説明

便器用脱臭装置

【課題】ミストによる脱臭性能を向上すると共に省スペース化を図ること。
【解決手段】液体を微細ミストに霧化する微細霧化手段32を備え、前記微細霧化化手段により生成した微細ミストを便器20のボール25内へ放出することにより、粒径数百nmの微細ミストを便器20のボール25内に噴霧することができる。したがって、粒径が小さくなることで付着力が小さくなり臀部が濡れることがない為、便器20内の臭気を直接微細ミストで除去することができ、脱臭性能を向上すると共に専用の脱臭室を設ける必要がないため省スペース化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器内に存在する悪臭成分をミストによって除去する便器用脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ミストによって便器の脱臭を行う脱臭装置としては、臭気ダクトを介して便器内の臭気を脱臭室へ吸引し、洗浄水供給系のタンクの洗浄水をノズル部から脱臭室内へ噴霧することにより、臭気と水ミストとが混合接触され、臭気中のアンモニア及びその他の悪臭成分が水に吸着され、悪臭成分を吸着した水は脱臭室から排水ダクトを通ってタンクへ回収され、脱臭された空気は排気口から排気される。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、前記公報に記載された便器用脱臭装置の構成図を示すものである。便器1を洗浄するの洗浄水はタンク2に貯えられており、タンク2と便器1とをつなぐ洗浄水供給路3が設けられている。便器1内に洗浄水を供給するとき、タンク2内の洗浄水は洗浄水供給路3を通じて便器1内へ供給され、排水パイプ1aを通じて下水道へ流れていく。そして、図示されない水道配管を通して、洗浄水がタンク2に貯えられる。
【0004】
一方、便器1内に開口して設けられた臭気吸引口4を有し、臭気送気ダクト5と連通している。その途中部にはファン装置6が配設されている。そして、臭気送気ダクト5の下流端部に脱臭を行う脱臭装置Aが接続されている。
【0005】
脱臭装置Aは、吸入された臭気と水とを接触させる脱臭室7と、脱臭室7内に水を噴霧する噴霧手段であるノズル部8と、このノズル部8に水を供給するための給水手段である途中部に水ポンプ9が配設された給水ダクト10と、脱臭室7に供された水を排水する排水手段である排水ダクト11から構成されている。
【0006】
便器1に設けられたセンサ12が使用者の動きを検出すると、制御部13へ信号が送られファン装置6と水ポンプ9を起動し、臭気ダクト5を通って便器1内の臭気が脱臭室7へ送気導入されると同時に、給水ダクト10を通って洗浄水供給系のタンク2の洗浄水が脱臭室7へ給水され、ノズル部8から脱臭室7内へ噴霧される。臭気と水ミストとが混合接触され、臭気中のアンモニア及びその他の悪臭成分が水に吸着されるため臭気は脱臭される。悪臭成分を吸着した水は脱臭室7から排水ダクト11を通ってタンク2へ回収され、脱臭された空気は排気口14から排気される。
【特許文献1】特開平10−96253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、ノズルによってミストを噴霧しているため、その粒径は数十μmと非常に大きい。この為、臭気の発生源である便器内にミストを直接噴霧すると、臀部が濡れてしまうことになる。したがって、ミストによる臭気の除去は便器内で直接行うことができず、前記従来の構成のように別途脱臭室8を設けて脱臭せざるを得なかった。
よって、装置が大型になるという課題を有していた。
【0008】
また、ミストの粒径が数十μmと非常に大きい為、臭気との接触頻度が低く、ミストは拡散し難い。この為、十分な脱臭を行うことができていなかった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ミストによる便器内の脱臭を行っても臀部が濡れることがない為、便器内の臭気を直接ミストで除去することができるため、脱臭性能を向上すると共に省スペース化が図れるようにした便器用脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便器用脱臭装置は、液体を微細ミストに霧化する微細霧化手段を備え、前記微細霧化化手段により生成した微細ミストを便器のボール内へ放出するようにしたものである。
