説明

便座洗浄装置

【課題】付着した汚物等に対しても効果的に洗浄することができ、かつ洗浄に伴い残存する水滴を短時間で確実に除去することのできる便座洗浄装置を提供する。
【解決手段】便座12と便座蓋13とを備える洋式便器50の便座12を洗浄するための便座洗浄装置10である。便座閉じ位置まで便座蓋13を回動させたときに便座12の外側周縁部12dに密接する封止弾性部材(14、15)と、便座12の上面12bに臨む複数の噴出孔25が形成された周配管24と、各噴出孔25から便座12の上面12bへ向けて噴き当てる高圧水と便座12の上面12bへ向けて噴き当てる高圧空気とを切り換えて周配管24へと供給する供給機構30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座を自動的に洗浄する便座洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレは、不特定多数の者が利用するものであって、誤った使用方法で使用される虞があり、不衛生になり易い。特に、洋式トイレは、その便座に利用者の肌が直接触れるので、適正な使用方法であっても不衛生になり易い。汚れた便座は、例えば、ナプキンで払拭して清浄することが行われているが、使用の度に清浄作業を行わなければならないのは煩わしい。
【0003】
また、便座では、汚物等が付着していることがあり、ナプキンでは汚物等を完全に払拭することが困難であったり、ナプキンで払拭する清浄作業自体がためらわれたりする場合もある。
【0004】
このような清浄作業における負担をなくすため、便座を自動的に洗浄するための便座洗浄装置が考えられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0005】
特許文献1の便座洗浄装置では、便器上の一端部に開閉自在に設けられた便座の上面と協働して便座の形状に沿う空洞を形成可能な補助カバーが開閉自在に設けられ、この補助カバーに便器本体に開口する透孔が設けられ、便座の前側に水抜き孔が設けられている。この便座洗浄装置では、適宜補助カバーを被せて便座上に空洞を形成し、その空洞内に洗浄水を送り込んで便座上面を洗浄した後、当該空洞に温風を送り込むことにより、便座上面を乾燥させることで、便座の洗浄を自動的に行う。
【0006】
特許文献2の便座洗浄装置では、便器上の一端部に便座およびその上面を被蔽する便座カバーを開閉自在に設け、その便座カバーの裏面に噴水孔と送風孔を別々に設けており、噴水孔より水を噴射して便座を洗浄し、その後に送風孔よりエアを噴射して便座を乾燥させる。
【0007】
特許文献3の便座洗浄装置は、特許文献2の便座洗浄装置では噴射された水が便座と便座カバーとの間から外部へと流出してしまうことと、噴水孔と送風孔とが別々に設けられていることから複雑な構成となることを問題点として、便座を収納可能な蓋状の洗浄板を設けるとともにその洗浄板の周囲にゴムパッキンを設け、洗浄板の内部に便座の形状に沿って延在する噴射管を設け、噴射管への洗浄液の導入とエアの導入との切り替えのための電磁切換弁が設けられて構成されている。この便座洗浄装置では、直立された洗浄板内に便座を収納し、噴射管の噴射孔から便座へ向けて高圧蒸気を噴射し、その後に電磁切換弁を切り換えて同じ噴射管の噴射孔からエアを噴射して便座を乾燥させる。
【0008】
特許文献4の便座洗浄装置は、便器上の一端部に便座およびその上面を被蔽する便座カバーを開閉自在に設け、その便座カバーの裏面に洗浄板の内部に便座の形状に沿って延在する周設管を設け、便座の周縁に上面から突出するリブ部を設け、周設管への水の導入と熱風の導入との切り替えのための切換機構が設けられて構成されている。この便座洗浄装置では、便座カバーを下げて便器本体上に在る便座上に位置させ、周設管の孔部から便座へ向けて水を噴き付け、その後に切換機構を切り換えて同じ周設管の孔部から熱風を噴き付けて便座を乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平5−76397号公報
【特許文献2】特開平5−146378号公報
【特許文献3】特開2003−116746号公報
【特許文献4】実用新案登録第3140480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、便座に付着する汚物等には、下痢便や嘔吐物のように固形物が混在しているものがある。このような固形物は、便座にこびり付いている場合がある。このため、特許文献1の便座洗浄装置のように空洞に洗浄水を送り込むものでは、便座に付着した汚物等、特にこびり付いた固形物を完全に取り除くのは困難であり、不完全な洗浄となってしまう虞がある。また、この便座洗浄装置では、空洞に送り込まれた洗浄水を透孔および水抜き孔から便器本体へと流れ落とすものであることから、この透孔が大きいと便座の前側に設けられた水抜き孔へと洗浄水を到達させることができなくなり、他方透孔が小さいと便座に付着した汚物等が詰まり、その汚物等が詰まったままで便座が乾燥されてしまい、不完全な洗浄となってしまう虞がある。
【0011】
また、特許文献2の便座洗浄装置のように、噴水孔から水を噴射するものでは便座に付着した汚物等、特にこびり付いた固形物を完全に取り除くのは困難であり、不完全な洗浄となってしまう虞がある。また、この便座洗浄装置では、特許文献3でも述べられているように、噴射された水が便座と便座カバーとの間から外部へと流出してしまう問題点と、噴水孔と送風孔とが別々に設けられていることによる複雑な構成であるという問題点と、を有している。
【0012】
特許文献3の便座洗浄装置のように、噴射管の噴射孔から高圧蒸気を噴射するものでは便座に付着した汚物等、特にこびり付いた固形物を完全に取り除くのは困難であり、不完全な洗浄となってしまう虞がある。
【0013】
特許文献4の便座洗浄装置のように、周設管の孔部から水を噴き付けるものでは便座に付着した汚物等、特にこびり付いた固形物を完全に取り除くのは困難であり、不完全な洗浄となってしまう虞がある。また、この便座洗浄装置では、便座の周縁に設けられたリブ部の内側に溝と、その溝から便座を貫通する通孔とが形成されているが、リブ部の内側にも周設管の孔部から水を噴き付けるものとすると、便座に付着した汚物等が詰まり、その汚物等が詰まったままで便座が乾燥されてしまい、不完全な洗浄となってしまう虞がある。
【0014】
加えて、上記した特許文献1〜4の便座洗浄装置では、いずれも温風(特許文献3では蒸気を利用することから風でも可であると記載)を噴き当てることにより便座に残存する水滴を乾かすものであるが、温風を噴き当てる時間を長く設定するか噴き当てる空気をかなりの高温にして水滴を蒸散させる必要があるので、短時間で便座を乾かすことが困難である。
【0015】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、付着した汚物等に対しても効果的に洗浄することができ、かつ洗浄に伴い残存する水滴を短時間で確実に除去することのできる便座洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明は、上部に開口を有する便器本体の前記開口の環状面に対応する環状を呈し前記便器本体に回動自在に取り付けられる便座と、該便座を上から覆うことができるように前記便器本体に回動自在に取り付けられた便座蓋と、を備える洋式便器の前記便座を洗浄するための便座洗浄装置であって、前記便座の外側周縁部に密接するように前記便座の形状に沿って延在して前記便座蓋に環状に設けられ、前記便座蓋が前記便器本体上で前記便座を覆う便座閉じ位置で前記便器本体の前記開口へと連通しつつ前記便器本体の外方への水漏れが防止された封止洗浄空間を形成する封止弾性部材と、前記便座の形状に沿って延在して前記便座蓋の前記封止弾性部材の内側で環状に設けられ、前記便座閉じ位置で前記便座の上面に臨む複数の噴出孔が形成された周配管と、少なくとも水道水での水圧よりも高い圧力で前記各噴出孔から前記便座の前記上面へ向けて噴き当てる高圧水と、前記便座上の水滴を吹き飛ばす圧力で前記各噴出孔から前記便座の前記上面へ向けて噴き当てる高圧空気と、を切り換えて前記周配管へと供給する供給機構と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の便座洗浄装置であって、前記周配管では、前記便座閉じ位置まで前記便座蓋を回動させた状態において、前記供給機構から前記周配管へと供給された高圧水を、前記便座上面の全領域に行き渡らせるべく、延在方向に点在しつつ該延在方向と直交する方向に点在して前記各噴出孔の位置が設定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の便座洗浄装置であって、前記周配管では、噴き出した高圧水で、付着することを想定する汚物を短時間で洗い流すことが可能な所定の勢いを保ちつつ前記便座の前記上面上を進行する噴当領域を、少なくとも該上面の全領域を覆うべく形成するように前記各噴出孔の位置および噴出方向が設定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、前記便座蓋の内壁面と前記封止弾性部材とは、前記各噴出孔との協働により、該各噴出孔から前記便座の前記上面へと噴き出される高圧水および高圧空気を、前記便座の全周に渡り前記環状面で見て外側から内側へと向かって前記便器本体の前記開口へと導く形状を呈していることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、前記便座蓋と前記便座とには、前記便座蓋に設けられた前記封止弾性部材を前記便座に密接させる密閉補助機構が設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の便座洗浄装置であって、前記密閉補助機構は、前記便座蓋または前記便座のいずれか一方に設けられ吸着のための磁力を発生する磁力発生部と、前記便座蓋または前記便座のいずれか他方に設けられ磁力を受けて前記磁力発生部に吸着される被吸着部とを有することを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の便座洗浄装置であって、前記磁力発生部は、発生する磁力の強度が可変であることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、さらに、使用者が前記洋式便器から離間したことを感知するためのセンサが設けられ、前記センサが使用者の前記洋式便器からの離間を感知すると、前記各噴出孔からの高圧水の噴き当ておよび該各噴出孔からの高圧空気の噴き当てを実行することを特徴とする。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、前記便座の前記上面には、撥水作用を有するコーティングが施されていることを特徴とする。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、前記周配管では、水圧の均一化を図るために、前記供給機構からの高圧水および高圧空気の導入方向で見て、導入位置からの距離が遠くなるほど孔径が大きくなるように前記各噴出孔が設定されていることを特徴とする。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、前記周配管では、前記供給機構からの高圧水および高圧空気の導入方向が、前記便座の形状に沿う曲線方向に対する接線方向であることを特徴とする。
【0027】
請求項12に記載の発明は、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、前記供給機構は、高圧水を生成する高圧水生成部と、高圧空気を生成する高圧空気生成部と、前記高圧水生成部から前記周配管への連通と前記高圧空気生成部から前記周配管への連通とを切り換える切換部と、を有することを特徴とする。
【0028】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の便座洗浄装置であって、前記高圧水生成部と前記高圧空気生成部と前記切換部とは、開閉可能な筐体に収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の便座洗浄装置によれば、各噴出孔からの高圧水を便座に噴き当てるものであることから、便座に汚物等が付着していても、その汚物等を便座から確実に洗い流すことができる。これは、従来技術のように、単に便座に洗浄水をかけるだけでは取り除くことのできない付着した汚物等であっても、周配管に導入された高圧水の圧力により各噴出孔から噴き出される水(高圧水)の勢いを利用して当該汚物等を引き剥がすことができることによる。
【0030】
また、本発明の便座洗浄装置では、各噴出孔からの高圧空気を便座に噴き当てるものであることから、高圧水での洗浄の後に便座に残存する水滴を吹き飛ばすことができ、短時間であっても当該水滴を便座から確実に除去することができる。
【0031】
さらに、本発明の便座洗浄装置では、各噴出孔からの高圧水を便座に噴き当てるものであることから、従来技術のように単に便座に洗浄水をかけるものと比較して、便座に付着した固形物等を確実に洗い流すために必要な水量を減らすことができる。
【0032】
ついで、本発明の便座洗浄装置では、便座蓋を便座閉じ位置まで回動させると、封止弾性部材により、便器本体の開口へと連通しつつ便器本体の外方への水漏れが防止された封止洗浄空間が形成されることから、各噴出孔から噴き当てられる高圧水が、便器本体の外方へと飛び散ることを防止することができる。
【0033】
上記した構成に加えて、前記周配管では、前記便座閉じ位置まで前記便座蓋を回動させた状態において、前記供給機構から前記周配管へと供給された高圧水を、前記便座上面の全領域に行き渡らせるべく延在方向に点在しつつ該延在方向と直交する方向に点在して前記各噴出孔の位置が設定されていることとすると、便座に汚物等が付着していても、その汚物等を便座から確実に洗い流すことができる。
【0034】
上記した構成に加えて、前記周配管では、噴き出した高圧水で、付着することを想定する汚物を短時間で洗い流すことが可能な所定の勢いを保ちつつ前記便座の前記上面上を進行する噴当領域を、少なくとも該上面の全領域を覆うべく形成するように前記各噴出孔の位置および噴出方向が設定されていることとすると、便座に汚物等が付着していても、その汚物等を便座からより確実に洗い流すことができる。
【0035】
