面シート33で被覆する態様を含んでいる。かようなパネル状部材10は、中間部36が股下域6を形成し、股下域6から上方へ延びた前端部37が前胴周り域7の内面に接着剤(図示せず)を介して接合している。パネル状部材10の後端部38は後胴周り域8の内面に接合している。
【0020】
パネル状部材10は、体液吸収部41の他に、芯材31の側縁部から延出する内面シート32と外面シート33とが互いに接合して形成している防漏フラップ42を含んでいる。防漏フラップ42は、内面シート32と外面シート33との間において芯材31に沿って延びていて、内面シート32と外面シート33との少なくとも一方に伸長状態で接合している第2脚周り弾性部材43を含んでいる。この第2脚周り弾性部材43は、脚周り開口16の下方に位置するもので、脚周り開口16の上方に位置する第1脚周り弾性部材24と協働して脚周り開口16の周縁部において環状に延びる弾性域を形成している。図1,2において、胴周り弾性部材23と第1,第2脚周り弾性部材24,43とは、伸長状態にあって、おむつ着用者(図示せず)の胴周りと脚周りとに密着している。
【0021】
さらに図2において、股下域6における内面シート32の内側では、股下域6を横切るようにシート状の横断部材51が延びている。横断部材51は、横方向Bの中央部52(図3,4参照)がおむつ1の横方向Bの寸法を二等分する縦中心線P−P上において股下域6に接合するとともに、横方向Bの両側に位置する側縁部53(図3,4参照)それぞれが股下域6の両側縁部それぞれに接合している。横断部材51の中央部52は、股下域6のうちで最下部6aよりも前方に位置する前部6bに接合し、側縁部53が股下域6のうちで最下部6aよりも後方に位置する後部6c(図3,4参照)に接合していて、中央部52は、股下域6の前部6bをおむつの内側に向かって突出させている。
【0022】
図3,4は、図1のIII−III線断面図とIV−IV線断面図とである。なお、IV−IV線は、参考のために図3にも示されている。横断部材51は、中央部52がホットメルト接着剤64(図5参照)を介して股下域6の前部6bにおける内面シート32に接合し、両側縁部53のそれぞれが股下域6の後部6cにおける両側縁部それぞれの内面シート32に接合している。股下域6の前部6bは、横断部材51によって引っ張られていて、横断部材51と接合している横方向Bの中央部が頂部となるように、おむつ1の内側に向かって突出している。
【0023】
図5は、図1のおむつ1において、前後胴周り域7,8の側縁部11,12どうしの接合を解き、これら前後胴周り域7,8と股下域6とを前後方向Aと横方向Bとに伸展した状態にある平坦なおむつ1aの部分破断平面図である。ただし、横断部材51については、おむつ1aからおむつ1を得るときに使用される形状の一例が示されている。おむつ1aにおける前方部材70と後方部材80とは、おむつ1の前胴周り域7と後胴周り域8とを形成するものであり、また、おむつ1aにおいて平坦な矩形を成しているパネル状部材10は、おむつ1におけるU字形のパネル状部材10となるものである。おむつ1aは中心線P’−P’に関して対称なもので、この中心線P’−P’は図1の中心線P−Pに対応している。図5において横方向Bへ延びる線Q−Qは、中心線P’−P’上におけるおむつ1aの寸法を二等分する横方向中心線であって、図1におけるおむつ1の最下部6aはこの横方向中心線Q−Q上にある。
【0024】
前方部材70と後方部材80とにおいて、内面シート21と外面シート22とは接着剤60を介して接合している。これら両シート21,22との間には、胴周り弾性部材23と第1脚周り弾性部材24とが伸長状態で介在している。
【0025】