【0011】
これによって、微細霧化手段で霧化した粒径数百nmの微細ミストを便器のボール内に噴霧することができる。したがって、粒径が小さくなることで付着力が小さくなり臀部が濡れることがない為、便器内の臭気を直接微細ミストで除去することができ、脱臭性能を向上すると共に専用の脱臭室を設ける必要がないため省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の便器用脱臭装置は、脱臭性能を向上すると共に省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、液体を微細ミストに霧化する微細霧化手段を備え、前記微細霧化手段により生成した微細ミストを便器の便器ボール内へ放出することにより、粒径数百nmの微細ミストが便器のボール内に存在する臭気中のアンモニア及びその他の悪臭成分と接触し、悪臭成分が水に吸着され、ボールの洗浄水や貯留水と一緒に外部に排出することにより悪臭を除去することとなり、便器の悪臭を効果的に除去できるとともに、微細ミストの粒径が極めて小さいことで付着力が小さくなり臀部が濡れることがなく快適に使用することができる。また便器のボール内に直接微細ミストを噴霧して臭気を除去することができるため、専用の脱臭室を設ける必要がないため省スペース化を図ることができる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明の微細霧化手段を、液体を小径ミストに霧化する霧化手段と、前記霧化手段で霧化した小径ミストを微細化して微細ミストを生成する微細化手段で構成したことにより、霧化手段では液体を粒径数十μmの小径ミストに霧化し、微細化手段によって粒径数百nmの微細ミストに微細化するという2段階のミスト化を行うことができることとなり、霧化手段および微細化手段それぞれの負荷を減少するとともに、それぞれが備えた機能を最大限発揮することが可能となり、結果的に微細ミストの霧化量を増加させることができ、脱臭効果を高めることができる。
【0015】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、微細ミストの粒径を1μm以下とすることにより、微細ミストと臭気の悪臭成分との接触面積を大きくできることとなり、脱臭効果を向上することができるとともに、微細ミストの付着力が小さくなることにより、臀部が濡れることを減少することができ、快適な脱臭装置を提供することができる。
【0016】
第4の発明は、特に、第2または第3つの発明の霧化手段を、加圧または負圧ノズルにより液体を霧化する構成としたことにより、簡便な設計が可能である。また、ミストを大量の霧化量で噴霧することができるため、脱臭性能を向上することができる。
【0017】
第5の発明は、特に、第2または第3の発明の霧化手段を、貯留タンクの底部に超音波振動子を設けた構成にしたことにより、微細化手段に導入される小径ミストは数μmオーダーの小さい粒径にすることができるので、微細化手段では低いエネルギーで微細化を行うことができる。
【0018】
第6の発明は、特に、第2〜5のいずれかひとつの発明の微細化手段を、霧化手段により霧化した小径ミストをコロナ放電によって微細化するようにしたことにより、霧化手段で霧化したミストに電荷を付与してその反発力により微細化することができるため、微細化されたミストは電荷を帯びているため凝集を防ぐことができる。また、コンパクトな設計が可能である。
【0019】
第7の発明は、特に、第6の発明の微細化手段を、霧化手段により霧化した小径ミストに電荷を帯電させる放電部と、前記放電部に電圧を供給する電源部とを備え、前記放電部は、接地された筒状電極と、前記筒状電極の中心軸部に配設した高電圧を印加する棒状電極とから構成したことにより、棒状電極近傍が高い電界強度を有するため、低電圧下で霧化手段から導入したミストに微細化に必要な電界強度を与えて微細化することができる。また、電界に暴露される時間を確保することができるため、効果的にミストを微細化することができる。
【0020】
