説明

使用者の口中に保持されるように配置される小型呼吸保護装置

第1端部(5)と第2端部(7)の間に少なくとも1つの壁(81)を画定する細長い管状フィルタハウジング(8)を備える呼吸保護装置で、前記壁(81)は少なくとも1つの開口(82)、フィルタハウス(8)内のフィルタ(2)、及び使用者の口中へ導入し、保持するように配置される開口(54)を有する空気道(51)を有するマウスピース(9)を有し、前記フィルタハウス(8)は使用者の口の両隅間の直線に平行に伸び、前記空気道(51)は、夫々濾過された吸気と呼気のための前記ハウジング内の少なくとも1つの空間(80、83)と連通し、フィルタ(2)またはハウジング(8)を有するフィルタ(2)のいずれも使い捨て可能で、前記フィルタ(2)は第1空間(80)を第2空間(83)から分離するように配置され、前記空気道(51)は前記フィルタ(2)を介して前記第1空間(80)からの吸気の供給を可能にし、かつ呼気が前記開口(82)を介して前記第2空間(83)から逃げることを可能にするように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は第1端部と第2端部の間に少なくとも1つの壁を画定する管状の細長いフィルタハウジングを備える呼吸保護装置に関し、前記壁は少なくとも1つの開口、フィルタハウス内のフィルタ、及び使用者の口中へ導入され、保持されるように配置される開口を有する空気道を有するマウスピースを有し、前記フィルタハウスは使用者の口の両隅間の直線に平行に伸び、前記空気道は夫々濾過された吸気および呼気用前記ハウジング内の少なくとも1つの空間と連通し、フィルタまたはハウジングを有するフィルタはいずれも使い捨て可能である。
【背景技術】
【0002】
現在使用される呼吸保護装置は、非常に進歩した、例えば従来のガスマスク、または口と鼻を覆う、より簡単な呼吸保護装置のいずれかである。ガスマスクは進歩した空気清浄化を必要とする非常に危険な環境における所定分野の用途を有する。口と鼻を覆う簡単な従来の呼吸保護装置は、それらの装置が不快であり、多くの場合、清浄化能力が不十分で、かつ他の欠点も有するにもかかわらず、空気清浄化も必要とする環境において、他により良いものがないため広く使用される。
【0003】
使用者の口中へ導入され保持されるように配置されるマウスピースを有する種類の呼吸保護装置も提案されている。このような呼吸保護装置の例として、WO05/105,216、WO92/21,408、EP0,695,561A1、US−A5,771,885、US−A5,957,131、およびDE−OS2,115,715に記載されるものを参照することができる。しかし、これらの文献に示される保護装置は、全て何らかのいくつかの欠陥および/または欠点を有し、出願人が知る限り、広く使用されるには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO05/105,216
【特許文献2】WO92/21,408
【特許文献3】EP0,695,561A1
【特許文献4】US−A5,771,885
【特許文献5】US−A5,957,131
【特許文献6】DE−OS2,115,715
【発明の概要】
【0005】
上記背景で、本発明は上記序文で述べたタイプの呼吸保護装置を提供することを目的として、多くの作業環境で完全に満足できる保護機能を提供し、更に多くの実用上の利点を有する。特に、本発明は下記の利点、及び/又は要件の大部分を満たす呼吸保護装置を提供することを目標とする:
良好な清浄化効果
吸気及び呼気の両方における低い呼吸抵抗
小型(ポケットサイズ)
軽量
使用者の視界に干渉しないこと;いかなる大きな突出部もないこと
口髭又は顎髭を有する人が使用可能であること
合理的に製作できること
フィルタは交換又は清浄化のため挿入及び除去が容易であること
空気清浄化に利用できる十分な利用空間があること
使用環境要件に適した異なる濾過レベルで使用可能であること
【0006】
上記品質の全て、又は少なくとも殆ど全ては、以下を特徴とする序文で述べたタイプの呼吸保護装置により達成することができる:
前記フィルタは第1空間を第2空間から分離するように配置される
前記空気道は、前記フィルタを介して前記第1空間からの吸気供給が可能なように配置され、および
呼気が前記開口を介して、前記第2空間から逃げることを可能にするように配置される
【0007】
