説明

便器

【課題】便座を便器から取り外さなくても、便座の便器への取付部と便器の間の隙間を容易に清掃することができる便器を提供することである。
【解決手段】便座5が回動可能に固定された便器において、便座5を閉じた状態で便座5と便器の間に、シート状の清掃部材を引き込む回転部材14を設けた。前記回転部材14は、清掃部材の進行方向と直角方向に延びるローラとした前記回転部材14は、駆動手段で駆動される。シート状の清掃部材は、紙である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座装置と便器本体の間を清潔に保つことができる便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からトイレは、清潔に保つための様々な工夫が施されてきた。特に便器を清潔にすることによって、トイレの見栄えが良くなるばかりでなく、悪臭を抑制することもできる。その結果、人はトイレを快適に使用することができるようになる。このようなトイレ(便器)を清潔に保つための発明が、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2005−105546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、便器本体の便座装置取付部と便座装置の隙間に付着した汚れは、便座装置を便器本体から取り外さなければ清掃することができなかった。便座装置のうちでも、特に温水便座装置は、取外して清掃するのは煩雑である。
【0004】
そこで本発明は、便座装置を便器本体から取り外さなくても、便器本体の便座装置取付部と便座装置の間の隙間を容易に清掃することができる便器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、便座装置が便器本体に設置される便器において、便座装置と便器本体の間に、シート状の清掃部材を引き込む回転部材を設けたことを特徴とする便器である。請求項1の発明では、便座装置と便器本体の間に、シート状の清掃部材を引き込む回転部材を設けたので、便座を取り外すことなく便器本体の便座装置取付部と便座装置の間の隙間を容易に清掃することができる。清掃作業者は、従来のような便座装置を便器から取り外して清掃し、さらに清掃後に便座装置を元通りに便器に設置する手間が不要になり、清掃の作業能率が向上する。
【0006】
請求項2の発明は、前記回転部材は、清掃部材の進行方向と直角方向に延びるローラであることを特徴とする請求項1に記載の便器である。請求項2の発明では、回転部材が、清掃部材の進行方向と直角方向に延びるローラであるため、シート状の清掃部材はローラによって均一に引き込まれると同時に、便座装置と便器本体の間の隙間を容易に清掃することができる。
【0007】
請求項3の発明は、前記回転部材は、駆動手段で駆動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の便器である。駆動手段としては、動力源として例えば手動式やモータのような電動式でもよく、その動力は直接的に回転部材に伝達(すなわち、回転部材の回転軸に直結)してもよく、又は間接的にギア機構等を介して回転部材に伝達してもよい。請求項3の発明では、回転部材が駆動手段で駆動されるので、シート状の清掃部材は、円滑に引き込まれ、便座装置と便器本体の間を良好に清掃することができる。
【0008】
請求項4の発明は、前記シート状の清掃部材は、紙であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の便器である。紙は、トイレにそのまま流してもよい素材のものが好ましい。請求項4の発明では、シート状の清掃部材が紙であるため、安価に便座装置と便器本体の間の隙間を清掃することができる。シート状の清掃部材は、清掃後は破棄することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、便座装置と便器本体の間に、シート状の清掃部材を引き込む回転部材を設けたので、便座装置を取り外すことなく便器本体の便座装置取付部と便座装置の間の隙間を容易に清掃することができる。また、清掃作業者は、従来のような便座装置を便器本体から取り外して清掃し、さらに清掃後に便座装置を元通りに便器本体に設置する手間が不要になり、清掃の作業能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明を実施した洋風の便器1の分解斜視図である。また、図2は、本発明を実施した洋風の便器1の一部を切り欠いた斜視図である。図1及び図2に示すように、便器1は、リム2(便器本体)と便座装置3とが組み合わされて構成される。図1及び図2に示す便座装置3は、温水便座装置であり、便座5の上側には蓋4が設けてあり、便座5と蓋4はリム2に対して一体に取付け及び取外しができるようになっている。以下では、便宜上、便座5と蓋4とを併せて便座装置3と呼ぶことにする。
【0011】
リム2の便座取付部2aは平坦であり、便座取付部2aの両側二カ所には磁石12が設けてある。また、便座装置3の、磁石12に対応する位置は、鉄等の磁性体が配置されており、便座装置3はリム2に磁力で固定することができるようになっている。また、リム2に対する便座装置3の取付位置は、図示しないピボット等で位置決めが行われるようになっている。
【0012】
両者の固定に磁石12を用いる代わりに、便座装置3側に二本の軸(図示せず)を立て、リム2側には二本の軸に対応する穴(図示せず)を設け、便座装置3をリム2に装着する際には、二本の軸をリム2の穴に挿入させて便座装置3をリム2に固定するようにしてもよい。このようにすれば、位置決めのためのピボットを設ける必要はなくなる。