第8の発明は、特に、特に第1〜7のいずれか1つの発明において、使用者の便器の使用を検知する使用検知手段を備え、前記使用検知手段が使用を検知すると微細ミストを放出することにより、使用者が便器を使用すれば便器用脱臭装置は自動的に微細ミストを放出することとなり、確実に脱臭機能を動作させることで、脱臭効果を高めるとともに、使用者の手間を省き使い勝手を向上することができる。
【0021】
第9の発明は、特に、特に第1〜8のいずれか1つの発明において、使用検知手段が使用検知終了後、微細ミストの放出を所定時間継続するようにしたことにより、使用者が便器を使用後も所定時間便器用脱臭装置が動作することとなり、便器に残留した臭気を脱臭することとなり、脱臭効果をより向上することができる。
【0022】
第10の発明は、特に、第8または9の発明の便器用脱臭装置において、使用検知手段は、便器に備えた便座に使用者が着座したことを検知する着座検知手段とすることにより、前記着座検知手段が着座を検知すると便器用脱臭装置が動作するようにしたこととなり、使用者が便座に着座すれば操作する必要なく自動で脱臭を行うことができる。
【0023】
第11の発明は、特に、第8または9の発明において、使用検知手段は、便器の近傍に近づいた使用者を検知する人体検知手段としたことにより、使用者が便器に近づくと脱臭装置が動作するため、男子小用使用時等の便座に着座しない使用状態でも脱臭することができ、広い範囲の使用条件に対応可能となる。
【0024】
第12の発明は、特に、第1〜11のいずれか1つの発明において、便座を覆う開閉自在な便蓋を有し、前記便座が前記便蓋で覆われた場合に、微細ミストを所定時間放出することにより、蓋体閉成時に微細ミストが便器のボール内に充満して、活性酸素種を含んだミストが便座表面に付着する。
このため、便座表面に付着した菌を酸化分解することができるので、常に清潔な便座を保つことができる。
【0025】
第13の発明は、特に、第1〜12のいずれか1つの発明において、使用者の局部に洗浄水を噴射する局部洗浄手段を備えたことにより、便器の脱臭に使用する液体と局部洗浄に使用する洗浄水を共用することができるので、それぞれの液体を供給する手段を個別に設ける必要がなく、構造のシンプル化と施工の簡易化を図ることができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における便器用脱臭装置の断面図を示し、図2は便器用脱臭装置の平面図を示し、図3は微細化手段部の詳細断面図を示すものである。
【0028】
図に示すように、便器20後方には貯水タンク21が設置してあり、便器20のリム通水路22は、給水室23を介して前記貯水タンク21と連通し、便器使用後は操作コック(図示せず)を操作することにより、リム通水路22の射水口24から便器洗浄水を吐水しボール25を流れ落ちて汚物を排出口26へと排出するようになっている。また、貯水タンク21は給水栓(図示せず)を介して水道管に接続されており、水道水が供給される構成となっている。
【0029】
貯水タンク21の前方に位置する便器20の上面には本願発明の便器用脱臭装置の本体27を取り付けてあり、この本体27の前方には便座28及び便蓋29を回動自在に枢支している。
【0030】
本体27には局部洗浄手段30が設置してあり、用便後に局部に局部洗浄水を噴水する局部洗浄ノズル31が便器20のボール25の後方に進退自在に設けられており、局部洗浄に使用する局部洗浄水は水道水を加熱手段(図示せず)で加熱した温水を使用し、局部洗浄水の噴射は電磁弁(図示せず)の操作により行う。
【0031】
リム通水路22近傍のボール25内には微細霧化手段32が設置してある。図2に示すように微細霧化手段32は、まず霧化手段33は、高圧の水をノズルから噴射して霧化する加圧ノズルの方式を採用したもので、水道水の水圧によって水道水を霧状の小径ミストとして噴出する霧化ノズル34と、霧化ノズル34の先端部に設置した微細化手段35で構成している。水道水の供給は制御弁(図示せず)により、その供給と流量を制御する構成となっている。
【0032】