上記した構成に加えて、前記便座蓋の内壁面と前記封止弾性部材とは、前記各噴出孔との協働により、該各噴出孔から前記便座の前記上面へと噴き出される高圧水および高圧空気を、前記便座の全周に渡り前記環状面で見て外側から内側へと向かって前記便器本体の前記開口へと導く形状を呈していることとすると、便座の上面を満遍なく洗い流すことができるとともに、その汚れた高圧水等を確実に便座の環状中央部から便器本体の開口へと落とすことができる。このため、便座に汚物等が付着していた場合であっても、高圧水が噴き当てられることにより洗い流された当該汚物等が便器本体へと至る経路において引っ掛かったり、当該汚物等が当該経路を詰まらせたりする虞がないので、便座洗浄装置特に便座の周辺を常に清潔な状態を維持することができる。
【0036】
上記した構成に加えて、前記便座蓋と前記便座とには、前記便座蓋に設けられた前記封止弾性部材を前記便座に密接させる密閉補助機構が設けられていることとすると、洗浄のために噴き出された高圧水および高圧空気が、便座と便座蓋との間から外方へと漏れ出ることを確実に防止することができ、洋式便器の周辺が水浸しになったり汚れたりすることを防止することができる。
【0037】
上記した構成に加えて、前記密閉補助機構は、前記便座蓋または前記便座のいずれか一方に設けられ吸着のための磁力を発生する磁力発生部と、前記便座蓋または前記便座のいずれか他方に設けられ磁力を受けて前記磁力発生部に吸着される被吸着部とを有することとすると、簡易な構成で密閉補助機構を構成することができる。
【0038】
上記した構成に加えて、前記磁力発生部は、発生する磁力の強度が可変であることとすると、密閉補助機構における便座と便座蓋とを互いに引き寄せる力を調節することができるので、封止弾性部材による便座と便座蓋との間を確実に密閉状態とすることができる。
【0039】
上記した構成に加えて、さらに、使用者が前記洋式便器から離間したことを感知するためのセンサが設けられ、前記センサが使用者の前記洋式便器からの離間を感知すると、前記各噴出孔からの高圧水の噴き当ておよび該各噴出孔からの高圧空気の噴き当てを実行することとすると、便座に固形物等が付着した場合であっても、当該固形物等の除去を比較的容易な状態で行うことができるので、より確実に固形物等を便座から洗い流すことができる。これは、当該固形物等が乾燥すると、除去が困難となることによる。
【0040】
上記した構成に加えて、前記便座の前記上面には、撥水作用を有するコーティングが施されていることとすると、より確実に固形物等を便座等から洗い流すことができるとともに、より確実に便座等から水滴を除去することができる。
【0041】
上記した構成に加えて、前記周配管では、水圧の均一化を図るために、前記供給機構からの高圧水および高圧空気の導入方向で見て、導入位置からの距離が遠くなるほど孔径が大きくなるように前記各噴出孔が設定されていることとすると、各噴出孔からの高圧水や高圧空気の噴き出しに起因する周配管内の圧力の低減を噴出し量で補うことができるため、便座の上面を満遍なく洗い流すことができるとともに、より確実に便座等から水滴を除去することができる。
【0042】
上記した構成に加えて、前記周配管では、前記供給機構からの高圧水および高圧空気の導入方向が、前記便座の形状に沿う曲線方向に対する接線方向であることとすると、高圧水または高圧空気の導入に伴う引き込み力を作用させることができるので、周配管内での高圧水および高圧空気の圧力をより均一化することができ、便座の上面を満遍なく洗い流すことができるとともに、より確実に便座等から水滴を除去することができる。
【0043】
上記した構成に加えて、前記供給機構は、高圧水を生成する高圧水生成部と、高圧空気を生成する高圧空気生成部と、前記高圧水生成部から前記周配管への連通と前記高圧空気生成部から前記周配管への連通とを切り換える切換部と、を有することとすると、高圧水生成部、高圧空気生成部および切換部を適宜駆動制御するだけで、便座洗浄動作において高圧水噴出動作と高圧空気噴出動作とを切り換えることができる。
【0044】
上記した構成に加えて、前記高圧水生成部と前記高圧空気生成部と前記切換部とは、開閉可能な筐体に収容されていることとすると、高圧水生成部、高圧空気生成部および切換部のメンテナンスを容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による便座洗浄装置10を備える洋式便器50を概略的に示す説明図である。
【図2】便器本体51に取り付けられる便座洗浄装置10の主要部材である本体部11と便座12と便座蓋13とを分解して示す説明図である。
【図3A】便座洗浄装置10の構成を説明するための説明図であり、便座12および便座蓋13(想像線で示す)が「便座閉じ位置」とされた状態を示している。
【図3B】便座洗浄装置10の構成を説明するための説明図であり、図3Aにおいて便座蓋13が開けられた状態を示している。
【図4A】便座洗浄装置10の構成を説明するための説明図であり、図3Aに示すI−I線に沿って得られた断面をフランジ部13b上の第1封止部材14、第2封止部材15および第3封止部材16を省略して示している。
【図4B】便座洗浄装置10の構成を説明するための説明図であり、図3Aに示すII−II線に沿って得られた断面を示している。
【図4C】便座洗浄装置10の構成を説明するための説明図であり、図4Aに便座蓋13に取り付けられたフランジ部13b上の第1封止部材14および第2封止部材15と便座12に取り付けられた第3封止部材16を加えた状態を示している。
【図5A】本体部11の構成を説明するための説明図であり、上方から見た様子を示している。
【図5B】本体部11の構成を説明するための説明図であり、側方から見た様子を示している。
【図6A】便座12の構成を説明するための説明図であり、上方から見た様子を示している。
【図6B】便座12の構成を説明するための説明図であり、裏側から見た様子を示している。
【図6C】便座12の構成を説明するための説明図であり、図6Aの矢印A16から見た様子を腕部12aの周辺を拡大して示している。
【図7】便座蓋13を説明するための模式的な斜視図である。
【図8A】封止弾性部材を説明するための模式的な斜視図であり、第1封止部材14を示している。
【図8B】封止弾性部材を説明するための模式的な斜視図であり、第2封止部材15を示している。
【図9A】図1に示すIII−III線に沿って得られた断面図であり、便座蓋13が閉じられていない様子を示している。
【図9B】図1に示すIII−III線に沿って得られた断面図であり、便座蓋13が閉じられた様子(「便座閉じ位置」とされた状態)を示している。
【図10A】第3封止部材16の構成を説明するための説明図であり、正面から見た様子を示している。
【図10B】第3封止部材16の構成を説明するための説明図であり、側面側(湾曲面16cおよび傾斜面16d側)から見た様子を示している。
【図10C】第3封止部材16の構成を説明するための説明図であり、便座12が着座姿勢とされた状態において、本体部11の上底面11eに密接された様子を便座12を省略して示している。
【図11A】周縁溝部21と基端溝部22と環状溝部23との構成を説明するための説明図であり、便座蓋13を裏面13c側から見た様子を示している。
【図11B】周縁溝部21と基端溝部22と環状溝部23との構成を説明するための説明図であり、図11Aの矢印A1から様子を示している。
【図11C】周縁溝部21と基端溝部22との構成を説明するための説明図であり、周縁溝部21を示している。
【図11D】周縁溝部21と基端溝部22との構成を説明するための説明図であり、図11Bに示す円cr内を拡大して示している。
【図12A】周縁溝部21と基端溝部22との構成を説明するための説明図であり、周縁溝部21に挿入された第1封止部材14を示している。
【図12B】周縁溝部21と基端溝部22との構成を説明するための説明図であり、図11Bに示す円cr内で周縁溝部21に挿入された第1封止部材14と基端溝部22に挿入された第2封止部材15との様子を拡大して示している。
【図12C】周縁溝部21と基端溝部22との構成を説明するための説明図であり、本体部11の受入凹所11bの周辺における第1封止部材14と第2封止部材15と第3封止部材16との位置関係を拡大して示している。
【図13】周配管24の構成を説明するために模式的な斜視図で示す説明図である。
【図14】便座12の上面12b上に形成される各噴当領域Arを説明するために、図9Bを上方から見た様子を、便座蓋13を省略して示す説明図である。
【図15A】洗い流された汚物の便器本体51の凹部51aへの経路を説明する説明図であり、便座12の上面12b上の様子を示している。
【図15B】洗い流された汚物の便器本体51の凹部51aへの経路を説明する説明図であり、便座12を抜き出して本体部11の上底面11e上の様子を示している。
【図15C】洗い流された汚物の便器本体51の凹部51aへの経路を説明する説明図であり、本体部11の受入凹所11bの様子を示している。
【図16】供給機構30を模式的に示すとともに、コントロールボックス70に設けられた制御部34により駆動制御される各部を模式的に示すブロック図である。
【図17】切換部33の構成を説明するために各部を分解して示す模式的な斜視図である。
【図18A】切換部33の構成を説明するための説明図であり、高圧水導入状態を示している。
【図18B】切換部33の構成を説明するための説明図であり、高圧空気導入状態を示している。
【図19A】コントロールボックス70の構成を説明するための説明図であり、模式的な斜視図で示している。
【図19B】コントロールボックス70の構成を説明するための説明図であり、図19Aの矢印A12から見た様子を示している。
【図20】密閉補助機構60の配置関係を説明するための説明図である。
【図21】密閉補助機構60の構成を説明するための説明図であり、磁力発生部61の構成を説明するための模式的な分解斜視図である。
【図22】密閉補助機構60の構成を説明するための説明図であり、「便座閉じ位置」における磁力発生部61と被吸着部62との位置関係を示している。
【図23】被吸着部62の構成を説明するための説明図であり、被吸着部62を裏側(便座蓋13へと取り付けられる側)から見た様子を示している。
【図24】被吸着部62の構成を説明するための説明図であり、被吸着部62と便座蓋13のフランジ部13bの先端位置に設けられた凹所13eとの関係を示している。
【図25】便座洗浄装置10における便座洗浄動作の制御処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に、本願発明に係る便座洗浄装置の発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0047】
図1は、本発明による便座洗浄装置10を備える洋式便器50を概略的に示す説明図である。図2は、便器本体51に取り付けられる便座洗浄装置10の主要部材である本体部11と便座12と便座蓋13とを分解して示す説明図である。なお、この図2では、理解容易のためコントロールボックス70を省略して示している。また、図1、図2、図3A、図3B、図4A、図4B、図6Aおよび図20においては、その他の全体の構成の把握を容易とするために、第3封止部材16を省略して示している。さらに、図2、図5A、図5B、図6A、図6B、図7、図11Bおよび図15Cにおいては、その他の全体の構成の把握を容易とするために、本体部11、便座12および便座蓋13における従来と同様の軸構造を省略して示している。
【0048】
便座洗浄装置10は、図1および図2に示すように、便器本体51に取り付けられて洋式便器50を構成するものであり、本実施例では、本体部11と、便座12と、便座蓋13と、コントロールボックス70と、を有する。
【0049】
本体部11は、便器本体51に設けられた便座ボルト穴51b(図2参照)にボルト(図示せず)が螺合されることにより、便器本体51に固定されている。本実施例では、本体部11は、全体に便器本体51に取付可能な大きさ寸法の箱状を呈している。この本体部11は、便器本体51において便座ボルト穴51bに対して排泄物を受ける凹部51a(開口)側(以下、前側とする)に、突状傾斜部11aと、その両側に位置する一対の受入凹所11bとを有する。両受入凹所11bは、図5Aに示すように、後述する便座12の両腕部12aを回動自在に支持すべく当該両腕部12aを受け入れるために、両側縁部が切り欠かれて形成されている。その間に位置する突状傾斜部11aには、両受入凹所11bに配置される両腕部12aの上面と略同一面を形成すべく、便器本体51の凹部51aへ向けて俯角を為す傾斜面11c(凹部51aへ向かうに連れて下降する傾斜面)が形成されている(図1および図3B等参照)。
【0050】
また、突状傾斜部11aは、前面11dが後述する便座12の両腕部12aの間の形状に沿うように両受入凹所11bの上底面11eから立ち上がる縦壁面とされている。両受入凹所11bの上底面11eは、突状傾斜部11aの前面11dよりも前方で幅方向に連続しており、便器本体51の凹部51aへ向けて俯角を為す傾斜面(凹部51aへ向かう(前方へ向かう)に連れて下降する傾斜面)とされている(図5B等参照)。すなわち、両受入凹所11bの上底面11eは、前面11dの前方箇所を介して一体化されている。また、両受入凹所11bの後面11fは、後述する便座12の両腕部12aの後端面12hの形状に沿うように両受入凹所11bの上底面11eから立ち上がる縦壁面とされている。本実施例では、本体部11において、突状傾斜部11aおよび両受入凹所11bよりも後側の両側上縁部11gは、緩やかに湾曲する湾曲面とされている。これは、後述するように、本体部11において、一方の側面から上面を経て他方の側面へと架け渡すように押し当てられる第2封止部材15の、便座蓋13への取り付けを考慮したものである。この本体部11の表面には、本実施例では、撥水作用を有するコーティング処理を施している。このようなコーティング処理としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)を含む粉末を用いたものがあげられる。
【0051】
便座12は、図1ないし図4Cに示すように、両側に設けられた腕部12aを介して、本体部11に回動自在に取り付けられている(図4Aないし図4Cに破線で示す回動軸参照)。便座12は、便器本体51上に閉じた状態(着座姿勢(図1等参照))と、便器本体51(本体部11)に対して起立した状態との間で、回動することが可能とされている。この両腕部12aは、本実施例では、本体部11の両受入凹所11bに位置しており、便座12を便器本体51上に閉じた状態において、本体部11の突状傾斜部11aと略面一となる。便座12は、図6Aに示すように、全体的に円環状を呈し、その上面12bが臀部支持面を形成し、その臀部支持面の内方に中央開口部12cを形成している。このため、中央開口部12cは、便座12よりも上方の空間と便器本体51の凹部51aとを連通している(図1等参照)。便座12では、外側周縁部12dが同一平面上に位置されており、便座12の上面12bは、全周に渡って、外側周縁部12dから中央開口部12cへ向けて下方へと傾斜する傾斜面とされている(図4B、図9Aおよび図9B等参照)。