【0013】
次に、本発明の主要構成であるローラ14(回転部材)について図2を参照しながら説明する。図2は、便座装置3に設けた回転部材であるローラ14で、シート状の清掃部材である清掃用紙15を巻き込む直前の便座装置3の斜視図である。
【0014】
まず、回転部材であるローラ14の構成を説明し、次に清掃方法を説明する。図2に示すように二つのローラ14が、便座装置3の裏面3a側に回転可能に設置されている。二つのローラ14には、各々ギア14aが設けてある。二つのギア14aは、互いに離れているが、各々に同じ中間ギア16が噛み合っており、中間ギア16を介して動力が伝達されて、同じ向きに回転することができるようになっている。
【0015】
図2に示すように、一方のローラ14のギア14aには、駆動手段であるモータ17の回転軸に固定した駆動ギア18が噛んでいる。よって、モータ17の回転力は、駆動ギア18から一方のローラ14、中間ギア16、他方のギア14aへと伝達されるようになっている。モータ17は、図示しない信号線を介して駆動のON、OFFを切り替えることができるようになっており、清掃作業者がスイッチを押すことによって駆動されるようになっている。駆動源としてモータ17を使用する代わりに、手動でどちらかのローラ14のギア14a、または、中間ギア16を回転させるようにしてもよい。
【0016】
ローラ14の外周側面は、シート状の清掃部材である清掃用紙15を引き入れ易く(巻き込み易く)するために、表面が粗い摩擦係数が大きい素材(例えば、ウレタンやゴム等の軟質材料)を採用するのが好ましい。ローラ14の外周側面に微少の凹凸を設けてもよい。便座装置3とリム2の間であって、便座取付部2a以外の部分は、1〜3mmほどの隙間19が形成されている。また、ローラ14の外周側面の最下端部分20は、便座装置3の便座取付部2a以外の部分の下面からわずかに突出している。突出量は、0.5〜2mmである。
【0017】
よって、リム2の上面(縁)と、ローラ14の外周側面の最下端部分20の間は、0.5〜1mm程度の隙間21が形成される。この隙間21の大きさは、使用する清掃用紙15の厚みと、ローラ14の外周側面の表面荒さとを勘案して任意に決定することができる。
【0018】
次に、清掃方法について説明する。上述のように構成された便器1にシート状の清掃部材である清掃用紙15を供給する。図2に示すように、まず清掃用紙15を、手前側のローラ14と便座取付部2aの間に差し込む。図2は、厳密には差し込む直前の状態を示している。
【0019】
そして、モータ17を駆動させると、各ギアの動作によってローラ14が回転駆動され、清掃用紙15は便座装置3とリム2の間に引き込まれ、同時に両者の間を清掃する。清掃用紙15は、清掃後、そのままリム2の中へ破棄できるような素材のものが好ましい。例えば、トイレットペーパとして採用されている素材の紙である。
【0020】
このようにして構成された便器1は、便座装置3をリム2から取り外すことなく容易に便座装置3とリム2の間に形成された隙間19(又は隙間21)内を清掃することができる。清掃用紙15を、堅い層と汚れを吸着させる層とで構成し、清掃用紙15の先端をローラ14とリム2の間(隙間21)に差し込み、清掃用紙15が二つのローラ14を介して反対側に出てきたところを反対側から清掃用紙15を引っ張ることにより清掃してもよい。このようにすると、駆動源(モータ17)は不要になる。
【0021】
上述の実施例では、ローラ14を二つ設ける例を示したが、ローラ14の設置数は、必要に応じて適宜選定することができる。すなわち、一つでも、二つ以上の複数であってもよい。駆動源を設けないのであれば、ローラ14の設置数は少ない方が好ましい。さらに、清掃用紙15は、便器1のどちら側から差し込み、且つ、ローラ14で巻き込んでもよい。逆方向に移動させるようにしてもよい。また、図示していないが、赤外線センサ等の検出手段を設け、清掃用紙15の有無を確認するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を実施した洋風の便器の分解斜視図である。
【図2】本発明を実施した洋風の便器の一部を切り欠いた斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 便器
2 リム(便器本体)
2a 便座取付部
3 便座装置
3a 裏面
4 蓋
5 便座
12 磁石
14 ローラ(回転部材)
14a ギア
15 清掃用紙
16 中間ギア
17 モータ(駆動手段)
18 駆動ギア
19 隙間
20 ローラの最下端部分
21 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座装置が便器本体に設置される便器において、便座装置と便器本体の間に、シート状の清掃部材を引き込む回転部材を設けたことを特徴とする便器。
【請求項2】
前記回転部材は、清掃部材の進行方向と直角方向に延びるローラであることを特徴とする請求項1に記載の便器。
【請求項3】
前記回転部材は、駆動手段で駆動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の便器。
【請求項4】
シート状の清掃部材は、紙であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の便器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−291726(P2007−291726A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120872(P2006−120872)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】