説明

便座装置

【課題】便座の断熱性能を向上し、高い省エネルギ性を備え、安全性と耐久性の高い便座装置を提供する。
【解決手段】本体200に回動自在に枢支された便座300と、コードヒータ332を均熱板331に蛇行させて配設された便座ヒータ330と、樹脂材料の発泡体で形成された断熱材340とを含み、断熱材340の上面には、コードヒータ332の直径よりも大きい高さの複数の突起341を備え、断熱材340が突起341を均熱板331に当接させて設置され、断熱材340の上面とコードヒータ332との間に間隙が確保されることにより、便座ヒータの熱が便座の下方に無駄に伝達されることを抑制し、熱効率を向上させることができるとともに、コードヒータの絶縁被覆と断熱材が接触することによる絶縁被覆の劣化を抑制することができ、省エネルギ性と安全性と耐久性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座内部に断熱構造を備えた便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の便座装置は、便座内部の断熱構造としては、アルミシートによる均熱体にコードヒータを配設した便座ヒータを便座の座面である座表体の裏面に貼着し、便座ヒータの下面に密着させて断熱材を設置することにより、便座ヒータの熱が便座の下方に伝わることを抑制している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、別の便座内部の断熱構造としては、便座9の上面である座面の下面にコードヒータを貼着し、コードヒータとは空間を開けて遮熱板を設置することにより、コードヒータから発生する熱を反射するとともに対流を阻止することにより、コードヒータからの熱による対流伝熱と輻射伝熱を抑制するものもある(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
図9は特許文献1に記載された従来の便座装置を示すものである。図9に示すように、便座1の座表体2の裏面に、アルミシートの均熱体5にコードヒータ6を配設した便座ヒータ4を粘着してあり、便座ヒータ4の下面に断熱材7を配置し、断熱材の下面と便座の座裏体3との間に付勢部材8を設置し、付勢部材の付勢力で断熱材7を便座ヒータ4に圧着している。
【0005】
図10は特許文献2に記載された従来の便座装置を示すものである。図10に示すように、便座9の座面10の裏面にはコードヒータ11が粘着してあり、コードヒータ11より空間を設けてアルミ板製の遮熱板12が便座内面に形成されたボス13に固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−61112号公報
【特許文献2】特開2000−229049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の特許文献1に記載された構成では、断熱材は温度の高いコードヒータと直接接触して配置されており、このような構成で断熱効果が高く低コストで加工性のよい発泡スチロールを断熱材として使用した場合、コードヒータと絶縁被覆として一般的に使用されている軟質の塩化ビニールの可塑剤が発泡スチロールに移行することにより、コードヒータの絶縁被覆に亀裂が発生し絶縁劣化が発生し漏電等の異常に繋がることが懸念される。また、発泡スチロールも可塑剤の移行により収縮が発生し、コードヒータとの間に隙間が生じ初期の断熱性能を維持することができないことが懸念される。
【0008】
また、特許文献2に記載された構成では、遮熱板で閉塞される空間が広いために、コードヒータから発する熱が空間内を移動することにより周囲に無駄に伝熱されることが懸念されものである。上記のように従来の便座の断熱構造は断熱性能と安全性および耐久性という観点で改良の余地があった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、便座の断熱性能を向上し、高い省エネルギ性を備え、安全性と耐久性の高い便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置は、便器上に設置可能な本体と、本体に回動自在に枢支された便座と、便座に内蔵され、樹脂材料の絶縁被覆を備えたコードヒータを均熱板に蛇行させて配設された便座ヒータと、便座に内蔵され、樹脂材料の発泡体で形成された断熱材とを含み、便座は、上面に着座面を有する略環状の上部便座ケーシングと、略環状の下部便座ケーシングとが、相互の内周縁および外周縁で接合され、内部に環状の空洞部が形成された構成とし、断熱材の上面には、均熱板のコードヒータが配設されておらない面に対応する位置に、コードヒータの直径よりも大きい高さの複数の突起を備え、上部便座ケーシングの着座面の下面には、便座ヒータが貼着され、便座ヒータの下方の前記空洞部には、断熱材が突起を均熱板に当接させて設置され、断熱材の上面とコードヒータとの間に間隙が確保されることを特徴とする便座装置である。