【0052】
この便座12の両腕部12aには、上方に突出されている箇所から相対的に外側に膨出する膨出端部12eが設けられている。この両膨出端部12eは、外側周縁部12dと同一平面上に位置しつつ外側周縁部12dと滑らかに連続する封止受面12fを形成するものである。この両封止受面12fは、外側周縁部12dに密接される後述する第1封止部材14の両端部の凹状曲面14b1が密接される箇所となる。また、両腕部12aおよびその間の裏側は、便座12が本体部11に装着されて着座姿勢とされた状態において、各々が位置される受入凹所11bの上底面11eに所定の間隔をおいて沿う傾斜面12gとされている(図4A〜4C参照)。さらに、両腕部12aの後端面12h(図6C等参照)は、便座12が本体部11に装着されて着座姿勢とされた状態において、両受入凹所11bの後面11fに沿うように直立する直立面とされている。この便座12の表面には、本実施例では、本体部11の表面と同様に、撥水作用を有するコーティング処理を施している。なお、本実施例では、本体部11と便座12との間において、後述するように高圧水が噴き当てられることにより洗い流された汚物(こびり付いた固形物を含む)が便器本体51の凹部51aへと至る経路となる箇所の間に、隙間Cが設けられている(図4A、図4Bおよび図15A参照)。この隙間Cは、便座12に付着し得る汚物(後述するように、便座12にこびり付き得る下痢便や嘔吐物等に混在している固形物を含む)が通過するのに十分な間隔に設定されており、本実施例では1.5cmに設定されている。なお、見栄え等を考慮して、本体部11の突状傾斜部11aと便座12との隙間C(図4B参照)以外の隙間に関しては、5〜6mmとしてもよい。この場合、便座12に付着し得る汚物のうち大きなものは、後述する高圧水に吹き飛ばされることにより、便座12の上面12b上を通って中央開口部12cへと向かうので、当該大きな汚物が引っ掛かることはない。
【0053】
便座蓋13は、図1〜図3Bおよび図7に示すように、本体部11に回動自在に取り付けられている(図4Aないし図4Cに破線で示す回動軸参照)。この便座蓋13は、本体部11に便座12が取り付けられた状態において、それら全体を覆うことができる大きさ寸法とされた蓋面部13a(図3A参照)と、本体部11の両側面および便座12の側面の外側を取り巻くように蓋面部13aから延在するフランジ部13bと、を有する。便座蓋13は、閉じられた便座12を覆うように便器本体51上に閉じた状態(「便座閉じ位置」)と、便器本体51(本体部11)に対して起立した状態との間で、回動することが可能とされている。便座蓋13の裏面13cでは、蓋面部13aからフランジ部13bへと至る間が、緩やかに湾曲する湾曲面とされている。これは、後述するように、第2封止部材15の取り付けを考慮したものである。
【0054】
これら便座12および便座蓋13の便器本体51に対する取り付けは、一般的な洋式便器と同様である。なお、便座12および便座蓋13、特に後述するように種々の機構が設けられる便座蓋13が重たい場合には、図示は略すが便座蓋13を起立させる回動方向へと付勢する板バネ等の付勢部材を設けるものとしてもよい。
【0055】
この便座洗浄装置10では、封止弾性部材としての第1封止部材14と第2封止部材15(図7等参照)と第3封止部材16(図6Bおよび図6C等参照)とが設けられる。その第1封止部材14と第2封止部材15とは便座蓋13に設けられ、第3封止部材16は便座12に設けられる。この封止弾性部材(第1封止部材14、第2封止部材15および第3封止部材16)は、便座蓋13が便座12を覆う「便座閉じ位置」まで便座蓋13を回動させたときに、少なくとも便座12の上面12bを全面に渡って覆いつつ中央開口部12cを介して便器本体51の凹部51aへと連通させるとともに、洋式便器50の外方への水漏れが防止された封止洗浄空間S(図3A、図9B、図15Aないし図15C参照)を形成するものである。この封止洗浄空間Sは、本実施例では、便座12の上面12bに加えて、便座12の両腕部12aおよび本体部11の突状傾斜部11aも覆うものとされていることから、後述するように、本体部11の両受入凹所11bの周辺から洋式便器50の外方への水漏れを防止する構成とされている。
【0056】
本実施例では、第1封止部材14が便座12の外側周縁部12dから両膨出端部12eの封止受面12fに渡って密接するものとされ、第2封止部材15が本体部11の一方の側面から上面を経て他方の側面へと架け渡すように密接するものとされ、かつ第3封止部材16が便座12の両腕部12aの裏面(傾斜面12gおよび後端面12h)と本体部11の両受入凹所11bの上底面11eおよび後面11fとの間隙を充填するものとされている。このため、本実施例では、封止洗浄空間Sは、便座12の上面12bを全面に渡って覆いつつ中央開口部12cを介して便器本体51の凹部51aへと連通するとともに、本体部11の突状傾斜部11aおよび両受入凹所11bと便座12の両腕部12aとを収容するように覆いつつ本体部11の突状傾斜部11a(その前面11d)と便座12との間の隙間C(図4B参照)や本体部11の両受入凹所11bと便座12の裏面との間の隙間C(図4A、図4Bおよび図15A参照)から便器本体51の凹部51aへと連通している。
【0057】
詳細には、第1封止部材14は、図3Bに示すように、仮想線v1に沿って便座12の外側周縁部12dから両膨出端部12eの封止受面12fに渡って密接すべく便座蓋13に設けられる。すなわち、第1封止部材14は、「便座閉じ位置」(図3A等参照)において、便座12の外側周縁部12dおよび両膨出端部12eの封止受面12fに鉛直方向上方から押し当たる位置関係(図9B参照)となるように、便座蓋13のフランジ部13bの裏面13cに取り付けられている。この第1封止部材14は、図8Aに示すように、便座12(その外側周縁部12dおよび両膨出端部12eの封止受面12f)に押し付けられることにより弾性変形して密接する(図9B参照)弾性部材で長尺形状に形成されており、本実施例ではゴム材料で形成されている。この第1封止部材14は、頭部14aと封止部14bとそれらを繋ぐ首部14cとを有する。頭部14aは、長尺方向に直交する断面でみて、幅広の矩形状を呈している。封止部14bは、長尺方向に直交する断面で見て、2つの凹状曲面14b1、14b2により、先端に向かう(図8Aでは右側)に連れて幅寸法が漸減する形状とされている。「便座閉じ位置」において、下側に位置する凹状曲面14b1は、便座12の外側周縁部12dおよび両膨出端部12eの封止受面12fに密接される曲面であり、当該外側周縁部12d(両膨出端部12eの封止受面12f)に倣う形状とされている(図9B参照)。上側に位置する凹状曲面14b2は、便座蓋13のフランジ部13bの裏面(13c)と連続的な曲面を形成する形状とされている(図9B参照)。首部14cは、頭部14aおよび封止部14bの上部(幅寸法の大きい箇所)よりも幅寸法が狭く設定されている。このため、第1封止部材14では、首部14cにより封止部14bの上部と頭部14aとの間に凹部が形成されている。また、本実施例では、第1封止部材14には、少なくとも便座蓋13の開閉に伴って便座12の外側周縁部12dに当接する凹状曲面14b1に、摩擦の低減を目的とする被膜を形成している。これにより、便座蓋13を開閉動作(回動)させることで、第1封止部材14の封止部14bの凹状曲面14b1を、便座12の外側周縁部12dおよび両膨出端部12eの封止受面12fに、より適切に密接させることができ、第1封止部材14による便座12と便座蓋13との間の封止を、より適切なものとすることができる。
【0058】
第2封止部材15は、図3Bに示すように、仮想線v2に沿って本体部11の一方の側面から上面を経て他方の側面へと架け渡すように密接すべく便座蓋13に設けられている。この第2封止部材15は、図8Bに示すように、便座12(その外側周縁部12d)に押し付けられることにより弾性変形して密接する(図4A〜4C参照)弾性部材で長尺形状に形成されており、本実施例ではゴム材料で形成されている。この第2封止部材15は、頭部15aと封止部15bとそれらを繋ぐ首部15cとを有する。頭部15aは、長尺方向に直交する断面でみて、幅広の矩形状を呈している。封止部15bは、長尺方向に直交する断面で見て、半円弧状曲面により先端に向かう(図8Bでは左側)に連れて幅寸法が漸減しつつ先端に平坦面を有する形状とされている。首部15cは、頭部15aおよび封止部15bの上部(幅寸法の大きい箇所)よりも幅寸法が狭く設定されている。このため、第2封止部材15では、首部15cにより封止部15bの上部および頭部15aとの間に凹部が形成されている。
【0059】
第3封止部材16は、図6Bに示すように、便座12の両腕部12aの裏面(傾斜面12g)に設けられている。この第3封止部材16は、両腕部12aのそれぞれに対応すべく左右対称な構成とされている。ここでは、一方の第3封止部材16ついて説明する。この第3封止部材16は、図10A〜図10Cに示すように、全体に三角形の板状を呈し、弾性部材で形成されており、本実施例ではゴム材料で形成されている。第3封止部材16は、便座12の腕部12a(その裏面)とそれが位置される本体部11の両受入凹所11bと、の間を充填すべく設けられるものであり、本体部16aと、その上端に連続する先端部16bとを有する。
【0060】
本体部16aは、便座12の腕部12aの傾斜面12gと、本体部11の両受入凹所11bの上底面11eとの間を充填する箇所であり(図4Cおよび図12C等参照)、内側の側面が内方へと向かう湾曲面16cとされている。この本体部16aは、便座12が着座姿勢(便器本体51上に載置された状態)とされると、上底面11eに沿う方向で見て、突状傾斜部11aに対して少なくとも隙間C以上の間隔を置きつつ、本体部11の上底面11e上に押し当てられる大きさ寸法とされており、湾曲面16cの先端位置が便器本体51の凹部51a上に位置するものとされている(図10C参照)。先端部16bは、便座12の腕部12aの後端面12hと、本体部11の両受入凹所11bの後面11fとの間を充填する箇所であり(図4Cおよび図12C等参照)、内側の側面が内方へと向かいつつ湾曲面16cに連続する傾斜面16dとされ、外側の側面が外方へと膨らむ湾曲面16eとされている。この湾曲面16eは、外側周縁部12dの輪郭形状に沿うものとされており、第1封止部材14の両端部の凹状曲面14b1と密接可能とされている。
【0061】
第3封止部材16は、図6Cに示すように、本体部16aが便座12の腕部12aの傾斜面12gに位置し、先端部16が便座12の腕部12aの後端面12hに位置するように、便座12の腕部12aの裏面に取り付けられる。この第3封止部材16の便座12の腕部12aの裏面への取り付けは、接着剤または両面テープを用いて行うことができる。第3封止部材16は、便座12が着座姿勢とされると、その腕部12aに押圧されることにより、図10Cに示すように、本体部16aが本体部11の受入凹所11bの上底面11eに密接され、先端部16bが受入凹所11bの後面11fに密接される。このため、第3封止部材16は、便座12の腕部12a(その裏面)と、それが位置される本体部11の両受入凹所11bと、に挟まれることにより、弾性変形しつつその間隙を充填する。また、第3封止部材16は、後述するように、本体部11の両受入凹所11bに便座12の両腕部12aが位置された状態において、第1封止部材14および第2封止部材15と協働して、両受入凹所11bと両腕部12aとの間の空間が、外方に連通することを防止しつつ便器本体51の凹部51aに連通させる。なお、本実施例では、本体部11と便座12との隙間Cが、1.5cmとされていることから、第3封止部材16の厚さ寸法が1.5cmよりも大きく設定されている。また、第3封止部材16は、便座12の腕部12aの裏面に第3封止部材16を嵌入可能な凹所を形成し、その凹所に嵌め込みつつ接着剤または両面テープを用いて固着するものであってもよい。
【0062】
便座蓋13には、図11Aないし図11Dに示すように、第1封止部材14の取り付けのための周縁溝部21と、第2封止部材15の取り付けのための基端溝部22と、後述する周配管24の取り付けのための環状溝部23とが設けられている。周縁溝部21は、便座12の側面の外側に延在する便座蓋13のフランジ部13bの裏面(13c)に、「便座閉じ位置」において、便座12の外側周縁部12dおよび両膨出端部12eの封止受面12fと対向するように当該外側周縁部12dに沿って設けられている。換言すると、周縁溝部21は、「便座閉じ位置」において、便座12上の仮想線v1(図3B参照)と対向するように、便座蓋13のフランジ部13bの裏面(13c)に設けられている。
【0063】
この周縁溝部21は、図11Cに示すように、延在方向に直交する断面で見て、第1封止部材14の頭部14aの挿通が可能な大きさ寸法の矩形状を呈する収容空間21aと、その収容空間21aよりも小さな幅寸法の切欠部21bと、を有する。切欠部21bは、収容空間21aに第1封止部材14の頭部14aが挿通された状態において、第1封止部材14の首部14cを略隙間なく狭持しつつその封止部14bの端面(図8Aで見て左側の面)に当接する大きさ寸法とされている。このため、周縁溝部21では、切欠部21bに第1封止部材14の首部14cを通すように収容空間21aに第1封止部材14の頭部14aが挿入されると、図7および図12Aに示すように、便座蓋13のフランジ部13bの裏面(13c)に封止部14bを張り付けたように、第1封止部材14の便座蓋13に取り付けることができる。この周縁溝部21は、図11B(その部分拡大図である図11D)に示すように、両端部が基端溝部22に連続しており、本実施例では、その両端部に挿入口部21cが設けられている。この挿入口部21cは、第1封止部材14の便座蓋13への取り付けのための開口であり、収容空間21a(すなわち第1封止部材14の頭部14a)を、その延在方向に対して傾斜する平面で切断して得られる断面形状を呈している。周縁溝部21では、便座蓋13のフランジ部13bの裏面(13c)から見た深さ寸法が、端部である挿入口部21cから延在方向へと進むに連れて漸増している。このため、第1封止部材14は、挿入口部21cから、切欠部21bに第1封止部材14の首部14cを通すように収容空間21aに第1封止部材14の頭部14aを挿入し(矢印A2参照)、周縁溝部21に係合することにより、便座蓋13のフランジ部13bの裏面(13c)に取り付けることができる(図7および図12A参照)。なお、本実施例では、図8Aおよび図12Aに示すように、第1封止部材14の周縁溝部21への挿入を容易なものとすべく、頭部14aに板金部材26を宛がった状態で第1封止部材14の頭部14aを収容空間21aへと挿入する。