パネル状部材10において、体液吸収性芯材31は、それを被覆している透液性内面シート32に対してホットメルト接着剤61aを介して接合し、不透液性外面シート33に対してホットメルト接着剤61bを介して接合している。これら内面シート32と外面シート33とは、芯材31の周縁から延出する部分で重なり合い、ホットメルト接着剤61aおよび/またはホットメルト接着剤61bを介して互いに接合しており、股下域6においては、重なり合った内面シート32と外面シート33とが防漏フラップ42を形成している。防漏フラップ42は、伸長状態にある第2脚周り弾性部材43を含んでいるから、中心線P’−P’に沿う方向において、弾性的に収縮可能である。外面シート33をその外側から覆う不織布34は、ホットメルト接着剤62を介して外面シート33に接合している。また、その不織布34は、ホットメルト接着剤63を介して前方部材70と後方部材80とにおける内面シート21に接合している。
【0026】
図5における横断部材51は、股下域の後部6cにある。その横断部材51は横方向Bへ延びていて、中心線P’−P’上に位置する中央部52と、両側縁部53と、上縁部51aと、下縁部51bとを有し、両側縁部53のそれぞれが接着または溶着により股下域6の両側縁部それぞれ、より具体的にはその側縁部それぞれの一部を形成している体液吸収部41の縁部における内面シート32に接合した状態にある。中央部52には、少なくとも上縁部51aの近傍に接着剤64が塗布されている。横断部材51は、両側縁部53間の実寸が図示された両側縁部53間の直線距離よりも長いものであるが、中央部52と両側縁部53それぞれとの間にタックをとるように折り重ね部位66を設けることによって、図5では横方向Bへ直線的に延びている。折り重ね部位66それぞれを伸展させたときの横断部材51の全長は、図2,4においてほぼV字形を画いている横断部材51の全長に等しい。なお、横断部材51の側縁部53は、仮想線で示されるように横方向Bへ延ばして、股下域6の側縁部の一部分を形成している防漏フラップ42に接合することも可能である。
【0027】
おむつ1aから図1のおむつ1を得るには、パネル状部材10が内側となるようにしておむつ1aを横中心線Q−Qに沿って折り重ねる。そのときに、横断部材51の中央部52を内面シート32に対して仮想線で示された部位67において接合する。部位67は、股下域6における横方向Bの中央に位置しており、内面シート32が中央部52と向き合うこととなる部位である。このときの接合には、接着剤64を使用する。また、前方部材70と後方部材80とは、側縁部11,12どうしを部位13において接合する。このようにして得られるおむつ1の横断部材51は両側縁部53間の実寸が、股下域6の前部6aをおむつ1の内側へ向かって突出させることができるように(図2〜4参照)調整されている。
【0028】
得られたおむつ1は、それを着用すると、股下域6の前部6bが尿道口周辺の肌に接触し易く、接触したときには、尿道口から流出する尿を速やかに吸収することができる。また、着用者が女性であれば、尿道口から肌を伝って流れる尿も速やかに吸収することができる。
【0029】
図5のおむつ1が乳幼児用のものである場合、股下域6の最下部6aから横断部材51の上縁部51aまでの寸法は、50〜100mmであることが好ましい。ただし、横断部材51は、おむつ1の上下方向Cにおいて、股下域6の最下部6aから横断部材51の上縁部51aまでの距離を調整し、おむつ1を着用したときに着用者の脚のつけ根近傍に上縁部51aが接触して、横断部材51が下方へ多少押し下げられるようにしておくと、股下域6の前部6bを肌へ接触させることが容易になる。横断部材51の上縁部51aから下縁部51bまでの寸法W(図5参照)に格別の規定はないが、横断部材51aが図示例の如く帯状のものである場合のその寸法Wの一例は、5〜20mmである。横断部材51は、非弾性的な不織布やプラスチックフィルム等のシート材料によって作ることができるものであるが、横方向Bに弾性的に伸長可能なシート材料によって作ることもできる。横断部材51がこれら非弾性的なシート材料や弾性的なシート材料によって形成されていて、おむつ1を畳んで包装するときに多数のギャザーを生じて嵩張るということがないものであるときには、おむつ1の包装体がコンパクトなものになって、おむつ1の保存や輸送のためのスペースを節約することができる。
【0030】