【0011】
これにより、便座ヒータの熱が便座の下方に無駄に伝達されることを抑制し、熱効率を向上させることができるとともに、コードヒータの絶縁被覆と断熱材が接触することによる絶縁被覆の劣化を抑制することができ、安全性と耐久性を向上することができるので、省エネルギ性と安全性および耐久性の高い便座装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
省エネルギ性と安全性および耐久性の高い便座装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における便座装置の外観を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における便座の完成状態の外観を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における便座の部品状態を示す斜視図
【図4】(a)は本発明の実施の形態1における断熱材の上方からの斜視図、(b)は断熱材の下方からの斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における上部便座ケーシングの組み立て途中の状態を示す下方からの斜視図
【図6】図2に示す便座の完成状態のAA断面図
【図7】図2に示す便座の完成状態のBB断面図
【図8】図2に示す便座の完成状態のCC断面図
【図9】従来の便座装置の斜視図
【図10】従来の便座装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、便器上に設置可能な本体と、前記本体に回動自在に枢支された便座と、前記便座に内蔵され、樹脂材料の絶縁被覆を備えたコードヒータを均熱板に蛇行させて配設された便座ヒータと、前記便座に内蔵され、樹脂材料の発泡体で形成された断熱材とを含み、前記便座は、上面に着座面を有する略環状の上部便座ケーシングと、略環状の下部便座ケーシングとが、相互の内周縁および外周縁で接合され、内部に環状の空洞部が形成された構成とし、前記断熱材の上面には、前記均熱板の前記コードヒータが配設されておらない面に対応する位置に、前記コードヒータの直径よりも大きい高さの複数の突起を備え、前記上部便座ケーシングの着座面の下面には、前記便座ヒータが貼着され、前記便座ヒータの下方の前記空洞部には、前記断熱材が前記突起を前記均熱板に当接させて設置され、前記断熱材の上面と前記コードヒータとの間に間隙が確保されることを特徴とする便座装置である。
【0015】
これにより、便座ヒータの熱が便座の下方に無駄に伝達されることを抑制し、熱効率を向上させることができるとともに、コードヒータの絶縁被覆と断熱材が接触することによ
る絶縁被覆の劣化を抑制することができ、安全性と耐久性を向上することができるので、省エネルギ性と安全性および耐久性の高い便座装置を提供することができる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記断熱材は、下面に突出したリブを備え、前記リブは、前記便座の環状の前記空洞部を分断することを特徴とするものである。
【0017】
これにより、便座の空洞部における空気の移動が抑制されるため、空気の移動に伴う熱伝達を抑制することができ、より熱効率を向上させることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における便座装置を便器上に設置した状態の外観の斜視図を示し、
<1>便座装置の構成
図1に示すように、便座装置100は、本体200、便座300、便蓋400により構成され、便器110の上面に設置される。
【0020】
なお、本実施の形態においては便座装置100の本体200の設置側を後方、便座300の設置側を前方とし、前方に向かって右側を右側、後方に向かって左側を左側として各構成要素の配置を説明する。
【0021】
本体200には、便座300および便蓋400が回動機構を介して開閉可能に取り付けられている。図1に示すように便蓋400を開放した状態においては、便蓋400は便座装置100の最後部に位置するように起立し、便蓋400を閉蓋した状態では便座300の上面と本体200の一部を隠蔽する。便座300は図1に示すように便器110の上面に載置された状態から、便蓋400と同様に本体の前面部に起立する。