【0064】
基端溝部22は、図11A、図11Bおよび図11Dに示すように、便座蓋13の裏面13cにおいて、本体部11に軸支された箇所の近傍位置を幅方向へ架け渡すように、すなわち一方のフランジ部13bから蓋面部13aを経て他方のフランジ部13bを架け渡すように、設けられている。この基端溝部22は、「便座閉じ位置」において、本体部11の一方の側面から上面を経て他方の側面に至る直線状の領域と対向しつつ当該本体部11に沿って設けられている。換言すると、基端溝部22は、「便座閉じ位置」において、本体部11上の仮想線v2(図3B参照)と対向するように、便座蓋13の蓋面部13aから両フランジ部13bへと延在されて便座蓋13の裏面(13c)に設けられている。この基端溝部22は、図11Dに示すように、延在方向に直交する断面で見て、第2封止部材15の頭部15aの挿通が可能な大きさ寸法の矩形状を呈する収容空間22aと、その収容空間22aよりも小さな幅寸法の切欠部22bと、を有する。切欠部22bは、収容空間22aに第2封止部材15の頭部15aが挿通された状態において、第2封止部材15の首部15cを略隙間なく狭持しつつその封止部15bの端面(図8Bで見て右側の面)に当接する大きさ寸法とされている(図4Aまたは(c)参照)。このため、基端溝部22では、図7および図12Bに示すように、切欠部22bに第2封止部材15の首部15cを通すように収容空間22aに第2封止部材15の頭部15aを挿入することにより、便座蓋13の裏面(13c)に封止部15bを張り付けたように、第2封止部材15の便座蓋13に取り付けることができる。この基端溝部22は、本実施例では、図11A、図11Bおよび図11Dに示すように、両端部22cが便座蓋13の両フランジ部13bの端面に開放されている。この両端部22cは、第2封止部材15の便座蓋13への取り付けのための開口となる。このため、第2封止部材15は、図11B(その部分拡大図である図11D)に示すように、いずれか一方の端部22cから、切欠部22bに第2封止部材15の首部15cを通すように収容空間22aに第2封止部材15の頭部15aを挿入し(矢印A3参照)、基端溝部22に係合することにより、便座蓋13の裏面(13c)に取り付けることができる。なお、本実施例では、図8Bおよび図12Bに示すように、第2封止部材15の基端溝部22への挿入を容易なものとすべく、頭部15aに板金部材26を宛がった状態で第2封止部材15の頭部15aを収容空間22aへと挿入する。
【0065】
なお、本実施例では、周縁溝部21の挿入口部21cが基端溝部22に開放していることから、第1封止部材14を取り付けた後に、第2封止部材15を取り付ける必要がある。また、周縁溝部21と基端溝部22とが連通していることから、第1封止部材14と第2封止部材15とを便座蓋13に取り付けると、第1封止部材14の両端部が第2封止部材15に当接することとなるので、その当接箇所を接着剤等で接合することにより(図12B参照)、二つの第1封止部材14と第2封止部材15とを単一の環状な状態とすることができる(図7等参照)。
【0066】
この第1封止部材14は、「便座閉じ位置」において、図3Aおよび図9Bに示すように、便座12上の仮想線v1(図3B参照)に沿うように、すなわち便座12の外側周縁部12dおよび両膨出端部12eの封止受面12f(こちらの密接状態は図示を略す)に、密接される。このとき、便座12の両腕部12aの後端面12hと、本体部11の両受入凹所11bの後面11fとは、隙間Cを置いて対向されているが(図4A参照)、この隙間Cにおける第1封止部材14よりも下方の位置は、第3封止部材16(その先端部16b)により充填されている。このため、後端面12hと後面11fとの間では、図12Cに示すように、第1封止部材14の下方側の凹状曲面14b1が、第3封止部材16の先端部16bの湾曲面16eに密接される。
【0067】
また、第2封止部材15は、「便座閉じ位置」において、図3Aおよび図4A〜4Cに示すように、本体部11上の仮想線v2の(図3B参照)に沿うように、すなわち本体部11の一方の側面から上面を経て他方の側面へと架け渡すように、本体部11の表面に密接される。
【0068】
さらに、第3封止部材16は、本体部11の両受入凹所11bにおける便座12の両腕部12aとの隙間Cのうち、第1封止部材14よりも下方の外方側を充填し、かつ突状傾斜部11aと所定の間隔を置きつつ本体部11の上底面11e上に位置する(図10C参照)。このとき、第3封止部材16の本体部16aの湾曲面16cの先端位置が便器本体51の凹部51a上に位置されている(図10C参照)ことから、両受入凹所11bでは、便座12の両腕部12aの下方において、第1封止部材14の上方側の凹状曲面14b2と、第3封止部材16の先端部16bの湾曲面16cと、第3封止部材16の本体部16aの傾斜面16dと、により、本体部11の傾斜面である上底面11e上の空間が、便器本体51の凹部51aに連通される(図12C参照)。
【0069】
このように、便座洗浄装置10では、「便座閉じ位置」である場合、便座蓋13の内方において、第1封止部材14が便座12の外側周縁部12dおよび両膨出端部12eの封止受面12fを密封し、かつ第2封止部材15が本体部11の一方の側面から上面を経て他方の側面へと架け渡すように線状の領域を密封し、しかも第3封止部材16が第1封止部材14に密接しつつ両受入凹所11bと両腕部12aとの間を密封する。このとき、便座12の上面12bの上方の空間は、中央開口部12cを介して便器本体51の凹部51aへと連通している(図4B、図9Bおよび図15A参照)。また、本体部11の上面において、仮想線v2の(図3B参照)よりも前方側の上方の空間は、突状傾斜部11aの前面11dと便座12の両腕部12aの隙間C(図4B参照)もしくは両受入凹所11bにおける便座12の両腕部12aの周囲の空間(図12C参照)を介して、便座12(両腕部12aを含む)の裏面(傾斜面12g)と突状傾斜部11aの上底面11eとの間の空間に連通し、この空間が両第3封止部材16の本体部16aの傾斜面16dの間から便器本体51の凹部51aへと連通している(図12C、図15Bおよび図15C参照)。これにより、便座洗浄装置10では、「便座閉じ位置」であると、便座12の上面12bを全面に渡って覆いつつ中央開口部12cを介して便器本体51の凹部51aへと連通するとともに、本体部11の突状傾斜部11aおよび便座12の両腕部12aの上面を覆いつつ本体部11と便座12との間の間から便器本体51の凹部51aへと連通する封止洗浄空間Sを形成する(図3Aおよび図15A〜図15C参照)。
【0070】
環状溝部23は、図11Aに示すように、後述する周配管24の便座蓋13の裏面(13c)への取り付けのために便座蓋13の裏面(13c)に設けられた凹所であり、環状路部分23aと導入路部分23bとを有する。環状路部分23aは、「便座閉じ位置」において、便座12の上面12bの外側近傍(外側周縁部12dの近傍)の鉛直方向上方と(図9B参照)、本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)の斜め前方側上方と(図4Aないし図4C参照)、に位置されるように、蓋面部13aにおいて環状に延在して設けられている。導入路部分23bは、便座蓋13における本体部11の近傍位置の一端において、環状路部分23aから分岐されている。この導入路部分23bは、環状路部分23aにおける本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)の斜め前方側上方位置から便座12の上面12bの外側近傍(外側周縁部12dの近傍)の鉛直方向上方へと向かう湾曲位置から、便座蓋13のフランジ部13bへと直線状に延在している。このため、環状溝部23では、便座蓋13においてフランジ部13b側から蓋面部13a側へと向かう方向で見て、環状路部分23aと導入路部分23bとが鋭角を為して合流しており、この合流箇所23cがr字状を呈している。すなわち、環状溝部23では、後述するように供給機構30(高圧水生成部31および高圧空気生成部32)からの高圧水または高圧空気の導入方向(図13の矢印A7参照)を規定する導入路部分23bの延在方向が、環状を呈する環状路部分23aの曲線方向に対する接線方向とされている。この環状溝部23(環状路部分23aおよび導入路部分23b)は、図4A、図4B、図4C、図9Aおよび図9Bに示すように、延在方向に直交する断面で見て、およそ2/3周の円を描く円形状を呈し、後述する周配管24の嵌合が可能な大きさ寸法とされている。
【0071】
その周配管24は、図13に示すように、水(もしくは洗浄水)と空気とを通すための長尺な管部材であり、後述するように設定される水圧に対して十分な耐性(強度)に設定されている。この周配管24は、環状に延在する環状路部分24aと、そこからr字状に分岐された導入路部分24bとを有する。この環状路部分24aと導入路部分24bとの合流箇所24cは、環状溝部23の合流箇所23cに適合する角度関係とされている。周配管24は、便座蓋13の裏面(13c)に設けられた環状溝部23に配設されることにより、便座蓋13の裏面(13c)に取り付けられる(図1等参照)。このため、周配管24では、環状溝部23への嵌合が可能な外径寸法とされ、かつ後述するように設定される水量に適合する内径寸法とされているとともに、環状路部分24aが環状溝部23の環状路部分23aに合致する長さ寸法とされかつ導入路部分24bが環状溝部23の導入路部分23bに合致する長さ寸法とされている。この周配管24には、環状路部分24aの全周に渡って、複数の噴出孔25が設けられている。
【0072】
各噴出孔25は、周配管24に導入される水(高圧水)および空気(高圧空気)を、噴き当て対象となる面である便座12の上面12b(本実施例では、本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)および両腕部12aの上面も)へ向けて噴き出すための貫通孔である。この各噴出孔25は、噴き出した水および空気を便座12の上面12bの全領域に行き渡らせるべく当該上面12bに臨み、かつ周配管24の延在方向で見て点在しつつ延在方向に直交する方向で見て点在して設けられている。本実施例では、周配管24では、その延在方向で見て、所定の間隔を置いて複数の噴出位置25aが設定され、各噴出孔25は、各噴出位置25aにおいて複数個設けられている(図13の拡大図参照)。また、本実施例では、周配管24は、噴き出された高圧水の勢いを確保するために、各噴出孔25から噴き当て対象となる面(本実施例では、便座12の上面12bおよび本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c))までの間隔が最も近い箇所で約2.5cmとなるように設定されている。この各噴出孔25の配設位置は、次の(1)、(2)を満たすように設定されている。また、本実施例では、次の(3)も満たすように設定されている。
【0073】
(1)周配管24に導入される水は、その水圧により各噴出孔25から噴き出されることとなり、その噴出された水は、図14に示すように、便座12の上面12bに当たり、各噴出孔25から噴出された勢いをある程度維持しつつ上面12bの当たった箇所25bからその周辺へと当該上面12bに沿うように進行する。このように噴き出された水が所定の勢いを保ちつつ当たった箇所25bの周辺へと上面12b上を進行する領域を、それぞれ噴当領域Arとする。この各噴当領域Arで、少なくとも便座12の上面12bの全領域を覆うように、各噴出孔25の位置および噴出方向(貫通孔の延在方向)を設定する(図9B参照)。なお、本実施例では、仮想線v2(図3B参照)よりも内側(便器本体51の凹部51a側)、すなわち本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)と便座12の両腕部12aの上面とにおける全領域も覆うように(図4B参照)、各噴出孔25の位置を設定している。ここで噴当領域Arにおける所定の勢いとは、便座12の上面12bに付着することを想定する汚物を短時間で洗い流すことが可能であること(後述するこびり付いた固形物を引き剥がすことが可能であること)を言う。ここで言う短時間とは、後述する便座洗浄動作における高圧水噴出動作(図25のステップS3参照)として許容される時間であり、数秒から数十秒までの範囲を言う。なお、本実施例では、4秒に設定している。ここで、想定する汚物とは、洋式便器50の使用者の不注意により便座12に付着し得る小便や汚物や嘔吐物のことを言い、便座12にこびり付き得る下痢便や嘔吐物等に混在している固形物を含むものである。なお、後述するように、本実施例の便座洗浄装置10では、洋式便器50が使用された直後に洗浄を開始するものであることから、想定する汚物の除去が比較的容易な状態で行われるので、このことを考慮して噴当領域Arにおける所定の勢いを設定する。また、本実施例の便座洗浄装置10では、便座12に撥水作用を有するコーティング処理が施されていることから、想定する汚物の除去がさらに容易となるので、このことも考慮して噴当領域Arにおける所定の勢いを設定する。
【0074】
(2)便座12および便座蓋13が「便座閉じ位置」とされると、便座蓋13の裏面(13c)と、封止弾性部材(第1封止部材14、第2封止部材15および第3封止部材16)と、本体部11と、便座12(本実施例では本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)を含む)とにより、封止洗浄空間Sが形成される(図3A、図15A、図15Bおよび図15C等参照)。この封止洗浄空間Sにおいて、便座蓋13の裏面(13c)と、封止弾性部材(第1封止部材14、第2封止部材15および第3封止部材16)と、本体部11と、便座12(本実施例では本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)を含む)と協働して、噴き出した水および空気を、便座12の全周に渡り外側から内側へと向けて便器本体51の凹部51aへと導くように、各噴出孔25の位置および噴き出し方向(貫通孔の延在方向)を設定する。詳細には、便座12の延在方向(環状方向)で見て、第1封止部材14が設けられている領域(図3Bの仮想線v1参照)では、図9Bおよび図15Aに示すように、便座蓋13のフランジ部13bの裏面(13c)の形状と、そこから連続する曲面を描く第1封止部材14の封止部14bの凹状曲面14b2の形状と、傾斜する便座12の上面12bの形状とを利用して、噴き出した水および空気で、便座12の外側から内側へと向けて便器本体51の凹部51aへと向かう流れ(矢印A4参照)を形成するように、各噴出孔25の位置および噴き出し方向を設定する。また、便座12の延在方向(環状方向)で見て、第2封止部材15が設けられている領域(図3Bの仮想線v2参照)では、図4B、図15Aおよび図15Bに示すように、本体部11の突状傾斜部11aの傾斜面11cの形状を利用して、噴き出した水および空気で、当該傾斜面11cの上端位置から下方へと向けて突状傾斜部11aの前面11dと便座12との間の隙間Cを経て便器本体51の凹部51aへと向かう流れ(矢印A5参照)を形成するとともに、図15Bおよび図15Cに示すように、第3封止部材16が密接された本体部11の両受入凹所11bの上底面11eの形状およびその第3封止部材16の先端部16bの傾斜面16dおよび本体部16aの湾曲面16cの形状を利用して、噴き出した水および空気で、当該上底面11eに沿って便器本体51の凹部51aへと向かう流れ(矢印A17参照)を形成し、かつ傾斜する便座12の上面12bの形状を利用して、噴き出した水および空気で、便座12の外側から内側へと向けて便器本体51の凹部51aへと向かう流れ(図4Bおよび図15Aの矢印A6参照)を形成するように、各噴出孔25の位置および噴き出し方向を設定する。
