説明

便座

【課題】ヒータによる加温において便座本体の表面の各部における温度差を小さくすることが可能となる。
【解決手段】便座5が、裏面が開口した断面略U字状の帯体が平面視略楕円形又は略U字状に連続して形成された便座本体2と、この便座本体2の内面側に設けられるヒータ3と、前記便座本体2の裏面に取付けられる裏面蓋4とを備えている。前記便座本体2の側部6内面に伝熱部材7が設けられ、この伝熱部材7を介して前記便座本体2の側部6内面に裏面蓋接合部8が突設される。前記伝熱部材7の端部に前記ヒータ3が接触され、前記裏面蓋接合部8に裏面蓋4の端部が接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータを備えた便座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、着座時に使用者が着座面を冷たいと感じ難くするために着座面の裏にヒータを設けた便座が知られている。
【0003】
このヒータを備えた便座は、特許文献1に示すように、表面が着座面となった断面U字状の帯体が平面視略楕円形又は略U字状に連続して形成された便座本体と、着座面の裏に設けたヒータと、便座本体の裏面に接合する裏面蓋とで構成される。
【0004】
従来の便座5’は、図6に示すように、便座5’の主体を構成する便座本体2’が側部内面に裏面蓋4’を接合するための裏面蓋接合部8’を一体に突設するように一体成形してある。
【0005】
そして、ヒータ3’は、便座本体2’の内面の裏面蓋接合部8’を一体に突出成形した部分を除いた部分に設けている。
【0006】
便座本体2’に一体に成形した裏面蓋接合部8’には裏面に凹所9’、接合突部10’を形成しており、接合突部10’に裏面蓋4’の外周端部に形成した接合凹部11’を接合すると共に凹所9’に充填剤12’を充填し、裏面蓋4’を便座本体2’に接合している。
【0007】
この従来例は、便座本体2’の図6のAの領域においては、内面にヒータ3’が存在し、しかもAの領域は厚みが薄いので、ヒータ3’がオンになるとすばやく昇温する。
【0008】
しかし、便座本体2’の図6のBの領域は、内面にヒータ3’が存在しないので、ヒータ3’で直接加熱されず、更にBの領域は厚みが厚く、通常用いられるポリプロピレンなどの熱伝導が悪い材料で形成してあると、ヒータ3’の熱が伝導するのに時間がかかる。
【0009】
このため特許文献1に示される従来例は、便座5’の表面の端部(側部)まで均一に昇温させるのが困難であり、着座時に便座5’表面は、端部と他の部分との間で温度差が生じ、使用者の不快感につながるという問題がある。
【0010】
なお、図7のように、仮に、便座本体2’の裏面蓋接合部8’を一体に突設成形した部分の内面に至るようにヒータ3’を設けることも考えられる。
【0011】
しかし、図7においては、便座本体2’の側部の裏面蓋接合部8’を一体に突設した部分の厚みが厚いため、ヒータ3’をオンにしても、Aの領域は昇温が早いが、Bの領域は昇温が遅く、Aの領域とBの領域とで温度差が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−95611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みて発明したもので、ヒータで加温した際に便座本体の表面の各部における温度差を小さくすることが可能な便座を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の便座は、裏面が開口した断面略U字状の帯体が平面視略楕円形又は略U字状に連続して形成された便座本体と、この便座本体の内面側に設けられるヒータと、前記便座本体の裏面に取付けられる裏面蓋とを備えた便座であって、前記便座本体の側部内面に伝熱部材が設けられ、この伝熱部材を介して前記便座本体の側部内面に裏面蓋接合部が突設され、前記伝熱部材の端部に前記ヒータが接触され、前記裏面蓋接合部に裏面蓋の端部が接合されていることを特徴とする。
【0015】