おむつ1において、内面シート32には不織布や開孔プラスチックフィルムを使用することができる。外面シート33にはプラスチックフィルムを使用することができる。芯材31には、粉砕パルプや高吸水性ポリマー粒子、これらパルプとポリマー粒子との混合物等の体液吸収性材料を使用することができる。その体液吸収性材料は、好ましくはティシュペーパ等の透液性にして液拡散性に優れたシートで被覆しておく。前胴周り域7を形成している前方部材70と後胴周り域8を形成している後方部材80とにおいて、胴周り弾性部材23を追加し、前後胴周り域7,8の全体を弾性的に伸長可能にすることもできる。また、前方部材70と後方部材80とに、横方向Bへ弾性的に伸長可能なシート材料を使うこともできる。
【0031】
図6は、この発明の一実施形態を示す図5と同様な図である。図6のおむつ1aでは、横断部材51として、図5の横断部材51と比べて上縁部51aから下縁部51bまでの寸法Wが大きく、下縁部51bが股下域6の最下部6aに届くものが使用されている。おむつ1aが乳幼児用のものである場合に、図6の横断部材51の上縁部51aと下縁部51bとの間の寸法Wは50〜100mmに広げることができる。このような横断部材51を有するおむつ1aから得られるおむつ1は、横断部材51よりも後方にポケット100を有するものになるので、そのポケット100の開口におむつ着用者の肛門(図示せず)が来るように横断部材51を股下域6に取り付けておくことによって、股下域6において便と尿とが混合されることを防ぐことができる。横断部材51は、中央部52の一部または全部を股下域6の前部6bに対して接合することができるのであるが、中央部52の一部のみを前部6bに接合するときには、上縁部51aを前部6bに接合する。横断部材51は、また、下縁部51bを股下域6の最下部6aにおける内面シート32に接合することができる。
【0032】
図7,8もまた、この発明の実施形態の一例を示す図5と同様な図と、その図のVIII−VIII線切断面を示す図である。図7,8のおむつ1aでは、股下域6の両側縁部それぞれに防漏カフ90が形成されている。防漏カフ90は、帯状の不織布またはプラスチックフィルムを横方向BへZ字型または逆Z字型に折り畳むことによって形成されていて、図8に示されるように底辺部分81と、頂辺部分82と、中間辺部分83とを有する。股下域6において、底辺部分81は、ホットメルト接着剤84を介して内面シート32に接合している。頂辺部分82は、縁部82aに弾性部材86が伸長状態で取り付けられている。前方部材70と後方部材80とにおける防漏カフ90の一部分は、底辺部分81と中間辺部分83、および中間辺部分83と頂辺部分82がホットメルト接着剤87を介して接合している。横断部材51は、両側縁部53のそれぞれがホットメルト接着剤89を介して頂辺部分82の縁部82aに接合している。この縁部82aは、股下域6の側縁部に含まれる部分である。このようなおむつ1aを横中心線Q−Qに沿って折曲し、横断部材51の中央部52を股下域6の前方部分6bに接合するとともに、前後胴周り域7,8の側縁部11,12どうしを接合すると、パネル状部材10が股下域6においてU字形を画くように湾曲することに伴い、防漏フラップ42の弾性部材43と、防漏カフ90の弾性部材86とが収縮する。その結果として、防漏フラップ42と防漏カフ90とが、図8に例示されるように、パネル状部材10における体液吸収部41の内面に対して起立する傾向を示し、おむつ着用者の脚周り(図示せず)に密着し易くなる。横断部材51の両側縁部53は、そのような挙動を示す防漏カフ90の縁部82aに取り付けられていて、防漏カフ90が高く起立することを可能にする。
【0033】
図9もまた、この発明の実施形態の一例を示す図4と同様な図であるが、図9のおむつ1には、股下域6において使用される各種接着剤も図示されている。図9の股下域6において、前部6bの内面シート32と芯材31とはホットメルト接着剤61aを介して接合しているが、外面シート33と芯材31とは横方向Bの中央において接合しておらず、横断部材51によって内面シート32がおむつ1の内側へ引っ張られると、外面シート33と芯材31とが横方向Bの中央において離間して芯材31がおむつ1の内側へ突出する一方、外面シート33とそれに接合している不織布34とはおむつ1の外側へ突出するように弧を画くことが可能である。そのような態様にあるときのおむつ1は、股下域6の前部6bが図4の如くに局部的にはへこんでいないので、前部6bに図柄や文字が画かれていても、その図柄や文字が歪んで見えにくくなるということがない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明によれば、体液吸収部を尿道口周辺の肌に接触させることが容易で、尿を速やかに吸収することが可能な使い捨てのパンツ型おむつの製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】おむつの斜視図。
【図2】おむつの部分破断斜視図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】図1のIV−IV線断面図。
【図5】図1のおむつを分解して伸展し、部分的に破断して示す図。
【図6】実施形態の一例を示す図5と同様な図。
【図7】実施形態の他の一例を示す図5と同様な図。
【図8】図7のVIII−VIII線切断面を示す図。
【図9】実施形態の一例を示す図4と同様な図。
【符号の説明】
【0036】
1 パンツ型おむつ
6 股下域
6a 最下部
7 前胴周り域
8 後胴周り域
31 芯材
32 内面シート
33 外面シート
41 体液吸収部
42 防漏フラップ
51 シート片(横断部材)
51a 上縁部
51b 下縁部
52 中央部
53 側縁部
90 防漏カフ
100 ポケット
A 前後方向
B 横方向
C 上下方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向と横方向と上下方向とを有し、股下域と前記股下域の前方に位置する前胴周り域と前記股下域の後方に位置する後胴周り域とによってパンツ型に形成され、前記股下域と前記前胴周り域と前記後胴周り域とのうちの少なくとも前記股下域には透液性内面シートと不透液性外面シートとこれら両シート間に介在する体液吸収性の芯材とによって体液吸収部が形成されている使い捨てのパンツ型おむつであって、
前記股下域には、前記内面シートの内側において前記股下域を横断するシート片が設けられ、
前記シート片は、前記横方向へ互いに並行して延びる上縁部と下縁部と、前記上下方向へ互いに並行して延びる両側縁部とを有し、前記上縁部の前記横方向の中央部が前記股下域の最下部よりも前方において前記股下域の前記横方向の中央部に接合するとともに、前記両側縁部のそれぞれが前記股下域の前記最下部よりも後方において前記股下域の両側縁部それぞれに接合しており、前記上縁部に接合する前記股下域の前記中央部が前記おむつの着用状態において前記おむつの内側に向かって突出可能に形成されていることを特徴とする前記パンツ型おむつ。
【請求項2】
前記股下域の前記両側縁部が、前記体液吸収部の両側縁部、前記体液吸収部の前記両側縁部それぞれから前記横方向へ延出する防漏フラップ、前記体液吸収部の前記両側縁部それぞれにおいて前記体液吸収部に対して起立可能に形成された防漏カフのいずれかである請求項1記載のパンツ型おむつ。
【請求項3】
前記シート片が前記横方向において弾性的に伸長可能なものである請求項1または2記載のパンツ型おむつ。
【請求項4】
前記シート片は、前記上縁部と前記下縁部との間の寸法が少なくとも50mmであって、前記股下域の前記最下部よりも後方の部分との間に便を受容可能なポケットを形成している請求項1〜3のいずれかに記載のパンツ型おむつ。
【請求項5】
前記シート片の前記下縁部が前記内面シートに接合している請求項1〜4のいずれかに記載のパンツ型おむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−307272(P2008−307272A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158987(P2007−158987)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】