【0075】
(3)図13に示すように、周配管24では、後述するように、導入路部分24bから環状路部分24aへの高圧水の導入方向(矢印A7参照)にしたがって環状路部分24a内を巡る高圧水の流れが形成されることとなるが、この高圧水は、当該導入方向へと環状路部分24a内を進行するにしたがって、その圧力が低下することが考えられる。このため、各噴出孔25は、上記した(1)および(2)を満たすべく、環状路部分24aにおいて、導入方向(矢印A7参照)で見て、合流箇所24cからの距離が遠くなるほど孔径が大きくなるように、換言すると、合流箇所24cに近くなるほど孔径が小さくなるように、設定する。これにより、環状路部分24a内での進行方向で見て、導入箇所(合流箇所24c)から遠ざかるほど、各噴出孔25からの高圧水の噴き出しに起因して環状路部分24a内の水圧が低減した場合であっても、噴き出す水量を増加させることができるので、水圧の低減を噴き出す水量で補うことができる。
【0076】
周配管24には、コントロールボックス70に収容された供給機構30(図16参照)から高圧の水および空気が導入される。この供給機構30は、図16に示すように、高圧水生成部31と、高圧空気生成部32と、切換部33とを有する。また、コントロールボックス70には、制御部34と、操作部35と、センサ36とが設けられている。
【0077】
高圧水生成部31は、高圧水供給型の水圧ポンプで形成されており、制御部34の制御下で動作し、図示は略すが水道管に連結される導入管31aから水の取り入れが可能とされ(矢印A8参照)、取り入れた水を昇圧し、その高圧水を切換部33へ向けて送り出す。この高圧水生成部31では、当初の設定において、昇圧する際の目標圧力としての圧力基準値が設定されている。この圧力基準値は、周配管24内における流量や各噴出孔25における設定(数や位置や孔径)により各噴出孔25からの吐出圧力が変化することから、各噴出孔25から噴き出される水で各噴当領域Ar(図14参照)を形成するように、各噴出孔25からの吐出圧力を対象として設定する。本実施例では、圧力基準値(各噴出孔25からの吐出圧力)として、水道管に供給される水(水道水)における通常の圧力(水圧(最低で0.2[Mpa]であり平均で約0.3[Mpa]であり高層階の建物向けには0.5[Mpa]である))の20倍に相当する値(6[Mpa])としている。なお、この圧力基準値すなわち各噴出孔25からの吐出圧力としては、各噴出孔25から噴き出される水で、便座12の上面12bに付着することが想定される汚物を洗い流すことを可能とすべく、水道水よりも高い圧力で各噴出孔25から水(高圧水)を噴き出すことを可能とするものであればよく、好ましくは2[Mpa]〜水道水の30倍(6〜15[Mpa])の範囲内の吐出圧力であり、さらに好ましくは水道水の20倍(4〜10[Mpa])の範囲内〜水道水の30倍(6〜15[Mpa])の範囲内の吐出圧力であることがよい。
【0078】
この高圧水生成部31では、アジャスターボルト31b(図19B参照)が設けられており、このアジャスターボルト31bを回動させることにより上記した目標圧力の変更が可能とされている。このアジャスターボルト31bは、上端面がすりわり状とされており、例えば、マイナスドライバーを用いての回動操作が可能とされている。
【0079】
高圧空気生成部32は、図示は略すが空気を圧送するための加圧送風ファンと、その加圧送風ファンを回転駆動するためのモータとで形成されており、制御部34の制御下で当該モータが動作する。この高圧空気生成部32は、コントロールボックス70内で開放される導入管32aから空気の取り入れが可能とされ(矢印A9参照)、加圧送風ファン(図示せず)を回転させることにより、導入管32aから取り入れた空気(高圧空気)を所定の風速で切換部33へ向けて送り出す(圧送する)。この高圧空気生成部32では、当初の設定において、圧送する際の目標圧力としての圧力基準値が設定されている。この圧力基準値は、周配管24内における流量や各噴出孔25における設定(数や位置や孔径)により各噴出孔25からの吐出圧力が変化することから、各噴出孔25から噴き出される空気で、高圧水による洗浄後に封止洗浄空間S(主に便座12の上面12b)に残る水滴を、便器本体51の凹部51aへと吹き飛ばすように、各噴出孔25からの吐出圧力を対象として設定する。本実施例では、圧力基準値(各噴出孔25からの吐出圧力)として、高圧水生成部31と同様に、6[Mpa]としている。なお、この圧力基準値すなわち各噴出孔25からの吐出圧力としては、各噴出孔25から噴き出される空気で、高圧水による洗浄後に封止洗浄空間S(主に便座12の上面12b)に残る水滴を、便器本体51の凹部51aへと吹き飛ばすことを可能とするものであればよく、高圧水生成部31の圧力基準値と同様に設定すればよい。
【0080】
この高圧空気生成部32では、アジャスターボルト32b(図19B参照)が設けられており、このアジャスターボルト32bを回動させることにより上記した目標圧力の変更が可能とされている。このアジャスターボルト32bは、上端面がすりわり状とされており、例えば、マイナスドライバーを用いての回動操作が可能とされている。
【0081】
切換部33は、高圧水生成部31から送り出された高圧水、もしくは高圧空気生成部32から送り出された高圧空気のいずれか一方を、周配管24へと導入させるべく通路の切換を行うものである。本実施例では、切換部33は、図17に示すように、両端が閉鎖された円筒形状を呈する本体部41と、その内部で回動可能に設けられた弁体42と、その回動位置を変更すべく弁体42を回動させる駆動部43と、を有する。
【0082】
本体部41は、高圧水生成部31における目標圧力として設定可能な最大値まで昇圧された水の導入を可能とする耐圧性能を有し、円筒形状の円筒壁部41aの両開放端に側壁部41bが取り付けられて構成されている。この本体部41では、3つの配管44(44a、44b、44c)が、円筒壁部41aの外周面から本体部41の内部空間41cに連通して取り付けられている。本実施例では、高圧水生成部31に連通する配管44aと、周配管24に連通する配管44cと、が略同一直線上に設けられ、その2つの中間位置に高圧空気生成部32に連通する配管44bが設けられている。配管44cは、図1および図13に示すように、接続管27を介して周配管24の導入路部分23bに接続されている。この接続管27は、周配管24に対して、その延在方向回りの回動(図13の矢印A10参照)が自在とされており、本実施例では、矢印A10へと180度の相対的な回動が可能とされている。このため、便座蓋13が回動されても接続管27または導入路部分23bやその接続箇所に捻り力が作用することを防止することができ、接続管27と導入路部分23bとの接続関係に何らの影響が及ばないものとされている。本体部41の両側壁部41bには、弁体42に取り付けられる回動軸45の挿通のための挿通孔46が設けられている。
【0083】
本実施例では、本体部41の円筒壁部41aの内周面の2箇所にストッパ41d、41eが設けられている。この両ストッパ41d、41eは、本体部41の半径方向へと突出する板形状を呈し、回動軸45の挿通方向で見て、円筒壁部41aの内周面の幅寸法と等しい長さ寸法とされている。挿通される回動軸45回りの回動方向(矢印A11参照)で見て、ストッパ41dは、配管44bと配管44cとが接続された位置の間に位置し、ストッパ41eは、配管44aと配管44cとが接続された位置の間に位置している。この両ストッパ41d、41eには、回動軸45回りの回動方向で見て対向する面に、封止部材41fが設けられている。この両封止部材41fは、両ストッパ41d、41eの幅寸法(円筒壁部41aの内周面の幅寸法)と等しい長さ寸法の長尺なゴム部材で形成されており、円筒壁部41aの内周面と対応するストッパ41d、41eの壁面とに固着されている。
【0084】
弁体42は、本体部41の内部空間41cにおいて、回動方向(矢印A11参照)で見た一部の領域(後述する非連通空間47)と、それ以外の領域(後述する連通空間48)と、を区画するものである。この弁体42は、回動軸45の挿通方向(延在方向)で対向する一対の側壁部42aと、回動方向(図18Aの矢印A11参照)で対向する一対の区画壁部42bと、と有する。両側壁部42aは、扇形の板形状を呈し、本体部41の両側壁部41bの内面に摺接可能とされている。両区画壁部42bは、矩形の板形状を呈し、回動方向(矢印A11参照)で見た一対の側壁部42aの両端部を、回動軸45の挿通方向に架け渡している。この両区画壁部42bにおける本体部41の半径方向で見て外側に位置する先端箇所には、封止部材42cが設けられている。両封止部材42cは、回動軸45の挿通方向で見た両区画壁部42bの幅方向に等しい長さ寸法の長尺なゴム部材で形成されており、両区画壁部42bの外側面(後述する連通空間48側)に固着されている。
【0085】
弁体42には、両側壁部42aと両区画壁部42bとが交わる箇所に、上述した回動軸45が取り付けられる。この回動軸45は、弁体42との間で相対的な回動が防止されている。弁体42は、本体部41内に収容されかつ両側壁部41bの各挿通孔46に挿通された回動軸45が取り付けられた状態において、両側壁部42aが本体部41の両側壁部41bに面当接し、かつ両側壁部42aと両区画壁部42bとにおける本体部41の半径方向で見て外側に位置する先端箇所が本体部41の円筒壁部41aの内周面に当接するものとされている。これにより、弁体42は、本体部41の円筒壁部41aの内周面と協働により、本体部41内を、弁体42の内方側に位置する非連通空間47と、それ以外の連通空間48と、に区画することができる。
【0086】
この本体部41と弁体42との各当接箇所は、回動軸45回りの弁体42の回動を可能とすべく互いに摺接可能とされている。この弁体42は、回動軸45が回転駆動されることにより、本体部41内で回動する。
【0087】
弁体42は、一方の区画壁部42bに設けられた封止部材42cが、ストッパ41dに設けられた封止部材41fに押し当てられることにより、本体部41内で配管44aと配管44cとを連通させるように連通空間48を形成するとともに、配管44bを非連通状態とすべく非連通空間47を形成する(図18A参照)。これにより、高圧水生成部31と周配管24とが連通状態となり、高圧水を周配管24へと導入することができる(矢印A14参照)。以下では、この状態を切換部33の高圧水導入状態という。
【0088】
また、弁体42は、他方の区画壁部42bに設けられた封止部材42cが、ストッパ41eに設けられた封止部材41fに押し当てられることにより、本体部41内で配管44bと配管44cとを連通させるように連通空間48を形成するとともに、配管44aを非連通状態とすべく非連通空間47を形成する(図18B参照)。これにより、高圧空気生成部32と周配管24とが連通状態となり、高圧空気を周配管24へと導入することができる(矢印A15参照)。以下では、この状態を切換部33の高圧空気導入状態という。
【0089】
切換部33では、本体部41の両側壁部41bと弁体42の両側壁部42aとが面当接し、かつ本体部41の円筒壁部41aの内周面に弁体42の区画壁部42bに設けられた封止部材42cが当接することにより、連通空間48から非連通空間47への高圧水または高圧空気の漏洩が防止されている。特に、弁体42の区画壁部42bに設けられた封止部材42cは、弁体42が高圧水生成部31からの高圧水または高圧空気生成部32からの高圧空気により押圧されることにより、ストッパ41dまたはストッパ41eに設けられた封止部材41fに圧接されることから、連通空間48から非連通空間47への高圧水または高圧空気の漏洩をより効果的に防止することができる。
【0090】
制御部34は、操作部35に為された操作やセンサ36からの検出情報に応じて、高圧水生成部31と高圧空気生成部32と切換部33と駆動機構37と密閉補助機構60とを適宜駆動して、後述するように便座洗浄動作を実行させる。
【0091】
操作部35は、コントロールボックス70の上面に設けられた各スイッチ35aを有し、当該各スイッチ35aに為された操作に応じた信号を制御部34へと送信する。このスイッチ35aとしては、図19Aに示すように、後述する便座洗浄動作の実行のためのボタン、後述する密閉補助機構60の吸磁力の調節のためのダイヤル等があげられる。また、本発明とは直接関係するものではないが、局部洗浄の実行のためのボタンや、便座12の温度の調節のためのダイヤル等が設けられていてもよい。
【0092】
センサ36は、便座12の上面12bに着座していた使用者が、便座洗浄装置10すなわち洋式便器50から離間したことを感知するためのセンサである。このセンサ36は、本実施例では、赤外線を利用して形成されており、コントロールボックス70の前面に設けられている(図1および図19A参照)。センサ36は、便座12の上面12bに着座していた使用者が、便座洗浄装置10すなわち洋式便器50から離間したことを感知すると、その旨の信号を制御部34へと送信する。
【0093】
本実施例では、コントロールボックス70において、制御部34、操作部35およびセンサ36が上部のパネル部70aに格納されており、高圧水生成部31、高圧空気生成部32および切換部33が、収容ボックス部70bに収容されている。この収容ボックス部70bは、その上端に設けられたレール部70cを、パネル部70aの裏面に設けられたレール部70dに係合させることにより、パネル部70aに対してスライド可能に取り付けることができる。この収容ボックス部70bは、パネル部70aに対してスライドさせて取り付けた後、ネジ部材70eの螺合によりパネル部70aとの相対的なスライド移動が防止されて、取り付けられている。これは、収容ボックス部70bに収容した、高圧水生成部31、高圧空気生成部32および切換部33のメンテナンスを容易なものとするための構成である。