また、裏面が開口した断面略U字状の帯体が平面視略楕円形又は略U字状に連続して形成された便座本体と、この便座本体の内面側に設けられるヒータと、前記便座本体の裏面に取付けられる裏面蓋とを備えた便座であって、前記ヒータの端部が前記便座本体の側部内面まで至り、前記便座本体の側部内面に前記ヒータの端部を介して裏面蓋接合部が突設され、前記裏面蓋接合部に裏面蓋の端部が接合されていることを特徴とすることも好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、便座本体の側部内面に伝熱部材を設け、この伝熱部材を介して便座本体の側部内面に裏面蓋接合部を突設する構成となっているので、便座本体の表面の各部における温度差が小さくなって着座時の温度差による不快感が抑制できる。
【0017】
また、ヒータの端部が便座本体の側部内面まで至り、便座本体の側部内面にヒータの端部を介して裏面蓋接合部を突設する構成となったものにおいては、便座本体の表面の各部における温度差が小さくなって着座時の温度差による不快感を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の便座の一実施形態の図2X−X線部分の断面図である。
【図2】同上の全体斜視図である。
【図3】(a)〜(d)は同上の製造順序を示す説明図である。
【図4】本発明の便座の他の実施形態の図2X−X部分の断面図である。
【図5】(a)〜(c)は同上の製造順序を示す説明図である。
【図6】従来例の要部断面図である。
【図7】他の従来例の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
図1、図2は便座5の一実施形態を示している。便座5は、便座本体2と、この便座本体2の内面側に設けられるヒータ3と、便座本体2の裏面に取付けられる裏面蓋4とを備えている。
【0021】
便座本体2は、裏面が開口した断面略U字状の帯体が平面視略楕円形又は略U字状に連続して形成されたものであり、この便座本体2の表面は着座面1となっている。
【0022】
この便座本体2は、全体がほぼ等しい肉厚となっており、便座本体2を構成する断面略U字状をした帯体の両側壁である側部6内面に伝熱部材7が設けてあり、更に、側部6内面に前記伝熱部材7を介して裏面蓋接合部8を突設している。
【0023】
伝熱部材7は、アルミ箔や伝熱シート等の熱伝導性の高い箔又はシート状をしている。
【0024】
前記のように伝熱部材7は、大部分が便座本体2の側部6と裏面蓋接合部8との間に介在してあるが、一端部(図1においては上端部)が裏面蓋接合部8の突設部分を越えて更に便座本体2の内面に沿って延出している。
【0025】
この伝熱部材7の端部の裏面蓋接合部8の突設部分を越えて更に便座本体2の内面に沿って延出している部分はヒータ3との接触部7aとなっていて、便座本体2の内面の裏面蓋接合部8を突出していない部分に露出している。
【0026】
ヒータ3は、便座本体2の内面の裏面蓋接合部8を突設した部分を除いた部分に設けている。
【0027】
ヒータ3の端部は、伝熱部材7の端部の接触部7aに重複するように当接し、更に、接着剤で接着している。
【0028】
裏面蓋接合部8は、便座本体2の裏面開口側の端面に凹所9を設けており、凹所9の一壁部が接合突部10となっている。
【0029】
裏面蓋4は、外周端部に接合凹部11を設けており、この裏面蓋4の接合凹部11を裏面蓋接合部8の接合突部10に嵌め込んで接合している。
【0030】
裏面蓋接合部8に設けた凹所9には接着性を有する充填剤12が充填され、接合凹部11と接合突部10の接合を強固に接合している。
【0031】
なお、図2において符号13はヒータ3の電源コードを示している。
【0032】
図3には、上記図1に示す便座5の製造順序を示している。製造に当たっては、まず、図3(a)に示すように、便座本体2の側部6内面に伝熱部材7を貼付ける。次に、図3(b)に示すように、便座本体2の側部6内面に貼付けた伝熱部材7上に裏面蓋接合部8を形成する。次に、図3(c)に示すように、便座本体2の内面の裏面蓋接合部8を突設した部分を除いた部分にヒータ3を貼付けると共に、ヒータ3の端部を伝熱部材7の端部の接触部7aに重複する。次に、図3(d)に示すように、裏面蓋4の外周端部を裏面蓋接合部8に接合して便座本体2の裏面開口を閉塞する。
【0033】
ここで、図3(b)において裏面蓋接合部8を形成するに当たっては、前記のように伝熱部材7を貼付けた便座本体2を金型にセットした状態で、樹脂を注入して裏面蓋接合部8を形成する(インサート成形により形成する)ことが考えられる。
【0034】
もちろん、前記のように伝熱部材7を貼付けた便座本体2に、別途形成した裏面蓋接合部8を伝熱部材7を介して接着するようにしてもよい。