図3に示すように、微細化手段35は、霧化ノズル34で霧化した小径ミストにコロナ放電により電荷を与える放電部36と放電部36に高電圧を供給する電源部37から構成されている。放電部36は、電気的に接地されステンレスで形成された筒状電極38と、その中心部に備えられたタングステンで形成された棒状電極39で構成されている。筒状電極37は入口及び出口が開口しており、入口には小径ミストを導入するガイド40が設けられている。そして、霧化ノズル34がこのガイド40に挿入されている。棒状電極36は本体27に設置した電源部37と電気的に接続しており高電圧が印加される。
【0033】
また、便器20を設置したトイレの壁面には、使用者が発する赤外線を検知する人体検知手段41が設置してあり、人体検知手段41は本体27に設置した制御部42に検知信号を送信できる構成となっている。
【0034】
また、便座20には使用者が着座したことを検知する着座検知手段43が設置してある。また便蓋29の枢支部近傍には便蓋29の開閉状態を検知する開閉検知手段44が設置してあり、着座検知手段43と開閉検知手段44は制御部42と電気的に接続している。また、局部洗浄手段の電磁弁や加熱手段、微細霧化手段の制御弁等も制御部42と電気的に接続されており、便器用脱臭装置の作動はすべて制御部42により制御する構成となっている。
【0035】
以上のように構成された便器用脱臭装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0036】
まず、使用者がトイレに入室すると、人体検知手段43が人体を検知し、検知信号を受
けた制御部42は微細霧化手段32の作動を開始し、便器20のボール25内に微細ミストの放出が開始する。
【0037】
微細霧化手段32の作動は、まず、水道の水圧で送られた水道水が霧化ノズル34から噴射され粒径数10μmの霧状の小径ミストが噴霧される。そして、この小径ミストが微細化手段33のガイド40へ導入され、放電部36の筒状電極38内に流入する。
【0038】
放電部36では、電源部37から棒状電極39に5〜10kVの高電圧が印加される。このとき、棒状電極39と筒状電極37間にはコロナ放電が起き高電界状態となる。このため、流入した小径ミストには電荷が付与される。そして、この電荷による反発力が小径ミストの表面張力を超えると分裂し微細化する。
【0039】
微細化した微細ミストは、コロナ放電により生成した活性酸素種を含んだ状態で便器20のボール25内に拡散する。そして、ボール25内の臭気が微細化した微細ミストに捕捉され、活性酸素種で酸化分解され脱臭する。微細ミスとはボール25内を浮遊した後ボール25の内面や底部の貯留水に降下し付着する。微細化された微細ミストの粒径は、数百nm〜数μmの微細ミストであることから、使用者の臀部に付着しにくく濡れてしまうことはない。したがって、従来のように別途脱臭室を設ける必要がなく省スペース化が図れる。また、粒径が小さいので、拡散しやすく臭気との接触頻度も高くなることから大幅に脱臭性能が向上する。
【0040】
使用者が男子小用の使用の場合、使用者がトイレより退出すると短時間の所定時間経過後、微細霧化手段32の作動は自動的に停止する。
【0041】
着座して用便をした場合、使用者は用便終了後、別途設けられている洗浄ボタンの操作によって、局部洗浄ノズル31から洗浄水が局部に噴射され、局部を洗浄することができる。用便動作終了後、使用者が便座28から離席すると、着座検知手段43は離席を検知し、所定時間経過後、微細霧化手段32の作動は自動的に停止する。
【0042】
また、用便後に便器20に便器洗浄水を流すと、便器洗浄水はリム通水路22の射水口24から吐水し、ボール25の内面を流れ落ちて汚物を排出口26へと排出するとともに、微細ミストに付着してボール25の内面や底部の貯留水に降下した臭気の要素も同時に排出する。
【0043】
また、用便が終了して便蓋29を閉じた場合、開閉検知手段44が便蓋29の閉成を検地し、制御部42は1時間あたり5分間微細霧化手段の運転を断続的に行う。この時、微細ミストが便器20のボール25内に拡散するが、便蓋29によって便座28は覆われているので、便座28の表面にも微細ミストは付着する。そして、便座28の表面の菌を活性酸素種を含んだ微細ミストが分解する。したがって、常に清潔な便座を保つことができる。なお、この機能は、人体検知手段41と着座検知手段43による使用終了後の所定時間の作動後に実行される。
【0044】