【0094】
また、コントロールボックス70の収容ボックス部70b(その筐体)には、図19Bに示すように、2つの貫通孔70fが設けられている。この各貫通孔70fは、一方が高圧水生成部31での目標圧力の変更のためのアジャスターボルト31bの上端面を覗き見ることを可能とするものであり、他方が高圧空気生成部32での目標圧力の変更のためのアジャスターボルト32bの上端面を覗き見ることを可能とするものである。このため、高圧水生成部31および高圧空気生成部32では、貫通孔70fへと挿入したマイナスドライバーによって、アジャスターボルト31bまたはアジャスターボルト32bを回動させることにより、目標圧力の変更が可能とされている。
【0095】
制御部34により駆動制御される駆動機構37は、便座12および便座蓋13を、「便座閉じ位置」と開成状態(起立状態)との間で、自動的に回動させるものである。駆動機構37は、制御部34からの制御信号に応じて、便座12および便座蓋13を、「便座閉じ位置」としたり開成状態(起立状態)としたりする。
【0096】
制御部34により駆動制御される密閉補助機構60は、「便座閉じ位置」における便座12と便座蓋13との密接状態、すなわち封止洗浄空間Sにおける密閉状態の形成を補助するものである。この密閉補助機構60は、洋式便器50の使い勝手を考えて、便座蓋13自体の重さだけで「便座閉じ位置」における便座12と便座蓋13との密接状態を形成する構成とすることの代わりに設けるものである。本実施例では、密閉補助機構60は、図20に示すように、便座12の先端位置に設けられた磁力発生部61と、便座蓋13の先端位置に設けられた被吸着部62とを有する。磁力発生部61は、図21および図22に示すように、磁気ヘッド63と、電磁石64と、ボルトナット群65とを有する。磁気ヘッド63は、便座12の先端位置に設けられた凹所12fに嵌合するヘッド部63aと、そのヘッド部63aから延在するネジ部63bとを有する。電磁石64は、制御部34(図16参照)を介して電力が供給されることにより磁力を発生させるものであり、制御部34の制御により磁力の強度が可変とされている。この電磁石64は、図示を略すホルダにより便座12内に固定される。ボルトナット群65は、磁性を有する材料で形成されており、磁気ヘッド63のネジ部63bと電磁石64を物理的に連結するとともに磁気的にも連結する。このボルトナット群65により、磁気ヘッド63と電磁石64との相対的な回動が防止されている。
【0097】
被吸着部62は、図23および図24に示すように、磁性を有する材料で形成された板状部材であり、一対の取付腕部62aと、湾曲縁部62bとを有する。両取付腕部62aは、被吸着部62の両側から直交方向へと板状に延出されており、便座蓋13のフランジ部13bの先端位置に設けられた一対の取付穴13dへの挿通が可能とされている。この各取付穴13dは、便座蓋13のフランジ部13bの外側面に設けられた被吸着部62の形状に適合する凹所13e内に形成されており、第1封止部材14の取り付けのための周縁溝部21に連通している。
【0098】
被吸着部62の湾曲縁部62bは、被吸着部62の下端が湾曲されて形成されており、便座蓋13の(凹所13eでの)フランジ部13bの下端に係合可能とされている。この被吸着部62は、各取付腕部62aを取付穴13dへと挿通しつつ、湾曲縁部62bを便座蓋13のフランジ部13bの下端に係合させて、凹所13eに嵌合させる(矢印A13参照)。その後、各取付穴13dに連通する周縁溝部21を利用して両取付腕部62aを折り返すことにより(図23参照)、被吸着部62を、便座蓋13のフランジ部13bの先端位置に取り付けることができる。この被吸着部62は、本実施例では、表面側が便座洗浄装置10のエンブレムの役割を果たすものとされている。このため、被吸着部62が設けられていることによる洋式便器50(便座洗浄装置10)の外観品質の低下が防止されている。
【0099】
密閉補助機構60では、「便座閉じ位置」において、図22に示すように、便座12の先端位置に設けられた磁力発生部61の磁気ヘッド63のヘッド部63aと、便座蓋13のフランジ部13bの先端位置に取り付けられた被吸着部62の裏面とが、対向しつつ当接する。このとき、磁力発生部61では、制御部34の制御下において、電磁石64が磁力を発生し、その磁力によりボルトナット群65を解して磁気ヘッド63が磁化される。これにより、密閉補助機構60では、磁気ヘッド63のヘッド部63aと、被吸着部62の裏面とを吸着させることができるので、「便座閉じ位置」における便座12と便座蓋13との密接状態を補助することができる。これは、便座12と便座蓋13との間では、封止弾性部材(第1封止部材14および第2封止部材15)を介して当接されることや、周配管24の各噴出孔25から高圧水や高圧空気が噴き出されることにより、互いに反発する方向への力が作用することから、封止洗浄空間Sにおける密閉状態の維持を補助すべく便座12と便座蓋13とを互いに引き寄せるものである。なお、周配管24の各噴出孔25から噴き出される高圧水や高圧空気は、主に便座12の上面12bに噴き当てられることから、この反力が、互いに密接された便座12および便座蓋13を便座本体51から跳ね上げるように作用することはない。
【0100】
この密閉補助機構60では、制御部34により、電磁石64で発生させる磁力の強度を変化させることができることから、操作部35に為された操作に応じた制御部34の制御下で、便座12と便座蓋13とを互いに引き寄せる力を調節することができるので、封止洗浄空間Sにおける密閉状態の維持を確実なものとすることができる。
【0101】
次に、本実施例の便座洗浄装置10により実行される便座洗浄動作について説明する。図25は、便座洗浄装置10における便座洗浄動作の制御処理の内容の一例を示すフローチャートである。この便座洗浄動作は、上述したように、制御部34の制御下で、操作部35に為された操作やセンサ36からの検出情報に応じて、高圧水生成部31と高圧空気生成部32と切換部33と駆動機構37と密閉補助機構60とが適宜駆動されることにより行われる。以下、この便座洗浄動作の際の制御部34における制御処理の一例である図25のフローチャートの各ステップについて説明する。このフローチャートは、図示を略す電源スイッチへの操作により便座洗浄装置10がON状態(動作状態)とされている場合に繰り返し実行される。
【0102】
ステップS1では、便座洗浄動作の実行の要求があったか否かを判断し、Yesの場合はステップS2へ進み、Noの場合はステップS1を繰り返す。このステップS1では、センサ36から、便座12の上面12bに着座していた使用者が便座洗浄装置10(洋式便器50)から離間したことを感知した旨の信号を受信すると、便座洗浄動作の実行の要求があったものと判断する。また、ステップS1では、操作部35から、スイッチ35aにおいて便座洗浄動作の実行の操作が為された旨の信号を受信すると、便座洗浄動作の実行の要求があったものと判断する。
【0103】
ステップS2では、ステップS1での便座洗浄動作の実行の要求があったとの判断に続き、封止洗浄空間Sを形成し、ステップS3へ進む。このステップS2では、便座洗浄動作の準備処理として、駆動機構37を駆動制御することにより、便座12および便座蓋13を回動して「便座閉じ位置」へと移動し、その後、密閉補助機構60を駆動制御することにより、「便座閉じ位置」において、便座蓋13に設けられた封止弾性部材が便座12に密接する。本実施例では、便座蓋13に設けられた第1封止部材14が、便座12の外側周縁部12dおよび両膨出端部12eの封止受面12fに密接し、かつ便座蓋13に設けられた第2封止部材15が本体部11の一方の側面から上面を経て他方の側面へと架け渡すように密接し、しかも便座12の両腕部12aの裏面に設けられた第3封止部材16が、第1封止部材14に密接しつつ両受入凹所11bと両腕部12aとの間を充填する。これにより、便座12の上面12bを全面に渡って覆いつつ中央開口部12cを介して便器本体51の凹部51aへと連通するとともに、本体部11の突状傾斜部11aおよび便座12の両腕部12aの上面を覆いつつ本体部11と便座12との間から便器本体51の凹部51aへと連通する封止洗浄空間Sが形成される(図3Aおよび図15Aないし図15C参照)。本実施例では、このステップS2での封止洗浄空間Sの形成動作を2秒間に設定している。また、本実施例では、便座12および便座蓋13が「便座閉じ位置」であることを確認してから、ステップS3へと進むものとされている。この「便座閉じ位置」であることの確認は、図示は略すが位置センサを用いて、制御部34が当該位置センサからの検知信号を受信することで容易に行うことができる。
【0104】
ステップS3では、ステップS2での封止洗浄空間Sの形成に続き、各噴出孔25からの高圧水の噴出動作を実行し、ステップS4へ進む。このステップS3では、高圧水生成部31を駆動制御することにより、高圧水を切換部33へ向けて送り出させる。ここで、本実施例では、後述するように、便座洗浄動作が終了すると切換部33が高圧水導入状態(図18A参照)とされることから、このステップS3へと進んでくる際には必ず切換部33が高圧水導入状態とされているため、高圧水生成部31から送り出された高圧水は、配管44aおよび切換部33を経て配管44cへと送り出される(図18Aの矢印A14参照)。この高圧水は、配管44cに接続された接続管27を介して周配管24の導入路部分23bへと導入され、合流箇所23cから環状路部分23aへと送り込まれる(図13矢印A7参照)。すると、周配管24では、導入路部分23bから環状路部分23aへの高圧水の導入方向(矢印A7参照)にしたがって環状路部分23a内を巡る高圧水の流れが形成され、環状路部分23aの延在方向に点在された各噴出孔25から高圧水が噴き出される。すると、封止洗浄空間S内において、便座12の上面12bの全領域に渡って複数の噴当領域Ar(図14参照)が形成されるとともに、全体として便座12の外側から内側へと向けて便器本体51の凹部51aへと向かう高圧水の流れ(図9B、図15Aの矢印A4および図4B、図15AのA6参照)が形成される。なお、本実施例では、仮想線v2よりも下方の全領域すなわち本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)および便座12の両腕部12aの上面の全領域に渡って複数の噴当領域Arが形成されるとともに、本体部11の突状傾斜部11aの傾斜面11cの上端位置から下方へと向けて突状傾斜部11aの前面11dと便座12との間の隙間Cを経て便器本体51の凹部51aへと向かう高圧水の流れ(図4Bおよび図15Aの矢印A5参照)、および本体部11の両受入凹所11bと便座12の両腕部12aとの間で、受入凹所11bの上底面11eおよび第3封止部材16の傾斜面16dおよび湾曲面16cの案内により便器本体51の凹部51aへと向かう高圧水の流れ(図15Bおよび図15Cの矢印A17参照)も形成される。これにより、便座12の上面12bやその両腕部12aの上面や本体部11の突状傾斜部11aの傾斜面11cに、汚物が付着していても、特に、汚物としての固形物がこびり付いていたりしても、それらを洗い流すことができるとともに、その汚れた高圧水等を便器本体51の凹部51aへと落とすことができる。本実施例では、このステップS3での高圧水の噴出動作を4秒間に設定している。なお、ステップS3での高圧水の噴出動作の時間は、各噴出孔25から噴き出される高圧水の圧力や水量(各噴当領域Arにおける所定の勢い)によっても変化するとともに、付着することを想定する汚物によっても変化するものであることから、それらに応じて適宜設定すればよく、本実施例に限定されるものではない。
【0105】
ステップS4では、ステップS3での各噴出孔25からの高圧水の噴出動作の実行に続き、各噴出孔25からの高圧空気の噴出動作を実行し、ステップS5へ進む。このステップS4では、先ず、高圧水生成部31を停止し、切換部33の高圧水導入状態(図18A参照)から高圧空気導入状態(図18B参照)への切換を行う。その後、高圧空気生成部32を駆動制御することにより、高圧空気を切換部33へ向けて送り出させる。この高圧空気生成部32から送り出された高圧空気は、配管44bおよび切換部33を経て配管44cへと送り出される(図18Bの矢印A15参照)。この高圧空気は、配管44cに接続された接続管27を介して周配管24の導入路部分23b(図13参照)へと導入され、合流箇所23cから環状路部分23aへと送り込まれる(図13の矢印A7参照)。すると、周配管24では、導入路部分23bから環状路部分23aへの高圧空気の導入方向(図13の矢印A7参照)にしたがって環状路部分23a内を巡る高圧空気の流れが形成され、環状路部分23aの延在方向に点在された各噴出孔25から高圧空気が噴き出される。すると、封止洗浄空間S内において、便座12の上面12bの全領域に渡って高圧空気が噴き当てられるとともに、全体として便座12の外側から内側へと向けて便器本体51の凹部51aへと向かう高圧空気の流れ(図9B、図15Aの矢印A4および図4B、図15AのA6参照)が形成される。なお、本実施例では、仮想線v2よりも下方の全領域すなわち本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)および便座12の両腕部12aの上面の全領域に渡って複数の噴当領域Arが形成されるとともに、本体部11の突状傾斜部11aの傾斜面11cの上端位置から下方へと向けて突状傾斜部11aの前面11dと便座12との間の隙間Cを経て便器本体51の凹部51aへと向かう高圧空気の流れ(図4Bおよび図15Aの矢印A5参照)、および本体部11の両受入凹所11bと便座12の両腕部12aとの間で、受入凹所11bの上底面11eおよび第3封止部材16の傾斜面16dおよび湾曲面16cの案内により便器本体51の凹部51aへと向かう高圧空気の流れ(図15Bおよび図15Cの矢印A17参照)も形成される。これにより、高圧水の噴出動作(ステップS3参照)により便座12の上面12bやその両腕部12aの上面や本体部11の突状傾斜部11aの傾斜面11cに残存する水滴を吹き飛ばすことができるとともに、その飛ばした水滴を便器本体51の凹部51aへと落とすことができる。本実施例では、このステップS4での高圧空気の噴出動作を4秒間に設定している。なお、ステップS4での高圧空気の噴出動作の時間は、各噴出孔25から噴き出される高圧空気の圧力や流量によっても変化することから、それらに応じて適宜設定すればよく、本実施例に限定されるものではない。