【0035】
上記の図1に示す便座5は、着座時に使用者が着座面1が冷たいと感じ難くするために、ヒータ3に通電して表面の着座面1を温める。
【0036】
この場合、便座本体2の側部6と裏面蓋接合部8との間に伝熱部材7が介在しており、この伝熱部材7の端部にヒータ3の端部が重なって接触しているので、便座本体2の表面の端部までほぼ均一に昇温できる。
【0037】
したがって、本実施形態は、便座本体2の表面の端部(側部6の表面)と、表面の他の部分の温度差を小さくし、着座した際の不快感がないようにすることができる。
【0038】
図4は他の実施形態を示している。便座本体2、裏面蓋接合部8、裏面蓋4の構成は前述の実施形態と同じ構成なので、以下は前述の実施形態と異なる構成につき説明する。
【0039】
本実施形態においても、全体がほぼ等しい肉厚となっている便座本体2の内面にヒータ3を設けているが、本実施形態ではヒータ3の端部が図4に示すように便座本体2の側部6内面まで至っている。
【0040】
そして、便座本体2の側部6内面にヒータ3の端部を介して裏面蓋接合部8を突設している。
【0041】
本実施形態においても、裏面蓋接合部8に前述の実施形態と同様に裏面蓋4を接合している。
【0042】
図5には、上記図4に示す便座5の製造順序を示している。製造に当たっては、まず、図5(a)に示すように、便座本体2の内面にヒータ3を貼付ける。この場合、ヒータ3の端部を便座本体2の側部6内面まで至るように貼付ける。次に、図5(b)に示すように、便座本体2の側部6内面にヒータ3の端部上に裏面蓋接合部8を形成する。次に、図3(c)に示すように、裏面蓋4の外周端部を裏面蓋接合部8に接合して便座本体2の裏面開口を閉塞する。
【0043】
ここで、図5(b)において裏面蓋接合部8を形成するに当たっては、前記のように端部が側部6内面まで至るようにヒータ3を貼付けた便座本体2を金型にセットした状態で、樹脂を注入して裏面蓋接合部8を形成する(インサート成形により形成する)ことが考えられる。
【0044】
もちろん、前記のように端部が側部6内面まで至るようにヒータ3を貼付けた便座本体2に、別途形成した裏面蓋接合部8を接着するようにしてもよい。
【0045】
上記の図4に示す便座5は、着座時に使用者が着座面1が冷たいと感じ難くするために、ヒータ3に通電して表面の着座面1を温める。
【0046】
この場合、便座本体2の内面に設けたヒータ3の端部が便座本体2の側部6内面まで到っているので、便座本体2の表面の端部までほぼ均一に昇温できる。
【0047】
したがって、本実施形態は、便座本体2の表面の端部(側部6の表面)と、表面の他の部分の温度差を小さくし、着座した際の不快感がないようにすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 着座面
2 便座本体
3 ヒータ
4 裏面蓋
5 便座
6 側部
7 伝熱部材
8 裏面蓋接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面が開口した断面略U字状の帯体が平面視略楕円形又は略U字状に連続して形成された便座本体と、この便座本体の内面側に設けられるヒータと、前記便座本体の裏面に取付けられる裏面蓋とを備えた便座であって、前記便座本体の側部内面に伝熱部材が設けられ、この伝熱部材を介して前記便座本体の側部内面に裏面蓋接合部が突設され、前記伝熱部材の端部に前記ヒータが接触され、前記裏面蓋接合部に裏面蓋の端部が接合されていることを特徴とする便座。
【請求項2】
裏面が開口した断面略U字状の帯体が平面視略楕円形又は略U字状に連続して形成された便座本体と、この便座本体の内面側に設けられるヒータと、前記便座本体の裏面に取付けられる裏面蓋とを備えた便座であって、前記ヒータの端部が前記便座本体の側部内面まで至り、前記便座本体の側部内面に前記ヒータの端部を介して裏面蓋接合部が突設され、前記裏面蓋接合部に裏面蓋の端部が接合されていることを特徴とする便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−45170(P2012−45170A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190006(P2010−190006)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】