以上のように、本実施の形態においては、水を小径ミストに霧化させる霧化手段である霧化ノズル34と、霧化手段で霧化した小径ミストを微細化する微細化手段35を具備し、微細化手段35により微細化した微細ミストを便器22内部へ放出するものであり、霧化手段で霧化した粒径数十μmの小径ミストは、微細化手段35によって粒径数百nmの微細ミストに微細化され、便器20内に噴霧することができる。したがって、粒径が小さくなることで付着力が小さくなり臀部が濡れることがない為、便器20内の臭気を直接ミストで除去することができ、脱臭性能を向上すると共にミストによる脱臭室を設ける必要がないため省スペース化を図ることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、人体検知手段41と着座検知手段43を設置したことにより、便器用脱臭装置の作動を自動化することができ、使用者に手間をかけずに使い勝手のよい脱臭装置を提供することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、便蓋29の開閉検知手段44を設けたことにより、微細ミストが密閉状態の便器20内に充満して、活性酸素種を含んだミストが便座28の表面に付着するため、便座28の表面に付着した菌を酸化分解することができるので、常に清潔な便座を保つことができる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、便器用脱臭装置に局部洗浄手段30を設けたが、これは必須の要件ではなく、微細ミストによる脱臭機能のみでもよい。
【0048】
(実施の形態2)
図4は本発明の第2の実施の形態の便器用脱臭装置の断面図を示し、図5は微細化手段部の詳細断面図を示すものである。
【0049】
本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、微細霧化手段の霧化手段として実施の形態1においては霧化ノズルを使用したが、本実施の形態においては超音波振動子を使用する点であり、他の構成は実施の形態1と同様であり、同一符号の部材は同一の構成とし、再度の説明は省略する。
【0050】
図4において、本実施の形態の微細霧化手段の霧化手段45は、側面に水位調節機能を備えた給水部46を有する貯留タンク47の底部に超音波振動子48を具備している。給水部46は配管を介して水道と連通しており、貯留タンク47のほぼ中央の位置で水位が一定になるように水道水が供給され、貯留47タンクの上部は水道水が供給されない空洞部49を構成している。貯留タンク47の空洞部49に対応する部分には放出口50が設けてあり、放出口50には配管51が接続してある。また、本体27に設置した送風装置52が送風管53を介して空洞部49に接続してあり、送風装置52からの空気が空洞部47に供給される構成となっている。図5に示すように、配管51の他端には放出ノズル54が接続してあり、放出ノズル54は微細化手段35のガイド40に挿入されている。
【0051】
微細化手段40は実施の形態1と同構成で、放電部36は、電気的に接地されステンレスで形成された筒状電極38と、その中心部に備えられたタングステンで形成された棒状電極39で構成されており、棒状電極36は本体27に設置した電源部37と電気的に接続しており高電圧が印加される。
【0052】
以上のように構成された便器用脱臭装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0053】
実施の形態1と同様に微細霧化手段が作動する場合、霧化手段45と微細化手段35と送風装置52が連動して作動する。霧化手段45は、超音波振動子48が作動することで、貯留タンク47に貯留した水の水面から水柱が立ち、貯留タンク47の空洞部49に小径ミストが生成される。このときの小径ミストの粒径は数μmである。そして、この小径ミストは送風装置52から供給される空気により貯留タンク47の放出口50から配管51に送り出され、放出ノズル54から微細化手段35に噴霧され微細化手段35で微細化されて便器20のボール25内に拡散して脱臭を行う。
【0054】
以上のように、本実施の形態においては、霧化手段45として超音波方式を採用することにより、微細化手段35に導入される小径ミストの粒径が数μmとノズル方式に比べ小