【0022】
また、本体200には、図示しない洗浄水供給機構(図示せず)、熱交換器(図示せず)、洗浄ノズル201等からなる洗浄機構と、乾燥ユニット(図示せず)と、制御部(図示せず)等が内蔵されている。
【0023】
本体200の前面部には着座センサ202が設置してある。この着座センサ202は非接触式着座センサであり反射型の赤外線センサである。すなわち、発光部から赤外線を発光し人体によって反射された赤外線を受光部が受光検出することにより、便座300上に使用者が着座していることを検知する。
【0024】
また、洗浄水供給機構と熱交換器は洗浄ノズル201に接続されており、水道配管から供給される洗浄水を熱交換器で加熱することにより温水を洗浄ノズルに供給し、洗浄ノズル201から使用者の局部に向けて洗浄水を噴出し、使用者の局部を洗浄するものである。洗浄ノズル201はお尻を洗浄するお尻洗浄ノズル部と女性の局部を洗浄するビデノズル部を備えている。
【0025】
また、乾燥ユニットは洗浄水により濡れた局部に向けて温風を噴出し、局部を乾燥することができる。
【0026】
なお、洗浄機構と乾燥ユニットは便座装置の必須構成要素ではなく、これらの構成要素を具備しない便座装置でもよい。
【0027】
また、本体200の右側部には前方に突出するように袖部210が設けてあり、袖部2
10の上面には操作部211が設けてあり便座装置の各機能を操作する複数の操作スイッチ212と表示灯213が設置されている。
【0028】
<2>便座の構成
図2は便座の完成状態の外観示す斜視図であり、図3は便座を構成する主要部品を示す斜視図であり、図4(a)断熱材の上方からの斜視図であり、図4(b)は断熱材の下方の斜視図であり、図5は上部便座ケーシングの組み立て途中の状態を示す下方からの斜視図であり、図6は図2に示す便座の完成状態のAA断面図であり、図7は図2に示す便座の完成状態のBB断面図であり、図8は図2に示す便座の完成状態のCC断面図ある。
【0029】
図2に示すように、便座300は略楕円形の環状を成した便座本体301と、便座本体301の後端部より突出する支持部302を備え、枢支軸303を介して本体200に回動自在に枢支されている。
【0030】
図3に示すように、便座300は上面側から、樹脂材料で成形された上部便座ケーシング310と、アルミニウム箔製の均熱板331にコードヒータ332を配設した便座ヒータ330と、発泡スチロール製の断熱材340と、樹脂材料で成形された下部便座ケーシング320を主構成部材として構成されている。完成状態では上部便座ケーシング310と下部便座ケーシング320は相互の内周縁と外周縁が接合され内部が中空の環状をなしている。
【0031】
上部便座ケーシング310は熱可塑性の樹脂材料で略楕円形の環状に成形された上部本体部311と、上部本体部311の後端部より突出する上部支持部312を備えている。
【0032】
図6に示すように、上部便座ケーシング310の上部本体部311の断面は略山型状であり、上部本体部311の上面は着座に適した緩い曲面の着座面313が形成されており、内周と外周は下方に向かって屈曲しており上部内周縁314と上部外周縁315が形成されている。上部内周縁314と上部外周縁315は下部便座ケーシング320の下部内周縁323と下部外周縁324と当接して結合される構成となっている。
【0033】
上部便座ケーシング310の下面中央部の複数箇所には結合ボス316が形成されており、下部便座ケーシング320とねじ317を介して結合できる構成となっている。
【0034】
便座ヒータ330は、前部の一部が切り取られた略馬蹄形状のアルミニウム箔で形成された均熱板331の表面に、軟質の塩化ビニール製の絶縁被覆で覆われたコードヒータ332が間隔を設けて蛇行して配設されており、コードヒータ332で発熱した熱が均熱板331に伝導して均熱板331の全面に拡散する構成となっている。便座ヒータ330は着座面313の全面を加熱できるようにコードヒータ332が配設あり、特に着座した使用者の大腿部と臀部が快適に加熱されるように場所によって密度を変えて配設してある。
【0035】
また、均熱板331の表面には図示しない温度検知手段であるサーミスタと過昇防止手段であるサーモスタット設置されており、コードヒータ332とサーミスタおよびサーモスタットはリード線で接続されている。本実施の形態における便座ヒータ330の電気容量は約50Wである。
【0036】