本発明により、多くの利点を提供する費用的に非常に効率的な設計を達成することができる。1つの重要な利点は、呼吸保護装置の必要機能を達成するための唯一の逆止弁が必要であり、一好適実施例によると、前記逆止弁の支持構造をフィルタハウジングと一体化してもよい。別の重要な利点は、費用のかかる別の障壁又は壁を何ら使用する必要なく、フィルタ自体を使用して、呼気用空間からの進入吸気用空間を分離するが、フィルタ自体に存在する抵抗を使用して、前記空間の分離を達成する。従って、呼気はフィルタを通過せず、これが多くの用途で重要な利点である。
【0008】
本発明の更なる態様によると:
前記第二空間は、高い濾過能力を有する小型呼吸保護装置の生成能力を改善する、好ましくは、ほぼ同軸で、前記第一空間の周囲を取り囲むこと
前記フィルタは、フィルタハウスの長手方向に直交する平面内で湾曲すること、及び好ましくは、前記フィルタは、高い濾過能力を有する小型呼吸保護装置の生成能力を更に増加させる、直交断面内に積層した星形体を形成するため、フィルタハウスの長手方向に複数の層を備えること
呼吸保護装置全体は使い捨て可能であり、開口を通して追い出される呼気は、前記外部空間の上部又は下部の通過には関係なく、ほぼ同一距離を進行し、又使用者を妨げない呼気出口を提供するという利点を提供する。
【0009】
本発明の更なる特徴と態様は、特許請求の範囲と本発明の以下の詳細記述から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の詳細記述で、添付図面を参照する:
【図1】本発明による呼吸保護装置の上から斜めに見た斜視図を示す。
【図2】図1に示す、反対側から見た呼吸保護装置の別の斜視図を示す。
【図3】図1及び2に示す、呼吸保護装置の正面図を示すが、保護キャップに関する修正を表示する。
【図4】図3に記入するIV‐IVに沿った垂直断面図を示す。
【図5】図1に記入するV‐Vに沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜5により、本発明の好適実施例を示し、その呼吸保護装置はフィルタハウジング8、フィルタハウジング8内に位置するフィルタ2、吸気用の2つの開口50、70、呼気用開口82、及びマウスピース9を含む。
【0012】
フィルタハウジング8は第一端部5と第二端部7の間に伸びる細長い、ほぼ円筒形管のような形状である。フィルタハウジング8は、好ましくは全長約100mm(+/−25%)、外径約30mm(+/−25%)、及び壁厚、約1〜5mmである。フィルタハウジング8の各端部5、7には、内側中心空間80へ繋がる開口50、70がある。各開口は、フィルタ2と係合する/を位置決めするように配置される内部へ伸びる環状部55、75を備える。
【0013】
マウスピース9は、一般にそれ自体、例えば潜水服で知られるように形成され、使用者の口中に保持され、前記ハウジング8へ繋がる前端部と、細長い開口54へ流出する後端部を有する道51を形成する管状部52を備える。開口54に隣接して、歯固定手段59を提供するため、後方外側へ斜めに伸びる一対の翼58が配置される。
【0014】
道51の前端部は、ハウジング8の内側に直接備えられる周辺空間83へ繋がり、この空間83はフィルタ2を取り囲み、呼気用開口82と直接連通する。呼気の通過を単に可能にするため、前記開口82は逆止弁1を備える。この逆止弁1は、人がマウスピース9を通して吸引する場合、空気が空間83へ進入することを防止する機能を有する。多くの異なる種類の既知の逆止弁が使用され、この機能を達成する。表示される実施例では、空間83内の圧力が逆止弁1の外側より低い場合、それらの間に備えられる開口を覆い、かつ封止するように、多くの移動可能で、かつ柔軟な材料30(膜)を備える逆止弁1が使用される。従って、この逆止弁1が開き、呼気を装置の外へ導き、即ちマウスピース9の道51及び空間83を介して空気を流す。呼吸保護装置の使用者がマウスピース9を介して空気を吸引する場合、逆止弁1の周りの他のルートは閉止され、空気を、入口50、70を介して内側空間80へ進入させ、内側空間80からフィルタ2を介して外側周辺空間83へ、次に道51を介して使用者へ進入させる。
【0015】
前面開口82は、複数の開口85(ここでは湾曲溝形状の)を備える保護キャップ84を備え、十分な全開口面積を提示し、過度の抵抗なしに、空気の適切な流れを許容し、比較的大きな物体がキャップ84を通過させないことにより、フィルタを保護もすることを更に示す(図1参照)。図3では、開口85の形状が、例えば放射状に伸びるように変化することを示し、これは多くの用途で利点となる。更に、図3は保護キャップ84を使用し、端部5、7の開口50、70の各々、又は少なくとも1つを保護することを示す。一実施例で、キャップ84は、全て同一設計/寸法を有し、これは、大量生産に有利である。