さい。したがって、微細化するに必要な電荷量は少量でよいことから、微細化手段35の放電部36の印加電圧を低電圧化することができる。
【0055】
また、霧化手段45は、貯留タンク47の水位が一定になるように設定されているので、常に霧化量が最大となる最適水位を維持することができるため、霧化不良が起こることなく効果的に微細ミストを噴霧することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明にかかる便器用脱臭装置は、微細ミストにより、周囲を濡らさないで脱臭することができるので、トイレや住空間全体の脱臭装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1における便器用脱臭装置の断面図
【図2】本発明の実施の形態1における便器用脱臭装置の平面面図
【図3】本発明の実施の形態1における微細化手段部の詳細断面図
【図4】本発明の実施の形態2における便器用脱臭装置の断面図
【図5】本発明の実施の形態2における微細化手段部の詳細断面図
【図6】従来の便器用脱臭装置の断面図
【符号の説明】
【0058】
20 便器
25 ボール
28 便座
29 便蓋
30 局部洗浄手段
32 微細霧化手段
33、45 霧化手段
34 霧化ノズル(加圧ノズル)
35 微細化手段
36 放電部
37 電源部
38 筒状電極
39 棒状電極
41 人体検知手段
43 着座検知手段
47 貯留タンク
48 超音波振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を微細ミストに霧化する微細霧化手段を備え、前記微細霧化手段により生成した微細ミストを便器の便器ボール内へ放出する便器用脱臭装置。
【請求項2】
微細霧化手段は、液体を小径ミストに霧化する霧化手段と、前記霧化手段で霧化した小径ミストを微細化して微細ミストを生成する微細化手段で構成した請求項1に記載の便器用脱臭装置。
【請求項3】
微細ミストの粒径は1μm以下とする請求項1または2に記載の便器用脱臭装置。
【請求項4】
霧化手段は、加圧または負圧ノズルにより液体を霧化する構成とした請求項2または3に記載の便器用脱臭装置。
【請求項5】
霧化手段は、貯留タンクの底部に超音波振動子を設けた請求項2または3に記載の便器用脱臭装置。
【請求項6】
微細化手段は、霧化手段により霧化した小径ミストをコロナ放電によって微細化するようにした請求項2〜5のいずれか1項に記載の便器用脱臭装置。
【請求項7】
微細化手段は、霧化手段により霧化した小径ミストに電荷を帯電させる放電部と、前記放電部に電圧を供給する電源部とを備え、前記放電部は、接地された筒状電極と、前記筒状電極の中心軸部に配設した高電圧を印加する棒状電極とから構成した請求項6に記載の便器用脱臭装置。
【請求項8】
使用者の便器の使用を検知する使用検知手段を備え、前記使用検知手段が使用を検知すると、微細ミストを放出する請求項1〜7のいずれか1項に記載の便器用脱臭装置。
【請求項9】
使用検知手段が使用検知終了後、微細ミストの放出を所定時間継続する請求項8に記載の便器用脱臭装置。
【請求項10】
使用検知手段は、便器に備えた便座に使用者が着座したことを検知する着座検知手段である請求項8または9に記載の便器用脱臭装置。
【請求項11】
使用検知手段は、便器の近傍に近づいた使用者を検知する人体検知手段である請求項8または9に記載の便器用脱臭装置。
【請求項12】
便座を覆う開閉自在な便蓋を有し、前記便座が前記便蓋で覆われた場合に、微細ミストを所定時間放出する請求項1〜11のいずれか1項に記載の便器用脱臭装置。
【請求項13】
使用者の局部に洗浄水を噴射する局部洗浄手段を備えた請求項1〜12のいずれか1項に記載の便器用脱臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−205047(P2007−205047A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25439(P2006−25439)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】