【0106】
ステップS5では、ステップS4での各噴出孔25からの高圧空気の噴出動作の実行に続き、便座12および便座蓋13を待機状態とし、このフローチャートすなわち便座洗浄動作を終了する。このステップS5では、ステップS3およびステップS4により、便座12(本実施例では本体部11の一部も)の洗浄が終了したことから、先ず高圧空気生成部32を停止する。このとき、本実施例では、切換部33の高圧空気導入状態(図18B参照)から高圧水導入状態(図18A参照)への切換を行う。その後、次の使用の準備処理として、密閉補助機構60を駆動制御することにより、便座12と便座蓋13との密接補助を解除し、駆動機構37を駆動制御することにより、便座12および便座蓋13を回動して開成状態(起立状態)として、次の使用のための待機状態とする。なお、本実施例では、便座12および便座蓋13が開成状態(起立状態)にあることを待機状態としているが、次の使用のために待機するものであればよく、本実施例に限定されるものではない。本実施例では、このステップS5での待機状態とする動作を2秒間に設定している。これにより、便座洗浄動作が終了する。
【0107】
なお、本実施例では、一度便座洗浄動作が実行されると、上記した一連の動作が終了するまでは、密閉補助機構60による便座12と便座蓋13との密接補助を解除することはなく、駆動機構37により便座12と便座蓋13とを「便座閉じ位置」のまま維持する。これにより、便座洗浄動作中に便座蓋13が開けられる(起立される)ことを防止することができ、洋式便器50の周辺が汚されることを防止することができる。このとき、図示は略すが便座洗浄動作の実行の有無を知らせる表示ランプを設け、便座洗浄動作を実行中である旨を知らせる構成とすることが望ましい。このような表示ランプは、図示は略すが、例えば、コントロールボックス70のパネル部70aや便座蓋13の上面等のように、便座12および便座蓋13が「便座閉じ位置」であるときに、視認可能な位置に設ければよい。また、図示は略すが補助的な機構として、便座洗浄動作中に便座蓋13が強制的に開けられた場合、便座洗浄動作における動作内容に拘らず、当該便座洗浄動作を停止する構成とすることが望ましい。
【0108】
本発明に係る便座洗浄装置10では、便座洗浄動作において、各噴出孔25からの高圧水を便座12(本実施例では本体部11の一部も)に噴き当てるものであることから、便座12(本実施例では本体部11の一部も)に汚物が付着していても、特に、汚物としての固形物がこびり付いていたりしても、その汚物(こびり付いた固形物も含む)を便座12等から確実に洗い流すことができる。これは、例えば、用を足した後に水を流した後であっても洋式便器50の便器本体51の凹部51aに汚物が残存している場合があることからも分かるように、従来技術のように単に便座に洗浄水をかけるでは、付着した汚物、特に、こびり付いた固形物を取り除くことのできない場合がある。これに対し、便座洗浄装置10では、このような付着した汚物、特に、こびり付いた固形物であっても、周配管24に導入された高圧水の圧力により各噴出孔25から噴き出される水(高圧水)の勢いを利用して当該汚物(特に、こびり付いた固形物)を引き剥がすことができることによる。特に、本実施例では、便座12の上面12bに付着することを想定する汚物を洗い流すことが可能である所定の勢いを保つ噴当領域Ar(図14参照)で、便座12の上面12bの全領域を覆う(本実施例では、本体部11における仮想線v2よりも内側の全領域も含む)ように設定されていることから、汚物(特に、こびり付いた固形物)を便座12等からより確実に洗い流すことができる。
【0109】
また、本発明に係る便座洗浄装置10では、便座洗浄動作において、各噴出孔25からの高圧空気を便座12(本実施例では本体部11の一部も)に噴き当てるものであることから、高圧水での洗浄の後に便座12等に残存する水滴を吹き飛ばすことができ、短時間であっても当該水滴を便座12等から確実に除去することができる。これは、従来技術のように温風を吹き付けるものでは、主に水滴の蒸散作用を狙っていることから、便座12等を確実に乾かすためには時間を要してしまうことによる。
【0110】
さらに、本発明に係る便座洗浄装置10では、便座洗浄動作において、各噴出孔25からの高圧水を便座12(本実施例では本体部11の一部も)に噴き当て、かつ各噴出孔25からの高圧空気を便座12(本実施例では本体部11の一部も)に噴き当てるものであることから、蒸気や温風を生成する必要がなく従来技術のように熱源を必要としないので、消費エネルギーを抑制することができるとともに、熱対策が必要ではないので簡易な構成とすることができ、長年の使用にも耐えることができる。このように消費エネルギーを抑制することができ、かつ簡易な構成とすることで製造過程を簡易化することができることにより、近年重要視されるCO排出量の削減にも寄与することができる。
【0111】
本発明に係る便座洗浄装置10では、便座洗浄動作において、各噴出孔25からの高圧水を便座12(本実施例では本体部11の一部も)に噴き当てるものであることから、従来技術のように単に便座に洗浄水をかけるものと比較して、便座12等に付着した汚物(特に、こびり付いた固形物)を確実に洗い流すために必要な水量を減らすことができる。このように水量を減らすことにより、近年重要視されるCO排出量の削減にも寄与することができる。
【0112】
本発明に係る便座洗浄装置10では、便座12の上面12bに着座していた使用者が便座洗浄装置10(洋式便器50)から離間すると、直ちに便座洗浄動作を開始し、その便座洗浄動作が終了すると、便座12および便座蓋13が待機状態とされるので、次の使用者が当該洋式便器50を利用するときには、便座12の上面12bや本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)や便座12の両腕部12aの上面に汚物が付着していることがなく、常に清潔な状態で利用することができる。特に、本実施例では、封止洗浄空間Sの形成動作(ステップS2参照)が2秒に設定され、各噴出孔25からの高圧水の噴出動作(ステップS3参照)が4秒に設定され、各噴出孔25からの高圧空気の噴出動作(ステップS4参照)が4秒に設定され、便座12および便座蓋13を待機状態とする動作(ステップS5参照)が2秒に設定されているので、当該洋式便器50が連続して利用される場合であっても、対応することができる。これは、一般的に、利用した使用者(前者とする)が洋式便器50から離間した後、次の使用者(後者とする)は、先ず前者が洋式便器50の設置された個室から退室するのを待ち、その後に当該個室へと入室し、当該個室の鍵をかけ、それから利用のための準備に取り掛かることが考えられるので、それらの動作の間に上記した10秒間での便座洗浄動作の一連の各動作が終了することが想定されることによる。
【0113】
本発明に係る便座洗浄装置10では、便座蓋13の裏面(13c)と、封止弾性部材(第1封止部材14、第2封止部材15および第3封止部材16)と、便座12(本実施例では本体部11を含む)との協働により、封止洗浄空間Sにおいて、各噴出孔25から噴き出した高圧水および高圧空気で、便座12の全周に渡り外側から内側へと向けて便器本体51の凹部51aへと向かう流れ(矢印A4、A5、A6、A17参照)を形成するものとされていることから、便座12の上面12bや本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)や便座12の両腕部12aの上面を満遍なく洗い流すことができるとともに、その汚れた高圧水等を便座12の中央開口部12cを経て(本実施例では、本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)からは当該本体部11と便座12との間に設けられた隙間C(図4Bおよび図15A参照)を経て、かつ本体部11の両受入凹所11bと便座12の両腕部12aとの間からは、受入凹所11bの上底面11eおよび第3封止部材16の傾斜面16dおよび湾曲面16cの案内により(図15Bおよび図15C参照))、便器本体51の凹部51aへと落とすことができる。このため、便座12(本体部11)に汚物が付着していた場合であっても、特に、その汚物としての固形物がこびり付いていた場合であっても、高圧水が噴き当てられることにより洗い流された汚物(こびり付いた固形物を含む)が便器本体51の凹部51aへと至る経路において引っ掛かったり、汚物(引き剥がされた固形物)が当該経路を詰まらせたりする虞がないので、便座洗浄装置10特に便座12の周辺を常に清潔な状態を維持することができる。
【0114】
本実施例の便座洗浄装置10では、便座12の上面12bに着座していた使用者が便座洗浄装置10(洋式便器50)から離間したことをセンサ36が感知すると、直ちに便座洗浄動作を開始するものであることから(ステップS1参照)、洋式便器50が使用された直後に洗浄を開始することができる。このため、便座12等に汚物が付着した場合であっても、その汚物の除去を比較的容易な状態で行うことができるので、より確実に固形物等を便座12等から洗い流すことができる。これは、汚物(洋式便器50の便座12に付着し得る小便や汚物や嘔吐物)が乾燥すると、除去が困難となることによる。
【0115】
本実施例の便座洗浄装置10では、便座12および本体部11の表面に撥水作用を有するコーティング処理が施されていることから、より確実に固形物等を便座12等から洗い流す(引き剥がす)ことができるとともに、より確実に便座12等から水滴を除去することができる。
【0116】
本実施例の便座洗浄装置10では、形成される封止洗浄空間Sにおいて、密閉補助機構60により便座蓋13に設けられた封止弾性部材が便座12に密接されていることから、封止洗浄空間S内で洗浄のために噴き出された高圧水および高圧空気が、便座12と便座蓋13との間から外方へと漏れ出ることが防止されているので、洋式便器50の周辺が水浸しになったり汚れたりすることを防止することができる。
【0117】
本実施例の便座洗浄装置10では、周配管24において、高圧水の導入方向(矢印A7参照)での合流箇所24cからの距離に応じた各噴出孔25の孔径寸法の設定により、各噴出孔25からの高圧水や高圧空気の噴き出しに起因する環状路部分24a内の圧力の低減を噴出し量で補うことができるため、便座12の上面12b(本実施例では、本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)や便座12の両腕部12aの上面も含む)を満遍なく洗い流すことができる。
【0118】
本実施例の便座洗浄装置10では、周配管24において、環状路部分24aと導入路部分24bとの合流箇所24cがr字状を呈しており、その導入路部分24bから環状路部分24aへと高圧水または高圧空気が導入されることから、環状路部分24aではその導入方向(矢印A7参照)にしたがって巡る高圧水または高圧空気の流れを形成することができるため、合流箇所24cから導入方向とは逆側へと戻った合流前領域24d(図13参照)において、導入路部分24bから環状路部分24aへの高圧水または高圧空気の導入に伴う引き込み力を作用させることができるので、環状路部分24a内での高圧水および高圧空気の圧力をより均一化することができ、便座12の上面12b(本実施例では、本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)や便座12の両腕部12aの上面も含む)を満遍なく洗い流すことができる。
【0119】
本実施例の便座洗浄装置10では、密閉補助機構60における便座12と便座蓋13とを互いに引き寄せる力を調節することができるので、封止洗浄空間Sを確実に密閉状態とすることができる。これは、ゴム部材から形成されている第1封止部材14、第2封止部材15および第3封止部材16では、消耗することにより、当初の位置関係では適切に封止することができなくなる虞があるが、便座12と便座蓋13との密接度合いを調整することにより、適切な封止が可能となることによる。
【0120】
本実施例の便座洗浄装置10では、操作部35のスイッチ35aを用いて便座洗浄動作を実行させることができるので、使用者の洋式便器50の利用に拘らず、使用者の要求に応じて何時でも自動で便座12の洗浄を行うことができる。
【0121】
本実施例の便座洗浄装置10では、高圧水生成部31における昇圧する際の目標圧力の変更が可能とされているので、便座洗浄動作における固形物等の便座12等からの洗い流しをより確実なものとすることができる。
【0122】
本実施例の便座洗浄装置10では、高圧空気生成部32における圧送する際の目標圧力の変更が可能とされているので、便座洗浄動作における水滴の便座12等からの除去をより確実なものとすることができる。
【0123】
本実施例の便座洗浄装置10では、コントロールボックス70の収容ボックス部70b(その筐体)貫通孔70fを介してアジャスターボルト31bまたはアジャスターボルト32bを回動させることにより、高圧水生成部31または高圧空気生成部32における目標圧力を変更させることが可能とされていることから、例えば、貫通孔70fにマイナスドライバーのような長尺な部材を挿入してアジャスターボルト31bまたはアジャスターボルト32bを回動させる必要があるので、高圧水生成部31または高圧空気生成部32における目標圧力が誤って変更されることを防止することができる。
【0124】
本実施例の便座洗浄装置10では、封止弾性部材である第1封止部材14と第2封止部材15とが、周縁溝部21と基端溝部22とを利用して便座蓋13に取り付ける構成とされていることから、第1封止部材14と第2封止部材15とを容易に脱落することを防止しつつ容易に交換することができる。
【0125】
本実施例の便座洗浄装置10では、封止弾性部材である第3封止部材16が、便座12の腕部12aの裏面に、接着剤または両面テープで取り付ける構成とされていることから、第3封止部材16を容易に交換することができる。
【0126】
本実施例の便座洗浄装置10では、コントロールボックス70において、制御部34、操作部35およびセンサ36が上部のパネル部70aに格納されており、かつ高圧水生成部31、高圧空気生成部32および切換部33が収容ボックス部70bに収容されており、パネル部70aと収容ボックス部70bとの取り付けおよび取り外しが容易であることから、収容ボックス部70bに収容した、高圧水生成部31、高圧空気生成部32および切換部33のメンテナンスを容易なものとすることができる。
【0127】
したがって、本発明に係る便座洗浄装置10では、付着した汚物等(特に、こびり付いた固形物)に対しても効果的に洗浄することができ、かつ洗浄に伴い残存する水滴を短時間で確実に除去することができる。