断熱材340は独立発泡体である発泡スチロールで一体に成形されており、図4(a)および図4(b)に示すように、断熱材340は後部が開放された略馬蹄形状をしており、その内周と外周の形状は上部便座ケーシング310の内周と外周の形状と略相似形に形成されており、図5に示すように上部便座ケーシング310および便座ヒータ330の前部および側部を覆うことができる形状となっている。
【0037】
また、図6および図7に示すように断熱材340の断面形状は略山型状であり、上面の形状は上部便座ケーシングの下面形状と略相似形を成している。
【0038】
断熱材340の上面は、中央部の複数箇所には上方に突出した円柱形状の円柱突起341と円筒形状の円筒突起342が形成されている。円柱突起341と円筒突起342の高さはコードヒータ332の直径の2倍以上の寸法となっており、本実施の形態においてはコードヒータ332の直径が2mmに対して円柱突起341と円筒突起342の高さは4.5mmとなっている。
【0039】
円筒突起342は上部便座ケーシング310の結合ボス316に対応する位置に配置されており、結合ボス316に貫通させることにより、断熱材340の位置決めが容易にできる構成となっている。
【0040】
また、結合ボス316以外に対応する位置には円柱形状の円柱突起341が間隔を設けて配設されている。
【0041】
また、断熱材340の内周と外周の端部には横方向に突出した内周リブ343と外周リブ344が形成されている。内周リブ343と外周リブ344の高さは円柱突起341の高さとほぼ等しい高さとなっている。
【0042】
図6および図7に示すように、上記形状の断熱材340を上部便座ケーシング310の内部に嵌入した場合、上部便座ケーシング310の内面と断熱材340の上面および側面とは略等間隔の間隙を保持することができる構成となっている。
【0043】
また、断熱材340の両後端部には下方に突出した後端リブ345が形成されている。後端リブ345の高さは、上部便座ケーシング310と下部便座ケーシング320を組み合わせた状態で、断熱材340と下部便座ケーシング320との間で生ずる隙間を塞ぐことのできる高さとなっている。
【0044】
下部便座ケーシング320は熱可塑性の樹脂材料を使用した成型品であり、平面形状が上部便座ケーシング310と略同形状の下部本体部321と、下部本体部321の両側後方に斜め上方に突出した下部支持部322が形成されている。
【0045】
下部本体部321の内周と外周は上方に向かって屈曲しており下部内周縁323と下部外周縁324が形成されている。下部内周縁323と下部外周縁324の外形形状は上部便座ケーシング310の上部内周縁314と上部外周縁315と略同形状であり、上部便座ケーシング310と下部便座ケーシング320とを当接して結合されると連続的な外観形状が形成でき、内部には空洞部304が形成される構成となっている。
【0046】
下部本体部321の中央部には、上部便座ケーシング310の結合ボス316に対応する部分に、上部便座ケーシング310と下部便座ケーシング320とを結合するねじ317を貫通させる結合孔325が形成されている。結合孔325の下面部にはねじ317の頭部を収容する凹陥部が一体に形成されている。
【0047】
図5に示すように、上部便座ケーシング310に便座ヒータ330を貼着して断熱材340を嵌入した状態では、断熱材340の円筒突起342が上部便座ケーシング310の結合ボス316に嵌入されており、断熱材340が所定位置に設置されている。断熱材340は便座ヒータ330の両側部の全面を覆い、便座ヒータ330の後部は開放された状態である。便座ヒータ330は着座した使用者の大腿部が接触する両側部の発熱量を多く
なるようにコードヒータ332を配設しており、断熱材340は便座ヒータ330の主要部を断熱する構成となっている。
【0048】
図6に示すように、上部便座ケーシング310の内面に貼着した便座ヒータ330の均熱板331の表面に断熱材340の円柱突起341が当接しており、断熱材340がコードヒータ332に接触することを防止するとともに、便座ヒータ330を上部便座ケーシング310に押圧して剥離を抑制している。また、上部便座ケーシング310の両側面部についても断熱材340の内周リブ343と外周リブ344により間隙が形成されており、断熱材340がコードヒータ332に接触することが防止されている。
【0049】
また、図8に示すように、断熱材340の後端部に形成された後端リブ345は下部便座ケーシング320の上面に当接する構成となっている。断熱材340の前部および側部では断熱材340の下面と下部便座ケーシング320との間で断熱空間305が形成されており、後端リブ345は断熱空間305の両端を閉塞する構成となっている。
【0050】