【0016】
フィルタ2はフィルタハウジング8の各端部5、7の環状部55、75により支持される。従って、フィルタ2は前記環状部51、71に合う内径、及びこれらの部分55、75がフィルタ2をハウジングへしっかり固定するため、フィルタ2の中央空間へ突出させるのに十分な長さを有する。フィルタ2は、星型断面を示す好ましくは層型タイプで、即ち、複数の内層22と外層21を備え、360°の円孤を形成するために結合されるフィルタ膜から作られる。
【0017】
好ましい呼吸保護装置はこのような形状を有し、好適実施例によると、小型バックに入れられるが、例えばベルトに取り付けられるか、又は使用者の作業服のポケットにさえ入るような寸法を有する。
【0018】
呼吸保護装置1が使用される場合、マウスピース9は使用者の口中へ挿入される一方、鼻孔は、例えば呼吸保護装置(表示なし)に取り付け可能な鼻クリップにより、従来方式で封止してもよい。使用者が吸引する場合、逆止弁1は、空気が内側空間80へ侵入できるように封止される。従って、空気は開口50、70を介してフィルタハウス8の内側空間80へ吸引され、フィルタ2を介して外側空間83へ、次にマウスピース9内の道51を介して外へ、開口54を介して使用者の口へ吸引される。呼吸フィルタ2により発生する呼吸抵抗は、特に呼吸保護装置の小さい寸法に関して小さい。これは、その長さとその積層設計のため、比較的広い表面を有するフィルタ2による。吸引される空気のフィルタ表面上への円孤状分布も呼吸抵抗の低下を促進する。呼気で、呼吸保護装置の呼吸抵抗はほとんど無視できる。道51と管状外側空間82は広く、膜30は極めて低い過圧力で開き、これにより装置に殆ど目立った抵抗を提供しない。この設計により、及びフィルタ2はいくらかの抵抗を示す事実により、呼気は全く(又は少なくとも極めて僅かな量しか)フィルタ2を通過せず、通常この種のフィルタ材料は湿度に悪影響を受けるので、これは重要な利点である。
【0019】
呼吸保護装置は、図1〜5に示すように、5つの部品A〜Eで形成され、プラスチックの成形鋳造により、費用的に効率的な生産が可能となる。見られるように、多くの用途を意図したマウスピース9が提供され、即ち、フィルタ2を含むフィルタハウス8のみが使い捨て可能に作られ、又は実際フィルタ2のみである。
【0020】
テクノスタット(Technostat)という商標名を有するフィルタのタイプは、本発明による呼吸保護装置が、例えば埃の多い建設現場や、例えば犬、猫又は牛の毛又は花粉に対するアレルギ問題を有する人により使用される場合、200gr/mが適している。セメント粉、石及び/又はカーボンダストを含む環境では、テクノスタットでの200gr/mより目の細かいフィルタ材料を使用すべきであるが、この場合、フィルタは記述したものと同一設計を有し、上記の会社又は別の製造会社で作られる。原則として、本発明による呼吸保護装置の一部であるフィルタにおいて、例えば、活性酸素、イオン交換材料、又は他の溶剤、又は溶接煙及び他の煙を始め、ガス状又は蒸気状汚染物の排煙管用溶剤を含むフィルタ材料のような、更に目の細かいフィルタ材料を使用することができる。
【0021】
本発明は好適実施例に関して、上で述べたことに限定されず付属の特許請求の範囲内で変化する。従ってフィルタハウス8は、例えば直交断面を有するチューブのような様々な形状がある。更に、壁又はメッシュ部により覆われる周辺の小部分を有する実施例でも、壁状仮想構造を画定する設計がなされるので、語句「壁」81は、明らかに非常に広い定義を与えられなければならない。更にフィルタハウス8内空間80への空気の通過用開口50、70にはその開口の全面積が最適範囲に保たれるならば、呼吸保護装置の機能を何ら損なうことなく、上で示す以外に様々な形状と寸法を与えられることができることは明らかである。これに関して、これは単に1つの開口50の使用により達成されることは、当業者には明らかである。フィルタ2は上記以外の別のタイプでもよいことも指摘されるべきである。
【符号の説明】
【0022】
1:逆止弁
2:フィルタ
5:第1端部
7:第2端部
8:フィルタハウジング
9:マウスピース
20:フィルタウェッブ
21:外層
22:内層
30:柔軟部材(膜)
50、54、70、82、85:開口
51:道
52、55、75:環状部
58:翼
59:歯固定手段
80:内側空間
81:壁
83:空間
84:キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部(5)と第2端部(7)間に少なくとも1つの壁(81)を画定する細長い管状フィルタハウジング(8)を備える呼吸保護装置であって、前記壁(81)は少なくとも1つの開口(82)、前記フィルタハウス(8)内のフィルタ(2)、及び使用者の口中へ誘導され、かつ保持されるように配置される開口(54)を有する空気道(51)を有するマウスピース(9)を有し、前記フィルタハウス(8)は前記使用者の口の両隅を結ぶ線に平行に伸び、前記空気道(51)は夫々濾過される呼気及び吸気のための前記ハウジング内の少なくとも1つの空間(80、83)と連通し、前記フィルタ(2)または前記ハウジング(8)を有する前記フィルタ(2)のいずれかは使い捨て可能であり、前記フィルタ(2)は第2空間(83)から第1空間(80)を分離するように配置され、前記空気道(51)は前記フィルタ(2)を介して前記第1空間(80)からの空気の供給を可能にし、呼気が前記開口(82)を介して前記第2空間(83)から逃げることを可能にするように配置されることを特徴とする呼吸保護装置。
【請求項2】
前記第2空間(83)は好ましくは、ほぼ同軸で、前記第1空間(80)の周辺を取り囲むことを特徴とする、請求項1に記載の呼吸保護装置。
【請求項3】
前記開口(82)は逆止弁(1)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の呼吸保護装置。
【請求項4】
前記フィルタ(2)は前記フィルタハウジング(8)の長手方向に直交する平面内で湾曲することを特徴とする、請求項2に記載の呼吸保護装置。
【請求項5】
前記フィルタ(2)は、直交断面内に積層星形体を形成するため、前記フィルタハウス(8)の長手方向に複数の積層(21、22)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の呼吸保護装置。
【請求項6】
前記フィルタ(2)は前記フィルタハウス(8)の長手方向に基本的に直線状に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の呼吸保護装置。
【請求項7】
前記フィルタの少なくとも外面は5mm〜20mmの間、好ましくは10mm〜15mmの間の半径(r)を有する曲面を備えることを特徴とする、請求項5に記載の呼吸保護装置。
【請求項8】
前記呼吸保護装置の全体が使い捨て可能であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の呼吸保護装置。
【請求項9】
前記開口(82)は、前記道(51)に対して、前記ハウジング(8)内の少なくともほぼ反対側に設置されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の呼吸保護装置。
【請求項10】
前記フィルタ(2)は前記フィルタハウジング(8)の接線方向に360度に伸びることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の呼吸保護装置。
【請求項11】
前記第1及び第2端部(5、7)は、ほぼ円形構造であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の呼吸保護装置。
【請求項12】
前記フィルタ(2)はその中心に前記内側空間(80)を画定するように配置される連続したウェブ形状であり、好ましくは前記ハウジング(8)の各端部(5、7)から内側に突出する環状部(55、75)によりその端部で支持されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の呼吸保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−509983(P2010−509983A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537123(P2009−537123)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【国際出願番号】PCT/SE2007/050868
【国際公開番号】WO2008/063126
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509120193)フィルトロ アクティエボラグ (1)
【Fターム(参考)】