【0128】
なお、上記した実施例では、便座12の上面12bの洗浄のための便座洗浄動作を行うことのできる便座洗浄装置10を示していたが、図9Bに示すように、便座蓋13の裏面(13c)の余剰空間Raを利用して殺菌ランプ(図示せず)を併設するものであってもよい。その場合、上記した便座洗浄動作が終了した後に当該殺菌ランプによる殺菌を開始するものとすることにより、便座等から汚物を確実に取り除いた後に、当該便座等を殺菌することができるので、より清潔な便座を使用者に提供することができる。ここで、このような殺菌ランプを設ける場合、便座洗浄動作の際の水の付着あるいは衝撃等からの保護のために、殺菌ランプから発せられる殺菌用の波長の電磁波の透過を許す保護カバーを設けることが望ましい。
【0129】
また、上記した実施例では、封止弾性部材が第1封止部材14と第2封止部材15とにより構成されていたが、便座蓋13で便座12を覆う「便座閉じ位置」(図3A参照)まで便座蓋13を回動させたときに、少なくとも便座12の上面12bを全面に渡って覆いつつ中央開口部12cを介して凹部51aへと連通し、便座12の外側周縁部12dから洋式便器50の外方への水漏れが防止された封止洗浄空間Sを形成するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。特に、上記した実施例では、便座12の構成上、仮想線v2(図3B参照)よりも内側(便器本体51の凹部51a側)の領域、すなわち本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)と便座12の両腕部12aの上面であっても汚物が付着する虞があると考えて、当該領域も洗浄の対象としていたが、便座等の構成によっては当該便座の上面の全領域だけを洗浄の対象としてもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0130】
さらに、上記した実施例では、封止弾性部材である第1封止部材14と第2封止部材15とが、周縁溝部21と基端溝部22とを利用して便座蓋13に取り付ける構成とされていたが、少なくとも便座12の上面12bを全面に渡って覆いつつ中央開口部12cを介して凹部51aへと連通し、便座12の外側周縁部12dから洋式便器50の外方への水漏れが防止された封止洗浄空間Sを形成すべく便座蓋13に取り付けられていればよく、上記した実施例に限定されるものではない。なお、第1封止部材14と第2封止部材15との交換を容易なものとする観点から、上記した実施例のように取り外しが容易な構成とすることが望ましい。
【0131】
上記した実施例では、コントロールボックス70において、パネル部70aと収容ボックス部70bとの取り付けおよび取り外しが容易とされ、制御部34、操作部35およびセンサ36が上部のパネル部70aに格納されており、かつ高圧水生成部31、高圧空気生成部32および切換部33が収容ボックス部70bに収容されていたが、高圧水生成部31、高圧空気生成部32、切換部33、制御部34、操作部35およびセンサ36を収容するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。なお、高圧水生成部31、高圧空気生成部32および切換部33のメンテナンスを容易なものとする観点から、上記した実施例のように取り外しが容易な構成とすることが望ましい。
【0132】
上記した実施例では、コントロールボックス70の収容ボックス部70b(その筐体)貫通孔70fへと挿入したマイナスドライバーによって、アジャスターボルト31bまたはアジャスターボルト32bを回動させることにより、高圧水生成部31または高圧空気生成部32における目標圧力を変更させることが可能な構成とされていたが、操作部35に為された操作に応じて制御部34が制御信号を送信し、その制御信号に応じて高圧水生成部31または高圧空気生成部32における目標圧力を変更させる構成としてもよい。
【0133】
上記した実施例では、密閉補助機構60が磁力発生部61と被吸着部62とを有し、その磁力発生部61が磁気ヘッド63と電磁石64とボルトナット群65とを有するものとされていたが、「便座閉じ位置」における便座12と便座蓋13との密接状態すなわち封止洗浄空間Sにおける密閉状態を補助するものであれば、電磁力を利用する他の構成(例えば、被吸着部を吸着すべく電力の供給により磁力を発生させる磁力発生部が異なる構成)であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0134】
上記した実施例では、密閉補助機構60が、磁力発生部61が便座12の先端位置に設けられかつ被吸着部62が便座蓋13の先端位置に設けられて構成されていたが、「便座閉じ位置」における便座12と便座蓋13との密接状態すなわち封止洗浄空間Sにおける密閉状態を補助するものであれば、磁力発生部61が便座蓋13の先端位置に設けられかつ被吸着部62が便座12の先端位置に設けられる構成であってもよく、電磁力を利用するものでなくてもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0135】
上記した実施例では、高圧空気生成部32が、空気を圧送するための加圧送風ファンとその加圧送風ファンを回転駆動するためのモータと(図示せず)により構成されていたが、封止洗浄空間S(主に便座12の上面12b)に残る水滴を、便器本体51の凹部51aへと吹き飛ばすことを可能とするための高圧空気を、各噴出孔25から噴き出させるように、周配管24へと送り出すことができるものであれば、例えば、空気圧縮機で構成してもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0136】
上記した実施例では、便座洗浄動作において、高圧水噴出動作(図25のステップS3参照)を所定の時間(実施例では一例として4秒)実行した後に、高圧空気噴出動作(図25のステップS4参照)へと切り替える制御(構成)とされていたが、噴き当て対象となる面である便座12の上面12b(上記した実施例では、本体部11の突状傾斜部11a(その傾斜面11c)と便座12の両腕部12aの上面も)上の汚物を完全に洗い流した(引き剥がした)ことを確認した後に、高圧空気噴出動作(図25のステップS4参照)へと切り替える制御(構成)とすることもできる。この場合、例えば、便座12の上面12b上に汚物が残存しているか否かを検知するための本体部11の突状傾斜部11aの傾斜面11cに汚物検知センサ(図1の符号s)を設け、その汚物検知センサからの検知信号により、上面12b上の汚物を完全に洗い流した(引き剥がした)ことを確認することができる。なお、便座洗浄動作では、高圧水噴出動作(図25のステップS3参照)が開始される際には、必ず封止洗浄空間Sが形成されている(図25のステップS2参照)ことから、便座12(その上面12b)上に人が座っていることはないので、簡易なセンサを用いて上記した汚物検知センサを構成することができる。
【0137】
上記した実施例では、本体部11の両受入凹所11bにおいて、便座12の両腕部12aの下方に、第3封止部材16の先端部16bの傾斜面16dおよび本体部16aの湾曲面16cの形状を利用して、噴き出した水および空気で、当該上底面11eに沿って便器本体51の凹部51aへと向かう流れ(経路)(図15Bおよび図15Cの矢印A17参照)を形成するものであったが、上底面11eに経路用溝11h(図15C参照)に設ける構成とすることができる。これにより、当該経路の断面積を広げることができ、当該経路で賄うことのできる水量を増加させることができるので、当該経路に流れ得る水量に応じて適宜設定すればよい。
【0138】
以上、本発明の撮影装置を実施形態および実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0139】
10 便座洗浄装置
12 便座
12b 上面
13 便座蓋
14 (封止弾性部材としての)第1封止部材
15 (封止弾性部材としての)第2封止部材
24 周配管
25 噴出孔
30 供給機構
31 高圧水生成部
32 高圧空気生成部
33 切換部
36 センサ
50 洋式便器
51 便器本体
51a (開口としての)凹所
60 密閉補助機構
61 磁力発生部
62 被吸着部
70 (開閉可能な筐体としての)コントロールボックス
Ar 噴当領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有する便器本体の前記開口の環状面に対応する環状を呈し前記便器本体に回動自在に取り付けられる便座と、該便座を上から覆うことができるように前記便器本体に回動自在に取り付けられた便座蓋と、を備える洋式便器の前記便座を洗浄するための便座洗浄装置であって、
前記便座の外側周縁部に密接するように前記便座の形状に沿って延在して前記便座蓋に環状に設けられ、前記便座蓋が前記便器本体上で前記便座を覆う便座閉じ位置で前記便器本体の前記開口へと連通しつつ前記便器本体の外方への水漏れが防止された封止洗浄空間を形成する封止弾性部材と、
前記便座の形状に沿って延在して前記便座蓋の前記封止弾性部材の内側で環状に設けられ、前記便座閉じ位置で前記便座の上面に臨む複数の噴出孔が形成された周配管と、
少なくとも水道水での水圧よりも高い圧力で前記各噴出孔から前記便座の前記上面へ向けて噴き当てる高圧水と、前記便座上の水滴を吹き飛ばす圧力で前記各噴出孔から前記便座の前記上面へ向けて噴き当てる高圧空気と、を切り換えて前記周配管へと供給する供給機構と、を備えることを特徴とする便座洗浄装置。
【請求項2】
前記周配管では、前記便座閉じ位置まで前記便座蓋を回動させた状態において、前記供給機構から前記周配管へと供給された高圧水を、前記便座上面の全領域に行き渡らせるべく、延在方向に点在しつつ該延在方向と直交する方向に点在して前記各噴出孔の位置が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の便座洗浄装置。
【請求項3】
前記周配管では、噴き出した高圧水で、付着することを想定する汚物を短時間で洗い流すことが可能な所定の勢いを保ちつつ前記便座の前記上面上を進行する噴当領域を、少なくとも該上面の全領域を覆うべく形成するように前記各噴出孔の位置および噴出方向が設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の便座洗浄装置。
【請求項4】
前記便座蓋の内壁面と前記封止弾性部材とは、前記各噴出孔との協働により、該各噴出孔から前記便座の前記上面へと噴き出される高圧水および高圧空気を、前記便座の全周に渡り前記環状面で見て外側から内側へと向かって前記便器本体の前記開口へと導く形状を呈していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の便座洗浄装置。
【請求項5】
前記便座蓋と前記便座とには、前記便座蓋に設けられた前記封止弾性部材を前記便座に密接させる密閉補助機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の便座洗浄装置。
【請求項6】
前記密閉補助機構は、前記便座蓋または前記便座のいずれか一方に設けられ吸着のための磁力を発生する磁力発生部と、前記便座蓋または前記便座のいずれか他方に設けられ磁力を受けて前記磁力発生部に吸着される被吸着部とを有することを特徴とする請求項5に記載の便座洗浄装置。
【請求項7】
前記磁力発生部は、発生する磁力の強度が可変であることを特徴とする請求項6に記載の便座洗浄装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の便座洗浄装置であって、
さらに、使用者が前記洋式便器から離間したことを感知するためのセンサが設けられ、
前記センサが使用者の前記洋式便器からの離間を感知すると、前記各噴出孔からの高圧水の噴き当ておよび該各噴出孔からの高圧空気の噴き当てを実行することを特徴とする便座洗浄装置。
【請求項9】
前記便座の前記上面には、撥水作用を有するコーティングが施されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の便座洗浄装置。
【請求項10】
前記周配管では、水圧の均一化を図るために、前記供給機構からの高圧水および高圧空気の導入方向で見て、導入位置からの距離が遠くなるほど孔径が大きくなるように前記各噴出孔が設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の便座洗浄装置。
【請求項11】
前記周配管では、前記供給機構からの高圧水および高圧空気の導入方向が、前記便座の形状に沿う曲線方向に対する接線方向であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の便座洗浄装置。
【請求項12】
前記供給機構は、高圧水を生成する高圧水生成部と、高圧空気を生成する高圧空気生成部と、前記高圧水生成部から前記周配管への連通と前記高圧空気生成部から前記周配管への連通とを切り換える切換部と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の便座洗浄装置。
【請求項13】
前記高圧水生成部と前記高圧空気生成部と前記切換部とは、開閉可能な筐体に収容されていることを特徴とする請求項12に記載の便座洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図6B】
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【図6C】
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【図10C】
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【図11C】
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【図12C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【公開番号】特開2011−156131(P2011−156131A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19848(P2010−19848)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【特許番号】特許第4521063号(P4521063)
【特許公報発行日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(503447612)
【Fターム(参考)】