これにより、断熱材340の前部と両側部に形成される断熱空間305の空気と、断熱材340が配置されていない便座300の後部空洞部306の空気が相互に移動して混ざり合うことを抑制することができるので、便座全体の断熱効果を高めることができる。
【0051】
<3>便座の動作および作用
上記構成の便座300を備えた本実施の形態における便座装置100は、便座装置100が通電状態である場合は、便座300は設定温度に保温された状態を維持する。設定温度は操作スイッチ212により使用者の好みにより変更が可能であり、35℃から40℃の範囲で調整することができる。設定された設定温度に対応して便座ヒータ330の均熱板331の表面に設置したサーミスタ(図示せず)の検知データにより便座ヒータ330への通電が制御される。
【0052】
コードヒータ332で発熱した熱は均熱板331に伝達され、均熱板331の全面に熱伝導により拡散し、均熱板331の全面より上部便座ケーシング310に熱伝達され着座面313を設定温度に保温する。
【0053】
便座ヒータ330より輻射および対流により下方に放出された熱は断熱材340によりそれより下方への移動を抑制される。
【0054】
また、断熱材340が配設されておらない便座300の後部空洞部306に放出された熱は下部便座ケーシング320に伝達されるが、断熱材340の後端リブ345により側部および前部の断熱空間305への移動が防止されることにより、最小限度の熱量の放出に抑制することができる。
【0055】
また、便座300の後部は着座した人体が接触する面積が少なく、また接触圧力が低いため便座ヒータ330の単位面積当たりの発熱量は少なく設定されており、便座300の後部から無駄に放出される熱は便座ヒータ全体の発熱量に対しては僅かである。
【0056】
上記のように本実施の形態における便座装置は、便座の上部便座ケーシングの下面に便座ヒータを貼着し、便座の下方に断熱材を配置したことにより便座ヒータの熱を下方に無駄に伝達されることを抑制することができ省エネルギの高い便座装置を実現することができる。
【0057】
また、断熱材の両後端部に後端リブを形成し便座内部の空気の移動を抑制することにより、より省エネルギ性を高めることができる。
【0058】
また、便座ヒータのコードヒータの絶縁被覆と断熱材が直接接触しない構成としたことにより、コードヒータの絶縁被覆の劣化を抑制することができ、安全性および耐久性を高かめることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかる便座装置は、省エネルギ性が高くコードヒータの劣化を抑制することが可能となるので、他の暖房器具等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0060】
100 便座装置
110 便器
200 本体
300 便座
304 空洞部
306 後部空洞部
310 上部便座ケーシング
313 着座面
314 上部内周縁(内周縁)
315 上部外周縁(外周縁)
320 下部便座ケーシング
323 下部内周縁(内周縁)
324 下部外周縁(外周縁)
330 便座ヒータ
331 均熱板
332 コードヒータ
340 断熱材
341 円柱突起(突起)
342 円筒突起(突起)
345 後端リブ(リブ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器上に設置可能な本体と、
前記本体に回動自在に枢支された便座と、
前記便座に内蔵され、樹脂材料の絶縁被覆を備えたコードヒータを均熱板に蛇行させて配設された便座ヒータと、
前記便座に内蔵され、樹脂材料の発泡体で形成された断熱材と、を含み、
前記便座は、上面に着座面を有する略環状の上部便座ケーシングと、略環状の下部便座ケーシングとが、相互の内周縁および外周縁で接合され、内部に環状の空洞部が形成された構成とし、
前記断熱材の上面には、前記均熱板の前記コードヒータが配設されておらない面に対応する位置に、前記コードヒータの直径よりも大きい高さの複数の突起を備え、
前記上部便座ケーシングの着座面の下面には、前記便座ヒータが貼着され、
前記便座ヒータの下方の前記空洞部には、前記断熱材が前記突起を前記均熱板に当接させて設置され、
前記断熱材の上面と前記コードヒータとの間に間隙が確保されることを特徴とする、
便座装置。
【請求項2】
前記断熱材は、下面に突出したリブを備え、
前記リブは、前記便座の環状の前記空洞部を分断することを特徴とする、
請求項1に記載の便座装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate